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1950-04-29 第7回国会 参議院 本会議 第48号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月二十九日(土曜日)    午前十時三十九分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第四十六号   昭和二十五年四月二十九日    午前十時開議  第一 富裕税法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第二 米国対日援助見返資金特別会計からする電気通信事業特別会計及び国有林野事業特別会計に対する繰入金並びに日本国有鉄道に対する交付金に関する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第三 昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担特例に関する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第四 貴金属管理法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第五 関税法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第六 国家公務員等旅費に関する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第七 租税特別措置法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第八 国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第九 昭和二十五年の所得税の六月予定申告書提出及び第一期の納期特例に関する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一〇 国家公務員職階制に関する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一一 狩猟法の一部を改正する法律案伊達源一郎君外九名発議)(委員長報告)  第一二 判事補の職権の特例等に関する法律の一部を改正する法律案伊藤修君外六名発議)(委員長報告)  第一三 生活保護法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一四 日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一五 昭和二十三年度国有財産増減及び現在額総計算書委員長報告)  第一六 昭和二十三年度国有財産無償貸付状況計算書委員長報告)  第一七 図書館運営委員長報告  第一八 教職員給與ベース改訂および越冬資金支給に関する請願(十二件)(委員長報告)  第一九 公務員給與ベース改訂等に関する請願(二十二件)(委員長報告)  第二〇 鳥取市外地域地域給支給指定地域より除外反対請願委員長報告)  第二一 公務員超過勤務手当完全支給請願(二件)(委員長報告)  第二二 公務員職階級頭打ち号俸是正に関する請願委員長報告)  第二三 大阪府下都市等地域給引上げに関する請願委員長報告)  第二四 公務員超過勤務手当率引上げ等に関する請願委員長報告)  第二五 市に合併地域公務員地域給支給請願委員長報告)  第二六 公務員勤務地手当地域差制度改正に関する請願委員長報告)  第二七 市に合併地域教職員地域給支給請願(二件)(委員長報告)  第二八 群馬県富岡町公務員地域給乙地指定請願委員長報告)  第二九 国立病院医師待遇改善に関する請願委員長報告)  第三〇 埼玉県鴻巣町の地域給引上げに関する請願委員長報告)  第三一 公務員地域給改訂に関する請願委員長報告)  第三二 国立療養所職員給與改善に関する請願委員長報告)  第三三 旗等物品税免税点引上げに関する請願委員長報告)  第三四 協同組合に対する課税免除または軽減請願委員長報告)  第三五 農業協同組合に対する課税軽減請願委員長報告)  第三六 農業課税適正化に関する請願委員長報告)  第三七 身辺細貨物品税小売課税改正請願委員長報告)  第三八 生活協同組合課税反対請願委員長報告)  第三九 生活協同組合および労働組合課税反対請願委員長報告)  第四〇 勤労学生所得中一部所得税免除に関する請願委員長報告)  第四一 衛生かばん物品税課税対象明確化に関する請願委員長報告)  第四二 洋画の額縁および画架、絵具箱等物品税撤廃または軽減に関する請願委員長報告)  第四三 長崎県為石港に避難港築設の請願委員長報告)  第四四 岩手下漁港災害復旧工事促進に関する請願委員長報告)  第四五 田老漁港修築工事施行に関する請願委員長報告)  第四六 釜石漁港修築工事促進に関する請願委員長報告)  第四七 漁船保險事業経営刷新に関する請願(六件)(委員長報告)  第四八 船舶漁港拡張工事施行に関する請願委員長報告)  第四九 石川県安宅新町の海中障害物除去に関する請願委員長報告)  第五〇 松川漁港築港に関する請願委員長報告)  第五一 対馬高浜漁港防波堤築設に関する請願委員長報告)  第五二 瀬戸内海漁業の行詰り打開に関する請願委員長報告)  第五三 和歌山県須江漁港船揚場拡張工事費等国庫補助に関する請願委員長報告)  第五四 九十九里浜沿岸漁業遠洋漁業転換長期資金融通に関する請願委員長報告)  第五五 波崎漁港修築費国庫補助に関する請願委員長報告)  第五六 千葉県御宿漁港修築費国庫補助に関する請願委員長報告)  第五七 下諏訪、丸子両町間の国営バスを上田市まで延長の請願委員長報告)  第五八 岩手広田湾小赤磯岩航路標識燈設置請願委員長報告)  第五九 遠江二俣、明知両駅間に鉄道敷設請願委員長報告)  第六〇 自動車運送事業企業経営体分割に関する請願委員長報告)  第六一 唐津港に公共船員職業安定所設置請願委員長報告)  第六二 自動車行政地方公共団体移護反対に関する請願委員長報告)  第六三 四国循環鉄道開通促進に関する請願委員長報告)  第六四 気象官署定員増加に関する請願委員長報告)  第六五 油津港に公共船員職事安定所設置請願委員長報告)  第六六 中国勝山、南谷両駅間に鉄道敷設促進請願委員長報告)  第六七 相生、西大寺両駅間の鉄道敷設工事再開に関する請願委員長報告)  第六八 造船科学技術総合研究所設置に関する請願委員長報告)  第六九 菓子の統制撤廃に関する請願(二件)(委員長報告)  第七〇 毛織物の差益金免除に関する請願委員長報告)  第七一 塗料の統制撤廃に関する請願委員長報告)  第七二 国産油脂統制解除に関する請願委員長報告)  第七三 大豆を除く豆類の統制および公定価格廃止に関する請願委員長報告)  第七四 労務者用配給物資特別価格設定請願委員長報告)  第七五 労務用物資特別価格設定請願委員長報告)  第七六 肥料価格引上げ反対に関する請願(二件)(委員長報告)  第七七 労務用物資特別価格設定等請願(二件)(委員長報告)  第七八 教職員給與ベース改訂に関する陳情(三件)(委員長報告)  第七九 公務員給與ベース改訂に関する陳情(二件)(委員長報告)  第八〇 公務員の起過勤務手当完全支給に関する陳情委員長報告)  第八一 久慈漁港修築に関する陳情委員長報告)  第八二 大川河口帆漁港修築に関する陳情委員長報告)  第八三 燒津漁港整備費全額国庫補助に関する陳情委員長報告)  第八四 漁船保險事業経営刷新に関する陳情委員長報告)  第八五 漁区拡張に関する陳情委員長報告)  第八六 魚類卸売市場手数料引上げ反対に関する陳情委員長報告)  第八七 開港場境港の維持に関する陳情委員長報告)  第八八 深浦港に防波堤築設の陳情委員長報告)  第八九 五大都市交通行政に関する陳情委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 諸般報告は朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) これより本日の会議を開きます。  この際、日程第一、富裕税法案日程第二、米国対日援助見返資金特別会計からする電気通信事業特別会計及び国有林野事業特別会計に対する繰入金並びに日本国有鉄道に対する交付金に関する法律案日程第三、昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担特例に関する法律案日程第四、貴金属管理法案日程第五、関税法の一部を改正する法律案日程第六、国家公務員等旅費に関する法律案日程第七、租税特別措置法等の一部を改正する法律案日程第八、国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案日程第九、昭和二十五年の所得税の六月予定申告書提出及び第一期の納期特例に関する法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)、以上九案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議ない」と呼ぶ者あり〕
  4. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。大蔵委員長木内四郎君。     —————————————    〔木内四郎登壇拍手
  5. 木内四郎

