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1950-04-26 第7回国会 参議院 本会議 第46号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月二十六日(水曜日)    午前十時二十九分開議     —————————————  議事日程 第四十四号   昭和二十五年四月二十六日    午前十時開議  第一 国会法第三十九條但書規定による国会議決に関する件(広島地方專売公社調停委員会委員)  第二 全国選挙管理委員会委員指名  第三 参議院法制局職員定員規程の一部改正に関する件  第四 南海地震に伴う地盤変動による被害復旧対策に関する決議案久松定武君外二十名発議)(委員会審査省略要求事件)  第五 文化財保護法案山本勇造君外十七名発議)(委員長報告)  第六 建築士法案衆議院提出)(委員長報告)  第七 国会閉会委員会審査を行う場合の委員の手当に関する法律の一部を改正する法律案衆議院提出)(委員長報告)  第八 民事訴訟法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第九 国籍法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一〇 国籍法施行に伴う戸籍法の一部を改正する等の法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一一 火薬類取締法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一二 牧野法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一三 家畜改良増殖法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一四 造林臨時措置法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一五 労働者災害補償保險法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一六 労働省設置法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一七 建設省設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一八 海上運送法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一九 中小企業振興に関する調査に関する件(委員長報告)  第二〇 北海道南景勝地帶観光施設完備等に関する請願委員長報告)  第二一 宇津野駅、小本間に鉄道敷設促進請願委員長報告)  第二二 八木港の避難港整備工事継続に関する請願委員長報告)  第二三 車両工業復興対策等に関する請願委員長報告)  第二四 南海電気鉄道株式会社は国鉄、私鉄連帶輸送車扱貨物運賃通算制実施請願委員長報告)  第二五 白棚鉄道線の復活に関する請願委員長報告)  第二六 掛塚燈台移設に関する請願委員長報告)  第二七 二本松、津島両駅間に国営バス運輸開始請願委員長報告)  第二八 北見枝幸、雄武両駅間に鉄道敷設請願委員長報告)  第二九 電気機関車製作に関する請願委員長報告)  第三〇 松山駅復旧工事施行に関する請願委員長報告)  第三一 浜松米原駅間鉄道電化に関する請願委員長報告)  第三二 広島県音戸の瀬戸開さく事業施行に関する請願委員長報告)  第三三 美島丸沈沒原因調査および遭難者死体收容に関する請願委員長報告)  第三四 山川、枕崎両駅間に鉄道敷設請願委員長報告)  第三五 相生、西大寺両駅間の鉄道敷設完成に関する請願委員長報告)  第三六 特急つばめまたは急行銀河神戸始発とするの請願委員長報告)  第三七 三陸沿岸鉄道敷設促進に関する請願委員長報告)  第三八 山陰本線中一部路線変更に関する請願委員長報告)  第三九 伊豆半島循環鉄道敷設促進に関する請願委員長報告)  第四〇 隼人、古江両駅間および高須駅、大泊間に鉄道敷設促進請願委員長報告)  第四一 宮古、久慈両駅間に鉄道敷設促進請願委員長報告)  第四二 仙台駅東昇降口設置に関する請願委員長報告)  第四三 郡山市に電気通信施設完備請願委員長報告)  第四四 国会内電報局独立に関する請願委員長報告)  第四五 元大阪戎電話局復旧促進に関する請願委員長報告)  第四六 西鹿兒島駅改築工事完遂に関する陳情委員長報告)  第四七 高崎線電化促進に関する陳情委員長報告)  第四八 浜松米原駅間鉄道電化促進に関する陳情委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 諸般の報告朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、国会法第三十九條但書規定による国会議決に関する件(広島地方專売公社調停委員会委員)を議題といたします。去る十九日内閣総理大臣から、広島地方專売公社調停委員会委員衆議院議員中原健次君を委嘱することについて本院の議決を求めて参りました。中原健次君が広島地方專売公社調停委員会委員に就くことに賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  4. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本件全会一致を以て内閣総理大臣申出通り議決せられました。      ——————————
  5. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第二、全国選挙管理委員会委員指名議題といたします。
  6. 岩男仁藏

    岩男仁藏君 只今議題となりました全国選挙管理委員会委員指名は、成規の手続を省略して、この補欠指名議長に一任するの動議を提出いたします。
  7. 大隈信幸

    大隈信幸君 只今動議賛成いたします。
  8. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 岩男君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。つきましては、今回選挙管理委員会委員である今井登志喜君が三月二十一日死去せられましたにつきましては、その補欠として小島憲君を全国選挙管理委員会委員指名いたします。      ——————————
  10. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第三、参議院法制局職員定員規程の一部改正に関する件、本件につきましては、議長参議院法制局職員定員規程の一部を改正する規程案を立案いたしまして、予め議院運営委員会に付議いたしましたところ、同委員会においては異議がない旨の決定がございました。これより参事をして改正規程案朗読いたさせます。    〔海保参事朗読〕    参議院法制局職員定員規程の一部を改正する規程   参議院法制局職員定員規程の一部を次のように改正する。   「一 参事 專任一八名」を「一参事 專任二十四名」に、「二 主事專任 一二名」を「一 主事 專任二十名」に改める。     附 則   この規程は、昭和二十五年五月一日から施行する。
  11. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 只今朗読いたしました改正規程案賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  12. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて改正規程案全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  13. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第四、南海地震に伴う地盤変動による被害復旧対策に関する決議案久松定武君外二十名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題といたします。本決議案につきましては、久松定武君外二十名より委員会審査省略要求書が提出されております。発議者要求通り委員会審査を省略し、直ちに本決議案審議に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明発言を許します。久松定武君。     —————————————    〔久松定武登壇拍手
  15. 久松定武

    久松定武君 只今上程されました本決議案発議者を代表いたしまして、私は提案の理由を説明いたします。それに先立ちまして、この決議案の内容を朗読さして頂きます。    南海地震に伴う地盤変動による被害復旧対策に関する決議   昭和二十一年十二月二十一日の南海地震による直接の災害に対しては、政府は適切な施策行い相当の成果を挙げ来つた。   然るに二十四年夏期より四国中心として特に愛媛香川両県において急激に飮料水及び排下水に大なる異状を来し、又徳島愛媛高知の各県を中心として農耕地の惨状を呈する事態なつた。即ち飮料水及び排下水異状のため約三十万国民日常生活並びに衛生状態に極めて危惧すべき事態を来しつつあり、又農耕地に対する広汎な塩害関係各県の耕作放棄を招来し、食糧問題に重大な影響を及ぼしつつある。この原因は南海地震影響による地盤変動に起因するものと思われる。   右の事態に鑑み、政府は速かに対策をたて、これを直ちに実施することを強く要望する。   右決議する。  只今申上げましたように、昭和二十一年十二月二十一日の南海地震は、我が国地震史上においても最大級地震に属し、その規模は大正十二年の関東大地震に数倍優ることは学者の報告しておるところであります。従つてその被害は九つの県、即ち四国紀伊半島中心として各方面に及ぶ頗る莫大なるものであつたことは、今尚記憶に新たなるところでございます。これに対しましては、国は各般の施策によつて鋭意復旧に努め来つたことは、これ又御承知の通りであります。  然るに昨年の夏以来、愛媛香川両県を中心とする各地方に、海水浸透等による飮料水排下水の問題が新たに急激に表面化したのでありますが、実情関係住民日常保健衛生上真に憂慮すべき状況であります。又徳島高知愛媛を初め各地方農耕地に対する海水浸透塩害は、海岸線一帶に分布して広大なる面積に上り、食糧問題にも重大なる影響を及ぼして、全く放置し難い事態に立至つたのでありまして、ここに本決議案を提出する次第であります。  南海地震に伴う地盤変動は、最も顯著な隆起と沈下を来しました高知県の一部においては、その後幾分の回復を来したのでありまするが、その他の四国地方にありましては、地盤沈下は年と共にその度を加えたことが、建設省地理調査所その他の学術的調査の結果によつても判明しておるのであります。従つて地盤変動による被害は、各地とも年と共にその範囲と程度を拡大しておる実情であります。地盤変動の結果の一つの現われとして、海水浸透その他不純物混入等による飲料水不適地区が急激に増大して、関係住民は朝夕遠距離から水を運ぶ有樣であります。又排水不良となつて下水は逆流し、殊に高潮の際は甚だしい所は便所台所に汚水が浸水するものさえあるのであります。又農耕地に対する塩害関係地方全般に見られるところでありまするが、徳島吉野川河口地区小松島町地内及び愛媛県西條市壬生同時地内の仕団的耕作放棄地のごときは最も顯著なものであります。これらの地区はいずれも穀倉と称せられる地帶でありまして、関係地方の食糧問題にも重大なる影響を及ぼしております。同樣の事情は瀬戸内海島嶼部紀伊半島及び瀬戸内海に面する中国地方にもあるのでありまして、被害区域は甚だ広汎に亘る状況であります。然るにこれらの被害は他の災害と同じく震災に起因するものでありますが、その性質地震直後に現われずに、漸次出現してその被害を拡大するに至つたのであります。これに対しましては、飲料水については都市の水道を除けば被害地区簡易水道共同井戸設置を必要とするものが多いのであります。又排下水農耕地については、海水浸入の防止、灌漑用水の導入のために、堤防護岸の補強、扉門設置機械排水設備等施設を要するのであります。而してこれがために相当多額費用を要しますので、関係県地元住民の資力では到底実現することが困難でありまして、政府財政的援助は不可欠の要件であります。政府被害性質重大性に鑑み、急速にその対策を樹立してこれを実施し、関係住宅日常生活保健衛生、又国民食糧問題上の重大問題を速かに解決せられんことをここに強く要望する次第であります。  何とぞ只今趣旨を御了承下さいまして、諸君の御賛成を切望する次第でございます。(拍手
  16. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 本決議案に対して討論通告がございます。発言を許します。仲子隆君。    〔仲子隆登壇拍手
  17. 仲子隆

