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1950-05-01 第7回国会 参議院 本会議 第49号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年五月一日(月曜日)    午前十時五十二分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第四十七号   昭和二十五年五月一日    午前十時開議  第一 失業対策確立に関する決議案(村尾重雄君外四十一名発議)(委員会審査省略要求事件)  第二 文化財保護法案(本院提出、衆議院回付)  第三 熱海国際観光温泉文化都市建設法案衆議院提出)(委員長報告)  第四 伊東国際観光温泉文化都市建設法案衆議院提出)(委員長報告)  第五 住宅金融公庫法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第六 漁船法案衆議院提出)(委員長報告)  第七 水産資源枯渇防止法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第八 海上保安庁法の一部を改正する法律案(内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第九 大蔵省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一〇 一般職の職員の給與に関する法律の制定施行に伴う関係法律の整理に関する法律案(内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一一 滅失鉱業原簿調製等臨時措置法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一二 郡山営林局新設に関する請願(委員長報告)  第一三 気象官署拡充に関する請願(委員長報告)  第一四 佐賀地方裁判所唐津乙号支部甲号支部に昇格の請願(委員長報告)  第一五 札幌地方裁判所札幌家庭裁判所両小樽支部の昇格に関する請願(委員長報告)  第一六 武蔵野市に東京地方裁判所東京家庭裁判所支部設置の請願(委員長報告)  第一七 島根県安来町に簡易裁判所設置の請願(委員長報告)  第一八 甲府地方裁判所谷村支部甲号支部に昇格等の請願(委員長報告)  第一九 小笠原島民の帰郷に関する請願(委員長報告)  第二〇 在外公館等借入金支拂促進に関する請願(委員長報告)  第二一 阿波丸代船取得援助措置に関する請願(委員長報告)  第二二 旧軍用土地建物等国有財産民間活用に関する請願(委員長報告)  第二三 白下糖の消費税撤廃に関する請願(委員長報告)  第二四 光学機用ケース物品税軽減に関する請願(委員長報告)  第二五 室内裝飾用品中一部の物品税廃止または軽減に関する請願(二件)(委員長報告)  第二六 ガス器具の物品税軽減に関する請願(委員長報告)  第二七 照明器具の物品税軽減に関する請願(委員長報告)  第二八 身体障害者所得税基礎控除額式上げに関する請願(委員長報告)  第二九 陶磁器の物品税免税点引上げ等に関する請願(委員長報告)  第三〇 青色申告制度普及徹底等に関する請願(委員長報告)  第三一 揮発油税軽減に関する請願(十三件)(委員長報告)  第三二 揮発油税軽減等に関する請願(委員長報告)  第三三 公団職員退職手当制度確立に関する請願(委員長報告)  第三四 船舶外二公団職員退職手当臨時措置の請願(委員長報告)  第三五 食糧配給公団職員退職手当完全支給に関する請願(委員長報告)  第三六 閉鎖機関整理委員会等職員退職手当制度確立に関する請願(委員長報告)  第三七 国家公務員共済組合法中一部改正に関する請願(委員長報告)  第三八 低額所得者給與所得税率引下げに関する請願(委員長報告)  第三九 所得税軽減に関する請願(委員長報告)  第四〇 協同組合に対する課税免除または軽減の請願(四件)(委員長報告)  第四一 国宝等の富裕税免除に関する請願(委員長報告)  第四二 時計貴金属業者物品税適正課税に関する請願(委員長報告)  第四三 水あめ、ぶどう糖の物品税撤廃に関する請願(委員長報告)  第四四 喫煙用器具物品税軽減に関する請願(委員長報告)  第四五 かばん類の物品税軽減に関する請願(委員長報告)  第四六 農業協同組合釀造事業認可の請願(委員長報告)  第四七 課税の適正化に関する請願  第四八 国民金融公庫の融資増額に関する請願(委員長報告)  第四九 たばこ事業民営移管反対およびたばこ値下げに関する請願(委員長報告)  第五〇 たばこ事業民営移管反対に関する請願(二十二件)(委員長報告)  第五一 教職員等の教育、研究継続に必要な最低生活保障等に関する請願(委員長報告)  第五二 標準教育費法制定に関する請願(十三件)(委員長報告)  第五三 教職員再教育予算増額に関する請願(委員長報告)  第五四 不良図書追放に関する請願(委員長報告)  第五五 小泉八雲生誕百年記念事業に関する請願(委員長報告)  第五六 戰災都市の六・三制教育費国庫補助増額に関する請願(委員長報告)  第五七 專科教員の免許状に関する請願(二件)(委員長報告)  第五八 初等科教員の免許状に関する請願(委員長報告)  第五九 伊豆下田玉泉寺を史跡に指定の請願(委員長報告)  第六〇 下関市功山寺仏殿保護修理に関する請願(委員長報告)  第六一 勤労学生の生活擁護に関する請願(委員長報告)  第六二 文化財保護行政権限委任等に関する請願(委員長報告)  第六三 教育職員免許法認定講習受講者旅費国庫補助に関する請願(委員長報告)  第六四 宮崎県小学校職員定額定数水準引上げに関する請願(委員長報告)  第六五 六・三制建築予算増額等に関する請願(委員長報告)  第六六 白河せき調査に関する請願(委員長報告)  第六七 視聽覚教育振興に関する請願(委員長報告)  第六八 不良出版物の取締強化に関する請願(委員長報告)  第六九 尾瀬ケ原保存に関する請願(委員長報告)  第七〇 未亡人、寡婦に年金支給等等の請願(委員長報告)  第七一 浮浪兒根絶対策に関する請願(委員長報告)  第七二 国民健康保險事業危機克服対策に関する請願(委員長報告)  第七三 健康保險組合事務費国庫補助増額等に関する請願(委員長報告)  第七四 結核コロニー施設建設等委員長報告)  第七五 国民健康保險事業の国営に関する請願(委員長報告)  第七六 社会保險の危機打開に関する請願(二件)(委員長報告)  第七七 国立中野療養所の病床増設に関する請願(委員長報告)  第七八 戰争犠牲者遺族援護強化に関する請願(四十八件)(委員長報告)  第七九 山川町の上水道増補改良拡張工事費国庫補助および起債に関する請願(委員長報告)  第八〇 国民健康保險法中一部改正に関する請願(委員長報告)  第八一 託兒所設置に関する請願(委員長報告)  第八二 磐梯、吾妻両山一帶の国立公園指定促進に関する請願(委員長報告)  第八三 健康保險制度改善に関する請願(二件)(委員長報告)  第八四 国民健康保險制度改善に関する請願(二十一件)(委員長報告)  第八五 はり、きゆう、マツサージ施術健康保險給付資格付與の請願(委員長報告)  第八六 健康保險法改正反対等に関する請願(委員長報告)  第八七 国立療養所経費増額に関する請願(委員長報告)  第八八 医師実地修練予算増額に関する請願(委員長報告)  第八九 医師実地修練制度改善に関する請願(委員長報告)  第九〇 医師国家試験制度改善に関する請願(委員長報告)  第九一 戰争犠牲者遺族年金支給の請願(四件)(委員長報告)  第九二 国民健康保險直営診療所創設費国庫補助等に関する請願(委員長報告)  第九三 国立療養所日向莊未完成病棟および附属施設の整備拡充に関する請願(委員長報告)  第九四 戰争犠牲者遺族年金制度創設に関する請願(委員長報告)  第九五 恩給等受給者の未復員者給與法適用に関する請願(二件)(委員長報告)  第九六 健康保險制度の擁護および外来患者の保護に関する請願(委員長報告)  第九七 インターン採用方法の民主化に関する請願(委員長報告)  第九八 生活保護者住宅の建築に関する請願(委員長報告)  第九九 行路病人、浮浪者の收容所設置に関する請願(委員長報告)  第一〇〇 地方公共団体公共施設として利用する普通国有財産行政財産に変更するの請願(委員長報告)  第一〇一 結核予防対策費補助金交付の請願(委員長報告)  第一〇二 国民健康保險事業の事務費、療養費国庫補助に関する請願(委員長報告)  第一〇三 人吉市一帶を準国立公園に指定の請願(委員長報告)  第一〇四 国立岩手療養所火災復旧に関する請願(委員長報告)  第一〇五 健康保險法および厚生年金保險法中一部改正に関する請願(委員長報告)  第一〇六 上田市に産院新設の請願(委員長報告)  第一〇七 看護婦資格既得権者甲種看護婦国家試験免除の請願(六件)(委員長報告)  第一〇八 結核自宅療養者の保護に関する請願(委員長報告)  第一〇九 国立福島療養所火災復旧等に関する請願(委員長報告)  第一一〇 妙高、戸隠山一帶を国立公園に指定の請願(委員長報告)  第一一一 傷病年金等受給者に未復員者給與法適用の請願(委員長報告)  第一一二 国立大阪療養所施設拡充等に関する請願(委員長報告)  第一一三 私立結核療養所健康保險入院料改正に関する請願(委員長報告)  第一一四 津久見港に検疫所設置の請願(委員長報告)  第一一五 旧看護婦規則廃止延期等に関する請願(委員長報告)  第一一六 伊豆七島、伊豆半島一帶を海洋国立公園に指定の請願(委員長報告)  第一一七 厚生年金保險に関する請願(委員長報告)  第一一八 国立療養所患者賄費予算増額に関する請願(四件)(委員長報告)  第一一九 未復員者給與法による医療費負担に関する請願(委員長報告)  第一二〇 引揚医師の国家試験受験回数制限緩和に関する請願(六件)(委員長報告)  第一二一 国立岩手療養所火災復旧に関する請願(委員長報告)  第一二二 国立岩手、秋田、福島三療養所の火災復旧等に関する請願(委員長報告)  第一二三 身体障害者福祉法中一部改正に関する請願(委員長報告)  第一二四 みぶよもぎ裁培奬励に関する請願(委員長報告)  第一二五 未復員者給與法等一部改正に関する請願(二十件)(委員長報告)  第一二六 はり、きゆう、マツサージ施術国民健康保險給付資格付與の請願(委員長報告)  第一二七 身体障害者福祉法中一部改正に関する請願(委員長報告)  第一二八 新規観光ホテル建設敷地変更に関する請願(委員長報告)  第一二九 広島県帝釈峽および道後、比婆両山一帶を準国立公園に指定の請願(委員長報告)  第一三〇 国民健康保險給付国庫補助に関する請願(委員長報告)  第一三一 国立療養所内ストレプトマイシン使用適用範囲拡大に関する請願(委員長報告)  第一三二 宮崎県木花村、都井岬間の海岸道路を準国立公園に指定の請願(委員長報告)  第一三三 戰争犠牲者遺族の援護および未亡人、戰歿者の福祉に関する法律制定の請願(委員長報告)  第一三四 健康保險制度の一本化に関する請願(委員長報告)  第一三五 医療法中一部改正に関する請願(委員長報告)  第一三六 国立療養所貝塚千石莊施設改善に関する請願(委員長報告)  第一三七 国民健康平險直営診療施設費国庫補助に関する請願(委員長報告)  第一三八 国立療養所暖房施設完備に関する請願(委員長報告)  第一三九 上下水道事業費国庫補助増額に関する請願(委員長報告)  第一四〇 進駐軍労務者健康保險料国庫負担増額に関する請願(二件)(委員長報告)  第一四一 外地引揚歯科医師国内歯科医師免許の請願(九件)(委員長報告)  第一四二 武蔵野市引揚者吉祥寺寮下水工事施行等に関する請願(委員長報告)  第一四三 放射線技師法制定に関する請願(委員長報告)  第一四四 精神衞生法制定に関する請願(委員長報告)  第一四五 福島県下の各川上流治山治水事業施行に関する請願(委員長報告)  第一四六 北海道の土地改良事業に関する請願(委員長報告)  第一四七 農業災害補償事業強化に関する請願(委員長報告)  第一四八 農業災害損失耕地補償に関する請願(委員長報告)  第一四九 農業災害補償制度改正に関する請願(委員長報告)  第一五〇 農業災害補償法改正に関する請願(委員長報告)  第一五一 兒島湾干拓事業費国庫補助増額に関する請願(委員長報告)  第一五二 消費生活協同組合の主食取扱に関する請願(委員長報告)  第一五三 林野開墾等に関する請願(委員長報告)  第一五四 茨城県の林野復興対策に関する請願(委員長報告)  第一五五 森林組合強化に関する請願(二件)(委員長報告)  第一五六 民有林林業対策強化確立に関する請願(委員長報告)  第一五七 農家の保有米確保保障に関する請願(委員長報告)  第一五八 菓子原料用砂糖輸入量増加に関する請願(委員長報告)  第一五九 岡山食糧事務所職員増員に関する請願(委員長報告)  第一六〇 土地改良事業費および災害復旧事業費の増額等に関する請願(委員長報告)  第一六一 豊橋繭糸取引所設立に関する請願(委員長報告)  第一六二 山形県大高根村滝之沢ダム建設に関する請願(委員長報告)  第一六三 蚕業技術員の身分安定に関する請願(九件)(委員長報告)  第一六四 繭ならびに生糸価格安定制度設定に関する請願(十件)(委員長報告)  第一六五 土地改良事業費災害復旧事業費国費補助増額等に関する請願(委員長報告)  第一六六 農業災害補償制度強化に関する請願(委員長報告)  第一六七 岩手県米崎村開拓事業認証に関する請願(委員長報告)  第一六八 浜田港に家畜検疫機関設置の請願(委員長報告)  第一六九 鹿兒島県岩川町内国営山林砂防工事継続施行に関する請願(委員長報告)  第一七〇 繭ならびに生糸価格安定制度設定等の請願(二件)(委員長報告)  第一七一 換地処分事務取扱および国庫補助増額に関する請願(委員長報告)  第一七二 熊本県本渡町のかんがい用水路施設工事費国庫補助に関する請願(委員長報告)  第一七三 国営競馬馬券控除率軽減に関する請願(委員長報告)  第一七四 兒島湾淡水湖化実現に伴う障害除去の請願(委員長報告)  第一七五 秋田県下岩川村三種川筋左岸普通水利組合幹線水路開さく工事施行に関する請願(委員長報告)  第一七六 山林樹苗養成に対する助成の請願(委員長報告)  第一七七 岩手県永岡村に温水ため池設置の請願(委員長報告)  第一七八 秋田県相野々貯水池築造に関する請願(委員長報告)  第一七九 福島県下の開拓建設事業ならびに農業水利事業復活促進に関する請願(委員長報告)  第一八〇 保倉川流域治山事業拡充に関する請願(委員長報告)  第一八一 山林樹苗養成に対する助成等の請願(委員長報告)  第一八二 耕地災害復旧事業費および土地改良事業費国庫補助増額等に関する請願(三件)(委員長報告)  第一八三 農民の保有米増量に関する請願(委員長報告)  第一八四 肥料の取引方法改善に関する請願(委員長報告)  第一八五 農業協同組合に対する法的見解是正の請願(委員長報告)  第一八六 作物報告事務所職員の定員増加に関する請願(委員長報告)  第一八七 官行しやく伐事業廃止等に関する請願(委員長報告)  第一八八 農業災害補償法中一部改正に関する請願(四件)(委員長報告)  第一八九 肥料価格値上げによる損失補償の請願(委員長報告)  第一九〇 寒冷積雪地帶農業対策に関する請願(委員長報告)  第一九一 林道開設事業費国庫補助増額に関する請願(委員長報告)  第一九二 洲の谷川かんがい用砂防工事施行に関する請願(委員長報告)  第一九三 供出制度改善に関する請願(委員長報告)  第一九四 胡麻高原開拓地土地改良事業費国庫補助に関する請願(委員長報告)  第一九五 篠津原野開発促進に関する請願(委員長報告)  第一九六 志田峠貫通開拓道路開設に関する請願(委員長報告)  第一九七 佐賀県白石北部用水改良事業費国庫補助増額に関する請願(委員長報告)  第一九八 農業用石炭に融資の請願(委員長報告)  第一九九 山形県常盤村小塚沢林道建設に関する請願(委員長報告)  第二〇〇 長野県鳥居川水利組合貯水池設置に関する請願(委員長報告)  第二〇一 蚕業技術員身分安定等に関する請願(委員長報告)  第二〇二 兒島湾淡水化による損害補償等の請願(委員長報告)  第二〇三 夕張川ダム建設に関する請願(委員長報告)  第二〇四 かんがい用水源新設に関する請願(委員長報告)  第二〇五 霞浦、北浦干拓事業反対等に関する請願(委員長報告)  第二〇六 岩手県一本木平等開拓事業認証に関する請願(委員長報告)  第二〇七 矢吹原開拓事業費全額見返資金割当に関する請願(委員長報告)  第二〇八 大分県東山香村民有林を開墾適地より除外するの請願(委員長報告)  第二〇九 農業改良事業の強化に関する請願(委員長報告)  第二一〇 裸供出農家の飯米還元に関する請願(二件)(委員長報告)  第二一一 岩手県田野畑村地内田野畑普代線開拓道路認証に関する請願(委員長報告)  第二一二 駒ケ原、沖の平開拓道路開設に関する請願(委員長報告)  第二一三 作物報告事務所職員の増加に関する請願(委員長報告)  第二一四 農業恐慌対策に関する請請(委員長報告)  第二一五 農業会財産讓渡資金特別融資に関する請願(委員長報告)  第二一六 農業協同組合事業費特別融資に関する請願(委員長報告)  第二一七 食糧配給公団廃止に関する請願(委員長報告)  第二一八 農産物価格に関する請願(委員長報告)  第二一九 報奬物資制度改善に関する請願(委員長報告)  第二二〇 食糧供出制度改善に関する請願(委員長報告)  第二二一 岩手県山王海ダム工事完成に伴う開墾予算配分の請願(委員長報告)  第二二二 飯米の還元配給に関する請願(委員長報告)  第二二三 獸害防除に関する請願(委員長報告)  第二二四 農家の米食率引上げに関する請願(委員長報告)  第二二五 裸供出農家飯米還元等に関する請願(委員長報告)  第二二六 靜岡県江間村用水水源天野せき補強工事に関する請願(委員長報告)  第二二七 栃木県震災山林復旧等に関する請願(委員長報告)  第二二八 パンの品質改善等に関する請願(委員長報告)  第二二九 耕地災害復旧事業費土地改良事業費国庫補助増額等に関する請願(委員長報告)  第二三〇 豊橋市に繭糸取引所設置の請願(委員長報告)  第二三一 東北地域農業試験場完成に関する請願(委員長報告)  第二三二 労働基準行政職員労務加配米支給の請願(委員長報告)  第二三三 和歌山県寒川村小川国有林開発に関する請願(委員長報告)  第二三四 開拓地の建設完成に関する請願(委員長報告)  第二三五 千葉県両総揚排水完成促進に関する請願(委員長報告)  第二三六 中国、ソ同盟、朝鮮三国との貿易促進に関する請願(委員長報告)  第二三七 繊維貿易公団保有絹人絹織物の棚上げに関する請願(委員長報告)  第二三八 炭鉱用坑木防腐措置等に関する請願(二件)(委員長報告)  第二三九 中小企業救出緊急諸施策に関する請願(委員長報告)  第二四〇 中小企業の危機突破に関する請願(二件)(委員長報告)  第二四一 輸入原皮の拂下げ価格適正化等に関する請願(委員長報告)  第二四二 木材防腐加工処理の法制化に関する請願(委員長報告)  第二四三 岩手県中野郵便局を集配局に昇格の請願(委員長報告)  第二四四 貿易生命保險および郵便年金積立金運用再開に関する請願(六件)(委員長報告)  第二四五 奈良県大淀町今木に無集配特定郵便局設置の請願(委員長報告)  第二四六 住宅金融公庫住宅資金均等融資に関する請願(委員長報告)  第二四七 住宅金融公庫法案修正に関する請願(委員長報告)  第二四八 建築士法案に関する請願(委員長報告)  第二四九 住宅金融公庫早期設置および融資に関する請願(委員長報告)  第二五〇 へき地の砂防工事従事公務員に住宅、厚生娯楽施設完備の請願(委員長報告)  第二五一 北上川治水事業費災害復旧事業費国庫補助増額等に関する請願(委員長報告)  第二五二 小貝川流末付替工事に見返資金融資の請願(委員長報告)  第二五三 猿ケ石川田瀬えん堤工事施行に伴う現住民保護の請願(委員長報告)  第二五四 日本、余両川改修工事施行に関する請願(委員長報告)  第二五五 福島県鳥崎土尻地区沿岸防災工事促進に関する請願(委員長報告)  第二五六 県道川之江大杉線開通促進に関する請願(委員長報告)  第二五七 住宅金融公庫法案中一部修正に関する請願(委員長報告)  第二五八 大谷川砂防工事施行に関する請願(委員長報告)  第二五九 引揚者団体等公益質屋設営許可の請願(委員長報告)  第二六〇 未引揚者の住所、氏名調査に関する新聞広告掲載の請願(委員長報告)  第二六一 復員者の救済に関する請願(委員長報告)  第二六二 在外資産の補償に関する請願(百六十一件)(委員長報告)  第二六三 大連労働組合の徴收した引揚対策および難民救済資金の支拂補償に関する請願(委員長報告)  第二六四 在外資産補償準備機関急設に関する請願(委員長報告)  第二六五 在外資産補償促進に関する請願(二件)(委員長報告)  第二六六 在外同胞帰還に関するラジオ放送の請願(委員長報告)  第二六七 在外資産処理機関設置に関する請願(委員長報告)  第二六八 引揚者住宅金融に関する請願(八十七件)(委員長報告)  第二六九 在外同胞引揚促進に関する請願(二件)(委員長報告)  第二七〇 在外同胞引揚促進および留守家族援護に関する請願(委員長報告)  第二七一 旧大連日本人労働組合等の醵出金を在外公館借入金に認定の請願(委員長報告)  第二七二 住宅金融公庫の融資に引揚者わく設定の請願(委員長報告)  第二七三 ソ連地区の残留同胞引揚促進に関する請願(委員長報告)  第二七四 引揚者に対し農地法の特例を認むるの請願委員長報告)  第二七五 在外資産賠償の前拂制度制定に関する請願(委員長報告)  第二七六 引揚者の生活保護に関する請願(委員長報告)  第二七七 引揚者に農地返還の請願(委員長報告)  第二七八 電気料金地域差縮小に関する請願(委員長報告)  第二七九 電気料金適正改訂に関する請願(委員長報告)  第二八〇 電力料金改訂に関する請願(委員長報告)  第二八一 電気料金値下げ等に関する請願(委員長報告)  第二八二 公共用電力割当量および料金の改正に関する請願(委員長報告)  第二八三 かんがい排水用電力料金等に関する請願(二件)(委員長報告)  第二八四 病院の使用電力に関する請願(委員長報告)  第二八五 農業用電力料金軽減に関する請願(委員長報告)  第二八六 国立療養所電力割当量引上げに関する請願(三件)(委員長報告)  第二八七 公衆浴場に電力供給の請願(委員長報告)  第二八八 夜間高等学校緊急停電特別取扱に関する請願(委員長報告)  第二八九 輸出用機業電力基準割当量引上げに関する請願(委員長報告)  第二九〇 電気自動車充電用電力確保等に関する請願(委員長報告)  第二九一 日立火力発電所全員荷運転に関する請願(二件)(委員長報告)  第二九二 関東配電株式会社佐野変電所容量増加に関する請願(二件)(委員長報告)  第二九三 日本発送電株式会社清水発電所存置等に関する請願(委員長報告)  第二九四 隅田火力発電所全員荷運転に関する請願(委員長報告)  第二九五 鶴見火力発電所全員荷運転に関する請願(委員長報告)  第二九六 発電所既存設備改修刷新に関する請願(委員長報告)  第二九七 千住火力発電所全員荷運転促進に関する請願(委員長報告)  第二九八 清水火力発電所閉鎖反対に関する請願(委員長報告)  第二九九 電気資源開発促進に関する請願(二件)(委員長報告)  第三〇〇 南九州の電源開発に関する請願(委員長報告)  第三〇一 自家用電気工作物施設法案に関する請願(委員長報告)  第三〇二 宮城県白石町に国立こうぞ総合研究所設置の陳情(委員長報告)  第三〇三 隼人町に鹿兒島地方裁判所加治木支部等移転の陳情(委員長報告)  第三〇四 在外公館等借入金返還に関する陳情(委員長報告)  第三〇五 公館借上金の円元同額換算支拂に関する陳情(委員長報告)  第二〇六 在外公館借入金支拂促進に関する陳情(委員長報告)  第三〇七 漆器の免税点引上げ等に関する陳情(委員長報告)  第三〇八 協同組合に対する課税免除または軽減の陳情(委員長報告)  第三〇九 国家公務員共済組合法中一部改正に関する陳情(委員長報告)  第三一〇 織物業者に対する所得税更正決定変更等の陳情(委員長報告)  第三一一 所得税申告納税適正課税等に関する陳情(委員長報告)  第三一二 課税の適正化に関する陳情(二件)(委員長報告)  第三一三 所得税審査委員会設置に関する陳情(委員長報告)  第三一四 雪害地方の税軽減および課税方法改善に関する陳情(委員長報告)  第三一五 京都市に中小企業金融專門店設置の陳情(委員長報告)  第三一六 たばこ事業民営移管反対に関する陳情(二件)(委員長報告)  第三一七 標準教育費法制定に関する陳情(十二件)(委員長報告)  第三一八 戰争犠牲者遺族援護強化に関する陳情(八件)(委員長報告)  第三一九 国民健康保險制度改善に関する陳情(二件)(委員長報告)  第三二〇 津久見港に検疫所設置の陳情(委員長報告)  第三二一 国立阿久根結核療養所の病床増加に関する陳情(委員長報告)  第三二二 傷病年金等受給者に未復員者給與法適用の陳情(委員長報告)  第三二三 香川県大島療養所の患者收容施設拡充に関する陳情(委員長報告)  第三二四 外地引揚歯科医師に国内歯科医院免許の陳情(五件)(委員長報告)  第三二五 引揚医師の国家試験受験回数制限緩和等に関する陳情  第三二六 結核予防法改正等に関する陳情(委員長報告)  第三二七 災害救助法中一部改正等に関する陳情(委員長報告)  第三二八 国民健康保險給付費国庫補助に関する陳情(委員長報告)  第三二九 国民健康保險法中一部改正等に関する陳情(委員長報告)  第三三〇 覚醒剤製造および販売禁止等に関する陳情(委員長報告)  第三三一 農業改良普及事業拡充に関する陳情(委員長報告)  第三三二 競馬法中一部改正に関する陳情(委員長報告)  第三三三 土地改良、農道、林道等各事業に対する国庫補助金増額の陳情(委員長報告)  第三三四 北海道の土地改良事業に関する陳情(委員長報告)  第三三五 肥料配給機構の合理化に関する陳情(委員長報告)  第三三六 牛乳供出リンク飼料の価格に関する陳情(委員長報告)  第三三七 東條川農業水利改良事業促進に関する陳情(委員長報告)  第三三八 有畜農業経営の合理化に関する陳情(委員長報告)  第三三九 木炭倉庫建設費全額国庫補助ならびに木炭融資の陳情(委員長報告)  第三四〇 地方競馬の控除率改正に関する陳情(二件)(委員長報告)  第三四一 桑苗生産農家救済に関する陳情(委員長報告)  第三四二 でん粉事業の保護育成に関する陳情(委員長報告)  第三四三 繭ならびに生糸価格安定制度設定等の陳情(委員長報告)  第二四四 農業水利改良事業を土地改良事業に切替の陳情(委員長報告)  第三四五 未墾地買收済開墾不適地の旧所有者に還元等の陳情(委員長報告)  第三四六 早場水奬励金存続等に関する陳情(委員長報告)  第三四七 畜産手形発行に関する陳情(委員長報告)  第三四八 農業恐怖対策に関する陳情(委員長報告)  第三四九 中小企業の救済対策確立に関する陳情(委員会報告)  第三五〇 中小企業の金融難打開等に関する陳情(委員会報告)  第三五一 木材の輸出許可に関する陳情(委員長報告)  第三五二 中小企業の救済対策に関する陳情(委員長報告)  第三五三 中小企業の危機突破に関する陳情(委員長報告)  第三五四 簡易生命保險および郵便年金積立金運用再開に関する陳情(四件)(委員長報告)  第三五五 住宅金融公庫の融資等に関する陳情(委員長報告)  第三五六 住宅金融公庫連絡事務所設置に関する陳情(委員長報告)  第三五七 国土開発法または地方開発法制定促進に関する陳情(委員長報告)  第三五八 全国戰災都市復興特別法制定に関する陳情(委員長報告)  第三五九 建築基準法および建築士法制定に関する陳情(委員長報告)  第三六〇 在外同胞引揚促進に関する陳情(六件)(委員長報告)  第三六一 ソ連地区残留同胞引揚続行等に関する陳情(委員長報告)  第三六二 ソ連、中共両地区の残留同胞引揚促進等に関する陳情(委員長報告)  第三六三 中共地区残留同胞引揚促進に関する陳情(委員長報告)  第三六四 在外資産の補償に関する陳情(委員長報告)  第三六五 ソ連、中共両地区残留同胞引揚促進に関する陳情(三件)(委員長報告)  第三六六 新電気料金制度の適正化に関する陳情(委員長報告)  第三六七 新電気料金値下げに関する陳情(委員長報告)  第三六八 かんがい排水用電気料金値上げ反対に関する陳情  第三六九 病院の電気料金改正等に関する陳情(委員長報告)  第三七〇 農業用電力料金引上げ反対に関する陳情(委員長報告)  第三七一 かんがい排水用電力料金等に関する陳情(委員長報告)  第三七二 農業用電気料金に関する陳情(委員長報告)  第三七三 電気事業施設復興に関する陳情(委員長報告)  第三七四 電力復興対策に関する陳情(委員長報告)  第三七五 日本発送電株式会社琴浦火力発電所存置に関する陳情(委員長報告)  第三七六 只見川電源開発に関する陳情(委員長報告)  第三七七 上椎葉水力発電所建設工事促進に関する陳情  第三七八 東北地方の電力増強に関する陳情(委員長報告)  第三七九 球磨川電源開発に関する陳情(委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      —————・—————
  3. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、失業対策確立に関する決議案村尾重雄君外四十一名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題といたします。本決議案につきましては村尾重雄君外四十一名より委員会審査省略の要求書が提出されております。発議者要求の通り委員会審査を省略し、直ちに本決議案の審議に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明の発言を許します。村尾重雄君。     —————————————    〔村尾重雄君登壇、拍手〕
  5. 村尾重雄

