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1950-05-02 第7回国会 参議院 本会議 第50号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年五月二日(火曜日)    午前十一時五十四分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第四十八号   昭和二十五年五月二日    午前十時開議  第一 地方税法案両院協議会協議委員選挙  第二 国会議員選挙等執行経費基準に関する法律案内閣提出)(委員長報告)  第三 つむぎ等の輸入税を免除する法律案衆議院提出)(委員長報告)  第四 相続税法の一部を改正する法律案衆議院提出)(委員長報告)  第五 予算執行職員等責任に関する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第六 船主相互保險組合法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第七 司法書士法案衆議院提出)(委員長報告)  第八 消防法の一部を改正する法律案衆議院提出)(委員長報告)  第九 商工会議所法案衆議院提出)(委員長報告)  第一〇 経済調査庁法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一一 農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一二 政府に対する不正手段による支拂請求防止等に関する法律を廃止する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一三 懲罰制度及びその慣行等に関する調査に関する件(委員長報告)  第一四 小笠原島民の帰郷に関する請願委員長報告)  第一五 在外公館等借入金支拂促進進に関する請願委員長報告)  第一六 阿波丸代船取得援助措置に関する請願委員長報告)  第一七 特別都市計画事業費地元負担金に対する起債認可請願委員長報告)  第一八 補正予算公共事業費全額起債認可に関する請願委員長報告)  第一九 宮城県債償還延期および利率引下げに関する請願委員長報告)  第二〇 平衡交付金制度に関する請願(二件)(委員長報告)  第二一 平衡交付金法案中一部修正に関する請願委員長報告)  第二二 積雪寒冷地平衡交付金に関する請願委員長報告)  第二三 地方財政法第十一條経費全額国庫補助に関する請願委員長報告)  第二四 地方公務員給與改訂に関する請願(二件)(委員長報告)  第二五 地方公務員給與ベース改訂に関する請願(十五件)(委員長報告)  第二六 在外公館等借入金返還に関する陳情委員長報告)  第二七 公館借上金の円元同額換算支拂に関する陳情委員長報告)  第二八 在外公館借入金支拂促進に関する陳情委員長報告)  第二九 災害復旧費償還金全額国庫補助に関する陳情委員長報告)  第三〇 北海道に対する平衡交付金制度運用陳情委員長報告)  第三一 積雪寒冷地に対する平衡交付金適正配分等陳情委員長報告)  第三二 地方公務員給與ベース改訂に関する陳情(二件)(委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 諸般の報告朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、地方税法案両院協議会協議委員選挙議題といたします。協議委員の数は十人でございます。
  4. 中村正雄

    中村正雄君 只今議題となりました両院協議委員選挙は、成規の手続を省略いたしまして、その指名を議長に一任するの動議提出いたします。
  5. 門屋盛一

    門屋盛一君 只今中村君の動議賛成いたします。
  6. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 中村君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。両院協議委員氏名参事をして朗読いたさせます。    〔佐藤参事朗読〕  地方税法案両院協議会協議委員    三木 治朗君  岡田 宗司君    中村 正雄君  中井 光次君    木内 四郎君  岩木 哲夫君    佐々木良作君  楠見 義男君    木村禧八郎君  岩間 正男君    〔拍手
  8. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これより直ちに両協議委員の正副議長選挙せられんことを願います。      ——————————
  9. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第二、国会議員選挙等執行経費基準に関する法律案内閣提出)を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。選挙法改正に関する特別委員長小串清一君。    〔小串清一登壇拍手
  10. 小串清一

    小串清一君 只今議題となりました国会議員選挙等執行経費基準に関する法律案につきまして、選挙法改正に関する特別委員会における審議経過並びに結果について御報告を申上げます。  この法案提出せられました趣旨は、現在、国会議員選挙最高裁判所裁判官国民審査執行に関する事務は、国の事務でありながら、その大部分都道府県選挙管理委員会又は市町村選挙管理委員会に委任して行なつておるのであります。従つてこれらに要する経費も国で負担することになつているのでありますが、その配分につきまして明確なる基準を設けていなかつた関係上、選挙執行に際しまして経費配分についていろいろの問題が生じて来たのであります。従いまして法律を以て一定基準を定め、その選挙において支出することができる経費を明確にして置くことは、問題の発生を未然に防止し、選挙の適正円滑なる執行を確保するために必要であるというのであります。本法案内容簡單に申上げますと、本法案は、国会議員選挙最高裁判所裁判官国民審査、及び日本国憲法第九十五條の規定による投票執行の場合における投票所経費開票所経費選挙会及び選挙分会経費選挙公報発行費候補者氏名等掲示費演説会施設公営費立会演説会費新聞広告公営費ポスター用紙費用及び事務費につきまして、国が負担する経費基準をそれぞれ詳細に定めたものであります。  次に本委員会におきまする主な質疑について申上げますと、事務費等配分について、原案によれば、五大市の区と一般の市との間の配分金額に非常なる差異があるので、大都市に厚く中小都市に薄いという極めて不平等な結果となる虞れがあつたのであります。その算定の基準を何に求めたか等について、政府委員との間にいろいろの論議が交されたのであります。  次いで質疑を打切りまして討論に入りましたところ、鈴木委員より、只今お手許に配付してございますような修正案提出せられました。又同委員より原案の不公平を指摘してこれを是正した詳細な説明がありまして、外に発言がありませんので、直ちに採決に入つたのであります。先ず修正案について採決いたしましたところ、多数を以てこれを可決しました。続いて修正部分を除く原案について採決いたしましたところ、これも多数を以て可決されました。よつて本案修正議決されたのであります。  以上御報告申上げます。(拍手
  11. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長報告修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  12. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案委員会修正通り議決せられました。      ——————————
  13. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程第三、つむぎ等の輸入税を免除する法律案日程第四、相続税法の一部を改正する法律案、(いずれも衆議院提出、)日程第五、予算執行職員等責任に関する法律案日程第六、船主相互保險組合法案、(いずれも内閣提出衆議院送付)、以上四案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。大蔵委員会理事波多野鼎君。    〔波多野鼎登壇拍手
  15. 波多野鼎

    波多野鼎君 只今議題となりましたつむぎ等の輸入税を免除する法律案委員会における審議経過並びに結果を御報告いたします。  沖繩大島等で生産される「つむぎ」及び上布は、従価十割輸入税が課せられておるため、輸入は殆んど不可能な状態にありますので、これが輸入円滑化を図るために、諸種の事情を考慮し、昭和二十六年十一月三十一日まで輸入税を免除しようとするものであります。委員会審議に当りましては熱心なる質疑がなされたのでありますが、詳細は速記録によつて御承知願います。かく質疑を終了し、討論に入り、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定した次第であります。  次に議題となりました相続税法の一部を改正する法律案委員会における審議経過並びに結果を御報告いたします。  相続税法によりますと、「政治資金規正法(中略)第四條に規定する公職候補者選挙運動に関し贈與に因り取得した金銭で同法第二十八條の規定による報告がなされたもの」は非課税となつておりますが、今回、公職選挙法施行及びこれに伴う関係法令整理等に関する法律施行せられましたため、この規定が効力を失うこととなりましたので、従来通りこれを非課税とするため、相続税非課税に関する規定を整理しようとするものであります。本案審議経過の詳細は速記録によつて御承知願いたいと存じます。かへて質疑を終了し、討論採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に議題となりました予算執行職員等責任に関する法律案委員会における審議経過並びに結果を御報告いたします。  本法律案は、国及び公団等予算執行職員法令又は予算に違反した支出等行為をすることを防止し、予算執行の適正を期するため、これらの職員に対する弁償責任等制度を確立しようとするものであります。  本法律案要点を申上げますと、先ず第一はこの法律適用を受ける職員範囲についてであります。この法律適用を受ける職員は、支出負担行為担当官支出官等、国の予算執行関係ある者の外、これらの者の事務を取扱う都道府県又は特別市の吏員及び右の者の補助者となつており、尚、公団等職員にもこの法律が準用せられることとなつております。第二は弁償責任についてであります。右に申述べました職員は、故意又は重大な過失により法令又は予算に違反して支出等行為をなしたため国に損害を與えた場合に、弁償の責に任ずべきものとせられており、責任者が二人以上の場合は、その職分と損害発生寄與した程度に応じ弁償の責に任ずべきものとせられております。その他、弁償責任検定及び再検定弁償命令弁償責任減免等についても、それぞれの規定が設けられております。本案審議経過の詳細は速記録によつて御承知願いたいと存じます。かく質疑を終了し、討論採択の結果、全会一致を以て衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  次に議題となりました船主相互保險組合法案委員会における審議経過並びに結果について御報告いたします。  船舶等海上保險の現状を見ますと、木船保險組合の解散した今日では、危險率の高い木船は殆んど無保險状態であり、又大型鋼船船主船舶の運航に伴つて負担する費用及び責任についても、損害保險会社で引受け得ない範囲が少からずありますので、新たに船舶所有者間における相互保險制度を設けてこれに対処しようとするものであります。内容について申上げますと、第一に、本案によつて設立される組合は、漁船を除く木船所在者又は賃借人よりなる木船相互保險組合と、鋼船所有者又は賃借人よりなる船主責任相互保險組合二つに限定されております。第二に、組合を設立するには、出資総額二百万円以上、組合員数十五人以上、保險目的たる船舶数、百隻以上で、且つ主務大臣認可を受けねばならないことになつております。第三に、組合主務大臣認可を受けて保險金の削減及び保險料の追徴ができる半面、剰余金の分配もできることになつており、第四に、組合機関、計算、解散及び清算については、概ね保險業法及び商法の規定を準用する外、事業者団体法適用の排除及び法人税の軽減を図るため、これらの法律改正をも併せて行わんとするものであります。委員会審議に当りましては熱心なる質疑がなされたのでありますが、詳細は速記録によつて御承知願いたいと存じます。かく質疑を終了し、討論に入り、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定した次第であります。  以上御報告申上げます。(拍手
  16. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採択をいたします。  先ずつむぎ等の輸入税を免除する法律案相続税法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  17. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて両案は可決せられました。      ——————————
  18. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 次に予算執行職員等責任に関する法律案船主相互保險組合法案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  19. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて両案は可決せられました。      ——————————
  20. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第七、司法書士法案衆議院提出)を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。法務委員会理事松井道夫君。    〔松井道夫登壇拍手
  21. 松井道夫

    松井道夫君 只今上程されました司法書士法案につきまして、法務委員会における審議経過及び結果を御報告申上げます。  本法案は大正八年四月十日、法律第四十八号、司法書士法を、新憲法の精神と現下の実際に適合するよう全面的に改正するため、衆議院によつて立案せられたものであります。改正の主なる点は、先ず司法書士に対する官庁の全面的監督を廃止し、ただその認可懲戒の面において監督権を行使することにとどめこととしい、新たに各種違反行為に対する罰則を設けて法の遵守を確保することにいたしました。その他、司法書士会及びその連合会等に関する規定認可の不許可及び懲戒に関する聽問の規定等を新設いたしました。  委員会におきましては愼重審議いたしましたが、その詳細は速記録によつて御了承願うことにいたします。尚、本法案附則第八項に立法技術上明らかに誤謬と認められる点がありましたので、これは訂正することといたし、その旨の修正案大野委員より提出せられたのであります。委員会におきましては、修正案及び修正点を除くその余の原案全部につき採決いたしましたところ、いずれも全会一致を以て可決すべきものと決定いたしました。  右御報告いたします。(拍手
  22. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長報告修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  23. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て委員会修正通り議決せられました。      ——————————
  24. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第八、消防法の一部を改正する法律案衆議院提出)を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。地方行政委員長岡本愛祐君。    〔岡本愛祐登壇拍手
  25. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 只今議題となりました消防法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審議経過並びに結果を御報告申上げます。  本法案衆議院提出にかかるものでありまして、昭和二十三年七月消防法制定以来、約二ケ年間における同法施行の経験に鑑み、その運用を一層円滑ならしめるために若干の改正を行おうとするものであります。而して本法案内容中、主要な数項目につきましては、すでに第二国会における消防法制定の際、参議院において修正を加えんとしたものであります。併し当時、会期切迫等のため、憲法第五十九條第二項の規定によつて衆議院において出席議員の三分の二以上の多数で衆議院原案が再可決されたために、本院の修正は成立するに至らなかつたのでありますが、今回その大部分が本法案の中に取入れられております。  次に改正要点を説明いたしますと、その一は、火災発生の虞れが著しく大であるため、特に緊急の必要がある場合には、消防長若しくは消防署長又は市町村長責任の下に、消防職員又は消防団員関係者の承諾なくして、並びに予告なくして、個人の住宅その他に立入つて検査する等、消防員火災防上の活動範囲を拡充するものであります。その二は、消防本部を置かない市町村における消防団長消防活動上の権限を明確にし、実情に即せしめたのであります。即ち消防団長は、消防長消防署長と同様に、延燒防止のため真に止むを得ないと認めるときは、延燒の虞れがある消防対象物及びこれらのもののある土地使用し、処分し、又はその使用を制限し得ること、並びに消火、延燒防止又は人命救助のため緊急の必要があるときは、その他の消防対象物及び土地使用し、処分し、又は使用を制限することができるのであります。その三は、消防長又消防署長は、現行法火災原因調査及び損害調査に当つて物的調査の権能を與えられておりますが、この法律を以て更に一定質問権を與えて、人事調査ができるようにすると共に、放火、失火の被疑者又は証拠物について、事件が警察から検察官に送致せられるまでは、その被疑者に対し質問をし、又はその証拠物につき調査することができるようにするのであります。その四は、市町村長火災警報を発し得る場合を拡張して、みずから気象の状況が火災予防止危險と認めるときにも火災警報を発し得ることといたしております。その五は、国家消防庁が勧告し得る範囲を拡げまして、消防用機械器具、設備の規格についての外に、防火塗料防火液その他の防火薬規格についても勧告し得ることとし、又国家消防庁は要求があるときは、これらのものに関して検定を行うことができること、及び検定手数料について新たに規定を設けております。その六は、危險物貯蔵取扱等に関する規定を整備し、又日出前又は日沒後において取扱い得る危險物の数量について、この法律を以て規定いたしております。その七は、消防自動車サイレン使用を、火災の現場に出動するとき及び訓練のため特に必要のあるとき、一般に公告したときに限つて認めると共に、現在の消防自動車の時速は六十キロを超えてはならないという制限規定を撤廃して、その速度を道路交通取締法に基く規制に従わせるように改めております。以上の諸点の外、罰則その他について若干の改正を行うと共に、條項の排列及び字句の整備を図つております。  地方行政委員会におきましては、本法案の付託以来、衆議院側との間に質疑応答を重ねてこれが審議を行い、五月一日、討論採決の結果、全会一致を以て本法案原案の通り可決すべきものと決定いたしました。以上御報告をいたします。
  26. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  27. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  28. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第九、商工会議所法案衆議院提出)を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。通商産業委員長深川榮左エ門君。    〔深川榮左エ門登壇拍手
  29. 深川榮左エ門

    深川榮左エ門君 只今議題となりました商工会議所法案について、通商産業委員会における審議経過並びに結果を御報告申上げます。  本案衆議院議員星島二郎君外八名の提案はかかるものでありまして、その目的を申上げますと、商工業改善発達を促進し、併せて社会一般福祉増進を図るために、その基準となるべき法律として制定し、これによつて商工業者又は商工業改善発達に寄與しようとするものであります。  その内容を御説明いたします。第一に、在来のように商工業改善発達のみならず、社会一般福祉増進をも目的として活動範囲を拡げたこと、第二に会員の任意加入、脱退を認めたこと、第三に、全国的又は都道府県ごと商工会議所の連合体の設立も認めたこと、第四に名称の独占権を與えたこと等であります。  本委員会におきましては、本案に関し愼重に審議いたしました結果、適切なる措置であるとして、質疑終了後、討論を省略して採決いたしましたところ、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。以上簡單に御報告申上げます。(拍手
  30. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  31. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  32. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第十、経済調査庁法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。内閣委員長河井彌八君。    〔河井彌八君登壇拍手
  33. 河井彌八

