○河井彌八君
只今上程せられました二案について、順次内閣委員会の審査の経過及び結果を御
報告申上げます。
先ず
水産庁設置法の一部を
改正する
法律案でありますが、これは委員会を開くこと三回、全会一致を以て可決いたしました。提案の理由について簡單に申上げますれば、本年の三月十四日から施行せられましたところの新漁業法によるところの漁業制度の実施、それから四月一日から鮮魚介類及び加工水産物の統制の撤廃等によりまして、水産施策の重心が従来とは変
つて参つたので、この変遷に伴いまして、今後の水産行政を円滑有効に運営するために、現在ありまする限られた人員と予算の範囲内におきまして水産庁の機構を合理的に改組する、そうして各部の間の事務の調整を図らんとするというのが提案の理由であります。
改正の点につきまして簡單に申上げますれば、機構を合理的に改組すること、即ち水産庁に漁政部、
生産部及び調査研究部の三つの部がありますが、
只今申上げました趣意に基きまして、漁政部、
生産部及び調査研究部に対しましてそれぞれ適当な條文を加えまして、その権限を明確にいたしてあるのであります。第二点は、国立学校設置法によりまして、東京水産
大学と第一水産講習所を水産庁から文部省所管へ移すための規定の
改正であります。第三点は、水産物規格審査会を廃止いたしまして、その事務をば農林物資規格調査会において取扱うということでありまして、これらは公布の日より施行するものであります。
これに対しまして、内閣委員会におきましてこの
水産庁設置法の一部を
改正する
法律案に更に修正を加えた点がありますから、これを申上げて置きます。それはその後に四月十九日と思いますが、漁港法が成立せられましたので、その漁港法にありまする規定をば、その制定に伴いまして、
水産庁設置法の中に必要な規定を設けたという事柄であります。簡單でありますからそれを朗読いたしますと、
水産庁設置法の一部を
改正する
法律案の一部を次のように修正する。
第
五條の
改正規定中「三号」を「四号」に、第十号を次のように改める。
即ちこれは
生産部に規定を加えるのでありまして、その点は、
十 漁港の修築、維持管理及び
災害復旧を行い、又これらを行う者に対する許可、認可、指導監督及び助成に関する事務を処理すること。
十一 漁港の区域における公有水面の埋立の認可に関する事務を処理すること。
附則を次のように改める。
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 漁港法(
昭和二十五年法律第号)の一部を次のように
改正する。
附則第三項中
水産庁設置法第四條を
改正する部分の規定を削る。
これだけでありますが、これは
只今申上げました漁港法の制定に伴いまして当然に入れるべき字句整理のごときものでありまして、何ら内容を変更するものではありません。かような修正を加えました。
そこで委員会において明らかにいたしました事項といたしましては、この
改正によりまして、水産庁の定員並びに予算においては何ら異動のないことを明らかにいたしました。それから質疑応答の中には、この
改正はただ字句の修正のごときものであ
つて、何ら行政整理の意味はないではないか、もつとしつかりした行政整理を行うべきであるというような意見もありましたが、
政府はこの程度において満足をし、止むを得ずこの程度において止めて置いて、そうしてこの漁業行政の実行はもつと十分に効果を挙げることを期するという説明でありました。今度は少し
立場を変えまして、他の委員からは、水産省を設置してはどうだろうかという意見がありました。これに対しまして、
政府は、やはり現在の程度において止めることが適当であるという答えでありました。それから又他の委員は、この案の狙
つておるところはよろしいけれども、実際からこれを見るときには、もつともつとこの水産物の科学的取扱を十分に進める必要があると申しまして、北海道の「にしん」が如何に豊漁であ
つてもこれが大部分腐れてしまうこと、或いは又「すけそうだら」が同樣にな
つてしまうというようなことは甚だ遺憾とする、又この科学的取扱が甚だ不十分であるがために、
日本でできたところのフイツシユミールは
アメリカにおいては外国のそれに比較して全く価値を失
つておるというようなことを申しまして、そうしてこれは
国民の
食糧を完全にする上から申しましても、天然のものを本当によく利用し盡す面から申しましても、科学的の取扱は絶対に必要であるという適切な意見を述べたものであります。その他沿岸漁業及び内水面漁業の免許とか、或いは遠洋漁業の許可の取扱等についても質問があつたのでありますが、これは省きます。