    仲子隆君 只今上程になりました決議案に対して賛成意見を表する者でございますが、昨年来たびたび地盤沈下に関する問題は国会の問題となつておるのでありまして、過般又中平議員よりも、これらに対する水道に関する問題その他についての質問がございました。敢てこの上詳細なる説明は必要はないのでありまするが、本年建設委員会より出張を命ぜられまして実情調査いたしました。私達が一ケ年間聞いていたことが実際に見て、実に驚くべきばかりのものであるということを見ましたので、更に又これに対する従来の考え方が違つておりましたという関係から、ここに若干の補足の説明をいたしながら賛成意見を表する者であります。  御覧のごとく二十一年の十二月に起つた南海震災は、和歌山県から四国一帶に及んであるものでありまするが、その当時先程の説明のごとくすでに相当のこれに対する対策その他は講ぜられたのであります。ところが一つ考え方の違う問題があります。地震といえば一時に起つて直ぐ後止つてしまう、故にその一時的な対応策が済めばこれでよろしいと考えるのでありますが、中国山脈に平行した地帶の、和歌山県から四国及び九州に通ずる一帶、瀬戸内海の南方でありまするが、この全体の地区地震の後において尚継続して沈下しておるのであります。高知県の一部分和歌山県の一部分は隆起しておるのでありまして、いわばその動き方が、或る人達は、四国太平洋の方に泳いで出るのである、約二百メートルばかり出たのではないかということも言いますが、大体島が沈みつつあるのであります。多く沈んだ所は四尺ばかりであるし少いところでも二尺ばかり沈んでおります。この実情認識がないから、この一地区の問題についてこういうことを評議することは誤りであるという考えの人もあるかも知れませんが、この四国及び和歌山県における現状はそう簡單なものじやない。我が国歴史の初めから日本書紀、古事記に至るところまで還つて見ましても、この一帶は漂える国、くらげなす国ひよろひよろ海の上を泳いでおる島であるように考えられる、その後の歴史に徴しても数回四国は浮いたし沈んだりしておる。大体百五十年ごとに下つたり上つたりしておる、こういうような記録であります。南海地震を機会に再びこの島は沈む、或る人達は、四国は沈んでしまつて瀬戸内海が直接太平洋になるのだ、或いは四国の高い山だけが上に残つて後は今の平地は底に沈む、こういうような憂いさえ持つたのであります。こういう実情からいたしまして、今度のこの地震後における災害というものは非常に広範囲に亘り大きくなるのであります。これについて昨年農林関係の方において、いつまで沈むものか分らぬから対策はできないというようなことを、その方で言つた人があるように聞いておりました。ただ待つておる、沈むまで待つてしまうということなら何千年かかることか知れないが、併し現に多数の人達が朝夕困る、一日の仕事に困つておる今日でありまして、そう簡單にこれを見捨てる訳には行かないと思います。中平君の説明並びに今の久松議員説明によつて水道の困るということは私共分ります。朝に晩に飲み水がない、私が行つて来て見ますと、子供は顔を洗うと眼が痛いから顔を洗わないで学校に行く、近時隣りに水がない、雨が降るまで顔を洗わない、お母さん達が一時間も向うの方へ行つて汲んで来るという所もあるし、或る島では僅かにある水を藥罐一杯宛てに分けるというようなことがあるのでありまして、今日疲弊した農村においては飲み水さえ簡單に行かない、水も飲めないという現状にあるのであります。又農耕地に至りましては、今のように島が沈みますと海の潮が高くなる、潮が高くなれば干潮時にはよろしうございましようが、少し満潮になりますと、さつきの四尺或いは二尺というものがそれだけ高く来る。従つてさつき説明のごとく町に溢れて便所井戸も皆一緒になる。上から潮水井戸の中に入つてしまう、こういうこともあるし、或いは田圃は折角植えた稻の上の方から潮水が入つて来る、下からは湧き上つて来る、或る程度できた稻が途中において全部枯れてしまつておるところがありまするが、併し農林省は供出は大体の面積によつて割当てるが故に、これは出すべきものである。実際は稻が皆枯れてしまつておると、こういうような現状もございます。これらの現状に対して国家が、先きの震災の当時においては、二十二年当時においては相当施策を施したが、その後の状況については、これは災害ではないというような考え方を持つておる。災害とは予算年度に発生して、そのときに始末の付く問題を災害考え知らん間に継続的に出るものは案が立たないというような考えがあるのであります。これなんかも四国地盤沈下等に対する考え方を変えなければならん。災害なるものの観念を変えて、予算上特別なる法案を作らなければならないものと思います。現に災害状況から申して見ますと、上水道被害下水道の被害について、厚生省から四国現状調査して、四国和歌山県一帶に困る箇所は百九ケ町村人口は二十四万六千人の者が水に困り、その救済に必要なる費用は五億四千三百万円であります。下水さつきのように潮が上りますと、潮水が上に来ると出て行く筈の下水が町に溢れて、故にこれが家や井戸も皆汚してしまうという、この面積が千五百五十二ヘクタール、これに対する対策費用が、厚生省としては十億一千八百万円要ると申しております。農耕地被害は、さつき申しました上からかぶる潮、下から浸み上つて来るところの潮とで一万六百六十町歩が、四国北三県でありますが、高知和歌山を加えて合計一万五千町歩に達する農地が全然物を作ることができなくなつております。塩田その他等は比較的被害が少いのでありますが、早くこれに手を付けたから少いのでありますが、尚これにも拘わらず海岸、河川、橋梁等愛媛県の八億五千万円、香川県の五億三千三百万円、徳島の八億、高知の三億五千万円、計二十五億に達する復旧費が必要であります。先きの上下水に関するものを加えまして四十億五千万円という費用をかけなければ、現在これを救済することができないのであります。然るにこの予算は昨年十月頃決定されたのであり、我々に実行予算が與えられて、本年これを議決したのではありますが、その時期においては十分未だこの災害状況が分らなかつたのである。災害はその後において一般に考えられるようになつたのであります。  これらの復旧に関して重要な問題は、差当り四国その他の地区人達に水を飲ませること、或いは生業を失つて、今までの農業をやめてただ自由労働者になつているとか、或いは他に出て行かなければならない、そこに住むことができないという者に対する一つ救済方法考えなければならない。或いは従来の一時的災害に対するものに対して、今度は継続的な災害という一つ考え方地殻変動でありますから継続的災害がある。これらの條件に対して頻りに我々の方では研究をいたしましたのでありまするが、少額の費用を以て各県が共同研究をいたしましたけれども、費用不足にして途中で調査もやめてしまうというようなことから、研究調査費の必要が考えられる。さつき申しました予算費用に対して復旧或いは防災に対する費用も出さなければならん。予算上、今日の予算では処理できぬというのであるが、これに対して予備津等の流用を考えて貰わなければならないし、或いは従来のこの予算に関する基本問題として、一つのこういう大きな災害継続的災害に対する特別なる予算を考慮しなければならない。こういう諸面において政府は十分なる努力をせられなければならないと思うのであります。これに対しては水道のごとく人口一万以下のところには補助金を出さないという制度であれば、小さな部落、或いは小さな町がすでに飲む水がないという場合に、国家救済の手段はないのであります。土地の人間はさつき申すように非常に困難な状態にある。故にこの方法に対して、予算その他の方法に対しては新たなる法案研究しなければならない。私達はむしろここに地盤沈下における四国救済法案或いは地盤変動地域における救済法案というものが必要であることは、北海道や別府や、或いはその他の軍港その他に関するもの以上に重大であると思うのであります。国の富を保護し、民生を安定する。或いは生活保障するという立場においては、今申しまする地域人達救済するために十分なる御審議を頂きまして本案に御賛成を願い、政府はこれに対して即刻救済の手を延べ、この実現を期せられんことを希望するものであります。以上であります。(拍手
  18. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これにて討論通告者発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより本決議案の採決をいたします。本決議案賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  19. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて決議案全会一致を以て可決せられました。  只今決議に対し益谷建設大臣より発言を求められました。益谷建設大臣。    〔国務大臣益谷秀次登壇拍手
  20. 益谷秀次

    国務大臣益谷秀次君) 南海地震に伴う災害復旧対策につきましては、先般中平議員の御質問に対し、それぞれ各所管大臣から対策についての見解を詳細に御答弁申上げたのであります。只今の御決議の御旨は政府においても全く御同感であります。できる限り御趣旨に副うべく努力をいたしたいと存じております。(拍手)      ——————————    〔羽生三七君発言の許可を求む〕
  21. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 羽生三七君。
  22. 羽生三七

    羽生三七君 私はこの際、日本外交基本方針に関する緊急質問をすることの動議を提出いたします。
  23. 大隈信幸

    大隈信幸君 只今羽生三七君の動議賛成いたします。
  24. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 羽生君の動議に御異議ございませんか。   「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。羽生三七君。    〔羽生三七君登壇拍手
  26. 羽生三七