    河井彌八君 経済調査庁法の一部を改正する法律案について委員会審査経過並びに結果を御報告申上げます。  この法律案は、経済事情の推移に即応して経済調査庁任務及びその機構等規定に必要なる改正を加えんとするものである。その第一点は、経済調査庁任務の重点を改めたことであります。即ち従来は経済統制の円滑なる励行を確保することを目的として参りましたが、今度は経済統制範囲にとどまらず、経済関係法令一般の円滑なる運営を確保することに改める、つまり両者を遂行するということに改めると共に、新たに特別調達庁公団日本專売公社及び日本国有鉄道業務調査及び経理監査を行うことができることとし、又その監査の結果を関係行政機関に対して勧告をなし得る規定を設ける等、監査の面に一段と力を注ぐこととしたことであります。第二点は、先に両院を通過した経済安定本部設置法の一部改正と相待つて経済調査庁地方機関たる管区経済調査庁を、経済安定本部の他の地方機関と共に、新たに設置する管区経済局に統合し、又都道府県にある地方経済調査庁地方経済調査局と改称したことであります。この二つが主なる要点である。  而してこの改正によりまして、定員三千七百十九名から千六十六名を減じまして、二千六百五十三人とするとのことである。而して経費は大体二十四年度の予算において約十億円であつたものが二十五年度において約八億円となる見込であります。  この法律案は、先に衆議院において一部修正を加えた点があつたのでありまして、その修正点の一は「第一條の二 経済調査庁は、前條に規定する事務の外、特別調達庁及び法令による公団業務調査及び経理監査を行うことができる。」という政府原案但書を加えて、「但し、特別調達庁については、一年間を限り行うものとする。」という修正があつたのであります。  本委員会におきましては、前後五回に亘りまして愼重審議を重ねたのでありまするが、只今申述べました衆議院修正、即ち特別調達庁監査は一年を限つて行うことができるという但書の点につきましては、十分審議を盡しました結果、各委員とも衆議院修正は不適当であるという結論を得まして、その結論に基きまして一年間を限つて行うものとするというこの但書を削るとの修正をいたして、全会一致を以て修正可決すべきものと議決をした次第であります。  この質疑応答の中で若干の点を申上げますると、経済調査庁の行う調査監査目的、或いはその法律上の性格はどうであるかという点、それから会計検査院の行う会計検査との異同は如何かという点、又何故に特別調達庁について調査監査を行うかという点について、いろいろ質疑があつたのであります。そしてこの修正至つた理由につきましては、これは占領行政が行われておる間は特別調達庁というものは存在するのである。それが存する限りは調査監査ということは引続いて行われるべきものである、即ち一年とこれを限る理由はないということをはつきりとしたのであります。尚、最近このいろいろ問題になつておりまするところの各種公団の業務経理の面におきまして、経済調査庁当局から調査の状況を詳しく聽取いたしたのでありまして、そうしてそれに対して委員から熱心な質疑を行なつたのであります。そこで極く概要を申上げて置きたいと思います。  これは結局公団の国家機能として非常に大切なものであるに対して、甚だ紊乱しておる事項が多いということを内閣委員が深く憂慮したからであります。そこで調査庁が監査を進めております公団は、配給公団が五つ、貿易公団二つ、及び産業復興公団というその八つの公団でありますが、各公団を通じて問題の所在を概括いたしますると五つの点があります。即ち第一には運賃、保管料、包裝諸掛り等、用役費支拂の問題、第二には金利操作の問題、第三には保險を附する操作の問題、第四には売掛金の整理回收の問題、第五には在貨の正確なる把握の問題であります。  第一の運賃は、保管料、包裝諸掛り費等の用役費支拂の問題につきましては、運賃は昨年の下半期以来市場の賃率がマル公の下を廻りまして、二割乃至三割下つておるに拘わらず、各公団はいずれもマル公を基準とすることになつております。そうして中にはこの辺の消息を利用いたしまして、下請会社に請負わせて莫大な鞘取りをやつておるという事実もあるのであります。但し肥料公団は市場の実勢をよく見分けまして、二十三年度下半期の半年の間に運賃の操作面だけで十億円の黒字を出したという、こういう著しいことがあるのであります。  第二の金利操作の面につきましては、公団は多く巨額の手許金を保有しておりまして、これをば無利子の当座預金として預けておるのであります。ところが一方復金の借入の短期負債の償還を見送つておるという事実がある。或いは政府へ納付すべき納金の納付を怠つておる向も少くないという事実があるのであります。  第三の貨物の運輸保險の問題でありますが、公団発足以来、支拂保險料の総額は十二億円に達しておりますが、受取保險料は約一億八千万円である。そうしてその求償率は一五%に過ぎない、従つて十億円余りの保險料は掛け捨てになつておるという事実があるのであります。これを公団を含めました一般市場の積荷運送保險の求償率三五%と比較いたしますと、如何にも冗費的の支出が多いと言わざるを得ないのであります。本来公団の取扱物資は大量でありますが、これは全国に分散管理されておるので、勢い危險率も広く分散されておるわけであります。従つて最近四月一日からは一齊に自家保險積立金制に移つて行くことになつたというのであります。  第四の売掛金の整理と回收の問題につきましては、昨年九月末に売掛金残高は九十億に近い、かような多額である。而も延滯利子は或いはこれを徴收し或いはこれを徴收しない。区々であります。そうしてその利息も又高低さまざまになつて、非常な乱雑を極めております。公団経理は申すまでもなく現金取引が原則であつて、売掛はできない建前であるのでありまするが、最近の経済情勢におきましては、公団と雖も売掛金の絶無ということは期し難い点があると思われますが、かような多額の売掛金の累積を生じておることは、公団業務の操作面、経理面において何か欠陷があるのではないかと心配いたされる次第であります。売掛金の整理回收ということは何と申しても公団が当面しておる重大な問題であるのであります。  第五の在貨の把握即ち未処分貨物の質と量の正確な調査は、近く廃止を予想されるところの各公団事務整理の上に急速に整備すべき問題であることは言を待たないのであります。政府におきましては、本年二月末から三月初めにかけまして、閣議において公団問題を審議いたし、経済調査庁監査所見に基いて応急の措置を講じつつあるというのであります。内閣委員会公団と雖も国家行政組織の重要なる一部分でありまするから、重大な関心を持つて政府の今後における措置を監視いたすことにいたしまして、委員会としては必要な調査を更に行うということを考えておる次第であります。  これを以て報告を終ります。(拍手
  34. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長報告修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  35. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案委員会修正通り議決せられました。      ——————————
  36. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第十一、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。農林委員会理事羽生三七君。    〔羽生三七君登壇拍手
  37. 羽生三七

    ○羽生三七君 只今議題となりました農林水産業施設災害復旧事業資国庫補助の暫定措置に関する法律案について、農業委員会における審議経過並びに結果について御報告申上げます。  農林省の提出にかかる資料によりますと、昭和十八年度以降昭和二十四年度までの七年間における風水害、雪害、震災、鉱害等の災害によつて、災害復旧補助事業の対象となつたものは、農地及び灌漑、排水施設、農業用道路等いわゆる農業用施設を合して、復旧事業注総額は約五百九十五億円、林地荒廃防止施設及び林道関係で約四十七億、漁港関係で約三十三億、総計約六百七十五億に達しております。この復旧事業費に対し昨二十四年度までに国庫より約百十四億の補助金が交付せられ、付続事業として本年度予算においても公共事業費中に約七十九億円が計上せられておるのでありますが、御承知の通りこれらの農林水産業施設災害復旧事業に対する国庫補助は、従来は單なる補助要綱に基いて行われていたのでありますが、今回これを法制化するために本法案を制定するものであります。  従いましてこの法案は概ね従来の補助要綱の内容をとり、これに若干の補正を加えておるのでありますが、農地、農業用施設、林業用施設及び漁港施設に関する災害復旧事業に対し、補助の対象及び補助率を明かにいたしますと共に、国庫補助を行う上に必要なる種々の條件、例えば国庫補助と併せて当該地方公共団体の補助をも必要とする等の條件をも明かにしておるのであります。尚、国庫補助率は、農地は五割、農業用の施設は六割五分、林道五割、林地荒廃防止施設は三分の二、漁港施設については都道府県施行するものは六割五分、市町村又は水産協同組合施行するものは四割五分と定められ、これらの補助率は概ね従来通りでありますが、南海震災、新潟の融雪、地すべり等の災害補助事業で、これらの補助率より高い補助率が適用され、本年度においてもその事業が継続せられるものについては、本法の附則において特別の除外が設けられておるのであります。  要するにこの法案は、災害復旧について国の行う補助の対象、基準内容等を明確にし、国の政策を法律上闡明いたしますると共に、一は以て農山漁民に安心を與え、又災害復旧の確保に資せんとするものであります。  本案に関する委員会審議に際しましては、本案に漁港施設が含まれておりますので、本来は水産委員会と連合審査をいたすべきでありましたが、会期切迫の折柄その時間的余裕がありませんでしたので、便宜水産委員会の專門員の出席を得まして、政府側との間に種々質疑を重ね、又水産委員会の意向を明らかにして頂いたのでございます。又委員外ではありますが、久松定武君より、先般本院で決議せられました南海震災復興事業、特に愛媛県の復興事業に関して政府側との質疑応答がありましたが、これらの詳細は遺憾ながら会議録によつて御覧を頂くことにいたしたいと存じて、これを省略さして頂きます。右の外、委員会で特に問題になりましたのは、災害復旧補助事業の拡充強化、補助率の向上、資金融通の確保等でありまして、なかんずく補助率の点につきましては、シヤウプ勧告の次第もあり、又一般土木事業に対して全額国庫負担が行われておるに拘わらず、ひとり農林水産業には一部国庫負担しか行われておらないという点につきまして質疑が重ねられましたが、これにつきましては政府としては、道路、河川の災害のごとき場合とはその公共性において大分趣きを異にしており、即ち農林水産業については大体受益者も判然としておるので、財政上の関係もあり、一部国庫負担を適当とするとの趣旨の答弁がありました。  質疑終了後、採決の結果、本法案全会一致を以て衆議院送付原案通り可決すべきものと決定いたした次第でございます。  右御報告申上げます。(拍手
  38. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  39. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  40. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第十二、政府に対する不正手段による支拂請求防止等に関する法律を廃止する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。労働委員長原虎一君。    〔原虎一君登壇拍手
  41. 原虎一

    ○原虎一君 只今議題になりました政府に対する不正手段による支拂請求防止等に関する法律を廃止する法律案につきまして、委員会におきまする審議経過並びに結果を御報告いたします。  先ず提案の理由並びに法案内容について申上げます。政府に対する不正手段による支拂請求防止等に関する法律は、昭和二十二年九月十二日連合国最高司令官から発せられました政府支拂の削減に関する覚書に基き、適正なる価格、賃金によつて政府支拂を行い、支出の削減を図るため制定されたものでありまするが、最近におきまする価格統制の相次ぐ撤廃によつてこの法律の存続を必要としなくなりましたと共に、本年一月四日附連合国最高司令官から先の覚書を廃止する旨の覚書が発せられましたので、この法律を廃止せんとするものであります、併しながら従来この法律適用を受けておりました政府直傭の連合軍関係労務者及び公共事業関係労務者に対しましては、一般職種別賃金を支拂う必要がありますから、これに関連する範囲内における規定は、国等を相手方とする契約における條項のうち、労働條件にかかるものを定めることを目的とする法律が制定されますまで、その効力を有せしめんとするものであります。  委員会におきましては愼重に審議をいたしまして質疑応答を重ねたのでありますが、その主たるものを申上げますと、国等を相手方とする契約における労働條項規定する法律の制定時期及びその内容についての質問に対しまして、法律案は次期の国会提出すること、並びにその内容は、一九四九年即ち昨年の国際労働條約及び米国の公契約法等に準拠して、国等を相手方とする契約中には、労働時間、休憩、休日、安全、衛生等に関する既存の法令を遵守する義務を明記すること、賃金は少くとも一般職種別賃金を支拂わしめること、及びこれらの契約條項に違反した者に相当の罰則適用すること等を含む旨を政府から答弁いたしております。かく質疑を終了いたしまして、討論に入りましたが、別に発言もなく、採決に入りましたところ、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。  御報告申上げます。(拍手
  42. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  43. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます、よつて本案は可決せられました。      ——————————
  44. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第十三、懲罰制度及びその慣行等に関する調査に関する件、委員長報告を求めます。懲罰委員長太田敏兄君。     —————————————    〔太田敏兄君登壇拍手
  45. 太田敏兄

    ○太田敏兄君 懲罰制度及びその慣行等に関する調査につきまして、その概要を御報告申上げます。懲罰権の問題につきましては、先に懲罰権適用範囲に関する調査を行い、一応その報告をいたしましたのでありまするが、更にその後、懲罰権の運用に関しまして種種の疑義を生ずるに至りましたので、昨年十一月十六日、議長の承認を得まして、懲罰制度及びその慣行等に関する調査を開始いたしたのであります。本調査に関しましては、委員会を開くこと三回、外に米、英その他欧洲各国の議会制度に関する資料をも広く蒐集いたしまして、又今春本院の渡米議員団に依頼いたしまして、アメリカにおける制度及びその慣行を調査して貰うなどいたしまして、鋭意調査を進めたのであります。ただ遺憾でありましたのは、アメリカを除きまする他の欧米諸国に関する資料は最近のものを入手することができないで、従つていずれも戰前の資料によらざるを得なかつたことであります。今その調査の大要を御報告申上げます。  由来、懲罰権は議院の自律権のその基礎を置くものであります。成文的には、憲法第五十八條第二項の「両議院は……院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。」という規定に基くものであります。言うまでもなく国会は国権の最高機関でありまして、他の如何なる権力にも服従することがないものであります。その当然の結論といたしまして、いずれの国にありましても、議院は、その役員を選任したり、会議その他の手続及び内部の紀律に関する規則を定めたり、又は院内の秩序を乱した議員を懲罰したりする権限を有しているのであります。  懲罰の目的は、第一には議院の紀律を維持して、議事の秩序ある進行を図るためであり、第二には、国権の最高機関たる品位を保持して、議院の権威を維持することであります。  又懲罰権の対象となりまする懲罰事由は、第一には院内の秩序を乱すごとき行為であり、第二には議員としての任務を疎かにするごとき行為であり、第三には議院の品位を傷けるごとき行為であり、第四には、議員としての信任に背反するごとき行為であります。尤も同じような行為にいたしましても、それが行われたときの状況により、又はその人により、例えばそれが初めての行為であるか、又は何回も重ねている行為であるか等によつても異なりまするので、一概には申しかねるのであります。  懲罰権の主体は議院であります。我が国におきましては各議院に常任の懲罰委員会が設けられておりまして、懲罰事犯が生じましたときには、議長がこれを懲罰委員会に付託して審査させ、議院の決議を経て懲罰を宣告する仕組みになつており、更にいわゆる懲罰事犯にまで至らない軽度の秩序紊乱行為等につきましては、議長の職権を以てこれを警戒したり、或いは制止したり、或いは発言を取消させたりすることができ、尚、命令に従わないときには、当日の会議を終るまで発言を禁止したり、又は議場の外に退去せしめたりすることができるようになつていることは御存じの通りであります。委員会におきましては、委員長がこれに準じた権限を持つておりますことも、これ又申上げるまでもありません。議長委員長かくのごとき職権を持つてはおりまするが、これは議院の機関としての地位に基き、法律を以て職務上そのような権限を與えられておるからでありまして、議長なり委員長が懲罰権そのものを持つておるわけではありません。懲罰権の所在が議院にありますことは憲法第五十八條第二項の明記するところであります。  懲罰の対象となりまする者、即ち議院が懲罰することのできます者は、我が国の法制におきましては一応その院の議員だけであります。併しこれは、議員にあらざる者は、たとえ議院の秩序を乱しても、又議院に対してどのような侮辱を加えても、議院から罰せられることは絶対にないというのではないと考えます。若しそのような行為をなした者がありました際には、各議院はその自律権を以て、その議員であろうとなかろうと、これを処罰することができるものであると存じます。イギリスの国会のごときは、議員にあらざる者に対しても懲罰権を有し、而してしばしばこれを行使しているのであります。例えば議員の特権侵害行為又は議会に対する侮辱行為、議員の議会における行動に対しての悪質の讒謗、賄賂の提供等に対しましては、それが議員にあらざる者によつてなされたときと雖も、議院はこれを処罰することができるとせられております。  懲罰の方法といたしましては、議場における訓戒、譴責又は拘禁、罰金等を挙げることができます。訓戒及び譴責は、議員に対しましてはその席においてこれをなすのでありますが、議員以外の者に対しましては、議場の入口に設けられてありまする欄(バー)の所において跪坐脱帽せしめ、議長から嚴かに訓戒又は譴責せられるのであります。又拘禁は、宣告の後、議員の場合におきましては、議事堂の時計塔に拘禁せられ、議員にあらざる者の場合には司法行政官庁に引渡されるものであります。尤も罰金は一六六六年以来科せられた例はないということであります。これらの国会の処罰に対しましては、行政官庁も司法裁判所も干渉することができぬことになつているのであります。我が国におきましては、憲法も又国会法も、議院がその議員を懲罰することができると明記してありますが、議員以外の者を懲罰することができるとは明記してありません。勿論懲罰することができないとも定めてはありませんが、法律の解釈といたしましては、一応議院はその議員以外の者を懲罰することはできないと解釈せらるべきであると考えます。併しこの点は将来大いに考慮を要する問題であろうと存じます。  次に議院がその懲罰権を行使するには、時間的に如何なる制約があるかという問題があります。その第一は、懲罰事犯たり得る行為は、会議中においての行為だけに限られるか、又はもつと広くして、会議中ではなくても、議会開会中の行為であるならば懲罰事犯とすることができるか、又は更に広くして、議会閉会中の行為でも懲罰事犯として取上げることができるかという問題であります。その第二は、懲罰事犯として取上げられた問題はその会期中に処置しなければならぬものであるか、又は前の会期中に発生した問題を後の会期において取上げることができるか、若しくは前の会期において未解決となつている事犯を後の会期まで持ち越すことができるかという問題であります。  第一の問題につきましては、それは事犯の性質によるものでありまして、行為によりましては、議会閉会中の行為でも懲罰事犯たり得るものであると考えます。例えば議員の辞表に無礼の言辞があると認めたときは、議長はその辞表を懲罰委員会に付託して審査せしめることができる。これは参議院規則第百九十二條、衆議院規則第百八十八條に規定してあるのでありますが、かくのごとき行為は議会開会中でなくてもできることなのであります。  第二に、懲罰事犯は成るべく早くこれを取上ぐべきものであり、且つ取上げたならば成るべく速かにこれを決定すべきものであると考えますが、併しながら、議院に継続審査制度がありまする以上、懲罰事犯が特に継続審査に付されました場合には、前の会期において未解決となつている問題を後の会期まで持ち越すことも差支ないことであると、かように考えられます。ただ如何なる問題でも、国会期を異にする場合には、これを持ち越すことができないものであると信じます。ただこの国会期を日本の場合如何に解釈するかは今後において研究さるべき問題であると存じます。  次に場所に関する問題でありますが、議院といたしまして是非ともその紀律を維持せねばならぬところは議場であります。この故に議事の行われます本会議の議場や委員会等においてなされました行為が先ず第一に懲罰の対象となりますことは言うまでもありませんが、それは議場や委員会以外で行われた行為は懲罰の対象とはならぬということを意味するものではもとよりありません。殊に議員の不応召や祕密漏洩のごとく、議場の秩序とは殆んど関係のない行為でも懲罰の対象となつているのであります。この故に、懲罰事犯は議場内において行われた行為のみに限定せらるべきものではなく、凡そ議員にして国会法又は議院の議事規則に背いた場合、議場の秩序を乱した場合、議院の品位を傷けた場合には、その行為がいずこにおいて行われたかを問わず問題となり得るものであると考えられるのであります。  これを要するに、議院の有する懲罰権なるものは、憲法上、国会が国家権力の最高機関たる地位を有することの事実に基く固有の権利でありまして、他の機関から議院に対して與えられたものではありません。従つて如何なる権力と雖も議院からこの権限を奪うことはできないものであります。議院からこの権限を奪うことは、即ち議院に対して最高の国家機関の構成者たる地位を奪うことになるのであります。もとよりこの権限は無制限なものではありません。それは、その適用せらるべき範囲についても、又その限度についても、おのずから一定の限界はあるのであります。その限界は、その国の議院の占むる憲法上の地位により、若しくはその沿革により、或いは上下両院関係により、又は各院の構成方法等によりまして異なるものでありまするが、懲罰権そのものは議院の有する固有の権限であつて、奪われることのないものであると信じます。  以上極めて簡單にその要領を御報告申上げました。詳細は別途議院に提出いたしました報告書並びに附属資料によつて御承知をお願いいたします。以上を以ちまして御報告を終ります。(拍手)      ——————————
  46. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程の順序を変更して、日程第十四より第十六までの請願及び日程第二十六より第二十八までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。外務委員長野田俊作君。    〔野田俊作君登壇拍手
  48. 野田俊作