かようにいたしまして、本案を採決に付しましたところ、
只今申上げました
通り、全会一致を以て可決すべきものと決定いたした次第であります。
次に
農林省設置法の一部を
改正する
法律案につきまして説明をいたします。
この
法律案は相当複雑な事項を盛
つておるものでありまして、委員会におきましては予備審査と共に五回開会いたしまして、昨日全会一致を以て可決すべきものと議決いたした次第であります。提案の理由及び
法律案の内容について詳しく説明を申上げますることは避けまするけれども、先ずこの
改正法案の要点は四つあります。その第一点は、農業
関係の試験研究機関を整備統合して、これに代えて農業
技術研究所と農業試験場とを設置すること、これが第一点であります。第二点は、地方支分部局のうち、本省
関係の資材調整事務所と林野庁
関係の大炭事務所とを廃止することであります。更に第三点は、審議会等の諮問機関を整理すること。第四点は、
食糧輸入事務の増大に対応いたしまして、
食糧庁の内部部局の事務を合理的に再分配しようとすること。この四つであります。
委員会においてこの案について明らかになつた点を申上げますると、
第一に、農業
関係の試験研究機関の整備統合の問題でありますが、その狙いとするところは、現在数多くの試験研究機関の
相互連絡が不十分でありますので、これらの人員、資金、施設等を能率的に配分使用して、実際的に効果のある総合的な試験を行うことのできるように再編成をいたし、能率的な研究体制を整えたということであります。そうして新たにできますのものは、農業
技術研究所が一つ、又全国に七つの
地域に農業試験場を作るということであります。農業
技術研究所は現在の
各種の本場及び本所を統一いたしまして、一つの場長の下に統括された総合研究機関でありまして、原則として、全国的に共通な問題及び数
地域に亘
つて比較検討を要する問題について試験研究を行うものであります。又七つの試験場は、北海道
地区、東北
地区、関東東山
地区、北陸
地区、東海近畿
地区、
中国四国
地区及び九州
地区の七つでありまして、それぞれのブロツクに置かれるものであります。それで、この
地域にある現在の機関の各支場を総合いたしまして、同じく一場長の下に統括された総合機関であります。これは原則としてその地方及びこれと共通の農業事情を持
つておる地方の問題を取扱うことを目的としておるものであります。かようにいたしまして初めて真に総合的な、有機的な、又実際に効果のある試験研究を能率的に遂行することができるというのであります。従来のこれらの機関はそれぞればらばらでありまして、そうして人員の上から申しましても、経費の上から申しましても、又実行せられた試験研究の実績から申しましても、甚だ不
経済な又不便な点があつたのでありまするから、これを改めるというのであります。尚この研究機関の整備統合によりまして、実員は従来と変りはないのでありまするが、予算といたしましては、
昭和二十四年度の二億八千万円から二十五年度の三億五千万円に増大いたしておるのであります。これが第一点であります。
第二点につきましては、資材調整事務所が御承知の
通り最近に物資需給統制の解除或いは緩和の趨勢に入
つて参りましたので、その取扱事務が段々減
つておる、そういう実情に対処いたしまして、もう一つは地方自治権がますます強化しておる傾向に鑑みまして、この際、所管事務をば都道府県に委讓することにする、その結果この事務所は廃止するということであります。併しすべての事務を委讓するわけではありませんので、電力とか石油等のごとく、その性質上それぞれの
地域に限
つていない、各
地域に共通するような仕事のあるものの調整を図るものは、これを残して置きまして、その事務は
地域ごとに
指定するところの
食糧事務所をして当分の間取扱わせるということにしたのであります。そうして、この資材調整事務所の総員は
昭和二十四年度におきましては二千四百二十四人でありましたが、そのうち地方庁へ約千五百人を引継ぎまして、残りは作物
報告事務所、
食糧事務所、本省或いは営林局その他へ配置転換をする予定であるということであります。もう一つ申上げますのは木炭事務所であります。昨年の夏、薪が統制解除になりまして、又木炭の国による買上が廃止になりました。それで木炭は去る三月には全面的に統制撤廃が行われましたので、もうこの事務所の存立の必要がなくな