    羽生三七君 我が民族の運命を決定するであろうと思われる講和会議がいつ、どのような決定を見るであろうかと、日本国民は希望と憂いとが交錯した気持ちの中でその日を待ち構えております。私は今この問題について私見を開陳し、吉田首相の考慮を煩したいと思うのでありますが、言うまでもなく外交問題は、特に講和問題の論議については、事の性質上その発言が愼重であらねばならず、これに対する政府当局の答弁も又頗る困難であろうとは思われまするが、併しそれ故に問題の所在を不明確にしたり、又はこれを回避したりしてはならんと存じます。実を言うならば、問題が困難であればこそ、この問題としつかり取組まなければならんと考えております。  今日講和問題を論ずる場合、全面講和、或いは單独講和というように種々論議されておりまするが、これは言うまでもなく全面講和がよいに決つておるのでありますけれども、それをリアルに考えた場合、今我が国通り巻いている客観的諸條件から、問題を勢い全面か、單独かという両論の対比という形で提起し勝ちになるものと思います。併し全面單独を断定する前にもつと重大な問題があるのであります。この両論も帰するところ我が国安全保障の問題に関連するのでありますが、この安全保障の形式につきましても、又国連加入か或いは永世中立か、更に又特定の国乃至は特定国家グループ保障を依頼する形かというように分れるかと思います。仮に国連加入と申しましても、これは我が国意思だけで決定される問題ではなく、世界の各国がこれを許容して呉れなければ問題になりません。而してこの例は現にヨーロツパに存在しているところのことでございます。而して尚それが容認されましても、国連加入中の特定国侵略国と認定された場合に負う共同責任の分担についても又問題があることは言うまでもございません。  次に、特定の国、或いは特定国家グループ安全保障を依頼するという形は、問題の性質上更に新たなる問題の発生を内包することになるのは当然でありますから、これを軽々に肯定することは妥当でないと考えられるのであります。更に又、永世中立論につきましては、これは日本だけが單独意思表示をいたしましても、相手国たる世界の各国がこれを認め、個々にか或いは共同にか、日本永世中立を確認する宣言を発して呉れなければこれ又問題にならんのでございます。こういうふうに考えて参りますと、問題が如何に困難であるかということは、吉田首相のその都度の発言に待つまでもなく、我々自身これを認めるところの問題でございます。そこで、この困難さの故にか、或いは吉田首相みずから含むところがおありになつてか、首相は今日までこれらの問題を仮定の問題として答弁を回避されて来たことは御承知の通りであります。併し、我々は日本国の憲法に規定された戰争放棄と非武裝宣言に基いてものを判断する限り、そこから一定の結論を導き出すことは困難ではないと考えられます。この日本国憲法の規定は仮定の問題ではございません。これは嚴ため現実的條件を備え、日本国民の総意の上に築き上げられている問題でございます。即ちこの日本憲法に明記された戰争放棄と非武裝という條件の上に我々が立つ限り、そして同時に、今一つ日本がどこまでも独立であつて、いずれかの国に依存しないという自明なる国民の希望に立つておる限り、日本の進むべき道、取るべき道はともかくも中立的な立場以外に如何なる立場もあり得ないということは、憲法の明記することろと同様に明瞭なる事実と確信いたします。繰返して申上げますが、これは断じて仮定の問題ではございません。それは先きに申述べた理由によつて御了承願えることと存じます。  我々がこういう提言を行う場合、問題をリアルに考えると、確かにそこに際限のない、諸問題が生起して参ります。そして結局事を嚴密に考えることを回避して曖昧なままで講和会議に問題を持ち越すというイージー・ゴーイングな立場に落ち込み勝ちになるのであります。言うまてもなく講和会議には恐らく日本の将来の運命を決するであろうところのすべての問題が提起され、そしてその場合、問題の選択をみずからの意思で自由に決定し得ないであろうということもこれ又言うまでもなく明瞭なる事実でございます。それ故にこそこの場合我々はすべての案件に先立つて政府自身が、日本国将来の方針といたしまして、中立の立場を堅持する旨即刻中外に声明すべきであると考えますが、これに対する吉田首相の所信を承りたいと存じます。  而してこのことは吉田内閣であろうと或いは他のどのような内閣が政局を担当しましようとも、同様に要請される事実と存じます。要するところ、講和会議の際の條件如何によつて中立を守るか守らぬかという問題が決定されるであろうという問題の出し方でなしに、すべての條件の前面に、且つ第一義的に国の大きな方短として中立の堅持ということの声明が絶対的に必要であるという認識の上に立つことであります。  今日、親米反ソとか或いはその反対に親ソ反米とか申しまして、自分みずからをそれぞれの国の立場に立たせて外交問題が論じられておる傾向がありますが、これにつきましては、人おのおの意見がありますし、且つ人民はみずから思想選択の権利を持つておるのでありますから、それをとやかく言う必要はありません。併し事日本国憲法の根本精神に牴触するような形での問題の立て方は極力愼しむべきであると存じます。即ち何人が思想としてアメリカのデモクラシーをとろうと、或いはソ連のコムミユニズムの立場をとろうとそれは自由でございますが、そのことと日本の中立維持の問題とは確然と区別してかからなければならんと思うのであります。即ち国際的紛争にみずからを投入するような態度は極力これを回避すべきであると思います。その意味におきまして、日本の国内における不当なる、或いは過度なる反米宣伝活動、或いは反ソ宣伝活動は両者いずれも即刻停止すべきものと考えます。  さて、我々は武裝なき国家として、自分みずから中立を表明するのみならず、世界各国から中立国としての確認を受けて、我が国の独立と領土の安全と不可侵を保障して貰わなければなりませんが、この際單に成行きに任せるというようなことでなく、進んで我が日本国の中立と安全保障を米ソ両国或いは英国、中国等の諸大国に斡旋を懇請して、以て世界の諸国家我が国安全保障を約束して貰うよう、十分なる努力と配慮が必要であると信じますが、これに対する吉田首相の見解を承わりたいと存じます。  重ねて申上げますが、講和会議の際に何もかもおのずから決まるであろうというような漠然たる行き方をするのではなく、その前に中立の維持、領土の安全と不可侵という問題が前提條件として日本側から提起されなければならんという見解の上に立つことでございます。而してこのことは日本国憲法の條文からして当然導き出し得る結論でありますから、先きにも申しましたように仮定の問題ではないのでございます。すでに武裝を放棄した我が日本国が戰争の結果、我が国が植民地的支配をして参りました朝鮮、台湾、満洲、樺太等を失ない、この小さい四つの島の中に、資源も乏しく、ただあり余る人口を擁して、新らしい世界へ進み得るただ一つの道は、実に世界の諸国の友愛と好意に基く平和的保障あるのみでございます。このように武裝もなく、資源も乏しい国を侵そうと思えば、どのような国であろうとその目的は実に簡單に達せられると思います。この場合に何か武力を意味するような自衛手段を考えましても、そのようなことは我が国の憲法の精神に背反するのみならず、又現実の問題といたしましても、すでに原子爆彈から水素爆彈にまで科学兵器の発達しつつある今日、全く問題にならないところでございます。併しながら全く天衣無縫と申しましようか、素裸で国際場裡に立つこの弱小国の安全と不可侵を脅かす国があろうとは思いません。若しそのようなことが万が一にもありますならば、公正なる世界の世論はこれを絶対に許さんと考えます。世界の諸国の中には、今尚我が国における民主主義の成長の度合について若干の杞憂を抱いておる向きもあるようでございますが、その意味におきましても、日本が現在その中立的な意思を世界に向つて明瞭に宣布して置くことが絶対に必要であると私は考えるのでございます。平和国家としての我が国を確立するためには、我が民族のみずからの弛みなき平和的努力が欠くべからざる條件として必要であると共に、外からの搖ぎなき平和的保障が必要でございます。若し世界の国々が心から我が国の平和的発展を欲して呉れるならば、そうして又我が民族が真に世界の平和国家の名にふさわしい民族として成長することを願つて呉れるならば、我が国に対して中立を確認して呉れぬ筈はないと思います。  而して又同時に我が領土の安全と不可侵は、中立との不可分の関係において同様認められるところであると信じます。この我々の考えが決して無理ではない証拠の一つとして、マツカーサー元帥が昨年も又先日も、再度に亘つて我が国に対して「東洋のスイス」たれという意味深き示唆を與えておることを挙げることができます。又アメリカの著名な評論家ウオルター・リツプマン氏も、日本が米ソの中間的な地位に立つていることを指摘いたしまして、日本がこの中間的地位を確保することが世界の平和に寄與するであろうと言つておられます。そしてリツプマン氏は、氏の見解の表明の最後におきまして、この立場のみが災いに満ちた過去から救われて、偉大な未来に進む彼等の正当で最高の希望を達成させることができるといつても差支あるまい、と語を結んでおられます。日本人自身が躊躇逡巡しておるのに、却つて外国人が日本の進むべき道を教えておるのでございます。中立国の安全度合につきましては、しばしばベルギーの事例が、極めて悲観的な意味において引用されますが、この一事例によりまして我が国の運命を即断するのは早計でございましよう。我々は真に祖国を愛し、この愛する祖国の安危について想いをいたしますならば、我が中立性の堅持こそ、将来の正しい、且つ平和的発展のためのただ一つの道であると信じます。而して又そういう立場においてのみ、我が国が世界の信頼に応え得るものと確信いたすのでございます。  政府はこの際、中立の表明によつて、祖国の安全に関する保障を得るために、世界各国の友愛と好意に訴えるべく最善の効力をなすべきであると信ずるのであります。これに対しまして吉田首相の熱意ある見解の披瀝を期待いたしまして私の外交問題に関する緊急質問を終ります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂君登壇拍手
  27. 吉田茂

    国務大臣(吉田茂君) お答えいたします。  第一の御趣意は、中立の声明をしてはどうか、する考えはないかということでありますが、日本の憲法におきまして戰争を放棄する、防禦のない状態に置くということは、お話の通り憲法に明らかに明記しておる。而してこれは中外にはつきり日本国の態度として表明いたしておるところであります。これに加えて、今日中立の声明をしたらよかろう。御趣意はよく了解いたしますが、甚だ抽象的に申すと、中立という以上は、交戰国の存在を前提といたさなければならんのであります。今日冷い戰争とかいろいろな言葉を以て、今にも戰争が始まるかのごとき表現、若くは風説が起つておることは事実でありまするが、この風説を土台として、交戰国がありとして中立の声明をするというのは、少しくおかしな話であるように私は感ずるのであります。(「そうは言つてはおらん」と呼ぶ者あり)どう言われておるか知りませんが、私はそう感じます。苟くも中立なるものは、私重ねて申しますならば、交戰国の存在を前提としておるもので、日本が交戰国に介入するという考えのないことは、憲法に明らかに明記いたしておるのでありますから、その上、中立の声明をなすということはどうであろうかと私は考えるのであります。又却つてそれがために恰も戰争が近くある、若くは戰争状態が存在しておるような印象を與え、若くは国民がそう考えておるということが、むしろ世界の平和を脅かすものではないかと私は思うのであります。更に日本が戰争に介入いたさぬ決心であることは明らかでありまするか、更に進んで日本国が中立の声明をなすよりは、世界の平和を指導する。世界の平和の空気をますます奬励する、或いは引立てる、日本国が列国に先立つて平和運動の先駆をなすというならば、これは私も賛成いたしますが、突然今日中立の声明をなすということはどうであろうかと、私はこう思います。  又反米とか或いは反ソ運動に対して取締を十分にしろというお話のようでありますが、これは若し反米或いは反ソ活動をなして、これが今日の日本の治安を害し、或いは又日本の国是を害する、或いはその活動が、世界に日本国或いは日本国民意思を誤つて伝えしむるような活動をいたした場合には、国法がこれを取締る。又連合国としても、進駐政策に反するものとして取締を嚴にいたし、又将来もいたす筈であります。若し特に今日、反米、反ソの活動に対して如何なる方針を以て政府は臨むかと申せば、無論これは治安を害し、若しくは日本国民或いは日本国に対する誤解を生ぜしめるような運動に対しては、政府としても断乎取締をいたすつもりであります。  又安全保障について列国に斡旋を頼むというようなお話のように承知いたしましたが、今日日本といたして御承知の通り、列国との間には形式的でありますが、平和状態は打立てられておらないのであります。故に直接に列国に保障を頼むというようなことはできないのでありますが、併し連合国として日本の安全が脅かされ、或いは日本国民に十分の安全保障がないということは、今日最も我々も心配し、又列国も心配いたしておることであります。日本において日本の安全が脅かされるということになれば、これは結局極東の平和、若くは世界の平和を脅かすことになるのでありますから、新聞その他で以て御承知であろうと思いますが、日本の安全をどうするか、日本安全保障を如何にするかということは、列国の間においても、殊にイギリス、アメリカ等において、この点について深甚なる考慮を拂われておるということは御承知の通りだろうと思いますが、この安全保障に対する国民の安心がない。或いはこれに対して確信がないということは誠に現在困つたことであり、又安心を與えなければならんと思いますために、英米その他においていろいろな論議が現に取交されておるのであります。で、この安全保障についてはいずれ何かの形において具体化する、若しくは講和條約において自然はつきりいたすことと思います。今日これを仮定の問題なりとして、私は決して論議いたすことを斥けることを敢えてするものではありません。安全保障については、如何にして日本国の安全を保障するかということについては、国民政府も共にこの問題については深甚なる注意を以て研究いたすベきものと私は考えて、この問題を殊更に仮定の問題なりとして斥くる考えは毛頭ないのであります。又日本の、この防禦を徹した日本の安全を保障するために、世界の世論に訴えるべきである。或いは世界の世論を以て日本の防禦、日本の安全を期すべきであるということについては御同害であります。私は常に日本安全保障の最後は結局世界の世論である。若し世界の世論が、日本国は平和を脅かすものがあれば、共は共はこの安全を愛好する国である故に、この国の安全を脅かすものがあれば、共に共にこの安全を脅かさんとするものを排撃すべきであるという、かくのごとき強い世論があつてこそ、最後においては、この世界の力によつて日本の安全は保障せられるものと私も確信いたすのであります。この世論を惹き起すために、又世論の後援を得るために、政府といたしましても十分注意いたすつもりでおりますが、国を挙げてこの世界の世論を、日本に対する誤解のないように、日本国は軍備を撤してまで世界の平和、自国の平和、極東の平和に非常な関心を持つておるということを、世界の世論をして了解せしむるように、我々は国を挙げて努むべきものと私は信じて疑わないのであります。この点について御同感であります。(拍手)    〔羽生三七君発言の許可を求む〕
  28. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 羽生君何ですか。
  29. 羽生三七

    羽生三七君 ちよつと今の御答弁について私の希望を申述べたいと思います。自席から発言をお許し願いたいと思います。
  30. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) まだ少しばかり時間がありますからよろしうございます。
  31. 羽生三七