    村尾重雄君 今日、メーデーを祝し、只今上程になりました失業対策確立に関する決議案の趣旨弁明をいたします。  先ず文案を朗読いたします。    失業対策確立に関する決議   昨年以来失業者は激増の一途をたどり、現状においては、産業復興による雇用が増大して、これ等の失業者が吸收されることは、近い将来には到底期待し得られず、むしろ更に一層失業が深刻化することが必至と考えられ、ために社会不安激化の徴が随所に現われつつある。   政府は右の実情をよく認識し、これに即応して確固たる失業対策の確立をはかるべきである。   右決議する。  昨年以来、企業合理化の進展、行政整理の実施に伴いまして、漸次失業者は増加の一途を辿り、これに加うるに、最近におきまする産業界の不振によつて一層拍車を加えられ、非常に深刻なる様相を呈するに至つておりますことは、何人もこれを認めざるを得ないところであります。一例を失業保險の給付状況について見ますると、昨年五月には同給付受給者は八万五千九百九十五人でありましたが、同年十一月には三十二万二千八百四十四人に増加し、更に本年二月に至つて遂に三十六万人を突破し、昨年五月の約四倍以上に達しておるのであります。而もこれら失業者の再就職は、本人は勿論のこと、職業安定機関の不断の努力にも拘わらず、遺憾ながら産業不振に基く雇用の減退によりまして漸次困難の度を加えつつあり、これがため失業期間が次第に長期化しつつありますことは、失業保險給付受給者で、六ケ月の給付期間を満了し、生計の途を失うに至つた者が、昨年九月には五千六百三十二人でありましたが、その後逐次増加いたしまして、本年二月には三万六千四百七人となり、実に昨年九月の七倍に達するに至つたことが明らかにこれを物語つておるのであります。昨年九月以降本年二月までの総数は実に十二万二千百十五人の多きに及んでおるのであります。  かかる窮迫した実情は、更に中小企業の沒落、潜在失業者の顯在化等の相俟つて、職業安定所への新規求職者、特に失業対策事業等の日傭労働への就労希望の激増となつて現われて来ておるのであります。今その数字を見ますると、昨年九月におきまする新規求職者数は十三万七千九百六十四人でありましたが、同年十二月には二十三万八百十八人となり、更に本年一月には二十八万六千八百十九人となり、昨年九月の二倍以上になつております。而もこれら日傭労働のごとき臨時的な雇用ですら、これに就労を希望する者全部を吸收することができず、昨年九月から十二月までの間は一日平均約二万人程度のあぶれを出しておつたのでありましたが、本年一月に至つて日々約四万人のあぶれを出すようになつて参りました。このような情勢を反映いたしまして、昨年夏頃相当活溌に展開せられ、その後一時下火となつておりましたいわゆる職よこせ闘争が本年に入つて俄然熾烈化するに至り、一月中に発生いたしました事件は、件数において百四十件、参加人員において一万六百九十人、二月には件数において二百十七件、参加人員において一万三千三百七十一人と激増を示し、その活動も漸次全国的且つ組織的となつて参り、ときには暴行を伴う事例すら頻発し、社会不安激化の兆が現われつつありますと共に、この運動の当面の対象となつておりまする地方公共団体及びに職業安定所関係当事者は、これが処理のため全く奔命に疲れ、本来の業務を遂行する上に著しい困難を来しておる現状であります。  而してかかる事態の発生を專ら一部尖鋭分子の煽動に帰し、そのよつて来るところの原因が深刻な失業の現実にあることを見逃してはならないのであります。このような事態に対処し且つ今後の推移に即応するためには、政府の施策は全く無能であると断ぜざるを得ません。即ち本年度失業対策事業費予算にいたしましても、到底既定予算額を以てしては、すでに不十分であり、少くともその倍額の八十億円程度を要するであろうことは識者の一致した見解であります。この際政府は本年度予算の執行に当つては差当り失業対策事業の繰上げ施行を行なう等、臨機の措置を講じ、急速に事態の緩和に努めると共に、強力な失業対策を確立すべきであると信ずるものであります。  以上簡單ながら提案理由を申上げまして、各位の御賛成をお願い申上げる次第であります。(拍手)
  6. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 別に御発言もなければ、これより本決議案の採決をいたします。本決議案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔起立者多数〕
  7. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 過半数と認めます。よつて本決議案は可決せられました。  只今の決議に対し労働大臣より発言を求められました。鈴木労働大臣。    〔国務大臣鈴木正文君登壇〕
  8. 鈴木正文

    ○国務大臣(鈴木正文君) 只今御決議になりました内容の趣旨に副いまして、参議院の院議を尊重し、その線に沿つて極力努力いたしますことをお約束申上げます。      —————・—————    〔河野正夫君発言の許可を求む〕
  9. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 河野正夫君。
  10. 河野正夫

    ○河野正夫君 私はこの際、標準義務教育費に関する緊急質問の動議を提出いたします。
  11. 宇都宮登

    ○宇都宮登君 河野君の動議に賛成いたします。
  12. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 河野君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。河野正夫君。    〔河野正夫君登壇、拍手〕
  14. 河野正夫

    ○河野正夫君 教育の機会均等と義務教育の無償実施ということは、憲法第二十六條に規定せられておるところでありまして、戰後我が国民経済の窮乏の間にあつて幾多の困難を凌いで六・三制を強行して参りましたことも、実にこの重要国策の実施が緊急一日もゆるがせにすべからざる国家百年の大計であることを国民大衆が認識したからに外ならないのでございます。然るにこの六・三制がその前途まだ甚だ完全実施までには程遠い現状におきまして、義務教育費全額国庫負担という要望が嵐のごとく国民の間に湧き起つておるこのさ中におきまして、今日只今最低の義務教育費の確保すら危ぶまれ、困難であるというような状況に立至つておるのでございます。いわゆる標準義務教育費法案と言われるところのものは、閣議で決定した後に文部大臣はしばしば本院の各種の常任委員会におきましてその法案の上程を約束し、更にその趣旨を説明しておりましたにも拘わりませず、本国会の会期がもはや今明日という今日に至りましても、まだ国会に上程する運びに至つておらないのであります。このために教育界はもとより、PTAの方々におきましても不安と動搖が深刻なるものがあるのでございます。つきましては私はここに標準義務教育費若しくは義務教育費法案につきまして二、三の質疑を行い、国民大衆の前に事態を明らかにする必要があろうと信ずる次第でございます。  質問の第一点は教育の地方分権とその機会均等との関係についてでございます。質問要旨を申上げるに先立ちまして、聊か所見を述べて見たいと思うのであります。只今までのところ、いわゆる義務教育につきましては、義務教育費国庫負担法によりまして、教員給與の半額は国庫の支出するところとなつておるのでございまするが、これは皆様御承知のように、曾て一切の教育費が地方費負担のときにおきましては、教育界は極めて手痛い経験を嘗めておつたのでございます。種々の事例が挙げられるでありましよう。例えば地方市町村当局におきまして、土木、保健、勧業等の費目に比べて、教育費が極めて軽視せられたというようなこともしばしばあつたのでございます。或いは又地方教職員は小さな自治体の理事者側から、恰も自分達の小遣いで飼つてやつておる犬であるかのごとき、極めて屈従的な待遇を受けたこともあるのでございます。或いは又町村の財政状態の不均衡が、貧弱町村におきましては教員給の高額支拂に堪えないで、勢い無資格者乃至は極めて俸給の低い者を雇い入れざるを得ないというような状況に相成りまして、優秀教員というものが偏在するという結果を生んだ事例も多々あるのでございます。果ては不況時におきましては、貧弱町村においては教員俸給の未拂、遅配、欠配というようなことが起りまして、当時における教職員諸君の生活の困窮というものは非常に大なるものがあつたのは皆様先刻御承知の通りでございます。これらのいろいろな弊害を除去するために、長い間、識者が、又教育界の先輩諸君が苦労して参りまして、漸く義務教育費国庫負担法というものが成立し、これによりまして今日においては少くとも教職員給與に関する限りは、全国的に見て次第に均衡のとれる段階に立至つておるのであります。これに伴いまして教育そのものの地域差と言いまするか、地域による教育の内容の違いというようなものが次第に狹まつて参りまして、これによつてこそ初めて憲法で言う教育の機会均等が実現し得ることも遠い将来ではないというふうに我々は考えておつた次第でございます。ところがこういうふうな状態のときに、もとより戰後地方自治の尊重が叫ばれ、地方分権の徹底が図られるようにはなりましたけれども、これに関連して今や不幸なる事態が起ろうとしておるのであります。もとより地方分権乃至は地方自治の尊重ということは当然なことでありまして、特に教育の方面につきまして言うならば、不当なる支配から教育を守るということ、或いは又曾て軍国主義時代における中央からの教育統制ということを今排除しなければならないということ、これらは当然の措置であります。併しながらこの意味の教育の地方分権ということと、言い換えまするならば教育内容に対する外部若しくは中央からの干渉の排除ということと、教育財政に関する中央の補助ということとは、おのずから別個の問題であろうかと思うのであります。今日、地方分権、自治尊重ということは、決して教育財政についての中央の援助を排除するものではないと、こう信ずるものでございます。且つ又憲法に規定するように、教育の機会均等と義務教育の無償実施ということのためにも、最低限の義務教育費の基準を設けることは、決して自治尊重の建前から言つても不可能なことではないと思うものであります。若しそれ一般に機会均等ということを考えて見まするならば、地方分権ということも確かに民主主義の一要素であり、一支柱でございましようけれども、同時に機会均等ということもデモクラシーの中核的な考え方でなければならんと思うものであります。而も機会均等ということは地方自治体の内部における機会均等であるばかりでなくして、その境域を超え、全国民的な見地からして考慮する必要が十分にあるのでございます。この意味におきまして、教育の地方分権ということも、教育の機会均等ということも、共にこれはデモクラシーの発展のためにいずれも重視しなければならんところであると思うのであります。今日欧米の例を見ましても、中央集権的と言われるところのフランスはもとより、イギリスにおきましても、更に又地方分権の最も徹底しておると言わるる米国においてさえも、教育財政面では中央からの援助、補助というものが次第に増加する傾向にあるのであります。このことはけだし種々の理由がありましようが、その根本となりまするものは、教育費の拡充の要望が極めて強く、このことは地方自治体の財政負担能力を超えて、その結果として各州各地区間における財政のアンバランスが、結局教育のアンバランスを結果する、こういうことのために、いわば日本の言葉で申しまするならば、国庫負担によつて、中央負担によつて、教育の機会均等を確保しよう、維持しようという理由に基くものであります。この世界的傾向のさなかにあつて、今や中央の援助、中央の負担というものをなくして、地方各自の自由なる措置に任せようとする機運が確定的にならんとしつつあるのであります。今欧米の例を挙げましたが、特に御注目を願いたいのは、この欧米先進民主主義国におけるこの補助金は、決していわゆる平衡交付金のごとく、一般財政の補助費として、何らの紐もない、いわば教育費の援助であると言つても、一般財政資金の中に融け込んでしまつて紐の付かないものではなくして、費目が明瞭な補助費として支出されておるのであります。特に英国におきましては一九四四年におけるあのバトラー法によりまして、義務教育年限の延長に伴い、急激に中央負担が増大しつつあるのであります。このような観点からいたしますれば、いわゆる民主主義の原則から言つても、教育の中央統制を排除する建前をとりながらも義務教育費の国庫負担を行うこと自体は決してデモクラシーに反するものではない。反するどころではなく、むしろデモクラシーの実現のために必要であると言わなければならないのであります。そこで総理並びに文部大臣にお尋ね申上げたいのでありまするが、終戰後の地方財政の窮乏と教育改革の急激な実施、特に義務教育の年限延長に伴う教育費の増大がますますその傾向を著しくしておる今日の状態におきましては、義務教育の国庫負担ということは今の負担額以上に増額する必要がむしろ感ぜられるのではなかろうか、少くとも現行の義務教育費の国庫負担法程度の規定は存置すべきものではなかろうかと思うのでありまするが、この点について如何でございましようか。成る程地方へ種々の税源を委讓し、或いは又平衡交付金の交付によつて地方財政が豊かになる点もあるのでありましようけれども、それにも拘わらず教育の機会均等の確保の建前からいたしますれば、それ以外に何らかの措置を必要とするのではなかろうか、この点についての御所見を承りたいのであります。  次に質問の第二点といたしましてお尋ね申上げたいのは、政府の企画しておりましたところの標準義務教育費法案に関連してでございます。その一つは、標準義務教育費法案は平衡交付金に紐を付けるとか乃至は地方自治権を侵害するとか言われておりまするが、これらはすべて誤解であつて、先に私の言つたように教育の機会均等を確保する、こういう建前から最低の義務教育費支出の点を明瞭ならしめようとする措置であろうと思うのであります。文部大臣はこの法案の企画の根本精神をどこに置いておられるかをこの際明瞭にすることによつて世上の誤解を一掃して頂きたい、こう思うのであります。その二は、この法案は未だ先に申上げましたように国会に提出を見ないものでありまするが、一体次の国会に提出するつもりであるか。一方、平衡交付金法の実施に伴つて何らかの措置を取らなければならんと思うのでありますが、この法案の先行きについての見通しを文部大臣から承りたいのであります。その第三といたしまして、平衡交付金法案によれば、交付金の交付に当つた地方自治の本旨を尊重し、條件を付け又はその使途を制限してはならないことになつておりますが、この法案自体に対する私の意見はとにもかくにもといたしまして、当局の用意した程度の最低義務教育費支出の義務を課そうとするところの標準義務教育費法案というものと、この平衡交付金法案とは何ら牴触するものではないのではないかと感ぜられるのでありますが、当局の見解を承りたいのであります。本多国務相及び高瀬文部大臣の御答弁を求める次第であります。その四といたしまして、総理にお尋ねいたしまするが、平衡交付金法案上程手続きの最中に、最高司令官から総理に対する書簡が送られて、地方財政関係法案に対する意見が伝達されたということでございまするが、最低義務教育費確保に関するものとしてのこの標準義務教育費法案に対しては如何なる意思が伝達せられたのであつたか。又この法案自体に対して、その書簡に対する総理の見解は如何であるか。この点率直に伺いたいのであります。  最後に質問の第三点といたしまして、標準義務教育費法案に関する政府の責任について一、二伺いたいのであります。その一つは、義務教育費国庫負担法の指示する政府の義務についてであります。地方財政平衡交付金法が成立いたしますると、義務教育費国庫負担法の規定を適用しないというあの暫定法が消えてなくなりますので、ここに平衡交付金法と義務教育費国庫負担法の二本の法律が活きて来ることになるのであります。このことは政府の手違いであつたという説明を承つてはおりまするけれども、現実にはそうなつて参るのであります。従いまして義務教育費俸給の半額の国庫支出ということは、政府がこれを支出しなければならんという義務が起つて来るのであります。ところがすでに成立しておりまする二十五年度予算案においてはこの費目がないのであります。勿論実質的には平衡交付金の中から支出せられるでありましようけれども、この平衡交付金は先に述べましたように決して條件も制限も付けられない、こういうことになつておるのであります。然らば一体負担法の要求するところの行政当局の責任をどうして果そうとするのでありますか。この点について本多国務大臣は負担法の適用を留保して、平衡交付金法によると言われておりまするが、一旦成立しておる立派な法律を勝手に行政当局が留保する権限があるのであるかないのであるか、この点について総理御自身の御見解を承りたいのであります。  最後に、高瀬文部大臣の責任について承りたい。標準義務教育費法案の立案と上程に御努力下されたことについては深甚の敬意を表するのでありますが、遺憾ながらこれは流産になつております。次の機会ということもございまするが、それは殆んど困難な事情にあると我々は考える。ところが文部大臣は各種の委員会において、この法案の内容を説明しておりまするが、次に若し出された場合に、初めに説明された内容と異なるものであるということも考えられないではないのであります。こういう困難な事態に当面して文部大臣は通産省に逃げ込むのであるとも言われるのではなかろうかと思うのでありまするが、私の伺いたいのは、この法案に火をつけて世論の対立を巻き起し、教育界に不安と動搖を引き起したのは当の文部大臣であります。然るにその善後処置を講じようとしないで文部省を引揚げるというように伝えられておるのでありまするが、これは大臣のために我々はとらないところであります。大臣は文部大臣としての責任をどうなされるおつもりであるか。しばしば言明された教育の機会均等確保のために、最低義務教育費を保障するために、如何なる方途と目算をお持ちになつていらつしやるか、この点を承わりたいのであります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
  15. 吉田茂

    ○国務大臣(吉田茂君) 河野正夫君に対してお答えをいたします。  地方教育費の問題について御意見がありましたが、政府といたしましても、地方教育の重要なることはよく承知いたしておるのみならば、その充実については十分努力いたす考えでおります。御意見のところは十分参考にいたします。第二に私に対する御質問としては、標準教育費に関する法律案についてのお話でありまするが、マ元帥の書簡の中にある内容は、地方の自治を確立するようにという希望を述べられた書簡でありまして、特に教育費云々についての内容ではないのであります。又政府としては地方財政平衡交付金法案に関係して、標準義務教育費に関する法律案も用意いたしておりまするが、尚その内容について政府として検討いたすべきものがあるものでありまするから、この機会にはまだ国会に提出する運びになつておりません。  次に若木勝藏君に対してお答えをいたしますが、北海道の魚田開発のための政府の資金をどうするかというお尋ねと承知いたしますが、不幸にして二十四年度においては開発のために資金を支出するという運びに至りませんでしたが、二十五年においては是非適当な措置を講じたいと考えております。又水産資源の重要性に鑑みまして、政府としても根本的の対策を講じたいと考えて、只今頻りに研究いたしておるのであります。一応お答えいたします。(拍手)    〔国務大臣高瀬荘太郎君登壇、拍手〕
  16. 高瀬荘太郎

    ○国務大臣(高瀬荘太郎君) お答えいたします。  先ず第一の点は、教育の地方分権と教育の機会均等との関連からいたしまして、義務教育費を国庫から補助するということは教育民主化という点から言つて決して矛盾するものでない、その点どう考えるかということが中心であつたと思います。私も教育民主化という立場から考えまして、義務教育費に対して国庫が補助するということは決して矛盾するものとは考えておりません。ただ併し国庫の地方財政に対する援助の仕方につきましてはいろいろの方法があるわけでありまして、今回の平衡交付金法による方法もその一つの方法であります。そうでなくて、今までのような教員俸給半額国庫負担というようなやり方で行くのも一つの方法であつて、河野議員の御意見はその方が適当ではないかと、こういうような御意見であつたと思います。併し義務教育の無償というような点から申しますと、今までの教員俸給の半額補助ということだけでは甚だ不十分なわけであります。ですからそれを拡大する必要があるということは事実でありまして、今回の平衡交付金法制度と並んで、地方におきまして今お話がありましたような義務教育費確保に関する法律案というようなものを作りまして、義務教育費に対する国庫の援助を確実にしたいということが考えておつたところであります。ですから、第一の御質問の要点である国庫補助が教育民主化と全く矛盾するというふうには私は考えておりません。  それから第二の御質問は、義務教育費確保に関する法律案の構想について話をしろと、こういうようなことでありましたが、極く簡單に申上げますと、義務教育費というものを合理的に算定する基準を詳細に決めまして、それによつて義務教育費の予算の計上が義務付けられるようにする。そうして、かくして計上されました義務教育費の予算を他に流用しないようにする。これが骨子でありました。  それから第三の、これが今国会に提案され成立するというところまで行かない場合においては後をどうするのかと、こういうような御質問でありましたが、お話がありましたように、地方教育費に対しては、平衡交付金法によつて、不足する分は一括して補助されるわけでありますが、その場合に教育費予算というものが十分に確保されるというためには、地方財政委員会が教育に対する十分の尊重の観念を以て措置し、地方団体がその考えを以てやるということが最も必要になるわけであります。文部省といたしましては、地方財政委員会が地方教育費につきまして考慮をいたします場合に資料も提供し、又義務教育費についての合理的な要望もする。又地方財政委員会におきましても、無論教育費につきましては文部省に対して資料の要求もするでありましようし、適当な協議もすると考えております。そこで十分の資料の提供と要望をするということが一つの方法であると考えております。と同時に、今国会にこの法案が提案できないということになりました今後におきましても、文部省としては今後におきましてもこの問題は重要でありますからして、新たな構想を以ちましてその趣旨の達成に全力を盡して行きたいと、こう考えております。平衡交付金法と今問題にしております義務教育費確保に関する法律案との関連でありますが、私は平衡交付金法は一般的な意味において地方行政費に対する中央財政の援助であると考えております。その援助の仕方につきましては、地方自治の尊重、地方財政の自主性というものを今までよりも一層拡大して行くという方針で、平衡交付金法案というものはできておると理解しておりますが、そのうちの特に義務教育費という地方行政費のみにつきましては、お話にありましたような国家的見地から考えまして極めて重要な事柄でありますので、一般的な処理を期待される平衡交付金法案の内容に対しまして、特殊な処理を必要とする特別法の地位を持つべきものと考えておるのであります。従つてそこに矛盾を生じないものと私は理解して法案の立案をいたしたわけであります。  それからこの義務教育費確保に関する法案が今国会に提案成立の運びに至らないという場合において、あとどうするかということを最後にお尋ねでありましたが、それにつきましては先程お答えいたしました通りに、義務教育の水準を確実に維持して行くということは国家の立場から最も重要な事柄でありますので、たとえ今国会におきましてこれが成立を見ないという場合におきましても、内容を更に検討し又各種の状況を併せ考慮いたしまして、新たな構想を以てできるだけ義務教育水準維持のために努力をして行くというつものであります。(拍手)    〔政府委員小野哲君登壇、拍手〕
  17. 小野哲

    ○政府委員(小野哲君) 河野さんにお答えを申上げます。  地方団体が自治活動を活溌にいたしますためには、適正な財源を與えることが目下喫緊の要務であろうと存じます。この点に鑑みまして、一般財源を充足いたしますために地方税制の改正を行い、又地方財政の調整並びに地方団体相互間の均衡を計ります意味におきまして、地方財政平衡交付金制度を創設することに目下準備を進め、国会の御審議を願つておるような次第でございます。この場合におきまして義務教育に関する事項につきましては、最も重要な事柄としてこれを尊重いたさなければならぬことは河野さんの御指摘の通りでございます。從いまして地方財政平衡交付金制度の基本的な狙いとなつておりますところの、全国各地方団体の財政需要額と財政收入額との差額について国家が交付金を交付する、いういう建前を取ることによりまして、できるだけ地方団体の教育は勿論、各種自治活動の活溌なことを期待いたしているような次第でございます。その場合におきまして河野さんのお話がございましたように、標準義務教育費の確保に関する法律とこの地方財政平衡交付金制度とは矛盾することはなかろうか、即ち地方財政平衡交付金を與えます場合において、国が條件を付したり或いは費途を制限したりすることができないことになつておるので、この間の調節はできるかどうか。こういう御縣念だろうと存じますが、この点につきましては只今文部大臣からも御答弁がございましたように、この間の調節を十分に計ることによりまして義務教育に関する経費を確保するように、地方財政委員会におきましても、勿論文部当局の意見を聽きますと共に、この交付金を算定いたします場合におきましては、全国各地方団体から詳細な資料を取りまして検討を加えることに相成つておりますので、地方財政委員会におきましても万遺憾なきを期し得ることを期待いたしておりますし、河野さんの御心配になるような事態の起らないように政府といたしましても一層努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。(拍手)      —————・—————
  18. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) この際、日程に追加して、義務教育費確保に関する決議案(山本勇造君外十六名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。本決議案につきましては山本勇造君外十六名より委員会審査省略の要求書が提出されております。発議者要求の通り委員会審査の省略し、直ちに本決議案の審議に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明の発言を許します。藤田芳雄君。     —————————————    〔藤田芳雄君登壇、拍手〕
  21. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 義務教育費確保に関する決議案の趣旨説明をいたします。先ず案文を朗読いたします。    義務教育費確保に関する決議   義務教育の完全実施は、憲法上の義務に基くものであり、平和国家再建のための根幹国策である。本院が、第五国会において、六・三制教育制度完全実施に関する決議を全員一致可決し、政府を督励鞭撻したのも、この趣旨からである。   しかるに、六・三制実施に必要な予算の計上も極めて不充分であり、右の決議も未だその成果を期待し得ず、義務教育費確保の完全保障が困難な状況にあることは、まことに遺憾である。かくては、教育の機会均等の理想は実現されず、教育界に多大の不安と動搖を招来し、ために、六・三制教育に暗影を投ずることは、火を見るよりも明らかである。   この事態に対処し、政府は速かに、憲法に規定する教育の機会均等と義務教育無償の原則に基き、少くとも最低の義務教育費を確保するために、万全の措置を講ずべきである。   右決議する。  本院におきましては、去る第五国会において六・三制教育完全実施に関する決議を全員一致を以て可決いたしまして、政府を鞭撻督励し、平和国家の根幹政策である義務教育の完全な実施を希求いたしたのであります。  然るにその後の政府の施策を検討いたしまするに、現在尚校舍の不足に悩む小学校、中学校の数は夥しい状態にあり、村役場、酒の製造工場等を以て教室に充てたり、甚だしきに至つては蚕の飼育所を使用して不正常な授業を行なつている所さえあるのであります。又辛うじて校舍が間に合つている学校におきましても、二部教授又は三部教授を行なつております学校は、小中学校を合せて全国において実に一万七千百七十六校の多きに上つているのであります。一方又これらの義務教育に携わる教職員の待遇は、依然として旧賃金ベースに釘付けされておりまして、生活の不安なく国民教育の重職を全うして行くことは誠に困難と申すべき状態でありまして、延いては教育の能率を低下される結果となつておるのであります。  このように物心両面から考えまして、義務教育の危機が由々しい問題として識者の憂うるところとなつておりまする矢先、たまたま今回地方財政平衡交付金法が制定されることにより、その結果として従来の義務教育費半額国庫負担の道は閉ざされんとしておるのであります。即ちこの交付金法におきましては義務教育費について何らの條件も約束されておりませんから、教育に熱心な地方公共団体においては義務教育が完全に実施できるだけの教育費が支出されるでありましようけれども、然らざる地方公共団体におきましては教育が軽んぜられる結果を招くことは必然であり、この傾向が非常に多いと思われることは種々の請願なり陳情によりまして明らかなのであります。従つて憲法第二十六條の国民に負われた義務教育並びにその無償の原則に反し、教育の機会均等は保持できないこととなり、義務教育の根拠を失うことになるのであります。ここにおきまして政府は、先に予定した標準義務教育費確保に関する法律案のごときものを速かに提出するか、又は他の適切な施策によつて国家再建の基盤たる教育の一定基準を確保し、その崩壞の危險を防止すべきであります。  以上本決議案上程の理由を説明申上げます。何とぞ各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
  22. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 本決議案に対し討論の通告がございます。発言を許します。河野正夫君。    〔河野正夫君登壇、拍手〕
  23. 河野正夫

