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1950-03-08 第7回国会 参議院 予算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月八日(水曜日)    午後一時二十三分開会   ―――――――――――――   委員の異動 本日委員淺岡信夫君辞任につき、その 補欠として島津忠彦君を議長において 指名した。   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○昭和二十五年度一般会計予算内閣  送付) ○昭和二十五年度特別会計予算内閣  送付) ○昭和二十五年度政府関係機関予算  (内閣送付)   ―――――――――――――
  2. 山田佐一

    委員長山田佐一君) 只今から委員会を開会いたします。通告順によつて発言を許します。赤木正雄君。
  3. 赤木正雄

    赤木正雄君 私は人事院総裁に少しくお尋ねいたしたいと思いますが、それは総裁はすでに御承知のことと思いますが、過日行われました国家公務員法附則第九條による試験の問題であります。各官庁本省課長以上の者が試験されました。これに関して少しくお伺いしたいと思います。恐らくこの試験精神は、公務員能率的な運営をすること、又国家公務員法精神に従いまして、人事院の指定による上級の官職に最も適格な人材を就任せしむるためと思います。又試験実施上の官職の区分は、職務内容類似性、その他各要素による多くの職類に区分してありまするが、これも能率的の運営を保障しようとする国家公務員法精神によることと思います。この見地から、この九條による試験公告をされまして、それについていろいろと疑義もありましようが、私は特に建設省河川局砂防課長試験に関してお尋ねしたいと思います。これは一体砂防事業というものはどういう職種であるかということを十分理解されない限り、非常に困難であります。その観点から、簡單に内務省時代から如何なる人がこういう事業に当つていたのかということを申上げます。御承知通りに、治水事業上流植林砂防下流河川工事、この三者が完全に行われて始めて治水目的を達するのであります。この間におきまして、上流植林は、申すまでもなくこれは林業のプロパー仕事であります。下流河川工事は、これは土木專門仕事考えます。その中間性にあるのが砂防事業であります。もともと我が国河川技術者は、明治十一年以来段々專門化をいたしまして、大正三、四年頃には河川專門学士が三百五十人もおりました。その当時の初代の技監は今以て我が国治水の基を技術的に築いた沖野博士でありました。その沖野博士が、日本河川は決して河川改修だけでは目的を達することはできない、あの上流砂防を行わない以上はその万全を期することはできない。併し遺憾ながら上流の地には河川改修に当つておる技術者はこれに従事することを好まない。何分仕事は不便でもあるし、又地味な仕事でもあるから、どうしても工学士下流河川工事に従事するのである。そういう観点から沖野技監は、砂防事業に関してはみずから設計を作つておられたのであります。そこでどうしても砂防專門技術者内務省に養成しない限り、日本治水は完全を期することはできないという観点から、林学の人を砂防に初めて大正三年から採用したのであります。これは一面におきまして、土木つまり工科大学では砂防講義は一時間もない。これに反して林学におきましては、砂防講義が二ケ年も專門に施行されておる。従つて砂防事業は勢い林学の人に渡つて行つたのであります。その後事業が段々下流に及ぶに従いまして、いわゆる今日の砂防事業も発達したのでありますが、これに鑑みましても、先ずそういう不便な土地に従事する人は、如何なる不便な所でも專心事業に従うこの精神が第一必要である。同時に、砂防と申しましても堰堤も築けば、或いは護岸もやる、すべての河川工事に類似した仕事をしますから、やはり工科大学土木の学も幾分学んでいないといけない。こういう理由を以ちまして、大正十五年に京都農科大学ができたときには、農学部の中に農林工学科と言いまして、やはり大学工科の方で講義を聽きながら、又砂防講義農学部で聽く、こういう制度ができました。これはドイツの制度、或いはオーストリアの制度に倣つたいわゆる西欧、或いはスイス、その方面大学の組織であります。従つて決して木を植えることばかりでは砂防目的はだめだ、土木のことを知らないといけない、又土木だけでもだめだ。幾分木を植えることも知らなければいけない、こういう中間性のものになつているのであります。そういう観点でいわゆる砂防を專攻した学士が、すでに数十人も今日建設省本省並びに各府県に專属に事業に従事しておるのでございます。従いまして砂防はこういうふうに一種特別の部門に属しておりますから、又この試験に際しても当然その範囲においてこれを施行されるのが、今までの歴史において、今までの成績において当然であると思います。その観点から私は特に人事委員会に出まして、この試験の施行されるまでに、今人事院で公布されましたこの試験の様式が非常に不合理である。これは全く土木そのものに関して試験されるのであつて砂防そのものを無視して施行されている。その欠点を縷々申上げまして、この点を是非とも是正して正しい試験に、人事院が折角專門の職を立てようという御希望ならその線に沿つて、又能率的に人を採用しようという御希望ならば、そういう能率的に人を採用するような試験制度に改めて欲しいということを懇々総裁に述べました。ところが人事院総裁は、或いは人事局はこのことを建設省の方にお尋ねなつたところが、建設省といたしましてはここに報告になつている試験制度そのものによるという御答弁をされて、そのままにされたことはよく承知しております。併し人事院は最も公平に又正しい見方においてすべてを判断されるところでありますから、これに対して現在こういうことをやつたことは、すでにそこに一種の学閥がある、学閥によつて人能率を左右しているということがはつきり分ります。これを何とか人事院の公正な立場で直して、いわゆる人事院の思われる通りに正しい試験をして下さいと言つたのでありますが、遂にそれが実行されなかつた。これは非常に遺憾に思うのです。折角今まで約二十数年も培つて来た人々、又多くの卒業生、それが今後どうして自分專門の道に進んで行き得るか、非常に失望しております。又失望するのは当然でございます。又この度京都大学卒業生砂防を專攻した者は全部落第してしまつておる。これは先程申した通りに特殊の技術を習つたわけであります、学校でも又特殊の方面に進んでいます。それに向つて工科の方の試験をなされば落第するに決まつています。従つて工科を卒業した者に砂防試験をすれば、これ又大部分落第するのであります。こういうはつきりしたことが分りながら、折角学校を出ても全部落第してしまう。誠に情ない。これに対して今後どういうふうに処置するか、又嘗ての試験に際して、なぜあれ程私が懇々と誰が聞いても無理のないことを申したのに採用されなかつたか、この点を承わりたいと思います。
  4. 淺井清

    政府委員淺井清君) 赤木さんにお答えを申上げます。赤木さんが多年砂防方面に御貢献になりましてその該博なる知識を以ていろいろ御教示を賜りましたことは、先ず以て感謝に堪えないところでございます。赤木さんは折角養成し且つ発達しかけておりまするところの砂防專門員の育成が、今回の試験によつて頓坐をするというような御懸念でございましたが、これに関しましては二つのことをはつきり申上げたいと存じます。  第一は今回の職種分類というのは、今度の試験、この一回限りの試験に対するものだけの分類でございまして、これによりまして将来の職階制における分類を何等拘束するものではないということでございます。職階制がやがて採用されるに至りましたならば、職種は決して六十というような少いものではなくして、もつともつと專門化されるのでございまして、赤木さんの御懸念の点、即ち砂防專門家の将来の独立性であるとか、或いはその昇進途等につきましては、将来のことに関しましては御懸念は要らないものと私共は信じておる次第でございます。  次に今回の試験の結果作成されまするところの任用候補者名簿は、二年間は有効であると一応は規定されておるのでございまするけれども、人事院といたしましてはこの任用候補者名簿によりまして一応の任用が終りますれば、成るべく早く、できるだけ速かにこの名簿を失効させるつもりでおりまするから、いつまでも砂防專門家が今回の試験成績に拘束されまして、将来の昇進を塞がれるというような御懸念もないように考えておる次第でございます。  さてその次の問題は赤木さんからいろいろと御教示を賜りましたにも拘わらず相変らず土木の一部門として砂防というものが隸属をしておるのは何故かというお尋のように存じました。これは誠に申訳のない次第でございまするけれども、これは現在砂防課と申しまするものが河川局に属しておりまして、そうして且つ現在その地位におりまする人々の生い立ち、或いは河川局長への昇進等考えますると、今回の試験に限りましては只今分類をとるの止むなきに至つた次第でございまして、これは決して砂防関係を軽視した、こういう意味は持ちませんでございますから、どうぞ悪しからず御了承を願いたいと存じます。
  5. 赤木正雄

    赤木正雄君 総裁の御答弁によりますと、将来砂防課長河川局長になる、或いはそういう途も考えて、いわゆる土木の者を採用したようにも聞えますが、併し又、現在の砂防課長土木出であるからそれでいいというふうにも聞えますが、これは端的に申しますならば、果して現課長が立派に砂防技術の職責を全くしているかどうか、これは全くしているということは私は断言できない、何故ならば一々全国の設計をお示しになれば、どこは欠点があるということを私ははつきり申上げます。そういう観点がありますから、正しい途にこの試験を施行されるように私は望んだのでありますが、これはもう過ぎたことでありますから、今更何ともしようがありません。とにかく一つ仕事專門に行こうという者の前途を挫くようなこと、それは絶対に避けて欲しいということと、もう一つは、如何にも広義に解釈をせられるようでありますが、実はその意味で、砂防の途はむしろ段々狭い方に向つて行きつつあると思うのでありますから、これも余程今後試験される場合にはお考え願いたい。もう一つは、大学を卒業した者に見ますと、それが先程申したように、農林省にも砂防課があります。建設省にも砂防課があります。農林省では、これは一般の現業をしていますからして容易に試験に及第する。ところが建設省では、これは全部落第してしまつた。これは土木として試験されるから落第してしまう、そこに非常に矛盾がある、同じ砂防でも農林省で及第して建設省で落第する、そういう矛盾を何故予めよくはつきりとして試験制度のときに、これを確かな線にお用いにならなかつたか、これを知りたい、これはむしろ大学卒業生の場合です。
  6. 淺井清

    政府委員淺井清君) 重ねて御質疑を頂いて、誠に恐縮に存ずるのでございまするが、赤木さんはこの砂防專門家の将来の発展のために、例えば建設省砂防課長が如何にあるべきかという観点を主としての御立論のように存じておりまするが、今回の試験は、この職種を分けますのに現在ありのままの姿でこれを分けましたために、土木の中に入れるの止むなきに至つた、現在の在職者のためを先ず考えた次第でございまして、最前申しまする通り、これは今回の試験成績は、今回限りのもの、且つ成るべく早く任用候補者名簿は効力を失わせたいのでございまするから、最前も申しましたように、将来の土木專門家独立並びに発達ということにつきましては、どうぞ御懸念のないように、十分赤木さんの御意見等も考慮して善処いたす覚悟でおります。
  7. 赤木正雄

    赤木正雄君 今度は私見としてもう一つ、これは希望と申しますか、御意見を承わりたい。人事院は各官庁とは全然変つております。併し各官庁人事を或る程度まで左右されていますから、言い換えるならば各官庁の先ず範をお示しになるのが当然と私は考えております。その意味で現在人事院に参りまして、まだあれでも不自由かも知りませんが、とにかく相当各管庁に比べますと、立派に設備ができているように思います。これに反して、建設省の姿はどうか、段々人事院に追いやられてしまつて、今は三階に蟄居している。(笑声)廊下の上が全部机、本棚、整理台一つもあの本省に持つていることはできない。この有様と、人事院のあの明朗と申しますか、誠に立派な姿を見ると、同じ役所でありながら、殊に各省の範たるべき人事院が、何故あれ程建設省の困つている姿を見て、放置しておられるか、非常に疑いを持ちます。人事院各省能率をお考えになるならば、同じあの三階に誰かを派遣させたならば、これで能率的に仕事ができるか、府県から参りますと、廊下に殆んど立つていて、中にも入れない、こういう有様でありますが、人事院は、尚人事院の狭い観点から隘路を多くされて、一層建設省隘路を尚広くされるものか、これに対するお考え、同じ人事院ビルにおりながら、あの困つている建設省について、人事院はどういうようにお考えになつているか、これを伺いたい。
  8. 淺井清

    政府委員淺井清君) 誠にそのお尋ねを頂いて恐縮しておる次第でございまするが、人事院といたしましては、将来の日本官庁一つモデルとしまして、あのような設備をやることができた次第でございます。現在の官庁設備の惡いということは十分認めておりまして、人事院といたしましては、おの建物管理者といたしまして、廊下執務等につきまして、できるだけそれがないように、公平にスペースを割当てるように及ばずながら努力して来たつもりでございます。併しながらこれはもつと大きな根本的な解決をして頂かなくちやならん、つまり官庁建物に対する予算の問題に帰するように存じておりまするので、これは予算委員会等におきまして、十分御盡力を願いたいと存じます。
  9. 赤木正雄

    赤木正雄君 人事院総裁のお考え間違つてる。同じように困つてるならば人事院ももう少し困つて……建設省を本当に困らして、廊下に本を置くより外ない、誰も入ることができない、ああいう状態にさして置きながら、人事院は相当のスペースをお持ちになつておる。同じ日本役所でありながら、人事院だけが立派なことは知つております。成る程これは各官庁モデルになさろうというお気持は分つております。併し自分ばかりが非常に綺麗にして、外の官庁は困つてもいい、こういうモデル官庁はなかろうと思います。何故ああいう困つた有様をこのままにして放置させるか、併し本当に人事が公平に行われて能率をお考えになるならば、あのままで人事院がひとり立派であるということは、この日本状態において、私は非常に不公平と思います。むしろ同じ困るならば平等に困る、建設省も困り、人事院も困る。それでこそ各官庁はともに手を携さえて能率的に仕事ができるのであります。人事院は楽だが建設省は足の踏み場がない。こういうやり方では、私は今の総裁考え方は間違つていると思う。これに対する総裁のお考えは如何ですか。
  10. 淺井清