    羽生三七君 第一番は、中立を声明することは却つて戰争の危機を、人にそういう危機という印象を與えがちだというお説でありましたが、これは大分私見解を異にします。  今一つ反米活動、或いは反ソ活動は即時停止しなければならんということを申したのは、これは国民に対する訴えでありまして、政府がこれを取締つて呉れということを申したのではないのであります。これは国民みずからが自粛して、苟くも国際紛争の渦中にみずからを投入するような反米並びに反ソ宣告活動は、停止すべきであるし申したのでありまして、これを政府が取締つて呉れと申したのではないのでありますから、この点はお間違いなくお聞き取り願います。以上であります。      ——————————
  32. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して地方財政平衡交付金一部概算交付暫定措置法案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。地方行政委員長岡本愛祐君。     —————————————    〔岡本愛祐君登壇拍手
  34. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 只今議題となりました地方財政平衡交付金一部概算交付暫定措置法案について、委員会における審議の経過及び結果を御報告申上げます。  政府提案の趣旨は今回の地方税財政制度の改革は、御承知のごとく地方税制度の根本的改正と、地方財政平衡交付金制度の創設とを以てその根幹といたしておるのでありますが、地方財政平衡交付金法案につきましては、未だ国会において議決を見るに至つていないのであります。而も他方、従来の地方配付税法に基く地方配付税並びに国庫負担金又は国庫補助金につきましては、今回の地方財政平衡交付金制度の創設を予定し、これを停止し、又は大幅に削減を行いましたため、地方団体に対しまする国庫支出金の額も又著しく減少し、又税制改革に関連して現行地方税法に基く地方税の徴收は、その大部分の徴收を停止せられておる現状であります。これがため地方団体におきましては、年度当初において予定の收入を得られないので歳計現金に著しい不足を告げ、財政整理に重大なる支障を来たしておる現状にあるのであります。よつて地方財政平衡交付金法が制定施行されるまでの間の暫定措置として、国の予算に計上されておりまする地方財政平衡交付金の一部を、この四月中に地方団体に対しその必要な財政資金に充てるため概算交付する必要がありますので、この法案の提出を見るに至つたというのであります。  次に法案の内容の概略について申上げますと、第一に四月中において地方団体に対し概算交付することのできる額は、道府県分として百十九億円、市町村分として八十一億円、即ち合計二百億円といたしておることであります。  第二に、各地方団体に対する交付金の額の算定方法について規定しております。即ち道府県にあつては昨年度の道府県配付税の第一種から第四種までの配付額と、地方財政平衡交付金制度の創設に伴い、廃止される国庫負担金又は国庫補助金との合算額を基準とし、市町村にあつては昨年度の市町村配付税の第一種から第四種までの配付額を基準として、それぞれ算定することにいたしておるのであります。而して交付金の額の決定に当りましては、今回の地方税制の改革により、各地方団体の税收入の額は昨年度に比し相当変動を予想されますので、本年度の地方税の收入見込額の状況により、特に必要があると認められる地方団体については適宜調整を加えることにいたしております。  第三に、昨日国会に提出されました地方財政平衡交付金法案との関係につきましては、今回の措置により概算交付いたします交付金は、地方財政平衡交付金法が制定施行された後は、それに基く地方財政平衡交付金の一部となるのであります。  第四に、地方財政平衡交付金法案に基く本年度の各地方団体に対する交付金の額の決定した場合において、その決定額と本法案に基く概算交付額との関係につきましては、概算交付額が決定額を超過いたしましたときは、その超過額を国に還付することといたしております。最後に地方配付税法及び義務教育費国庫負担法の規定地方財政平衡交付金法案が成立施行されますまでの間は、これを適用しないことにいたしております。  委員会におきましては愼重審議をいたしまして、各委員より熱心なる質疑がございましたが、これは速記録によつて御了承願うことにいたしたいと思います。  かくて質疑を終了し、討論採決いたしましたところ、全会一致を以て可決すべきものと決定いたしました。以上御報告申上げます。
  35. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  36. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  37. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第五、文化財保護法案山本勇造君外十七名発議)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。文部委員山本勇造君。    〔山本勇造登壇拍手
  38. 山本勇造

    山本勇造君 只今議題になりました文化財保護法案は、政府提出の法案でなくて議員提出のものでございます。これは参議院の文部委員会における殆んど全部の委員発議提案になるものでございます。このたび渡米議員団から議長申出のありました中に、国会における実現希望の事項というものがございます。その実現希望の條項の中に「立法府たる国会が、みずから立法に任ずること」という一項が掲げてございます。これは憲法の建前上当然のことでございます。併しながらその当然のことが実は今まで余り実現しておらないのであります。渡米された議員の方々は、あちらの実情を御覧になり又こちらの国会のことをつぶさにお考えになりまして、その結果今のようなことを希望されたのであると存じますが、その希望と対応して恰も響の物に応ずるごとく、それに応えるものといたしましてここにこういう提案をいたしますことを我々は光栄と存ずるものであります。この法案は百三十一條に上る大きな法案であり、而もこの種類の法案は世界にも殆んど類例を見ないところの法案なのであります。そういう法案を議員みずからの手によつて作成し本日ここに上程される運びとなりましたことは、国会の在り方を示す上において一つの役目を果すものと私は信ずるものでございます。  先ず提案の理由を申上げます。敗戰後文化国会という言葉が頻りに叫ばれております。その言葉自体は、誠の美しい言葉でございまするが、現実には殆んど実体を伴つておらないところの空しい言葉に終つております。文化というような大きい問題はここでは触れる場所ではないと存じまするから省きまするが、そのうちの一例といたしまして、我々の遠い祖先が作り上げたところの古い文化財ですらも放任して置いて、碌々保存の途も講じないというようなことで、どこに文化国家の面目があるのでございましようか。一体我が国は不思議といつていいくらい古い文化財がよく保存されておるのであります。この点に関しましては、世界の先進国に対しましても決してひけを取らないのであります。ところがそういうよい物を持つているにも拘わらず、この間の戰争以来これらに対する保護、修理、管理等が行届かなかつたために、今日におきましては、これらのかけがえのない尊いものが或いは腐朽し、或いは破損し、或いは焼減し、或いは衰亡に瀕するというようなわけで、実に歎かわしい状態になつておるのであります。若しこのままでありますならば、上はそれを築き上げたところの祖先に対し、下はこれを受継ぐベきところの次の時代の国民に対しまして申訳がないばかりではなしに、世界に対しましても恥かしいことだと思うのであります。そこでこれらの尊い文化財を保存するためには、政府も所有者も一般国民も一致協力をいたしましてこの保護に当り、その活用を図り以て我が国民文化を保持すると共に、進んで新らしい文化の向上を図るように努めなければなりません。それには分れ分れになつておりまするところの行政機構を統一し法規を整える必要がありますので、ここにこの法案を作成し提出をした次第でございます。  次にその内容でございますが、それは速記録の中に文化財保護法案要綱というものを掲げて置きましたから、それによつて御覧を願うことにいたしたいのでありますが、ここには二三主要な点についてだけかい撮んで申上げることにいたしまして、先ず第一に保護される文化財というものはどういうものかと申しますと、これに三通りございます。第一は建造物、美術工芸品、筆蹟、古文書、民俗資料、考古資料等でありまして、いずれも歴史上、芸術上価値の高いものでなくてはなりません。これを有形文化財と名付けます。次は演劇、音楽、工芸技術等でありまして、これも歴史上、芸術上価値の高いもの、そうしてこれを無形文化財と申します。三は史蹟、名勝及び天然記念物等であります。これらのうち国宝とか重要美術品等には従来それぞれ法律がございましたが、今日の問題から見まするというと、それには不備な点があるばかりでなしに、現実においては国宝、重要美術を指定するということは全部ストツプされているのであります。それでありますからしてどうしてもこれに代る新らしい法律が必要となつて来るのであります。又無形文化財につきましては今まで何らの保護もございません。地下に埋もれておりまするところの考古資料に至りましては、滑稽といつてもいいくらいでありますが、遺失物法の一部で取扱つているというような有樣でありまして、甚だ不完全なものでございます。そこでこのたび有形文化財、無形文化財、埋蔵文化財、史蹟、名勝、天然記念物等も一括いたしまして、重要な文化財の統一的保護法を立案した次第なのでございます。  第二には、文化財保護行政の機構を統一したことでございます。従来は以上のような文化財に対しまして行收機関がばらばらになつておりましたが、この法案におきましてはそれを統一いたしまして一本の強いものに集約をしたのであります、即ちこれを文部省の外局といたしまして、文化財保護委員会を設け「文化に関し、高い識見を有する」五人の委員を選びまして、この五人の委員によつて委員会を運営して行くことにいたすのであります。この委員会は独立してその職権を行うものでありまして、今までのようにその官僚独善の幣に陷るというようなことがなく、最も民主的な文化財保護委員会が設立されるわけなのであります。この下には事務局を設け、又別に文化財專門委員会というものを設置いたしまして、本委員会に対する諮問機関或いは建議機関といたしまして、両々相俟つて保護行政の完全を期するものであります。従いまして今まで国立博物館の中にあつた保存行政部門は委員会の事務局に吸收いたしまして、国立博物館といたしましては、博物館本来の姿に返すことになるのであります。  又保護規定といたしましては、現行の法令では国宝、重要美術品等については、これを管理いたしますための補助金というものは一切出しておりません。又修理につきましても、神社とか、寺院等の国宝にだけ補助金を出すことが規定されておりまするが、個人には及ばないのであります。これでは十分に保護の途が立ちませんから、社寺の所有するものだけでなく、個人所有のものに対しましても、修理のための補助金を出すようにいたしますし、又管理のための補助金も両方に出せるようにいたしたのであります。更に無形文化財、埋蔵文化財、史跡名勝天然記念物にも助成金を交付する途が開いたのであります。こういう保護規定を設けますと同時に、一方では文化財を持つている所有者に対し、これらの財宝は單に個人的な所有物であるという観念を取拂つて貰い、これは貴重なる国民的な遺産であるということをはつきりと認識させ、公共の立場からこれが保存管理の責任と公開の義務を負わせることにいたしたのであります。併しながら又一方におきましては、その所有者の所有権を尊重いたしまして、所有者に不安の念を抱かせないように明確な規定を設けたのであります。その外尚申上げたいことは沢山ございますが、詳細は速記録において御覧願いたいと存じます。  この法案の立案にかかりましたのは昨年二月からでありまして、それから今日まで一年有余の歳月を費しております。そうしてその間委員会、打合会等を開きますこと五十五回、非公式な会合は数え難い程であります。そうして草案を改めますこと十回、できるだけ各方面の意見を聞き、取入れることのできるものは十分に取入れまして、最も民主的に最も公平に立案したものがこの法案であります。先程も申上げましたように、こういう法律は世界にも殆んど類例のないものだけに非常に苦しみましたが、提案者といたしましては、できるだけ努力をしたつもりなのであります。そこでこの法案委員会に提出をいたし、委員会においては愼重に審議いたしましたところ、各委員とも異論がございません。又文部当局といたしましても、この案に対し心から賛成の意を表明された次第であります。そこでこの法案の成り立ちの上から申しまして、質疑、討論というものは省略いたしまして、直ちに採決に入りましたところ、全会一致を以て可決すべきものと決定をいたしたのであります。  以上を以ちまして委員会における文化財保護法案に関する審議報告を終ります。(拍手
  39. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  40. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  41. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第六、建築士法案衆議院提出)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。建設委員長中川幸平君。    〔中川幸平君登壇拍手
  42. 中川幸平