    ○野田俊作君 只今議題となりました請願並びに陳情について外務委員会審議の結果を御報告申上げます。  先ず日程第十四の請願は、過般の戰争中内地に引揚げて参りました約六千名の小笠原島民が再び原住地に帰還したいという請願であります。次に日程第十六の請願は日本郵船会社からの請願でありまして、昭和二十年四月米国潜水艦に撃沈せられた同社所有の阿波丸の代船として貨物船一隻を建造できるよう優先的措置をして欲しいというのであります。次に日程第十五、第二十六、第二十七、第二十八の請願並びに陳情は、いずれも在外公館等借入金の返還促進に関するものであります。  本委員会は以上の各件を審議の結果、いずれも願意を妥当なものと認め、これらを議院の会議に付し、且つ内閣に送付すべきものと全会一致を以て決定した次第であります。  以上御報告申上げます。(拍手
  49. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  50. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ——————————
  51. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程第十七より第二十五までの請願及び日程第二十九より第三十二までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。地方行政委員長岡本愛祐君。    〔岡本愛祐登壇拍手
  53. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 只今議題となりました請願及び陳情につき地方行政委員会における審議の結果を御報告いたします。  請願第四百八十四号、第千三百六十四号、第千八百五十三号及び陳情第四百三十四号は、いずれも地方公共団体の逼迫せる財政事情に鑑み、特別都市計画事業費地元負担金等に対する起債の認可、災害復旧費償還金に対する全額国庫補助、県債償還の延期及び利率を引下げることを要望するものであります。  請願第五百七十号、第千二百四十一号、第千七百七十六号、第千七百七十九号及び陳情第二百七十九号、第三百十四号は、いずれも平衡交付金制度並びにその運用を地方の実情に副つて適正ならしめられたいとの要望であります。  請願第千九百九十二号は、地方財政法第十一條規定する経費については、これを全額国庫負担とし、地方公共団体の現実の負担から免れしめられたいとの要望であります。  請願第七百九十三号外十六件及び陳情第三百五十六号、第三百六十三号、合計十九件の請願及び陳情は、いずれも地方公務員給與ベース改訂を要望するものであります。  以上の請願二十五件及び陳情五件は、いずれも地方財政に関するものでありまして、その趣旨概ね妥当なものと認められますので、これを採択の上、内閣に送付すべきものと決定いたしました。  右御報告いたします。(拍手
  54. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採択をいたします。これらの請願及び陳情委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  55. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情全会一致を以て採択し、内閣の送付することに決定いたしました。  これにて本日の議事日程は全部終了いたしましたが、議事の都合により午後二時まで休憩いたします。    午後一時九分休憩      ——————————    午後二時三十三分開議
  56. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。  参事をして報告いたさせます。    〔海保参事朗読〕  本日委員長から左の報告書を提出した。  国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律案可決報告書  商法の一部を改正する法律案以正議決報告書  競馬法の一部を改正する法律案(衆第二三号)可決報告書  港湾法案可決報告書  外資に関する法律案可決報告書  外資委員会設置法案可決報告書  地方自治法の一部を改正する法律案可決報告書      ——————————
  57. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、商法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。法務委員会理事松井道夫君。    〔松井道夫登壇拍手
  59. 松井道夫

    松井道夫君 只今上程されました商法の一部を改正する法律案につきまして、法務委員会における審議経過及び結果を御報告いたします。  本案は株式会社法に根本的改正を加え、経済界にも重大な影響を及ぼしまする改正案であります。即ち現行商法は明治三十二年に制定せられ、昭和十三年の大改正を経たものでありまするが、終戰後経済民主化の一端として昭和二十三年の改正を経、株金分割拂制度が廃止されましたが、半面、これによつて会社は自己資本のプールを失い、資本調達の困難を来たしたことも又否み難いところであります。而も一方では財閥解体の結果、資本の調達は広く一般国民の投資に待つ外ないのであります。そこで資本調達に便宜な授権資本、無額面株式制度を採用せんとするのが本改正案の主意であります。  この制度及び改正要点簡單に御説明申上げます。  授権資本制度は、御承知の通り資本確定の原則に修正を加え、会社の設立に際して必ずしも株式総数の引受を要するものとせず、総株数の四分の一以上の引受拂込によつて会社は成立するものとし、その余の株式につきましては、会社成立後、そのときどきの資金の需要と経済情勢に応じて、随時取締役会がその権限において必要数の株式を発行し得る制度であり、無額面株式制度は、券面額の定めのない株式を時の市況に応じて適正な価格で発行し得る制度であります。この運営は、時の経済情勢に応じて迅速に事を運ぶいわゆる機動性を重んずる関係上、取締役の良識と才幹に待つこと大なるものがあります。  改正法におきましては、取締役会の設置、新株の発行、監査機関の権限の縮小等、この点に関する諸規定を設けた次第でありますが、これに伴い必然的に取締役会の権限が増大いたすため、他面、株主の保護につき意をいたさなければなりませんので、この点に関し、株式の讓渡の制限禁止を許さぬこととし、新株引受権に関する定めを定款の絶対的記載事項とし、その他、書類閲覽権、代表訴訟、取締役の不当行為差止権、株式の買取請求権等の規定を設けた次第であります。又外国会社、罰則等の規定を整備いたしました。  当委員会は二月二十四日付託を受けまして以来、今日に至るまで回を重ねること二十回、その間二日に亘つて公聽会を開き、又名古屋、大阪、福岡において意見の聽取会を開き、各方面の意見を開き、極めて愼重に審議を重ねました。委員会における質疑その他審議の詳細は速記録に讓ることといたしますが、問題となりました点は、株主の権限を強化いたしました結果、いわゆる会社荒しに利用せられる虞ありや否やの点、株式の讓渡を制限禁止することができなくなりました結果、中小の会社が困難を感じないかどうかという点、又監査制度の廃止の可否、特別総会の議決方法が頗る嚴格に定められておりますので、その可否、新株の引受権を原則として旧株主に認めることの可否等の問題でありました。  審議経過只今申上げた通りでありますが、本案については松井委員より修正案提出されました。修正案要点を申しますと、額面株の最低額を五百円に引上げたこと、特別決議の要件を、原案によりますると、出席株主の議決権の三分の二を以て定め、それが総株数の総議決権の過半数ということになつておりますので、その議決方法を緩和いたしまして、議決権の過半数が出席し、その三分の二を以て議決することに改める点であります。尚その他数点に亘りまして修正の意見が提出されたのであります。  よつてこの修正案及び修正点を除く原案全部につき採決いたしましたところ、全会一致を以て修正点を可決し、それを除く原案を可決すべきものと決定いたした次第であります。  以上御報告申上げます。(拍手
  60. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長報告修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  61. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て委員会修正通り議決せられました。      ——————————
  62. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、港湾法案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。運輸委員長佐々木鹿藏君。    〔佐々木鹿藏君登壇拍手
  64. 佐々木鹿藏

    ○佐々木鹿藏君 只今議題となりました港湾法案について、運輸委員会における審議経過及び結果につきまして御報告申上げます。  従来、港湾の管理行政は、明治初年以来の断片的港湾関係法規並びに行政慣例により行われて参り、従いまして港湾の管理主体も確立されておりませんし、管理権の内容も断片的であり且つ不合理の点が多いのであります。このような不都合な点を解決するため、港湾の管理に関する基本法の制定は港湾関係者の永年に亘る強い要望であつたのであります。このたび提出されました港湾法案は、地方公共団体の自由な意思による港湾管理者の設立その他港湾管理運営の方式を確立し、以て港湾の開発発展を図ることを目的としているのであります。  この法案の主なる点を申上げますと、その一は、港湾の管理運営に関しましては十分地方自治権を尊重いたしまして、地方公共団体の自由意思によつて選択される港湾管理者の形態、その定め方、区域、業務、組織、財政について規定すると共に、国の関與する権限は国全体的の立場から必要な最小限度の條項に限定したのであります。即ち国は港湾管理の第一線から退き、管理者に対し公共的国営港湾施設も移管し、地方公共団体の自由意思により定めました港湾管理者が港湾の開発発展を図ることとなるのであります。その二は、港湾管理者が港湾の有機的発展を図り公共の利益を増進するため、管理者に対し、区域内の工事等について許可権並びに一種の都市計画権等を與えたことであります。その三は、港湾の関発発展の責任を地方に任すことが地方財政の圧迫にならないように、港湾管理者に対し、一定の港湾工事については国がその費用を負担する義務を負うこととし、その他のものについても財政の許す範囲で補助する等、必要な財政策を規定したことであります。  本委員会における審議におきまして、政府委員より説明並びに確言を得ました主なる点は次の通りであります。即ち第一点は、本法案一條規定されている本法案目的は、港湾の開発、利用及び管理とあるが、管理とは港湾の運営をも含む義であること。第二点は、港湾管理者を設立する関係地方公共団体の一つである「予定港湾区域を地先水面とする地域を区域とする地方公共団体」は、市町村を重点的に考えること、第三点は、第十二條の港湾管理者の業務には港湾作業についての業務規定されてないが、港湾施設の管理について、事実上の必要に基いて自然に行われる監督的作業は港湾管理者がやつてもよいが、港湾における行政権の作用、管理者の業務並びに私企業の行為等とも間に尚調整を要する点があるから、本法運用の実績により必要あらば修正措置をとること等であります。  討論に入りましたところ、本法案は閉会間際に提出されたので、尚、愼重審議を要する幾多の問題があるが、その筋の意向によれば、港湾管理者の定められない間は接收港湾の開放が困難でありますので、かかる特殊事情を考慮し、修正すべき点については十分検討し、近い機会に修正措置をとることを強調し、本案賛成する意見が述べられました。  次に採決に入りましたところ、本法案原案通り可決すべきものと全会一致を以て決定した次第でございます。以上御報告申上げます。(拍手
  65. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  66. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  67. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。人事委員会理事宇都宮登君。    〔宇都宮登君登壇拍手
  69. 宇都宮登