    ○河野正夫君 極めて簡單に日本社会党を代表いたしまして本決議案に賛成の趣旨を申上げたいと存じます。  第一に、我々は曾てから義務教育費の全額国庫負担ということを理想として参つたものであります。然るところ今日の国家財政の状況からいたしまして、全額国庫負担は直ちに実施することは不可能な状況下にあるのであります。それ故にせめて現行通りの義務教育費国庫負担、更にでき得べくんば教員費ばかりでなくして生徒教育費をも含めた半額の国庫負担というようなことを常々考えておつたものでありまするが、それさえ困難な状況下においては、何とかして最低の義務教育費を確保しなければならぬ、こういう建前から我々は本決議案に賛成するものでございます。  第二に、いろいろと申上げたいことがありますが、むしろ標準義務教育費法案に反対であると言われるところの筋からいろいろと意見が述べられております。この意見に反駁することによつて、この決議に我々が賛成しなければならぬという理由を明らかにしたいと思うのであります。その一つは、いわゆる標準義務教育費確保に関する法案は地方の自治権尊重の精神に背くものである、こう言われておるのであります。先程私が緊急質問いたしましたときにも触れたのでありまするが、地方分権ということと機会均等ということは併存し得る考え方である、少くとも教育に関する限りは、最低の義務教育費を支給し得ることを地方団体に義務付けることが決して地方の自治権を侵害するものではないと、我々は信ずるものであります。若しも最低の義務教育費を支出することを命ぜられることさえも自分達の権限を侵害せられると思う人があるならば、これはそういう自治体においては最低の義務教育を実施しようとする熱意がないのでありまして、これこそむしろ憲法精神に違反すると考えるものであります。第二に、この標準義務教育費確保に関する法案によつて教育費に多くの費用が占められてしまつて、地方財政の需要費として他の面が極めて圧縮せられる、こういう反対意見があつたのであります。これには二つの立場があろうかと思うのであります。計数的に申上げまするならば、いわゆる平衡交付金千五十億のうち地方教育費として七百二十億を使われるから、こんなに多くのパーセントを取られてはかなわない、こういう意見であります。けれどもこの計数の宣伝は極めて悪意に満ちたものでありまして、地方の財政全般の費用は四千八百億であります。その中における七百二十億でありまして、若しそれ千五十億と対比いたしまするならば、これは国庫支出の分でありまするから、教育費は二百五十数億に過ぎないのであります。こういう比較不当の計数を以て反対しているということが、如何に何かためにするところのものであるということが分るのでありまして、教育を熱愛する我々としては了承することができません。次に、七百二十億の地方教育費が考えられておりまするが、それは財政資金全面の計画において多きに過ぎる、六百七十億でなければならぬというさる筋の要求があり、ここに五十億程の差額がありまして、この五十億は明らかに地方教育費に他の財政需要が食われるということになるのであります。この点は明らかでありまするが、これの原因を言いまするならば、千五十億という本年度における平衡交付金総額を先に決定し、それによつて種々の地方の財政需要費の基準單位を逆に割出そう、こういう今日の非常な法案の倒錯から起つて来るところの欠陷でありまして、この義務教育費を確保しようという建前から言えば、何らこのことと、この欠点とは矛盾するものじやないのであります。この欠点はむしろ平衡交付金の実施の面にあるのであります。  さて第三の賛成の理由といたしまして、平衡交付金を前提としなくても、義務教育費の最低額を確保しようとするところの措置、例えば單独立法措置は可能である、こういうことを我々は考えるものであります。先程の文部大臣のお答えにもありましたが、これは特別法として立法は可能であり、その故にここに何らかの血路を至急見出す必要がある、こういうふうな意味で政府に要望することを私は賛成するものであります。  ただ最後に附加えて置きたいのは、我々は義務教育費の最低の確保のみならず、例えば今日この非常な不況時代において、ますます人員の増加しつつあるところの定時制高等学校の費用等も、最低費用は何とかして確保しなければならぬ。勤労者大衆の教育のためにもこれも必要であると信ずるくらいであります。況んや六・三の義務教育費だけに関して言えば、最も国家の、或いは地方の当局の十分に力を入れなければならぬところと信ずるのであります。この点について政府の善処方を要望する本決議案に満腔の賛意を表するものであります。(拍手)
  24. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより本決議案の採決をいたします。本決議案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立〕
  25. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 総員起立と認めます。よつて本決議案は全会一致を以て可決せられました。(拍手)  只今の決議に対し高瀬文部大臣より発言を求められました、高瀬文部大臣。    〔国務大臣高瀬荘太郎君登壇、拍手〕
  26. 高瀬荘太郎

    ○国務大臣(高瀬荘太郎君) 只今の御決議に対しまして所見を申上げたいと思います。  義務教育の重要性につきましては、勿論政府も十分に認識いたしまして、今までそれの確保について努力して参つた次第であります。その重要な一環といたしまして、只今御指摘になりましたような義務教育費確保に関する法案の準備を進めて参つたわけであります。併し準備がまだ完了いたしませんで、会国会の提出が殆んど不可能な状況に立至つておることは甚だ遺憾に思つております。併し今後におきましても義務教育の重要性に鑑みまして、義務教育費確保につきましては一層の努力をいたしまして、御決議の趣旨に副いたいと考えております。(拍手)      —————・—————    〔中野重治君発言の許可を求む〕
  27. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 中野重治君。
  28. 中野重治

    ○中野重治君 私はこの際、引揚問題についての官房長官談、及び失業、税金問題等に関する緊急質問の動議を提出いたします。
  29. 宇都宮登

    ○宇都宮登君 中野重治君の動議に賛成いたします。
  30. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 中野君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。中野重治君。    〔中野重治君登壇、拍手〕
  32. 中野重治

    ○中野重治君 日本共産党は今言いましたような問題について緊急の質問をいたします。  第一に、私は具体的な問題に即して話します。今参議院の引揚委員会、衆議院の考査委員会で、徳田要請という拵えものが問題になつておる。それから僞証罪云々というようなことも取沙汰されておるということ、これは皆知つております。これと影と形のような関係で、増田官房長官が、この前タス通信がソヴイエト地区からの引揚は完了したという発表があつたあとで、日本政府を代表して総司令部へ行き、そのあとで、あの発表は疑わしい、まだ三十万とか残つておる、そして、これについては恰かもこの徳田要請或いは僞証罪という問題を愚かにも問題にしておるやり方の方が根拠があるんだというふうな発表を新聞にやつております。で、これは政府代表としてやつておる。ところが政府は、これまでの未引揚者の数というものの基礎は分らない、総理大臣自身が国会で、確実な調査は出ていないんだと、あれは一応の仮定だということを言つておる。ところが増田官房長官は、政府を代表して新聞にこういうことを発表しておる。これは引揚げて来た人々の生活を窮乏のどん底に陷れているという事実、ここから来るいろいろな問題を共産党の方へ持つて行つて肩代りしようと、こういう政治意図がそこにあるということが明らかに見とられます。もう一つは、今やかましくなりかけて、政府或いは與党でこれを消し止めようとしている五井産業或いは金相哲事件、こういうことに関して、増田官房長官に相当濃い疑いの雲がかかつておる。このことをも反共的な方向へ持つて行つて問題をずらすことで肩代りしようとしているということが明らかに見てとられる。そして、そういう場合の政府の責任を共産党へ持つて行つて肩代りするのみならず、例えば徳田要請云々に関して分るように、共産党の徳田書記長という特定の人間を引出して来て、これを大きく政治的にがあがあ騒ぎ立てさせておるということが明らかに見てとられる。これは池田大蔵大臣が今アメリカへ行つておりますが、あの池田大蔵大臣がどういう意味合の手土産かは知らないけれども、知らないというより、私はそれに触れないけれども、ホノルルで、日本共産党は地下へ入るであろうと、こういうことを放言しておる。これは池田大蔵大臣が日本共産党をできるならば地下へ入れたいということを考えておることを暴露している。日本共産党と人民との結合が強まりつつある、ここを割こう、それにはいろいろな問題をどんどん一方で放送して置いて、そうして日本共産党は地下に入るのだ、政府はこれを非合法化するつもりを持つているのだ、それだからそこへ近寄るな、いろいろの人に対して、国民の相当の部分に対して威しをかけているという意味がここに明らかに見とられる。これは実はこの前非常にやかましく問題になつたように、中小企業が潰れるようなら今のうちに潰れてしまえという、こういう放言をしたり、或いは税金の苦しさから自殺する人がどしどし出ている、こういうことで、政府及び大蔵大臣の施策がどんどん国民から見放されている。税金の問題、中小企業ぶつ潰しの問題に関しては、多数の人から政府及び大蔵大臣は怨嗟の的になつている。そこで、これをやはり反共の方へ持つて行つて、共産党へ罪を転嫁して、政治的に逃れよう、肩代りさせようとする、これを明らかに示している。こう思う外はない。これは失業問題にも非常に明瞭に現われている。この失業問題については実に沢山の問題がありますが、大体職業安定所で共産党員には手帳を寄越さない。これを登録しない。登録拒否ということが東京なんかでは起つている。これは参議院の労働委員会でも政府自身そう言つております。これを告白している。ところが共産党員であるというのでどしどし首を切つている。それならば、その共産党員が首を切られて職業安定所に行くのは当然であり、共産党員のみならず、非常に何百万という数の失業者が職業安定所へ蝟集して来て、そうして、ここで共産党員と共に職を得て働こう、こう政府に対して要求することは当然であります。ところがこれに対して弁解の余地がなくなると、これは失業者を共産党が煽動しているのである、そういうことを口実にして共産党員には登録を拒否する。こういうことをやつている。これはやはり政府の首切り政策の、政府が負わねばならぬ破綻の結末を共産党へ引つ被せよう、こういう政治的意図に基いていることは実に明瞭であります。  税金問題ではやはりこれが明瞭に現われている。一つの事例だけを申上げますが、最近清水市でこういう問題が起つている。ここでは市民が税金の再審査要求をした。税務署に対して……。これは清水市の杉田税務署長との約束があつて、清水市には生活を守る会というものができておりまして、調査のときにはこの生活を守る会と話合いでやるという約束ができておつた。ところが税金の再審査ということになると、清水市ではなくて、外の名古屋の国税局から人が二十人来る、浜松、藤枝、磐田、靜岡から七十人来る、そうして留守であろうが何であろうが、勝手に、調査するとは名ばかりで、押付け的な不法な調査をやり始めた。そこで清水市民は、これは話が違う、約束通りに生活を守る会と話合いで穏かに調査して呉れという交渉に行つた。ところが清水市の税務署へ行つたのですが、そこへ地方検察庁の岡田検事が武裝警官二百人を連れて来ておつて、忽ちこれに解散を命じてしまつた。そうして三十一人の人間を令状なしで逮捕して、それから清水市に置かないで直ぐさま、そのまま靜岡の刑務所に入れてしまつて家族との面会も許さない。税務署へ行くのですからいろいろな帳面を持つて行つたり、判こを持つて行つたりしたいる。面会に行つた者が面会を許されないで、家では商売ができなくなつている。一体そういう不法な逮捕は何でやつたのであるかと聞きに行くと、不法侵入、監禁罪の現行犯の容疑で逮捕した、不法侵入、監禁ということはあり得ないというと、いや、これは暴行脅迫の容疑だと言つている、こういうことをとにかくやつている。そうして清水のこの問題に直接関係のない共産党の靜岡県の県責任者等々をこのとき逮捕している。同じようなことは中之條町にもあります。ここでもやはり税務署で税金のことが問題になつたときに、そこにおつた共産党の山田勝次郎君を当局は検挙しておる。これは山田君はすでに新聞なんかでは共産党の公認候補として参議院選挙に臨むということが発表されておる。こういうふうに、特定の人、直接その問題に関係のない共産党の機関の責任者或いは候補者と目されている人、こういうところへ彈圧の手を伸ばして行くというふうにやつている。これも、税金の問題では非常な失敗を政府がやつておりますから、その問題を共産党へ肩代りさして、そうして肩代りの際には、当該問題に直接関係のない機関を潰すために、機関の責任者或いは選挙を目当ての候補者と目される人々を検挙するという政治的なやり方をやつている。  又千葉県の片貝ではこういう問題が起つております。これは御承知の方も多かろうと思います。あすこでは、漁師が「いわし」その他の沢山の漁獲があつて、これを元にして多くの漁夫が生活し、又この人々を中心にして町そのものが成立つておる。魚を取るということを土台にして町のすべての生活が保たれ、船主も自分の商売ができ、水夫、舵取もその商売ができるということになつておる。ところが最近、一週間のうち、土曜日と日曜日しか漁ができないという状態になつておる。これは事実としてそうなつている。一週間のうち二日しか漁に出られませんから、たとえ、この日、天気模様がよくて、魚の寄りもよろしいということであつても、これでは生活が全く立たない。單に船に乘つて魚を取りに行く人々が生活が全くできなくなつたのみならず、町全体の生活が、町の産業そのものが破滅に瀕して来た。そこで片貝の共産党の細胞では、これは国の問題であるからして、この生活の破滅、産業の破滅について国家補償して貰いたい。国家が、政府がこれを補償して呉れるべきであるという運動を起した。ところがこの人々が不幸にして占領政策違反ということで軍事裁判に付せられることになつております。ところが今の説明からも明らかなように、この問題は国家がこれを補償しなければならんというところに現実的な原因がある。国家が、日本の政府が補償を求められている。それですから、この問題について政府が当然責任を負うべきでありますけれども、土地の人々は何とか無罪にして貰いたいというのでいろいろ署名運動が起つておるようでありますが、日本政府自身は、自分のなすべきことをなさなかつたことから問題が起つたのに、何一つこのためには手を講じていない。一挙手一投足の労もなしていない。そうして実際にはこれ幸いに共産党の活動を切崩そう、これを弱めようというやり方で、いわば内心喜んでこれを見送つているという形をとつておる。  こういうことをずつと通覧して見ますと、税金の問題とか、或いは失業の問題とか、地方産業の破滅とか、こういうその土地、その県、その地方、その町、その現地々々で極めて切実な闘争が起る、或いは運動が起つた場合に、これを抑え付けるために、その地方地方の共産党の機関を抑え付ける。又共産党の機関を抑え付ける際には、成るべくその中心人物を選んで、直接問題に関係があろうがなかろうがそれを検挙するというふうな方式をとる。又いろいろな各種の議会の選挙における候補者と目される人々を逮捕するというふうな方式をとつておる。このことが明らかに見てとられる。聞くところによりますと、近く政府は、吉田総理大臣をして、この五月三日に、つまり国会が済んで、国会で問題にされなくとも済むその時を選んで、表には憲法発布記念という名に隠れて、今言つたような政治的な意味のための反共声明を出すという話がある。無論こういうことで、国民大衆から見放されておる。又ますます見放されつつある政府と自由党とが見放されないで、その信望を繋ぎ止められるであろう、こう考えているような馬鹿者はありますまい。又こういうことによつて共産党のこの種の切実な問題における断乎たる闘争を弱めることができると、こう考える者もないでしよう。又無論こういう奸策によつて程間近かな参議院選挙に自由党が負けるということを避けられる、こう見ておる者もないでしよう。併しながらこの種の問題は全く切実緊急な問題であつて、無論これがこのまま放置されていれば、今挙げたような税金問題、失業の問題その他地方産業の具体的な破滅の問題について国民大衆が一層どん底の生活をして行かなければならない。  それで今言つたような事例について、私は次の点を多くの人々に聞かなければなりませんが、特に法務総裁及び吉田総理大臣にお尋ねしたいと思うのでありまするが、第一に、池田大蔵大臣のああいうホノルル放言、ああいうことについて政府はどういう直接の関係を持つておるか、又ああいうことは許されることと法務総裁は考えるかどうか、これが法務総裁にお尋ねする第一点。清水、中之條におけるような、税金のための、極めて穏当な、約束を守つてやつて貰いたいという、そういう交渉を不法に逮捕する、又面会を許可しない、そうしてその家庭の商売も破滅させてしまうというふうな、こういう不法が行われておることに対して、司法の当局者としてどう考えられるか、どう責任をとられるか、これが法務総裁にお尋ねする第二の問題。第三には、やはり同じく説明しましたように、地方々々で共産党の力を弱め、これを彈圧するために、さつき言つたような特定の問題、税金の問題、地方産業の破滅の問題、失業の問題、こういうふうな切実な種類の闘争に関して、共産党を抑え付けるには、問題に関係のない他の地区の住人であろうとも、県の責任者を捕える。或いは候捕者と目される人を捕えることが行われておるが、政府としてはこういう闘争を地方々々で抑え付けるという方針であるかどうか。この三つの点を法務総裁に尋ねます。  それから吉田総理大臣には、引揚が、ソヴイエト地区からの問題が完了したことについて、まつ先にああいつたような談話を官房長官が政府の代理として発表した。而もそのことは政府が今日まで総理大臣自身をも動かして声明して来たことと全く違つておる。こういうことに対して吉田総理大臣はどう責任をとるか。これが第一。それから片貝の問題で国家補償を政府はやるつもりであるかないか、又この問題は日本の政府が補償を求められているのであるから、事のそもそもの起りは政府の責任であるということを認めるか認めないか、これが第二の点。それから、さつき言いました五月三日憲法発布記念の美名に隠れて、選挙を目当てにした大きな反共声明を総理大臣が発することになつておるかどうか。この点を総理大臣に伺います。(拍手)    〔国務大臣吉田茂君登壇〕    〔「責任を以て答えろよ、吉田君」と呼ぶ者あり、笑声〕
  33. 吉田茂

    ○国務大臣(吉田茂君) 中野君にお答えいたします。  引揚の問題については、タスの通信が如何なる根拠で以てかくのごとき、いわゆる放言をなしたかということは私は存じないのでありますが、併し引揚の問題については、その友人、家族その他が非常に関心を持ち、国民もこれに対して非常な心配をいたしておるのであります。故に政府として見解を述べて、政府の考えておるところ、政府の持つておる数字、或いは又政府が、残留者、未帰還者はまだこのくらいの数字があろうと想像している数字と甚だ違う(「その数字の基礎は何か」と呼ぶ者あり)未帰還者に対しては、その引揚に対して万全の努力を拂うという政府の決意を明らかにして、以て国民の信頼に応えるということにあるのであります。共産党のごとく未帰還者に対する何らの懸念を持つておらないのと違つて、(「冗談言うな」と呼ぶ者あり、拍手)政府としては未帰還者が成るべく早く帰還するように万全の力を盡すということの決意を表明したのであります。又その他中野君のお話は、多くは臆測若しくは、共産党自身の態度について、或いは政策について弁明をされたものと考えますから、私は答弁の責任を負わない。(「その通りだ」と呼ぶ者あり、拍手)更に税金その他の問題についてお話があつたが、勿論治安を乱す、或いは又法律に違反するという場合においては、共産党であろうがなかろうが始末をいたします。(「その通りだ」と呼ぶ者あり、拍手)    〔国務大臣殖田俊吉君登壇〕
  34. 殖田俊吉

    ○国務大臣(殖田俊吉君) 中野君にお答え申しますが、先ず第一に、新聞電報によりまする池田蔵相のホノルルにおける談話でありまするが、私は池田君がどんな話をしたか具体的には存じません。ただ新聞電報だけでありまするが、恐らく池田君のあの話は、池田君個人のプロスペクトを話しただけであろうと考えます。政府とは何ら関係ございません。政府としては只今共産党の問題につきましては愼重に考究はいたしております。併しながらただ直ちにこれを彈圧する或いはこれを破壞するということは考えておりません。(「やつているじやないか」と呼ぶ者あり)それは御自身でたださように御推察になるだけであります。(「頭は確かか、嘘をつくな嘘を」「嘘じやない」「嘘だよ」と呼ぶ者あり)  更に反税鬪争などのお話があつたのでありますが、地方の税務署等に多数が押し掛けて、そうして或いは税務署であるとか、或いは職業安定所等を非常に騒がし、建物の中に群集して来る、或いは建物の管理者からどいて貰いたいと言われてもなかなか退かぬというような、執務を妨げるという場合がしばしばあるのであります。これがお話のごとく、予め約束によつたものとは考えられないのであります。約束ならば極く靜かに、そうして相談でできるわけであります。相談でなく、その約束を楯ににとつて脅迫がましい行動に出るからそこでいろいろな問題が起るのであります。又さような約束を一部の人と、例えば何とか……生活の会でありますとかいうような市民の一部の人とそういう全面的な約束をする筈がないのであります。これは恐らくそういう方々の御希望であつて、税務署長がそれに応諾をしておるとは考えられないのであります。殊に審査の場合におきましては、税務署が自身で審査をするのではないのであります。上級官庁が審査をするのでありまして、ただ税務署は審査の取次ぎをするだけであります。従つて上級官庁から多数の吏員が派遣されました審査に当ることは当然であります。それから只今これらの税務署のやり方、或いは検察当局のやり方等が彈圧ではないか、共産党を特に圧迫するのではないかというお話でありまするが、さようなことは毛頭ありません。共産党であろうとなかろうと、法規に触れる場合には全く同様にこれを待遇するのであります。況んや政治的謀略によりまして共産党を圧迫するがごときことは毛頭考えておらないのでありますから御安心を願いたいのであります。(拍手)    〔中野重治君発言の許可を求む〕
  35. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 何ですか。
  36. 中野重治

    ○中野重治君 吉田総理大臣に尋ねた問題で、片貝の……、産業の破滅に対する国家補償の問題、これに対して総理大臣がどういう見解を持つているか、補償をするつもりであるかどうかそれからあの問題が政府の責任から発しておるということを認めるか認めないか、これは極めて重大なことでありまするが、総理大臣は故意か忘却してか知らないが、答えておらないから、この点を答えて貰いたいと考えます。(「答弁々々」「必要なし」と呼ぶ者あり)
  37. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 吉田内閣総理大臣。(「答えられないのか」「どうした」と呼ぶ者あり)……小澤国務大臣が代つて答弁するそうであります。暫らく御靜粛に……。(「小澤国務大臣が総理大臣の代理のできる人であるかどうか私はまだ判断ができない」「総理」と呼ぶ者あり)……御答弁がないようでありますから、(「総理がいるじやないか」「それでは総理大臣は答えることを無理由に拒否する、或いは理由があつて返答することができないで代りを立ててやるということに了解します」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣小澤佐重喜君登壇〕
  38. 小澤佐重喜

    ○国務大臣(小澤佐重喜君) 中野君にお答えしますが、総理大臣の答弁も私の答弁も憲法上同一の効果があるのでありますから、その点御了承願います。(「実際は効果ないな」と呼ぶ者あり)只今の漁村問題でありますが、この問題については政府も愼重に考慮いたしております。適当な時期に中野君の(「いつもそういうことを言うのだ」と呼ぶ者あり)御心配ないようにする時期が必ず来ると思います。(拍手)      —————・—————
  39. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 日程第二、文化財保護法案(本院提出衆議院回付)を議題といたします。     —————————————
  40. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) これより本案の採決をいたします。本案の衆議院修正に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔起立者多数〕
  41. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 過半数と認めます。よつて本案は衆議院の修正に同意することに決定いたしました。      —————・—————
  42. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) この際、日程第三、熱海国際観光温泉文化都市建設法案、日程第四、伊東国際観光温泉文化都市建設法案、(いずれも衆議院提出)、日程第五、住宅金融公庫法案内閣提出衆議院送付)、以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。建設委員長中川幸平君。     —————————————    〔中川幸平君登壇、拍手〕
  44. 中川幸平

    ○中川幸平君 只今議題となりました熱海国際観光温泉文化都市建設法案及び伊東国際観光温泉文化都市建設法案の両案について、建設委員会における審議の経過並びに結果について御報告いたします。  法案の趣旨内容は、先に本院の議決を経ました別府国際観光温泉文化都市建設法案と同じでありますので、審議の詳細については速記録に讓ることにいたしまするが、現在両市にある国の普通財産は熱海市の梅園と小面積の土地だけで、伊東市にはないとの当局の回答でありました。この普通財産について法案第四條の無償讓與は他の都市その他の関係から適当ではなく、讓渡については国有財産法の規定によるのでありますが、これをここに規定するときは、讓渡希望が多い場合にも本建設事業のために優先讓渡できる等の関係もあるから、讓與を讓渡に改めたいとの意見が述べられました。  かくて討論に入りましたところ、赤木委員から、熱海国際観光温泉文化都市建設法案の一部を次のように修正する。  第四條を次のように改める。   (特別の助成)  第四條 国は、熱海国際観光温泉文化都市建設事業の用に供するため必要と認めるときは、その事業の執行に要する費用を負担する公共団体に対し、普通財産を讓渡することができる。  との修正案が提出されました。安達委員からは、熱海の梅園はいつの時か住民が国に提供したものであるから同市に讓與してよいものである、伊東については修正に賛成するとの発言があり、岩崎委員からは、住民投票によつて市民はこの建設事業の意味を十分に了解して、観光文化都市の建設に努力することを強く希望するとの発言があり、その他の委員からも賛成の意見が述べられました。次いで採決の結果、第四條は赤木委員の提案通り修正し、その他は衆議院送付案通り可決すべきものと多数を以て決定いたしました。伊東国際観光温泉文化都市建設法案についても、第四條は同じく赤木委員の提案通り修正し、その他は衆議院送付案通り可決すべきものと全会一致決定いたした次第であります。  以上御報告いたします。  次に只今議題となりました住宅金融公庫法案に関しまして御報告をいたします。  御承知の通り住宅難は極めて深刻でありますので、従来政府のとつて参りました公共事業費による半額国庫補助の賃貸住宅と並行して、新たに政府出資を以て長期低利の住宅資金を融資する特別の機関を設置する必要があります。これが本法案の提案理由であります。  次に法案の重要な内容について申上げます。その第一は公庫の性格及び資本金であります。資本金は全額政府が出資し、公庫は公法上の法人とすることになつております。資本金は五十億円でありますが、米国対日援助見返資金の交付を受けた場合は政府の出資があつたものとみなし、本年は見返資金百億円が計上されておりますので、計百五十億円となつております。第二は、貸付の対象であります。これは個人と住宅組合法による住宅組合と貸家事業を行う会社又は法人の三通りになつております。第三は貸付になる住宅の規模の範囲であります。即ち一戸当りの床面積が三十坪までのもので、標準建設費の一・二倍までのものでなければならないことになつております。第四は、貸付金額の限度と貸付金の利率並びに償還の期間であります。即ち貸付金は一戸当りの建設費の七割五分までであつて、床面積十八坪までが貸付対象として計算されます。又土地については、土地又は借地権の標準価格の七割五分までが借りられることになつております。貸付金の利率は年五分五厘で、償還期間は木造十五年以内、コンクリート・ブロツクなどの場合二十ケ年以内、鉄筋コンクリート造の場合は三十ケ年以内となつております。第五は貸付の方法であります。貸付の申込の受理、審査、資金の貸付は、公庫が指定する銀行又は金融機金が行うことになつております。但し貸付の決定は公庫が行うようになつております。  以上がこの法案の主要な内容であります。又工事についての審査は地方公共団体が行うことになつております。深刻な住宅難に悩む国民に直接関連する重大法案でありますから、本委員会は愼重審議を重ねたのであります。即ち委員会を開くこと六回、又大蔵委員会と二回連合委員会を開いて審議を行なつたのであります。又四月十二日には公聽会を開きまして、公述人十名から法案の各般に亘る意見を聽取するなど、愼重な審議が行われたのでありますが、なかんずく論議の焦点となりました点は、消費生活協同組合を貸付の対象とする点、貸付率、金利、償還期間に関する点等でありました。これらの経過につきましては、速記録によつて御了承願いたいと思います。かくて討論に入りましたところ、石坂委員より、貸付金の金利、償還の期限の問題等、意見があるけれども、本法案の速かな成立が国民から要望されてている現状から原案に賛成するとの発言がありました。次いで採決に入りましたところ、全会一致を以て衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  以上御報告申上げます。(拍手)
  45. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  先ず熱海国際観光温泉文化都市建設法案全部を問題に供します。委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔起立者多数〕
  46. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 過半数と認めます。よつて本案は委員会修正通り議決せられました。      —————・—————
  47. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 次に伊東国際観光温泉文化都市建設法案全部を問題に供します。委員長の報告は修正議決報告でございます、委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔起立者多数〕
  48. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 過半数と認めます。よつて本案は委員会修正通り議決せられました。      —————・—————
  49. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 次に住宅金融公庫公案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔起立者多数〕
  50. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      —————・—————
  51. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) この際、日程第六、漁船法案衆議院提出)、日程第七、水産資源枯渇防止法案内閣提出衆議院送付)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。水産委員長木下辰雄君。     —————————————    〔木下辰雄君登壇、拍手〕
  53. 木下辰雄