    政府委員淺井清君) 非常に恐縮なお尋ねでございまするけれども、人事院といたしましては、別に建設省を困らしてまでのさばつていいということの考えはございません。私ここに資料を持合せないのでございまするが、職員一人当りの割当坪は、現在におきましては余り違いがないのじやないかと思つております。ただ赤木さん御指摘の建設省は、非常に沢山の書類地図等を持つておりまするために、只今のような状態ができ、建設省が困つておるということは十分私共は了承いたしとおります。
  11. 赤木正雄

    赤木正雄君 これ以上質問しても結局水掛論か知れませんが、この予算委員の方が一度人事院建設省御覧になれば私の申すことが正しいか、今の総裁のお考えが正しいか一目して分ります。どうか人事院総裁がこの点を今後明らかにしてどの役所においてもよい仕事ができ得るように、成る程建設省には書類がありまするからして本箱もあります、机もあります。併しそのスペースにおきましても、これが人事院建設省と同じスペースかどうかはこれは一目して分ります。私はこれ以上質問しませんが、この点を特に今後お考え願いたい。
  12. 山田佐一

    委員長山田佐一君) それでは人事院総裁に対する質問はこの辺で打切ります。  次には農林大臣に対する質問を許可いたします。堀越儀郎君。
  13. 堀越儀郎

    堀越儀郎君 私は農林大臣に次の二点についてお伺いしたいと思います。  その一つは、前国会補正予算において薪炭需給調節特別会計に対して一般会計から五十四億七千万円というものが繰入れられて赤字補填をしたのであります。そのときには心ある者は殆んどそれに対する反対の意見を持つておられたようであります。私自身もこれは非常に重要なる問題であつて、このような繰入れをすべきでない。又そういう法案も出すべきでないという考えを持つていたのでありますが、薪炭証券の期限が来ておるものもあり、これを支拂わないというのは政府の信用を失墜するという問題が起つて来ておりますので、生産者に対して支拂をしなければ、生産者は非常に窮境に陷るというその事実から止むなく認めるようにしたのでありまするが、その当時その赤字の問題に対しては新聞でも非常にやかましく報道されたのでありますが、單なる赤字でなしに不正なる事実が非常に含んでおる。政治問題さえもこれは起るということを報道されたのでありまするが、併しながら先程申したように二つ観点から止むなくこれは通さなければ仕方あるまいという考えに達したのであります。その当時この予算委員会においても、或いは案の審議に当つた大蔵委員会においても、農林大臣政府としては卸業者に対して二十九億六千万円という取立て得べき債権があるのだから、今赤字補填して貰つても必ずその債権を取立てて繰入れることができる。これは容易なことではないけれども政府として、又責任者として大いに努力をして必ずその債権は取立てて補填をするということを言明しておられるのであります。これは農林大臣大蔵委員会なり、予算委員会速記録御覧になれば分るのであります。たびたび繰返して言明しておられるのでありますが、喉元過ぎれば熱さを忘るるというような譬のように、その後どういうような処置をされたか。苦しいときにはそういうふうな言明をされて、後そのままに放任しておられるようなことはないか。その赤字補填に対しては国民が非常に疑惑の目を以て見てしたことと思いますので、この点をはつきりさしてその後の経過を承わりたいと思います。
  14. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) お答えいたします。前国会薪炭赤字に対しまして経理の見通しといたしまして五十四億七千万円を借入れまして、そして取敢えず生産者に対する債務を弁償したのであります。由来鋭意卸業者その他の政府債権の取立てに努力して参りました。決してそのまま喉元過ぎれば熱さを忘れるというようなことは考えておりません。政府責任においてできるだけ早くこれを完了いたしたいと鋭意やつて参つたのであります。併しながら何分長い間のこげつきの債権でありますので、尚十分にこの年度内に完結するのは余程困難と考えておるわけでありますが、本年二月末の貸借対照表におきまして收入未済のものが十八億五千二百余万円あります。その他、薪炭の手持も九千五百万円、その他建物工作物機械器具等が含んでおります。証券の方は九億万円残つております。併し三月末におきましてこの特別会計は廃止になるのでありますが、この三月三十一日にどういうふうな情況に置かれるかと予想いたしますと、未收入のものが尚十五億五千五百万円と予想されるのであります。これは毎月極力回收に努めておりますが、漸次一日平均收入が下つて参つております。十二月におきまして一日平均千七百余万円、一月に千四百万円、二月に千二百八十万円程度この債権の取立をいたしておるのでありますが、この月末におきまして收入未済のものは一億六千五百余万円、今申しました薪炭証券が九億万円、これだけが残つておりますので、差引き本年度のこの貸借対照表によりますと五億一千六百万円というものが、五十四億七千万円のうちに返し得ると、こういうことになるのであります。併し三月三十一日までに今申しました未收入の全部の回收が完了いたしません場合におきましては、一時九億万円という証券特別会計で繰入れておりますものを一般会計証券として繰入れなければならない。こういう状態にありますので、やがてこれは特別会計を廃止いたしますと同時に御審議をお願いすることになつておるのでありますが、極力この回收に努めておるのであります。今申上げました未收入の分につきましては卸業者に対して十四億八千九百余万円、集荷業者に対して一億五千六百万円、日通に七千万円、その他海運業者閉鎖機関等にあるわけでありますが、これも極力回收に努力しておるわけであります。
  15. 堀越儀郎

    堀越儀郎君 只今の御説明では十分納得できないのでありますが、併し放任しておらないということだけは分りますが、この公団が、特別会計が廃止されて更に一般会計に移るようにお聞きいたしましたが、非常に、金額の問題よりもこれは国民疑惑を持つて見ている事柄でありますので、今後十分誠意を持つてこの整理に当られて国民疑惑を解くように努力されんことを希望するのであります。それからもう一つ農林大臣に伺つて置きたいことは、この薪炭需給調節特別会計の問題も刑事問題さえ起るような非常に乱脈を極めた経理振りであつたのであります。ところがこれだけでなしに公団に対する疑惑が巷間非常に集つているのであります。最近も新聞紙上にやかましく言われていることでありますが、公団経営乱脈を極めている、而も経済査察庁の方ではこれを隱蔽しているというようなことさえも報道されて、ますます公団に対するこの経営放漫振りが、而もこの中には單に放漫という言葉では許されない不正さえも含んでいるということが一般国民に知らされているようであります。而もその事実を明るみに出さないで隱蔽をしているというようなことさえも報ぜられている。これは政府機関に対するところの非常なる不信であり、延いては内閣不信になることでありまするが、農林省関係としても肥料公団なり油糧公団或いは食料品配給公団などの幾多の関係公団があるわけでありまするが、そういうふうな国民疑惑を招くような放漫な乱脈を極めた経営ということに対する責任ある当事者の御答弁を承わりたいと思うのであります。
  16. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) お答えいたします。私の方の関係いたしておりますのは五つの公団がありますが、いろいろ公団について新聞等にも記載がありますので経済査察庁におきましても專門的にその調査をいたしておるのであります。又農林省といたしましても監督の立場といたしまして審査会を開き、又こちらが直接に調査をいたしておるのでありますが、新聞に記載されてあるような、今のお話のような乱脈というようなことには考えておりませんのであります。ただ経理の面においていろいろ疑義を生ずるような場合がないとは申上げられんのでありまして、肥料公団のごときは一時その経理やり方におきましていろいろ問題を起しましたが、これは決して不正な処置ではなかつた、ただ不当な経理をいたしておつたというわけであります。殊に肥料公団のごときは赤字を出さず黒字を出して経営をいたしておるのであります。又食糧公団につきましても何分大きな会計でありますので、殊に細心な注意を拂つて不正なことのないようにいたしておりますので、食糧公団におきましてもさようなことはないと存じております。ただ今廃止せんといたしておりまするところの油糧公団であるとか、或いは飼料公団等におきまして処理、処置方において相当の疑惑を持つような点があつた場合も見受けられますので、その点に対しましては極力その内容調査いたしまして、そうして国民疑惑に対して鮮明にさせたいと経済査察庁におきまして相当な注意を拂つておるのでありますが、今お話のような乱脈であるというようなことは決してないのでありますから、その点は御了承をお願いいたしたいと思うのであります。
  17. 堀越儀郎

