○河井彌八君
議題となりました引揚同胞対策
審議会
設置法の一部を
改正する
法律案、同家行政組織法の一部を
改正する
法律案、この二案につきまして、順次内閣
委員会においての
審査の
経過並びに結果を御
報告いたします。
引揚同胞対策
審議会の
設置法の一部を
改正する
法律案の要旨は、この
法律の附則第七條におきまして、この
審議会の存続期限をばこの
法律施行後二年を限
つて置くということにな
つておりますのを、施行後三年と改めるというのであります。即ち本年九月から更にもう一年間この
法律を存続させようという趣意であります。これは衆議院の
提出の
法律案でありまして、只今申述べたような修正を加えなければならない理由といたしましては、まだ引揚事務は相当に残
つておるのみならず、遺家族等の保護、帰還者の更生対策、或いは又帰還者の在外資産処理というような大切なことでありまして、引揚の促進と共にこれを推進しなければならぬというのであります。従いまして今日の
実情から見ますると、今年八月末日を以てこの
審議会が
廃止消滅するということになりますることは、適当でないというのであります。
内閣
委員会は
委員会を開くこと三回、そうしていろいろな点について検討しましたが、主なことを申上げますると、その一つとしては、引揚促進、遺家族等の援護、帰還者の更生対策、その在外資産等につきまして、
審議会はどれだけ仕事をしたかということを
審査したのであります。それにつきましては
審議会は十一の決議をいたしまして、これはすべて内閣総理大臣に出し、内閣総理大臣から関係各大臣に通達をいたしまして、その決議の内容はそれぞれ着々実現せられておるということであります。第二は、帰還者の更生対策、在外資産等の問題は、引揚が完了いたしました後にも尚残された大きな問題でありまして、これについては
政府も将来十分努力をいたすということであります。尚、
本案の
審議に当りまして、
委員の中から、未帰還者の数について
政府においてできるだけ綿密な
調査を進めて欲しいという希望が述べられたのであります。内閣
委員会は昨日、
本案について
採決をいたしましたところ、
全会一致を以て可決すべきものと議決いたした次第であります。
次に国家行政組織法の一部を
改正する
法律案について御
報告申上げます。
この
改正案は衆議院において一部修正が加えられたものでありまして、その修正の加わつたものを
議題として
審査をいたした次第であります。そこで
本案で以て
改正する要点を簡單に申上げますと、第一は、只今本日の会議で可決せられました
国家公務員の
職階制に関する
法律案、これに関連いたしまして必要なる
調整を加えた点であります。即ちこの
法案におきましては、
職階制による職級の名称が、その職級に属するすべての官職の公式の名称とな
つておりますが、他方におきましては、行政の
運営等の必要から、この組織上の名称、その他、公の名称を設けてこれを使用することを妨げないということにな
つておりますので、これに対応いたしまして、国家行政組織法に
規定せられておりまする職には、事務次官、局長、部長、課長等の組織上の名称を附することを明らかにいたしたのであります。これが第一点であります。第二点は、国の行政機関でありまするところの府、省及び庁の官房、局及び部に、官房長、次長を置き、又同じく国の行政機関であるところの
委員会の事務局に、局長、次長を置き、更に又府及び省にその内掌事務の一部を総轄整理する職、例えば通商監であるとか、財務官、電気通信監、技監等のごとき職を置く場合には、
法律でこれを定めなければならぬという制限
規定を設けた点であります。現在これらの職を置きます場合は、多くは各行政機関の
設置法でそれぞれ
規定しているのでありまするけれども、国家行政組織法の
規定の上では、これらの職を置く場合は
法律によらなければならないという制限がないのでありまして、これらの職につきましても、その濫設を防ぎ、行政機構の簡素化を図る上から
本案のように
改正して制限を加えて置く必要があるからであります。第三点は、各行政機関の
設置法におきまして、府、省、本部の官房又は局に設置されておりまする部及び外局の庁に設置されておりまする局の存続期限の延長に関する点であります。これらの部及び局は、国家行政組織法の附則によ
つて本年五月三十一日まで置くことができるということにな
つておるのでありまするが、更にこれを一年間延長せんとするものであります。
元来、国家行政組織法は、国の行政組織の基準を定めておる基
本法でありまするので、内閣
委員会におきましては
委員会を開くこと四回、そうして極めて愼重に
審議をいたしたのであります。その結果、更に一部の修正を加える必要を認めましたので、その修正をいたしたのであります。
その大要を申上げますと、第二十條第二項の
改正規定によりますると、組織法の第七條の
委員会に長又は次長若しくはこれに準ずる職を置く場合は、
法律の定めるところによらなければならないということにな
つております。現在の
法律で以て各種の
委員会に局が置かれているものがありまするけれども、その中にはこれに局長或いは次長を置く旨の
規定が欠けているものが四つあるのであります。そこで第二十條第二項の
改正規定ができまする以上は、
委員会の設置を
規定いたしておりまするこれらの
法律の中に局長又は次長を置く旨の
規定を設けることが当然必要とな