    ○中川幸平君 只今議題となりました建築士法案について、建設委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  本法案趣旨は、建築物の設計、工事管理等を行う技術者の資格を定めてその業務の適正を図り、以て建築物の質の向上に寄與することにあります。これがためには、一、專門技術に必要な水準を保持向上するため免許登録の制度をとること。二、建築士の業務が適正に行われるための途を講ずること。三、設計は建築士に、工事の実施は建設業者におのおのその責任の所在を明らかにすることといたしております。又本制度を新たに設けるについては、旧来この種の業務を多年営んで来た人々に対して経過的にその資格を選考する途が開かれております。  本委員会における審議の詳細は速記録に讓りまして、主として論議検討されたところを要約いたしますれば、一、本制度のために工事を遅延せしめることとならぬか、実際に必要な数の建築士が得られるか。二、建築士の報酬は何程か、これがために工事費の増嵩を来す結果とならぬか。三、旧来多年建築の経験を有する多くの人々に対する措置と、その資格選考基準。四、受験選考資格において建築と土木を同一に取扱うことの可否、建築の実務の範囲。五、建築士審議委員及び試験選考委員を実際上選ぶ範囲等に関するものであります。  かくて質疑を終了、討論に入りましたところ、本法案は建築向上のために必要と考える。併いながら多年経験のみに頼つて来た者もあり、当分の間は本法運用に不十分な事実が現われることを免れぬであろう。これに対しては養成、訓練の方法等が講ぜられることを期待するとの賛成意見があり、次に、外国の建築士免許を受けた者に対する認定については、気候風土を異にし、各種の災害の多い我が国においては、嚴格なる資格を以て免許すべしとの意見がありました。かくて採決の結果、全会一致、原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  以上御報告申上げます。(拍手
  43. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  44. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  45. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第七、国会閉会委員会審査を行う場合の委員の手当に関する法律の一部を改正する法律案衆議院提出)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。議院運営委員長竹下豐次君。     —————————————    〔竹下豐次君登壇拍手
  46. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 只今議題となりました国会閉会委員会審査を行う場合の委員の手当に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その内容並びに議院運営委員会における審議の経過及び結果について御報告いたします。  先ず本法案の内容について御説明申上げますと、委員会国会閉会中継続して審査又は調査を行う場合の委員の手当につきましては、国会閉会委員会審査を行う場合の委員の手当に関する法律によりまして、委員の出席日数に応じて日額三百円を受けることに定められておりましたが、現在の経済情勢に鑑みましてこれを増額する必要を認められましたので、このたび右法律の一部を改正して日額七百五十円を受けるようにいたしたのであります。  議院運営委員会におきましては愼重審議の上、右の改正を適切なものであると認めまして、衆議院提出の原案通り全会一致を以つて可決いたしたのであります。簡單ながら以上を以ちまして御報告を終ります。(拍手
  47. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  48. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  49. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程第八、民事訴訟法の一部を改正する法律案日程第九、国籍法案日程第十、国籍法施行に伴う戸籍法の一部を改正する等の法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)、以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。法務委員会理事宮城タマヨ君。    〔宮城タマヨ君登壇拍手
  51. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 只今上程されました民事訴訟法の一部を改正する法律案につきまして、委員会におきます審議の経過並びに結果につきまして御報告申上げます。  現行司法制度並びに上訴審級制度におきましては、最高裁判所は違憲審査及び一切の争訟についての終審裁判所でございますが、最高裁判所はこれらの裁判事務の外、訴訟手続等に関する規則の制定及び裁判所全般に亘る司法行政事務を管堂することとなつております。従つてその職務管堂範囲は頗る厖大なものでございまして、曾ての大審院に比べますと、旧大審院は三十数名の裁判官を擁して專ら民刑裁判事務の処理に当りましたが、而も尚十分でないと言われておりました。ところが裁判所法によりますと、最高裁判所の裁判官は十五名に限定されており、且つ職務内容が司法事務行政事務の双方に亘るものでございますから、このままでは到底、円滑迅速な事務処理を期待することはできないのでございます。これがため現行の司法審級制度につきこれに根本的な改革を加え、裁判所における司法行政事務と純然たる司法事務即ち裁判事務管掌者の分離、又は最高裁判所判事の増員、或いは最高裁判所の裁判権を違憲問題等に制限し、一般の法令違反につきましては中間的裁判所を設置する等の方法をも考慮せられるのでございますが、これらのうち如何なる制度組織によるべきかは最高裁判所における米国派遣視察者の報告を待つて検討することとし、それまでの間本法案による手続により民事上訴事件を処理することによつて、最高裁判所の事務分担の調節を図ろうとするのが本法律案の意図するところでございます。御承知の通りすでに刑事事件につきましては、昨年一月一日から施行されました新刑事訴訟法により、最高裁判所への上訴範囲を憲法違反、判例牴触及び法令の解釈に関する重要な事項に制限することにより、最高裁判所の事務負担の軽減調節を図つたのでございますが、民事事件につきましては当事別段の方法は講ぜられなかつたのでございます。ところが民事事件は年々激増の一途を辿り、従つて上訴事件もこれに応じて増加して参りましたために、民事訴訟につきましてもこれが対策措置を必要とすることになつて参りましたのでございます。そのために当初民事訴訟法の一部を改正する法律案の形式を以て法案が提出されたのでございますが、衆議院におきまして、最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律案として改められました。その内容は、現行民事訴訟法はそのままとして別個に特例の手続により、最高裁判所の民事上訴事件の調節を図つたものでございまして、それは民事事件についても刑事訴訟における上訴制限の趣旨を採り入れ、当事者の主張した上告理由に対する調査を、原則として憲法違反及び判例牴触の外、法令の解釈に関する重要な事項に限ることとしたのでございます。  委員会におきましては愼重審議委員より熱心な質疑がなされ、殊に本法案は畢竟上訴制限と軌を一にする慮れがあり、且つ本法案自体も国民の権利を制限するものでないかと質疑もございましたが、先程申上げました通り、現在の司法制度の下におきましては真に止むを得ない措置であり、且つ本法案もその効力を二年間に限定している臨時応急的なものでございますので、委員会におきましても討論省略の上採決いたしましたところ、全会一致をもつて可決すべきものと決定いたしたのでございます。尚詳細については速記録につき御了承願うことにいたしまして、以上大要御報告申上げます。  次に国籍法案及び国籍法施行に伴う戸籍法の一部を改正する等の法律案につき、委員会における審議の経過並びに結果について御報告申上げます。  先ず国籍法案につきましては、現行国籍法は明治三十二年の制定にかかるものでございまして、その中には新憲法及び民法の規定に副わない規定が含まれておりますので、これを改正しようというのでございますが、條文整理の関係上全條文を書き改める形式をとつたのであります。その内容につきましては、現行法では国籍離脱の場合を限定し、国籍離脱については法務総裁の許可を必要とする場合があるのでございますが、これは国籍離脱の自由を保障した憲法の規定に牴触しますので、外国の国籍を有する日本国民はすべて届出によつて自由に日本国籍を離脱することができるようにいたしたのでございます。又現行法では旧民法の家の制度に立脚する規定即ち「妻は夫の国籍に従う」とか、「子は父又母の国籍に従う」という原則に立つておる規定がございますが、これは憲法第二十四條の両性の本質的平等及び個人の尊嚴を宣言した規定に反しますので、近時における各国立法例に傚い、国籍の取得及び喪失につきましては、妻には夫からの独立の地位を認めてその意思を尊重することとし、又子につきましても、出生による日本国籍取得の場合を除いては、子に父母からの地位の独立を認めることとし、夫婦、親子国籍独立主義に改め、帰化人についても国家の要職につく資格の制限を廃止し、国民平等を宣言した憲法の趣旨に則る改正を加え、又日本に特別功労ある者の特別帰化につきましては、旧憲法帰化の勅許という方法国会の承認という制度に改め、その他二重国籍発生の防止につき若干の改正を加え、国籍回復の制度を帰化の制度に統一し、帰化及び国籍離脱の効力発生時期を明確にいたしますために、帰化及び国籍離脱はこれを官報に告示された日から効力を生ずることとした次第でございますが、その他については現行法の規定を元のまま踏襲したのでございます。  次に国籍法施行に伴う戸籍法の一部を改正する等の法律案につきまして、簡單に御説明申上げます。  この法律は新国籍法施行に伴いまして、国籍の取得及び喪失に関する戸籍の手続に変更を生ずることとなりますので、戸籍法中国籍の得喪に関する規定に所要の改正を加えますと共に、法務局及び地方法務局に国籍事務を分掌させるための措置として法務府設置法に所要の改正を加え、又外国人を養子又は入夫となすの法律は新民法及び新国籍法規定上不必要となつたので、これを廃止することといたしましたのでございます。  委員会におきましては、両法案につき愼重審議し、特に国籍法につき、両性の本質的平等の見地から父系主義と並行いたしまして母系主義を認めてはどうか。帰化についてこれを妻たる場合と夫たる場合とを問わず許可條件を同一にすべきではないか。又第三国人の国籍法上の地位はどうか。帰化の許可処分は法治国家においては法規裁量処分と解すべきではないか等の質疑がなされました。これに対しまして、政府委員より国籍法上母系主義を父系主義に並行して採り入れることは各国立法例との関係上、二重国籍となる場合が生じ、帰化條件に夫たる場合と妻たる場合を区別するのは、男女間の同化力の相違によるものであつて、男女平等の思想に反することはない。更に現行法上朝鮮人は法律的には依然日本国民と解する外はなく、又国籍法は外国人に帰化請求権を認めたものではないから、許可処分は法規裁量処分と考えないとの応答がございました。特に本法律案は第三国人の法律上の地位の確定の問題とも関連がございますので、現行法の不備を整理するには、終局的には講和会議の終了を待つて全面的に改正すべきが相当であるとの見方もございましたが、尚、新憲法及び新民法の規定に反する規定もございますので、取敢ず今回はこの点につき適当な措置を講じたのでございますが、詳細は速記録につき御了承を願うことといたします。  委員会におきまして、討論は省略の上、採決をいたしましたところ、両案とも全会一致を以て可決すべきものと決定いたしましたのでございます。  以上御報告申上げます。(拍手
  52. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより三案の採決をいたします。三案全部を問題に供します。三案に賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  53. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて三案は全会一致を以つて可決せられました。  議事の都合により午後一時まで休憩いたします。    午後零時八分休憩      ——————————    午後二時二分開議
  54. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。  日程第十一、火薬類取締法案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。通商産業委員長高橋啓君。    〔高橋啓君登壇拍手
  55. 高橋啓