    堀越儀郎君 今の大臣の答弁では乱脈であるとまでは思えないという御答弁でありまするが、これは聞き方によつてはその経営乱脈であるとも見られる、或いは経理が放漫であるとも見られるのではないか、これは更に時日の推移を待つことといたしまして十分なる監督の下に国民疑惑を招かないような経営にされるように、特に切望しまして私のこれに対する質問は打切ります。
  18. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 農林大臣に簡單にお尋ねいたしたいのでありますが、先ずこの二十五年度予算の編成の基礎になりました米価のパリテイ、これは大体パリテイ指数ですね、昨年十月ですかが百五十四、本年三月百六十四、本年十月頃百六十八、こういうような指数の下に、予算編成のまあ基礎にしておる。これは大蔵省の説明でありますが、農林大臣はこのパリテイ指数について決める場合に、これを以て正しいとお考えになつておるのですか、どうですか。
  19. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) お答えいたします。農林省がパリテイ指数を求めて決定するときにおきましては、それは米価の決定の場合であります。大蔵大臣が説明いたしましたのは、食糧管理特別会計予算を編成するに当つては、どういう点に米価というものを置いたらよいかということから、その当時の指数、今後の諸物価の変動等を考えて、予算編成の技術の上から一応左様な指数を出して米価を決めて、予算を編成いたしたのであります。従つてその数字が二十五年度産米の基礎になるわけではないのでありまして、これはその十月の時期におきまして、パリテイ指数の内容を検討いたしまして、そうして新らしくそのときの価格を決める、こういうことを考えておる次第であります。ただ大蔵大臣の申しましたのは、この予算の編成におきましての基礎を決める上において将来の見通しとして、一応そういう指数を出したという、こういうわけであります。
  20. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 それは分りましたが、併しこのパリテイ指数は予算編成の基礎ではありますが、とにかく上つて行くという指数になつておる。従つて本年産米の米価を決定するときのパリテイ指数を改めて決めるといたしましても、やはり予算の基礎になつておる指数は上つて行く。即ち農村で購入する生活必需品が上つて行く、こういう見通しに立つておるわけなんですね。ですからそうであるとすれば、現実に十月になつて米価を決定するときに幾らになるか知りませんが、とにかく米価を又引上げる、引上げなければならないのではないか、そういうふうに考えられるのですが、その点について……。
  21. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) 予算の編成の上におきましては、一応今お答えいたしましたような標準によつて二十五暦年度においては消費者価格を上げない、こういう建前で一応価格を予算の編成上作つて、食糧管理特別会計を作る。生産者の価格はこの八月から肥料等も上りますから、これは勿論上ります。この一月乃至三月に上りましたものはバツク・ペイとして生産者にお返しすることにいたしております。消費者の価格は十二月までは動かない、こういう考え予算が編成されております。
  22. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 バツク・ペイという形かどうかそれはいろいろ前にも問題になつたことがありますが、意味は分りました。ついでにお伺いしたいのは、この二十五年度予算を実行する結果として農村に非常にいろいろな影響が皺寄せして行くことになつておると思うんです。この点について特にこの農業政策を担当しておられる農林大臣の、農業政策の立場からの御意見をお聞きしたいのですが、例えば御承知のように、今度は肥料に対する価格差補給金、これを全部止めて肥料が非常に値上りして行くわけであります。それで大蔵当局の説明でも二月には二割上る、それから三月には、又一割五分上る、八月には又七割五分も上る。この肥料の価格が非常にまあ上がつて行くわけですが、併しこの点から価格差補給金を削減する結果として、肥料価格の値上りという形でそれが農村に非常にまあ大きな影響を及ぼして行くんです。これは二十五年度予算の実行の結果として非常に大きな影響が来ると思います。そればかりでなく、更に税のことについてもあとでお伺いいたしますが、具体的にこの附加価値税でも、或いは固定資産税でも、その他税制改革の影響が農村には相当やつて来ると思うんです。それから一般的には給與を上げない、いわゆる低賃金の基礎として低米価を強行して行くということが言われておる。一体この二十五年度予算はこういう性格を持つておるのですが、この結果として農村に農林大臣はどういう影響を及ぼすお考えになるか。それから又二十五年度予算編成のときに当つて、農業政策を担当する農林大臣としてこの予算編成に対して農村に対する影響という面から、どういうような御発言をなされたか、どういうような立場を取られたか、この点お伺いいたしたいのです。
  23. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) 税制の問題については、いずれ大蔵大臣から詳しく内容を御説明すると思いますが、シヤウプの勧告によりますと、今回国税が減つて地方税が殖える。又地方税制についてもいろいろ先方との交渉で決定はいたしておらないのでありますが、シヤウプ勧告のあれを基礎として考えまして、中央で減らし地方で殖えるということになりましても、確か農村に対する軽減が二・七%でありましたかの減税になるということが考えられたのであります。私といたしましては、できるだけ農村に対する負担の軽減ということは勿論要望いたさなければならんし、又さように努力をいたして参つたわけでありますが、税制の改正がシヤウプ勧告によりまして根本的に改正されるのでありますので、その線に沿いましてもできるだけ農村の負担の軽減に努力をいたして参つたわけであります。この皺寄せが農村に来るというお話でありますが、一月に一・五%上り、三月に更に二%上るという肥料の値上りに対しましては、先程申しましたが、これは生産者に返すことになるわけであります。七月以後あの肥料が七〇%以上上るということに対しましては、消費者の側には影響がありませんが、生産者には二十五年度の米の価格がそれだけ高くなる、こういうことになるわけであります。それで農村の今日の状況は、ひとり農村だけではありませんけれども非常に金が詰つておりまして非常に困つておるのでありますが、併しこの金詰りに対しましては、農林中央金庫を通じましてできるだけ低利長期の資金を融資いたしたい、かように考えておるわけであります。  尚米価の問題につきましても、低米価ということを考えておるわけではありませんので、今日は米の価格というものは消費者と生産者とこの統制をいたしておる関係上、米を生産いたしますについて必要な物資の価格の上り下りによつて生産費を決めて行く、こういう建前でいわゆるパリテイ指数によつて出しておるのでありまして、あながち低米価ということを考えて米価を決めるという考えではないのでありますから、この点は御了承願いたいと存じます。
  24. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 私もその点は一応分るのでありますが、併しながら今まではいわゆるこの生産費主義と、それからパリテイとを考えて決められて来たと思うんですが、今後は政府の全体の経済政策としても、大体生産費主義は廃して統制は段々撤廃して行く。そうしますといわゆる需給関係、有効需要による価格形式ということになつて来ると思うんです。そこで食糧についてもそういうことは言えると思うのです。これは後でお伺いしたいんですが、大体食糧の需給計画を立てて、アメリカから沢山食糧が入つて来る。食糧が大分過剩になつて来てもやはり生産費主義、或いはパリテイ的な考えで米価を決めて行くかどうか、これは今直ぐの問題じやないのですが、今後将来の米価の決め方として問題になつて来ると思うんですけれども、やはり現在のような米価の決め方をずつと続けて行かれるかどうか、その点お伺いしたい。
  25. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) 農業パリテイによるか或いは普通のパリテイによるかという問題でありますが、現在は普通のパリテイ式によつておるわけであります。それは今申しましたような理由でありますが、将来におきましてはこれがどうなるか。今は外国の食糧が割高になつております。従つて関税は政府が米を、食糧を買入れておりまするから、関税は取らんことにいたしておるのでありますが、将来若しも本当の自由なる立場に立ちましたときに、外国の食糧が安く入つて来るというようなことがあつた場合に、日本の農産物が圧迫を受けるということは当然考えられるのでありまして、そういう場合におきましても政府が食糧の内外を問わずこれを管理いたしておりますると、よしんば安い米が入りましても日本の食糧の、農産物の価格を維持する政策もおのずから行われるのでありまして、従つて私は何年後になりますか、そういう場合になりましてもやはり農産物の価格は政府の管理制度によつて維持するということが必要であると、かように考えておるのであります。併し今具体的にどうということは申上げる時期ではないと思う。又最近今年の一月十五日でありましたか朝日新聞に、何らか政府がそういう管理政策を持つておるようなことが現われましたが、これは全然農林省としては考えておりません。ただ一人の者が、現在アメリカのやつておりまする食糧管理というものを、若し日本がやるとすればどういうふうな方法によるべきかという、一つの研究的な資料として考えておつたのが、洩れたと聞いておるのでありますが、これは農林省としても具体的にその研究を進めておるわけではないのであります。只今は御承知通りの食糧の状態でありますので、今将来の関税に対してどうする、こうするということをはつきり申上げることは差控えたいと存じますが、将来の農産物の価格を維持するということは、農村保護の政策から言いましても当然政府責任においてやるべきである、かように考えておるわけであります。
  26. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 只今この食糧政策の点について御答弁がございましたので、ついでにお伺いして置きたいのですが、この間この予算委員会でも公聽会を開きまして、農村関係の人から御意見を聽いたんですが、その意見によりますれば、大体今の政府の政策は食糧政策に重点が置いてあつて、農業経営というものは従的になつて来ておるというような感じが抱かれる。これまではいわゆる農業経営に重点を置かれていたけれども、最近ではアメリカからの食糧輸入が段々多くなつて来る。そこで特に又これもお伺いしたいのですが、日・英貿易協定ですが、あれによつてコンマーシヤル・アツカウントからも食糧を輸入しなければならないような情勢にあるようですが、この点も具体的にお伺いしたいのですが、そうなりますと日本の食糧需給計画からいつて不必要なほど食糧が入つて来てしまう。そうなると、日本の農業経営というものはそれで非常に脅かされるのであつて日本の農家経営というものを重点に置けば、只今農林大臣の言われたような食糧管理的な方法はやはり将来の問題としてでなく、もうすでに現在の問題としても、農村保護という立場から考える必要があるんじやないかと思うのです。この点現在、或いは今後において、農林大臣は農業政策という点に重点を置かれるか、食糧政策的な観点に重点を置かれるのか、農家経営を保持育成する方面に重点を置かれて行くのか。最近の情勢は逆になつておるように思われるのですが、この点についての御意見を伺いたい。
  27. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) 食糧政策と農業経営とは、私は不即不離な問題と考えておるのでありまして、決して食糧政策に重点を置いて農業経営を疎かにするということではないのでありまして、今日は何と申しましても、食糧の自給度を高めて一日も早く独立いたしたい、これが私の念願であります。然らばこの食糧の自給度を高めて行くことによつて、この政府の政策を農業者に協力して貰う上において、農業がうまく経営して行かれるように考えて行く。こういう考えから申しますと、食糧政策即農業政策でなければならん、かように考えるのであります。農業経営ができない、不可能であるのに、どうでもこうでも食糧を確保せなければならん、こういう無理をいたしてはならないのでありまして、飽くまでも農業経営が合理化されつつ、そうして日本の今の食糧問題を解決するように政策を持つて行くということでなければならんと思うのであります。ところが、農業者の諸君に日本の食糧事情と、世界の今日の食糧事情とをよく理解して頂くことが、今日の場合必要かと思うのであります。と申しますことは、世界が非常に今食糧が余つておるのであります。それで、この食糧を何とかして捌け口を求めようというのが、南方諸国でありましても、アメリカ大陸でありましても、その気持があるのであります。それでありますから、若し日本の自給度がどの程度ある、或いは七〇%しか日本は生産能力がない、或いは八〇%しかないということは、輸出せんとする諸国の非常に狙つておるところでありまして、若しも日本が、あれだけ鐘太鼓を鳴らして食糧増産をやつておるに拘わらず、尚日本の需要量の七〇%しかできないのだということを考えた場合において、この三〇%というものを輸入して行く、日本へ輸入を図るという態度に出て来られるのであります。それでありまするから、私共の気持はできるだけ日本は自給力がある、八〇%も九〇%もやるのだ、場合によつて日本で全然食糧は責任を持つて自給度を高めて行けば行けるのだから、諸外国から貰わなくてもいいのだというところまで推し進めて行くということに、農家の方の御協力を私は切に望んでおるのであります。でややもしますと、割当が高いとか、そんな供出はできないとか、或いは風が吹いた、或いは病虫害でとても食糧の供出ができないというようなことが表面化して参りますと、外国からの食糧が盛んに輸入をやられる、こういうことになりますので、切にこの点を十分理解して、了解して御協力を願いたいと思うのであります。而も日本が御承知のように災害等年々繰返すことでありますので、相当の予備的な数量を考えて行かなければならんと存じますが、今まで通りガリオアのみで参りませんので、南方からはこちらの輸出力によつて輸入するというバーター制になりますので、従つて予定いたしております数字が必ず入るか入らんかということが非常な問題でありますので、食糧を確保する上から申しましても、内外の事情をよく見極めまして、政策を持つて行きたいと考えておるのであります。ただ自給力を高めたいということのみ考えて、それに協力して貰う、農業の経営がいけない、不合理である、不釣合いであるというようなことがあつては大変でありますので、この日本の食糧事情に協力して貰う、その農業の経営が合理的に行くように政策を持つて行く、こういうようにいたしたいと思つておる次第であります。
  28. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 それはもうよく分つたんですが、それじや現実においては例えば「いも」ですね。甘藷四億貫、大体輸入食糧にして百万トンにまあ相当すると言われておりますが、それじや「いも」の統制を、仮に配給から除くということになればそれだけ……いや、配給から除かないということにすればそれだけ、百万トンだけ輸入を節約できる。そういう努力をしていないじやないかという点と、それから三百四十万トン若しかエード・フアンドで入るとすれば、これはもう相当多い数字だと思う。その外にコンマーシヤル・アツカウントから日英協定によつて入るとなると、ますます多くなつてしまうのでないか。農林大臣の言われる成るべく自給度を高めるという趣旨と少し反するのでないかと思うのですが、コンマーシヤル・アツカウントからどのくらい入ることになつておるんですか。
  29. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) 「いも」の問題は前の国会でもよく問題とされまして、お答えいたしたのでありますが、当初日本の食糧事情がよくなつたから「いも」は主要食糧から省いてもいいじやないかというような関係方面注意があつたのでありますが、私は日本の農業経営の上から是非とも、「いも」というものをそういうような立場に置くことが全体的の経営の上において面白くない。今日まで進んで参りました「いも」類は是非生産を続けて貰つて、工業原料としての利用の道を考えて行くことが必要であり、又主要食糧の一部においてもこれを取入れたいという考で、漸くその実現を見まして、僅かでありますが、馬鈴薯、甘藷合して四億貫を二十五年度の食糧の中に加えることになつたわけであります。本米穀年度の目下予定いたしておりますのは、ガリオアの方でアメリカより五十万トン、濠洲の小麦が三十万トン、アルゼンチン三十万トン、カナダが十万トン、その他大麦が二十万トン、これが百四十万トンと考えますが、その外にコンマーシヤルの方におきまして、米国から七十万トン、濠洲から三十五万トン、アルゼンチンから四十万トン、カナダから十五万トン、イラクからは大麦が三十万トン予想されているのであります。併しこの後のコンマーシヤルの方は、果してこれだけ入るか、輸入力がありますかどうかということは今後の問題でありますが、一応こういう数字を予定しておるのであります。
  30. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 ちよつと、三百四十万ドンというのはコンマーシヤル・アツカウントをも含めてでございますか。
  31. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) そうです。
  32. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 次にお伺いしたいのは、先程農林大臣は、税制の農村に対する影響については、シヤウプ勧告に基いて行われるのであつて、農林当局としてはいろいろ農村保護のために努力はしたけれども、やはりシヤウプ勧告に基いて行われるんだから、その通り行かなかつたというようなお話がありましたが、一体農林当局として、日本の農業政策という立場から、今度の税制改革というものをどういうようにお考えなつたか、これは私は疑問だと思います。今度出て参りました税制改革は、農村方面に対して非常に大きな影響があるのでありまして、昨日も大蔵委員会におきまして、農村方面の研究家にいろいろ今度の税制改革の農村に及ぼす影響について意見を聽きましたが、今度の税制改革には、従来農村として、こういうふうに税制を変えて呉れという、そういう要望があつた、その要望は殆んど採入れられていないようなんです。例えば農業所得を勤労所得とみなすとか、或いは必要経費の計算とか、或いは更に農産物の收入の計算ですね。例えば米がとれたときに、收穫があつたときにそれを收入と見ているとか、これを実際にはもつと延ばして、それを供出したときとか、或いは食糧を自分で消費したときに初めて所得になる。こういう点については直すべきである。これまでそういう意見は沢山あつたわけです。そういう税制に対する農村の要望が、殆んど今度の税制改革には反映されていないんです。実際問題として……。そこで農林当局はこれに対してどういうふうに努力されたのか、先程努力されたと言いましたけれども一つも反映されていない。ただ大蔵省がシヤウプ勧告に基いて税制改革をやるからただはたで見ていた、傍観しておつたというふうにしか我々は見ないのでありますが、この税制改革について具体的に、いわゆる農業政策の立場から……。それから先程農林大臣が言われました日本の食糧の自給度を高める。そういう観点から農業政策を推進させ、そうして日本の農村の生産力を維持し育成して行く。こういう観点からどれだけ今度の税制改革について農林当局として御努力したのか、この点についてお伺いしたい。
  33. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) 結論は先程申した通りでありますが、今日の税制改革につきましては、シヤウプ使節が日本に参りますと、直ちに農林省におきましては、今日の農民の負担の過重であること、又どういうふうな税金を出しておる、どういうふうに收支のバランスをしておるかという詳細なものを作りまして、そうしてシヤウプ一行にこれを示しました。そうしてシヤウプ氏自身も又農村のすみずみ、漁村のすみずみを調査をいたしまして、そうしてこちらの主張の正しいところは採入れ、そうして勧告を政府にいたしたのであります。決して傍観して、ただシヤウプ氏が言つたからそのままをというのでなしに、シヤウプ氏が勧告するまでに対しまして、農林省といたしましては相当材料を提供いたしまして、そうして日本の農業の実態を把握せしめるような努力を続けて来たわけであります。仮に今の農村については、いろいろの課税に対する議論もあると存じますが、收入のあるところに税があるという、この原則から申しまして、今日まで農村が所得税を出す上におきまして、甚だ自分の納得の行かん課税標準を示されているということは、非常に各地に不平がありますので、私は收入を隠して税を出すというような考えであつてはならない。あるものはある。そうして納得する課税を受けることは、これはいずれの階級といたしましても国民の義務でありますので、昨年来農業改良局におきましては相当の数の農家を指定いたしまして、そうして農村の実態を調査いたしました。そうしてどういうふうな收支計算になつているかということは、自分経営はつきり認める上におきまして、経営を将来合理的に改善する上においても必要でありますので、そういう調査もいたしまして、そうして本当の姿で納税の義務を果すというふうに指導すべきである。かように考えて、そういう調査もいたしているわけであります。決してそれをそのまま税務署の資料に提供するわけでありませんが、今までの更正決定を受けた場合において、これを反撥する何ものも持つておらなかつたのであります。従つて無理な更正決定を受けても、それに対して何を材料として反対するかということであつたのでありますので、できるだけそういう場合におきましては、自分の農業経営はこうである、だからそういう税務署の不当な更正決定には服従すべきものではないということを、強く主張するだけの農業経営を私は行なつて行くべきである、かように考えているのであります。税制の改正問題につきましては、それを政府に勧告するまでの段階におきまして、農林省としては極力シヤウプ氏に対しても、日本の農業の内容を知悉せしめまして、そうして適当な税をかけるということに私は努力をして参つたわけであります。
  34. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 私は農林大臣或いは農林当局が、シヤウプさんが税制改革を行う場合に、日本農村の実態についてこれを知悉せしめるために努力された、そういう努力をしたということは了承いたしますが、併しその努力の内容がちつとも今度の税制改革に反映されていない。私はこれは農業ばかりでないと思うのです。税制全般について一番重要な点は、二十五年度の国民所得、これを税制改革の基礎にしているのですが、先ずこの算定自体が問題であつて、シヤウプさんに出すところの資料が非常に杜撰であつたと思う。殊に農業方面においてのシヤウプさんに対する資料は、私は非常に偏していたのじやないか、公正な農村の本当の実態を表わすような資料を提出していなかつたのじやないか。そうでなければ、例えば今度の税制改革において、所得税にも十万円以下については軽減される。それから又五十万円以上も軽くなつているのですが、十万円と五十万円の間、この間の税率が、十万以下と五十万以下との中間の人の方が軽減率が少い。ところが農村の收入はこの間に大体入る。そういうふうに見ている。十万円から五十万円以内、大体十万以上、これは專門家のそういう意見でもあるのですが、こういう点とか、或いは又農村の収入が貨幣化しない部分、実物的の收入もあるのでありますが、そういうものの收入が貨幣收入と一緒になつて所得として計算される。従つてそういう税が取られると税金としては非常に困る。そのために農村は非常に現金的に窮地に陷つて行く、こういうような点もある。こういうようなこともシヤウプさんの税制勧告を精読する場合よく反映されていないのです。農村ばかりじやありません、外についてもそうでありますが、特に農村においてはこれまで我々地方に行く度、又国会においても税制改革については沢山に陳情、要望があるのです。それが税制改革についてちつとも反映されていないということは、一応努力されたけれども、その努力内容が私は不十分であつたのではないか。この点農林大臣は確信を持つて正しい資料を提出されたか。そういうふうにお考えになるかどうか。
  35. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) お答えいたします。結果からかような御批判も受ける点もあると思いますが、農林省といたしましては、幾度か省内においての協議も進め、又專門的な立場よりの意見等も参酌いたしまして、その当時におきましてはその方針によつて農村に課税すべきものであるという意味においての材料を提供いたしたのであります。ただシヤウプ氏の課税に対する方針がその通りに行なつておりませんが、当時我々の不合理であり、又甚だ困るという点は十分主張いたしまして最善を盡したのであります、それだけは一つ結果から見ていろいろ御批判もあると思いますが、努力はいたしたことを御了承願いたいと思います。
  36. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 これは農林大臣もよく御承知通り、シヤウプ税制勧告案に基く今回の税制勧告は画期的なものであり、而も恒久的なものになる。そこで非常に問題になると思う。恒久的な税制となりますと、今度の税制改革によつていわゆる農業政策、日本の農村の農家経営と育成にとつて不合理の点が現にあるのですが、それは若しもこれが恒久的な税制となつた場合、これを農林大臣が現在の税制改革で満足すべきものであると、そういうふうにお考えなつたらばこれは私は今後の農業生産の相当支障があると思うのですが、若し満足せないとすれば今度又これを或る機会に改正を要望し、改正に努力しなければならないと思います。今回の税制改革は、政府が今提出されておる税制改革、これは所得税ばかりでなく地方税においても、附加価値税、固定資産税その他を引括めて農林大臣は満足すべき、農村に対して、今後の農業経営に対して、又今後の農業政策にとつて満足すべき税制改革である。そういうふうにお考えであるかどうか。
  37. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) お答えいたします。当初考えておりました立場から今回の税制は必ずしも満足すべきものとは思つておりません。現に地方税の問題につきましても尚且つ讓り得ないような事態もありまするので、未だ根本的な確定はできておらないのでありますが、併し今日それをどうしても受入れらけないというような事情もありますので、非常に政府といたしましても迷惑をいたしておるのでありまするが、この税制に対しましては尚将来においてこれを改正するという必要は私は迫つて来ると存ずるのであります。何もこれは農業者だけではありません。いろいろの商工業者に対してもそうでありますが、一応そういうシヤウプ勧告案によつて考えましても、必ずしもこれは理想的でない。又これは当然修正すべきものは修正をして実際に合うようにして行かなければならんと存じますが、一応この場合におきましてはいろいろの関係からシヤウプ勧告に対してこの税制を御承認を願わざるを得ない。かように考えておるわけであります。
  38. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 これは農林大臣にお伺いしていいかどうか分りませんが、農村関係に非常に大きな影響がございますので、地方税制の改革で附加価値税、固定資産税これはまだはつきり解決が付いておらないですか。
  39. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) 一刻を争つて決定をみたいと存じておるのでありますが、まだ今日結論に達しておらないのであります。
  40. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 最後に一つだけお伺いいたしますが、小麦協定参加の問題がありましたが、これはその後どうなつておりますか、又小麦協定に参加した場合、食料品の価格が安くなると思いますが、それによつてどのくらいの予算が節約されますか。
  41. 安孫子藤吉