    木内四郎君 只今議題となりました富裕税法案大蔵委員会における審議経過並びに結果について御報告いたします。  本案所得税補完税といたしまして、今回新たに創設されるものでありまして、本法課税時期即ち毎年十二年三十一日において本法施行地住所又は一年以上居所を有する個人と、本法施行地住所又は一年以上居所を有しない個人で、この法律施行地財産を有している者に対して課税せられるのであります。課税標準計算は、前者につきましては、その者の有する財産価額から課税時期において現に存するところの公租公課を含む債務金額を控除した金額を、又その後者につきましては、その者の有する本法施行地にある財産価額からその財産にかかるところの債務金額を控除した金額課税価格とすることになつております。  次に免税点及び税率でありますが、課税価格が五百万円以下であるときは課税しないことになつております。五百万円を超える金額に対しましては最低千分の五から、五千万円を超える金額に対しては最高千分の三十に至る超過累進税率によることになつておるのであります。  次に、財産評価原則として課税時期における時価によるのでありますが、地上権永小作権有価証券年金等、特殊な財産については、それぞれ評価方法規定されておるのであります。又納税、更生及び決定、再調査審査及び訴訟、罰則等については、大体所得税に準ずることとなつております。  本案審議に当りましては各委員より熱心なる質疑がありましたが、その詳細は速記録により御承知を願います。かく質疑を終了し、討論に入りましたところ、森下委員より、税率が低いこと、及び文化財保護の精神からして国宝は免税すべきであるとの反対意見が述べられ、油井委員より、本案の内容には矛盾する点があるが、将来改正することを希望する旨の賛成意見が述べられ、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、米国対日援助見返資金特別会計からする電気通信事業特別会計及び国有林野事業特別会計に対する繰入金並びに日本国有鉄道に対する交付金に関する法律案について申上げることにいたします。  昭和二十五年度の予算におきましては、米国対日援助見返資金から電気通信事業特別会計へ百二十億円、国有林野事業特別会計へ三十億円を繰入れることになつております。又日本国有鉄道へは四十億円を交付することになつておりますので、これらに伴うところの法的措置をいたしますと共に、その繰入又は交付を受けた金額については、おのおのこれらの特別会計固有資本増加として経理せしめるために必要なる規定を設けようとするものであります。  本案審議経過につきましては速記録によつて承知を願いたいと思います。かく質疑を終了いたして、討論採決の結果、全会一致を以て衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担特例に関する法律案について申上げます。  災害復旧費の激増に伴い、地方財政相当過重負担を與えておりまする実情に鑑みまして、差当り昭和二十五年度に限り、地方公共団体が施行する災害復旧事業費については全額国庫負担といたしまして、罹災地方公共団体財政負担軽減を図ると共に、災害復旧事業の円滑なる運営を期せんとするものであります。その主なる点を申上げますと、現在土木施設災害復旧費に対しましてはその三分の二が国庫負担となつておりますが、今回この制度を改めまして、地方公共団体が維持管理する公共的土木施設災害復旧事業であつて、而も地方公共団体が施行するもののうち、原則といたしまして一件十五万円以上のものについては全額国庫負担といたそうとするものであります。又国がみずから災害復旧事業を行う場合には地方公共団体から分担金を徴收することになつておりまするのを、公共的土木施設に関する災害に対しては、二十五年度に限り、その負担金の全部又は一部を免除しようとするものであります。次に、本法律の適用を受ける災害及び災害復旧事業の意義を明確に定めると共に、本法律実施のための手続等については政令によつて定めようとするものであります。本案審議に当りましては、地方行政委員会建設委員会連合審査なす等、愼重に審議いたしたのでありますが、その詳細につきましても速記録によつて承知を願いたいと思います。かく質疑を終了いたしまして、討論に入り、採決の結果、全会一致を以て衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  次に貴金属管理法案について申上げます。  御承知のごとく、外国貿易の趨勢に伴い、貴金属、特に金の国際決済手段として果す役割はますます重要性を加えつつある実情に鑑みまして、従来貴金属管理について規定しておりました産金法及び金銀又は白金等地金又は白金等取引等取扱に関する件等廃止いたしまして、国際收支改善その他の国民経済上有効な用途に充てるため、貴金属政府への集中並びにその取引及び使用の調整に関する総合的な管理方式を確立しようというのが本法律案目的であります。本案現行法規との相違点を申上げますと、政府に集中された貴金属地金の中、国内で売却するものについて適切な配分計画を立て、これに基いて工業・工芸その他最も有効な用途のために売却することといたしました。又従来は金銀及び白金等地金について行なつておりました国内取引統制金地金についてのみ行おうとするものであります。更に金鉱業金精錬業等生産面に、おける取締廃止すると共に、歯科用資金属地金加工業及び販売業等に関する取締方法整備するの外、罰則規定強化しようとするものであります。委員会における審議の詳細は速記録によつて御覧を願いたいと思います。かく質疑を終了いたしまして、採決の結果、これ又全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に関税法の一部を改正する法律案について申上げます。  本案改正点を申上げますと、昨年十二月外国為替及び外国貿易管理法が施行せられ、それに伴つて財産及び貨物輸出入取締に関する政令が本年六月三十日を以て廃止されることと相成りまするので、同政令規定されておりましたところの旅客の携帶品についての取締規定を新たにこの法律に挿入しようとすること、又輸入免許貨物引取りの場合における関税担保範囲を拡大いたしまして、国債等担保となし得るようにすること、更に最近密貿易質量共に悪化しつつある現状に対処いたしまして、輸入禁制品密輸入犯関税逋脱犯、無免許輸出入犯等罰則調整強化密輸出入物件処分規定明確化税関官吏調査権限拡大等所要改正をいたそうとするものであります。本案審議の詳細につきましては速記録によつて承知を願います。かく質疑を終了し、討論に入りましたところ、油井委員より密輸出入取締強化について、又小宮山委員より罰則強化について希望意見が述べられ、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に国家公務員等旅費に関する法律案について申上げます。  国家公務員等旅費については、昭和二十三年七月内国旅行旅費について、又昭和十八年八月外国旅外旅費について、それぞれ定額改訂行なつたまま概ね今日まで据置きとなつており、実情に副いませんので、これが全面的改正をいたそうとするものであります。改正の第一点は、従来内国及び外国旅費規則の二本建となつておりましたものを、今回一本の法律に統合して規定しようとするものであります。第二点は、国内旅費定額については三割程度の引上げを行い、又外国旅費につきましては連合軍最高司令部職員旅費定額を参酌いたしまして、旅行先別旅費定額規定しようとするものであります。又新たに旅費請求手続旅行命令等に関する規定を設け、旅費の濫費を防止する外、諸規定整備をなさんとするものであります。委員会における審議の詳細はこれ又速記録によつて承知を願いたいと思います。かく質疑を終了いたしまして、討論に入り、油井委員より旅費の運用について万全を期せられたい旨の希望意見が述べられ、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものて決定いたしました。  次は租税特別措置法等の一部を改正する法律案について申上げます。  本案は、外国資本外国技術の適正な導入を促進するために所得税課税上の特別措置を講ずると共に、この際、所得税法等改正富裕税新設等に伴いまして、これら諸税の課税標準等特例改正又は新設をも併せて行おうとするものであります。所得税課税上の特例について申上げますと、先ず第一は、我が国住所又は一年以上の居所を有していない個人等が適法に外貨で取得いたしました我が国立社債利子所得に対する源泉所得税率を百分の二十から百分の十に引下げようとする点であります。第二は、外国資本又は外国技術導入を必要とする重要産業を営む外資法人に勤務する者、及び重要産業を営む法人科学技術指導改善のために招聘せられたもので、我が国に一年以上居所を有してはいるけれども住所を有していない者の昭和二十七年から昭和三十年までの各年分給與所得又は退職所得につきまして、三百五十万円を最高限として、その收入額の五割を控除しようとする点であります。第三は、重要産業を営む外資法人の活動を容易にし且つ外国資本の適正な導入を促進するに役立つ銀行業務等を営む法人に勤務する者、公認会計士等自由職業を営む者、大学又は高等学校の教育及び牧師その他宗教の布教に従事する者についても同様の特例を設けようとする点であります。第四は、外国人の非円通貨所得については所得税を課さないのでありますが、この取扱は近く廃止予定でありますので、この場合、急激な負担増加を避けるために、この措置実施前に合法最に我が国で非円通貨所得を有していた者及びこの措置実施後に合法的に入国した者に限り、昭和二十五年分及び昭和二十六年分所得についても同様の特例を設けようとする点であります。本案審議経過の詳細も又速記録によつて承知を願いたいと存じます。かく質疑を終局し、討論採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものて決定いたしました。  次に国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案について申上げます。  本案諸般の情勢の変化と実施実情とに鑑み、次の諸点について所要改正を加えようとするものであります。先ず第一は、既給年金受給者昭和二十三年十一月三十日以前における俸給等を基準として算定せられておる年金は、現行法では三千七百円水準となつておりますが、これを昭和二十五年一月分以降六千三百円水準まで引上げようとする点であります。第二は、法務府設置法改正等に伴い、組合設置区分につき若干の改正を加えようとする点であり、又第三は、組合が行う事業に対する非課税範囲を若干拡張しようとする点であります。本案審議経過の詳細につきましては速記録によつて承知願いたいと思います。かく質疑を終局いたしまして、討論に入り、藤井丙午委員より、日本製鉄八幡共済組合及び旧海軍共済組合等年金受給者に対しても同様の恩典に浴せしめるよう速かに適当な法的措置を講ぜられたいとの要望を付して賛成意見が述べられ、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  次に昭和二十五年の所得税六月予定申告書提出及び第一期の納期特例に関する法律案について申上げます。  改正所得税法は本年四月一日から施行されたのでありますが、今般の改正は画期的な措置でありまして、その趣旨の周知徹底を十分ならしめる必要もあり、又昭和二十四年度分の徴税状況をも参酌いたしまして、本年に限り、所得税の六月予定申告書提出期日及び第一期の納期をそれぞれ一ケ月繰延べる特例を設けようとするものであります。委員会審議経過につきましてはこれ又速記録によつて承知願いたいと思います。かく質疑を終了し、討論採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  以上九法案に対する御報告を終ります。(拍手
  6. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 富裕税法案に対し討論通告がございます。発言を許します。中村正雄君。    〔中村正雄登壇拍手
  7. 中村正雄

    中村正雄君 只今議題となりました富裕税法案に対し、日本社会党を代表いたしまして反対いたします。  そもそも富裕税は新らしい所得税補完税と考えられたものであります。即ち新所得税法におきまして、高額所得に対する税率最高五五%に押えて、高額所得に比較的低率に課税いたしております関係上、社会政策的見地から好ましくないので、富裕税を新たに設けて、所得税から免れた高額所得をそれによつて補完しようとするのが狙いであります。然るに今問題になつておりまする富裕税法案を見ますると、課税対象の捕促において幾多の問題があるばかりでなく、特に税率の点におきまして重大な問題があるわけであります。即ち税率は千分の五という低率に始まりまして、最高僅かに千分の三十即ち百分の三という低率に過言ないのであります。かくては、所得税率最高を五五%という低率に押えて高額所得の方は富裕税で補完しようとする目的は到底達せられないことは明らかであります。これを別な見地から申しますならば、單に名目的富裕税を設けることによつて所得税率最高を五五%に押えることの口実を作るに過ぎないものであるということができるわけであります。即ち一種の仮裝の手段といたしましてこの富裕税法は利用されているに過言ないものと考えるわけであります。私達が反対する最も根本最なものはこの点にあるということを特に主張いたしまして、反対討論を終るわけであります。(拍手
  8. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) これにて討論通告者発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これよの採決をいたします。先ず富裕税法案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  9. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  10. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 次に米国対日援助見返資金特別会計からする電気通信事業特別会計及び国有林野事業特別会計に対する繰入金並びに日本国有鉄道に対する交付金に関する法律案昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担特例に関する法律案貴金属管理法案関税法の一部を改正する法律案国家公務員等旅費に関する法律案租税特別措置法等の一部を改正する法律案国家公務員共返組合法の一部を改正する法律案昭和二十五年の所得税の六月予定申告書提出及び第一期の納期特例に関する法律案、以上八案全部を問題に供します。八案に賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  11. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 総員起立と認めます。よつて八案は全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  12. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 日程第十、国家公務員職階制に関する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。人事委員長中井光次君。     —————————————    〔中井光次登壇
  13. 中井光次

    中井光次君 只今議題となりました国家公務員職階制に関する法律案につきまして、人事委員会における審議経過並びにその結果の概要を御報告申上げます。  本法案は、過ぐる第六国会に提出せられ、本委員会に予備審査のため付託せられたのでありまするが、委員会としては本法案重要性に鑑み、広く国民各層の意見を反映せしむるため公聽会を開き、愼重審議を重ねましたが、法案重要性と会期の切迫に伴い、衆議院において審議未了となり、参議院に送付される運びに至らなかつた次第であります。次いで去る十二月四日、本国会に再び提出され、三月二十五日衆議院よりの修正案が送付せられて本付託となつたものでありまするが、その間今日まで審議を重ねること二十数回、我が国の官吏制度の根本的改革に至大の影響を及ぼす本法案について、当委員会は終始愼重且つ熱心なる審議を重ねて参つたのであります。  本法案の提案理由は、国家公務員法第二十九條の規定に基き、一般職に属する官職に関する職階制の確立に資することを目的として提出されたものであります。本法案の要旨とするところを申上げますると、先ず第一に職階制目的を明確にしたことでありまして、現在雑然とした無数の官職を体系立つたものに分類整理いたしまして、給與、試験、任免及び教育訓練など、各般の人事行政の運営の基本的な道具としようとすることであります。第二は、右の目的に副うべく官職の分類を行うための基本方針を定めたことであります。即ち官職を職務の種類及び複雑と責任の度に応じて職種及び職級に分類する方法の根本原則を明らかにしているのであります。第三には、右の方針に基いて職種及び職級を決定することを人事院の権限としたことであります。第四は衆議院で修正された点でありまするが、人事院が職種を決定したときは国会にその名称及び定義を提出することとして、国会の職階制実施に対する監督的規定を設けたことであります。第五に、具体的に各官職をその最もふさわしい職級に編入する官職の格付、その他職階制実施に当つての人事院の権限並びにその手続を定めたことであります。  次に法案審議に当つて質疑の主なるものを申上げまするが、その第一は、国家公務員法第二十九條第一項に「職階制は、法律でこれを定める」と規定しておるのに拘わらず、本法案職階制制定の方針に規定するにとどまり、職階制の具体的内容については何ら触れるところなく、一切これを挙げて人事院に委ねている、そういうことは国家公務員法と矛盾牴触するのではないかという点であります。次は、同條第四項に職階制に関する計画はこれを国会に提出してその承認を受けなければならない旨の規定があるのでありまするが、この規定と本法案との調整を如何にするかということでありました。以上の点に対して政府当局よりは、前者については、職階制の極めて專門的且つ技術的な性格と不断に変移流動せしむることを要する本質とに鑑み、官職の分類整理の基準を法律で定めることより以上に詳細に定めることの極めて困難にしてむしろ不可能に近いゆえんを述べて、その具体的内容は人事院に委ねられたいとの答弁があり、後者については、本法案職階制実施の計画とみなさざるを得ない立法当初の事情と解釈上の理由を述べ、改めて国家公務員法第二十九條第四項の規定による計画承認を求める場合のなかるべきことを答弁しております。その他詳細については速記録によつて御了承を願いたいと存じます。  かく質疑も概ね終了いたしましたので、四月二十七日討論に入り、小串委員より賛成討論があり、次いで千葉委員より、本法案国家公務員法第二十九條の規定に違反するものであるとの理由で反対の討論があり、討論を終結、採決に入りましたところ、多数を以て衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。  以上を以て当委員会における審議経過並びにその結果を御報告といたします。(拍手
  14. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 本案に対し討論通告がございます。順次発言を許します。千葉信君。    〔千葉信君登壇拍手
  15. 千葉信

