○
政府委員(
平田敬一郎君)
歳入予算の
内容につきまして大要を御
説明申上げたいと思います。
税制度改正につきましては、目下主な法案はすベて
閣議で
最終決定を見まして、大体総
司令部との間におきましても、国税に関する限りにおきましては、内交渉は済みまして、正式に総
司令部のガバーメント・セクシヨンに提出しまして目下
審議の促進を図
つて頂いております。近くOKが来まして
国会に提案できるのじやないかと思
つております。
予算におきましては、すでに概要においても御
説明申上げております。
税制改正の主なる
事項につきましてはすべて確定しております。それに基きましてできるだけ正確な
見積りをすることに努めたのでございます。今回は特に御
審議の材料といたしまして、大体
昭和二十三
年度までの税務の
統計がほぼ正確なものが集まりましたので、これに関しましてはお
手許に別途印刷いたしまして、
租税に関する参考計表としましてできる限り確実なものを印刷配付した次第であります。今回の
財政の
見積りは、主としてこの二十三
年度の正確な
統計を基にいたしまして、それから各種の
所得は、
消費の
増減状況等を睨み合せまして、できる限り
見積りの正確を期した次第であります。そうしまして、その
内容につきましても、別途に
昭和二十五
年度租税及び
印紙収入の
予算の
説明としまして、できる限り詳細に計数を
整理いたしまして、お
手許にお配りいたしましたので、詳細なことを御
説明するのは、時間の
関係もございますから省略いたしますが、その中で重要なものと認められる二、三の点につきまして御
説明申上げたいと思う次第であります。
先ず全体としては、
税収入の
増減関係は、先程
大臣がお話した
通りでありますから、さような点につきましては申上げません。
所得税でございますが、
所得税につきましては、今も申上げましたように、二十三
年度の課税の実績を基にいたしております。それを基にいたしまして、その後における生産、
物価、
賃金、雇用等の増減を見込みますと同時に、或る
程度納税者の協力並びに徴税能率の増進等の
関係も考慮に入れまして、できる限り適正な税額を
計算することにいたしたのでございます。即ち先ず勤労
所得につきましては、大体
昭和二十五
年度分といたしましては、二十三
年度に比較しまして、雇用と申しますか、納税人員は、改正なかりし場合の納税人員、改正を織込まない場合の単純な二十三
年度の税法のままで行つた場合の納税人員におきまして、約三%の減を見込んでおります。これは国民
所得の
見積りと同樣な方法でございます。
所得におきましては、最近の
賃金水準を基にいたしまして
計算いたしますると、五三%
程度の増になるのでございます。それに更に二十三
年度から二十五
年度と二ケ年間に亘りますので、その間の徴税能率の
増加等を考えまして、三%の捕捉の増というのを見込みまして、全体といたしまして、二十三
年度に比較しまして、課税
所得が五〇・一%
増加するものとして
計算いたしております。その
数字を基にいたしまして、新らしい改正案によりますところの勤労控除は一五%にする、基礎控除は二万五千円にする、扶養控除ほ一万二千円に改める等の改正の
事項、各種税法の改正によります扶養親族の控除の範囲を拡張いたしておりまする外、いろいろな改善を図
つておるのでございますが、さような点をすべて
計算に織込みまして、できる限り正しい税額の算定をいたしたのでございます。そういたしまして算出いたしました二十五
年度の源泉徴収にかかりまする勤労
所得税の分は、全体として九百五十六億円
程度見込んでおる次第でございます。二十四
年度の本来の分といたしましては、賦課額で九百三十億ございまするが、若干翌
年度に繰越見込みのものがございますから、それを差引きまするのと、それから本
年度から翌
年度に繰越されるものを加算いたしまして、九百五十六億円を見込んでおる次第でございます。給与
所得以外におきましては、預金利子の源泉課税、その他原稿料等の課税等を加えまして、全体として二十六億円
程度見込んでおりまして、
合計いたしまして九百八十三億円
程度の
税収入を見込んだわけであります。
次に申告
所得税でございますが、申告
所得税につきましても、同様にすべて
昭和二十三
年度の税務
統計に現われましたところの課税人員と課税
所得金額とを基にして算出いたしてございます。それに対しましてそれぞれ生産、
物価、把握等の
増加を見込んだのでございます。その詳細は
説明に詳しく書いてございますので、多く申上げる必要はないと思いますが、先ず農業におきましては、この二ケ年の間に七%の生産
増加を見込んでおります。これも安本の行き方と同樣でございます。
物価の方は一三一%の増を見込んでいます。これは国民
所得の
計算におきましては、一応
給与水準は横ばいという非常に簡単な方法によ
つておりますが、私の方は若干
特別会計で見込んでおります