    政府委員(安孫子藤吉君) 小麦協定参加の問題は昨年十二月ロンドンにおきまして一応論議され、その際に日本がああいう国際協定に参加する資格ありや否やということについていろいろ議論がございましたが、結局結論を得ずに本年度に持越されたわけであります。その後ワシントンにおいて再びこの問題が議論されておるのでありますが、まだ最終的に結論に到達しておりません。先般の新聞にもちよつて出ておつたと思いますが、漸次加入さしてもいいじやないかという空気が非常に濃厚になつておるように私共聞いております。まだ加入するという段階に参つておりません。  それから加入した場合、御承知のように四ケ年間漸次価格が下つて来るということになります。本年度の補給金の算定に当りましては、参加しない価格で計算しておるわけであります。参加するということになりますればその間多少の開きは出て来ると存じます。
  42. 岩男仁藏

    ○岩男仁藏君 私今ちよつとここで要項を書いたのですが、前の行掛りがありますから森さんにお伺いしたいのですが、新らしい農業政策についてはこの前のときにもお話を伺い、又私らもいろいろ質問したのでありますが、どうも何だか農村方面では森農政の貧困と言つておりますが、これは悲しい言葉だと私は思つております。それから通産関係においても前の大臣に対して非常に非難があつたのであります。併し政策の貧困を私はひとり農林関係で森さんだけに、こういう罪を掛けさせたくないと思います。これは自由党の現内閣が大体農民について認識が足りないために政策が貧困になつておると、私はそう考えておる。前の補正予算を出された第六国会の時分にも、私森農林大臣にお伺いしたのでありますが、又当時森農林大臣もこれから有効適切な新らしい農業政策を立てて、そしてこれを実行に移す。これは農林大臣だけではない。総理の施政方針演説にもちやんと書いてある。今度の第七国会においてもやはりそういうことを書いておる。が一向効果が現われない。効果の現われんのは当り前なんで、一向政策が樹立されていない。実施されないから効果が現われない。一体この農村恐慌ということは、目前に迫つて農民は非常に苦しみ嘆いているのでありますが、いつ大体新らしいこれに対するところの根本的の農村対策、施策をおとりになるつもりか、第一それをお伺いしたい。
  43. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) 農業政策の貧困だという御批判でありますが、これは御解釈によつて如何ようとも御批判を受けたいと思いますが、政府といたしましては、農業政策は着々実行に移しております。この農業政策というものは、新らしくできた問題ではないのでありまして、長い間漸次この農業の経営を合理化しに行く、いわゆる日本の農業の経営が一日も早く合理的に進んで、農家がその経営に喜び楽しみ生くという方針に政策を持つて行くということは当然であります。併しながら御承知通り二十一年以来歳々繰込しました天災等がありまして、この復旧に日を要しておることは御承知通りであります。先ず第一に農地の復旧をいたします。そうしてこの災害に処してできるだけ災害の程度を少くする。いわゆる耕地耕作の安全性を保つという意味から、恒久的、或いは緊急問題もありましようが、治山治水に手をつけまして、そうしてこの耕作の安全性を維持するということが、間接に行なつておる政策であります。又土地改良等につきましても、この土地を改良いたしまして、そうして増産を図るということは、御承知通り年々この政策を継続いたしておるわけであります。この外に又耕種の点につきましては、耕種技術の改良、又品種の改良等につきまして、それぞれの機関を通じて改善の歩を進めておるわけであります。又経済面におきましては、先ず最も心配なことは、今日の農村の金融の逼迫であります。従つてどうしてこの金融を持つて行くかということが経済的に考えて重大な問題でありますので、これはひとえに今回成立いたしました農業協同組合の鞏固なる発達によりまして、そうしてこの農業協同組合の協同する力というものによつて農業を基本的に考えて行く、そうしてこれに金融を図つて行く、農林中央金庫も今回内容を強化いたしまして、少くも百六十億円程度の枠によつて金融の途を考えて行きたい、かように考えておるわけであります。尚生活面におきましては、今日の農村の農産物の価格を維持いたしまして、そうして経営の維持を図つて行きたい、かようにあらゆる角度からいたしておるのでありまして、決してただ徒らに眺めておるということはないと御承知を願いたいと存じます。
  44. 岩男仁藏

    ○岩男仁藏君 この農業政策については、本会議でも大臣はいろいろ御答弁されておりますが、農業政策審議会を作つて、そこでいろいろ調査所研の結果、これを具体的に政策の上で表わす、一体今の内閣は何もかも政府責任を、審議会を設置する、それによつて責任逃れをしたような感じを懐かしているのであります。そうしてその結果はどうか、盡く結果は現われておりません。徒らに荏苒日を過しているだけであります。農業政策審議会の審議状況をこの際ざつくばらんに説明をして一つ御発表願いたいのであります。
  45. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) 農業政策審議会というのは、これは各省設置法で作つておる審議会ではありません。農業政計の懇談会と申しますか、私が農業政策を樹立し、これを推進するために專門的な人の意見を聞くというのでありまして、決して私がこの審議会に責任を負わしておるというようなことは毛頭ないのであります。農林省設置法によりまして相当の審議会がありますが、これはその行政が民主的に行われるように国会の御承認を求め、そうして委員の選出によつてできたのが審議会であります。今御質問のありました農業政策審議会という、名前はどちらでもいいのでありますが、それは大体私の農業政策を樹立し、農業政策を推進する上についての專門的な意見を参考として聞くという程度のものと御承知を願いたいのであります。今日まで三回ばかり開きました。又全国の篤農家十数名も時々集めまして、私共全国にありますところの耕地の実態、又長い間経験されておる農業栽培の各般についての尊い体験も聞きました。そうしてこれを行政に中に採入れて行きたいという気持で、そういう篤農家の懇談会を開いておるわけであります。
  46. 岩男仁藏

    ○岩男仁藏君 さつきの御答弁の中にも農村金融の問題が出ましたから、こりは大きい問題だから一つお聞きしたいのであります。実は農村金融に関しては、私は泉山大蔵大臣当時から質問を連発いたしておるのであります。泉山さんは在職中、殊にこの予算委員会で、極く近いうちに善処するということを御答弁されて、ああいう結果になつておやめになつた。前の議会でも森農林大臣にお伺いしたところが、今御答弁通りの農林中央金庫の機構を拡充するとか、債券の発行限度をどうするとか、結局二十億円にして百六十億円にするというお話を聞いたのだが、この議会になつてそういう法案が出るかと思つてつてつたところがまだ一向出て来ない。これは実は差迫つた大きな問題なんです、非常に大きな問題なんですが、実際御答弁通り急にこれをやる意思があるのがどうか。一つこの辺のところを御消息をお洩らし願いたいと存じます。
  47. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) 決して架空なことを申しておるのではありません。農村に対しましては、協同組合を通じて農林中央金庫よりしか金融の途がないのであります。御承知通りであります。従つて今日までは四億円の出資でありますから、四十億しかその枠がないのであります。それがために今日の農村金融には間に合いませんために、今八億の出資を農林中央金庫の組織団体にこれを要求いたしております。多分これは実現するだろうと存じます。そうしますとこれが八億になります。そうして見返資金から政府責任において二十億円の出資はするのであります。そうすると二十八億になりますから、これの二十倍といたしますと、五百六十億の枠になるわけでありますが、中央農林金庫には預金が四百億あるのでありますから、この四百億を枠内から出しますと、百六十億という融通の枠ができて来るのであります。これは閣議でも通過いたしましたし、そうして今成文を急いでおるのであります。関係方面との関係もありますが、でぎるだけ早く御審議を願うということに努力を続けておるのであることを御承知願います。
  48. 岩男仁藏

    ○岩男仁藏君 今大臣のお話を聞きましてやや安心いたしましたが、どうぞ一つこの国会に間に合うように、急速に実現をするように重ねてお願いして置きます。  それからちよつと続いて金融についてでありますからお尋ねをいたしたい。これは小さいことでありますが。先般農地証券を農村金融の面に出すために償還をすると、これは非常にいい御計画であつたと思うのです。前の国会で十億円、今度の予算で四十二億五千万円で、五十何億となるわけですが、これは農村のためには一時的の金融に非常にそれは役立つと思つて喜んでおるのであります。ところがこの後実は農政研究会を開きまして、これは私の部屋に大蔵省当局に来て貰つていろいろと懇談をやつたのであります。これは誤りがあるかも知れませんが、その席で、これはもう一度やつたらどうかという意見を出したのでありますが、いや今のところでは、前の補正予算の時の十億です、その時三十億やると言えば、農林省の方ではそんな額は要らんと御遠慮なさつたという事実があるというが、そういう事実があるかどうかということをお聽きしたい。これは余計出したしまつた方がいいと思います。九十億なら九十億出してしまつたらいいと思いますが、そういう御遠慮なさることはどういうことですかちよつとお聽きしたいと思います。これははつきりお聽きしたい。
  49. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) 農林行政の上におきましては、あらゆる事業に資金の確保が必要であるのでありまして、決して大蔵省からこれだけやるというのを、いやそんなには要りませんなんということは、勿論これは全然ありませんから、さよう御承知を願います。
  50. 岩男仁藏