    ○木下辰雄君 只今議題となりました漁船法案並びに水産資源枯渇防止法案につきまして、委員会における審議の経過並びに結果について御報告申上げます。  先ず漁船法案についてその提案の理由を申上げます。水産食糧増産の基幹をなす漁船は、太平洋戰争前は順調に発達して、当時の我が国の漁獲量にほぼ比例していましたが、戰時中少からざる数を喪失いたしたのであります。終戰後政府は昭和二十年十二月、閣議において三十三万七千トン補充計画を決定して漁船の整備計画に努力して参つたのであります。そのためにその数においては三十余万隻、百二十余万トン、百八十余万馬力になり、戰前の水準に達しましたが、漁船の建造を調整し、漁船を登録、検査し、又試験を行い、その性能を向上せしめる点において特別の制度がなかつたことは遺憾でありました。漁船は一般の船舶が旅客や貨物を積んで一定の航路を定期的に往復するがごときものではなく、全然その性質を異にいたしまして、漁具と相待つて漁獲を能率的に行うことを使命といたすのであります。然るに日華事変当初、国家総動員法に基いて制定せられました臨時船舶管理法という臨時立法を制定いたしまして以来、この漁船行政を農林省と運輸省とが取扱つて参りましたために、漁業者の蒙る煩雑と不便はけだし少くなかつたのであります。これらの不便を除き、漁業調整の完遂を期するには、是非とも法の制定を必要とするから、国会は速かに立法して呉れとの請願或いは陳情が沢山ありますし、又これは水産業界の輿論でもありましたので、衆参両院の水産委員会は第一国会以来協力してこれが立案に当り、今回運輸省と完全に了解ができまして、衆議院の議員提出として提案され、衆議院において可決して本院に送付されたのであります。  次に法案の内容を簡單に御説明申上げます。第一に、漁船の建造を調整し、漁船の登録及び検査に関する制度を確立し、漁船の試験を行い、以て漁船の性能の向上を図り、併せて漁業生産力の合理的発展に資することがこの法律の目的であります。第二に、漁船の建造調整について、農林大臣は長さ十五メートル以上の動力船の建造等の許可を行い、その他の許可権は知事に與える等、漁船の建造改造の許可並びにこれに関係する事項に関しまして規定してあります。第三点は、現在連合軍総司令部の指令によりまして行われている漁船登録規則を殆んどそのまま本法案に移したものであります。第四、漁船の検査でありますが、現在海上保安庁が一般船舶と同様に検査を行なつているのであります。これは海上における人命の安全のための最小限度の程度でありますが、漁船といたしましては更に漁業の種類に順応して十分なる性能を有せしむることが漁撈上最も必要とするものでありますから、船主の依頼に応じてこの方面の指導的検査を行おうとするものであります。第五は、漁船に対する試験が従来非常に乏しいため漁船の性能の不十分なものが多く、又進歩性に欠けていたのであります。故に新たに科学的基礎試験の必要性に鑑みまして、漁船に関する試験の規定を設けたのであります。以上がその内容のあらましであります。  本案は本国会当初より委員会において検討いたしました。而して四月二十九日衆議院から送付され、本委員会に付託されましたのでありますが、本法案は前にも申しました通り、両院水産委員の共同提案とも称すべきものでありますので、質疑も簡單に済まし、討論に入りましたところ、社会党の青山委員より、又自由党尾形委員より、それぞれ賛成の意見がありました。採決いたしましたところ、全員一致で本法律案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に水産資源枯渇防止法案につきまして、その提案理由並びにその内容について簡單に御説明申上げます。  言うまでもなく資源の保護、愛護ということは、如何なる産業にとりましても大切なことであります。然るに我が国の漁業の現状を見まするに、漁場は戰前に比べて非常に狹くなつているにも拘わらず、漁業者の数は戰前よりも著しく増加いたしているのであります。従つて現在すでに飽和状態に達しておる状況にあるのでありまして、遠洋漁業、近海漁業、若しくは沿岸漁業を問わず、稚魚濫獲の弊を生じ、又無許可船を操業等により漁場の紛争が絶えない有樣でありまして、その結果は水産資源を枯渇させ、延いては止むにやまれず制限漁区違反というような事態が起つて来るのであります。由来、総司令部天然資源局におきましては、水産資源愛護策を水産施策の重要な眼目として来たのでありまして、従来日本の漁業者が侵略的な漁業という悪い印象を国際間に持たれておる点に鑑みまして、漁業に関する規律を自主的に守り、又資源を愛護することを継続的に実行することによつて証明しなければ、漁区の拡張や漁区制限の撤廃も問題に上せ得ない旨をたびたび声明して来たのであります。  右のような次第でありますので、重要なる水産資源について科学的調査を実施し、資源の量に適応した最高の漁獲率を維持して、漁業の利益と経営の安全を永久に継続させ、且つ国際信義を高めることが必要であります。而して資源枯渇の虞れのある漁業に対しましては濫獲防止の方法を講じ、止むを得ない場合には減船なり操業区域の変更なりの措置をとる必要も生じて来るのでありまして、講和條約を控えた現在、このような法律を制定して、我が国の漁業者がかくのごとく資源を愛護しておるという事実を内外に指し示すことが、我が水産業の将来にとつて適切なる事柄であるという見地から、この法律案を提出されたのであります。  次に法案の主要な内容について申上げます。先ず第一に、水産資源の枯渇の虞れがあると認められる漁業について、資源の関係その他を見合いまして、漁業種類及び海域別に漁船の最高隻数を定めるのであります。第二に、この最高隻数を定めました場合に、現在の許可船がその定めた数を超過いたしておる場合には、許可の取消、又は操業区域の変更の措置を行うことになつております。第三に、以上のような措置をとつたことによる損失に対しては、予算の関係から現金で補償することができない場合もありますので、補償金交付の方法については政令で定めることになつております。  委員会におきましては、予備審査から本審査まで委員会を開くこと五回に亘り、愼重に審議をいたしましたのでありますが、委員会の審議状況、委員と政府委員との質疑応答等は速記録によつて御承知を願いたいのであります。質疑を終了して討論に入りましたところ、社会党の青山委員、自由党の西山委員より賛成の意見を述べられ、採決の結果、全員一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  以上御報告いたします。(拍手)
  54. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立〕
  55. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決せられました。  これにて午後二時まで休憩いたします。    午後零時三十九分休憩      —————・—————    午後二時四十二分開議
  56. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。  この際、日程第八、海上保安庁法の一部を改正する法律案、日程第九、大蔵省設置法の一部を改正する法律案、(いずれも内閣提出衆議院送付)以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。内閣委員長河井彌八君。     —————————————    〔河井彌八君登壇、拍手〕
  58. 河井彌八

    ○河井彌八君 海上保安庁法の一部を改正する法律案について先ず申上げます。  本案につきましては政府提出の原案に衆議院において一部修正が加えられたのでありまして、只今報告申上げまするのは、その修正の加えられておるものを原案として申上げる次第であります。この海上保安庁は一昨年海上保安庁法によつて創設せられまして、海上の治安維持と海難救助の二つの大きな使命を持つておるのであります。そして運輸省の外局でありますが、これまで二年間の経験に鑑みまして、実情に副いまするようにその組織と機構の上に多少の整備の必要があるので、この法律改正することになつたのであります。改正せられまする要点を申上げますると、第一には、従来置かれてあつた官房を総務部に改め、所掌事務を整備すると共に、船舶技術部を新設したことであります。第二点は、現在各般の情勢から沿岸警備の重要性が一段と加わつておりまするので、この特殊業務部門を專門的に統括して沿岸警備に遺憾のないように措置する必要がありますので、次長の外に次長と同格の警備救難監というものを置きまして、船舶技術部と警備救難部の所掌事務を統括させることになつたのであります。第三点は、従来海上保安庁の下部機構といたしまして九つの海上保安本部が置かれてありましたが、これを管区海上保安部と改称すると共に、その本部の位置は従来の保安部の位置と同様に小樽市、塩釜市、横浜市、名古屋市、神戸市、広島市、門司市、舞鶴市、新潟市といたした次第であります。第四には、海上保安官が任務遂行に当りまして武器を使用し得る範囲を警察官と同一の範囲にいたすと共に、非常事変の際には協力を求めることができるように若干拡張したのであります。第五点は、従来ありました中央海上保安審議会と地方保安審議会とを統合いたしまして海上保安審議会といたしたのであります。第六、機雷その他の航路の障害物を除去することに関しまして、現在のように一つの課で以てこれを所掌しておりましては甚だ遅いのみならず、業務の遂行に完璧が期し難いのでありまするから、新らたに附属機関といたしまして航路啓開所というものを設けまして、掃海業務の活動を強化したことであります。第七点は、海上保安庁が臨時的に所掌しております旧海軍の鑑船の保管に関する業務に従事しておる職員と航路啓開所に置かれてある職員は、海上保安庁法に規定しておるところの海上保安庁の職員制限数の一万人から除外したことであります。第八には、次長の所掌事務から総務部の所掌事務を除いたことであります。これは衆議院の修正点であります。第九は、この改正法律は本年の六月一日から施行するという点であります。これも衆議院の修正によるものであります。  委員会は三回開会いたしまして審議をいたしましたが、その審議の中で明らかになつた主な点を申上げます。  第一は長官官房を廃止して、そして現業の業務をば他の部に移しまして、その部において保安庁の機能を十分に発揮させるようにするという点であります。第二は、警備救難部の業務につきまして警備船の隻数、トン数或いはその性能及び管区に配備して、又それが行動する実情並びに本年度の充実計画等について政府に質しましたのであります。尚不正取締りの状況について、殊に秘密入国、秘密出国及び秘密貿易等についていろいろ政府の説明を得たのであります。次には、海難に件数及びこれが救助の状況、救助の方法の今日実際手薄である実情が明らかにされたのであります。第三点といたしましては、航路啓開所の開設について、戰時に機雷がどれくらい投入せられてあるかということ、又昨年末までにそれをどれぐらい処理したということ、現在どのぐらいあるかという問題、尚瀬戸内海における掃海の状況等を明らかにしたのであります。第四点といたしまして、海上保安管区につきまして、政府は衆議院の修正、即ち政府が提出しました原案においては六管区という原案でありますが、これに対して元のごとくに九管区に戻すという修正、これに対して政府は何故に原案を固執しないかという質問、それから又衆議院の修正案の当否についてのいろいろな議論が出たのであります。その大要を申しますと、九州のごとくに海岸線が長くて、且つその仕事が著しく多い地区をば一つの管区とせしめる理由はどうであるか、少くともこれは二つに分けるべきではないかという点、第二には、名古屋、広島両管区はむしろこれをやめて、日本海方面を一管区としてはどうかというような点であります。政府はこれに対しまして、九州を二つに分つことはよくない。又名古屋、広島に設置する必要が特にあるということを申しまして、更に日本海方面を一管区とすることは連絡上不便であるということを申しました。そうして九州の海岸線が長くて仕事の多いことについては、船隊の配備隻数等において十分に行動をするということで差支えない見込であるということであります。第五には、日本水難救済会の任務、又過去の業績及び今後政府はこれをどういうふうに助けて行くか、二十五年度におきましては補助金がすつかり廃止せられまして、そうして水難救済会はもう立ち行かないというような状態に瀕しているのでありますが、過去の業績から見ますと、どうしても海上保安庁の力を以てしては甚だ不行届きであるのでありますから、この水難救済会に対して十分に補助しなければならんという意見に対しまして、政府はこれについては十分の辰興策を考えておる、海上災害法案ともいうべき法律を次の国会あたりに出して、これが振興を図るつもりであるというふうな意見であります。大体かような事柄でありまして、衆議院の出しました修正案を含めまして討論をいたしましたところ、三好委員から、海上保安庁の次長の職務権限から総務部の事務を除くことは不合理である、そうして運営上にも不便である、将来これは十分の検討を望むということ、又機雷の処理の迅速なることを希望する、殊に瀬戸内海において残存しておる機雷は急速にこれを除去して欲しいという意見を述べられました。そうして賛成せられたのであります。採決の結果は全会一致を以て可決すべきものと議決いたした次第であります。  次に大蔵省設置法の一部を改正する法律案について報告をいたします。  この法案の改正点について申上げますれば、第一に、外国為替及び外国貿易管理法並びに株式の名義書換に関する法律等の制定に伴いまして、所掌事務に関する條文の整理を行なつたことであります。第二は、終戰処理費、賠償施設処理費等の経理に関する事務をば特別調達庁又は賠償庁へ移管し、又土地台帳及び家屋台帳に関する事務を法務府へ移局いたしました結果、理財局、主税局等の所掌事務からこれを削除したのであります。第三は、地方出先機関たる財務部をば財務局と改める点であります。尚この外、国税庁監督官、国税局監督官に、職員の職務上の犯罪を搜査させるために必要な規定を設けたこと、及び公任会計士法の改正等に即応いたしまして、新たに公認会計士局理委員会を設置いたしたこと、並びに証券取引委員会の所掌事務に株式の名義書換代理人の登録事務を加えたことなどであります。その他各省と同様に行政簡素化の趣旨に基きまして、附属機関でありまするところの審議会等の整理を行いまして、十四を廃止いたしました。又酒類配給公団は清算事務も終了いたしましたので、これを廃するために規定を改めたのであります。  委員会におきましては前後二回委員会を開きまして、愼重な審議をいたしたのでありまして、全会一致を以てこれを可決すべきものと議決いたしたのであります。  次に、委員会における審議の状況について、簡單に申上げますれば、先ず第一に、税金の徴收については近来とかくの批評がある、これは沢山出ておるのであるが、今回法規を改正して、所属職員の職責の嚴正を確保するために、国税庁の監督官に司法警察権を與えまして、そして税務官吏の犯罪取締に努力せしめることとしておるのでありますけれども、これら監督官の職責が一層重大なるにつけても、監督官の人選については政府の如何なる成算を有しているかという点でありまして、これに対しまして政府は、その人の平素の働き又その素行等を十分に検討いたしまして最も適当な人を選ぶつもりであるという説明でありました。殊にその任務が特殊なものであるから、講習を行うことは勿論、普通の事務以上に徳性の涵養のために格段の訓練をするということでありました。  次に国税庁及び出先の国税局にそれぞれ協議団というものを置きまして、長官、局長が税の審査の決定につきまして常に協議団の協議を経なければならないということにいたしたのでありますが、協議団という名称は行政組織法の上から見ても適正でない、又その性格、権限についてもいろいろの質問が出たのであります。殊に協議団の意見は国税庁長官又は国税局長を拘束するものであるかという点につきまして、政府は納税者の納得の行く方法についていろいろ研究を要するのであるが、この協議団の組織及びその権限につきましては政令で以てこれを決めるのであるということでありました。そして協議団の意見を決定する方法としては多数決による、そしてその意見が区々に分れる場合には、納税者の中位の解釈意見を尊重することになるであろう、そうして又協議団の意見が国税庁長官又は国税局長の決定権を拘束するかという質疑に対しましては、これは主として運営によつて政処するつもりであるということでありました。次に地方出先機関であるところの財務部を財務局と改めるという点につきましては、これは行政簡素化の精神に逆行する嫌いがあるではないかという質疑があつたのであります。政府はこれに対しまして、今日の財務部は、国税庁の所管事務を除けば、大蔵省の所掌事務は総括してこれを掌つているので、随分これは広汎なものである。で、ややもすれば国税局の中の一部と間違えられる虞れがあるからこれを局とするのである。支うしてそれに勤務しているところの職員の数、事務の内容等を見ましても、他の各省の出先機関と比較して決して小さなものではないから、均衡の上からも部という名称を局に改めるということが正しいということでありました。尚その他の質疑応答がありましたけれども、大体この程度の御報告を以て差支ないと思うのであります。かような次第でありまして、採決の結果全会一致を以て可決すべきものと議決した次第であります。  これを以て報告を終ります。(拍手)
  59. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 海上保安庁法の一部を改正する法律案に対し討論の通告がございます。発言を許します。板野勝次君。    〔板野勝次君登壇、拍手〕
  60. 板野勝次

    ○板野勝次君 共産党はこの法案に反対であります。この改正案の第一の特徴は、地方の管区本部が国警の全国六管区制と完全にマツチするよう改正されましたけれども、管区本部の設置箇所の争奪に会いまして現行通りにはなりましたが、明らかに警察力増強と共に海上保安庁が人民彈圧の武器に性格を変えようとするものであります。第二の特徴は、旧海軍軍令部から受け継いだ管船課を主とする新設の船舶技術部と現地採用によつて旧海軍軍人が圧倒的多数を占める哨戒課が警備救難部の中心となつて、管船区と同様に旧軍人からなる掃海課を中心として動く航路啓発所のいわゆる第一線の勢力が、事実上海上保安庁の中枢を占めるように強化されるのであります。第三の特徴は、海上保安官が任務遂行に当つて武器の使用範囲が警察官と同樣拡大されたこと、又非常事変に察しまして附近にある人及び船舶に対して協力を求めることにしてありますが、これこそ曾ての国家総動員の戰後版であります。第四の特徴は、主として六十二隻の旧海軍掃海艇に乘つて瀬戸内海方面の掃海に従事していた掃海課所属の旧軍人約二千名は、海上保安庁職員の定員一万名から除外されており、新らしく警察権を持つ海上保安官に登用されるような巧みな措置がとられ、臨時職員だという名目で増員される危險性が多分にあります。  改正の主な特徴点は以上のようなものでありますが、本法案の改正の裏には、警察力の増強に対応した保安庁機能の強化と旧海軍省の復活が企図されているのであります。即ち昨年七月下旬に結ばれた海上保安庁と国警との業務協定、並びに同年十二月九日に結ばれた海上保安庁と国家消防庁との協力規定、及びマル秘となつております非常配備規定等は、警備救難部哨戒課が中心となつて旧海軍の戰時船舶部署標準等を参考として作成したもので、国警や自治警の非常事態発生に対する配備規定に呼応し、想定される事態は天災地変と犯罪暴動の二つでありますが、明らかに大衆運動仰圧の意図を秘めているのであります。  昨年十一月十日に第一線の保安官に十四年型拳銃約二千挺が配付され、使用の範囲は、職務を行う場合、特に自己又は他人の生命、身体の保護に止むを得ない必要がある場合という範囲から、更に警察官等職務執行法第七條に拡大されまして、将来火砲等の裝備さえが予定されておるのであります。このようにして、右の諸点の外に、人員を五百二十六名増加することによつて人的にも強化して来て、そうしてこのようにして海上保安庁は本来の任務に逆行して、今や性格が旧海軍省に復活されつつあるのであります。  大久保長官の今年の年頭の辞に、主権回復への推移に伴い、従来経済を中心とした国内問題は治安中心に切替えられなければならない、海上の治安維持等の国家的責任は、海上保安庁が全面的にその責任を負う時期が近いと述べている。彼は一年前に、海上保安庁の第一の仕事は海上の人命救助で、つまり難破船を救助する仕事であると言つた。この二つの点を合せて考えてみますればそこには何か重大な原因が潜んでいると見なければならないし、裝備の点についても大久保長官は二十四年の抱負として、本年の最大の仕事は巡視船等の新造計画と燈台の復旧計画である、船舶造修の予算は総予算の約三十億円の三三%に当つていると述べて、この線に沿つて昨年五月から六月に亘つて次のように保安庁設置以来の大型巡視船の新造発注が行われたのであります。即ち七百トン型二隻、四百五十トン型三隻、この外、旧海軍の百八十トン型敷設艇型曳船及び旧海軍敷設艦三浦丸の巡視船への改造、高性能十五メーカー内火艇十隻であります。従つて保安庁の現有勢力は、巡視船五十四隻と補助巡視船七隻、港内艇百二十八隻となつております。  右の諸事実から、今や本法案を背景に旧海軍の潜在力の復活となることはもはや疑う余地がないのであります。曾て海上保安庁設立当初において、ソ同盟は勿論のことイギリス、中国等ですら海軍力の復活であるという点を指摘いたしまして、その将来に対して少からぬ危惧の念を抱いて反対しましたことが、今やここに実現されようとしているのであります。これは明らかに軍国主義を復活し、戰争準備と單独講和を目指すものでありまして、ポ宣言違反であり、民族の独立と世界の平和を妨害するものであります。かかる意味におきまして、日本共産党は断乎反対するものであります。(拍手)
  61. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔起立者多数〕
  62. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて両案は可決せられました。      —————・—————
  63. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 日程第十、一般職職員給與に関する法律制定施行に伴う関係法律整理に関する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。人事委員長中井光次君。     —————————————    〔中井光次君登壇、拍手〕
  64. 中井光次

    ○中井光次君 只今議題となりました一般職職員給與に関する法律制定施行に伴う関係法律整理に関する法律案につきまして、人事委員会における審議の経過並びにその結果を御報告申上げます。  本法案は、政府職員の新給與実施に関する法律が御承知のごとく去る三月三十一日失効いたしまして、それに代る一般職職員給與に関する法律が四月一日新たに制定施行されるに至りましたので、これに伴つて関係法律の規定の整理を行わんとするものであります。即ち裁判官の報酬等に関する法律、検察官の俸給等に関する法律、船舶運営会の船員の給與基準の設定及び船舶運営会の役職員に対する特別手当の支給に関する法律、経済安定本部設置法、国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当の支給に関する法律、以上の各法律中に引用されております「政府職員の新給與実施に関する法律」という字句をそれぞれ「一般職職員給與に関する法律」と置きかえ、その施行期日も一般職職員給與に関する法律の施行に合せて、同じく四月一日から遡つて適用せしめようとするものであります。  本案は四月十八日衆議院より送付せられ、四月二十一日提案理由の説明を聞き、審査に入り、別段の質疑もなかつたのでありまするが、先に提出せられ審議を行なつておりましたところの国家公務員の職階制に関する法律案が可決制定せられるに至り、同法附則第三項に「政府職員の新給與実施に関する法律昭和二十三年法律第四十六号)第九條」とあるを「一般職職員給與に関する法律昭和二十五年法律第九十五号)第六條」と改め、且つこの部分に関する限り施行期日も四月一日に遡ることなく、同法の公布の日から施行することとする旨の修正を加える必要を生じましたので、宇都宮委員の発議により修正案が提出せられ、別に討論もなく、採決に入りましたところ、修正案は全会一致を以て可決せられ、よつて本案は修正議決すべきものと決定いたしました。  以上簡單ながら当委員会における審議の経過及びその結果を御報告申上げます。(拍手)
  65. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔起立者多数〕
  66. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は委員会修正通り議決せられました。      —————・—————
  67. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 日程第十一、滅失鉱業原簿調製等臨時措置法案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。通商産業委員長深川榮左エ門君。     —————————————    〔深川榮左エ門君登壇、拍手〕
  68. 深川榮左エ門