    ○宇都宮登君 只今議題となりました国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律案につきまして、人事委員会における審議経過並びにその結果を御報告申上げます。  先ず本法案提出の趣旨について申上げます。御承知のごとく昨年度の行政機関職員定員法の実施に伴う人員整理により退職した職員等に対しましては、特に一般の退職の場合よりは有利な退職手当を支給する措置が講ぜられたのでありますが、本年度におきましても、行政機関職員定員法の一部改正予算定員の減少等のため相当数の整理退職者の出ることが予想されるのでありまして、これらの退職者に対しましても前年度同樣に一般の退職の場合より有利な退職手当を支給することは、退職者の待遇の公平を期するために極めて必要なことであると考えられるのであります。併しながら現行の退職手当に関する根拠法令であるところの昭和二十四年度及び昭和二十五年総合均衡予算の実施に伴う退職手当の臨時措置に関する政令によりましては、前述のごとく一般の場合より有利な退職手当を支給することが不可能でありますので、この際、右の政令を廃止し、新たに法律を以てこれを規定しようとするものであります。  次に本案内容について申上げます。本法案の第一條規定してありますように、昭和二十六年度以降におきましては退職給與に関する新たな制度が制定実施されることとなつておりますので、本法案においては前に申述べました政令の諸規定をそのまま踏襲することとし、ただ本年度における整理退職者等に対しまして、前年度の行政整理の場合と同様に、一般の場合より有利な退職手当を支給し得る旨を規定せられているものであります。  本法案は四月三十日提出せられ、人事委員会付託となり、五月一日、二日の両日に亘つて審議を行なつたのであります。先ず質疑の主なるものを説明いたしますと、退職手当の基準は、昭和二十四年度の予算上の特別の理由に基いて制定せられたものをそのままその内容とするものであるが、この点、政府としては退職手当を法律化するに当つて他に考慮の余地はなかつたのかとの質問があり、これに対して政府側より、本法案は第一條にも規定するごとく暫定的な基準を定める臨時措置にとどまるものであつて昭和二十六年以降においては別に法律を以て総合的な退職給與制度を制定実施するものであること、及び今年度において特に昨年度の行政整理の場合と異なつた退職手当制度を定めることは両者の均衡を保つ意味からも適当でないと考えられるとの答弁がありました。次いで討論に入りましたところ、小串委員より賛成討論があり、千葉委員より、昨年度の退職手当に関する政令をそのまま踏襲して法律化することは、永年勤続者の退職の場合、昭和二十四年三月以前の既得権を侵害する結果を招来するものであるとの理由で反対の討論があり、討論を終結、採決に入りましたところ、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。  以上本委員会における審議経過並びにその結果を御報告申上げます。(拍手
  70. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  71. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  72. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。地方行政委員長岡本愛祐君。    〔岡本愛祐登壇拍手
  74. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 只今議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案について、委員会における審議経過並びに結果を御報告申上げます。  本法案は地方自治運営の現状に鑑みまして、地方公共団体における直接請求の手続、地方議会の運営、各種争訟の手続等を整備し、並びに地方公共団体の事務処理機構を刷新し、監査機能の強化を図る等の措置を講じようとするものであります。  改正の第一点は、地方公共団体の直接請求の手続に関する規定を整備したのでありまして、法令違反の署名及び詐欺、強迫等に基く署名を無効とする旨の審査基準を明記し、市町村選挙管理委員会を署名を審査するに当つては、必要に応じて関係人の出頭及び証言を求めることができることとした上、署名簿を関係人の縦覽に供し、署名の効力が正しく確定せられるようにすると共に、直接請求の署名に関して暴力若しくは不正の行為をした者に対し罰則を設けて、これらの悪質行為の根絶を期することとしたのであります。尚、新たに教育委員会、公安委員会等の独立の執行機関の所管に属する事務についても、住民に対し監査の直接請求権を認め、これらの機関が住民に対して直接責任を有する旨を明らかにしたのであります。  改正の第二点は地方議会の運営に関する事項でありまして、先ず議会に対しまして、新たに教育委員会、公安委員会等の独立執行機関の所管に属する事務について、事務の管理、出納の検査の権限を認めると共に、これらの機関に委任された国その他公共団体の事務に関し説明を求め又はこれに対して意見を述べることができるものとして、議会の権限を整備すると共に事務の公正な執行を期しました。又都道府県の議会の定例会は現在毎年六回以上でありますのを、政府原案におきましては毎年四回以上に改めんとしました。又地方議会において行う選挙についての紛争の早期解決を期するため、これに関する出訴期間を二十一日以内と明記しました、更に関連事項として、県丁、市役所又は町村役場の位置を定め又は変更することの議決手続を特に愼重にいたしました。又條例及び予算議決、並びに知事、市町村長等に対する不信任の議決等の重要なる議決についての議会と執行機関側との処理手続を明確に規定したのであります。  改正の第三点は、各種争訟手続の整備に関する事項であります。即ち直接請求の署名の効力に関する争訟手続を新たに認めると共に、直接請求に基く副知事、助役、出納長、收入役、選挙管理委員監査委員、公安委員会委員の解職の議決に対して新たに出訴を認める等、争訟手続に関する規定を整備し、尚、地方公共団体の議会の議員又は長の選挙、当選、直接請求に基く議会の解散等に関する効力は、この法律の定める争訟提起の期間及び管轄裁判所に関する規定によらなければならないものとし、紛争の早期解決を図ることといたしました。  改正の第四点は、地方公共団体の事務処理機構の整備及び監査機構の機能の強化等に関する事項についてであります。市町村にあつては出張所、政令で指定すね市にあつては区の事務所の出張所を設けることができるものとし、又條例で特定の行政機関の設置を認めること、都道府県の局部の機構については、行政的事務を処理する部局のみを法定することとし、公共事業の経営に関する事務組織については條例で適宜の組織を設け、都に交通局、水道局、道府県の公共事業部を法定することを廃止することにいたしました。知事及び市町村長に対する不信任の議決に関する処理手続、不信任議決による知事又は市町村長の失職の規定を整備いたしました。又地方公共団体から平素財政的援助を受けている補助団体等に対する監査委員監査権を認めて、金計の適正を期することとしたのであります。  次に本案に対する衆議院側修正個所の主なるものを簡單に御報告申上げます。第一は、地方自治法中の規定中に「選挙管理委員会、教育委員会」と例示してある場合に、公案委員会が明示してないから、公安委員会の重要性に鑑みてこれを明示したことが第一点であります。第二点は、地方議会の定例会の回数は政府改正案を退けまして、すべて現行法通り変更しないことにしたのであります。第三は、地方議会中、都道府県、市の議会における事務局の設置を法制化したことであります。第四は、不信任の議決をされた地方公共団体の長が議会の解散を行い、その後初めて招集した議会において再び不信任の議決をする場合は、過半数の同意を以て足りることに改めたことであります。第五は、戰時中合併した市町村の分離手続に関する事項でありますが、現行法では住民投票は有効統票の過半数の同意を必要としておりましたのを、今回は三分の二以上の同意を要することに改めると同時に、他方、都道府県議会がこれを否決しようとするときは、出席議員の四分の三以上の多数を必要とすることに改めたのであります。  地方行政委員会愼重審議し、熱心な質疑応答が行われましたが、詳細は速記録に讓ることをお許し願います。かくて五月二日質疑を終り、討論採決に入りましたところ、全会一致衆議院修正通り原案を可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告を申上げます。(拍手
  75. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  76. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  77. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、競馬法の一部を改正する法律案衆議院提出)(衆第二十三号)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。農林委員会理事藤野繁雄君。    〔藤野繁雄君登壇拍手
  79. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 只今議題となりました競馬法の一部を改正する法律案につきまして、農林委員会におきまする審議経過並びに結果について御報告申上げます。  本案衆議院の上林山榮吉君外十七名の議員提出にかかる法律案でありまして、改正内容は、指定戰災都市でその区域内に競馬場が存在する都市の競馬の競馬開催回数を、現行法の年二回以内から年四回以内と改めんとするものであります。而してその理由は、提案者の説明によりますと、現行競馬法においては地方競馬の開催主体及びその開催回数は、都道府県は年四回以内、著しく災害を受けた市町村で内閣総理大臣の指定したもの、即ちいわゆる指定市町村の場合は、そのうち横浜市、名古屋市、大阪市及び神戸市は年四回以内、その他の市町村は年二回以内となつており、且つ競馬場の数は北海道にあつては六ケ所以内、都道府県にあつては各二ケ所以内となつておるのでありますが、これらの市町村のうち、その区域内に競馬場が存在する市町村は、右競馬場を使用する他の指定市に比して有形無形の負担が多いので、他の指定市より競馬開催回数を増加して、その收入の増加を図らしめんとする趣旨であります。  委員会本案審議に際しましては、競馬の社会風教上に及ぼす影響少からざる点に鑑み、愼重審議いたしました結果、競馬開催回数の増加にはいろいろ考慮しなければならぬ問題もありますけれども、本案は戰災都市の特殊性に鑑み、この際止むを得ざる措置と認め、採決の結果、全会一致を以て衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申上げます。(拍手
  80. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  81. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  82. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、外資に関する法律案、外資委員会設置法案、(いずれも内閣提出衆議院送付)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。経済安定委員会理事左藤義詮君。    〔左藤義詮君登壇拍手
  84. 左藤義詮

    ○左藤義詮君 只今議題となりました外資に関する法律案並びに外資委員会設置法案の経済安定委員会における審議経過並びに結果について御報告申上げます。  先ず外資に関する法律案は、政府の提案理由によりますと、政府は、昨年末、独占禁止法の改正、連合国人の財産権の回復に関する政令の判定等、いわゆる外資導入の阻害原因の除却に努めて来たのでありますが、幸い日本経済も最近漸く安定の段階に入り、諸種の統制も逐次撤廃されて、外資導入の基盤が育成されつつありまするが、外資導入の状況は、最近に当つても尚満足すべき成果を挙げていないのであります。昨年三月、外資委員会設置以後の状況を見ましても、本格的な外資導入と目されるものは極めて少いので、この際ますます外資導入を促進するために、外資導入と、これに伴う海外送金に対する我が国の方針、手続等を明らかにし、外資を保護するための法的措置を定めることにしたというのであります。  この法律案内容について主なものを二三申上げますと、第一は、外国資本の投下に関する原則としては、差当り外資導入は、一定の選択基準従つて認めることとしておりますが、根本方針といたしましては、外資導入をできるだけ促進するために、外資に対して加えられている各種の制限や本法案規定されている認可制度を、その必要の減少に伴つて逐次緩和乃至廃止することであります。第二は、外資導入に伴つて生ずる海外送金を確保する措置として、導入を必要と認める外資については、投資の認許可を受けさえすれば、爾後それに伴つて生ずる海外送金が実質的に確保されるようにしたことであります。第三は、外国投資家が我が国において適法に所有する財産権が公権力によつて收用等をされた場合に、その補償金の海外送金を実質的に確保する措置を講ずることになつておるのであります。第四は、閣僚審議会は、以上のような確保しなければならない海外送金の額を外国為替予算に計上すベきこと、及び負債超過の場合に内閣は応急措置をとるベきことを定めてありますが、その準備措置として、大蔵大臣が対外の貸借及び收支に関する割定を作成して置くベきこととして、送金確保の裏付けをしていること等であります。  次に外資委員会設置法案について御説明申上げます。  外資委員会は、従来、昨年三月ポツダム政令として公布されました外国人の財産取得に関する政令によつて設置されていたものであります。今回前述いたしました外資に関する法律の成立施行に伴いまして、同委員会の組織、権限、職務等を明確にするため、單行法を制定せんとするものであります。  本法案につきまして、その内容において従来と異なつ規定が設けられました点のうち、主なるものは次の二点であります。第一は、外資委員会所掌事務及び権限を明確にし、外資に関する法律に基く職務権限を附加えた点であります。第二は、委員会の構成の点であります。即ち安本長官を委員長とすることは従前通りでありますが、委員は、従来関係各省の事務次官及び公正取引委員会委員計七人でありましたのを、今回大蔵、通商産業両省及び外国為替管理委員会を代表する者各一人と、学識経験者三人以内、合計六人以内で組織することと改めております。  以上のような内容でありますが、大蔵委員会との連合委員会及び本委員会におきまして両法案に対して各委員から熱心な質疑が繰返されました。その主なものを二三申上げますと、外資に関する法律案につきましては、一、従来までの外資導入額、元利拂所要額及び本法案による外資導入見込額はどのくらいか。二、本法案は外国資本に対し今までに例を見ない非常な特権を與えるものではないか。三、日本の一定の産業構造を前堤とせずして、どうして外資導入の基準ができるか。四、外国為替予算と本法案の対外の貸借及び決算の收支に関する勘定とはどんな内面的な関係になるのであるか。五、元利拂送金が増加する場合、貿易を阻害する虞れがあるがどうか。六、又設置法において外資委員会委員の中に農林省を代表する者が加えてないのは何故か。更にその委員の任期はどうなつているのか等につきまして質されたのでありますが、答弁並びにその他の質疑の詳細は速記録に讓ることにいたします。  討論におきましては、和田委員から、一、産業経済に大きな影響のあるこのよあな重要法案国会審議期間の残り少いときに提案されて十分な審議ができなかつたこと、二、このような問題は、国内法ではなく條約で定めるべきものであつて、国内法で規定する真意が分らないこと、三、原則として、外資の制限を撤廃して外資導入を図ろうとしているが、外資導入には、利潤と安全が重要な要素であると共に、資本の移動は、その国の政治とも関連しているものであるが、現実の日本の経済を見ると、産業家自身すら将来の見通しも立たない。このように日本経済が不安定のときに、大量の外資が入つて来るとは思われないこと等の理由で、反対である旨が述ベられました。  かく採決の結果、両法案とも多数を以て可決すべきものと決定した次第であります。以上で御報告を終ります。(拍手
  85. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 外資に関する法律案に対し討論の通告がございます。発言を許します。椎井康雄君。    〔椎井康雄君登壇拍手
  86. 椎井康雄

    ○椎井康雄君 私は日本社会党を代表いたしまして、只今上程されております外資に関する法律案及び外資委員会設置法案に対しまして反対の意見をば申上げます。本法案は、いわゆる後進地開発計画、未開発地開発計画が実施に移される場合、投資條約において規定さるべき外国投資の保証方法を法律で定めんとするものであつて、事の性質上、当然講和会議後自主権を獲得した場合に対等の立場で條約を以て規定すべき事柄であります。然るに占領下において日本の法律を以て法制化せんとするところに本法案の重大性があります。根本的に政府が何を急いでかかる措置をなしたかを全く理解に苦しむものであります。更にかくのごとき重要なる法案を今会期終了が目の前に迫つて最多忙の時期に突如これを提案して、而も会期切迫を理由に十分なる審議検討も與えず、広く民間の意見を聞く公聽会すら行わず、無理に通過させようとする政府及び與党の態度は、国会審議権を無視するも甚だしいものと言わねばなりません。  本法案の骨子は、完全なる外国資本の投下に対して、第一に、その元本利子、配当利潤等の本国送金を自働的且つ優先的に認めると共に、第二に、外国人財産の特別保護をなさんとするところに、徹底した外国資本擁護法とも言うべき性質のものが包含されているのであります。これがために、法案は先ず第六條、第十五條において、外国投資家が自国へ送金せんとする元本利子、配当、利潤の額を外国為替予算に計上すると共に、右の金額は、たとえ外国為替予算が全体として赤字になつた場合でも優先的に送金を保証するという建前になつております。同じく第十七條において、外国投資家が我が国において法律の定めるところにより收用買收された場合の保護においてすら、外国為替予算が赤字になつてつても本国送金は優先的に取扱われることになつております。過日の外国人の租税減免に関する特別措置改正法と考え合せますときに、現在我が国の中小企業は勿論、相当大規模のものまでも吉田内閣の誤まれる財政経済政策の結果、重税と金詰り、国内購買力の低下のため、破産、倒壊続出している今日に、この法案は誠に至れり盡せりの外国資本の保護振りで、世界でもその例を見ない珍らしいものと思い、おのずから吉田内閣の意図するものが奈辺にあるかは偲ばれるものがあります。  提案理由によりますと、現在外資導入を阻害している最大の原因は、資本投下によつて生ずる利益の本国送金が果して確実に実行できるや否や不明の点にあるのだから、本法案により海外送金を確保すれば、大いに外資導入を期待できると言つておりますが、むしろそんなことよりも、資本は利潤を追求して移動するのが資本の運動法則でありますから、この提案理由は詭弁であり、こじ付けであるに過ぎません。敗戰の結果、国内の市場は極度に狹隘となり、加えるに吉田内閣の誤まれる超均衡予算により国内の有効需要激減し、深刻なるデフレ状態に突入しておる日本経済の現段階において、本法で如何に海外送金を保証しても、純経済的見地からする外国投資を果して期待することができるのでありましようか。できないのであります。殊に戰後のアメリカ資本の海外投資は、大部分石油を追つて投資されておるのであります。而もその金額もさして多額に達していないのであります。この点から考えて見ましても、本格的な投資がこの法案によつて期待されることはないのであり、政府自身も本法案の説明において、この点に対して何らの見通しも持つていないし、外貨予算の赤字の場合にも尚且つ優先的に投資利潤の海外送金の優先も、その額が大したことはないから、日本の輸入資金を削減することは少いだろうと言つて、本法案に外資の投下に対しても期待できないところの馬脚を現わしておるのであります。それまで、かかる悪條件下においても、若し本国送金を保証しさえすれば、経済の合理性を無視してでも、日本に投下される資本が必ずあると政府が希望しているものであれば、その資本投下こそは決して我が国産業全般の復興に役立つものではなく、我が国の巨大独占資本と外国資本の結び付きによる資本投下であり、その背後には政治的意図を有するものであると言わねばなりません。これこそ、日本経済の復興という民族的利益よりも、外国資本と結び付いた独占資本の階級的利益を重しとする吉田内閣、自由党政策の端的な現われだと申さねばなりません。  現在我が国の貿易業者及びこれらの従業員があらゆる悪條件下において輸出振興に努力し、更に輸出超過により外貨を獲得したとしても、本法案はこれらの外貨を事実上外国資本に優先的に献上するものであり、外資導入、日本経済復興の美名の下に日本の産業を麻痺させるものであります。しかし現在ですら、すでに商品の形をとつた外国資本が日本の中小企業を圧迫している実情は諸君の見らるる通りである。放出物資の名の下に市場に氾濫しているもろもろの商品の圧迫力を諸君は何と見ておられるであろうか。  私は中小企業を保護育成することこそ日本産業復興の前提であると信ずるが故に、右の二法案に反対するものであります。(拍手
  87. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。領案に賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  88. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて両案は可決せられました。      ——————————
  89. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 参事をして報告いたさせます。    〔佐藤参事朗読〕 本日委員長から左の報告書を提出した。  通商産業委員会請願審査報告書第二号  通商産業委員会請願特別報告第二号  通商産業委員会陳情審査報告書第三号  通商産業委員会陳情特別報告第三号      ——————————
  90. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、狩猟用火薬使用手数料廃止に関する請願、工業技術庁地質調査所施設改善に関する請願、自転車、リヤカー配給規則廃止に関する請願、軸受産業の金融政策確立等に関する請願、船岡旧軍需工場跡を産業工場として活用するの陳情、以上を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。通商産業委員長深川榮左エ門君。    〔深川榮左エ門登壇拍手
  92. 深川榮左エ門