    ○高橋啓君 只今議題となりました火薬類取締法案につきましての通商産業委員会における審議の経過並びに結果について御報告申上げます。  従来危險物としての火薬類の取締は銃砲火薬類取締法という明治四十三年制定の法律によつて実施せられており、長く内務省の所管に属していたのでありますが、終戰後、昭和二十二年に内務省が解体せられ、警察法が施行せられると同時に、右の法令に基く事務は商工省に移管せられ、通商産業省の発足と共にこれに引継がれて今日に至つたものであります。然るに右の法令は時運の推移と共に数度の部分的な改正にも拘わらず、法律構成上の時代的なズレと、運用上の不備は如何とも仕方なく、同法の全面改正を要望する声が朝野に挙つてつたのであります。この度上程になつております火薬類取締法、即ち本法はこの要望に応え、且つは法体系を現状に適合せしめ、以て本法の目的である火薬類の製造、販売、貯蔵、運搬、消費その他の取扱を規正して火薬類の災害を防止し、公共の安全を確保するという点を、より合理的に具現せしめるために現行法令を全面的に改正したものであります。本法が現行法令と比較してその改正の主要点を挙げますと次の通りであります。  第一に銃砲取締との関係でございます。現行法令では、警察取締の共通性の下に同一法令によつて規制して参つたのでありますが、本来の建前から言えば銃砲の取締と火薬類の取締とはその性質を異にすべきであります。終戰後我が国においては銃砲の取締に関しては「ポツダム宣言受諾に伴い発生する命令に関する件」に基く「兵器、航空機等の生産制限に関する件、」及び「銃砲等所持禁止令」によつてそれぞれ銃砲の製造及び所持が禁止せられており、現行法令の銃砲の取締に関する部分を除外しても支障を認められないので、本法は現行法の銃砲に関する取締の規定を除外しているのであります。第二は、法体系を整備したことであります。現行法令は旧憲法下の立法であるため特に勅令及び省令への委任事項が著しく多く、且つ行政裁量の余地を広汎に保留しており、又不当な行政処分に対する救済を認めていないので、本法は新憲法に即した法体系として整備していることであります。第三点は、取締担当機関の明確化の問題であります。現行法では前にも申上げました通り、内務省による警察取締としての基礎に立脚しているのでありますが、内務省解体後その取締機関は現在通産省及び都道府県であり、部分的には運輸省、警察が担当しておるのでありますが、これについても細部に関する実際上の運用面から解釈上の疑義を招き易いので、本法においては現状に即した取締機関の権限、所掌事務の範囲を明文化しているのであります。第四点といたしましては、火薬類の技術的進歩に対応するごとく法内容を刷新したことであります。現行法では火薬類製造所における製造作業上の細部に至るまで悉くこれを省令によつて規制しているのでありますが、現在ではむしろ適切を欠いて不当な拘束をしている面が少くないし、更に一般的な技術上の基準についても我が国の建築物の構造、地形の特殊性から再検討の余地が多いのであります。又製造作業、貯蔵、消費等の技術的基準についても不備でありましたのを本法においてはそれぞれ合理的に改正をしているのであります。  次に当委員会におきます質疑応答につきまして申上げます。その詳細につきましては速記録を御覽願いますが、その主なるものを二、三挙げますと、一委員より、本法施行に際し、労働運動を抑圧することにならぬかとの質問に対して、政府は、法律構成の建前から言つても本法は災害防止のための最小限度の取締規定であるので、運用上においても労働運動を抑圧することのないよう十分留意し、場合によつては運用上間違いのないように通牒を出すことも考えておるとの答弁がありました。同じく、輸入は許可制になつており、輸出には届出制になつているが、輸出も許可制にすべきではないか。又輸出入については公表すべき義務があると思うが如何との質問に対して、輸出については外国為替及び外国貿易管理法によつて十分この趣旨は達成せられる。又公表についてはそれぞれの機関で公表と同様の効力を持つごとく談合し、或いは周知できるようになつておる。秘密主義ということは本法にも規定されていないし、又考えてもいないとの答弁がありました。同じく、板橋の爆発事件に鑑みて保安距離について如何なる措置を考えているかとの質問に対し、火薬庫の建設については一般家屋と一定の距離を保ち危險のないようにするが、火薬庫を設置した後、保安距離内に一般の建造物が建てられたときは火薬庫の火薬貯蔵量を減少せしめ、極端な場合には火薬庫に全く火薬類を貯蔵しない状態に至ることもあり得るとの答弁がありました。又一委員より、危害予防規定作成について労働者の意見を採用するということは本法の規定のみでは考えられぬが如何との質疑がありました。これに対して政府は、本法は現行の労働関係法規を何ら制限し束縛するものではないので、危害予防規定作成に対しては事業主と労働者がよく相談し、労働者の協力によつて作成せられることと期待しているとの答弁がありました。同じく本法第二十三條第三項の十八歳未満の者の火薬類取扱禁止除外例と、労働基準法第六十三條と牴触せぬかとの質問に対し、政府は、十八歳未満の者の取扱禁止除外例は、火薬類を包装とするという危險率の少い作業であり、而も通産省令で一定の基準があるので、労働基準法第六十三條の規定に反することはないと思われるとの答弁がありました。又本法は委任立法が多いが新憲法下の法律として不備ではないかとの質問がありましたが、これに対して、本法は新憲法下の立法として成るべく委任事項は少くしてあるが、極く細かい点は省令等に委任してある、これも今後立法措置が必要であると認めるときは立法化するに吝かではないとの政府の答弁がありました。その外、外資導入、技術基準、取締官庁の所掌事務等について活溌な質疑と、これに対する政府の熱心な応答がございました。尚この際特に申し添えたいことがございます。それと申しますのは、岡本地方行政委員長より次のような御発言があつたことでございます。その趣旨といたしますところは、現行の新制度下において、警察と消防とがおのおの独立の機関になつている関係上、本法第三十九條第二項の火薬庫が災害の危險状態にあることを発見した者が届出をする機関として、都道府県知事、警察官及び警察吏員という本法に明記されている機関の外に、消防機関を追加すること、及び第四十七條の火薬類による爆発その他災害発生の際の現状変更の指示権を持つ機関として、本條に明記されている通産大臣、都道府県知事、警察官及び警察吏員の外に、火災については消防機関を追加するごとく修正されたいとのことでございます。右の御意見に対しまして政府から、地方行政委員長の御意見は至極尤もであり、政府としては本法案作成に当り関係当局とも打合わせ、運用上十分注意する所在であつたが、消防当局との連絡は、本法の目的より考えてみても特に考慮しなければならぬことは当然なので、本法の運営において行政上万遺憾のないよう措置するとの答弁がありましたので、本委員会といたしましては、別に條文修正を実施せずとも右の政府答弁により実質的な効果を得られるのではないかとの結論に達したのであります。この委員会の結論に対し地方行政委員長も諒とせられましたので、本法に対する條文修正は行わず、行政上の運営に万全を期することを再度政府に強く要望して、本問題の解決を図つた次第でございます。  かくて本法につきまして愼重なる審議の結果、討論を省略して採決いたしましたところ、多数を以て可決すべきものと決定いたした次第でございます。右御報告申上げます。(拍手
  56. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  57. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  58. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程第十二、牧野法案日程第十三、家畜改良増殖法案日程第十四、造林臨時措置法案(いずれも内閣提出衆議院送付)、以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。農林委員長楠見義男君。    〔楠見義男君登壇拍手
  60. 楠見義男