    ○深川榮左エ門君 只今議題となりました滅失鉱業原簿調製等臨時措置法案につきまして、通商産業委員会における審査の経過並びに結果につきまして御報告申上げます。  本法案は過般の戰災によりまして滅失いたしました鉱業原簿及び砂鉱原簿並びに鉱業に関する願書を調製し、現在不明確となつている鉱業又は砂鉱業に関する権利関係を明確にすることを目的としているものであります。本法案の骨子となる点は次の通りであります。第一には滅失した鉱業原簿の調製又は鉱業に関する願書等につきましては、原則として申請によつて処理することとしたことであります。第二点といたしまして、権利関係を確定するために、一定の期間内に申請をしない者の当該権利を原則として消滅せしめることとしたことであります。第三には、申請の事実が確認できないときは、通商産業局長はこれを却下することができることとし、この場合には当該申請人や利害関係人の出頭を求めて公開による聽聞を行うこととしていることであります。第四には、却下処分又は調製した鉱業原簿の登録事項について不服のある者は異議の中立を通商産業大臣にすることができ、この場合の決定は公開による聽聞の結果を待つて行われるものとなつておるのであります。第五点は、経過規定として、昭和二十年商工省令第一号滅失鉱業原簿調製規則及び同二号滅失したる砂鉱原簿調製に関する件の規定によりまして、すでに調製の申請をなし、又それによつて調製されている鉱業原簿又は砂鉱原簿につきましては、すべてこの法律によつてしたものとみなしたことであります。  本委員会におきましては、本法案につきまして愼重なる審議の結果、討論を省略して採決いたしましたるところ、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定した次第であります。  右極く簡單に御報告を申上げます。(拍手)
  69. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔起立者多数〕
  70. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
  71. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 参事をして報告いたさせます。    〔佐藤参事朗読〕 本日委員長から左の報告書を提出した。  地方税法案否決報告書  地方財政委員会設置法案可決報告書  地方財政平衡交付金法案可決報告書  予防接種法等による国庫負担の特例等に関する法律案可決報告書  兒童福祉法の一部を改正する法律案可決報告書  公衆浴場法の一部を改正する法律案可決報告書  クリーニング業法案可決報告書  水産業協同組合法の一部を改正する法律案可決報告書  運輸省設置法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案可決報告書  地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、海上保安監部及び海上保安部の設置に関し承認を求めるの件議決報告書  会計検査院法の一部を改正する法律案可決報告書      —————・—————
  72. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して、地方税法案、地方財政委員会設置法案、地方財政平衡交付金法案、予防接種法等による国庫負担の特例等に関する法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)、以上四案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。地方行政委員長岡本愛祐君。     —————————————    〔岡本愛祐君登壇、拍手〕
  74. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 只今上程されました地方税法案について、地方行政委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  今次地方税制の改正は、地方税制の自主性を強化して地方自治の根基を培うことを第一の目標とし、地方税負担の合理化及び均衡化を確保することを第二の目標としておるのでありまして、我が国地方税制創始以来の画期的な改正であり、特に附加価値税及び市町村民税、固定資産税の三大新税の創設、都府県税体系と市町村税体系との分離等の点において特色を有しているのであります。  以下具体的な改正の内容につき御報告申上げます。第一には、財産課税の重課、流通課税整理、消費課税の減少軽減、所得課税増加、事業課税軽減、雑税の整理等を行い、地方税全般に亘つてその負担の合理化と均等化を徹底せんとするものであります。第二には、課税標準、税率等に関する地方団体の権限を拡充して地方税制の自主性を強化すると共に、道府県税と市町村税とを完全に分離し、以て税務行政の責任の帰属を明確にせんとするものであります。これによつて道府県税としたものは、普通税で附加価値税、入場税、遊興飲食税、自動車税、鉱区税、漁業権税及び狩猟者税の七種目、目的税で水利地益税であり、市町村税としたものは、普通税で市町村民税、固定資産税、自転車税、荷車税、電気ガス税、鉱産税、木材引取税、広告税、入湯税及び接客人税の十種目であり、目的税で水利地益税及び共同施設税であります。第三には、有力なる直接税を市町村税として、住民の市町村行政に対する関心の増大を求め、以て地方自治の基礎を培うと共に、民主政治の推進を期するものであります。第四は、特別徴收に関する規定を整備すること、納税秩序を強化すること等により、税收入確保の方途を講ぜんとするものであります。第五は、税率を各税目に亘つて明確に規定することにより、地域間における地方税負担の衡平化を期することであります。これによつて昭和二十五年度において地方団体が收入することのできる税額は千九百八億円となる見込でありまして、昭和二十四年度千五百二十四億円と比較すると、三百八十四億円の増税となります。  次に新設された税目の意図するところについて説明申上げます。  第一に附加価値税は、従来の事業税及び特別所得税を廃止すると共に、これらの課税客体である事業の附加価値に対し、附加価値額を課税標準として道府県において課税するものであります。従来の事業税では收益課税たる本質上、非転嫁的なものでありますから、今日のごとく所得の上に累積的に課税されているときにおいては、事業に対する負担が堪え難いまでに重くなります。又事業税によるときは、所得のない者は常に課税を免れるのでありますが、事業を継続している以上は常に地方公共団体の施設の恩惠に浴しておるのでありますから、事業はすべて応分の地方税負担をすべきであります。かくのごとく事業税の欠陷を有するのに対して附加価値税においてはこれらの欠陷を在しない長所があり、更に進んで固定設備の購入代金が課税標準から控除されるが故に、現下の我が国経済にとつて最も必要であるところの産業の有機的構成の高度化を促進するという効果も又期待できるというのであります。而して附加価値税は、農業、林業並びに鉱物の掘採及び採取の事業に対しては非課税の取扱といたしております。その理由は、前二者については、主として固定資産税の負担が相当重くなつておることによるものであり、後者につきましては別途鉱産税が存置されているからであります。次に附加価値税の税率は、標準税率を四%とし、最高税率を八%としておるのでありますが、原始産業、自由業等につきましては、標準税率を三%、最高税率を六%とし、免税点はいずれも九万円を原則といたしております。又昭和二十五年度限りの課税標準算定の特例として、金融業、運送業及び倉庫業につきましては、その選択によつて、総売上金額の一定額を以て附加価値額とすることができるものとしておりますが、その理由は、主として差当り負担の急変を避けようとする趣旨に出たものであります。この附加価値税の收入見込額は昭和二十五年度四百十九億円、平年度四百四十一億円であります。  新税のその二は市町村民税であります。本税は従前の住民税の性格を一変しているのでありまして、従来の市町村民税と異なります点は、第一には、世帶主を納税義務者とする家族主義的な構成をとつていたものを、所得のある限りは、成年者をすべて納税義務者とする個人主義的な構成をとつていることであります。第二には、均等割、資産割及び所得割の二者によつて課税していたのを、資産割を廃止しまして、均等割と所得割の二者によつて課税することであります。第三には、法人に対しては均等割しか課税しないことにしたのであります。而して均等割の額は、人口五十万以上の市において、個人は八百円を標準として最高千円、法人は二千四百円を標準として最高四千円、人口五万以上五十万未満の市において、個人は六百円を標準とし最高七百五十円、法人は千八百円を標準とし最高三千円、これら以外の市町村においては、個人は四百円を標準とし最高五百円、法人は千二百円を標準とし、最高二千円としているのであります。他方、所得割につきましては、前年の所得税額を課税標準とし、その百分の十八を標準とし百分の二十を最高とする方式、及び前年の課税総所得金額を課税標準とし百分の十を最高とする方式、並びに前年の課税総所得金額から所得税額を控除した後の金額を課税標準とし百分の二十を最高とする方式の三つの方式のうち、いずれかを選択し得るものとしておりますが、昭和二十五年度におきましては第一の方式のみを採用することといたしております。又收入見込額は、昭和二十五年度において五百七十五億円、平年度において四百八十七億円であります。  新税のその三は固定資産税であります。固定資産税は、土地、家屋及び減価償却の可能な有形固定資産に対し、その価格を標準とし、原則として所有者に課するところの税であります。これは従来の地租、家屋税を拡充したものでありまして、その主な相違点は、課税客体が土地、家屋の外に償却資産の加えられていること、課税標準が賃貸価格と異なり資産価格であることであります。但し昭和二十五年度分の固定資産税の課税標準に限り、農地以外の土地及び家屋については賃貸価格の九百倍の額、農地については自作農創設特別措置法による買收農地の対価に二二・五を乘じて得た額とするものとしております。固定資産税の税率は百分の一・七五を標準としておりますが、当分の間百分の三を最高とし、且つ昭和二十五年度分に限り百分の一・七五に一定してあります。尚、大規模の工場や発電施設が近隣の市町村の公共費の支出に直接且つ重要な影響を與えたり、これらの地方における経済と直接且つ重要な関連を有する場合においては、地方財政委員会がこれらの固定資産を指定し、これを評価してその価格を決定し、固定資産の存在する市町村の如何に拘わらず、その価格を関係市町村に配分することができることとなつております。これは税源の極端な偏在を防止しようとする趣旨であります。又船舶、車輛その他二以上の市町村に亘つて使用される償却資産及び鉄道、軌道、発送配電施設その他二以上の市町村に亘つて所在する固定資産のうち、地方財政委員会が指定したものについては、地方財政委員会が価格を決定し、その価格を関係市町村に配分するものとしておりますが、その趣旨は主として関係市町村間における評価の適正を期そうとするところにあるわけであります。本税の收入見込額は、昭和二十五年度において約五百二十億円であり、平年度において五百七十八億円であります。  次に既存税目に対して加えられた変更としては、その一は、入場税に関して新たに課税除外の規定を設け、学校、社会教育団体、社会事業の経営者等が主催するもので、学生、生徒、兒童又は素人の行う催しが行われる場所への入場に対しては、その催物の純益がすべて学校、社会教育、社会事業等のため支出され且つ関係者が何らの報酬を受けない場合に限つて、入場税を課さないことができるものとしてあります。その二は、遊興飲食税に関し、現行の税率十五割、八割、五割及び二割を、十割、四割及び二割に引下げ、以て負担の軽減と徴税の適正化を図らんとしております。その三は、自動車税、漁業権税、自転車税、荷車税、広告税、入場税及び接客入税についても新たに標準税率を定め、以て地域間の負担の均衡化を図ると共に、その課税手続、救済、罰則等に関する規定を整備して、納税者の理解に便ならしめようとしたことであります。  次にこれらの税の賦課徴收について諸種の改正を加えました。  尚、今次改正によつて廃止される税は、先に成立いたしました地方税法の一部を改正する法律と合せ、道府県民税、地租、家屋税、事業税、特別所得税、不動産取得税、酒消費税、電話税、軌道税、電柱税、船舶税、舟税、金庫税、と畜税、使用人税、漁業権の取得に対する漁業権税、自動車の取得に対する自動車税、自転車の取得に対する自転車税、荷車の取得に対する荷車税、都市計画税等の多数に上るのであります。  本法案は諸般の事情によりその提案が甚だ遅延し、三月二十三日に至つて予備審査のため付託となり、四月二十一日に至つて漸く本審査に移つたのでありますが、地方行政委員会におきましては、本法案が地方住民の生活に及ぼす影響の重大なるに鑑み、愼重に審議に当り、三月三十日公聽会を開いて国民の世論を聞き、又各方面から議長又は委員長に提出せられた夥しい請願陳情を精査し、更に政府当局にあらゆる資料の提出を求めて検討し、実に委員会を開催すること十七回、大蔵委員会との連合委員会を開催すること四回、休日、祭日の別なく最善の審議を盡したのであります。この間、運輸、文部、農林、水産、厚生の各委員長から原案の修正の要求書の提出がありました。  今委員会における質疑の主なるものを二三御報告申上げますと、第一に、政府は国民の負担は軽減されると言うが、地方税制改革により四百億円の増税となるではないかという質問に対しては、政府は、国税、地方税を通じて総合的な税制改革を行なつたものであり、全体としては三百億程度国民負担は軽減されているから、最も適切な改革案であると信ずるという答弁がありました。第二に、税制改正の結果、地代、家賃、私鉄料金、電力料金等での値上りにより国民の生計費へ及ぼす影響はどうかという質問に対しては、政府は、私鉄、電気料金については、企業の状況、租税負担並びに国民生活に対する影響等を勘案の上、価格改訂の要否を愼重に検討する方針で、地代、家賃については極力合理的なものに改訂する方針である。又二十五年度の勤労者家計の見通しについては、生活物資の価格改訂と税制改正の影響を織り込んでも尚且つ標準世帶において四・七九%の負担軽減になるという答弁がありました。第三に、今回の地方税制改革は、附加価値税といい、又固定資産税といい、我が国経済の現段階において今直ちにこれを実施することに無理があるから、若干の準備期間を置いて実施してはどうかという質問に対しては、政府は、附加価値税は従来の事業税に比較して決して実施上困難なものでない。又現在事業税はその税額の約九〇%は個人営業者が納めるのであるが、附加価値税は個人納税が約四〇%に減じ、法人の納税額が増加する点から言つて、大多数の中小商工業者は減税されるのであるから、決して大衆課税ではない。又償却資産課税についても資産評価と関連して本年度から実施することが適当であるという答弁がありました。尚、本法案の罰則は重きに過ぎる、殊に自転車税のごとく税額年二百円に過ぎないのに対し罰則が三年以下の懲役又は二十万円以下の罰金とあるのは甚だ苛酷であるという質問に対しては、政府は、法令の統一上止むを得ずかかる規定を設けたものであるが、実際の適用に当つては裁判所は実情に即した適当な判決をするものと信ずるという答弁がありました。その他各委員から極めて重要な質疑が行われましたが、詳細は速記録に讓りたいと存じます。  かくて質疑を終り、討論に入りましたところ、社会党の吉川末次郎君、国民民主党の岩木哲夫君、緑風会の西郷吉之助君、純無所属の濱田寅藏君より反対意見の開陳があり、自由党の堀末治君、緑風会の柏木庫治君、同じく鈴木直人君より原案賛成の意見の開陳があり、討論を終結し、採決いたしましたところ、賛成五人反対八人でありまして、原案は否決すべきものと決定いたしました。  右御報告申上げます。  次に地方財政委員会設置法案につきまして委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  政府提案の理由といたしますところは、先に内務省が廃止されて以来、政府部内にあつて地方自治に関する業務を担当する機関については幾度か機構の改革が行われ、現在は地方自治庁がその任に当つておるのでありますが、シヤウプ税制調査団の勧告の趣旨を尊重し、特に地方自治の弱点である地方財政関係の確立に強い力を持つ機関を設置するため、現存の地方自治庁とは別個の機関として新たに内閣総理大臣の所轄の下に地方財政委員会を設置せんとするのであります。  次に本法案の内容は五つの部分から成立つております。  先ずその第一は本委員会の任務及び所掌事務の範囲でありますが、本委員会は形式的には総理府の外局でありますが、総理大臣との関係をその所轄の下に設置せられるものと表現して独立性の強いものとし、地方財政自主権の確立を推進し、地方財政に対する一方的な国家意思の支配を排除すると共に、国家財政、地方財政及び地方公共団体の財政相互間の調整を図らんとするものでありまして、地方財政平衡交付金の総額を見積り、各地方公共団体に交付すべき交付金の額を決定し、その他、地方公共団体の財政の運営に関し助言すること、又法定外普通税の新設又は変更を許可し、その他、地方公共団体の税制の運営に関し助言すること等を所掌しております。その第二は委員会の組織でありまして、本委員会は地方自治に関し優れた識見を在する者について両院の同意を得て内閣総理大臣が任命する五人の委員を以て組織することとし、委員長は委員のうちから互選えることとし、委員のうち三人は、全国都道府県知事の連合組織、全国市長会の連合組織及び全国町村長会の連合組織がそれぞれ推薦した者を含まなければならないこととし、その利益代表機関としての色彩を組織の上に強く反映せしむることとしてあります。その第三は、委員会の権限でありまして、従来内閣総理大臣の権限に属しておりました地方税財政に関する諸権限のうち、地方税財政制度に関する法律案の企画立案権を除きまして、他はすべて挙げてこれを本委員会に委讓することとし、その独立性を強化するために、地方財政委員会規則の制定権及び委員会の所要経費確保に関する請求権を付與し、随時地方財政に関する必要なる意見を国会、内閣及び関係機関に申し出る権限を與えると共に、地方財政の状況を毎年国会及び内閣に報告する義務を課して、国会及び内閣との連絡の緊密化を図り、聽聞の権限及び義務を規定して、その業務運営の適正を期しておるのであります。その第四は委員会の事務部局の組織でありまして、事務局には事務局長を置き、事務部局としては、官房の外、財務部と税務部の二部とい、前者は地方財政平衡交付金法及び地方税関係法規を除く地方財政関係法令の施行の事務の当り、後者は地方税関係事務の執行に任ずることといたしております。その第五は、地方自治庁設置法の一部改正及びその他関係諸法令の一部改正であります。即ち地方導政委員会が設置せられます結果、地方自治庁は国と地方公共団体相互間の連絡機関たることを主要性格とし、地方行政財政及び地方公務員制度に関する法令案の立案に当ると共に、併せて地方自治に関する内閣総理大臣の権限行使の補佐に当ることをその任務とすると共に、従来の地方自治委員会議は、その性格を地方自治庁の諮問機関に改め、その構成人員もその性格にふさわしいものに改正することといたしたのであります。  本案に対しましては衆議院において修正議決されました。修正の要点の一つは、地方財政委員のうち、全国の都道府県知事、市長、町村長の各連合組織が推薦する者となつていた規定を修正して、おのおのこれらの議会の議長の連合組織と共同推薦した者と改めたことであります。他の一つは、本法施行の際、国会が閉会の場合は、両議院の同意を得ないで委員会の最初の委員を任命することができることとしたことであります。  委員会におきましては内閣委員会と連合委員会をも開催して愼重審議をいたしました。今その主なる意見を御報告申上げますと、第一に、内閣委員側から、本委員会は一つの行政機関である以上、国家行政組織法に根拠を置いて設置するのが例である。單に「設置する」という表現を用いたのは甚だしい異例ではないかという質問に対しまして、政府側は、委員会は内閣に対しできるだけ独立性を保たしめたいと考えて、かかる表現方法をとつたという答弁がありました。これに対しまして河井内閣委員長より、右は甚だ不満であるとの意見の表明がありました。次に地方財政委員会と自治庁とがいずれも地方財政に関する事務を掌理し、一は法律機関で、他は実施機関であるというのであるが、行政事務の無用の摩擦を避けるためこれを一元化する必要がないかという質問に対しましては、財政委員会は地方自治体の利益擁護の機関であるから、性格上別個の機関が法令の立案に当ることがよいと思う、これによつて生ずる欠点は運用によつて遺憾なきを期したいという答弁がありました。尚、特に殖田法務総裁の出席を求めまして、前国会で地方行政委員会におきまして地方行政調査委員会議法案の審議に当りましたときに、「内閣総理大臣の所轄の下に」設置するという形式は今後とらないという法務総裁の答弁があつたのでありますが、今回再びこの形をとつた理由如何との質問に対しまして、殖田法務総裁から、成るべくこの字句を使用しない方針であつたが、この委員会の独立性を保たせる必要上止むを得ず使用したという答弁がありました。  かくて質疑を終り、討論採決に入りましたところ、全会一致を以て衆議院の修正案を含めて原案通り可決すべきものと決定をいたしました。右御報告を申上げます。(拍手)  次に地方財政平衡交付金法案について委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  政府の提案の理由といたしますところは、地方自治の確立を企図するシヤウプ使節団の勧告の趣旨に鑑み、地方税財政制度の根本的改革に際し、国が補助金、負担金を通じて行う自治干渉乃至中央支配の途を排除し、地方公共団体の自主的権能を尊重しつつ、従来の財政的均衡化の方式に画期的な変更を加えると共に、総合的な地方財政調整の徹底を期し、地方税制の改革を相俟つて、地方行政の計画的運営と地方団体の独立性を強化することを目途として、現行地方配付税制度を廃止し、新たに地方財政平衡交付金制度を創設するというのであります。  以下法案の内容の概略について申上げますと、先ず第一に、この交付金制度の地方財政均衡化の方式は、一定の方法によつて各地方団体ごとに測定した財政需要額と財政收入額とを比較し、財政需要額が財政收入額を超える額を補填するという方式によつております。  第二に、毎年度交付すべき交付金の総額は、一定の方法により測定しました当該年度における財政需要額が財政收入額を超えると認められる地方公共団体の、その超過額の見込額の合算額を基礎として定めることといたしまして、その算定は、地方公共団体並びに国の関係行政機関に必要な資料の提出を求め、これを参考として地方財政委員会が行うことといたしております。  第三に、交付金はその総額を各地方団体の基準財政需要額が基準財政收入額を超える額に按分して算定することといたしております。  第四に、現段階におきまして、各地方団体の課税力及び財政需要を的確に捉えますことは遺憾ながら困難でありますので、この欠陷を補うため、昭和二十五年度及び昭和二十六年度の暫定措置として、交付金総額の十分の一に相当する額を総額とする特別交付金を設けることとしてあります。  而してこの制度の運営の如何によつては地方自治の中央集権化的傾向を誘致する虞れがありますので、この制度と地方自治との調和を図る方法を講じております。即ち第一に、その総額は、地方財政の均衡化の機能を果すに必要な限度とすると共に、その運営は、内閣に対して十分その独立性を保持し且つ地方団体の利益を容易に反映することのできる構成をとるところの地方財政委員会をして行わしめ、又その交付方法に関する主要な規定はすべて法律を以て定め、細目の規定と雖も成るべく地方財政委員会規則において定めることといたし、第二に、国は地方自治の本旨を尊重し、交付金の交付に当り、或いは條件を附し或いは使途を制限するがごときことは一切これを行わないことを以て、この制度運営の基本方針の一といたしております。従いまして地方行政の種類ごとに財政需要は裁定いたしますが、これは原則として平衡交付金交付額算定のための便法に過ぎないのでありまして、これによりまして直ちに各地方公共団体の歳出計画に一定の枠を嵌めるものではないのでありまして、交付金の使途は地方団体の自由に委ねるのであります。第三に、交付金の額の算定の基礎につき不服がある場合には、地方財政委員会に対し審査の請求を認め、又交付金を減額し若しくは返還せしめられる場合には異議の申立を認め、以て地方団体の利益を保護を図ることといたしますと共に、地方財政委員会がその権限を行使する場合に必要があると認めるときは関係地方団体について聽関することができることとし、又委員会が行いました交付金の額の決定、又減額返還等の処分について、関係地方団体が十分な証拠を添えてその決定又は処分が衡平又は公正を欠くものがある旨を申出たときは、公開による聽聞を行わなければならないこととしております。  委員会は大蔵及び文部委員会と連合委員会を開き、標準義務教育費確保に関する問題と関連し愼重審議いたしましたが、その詳細は速記録に讓ることといたしたいと存じます。かくて質疑を終り、討論採決に入りましたところ、全会一致を以て原案を可決すべきものと決定いたしました。右御報告申上げます。(拍手)  最後に予防接種法等による国庫負担の特例等に関する法律案について委員会の審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  政府提案の理由とするところは、地方財政平衡交付金法の実施に伴い、厚生省の所管にかかる法律中、地方財政平衡交付金に繰入れられる国庫及び都道府県の負担に関する規定の適用を停止する等の必要を生じたというのであります。  次にこの法律案の内容は、第一に、予防接種法、トラホーム予防法、食品衛生法、民生委員法、身体障害者福祉法、兒童福祉法及び伝染病予防法によつて国庫が負担すべき経費が財政平衡交付金に繰入れられるため、これらの法律の負担に関する規定を昭和二十五年度に限りその適用を停止せんとするものであります。その適用の停止を二十五年度に限りましたのは、地方財政平衡交付金法附則第十五項と歩調を揃えるためであります。又伝染病予防法第十六條の二を改正して、都道府県又は市町村に対し平常時及び臨時応急時に行う鼠族、昆虫駆除の実施を義務付けると共に、この実施人員の設置、薬品等の整備についての基準を政令で定め得ることとし、これによつて地方財政平衡交付金制度の下において、鼠族、昆虫駆除の実施に法的根拠を與えんとするものであります。  本案に対しては衆議院の修正議決があります。即ち原案はこの法律は「二十五年四月一日から施行する」とありましたのを、「この法律は、公布の日から施行し、昭和二十五年四月一日から適用する」と修正したことであります。  委員会は愼重審議の結果、全会一致原案通り可決すべきものと決定いたしました。右御報告申上げます。(拍手)
  75. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 討論の通告がございます。順次発言を許します。三木治朗君。    〔三木治朗君登壇、拍手〕
  76. 三木治朗

    ○三木治朗君 私は日本社会党を代表いたしまして本法案に反対の意見を述べたいと考えるものであります。  この度の地方税制の改革はシヤウプ使節団の勧告に基くものであることは申上ぐるまでもないことであります。シヤウプ使節団の勝行が豊富なる調査と最大の努力を拂われまして、地方の自主性の確立と地方の財源の確保を目指されまして、そうして総合的な研究調査をお盡しになつたことに対しましては、我々多大の敬意を拂う次第でありますが、日本政府がこのシヤウプ勧告の原案をそのまま取入れまして、今直ちに二十五年度より実施することに反対するものであります。今日の敗戰後の日本といたしまして、いろいろの経済上の跛行的ないわゆる経済の立直りのできておりません現在、而もこのデフレに直面いたしまして、日本の産業はいわゆる四苦八苦の状態でありまして、至る所に病的現象が起きておるというような状態にあると思うのであります。そういう状態のところにこの極端な理想主義的な、そうして革新的な、飛躍的なこの税制の改正を今二十五年度から直ちに実施しようとすることは、日本経済上の安定を妨げるものであることは疑いもない事柄であるのであります。  我々が本法案に反対する理由の第一は、地方税の大増税になるということであるのであります。第二は、本法案の実施によつて小作料や地代、家賃、鉄道運賃、電気料金等が大幅に値上せられて、大衆生活はますます苦しくなるという点にあるのであります。第三は、本案の実施によりまして、地方団体は非常に多額の税の取過ぎになるということであるのであります。而も本法案は甚だまだ未熟のものでありまして、このことによつて地方の各種の産業その他に非常な混乱を招く憂いがあるのであります。  本法案は地方税の大増税案であるということはすでに諸君の御承知の通りであるのでありますが、少しくその内容を調査いたしますると、増税案の地方住民に及ぼしまする影響は更に一層深刻なものがあるのであります。政府は二十五年度の地方税は約四百億の増税であるということを言つておるのでありますが、併しこれは地方税の総額が千五百億から千九百億円に増加したから差引四百億円の増加になるということであつて、事実は更にこれより以上であると信ずるのであります。即ち住民税の増税が三百億円、固定資産税の増税が三百五十億円、これだけの増税を考え合せましてもすでに六百五十億円の増加であるのであります。廃止されましたものは、酒の消費税や不動産取得税のごとく、間接税、流通税が多いのでありまして、これに反しまして増税されるものは住民税や固定資産税のような直接税が多いところに問題があるのであります。  更に本案の実施によりまして、地代、家賃、私鉄、バスの運賃、電気料、小作料等が大幅に値上げされまして、又これによつて物価の上昇を伴うのであります。これがために勤労者の家計に直ぐ撥ね返つて参りまして、大衆の生活を圧迫することは言うまでもないのであります。固定資産税の増税や附加価値税は一見資産階級又は大企業の産業資本に課税される形をとつておりますが、若し本案が実施されますれば、これらの料金の値上げが続々と行われるであろうことは疑う余地がないのであります。現に私鉄におきましては一割七分の値上げを要求いたしまして、政府は閣議でこれを承認、実施を待つばかりになつているのであります。これが遅れておりますのは、本案に対する世論の反対を考えて、且つ又参議院選挙に影響することを恐れて政治的に遅らせているのだという説もあるくらいであるのであります。又委員会におきまする政府の答弁によつても、小作料、地代、家賃はすでに大幅に値上げすることが確定的であるのであります。電気料金も近く大幅値上げは免がれないものであると思うのであります。又物価庁はマル公物資の値上案を用意しております。一方、民間会社は増税の影響を消費者側に転嫁せんとしていることはこれ又当然考えられることなのであります。今度の附加価値税は税の性質そのものが消費者に転嫁することを前提としておるのでありまして、    〔議長退席、副議長着席〕  固定資産税の大増税も消費者に転嫁しなければ会社は到底やつて行けないのであります。我々は住民税の二倍半の増税によつて苦しめられる上に、更に又これらの料金や物価の値上げによつて生計費を圧迫されるということも考えなければならないのであります。いずれにいたしましても、この法案はすべてが一般勤労階級の上に重圧となつてかかつて来ることは火を見るよりも明らかであります。  我々が更に本案に反対したいのは、本案をこのまま実施すれば、地方公共団体は必要以上に税を取り過ぎる虞れがあるということであるのであります。即ち政府は四百億の地方税の増税と言つておりまするけれども、本案の標準税率で徴收いたしまするならば、百億円乃至二百億円近くの取り過ぎになるであろうということは、財界はもとより、專門の各雑誌、新聞等が口を揃えて言うておるところであります。このことは政府自身もその危險性を認めておられることは、政府が閣議決定を以て総司令部当局に再三再四税率の引下げ交渉をしたことによつても明らかなことなのであります。即ち政府は、原案の税率では百数十億円の取り過ぎになるから、税率を引下げても四百億円の増税には支障がないと言つて、司令部に税率引上げの交渉をしておつたのであります。苟くも閣議決定を以て減税の折衝を考えておりながら、国会に対しましては税率軽減の余地がないという態度を以て臨んでおるような無責任な政府に対しましては、断乎として賛成することのできない事柄であるのであります。  又本法案は住民税の改革によつて非常に均等割が増額されておるのであります。そもそも税制は社会政策的見地から累進課税主義が最もよいものであることは議論の余地がないのでありまするが、本案によつて均等割が八百円乃至一千円に増加しているのであります。而も今度は同居の息子や娘が働いていると、それにも均等割がかかるのでありまするから、勤労者の負担はそれだけ増加するのであります。一面、会社等の法人は所得割は免税されまするから、この金額は五十億にも達しますが、鎌面、個人の均等割をかくのごとく増税することは反社会政策的であると言わなければならないと思うのであります。今度は地方税制の革命的変革だと言いながら、自転車税のごとき多年社会政策的見地から廃止を主張されているものを依然として存続することは、少しも革命的だということは言えない事柄だと思うのであります。又僅か年額二百円の自転車税に対しまして、罰則が一年以下の徴役、二十万円以下の罰金というように、むしろ非常識極まる刑罰を以て臨むということも、委員会においてもたびたび指摘された事柄なのであります。  要するに本案は地方住民は非常に無理な増税を強いるものでありまして、これがため地方の自治体の運営上にいろいろな困難を生じまして、却つて自治の混乱を来たす虞れがあるのであります。殊に附加価値税のような世界に類例のない新税を新説いたしまして、何らの準備期間もなく直ちに施行せんとするがごときは無謀も甚だしいものと言わざるを得ないのであります。日本社会党といたしましても、本法案が非常に革新的であり、理想的であり、そうして地方の自治の確立に資するところが多いので、この法案の趣旨には賛成なのでありまするが、これを直ちに本年度から実行するようなことがあつては、これは今申上げました理由によつて到底承認し得ないのでありまするから、我々の修正案が若し容れられるといたしまするならば、いろいろの修正案も用意しておりましたし、尚且つこれが実施を一年延期することを非常に望んでおつたのであります。政府がすでに総司令部に一年延期方をたびたび交渉して、而もそれを拒否されているという事実から見ましても、これを一年間延期いたしましても立派に日本の地方財政はやつて行かれる筈なのであります。従つて私共はこの政府が只今直ちにこの法案を実施しようとすることには絶対反対するものであります。且つ又一兆億円に上るであろうと言われる償却資産に対しまして、従来工場に入つたこともなければ、機械設備などというものを見たこともなく、或いは考課状のごときものの見方も知らないような市町村の税務吏員が、すべての固定資産に対する評価をするということは、これは殆んど不可能な事柄であるのであります。これは私が申すばかりではなく、権威ある日本勧業銀行の副総裁の山田君が、参議院の地方行政委員会の公聽会において述べられた意見でありますか、山田副総裁は最後にこういうことを言つておられるのであります。即ち、何らの準備もなく能力もなくして、こういう日本の工場生産というか、日本経済の根幹に触れるような税制を卒然としてやることは、正に狂気の沙汰であると言うておられるのであります。これは参議院の公聽会における山田副総裁の最も力を入れて申された事柄であるのであります。これを以て見ましても、如何に本案が日本の現状に照らして適当でないかということがお分りになると思うのであります。私は以上の理由によりまして強く本案に反対いたしまして、政府はよろしく世論を聞いて案を練り直して、我我国民の納得の行くようにして再提出せられんことを主張して反対の意思表示とするものであります。(拍手)
  77. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 小宮山常吉君。    〔小宮山常吉君登壇、拍手〕
  78. 小宮山常吉