    深川榮左エ門君 只今議題となりました請願及び陳情につきまして、当委員会におきます審査の結果につきまして御報告申上げます。  請願第四百四十一号、自転車、リヤカー配給規則廃止に関する請願、同じく第六百九十五号、工業技術庁地質調査所施設改善に関する請願、同じく第千六百十一号、軸受産業の金融政策確立に関する請願、同じく第千三百八十三号、狩猟用火薬手数料廃止に関する請願及び陳情第八十六号、船岡旧軍需工場跡を産業工場として活用するの陳情、以上の請願四件陳情一件は、当委員会において愼重なる審議の結果、その願意の妥当なるを認め、議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたしました次第であります。  以上御報告申上げます。(拍手
  93. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  94. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。  議事の都合により暫時休憩いたします。    午後三時三十三分休憩      ——————————    午後四時十九分開議
  95. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。  参事をして報告いたさせます。    〔海保参事朗読〕 本日委員長から左の報告書を提出した。  建築基準法案可決報告書  裁判官彈劾法の一部を改正する法律案可決報告書  地方行政委員会請願審査報告書第二号  地方行政委員会請願特別報告第二号  地方行政委員会陳情審査報告書第二号  地方行政委員会特別報告第二号      ——————————
  96. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、電波監理委員会委員長及び委員の任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。去る二十九日、内閣総理大臣から、電波監理委員会設置法第六條及び同法附則第二項の規定により、富安謙次君を電波監理委員会委員長に、網島毅君、上村伸一君、岡咲怒一君、坂本直道君、瀬川昌判君及び拔山平一君を電波監理委員に任命することについて、本院の同意を求めて参りました。本件に関し同意を與えることに賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  98. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本件は同意を與えることに決しました。      ——————————
  99. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、日本放送協会経営委員会委員となるべき者の指名に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。去る二十九日、内閣総理大臣から、放送法附則第二項及び通法第十六條の規定により、矢野一郎君、神野金之助君、本野亨君、大原總一郎君、則内ウラ君、福田虎龜君、古宇田清平君及び宇野親美君を日本放送協会経営委員会委員となるべき者を指名することについて、本院の同意を求めて参りました。本件に関し同意を與えることに賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  101. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本件は全会一致を以て同意を與えることに決しました。      ——————————
  102. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、裁判官彈劾法の一部を改正する法律案衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。議院運営委員長竹下豐次君。     —————————————    〔竹下豐次君登壇拍手
  104. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 只今議題となりました裁判官彈劾法の一部を改正する法律案につきまして、議院運営委員会における審査経過並びに結果を御報告いたします。  本法律案に盛られております主なる改正点は、裁判官彈劾法の運用の実績に鑑み、第一に、彈劾裁判所並びに訴追委員会の名称を変更し、第二に、彈劾裁判所及び訴追委員会事務局における事務の複雑化に伴い、この機構を整備し、第三に、彈劾裁判員及び訴追委員の辞任手続の合理化を図り、第四に、訴追委員長及び彈劾裁判長に対して、各議院の特別委員長の受ける議会雑費に準じて職務雑費を支給し、第五に、訴追委員及び彈劾裁判員に対して各議院における議員の場合と同様、派遣旅費を支給し、第六に、罰則について、経済事情の変動と議院に出頭する証人等に対する罰則の例に鑑み、科料の金額を増額する等の諸点であります。  本法律案は、衆議院において修正議決の後、本院に送付されたものでありますが、本委員会におきましては愼重に審査いたしました結果、右の改正を妥当なものと認め、全会一致を以て衆議院送付案通り可決いたしました。  以上を以て御報告を終ります。
  105. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  106. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  107. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、建築基準法案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。建設委員長中川幸平君。    〔中川幸平君登壇拍手
  109. 中川幸平

    ○中川幸平君 只今議題となりました建築基準法案について建設委員会における審議経過及び結果を御報告いたします。  本法案は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の健康と財産の保護を企図するものであります。戰争以来、我が国の建築は、量の増加に力を注がれました関係から、保安衛生上好ましからざる建築が増加し、建築の災害、火災その他の損耗は極めて大でありまして、これを防止し建築の質を確保することは公共の福祉のために一大要件であります。然るに現行市街地建築物法は制定以来すでに三十年を経過し、これに対しては多くの改正を必要とするのでありますが、一方近来建築資材の需給も著しく緩和するに至りましたので、ここに建築に関する基本法の提案を見た次第であります。  法案の大要は、一、現行法が具体的内容は殆んど命令委任であるのを改めて、法律を以て詳細に規定したこと、二、本法による事務を地方公共団体の所管に移し、條例を以て統制を強化し又は緩和する途を設けたこと、三、住宅地又は商店街としての環境利便を改善するため、自主的に建築協定をする途を新たに設けたこと、又重要事項について建築審査会を設置したこと、四、市町村又は都朝府県に專門的知識経験を有する建築主事を置き、その確認によつて事務処理の簡易迅速化を図つたこと、五、建築の質の確保について多くの技術的改善を加え、防火、防災に関する規定を整備したこと等であります。  本法案は、直接一般国民に重大なる関係を有しますので、委員会は特に学識経験者の参考意見を徴し、又府県の事務担当者の意見を参考に聽取して審議の愼重を期したのであります。審議の詳細は速記録で御了承願います。かく討論に入りましたところ、一、本法案は重要法案であるに拘わらず審議に十分な期間がないことは遺憾であるが、法案は国民生活に必要であり、進歩的なものと認められる。二、第四十二條の道路とその幅員、第五十五條の敷地面積に対する建築面積の割合の規定については修正を要望する。三、本法の施行については、地方公共団体と十分協議して円滑なる実施を期すること、又事務担当者の異動については十分留意すること、これらの諸点につき政府に対し強く要望して賛成する旨の発言がありました。特に久松委員からは、第四十二條及び第五十五條は近い機会に改正することを條件として賛成するとの発言がありました。次いで採決の結果、全会一致原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  以上御報告いたします。(拍手
  110. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  111. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  112. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、地方議会事務局の法制化に関する請願(二件)、地方議会事務局の法制化等に関する請願、社会保險行政職員の身分を地方自治体に切替の請願(二件)、地方自治法施行令中一部改正等に関する請願、自治体警察吏員の恩給及び退職手当国庫支給に関する請願、高槻市警察吏員定数増加に関する請願、兵庫県豊岡町警察吏員の定員の増加に関する請願、門司市外四市の警察吏員の定員増加に関する請願、姫路市自治体警察吏員の定員増加に関する請願、旅館の主食取扱に関する請願、外食券食堂の酒類提供許可に関する請願、地方議会事務局の法制化に関する陳情都道府県議会事務局の法制化に関する陳情、地方自治法中に地方議会事務局を設置するの項明文化等の陳情、川崎市警察吏員の定員増加に関する陳情、小野田市警察吏員の定員増加に関する陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。地方行政委員長岡本愛祐君。     —————————————    〔岡本愛祐登壇拍手
  114. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 只今議題となりました請願及び陳情について、地方行政委員会における審議の結果を御報告いたします。  請願五百二十九号、一千二百二十八号、一千五百四十五号、陳情三十三号、九十五号、百八十七号の六件は、いずれも地方議会事務局の法制化に関する件であつて、尤もの希望と認められますので、これを採択するが、本件の事項は別途、地方自治法の一部を改正する法律案に取入れられているので、内閣に送付を要しないものと決定いたしました。請願八百三号、千百九十号は、社会保險行政職員の身分を地方自治体職員への切替の要望であり、請願千八百十八号は、地方自治体の金庫事務を農業協同組合に取扱わせるにように関係法令改正を要望するものであり、請願五百十六号は、自治体警察吏員の退職手当について、昭和二十三年の三月七日警察制度初替前の分はこれを国庫支弁として速かに支給されたいとの要望であり、請願二十四号、七百六十三号、八百四十七号、九百十七号及び陳情三百十号、三百三十号は、それぞれ高槻市、豊岡市、門司、小倉、八幡、戸畑、若松の福岡県下の五市、姫路市、川崎市、小野田市の自治体警察吏員の定員増加に関する件であり、請願二百八十一号は、旅客の携帶主食の旅館における委託加工を認められたいというのであり、請願六百七十八号は、外食券食堂の酒類提供を許されたいというのであつて、いずれも趣旨において尤もと認められますので、右十件の請願及び二件の陳情は、これを採択の上、内閣に送付すべきものと決定いたしました。  右御報告申上げます。(拍手
  115. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情委員長報告の通り採択し、地方議会事務局の法制化に関する請願(二件)、地方議会事務局の法制化等に関する請願及び地方議会事務局の法制化に関する陳情都道府県議会事務局の法制化に関する陳情、地方自治法中に地方議会事務局を設置する項目文化等の陳情の外は内閣に送付することに賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  116. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情全会一致を以て採択し、地方議会事務局の法制化に関する請願(二件)、地方議会事務局の法制化等に関する請願及び地方議会事務局の法制化に関する陳情都道府県議会事務局の法制化に関する陳情、地方自治法中に地方議会事務局を設置するの項明文化等の陳情の外は内閣に送付することに決しました。  議事の都合上午後六時三十分まで休憩いたします。    午後四時三十六分休憩      ——————————    午後七時二十七分開議
  117. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。  参事をして報告いたさせます。    〔海保参事朗読〕 本日議員岡元義人君外十名から委員会審査省略の要求書を附して左の議案を提出した。  未帰還同胞の引揚促進並びに実体調査等を国際連合を通じて行うことを懇請する決議案 本日委員長から左の報告書を提出した。  配炭公団の損失金補てんのための交付金等に関する法律案可決報告書  臨時石炭鉱業管理法の廃止に関する法律案可決報告書  商品取引所法案可決報告書  建設委員会請願審査報告書第七号  建設委員会請願特別報告第八号      ——————————
  118. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、彈劾裁判所裁判員及び同予備員辞任の件を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。來馬琢道君、水久保甚作君及び羽仁五郎君から彈劾裁判所裁判員を、鈴木安孝君から同予備員を、それぞれ辞任いたしたい旨の申出がございました。辞任を許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。
  121. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) つきましては、この際、日程に追加して、只今欠員となりました彈劾裁判所裁判員及び同予備員の選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。
  123. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 本員は、只今議題となりました彈劾裁判所裁判員及び同予備員の選挙は、成規の手続を省略して、議長において指名せられんことの動議提出いたします。
  124. 駒井藤平

    ○駒井藤平君 只今の油井君の動議賛成いたします。
  125. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 油井君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて議長は彈劾裁判所裁判員に出村文吉君、鈴木安孝君及び佐々木良作君を、同予備員に小串清一君を指名いたします。(拍手)      ——————————    〔來馬琢道君「一身上の釈明をいたしとうございます。この問題に関連して……」と呼ぶ〕
  127. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 暫らくお待ち下さい。來馬琢道君から一身上の弁明をしたいという発言がございました。許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。発言を許します。來馬琢道君。    〔來馬琢道君登壇拍手
  129. 來馬琢道

    ○來馬琢道君 只今私は議場の諸君の御賛成を得まして、ここに彈劾裁判所裁判員を辞任することになりました。然るところ、この彈劾裁判所裁判員として私はまだ残つておる仕事が一つあることを感じます。この時間でなければ陳述することができませんから、甚だ慣例に反するかも知れませんけれども、記録に残して貰うために、この発言をさして頂きます。  第七国会参議院公報第三十四号、昭和二十五年二月四日土曜日に発行いたしたものには、「彈劾裁判所」という欄がありまして、前の方は略しますが、その第二項に、「彈劾裁判所裁判員会議経過 昨三日裁判員会議会議経過は欠の通りである」。△の印しを付けまして、「簡易裁判所判事寺迫道隆氏に対する裁判官罷免訴追事件の公判(判決の宣告)期日に、鬼丸裁判長病気欠席のため、代理裁判長を選ぶ必要があり、緊急裁判員会議を開会し、古島茂英」……これは「義英」の誤まりでありますが、「裁判員を代理裁判長に選任した。」次に又、△のしるしを付けまして、「裁判長互選の裁判員会議を開き、裁判員互選の件を議題とした。その討議の途中において、來馬、松村、水久保、星野各裁判員は退場した。次いで北川、上村両裁判員より古島裁判員を裁判長に互選することを提議したところ、全員これに賛成したので、古島茂英裁判員が裁判員に決まつた。」とかように書いてあります。次に三月十三日発行、同じく参議院公報第六十五号に、「彈劾裁判所」という欄がありまして、「彈劾裁判所裁判員懇談会経過去る十一日裁判員懇談会の経過は次の通りである。」△のしるしが付きまして、「裁判長鬼丸義齊君辞任に困る後任裁判長古島義英君辞任挨拶をなし、次いで古島裁判長より代理裁判長に裁判員岡部常君(第一順位)、同北川定務君(第二順位)の二名を指名し、なお、彈劾裁判所の運営について種々懇談した。」と、かような記事がありますので、これを今お聞きになりましたならば、この裁判長互選の裁判員会議におきまして、私共参議院議員の四名の者が何らの理由なくして退場したということになつております。これは私共が理由がなくして、かようなことをいたしたということになりますと、誠に私共はその職務を放棄したというような結論になるのであります。併しながら実情はそうではありませんので、この裁判員会議を開こうとしたときに、私は年長であるというので座長を勤めることになつておりまして、前の鬼丸裁判長病気欠席のため古島義英君を代理裁判長に指名することに決定したのは、私が座長となつて決めたのであります。そのときに、この寺迫道隆君の彈劾裁判の判決に限つて古島義英君を裁判長にするということを決定したのであります。次の裁判員会議におきまして裁判長を互選するという問題が起つたときに、私は、鬼丸裁判長からまだ正式の辞職の手続が出ていない。であるから、本日は鬼丸裁判長も欠席であるので、この裁判長選挙は延期すべきものであると主張いたしました。私共四人の者は、その会議を成立したものと認めませんで、そのまま退席したのであります。然るところ衆議院諸君のみ七名集まりまして裁判長の選挙を行なつたということについて、その記事がかような工合に記載されているのであります。然るところ私共の信ずるところでは、彈劾裁判所法の精神に従いますれば、衆議院と参議院との両方から七名ずつ出ております裁判員が裁判長を決めますときには、少くとも各院の半数以上の、即ち四名以上の者が出席しておりませんければ、この選挙は無効であるということを考え、又裁判を行いますときにも、両院から五名ずつ以上出席しなければ裁判を開くことができないことになつている規定から考えまして、裁判長選挙の折にはどうしても五名ずつか、或いは少くとも四名ずつ以上出席しなければならないものと信じたので、私共としては本日の会議は成立しないものなりという考えを持つております。その私共の立ち去つた後に衆議院だけの方が集まりまして古島義英君を裁判長にしたことは、私共は甚だ不当であると、かように考えまして、いつまでも私共が承服しなかつたのでありますが、三月十一日の懇談会におきまして、古島義英君を裁判長に推すことに定まつたのであります。この辺の経過はここで詳述する必要がありませんが、ただ参議院の公報にかように二回記事が出ておりますのを、私共彈劾裁判所裁判員として只会辞職をいたしますときに、このことを釈明して置きませんと、甚だ我々はその職務に対して怠慢であつたということに相成ります。このことを記録に残して置きまして、後日又法律上の見解については議員諸君の御研究を願いたいと存じます。  以上一身上の釈明をさして頂きました。(拍手)      ——————————
  130. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、全国選挙管理委員会委員の指名を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。全国選挙管理委員会委員小坂順造君及び工藤鐵男君が辞任せられました。つきましてはその補欠指名を行います。
  132. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 只今議題となりました全国選挙管理委員会委員の指名は議長一任とするの動議提出いたします。
  133. 石原幹市郎

    ○石原幹市郎君 本員は只今動議賛成いたします。
  134. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 油井君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。つきましてはその補欠として野村秀雄君及び中御門經民君を全国選挙管理委員会委員に指名いたします。      ——————————
  136. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、北海道開発審議委員の指名を議題といたしたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。北海道開発審議委員に本院の指名する者は三名でございます。
  138. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 只今議題となりました北海道開発審議委員の指名は、成規の手続を省略して、議長に一任することの動議提出いたします。
  139. 石原幹市郎

    ○石原幹市郎君 只今動議賛成いたします。
  140. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 油井君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  141. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて議長は、北海道開発審議委員に加賀操君、堀末治君及び和田博雄君を指名いたします。(拍手)      ——————————
  142. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、未帰還同胞の引揚促進並びに実体調査等を国際連合を通じて行うことを懇請する決議案(岡元義人君外十八名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。本決議案につきましては岡元義人君外十八名より委員会審査省略の要求書が提出されております。発議者要求の通り委員会審査を省略し、直ちに本決議案の審議に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明の発言を許します。岡元義人君。    〔岡元義人君登壇拍手
  145. 岡元義人