つて来ましたから、これを廃止いたしまして、残務整理期間をば今年の末までとすることにしたのであります。そうして、これがため人員は千六百九十五名でありましたものが、現業地
関係へ百二十三名、府県庁へ百名、民間会社等へ百二名、それから現在清算事務に携わ
つているものが五百二十二名等、こういう内容で配置替えをして、そうして清算事務が終了をしまするとその五百余名の人は適宜配置転換をする予定であるということであります。これが
改正の第二点の内容であります。
第三点の審議会等の諮問機関の整理統合につきましては、これは二十九の審議会をば十二に統合するというのであります。そうして大体約一千万円ぐらいな予算の節減をするということであります。
第四点は
食糧庁の部制の
改正問題でありますが、現在の
食糧部、食品部、これをばそれぞれ業務第一部、第二部と改称すると共に、総務部及び食品部で分掌しておりました輸出入
関係の事務をば業務第二部に移管して一括取扱わせるということにしたのであります。これは最近の
食糧輸入の量が増大し、又民間
貿易の拡大に伴いましてこれに関する事務の分量が増加し、他方、食品
関係の統制が緩和になつたので、その方面から現在の食品部の事務の分量が減りまするので、その事務の分量をそれぞれ適当に均衡を保つように再分配をしようとするものであります。
この
改正によりまして結局農林省の職員総数は約三千九百名減少いたしまして、予算は一億八千万円程度節約になるということであります。
本案につきましては非常に各方面に亘
つて重要な問題を含んでおりまするので、委員会は随分綿密な審査をいたしたのであります。そこでその大体を申上げます。
第一は農業
関係の試験研究機関の統合整備についてであります。これは戰後
日本の農業に在り方の変
つて来たのに対して、これに適応して整備統合をするというのであります。即ち沢山の非能率な又農家と遊離しておるようなこの沢山の試験研究機関をば、これを統合して、そうしてもう一つは米麦作に偏重しておるのを改めて、今後特に必要度を増して来るところの畑作の試験研究に入
つて行こうというのであります。そうして中央地方の機構の総合的な運営、これから縦の連絡、横の連絡というものを緊密にしようとする、そうして効果を挙げようという点が明らかになりました。それで七つの試験場に分ける理由は、やはり各地の自然
條件の類似とか、或いは社会的
條件の相関性を見てこれを定めたのであります。ところが
中国、四国を一つの
地域としたのは、即ち姫路と善通寺にそれぞれ中心を置きまして、そうしてこれを姫路において
中国四国を統轄する農業試験場の置き方でありますが、これに対しては、
中国と四国とは大変事情が違うのであるということで強い質問が出ました。そうして結局
政府におきましては、善通寺の研究設備は畑作を主とするのであ
つて、姫路の水田作を主とするものとは違うのである、そうして将来善通寺の研究施設はますます拡充せらるべきであると考えるのであるから、今後実施の結果必要を認める場合においては、
中国と四国とを分ける措置をとるであろうということまで言明するに至つたのであります。
次に資材調整事務所の事務を地方に委讓するためにこれを廃止せられるのであるが、その事務の内容をどう動かすか、委讓するかということにつきまして、都道府県で單独に処理し得るものは盡くこれを委讓する、それからただ石油とか電力とか、特殊の物資について、その地方において單独に処理し得ざるもの、即ち他に連関のあるものは、これは特定の
食糧事務所に取扱わせるということがはつきりいたした次第であります。これが委讓に当りましては、人員も移管する、又その執務に必要な器具等も盡くこれを移管するという説明でありました。
それから審議会等の整理につきましては、かような整理の結果、審議会等の仕事をする上にどういう影響があるか、こういう質問、これに対しまして、
関係官庁の職員或いは実務家或いは学識経験者等の協議会を随時開いて参りまするので、これを整理しても差支ないという説明、それから向かような審議会が十二残りまするが、それは法律上の根拠を有せざる審議会は、もうこれでなくなるのであるかという質疑に対しまして、さようであるという答えであります。
第四には、作物
報告事務所を統計調査事務所と改めることにつきましての質問であります。作物
報告事務所の名称はこれはよろしくない、即ちその事務の内容から申しまして、最も適当な名前に改めたのであるということ、第二点としましては、作物の統計のみならず、
災害調査とか或いは漁獲調査までもいたすのであ
つて、結局農業統計の充実正確を期するのである、
日本の統計の疎漏なことは実に恥かしいことであるが、これを