    ○小宮山常吉君 私は地方税法案に小宮山として賛成をいたすものであります。(「小宮山個人か」と呼ぶ者あり)  賛成理由の第一は、そもそも真の民主主義政治は住民による地方自治の基礎の上に立つものでなければならんと考えるのであります。そして、そのためには地方自治を運営する土台としての財源は、住民の責任において確保される仕組にして行かねばなりませんと考えます。現行の制度は余りにも政府の決定したものに依存し過ぎるように考えます。又與えられました税源も甚だ僅少に失しております。それがために、一面においては地方団体の理事者は、その税制の運用に当りまして住民負担の均衡化を図り得る余地に乏しく、同時に又他面、寄附金等の無理な手段に訴えて收入を挙げざるを得ない現状であります。これがために住民相互間の負担が均衡を欠く結果になり、合理性をも失う結果となつております。今日の税制改革は一面においては個々の納税義務者の税負担の決定を地方団体の責任において行う建前になつております。他面、相当な財源を国から地方に委讓することによりまして、地方の税制が自主化され、その財源も増大されているのであります。かくのごとく、この税制改正は画期的大改正であります。ために、これが円滑に運用されるまでには多大の困難が伴うのは当然でありますが、如何なる改革をいたすにも、困難なくして、これが断行された例はありません。改革に随伴する困難は、むしろ自治行政に対する鋭い批判を喚起することによつて、却つて住民による地方自治の運営が初めて行われるようになるのでありまして、国民による政治の運営の基礎がここに培われることになると思うのであります。  第二の理由は、現行の税制そのものは、徒らに所得に対して累積的に課税して行くことになつているために、国全体の富を増進させるという努力を阻害している向きがあると考えるのであります。例えば事業を起して利益を挙げれば、これに多額の所得税が課せられるのみならず、更に併せて相当な事業税が地方税としてかかつて来ます。従つて事業を行なつている者は如何にして合理的経営をするかに腐心している現状でありますし、又利益を挙げると、これを皆税金に取上げられてしまうというので、企業の合理的経営が著しく阻害される結果を招くのであります。このことは敗戰後の我が国経済の再建を真劍に考えるとき、放任し難い重大な問題であります。そこで事業はむしろその事業分量に応じて同じ程度の税を負担し、平等なる基盤の上に立つて自由にその創意を盡して、業績を挙げさすべきだと考えるのであります。このような平等な競争の中に立つてこそ、初めて我が国の経済の進歩があり発展があると考えるのであります。所得或いは收益において課税する税種は法人税及び所得税にとどめて、地方税は応益課税の原則を中心とした税制でなければなりません。この意味におきまして、この度の地方税法の改正は、事業を行う者に対しては一つの有力なる励みを與えるものと言わねばなりません。  第三の理由は、地方税の改正は單に地方税法の全文改正のみを以て批判の対象とすべきものではないと考えます。国の税制改正とも関連するもので、先に二月に行われました地方税法の一部改正も又この税制改革を予定したものであります。資産の再評価は償却資産に対する課税によつてバランスを確保しようとしておるものでありますし、所得税の軽減は市町村への財源の委讓を一つの目標としておるものであります。且つ又先に行われました不動産取得税の廃止は、附加価値税や固定資産税の実施を容易ならしめる前提的措置と考えられるのであります。これらの改正を離れて、單に地方税法の全文改正のみを目して国民負担を過重のものであるとして反対するがごとき批判は当を得ないと言わねばなりません。  私は以上のような理由によりまして、国の税制改正に賛成し、同時に又すでに行われました地方税法の一部改正にも賛成をしたのでありまして、今日又同じ態度を以てこの地方税法案に賛成するものであります。私の賛成の討論はこれを以て終ります。(拍手)
  79. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 岩木哲夫君。    〔岩木哲夫君登壇、拍手〕
  80. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 私は国民民主党を代表いたしまして、本法案に反対の意を表するものであります。但し地方自治を確立するために、地方財政の強化を図る目的を以て、今回シヤウプ使範団が立案勧告されましたる地方税法を改正してその意図を達成するということには賛成の意を表するものであります。ただ問題は、その内容に包蔵いたしておりまする手段、方法、方途におきまして相当に疑義があるし、且ついろいろ困難な問題があることを指摘いたしましたが故に、我が党は、そのために本法案をかように修正して頂きたいということを関係方面へ了承を求めたのであります。政府におきましても、元来この法案につきましては相当なる問題を感ぜられましてか、これを一年間国会に提出することの猶予を関係方面に求められましてから後に、更に衆議院におきましては、與党代表といたしまして委員長が大幅の修正案を関係方面に求められたごとく、政府自体におきましても、且つ又、與党の各位におきましても、国民各層、各方面の真実の声にこれを照らしましても、本法案は本当の矛盾と工合の悪い点があるのではないかということは、大体一致いたした点と思料して差支ないと思うのであります。  そこで我が党は、先ず附加価値税におきまして課税率が第一種原案四%のものを二・五%に、第二、第三種の課税率三%を一・五%に低減し、尚、特例を設けて、協同組合、新聞事業等の非課税対象を新たに考慮する。又更に免税点を引上げて、いわゆる零細な担税者に対する保護を認める方途、更に固定資産におきましての課税標準は、土地は三百倍乃至七百倍の倍数に土地の環境によつて決められるべきである。家屋におきましては、これ又土地の環境によりまして五百倍乃至八百倍にすべきである。又償却資産におきましては、時価を根拠とすることでありまするが、ただ問題は、遊休末稼働、腐朽、老朽施設等、その他、工具、機具、備品、ダム、水路等、実際問題といたしましてこれらを償却資産として課税対象にいたすのは、日本の現在の諸般の実情から不適当であるから、これらは減免すべきである。又農業用の、即ち味噌小屋、豚小屋、機材小屋等、これらの償却資産については課税は減免すべきである。又純学術試験研究用の施設等の固定資産は非課税とすべきが適当である。    〔副議長退席、議長着席〕  又協同組合の償却資産も非課税とすることが適当である、而して課税率は一・五%にしても政府所定の五百二十億は十分に取り得る確信を有するものであり、又市町村民税におきましても所得税におきましても、所得割税は一〇%が適当であり、協同組合は法人單位に課税して、支部その他の事務所はこれを非課税とすることが妥当である。又遊興飲食税におきましては、宿屋、大衆的飲食店におきまする税率は一〇%に下げ、百円未満の支拂金額については免税とすべきである。又入場税におきましては、世界最高である日本の現在のこの入場税は高過ぎるから、それを六〇%及び二〇%に低減すべきである。更に罰則規定が余りにも峻烈過ぎるから、これを大幅に緩和すべきであるという修正意見を以て関係方面へこれを要請いたしましたが、不幸にしてこれが容れられない結果になりました次第であります。  よつて我が党は、これらの修正意見が容れられるならば、今申上げます地方自治法と財政樹立の上におきまして、折角シヤウプ使節団が立案されましたる税制改革につきましては、多少の議論がありましようけれども、大局的にこれを賛成いたそうと念願いたしておつたのでありましたが、不幸にしてこれらの考えは達成するに至らず、結局我が党は本法案本来の矛盾、工合の悪い点を指摘して、ここに遺憾ながら反対の根拠といたさざるを得ないのであります。  我が党の反対の根拠は、第一に、この地方税と或いは中央におきまする財政経済政策と一貫したる連関性がない。今日、政府は二十五年度におきましても、超均衡予算と称して莫大な旧債務償還をいたして、この資金を管理統制して、政府の意図する企業体にこれを投資導入をいたそうといたしていることは御承知の通りであります。ところが地方におきましては、こうした国の国策による財政金融政策とは別個にこれらの税制を確立したと見るべき地方税の今回の附加価値税におきましても、固定資産税におきましても、中央の財政経済政策と一致を欠いている点が少くないのであります。もとより地方自治を確立するという財政の強化を図る方途には、狙いは間違いありません。狙いは間違いありませんが、今日敗戰下の尚一人歩きのできない占領管理下におきまする日本の復興計画を進め、自立経済を達成するには、中央地方の財政経済政策を統合して、中央はこういう財政経済政策を行うが、地方は自治を確立しつつも、我が日本復興の計画の線に沿つた課税乃至は経済政策を実行しなければならないのであります。勿論中央は、二十五年度は二十四年度より減額されたる予算構成でありますが、地方におきましては、二十五年度の地方議会の予算は御承知の通り八百六十七億の増税になつているのであります。この増税されましたる歳出予算の方途が、今申上げましたように、日本が自立経済を確立するには貿易振興による先ず厖大なる人口を養う食糧需給を立てることが第一の目的でなければならぬ上に、外貨獲得を狙う貿易振興でなければならぬという国策というものとは別個に、地方議会の厖大な予算の膨張した支出面は、ひたすら自治の本然には徹しておりまするが、中央の経済復興の線にマツチした有機性を持つた予算の支出面は極めて乏しいのであります。例えば国におきまする予算は、その七〇%は経済政策等を中核として予算であるに拘わらず、地方におきましては、誠に経済復興民主安定の上に資する予算は乏しいのであります。而も中央が企業体に投資した利子に対して、地方がその利子を吸收する、利子に課税をする、かようなことでは、折角いわゆる厖大な債務償還をして浮いた国家資金を、地方税がそれを企業の発達しないうちに先に利子として吸收してしまう。例えば現在厖大な所得のある大きな企業体がある、それらの資金は、今日の企業体、今日の経済状態では、国なり或いは政府が債務償還をした余剩金を地方銀行に廻して、その地方銀行による融資によらざるを得ないのであります。これらを課税対象とするということは、中央で折角いろいろの経済復興政策を立てても、これらが本当の経済復興の油に廻らぬ先に根本で吸收してしまうといつたようなことになり、甚だ遺憾であるわけであります。要するに今日貿易振興でありましようが、或いは食糧需給でありましようが、中央地方の一貫的な経済政策というものの範囲内において、地方自治が従来の中央集権の独占的な支配から離脱いたしまして、そうして民主的な自主を図るということが念願でなければならぬが、ここにその本旨が透徹いたしておらないということは、日本産業将来の構造の上に重大なる欠陷、影響を與えるものだということが、我々の最も遺憾とする点であります。  更に地方財政委員会と平衡交付金に関連して、地方財政の方途に地方税法を結び付けて、この地方財政委員会が政府の外廓機関であるが独立機関といたしまして、これらの中央地方におきまする経済政策の一環として大きな役割をいたすというような法律の内容になつておらない。ただ地方自治というものの目的を達成することの操作調整機関であつて、中央地方一貫の経済政策を遂行する問題には大きな要素も権能もない。これが地方財政の将来、或いは中央におきまする中央地方を通ずる経済政策の大きな地方的な役割機関でありまするわけでありまするが、ここに有機性を欠いておるというところに根本的な問題があると思うのであります。  第二点といたしまして、私は反対いたしますのは、シヤウプ使節団に出された政府の資料に誤謬欠陷があるということを指摘したい。これは第一に、政府は四百億ぐらいな従来寄附金があるから、この寄附金を今度地方増税の分として充当しても、結局地方の住民は何ら差引影響するところはないであろうということの議論をされておられる。この四百億の寄附金が然らばどういう証拠で、どういう実情であつたかということに対しての資料が極めて薄い、暖味であります。もとより昭和二十二年度におきまして四十億の寄附金の実績はあるもののごとくであつたようでありますが、併し昭和二十二年度にあつたからといつて、四年度、五年度の実情は違う。二十二年度におきましては、いわゆるあの復興を要求いたしまする学校六・三制が十分に廻らない、或いは警察その他公共機関の建物が戰災で破壞されたから、これの復旧に忙しいから、特に他方におきましては当時闇インフレ等の波に乘つて相当の寄附があつたかも知れません。併しこれは四十億であります。その後の経済界の打撃或いはデフレ恐慌に対しまして、本年及び将来四百億の寄附金があるという判決は極めて困難であるわけであります。又資料の第二点といたしまして、土地家屋の倍率評価の問題につきましても、これを九百倍といたしてありまするが、こういう推定を持つということに根本的な問題があるのであります。現に国税庁に物納として收納されておりまする土地家屋というものの売買市場価格は、実際は二、三百倍から四、五百倍であるわけであります。又償却資産の見積りにおきましても、終戰当時のいわゆる国富調べというあのどさくさで調べたものを二十四年の七月のインフレ最高まで引延ばして、いわゆる固定資産五百二十五億を割当てねばならぬという逆算をしたのに過ぎなくして、四七%という倍率を基礎付けておる、或いは課税客体が明瞭でない、或いはこれらの把握率を五二%として、徴收率を八〇%とし、正味四〇%收納したらいいというような意味合の根拠を出された資料の提出の仕方に、大きな疑義を持つておるのであります。又附加価値税を創設するにつきましても、御案内の通り事業税、取引高税に代るものでありますが、この附加価値税に相当いたしまする課税客体におきましても、極めてそれらの把握が困難であるのみならず、これらに対しまする日本の企業は、アメリカのごとく、機械化、高能率化ではないのであります。六五%がこれらの人件費であり、或いは一〇%は借金利子であります。営業・企業上の利子であります。会計七五%が課税の対象になるということでは、日本の企業というものは発展性がない。全くこれで潰れてしまうということが起ると共に、これらの欠陷によつて物価の体系に相当の異変が生じ、関連せられる日本の統制経済或いは自由経済の中にも、尚、基本的なマル公政策の上におきましても、重大なる影響がここに起ることは申すまでもない。又生計費におきましても、私鉄、家賃、地代等が当然騰貴することに関しまして、或いは給與ベースの問題につきましても、その他生活安定の上の生計費の対策につきましても欠くる点がある。こうしたような工合で、課税客体がいわゆる自治庁は一兆五千億とし、安本は二兆として推定し、或いは通産省その他いろいろの資料がまちまちに提出されておるのであります。これらのまちまちの資料を委員会で是非調整して貰いたいということを我々要求いたしましたが、今日まで政府部内の資料の調整ができないというような事態であります。かような事態から、殊に人件費が、本税法を制定することによつて、政府は二万人の増員によつて六十億の予算を組んでおりますが、現在府県で一万二千の市町村の人件費はこれの三倍を要するという構想等から見まして、すでに四百数十億の増税であつても、百七八十億は、今度の税金を取立てる機構、人間のために要つてしまう。又罰則規定につきましても僅か二百円の自転車税を取立てるのに、六ケ月の懲役にするとか、或いは六千円、五千円の罰金を課するとか、或いは赤字でも賦課しようという附価値税、赤字では税金の納めようがない、税金の納めようのない赤字に賦課して、それが又いろいろ検査を拒んだら一年以下の懲役とか二十万円以下の罰金だというような、誠に峻烈なる罰則規定を設けようとしていることは、甚だ我々として不可思議千万であるわけであります。もとよりこうしたことによつて地方の自治経済は確立しますが、企業も赤字、納税者も赤字で地方の財政の確立がどうしてできるか。又地方の自治機関がこうした事態に対して、今回の増税、今回の税法によつて果してうまく取れるかどうかの御苦心は、察するに余りがあるのであります。かような事態から見まして、我々民衆に最も関係深い、我々昔の国民の三大義務と言われておつた徴兵、教育、納税の問題の中で、特に納税の峻烈な問題のみがここに残つて、政治と民衆の最も摩擦面の多いこういう制度を、曾て見ざるこういう方途によつてやられるということは、日本の経済を根こそぎ潰してしまうものであるというような極端な意見すら起つておるのでありますが、仮にそうでなくても、国民の收益、利得、復興経済というものの基盤にスライドして税金を取る、その上において相互の中央地方の自治が確立され財政が確保されるというのが本来でなくちやならない筈に拘わらず、特に地方自治の財政を確立する面に重点を置かれて、中央との経済財政政策の一貫を欠くというようなことは、誠に本法案の矛盾を暴露いたしておるものと私は思うのであります。こうしたことで果して日本の真の財政が確立安定するかどうか。十分こうした問題につきましては政府は尚検討し、恰も試し斬りのごときようなかような税法をこの困難な日本の経済下に押付けるというようなことじやなくして、納得ずくの税法によつて相互の自治を確立し、財政の強化を図るということをやらないというと、ますますこの赤化気分が思想的にも起つて来、その結果は社会的問題として誠に憂慮される点を深く考えるのであります。  ここに私は大要を述べまして、私の反対の趣旨といたす次第であります。(拍手)
  81. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 堀末治君。    〔堀末治君登壇、拍手〕
  82. 堀末治

    ○堀末治君 私は只今議題となりました地方税法案並びにこれに附随する地方財政平衡交付金法案及び地方財政委員会設置法案に対し、自由党を代表して賛成の意を表するものであります。  先ず冒頭において特に明らかにして置きたいことは、これらの法案は我が党がかねて国民に公約せる二大政策の実現に向つて第一歩を印するものであるということであります。  その第一点は、今次行わんとする地方税制三法の改正は、去る第六回国会において行われました国税の一部改正、並びに本国会において過日成立を見ました国税の改正及び地方税の一部改正と一連の関係を持つて、我が党年来の主張でありまする国民負担の軽減と税制合理化の第一段階をなすものであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)  第二点として、我が国は新憲法の下、民主主義に基いて国政を運営する旨を確定したのであります。もとより民主政治の確立は、單に政治運営の形式を民主化するに止まらず、飽くまでも政治運営に関する判断と修錬が深く国民の中に滲透するように仕向けて参らねばならぬと思うのであります。従つて民主政治の確立と地方自治の強化とは表裏一体をなす問題と考えるものであります。(「うまい考えだ」「進行進行」と呼ぶ者あり)今回の地方税制の改正によりまして、その活動の源泉となるべき財源を豊富にし、これを地方団体みずからの責任において確保せしむると共に、自治運営に対する住民の鋭い監視と批判とを求めるようにし、地方税制の自主性を強化して地方税收入を拡充し、地方自治の根基を培うことを以て、今次地方税制度改正の第一目標といたしている点であります。(拍手)  そもそも今回の税制改正は、皆様の仰せられるごとくシヤウプ税制使節団の勧告に基いたものでありまするが、シヤウプ氏はその勧告書において、当面の必要によつて動かされず、将来相当長い期間に亘つて有用な税制を打立てるに腐心したと述べておられますが、全くその内容は我が国において頗る画期的なものであり、飛躍的なものである、我が国ばかりでなく世界にも稀に見る進歩的な理想的の税制と称せられるものでありましよう。(「反対者が沢山いるじやないか」と呼ぶ者あり)  我が国は日華事変前期から累年税制を改革して十数年の長きに及んだために、現行税法は屋上屋を架する頗る複雑なものになつていたのであります。殊に地方税は逐年義務経費が増嵩し、その歳出を賄うこと能わず、常に中央財政に依存しつつ苦難の道を歩んで来たのであります。シヤウプ税制は先ずこの欠点を排除すべく、中央財政を整理し、重複課税を排し、地方団体にはその財政上の独立を期しました。(「それはいいけれども財源はどこにあるか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)先ず国税においては法人税を取り巻く諸税を廃止し、一本の比例課税を以て臨むこととした点、勤労課税軽減したばかりでなく、農業、中小企業者等小額所得者も又その利益を享受し得ることといたしたのであります。(「その通り」「反対だ」と呼ぶ者あり)地方税においては都道府県税と市町村税とは明確にこれを区分し、おのおの主要財源を與え、加うるに在来の多分に中央集権的色彩濃厚な地方配付税を廃止して、新たに平衡交付金制度を設けて、その配分に科学的根拠を與え、(発言する者多し)地方団体の貧富の均衡化を図り、以て地方財政の独立を固い基盤に据えたことであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)尚、地方団体の強力な利益擁護機関として、国、都道府県及び市町村相互の間における財政の調整を図り、地方自治の本旨の実現を推進するため、内閣総理大臣所轄の下に地方財政委員会を設置する等、最も顯著な特徴であると思うのであります。(「それは提案理由の説明か」と呼ぶ者あり)  さて今回の地方税法は、この精神に立脚し、現下の国情に照応せしめ、第一に財産税の重課、流通課税整理、消費課税の減少軽減、所得課税増加、事業課税軽減、雑税の整理等を行い、地方税全般に亘つてその負担の合理化と均衡化を徹底したことであります。(「税金がなくなるよ」と呼ぶ者あり)第二には、課税標準、税率等に対する地方団体の権限を拡充して地方税制の自主性を強化すると共に、道府県税と市町村税とを完全に分離し、以て地方行政の責任を明確にする等、各般に亘つて細心の考慮と注意の拂われている点について、政府関係当局の苦心と努力に対し、深甚の敬意を表するものであります。(拍手、笑声、発言する者多し)中にも附加価値税、市町村民税及び固定資産税の三大新税の創設は最も特徴とするところでありまして、従つてこれに対する国民各層の批判も又頗る嚴しきものあるは止むを得ないところであると存ずるものであります。(「当り前だ」と呼ぶ者あり)特に附加価値税については、事業税及び特別所得税を廃止すると共に、これらの課税客体であつた事業の附加価値額を課税標準として課税するものであります。そもそも本税は世界各国に未だ曾て行われない創作的なものであつて、一般の認識に欠くるところあるは又止むを得ない。(「何を言うか」と呼ぶ者あり、その他言発する者多し)併しながら従来の事業税は……
  83. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 靜粛に願います。
  84. 堀末治

    ○堀末治君(続) 收益税たる本質上、非転嫁的なものであるが故に、今日のごとく所得の上に累損的に課税されているときには、事業に対する負担が堪えがたいまでに重くなること。次に事業税の課税標準は所得であるが故に、必然的に国税たる所得税及び法人税の課税標準の算定の結果に追随せざるを得ないこととなり、事業税課税についての責任の帰属を不明確にすることであります。(「落ち着いて大臣のようにやれ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)第三に、事業を継続している以上、常に地方団体のあらゆる施設の恩惠に浴しているのであるから、事業はすべて応分の地方税負担をなすべきであるにも拘わらず、事業税の場合は所得のないときは常に課税を免かれるなどの欠点を有するに対し、附加価値税においてはこれらの欠点をも一応克服できる上に、取引高税のごとく重複課税とならないこと、更に進んで固定設備の購入代金が課税標準から控除されるが故に、現下の我が国経済にとつて最も必要であるところの産業の有機的構成の高度化を促進する効果をも又期待できるのであります。(「ノーノー」「そんなむずかしいことを言うな」「ゆつくり焼酎を飲んで」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)殊に本税は、農業、林業及び鉱物の掘採及び砂鉱の採取事業に対しては非課税の取扱いをいたしておるのであります。従つて委員会においては本税に対し最も活溌に質疑応答が行われ、加うるに赤字企業に悩む方面及び在来非課税の恩典に浴しておつた協同組合方面より猛烈なる反対陳情がなされたのでありまするが、本員は前段説明のごときあらゆる特徴に照らし、徴税当局の習熟と国民各層の認識の深まるにつれて、必ずや将来良税として歓迎せらるべきを確信するものであります。(拍手、笑声「話が反対だけれども賛成して置く」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)  次に市町村民税については、従前のものとその性格を一変し、世帶主を納税義務者とする家族主義的構成から、所得のある限り成年者はすべて納税義務を負うこととした個人主義的構成に改められたものであります。この点は今次の所得税改正によつて原則として同居家族の合算制を廃止したのに呼応するものであつて、その主たる部分が所得割に重点を置く本税において、世帶員個々について課税ずる方式が合理的であり、且つ世帶全体の税額も却つて少くなる場合が多いのであります。殊に地方自治は世帶主によつてのみ推進せられるものではなく、世帶員と雖も成年者はそれぞれ有力な地方団体の構成員として独立の納税主体となり、応分に負担を負うと共に、進んで地方自治の運営に参加することが真に地方自治を発達せしめるゆえんであると考えるものであります。  次に問題になりますのは固定資産税でありますが、本税は土地家屋及び減価償却可能な固定資産に対し、その価格を標準として所有主に課するところの税でありますが、これは従来の地租、家屋税を拡充したものでありまして、新たに償却資産が加えられておることと、課税標準が賃貸価格と異なり、適正価格となつていることであります。本税も最も問題が多く、且つ価格算定の倍率については非常にやかましい問題だ多かつたのであります。(「家賃が上るからだよ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)昭和二十五年度に限り農地については開放価格の二二・五倍を、その他、土地及び家屋については賃貸価格の九百倍を以て課税標準とすることに定められているのでありまするが、この九百倍は現実の時価に比して甚だしく過大であり、又これでは折角農地を開施せられた農民がその負担に堪えないであろうかを懸念する点においては、反対せられる諸君に同感を禁じ得ないものであります。(拍手、笑声、「同感したつて駄目だよ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)併しながら現下の客観情勢は直ちにこれを変更することのできない政府の苦衷を察して(発言する者多し)一応二十五年度に限り暫定的にこのように取扱うことは又止むを得ない措置と了承するものであります。(「こういうわけでできないと言え」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)  以上、私は本税法の特徴を解明して、我々が本税法改正案を支持する論拠を説明したのでありまするが、尚この外にも遊興飲食税、入場税等の引下げ、不動産取得税を初めとする二十に近い雑税の整理等、本改正案の長所として特筆せらるべき点を強調したいのであります。  これを要するに、新地方税法は改正国税と相待つて三百二十億円程度の負担の軽減が実現せられるのであります。決して増税にはならないと固く信じております、(拍手、「嘘を言うな」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)殊に従来地方において広く行われ地方住民を悩ましておつた年額四百億円にも上る強制寄附が相当程度減少する見込のあることを考え合せるとき、今回の地方税の増額を非難することは全く当を得ないものと言わねばなりません。(「あんなものは出したことはないから心配しないで呉れよ」と呼ぶ者あり)  最後に国税と地方税とを総合して、標準家計及び標準事業規模について、少額所得者の二十四年度と五年度の負担の比較を参考に供したいと存じます。(「必要なし」と呼ぶ者あり)即ち年所得十万円の給與所得者は、一万一千五百五十円の所得税負担が九千九百四十二円となり、差引千六百八円の減少となつて、その減少率は一四%と計算されております。同じく十万円の所得を有する農業者の場合は、その税負担の減額は一万一千三百十一円に上り、その減少率は実に四〇%以上に達するのであります。次に二十万円の所得を有する工業者の例について言うに、負担の減少は一七%となり、同じく二十万円の所得を有する商業者の例について見まするならば、その減少率は二六%に達するのであります。(「違う違う」「それは自由党の選挙報告なんだろう」と呼ぶ者あり)右は標準税率通りに課税せられた場合でありまして、若しそれ標準税率以下で課税せられる府県、市町村におきましては、その負担の軽減は一層大幅に実現せられるものであることをこの際見逃してはならないのであります。(拍手)  以上申述べました理由によりまして、私は本三法案に賛成するものでありまするが、何とぞ各位におかれましては、我が国現下の各観情勢を深く御洞察遊ばされ、高き政治的見地に立たせられて、切に本法案の成立に御賛成賜わらんことを切望する次第であります。(拍手)
  85. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 太田敏兄君。    〔太田敏兄君登壇、拍手〕
  86. 太田敏兄