    ○千葉信君 公は只今上程になりました国家公務員職階制に関する法律案に対し、労農党を代表いたしまして反対の意見を表明いたします。  反対いたしまする第一の理由は、本法案国家公務員法第二十九條を事実上蹂躪しているという点でございます。御承知のごとく現行国家公務員法はマ書簡による修正において甚だしく歪曲せられ、殊に憲法第十四條に保障された政治的理由における行動の制限を初め、同じく第二十八條の団結する権利は、罷業権の剥奪によつてこれ又実際上労働権の否認と同様の悪法となつているのであります。にも拘わらず、若しも残された諸権利に対しても更に抑圧が加えられ、或いは又條文に関して公務員に不利な解釈が行われたりするならば、これは頗る重大な問題と言わざるを得ないのであります。例えば公務員法第二十八條による人事院勧告のごとき、立法の建前から言うならば、公共企業体労働関係法第三十五條に匹敵する最終の判決若しくは団体協約と同等に考えられ取扱われないならば、一体何によつて公務員諸君の最低生活が保障されましようか。先に反動吉田内閣の手によつて、事実上この公務員法第二十八條による人事院勧告が予算上の政治的事由によつて踏みにじられたことは、諸君すでに御承知の通りであります。然るに今又本法案におきましても、公務員法第二十九條が再び公務員にとつて不利な状態で取扱われようとしているのでございます。即ち本法案が成立し、更に給與準則が制定されますると、各職務に対して給與準則が適用されることになるのでありますが、給與が正しく公平に且つ適切に行われるために、公務員法におきましては、主としてその格付、調査、研究、立案を人事院に委任し、職階制並びに給與準則は立法又は国会の承認事項として明記されているのでありまして、殊に職階制に関する第二十九條にあつては、先程も委員長報告によりました通り、第一項は「職階制は、法律でこれを定める。」第二項、第三項におきましては職階制に関する具体的内容を表現し、更に第四項におきましては「前三項に関する計画は、国会に提出して、その承認を得なければならない。」こう明記されておりまして、特に第四項のごときは明らかにその措置を法定しているに拘わらず、第二項、第三項の指摘する具体的内容を有せず、職種分類表も職級明細書もない、單に基本的方針だけを連ねてこれを職階法なりとして提案して来ているのであります。職階法が本法案第一條に言うがごとく、行政の民主的運営、能率的運営に資しまする第一の條件は、申すまでもなく科学的に分類整理された各官職、各職級に対して、適切妥当な給與が行われるというところにあるのでありまして、このことを除いては單なる分類であり、單なる事務処理にしか過ぎなくなるのであります。然るに給與の基本法となるべき職階制が、今国家公務員法第二十九條を無視して、單に抽象的な骨組だけを職階制なりとしているのであります。実際上の職階制制定におけるその他の権限は挙げて人事院に委任するという頗る危險極まる法律であるのでございます。人事院がよくその職能と権限とを正しく果して参りましたならばとにかく公務員法における昨年九月十九日の人事院規則、公務員の政治的行為の制限に関する不当なる権限の行使のごとく、今又再びかくのごとき広汎なる権限を委任することに、公務員諸君は挙つて不安と不満を表明しつつあるのであります。本法案第一條第二項において、みずから「この法律規定は、国家公務員法のいかなる條項をも廃止し、若しくは修正し、又はこれに代るものではない。」と規定しながら、実際は、少くとも公務員法第二十九條第四項に関する限りにおいては、本法はこれを廃止し、若しくは修正しているのであります。我々は現行国家公務員法以上に公務員に不利益なる如何なる修正にも反対する。何故かならば、万人が認めるごとく、現行国家公務員法は、憲法に保障された最低の基本的権利さえも更に抑圧し、更に圧縮して作られたところの最悪の立法であるという立場から、これ以上はもはや公務員諸君の奴隷化以外にあり得ないからであります。  反対する理由の第二点は、本法制定から必然的に起つて来るところの賃金ベースの問題でございます。職階の正しい分類と職級の確立は、これが正しい適正な労働への反対給付となつて現われるのでなくては、決して本法が所期するがごとき行政の民主的、能率的運営を具現することはできないのであります。然るに現行給與体系は最低生活をも保障し得ないようなベース体系の生活給である。職階級確立による給與準則への移行は、公務員法第二十九條第五項にもありまする通り、暫定的な現行給與法の廃棄となつて現われるのでありまして、このことは必然的に能率給への切替を意味するし、又これなくしては本法制定の意義がない。ここに危險があるのであります。若しも我々の憂うるごとく、現行給與を以てそのまま能率給に切替えられたとしたら如何なる事態が起るか。従らに上下の懸隔が甚だしくなり、たださえ生活困難に喘ぐ下級公務員諸君をして、公務員の最大多数を占めるところの下級公務員をして、塗炭の苦しみに追いやる虞れなしとしないのであります。ドツジ・ラインに首枷を嵌められた政府であります。一言の抗弁も主張もなく、自主性を失つた予算を組む池田財政の政府であります。この虞れを我々は十分に持つものであります。特に現行六千三百七円ベースが物価との間に三〇%以上のギヤツプを有する現在におきまして、能率給への切替が企てられたといたしましたら、附則第四項に拘わらず、これは下級公務員の餓死を意味するし、不測の混乱を予想せざるを得ないのであります。所詮能率給への移行は、少くとも現状においては時期尚早であり、従つて職階制の確立はその意義頗る浅いと言わなければならないのであります。  以上を以て私の反対討論といたします。(拍手
  16. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 兼岩傳一君。    〔兼岩傳一君登壇
  17. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 私は日本共産党を代表して国家公務員職階制に関する法律案に反対の理由を申述べるものであります。  日本は今や建国以来の重大な危機に直面しております。この危機のよつて来るところは、これを説明すればいろいろありましようが、この危機の本質は、以下説明いたします最も根本的な点において一点あると思います。そうして今提出されているところのこの公務員職階制に関する法律案が、この危機の本質を食い止めることに役立つのか、この危機を更に推し進めて行くことに役立つかというところに、この法律案に対する我が党の判断の基準があるのでございまして、私はこの法律案こそが日本の目下の最大の危機であるところの独立と平和を最も急速に壞して行くという点を、以下証明いたしたいと考えます。  周知のように、今、日本は反共の拠点として育成されつつあります。反共的な国際勢力の軍事基地として日本は建設されつつあるのであります。このことの経済的な裏付けといたしましては何が行われておるか。即ち押付け輸入が行われておるのであります。食糧品その他の押付け輸入が行われておるのであります。日本の農業を育成する代りに日本の農業を破滅させるような外国の食糧が滔々と流れ込み、その他の不急不要のもろもろの商品が洪水のごとく流れ込んで来つつあるのであります。又これに対して、東南アジアの方面に対して、輸出しないでこれを国内の農業・工業その他の育成に使うべきところの肥料その他の戰略的な物資が、これが輸出されておるのであります。そうして最も重要なことは、かような性質の亡国的な輸出輸入の形でなくて、日本の勢力を、本当に日本の国民経済を養成するところの中国及びソ同盟との平和的な、且つ平等な、且つ双方がこれによつて富み栄えるところの貿易が殆んど全面的に近く拒否されておる。このことに問題の本質があるのであります。  ところで、かような、政治的には軍事基地化し、経済的には植民地的な貿易が行われるというこのことを推し進めるために、日本の経済にとつて最も根本的な点は、低賃金を維持することであります。食えない賃金を押付けることであります。すでに政府は、この打ち続く反動的な政府は、この三年間におきまして着々とそのことを推し進め、労働者階級は権利を剥奪され無権利になり、この食えないところの植民地的な賃金に対して反抗いたしますと、これに対してては苛烈なる彈圧が加えられるという形、公務員七十八万の、約百万に近い公務員に対しましても、この点は除外例ではございません。現在六千三百七円ベースという食えない賃金が押付けられておる。人事院でさえも、横文字を縦文字に飜訳しておるような法律を作つておるような見られるあの人事院でさえも、七千八百七十七円ベースを勧告いたしておりますが、政府はこれさえも採用しないで、ひどい賃金を押付けておる。而も只今提出されております国家公務員職階制の関する法律案は、そのような低賃金に固定して置して、食えない植民地な低賃金に苦しむ約百万に近い全官公の労働者諸君に対して、能率を高めるためと称して、奇妙な、非常に我々の常識で以ては分りにくいような、何とまるで日本的に消化されていないように職階制を持つて来ておるのであります。そうしてこの職階制、段階的に、縦と職種別、横にそれの階級、この縦と横との職階制という形を食えない賃金の基礎の上に持つて参りまして、非常に競争させて能率を高めようという、非常に賢明且つ冷酷なる法律案なのであります。このことが通過いたします結果、若しこれが通過しますその結果として何があるか。これは日本の労働関係において非常に重要な一役を担つております官庁労働者諸君の生活を一層困難にし、彼らの労働運動の内部に摩擦矛盾を持ち込みまして、これを一層困難にする。すでに官吏諸君は、憲法二十八條で保障されておりますところの勤労者の団結権、団体交渉、罷業権その他を剥奪されておりますが、この職階制法律によつて、一層この官庁職員諸君の生活は困難になり、上と下との矛盾が一層激化して来る。こうして先程申しました日本の基本的な、植民地的な政策としての、植民地的な低賃金、日本を軍事基地化するという方向に一層これによつて進められて行くということは、火を見るよりも明瞭なのであります。従つて日本は建国以来の困難に当面しており、独立は脅かされて植民地化が促進され、平和の方向でなくて戰争の方向に推し進められて行くということ方向は、更にこれによつて一層の、一層悪い方向に進めて行くという、私の最初に申しましたあの空前の危機を解決する方向でなくて、空前の危機を一層悪く推し進める方向に役立つということは極めて行瞭であり、日本共産党はこの意味におきまして、この売国的、且つ植民地的、且つ独立と平和に反するところのこの法律案に反対、断乎反対するものであります。(「大した詭弁だ」と呼ぶ者あり)  尚一言附け加えて置きたいことは、この法律が出ますと、もともと食えない給料の上に職階制が布かれるのでありますから、正直な職員は一生懸命働いてもいよいよ痩せ細つて行く、いわゆる正直者が馬鹿を見るという恰好、それから要領のいい人、官吏職員は、立身出世主義で人の上の方に上つて行こうとする、そこに官庁間の腐敗、最近営団等に現われました腐敗、その他のそういう副次的ないろいろ好ましからざるこの産物も出、又全体として官庁民主化を阻害する等々といういろいろな問題もございますが、併し私は時間の関係上、今は一切省略いたしまして、根本的な独立と平和、日本の独立と平和を阻害する法律案であるという、そのために低賃金を飽くまで守ろうとするものであり、そのために全官公百万近い我々の勤労者の生活を一層縛ろうとするものであるという、この本質的な一点において反対を表明することによつて反対討論を終るものであります。(「誰も賛成せんわい」と呼ぶ者あり)    〔副議長退席、議長着席〕
  18. 佐藤尚武