    ○岩男仁藏君 それで特に大臣に積極的に一つお働きかけを願いたいと思うのは、実は今年度の予算で千二百何十億というこの債務償還がある。これは我々は絶対反対であります。はつきり申上げますが、予算の最後のとこの討論では私は反対するつもりであります。この事を以て現在でも私は反対するものでありますが、ああいう金があるのに、而も一方にこういう農村金融が非常に円滑に行かん。而もこれが農地改革の結果です、もう内容を調べると涙のこぼれるような、可哀相な証券であります。それが九十億円というやつを僅か一部分をやつて、一方においては債務償還は、まあ資本家に御奉公か知りませんが、これは社会党、共産党のいう言葉で私はこんなことを余り言いたくありませんが、そういうようなことをおやりになると、これは農林大臣がこの方に余り御関心がないのではないか。将来これを全部一つ償還してしまうというあなたの意気込みがあるかどうか、一つ御所見を御発表願いたい。
  51. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) 農地債券の償還問題でありますが、これは昨年三十億だけを償還しようとしまして、一戸平均三千円という程度で一応案を作つたのでありまするが、そのときにあの会計法が、收入だけ予算がありまして、その支出の予算がなかつたのであります。そこでこれは一応閣議でもそういう了解を求めたのでありますが、実行できなかつた。で本年は少くとも大方はこれを償還いたしたいのであります。かように考えておるわけであります。
  52. 岩男仁藏

    ○岩男仁藏君 それからちよつと題を変えますが、やや大きいこの農業政策の一環でありまするが、さつき木村さんからのお話があつた税の問題で、私は木村さんの質問に対しては全面的に同じ意見でありますから繰返しません。ただ大臣はいつも農業協同組合の拡充強化、これは私も同感であります。ところがあの税の中で、附加価値税ですが、今のあの案から行くというと、農業協同組合は推計十億以上の附加価値税を取られそうであるのでありますが、これについてどういうふうにあなたはお考えになるか。これは私は拡充強化どころじやない、これで以て非常に協同組合は行き詰つてしまうと思うが、どういう御感想をお持ちであるか。
  53. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) 農業協同組合が、過去において特別な課税の恩典を受けておつたわけであります。然るに今回の地方税の原案といたしましては、法人に対しては同一の枠に嵌められておりますので、特殊の扱いをいたしておらないのであります。これにつきましては相当各協同組合団体からも切なる御要求もあり、農林大臣といたしましては何とかしてこれが幾らかでも軽減されるように努力いたしておるわけでありますが、まだ結論には達しないのでありますが、どうかして幾らかでも税率を下げたいということに努力は続けているわけであります。
  54. 岩男仁藏

    ○岩男仁藏君 それから低物価政策、これはいろいろの事情で結局ああいうように落付いたと思いますが、これとさつき木村さんからもお話があつたのでありますが、肥料の値段の問題です。これは硫安のごときも、恐らく七月、八月の当時は七割から八割上ると、これは農林省も発表しておられる通り、そういうふうに考えておるのでありますが、そういたしますと、現在でさえも化学肥料はどうも農民の方では買いたくないと、手控えしたいと、事実手控えをしております。値段も高いから、これが二割、三割、七割とこうなつて来ると、この声は農民にもうすでに耳に入つておりますから、恐らく私はこの春、夏作の肥料は非常に手控えをするだろうと、結局低米価とこれと関係がありますから、これを折角硫安の五ケ年計画で、これを予定以上に、二百万トンに近いところの硫安の製造もあるから、思い切つてこれを使わせるという意味から、価格調整費を削つたからして、肥料は上げんならんと、併し来る秋の二十五年度作の米は、それに順応して高く買うのだという、そういう気持で予め百姓に知らせて置く必要はないか。そうせんというと、又あの手か、又最後になつたら低米価政策、ということで手控えをする心配があると思いますが、これは生産を非常に阻害することになりまするが、何かそういうことについてお考えなつたことがありますか。
  55. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) 先程木村さんにもお答えいたしました通り、二十四年の産米の価格は、すでに決定いたしているのでありますが、この後半期の肥料の価格が七割上るということは、二十五年度産の米の価格がそれだけ上るわけであります。パリテイ指数において、肥料が何%かのものを持つておりますから、それに対しての値上りは加算されるわけでありますので、当然これは生産者の価格がそれだけ高くなるということで、これは償われるのであります。ただ肥料が非常に高くなつて参りましたので、勿論肥料購入手形の利用をいたしておりまするが、非常に高いという観念から、肥料を農家が利用することを差控えやしないかという点を恐れておるわけでありますが、肥料の値上りしただけは、消費者には余り関係がありませんが、生産者に対しましては、それだけの米価が高くなるということは当然な処置であり、又そういうふうなことを周知せしむることも私は必要と考えております。
  56. 岩男仁藏

    ○岩男仁藏君 次にお尋ねしたいことは、技術改良の普及員諸君は四ケ村に三人で、今年は予算が殖えておりますことは非常に結構なことと私は思つております。私は昔農業会長をやつておりました経験がありまして、技術員というものの力を私は非常に重く見ておる人物であります。これについては一つ将来一村一名……一名じや少ないのです。もつと殖やすような方法に一つ考え願いたい。これはまあ希望であります。現在の農業団体のあの指導振りを見ますと、戰時中に我々が農業会長をしておつたときに比べてみますと、隔世の感があるのです。正導面において……。協同組合そのものは気息奄々でいけない。だから技術員などは全然俸給が拂えんから置かない。漸く国の設置した技術員、僅かの技術員によつて接術指導をやつておる状態であります。だから技術指導の面から見れば、元の旧農業会時代の方がずつと徹底していたのであります。政府は余程そこに思いをいたされて、しつかりとこの面も拡充強化するように、この次の国会に御提案を願いたい。これは希望であります。最も私が遺憾に思う点は、増産の基でありますところの農民魂、まあ松田喜一君の言葉を以て言いますれば、農魂と言いますか、この農魂に非常に欠けておる。この点について予算面を見て何らその方の施設がないということを遺憾に私は思つておりますが、政府はどういうようにお考えになつておりますか。
  57. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) 技術員の問題は御希望がありましたが、只今は一出張所五ケ村平均に四人ということになつております。将来これを増加いたしまして、一町村一人という程度まで増加いたしたい考えを持つております。そこで問題は、指導連に技術員を置いている向きがあるのであります。協同組合もなかなか経営が困難でありますし、昔のように幾多の連合体を作ることはできませんので、指導連が技術員を抱えているということは経営の上から非常に困難されておると思うのであります。又実際面において、指導連の技術員と政府の置きます指導員との間に、意見の相違、摩擦等もないとも限られませんので、成るべくならばこれは指導連は、技術方面を国のやつておりまする普及員の方にお任せを願いまして、そうして共々にこの国の指導員を利用して行くようにお願いいたしたい、かように考えておるわけであります。次の問題……。
  58. 岩男仁藏

    ○岩男仁藏君 農民魂……。
  59. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) この問題はなかなかむずかしい問題でありまして、曾て精神総動員でありますか、というようなことも戰争の途中起りましたが、なかなか政府が笛太鼓を叩きましても国民が踊つて来なければ、どうにもならないのであります。併しお説の通り戰争以来、非常に農業精神と申しますか、農民魂と申しますか、これが薄らいでいるということは認めるのであります。殊に何と申しますか、今の青年の指導が、今日の教育関係から非常に面白くないと思う点もあるのであります。農業会の時代におきましては、各郡農会で短期でありますけれども、講習会を開き、或いは地方には甲種、乙種の專門的な農業学校があるというふうなことで、專門的な知識を得、又農民精神の普及徹底というようなこともやられたのでありますが、今御承知の中学校、高等学校の組織が変りまして、こういう專門的な農業教育の機関がない。これは非常に残念なことと思つておりますので、指導連等の力によりまして、この農家の子弟が農村に対する認識を深めるということの指導をして頂くことが最も必要であると思つております。尚政府におきましてはこの方面について、四Hクラブと申しますか、新らしく青少年のこの気持を農村に植付けるということも一つの方法であるとかように考えまして、この四Hクラブの連絡もとりまして、こういう方面にも力を入れて行きたいと、かように考えておる次第であります。
  60. 岩男仁藏

    ○岩男仁藏君 やはり技術の小さい面でありますが、化学肥料はお蔭で順調に増産されております。ところが、どうも昨年も一昨年もそうでありまするが、これは地方によつて幾らか違うか知らんが、私の承知しておる範囲においては、非常にできがいいが、秋落ちと言つて、いよいよ成熟する時期になつて、ばたばた行つておる。殊に私は大分県ですが、大分県の現情は二ケ年それを続けておるのであります。だから割当後の補正というすつたもんだの問題が毎年起つておる。これは事実であります。その原因はいろいろあると思う。ただ病虫害、病虫害と簡單に片付けておるが、それは病虫害だけではないと私は思うのです。結局戰争中地力が非常に減退した、その減退した地力、これが最大原因であると私は考えておる。私は技術員でないけれども、そういうことを常識的に判断しておるのであります。それで硫安とか、石灰とか、過燐酸、或いはカリ塩とかいうものは段々殖えて来ますが、これだけでは秋落ちの原因は防ぎ得ないと思います。ところで戰争中からやつておる自給肥料、或いは緑肥栽培とか、青刈大豆とか、紫雲英とか、堆肥とか、こういう方面に一層の努力を要するときでないかと私は考えております。これは戰争中にやつただけで、終戰後は一向農林省の施策の中にもこういうことは考えておらんようである。農業団体の方でも余り関心を持つていないというふうに私は歎いておるのでありますが、今度の予算を見ましても、沢山の金は要ることはない、奨励金を僅か計上して奨励の意思表示をすればそれでいいと思うが、何もないが、これについてどういうお考えを持つておりますか、お伺いして置きたい。
  61. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) お説の通り、化学肥料万能にならざるを得ないような、戰争以来、時代でありまして、すでに土地によりましては酸性を表わして効率が出ないというようなことも出ておるのであります。良農は土地を肥やし駄農は作物を肥やすと申しますが、化学肥料は作物に対して一応きいたようでありますけれども、地力が伴わない、又耕種法が伴わないと却つて害になるという場合があるのであります。今大分の例を引かれましたが、これは決して大分のみでありません。秋落ちをするということは結局地力がないのであります。それでどうしてもこのままで継続いたしますと、日本を殆んど酸性土壤に満たされるというようなことになりますので、化学肥料はできるだけこれを節約するということによつて、今お話の自給肥料によるということが、地力を回復する途と考えております。政府におきましてはこの目的を達するために、有畜農業の指導を一層強化して行きたいつもりであります。有畜農業と申しましても、一軒々々が皆牛や馬を飼うというのではないのでありまして、農業の経営規模によりまして、牛の場合もありましよう、或いは馬の場合もありましようが、小さい農業経営の規模では、中小の家畜を飼う。豚を飼うとか、山羊を飼うとか、或いは鶏を飼うとか、とにかくあらゆる大小取混ぜての家畜を農業経営に取入れて、地力の維持を図つて行くというふうに指導して行きたいと存じて、本年度の予算におきましても、その有畜農業の奨励に一段の力を盡しておるわけであります。尚紫雲英栽培につきましては、御承知通り化学肥料のために非常に酸性になつておりますので、根瘤バクテリアの欠乏を訴えておるような地方もあるのでありまして、根瘤菌の配付等もその必要な県においてはやらさしておるようなことでありますので、農家の自覚と相俟ちまして、この地力の回復に一層の力を盡して行きたい考えを持つております。
  62. 岩男仁藏

    ○岩男仁藏君 さつき農地証券は成るべく早いうちに償還してしまうということは必要がないかと思つておりますが、ということでしたが、まだ併しあと五十億ばかりある。農地委員会で、まだ仕事の済まないところのものは、百六十五万という話でありますからして、まだ農地証券というものは続々出て来ると思うのです。ところがこれが漁業関係は担保権、いわゆる担保になるのでありますが、農地証券だけは担保にはならない。それで百姓は何とかこの担保権を持つことができるようにして貰いたいというのだが、この間の経緯をお話願いたいと思います。
  63. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) お説の通り売買、担保を禁じておるのでありますから誠に流通価値がないのであります。従つてこれをいつまても長い間安い利子で持たせて置くということは気の毒であり、速かに全部を返したいという考えを持つておるのであります。今後農地の売買等におきましては、これを国家が買取らずして、売る者と買う者と、いわゆる地主と耕作者との間に直接取引をいたさせまして、農地証券の発行はしない、こういう方針を持つておるのであります。今日までの農地証券は、できるだけ速かにこれを償還するということを実現いたしたい。今いろいろその手続をいたしておるわけであります。
  64. 岩男仁藏

    ○岩男仁藏君 幸い食糧管理局長官がお見えでありますから、小さいことでありますが、一つお尋ねしたいと思つております。  食糧事務所の定員の問題です。殊に検査員の……。これはうちのクラブの皆が終始出す問題だから、私が代表質問をせんければならんことになるのだが、今度の予算を見るというと、どうもこれは予備費を少し、充用と言いますか、昔の言葉でこれをうまく充用すれば可能のように考えておるが、併しあなたがやる意思がなければできない。意思があれば予算面から見れば予備費が相当調子がいいようだからしてできはせんかと思うんだが、あなたの一つ肚のうちをお聞きしたいと思います。(笑声)
  65. 安孫子藤吉

    政府委員(安孫子藤吉君) 食糧庁の末端の検査員の増加につきましては、実は私共も是非その必要性ありということで、大臣にもお願いをしておるような状況であります。予算編成の当時におきましては、なかなか大蔵省との事務折衝におきまして、予算面にこれを表わすことが、当時の行政整理一般的気風からいたしまして、困難であつたのであります。併しながらその後において定員法等の改正が行われた場合に、予算上の理由を以てこの改正が不可能になるということをば、我々として堪え得ないところであるという主張をいたしまして、予備費の中に一応人件費的なものも織込んだわけでございます。今年の予備費は二十億と只今記憶いたしておりますが、昨年まではこの予備費は消費者価格において裏打ちをいたしておらなかつたのであります。併し特に本年は消費者価格に二十億のうち十四、五億のものを織込みまして、実質的にこれを裏付けまして、定員法その他の関係、又政府の意的が末端の職員を増加する必要ありといたしましてお決めを願いますならば、予算上の措置においては支障がないようにお膳立をいたしておるわけでございます。この点は大臣にもいろいろお願い申上げておるような状況でございます。
  66. 山田佐一