    ○岡元義人君 只今議題となりました未帰還同胞の引揚促進並びに実体調査等を国際連合を通じて行うことを懇請する決議案の提案理由の説明を申上げたいと思いますが、先ず決議案の内容をば一応朗読させて頂きます。   日本国民は、終戰以来「ポツダム」宣言を忠実に履行して今日に至つた。しかるに終戰以来五箇年に垂んとする今日、なお三十万余名の日本人がソ連並びにソ連の勢力下にある地域(シベリア、樺太、北鮮、大連並びに中共地区を含む。)に残留せしめられ、生死不明の状況にある。   政府は、総司令部を通じ、ソ連に対してしばしば正式の報告を求めたにもかかわらず、ソ連より何ら正式の報告がないので、いまや留守宅家族は勿論、全日本国民の心痛は、その極に達している。   本院は、ここに、院議をもつて、わが国民のこの気持を代表し、連合国最高司令官に対し、国際連合を通じて世界の正義と輿論に訴え、本件の速やかなる解決のため、あらゆる援助を與えられんことを要請するとともに、特に左の点の実現について御配慮を懇請する。  (一) ソ連並びにソ連勢力下にある地域(シベリア、樺太、北鮮、大連並びに中共地区を含む。)の残留者全員を一日も速やかに帰還せしめられたい。  (二) ソ連並びにソ連勢力下の地域に抑留中死亡した者並びに戰犯関係として抑留されている者、一般受刑者及び病気のため残留している者等の氏名を速やかに発表せしめられたい。  (三) ソ連並びにソ連の勢力下にある地域に残留せしめられた日本人の生死及び動靜を調査するため、国際連合又は中立の機関若しくは人道的機関より速やかに調査団を派遣せしめられたい。   右決議する。  第一回国会以来第七回国会に至る間、本院においては数多くの海外残留者の速かやる帰還実現を希い、その都度院議を以て帰還促進の議決をなして今日に至つたのでありますが、終戰以来五年目を迎え、日本国民はひたすらにポツダム宣言を忠実に守つて参つたのでありますが、ソ連及びソ連の勢力下にある地域(シベリヤ、樺太、北鮮、大連並びに中共地区を含む)には三十有余万名の同胞が残留せしめられているのでありますが、総司令部よりも、その生死状況についてしばしば正式報告を求められたるにも拘わらず、何らの回答が與えられなかつたのであります。  而も去る三月二十一日突如としてタス通信は送還完了を報じ、戰犯関係者二千四百五十八名及び病人九名を残すのみと発表したのでありますが、勿論これは公式公報ではなく、ただ單なる一新聞の報道に過ぎないのでありますけれども、留守家族、全国民に與えた衝撃は誠に大なるものがあつたのであります。衆参両院におきましては、特に引揚問題を処理するために特別委員会を設置し、鋭意残留者状況を調査して、今日まで今尚相当数の残留者のあることを確認する資料を持つているのでありますが、政府も勿論鋭意この調査に当り、未帰還者氏名等も明確にされている筈であります。今や留守家族等は血書を以て悲痛な訴えをなしている今日の段階におきまして、総司令部の絶大なる好意にすがり、国民の総意によつて、この上は国際連合にこれを訴え、ソ連並びにソ連勢力下にある地域(シベリア、樺太、北鮮、大連並びに中共地域を含む)の残留者の全員を一日も速かに帰還せしめられたく、又同地域にあつて抑留中死亡せる者並びに戰犯関係者等の氏名を速かに発表して頂き、又ソ連並びにソ連の勢力下にある地域に残留せしめられた日本人の生死及び動靜を調査するため、国際連合又は中立の機関若しくは人道的機関より速かに調査団の派遣を懇請して、この悲惨な運命に置かれている留守家族の状況及び三十有余万が事実未帰還であることを調査の上確認して頂き、世界の輿論に訴えて、この困難なる事業の完遂を期せんとするものでありまして、何分の御審議の上、御賛同あらんことをお願いする次第であります。  幸いにして、この決議案が議決せられますならば、政府はいつにても国際連合その他中立機関又は人道的機関より調査を受けても、調査を受けられるところの万般の準備をなして置くことを附言いたす次第であります。(拍手
  146. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 本決議案に対し討論の通告がございます。発言を許可します。中野重治君。    〔中野重治君登壇拍手
  147. 中野重治

    ○中野重治君 日本共産党はこの決議案に反対である。なぜかならば、あらゆる他の党派が全然問題にしないときに、最初に海外在留日本人同胞の引揚の問題を取り上げたのが我が党だからである。(「何を言つておるか」「嘘をつけ」と呼ぶ者あり)これは第一国会においても述べている通りである。その後その問題に関して、(「嘘を言うな」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)この問題に関して……
  148. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御靜粛に願います。
  149. 中野重治

    ○中野重治君(続) 我が党があらゆる国内の反動的な勢力、ボス的勢力の妨害を排除して鬪つて来た党だからである。(「何を言うか」と呼ぶ者あり)それによつて、最近において問題が集中的に現われているところの引揚委員会においては、三十七万云々という数字がでたらめであるということが暴露されている。(「それが嘘だ」と呼ぶ者あり)これは日の丸梯団の人達も認めている。嘘だ云々と言う人は速記録すらも読んでいないことを証明するものである。又同時にこれに並んで、引揚委員会が引揚者のための生活保護の問題を全く放置して来た。そうして特にこの第七回国会においては、この委員会が、又この委員会を動かす勢力が、極めて軍国主義的な反動的な勢力の国会内における拠点となつて来たところである。(「でたらめを言うな」「帰すのが反対か」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  150. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 靜粛に願います。
  151. 中野重治

    ○中野重治君(続) 即ちこのことは、歴代の政府、特に今日の吉田政府が政治の全面において全く腐敗し、失敗してきたことが引揚問題において具体化したものである。(「問題が違う」と呼ぶ者あり)そこで、あらゆる悪い政府がなすがごとく、民心から背かれつつある政府及びその與党が国民の眼を外に転じて、向けようとして、取上げたのがこの決議案である。(「馬鹿を言うな」「嘘を言うな」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)なぜかならば、今日世界がどういうふうに進んでいるかは私はここに説明しないが、日本が全面的な講和の遂に進み、国の独立を実現するためには、世界の平和的な人民勢力と結び付かざるを得ない。又世界の平和的な人民勢力と日本の人民が結び付こうとする勢いがますます強まりつつある。(「それは手前勝手だ」と呼ぶ者あり)これによつて国内の反動勢力はますます軍国主義的になりつつある。これは最近の中ソ同盟がその最初に掲げて明確にしたところである。(「問題が違う」「詭弁を言うな」「国会で嘘を言うな」と呼ぶ者あり)それだから、こういう愚かなところにまで、取上げられる見込みのないようなところにまで気狂いのように飛び付かざるを得ない。我々はなぜ一部の人々がこういう愚かなところにまで飛び付かざるを得ないか、その原因に触れよう。これは、(「嘘をつけ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)何をぐずぐず言うか。めそめそするな。その第一の原因は、政府の失敗、退陣せざるを得ないものが退陣したくなくて噛じり付いているために、問題を反ソヴイエト、反中国、この方向に持つて行こう、この精神的準備を国民を煽動して国民的に起そうとするのが第一である。(「それは共産党じやないか、馬鹿なことを言うな」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  152. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御静粛に願います。
  153. 中野重治

    ○中野重治君(続) 第二に、それと結び付いたところの国内における人民の革命的勢力を彈圧するための準備をしようということが第二の問題だ。(「でたらめ言うな」と呼ぶ者あり)これは過去においても、今日においても、反動的軍国主義的勢力の最後の頼みの綱として暴力的に掴まざるを得ないただ一つの頼みの綱である。恐らくかくのごとく(「でたらめ言うな」「嘘をつけ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)内容を暴露されて諸君がぎやあぎやあ猫のように叫ばずにはいられないのは、私は個人的には同情をするが、これは許すことができない。(「それは共産党じやないか」と呼ぶ者あり)恐らくぎやあぎやあという叫びによつて、これが多数を以てこの決議案が決議として通るならば、吉田君はいそいそとしてお礼を述べるでありましよう。これはこの決議案の反動的軍国主義的性質をみずから告白するものである。(拍手
  154. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより本決議案の採決をいたします。本決議案に賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  155. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本決議案は可決せられました。(拍手)  只今の決議に対し吉田内閣総理大臣より発言を求められました。吉田内閣総理大臣。    〔「それ見ろ」「当然じやないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕    〔国務大臣吉田茂君登壇拍手
  156. 吉田茂

    ○国務大臣(吉田茂君) 只今の決議に対しまして……(「それ見ろ」「当り前だよ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  157. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 靜粛に願います。
  158. 吉田茂

    ○国務大臣(吉田茂君) (続) 一言政府といたしまして所見を述べたいと思います。  ソ連及び中共地区よりの未帰還同胞の引揚促進、その実情の調査につきましては、政府は従来あらゆる努力を拂つており、又総司令部においても極めて熱心に同情を持つて引揚促進に盡力せられておつたことは諸君御承知の通りであります。政府はこの決議の御趣出については全く賛成であります。この決議の趣意の実現を見るよう、政府としては更に努力をいたす考えであります。又実情調査のために、(「何を調査したのだ」と呼ぶ者あり)実情調査のために、各種の団体、国際団体が日本に対して若し来朝せられた場合には、あらゆる便宜を供する考えであります、あらゆる資料も提供する考えであります。以上この決議に対する政府の所見を申上げる次第であります。      ——————————
  159. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、商品取引所法案内閣提出)、臨時石炭鉱業管理法の廃止に関する法律案衆議院提出)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  160. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。通商産業委員長深川榮左エ門君。
  161. 深川榮左エ門

    深川榮左エ門君 只今議題となりました商品取引所法案について、通商産業委員会における審議経過並びに結果を御報告申上げます。  本案の提案の理由及び内容について御説明申上げますと、我が国経済は、自由にして民主的経済組織として復興しつつあり、換言すれば、このことは、商品の価格を決定する需要供給を成るべく広い範囲に亘つて集中し、公正な価格を作るための市場の形成を必然的に要求するものであり。商品取引所設立が業界から強く要望されるに至つたゆえんでもあります。然るに現行商品取引所法は遠く明治二十六年の制定にかかるもので、その後、統制経済の必要に応じ数回の改正が行われて今日に至つた次第でありますが、現在の経済の実情に即せぬ点が多く、商品取引所法を新たに開設するに当たつては先ずその根拠法規である商品取引所法を新たな構想の下に全面的に改正する必要が生じたのであります。  本案要点を申上げますると、第一点は、取引所の設立に当つて、産業界の自主的な活動を尊重し、従来の免許主義をやめて登録主義を採用したこと、第二点は現行法によると株主会社組織と会員組織によるものを認めておるのでありますが、今回は会員組織の商品取引所のみを認めたこと、第三点は、取引所に上場できる綿花、綿糸、綿布、乾繭、生糸、人綿糸、スフ糸、毛糸、ゴムの九商品を法定する外、必要の都度政令で商品の品目追加を行い得るようにしたこと、第四点は、取引所の民主的運営のための諸制度を創設したこと等であります。  以上、法案の大要でありまするが、本委員会審議に際しましては、各委員会からそれぞれ熱心なる質疑がなされたのであります。質疑を終了し、討論に入りましたところ、社会党を代表し吉田委員から、未だ取引所を開設するような自由経済の段階に入つていないという理由で本法案に反対である旨の意見が開陳せられ、緑風会を代表して玉置、鎌田委員、民主党を代表して境野委員、自由党を代表して中川委員からそれぞれ本法案政府原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。以上簡単に御報告申上げます。  次に只今議題となりました臨時石炭鉱業管理法の廃止に関する法律案に関する通商産業委員会審査経過並びに結果について御報告申し上げます。  本案衆議院議員星島二郎君外九名の提出によるものであります。本案内容を申し上げますと、去る昭和二十二年十二月八日、即ち第一回国会の最終日に本院を通過成立いたしました臨時石炭鉱業管理法を当該管理法の失効期日を待たずして廃止することを主たる内容とし、その外に当該管理法廃止に伴う諸方策、即ち石炭鉱業権等臨時措置法に関する経過規定及び当該管理法に基づく命令指示により生じた損失補填の請求権の措置並びに行政機構に関する関係法規の整備を規定しているのであります。次に本案の提案理由といたしまして次の諸点が挙げられておるのであります。その最も根本的な要因としては、経済九原則の実施その他の経済諸施策の結果、石炭鉱業においても出炭能率の向上と経営合理化によつて石炭の需給状況が緩和し、遂に昨年九月配炭公団が廃止せられて、石炭は一部の銘柄を除き全面的統制解除となつていること、第二点として、右の状況下において複雑な管理組織と煩雑な手続とは、却つて企業の自主性を阻害せしめるという点、第三は、当該管理法を廃止することにより、行政機構を簡素化して国費節約せられる計算になるという点であります。  本法案につきまして、提案者の一人であります衆議院通商産業委員会理事神田博君及び政府との間に行われました質疑応答の概略について申し上げます。その詳細につきましては速記録を御覧願いたいと思うのでありまするが、主なるもの二三について申し上げたいと思います。先ず一委員より、石炭の需給が緩和したというのは有効需要が減退したからであつて、高級炭は依然不足し、ために重要な高値を呼んでいる状況であるが、本案実施後その対策如何という質問がありました。これに対して提案者及び政府は、一部高級炭の高値は電力料金或いは運賃の値上りによるのであるが、運賃については海上輸送が自由競争になつたため値下がりの傾向にあるので、一応好転している状態である。併し抜本的な対策として、炭鉱業そのものの経営合理化により経費の無駄を排除し、高級炭の増産を図る。合理化資金として見返資金を放出し、技術導入は行政措置として実施する。高品位炭の増産は急速には実現できないが、長期間かかつてもその実現に努力するとの答弁がございました。又臨時石炭鉱業管理法の効果を認めるかとの質疑に対し、提案者は、当該管理法実施期間二ケ年中、一年半は吉田内閣が実施担当者であつたものを見ても、その効果は十分認めているとの応答がありました。次に、臨時石炭鉱業管理法においては、政府、経営者、労働者の三位一体の原則が謳つてあるが、かかる民主立法の建前は飽くまで尊重すべきでないかという質問に対して、提案者から、企業運営の原則として経営の自主権と健全なる労働組合の発展が望ましい。労働組合の健全な発展は現在の労働立法で十分間に合うと思うので、特別な立法措置は考えていないとの答弁がありました。又一委員より、本案実施により、新坑の開発等、炭鉱独自の力を以てしては到達なし能わざる問題等に対して、提案者から進坑開発は勿論、炭鉱に関する調査或いは炭鉱業の合理化等は、一企業の力のめみでは到底実現不可であり、当然政府がなすべきことであることに対しては、その実施に遺憾なきよう、臨時石炭鉱業管理法のごときを臨時的のものではなく、又管理法の代案という意味でもなく、より高い視野と、より広い立場から、恒久的な立法措置を研究中であるとの応答がございました。その他、本法案実施後の石炭鉱業に対する政府の対策について熱心な質疑応答が繰返されたのであります。  かくて慎重な審議の後に討論に入りましたところ、吉田委員より、臨時石炭鉱業管理法が民主的立法なるが故に、労働者も納得して増産に協力して来たのであるが、本案実施により労働者の増産意欲は減退するのみか、自由競争下にさらされたため、炭鉱業者のうち倒産するものもあり、従つて失業者も出て来るのである。その他、本案規定の諸条件により、炭鉱は民主的発展とは凡そ逆の封建的な姿になることを危惧するとの反対意見の開陳がございました。次いで境野委員より、臨時石炭鉱業管理法が緊急増産のための臨時立法である限り、一応その使命を達成した今日では、その廃止も止むを得ないが、今後は真に石炭業の育成を図るような立法的措置を講じ、当該管理法なき後、空白のないよう万全の措置を講ぜられたいとの条件附賛成意見の開陳があつたのであります。又結城委員より、臨時石炭鉱業管理法により、増産の目的を達し、現在ではその使命を終わつたと思うとの賛成意見の開陳があり、平岡委員より、臨時石炭鉱業管理法審議の当初より、同法では増産が不可能であると確信をしていた点と、本案実施により国費の節約ができるという点で賛成であるとの賛成意見の開陳がありました。以上で討論を終り、採決の結果、本案は多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  右御報告申し上げます。(拍手
  162. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 臨時石炭鉱業管理法の廃止に関する法律案に対し討論の通告がございます。これより発言を許します。吉田法晴君。  〔吉田法晴君登壇拍手
  163. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 私は日本社会党を代表して臨時石炭鉱業管理法の廃止その他関連法の改廃に反対の討論をなすものであります。  反対の第一の理由は、自由党の廃止理由理由としてなつておらぬという点であります。自由党の廃止の理由は、臨時石炭鉱業管理法提出の際に、初めから自由党は反対であつたということが一つ、それから行政整理、人員整理をなして経費の削減をするという、いわば選挙対策としてこの廃止が取上げられておるという点であります。  第二の理由は、炭鉱石炭行政における民主的な要素、民主的な機構を廃止してしまうという点であります。言い換えますならば、臨時石炭鉱業管理法にありました生産協議会、或いは全国地方に跨ります炭鉱管理委員会を廃止して、これに代わるべき何らかの法的措置を講じないのであります。これは炭鉱石炭行政における民主的な要素を完全に取つてしまつて顧みないことになるのであります。又保安行政機構を縮小いたしまして、そうでなくてさえ増加の傾向にあります炭鉱の災害を増加し、人命その他、人権の尊重の危惧を来します結果となりますので、これが反対の第二の理由であります。(「分かった」と呼ぶ者あり)  第三の理由は石炭関係行政機構を甚だしく縮小して人員整理をなさんとする点であります。その点について反対をするのであります。行政機関職員定員法の改正によりまして四百十八名の首切りをなすの危険性がありますので、反対をいたすのであります。  第四の理由は、石炭行政を放棄して石炭の減産を来しますので反対をいたすのであります。今までの石炭行政に関します経過の概略を申述べてみますと、終戦前まで、石炭庁を作り、石炭庁長官は大臣にもすべきだという意見すらもあつたのでありますが、終戦と共に全く石炭行政を放棄いたしまして、商工省の中の一つの課、石炭課にするような事態が起きて参りました。その結果、炭鉱におきましては、労働者の賃金も或いは食糧も一切のものが放棄されまして、増産の意欲が減退し、坑道は荒れ、或いは甚だしきに至りましては主要坑道の崩落さえも見るというような事態に立ち至りましたために、汽車の焚く石炭も危殆に瀕する、或いは汽船が焚きます石炭にも事欠くというような状態が出て参りまして、慌てて石炭施策をやり直して石炭庁を作りますと共に、或いは賃金を三円、二円という工合に最低を決め、或いは食糧を増配すると、こういうふうに慌てて石炭行政の復活を図りまして、そうして順次石炭生産の復興を図り、更に重点生産等が行われて参つたのであります。極端に縮小或いは放棄いたしますことは、単に行政の機構を甚だしく小さくするというだけでなしに、相関連いたしまして労働者の優遇も放棄し、先般ここで問題といたしましたような低賃金に押付け、賃金資材の重点注入も廃しまして、全くの自由主義経済の下に放置せんとするのでありますが、その結果は、石炭の生産目標にいたしましても、現状の四千万トンを低迷するだけでなしに、更に三千六百万トン、或いはそれ以下に下る結果を招来すると考えるのであります。私共は産業の水準七割或いは国民生活水準七割というような現状には反対なんであります。飽くまでも石炭五千万トンを生産し、日本の経済水準を戦前に、或いはそれ以上に復活することを主張するものであります。いわば今日全く計画経済をやめて自由経済に追いやり得る段階ではないと信ずるものであります。石炭に関連いたしましても、或いは生産費の問題が云々せられております。或いは現状以上に生産費を切り下げ、或いは能率を向上し、真に炭鉱の生産力復興のためには特別に設備資金について必要だということが言われておりまするが、そうした特別金融措置の必要或いはこれに関連いたします法案のごときは、明らかにこれは尚、石炭行政に関連し一般的に計画経済の必要を証明いたしておるものであります。特に炭鉱につきまして、その炭鉱の維持或いは若返りのためには、新炭田の調査、開発或いは合理化を継続しなければならぬのでありますが、こうした炭鉱の特殊性は特にこの点を強く要望するものであります。単管法その他を廃止しまして、石炭の減産を招来し、日本経済を後退せしめる方策については社会党は反対であります。  第五には、こうした(「簡単」と呼ぶ者あり)短管法廃止その他の結果、現状以上の中小炭鉱の倒産、休廃止には我々は反対であります。その結果出て参りますところの失業に対しても反対するものであります。(「一括反対」と呼ぶ者あり)昭和二十四年七月から十二月まで全国に亘りましては全部及び一部休廃止を加えまして二百九坑を数えているのでありますが、それ以上の中小炭鉱の倒産或いは休廃止を生じ、失業者を出すことは明らかであります。  第六には、炭鉱を封建的な昔の炭鉱に還す結果を生じますので反対をいたすのであります。炭鉱国管法の廃止に伴いまして、経理内容の届出その他統計提示の義務が免除せられるのでありますが、その結果は経理の公開によります炭鉱の民主的な経営の要素が払拭せられるのでありましょうし、又石炭鉱業権等臨時措置法の廃止によりまして、全ての斤先掘契約或いは請負契約のようなものが、使用権に切換えられることなく、又元の斤先掘契約を復活するのでありましょうが、この斤先掘契約は封建的な関係の温床であり、或いは職業安定法違反等の問題を生じて参つたことは明らかでありますが、石炭鉱業権臨時措置法廃止の結果、こうした旧態の斤先掘契約は封建的な関係を再生する危険性があるという意味において、炭鉱国家管理法或いはこれに対する関連法の廃止に反対するものであります。  第七の理由は、労働者を低賃金に押し付け、中小炭鉱を潰し、失業者を放り出し、石炭の増産を阻害いたしまして、むしろ石炭の減産、日本経済の発展を阻害いたします自由党の古典的自由主義的経済政策に反対し、(「反対」:と呼ぶ者あり)労働者の生活の安定と中小炭鉱を含む石炭産業の維持の上に民主的経済復興を実現する社会主義を守り通そうとするものであります。従来不満足ではありましたけれども残された唯一の社会主義的法律であります国管法乃至関連法の廃止に反対をいたしまして、社会党の炭管法廃止或いは関連法の廃止に対する反対の討論とするものであります。(拍手
  164. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これにより採決をいたします。  先ず商品取引所法案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。  〔起立者多数〕
  165. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数を認めます。よつて本案は可決せられました。     —————————————
  166. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 次に臨時石炭鉱業管理法の廃止に関する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。  〔起立者多数〕
  167. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。(拍手)     —————————————
  168. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、配炭公団の損失補てんのための交付金等に関する法律案内閣提出、参議院送付)を議題とすること御に異議ございませんか。  (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  169. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。大蔵委員会理事黒田英雄君。    —————————————  〔審査報告書は都合により本号附録に掲載〕   〔黒田英雄君、登壇拍手
  170. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 只今議題となりました配炭鉱団の損失金補てんのための交付金等に関する法律案委員会におきまする審議経過並びに結果を御報告いたします。  本案は、配炭公団の損失補填財源として同公団昭和二十三年以降国庫に納付すべき剰余金七十五億八千八百万円を充て、尚、損失金が生じますので、同公団に対し一般会計から四十三億五千七百万円を限り交付金を以てその損失を補填いたそうとするものであります。又食料品配給公団、飼料配給公団の損失補填財源には、昭和二十四年度以降の剰余金、即ち食料品配給公団にありましては六億三千五百五十二万円を、それぞれ当該公団の損失補填財源に充当して、清算終了後におきまして剰余金が生じました場合には国庫に納付いたそうとするのであります。衆議院におきましては附則に修正が加えられたのであります。委員会におきましては、本案に直接に関係のある配炭、食料品及び飼料配給公団の外、鉱工品貿易公団についても、政府委員、各公団責任者及び清算人等から、各公団経理状況、売掛金の内容及び回収不能見込額、或いは目下問題になっておりまする不正事件等について説明を聴取し、慎重に審議をいたしたのでありますが、詳細は速記録により御承知願います。質疑を終了いたし、討論に入りまして、波多野委員から、配炭公団が欠損を生じた原因は極めて不明瞭であつて、複雑怪奇と言う外なく、而もこの損失を国民の血税を以て補填せんとするものであるから、これを延期すれば更に金利だけ損失を増すことになるが、これは忍んで、更に十分調査の上、次の国会において審議決定すべきであるとの反対意見が述べられ、又油井委員から、(「もつとはつきり」と呼ぶ者あり)配炭公団が莫大な損失を生ずるに至つたのは、現内閣が石炭統制撤廃の時期と方法を誤つたこと及び経営が極めてルーズであつて、買入炭の検査、売掛金の回収等について万全の処置をとらなかつた結果と思われるので、次の国会において十分に審議を盡し、国民の前に真相を明らかにすべきであるとの反対意見が述べられました。採決の結果、多数を以て衆議院送付案の通り可決すべきものと決定した次第であります。  右御報告申し上げます。(拍手
  171. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者挙手〕
  172. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。(拍手)      ——————————
  173. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、岡山地方法務局津山支局庁舎建議に関する誓願、宮崎地方法務局延岡支局庁舎新築に関する誓願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  174. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。建設委員長中川幸平君。    —————————————   〔審査報告書は都合により本号附録に掲載〕   〔中川幸平君登壇拍手
  175. 中川幸平