    ○楠見義男君 只今議題となりました牧野法案家畜改良増殖法案及び造林臨時措置法案につきまして、農林委員会における審議の経過並びに結果につきまして逐次御報告申上げます。  先ず最初に牧野法案について御報告申上げます。畜産の振興と牧野の生産性の維持向上及び牧野経営の合理化とが極めて密接不可分の関係にありますことは、ここに申上げるまでもないところでございます。従つて牧野の改良は古くからその必要が強調せられておつたのでありまして、昭和六年に現行牧野法が施行せられ、法律的にも牧野の改良が制度化されたのでありますが、この法律は当時の国情をも反映いたしておりました関係上、軍馬資源の涵養という目的もあり、又その内容におきましても強制設立、強制加入制度を伴う牧野組合に関する事項が主要なる部分をなしておつたことは、御承知の通りであります。併しながらこれらの情勢は、終戰後の今日の下におきましては全くその趣を異にするに至りましたし、更に又戰時戰後を通じて行われた過放牧や牧草濫穫等によつて、牧野中には漸く荒廃の度を加え、このまま放置することは徒らに土壤の侵蝕を受け易い状態に放置することとなるものも生じ、国土の保全上も重要な問題となつて参りましたので、この新情勢に即応するためここに現行牧野法を全面的に改廃し、新たなる観点に立つこの新立法をなさんとするのが本法案制定の理由であります。而して今回の新牧野法は概ね次の三つの事項を主たる内容といたしておるのでありまして、即ちその第一は、地方公共団体の管理する牧野については牧野管理規程を作成せしめ、これにより共同利用形態にある牧野の利用を最も効率的ならしめんとするものでありまして、このことは、地方公共団体の管理する牧野は、団体の性格等に鑑み、自作農創設特別措置法におきましても特に牧野買收の対象から除外しておるのでありますが、一般的にはその利用状態が悪く買收除外の趣旨にも副つていない現状のものもありますので、その利用価値を高めるため、その管理者に、本法の規定に基き牧野の維持改良に必要な牧野管理規程を定むるの義務を、新たに課しておるのであります。第二の点は、保護牧野の制度でありまして、即ち法律の第九條において「牧野が著しく荒廃し、且つ、保水力の減退、土地の侵しよくその他の事由により国土の保全に重大な障害を與えるおそれのある場合において、その障害を除去するため必要があるときは、都道府県知事は、その必要の限度において、期間及び区域を定め、当該牧野の所有者その他権原に基き管理を行う者に対して、草種又は草生の改良その他牧野の改良及び保全に関しとるべき措置を指示することができる。」ことといたしておるのでありまして、知事がこの指示をなすに当りましては、当該牧野の所有者その他の関係者に十分意見を述べる機会を與えますると共に、この指示を実施したため損失を受けた者に対しましては、国がその損失を補償することといたしておるのであります。  第三は、牧野の害虫駆除に関する点であります。即ち牧野に害虫が発生し、これが他に蔓延する虞れのある場合において、都道府県知事は必要があるときは区域、期間及び駆除の方法を定め、当該牧野の所有者その他権原に基き管理を行う者に対し、その害虫を駆除すべき旨を指示することができることといたしておるのであります。尚、以上の牧野改良及び害虫駆除事業に対しましては、国において必要な資金の融通、牧野草の種子及び牧野樹林の種苗の供給等に関し必要なる奬励措置を講ずる旨を法律規定上明らかにいたしておるのであります。本法律案制定の趣旨及びその主なる内容は大体以上の通りでありますが、委員会は本案の審議に当りましては、先ず牧野についての現状、牛馬の放牧状況、国有林野解放の実施方針、牧野と農地改革との調整等の問題について質疑を重ね、玉逐條審議をいたしたのでありますが、それらの経過につきましては、その詳細を会議録によつて御承知願うことといたします。  かくて委員会は愼重審議の結果、各委員共同提案を以て原案に修正を加えることといたしたのであります。即ちその修正点は施行期日に関する部分でございまして、原案においては本法は公布の日から起算して九十日を超えない範囲において政令を以て定めることといたしておりまするのを、保護牧野に関する本法第三章の規定施行期日を他の規定施行期日と切離し、明二十六年四月一日から施行することといたしたのであります。その修正理由は、先程も本案の内容の第二点として御説明申上げましたごとく、都道府県知事が牧野の改良保全に関し必要なる指示をなし、それによつて損失を受けたものに対しては国において予算の範囲内で補償することにより後始末を付けることといたしておるのでありますが、その必要なる予算が本年度予算には計上されておりませんので、かくては損失を受けた者に対する救済の途がなく、法律の建前から申しても不穏当でありますので、次の国会において予算の計上を待つてから関係規定施行することが妥当であると認めたからでございます。尤も次の通常国会に至るまでの間において臨時国会等が開かれ、その際に必要なる予算が成立いたしますれば、その際は改めて改正し、施行期日も繰上げたいと考えております。  以上の経過を経ました後、委員会討論、採決の結果、全会一致を以て本案を一部修正議決することに決定いたした次第でございます。  次に、家畜改良増殖法案について御報告申上げます。  家畜の改良増殖の基本條件として、優良種畜の確保及びその利用増強が如何に重要であるかはすでに御承知の通りでありまして、従つて現行の種畜法により鋭意その施策が進められておるのでありますが、本法案は種畜法施行の経過に鑑み、その一部を改正して本法にこれを包攝いたしますると共に、最近急激な普及を示しておりますところの家畜人工授精の健全なる発達を図るために、これに必要な規制を加えんとしておるのであります。本法案の主な内容は、種畜の確保と家畜人工授精の二点でありますが、同時に本法制定に当り、法律の第二條の規定において、国又は都道府県は家畜の改良増殖の促進に有効な事項については積極的にこれを行わなければならない旨を明らかにいたしておるのであります。  次に、法案の内容の第一点たる種畜の確保につきましては、只今も申上げました通り、概ね現行種畜法を踏襲し、即ち原則的には種付の用に供する家畜の雄はその判定基準を統一する必要がありますので、農林大臣が毎年定期又は臨時に行うところの検査を受け、種畜証明書の交付を受けておるものに限るのでありますが、不測の事故により種畜を補充する必要が生じたときはこれを機動的に行わせるために、都道府県知事をして臨時に種畜検査を行わしめ、種畜を補充せしむる途を新たに開くことといたしておるのであります。  第二に、家畜人工授精の点につきましては、その健全な発達を図るために業として家畜人工授精の仕事を行うものを都道府県知事の免許制度とし、又家畜人工授精所の開設につきましても、同じく知事の許可制度といたしまする外、家畜人工授精用精液の採取、処理、検査、讓渡等につきましても、所要の規制を加えることといたしておるのであります。このことは元来家畜に対する人工授精術の応用は我が国におきましても十数年以前から試みられておるのでありますが、特にここ数年来急激に普及し、政府の普及推進と相俟つて現在飛躍的発展の段階に達しておる実情でありまするだけに、一歩その運用を誤れば将来の健全な発達に重大なる影響がありますので、この際これに適当な規制を加え、その適正なる実施を確保せんとする趣旨であります。  次に、本案の審議に当り、委員会において最も問題となりましたのは、種畜の検査手数料に関する点であります。即ち法案の第三十六條において、農林大臣又は知事の行う種畜検査に対し、千円以下の手数料を徴することとなつておるのでありますが、これは毎年徴收することになるばかりでなく、現行種畜法においては手数料を徴しておらず、而も家畜改良増殖法と銘打つて積極的に大きく乘り出そうとする際、逆に従来の無手数料主義から徴收主義に移行することは、むしろ逆行であり、更に国の検査に要する経費はすでに二十五年度予算にも計上せられておる事情から申しましても、一層その矛盾が感ぜられまするので、委員会は各委員共同提案を以てこの検査手数料は従来通り徴收せられないよう修正することといたしたのであります。  又質疑終了後、討論においては、岡村、羽生、藤野等の各委員より、真にこの法律の題名に即応するごとく具体的な法の運用において、或いは畜産の振興と将来の食生活改善との関連において、政府の更に一層の積極的努力の要望がございました。以上の経過を経たる後、本案は全会一致を以て原案に一部修正を加えたる上、これを議決することと決定いたした次第であります。  最後に造林臨時措置法案につきまして御報告申上げます。先ず法律案提出の趣旨並びにその内容について申上げます。我が国の森林が戰時及び戰後の過伐、濫伐によつて著しく荒廃し、その結果森林資源の甚だしき減耗はもとより、数次の大水害の直接間接の原因となり、従つて治山治水の緊急性よりして造林の必要が一般に強調せられ、本会議上においてもしばしば論議せられましたことは御承知の通りであります。即ちこれを具体的数字について見ましても、過去十年余に亘る植伐不均衡による結果は、昭和二十三年において国有林で約三十万町歩、民有林において約百二十万町歩、合計約百五十万町歩の伐採跡地の造林未済地が累積しておる実状でありまして、このような森林再生産過程における著しい不均衡が、国土の保全はもとより将来の林産物需給の上にも重大な支障を招くに至ることは、ここに多くを申上げるまでもないところであります。従つてこの問題解決のためには政府努力いたして参りましたが、国会といたしましてもその独自の立場から特に重大な関心を拂い、ときには決議の形を以てその意思の表明を行なつたのでありますが、なかんずく再造林を確保し、林業成立の基礎を確立することの緊要性を痛感いたしまして、夙に衆参両院有志議員を以て組織する林業懇話会において、これを法律的にも制度化すべくかねて研究が続けられ、前国会においてその成立を企図いたしましたことは御承知の通りであります。時たま時たま政府の側におきましても同様の計画がありましたので、両者の緊密なる連繋の下に、政府提案の形を以てこれが実現に努めたのでありますが、時間的に手続が遅れましたのと予算的措置が不十分のため、遂に前国会においては間に合わず、漸く今国会において提案の運びとなつた次第でありまして、本法案を裏打ちとして他方造林費に対する補助金の交付、資金の融通等の措置を講じ、政府の造林五ケ年計画におきましては、今後の伐採跡地も含め、民有林において二百万町歩の造林を予定いたしておるのであります。  次に本法案の内容について概略申上げますと、先ず法案の第一條において本法の目的及び趣旨が明らかにせられておるのでありますが、即ち第一條において「この法律は、森林資源を培養して国土の保全を図るため急速に森林を造成することを目的とする。」第二項において「この法律規定に基く行政権の発動は、前項の目的を達成するため必要な程度に限定されるべきであつて、これを濫用してはならない。」と規定せられ、同じく第三項においては「政府は、造林に関する補助金の交付、資金の融通、苗木の確保その他の施策の実行に当つては、この法律に基く造林の実施を確保するように努めなければならない。」旨を明らかにいたしておるのであります。次は造林地の指定でございますが、法律の第五條において、都道府県知事は、この法律施行のときから五ケ年間現に存する「伐採跡地、無立木地若しくは散生地たる森林又は原野(中略)であつて緊急に造林を行うことを必要とするものを造林地として指定することができる。」のでありますが、その指定をなすに当りましては第一に「森林資源を培養して国土の保全を図るため、その造林を必要とすること。」第二に「当該地方における総合的な土地利用の見地から、その造林を相当とすること。」第三に「技術的且つ経済的にその造林が可能であること。」の三つの基準に適合することが必要とせられるのであります。又造林地を指定するには、その造林計画を定めてすることとし、造林地の指定があつたときは、その所有者又は使用收益権者が、造林計画に定められた期限までにその計画に従つて植栽を完了することが期待されておるのであります。次に造林者の指定でありますが、造林地の所有者又は使用收益権者が造林計画に基いて植栽を行う意思があれば、その旨を予め一定期日までに申し出させることとし、その申出がないときは別に造林者を指定しその者が代つて造林を行うのであります。又造林地の所有者或いは使用收益権者が造林をするつもりでその申出をした場合でも、造林計画に定められた期限までに植栽を完了しなかつたときは同様に造林者を指定することとしております。尚右の植栽期限につきましては法律の十五條におきまして「苗木を入手することができないため当該造林計画に基く植栽をすることができないとき」或いは「造林に必要な資金の融通又は補助金の交付を受けるべき者が、その融通又は交付を受けることができなかつたため当該造林計画に基く植栽をすることができないとき。」等の場合には、当然期限の延長を認められておるのであります。次は地上権の設定でありますが、造林者の指定を受けた者は、造林計画に定められた期限までにその植栽を行うために、造林地の所有者に対して造林地の地上権の設定に関する協議を求めることができるものとし、協議が調わないときは都道府県知事が裁定することとしておるのであります。指定造林者の植栽した林木は、地上権設定の際取決めた割合で、指定造林者と造林地の所有者との共有となるのであります。  最後に農地及び林地の調整問題につきましては、自作農創設特別措置法により開拓適地として指定され、又は未懇地若しくは牧野として買收されたものにつきましては、造林地の指定をすることができないこととすると共に、造林地については自作農創設特別措置法による指定又は買收の処分ができないこととし、林地と農地、牧地との土地利用を調整し、且つ造林地の経営の安定を確保するよう措置しておるのであります。  以上の経緯を経て、又内容を以て提案せられました本案の審議に当りましては、委員会は造林五ケ年計画の内容、苗木確保の問題、造林資金融通の見通し等について検討いたしますると共に、逐條的にも審議いたしましたる結果、本案の実施につきましては、これと密接なる関係にある造林費補助総額の増額、資金融通の確保、優良苗木の養成、山林課税の適正合理化等につき、尚今後政府の特段の善処或いは努力を必要とすることを認めまして、これらの点について質疑に際し或いは討論において各委員より熱心なる希望が附せられましたる上、採決の結果は全会一致を以て本案は衆議院送付原案通りこれを可決すべきものと決定いたした次第であります。  以上御報告申上げます。(拍手
  61. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。先ず牧野法案家畜改良増殖法案全部を問題に供します。両案とも委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告通り修正議決することに賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  62. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て委員会修正通り議決せられました。      ——————————
  63. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 次に、造林臨時措置法案全部を問題に供します。本案に賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  64. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  65. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第十五、労働者災害補償保險法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。労働委員長原虎一君。    〔原虎一君登壇拍手
  66. 原虎一

    ○原虎一君 只今議題となりました労働者災害補償保險法等の一部を改正する法律案につきまして、労働委員会におきまする審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  本提案の理由並びに内容について申上げまするが、今般国税徴收法の一部を改正して、従来の国税滯納の場合におきまする延滯金の率を引下げることになりましたので、これに歩調を合せて労働者災害補償保險及び失業保險の保險料滯納の場合におきまする延滯金の率を従来の日歩二十銭から日歩八銭に引下げる点、及びこの保險金納付者の便宜のために滯納保險料の一部納入に関しまして新たに規定を設けました点であります。  委員会におきましては別段の質疑もなく、討論に入りましたところ、田村委員より延滯金の率を引下げることは妥当な措置であるから賛成するとの討論がありました。かくて討論を終結して採決に入りましたところ、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申上げます。(拍手
  67. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  68. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  69. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程第十六、労働省設置法等の一部を改正する法律案日程第十七、建設省設置法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出衆議院送付)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。内閣委員長河井彌八君。    〔河井彌八君登壇拍手
  71. 河井彌八