    議長(佐藤尚武君) 吉田法晴君。    〔吉田法晴君登壇
  19. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 私は日本社会党を代表して、只今上程中の国家公務員職階制に関する法律案反対討論をいたすものであります。  反対の理由の第一は、民主主義的傾向がむしろ後退せしめられようとしております現在の吉田自由重内閣の下において、今日この不完全な法律実施いたしますことは、官僚制度の温存にしか役立たない、身分的階級制度を作るにしか役立たない、こういう理由で以て反対するものであります。職階制はアメリカから学ばれたようでありますけれども、アメリカにおきますこの職階制は、民主主義の発達、これは建国以来の長い民主主義確立のための戰いを通じて、非常な犠牲を拂われて、而もその後長きに亘つて築かれたものでありますが、その一つとして、政党の発達、そしてその政党の発達によつて自由任用制度が活用され、自由任用制度に関連して猟官の弊害が起つて、初めて職階制が出て参つたものと考えるのであります。職階制それ自身につきましても四十年の歴史があると聞くのでありますが、日本のごとく真の民主主義発達の事実がない、基礎がない、そして終戰後民主主力的傾向の復活強化というポツダム宣言の精神に従いまして、民主主義的な傾向は順次育てられては参りましたけれども、吉田自由党内閣の成立以来、むしろこの民主主義的傾向の復活強化の方向は逆戻りさせられておる。この事実につきましては、私はここで例を挙げて詳しく申上げるまでもないと思うのでありますが、この今日において、我が国公務員制度、事務次官以下一般職に編入されておりますが、そうしてこの打破せられておりません官僚制度、残つておりますものといたしまして、これは最も封建的な要素を含めたものである、民主主義の徹底しておらぬこれは要素だと考えるのでありますが、これをこの職階制はむしろ温存する役割にしか役立たたない。尚これは職階制は一部すでに新給與実施法によつて実質的には公務員実施され、或いは民間においても実現を見ておると考えるのでありますが、実際は終戰後ありましたこの官庁において、或いは民間におきます人事管理の面と申しますか、人間の組織の中における民主主義的な傾向を阻止し、むしろ身分的、階級的制度を復活する役割を果し、そして組合運動に対する阻止の役割を演じておるという事実、これは私がここで例を挙げる暇を持ちませんけれども、はつきりいたしておる事実であります。要するに民主主義的な伝統の確立しておりません日本において、かかる職階制実施いたしますことは、官僚制度の温存と身分的階級制度を作るにしか役立たないから反対する。これが第一点であります。  それから給與と職階とは相関連しておること、国家公務員法或いは新給與実施法に鑑みましても明らかでありますが、政府は給與ベースについては、何らこれを上げてやる、変更する意図を持たず、六千三百七円平均賃金を押付けて置きまして、そうして不完全なる職階制を、官僚制度の維持と身分的階級制度を作ろうとする職階制を押付けるのであります。職階制を作りまして、従来の賃金をむしろ能率的に或いは職級、責任に応じて上に厚くしようという考えが入つておるのでありますが、そういたしますというと、下級の職員においては現在以下に給與が下るということは、これは明らかに断言することができるのであります。現在の給與ですらも、衆議院の公聽会において自治労連の伊藤公述人が名古屋における例を挙げて言つておられますように、六年程度の主事補、それで給與の水準は九千五百四十三円、生活保護法によつて貰います給與は一万二百八十一円、国家から貰う給與よりも同じような事情にある家族が生活保護法によつて貰う金が高いというような、而も給與は給與所得税を控除せられるのでありますが、そういう現在の給與水準職階制実施せられますならば更に下級職員においてひどくなるということは明らかであります。給與水準を上げてやることの方が先であるに拘わらず、給與水準は上げすして、職階制実施して、更に一層下級職員の給與を低下せしめんとするこの方向に対しては、結果に対しては、反対せざるを得ないのであります。  第三点は、国家公務員法第二十九條、これを先の国会において修正せられ、第一項及び第四項が挿入せられたのであります。国会でこの職階制は決める、或いは職階に関する計画は国会に提出して承認を経なければならぬという改正があつたに拘わらず今度の職階制に関する法律においては除かれておる。勝手に人事院が決め得ることになつておるのであります。これらの点は国会を無視する結果に立ち至り、先の国家公務員改正の国家の精神に反しますので、これが反対の理由の第三であります。  尚又職階制を決めるにつきましての民主的な手続がないとか、その他意見を述べられております者の殆んど盡くが或いは反対し修正しておりますという事実は、如何にこの国家公務員法の職階制に関する法律案が不十分であり、或いはこれは否決に価するかということを雄弁に物語つておると考えるのであります。十分の時間がありませんので論旨を盡しませんが、私は参議院が参議院の使命に鑑みまして、抑制機関としての使命を十分達せられ、公正なる批判力を以てこの法案に反対、否決せられんことを期待するものであります。無理が通れば道理が引込むというようなことでなくて、道理が通りますように、正義が通りますことを切に期待し、皆樣方の正しい判断をお願いしまして、社会党を代表して反対討論の趣旨とする次第であります。(拍手
  20. 佐藤尚武

    議長(佐藤尚武君) これにて討論通告者討論は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。  これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案の表決は記名投票を以て行います。本案賛成諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上御投票を願います。氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  21. 佐藤尚武

    議長(佐藤尚武君) 投票漏れはございませんか……投票漏れないと認めます。これより開票いたします。投票を計算いたさせます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算
  22. 佐藤尚武

    議長(佐藤尚武君) 投票の結果を報告いたします。投票総数九十五票、白色票即ち本案を可とするもの六十八票、青色票即ち本案を否とするもの二十七票、よつて本案は可決せられました。(拍手)      ——————————   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名      六十八名       飯田精太郎君    岡本 愛祐君       河井 彌八君    木下 辰雄君       來馬 琢道君    佐伯卯四郎君       宿谷 榮一君    新谷寅三郎君       高橋龍太郎君    伊達源一郎君       玉置吉之丞君    結城 安次君       藤森 眞治君    井上なつゑ君       宇都宮 登君    岡元 義人君       尾崎 行輝君    加賀  操君       小杉 イ子君    小宮山常吉君       中山 壽彦君    鈴木 直人君       竹下 豐次君    高田  寛君       松嶋 喜作君    川村 松助君       小林 英三君    野田 俊作君       玉屋 喜章君    水久保甚作君       宮城タマヨ君    村上 義一君       田口政五郎君    團  伊能君       横尾  龍君    寺尾  豊君       城  義臣君    堀末  治君       岡崎 真一君    西川甚五郎君       鈴木 安孝君    黒田 英雄君       平沼彌太郎君    石坂 豊一君       小杉 繁安君    石原幹市郎君       今泉 政喜君    黒川 武雄君       佐々木鹿藏君    入交 太藏君       鬼丸 義齊君    藤井 新一君       深水 六郎君    平岡 市三君       中川 幸平君    西山 龜七君       林屋亀次郎君    廣瀬與兵衞君       小串 清一君    山田 佐一君       大隈 憲二君    門屋 盛一君       中井 光次君    櫻内 辰郎君       木内 四郎君    谷口弥三郎君       岩木 哲夫君    淺井 一郎君     —————————————  反対者(青色票)氏名      二十七名       楠見 義男君    山崎  恒君       吉田 法晴君    田中 利勝君       岩崎正三郎君    島   清君       山田 節男君    下條 恭兵君       河野 正夫君    山下 義信君       兼岩 傳一君    千葉  信君       大野 幸一君    藤田 芳雄君       中平常太郎君    丹羽 五郎君       中村 正雄君    原  虎一君       若木 勝藏君    三好  始君       米倉 龍也君    三木 治朗君       波多野 鼎君    門田 定藏君       河崎 ナツ君    駒井 藤平君       岩男 仁藏君      ——————————
  23. 佐藤尚武

    議長(佐藤尚武君) 日程第十一、狩猟法の一部を改正する法律案伊達源一郎君外九名発議)を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。農林委員長楠見義男君。     —————————————    〔楠見義男君登壇拍手
  24. 楠見義男

    ○楠見義男君 只今議題となりました狩猟法の一部を改正する法律案伊達源一郎君外九名の本院議員諸君の御提案にかかるものでございますが、その提案の趣旨を提案者の説明せられるところによつて申上げますと、大体次の通りでございます。  即ち我が国におきましては、諸外国に比し一般に国民の鳥獸に対する認識が極めて薄く、有益鳥獸保護の方策も不徹底でありましたため、従来鳥獸は次第にその数を減じて来たのでありますが、戰時中の濫獲は特に著しく、更に森林の濫伐等は鳥獸の自然的生育の條件を奪うこととなりましたため、近時著しくその数を減じ、若しこのままに推移いたしまするときは、或る種の鳥獸は我が国から永久にその姿を消すこととなる虞れがあるのであります。又最近全国的に蔓延して森林に非常な損害を加えつつあります森林害虫の異常な発生は、害虫の天敵たる鳥類の激減によりますところが多く、松喰虫、野鼠その他の有害動物の繁殖により農林業等の蒙むる損害も決して少くない実情であります。かかる事態に対応いたしまして、本案は現行の狩猟法について、その施行の経過に鑑み、取締その他において実情に即した所要改善を加えますると共に、有益鳥獸につきましては、従来のごとく單にその捕獲を制限するだけでは不十分でありますので、この際、積極的にその保護繁殖を図ることにより、農林業等の発展にも資せんとするのであります。以上が本案の提案趣旨でございます。  次に本法案の主な内容について極く概要を申上げますと、第一に、農林大臣又は都道府県知事は、狩猟含獸の捕獲に関い一般的に適宜適切な禁止又は制限をすることができることといたしておるのでありますが、同時に狩猟鳥獸の種類の決定、捕獲の禁止若しくは制限又は鳥獸保護区の設定には公聽会を開きまして、利害関係人及び学織経験者の意見を聞いて手続を愼重且つ民主的にすることといたしておるのであります。第二に、有益鳥獸の積極的な保護繁殖を図るため、農林大臣又は都道府県知事は鳥獸保護区を設けることができ、この鳥獸保護区内には、営巣、給餌、給水等の保護施設を設けると共に、鳥獸の繁殖と生育に支障のある水面の埋立、干拓、立木竹の伐採、工作物の設置等は、農林大臣又は都道府県知事の許可を受けさせることとし、これによつて損害を蒙むつた者に対しましては補償を與えることといたしておるのであります。    〔議長退席、副議長着席〕  第三は、現在空気銃は銃器として規定されており、法律上は狩猟免許の対象とされておりますが、その取締は極めて困難な状態でありますので、特に今後は空気銃につきましては、これを狩猟免許の対象たる猟具から除外し、簡易な狩猟登録の制度を設けることとして、その取締を容易にすることといたしております。第四に、「きじ」及び「やまどり」は我が国特有のものでありますにも拘わらず、近年その数が著しく減少しておりますので、その捕獲数を制限しておりますが、尚十分とは申せませんため、その販売をも禁止いたしまして、捕獲制限の目的を達することといたしておるのであります。第五に、鳥獸の輸出及び輸入につきましては適法に捕獲された旨の証明書を添付せしむることといたしておるのでありますが、これは例えば従来牝「いたち」が我が国で捕獲を禁止しておりますにも拘わらず、その皮が外国に輸出されておる事実に鑑みまして、輸出の際に検査を行うことにより、捕獲の段階だけではなく、最終的な関門によつて違反の取締を行おうとするものであります。尚、現在米国を初め諸外国にもこの制度の例がありますので、輸入の際にも、そうした制度のある国から輸入につきましては当該国の証明書を添付せしめることとしておるのであります。その他、本案におきましては、免許又は登録手数料、検査、報告徴取の規定整備いたしますと共に、罰則等強化を図つておるのでありますが、詳細は省略いたします。  以上の提案趣旨及び内容を有する本改正法律案につきまして、委員会は昨二十八日、提案者、本院の法制局関係官、農林当局等との間に種々質疑応答を重ね、且つ愼重審議をいたしましたる結果、本案全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。以上御報告いたします。(拍手
  25. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本部全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  26. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  27. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 日程第十二、判事補の職権の特例等に関する法律の一部を改正する法律案伊藤修君外六名発議)を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。法務委員会理事宮城タマヨ君。     —————————————    〔宮城タマヨ君登壇拍手
  28. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 只今上程されました判事項の職権の特例等に関する法律の一部を改正する法律案につき、委員会におきます審議経過並びに結果について簡單に御報告申上げます。  判事補の職権の特例等に関する法律によりますれば、裁判官たるの任命資格に要件として、衆議院若しくは参議院の司法委員会專門調査員及び各法制局に勤務する参事、副参事にあつて、裁判所構成法による判検事の資格のある者は、それぞれその在職年数に応じて最高裁判所又は下級裁判所の裁判官に任命せられる資格を有することになつておる場合がございましだが、昭和二十三年になされました国会法及び議院事務局法の改正並びに議院法制局法の制定によりまして、司法委員会は法務委員会に改称せられ、法制部は法制局として発足いたしましたと共に、專門調査員は常任委員会專門員と改められ、又新たに常任委員会調査員の制度が設けられたのでございます。本法案はこれら法律改正に伴いまして、判事補の職権の特例等に関する法律中の字句を整理いたしますと共に、衆参各法務委員会に勤務する常任委員会調査員について、新たに裁判所法による裁判官任命資格につき、法務委員会に勤務する專門員並びに法制局参事等と同様にその資格を認めようとするものでございます。  委員会におきましては愼重審議し、討論省略の上採決いたしましたところ、全会一致を以て可決すべきものと決定いたしました。右簡單ながら御報告申上げます。(拍手
  29. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  30. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  31. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 日程第十三、生活保護法案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。厚生委員長山下義信君。     —————————————    〔山下義信君登壇拍手
  32. 山下義信