    ○太田敏兄君 私は地方税法案等に反対の意見を申述べます。  私はこの地方税法案が提出されましたときに、本多国務大臣に対しまして、本法案は七百何十ケ條かの厖大なる法案であり、而も頗る問題の多い法案であるから、これを本年度から直ちに実施しようということは、そういう考えは大きな間違いである、政府はよろしく次の年度、即ち明年度から実施することにして、その間の問題点を十分研究し、愼重審議して誤まりなきを期したいと述べたのでありまするが、そのとき本多国務大臣は、すでに国家予算の編成において地方税法の改正を見込んでできておるのであるから、是非成立させて貰いたいとの答弁であつたのでありますが、私から言えば、そんな無茶なことはないのであります。苟くも改正地方税が法案として国会に提出されれば、これが成立するかも知れないし成立しないかも知れないのであります。それを当然両院で可決されるものとして、その結果も見ないで国家予算を成立させたことは根本の問違いであると思うのであります。若しそれが当然であると言うならば、政府は国会の審議権を無視しておるものと言わなければならんのであります。先程開かれました地方行政委員会におきまして、原案賛成少数で、否決すべきものと決定されたのでありますが、その少数の原案賛成者すら、その内容においては、殆んどの委員も反対のようであつたのであります。そうして、その賛成の主なる口実といたしましては、今否決されると事務的に困るから賛成するというのであつたのでありますが、併しそれは我々の責任ではないのであります。政府が国会の審議権を軽視したためであつて、政府の無知に原因すると思うのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)  本法案の反対の理由といたしましては、すでに他の各党反対討論者によりまして、大体盡されておると思いますので、私は詳しく申上げませんが、元来この地方税法案の中に盛られておりまする税制内容は、言うまでもなく、画期的な税制改正であり、而もその中の附加価値税といい、固定資産税といい、或いは平衡交付金制度といい、全く新らしい試みでありまして、若しこれが原案通り実施せられるならば、いろいろの業種の企業におきましても、又農村におきましても、非常に不合理な、而も過重な負担を浴びせられまして、今や恐慌寸前にある、否、すでに恐慌に一歩踏み入れておる中小企業及び農業は急速度に恐慌への道を選ばなければならんと思うのであります。附加価値税の一番の欠点は、所得課税と異なりまして、総売上の中から、原料費、動力費等は控除して課税するが、賃金や地代、家賃等は課税の対象となる。従つて人件費の多い事業は、たとえ赤字であつても税金だけは取られる。こういう馬鹿な税金はないのであります。更に本法案では、地方費中の非常に大きな部分が平衡交付金に委ねられておるのであります。而してその平衡交付金は、その運営委員会には諮られるが、併しその性質上、各市町村の財政全体を対象として配分を決定せられるのであるから、勢い義務教育費のごときは、最も不安の状態に置かれることになるのであります。御承知のように、義務教育は六・三制という恒久的な一定の制度の上に行われておる。然るに本税法実施の曉には、従来の国庫半額負担の制度が廃止せられて、義務教育費は平衡交付金の一部となりまして、安定の基礎を欠くことになりまするので、これが対策として、標準義務教育費確保に関する法律案が用意されつつあつたようでありまするが、これが出ないことになつたのであります。すると、今後の教育費は何によつて確保されるか。又これまで地方教育費の不足がPTAの負担において補われておつたことは世間周知のことであります。ところがそれが悪いというので、そのPTAの負担を減らすために、それだけは増税されておる筈でありまするが、この標準教育費法が成立しなければ、結果においては、或いはそのために増税にはなりましても、PTAの負担のみは依然として残ることになる虞れがあるのであります。又農民の側からいたしますれば、固定資産税のために負担が増加し、又所得税に対する村民税は著しく増額をされることになりまして、その結果は、農家経済は全く破綻するに至るやも保し難いのであります。又府県及び市町村側から言つても、現在どこの地方公共団体を見ましても多くの滞納に苦しんでおるのは事実であります。このとき更に新税制が実施されるならば、地方財政は全く收拾し得ないようになることは、今から明らかであると思うのであります。更に又これが徴税の面から申しましても、現在税務署はすでに国民怨嗟の的である。それは單に税額の点だけでなくして、課税方法及び徴税技術上の非難が非常に多いのでありまするが、これからいたしましても、今度新らしい而も問題点の多いこの税法が実施せられるならば、今の地方税務係員を以ていたしましては、果してよくこの税制を運営し得るや否や、甚だ疑いなきを得ないのであります。  以上の諸点よりいたしまして、本法案は近来の悪法であるとして、直ちに否決されんことを希望いたしまして、私の反対討論を終ります(拍手)
  87. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 木村禧八郎君。    〔木村禧八郎君登壇、拍手〕
  88. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 私は労働者農民党を代表いたしまして、地方税法案等に反対いたすものであります。  反対の理由は三つであります。  その第一は、この法案が国民を欺瞞し、瞞着するものであるという点にあります。(「その通り」と呼ぶ者あり)なぜならば、政府は国税において、所得税において七百億減税し、地方税において四百億増税をいたしまして、差引三百億減税になると言つておりますが、これは全く嘘なのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)。それだからこそ、政府も又自由党與党も、税金をこの法案通り取りますと余り取れ過ぎるので、総司令部に対してその折衝を行なつて来たのであります。ところがそれが不調に終つて、そして予算よりも余計に税金が取れるこの法案を出しておる。これは政府はその責任を感じなければならない。それにも拘わらず、この法案を出しているということは、私は国民を実際瞞着する、結局減税にはならないのであります。例えば固定資産税のごときは、政府は九十三億円計上しておりますが、これは償却資産一兆三千億に対しまして、その評価決定を基本価額の五二%としまして、これに対しまして一・七五%の税率をかけまして、徴税率が八割として九十三億と計算しております。併しながら償却資産一兆三千億といたしますれば、実は二百二十七億取れるわけであります。従いまして、政府の計算との間に百三十四億の食違いがあるわけです。これだけが隠されておるわけであります。ですから本多国務相も我々の質問に対しまして、固定資産税は取れ過ぎるということを言明しております。併しどうするかと言えば、質問いたしましたところ、固定資産税は取れ過ぎるから、これは地方住民税において、これは標準税率でありますから、調整できると言つておりますが、併しながらその地方住民税自体が取れ過ぎるので、本多国務相はやはり総司令部と折衝したのであります。従つて、この税法によつて三百億減税になるということは全く政府は国民を僞つているわけであります。  更に又寄附金の問題であります。昭和二十四年度四百億の寄附を二十五年度においては百億に減らすと言つておりますが、これは法律を以て寄附を禁止しなければ寄附金を百億に減らすことはできません。(「その通り」と呼ぶ者あり)従つて、本多国務相に対して、私はなぜ寄附を百億以上取つてはいれないという法律案を出さないのかということを質問をしたのであります。本多国務相は、せいぜい通牒程度においてこれを行うと答えた。それ以上取らないように通牒を出す程度であります。これで寄附が百億に減るというのでありますが、必ず寄附は百億以上取れるに違いない。それだけ増税になるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)従いまして我々は、衆議院自由党が、地方税法がこのようになるかどうか分らないにも拘わらず、絶対多數を以て無理に二十五年度予算を通過さしてしまつたことに対して、参議院としては地方税法がどうなるか分らないうち予算案を通すことは、これは全く財政法の精神に反するものとして、総合予算を審議する立場として、財政法の精神に違反するものとして、参議院としては独自の建前で一般会計予算を審議した筈であります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり、拍手)今になつてあの予算を通過してしまつてから、衆議院の自由党自体がです、これでは余り税が取れ過ぎるというので騒ぎ出して、そうして修正案について総司令部に折衝したような醜態を演じております。(「前代未聞だ」と呼ぶ者あり)  第二の反対論処は、この税法実施によりまして税負担が著しく不均衡になる点であります。只今自由党の諸君から非常に減税になるというお話がありましたが、私は地方自治庁から我々が頂いたその資料によつて、如何に増税になるかを説明いたしたいと思います。我々が地方自治庁から配付されました資料によりますと、年收十二万円、月收一万円の人は、所得税の減税と住民税の増税とを差引きまして、独身者は二百二十七円の増税になつております。併しながら、これは自治庁が我々に配付した資料は極めて杜撰なんでありまして、例えば住民税を比較する場合、中都市の住民税を持つて来ております。従つて中都市の住民税を以て比較したのでは、二百二十七円の増税ではないのでありまして、例えば五十万人以上の都市においては一人二百円加算されまして四百二十七円の増税になるのでありますが、そういう資料は我々に出しておらない。そればかりでなく、子供が四人ある、扶養家族四人の人の減税は幾らであるか、年に四千八百円であります。月に四百円であります。併しながらこれはです、これも亦自治庁の我々に配付した資料が杜撰なんでありまして、御承知の通り現在独身者も扶養家族四人ある人も、二十四年度において住民税が同じく九百三十円であるというふうに計算してあります。ところが御承知の通り独身者には資産制がかかりませんが、家族のある人には資産割がかかつておる。従つて二十四年度においては政府が計算しておる九百三十円よりも、もつと多くの住民税がかかつておる筈であります。にも拘わらず、我々に配付した資料においては一律九百三十円、独身者の人も四人の人も九百三十円の住民税である。そういうふうにして増税には余りならないのだ、そうして国税所得税との比較において、結局年に四千八百円、月に四百円の減税になる、こういうふうに我々を瞞着しておるのであります。更に先程お話がありましたように、固定資産税、これは家賃の値上りを来たす。附加価値税はどうである、これは結局消費者に転嫁されるか或いは労働階級に転嫁されるのであります。転嫁を認めております。税の問題を見る場合に、租税転嫁を考えないで税負担の公平であるかどうかは論じられないわけであります。四百十九億の附加価値税はこれは労働者に転嫁されるのであります。そうなれば、子供四人ある人、年收十二万円の人が、月に四百円減税になると言つても、それは嘘であります。而も先程も論じましたように、政府が予算で予定しておるよりも遥かに多くの税金がこの法案によつて取れるのでありますから、減税になるどころか増税になることは疑いないのであります。然らば、政府は減税減税と言つておりますが、三百億の減税と言つております。成る程予算面においては三百億、減税になるかも知れません。仮に三百億減税になるとして、一体誰が減税されるか、予算面の三百億の減税は誰が減税されるのでありますか。これも自治庁から我々に配付された資料によりますれば、年所得五百万円の人は独身者で六十六万円の減税になることになつております。独身者で年收五百万円の人が六十六万円減税になる。子供四人抱えて年收十二万円、月收一万円の人、生活が苦しくて困つておる人の減税は幾らであるか。月に形式的だけれども四百円、それも先程申上げましたように租税転嫁を考えれば減税になつていないのであります。誰のための減税であるかはこれではつきりしていると思うのであります。このように本法案は極めて税の負担の公平という点から見ましても非民主的である、非常に不公平であると思うのであります。更に社会党の方も述べられました通りに、この住民税におきましては比例税率になつておる。累進課税率を排しているのであります。これなどは正に民主的な税法に逆行するものであります。そればかりでなく、所得税におけるあの税制改革は、すでに我々が反対討論で述べましたように、昭和二十三年度のインフレ期の所得を元にして行なつたところの税制改革でありまして、国税の所得税改正自体において、税負担において非常に不均衡が、不公平があるわけであります。それがそのまま地方税の所得割の方に反映されてかかつて来るわけであります。従いまして地方税の所得割、これも著しく負担が不公平になつておるのであります。このように考えますれば、この税法が如何に非民主的な税法であるかということは明らかであります。  反対論拠の第三は、私は、この税法を通過させましたならば、結局国税と地方税との取り合いになり、競合になつてしまうと思うのであります。国税を嚴重に取ろうといたしますれば、恐らく地方税を納めることができないと思います。地方税をこの法案の通りに納めるといたしますれば、恐らく私は国税は取れないことになると思います。予算案通り国税は取れないと思います。従いまして国税と地方税との間に徒らにこれは競合関係、混乱を生ずるに違いないと思います。  このように地方税法案に対しまして我々は賛成するわけには行かないのであります。従つて我々としては、この地方税法案に対してはこういう対案を持つております。労働者農民党といたしましては、先ず住民税につきましては、均等割を廃しまして所得割一本にいたしまして、そうしてこれは所得税にではなく、所得額に対しまして免税点を設け、そうして累進課税にすべきである。第二に附加価値税につきましては、一挙に附加価値に税をかけるということは余りに急激な変化をもたらしますので、收益課税と附加価値課税の併用を行うべきである、そうして数年を経過してそうして本来の附加価値税に到達すべきである。第三に固定資産税につきましては、賃貸価格の大体六百倍程度の課税価格にいたしまして、税率は一・七五%を少くとも半分くらいに軽減すべきである。こういう主張を持つているのであります。併しながらこれまでの経過に徴しまして労働者農民党のこの主張が通りませんので、我々はこの法案に断乎反対せざるを得ないのであります。  ところで政府及び與党は、この法律案が通過しなければ地方団体においては明日から税金が取れないで、地方財政は破綻を生ずるだろう、そういうことを言つて本法案の早期通過を要望しておるようであります。こういうことを国民に訴えておるようであります。併しながら衆議院の委員会におきまして、池田大蔵大臣は、社会党の門司亮君の、この法律案が通らなかつた場合にはどういうふうになるかという質問に対しまして、預金部資金を流用すれば支障を生ずることはないということを答弁しておるのであります。従いまして、本法案が通らなければ地方財政に立ちどころに困難が生ずるということは、これはやはり国民を騙すものであり、欺瞞するものであります。  以上の理由によりまして労働者農民党は本法案に反対するものであります。私は、この非常識極まる、政府みずからが不当である、或いは與党みずからが不当であると認めているこの法律案を、政府が何らの責任を感ぜずにこの国会に提出されているというこの矛盾、この国民を騙かす、欺瞞する、こういう法律案に我々が賛成するということは、国会議員の権威をこれは喪失するものである。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)そう考えるのであります。そういう意味におきまして、良識のある国会議員諸君、どうぞこの法案を否決されんことを切望いたす次第であります。(拍手)
  89. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 板野勝次君。    〔板野勝次君登壇、拍手〕
  90. 板野勝次

    ○板野勝次君 共産党は地方税法案に絶対反対の意を表明するものであります。  第七国会の終了に当つて、政府は日本全国民の反対を押し切り、衆議院において全野党の総退場のうちに強引に通過させた前代未聞の悪法といわれる地方税法を、今又参議院において強引に押し切ろうとしてここに上程しているのであります。それは何故でありましよう。第七国会は、予算にしても、税制にしても、見返資金の運用にいたしましても、何一つ自主的に運営されなかつたばかりでなく、予算案に対する修正意見すらも占領政策違反の疑いがあるとされ、この地方税悪法案においても、衆議院において自由党はみずから修正案を出し、その修正を考慮しながら、何に怯えたのか直ちにこの修正案を撤回するに至つたのであります。自由党にして若し政党という名に値いするのでありまするならば、このような破廉恥な行動を行うに忍びなかつたに違いないのであります。(「そうだそうだ」「その通り」と呼ぶ者あり)かくして一歩退き二歩退却いたしまして、我が日本共産党が一貫して平和と独立を主張し続けたのにも拘わりませず、国会は全く自主性喪失、転落の過程を歩んで来ました。この勢いに乘じて、この卑屈な第七国会に最後のとどめを刺すべき、地方税こそは日本国民の代表ため我々国会議員に擬せられた双であります。吉田内閣によつて行われる一切の政策は挙げて植民地化の役割を遂行するためのものであります。吉田内閣の政策で、ドツジ予算、シヤウプ税制、ローガン貿易構想、シーツ産業構想等、その外国名前によつても明らかなごとく、日本としての自主的なものは一つもないではありませんか。この地方税制もシヤウプ税制の一環として重要な役割を持つております。ここに、この法案がもはや完全に担税力を失つた国民各層の圧倒的反対を押切つても強行されるゆえんがあります。この法案により住民税は五倍から十倍に撥ね上り、企業にかけられる附加価値税は世界に類例のない税として労働者の賃金さえも課税対策としておるのであります。固定資産税が結局は労働者の負担に転嫁されることを考えれば、労働者は、所得税、住民税、附加価値税、固定資産税と、二重三重はおろか、四重にも手枷足枷が嵌められ、植民地的低賃金と相待つて全くの軍事的奴隷状態に陷れられることは明らかであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)又農業恐慌に脅かされておりますところの農民にとつては、住民税の引上げと相待つて、固定資産税の設定が小作料引上げとなつて農地改革を打切らせる役割を果し、農業の破壞を決定的にするでありましよう。又重税に悩む中小企業、地方産業、平和産業、今でさえ原料高に製品安で売行不振をかこつておりますが、ここに附加価値税、固定資産税をかけるのは全く首吊りの脚を引張るのと等しいものであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)更にこの法律通りに税金を徴收いたしますれば少くとも三千億円の税金は取れるのであります。予定税收総額一千九百億円を上廻ること正に一千億円を超えるのであります。これが政府の減税の正体であります。而もこの取れ過ぎる税金が追加予算に向けられることも考えられるのであります。尚かかる内容を持つた法律を施行することによつて政府は地方財政の確立を云々しておるのでありますが、これこそ盗人たけだけしいと言わなければなりません。一般会計から平衡交付金を地方に交付するという形で、地方財政委員会を通じ植民地的な分割統治を行うのであります。このような内容を持つこの法律案がどうして日本の独立と世界の平和に寄與し得ると言えるでありましよう。(「言えない」と呼ぶ者あり)絶対に言えません。これは全国民が要望している日本の独立と世界の平和への途ではなく、隷属と戰争と破滅への途を切り開くものであります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)日本共産党は日本の独立と世界の平和のために闘う党として、このような地方税法案には断乎反対するものであります。ポツダム宣言に基く日本の独立と世界の平和を待ち望む国民は、誰がこの法案に賛成し、誰が反対したかを決して忘れないでありましよう。断乎良識ある議員諸君の否決を望むものであります。(拍手)
  91. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより採決をいたします。  先ず地方税法案全部を問題に供します。本案の表決は記名投票を以て行います。本案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上御投票願います。氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  92. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 投票漏れはございませんか……投票漏れはないと認めます。これより開票いたします。投票を計算いたさせます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  93. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 投票の結果を報告いたします。投票総数百七十五票、白色票即ち本案を可とするもの七十三票、青色票即ち本案を否とするもの百二票、よつて本案は否決せられました。(拍手)      —————・—————   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名      七十三名       赤木 正雄君    梅原 眞隆君       岡部  常君    岡本 愛祐君       河井 彌八君    木下 辰雄君       來馬 琢道君    佐伯卯四郎君       新谷寅三郎君    田村 文吉君       玉置吉之丞君    徳川 宗敬君       藤井 丙午君    堀越 儀郎君       松井 道夫君    矢野 酉雄君       山内 卓郎君    伊藤 保平君       井上なつゑ君    岡元 義人君       小野  哲君    柏木 庫治君       小宮山常吉君    大屋 晋三君       植竹 春彦君    鈴木 直人君       竹下 豐次君    高瀬荘太郎君       松嶋 喜作君    川村 松助君       小林 英三君    野田 俊作君       玉屋 喜章君    水久保甚作君       一松 政二君    三島 通陽君       田口政五郎君    岡田喜久治君       團  伊能君    池田宇右衞門君       横尾  龍君    寺尾  豊君       大野木秀次郎君    加藤常太郎君       西川 昌夫君    城  義臣君       堀末  治君    岡崎 真一君       西川甚五郎君    大島 定吉君       鈴木 安孝君    黒田 英雄君       平沼彌太郎君    石坂 豊一君       柴田 政次君    小杉 繁安君       石原幹市郎君    今泉 政喜君       黒川 武雄君    佐々木鹿藏君       尾形六郎兵衞君    入交 太藏君       藤井 新一君    深水 六郎君       平岡 市三君    藤森 眞治君       中川 幸平君    西山 龜七君       重宗 雄三君    廣瀬與兵衞君       小串 清一君    山田 佐一君       大隈 憲二君     —————————————  反対者(青色票)氏名      百二名       大山  安君    楠見 義男君       西郷吉之助君    高橋龍太郎君       伊達源一郎君    藤野 繁雄君       帆足  計君    山崎  恒君       結城 安次君    渡邊 甚吉君       濱田 寅藏君    宇都宮 登君       加賀  操君    伊東 隆治君       小林 勝馬君    竹中 七郎君       林屋亀次郎君    大隈 信幸君       門屋 盛一君    中井 光次君       油井賢太郎君    深川榮左エ門君       木内キヤウ君    深川タマヱ君       仲子  隆君    高橋  啓君       櫻内 辰郎君    奧 主一郎君       安達 良助君    小畑 哲夫君       島田 千壽君    吉田 法晴君       木内 四郎君    谷口弥三郎君       國井 淳一君    田中 利勝君       村尾 重雄君    塚本 重藏君       境野 清雄君    岩木 哲夫君       紅露 みつ君    前之園喜一郎君       大畠農夫雄君    岩崎正三郎君       島   清君    山田 節男君       淺井 一郎君    岡田 宗司君       天田 勝正君    吉川末次郎君       羽生 三七君    田中 信儀君       鬼丸 義齊君    内村 清次君       栗山 良夫君    松下松治郎君       下條 恭兵君    河野 正夫君       和田 博雄君    山下 義信君       板野 勝次君    細川 嘉六君       中野 重治君    岩間 正男君       兼岩 傳一君    鈴木 清一君       水橋 藤作君    千葉  信君       木村禧八郎君    堀  眞琴君       椎井 康雄君    池田 恒雄君       金子 洋文君    カニエ邦彦君       小泉 秀吉君    大野 幸一君       千田  正君    太田 敏兄君       藤田 芳雄君    羽仁 五郎君       伊藤  修君    青山 正一君       森下 政一君    中平常太郎君       丹羽 五郎君    川上  嘉君       佐々木良作君    中村 正雄君       原  虎一君    梅津 錦一君       若木 勝藏君    三好  始君       米倉 龍也君    三木 治朗君       波多野 鼎君    門田 定藏君       河崎 ナツ君    駒井 藤平君       小川 久義君    岩男 仁藏君       鈴木 憲一君    岡村文四郎君      —————・—————
  94. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 次に地方財政委員会設置法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔起立者多数〕
  95. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      —————・—————
  96. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 次に地方財政平衡交付金法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔起立者多数〕
  97. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      —————・—————
  98. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 次に予防接種法等による国庫負担の特例等に関する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔起立者多数〕
  99. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      —————・—————
  100. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して、水産業協同組合法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。水産委員長木下辰雄君。     —————————————    〔木下辰雄君登壇、拍手〕
  102. 木下辰雄

    ○木下辰雄君 只今上程されました水産業協同組合法の一部を改正する法律案について、委員会における審議の経過並びに結果について御報告いたします。  先ず提案理由について御説明申上げます、第三回国会において成立いたしました水産業協同組合法は、昨年二月十五日に施行されましてより一年余を終過したのであります。此の間水産業協同組合の設立は着々と進み、行政庁により認可された組合の数は約四千に達し、漁村の民主化と水産経済の振興に多大の寄與をなしつつあることは誠に喜ばしいことであります。併しながらこの実施一ケ年の経験に鑑み、且つ又全国各地より寄せられました本法改正に関する請願、陳情の趣旨に基きまして、本法を改正して、その一層有効な活用を図る必要が認められましたので、本改正法案を提案いたしたのであります。  以下その内容について簡單に御説明いたします。第一は、一定規模以下の法人が准組合員として組合に加入する途を開いたことであります。その理由は、元来水産業協同組合は個人の結合による組織でありますが、現下の経済事情においては個人経営を殆んど等しい弱小な法人による経営が極めて多く、これら法人の組合加入を認めてその利益を享受せしめるのを妥当と考えるからであります。第二は、主として法人加入に伴いまして、独占禁止法との関係を規定しております法第七條を改めまして、独占禁止法の組合に対する適用の緩和を図つたことであります。第三は組合の役員に関する事項でありまして、役員の任期を最大限三年まで定められるごとく伸長すると共に、組合の事業と実質的に競争関係にある事業の関係者が組合の役員及び主要職員の就任することを禁止したのであります。その他、員外利用の制限に関する條項、総代会に関する條項、專用契約に関する條項、総会の代理議決に関する條項等を改正して実情に即するようにいたしたのであります。  以上が本改正案の大体の内容でありますが、委員会におきましては衆議院の水産委員会と協議いたしまして原案を修正して衆議院を通過いたしましたものが本院に送付されました法案であります。本案に対しましては十数回委員会を開会いたし、質疑応答を重ねたのでありますが、その詳細は速記録によつて御覽を願いたいと存じます。本日の委員会において質疑を打切り、討論採決の結果、全員一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告いたします。(拍手)
  103. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立〕
  104. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      —————・—————
  105. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) この際、日程に追加して、運輸省設置法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、海上保安監部及び海上保安部の設置に関し承認を求めるの件(衆議院送付)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。運輸委員長佐々木鹿藏君。    〔議長退席、副議長着席〕     —————————————    〔佐々木鹿藏君登壇、拍手〕
  107. 佐々木鹿藏

    ○佐々木鹿藏君 只今議題になりました運輸省設置法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案につき委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  この法律案の趣旨は、運輸省設置法で規定されております運輸審議会の委員及び日本国有鉄道法で規定されております日本国有鉄道の監理委員会の委員の任期が満了し又は欠員が生じた場合において、国会が閉会中でありますとか、衆議院が解散になつているために後任者の任命について両院の同意を得ることができません場合における任命の特例を定めたものでありまして、この場合、任命権者において便宜任命し、その後最初に召集された国会においてその承認を求め、承認が得られないときはその委員を遅滯なく罷免することを定めたものであります。  委員会におきましては、丹羽委員より質疑省略の動議がありまして、全会一致にて質疑を省略し、続いて討論に入り、丹羽委員より、本件は当然の措置として認むべきであるとの賛成意見の開陳があり、採決に入りましたところ、全会一致を以ちまして原案通り可決すべきものと決定いたしました。以上御報告申上げます。  次に議題となりました地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、海上保安監部及び海上保安部の設置に関し承認を求めるの件につきまして、運輸委員会における審議の経過及び結果を御報告いたします。  本件は、先程本会議において可決されまして両院を通過いたしました海上保安庁法の一部を改正する法律案の施行に伴いまして、海上保安庁法第十三條の規定に基いて管区海上保安本部の事務の一部を分掌させるため、海上保安監部その他の事務所を置く必要があるのでありますが、国の地方行政機関の設置は、地方自治法第百五十六條第四項の規定によりまして国会の承認を経なければならませんので、ここに提出されたのであります。本件の内容は、比較的広い管轄区域を持ち業務量の多い大阪に海上保安監部を置き、その他所要の地三十九ケ所に海上保安部を設置しようとするものであります。本委員会において審議いたしましたところ、本件は海上保安業務の円滑なる運営を期する上において必要でありますと共に、成立予算並びに定員法の枠内において実施し得るので、原案通り承認することに全会一致を以て決定いたした次第であります。以上御報告申し上げます。(拍手)
  108. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  先ず運輸省設置法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立〕
  109. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      —————・—————
  110. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 次に地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、海上保安監部及び海上保安部の設置に関し承認を求めるの件全部を問題に供します。委員会報告通り本件に承認を與えることに賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立〕
  111. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 総員起立と認めます。よつて本件は全会一致を以て承認を與えることに決しました。      —————・—————
  112. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) この際、日程に追加して、会計検査院法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます、決算委員長前之園喜一郎君。     —————————————    〔前之園喜一郎君登壇、拍手〕
  114. 前之園喜一郎

    ○前之園喜一郎君 只今議題となりました会計検査院法の一部を改正する法律案につきまして、その内容の概略と決算委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。  現行会計検査院法の第四條によりますると、内閣は検査官の任命につきましては両議院の同意を経なければならないことになつておりまするが、検査官の任期が満了いたしましたとき、又は欠員が生じましたとき、たまたま国会が閉会中のため、又は衆議院の解散のため両議院の同意が得られない場合におきましては別に規定するところがないのであります。今回の改正法律案は、右のような場合の特例として、内閣は両議院の同意を得ないで検査官を任命することができることにいたしますと同時に、これにつきましては次の国会において両議院の承認を求めるものとし、承認を得られなかつた場合は、この検査官は当然退官とするものとする旨の規定を第四條中に加えようとするものであります。当委員会におきましては愼重審議いたしました結果、全会一致を以ちまして原案通り可決すべきものと議決いたした次第であります。  右御報告申上げます。(拍手)
  115. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立〕
  116. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      —————・—————
  117. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) この際、日程に追加して、公衆浴場法の一部を改正する法律案、クリーニング業法案、(いずれも衆議院提出)、兒童福祉法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)、以下三案を一括して議題とすることを御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。厚生委員会理事藤森眞治君。     ━━━━━━━━━━━━━    〔藤森眞治君登壇、拍手〕
  119. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 只今上程せられました兒童福祉法の一部を改正する法律案公衆浴場法の一部を改正する法律案及びクリーニング業法案につきまして、厚生委員会における審議の経過並びにその結果を御報告申上げます。  先ず最初に兒童福祉法の一部を改正する法律案について申上げます。  先ず本改正案の内容を簡單に御説明申上げます。第一には、療育施設を虚弱兒施設と肢体不自由兒施設に分けたことであります。第二には、中央兒童福祉審議会の委員及び臨時委員は非常勤の国家公務員であり、任命権者である厚生大臣によつて任命せられるので、「委嘱する」という表現をやめたことであります。第三には、妊娠の届出を受理した市町村長の義務についてでありまして、保健所を設置しております市の市長は都道府県知事に、その他の市町村長は都道府県の保健所長を経て都道府県知事に、そのことを報告しなければならぬという規定を新たに設けました。第四には、現在、厚生省令で定められております兒童福祉施設の設備及び運営についての最低基準を、里親における養育についても拡充するということであります。第五には、都道府県が支弁することになつております兒童相談所に要する費用のうち、設備に要するもの以外の費用を、相談及び鑑別に要する費用とそれ以外の費用とに分けて規定することであります。第六には、兒童福祉施設入所者及び里親委託兒童の保護費は、入所に要する費用と入所後の保護に要する費用とに分ち、入所後の保護の費用については、兒童福祉施設及び里親に関し定められた最低基準を維持するに足る費用でなければならないことを明記いたしまして、それぞれの負担区分に従つて都道府県、市町村が支弁するものとすること、及びこの保護費の支弁が適正に行われているか否かについて、厚生大臣は当該官吏に都道府県又は市町村の事務処理状況を、都道府県知事は当該吏員に市町村の事務処理状況を、それぞれ実地について調査させることができることとなつております。第七には、従来都道府県知事が本人又はその扶養義務者から徴收することにいたしておりました一時保護に要する費用は今後徴收しないことにしたのであります。以上が本改正案の大要であります。  本委員会においては三月三十日予備審査付託になり、爾来三回に亘り愼重に審議を重ねたのでありますが、四月三十日衆議院より施行期日を修正の上本院に送付となつたのであります。委員会における質疑応答の主なるものを申上げますと、兒童福祉に関する費用が、今日のごとき兒童福祉行政がまだ徹底していないときに平衡交付金に組み入れられることは、兒童福祉行政が抹殺される虞れがある、今回の改正法案によつて最低基準を維持する費用を確保する自信があるかどうかとの質問に対しまして、林厚生大臣から、この点については地方自治の問題も考慮に入れて十分検討した、地方財政委員会とも十分に連絡を保つて心配のないようにしたいとの答弁がありました。尚、詳細はこれは速記録によつて御覽頂きたいのであります。かくして質疑を打切り、討論に入りましたところ、中平委員より、本案は地方財政平衡交付金法が制定せられることに関連して、その予算獲得の裏付けがなされたことと、療育施設を虚弱兒施設と肢体不自由兒施設に分けたことが重点と思うが、政府は、兒童福祉の予算が他に流用されることなく飽くまでも最低基準の実施されるよう、市町村に対して督励されるよう要望して本案に賛成するとの賛成意見の開陳がありました。次いで採決に入りましたところ、全会一致を以て衆議院修正送付案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に公衆浴場法の一部を改正する法律案について申上げます。  本案は衆議院提出にかかるものでありまして、公衆浴場法は第二回国会で制定を見たのでありますが、施行後の経験に鑑みまして今回改正する必要が生じたのであります。先ず本法の改正の要点を簡單に申上げますと、現行の公衆浴場法におきましては、その第二條第二項に「公衆浴場の設置の場所又はその構造設備が公衆衛生上不適当であると認めるときは」、都道府県知事はその営業の許可を與えないことができる旨を規定しております。この「公衆浴場の設置の場所」という字句の中には、浴場の適正配置を図る趣旨も含むものと解釈し、当局は、都道府県知事に対し公衆浴場の新設許可に当つては配置の適正を期するように指示しており、各都道府県においてはその旨を規則又は條例に定めて、公衆浴場を設置する場合には既設の浴場と一定の距離を置かなければならない旨を規定して、配置の適正を図つて来たのであります。然るに昨年来この第二條の條文に、設置の場所が、「公衆衛生上不適当であると認めるときは」とあるのは、いわゆる適正配置を含むものなりや否やにつき、しばしば問題を生じ、又現行規定では、都道府県の條例又は規則で公衆浴場の距離制限を実施して行くには法律解釈上無理がありますので、今回これを明確ならしめるために、現在の條文の「公衆浴場の設置の場所又よその構造設備が、公衆衛生上不適当であると認めるとき」の外に、新たに「その設置の場所が配置の適正を欠くと認めるとき」というのを加えて、共に都道府県知事は許可を與えないことができる旨を規定せんとするものであります。尚この設置の場所の基準については、都道府県は條例を以てこれを定めることといたしているのであります。以上が本案の大要であります。  本案は四月二十八日予備審査付託となり、衆議院より四月二十九日送付を受けまして、本法案は本日の委員会において審議をいたしたのであります。本案の審議に当りましては、公衆衛生増進のため、公衆浴場の設置の場所の配置につき明確に規定いたしたことは至極当然の立法措置であるので、別段に質疑もなく、討論を省略して直ちに採決に入りましたところ、全会一致を以て、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  最後にクリーニング業法案について申上げます。  本案は衆議院提出にかかるものであります。先ず本案の内容を簡單に申上げます。第一に、この法律の適用範囲をドライクリーニング営業及びその他の洗濯業に限定したことであります。第二に、この法律においては、営業者に対し、その施設及びその依頼された洗濯物の取扱について公衆衛生上必要な措置を行うことを要求すると共に、十名以上の従業者を使用するドライクリーニングの営業者に対しては、試験に合格して免許を受けたドライクリーニング師を少くとも一名採用しなければならないこととしたことであります。第三に、ドライクリーニング師の免許制度を創設したのであります。第四に、クリーニング業に対する行政監督は原則として都道府県知事とし、一部大部市においては市長としたのであります。これらの監督機関によつて公衆衛生上の監督指導の徹底が期せられるのであります。以上が本案の骨子であります。本案は四月二十八日予備審査付託となり、本委員会においては四月二十九日衆議院より送付を受けるや同日直ちに愼重なる審議をいたしたのであります。その間における政府委員との質疑応答も極めて熱心且つ活溌に行われましたが、委員会における質疑応答の内容の詳細はこれを速記録によつて御覧頂きたいのであります。質疑を打切り、討論に入りましたところ、多数の委員より本案に対して熱烈なる賛成意見の開陳がありました。その間における各委員の賛成意見を申上げますと、先ず井上委員より、将来公衆洗濯場の設置をすることを希望して本案に賛成する。次いで塚本委員よりは、本法案の提出の経過については私もかねて承知いたしておりましたので、本法案が生れたことは非常な喜びとして賛成いたします。又小杉委員よりは、洗濯場の伝染病疾病等についても十分監督するように注意して本法案に賛成いたします。又最後に中平委員より、この種のクリーニング営業者は少いので、余り法律によつて職業選択又は営業の自由を拘束しないように政府当局は運営の面において十分注意するように希望して本案に賛成する。以上のような賛成意見の開陳の後、討論を終り、採決に入りましたところ、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告いたします。
  120. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  先ず公衆浴場法の一部を改正する法律案、クリーニング業法案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立〕
  121. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決せられました。      —————・—————
  122. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 次に兒童福祉法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立〕
  123. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      —————・—————
  124. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) この際、日程の順序を変更して、日程第十二及び第十三の請願及び日程第三百二の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。内閣委員長河井彌八君。     —————————————    〔河井彌八君登壇、拍手〕
  126. 河井彌八