    ○中川幸平君 只今議題となりました誓願二件につきまして、建設委員会審議の結果を御報告いたします。  岡山地方法務局津山支局並びに宮崎地方法務局延岡支局庁舎新築に関する誓願、再件は同地方におる多年に亘る要望であり、願意妥当なものと認め、全会一致これ採択し、内閣に送付するを要するものと決定いたしました次第であります。右御報告いたします。(拍手
  176. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの誓願は委員長報告の通り採決し、内閣に送付することに賛成諸君起立を求めます。   〔起立者多数〕
  177. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつてこれらの誓願は採択し、内閣に送付することに決定いたしました。  議事の都合により暫時休憩いたします。    午後八時三十三分休憩      ——————————    午後九時三十九分開議
  178. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。  参事をして報告いたさせます。   〔海保参事朗読〕 本日委員長から左の報告書を提出した。  行政機関職員定員法の一部を改正する法律案修正議決報告書  国土総合開発法案可決報告書  自作農創設特別措置法の一部を改正する等の法律案否決報告書      ——————————
  179. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) この際、日程に追加して、行政機関職員定員法の一部を改正する法律案、国土総合開発法案、(いずれも内閣提出衆議院送付)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  180. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。内閣委員長河井彌八君。   〔審査報告書は都合により本号附録に掲載〕   〔河井彌八君登壇拍手
  181. 河井彌八

    河井彌八君 行政機関職員定員法の一部を改正する法律案について内閣委員会における審査経過並びに結果を申上げます。  この法律案は、委員会を開くこと予備審査と共に四回、先刻三つの修正を加えまして可決すベきもと決定いたした次第であります。  提案の内容につきまして簡単に申上げますれば、  第一に定員総数におきましては、八十七万三千二百三十七人が八十七万一千二百七十二人となりまして、差引一千九百六十五人の減少であります。これを各省別にいたしますると、農省林、通産省、運輸省、建設省、郵政省、経済安定本部等、主として経済関係の各官庁におきまして合計一万一千四百八十二人を減ずるのでありますけれども、他方、総理府、法務府、大蔵省、文部省、厚生省、電気通信省、労働省におきましては合計九千五百十七人を増加することとなつております。事項別から見ますると、減少の主なるものは経済統制関係の一万一千三十四人、府県委譲四千二百五十三人、引揚援護事務関係二千三百七十五人等であります。増加の主なるものといたしましては、電気通信施設の拡充によるもの四千四百四十五人、国立結核療養所の職員三千四百十三人、国立学校職員三百九十一人、国税庁職員千百人、職業安定所職員七百三十三人等であります。これは行政目的が転換している事実をはつきりと示すものであります。尚、今回の新定員を昭和二十五年度の予算定員と比較いたしますると一万五百七十七人の減少となつておるのであります。又定員法上の減少から見ますると千九百六十五人の減少でありまするが、併し実際の退職者の数は四千四百人程度に上るという予想であります。  第二に、電気通信省の本省の定員につきまして、引揚援護庁等における場合と同様に、電気通信業務の状況によつて特に必要ある場合には、予算の定める範囲において政令を以てこれを増加することができるようにした点であります。  第三には、一般行政機関職員を増減する外に、更に終戦 処理事業費、特殊財産処理附帯事務費等の支弁にかかる職員につきましても、その数を現在の五千四百六人から二千三百九十二人に減少しておるのであります。  第四には、定員減少に伴うところの措置といたしまして、先ず一律に三ケ月の猶余期間を設けまして、六月三十日までは新定員を超える員数の職員を定員の外に置くことができるようにしてあるのであります。更に統制関係の人員につきましては、統制解除の時期等に即応いたしまして、六月末の外に、九月末、十二月末の三段階に分けて、行政事務の漸減に比例いたしまして定員を縮小するようにいたしてあるのであります。  又今回の定員減少に伴つて退職する者につきましては、昨年の五月に決定いたしましたところの行政整理の際と同様に、国家公務員法のいわゆる訴願権の既定を適用しないことといたしてあるのであります。尚この点につきましては、都道府県に勤務しておる物質統制関係職員につきましても同様に取扱うということになつております。これが本案提出せられました原案の大要であります。  委員会におきましては、定員の減少は国家公務員の運命の上に非常な利害関係のあることでありますると同時に、又国務の実行上最も注意すべきのであるという観点から、各般の事実に亘つて慎重に検討をいたしたのであります。でありまするが、時間の関係上、その内容につきましては、ここにこれを省略いたします。ただ特に申上げて置きたいのは、今回の定員法の改正は、昨年の行政整理の場合と同様に、整理を受ける者の訴願権を認めていないという点が、特にこれは委員諸君の注意を引いたところで、そうして前回には極めて多数の職員が整理せられたのでありまするが、この度は、それ程の多数の者でない、むしろこの程床の整理というものは、整理と申しますか、退職者の生じますることは、これは毎年起り得るのであるからして、昨年の…殊に訴願権を認めないということはよろしくないという意見が非常に強いのでありました。政府におきましては、将来職階制が確立されるならば、各個人についての考査表もできるのであるから、合理的対策の目安もあるわけでああるが、現在のところでは審査基準がないわけでありまして、殊に今回の被整理者の数も約四千四百人という多数が予想されるのであるから、どうしても只今事情は特殊な関係にあるのであるから、訴願権を認めないということは誠に気の毒であるけれども止むを得ないものであるという説明であつたのであります。  委員会只今申したような審議をした上に、その結果、三つの修正案提出せられたのであります。それは便宜ここで朗読をさせて頂きます。   行政機関職員定員法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   第二條一項の改正既定の表、農林省の欄中「本省三万三百二十二人」を「本省三万八百九十六人」に、「食糧庁二万九千四百八十九人」を「食糧庁二万九千五百七十四人」に、「計八万五千三十三人」を「計八万五千六百九十二人」に、合計の欄中「八十七万一千二百七十二人」を「八十七万一千九百三十一人」に改める。   附則第五項中、「本省三万四百十二人」を「本省二万九百八十六人」に、「食糧庁二万九千五百九人」を「食糧庁二万九千五百九十四人」に、「本省三万三百六十二人」を本省三万九百三十六人」に改める。   それから次には、行政機関職員定員法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   第二條第一項の改正親定の表、労働省の欄中「本省二万五百五十五人」を「本省二万七百五人」に、「計二万八百七人」を「計二万九百五十七人」に、合計の欄中「八十七万一千二百七十二人」を「八十七万一千四百二十二人」に改める。  この只今申しました二つの定員の修正増加の結果、合計の欄がこれを合計したものに改める必要がありまするので、会計八十七万一千二百七十二人を八十七万二千八十一人に改めることとなるのであります.  最後に出ました修正案は、   行英機関職員定員法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   附則第十三項及び第十四項を削る。  修正理由について簡単に申上げます。  第一に申述べました修正につきましては、農林畜水産物関係の連絡調整事務の一部が本省から食糧庁に移りましたのに伴つて、その要員八十五人を本省から食糧庁に移管する必要があるのと、それから統計調査事務所が農作物被害の調査を実施することになるに伴いまして、これがための要員として同所の定員を六百五十九人増加する必要がある。尚この定員の増加に要するところの所要経費は二十五年度の予算に計上されているというのであります。  もう一つの労働省の定員増加に関する理由といたしましては、公共職業安定所における事務量の飛躍的増加に伴つて、この法律案による定員の増加は五百五十人でありますが、それでは安定所職員の健康保持並びに執務の能率増進に支障があると認められるので、すでに昭和二十五年度予算に計上されている百五十人についても更に増員する必要があるというのであります。  第三の「附則第十三項及び第十四項を削る。」というのは、今回の整理は、その整理の性質及び被整理者の数が昨年の整理の場合と比べまして著しく違つているから、国家公務員法第八十九條から第九十二條までの既定、即ち訴願に関する既定でありますが、この訴願に関する既定を今回の整理の場合に適用しないのは適当でないという意味であります。こういう理由を以てそれぞれの修正案提出せられたのであります。  委員会におきましては、この修正案についてそれぞれ採決をいたしましたところが、多数を似ていずれも可決すべきものと決定いたしました。更に残りの原案について採決をいたしましたところ、これ又多数を以て可決すベきものと議決した次第であります。  次に国土総合開発法案につきまして委員会審査経過並びに結果を御報告申上げます。  この法案は、戦後の荒廃した我が国土の保全を図り、又国土及び資源の合理的開発利用を期するために、いわゆる国土総合開発計画を樹立するための基水的な事項を定めんとするものでありまして、内閣総理大臣の諮問機関として総理府に国土総合開発審議会を設けようとするものであります。  この法案に基いて立案を予定されるところの開発計画は凡そ四つになるのであります。第一は全国総合開発計画、第二は都府県総合開発計画、集三は地方総合開発計画、これは二つ若しくは二つ以上の府県に亘るところの総合開発計画であります。第四は特定地域総合開発計画であります。そうして国土総合開発計画については、成るべく各地域において地方公共団体を中心とすとるころの自主的・積極的立案計画を期待いたしておりまして、これを中央における審議会において総合調整することを骨子とするものであります。尚、先般成立を見ましたところの北海道開発法に基きまして北海道開発庁によつて立案せられるところの北海道開発計画と国土総合開発計画との調整につきましては、内閣総理大臣が北海道開発庁の長官及び国土総合開発審議会の意見を聞いて行うということになつておるのであります。本委員会におきましては前後二回に亘りまして本案審議いたして、種々質疑応答を重ねたのであります。審議の結果は、北海道開発と国土総合開発との関連の点、殊にその総合調整の必要なる点等を認めまして、全会一致を以てこれを可決すべきものと議決した次第であります。  これを以て報告を終わります。
  182. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 行政機関職員定員法の一部を改正する法律案に対し討論の通告がございます。発言を許します。堀眞琴君。   〔堀眞琴君登壇
  183. 堀眞琴