数字を採用いたしまして、マル公以外の分は、最近の
価格横ばいといつたようなところで
計算いたしまして、三一%の
増加を見込んでおるわけでございます。それを総乗積いたしますると四〇%の増になりますが、更に税制の改正その他によりまして三%
程度の把握の増を見込んで、大体におきまして四四%の増を見込んでおります。同じく営業
所得につきましては、生産の
増加を一割六分
程度見込んでおるのであります。これは単純な生産
増加だけでありますと、実はもう少し殖えるのでございますが、最近滞貨の増等のインペントリーが殖えまして、その分は必ずしも
所得にならないという点がございますので、そういう点を若干調整いたしまして低めに見ております。
物価につきましては、最近の実効
価格を基にして二十三年の平均を把握いたしまして、四割一分の
増加を見込んでおります。そういたしましてその総乗積が六割八分になるのでございます。営業の方は、殊に従来から課税漏れその他の議論も
国会であるようでありますが、税制の合理化の新らしいいろいろな制度の採用によりまして、やはり適正課税に努めるという意味におきまして、六%の把握増を見込んでおります。そういたしまして、全体として七割四分の課税
所得の
増加を見ております。
その他につきましても同様な方法でありまして、結局申告
所得税におきましては、全体といたしまして六割二分の課税
所得の増を二十三年に比較いたしまして見ております。それに対しまして、あとは先程勤労
所得税について申上げましたと同じ方法で、今度の新らしい税制に基きまする各種の控除並びに税率、或いは改正になりました幾多の
事項を織込みまして、それぞれできる限り正しい税額を算出いたしたのであります。そのプロセスは、挙げて
説明書にございますので、詳しく申上げないのでございますが、納税人員等におきましても相当な減になりますが、税額におきましては、結局本
年度の大体見込額といたしましては、農業
所得分が二百二十一億、営業の分が千二十九億、全部合せまして千五百三億五千百万円という
予算額を計上いたしたのであります。そのうち繰越の分が相当入
つておりまして、全体といたしまして四百二十三億円
程度、本
年度分から来年へ繰越す見込でありますが、その六五%が二十五
年度中に入るものと見込みまして、その額を二百七十五億円
程度と見込んでおります。従いまして千五百三億円から二百七十億円を差引きました千二百二十七億円という
数字が、来
年度の本来の
所得税の
収入見込額であります。これも
数字に示しておりまするように、それぞれ来
年度の賦課見込額に対しまして、徴収歩合をそれぞれ乗じまして、全体として七四%来年に入るものとして
計算いたしております。大体今までの
計算の方法とこれは同
程度でございます。
尚御参考までに、
昭和二十四
年度の補正
予算におきましては、前回も御
説明申上げたかと思いますが、大体農業
所得税は、二十四
年度におきまして四百十九億円
程度入るものと
計算いたしてお
つたのでございます。営業
所得税は千百億円、全部合せまして千七百億円
程度を見込んでお
つたのでありますが、二十四
年度の補正
予算は、二十三
年度の完全な税務
統計ができる前でありましたので、スタートの基礎が若干違
つておることを申上げて置きたいと思います。結果におきまして、今申上げたようなことに相成
つておるのであります。
尚その次は
法人税でありますが、
法人税もやはり大体同様に
昭和二十三
年度分の税務の
統計を基本にいたしまして、その後における生産、
物価の増並びに把握の増等をできる限り正確に
見積りまして、それによ
つて計算いたしております。大体八割七分
程度の課税
所得の増を最後において見込んでおります。それに対しまして改正税法を盛り込んだのであります。超過
所得税は四月以後の事業
年度分から
廃止します。
清算所得税も四月以後の解散、合併の分は
廃止します。普通
所得税は従来
通り三五%、但し新たに再評価を行いますので、それによります減価償却の増による利益の減も相当見込んでございます。約四百四億円
程度、
昭和二十五
年度分の
法人税は、利益上の再評価によ
つて、課税利益が償却の増によ
つて減るという
計算をいたしております。その他税法の改正によりまして棚卸資産の評価、貸倒準備金といつたような改正を今
予定いたしております。このような
事項全部を
計算いたしまして、結局において課税
所得総額を千四十一億円と見まして、それに税率を適用して
計算いたしております。
特別
法人税につきましても同様な方法であります。利益の
増加は、若干内輪に見ております。そういたしまして結局全体といたしまして、
昭和二十五
年度の
法人税が何パーセント入るか、それから前からの繰越の分、それぞれ適当のパーセンテージを算定いたしまして
法人税を見積つた次第であります。
尚相続税、
富裕税、それからその他につきましても、同様にできる限り正確な