    委員長山田佐一君) 次は藤野君。
  67. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 私は最初に、昭和二十四年産米確保の報奬物資についてお尋ねしたいと思うのであります。報奬物資を出されるところの根本の目的は、農民に対して強制供出をやらせたいからその報奬として農民が希望するところのものをできるだけ安く出してやる、これが目的であると考えるのであります。然るに現在配給しておられるところのものを拜見してみまするというと、その後市価が下つた結果でもありましようが、市価よりも高く、且つ品質が悪い、こういうふうなことでありますから、報奬物資を農家が受取ることを好まない。従つて農協も商人も、この報奬物資を取扱つているところのものは、非常に困難な状態に現在陷つているのであります。このままにして置きましたならば、金融界も農民も非常な不安の状態に陷ると思つているのでありますが、農林大臣はこれに対してどういうふうなお考えを持つておられるか先ずお伺いしたいのであります。
  68. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) お答えいたします。昨年の米、「いも」に対する報奬物資に対しましては、協同組合に取扱わすべきものであるという強い御意見もあつたのでありますが、又農林省といたしましても、この報奬物資は農村に還元する意味のものであるから、成るべく農業協同組合にやつて貰うのが妥当だという方針を持つてつたのでありますが、あながちそういうふうな結果には参りませんで、商業団体等両方がこれを取扱うことになつたのであります。御承知の、いろいろの品物を配給いたしたのでありますが、それが一月になりまして取引税が廃止になり、消費税が減額されましたがために、価格が市場価格より二割余りも高いものになつたのであります。これは中には値下りを見越してすでにそれぞれ引換をいたしてしまつた分もありますが、中にはこれをそのまま引換ができずして年を越して、そうして市場価格の方が安くなつたというので返却されるというような事態が起りまして、協同組合は金を拂わない。今問屋は約三十億、四十億という不渡手形を持つて破産の状態に瀕している。若し問屋が債権を履行いたしますと、協同組合は破産してしまうというような事態に突入いたしておりまして、先般来この問題は協同組合だけでなしに、業者である問屋連中からもやかましくこの処置方について要求があるのであります。農林省、通商産業省、大蔵省が寄りまして、いろいろ折衝を続けているのでありますが、原反物に対しましては、問屋は大体残つているものは仕方がないから引受けようというような意思もあるのであります。そうしますと、農村に行つておりますところの報奬物資が、問屋の方に又後戻りしてしまう、こういうような関係で、農村の方には報奬物資として與えてやりたい、與えてやりたいが価格が二割余りも高い、こういうような情勢でありますので、目下その処置につきまして、政府といたしましては農林省、通商産業省、大蔵省集まりまして、その善後処置について折衝考究をいたしているのであります。少くとも現在の市場価格の程度において農村にこれを與えたいという気持はあるのでありますが、そうしますについては相当の価格補給金がここで必要になるのでありまして、その金のことについても財源等を考慮しなければならんのでありますが、目下三省集まりましてこの問題の解決に折衝を続けておる状態であります。
  69. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今三省で善後策の折衝を進めておられるということでありますが、一方においては手形がすでに期限が来ておるのであります。その来ておるところの手形を、折衝中で日を送つたならば不渡手形になつて金融界が混乱状態に陷るとこう思うのであります。でありますから速かに決定しなくちやならないのでありますが、この不渡手形が市場に出ないようにするのについては、何とか便法が考えられておるかどうかこの点お伺いいたしたいと思います。
  70. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) 手形の性質から、或いは不可能であるかとも存じますが、この期限の延長等も今研究いたしておるのであります。問屋の手形につきましては、二月二十八日限りということに期限を切られておつたようなものもありますので、急いでこの問題を解決いたしたいと、かように今折角毎日協議を続けておるわけであります。
  71. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 政府は品物が上つた場合には、価格差の利益金を取つておられるのでありますから、今回のように下つた場合においては当然政府が負担しなくちやならないと思うのであります。殊に農民に強制供出をやらせた報奨物資である以上は、普通の市価よりも必らず安く、農民が希望するように協力しなくちやならない。こういうふうなことで更に一段の御努力と一日も早く解決されんことを希望いたします。  次に毎年々々供出問題で問題になるのでありますが、供出問題を完全に解決することができないということは、各市町村における耕地の反別が明らかでないということが原因であるのであります。この点からいたしまして、私は各市町村ごとに現在の耕地を根本的に調査いたしまして、これを土台にして事前割当或いは供出というものをやつたらば必ず簡單にできるものであると信ずるのであります。農林大臣昭和二十五年度の予算編成に当つて、こういうふうに供出制度を根本的に解決する、土地を測量するというようなことについて予算の要求をやられたのであるかどうか、又予算の要求をやらなかつたとしたならば、なぜそういうふうな根本的の解決策を講ぜられなかつたのであるか、こういうふうなことをお伺いしたいのであります。
  72. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) 国土の実態を掴むということは、ひとり供出制度の完備をする上のみならず、必要なのであります。併しこれは全国土に対しての調査はなかなか容易ならざるものがありまして、すでに国会におきましても衆参両議院の予算の中で、この国土の一筆調査をやるべきであるという協議会まで結んでおられますので、政府におきましては、一日も早く国土の実態を掴みたいという気持はあるのであります。併しこれは相当の年月と経費を要するのでありますが、経費の点はこれを許したといたしましても、そう簡單に全貌を掴むことは容易でないのであります。現在農林省の持つております農業統計調査部におきまして大体の数字は掴んでおるのでありますが、必ずしも完全なものとは言い得ないのであります。併し今日の供出制度を以て行きますならば、果してこのはつきりした一筆、一畝一坪も洩らさないように調査するということを国民が受入れるか受入れないかという問題であります。それは要するに今日の供出制度が理想的でないという結論を下せるのであります。食確法は明年の三月を以て一応その役目を終るわけでありますが、この機会に供出と申しますか、名前はどうなりますか、この食糧確保をいたすについての制度を根本的にこれは改める、いわゆる現在弊害と認められる点を根本的に改める時期ではないかと、かように考えておるのであります。一応二十五年度の生産計画はすでに発表いたしたのでありますが、この問題につきましても、すでに先程申しました来年の三月食確法は満了するのでありますから、この機会に一つ根本的に改めたいと存じます。今御質問の国土の実態調査ということは、ひとり今申しました供出制度のことだけの問題でなしに、必要であるのでありまして、政府におきましてはできるだけこの仕事の実現化を考えておるのであります。二十五年度の予算には、その予算措置ができなかつたのでありますが、政府といたしましてはできるだけ早くこの国土の実態を把握いたしたいという気持を持つているということを御了承願いたいと存じます。
  73. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次は農業災害補償の問題でありますが、災害による農民の負担を軽減するために、農業災害補償法ができ上つたのであります。然るに現在の農業災害補償法は、農作物、蚕繭、家畜その他というようなものの補償であつて、農地に対する災害補償が規定していないのであります。農業の根本は農地であります。又シヤウプの勧告案によつて見ますというと、災害を受けたところのものは全額国庫負担というふうに勧告してあるのであります。この点から申しますならば、私は農業の基本であるところの農地が災害を受けたならば、全額国庫負担で補償すべきであると、こう考えておるのでありますが、この点お伺いしたいのであります。
  74. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) 災害復旧の国庫全額負担は、二十五年度に限つて、ということになつておるのであります。農地に対する災害は、外の農作物に対する災害の補償があつて、耕地に対する災害補償がないということの御意見でありますが、如何にも耕地に対しては、そういう災害保險の制度を持つておらないのであります。併し今災害復旧に対しましては全額国庫負担ができませんけれども、従前の補助の建前から、この農地に対する災害に対して成文化をいたしたいと考えておるのであります。十五万円以下は、これはもういたし方がないのでありますが、今日耕地の災害復旧に対して十五万円というと、極く僅かなものでありまして、一反歩の河原になりましたものを復旧いたしましても十五万円以上かかるのでありますから、最低十五万円ということになつておるのであります。十五万円以上のものに対しては、従来の補助政策の建前からこれを実現いたしたいと、今成文化を急いでおるような次第であります。
  75. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 農地の災害については成文化を急いでおるというお話でありますが、殊に災害を受けた農地の中で、小さいところの団体営のものに対して補助の率が少いし、且つこういうふうなものが予算上においても非常に少いのであります。併し一方からすれば、こんな小さいところのものが効果を挙げることは多いのであります。でありますから私といたしましては、団体営の小さいようなものに対して、できるならば全額国庫負担にし、食糧の増産を一日も早くして、輸入食糧の減少を期するのが政府のとるべきところの策であると考えるのであります。この点について更にお伺いいたします。
  76. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) 御意見誠に御尤もなことと存じております。小区域のものも、その実際の耕地について考究をいたしまして、できるだけ助成のできる方法を考慮いたして、御趣旨に沿いたいと存じます。
  77. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次は農地の問題でありますが、農地証券については岩男さんからお話がいろいろあつたのでありますから、その他の点について申上げて見たいと思うのであります。私は、農地調整法が国会に出た以来、各内閣の際に、農林委員会があるたびごとに、現在の状態で農地の登記をやつてつたらば、恐らく十年間かかるだろう、そのために地主は非常に不利益を蒙り、買うたところの小作人もいろいろの点について不便を感ずる、何とか速かに登記を完了するところの方法はないか、又そうしなくちやできないということを強く要求したのでありまするが、昨年の十二月末現在の調査によつて見まするというと、その一例でありまするが、買收登記が農地で四八%、売渡登記が一八%というようなことで、遅々として進んでいないのであります。然るに政府では、本年の三月末日までにこの登記を終了せよ、若しそういうふうなことができなかつたならば、そう筋に出頭を命ぜられるからという農地局長の各地方知事に対する電報も行つておるような次第であるのであります。一体現在の組織で、現在の予算で、農地局長から電報を打つたようなことができると考えておられるのであるかどうか、一応これをお伺いしたいのであります。
  78. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) 農地局長から通知いたしました通り、できるだけ本年度内において完了するように指導をいたしておるのであります。農地の登記におきまして一番困難をいたしておりまするのは、遺産相続もなければ、すでにそれが済んでおる、何代も経過いたしておるというような、登記の手続上非常に複雑なものが残つておるのでありまして、この事情については登記所との連絡も、できるだけ事務の簡素化を図るように協力を得まして、できるだけ早く本年度内に完結いたしたいと、かように考えておるわけであります。
  79. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 然らばこの電報によつて関係筋に呼び出されたところの府県がどのぐらいあるか、その実績をお示し願いたいと思うのであります。
  80. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) 只今私はその材料を持つておりませんから、又後の機会に御報告いたします。
  81. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 登記遅延の原因はいろいろあるのでありますが、政府予算が少なかつたということが原因であります。政府が今日まで使つておるところによれば、二億二千万円であります。然るに実際市町村によつて登記をしたところの費用は十五円乃至三十円であつて平均二十五円なのであります。二十五円から八円を引けば差引き十七円という金額になるのであります。これを掛け合せてみるというと四億六千万円の不足を数えるのであります。こういうふうな金がなかつたならば、登記を完了することができないのであるが、只今申上げましたように、政府は登記を急がれるということだつたならば、その急ぐ登記ができるように、速かに予算的措置を講じなくちやならない。更に他を責めてみずからその責任を取らないということは、政府がやるべき政策でないと思うのであります。急がれるならば四億六千万円の予算を直ちに出して、登記を完了せしめる覚悟があるかどうか、お伺いしたいのであります。
  82. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) 尚実態をよく調査をいたしまして御趣旨に沿うように努力いたします。
  83. 岩間正男

    ○岩間正男君 議事進行について、ちよつと藤野さんに申訳けないのですが、実は緊急質問の問題がありまして、昨日の午前中から労働大臣の出席を求めておるのでありますが、時間が迫つて、三時半に必ず出て来るというようなことになつておるのに、もう四時になつておるのです。私の緊急質問したい問題は、重要な、最も現段階の緊迫した問題でありますので、是非委員長の方から出席するように督励を願いたい。ついでに、今聞きますと、官房長官と労働次官が労働省の控室で相談しておるそうでありますが、長官も連れて来て頂きたい、これは二人出て頂きたいと思います。
  84. 山田佐一

    委員長山田佐一君) 了承いたしました。
  85. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今日の私の質問はこれだけにして、後日更にお伺いすることにいたします。
  86. 田村文吉

    ○田村文吉君 農林大臣に簡單な問題をちよつとお聞きしたいのですが、いつもよく問題になるのは、現在の農家の売渡価格が四千二百何がしになつておりまして、消費者に渡ります時には、これを一升にいたしますと六十三円でありますが、その大体の計算を、細かい数字は結構でありますから、例えば超過供出が今日はどのくらい、それからさつきお話のありました報奬物資の配給に要する費用がどのくらい、簡單で結構でありますから……。一番私の知りたいのは、運賃その他の配給に要する費用が一石当り幾らについておるか、こういう点を説明願いたい。  唐突のことを申上げて恐縮でございますが、その前に農林大臣にお伺いしたいのですが、輸入食糧に対して補給金が出ると思いますが、内地の食糧の買上価格が幾らになりましたならば米の補給金は要らなくなるお見込でございますか。
  87. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) 補給金は、ガリオア物資として輸入されましたものに対して、それを一応内地の米の価格の基準に合わせまして、そうしてそれの方より高いものが補給金となつておるわけであります。従つて海外の食糧が区々まちまちの価格で輸入されておりますので、今後この価格が、貿易の力によつて、輸入されるということで、而も内地の農産物と大体同じような価格或いは安い価格で輸入される場合においては、この補給金というものの必要はないことになる、こういうふうに考えておるわけであります。
  88. 田村文吉

    ○田村文吉君 そうでありませんで、私の伺いたいのは、買上価格がどのくらいになつたら補給金は要らなくなるか。ということは、言い換えるならば、輸入食糧は現在どのくらいになりますか、一トン幾らという大体の計算が付いておりますね。どのくらいの価格まで買上価格が上れば補給金が要らなくなるかということをお伺いしたい。
  89. 安孫子藤吉