    ○河井彌八君 只今議題となりました請願二件及び陳情一件の内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。  日程第十二の請願郡山営林局新設に関する請願であります。福島県の林野は前橋営林局の所管に属しているので、それがために福島県の林野関係において前橋営林局に始終交通いたしますることは非常に不便であるということから、営林局を特に郡山に新設して欲しいという請願であります。今日、営林局があの東北地方にどれだけあるかと申しますと、秋田と青森にあるのであります。これらの配置から見ましても、この請願は妥当な要請であるということを内閣委員会において認めたのでありまして、よつてこれを院議に付し、内閣に送付すべきものと決定した次第であります。  次に日程第十三の請願気象官署拡充に関する請願であります。気象官署は昨年の行政整理におきまして可なり強い整理を受けたのでありますが、御承知のごとく日本の気象は世界に珍らしい程の千変万化の状態を持つているのでありまして、他国のあらゆる形式の気象とはまるで違うのであります。そうして殊に日本は災害の多い国でありまして、年々台風等が常に襲つて来るということで、気象官署が現在のごとくに縮小せられておりまするのは甚だ遺憾でありまするし、殊に産業等において非常に支障を来たすものでありまするから、委員会におきましてはこの願意の正当なることを認めまして、これを拡充することが必要であるということを考えました。よつて院議に付しまして、これを内閣に送付すべきものと決定した次第であります。  日程第三百二の陳情でありますが、これは宮城県白石町に国立こうぞ総合研究所設置の陳情であります。こうぞは日本において昔から衣料又は紙料といたしまして使用せられました大切な資源であります。而してこれが裁培は日本各地どこでもできるのでありまして、そんなに沢山の費用を投じませずとも、非常にいいものができております。この白石町には個人の研究で以て非常に優れた加工法が発達いたしておるのでありまして、紙にいたしましても、又布にいたしましても、非常に良いものができている。かような次第でありまするから、どうかこの仕事を助けるために、個人の経済力では、甚だ微力でありまするから、国立総合研究所を作つて欲しいという陳情であります。この陳情は昨年も請願として本院において妥当と認めて議決をいたして、政府に送付せられたのでありますから、今回も同様にお取計らい願いたいという考えであります。これが内閣委員会の議決であります。この段御報告申上げます。(拍手)
  127. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立〕
  128. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      —————・—————
  129. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) この際、日程の順序を変更して、日程第十四より第十八までの請願及び日程第三百三の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。法務委員会理事松井道夫君。     —————————————    〔松井道夫君登壇、拍手〕
  131. 松井道夫

    ○松井道夫君 只今上程されました請願第千五百八十四号、佐賀地方裁判所唐津乙号支店を甲号支部昇格請願請願第千六百八十五号、札幌地方裁判所札幌家庭裁判所、両小樽支部昇格に関する請願請願第千八百七十号、武蔵野市に東京地方裁判所東京家庭裁判所、両支部設置請願請願第千九百四十一号、島根県安来町に簡易裁判所設置請願請願第二千百四十七号、甲府地方裁判所谷村支部甲号支部昇格等請願、及び陳情第三百九十八号、隼人町に鹿兒島地方裁判所加治木支部等移転の陳情の、当委員会における審議の経過及び結果を御報告いたします。当委員会は右六件を一括審議採決いたしましたところ、いずれもその趣旨を妥当と認め、全会一致を以てこれを採択し、政府に送付すべきものと決定いたしました。右御報告いたします。
  132. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立〕
  133. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      —————・—————
  134. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) この際、日程の順序を変更して、日程第二十二より第五十までの請願及び日程第三百七より第三百十六までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事波多野鼎君。     —————————————    〔波多野鼎君登壇、拍手〕
  136. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 只今議題となりました請願及び陳情につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  請願第一千三百四十三号外十件はいずれも物品税に関するものでありまして、光学機用ケース室内裝飾用品中一部の物品(窓掛、テーブル掛等)、ガス器具照明器具、陶磁器、漆器、水「あめ」、「ぶどう」糖、喫煙用器具、鞄類などにつきまして、それぞれ物品税の軽減、免除或いは免税点の引上げ等を要請しております。又請願千九百八十九号は、時計、貴金属業者に対する物品税課税適正化を図られたいという趣旨のものであります。次に間接税に関するものとしまして、揮発油税軽減を要請しておるものは請願第一千百二十三号外十三件あり、又請願第一千二百九十一号は白下糖の消費税を撤廃すること、請願第一千九百五十四号は国宝等を富裕税の課税対象から除外することをそれぞれ要請しております。請願第一千九百五十九号外四件は協同組合に対する課税を免除するか、軽減されたいという趣旨のものであります。請願第一千六百三十九号は、身体障害者の所得税基礎控除額を引上げること、請願第一千七百七十三号は青色申告制度の普及徹底を図ること、請願第二千百四十三号は低額所得者給與所得税率を引下げること、請願第二千百四十九号は所得税を軽減すること、請願第一千八百十五号は農業協同組合に釀造事業を認可すること、請願第二千九十三号外二件は課税適正化を図ること、陳情第百七十四号は所得税審査委員会を設置すること、陳情第百八十九号は雪害地方の税軽減及び課税方法の改善を図ること、陳情第三百五十一号は織物業者に対する所得税の更正決定を変更すること等の措置を講ずること、陳情第三百六十二号は所得税の申告納税について適正なる課税をする等の措置を採ることを、それぞれ要請しているものであります。次に金融に関するものを申上げますと、請願第一千六百十六号外一件ありまして、それぞれ国民金融公庫の融資を増額すること、及び京都市に中小企業金融專門店を設置することを要請しております。次に請願第二百八十号外二十四件はたばこ事業を民営に移管することに反対する等をその趣旨といたしております。請願第一千三百五十五号外三件は公団或いは閉鎖機関整理委員会等職員退職手当制度を確立するか又は改善されたいという趣旨のものであります。請願第一千七百六十七号外一件は、国家公務員共済組合法中、給付範囲の拡張等について改正されたいという趣旨のものであります。請願第五百五十七号は、旧軍用土地建設等の国有財産を民間社会事業施設として活用させる際には貸付料を減額する等の便宜を図られたいという趣旨のものであります。  以上の請願及び陳情七十八件につきましては、愼重に審議いたしました結果、願意の趣旨は大体において妥当であると認めまして、採択の上これを会議に付し、内閣に送付すべきものを決定いたした次第であります。以上御報告いたします。(拍手)
  137. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立〕
  138. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      —————・—————
  139. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) この際、日程の順序を変更して、日程第五十一より第六十九までの請願及び日程三百十七の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。文部委員会理事岩本月洲君。     —————————————    〔岩本月洲君登壇、拍手〕
  141. 岩本月洲

    ○岩本月洲君 只今議題となりました請願第千三百八十号外三十一件、陳情第二百四十五号外十一件につきまして、文部委員会におきまする審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  第一に教育職員免許法及び同施行法の一部を改正する法律案に関する請願三件についてでございますが、これらの請願の要望は今回の同法改正案及び修正案によつて解決されておるのでございます。次に標準義務教育費の確保に関する法律を制定されたいという旨の請願十三件、陳情十二件がございました。次に小泉八雲誕生百年記念の事業に関する請願でございまするが、これは本年が丁度ハーン誕生百年に当りまするので、この際、記念事業といたしまして、松江市に文化会館、図書館の建設、ハーン旧居の保存を初めといたしまして、文学賞及び奬学資金の設定等が計画されております。これに対して国家的援助を希望しているものであります。次に、初代米国総領事でありまするハリスの領事館といたしまして使用いたしました伊豆下田の玉泉寺を史跡に指定して欲しいという請願でございます。又白河ノ関を至急徹底的に調査して、若し明らかになりますならば史跡に指定して欲しいという請願でございました。次に下関市の国宝功山寺仏殿保護修理のための国庫補助の請願がございました。次に都道府県教育委員会に対して文化財保護行政の権限の一部を委任して欲しいという請願がございましたが、これはすでに文化財保護法案に織り込まれている点でございます。次に尾瀬ケ原保存に関する請願でございますが、これは最近の只見川水域の電源開発計画の一部によれば、学術文化資料として世界的に貴重な尾瀬ケ原が永久に水底に沒し去ることになるので、この際同地保存のために適切な措置を要望しているのでございます。次に不良図書追放に関する請願二件でございますが、これは青少年教育に思わしくない不良図書を極力なくすると共に、優良図書が広く読まれるように諸種の対策を講じて欲しいというものでございます。次に教育職員教育のための旅費等国庫補助増額請願が二件ございました。次に宮崎県の小学校職員の定員定額水準を九州各県並に引上げて欲しいという請願がございました。次に大学の研究、教育に必要な設備資材及び人員の確保更にそれに従事する教職員研究者の最低生活保障に関する請願がございました。次に、戰災都市の六・三制建築国庫補助増額請願、寒冷地であります岩手県の六・三制建築国庫補助増額請願がございました。次に勤労学生生活擁護に関する請願でございますが、これは経済的に行き詰りつつある勤労学生のために、育英資金の増額、学生援護団体の強化、学生就職の斡旋機関の拡大合理化、並びに勤労学生の所得に対して年額一万二千円を非課税の対象として欲しいという趣旨でございます。次に視聽覚教育振興に関する請願でございますが、これは兒童教育上特に効果的な視覚聽覚教育を盛んにすることは望ましいことであるが、経費の点で折角の教育方法が余りにも普及されていないのは遺憾であるといたしまして、この教育振興のために積極的な対策を講じて欲しいという請願でございます。  以上について文部委員会におきましては愼重審議の結果、いずれも趣旨妥当と認めまして、これを院議に付して内閣に送付することを要するものと決定いたしました次第でございます。右御報告申上げます。(拍手)    〔副議長退席、議長着席〕
  142. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立〕
  143. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      —————・—————
  144. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) この際、日程の順序を変更して、日程第七十より第百四十四までの請願及び日程第三百十八より第三百三十までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  145. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。厚生委員会理事藤森眞治君。     —————————————    〔藤森眞治君登壇、拍手〕
  146. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 只今上程せられました請願陳情に関する厚生委員会の審議の経過並びにその結果を御報告申上げます。  これらの請願陳情は、社会福祉社会保險、医療及び公衆衛生並びに国立公園関係の四つに大別いたすことができます。社会福祉に関するものが七十二件でありまして、凡そ生活困窮者の救済戰争犠牲者遺族援護等の趣旨のものであります。社会保險に関するものは四十七件でありまして、健康保險事業及び国民健康保險事業の予算増額等の趣旨のものであります。医療及び公衆衛生に関するものが八十八件でありまして、結核療養施設の整備拡充、予算増額等の趣旨のものであります。国立公園に関するものは七件でありまして、新規指定についての趣旨であります。  本委員会におきましては、第一回国会以来、これらと同様趣旨のものを院議に付して内閣に送付しておつたのでありますが、今国会においても愼重に審議の結果、日程第七十より日程第百四十二までの請願百八十九件及び日程第三百十八より日程第三百三十までの陳情二十五件は、議院の会議に付して内閣に送付すべきものと決定いたしました。日程第百四十三及び日程第百四十四の請願二件は法律制定に関するものでありまして、議院の会議に付して内閣には送付を要しないものと決定いたしました。  以上報告いたします。(拍手)
  147. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、日程第百四十三及び第百四十四の請願の外は内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立〕
  148. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、日程第百四十三及び第百四十四の請願の外は内閣に送付することに決定いたしました。      —————・—————
  149. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) この際、日程の順序を変更して、日程第百四十五より第二百三十五までの請願及び日程第三百三十一より第三百四十八までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  150. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。農林委員長楠見義男君。     —————————————    〔楠見義男君登壇、拍手〕
  151. 楠見義男

    ○楠見義男君 農林関係の請願及び陳情につきまして審査の結果を御報告申上げます。  農林委員会に付託をせられました請願及び陳情は、請願百五十四件、陳情三十三件、合計百八十七件でございまして、これをその内容について大別いたしますと、農業恐慌対策或いは寒冷積雪地帶農業対策に関するもの三件、肥料の配給改善に関するもの八件、農業災害補償制度の刷新強化に関するもの九件、農業協同組合の育成強化等に関するもの四件、開拓、干拓、水利及び土地改良、耕地の災害復旧その他主として農地及び水利に関するもの四十件、農地改革に関するもの八件、農業改良普及事業の強化及び農業関係試験機関の拡充に関するもの四件、作物報告事務所の拡充に関するもの二件、畜産の改良発達に関するもの四件、競馬に関するもの八件、繭及び生糸価格安定制度設定に関するもの十六件、蚕業技術員の身分安定に関するもの十件、食糧の供出及び配給制度の改善等食糧政策に関するもの二十九件、国有林野の拂下、国有牧野の開放、森林資源の涵養、林道の開設、森林組合の強化、山林樹苗の確保、その他林野政策に関するもの二十七件、農林産物の検査その他に関するもの五件でございます。その詳細は文書表によつて御承知を願うことにいたしたいのであります。  委員会におきましては、政府当局の意見等をも聽取し、愼重審議いたしました結果、只今議題となりました日程第百四十五号乃至第二百二十五の請願及び日程第三百三十一乃至第三百四十八の陳情、合計百九件は、いずれも農林業の発達、農林生産の増強、農家経済の改善、国土の保全及び民生の安定に対して重要な事柄でありますので、速かにその実現を図るため、これを採択して内閣に送付する必要があると決定いたした次第であります。右御報告申上げます。(拍手)
  152. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立〕
  153. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      —————・—————
  154. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) この際、日程の順序を変更して、日程第二百三十六より第二百四十二までの請願及び日程第三百四十九より第三百五十三までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  155. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。  通商産業委員長深川榮左エ門君。     —————————————    〔深川榮左エ門君登壇、拍手〕
  156. 深川榮左エ門

    ○深川榮左エ門君 只今議題となりました請願及び陳情について、通商産業委員会における審議の結果を御報告申上げます。  委員会においては請願第二百二十一号、中国、ソ同盟、朝鮮三国との貿易促進に関する請願外九件及び陳情第二百七十八号、中小企業救済対策確立に関する陳情外四件の願意は概ね妥当と認め、いずれもこれを採択し、議院に諮り、内閣に送付を要すべきものと決定いたしました次第であります。以上御報告申上げます。(拍手)
  157. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採択をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立〕
  158. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      —————・—————
  159. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) この際、日程の順序を変更して、日程第二百四十三より第二百四十五までの請願及び日程第三百五十四の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  160. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。郵政委員長水久保甚作君。     —————————————    〔水久保甚作君登壇、拍手〕
  161. 水久保甚作

    ○水久保甚作君 只今議題となりました請願及び陳情につきまして、郵政委員会における審査の経過並びに結果を御報告申上げます。  郵政機関の整備を趣旨とするものといたしまして、岩手中野郵便局集配局昇格請願及び奈良県大淀町今木に無集配特定郵便局設置請願の二件並びに簡易生命保險および郵便年金積立金運用再開の促進を趣旨とするものの請願五件及び陳情四件でありますが、委員会においては愼重審議の結果、いずれも願意を妥当と認め、これを採択し、議院の会議に付し、且つ内閣に送付すべきものと決定いたした次第であります。  以上御報告申上げます。(拍手)
  162. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立〕
  163. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      —————・—————
  164. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) この際、日程の順序を変更して、日程店二百四十六より第二百五十八までの請願及び日程第三百五十五より第三百五十九までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  165. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。建設委員長中川幸平君。     —————————————    〔中川幸平君登壇、拍手〕
  166. 中川幸平

    ○中川幸平君 只今議題となりました請願陳情について建設委員会の審議の結果を御報告いたします。  治水に関するものは北上川、岡山県日本、余両川の改修工事福島県烏崎土尻地区沿岸の防災工事、茨城県小貝川、岩手県猿ケ石川堰堤工事に関するもので、砂防に関するものは栃木県大谷川の工事施行と、僻地の砂防工事の従事する公務員の待遇改善に関するものであります。道路は愛媛県川之江——大杉線の開通促進に関するものでありまして、いずれも採択して内閣に送付すべきものと決定いたしました。  全国戰災都市復興特別法、国土開発法又は地方開発法、建築基準法及び建築士法制定に関するものは、これを採択し、内閣に送付するを要しないものと決定いたしました。  この外、住宅金融公庫に関するものについてもそれぞれ愼重審議の結果、採択すべきものと決定いたしました次第であります。以上簡單に御報告いたします。(拍手)
  167. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、日程第二百四十七、第二百四十八及び第二百五十七の請願、及び日程第三百五十七より第三百五十九までの陳情の外は内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立〕
  168. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、日程第二百四十七、第二百四十八及び第二百五十七の請願、及び日程第三百五十七より第三百五十九までの陳情の外は内閣に送付することに決定いたしました。      —————・—————
  169. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) この際、日程の順序を変更して、日程第二百五十九より第二百七十七までの請願及び日程第三百六十より第三百六十五までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。在外同胞引揚問題に関する特別委員長岡元義人君。     —————————————    〔岡元義人君登壇、拍手〕
  171. 岡元義人

    ○岡元義人君 只今議題となりました請願及び陳情に関しまして、在外同胞引揚問題に関する特別委員会において審査の上採択した請願二百六十七件及び陳情十三件に関しまして御報告いたします。  先ず日程第二百五十九号、引揚者団体等公益質屋設営許可請願、及び第二百六十号、未引揚者の住所氏名調査に関する新聞公告掲載の請願は、いずれも願意妥当なものとして採択と決定いたしました。日程第二百六十一号、復員者救済に関する請願は、第二項の帰還旅費の項を除いて採択と決定いたしました。日程第二百六十二号、在外資産補償に関する百六十一件の請願でありますが、この請願書の中で中国の法律に触れている項目のあるのは、その部分だけ除いて、いずれも採択と決定いたしました。日程第二百六十三号及び二百七十一号、大連労働組合の徴收金に関する請願は、大連労働組合在外公館等に準ずるものと認定する部分を除いて採択と決定いたしました。日程第二百六十四号、在外資産補償準備機関急設に関する請願、日程第二百六十五号、在外資産補償促進に関する請願二件、日程第二百六十六号、在外同胞帰還に関するラジオ放送請願、日程第二百六十七号、在外資産処理機関設置に関する請願、日程第二百六十八号 引揚者住宅金融に関する請願八十七件、日程第二百六十九号、在外胞引揚促進に関する請願二件、日程第二百七十号、在外胞引揚促進および留守家族援護に関する請願、日程第二百七十二号、住宅金融公庫融資引揚者わく設定請願、日程第二百七十三号、ソ連地区残留同胞引揚促進に関する請願、日程第二百七十四号、引揚者に対し農地法の特例を認むるの請願、日程第二百七十五号、在外資産賠償の前拂制度制定に関する請願、日程第二百七十六号、引揚者生活保護に関する請願、日程第二百七十七号、引揚者農地返還請願、以上の請願はいずれも採択と決定いたしました。而して以上二百六十七件の請願は、いずれも議院の議決に付して内閣に送付すべきものと決定いたした次第であります。  次に委員会で採択いたしました陳情について申上げます。日程第三百六十号、在外胞引揚促進に関する陳情六件、日程第三百六十一号、ソ連地区残留同胞引揚続行等に関する陳情、日程第三百六十二号、ソ連、中共両地区の残留同胞引揚促進等に関する陳情、日程第三百六十三号、中共地区残留同胞引揚促進に関する陳情、日程第三百六十四号、在外資産補償に関する陳情、日程第三百六十五号、ソ連、中共両地区残留同胞引揚促進に関する陳情三件、以上十三件の陳情は、その願意いずれも妥当にして、採択の上、議院の議決に付し、内閣に送付すべきものと決定した次第であります。  以上、在外同胞引揚問題に関する特別委員会で審査の上採択いたしました請願及び陳情に関して御報告申上げます。(拍手)
  172. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立〕
  173. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      —————・—————
  174. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) この際、日程の順序を変更して、日程第二百七十八より第三百一までの請願及び日程第三百六十六より第三百七十九までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  175. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。電力問題に関する特別委員長飯田精太郎君。     —————————————    〔飯田精太郎君登壇、拍手〕
  176. 飯田精太郎

    ○飯田精太郎君 只今議題となりました請願及び陳情につきまして電力問題に関する特別委員会における審議の経過並びに結果について御報告申上げます。  先ず料金に関するものとしましては、請願第百三号、電気料金の地域差の縮小に関する請願外四件、陳情第三百四十八号、新電気料金制度の適正化に関する陳情外一件は、各種電力料金の値下げ又は適正化を要望したものであります。次に請願第五百二十八号、公共用電力割当量及び料金改正に関する請願外七件、陳情第八十号、かんがい排水用電力料金等に関する陳情外四件の請願陳情は、公共用、病院用、灌漑排水用又は農業用電力の料金又は割当を適当化されたいとの趣旨であります。第三といたしまして、請願第二百二十二号、公衆浴場電力供給請願外三件は、それぞれの特殊事情の下において電力割当又は確保を要望したものであります。第四に、請願第二百二十号、日立火力発電所全員荷運転に関する請願外九件、陳情第十一号、電気事業施設復興に関する陳情外二件は、電力不足の現状に鑑み、既設電力施設の補修改良又は全能力運転を要望し、又は電力復興対策を促進せられたいとの趣旨であります。  又電源開発に関するものとして、請願第四百六号、電気資源開発促進に関する請願外二件、陳情第八号、只見川電源開発に関する陳情外三件は、電力不足に対する根本対策として、それぞれの地域の水力電源の開発を要望したものであります。請願第千六百六十四号、自家用電気工作物施設法に関する請願は、電気鉄道用電気設置の監督を運輸大臣に一元化されたいとの趣旨であります。  以上請願三十件、陳情十四件は、いずれもその趣旨妥当であつて、これを採択して内閣に送付すべきものと決定した次第であります。以上御報告申上げます。
  177. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸成の起立を求めます。    〔総員起立〕
  178. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。  議事の都合により本日はこれにて延会いたしたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  179. 佐藤尚武

    ○議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。次会は明二日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時四分散会      —————・————— ○本日の会議に付した事件  一、日程第一 失業対策確立に関する決議案  一、標準義務教育費に関する緊急質問  一、義務教育費確保に関する決議案  一、引揚問題についての官房長官談及び失業、税金問題等に関する緊急質問  一、日程第二 文化財保護法案  一、日程第三 熱海国際観光温泉文化都市建設法案  一、日程第四 伊東国際観光温泉文化都市建設法案  一、日程第五 住宅金融公庫法案  一、日程第六 漁船法案  一、日程第七 水産資源枯渇防止法案  一、日程第八 海上保安庁法の一部を改正する法律案  一、日程第九 大蔵省設置法の一部を改正する法律案  一、日程第十 一般職職員給與に関する法律制定施行に伴う関係法律整理に関する法律案  一、日程第十一 滅失鉱業原簿調製等臨時措置法案  一、地方税法案  一、地方財政委員会設置法案  一、地方財政平衡交付金法案  一、予防接種法等による国庫負担の特例等に関する法律案  一、水産業協同組合法の一部を改正する法律案  一、運輸省設置法及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案  一、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、海上保安監部及び海上保安部の設置に関し承認を求めるの件  一、会計検査院法の一部を改正する法律案  一、公衆浴場法の一部を改正する法律案  一、クリーニング業法案  一、兒童福祉法の一部を改正する法法案  一、日程第十二及び第十三の請願  一、日程第三百二の陳情  一、日程第十四乃至第十八の請願  一、日程第三百三の陳情  一、日程第二十二乃至第五十の請願  一、日程第三百七乃至第三百十六の陳情  一、日程第五十一乃至第六十九の請願  一、日程第三百十七の陳情  一、日程第七十乃至第百四十四の請願  一、日程第三百十八乃至第三百三十の陳情  一、日程第四十五乃至第二百三十五の請願  一、日程第三百三十一乃至第三百四十八の陳情  一、日程第二百三十六乃至第二百四十二の請願  一、日程第三百四十九乃至第三百五十三の陳情  一、日程第二百四十三乃至第二百四十五の請願  一、日程第三百五十四の陳情  一、日程第二百四十六乃至第二百五十八の請願  一、日程第三百五十五乃至第三百五十九の陳情  一、日程第二百五十九乃至第二百七十七の請願  一、日程第三百六十乃至第三百六十五の陳情  一、日程第二百七十八乃至第三百一の請願  一、日程第三百六十六乃至第三百七十九の陳情