    ○山下義信君 只今議題となりました生活保護法案の厚生委員会における審議経過並びに結果につきまして御報告申上げます。  先ず法案の大体を御説明申上げますと、本法は本文八十四ケ條と附則九項目から成つておりまして、現行法に比べますと條文の数は約二倍になつております。更にその内容におきましては画期的の大改正が行われたのでありまして、我が国公的扶助の制度におきましては誠に重大なる立法であります。注目すべき諸点を申上げますと、第一点は、憲法第二十五條の精神に基き、これを具現化し、以て国民の生存権を保障することを本法目的とした点であります。法案の冒頭にこのことが明らかにされております。即ち救貧法でなく、生活保障法の性格とされたものでございます。従いまして、第二点は、保障せらるべき国民の最低生活とは、健康にして文化的なる最低生活でなくてはならない旨を明らかにした点であります。第三條にそれが示されてあります。第三点は、国民は盡くこの法の保護が受けられる、即ち無差別平等の原則を掲げまして、旧法のごとき欠格條項は一掃いたしました。一方保護世帶の実際に即応いたしまして、実情に即して保護が與えられまするよう法の運用に彈力性を持たせたのであります。これによつて従来保護の実施が画一的、形式的に流れておりました点が是正せられまして、今後は十分実情に即しての保護がなされるわけでございます。第四点は、これらの保護を受けますることは国民の権利でありまして、決して恩惠的、慈善的に與えられるものでないことを明記された点であります。第七條に、申請保護の原則を掲げ、第六十四條乃至六十九條で不服申立の制度を認めたのであります。第五点は、保護の実施機関(市町村長)、補助機関(有給專任職員)、協力機関(民生委員)に関連いたしまして、その実施組織に改新を加えた点でございます。即ち第二十二條におきまして民生委員を協力機関としたのでございます。従来ややもいたしますと責任の帰趨が明確でなかつた点が明らかにせられたのでございます。第六点は、保護の種類に新たに教育扶助と住宅扶助を創設いたしました。又医療扶助の機関に指定制をとり、診療方針に健康保險、国民健康保險に準ずるの基準を與え、診療報酬の審査につきましては、その制度を明確ならしめたという点であります。その他、保護施設の法人化、施設の運用改善、或いは被保護者の当然の義務規定等、新たなる観点からいたしまして民主的に法が整備されたのであります。  政府はその提案理由の説明におきまして、現下の社会情勢に鑑み、生活に困窮するすべての者を無差別平等に保護する制度を拡充強化して、国民最低生活の保障に遺憾なからしめるため、又要保護者の漸増の状況にありますことに備え、未亡人母子世帶、遺族援護の問題等に関しまして、現行法の不備を発見し、社会保障制度審議会の勧告に基きまして、緊急に現行生活保護法を全部改正する必要があるので本法案提出したのであると述べているのであります。  本法案は三月二十二日予備審査としまして厚生委員会に附託せられまして、次いで四月十一日の公聽会を開きまして、四月二十一日には議員を派遣いたしまして実施につきまして調査いたすところがありました。四月二十二日に衆議院は修正可決をいたしまして、厚生委員会に本付託となつたのでございます。その間熱心に愼重審議いたしまして、藤森議員、中平議員、谷口議員、石原議員、井上議員、小林議員等よりいたしまして、有益なる又重要なる質疑がありました。政府又厚生大臣を初め熱心懇切にこれに応答いたして幾多の疑義を明確にいたし、本法運用上の根拠を與えることができたのでございます。その詳細は速記録に讓らせて頂きますが、藤森議員は、医療方針につきましては国保の現状に鑑み、健康保險一本によるべきではないかと質し、又葬祭扶助につきましては死体検案の必要を指摘されたのでございます。谷口議員より又同様の御質疑がございましたが、特に医療機関としての指定を医師個人にするのでいいのではないかという質問もございました。中平議員からいたしましては、主として扶助の基準につきまして、真に健康にして文化的な最低生活の具体的内容について質すところがありました。石原議員からいたしましては、本法の運用上の諸点につきまして、特に将来は健康保險方式に移るべきではないかというような御質疑がございました。井上議員からいたしましては、社会福祉主事の設置の問題につきまして重要な御質疑がございました。小林議員からいたしましては、医療扶助の内容に鍼灸を省いた点についてそれぞれ質疑して政府の所信を質したのでございます。政府は又これに対しまして答弁するところがございました。  これらの質疑の終りました後に、委員会といたしまして次の諸点につきまして政府当局に要望するところがあつたのであります。即ち第一といたして、政府本法周知徹底に一段の努力を拂いまして、国民の権利を保護し、漏救なきを期せられたいという点でございます。第二といたしまして、扶助の基準につきましては真に健康にして文化的なる最低生活の実に副うよう基準を定めなければならぬという点でございます。第三といたしましては、未亡人母子、遺族世帶等、多年の要望に副いますよう本法の運用を即応されたいという点であります。第四点といたしましては、医療扶助の診療内容は健康保險と程度を同じくするように、その診療内容が低下しないように努めなければならぬという点でございます。第五点といたしましては、民生委員多年の功績を認め、その長所を活用いたしまして、協力の熱意を高めるよう適切な指導方針を以て臨まれたいという点でございます。第六といたしましては、保護施設の整備強化を図り、殊に宗教法人経営の施設については一段の積極化を促しまして、收容保護の内容向上を図られたいという点でございます。更に最後には、失業者につきましては労働省と緊密な連絡を図りまして、本法の運用が機宜を失しないように留意せられたいという点でございます。これらに対しましては厚生大臣から、十分その趣旨を尊重いたしまして、本法の運用について万全を期する旨の言明があつたのでございます。  かく質疑を打切りまして討論に入りましたるところ、中平議員から修正の動議が提出せられたのでございます。修正案は実は委員会案であるのでございますが、お手許に案文が配付されてありますので朗読は省略いたします。この修正の理由を簡單に御紹介申上げますと、第一に、第十八條中の修正は、葬祭扶助に検案の一項目を加えるという点でございます。第三十八條中の修正は、養老施設に收容すべき者の定義につきましてこれを明確にいたしたのでございます。第四十五條中の修正は、保護施設に対する事業の停止、認可の取消等の処分をいたしまするときに、弁明の機会を與えます方法を審かにいたしたのでございます。第六十二條中の修正は、被保護者が市町村長の指示に従わないという場合には、保護の変更、停止又は廃止等の処分を受けるが、そういう場合に被保護者に十分に弁明の機会を與えようという修正でございます。第六十四條中の修正は、都道府県知事に対します不服の申立期間は三十日以内となつておりますが、事情止むを得ないときには期間が過ぎましても尚受理の途を開いたのであります。第六十六條中の修正は、厚生大臣に対する場合も同樣な途を開いたのでございます。第六十九條、第八十一条は、共に法文の字句に関しまして、その不備を補つたものであります。第八十四條中の修正は、罰則規定中、被保護者に関しまして誤まり易い点がありましたので、その点を除きましたのであります。附則は施行期日につきまして支障なからしめたのでございます。  右修正の動議及び原案全部につきまして討論の結果、石原議員から特に予算の増強につきまして強に希望の御意見が附せられまして賛成の御意見がありました。又小林議員からいたしましては、医療扶助の中に鍼灸の挿入につきましての希望意見を附して、これ又全部に御賛成意見の御陳述がありました。  かく討論を打切りまして、採決をいたしましたところ、右修正案並びに修正部分以外の原案につきましても共に全会一致を以ちましてこれを可決すべきものと決定いたしました次第でございます。右御報告申上げます。(拍手
  33. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長報告は修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  34. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て委員会修正通り議決せられました。      ——————————
  35. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) この際、日程に追加して、社会福祉主事の設置に関する法律案(山下義信君外六名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。本案につきましては山下義信君外六名より委員会審査省略の要求書が提出されております。発議者要求の通り委員会審査を省略し、直ちに本案審議に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明の発言を許します。山下義信君。     —————————————    〔山下義信君登壇拍手
  38. 山下義信

    ○山下義信君 只今上程せられました社会福祉主事の設置に関する法律案につきまして、その提案理由と内容の説明を申上げます。  今日国民の福祉を目的とする法律のうち、生活保護法、兒童福祉法、身体障害者福祉法の三つは福祉立法中の三大支柱とも言うべきものであります。生活保護法によつては国民の最低生活を保障し、兒童福祉法によつては次の世代を担うべき兒童の健かな成長を冀い、身体障害者福祉法によつては、身体障害者のために沈滯しがちな障害者の更生を図つて、今日の社会生活に一人の落伍者なからしめ、明日の国家生活の健全な発展に備えようとしておるのであります。而してこれらの法律がその企図するところを達成いたしまするためには、どうしても担当責任者がその適用を受ける者の日常生活の中に深く融け込んで行きますことが必要となつて参るのでございます。従いまして、その運用に当ります責任者、特に直接国民に接して行きます第一線事務の担当者に、よき素質と、高き教養と、福祉増進に対しまする熱意とを要求いたしますことは、他の場合に比べまして一層必要となる次第でございます。ここに提案いたしました社会福祉主事の設置に関する法律案はこの要請に応えんとするものでございまして、生活保護法、兒童福祉法及び身体障害者福祉法の事務に従事いたします專任職員の設置とその資格とに関する事項を内容といたしておるのであります。即ち專任職員の名称を社会福祉主事といたしまして、その任務は生活保護法、兒童福祉法、身体障害者福祉法に関する事務の第一線のケース・ワーカーとして働くべきことを明記いたし、都道府県におきましてはこの法律施行と同時に、市におきましては昭和二十五年七月三十一日までに、町村におきましては昭和二十六年三月三十一日までに、この社会福祉主事を設置すべきことを先ず規定いたしたのでございます。次に福祉主事の資格といたしましては、年齢上の條件、責任についての條件、知識技能についての條件を明らかにいたしましたが、年齢上の條件といたしましては、戸別訪門による連絡、調査、指導等を主たる任務といたします関係上、健康上の制約もございますので、二十歳から四十五歳までといたしたのでございます。素質についての條件といたしましては、他人の家庭生活に立入ることの多い事務でございますから、その人格、思慮、熱意等につきまして、適格者の得られますよう考慮いたしたのでございます。又知識につきましての條件といたしましては、專門的な知識技能の習得が大学、專門学校、養成機関又は講習会等において行われたか、或いは試験等によつて確認されたか、又は一定年数專任職員として勤務することによつて得られたかのいずれかを要件といたしました。ただ直ちにこの要件を強制いたしますと所要人員が確保できない場合が生ずることを考慮いたしまして、今後二ケ年間を限りまして、知事の認定によりまする、選考の制度経過的に認めることといたしたのであります。以上が法案の内容でございますが、その施行期日は公布の日から施行するということにいたしたのでございます。尚この法律に関連いたしまして、先程御議決を願いました生活保護法中の第二十一條社会福祉主事設置に関連いたします点の改正本法によりまして定めて頂くことにいたした次第でございます。尚この法律の施行に関連いたします国の予算といたしましては、二十五年度において三千八百人分の人件費に対する二分の一の補助が地方財政平衡交付金の中に含まれていることを申添えて置く次第でございます。  先程の御議決によりまして、福祉立法中の一つの支柱である生活保護法が新らしい一歩を踏み出すことになりました。幸いにこの法案が同様に御賛同を頂くことができますならば、一段と体制を整備した福祉立法の運用も又新たな陣容を整えた專任職員によつて行われるのであります。何とぞ御賛同賜わらんことをお願いいたしまして、私の説明を終る次第でございます。
  39. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  40. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以つて可決せられました。      ——————————
  41. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 日程第十四、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。運輸委員長佐々木鹿藏君。     —————————————    〔佐々木鹿藏君登壇
  42. 佐々木鹿藏

    ○佐々木鹿藏君 只今議題となりました日本国有鉄道法の一部を改正する法律案につきまして、委員会における審査経過並びに結果を御報告申上げます。  この法律案の要旨は、現行法第五條に第二項を設け、日本国有鉄道の資本金を政府の出資により増加し得る途を開いたものであります。委員会におきまする質疑の詳細は委員会速記録に讓りまして、その主なる事項について申上げますと、村上委員より、この法律案の内容をなすものは、政府より提出なつた予算案の資料と対比するときは、政府昭和二十五年度において米国対日援助見返資金特別会計より日本国有鉄道に対して交付しようとする四十億円であることを確かめ、これが使途及び性質について、村上委員及び前之園委員よりそれぞれ質したところ、運輸大臣及び政府委員の説明としては、これは米国対日起助見返資金特別会計よりの交付金であるが、日本国有鉄道に対する関係においては政府よりの出資であること、現行日本国有鉄道法においては資本増加規定がないので、これが受入のためと、将来資本増加の場合をも考え、これに関する規定を設けたこと、又この使途は日本国有鉄道の施設の増強に向けられるものであること等の説明があり、次いで前之園委員及び丹羽委員より、借入金として受けることについて政府の所見を質したところ、これに対する運輸大臣の答弁の要旨は、金利の要らない政府の出資となるものであるから、借入金よりもいいと思つているということでありました。又丹羽委員及び飯田委員より、政府の出資ならば一般会計より出資するを適当としないかとの質問に対し、運輸大臣及び政府委員は、これは見返資金の整理の必要のためであつて、これにより政府出資の交付金たる性質に何ら変更を来たすものではない旨の答弁がありました。  次いで討論に入り、丹羽委員より、本件については見返資金よりの支出という点で将来に問題を残すことのないよう相当研究したのであるが、結局政府よりの交付金と同一性質のものであるということも分つたので、本案賛成する旨意見の開陳があり、続いて採決に入りましたところ、衆議院送付の原案通り全会一致を以て可決すべきものと決定いたしました。以上御報告申上げます。(拍手
  43. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  44. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  45. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) この際、日程第十五、昭和二十三年度国有財産増減及び現在額総計算書日程第十六、昭和二十三年度国有財産無償貸付状況計算書、以上両件を一括して議題しすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。決算委員会理事中平常太郎君。     —————————————    〔中平常太郎君登壇
  47. 中平常太郎