    政府委員(安孫子藤吉君) 二十五会計年度の生産者価格並びに消費者価格の間の、いわゆる中間マージンと言われております価格の概要を申上げて置きます。このいわゆる中間経費と申しますものの中には、生産者に還元される金が相当ございます。例えば早場米奬励金、超過供出奬励金、さようなものが生産者に還元されるわけであります。純粹の中間経費と申しますと、輸入諸掛り、集荷手数料、特別指定倉庫の加算額、保管料、運送賃、賀工費、官庁の人件費、事務費、又これを運用して参りますための金額に対する金利、輸入食糧の容器損料その他食糧配給公団の配給経費、こういうものになるのであります。御参考に石当りの金額を申上げますと、生産者に還元されますものは、二十五会計年度におきましては、二十四年産米の早場米奬励金及びバツクベイでありますが、二十五年産米の早場米奬励金、これは石当り百六円七十二銭、二十四年産の米麦のパリテイが七十一円五十六銭、その外価格調整予備金二十六円三十七銭、かような額になります。この点は別にいたしまして、結局純粹の中間経費の方を申上げますと、石当りで申上げますが、輸入諸掛りが石当り二十七円六十二銭、集荷手数料が五十二円十銭、特別指定倉庫の加算額が二十一円三十四銭、保管料が九十二円二十八銭、運送賃が二百六十五円五十四銭、加工費が七十一円五十六銭、人件費、事務費が八十四円十二銭、金利が百八円六十銭、輸入食糧の容器損料が六円二十八銭等、これらを総計いたしますと七百三十一円三十四銭ということに相成ります。その他に配給公団の配給経費が四百五十円でございます。大体中間経費の概要でございます。それから先程実は聞き漏らしたかと思いますが、どの程度までに価格が下れば、内地の現在の穀物価格ととんとんになるかというようなお尋ねであつたと思います。先程もお話がございましたように、小麦について申上げますと、小麦協定に参加いたすことによつて、参加するか、しないかによつて多少食い違いが出て参るわけでありますが、参加いたしました場合を想定いたしますと、大体四ケ年後における小麦価格の、最低価格の方は内地の現在の小麦の価格ととんとんになるというような見通しになつております。
  90. 田村文吉

    ○田村文吉君 今の前段の問題についてもう少し詳しく伺いたいのでありますが、早場米は百六円七十二銭、それから超過供出のものも御勘定に入るわけでありますね。その点と、それから配給物資の費用があると思いますが、それがお分りになつたら、どうぞ恐れ入りますが明日までにでも一つ詳細な数字を頂くことにして……。
  91. 安孫子藤吉

    政府委員(安孫子藤吉君) 詳細の数字は明日整理いたしまして御提出いたしますが、超過供出は、大体三百万石予算を組んでおります。そうしますと生産者価格四十三円五十銭の三百万石は特別会計の買入代金の中に入つておるという形になつております。これは前回の政府の買入数量にならしますと幾らになるかということをお尋ねになりましたが、これは計算いたしまして……。
  92. 田村文吉

    ○田村文吉君 それから先のお話で、ちよつと質問はつきりしなかつたようでありますが、予算に計上されております補給金が、約四百五十億円というものを見てあるのですが、これは先刻のお話の三百四十万トンに対する四百五十億円という計算なんでありますが、それが一体幾らになつたらば、日本の内地価格にして幾らになれば釣合が取れて行つて補給金が要らなくなるか、こういうことをお伺いしたい、大体の見当で……。
  93. 安孫子藤吉

    政府委員(安孫子藤吉君) 四百五十億は、一応外国の現在の市価を想定いたしまして、これを内地の穀物価格との差額を数量、品種ごとに算定をいたしまして、四百五十億を算定いたしたわけであります。それでこの四百五十億を消すためにはどういうことになるかといいますと、内地の穀物価格が上りますれば或る程度消えて行くわけであります。又外国の食糧価格が下つて参りますれば、それでも消えるわけであります。又価格の比較は、小麦、米、雜殻或いはその他のものでいろいろ変動がありまするので、ここに推定を以て計算いたしませんと実ははじき出せないかと思います。現在の日本の穀物価格をどの程度まで上げるか、現在の外国の市価を前提といたしまして、これは動かさんということで、これはどの程度までこれを上げれば、価格補給金が消えるかということは、品目並びに数量を前提といたしまして、算定をして明日数字で申上げた方がいいのじやないかと思います。
  94. 田村文吉

    ○田村文吉君 細かい数字は結構でありますが、要するに非常に割高なものだから、高いものは買入れないということになります。今の内地の価格に比べて二割高い、三割高いということがはつきり分れば、麦の割が悪いのは米を受ける、米の割が悪いのは麦を受ける、大体のマージンが二割高いとか三割とか、こういうような、内地の買入価格が仮に一石五千五百円になればもう補給金は要らなくなるというような、数字のマージンを知りたいのですから、恐れ入りますが明日数字の資料を頂きますときに、その要点の下にお示し願いたいと思います。
  95. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 補給金の計算は、三百四十万トンのものにつきまして、いろいろ品種別になつておるわけでありますが、小麦で申しますと九十五ドルという予算で計算いたしております。九十五ドルでございますと三万四千二百円でございますから、現在の販売価格はトン当り二万三千七百五十円ということになりますので、これで行きますと、一トンが六・六石でございますから、千五百円程上がるということになります。小麦協定に入りますと、これは予算上は現在見通しが付きませんので入らない建前で行くわけであります。若し入ることになりますと八十一ドル五十セント程度でございます。それで若し小麦協定に入るといたしましても、現在申込をされておりますのは百二十万トンでございます。これ以上はちよつと買えないわけであります。それで小麦は百九十万トン輸入いたしましたのですが、七十万トンは普通の市場で買うとすれば、百二十万トンの分につきましては八十一ドル五十セント、これを換算いたしまして二万九千三百四十円、現在二万三、四千円程度でありますので、そこで五千円程度になります。トンが六・六石でありますと、石当り千円足らずということになつております。それから大変でありますが、これは予算上、七十二ドルということで計算いたしております。そうしますとこれは生産者価格が二万六千円でありまして、現在販売価格が二万円程度でありますから、三割程度高い。米でありますが、米が一番問題なんでありますが、米は現在トン当り百六十ドル、非常に高いものであります。これはいろいろな事情によるのでありますが、予算その他の関係もございます。これはトン当りにいたしますと五万七千六百円、現在の価格で申しますと、大体三万二千円という販売価格でありますから、丁度倍近くになるわけであります。それで今後国民の嗜好その他を考えまして、米を輸入するといたしますならば、これはできるだけ品種等につきましてもいろいろ注文を出して下げる。この百六十ドルのものをできるだけ下げるということも必要でありましようし、又今後における米価の問題等も考え合せていろいろ政策的にやるべきことじやないか。細かい数字は明日長官の方からお出しになるようですが、大体の見当はそういうところです。
  96. 山田佐一

    委員長山田佐一君) 農林大臣に対する質疑はありませんか。
  97. 岩男仁藏

    ○岩男仁藏君 雑穀ですが、落花生とか小豆とか、「そば」、これはあなたは統制を撤廃するというどうも御意思らしい。私は絶対に賛成いたします。早く統制を撤廃した方がいいと思う。ところがどうも新聞を見ると、中央農業調整審議会からちよつとねじ込まれて、あなたがぐにやぐにやしておることが新聞に出ておるのだが、ちよつとあなたの肚をお聞きしたい。
  98. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) この問題はどう考えておるかという御質問に対しましては、今お述べになりましたように、「そば」とか落花生とか小豆というようなものは主食として考えなくてもいいではないか、こういう気持があるのであります。併し二十五年度の生産計画といたしましては、一応これらの雑穀も生産割当をいたしておるわけであります。それでありますから、生産割当をいたしておりながら、そういうことを外すのは以ての外の話だ、こういう一つの批判があるわけなんです。併し今の日本の二十五年度の食糧といたしましては、御承知通り六月が切りになつております。七月からどんなふうに食糧態勢が変つて行くか分りませんが、私の理想を実現するにいたしましても、七月以後であるという気持を私は申上げた。現に私もできれば落花生とか、グリンピースとか、小豆とか、「そば」とかというようなものは、主食だということを大袈裟に言うだけのものではないから、できるだけこういうものは外したい。こういう気持は今でも持つておるわけであります。ただその時期は二十五年の七月以後において、日本の食糧事情の見通しが付いた場合には、できるだけ私の考えを実現いたしたい、こう思つておるわけであります。
  99. 田村文吉

    ○田村文吉君 早く統制を撤廃した方がいいな。
  100. 山田佐一

    委員長山田佐一君) それでは労働大臣がお見えになりましたから……。岩間君。
  101. 岩間正男

    ○岩間正男君 実は質問に入る前に、労働大臣に対しまして、昨日の午前中から緊急な問題について質問したいと思つておりまして、出席方を願つてつたのであります。昨日は三時過ぎまでこの委員会として待つてつたのでありますけれども、結局見えられなかつた、そこで結局昨日の予算委員会が流れたというような形であります。而も非常に緊急な問題であつて、是非これは質して置かなければならない問題でありますから、甚で遺憾であつたわけであります。今日も併しその緊急性がまだある問題でありますから、おいでを願つたのでありますけれども、なかなかお見えにならない。こういう形で予算審議が御承知のようにこういうような閑散な形で行われております。それについては甚だ政府の態度に対して、我々は予算委員会として不満を感せざるを得ないと思うのであります。この点、これは労働大臣は今後どう考えられるか。委員会の出席問題について一言所感を質して置きたいわけであります。
  102. 鈴木正文

    国務大臣(鈴木正文君) できるだけ出席して御質疑に応じるようにいたしております。ずつと前のいきさつは記憶しておりませんけれども、昨日は丁度ここに入りかけた途端に、その向うの方の地方行政委員会から先に捕まえられて、話しておる間に、こちらはやめたというので、私としてはできるだけ早く切り上げてこちらへ参るつもりでありましたけれども、そういうわけでございます。今日は衆議院の方の予算委員会から呼出されて、出たり入つたりしておる間に、御承知のように質疑打切りというふうになりまして、結局私は答弁に立ちませんけれども、結局出て来いということで出ておつたような事情であります。かような事情でありますから、御了承願います。
  103. 岩間正男

    ○岩間正男君 そういう事情も推察しておつたわけであります。実は政府は問題をわざわざ複雑にして、そうしてそういうところにみずから追込んでおるような形がある。私の今から質問する問題も、それに連関しておる問題なんですが、それは外でもなくて、この電産ストに対して増田官房長官なるものが発表されたのでありますが、この問題について、昨日私は緊急な質問を行いたかつたのであります。そこで増田官房長官の談というものによりますと、ゼネストについては、これはいろいろな、この前の二・一スト当時の一九四七年のマ書簡の問題もある、併し單産においてまで、このようなストが中止されるかどうか、これは非常に重要な問題でありますけれども、これに対しまして増田官房長官は、單産でも違反である、こう言つて労調法によつて成規の手続を踏んで、電産が今自分達の生活権を守るために立上つておるような様子に対して、まるで水をぶつかけるような態度をとつた。このような処置は一体果して正しいのであるかどうか。   [委員長退席、理事田村文吉君委   員長席に着く]  私の聽きたいのは、一体どのような法的根拠によつて、このような官房長官談なるものが発表されたのであるか。この問題は無論内閣を代表するところの、内閣の番頭的の長官の談話でありますから、当然これは内閣を代表した意見というふうに我々は受取つているのであります。これに対して当然労働行政を担当しておるところの鈴木国務大臣も與り知つておる問題であると思うのであります。この点から先ずその法的根拠についてはつきり伺いたいと思うのであります。
  104. 鈴木正文

    国務大臣(鈴木正文君) ゼネストの考え方についてでありますけれども、第一番に、一九四七年のマツカーサー・レターというものの実質は、今日においても広い意味のストライキ、ゼネストを社会公共の観点から禁止すべきものということの基本的な考え方を示したものであり、今日においてもそれが続いておると考えております。それから單産と申しますもののストライキ、これは私も今岩間さんも御指摘になりましたように、電産を例に取つて参りまするというと、現在ストライキの権利を持つている、それが純粋の意味における経済的ストライキという形で以て展開されておる、こういうような際にこれをどう見るか、これは政府の見解といたしましては、それぞれの段階によるべきものであつて、基本的に考えるとそれが普通の形の経済的のストライキという形をとつておる際においては、そうして又公共の福祉或いは全産業への打撃というものが致命的でないような場合においては、普通の形における労働争議であり、そうしてこれは中央労働委員会等の正規の労働関係法規の機関によつて処理して行くというのが正しい考え方であり、又現在の段階はそうであるという見解を持つておりまするからこそ、労働省といたしましても極力中労委、その他の機能を発揮して片付けようという方式は今日でも続いておるわけであります。御承知のように交渉が決裂の形になつておりますけれども、労働省としては更に希望を捨てず、交渉を再開し得るように今日においても労政局長を通じて斡旋をしておるというような形であり、基本的にはそういう態度で以て臨んでおります、ということを先ず第一段階として言い得ると思うのであります。現にそういう態度をとつております。  次電気産業のような重要な産業が、全国的の規模でストが行われ、而も一方において国民生活を著しく脅かし或いは全産業を痲痺せしめるような事態に立ち至つたときに、これをどう考えるという点でありますけれども、これは一つの禁止すべきストというふうに考えて、この場合には公共の福祉の観点、全産業を守り、広い意味日本国民の生活を守るという観点からして、ゼネストと、言葉は必ずしもその言葉は使うかどうか分りませんけれども、こういう意味でマツカーサー・レターに示されたあの範疇に入り得る段階も、事態によつてはあり得るということを恐らく増田官房長官は言つたのだろうと思います。私その場所に差当つて実際に立ち会つた、わけではありませんけれどもそういう意味で言つたと思うのであります。そういう意味でありまするならば、私共も電気産業のような重要な産業が、今申しますような質と量とを以て争議が展開されるという場合には、そういう考えで以て一つの言葉を、ゼネストという言葉を使うのがどうか、言葉自体の問題でありまして、これは社会公共の立場から、広い意味のマツカーサー・レターの精神に基いて日本政府責任においてそういう解釈をする場合もあり得るということを考えておりまするし、官房長官の言つた意味は恐らくそうだろうと思います。
  105. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は国務大臣としての鈴木労相に尚伺つているのでありますけれども、増田官房長官のこの談話というものは、これは推測的に話されているのでありますが、こういう問題について、これは統一した立場から政府の方針として打ち出させていたのであつたかどうか、これが一点であります。  それから次に労働省の今までとつて来た態度が、今度政府の機関を代表して増田官房長官の発表した内容というものと甚だ食い違いがある、この点が非常に不統一というふうに考えられるのであるけれども、これはこういうような状態でいいのかどうか。  更に政府の解釈は非常に勝手な解釈であるということは、これは明らかだと思う。我々はこのような事態を処理する根拠としては飽くまでも現行法の法的根拠に基いてこれをなすということが非常に重要だと思う。然るにいち早く政府はお先走りをしてそれでマ書簡の精神はまだ生きておる。それとの連関においてこれは單産でも違反であるというような独断的な解釈をとる。これは全く独断的な解釈であるということは、その後昨日発表になつたところのエーミス労働課長の談話の中でもはつきり伺えると思う。こういうような独断をやつておいて、而も労働階級の基本的な権利行使の問題に対しまして、事前に水をぶつかけるというようなはつきりした政治的意図によつてなされたということと断じて差支ないと思うのでありますけれども、このような一つの労働争議に対しまして政治的意図を以てやつておるのは政府みずからである。こう我々は考えるのであるけれども、このような措置は許されるものと労相は考えるかどうか、以上三点につて答弁を願います。
  106. 鈴木正文