    ○堀眞琴君 只今上程になりました行政機関職員定員法の一部改正に対しまして、私は労働党を代表いたしまして反対を表明するものであります。  只今委員長報告にありますように、内閣委員会においては修正案が通つたのでありまするが、その部分につきましては私必ずしも反対を表明するのではないのであります。その部分については私はむしろ賛成したいのであります。特に附則十三項並びに十四項の項目につきましては、訴願権を回復するという意味におきまして重大な内容を持つものと考えるのであります。併しその他の部分につきましては私は必ずしも賛成することができない。昨年の第五国会において我々はこれに反対し、参議院においては曾てない懲罰事犯まで惹起したことは皆さん御承知の通りであります。一体、定員法の基本的な考え方が、私は政府においてとつている考え方というものは間違つていると思う。何故なら、機械的に或る職務にはこれだけの職員が必要である、こういう形で定員法を組んでいるのでありますが、併しながら職員の数はそれぞれその担当するところの行政事務の職能によつてこれを決めるべきでありまして、現在の情勢の下においてはそういうような決め方をすることができない状態になつているのであります。のみならず行政事務というのは、例えば統制経済事務を外したからそれだけ職員の定員が少くなるという考え方、これは行攻事務というものを非常に固定的に考えている考え方でありまして、行政事務の中から統制経済事務を除けばあとの事務は依然としてちつとも変わらぬという考え方の上に立つておるのであります。併しながら皆さんも御承知のように、国家の権力が中立性を要求されておつた時代の行政事務と、それから、そうではなくて、今日のように国民生活の福祉を中心として行政事務を担当するという考え方に変つて参りました行政事務内容とでは、その国家内において果す職能というものは全く違うのであります。併しながら政府においてはこの行政の職能としての考え方について全く考えがない。全く無能であると私は断ぜざるを得ないのであります。従つて例えば統制経済事務を外した、或いは終戦処理事務がなくなつたということで以て、機械的に、而も固定的に、この行政事務に携わるところの職員の定員を減らすということは全く意味をなさぬということを考えることができるのであります。で、定員法の今度の修正案内容によりますると、増員される部分があり、減員される部分があり、差引一千九百何人かの減員ということになつておるのでありまするが、ところがその内容を見ますると、減員となる部分は主として経済関係事務、民生関係事務を主とするものであります。これに対しまして増員となる部分事務というのは大体法務府関係事務、或いは警察関係事務であるとか、或いは海上保安庁の関係事務であるとか、国税関係事務という工合に、国民経済に対しては何ら関係のない方面においてそういう事務が増加されるのでありまして、この点につきましても、今日行政事務が果すべきその役割から申して、正しい考え方ではないと言わなければならぬのであります。  それからもう一つ、昨年の定員法の通過によりまして二十万近い被整理者が出たのでありまするが、そのことは即ち日本の失業を更に増加した。而も政府の整理によりまして一般企業においても又同じような失業者がどんどん出て参つているのでありまして、失業者が非常に多数に上つていることは皆さん御承知だろうと思います。毎日々々あの職業安定所の前に長蛇の列をなして、自由労務者その日の仕事を求めてひしめいているのであります。而も当時、労働大臣は、失業者の激増は二十四年度に限ることであつて、その後の年度においては恐らく失業者は出まい、失業者は二十四年度が最高であろう、従つて政府としてはこれに対する万全の策を講ずるということを言明されたのでありまするが、これは認識不足も甚だしいものでありまして、失業者はますますその後増加する一方であります。資本主義の今日の機構におきまして、この失業者が出て来ることは、今日の政策を遂行する以上は避けられない現状だと申上げなければならぬのであります。而も政府職員の整理せられた者に対する就職・転職の斡旋につきましては、当時政府当局においては極力これを努力するという話であつたのでありまするが、政府の最近の説明によりまするというと、就職乃至は転職せられた者は僅かに七万人足らずでありまして、全体の半分に達しておらぬ、半分以上は今日尚依然として失業者の群の中にあるという現状でありまして、今後社会不安はこの失業者の激増を通じてすます高められることを私は認めないわけには行かないのであります。而も政府においてはこれに対する万全の措置を持ち合わしておらぬ。こういうような状態なのでありまして、我々としましては、この行政機関職員定員法の一部を改正する法律案は対しまして反対を表明するものであります。(拍手
  184. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は結局したものと認めます。これより採決をいたしす。  先ず行政機関職員定員法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。委員長報告修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成諸君起立を求めます。   〔起立者多数〕
  185. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 過半数と認めます。よつて本案委員会修正通り議決せられました。   〔「議長々々」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕      ——————————
  186. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) …全部を問題に供します。(発言する者多く聴取し難し)本案に…起立を求めます。御静粛に願います。もう一遍繰返します…  次に国土総合開発全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。   〔起立者多数〕
  187. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。  暫時休憩いたします。        午後十時十分休憩      ——————————        午後十一時十七分開議
  188. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。  参事をして報告いたさせます。   〔海保参事朗読〕 本日内閣から予備審査のため左の議案が送付された。よつて議長は直ちにこれを通商産業委員会に付託した。  地方自治法第百五十六條第四項の既定 に基き、通商産業局石炭事務局及び鉱山保安監督部支部の設置に関し承認を求めるの件 本日衆議院から左の内閣提出案を受領した。よつて議長は直ちにこれを通商産業委員会に付託した。  地方自治法第五十六条第四項の既定に基づき、通商産業局石炭事務所及び鉱山保安監督部支部の設置に関し承認を求めるの件 本日委員会から左の報告書を提出した。  地方自治法第百五十六条第四項の既定に基づき、通商産業局石炭事務所所及び鉱山保保安監督部支部の設置に関し承認を求めるの件議決報告
  189. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、常任委員長辞任の件をお諮りいたしたいと存じます。御異議よございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  190. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。内閣委員長河井彌入君、郵政委員長水久保甚作君、電気通信委員長松野喜内君、建設委員長中川幸平君及び懲罰委員長太田敏兄君からそれぞれ委員長を辞任いたしたい旨の申出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  191. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて本件は許可することに決しました。
  192. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、欠員となりました内閣委員長、郵政委員長、電気通信委員長、建設委員長及び懲罰委員長選挙を行いたいと存じます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  193. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。
  194. 大隈信幸

    ○大隈信幸君 只今議題となりました常任委員長選挙は、成規の手続を省略して、議長において指名せられんことの動議提出いたします。
  195. 門屋盛一

    門屋盛一君 只今の大隈君の動議賛成いたします。
  196. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 大隈君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  197. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて内閣委員長に伊達源一郎君を、郵政委員長に鈴木安孝君、電気通信委員長に城義臣君を、建設委員長に柴田政次君を、懲罰委員長に岡村文四君を指名いたします。(拍手
  198. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、国家公務員の給與問題に関する調査を閉会中も継続するの件(人事委員長提出)、社会保証制度に関する調査を閉会中も継続するの件(厚生委員長提出)、公共企業体労働関係法の改正に関する調査を閉会中も継続するの件(労働委員長提出)、議院の運営に関する調査を閉会中も継続するの件(議院運営委員長提出)、地方行政の改革に関する調査を閉会中も継続するの件(地方行政委員長提出)、検察及び裁判の運営に関する調査を閉会中も継続するの件(法務委員長提出)、公共企業体労働関係法第一六條第二項の既定に基き、国会議決を求めるの件の審査を閉会中も継続するの件(運輸委員長提出)、以上七件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  199. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。以上七件の審査及び調査を閉会中も尚継続するの件は、各委員長の要求通りこれを承認することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  200. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれら七件の継続審議及び継続調査を承認することに決定いたしました。      ——————————
  201. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、地方自治法第五十六條第四項の規定に基き、通商産業局石炭事務所及び鉱山保安監督部の設備に関し承認を求めるの件(衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  202. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。通商産業長深川榮左エ門君。   〔審議報告書は都合により本号附録に掲載〕
  203. 深川榮左エ門

    深川榮左エ門君 只今議題となりました地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、通商産業局石炭事務所及び鉱山保安監督部支部の設置に関し承認を求めるの件につきましての通商産業委員会におきまする審査経過並びに結果につきまして御報告申上げます。  本件は、先に本院を通過成立いたしました臨時石炭業管理法の廃止に関する法律案施行せられた場合には、同法第三條によつて改正されました通商産業省設置法第二十八條、同じく第四十八條により、所要の地に通商産業局の石炭事務所及び鉱山保安監督部の支部を置くことが許されておりますので、左のごとくそれぞれ石炭事務所と支部を置くことといたしたいといぅのであります。即ち札幌通産局管下では岩見沢市、石狩国滝川町、夕張市、釧路市、東京通産局管下で平市、広島通産局の管下では宇部市、福岡通産局の管下では飯塚市、田川市、直方市、佐賀市、佐世保市の各地にそれぞれ石炭事務所を設置し、東京鉱山保安監督部の支部を平市に、広島鉱山保安監督部の支部を宇部市に設置せんとするものであります。  本委員会では、本件につきまして慎重なる審議の末、討論を省略して採決いたしましたところ、多数を以て原案通ろ承認すべきものと決定いたした次第であります。右御報告申上げます。 (拍手
  204. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本件の採決をいたします。本件は委員長の御報告通り承認を與えることに賛成諸君起立を求めます。(「賛成」「反対」と呼ぶ者あり)   〔起立者多数〕
  205. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本件は承認を與えることに決しました。  議事の都合により暫時休憩いたします。    午後十一時二十六分休憩    ——————————    午後十一時四十五分開議
  206. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 休憩前に引続き会議を開きます。  参事をして報告いたさせます。   〔海保参事朗読〕 本日地方税法案両院協議委員において正副議長を左の通り互選した。        議長  三木 治朗君        副議長 中井 光次君 本日両院協議委員議長から地方税法案両院協議会の成案を得なかつた旨の報告書を提出した。
  207. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 地方税法案両院協議委員議長より報告することを求められました。この際許可いたします。 両院協議委員議長三木治朗君。   〔三木治朗君登壇拍手
  208. 三木治朗

    ○三木治朗君 只今議題となりました地方税法案両院協議会の結果を御報告申上げます。  先ず参議院の議長指名による協議委員議長には不肖私がその席を汚すことになりました。副議長には中井光次君が指名されました。衆議院におきましては星島二郎君が議長に、大村清一君が副題長となりました。尚、本日の協議会は抽籤の結果、星島二郎君が議長となりまして、協議会を開催いたした次第であります。詳細は速記録に譲りまして、以下協議会の審議経過及び結果を簡単に御報告申します。  先ず衆議院側から、本地方税法案は、短期間に準備されたものであるから若干不十分な点があり、附加価値税については政府原案よりも一%ずつ引下げる。固定資産税についてはその課税標準の倍率を九百倍から八百倍に引下げ、更に住民税についてはその均等割を軽減する等考慮したのでありますが、地方公共団体の税収確保及び国税の減税を睨み合せると、国民にそれ程大きな影響を与えるものでないこと、更に次の国会において不十分な点を必ず是正し得る確信があること等の理由により、政府原案を可決したとの趣旨の説明があつたのであります。  次いで参議院側から、この地方税法案による地方税制改革は、今日の我が国の経済事情から見るとき時期尚早である。同法案中の附加価値税及び固定資産税の実施を一年延期すると共に、附加価値税の税率及び固定資産税の倍率を大幅に引下げ、減免を要する償却資産の課税を拡げ、非課税の対象を拡大する。住民税の所得割の税率を下げる。又入場税を更に引下げると共に、罰則を緩和する等の修正を考え、いろいろ折衝したのであるが、容るるところとならなかつたので、止むを得ず政府原案を否決するの止むなきに至つた旨の説明があつたのであります。  次に参議院側から、衆議院が本協議会を求めるに至つた理由を尋ねたところ、先に両院を通過した地方税法の一部を改正する等の法律により、現行地方税法中の大部分の税目はこれを徴収することができず、更にこの地方税法が成立しないときは、地方公共団体は財源を失い、種々困窮を来たし、殊に地方公務員の給与を支払うことができなくなるので、両院協議会を開いて成案を得、地方公共団体に財源を与えたい趣旨に外ならないとの説明がありました。  次いで参議院側から、右のような趣旨ならば、衆議院側から一つの案を提示すべきであると要求したところ、衆議院側もこれを了承し、次の案を提元したのであります。即ち   地方税法案附則第一項に左の但書を加える。   但し本法実施の状況及び地方財政の実情に照らし、必要ある場合においては、昭和二十六年三月三十一日までの間に所要の改正を加えるものとする。  その理由とするところは、本法の改正を法規上明確にし、義務付けるといちう点にあるのであります。  これに対しまして参議院側から、衆議院案の中には参議院の意向は何ら加えられていない。その上かくのごとき改正は無意味であるという理由によつて衆議院案には応ずることができない旨を述べたのでありますが、衆議院は更に歩み寄りを求めまして、更に次の案を提示いたしました。   地方税法第三十二條第一項中百分の四を百分の三・五に、百分の三を百分の二・五に改める。   第四百十二條中九百倍を八百倍に改める。   第四百十三條中二二・五倍を二○倍に改める。  附則の改正案は第一次案の通り。  尚、右の案によつて大体予定の税収を得ることができるとの説明がありました。これに対し参議院側は、衆議院第二次案は地方税法案に対する参議院否決の根本趣旨に何ら触れるところがないので、残念ながら応ずることができない旨を申述べ、本院側の一つの案を説明いたしました。それは、   附加価値税を一年延期する。   固定資産税の倍率の引下げ。   償却資産に対する課税は一年延期する。   学校その他純粋な学術研究施設に属する固定資産を非課税客体として附加する。   住民の所得割の税率を一三%とし、協同組合には住民税を課さない。   飲食税については、宿泊、大衆向きのものを一〇%、百円以下の支払は免税とする。   入場税は現行の百分の百を百分の六十に、百分の四十を百分の二十とする。   罰則を緩和する。  というのであります。  右の案は相互に関連があり、不可分のもので、且つこの措置及び別途財政的措置を講ずることによつて減収にはならない旨を申流述べたのであります。  本院の案に対しましては衆議院側は、四百五十億の減収となり、これは今日の地方の材政状態から見て誠意ある案とは考えられない。これに対し本院は決して減収にはならないとの旨を強調し、ここに意見は完全に分れまして、遂に成案を得るに至らなかつたのであります。  右御報告申上げます。(拍手、「正しいぞ」「それがいい」と呼ぶ者あり)
  209. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、私から一言特に御挨拶を申し上げたいと存じます。(拍手)  議員諸君のうち、半数の方は、本日を以て任期を終えられ、議席を去られることになりました。  顧みますれば、日本国憲法に基く第一回国会が召集されましてから今日まで三ケ年の間、国会は七回の会期を重ねて参りました。新憲法下の国会は、国権の最高機関として、常任委員会中心の新らしい制度を活用しつつ、国民の信託に応えて、我が国再建の根幹となるべ幾多の立法を行い、経済の復興に必要な予算審議するなど、努めてその機能を果し、今日漸く成果の曙光を見つつありますることは、諸君と共に欣快に堪えないところでございます。  殊に我が参議院といたしましては、二院制圧の新らしいあり方を確立するよう、或いは立法に、若しくは国政の調査に、その本来の使命達成のために盡瘁して参つたのでありまして、この業績は永く後世に輝くであろうことを信じて疑わないのでございます。  ここに本日を以て議席を去られます諸君が本院議員として残されましたその功績に対し、深甚の敬意を捧ますると共に、この上ながら平和的、文化的民主日本国育成のため御健闘あらんことを期待し、切に御自愛、御自重をお祈り申上げる次第であります。   〔拍手起る〕  〔河井彌八君発言の許可を求む〕
  210. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 河井彌八君。  〔河井彌八君登壇拍手
  211. 河井彌八

    河井彌八君 私は本日を以て議員の任期が終了いたしまする議員諸君を代表いたしまして、僭越ながら只今議長のお述べになりました御挨拶に対してお礼を申上げたいと存ずるのであります。  只今議長から、新憲法によつて我が参議院が如何によく働いたかということにつきまして、我々今日を以てこの席を去ろうとする者に対して過分のお言葉を頂戴いたしまして、誠に感謝に堪えないのであらます。過去三年の議員生活を顧みますれば、まだまだ我々はもつと盡さなければならぬことが多かつたと考えておるのであります。幸いにして、議長の厚い御指導と、それから同僚諸君の又懇切なる御援助によりまして、今日あることを得ましたことを深く感銘する次第であります。  今日国家の前途は極めて多難であります。どうか議長にも、又同僚諸君にも、国家のために十分御自愛あらせられますることをお願いする次第であります。ここふに別れに臨みまして深甚の謝意を表する次第であります。   〔拍手起る〕
  212. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これにて散会いたします。    午後十一時五十九分散会