つて参るのでありまするから、この修正を出したのであります。修正の点につきましては詳しく申しませんが、この四つの
委員会を
規定している統計法、
外国為替管理委員会設置法、公共企業体労働関係法及び
労働組合法の一部を
改正いたしまして、それぞれ「事務局に局長の外
所要の
職員を置く。」ということを定め、又只今申しました中の
労働組合法の一部
改正については、事務局に「事務局次長二人以内」を置くということにしたのであります。これは即ち衆議院において修正せられた点を更に明確にしたということでありまして、別段新らしい修正ではないのでありますが、これによ
つて行政組織法の完備を見ると考える次第であります。
大体さような内容でありますが、
委員会においての
質疑応答等について簡單に申上げます。第一は、国家行政組織法は只今申上げました通り国の行政組織の基準法でありまして、国の行政機関であるところの府、省、
委員会及び庁に置かれる内部部局の設置を規正すると共に、又
本案におきましては、これらの内部部局に長又は次長のごとき職を置く場合には
法律の
規定を必要とする旨を明らかにいたしまして、内部部局や官職の濫設のないことを期しているのであります。ところが現在の組織法の上におきましては、これらの行政機関の附属機関であり直接には全然行政権を発動していないところの
審議会或いは協議会に事務局を附置しておるものが少数でありますが存在しておるのであります。そうしてこれには事務局長が置かれておるのであります。勿論これらの事務局は
法律の
規定で置かれておるのでありまするから、法の形式論から論ずれば敢えて違法というわけではないのでありまするけれども、併し基
本法たる国家行政組織法の立法の精神には反するものであろうという
意見が強かつたのであります。又次には、仮に
審議会や協議会等において事務局を置くことは組織法の立法の精神に反しないといたしましても、行政組織を明確に
規定するためには、必要ある場合には
審議会・協議会等に事務局を置くことができるという趣意の
規定を行政組織法に設ける必要がある。それと同時に、又他面におきましては、本
改正案第二十條第二項におきまして、
委員会の事務局に長や次長を置く場合は法の定めるところによらなければならないという明白な
規定をいたしております以上は、
審議会・協議会等の事務局に長又は次長を置く場合にも同様に
規定して置く必要があるであろうという、この二つの点が強く主張せられたのであります。これに対しまして、本多行政
管理庁長官は
政府を代表いたしまして、
審議会・協議会等附属機関の事務局附設に関する問題については今日やや濫設の傾向がある、
政府は国家行政組織法制定以来、各種の
審議会・協議会等附属機関
運営の経験から、これらの問題について十分な検討を加えておるのであ
つて、これは将来行政組織法を大幅に
改正したいという考えがあるということを申したのでありまして、
委員会はこの言明を信頼いたしまして、この問題につきましては
本案に
賛成することにいたした次第であります。もう一つの点は、附則第二十四條の二の
改正規定でありますが、これは前にも申しました通り、各行政機関の
設置法におきまして、府、省、本部の官房又は局に設置されておりまするところの部、及び外局の庁に設置せられておりまするところの局の存続期限をば尚一年間延長せんとする
規定であります。これは国家行政組織法の建前から見ますると、これらの部及び局は実は設置することができないのでありまして、昨年の第五国会におきまして
政府が行政機構改革を行いました際に、従前置かれておつたこれらの部及び局をば全部
廃止してしまうことは行政
運営の面から差支えがあるから、将来
政府が根本的な行政機構改革を行うときまで暫らく現状のままに存続をして貰いたいという
政府の強い要望があつたのであります。そこで当時本院におきましては、国家行政組織法の一部を
改正する
法律の施行の日から一年間、即ち今年の五月三十一日まで暫定的にこれらの部と局の設置を認める旨の修正をいたしたのであります。従
つて政府はこの
規定に従
つてこの一年間即ち本年の五月三十一日までに適当にこれらの部と局の整理をなす責任を負
つておるのでありまするが、併しこれは今期国会会期中にはそれが果されなかつたのであります。これにつきましても
委員の間に種々の議論がありましたが、本多行政
管理庁長官は、この部と局とは国家行政組織法上変例であるから、これを整理する必要を十分認めているから、今後行政機構について十分な検討を加えた上で、来年の五月三十一日までにこれらの整理ができるように努力するということを言明いたしました。
委員会はこれ又この
政府の言明に信頼いたしまして
本案に
賛成することに決めた次第であります。かような
審議の
経過を辿りまして、本日只今朗読のこの修正案、これは城
委員、三好
委員から
発議されているものでありますが、三好
委員からこれの説明をいたし、そうしてこの修正を加えて組織法の
改正案を
採決いたしましたところが、
全会一致を以て可決すべきものと議決したのであります。そうして尚、三好
委員は、行政組織を確立するためには沢山の問題が残
つているから、
委員会においてもこれまで随分
審議を盡したが、
政府においてもこの未解決のものを解決するように努力することを望むという
意見を述べました次第であります。かような次第を以ちまして、国家行政組織法の一部を
改正する
法律案の御
報告を終ります。(
拍手)