    ○中平常太郎君 只今議題となりました昭和二十三年度国有財産増減及び現在額総計算書並びに昭和二十三年度国有財産無償貸付状況計算書に関する決算委員会審議経過並びに結果につきまして御報告を申上げます。  右二件の計算書は、昭和二十三年七月から施行されました新国有財産法に基いて作成され、会計検査院の検査を経て提出せられたものでありまして、その内容の概略を申上げますと、昭和二十三年度におきましては、一般会計、特別会計を通じまして、国有財産増加しました額は七百四十四億余万円、減少しました額は百八十八億余万円でありまして、差引純増加額は五百五十六億余万円となつております。年度末即ち昭和二十四年三月三十一日現在の国有財産は総額千二百五十六億余万円で、この内訳は行政財産八百三十三億余万円、普通財産四百二十二億余万円でありまして、行政財産を更に分類いたしますと、公用財産百億余万円、公共福祉用財産千八百余万円、皇室用財産一億八千余万円、企業用財産七百三十一億余万円となつております。尚、昭和二十二年度末現在額が七百億余万円であつたのに対し、昭和二十三年度の純増加額五百五十六億余万円は、著しく割合が高いように見受けられますが、これは国有財産の整理がすべとそのときの取得価格によつておりますため、貨幣価値の変動に伴つてこのような結果になつたものであります。次に国有財産を無償で貸付けましたものは、一般会計、特別会計を通じて、昭和二十三年度の増加額は千百余万円、減少額は一億百余万円、差引純減少額九千余万円でありまして、年度末の現在額は千二百余万円となつております。このように著しく減少したのは、新国有財産法によりまして無償貸付をなし得る範囲が制限された結果であります。  決算委員会におきましては、右二件につきまして政府の詳細なる報告を聽取いたしました上、愼重審議いたしました。質疑応答の主なるものを申上げますと、国有財産のうち終戰処理費によつて取得したもの三百五十七億余万円、財産税法及び戰時補償特別措置法によつて物納されたもの六十一億余万円については、その大部分が未整理であつて国有財産の現在額に計上されていないとのことであるが、それは如何なる事情によるものであるかとの質問に対しまして、終戰処理費関係は内容も複雑であり、量も非常に多いため、調査に時日を要する事情があり、又財産税等の分は、税務関係の人手が不足しているため、当面の徴税事務に追われて物納財産の整理に手が廻らないような事情で処理が遅れているのであるが、目下引続きその促進に努力しているとの答弁がありました。次に国有財産の処分代金及び貸付料について、徴收の遅れているもの、不当に安いと思われるもの、貸付けたものがその目的に使用されていないものなどが多くあるが、これはどのような理由によるものかとの質問に対しまして、これらはそれぞれ特別の事情があつたものであるが、主として旧軍用財産に関するものであつて、終戰後の国内情勢からして、これらの財産は一刻も早く国民生活の安定、産業の復興等に活用することが緊要であると認めて、その目的のための売却又は貸付を急いだ関係上、その売拂代金又は貸付料については原則として前納させなければならないのに、徴收の決定が遅れたもの、その査定が適当でないとの指摘を受けたもの等が生じたのは誠に遺憾に堪えないとの答弁がありました。その他にも二三質問応答がありました結果、処理の適正でない点については政府の特別なる注意を求めることにいたしまして、この二件の計算書はこれを承認することに異議がないと議決いたしました。  右御報告申上げます。(拍手
  48. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 別に御発言もなければ、これより両件の採決をいたします。両件は委員長報告の通り決することに賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  49. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 総員起立と認めます。よつて両件は全会一致を以て委員長報告の通り決せられました。      ——————————
  50. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 参事をして報告いたさせます。    〔佐藤参事朗読〕 本日委員長から左の報告書を提出した。     —————————————     審査報告書   引揚同胞対策審議設置法の一部を改正する法律案  右全会一致をもつて可決すべきものと議決した。よつて多数意見者の署名を附し、要領書を添えて、報告する。   昭和二十五年四月二十九日      内閣委員長 河井 彌八    採議院議長佐藤尚武殿     —————————————     審査報告書   国家行政組織法の一部を改正する法律案  右全会一致をもつて別冊の通り修正議決した。よつて多数意見者の署名を附し、要領書を添えて、報告する。   昭和二十五年四月二十九日      内閣委員長 河井 彌八    参議院議長佐藤尚武殿     …………………………………   附則に次の四項を加える。  4 統計法(昭和二十二年法律第十八号)の一部を次のように改正する。    第六條の三に次の一項を加える。     事務局に局長の外所要職員を置く。  5 外国為替管理委員会設置法昭和二十四年法律第二百二十九号)の一部を次のように改正する。    第二十條中第一項及び第二項をそれぞれ第二項及び第三項とし、第一項として次の一項を加える。     事務局に局長の外所要職員を置く。  6 公共企業体労働関係法(昭和二十三年法律第二百五十七号)の一部を次のように改正する。    第二十三條及び第三十一條にそれぞれ次の一項を加える。   2 事務局に局長の外所要職員を置く。  7 労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号)の一部を次のように改正する。    第十九條第十九項中「事務局長」の下に「、事務局次長二人以内」を加える。      ——————————
  51. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) この際、日程に追加して引揚同胞対策審議設置法の一部を改正する法律案(衆議院提出)、国家行政組織法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。内閣委員長河井彌八君。     —————————————    〔河井彌八君登壇拍手
  53. 河井彌八

    ○河井彌八君 議題となりました引揚同胞対策審議設置法の一部を改正する法律案、同家行政組織法の一部を改正する法律案、この二案につきまして、順次内閣委員会においての審査経過並びに結果を御報告いたします。  引揚同胞対策審議会の設置法の一部を改正する法律案の要旨は、この法律の附則第七條におきまして、この審議会の存続期限をばこの法律施行後二年を限つて置くということになつておりますのを、施行後三年と改めるというのであります。即ち本年九月から更にもう一年間この法律を存続させようという趣意であります。これは衆議院の提出法律案でありまして、只今申述べたような修正を加えなければならない理由といたしましては、まだ引揚事務は相当に残つておるのみならず、遺家族等の保護、帰還者の更生対策、或いは又帰還者の在外資産処理というような大切なことでありまして、引揚の促進と共にこれを推進しなければならぬというのであります。従いまして今日の実情から見ますると、今年八月末日を以てこの審議会が廃止消滅するということになりますることは、適当でないというのであります。  内閣委員会委員会を開くこと三回、そうしていろいろな点について検討しましたが、主なことを申上げますると、その一つとしては、引揚促進、遺家族等の援護、帰還者の更生対策、その在外資産等につきまして、審議会はどれだけ仕事をしたかということを審査したのであります。それにつきましては審議会は十一の決議をいたしまして、これはすべて内閣総理大臣に出し、内閣総理大臣から関係各大臣に通達をいたしまして、その決議の内容はそれぞれ着々実現せられておるということであります。第二は、帰還者の更生対策、在外資産等の問題は、引揚が完了いたしました後にも尚残された大きな問題でありまして、これについては政府も将来十分努力をいたすということであります。尚、本案審議に当りまして、委員の中から、未帰還者の数について政府においてできるだけ綿密な調査を進めて欲しいという希望が述べられたのであります。内閣委員会は昨日、本案について採決をいたしましたところ、全会一致を以て可決すべきものと議決いたした次第であります。  次に国家行政組織法の一部を改正する法律案について御報告申上げます。  この改正案は衆議院において一部修正が加えられたものでありまして、その修正の加わつたものを議題として審査をいたした次第であります。そこで本案で以て改正する要点を簡單に申上げますと、第一は、只今本日の会議で可決せられました国家公務員職階制に関する法律案、これに関連いたしまして必要なる調整を加えた点であります。即ちこの法案におきましては、職階制による職級の名称が、その職級に属するすべての官職の公式の名称となつておりますが、他方におきましては、行政の運営等の必要から、この組織上の名称、その他、公の名称を設けてこれを使用することを妨げないということになつておりますので、これに対応いたしまして、国家行政組織法に規定せられておりまする職には、事務次官、局長、部長、課長等の組織上の名称を附することを明らかにいたしたのであります。これが第一点であります。第二点は、国の行政機関でありまするところの府、省及び庁の官房、局及び部に、官房長、次長を置き、又同じく国の行政機関であるところの委員会の事務局に、局長、次長を置き、更に又府及び省にその内掌事務の一部を総轄整理する職、例えば通商監であるとか、財務官、電気通信監、技監等のごとき職を置く場合には、法律でこれを定めなければならぬという制限規定を設けた点であります。現在これらの職を置きます場合は、多くは各行政機関の設置法でそれぞれ規定しているのでありまするけれども、国家行政組織法の規定の上では、これらの職を置く場合は法律によらなければならないという制限がないのでありまして、これらの職につきましても、その濫設を防ぎ、行政機構の簡素化を図る上から本案のように改正して制限を加えて置く必要があるからであります。第三点は、各行政機関の設置法におきまして、府、省、本部の官房又は局に設置されておりまする部及び外局の庁に設置されておりまする局の存続期限の延長に関する点であります。これらの部及び局は、国家行政組織法の附則によつて本年五月三十一日まで置くことができるということになつておるのでありまするが、更にこれを一年間延長せんとするものであります。  元来、国家行政組織法は、国の行政組織の基準を定めておる基本法でありまするので、内閣委員会におきましては委員会を開くこと四回、そうして極めて愼重に審議をいたしたのであります。その結果、更に一部の修正を加える必要を認めましたので、その修正をいたしたのであります。  その大要を申上げますと、第二十條第二項の改正規定によりますると、組織法の第七條の委員会に長又は次長若しくはこれに準ずる職を置く場合は、法律の定めるところによらなければならないということになつております。現在の法律で以て各種の委員会に局が置かれているものがありまするけれども、その中にはこれに局長或いは次長を置く旨の規定が欠けているものが四つあるのであります。そこで第二十條第二項の改正規定ができまする以上は、委員会の設置を規定いたしておりまするこれらの法律の中に局長又は次長を置く旨の規定を設けることが当然必要となつて参るのでありまするから、この修正を出したのであります。修正の点につきましては詳しく申しませんが、この四つの委員会規定している統計法、外国為替管理委員会設置法、公共企業体労働関係法及び労働組合法の一部を改正いたしまして、それぞれ「事務局に局長の外所要職員を置く。」ということを定め、又只今申しました中の労働組合法の一部改正については、事務局に「事務局次長二人以内」を置くということにしたのであります。これは即ち衆議院において修正せられた点を更に明確にしたということでありまして、別段新らしい修正ではないのでありますが、これによつて行政組織法の完備を見ると考える次第であります。  大体さような内容でありますが、委員会においての質疑応答等について簡單に申上げます。第一は、国家行政組織法は只今申上げました通り国の行政組織の基準法でありまして、国の行政機関であるところの府、省、委員会及び庁に置かれる内部部局の設置を規正すると共に、又本案におきましては、これらの内部部局に長又は次長のごとき職を置く場合には法律規定を必要とする旨を明らかにいたしまして、内部部局や官職の濫設のないことを期しているのであります。ところが現在の組織法の上におきましては、これらの行政機関の附属機関であり直接には全然行政権を発動していないところの審議会或いは協議会に事務局を附置しておるものが少数でありますが存在しておるのであります。そうしてこれには事務局長が置かれておるのであります。勿論これらの事務局は法律規定で置かれておるのでありまするから、法の形式論から論ずれば敢えて違法というわけではないのでありまするけれども、併し基本法たる国家行政組織法の立法の精神には反するものであろうという意見が強かつたのであります。又次には、仮に審議会や協議会等において事務局を置くことは組織法の立法の精神に反しないといたしましても、行政組織を明確に規定するためには、必要ある場合には審議会・協議会等に事務局を置くことができるという趣意の規定を行政組織法に設ける必要がある。それと同時に、又他面におきましては、本改正案第二十條第二項におきまして、委員会の事務局に長や次長を置く場合は法の定めるところによらなければならないという明白な規定をいたしております以上は、審議会・協議会等の事務局に長又は次長を置く場合にも同様に規定して置く必要があるであろうという、この二つの点が強く主張せられたのであります。これに対しまして、本多行政管理庁長官は政府を代表いたしまして、審議会・協議会等附属機関の事務局附設に関する問題については今日やや濫設の傾向がある、政府は国家行政組織法制定以来、各種の審議会・協議会等附属機関運営の経験から、これらの問題について十分な検討を加えておるのであつて、これは将来行政組織法を大幅に改正したいという考えがあるということを申したのでありまして、委員会はこの言明を信頼いたしまして、この問題につきましては本案賛成することにいたした次第であります。もう一つの点は、附則第二十四條の二の改正規定でありますが、これは前にも申しました通り、各行政機関の設置法におきまして、府、省、本部の官房又は局に設置されておりまするところの部、及び外局の庁に設置せられておりまするところの局の存続期限をば尚一年間延長せんとする規定であります。これは国家行政組織法の建前から見ますると、これらの部及び局は実は設置することができないのでありまして、昨年の第五国会におきまして政府が行政機構改革を行いました際に、従前置かれておつたこれらの部及び局をば全部廃止してしまうことは行政運営の面から差支えがあるから、将来政府が根本的な行政機構改革を行うときまで暫らく現状のままに存続をして貰いたいという政府の強い要望があつたのであります。そこで当時本院におきましては、国家行政組織法の一部を改正する法律の施行の日から一年間、即ち今年の五月三十一日まで暫定的にこれらの部と局の設置を認める旨の修正をいたしたのであります。従つて政府はこの規定に従つてこの一年間即ち本年の五月三十一日までに適当にこれらの部と局の整理をなす責任を負つておるのでありまするが、併しこれは今期国会会期中にはそれが果されなかつたのであります。これにつきましても委員の間に種々の議論がありましたが、本多行政管理庁長官は、この部と局とは国家行政組織法上変例であるから、これを整理する必要を十分認めているから、今後行政機構について十分な検討を加えた上で、来年の五月三十一日までにこれらの整理ができるように努力するということを言明いたしました。委員会はこれ又この政府の言明に信頼いたしまして本案賛成することに決めた次第であります。かような審議経過を辿りまして、本日只今朗読のこの修正案、これは城委員、三好委員から発議されているものでありますが、三好委員からこれの説明をいたし、そうしてこの修正を加えて組織法の改正案を採決いたしましたところが、全会一致を以て可決すべきものと議決したのであります。そうして尚、三好委員は、行政組織を確立するためには沢山の問題が残つているから、委員会においてもこれまで随分審議を盡したが、政府においてもこの未解決のものを解決するように努力することを望むという意見を述べました次第であります。かような次第を以ちまして、国家行政組織法の一部を改正する法律案の御報告を終ります。(拍手
  54. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  引窟同胞対策審議設置法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  55. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  56. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 次に国家行政組織法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。委員長報告は修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  57. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て委員会修正通り議決せられました。      ——————————
  58. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 日程十七、図書館運営委員長報告。図書館運営委員長三木治朗君。     —————————————    〔三木治朗君登壇拍手
  59. 三木治朗