世界の統計の、
アメリカの統計の正確なものに比べまして、遜色ないような完全なものを作るつもりである、従
つてこの統計調査事務所というものは臨時的の機構ではないということをはつきりいたしたのであります。
次に第五には、資材調整事務所の移管、木炭事務所の廃止及び種畜牧場二つの廃止、これに伴う職員の失職は防止することができるかという点、これにつきましては、
政府は省内の配置転換であるとか、他官庁へ転職させること、或いは地方庁へ引継ぐこと、民間へ斡旋すること、それから又自発的にやめる人もあるというようなことで、大体無理な犠牲者はないということをはつきり申したのであります。それから地方庁へ転職する人に対する給與の支給は確実であるかどうか、予算
関係について質問をいたしまして、随分これは親切な質問をいたしたのでありますが、これについても大体満足な答えを得たのであります。
それから第六には、
食糧庁の部制の
改正につきまして説明を求めましたところが、輸入
食糧の数量について
昭和二十四年の実績と二十五年の見込数量について説明いたされました。そうしてこれは段々殖えて参るのでありますから、取扱事務も又従
つて増加し、本庁職員の増加が必要であるが、併しその
食糧庁内で一方におきましては食品統制の緩和に伴
つて仕事が減少する部分もありまするから、庁内において内部の配置転換をやる見込であるということであります。
第七には、種畜牧場を二つ廃止することに関連しまして、国営競馬を存置するか廃止するかという問題、これにつきましては、終戰後軍用馬の必要がなくなり、従
つて馬匹の用途が変
つて来た。つまり精鋭を期するため、
戰争に役立つようにするための競馬であつたのだが、そういう意味ではこれからは取扱わないということ、併しこれを国営とするかどうかという点につきましては、二十五年度はこのままに国営にするが、二十六年度以後については考慮するという説明でありました。それから第二には、有畜農業を推進することは、これは実に大切なことである、而してその有畜農業、殊に乳牛等でありますが、これの牧場は民間の牧場を振興させて行くというのが国策である、ところが小岩井であるとか町村牧場であるとかいう
日本の民間牧場の最も優れたもの、又長く骨を折
つて作り上げた牧場が農地として開放せられ、無理に引取られてしまつた。そうして農地としては十分な成績も上
つておらんというようなものをどうするのかということを質問いたしましたに対して、
政府は、それが間違
つているならば今後これを是正するということをはつきり言われたのであります。ところがこれにつきましては、本日取調べて見ますると、もう二十ばかりの乳牛の牧場は大体土地を返還するということになつたということを聞いているのであります。これは誠に満足すべきことであります。ただ私がここにこれを申上げまするのは、單にこれは牧場対農地
関係ばかりではありませんので、森林等に関しましてもそういう例が沢山ある。一昨日通過いたしました造林臨時措置法におきまして、これらの点について農地面の行き過ぎが是正せられる、停止せられるということは認められるのでありますが、まだ各地にかような紛糾があるのでありまして、これを遺憾とするのでありますから、これを特に附加えて置く次第であります。
それから第八には、米の供出に対する報奬物資の価格が高くなりまして、そうしてこれが売れなくなつた。それが
農業協同組合の損失にな
つているのであるが、これに対して
政府はどういうふうに
解決をして呉れるかという質問、
政府の説明によりますれば、報奬物資の取扱はすべて
農業協同組合に任せろという希望が協同
組合側から出ておつた。然るに
政府は大体六〇%を協同
組合に與えて、四〇%を商業者に割当てた。ところがその後取引高税の廃止、或いは織物消費税の廃止によりまして、これらの物の値段が急に下つたために、
農業協同組合においては損失を蒙む
つて、すべてこれが滞貨となり、手形は不渡りとなつた。
政府はこれに対して滞貨、特に織維品の滞貨をば問屋に返還させて、そうして手形の執行をゆるくする
方法をとつた。勿論返還させた品物の価格は十二三億に上るけれども、価格差益金が約三億四千万円あるから、これを以て一応充当して、その残余九億円について処理
方法を考慮しているという答えをしたのであります。この点につきましては、今日沢山の要求が国会に対して提出されておりますから、このことを併せて
報告いたして置く次第であります。
第九として、農業政策の転換について、これまでは主食等の不足農産物を増産するということが農業政策の重点であつた。今後は農民