見積りをいたしたのでございますが、相続税につきましても、これもやはり同じように、
昭和二十三
年度における相続税と贈与税の課税実績を基にいたしまして、その後における
財産価格の
増加並びに税率の
増加等を一方におきましては見込みますと同時に、他方におきまして、今回は根本的な改正になるますが、成るべく各改正
事項に適用する
事項を、それぞれ仔細に検討いたしまして
見積りいたした次第でございます。そういたしまして結局
昭和二十五年以降の相続税の分が幾らあるかということと、それから本
年度からの繰越が相当ございますので、それを両方入れまして
合計額三十一億円を見込んだ次第であります。それから
富裕税につきましても同様にこれは新らしい税でございますので、
富裕税の資料だけは今までないわけでございますが、大体
財産税の課税の際の資料がございますので、その資料を基にいたしまして、その後における
価格の値上りと、
財産税納付による
財産の
減少等をそれぞれ差引き、或いは加算いたしまして
計算いたした次第であります。それによりまして大体本
年度申告によ
つて七六%
程度が集まる
計算をいたしまして、二十億二千五百万円という
歳入を計上いたしたのであります。人員等もなかなか調査が困難でございますが、大体四万人
程度を見込んでおります。納税人員は、これは表にはすべて示してあります。
それから再
評価税につきましては、これもやはり最近の法人の張簿
価格の調査で分
つておりますが、それに対しまする大体の今度の再評価に基きまする倍率を適用いたしまして、それの大体再評価を行いますものは、現在の半分
程度、平均して行われるだろうということで一応税額を算定し、それに対しまして更に今回シヤウプ案に対しまして修正を加えまして、その納期につきましても、全体の六%の二分の一は最初の一年に納めさせることにいたしていたのでありますが、これを若干、利益の少い法人につきましては、五ケ年間に延納を認めることにいたしました。それから再
評価税も事業
年度と合せて納付の時期を決めることにいたしましたので、そういう点からいたしまして約三分の一
程度は、来
年度以降に延納が認められるという前提にいたしまして
計算をいたしております。法人につきましては、さような
計算で算定いたしました
数字が、全体で百四十五億円
程度ございます。尚個人につきましてもこれはなかなか精細な資料が困難でございますが、各種の資料からできる限り正しい一応の再評価額というものを
計算し、実際において再評価でやる額は相当内輪目にやるものと考えまして、それぞれ再
評価税を
計算いたしております。尚同様に、讓渡相続の場合の讓渡
所得税に対応するところの六%の讓渡再
評価税、これにつきましてもやはり同様な方法で
見積りまして、全体としまして、個人分といたしまして十三億八千万円
程度見込んでおるわけでございます。両者を合せまして百五十九億円の再
評価税を見込んでおります。
それから尚酒税につきましては、これも詳細に書いてありまするが、原料は米が四十三万三千石、大麦が二十四万一千石、甘藷が一億二千五百万貫、この
程度が原料として入手確保できるという前提の下に、各種酒類の生産をそれぞれ予想いたしまして
計算いたしております。その内訳も詳細にすべて
説明にございますから、
説明を省略いたしたいと思いますが、特に御注目願いたいのは、燒酎が大体
増加いたしまして、確か
昭和二十三
年度程度あたりは自由販売の燒酎は極く僅かであ
つたのが、
昭和二十五
年度の
予算におきましては約七十六万石
程度自由販売だけに見込んでおります。配給は十七万石
程度でございますから、合せますと九十三万石
程度見込んでおりまして、これが
増加しましたので酒税の
収入の殖えます最も大きな原因に
なつております。尚ビールも若干数量が殖えますので増収になる見込であります。
今回の税制の改正は一つは
地方税でありますところの酒の
消費税を統合したのでございます。それが
取引高税が
廃止に
なつて附加価値税が設けられたわけでございます。その辺を一応考慮するという
考え方と、尚若干増税するという
考え方に立
つて計算しておるのでございますが、増収額の大部分はむしろ酒類の増産による
増加額でありまして、純粋の
増加による分は三十億弱と見ております。尚これは後程適当な機会に正確な
数字を申上げたいと思いますが、大体さような見方でございます。
以下砂糖
消費税、
揮発油税、
物品税、その他につきましては、それぞれ最近の課税実績等を基にいたしまして
見積りいたしております。
通行税も同様であります。
尚関税につきましても、若干改正すべく目下法案を総
司令部との間に協議中でございまして、その法案が実現しますならば、この
程度の
収入はできると考えておる次第でございます。
大体以上で主な
事項を申上げた次第でございます。尚細目の点につきましては、将来適当な機会に御
説明申上げたいと思います。