    ○三木治朗君 図書館運営委員会におきましては、国立国会図書館法の規定に基きまして、国立国会図書館の経過報告、国立国会図書館職員定員規程の一部を改正する規程案につきまして審査いたしましたので、その経過並びに結果をここに御報告いたします。  国立国会図書館長から昭和二十四年十月以降同二十五年三月まで半ケ年間の経過報告を受けましたが、その大要を申上げますと次の通りであります。  先ず図書館の組織につきましては大きな変更はありませんが、昨年十一月、学術会議の図書館が国立国会図書館の支部図書館となつたとのことであります。又人事についても多少の出入はありましたが、取立てて言うべき変化はなかつたとのことであります。次に国会に対する奉仕といたしましては、調査及び立法考査局が議員の要求に応じましてリフアレンスいたしました件数は、簡易なものを除いて百九十一件、又立法資料として刊行したものが二十八冊あるとのことでありました。国会分館の図書を利用される議員その他、国会関係者は可なり多く、貸出だけでも図書にいたしまして四千百五十五冊、供覽者にいたしまして千九百八十一人となつておるのであります。図書室においては自由閲覽となつているため記録はありませんが、閲覽者、閲覽図書数は今申上げた数字の数倍に上るものと思われるとのことであります。尚、議員の要望に応えまして、昨年十二月から衆参両院の議員会館、議員宿舍に巡回文庫を設けまして、議員の利用に供しているが、その利用は増加しつつあるとのことであります。次に行政、司法各部門への奉仕につきましては、各支部図書館の図書を利用した者の総数は二万三千八百六十二人、閲覽図書数十万六十九冊、考査件数は簡易なものを除きまして七百三十六件に上つております。又支部の図書館部で作成いたしました目録カードの数は三万八千八百九十九枚を数えているとのことであります。次に一般の図書館並びに一般公衆に対する奉仕につきましては、先ず新着養書閲覽室を設けまして、ここにケア、ロツクフエラー、カーネギー財団等からの寄贈図書を置きまして、研究者の利用に供しておるとのことでございます。閲覽並びに考査状況は、中央館、支部上野図書館その他を含めまして、閲覽者数二十万九千九百七十八人、閲覽図書数三十九万七千八百四十七冊、考査件数が簡易なものを除きまして三千二百七十三件となつているとのことでございます。総合目録の作成につきましては、中央館及び行政司法各部来支部図書館の図書を対象といたしまして三万八千九百四十三枚のカードが作られ、印刷カードの作成につきましては、一万二千八十二冊分、七十八万八千八百二十四枚が作られておるとのことでございます。マイクロ写真の撮影につきましては、小穴、西村両氏に協力によりまして、マイクロ・カードの試作が行われまして、マイクロ・フイルムも米国スタンフオード大学フーバー・ライブラリーの依頼による戰時中のジヤパン・タイムスが二千百三十五頁、京都大学の依頼による東洋文庫所蔵のキリシタン関係書二千二十一頁が撮影されましたが、マイクロ写真の撮影は今後大いに期待されるものがあるとのことでございます。又一般用の資料といたしまして、納本月報を改題いたしました国内出版物目録、收書通報、雑誌記事索引が引続いて刊行されているとのことであります。次に図書館資料の国際的交換につきましては、交換のため外国へ送られた資料は主として国及び地方公共団体の諸機関から発行された出版物でありますが、一万二千六百十九点、交換によつて外国から受領いたしました資料数が一万四百五十六点ありまして、又図書の国際的交換を希望する者について、その斡旋を行なつた包数は、外国から受理したもの六千八百六十四包、外国へ送つたもの三千四百八十七包に上つておるとのことでありました。次に図書館資料の收集につきましては、購入、納本、受贈、移管、国際交換等の方法によつて行われましたが、そのうち図書は本年三月東京都から移管されました旧労働科学研究所の図書四万三千三百八十二冊を含めて六万七千九百三十二冊あつたとのことであります。次にユネスコとの関係でありますが、国立国会図書館はユネスコから協力方を要望されており、図書館業務上当然許される範囲内で協力しているとのことであります。次に庁舍につきましては、三宅坂分室の庁舍が一部増築され、調査及び立法考査局の一部と一般考査部の官庁資料課が移転したとのことであります。  以上が館長の報告の大要でありますが、右御報告にも見られます通り、前期に比して著しい国立国会図書館の発展の跡が窺われますことは誠に同慶に堪えないところであります。併し委員会といたしましては、国立国会図書館が図書館資料の收集並びに完全な図書館奉仕に向つて更に一段の努力を進められたいこと、又忙しい議員のため図書館資料の利用ができるよう一層の工夫を凝らされたいこと、更に国立国会図書館の現在の庁舍である旧赤坂離宮が図書館として狹隘不完全のため、三宅坂にバラツク庁舍を補助的に建築するなどの姑息的手段を講じているようであるが、国立国会図書館も創立以来二ケ年余経過しており、本庁舍の建築に着手して然るべき時期と思われるから、急速にその計画を進めて欲しいことを要望いたしました。これに対して館長より極力努力する旨の答弁がありました。  次に国立国会図書館職員定員規程の一部を改正する規程案について御報告いたします。改正の内容は、調査員を三名、主事を二十五名それぞれ増員することで、調査員については、法律図書館に二名、東京都から移管された旧労働科学研究所の図書公開に一名、計三名を、主事については受入整理業務の拡充及び国際交換義務の拡充等のため増加する必要が生じたもので、委員会はこれられ審査の結果、妥当と認め、承認を與えることに決定いたしたのであります。  右御報告いたします。(拍手)      ——————————
  60. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) この際、日程の順序を変更して、日程第十八より第三十二までの請願及び日程第七十八より第八十までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。人事委員長中井光次君。    〔中井光次登壇拍手
  62. 中井光次

    中井光次君 只今議題となりました請願四十九件、陳情六件について、人事委員会における審議経過並びにその結果を御報告申上げます。  先ず請願第百八十三号、公務員給與ベース改訂等に関する請願外三十三件及び陳情第百五十七号、公務員給與ベース改訂に関する陳情外四件はいずれも公務員又は教職員給與ベース改訂等に関するものでありまして、現在公務員及び教職員の生活状態が窮乏の極に達し、毎月多くの赤字を余儀なくされている実情を訴え、又現在の公務員の給與ベースが民間の全国平均賃金と比較しても、又その算定の基礎となつている昭和二十三年七月以降の諸物価の値上り等の点から考えても、当然改訂さるべきものであるとして、速かに人事院勧告の実現を図り、給與ベースの引上げ、諸手当の完全支給等の措置をとられたいとの趣旨でありまして、その願意は極めて妥当であると認められるものであります。  次に請願第三百十号外八件は、公務員の勤務地手当に関する請願でありまして、それぞれの特定の市町村の勤務地手当の引上げに関するものと、現行の勤務地手当制度の再検討を要望するものとであり、それぞれ詳細な参考資料を付して提出されたものであります。  次に請願第三百五十号、四百九号、千公百五十号及び陳情第二百六十号の四件は、公務員の超過勤務手当に関するものでありまして、超過勤務手当の完全支給を要望するものと、他は超過勤務手当率の引上げ等に関しての請願であり、いずれもその趣旨は極めて妥当なものであります。  次に請願第三百六十四号、公務員の職階級頭打号俸是正に関する請願、第千二百九十号、国立病院医師待遇改善に関する請願、第二千百四十一号、国立療養所職員給與改善に関する請願でありますが、以上の三件に関しましてもそれぞれ関係政府委員の説明を求め、実情調査いたしたのでありますが、そのいずれも極めて願意の妥当なる請願であるとの結論を得たものであります。  本委員会は以上の請願四十九件、陳情六件について、愼重審議の結果、いずれもその願意は妥当であり、政府をしてその実情調査し、所要措置をとらしめる必要があるものと認めまして、これを議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたしました。  尚この外にも給與ベース改訂に関しましては三十六件の請願陳情が本委員会に付託せられており、これらはいずれも人事院勧告の七千八百七十七円ベースを超えた八千七百円或いは九千七百円等の給與ベースを要望しているために、一応採択を見合せたものでありますが、給與ベース改訂に関するもの全部を合算して七十五件に上る状況でありまして、給與ベース増額の請願陳情かくのごとく多く熱心に提出されている実情であることをこの際特に申し添えて御報告申上げる次第であります。  以上簡單でありますが、委員会における請願陳情審議経過並びにその結果を御報告いたします。(拍手
  63. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  64. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ——————————
  65. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) この際、日程第三十三より第四十二までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。大蔵委員会理事波多野鼎君。     —————————————    〔波多野鼎君登壇拍手
  67. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 只今議題となりました請願及び陳情十件について大蔵委員会における審議経過並びに結果を御報告いたします。  請願第八百四十四号は、旗、のぼり、引幕等について免税点引上げること、請願第千二百四十八号は、身辺細貨、即ち身廻り品でありますが、これを現行庫出税から小売課税に改めること、請願第千六百三十四号は、洋画の額縁、画架、絵具箱等物品税を撤廃するか軽減することをそれぞれ要請しております。  請願第九百九十六号、同じく第千百十一号、同じく第千二百七十四号、同じく第千二百七十七号の四件は、いずれも農業協同組合及び生活協同組合或いは労働組合等に対して課税を免除するか軽減されたいという趣旨であります。  請願第千五百三十四号は、衛生かばん課税に当り、すでに課税済の内容品を含めて一括課税対象とすることは二重課税となるから、衛生かばんのみを課税対象とするよう取扱を明確にされたいという趣旨であります。  請願千百四十七号は、農業の課税に当つては、その特殊性を十分認め、その適正化を図られたいという趣旨であります。  請願第千五百二十号は、アルバイトをしている学生の所得中、一定額については学資金として非課税措置を講じられたいという趣旨であります。  大蔵委員会においては以上十件につき愼重に審議しました結果、いずれも願意の趣旨は大体において妥当であると認め、採択の上、これを会議に付し、内閣へ送付すべきものと決定いたした次第であります。  以上御報告いたします。(拍手
  68. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  69. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ——————————
  70. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) この際、日程の順序を変更して、日程第四十三より第五十六までの請願及び日程第八十一より八十六までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。水産委員長木下辰雄君。     —————————————    〔木下辰雄君登壇拍手
  72. 木下辰雄