    国務大臣(鈴木正文君) 労働省、私をぱ引つ繰めて労働省当局の考え方と、政府の他の部内、特に今は増田官房長官の話が対象となつておるのでありましようが、違つておるということはありません。増田官房長官自身も、直ちにゼネストというふうな扱いをして、そうして禁止とか或いはその他の措置に出るということを言つたのではないのでありまして、現に私が今申しましたように、前段において根本的な考え方においては岩間さんと同様であると私が言いましたように、正常と申しまするか、普通の経済的な争議の形をとつておる際においては、そうして又その影響が今申しましたような範囲に止まつている場合におきましては、岩間さんも御指摘になりましたような労働関係の諸法規によつて所定の手続、所定の慣行に従つて解決を図つて行くということは誰も反対しておらないのでありまして、事実現在そういう方式によつて解決を図りつつあるという、現実を以て見て頂きたいと思います。官房長官は恐らく記者諸君の質問に応じて答えたのでしようし、時間の都合もあり、今私が述べておるところの前段の根本的な、基本的な考えにおいては、労働関係法規の手続によつて解決して行くのだというこの考え方に決して反対ではない筈なのでありまして、ただ時間等の関係上、そこのところの説明が、多少委曲を盡さなかつたかも知れません。併し現に労働省がそういう形で以て争議の斡旋その他に力を盡して、今申しました労働関係法規の範囲において解決しようとして努力を続けておるということに対して全巾的に賛成してこそおれ、毛頭異論を差挟んだつもりはないのでありまして、この点については官房長官も又私も、岩間さんのおつしやいましたような基本的な問題として、こういう問題は労働関係法規でやつて行くという考え方に賛成であつた。反対なんか毛頭ない。ただこれは最悪の場合に不幸にして立至つて、さつき申しましたような性格を持つて来た場合には、今申しましたような考え方で臨む。こういうような結論的な考えを官房長官が質問に応じて恐らく言つたのでありましようし、全体としてはやはり官房長官としてもあらゆる力を盡して、正常な労働関係法規の手続によつて解決するという方式を飽くまでも堅持して行くという考えを持つておるという点、聽いて見るまでもなく明らかでありまして、それでも尚且つ今申しましたような事態に立至つたときは、国民全体のためにそういう考え方をとることもあり得るということを言つたのでありまして、毛頭、労働省当局と官房長官と、或いは他の閣僚との間の考え方が齟齬しておるという事実はありません。従つてこの問題に対しましてどういう措置をするかということは、これを内閣全体の統一された考え方であると言い得ると思うのであります。  それから又政治的に、今の労働攻勢と申しますか、私共は労働攻勢という言葉は必ずしも使つておりませんけれども、今のこの国会の内外の情勢を睨んで、政治的な意図の下に増田官房長官がこれを出鼻を挫く意味において、そうしてこの声明と言いますか、言葉を発表したのだという考え方は、私共は当つておらないと思います。こういうような労働情勢のような微妙な問題を前にいたしまして、好んで刺戟するような言葉を強いて吐く必要はないのでありまして、これは恐らく、こういう場合にはどうかという仮定の質問が行われたのに対しまして、官房長官としては結論の部分だけを簡單に言つたというだけのことであると思うのでありまして、岩間さん御指摘のような意図の下に、政治的な意図の下に発表されたというようなふうな事実は、これは政府としても官房長官としてもないと考えております。
  107. 岩間正男

    ○岩間正男君 全然了承することはできない。労働運動の実態をあんた達は一体知つておられるのかどうか。こういうような声明そのものが、一つの組織を持つて鬪かつておる時に、下部にどのような影響を與えるかということをあんた達は今掴んでおるのか。とんでもない話である、今のような説明で我々は瞞着される程、それ程ぼんやりしていない。若し労相が言われる通り、本当にこれを法的根拠で解決したいというのならば、このような馬鹿げた、このような声明を出す必要があるかどうか、考えて見るがよい。このような事態を円満に解決する一つの途は、これは私がここで言わなくても、すでにその実績が現われておるでしよう。昨日あんた達は院外から、国会共鬪委員の諸君から猛烈な反撃を食つておる筈だ。そうしてここで事態を荒立てておる。だから私はこの官房長官の声明そのものが政治的だと言わざるを得ない。実際そうでしよう。若し政治的でないなどと言つてこういうことを出したら、全く政治力のない、政治的な無能力者だと私は言わざるを得ない。こういうような、あなた自身の今の答弁で明らかに矛盾しておるような説明をしても我々を瞞着することはできない。だからそのような点から言つて、私はもう一歩進んで行くならば、若しも政治的な意図でないとするならば、今のような増田官房長官の馬鹿げた談話を取消す、はつきりと取消すだけの考えを持つておるかどうか。若しあんた達が意図に反する、而もその意図でなかつたとしたならば、これは本日取消すということははつきり言明できる筈だ。この点について……。
  108. 鈴木正文

    国務大臣(鈴木正文君) 嘘を言つたのでもないのでありまするし、又事実て考え方と違つたことを言つたのでもないのでありまして、今日においても政府の見解はそうなのでありまして、取消す必要はないと思つております。
  109. 岩間正男

    ○岩間正君 これはまあ論議になりますけれども、この論議はやはりやらざるを得ない。大体そういう事態というものを先走りして、そうして事態を十分に検討しないで、現段階がそこまで行かないと認めておるのに対して、事前にそういうような声明なり、談話を発表するということは、一体どういう効果を持つか。    〔理事田村文吉君退席、委員長着席〕 この点はさつき私が今の労働運動の実態を本当にあんた達は知つておられないということを言つたのでありますが、はつきりこれによつて労働者が不利になる。又全国的なそういうような組織を以て闘つておるときには不統一が起つたり、いろいろな混乱が起るのです。あんた達はその混乱を望んでおられるのか、望んでおられないのか。もう一遍重ねてその点を伺います。
  110. 鈴木正文

    国務大臣(鈴木正文君) 労働戰線を撹乱しようというようなことを考えておるのではありません。広く国民の基本的福祉を、万一の場合には守らなければならないということは考えておりますけれども、労働戰線を撹乱しようというような政治的意図は持つておりません。
  111. 岩間正男

    ○岩間正男君 若し今のような意図があるとすれば、実際この官房長官談によつて混乱が起り、又非常にいろいろな不統一だとか、そういうことが起り得る可能性があるからこれを取消すことが当然の任務だと思う。これを取消すべきだという結論がはつきり出ると思うのですが、これはいさぎよく取消されたらどうですか。
  112. 鈴木正文

    国務大臣(鈴木正文君) その点のお答えはさつき明確にしてある筈であります。
  113. 岩間正男

    ○岩間正男君 重ねてもう一回伺います。取消す意思があるかどうか。これについてはつきり伺いたい。
  114. 鈴木正文

    国務大臣(鈴木正文君) さつき申しました通り、嘘を言つたのでもなければ、事実を聽かれたからその時答えたのでありまして、取消す必要はないと思います。
  115. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはまあここでやつても分らない。我々は取消を要求するということをはつきりつて置きます。これはエーミス労働課長からたしなめられたようになつておりますが、やはりこれは非常に先走りしたものである。こういうようなことについて、どうなんですか。政府は無論向うの労働課のこういう意見に対しては、これを斟酌したり、尊重することは必要でありますけれども、飽くまでも政府は増田官房長官の談話ということで独断の考えを持つてというのかどうか。この点。
  116. 鈴木正文

    国務大臣(鈴木正文君) エーミス労働課長も含めたいわゆる関係方面というものに対しまして、我々がとやかく公開の席上、又とやかくの批判等をしたくはないと思つておりますが、ただ共産党の諸君もしばしば言われますように、できるだけ日本の自主的の立場において物事を考え日本政府責任において物事を処理して行くべきであると私共も考えるのであります。共産党の諸君はあらゆる機会に主張されておる点だと思います。この問題につきましても最後的にはどうなるか存じませんが、これが可能な限り現段階におきまして日本政府責任において解釈もし、措置すべきであると考えておるのでありまして、エーミス課長考えがどうあろうとも構わないということは、それは申しません。併し新聞に現われたエーミス課長の談話は可なりぽつとした点があるものであり、又私共といたしましては、現段階におきましては、日本政府自体の独自の考えで正しいと思つたところを解釈をつけて進んで行けばよいのでありまして、その後の段階の問題は、その後の段階に応じて動きがあるかも知れませんが、今の場合エーミス課長の言そのものを批評の対象とするという私共は考えは持つておりません。
  117. 岩間正男

    ○岩間正男君 形式的には今の答弁は非常によろしい、(笑声)その覚悟で以てやつて貰いたいと思う。飽くまでも政府はあらゆる場合に独自性を持つてつて来たという実体は国民はよく知つておる。今の労相のその答弁は、形式的の問題は別として、併し内容はどうだ。問題は個々の解釈、こういうような労働運動に対するところの先走りのやり方で、そうして手を打つて混乱に導かせると、こういうような態度に対しましては少なくともまだ向うの労働課長の談話の方は労働者擁護的な立場をとつておる。これに比べて見てあなた達の態度は決して労働者を擁護するというような立場ではない。それよりももつて先走りして混乱させておる。こういう点はこれは十分に考えなければならないので、この点考えて見て我々は今の政府のとつておる態度そのものには賛成することはできないのであります。これは議論しても物にならないかと思うのでありますが、ただここで我々は非常に憂うるのは、こういう増田官房長官談のようなものが、こういう形に何かマ書簡というものに便乘して、こういう兆しが現れて来た。政府のこの態度はどういうような結果を導くかということを憂えざるを得ない。恐らくこういう形は日本のいろいろな労働諸法規、これに規定されておるところの労働者の権利というものは、自然にこういうような政治的な意図によつて非常に制限される、制圧される、彈圧される、こういう形になつて来ておる。非常に弁解の妙を盡したつもりでありましようけれども、その弁解なるものをさつき私が聊か分析しましたように、もつと具体的に分析して見れば非常に巧妙なことを言つておりますが、相当これは考えて来られたと思うのですが、これは恐らくこういうもので何が起るかといえば、労働運動の全面的な破壞が起るのであります。そうして再び産報化のような事態が起るのであります。これが吉田内閣の現在とつておるところの一つの労働対策だと我々は断じていいかどうか。若しも今言つたように飽くまでも鈴木労相は一遍やつた増田官房長官談は取消さない。それから自分達の態度は正しいと思つている、それから向うの、少くとも吉田内閣よりは労働者の権利を護るという、こういうようなエーミス労働課長の言に対しても、やはり飽くまでも吉田内閣の自主性においてと天晴なことを言つている。こういうような点から考えて、この態勢が進められれば、日本の労働運動は全面的に抑圧されて産報化の事態が起るということを我々は断定せざるを得ない。この点について答弁を望みませんが、我々はこの事態を大きく直視する。そうしてこの責任を飽くまでも追求する。私はそういうような点からこの緊急の質問を終ります。  尚労働大臣に対してはこの前の継続の問題が沢山ありますけれども、今日は時間もここまで来ていますから、又継続してこの次の機会に讓りたいと思います。
  118. 山田佐一

    委員長山田佐一君) 本日はこの程度で散会いたしたいと思います。    午後四時三十三分散会  出席者は左の通り。    委員長     山田 佐一君    理事            田村 文吉君            堀越 儀郎君            岩間 正男君            木村禧八郎君            岩男 仁藏君    委員           池田宇右衞門君            石坂 豊一君            岡崎 真一君            小林米三郎君            島津 忠彦君            團  伊能君            平岡 市三君            堀  末治君            藤森 眞治君           前之園喜一郎君            赤木 正雄君            伊達源一郎君            藤野 繁雄君            松村眞一郎君            川上  嘉君            藤田 芳雄君            小川 友三君   国務大臣    農 林 大 臣 森 幸太郎君    労 働 大 臣 鈴木 正文君   政府委員    人事院総裁   淺井  清君    大蔵事務官    (主計局長)  河野 一之君    食糧庁長官   安孫子藤吉君    労働事務官    (労政局長)  賀來才二郎君    労働基準監督官    (労働基準局    長)      寺本 広作君