経済の安定政策を重点としなければならんのであるから、合理的・総合的経営の指導徹底のために
経済更生部のごとき特殊機構を設けてはどうかという質問がありました。これに対しまして農林大臣は、この
改正案の活用と現存の機構の運用によ
つてその目的を
実現しようと考えている。これがために、省内における課などの廃置分合は、これは行うつもりであるということでありました。尚、
日本の農業は、澱粉
生産の農業から、今後は脂肪、蛋白の
生産に移らなければならんのである、輸入
食糧を見ましても、大体澱粉質の
食糧の輸入にな
つている、これを転換することが必要だ、これはどうすればいいかと言えば、結局畜産の導入である。(「簡單々々」と呼ぶ者あり)もう少し述べさして頂きます。大切なことでありますから、どうぞ我慢をして頂きます。新らしい営農方針、食生活の改善、労力の節約対策、どういうふうにこれを実行して行くのであるかということにつきまして、農林大臣は、漸次その
実現を期するのである、即ち家畜導入と申しましても、小家畜の飼育或いは淡水魚を飼うというようなこと等によ
つて、漸次その目的を達するのであるということを申しました。
更に第十といたしまして、農林省改組の意現として、行政整理審議会で以て発表せられたところの水産省の設置、林野庁を
国土省へ移管するというような意見があるが、これに対してどう考えるかという質問に対しまして、農林大臣は、これは單なる試案のごときものであ
つて、まだ公けに取上げておられないのである。併しこれに対して意見を述ぶるならば、現在の制度で十分である。林野庁を
国土省に移管するごときは、殊にこれは反対であるということを言われたのであります。
最後に、省内及び公団に、省の監督しているところの、管理の下にいるところの公団の経理が紊乱している、不正の事件が沢山あるようであるということ、これにつきましては各委員から、熱心な、熱烈な質疑が集中したのであります。で、各公団の実情を明確に
報告するようにという要求もありました。或いは又監督が甚だ不十分であるが、その
方法を充実すべしということ、或いはこういうことに対する責任は誰が負うのであるかというようなこと、各般に亘りまして強い質疑が出たのであります。これに対しまして農林大臣は、木炭会計の跡始末のその後の処理について説明をいたし、又徳島の
食糧事務所の不正事件についても詳細な説明があり、又肥料公団が不当な経理をしたということについて適切な処置をとつたというような
報告がありました。併しどちらにいたしましても、十分この当該の責任者に対しましては責任を負わせる、又官庁といたしましても、十分な監督を盡すということを申述べた次第であります。かような質疑応答を重ねまして、そうして討論に入りまして、町村委員から、今後の農政の実行には、結局、農業改良局の仕事を中心としてこれを進めて行くの外はない、
アメリカにおいてもすでにこの点に一番重点を置いてや
つて来た、どうか希望としては、農林省が改良局を農家に対する窓口として開いて、この窓口において省内各部局が協同一致して農家に密接に接触して貰いたいという意見を述べられました。三好委員からは四つばかりの要求が出ました。それは
日本の農業政策の重点は、不足農産物の充足であつたのから一転して、農民
経済の発展を如何にするかという点に移
つて來ておる。
政府の機構及びその運営についてもこの点に重きを置いて貰いたい。第二には、
中国、四国農業試験場の機構は
政府の言明によ
つて明らかになつたから、その利害得失を十分に検討して適当な処置をと
つて貰いたい。第三点は、農業及び農業政策を正しい方向に発達させるためには、どうしても正確なる統計の必要がある。その取扱部局の充実に努めるようにということ。第四には、公団の監督には格段の注意と
努力を傾注するようにということであります。最後に梅津委員からは、職員の定員及び実員の整理につきまして、
政府はあらゆる手段をと
つて完全雇用の実を挙げるようにするようにというのであります。そうしてこの
実現に際しまして、中央から地方庁へ転職する職員に対する給與については安定の行く方途をと
つて欲しい。尚、最後に、公団に対する監督については嚴重にして欲しいということを申述べたのであります。かようにいたしまして、採決をいたしましたところが、全会一般を以て可決すべきものと議決した次第であります。大変長く御
報告いたしましたが、この事柄の
法律案の内容の重要性に鑑みましてさようにいたした次第であります。その点は特に御了承を請います。(
拍手)