    ○木下辰雄君 只今議題となりました請願第八百二十四号外十八件、陳情第二百四十七号外五件に関しまして、水産委員会における審議経過並びに結果を御報告いたします。  そのうち十三件は漁港の修築工事の請願及び陳情であります。即ち長崎県為石、対馬高浜、岩見県田老、釜石、北海道舶泊、和歌山県須江、福島県松川、茨城県久慈、波崎、鹿兒島県大川河口帆之、千葉御宿、静岡県燒津及び岩手県下の漁港の災害復旧工事促進に関する請願並びに陳情であります。我が国の漁港は全般的に不完備でありまして、台風のため年々港内において多数の漁船が破損沈沒をいたしている実情でありまして、漁港の修築は漁業の発展上必須の問題であります。そのうち静岡県の燒津は、漁港としての重要性から、その整備費を対日援助物資見返資金によつて全額国庫補助せられたいという請願であります。  次に請願第千百五十八号外五件、陳情第四百四十号は、いずれも漁船保險事業経営刷新に関する請願又は陳情であります。  次に請願第千二百八十九号は石川県安宅新町の海中障害物を除去して貰いたいという請願であります。次に請願千七百九号は瀬戸内海漁業の行詰り打開に関する請願であります。次に請願千九百五十三号は、九十九里浜の沿岸漁業が不漁の上に、実彈射撃演習によりまして出漁不能の場合が多くて困窮を来たしておるから、その打開策をして貰いたいという請願であります。次に陳情第四百四十一号は漁区拡張に関する陳情であります。次に陳情四百四十二号は六大都市における魚漁卸売市場の手数料値上反対の陳情であります。  委員会におきましては愼重審議の結果、いずれも願意概ね妥当と認めましてこれを採択し、議院の会議に付し、内閣に送付を要するものと決定いたしました。  以上御報告いたします。(拍手
  73. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  74. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ——————————
  75. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) この際、日程の順序を変更して、日程第五十七より第六十八までの請願及び日程第八十七より第八十九までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。運輸委員長佐々木鹿藏君。     —————————————    〔佐々木鹿藏君登壇拍手
  77. 佐々木鹿藏

    ○佐々木鹿藏君 只今上程になりました請願第千六百七号、下諏訪、丸子両町間の国営バスを上田市まで延長の請願外十一件、陳情第三百二十一号、開港場境港の維持に関する陳情機二件の委員会における審議経過府びに結果を、詳細は委員会速記録に讓りまして、簡單に御報告申上げます。  請願第千六百七号、下諏訪、丸子両町間の国営バスを上田市まで延長の請願請願第千六百六十二号、岩手広田湾小赤磯岩に航路標識設置の請願請願第千六百七十七号、遠江二俣、明知両駅間に鉄道敷設請願請願第千八百八十六号、唐津港に公共船員職業安定所設置請願請願第千九百二十八号、四国循環鉄道開通促進に関する請願請願第二千二十一号、油津港に公共船員職業安定所設置請願請願第二千四十七号、中国勝山、南谷両駅間に鉄道敷設促進請願請願第二千四十八号、相生、西大寺両駅間の鉄道敷設工事再開に関する請願請願第二千十五号、気象官署定員増加に関する請願請願第二千百二十一号、造船科学技術総合研給所設置に関する請願陳情第三百二十一号、開港場境港の維持に関する陳情陳情第三百九十二号、深浦港に防波堤築設の陳情、以上請願十件、陳情二件につきましては、愼重に審議いたしました結果、いずれも願意を妥当と認めました。  請願第千七百五十四号、自動車運送事業企業経営体分割に関する請願請願の要旨は、我が国の自動車運送事業は、国家の復興、産業の振興上極めて重要な使命を持つているが、最近における経済情勢の激変によりその経営は崩壞の危機に面している、殊に新潟県地方は豪雪地帶であるため経営上甚だしく不均衡であるのみならず、強制的に総合とれたため、資金上、運営上不合理で、経営難に陷つているから、統合前の形態に復帰して欲しいというのであります。委員会におきましては審議の結果、願意を妥当と認めました。  請願第千九百十五号、自動車行政地方公共団体移護反対に関する請願請願の要旨は、自動車行政地方公共団体に移譲することは運輸行政上の不統一を招く結果となるから、国家機関による統合的一元的運営を図られたいというのであります。本委員会におきましては、審議の結果、願意を妥当と認めました。  陳情第四百七号、五大都市交通行政に関する陳情陳情の要旨は、五大都市、即ち横浜、名古屋、京都、大阪、神戸の交通政策の遂行並びに交通事業を経営するためには、当該地方の公共団体の意見が十分に政策面に反映する必要があるにも拘わらず、現行の法制の下では監督行政が複雑多岐であるので、市長の意見を尊重すると共に、監督行政を簡素化し、関係法令を調整せられたいというのであります。委員会におきましては審議の結果、願意を妥当と認めました。  以上請願十二件、陳情三件は、いずれも委員会において全会一致を以ちまして、議院の会議に付し、内閣に送付を要するものと議決いたしました。  右御報告申上げます。(拍手
  78. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  79. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ——————————
  80. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) この際、日程第六十九より第七十七までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。経済安定委員長佐々木良作君。     —————————————    〔佐々木良作君登壇拍手
  82. 佐々木良作

    ○佐々木良作君 今議題となりました労務者用配給物資特別価格設定請願外十一件の委員会における審査経過と結果を御報告いたします。  請願の第八百三十五号、千二百九十三号、千八百七十九号、二千二十七号は皆同様な趣旨でありまして、現在労務者用の物資の配給が、むしろ金がなくて受取れなくて辞退する方が多くなつている、だからこの際特別な価格を設定し、又或いはその増量の措置をとり、更に分配方法としても民主的な協議会の設定というようなものを考えられたいという趣旨のものでありますが、ともかくも今労務者用の配給物資という制度があつて、そうしてそれが公定価格で、而も公定価格ならばその品物はうんと街に氾濫しているわけでありますから、労務者用物資の制度をなくするということなら別でありますけれども、この制度をとつている限り、その特典が労務者に均霑されなければいかんわけでありますから、この制度がある限り今のような趣旨は妥当なものだというふうに委員会においても考えられたわけであります。  それから次の請願の二百六十四号、三百七十二号、これも同様な請願でありまして、菓子の統制を撤廃して呉れという請願であります。これはこの二、三回国会とも継続して出された請願でありますが、特に原料に統制品が非常に多く使用されている関係等からして、ずつとこれまで留保されておつた問題でありますが、特に最近の状態を見ますと、外国の放出菓子が非常に沢山出て来たこと、それから中小企業打撃が非常に大きくて、特にこの菓子の製造者には中小企業が多いこと、それから実際に統制をやつてつても、統制する力がなくて、現実には品物が街に溢れていること、そういうような点から考慮いたしまして、これもこのような趣旨に副つた方がいいのじやなかろうかというふうに委員会で考えられたわけであります。  それから請願の二百八十九号、毛織物の販売価格の改訂の場合の差益金も免除して呉れという請願の趣旨でありますが、大体請願の趣旨に則つて現在少しずつ改善されているようでありますが、特に最近におきましてはむしろ売行きが非常に悪くなつて、業者の金詰りが非常に強くなつており、差益金じやなくて、その逆に金を貰わなければいけないような状態になつておるとも考えられまして、これは妥当という結論に達したわけであります。  それから五百六十六号の請願は、我が国の塗料の統制の撤廃をして呉れという請願でありますが、これは国際的な貿易関係の点で考えなければならぬ点もあるわけでありますけれども、最近の経済情勢から見まして、これも大体願意妥当であると認められたのであります。  請願の六百五十八号は、国産油脂統制を解除して呉れという請願であります。これも同様な趣旨におきまして可なりと結論が出たわけであります。  最後に千八百三十七号、千八百四十八号という請願であります。これは肥料の価格を上げることに反対だ、肥料の価格を上げないようにして貰いたいという請願であります。特に最近の農村状態から見ましても、それから最近の状態から予想されておる、或いは予想されるように見えるところの肥料の値上げの問題、補給金の削減に続く肥料の値上げの問題は、相当重要な問題であり、それが先程申上げましたような意味で農村に與える影響が極めて重大であるという意味におきまして、全面的にこの趣旨は妥当なるものである、こういうふうに認められたわけであります。  以上の各請願につきまして、その際申上げましたような結論が委員会で出たわけでありまして、それが数次に亘つて審議されて得た結果であるということを附加えてまして、報告を終りたいと思います。
  83. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  84. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。  本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会は明後日五月一日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十六分散会      —————————— ○本日の会議に付した事件  一、日程第一 富裕税法案  一、日程第二 米国対日援助見返資金特別会計からする電気通信事業特別会計及び国有林野事業特別会計に対する繰入金並びに日本国有鉄道に対する交付金に関する法律案  一、日程第三 昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担特例に関する法律案  一、日程第四 貴金属管理法案  一、日程第五 関税法の一部を改正する法律案  一、日程第六 国家公務員等旅費に関する法律案  一、日程第七 租税特別措置法等の一部を改正する法律案  一、日程第八 国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案  一、日程第九 昭和二十五年の所得税の六月予定申告書提出及び第一期の納期特例に関する法律案  一、日程第十 国家公務員職階制に関する法律案  一、日程第十一 狩猟法の一部を改正する法律案  一、日程第十二 判事補の職権の特例等に関する法律の一部を改正する法律案  一、日程第十三 生活保護法案  一、社会福祉主事の設置に関する法法案  一、日程第十四 日本国有鉄道法の一部を改正する法律案  一、日程第十五 昭和二十三年度国有財産増減及び現在額総計算書  一、日程第十六 昭和二十三年度国有財産無償貸付状況計算書  一、引揚同胞対策審議設置法の一部を改正する法律案  一、国家行政組織法の一部を改正する法律案  一、日程第十七 図書館運営委員長報告  一、日程第十八乃至第三十二の請願  一、日程第七十八乃至第八十の陳情  一、日程第三十三乃至第四十二の請願  一、日程第四十三乃至第五十六の請願  一、日程第八十一乃至第八十六の陳情  一、日程第五十七乃至第六十八の陳情  一、日程第八十七乃至第八十九の陳情  一、日程第六十九乃至第七十七の請願