    ○河井彌八君 只今上程せられました二案につきまして、逐次内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申上げます。  先ず労働省設置法の一部を改正する法律案について報告いたします。  労働省設置法の一部を改正する法律案は、委員会を開くこと予備審査と共に三回、昨日全会一致を以て可決すべきものと議決いたしました。提案の理由及び法律の内容につきましては詳しく説明を申上げませんが、大体この改正点は三つあるのであります。  第一は、行政機構簡素化の一環といたして諮問的な審査会を整理する一般的方針に基きまして、現在労働者に附属しております審議会の中で、船員労働連絡会議、安全裝置性能審議会、特別地区職業安定審議会、職業安定連絡協議会、労働統計調査審議会、衛生管理者試験審議会及び職業指導協議会を廃止いたしまして、又中央特殊技能試験審議会と、地方特殊技能試験審議会、この二つを統合いたして特殊技能試験審議会というものを作ろうというのであります。  第二には、労働基準監督官研修所の設置の問題であります。労働基準監督官は、その職責、権限から申しまして、その素質如何は国民に対して重大な利害関係を與えるものと考えられるのでありまするが、従来予算等の関係から研修期間を置かずして極めて短期間の講習等によつて職員の教養訓練を行なつて参つた実情でありまするので、今回新たに法律を以て労働基準監督官の研修所を設けまして、新たに任ぜられるところの監督官ばかりでなしに、従来からこの監督官の職に就いておつた者に対しても長期の訓練を行いまして、労働基準監督官の素質を向上せしめ、以て労働基準監督行政の一層の充実を図ることといたした点であります。  第三には国家公務員その他国会議決を経た歳出予算によつて給與が支給せられる職員が退職した場合には、失業保險法の規定する條件に従いまして、相当金額を退職金として支給することになつておるのでありますが、これを公共職業安定所で支給することが退職者にとつて便宜でありまする関係から、今回、設置法中職業安定局及び公共職業安定所の事務にこれを加えたという点であります。以上三つの点が改正の要点であります。  委員会におきましては、質疑応答は專ら労働基準監督官研修所の問題、及びこれと関連する問題に集中せられたのであります。  第一に、労働基準監督官の研修期間はどのくらいであるか、又その訓練は新任者のみでなく、現にその職にある者についても行うというのであるが、この研修をなすために職場の仕事に支障は起らないのであるかという質疑であります。それで政府側の答弁は、研修期間は最初は半年若しくは一年くらいの期間を必要として考えておつたのでありますけれども、予算等の都合から本年は一ケ月にとどめることといたしたのである。極めて短期間であるが、その間においては基礎的法規の修得ということよりも、むしろ監督官としての監督技術、執務要領の修得に努めるのであるから、それだけでもそれ相当の効果を期待しておる。若しできるならば来年度においては半年くらいは研修をいたしたい。そうして訓練の充実を図るつもりである。又現職者の研修については、全国の監督官総数二千四、五百人のうち、本年度は百人くらいを訓練するに過ぎないので、従つてこの研修のために事務の澁滯を来たすというようなことはないという説明でありました。  次にこれに関連いたしまして、現在労働者の加入すべき保險は何種類あるのであるか、加入の実績及びその監督の実績はどうであるかという質疑があつたのであります。政府側の答弁によりますれば、現在失業保險と労働者災害補償保險の二つがあるのである。このうち労働基準監督官の干與を受けるものは労働者災害補償保險のみであり、而して失業保險の方は職業安定所の干與するところであるということであります。そして失業保險につきましては、最初は余り世間の関心が拂われていなかつたのであつて、加入成績もよくなかつたのであるが、失業問題がやかましくなつて参りますると共に、漸次これの成績がよくなつて来ておる。例えば掛金が五十億円のうち四十七億五千万円くらい納められているようになつて来たのであります。そうして延滯金は極めて少いということであります。又災害保險につきましては、事業主の自主的努力によつて初めから成績はよかつたということでありました。  更に委員側から、労働基準監督官の監督が嚴重でありますると、事業主は仕事がやりにくいと小言を言う。他方労働者は監督を嚴重にして貰いたいという要求があつて、そこで監督官は板挾みのごとき形となり、その間情実が入つて来る余地があつて、監督が結局不十分になる虞れがある。殊に今日のこのデフレの状態におきましては、そういう傾向が特に強く見受けられるのである。現に未成年者を危險な製材の仕事に雇つて怪我をさせ、而も入院費にも足りない金を出して示談にしたというような悲惨な事実がある。こういうことに対する法的処置について政府はどう考えるかという熱意をこめたる質問があつたのであります。これに対しまして政府側におきましては、悪質の違反者はもとより告発して処分しておる。ただ監督官の立場が労働者保護と経営者に対する相談者としての意味もあるのであるから、告発することよりも。でき得る限り法律が守られるように監督方針をとつておる、監督は十分嚴重にいたしておる。そうして只今の実例の場合は、未成年者であるから労働者災害補償保險法の適用はないのであるけれども、労働基準法の適用は受けるわけであるのであつて従つて事業主は処分を受けることになるという説明でありました。  大体かくのごとき質疑応答がありましたのでありますが、最後に討論に入りまして、梅津委員から、政府は将来労働基準監督官の研修期間をもつと長くするように、又これに対して必要な予算的の措置をとるように十分努力して欲しい。又研修に伴うところの指導員に対する人選については、公正妥当であつて、学識経験共に最も優れた人を以てこれに充てて貰いたい。こういう強い希望を附けて本案に賛成するという意見が陳述せられたのであります。  これに対しまして本案について採決をいたしましたところ、委員会全会一致を以て可決すべきものと議決いたした次第であります。  次に、建設省設置法の一部を改正する法律案について報告をいたします。委員会は予備審査と共に二回開会いたしまして、一昨日全会一致を以て可決すべきものと議決いたしました。  提案の理由及び法律の内容について詳しく御説明を申上げることはいたしませんが、大体この改正法案の要点は三つあるのであります。第一点は行政機構簡素化の一環といたしまして、諮問的な審議会を整理する一般方針に基いて、官庁営繕審議会を廃止することといたしました。又河川審議会並びに道路審議会を廃止して、これに代えて土木審議会を設けました。その土木審議会において河川、砂防、道路災害復旧等土木に関する事項を審議せしむることとした点であります。第二点は地理調査所の持つておりまする高度の技術を活用いたしまして公共団体、日本国有鉄道、又は日本專売公社の委託に基いて土地の測量、地図の調製及び測量用写真の撮影を行うことができることとした点であります。第三点は関東地方建設局の所在地をば、船橋市から東京都港区に移すという点であります。この三点が改正案の要点であります。  委員会におきましては、それらの点について質疑応答があつたのでありますが、そのうちの主なるものを申上げます。ここに廃止される審議会の従来どういう働きをしておつたかという点、又官庁営繕審議会が廃止されて、その仕事が外の審議会に継続されなくなるのであるが、全くかような審議会は必要のないものであるかどうかという点、更に又新らしく統合されてできるところの土木審議会の委員の詮衡方針はどういうふうにするのであるかという点等であります。この官庁営繕審議会が廃止せられましても、併しこれは関係各官庁の部局の実際の協議会で以てこの仕事をやつて行くのであるから、これが廃止せられてもその仕事には何ら差支ないのであるという説明でありました。土木審議会の委員につきましては、大体すでにこれで廃止されますところの河川審議会の委員が三十人、道路審議会の委員が三十人、それから又遡りますが、官庁営繕審議会、これはすつかり廃止されてしまうのでありますが、その審議会の委員は五十人となつておるというのでありまして、合計百十人の委員がなくなるのでありますが、今度土木審議会の委員は建設大臣及び二十五名以内で以て非常勤の委員となす、こういうふうに整理されて参つておるのであります。それでこの土木審議会の構成は、関係行政官庁、地方公共団体の職員及び土木に專門の知識を持つておる学者、その他調査研究団地の專門家等が入るという予定であります。又このうちで営利事業に関係しておる者の数は、委員総数の四分の一以上であるべきことであるということであります。尚今日はまだ詮衡に入つておらんという説明でありました。その外この審議会については、必要がある場合には專門知識を有しておる人々から、非常勤の公務員として二十人以内の專門委員を置くことができるという点であります。それが明らかになりました。更に関東地方建設局の所在地が船橋から東京都に移されるのはどういうわけであるか、又この地方建設局の仕事は、一体どの程度の必要性があるのであるかというような質問もありました。これに対しましては、やはり船橋よりは東京の方が事務の執行上便利であるという点、それから又どれだけの仕事が、どういうふうな仕事をやつて行くべきか、即ちこれにつきましては国の直轄工事に対する是非の問題と、それから直轄工事をやるとしても、請負制度がいいのか、或いは国が直接やることがよろしいかというような問題に帰着したのでありますが、結局第一点につきましては、地方行政調査委員会議の研究しているところであるが、政府としては数府県に跨がるような河川、或いは主要幹線道路、或いは大きな橋梁の工事等については、国全体として総合的に計画してその計画に基いてこの工事が必要である。どうしても国の直轄が必要であるという考え方をしているのであります。それから第二点については、工事の質、つまりでき上つたもののでき工合や、或いは経済の効度の、経済的にどうでき上るかということ、つまり最小の費用によつていい工事をするには、どういうことがいいのである、どうすればいいのである、結局国が直轄する方がいいのではないかという政府側の意見であります。それから最後に、地理調査所はどういう施設をなし、如何なる人員を使つているかという質問に対しましては、これは元陸軍の参謀本部の陸地測量部の工事を引継いだものであつて相当に高度の技術を持つている。而して人員は六百人程度であるということを明らかにいたした次第であります。  委員会におきましては大体以上のごとき質疑応答を重ねました結果、政府の提案を了解する程度に達しましたので、本案について採決をいたしましたところ、全会一致を以て可決すべきものと議決いたした次第であります。  これを以て報告を終ります。(拍手
  72. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  73. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  74. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第十八、海上運送法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。 先ず委員長の報告を求めます。運輸委員長中山壽彦君。    〔中山壽彦君登壇拍手
  75. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 只今議題となりました海上運送法等の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審議の経過及び結果を御報告いたします。  この法律案の主なる内容を申上げますと、その一は、外国海運業者に対しましては、独禁法及び事業者団体法の適用を除外する運送協定に関する規定を除きまして、海上運送法を適用しないこととすること。その二は、日本の海運業者の経営する対外定期航路事業につきましては、許可制を届出制に改めること。その三は、現在臨時船舶管理法及びポツダム省令に定める外国船の購入及び日本船の外国への讓渡、貸渡の許可に関する條項を本法に統合すること。その四は、外国船の借受については、日本海運の現状により、一年間を限りこれを許可制とすることであります。  本委員会において愼重審議を重ねましたが、現状においては適当なる立法と認め、原案通り可決することに全会一致を以て決定いたした次第であります。  以上御報告申上げます。(拍手
  76. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  77. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  78. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第十九、中小企業振興に関する調査に関する件。委員長の報告を求めます。通商産業委員会理事廣瀬與兵衞君。     —————————————    〔廣瀬與兵衞君登壇拍手
  79. 廣瀬與兵衞

    ○廣瀬與兵衞君 通商産業委員会においては、今般中小企業振興に関する調査を一応完了し、議長にまで報告書を提出いたしましたので、ここに右報告書の要旨を簡單報告することといたします。  元来中小企業が我が国経済において占むる地位の頗る重要なるにも拘わらず、これが対策は議論せらるるのみで、実施に移されることは極めて少いのが現状であります。過去一年我が国は経済政策の重大なる転換をなし遂げたのでありますが、その影響の悪い方面に強く受けたのは、外ならぬ中小企業でありまして、かかる際に中小企業の実態を把握し、諸困難の因つて来るゆえんを調査し、以てその振興方策を考究することは頗る喫緊の要事であります。かかる意味で中小企業振興に関する調査承認要求を昨年十二月二十日議長に提出し、即日その承認を得たのであります。  さて、その調査の結果でありますが、この調査承認要求書にも記載しましたように、先ず中小企業金融に重点を置いたのでありまして、この金融問題は要求書を提出いたしましたとき、即ち昨年十二月にも問題になつておりましたが、今年三月に至つて更に重大なる政治問題、社会問題にまで発展したことは各位の御認知の通りであります。中小企業が金融に困つている原因について考えて見ますと、そこには大企業も含めた企業一般が困つている事情とは別個に、中小企業特有の原因があるのであります。それは凡そ二つの方面から窺われると思います。第一は、金融機関が中小企業に適応した形でないこと、即ち金融制度そのものから由来する原因であり、第二は、中小企業の側にいわゆる受入態勢ができていないということから由来するものであります。  第一の金融機関について申しますれば、戰時、戰後を通じて金融機関の統合が極度に行われ、いわゆる五大銀行、十一大銀行等の出現となつたのでありますが、これが中小企業との関連が極めて薄いということになつております。今回の調査でも大銀行の貸出のうち、中小企業に対する融資割合は、他の地方銀行のそれと比較して少いことが示されているのであります。戰前には銀行と中小企業との間に、親工場とか問屋等が介在して連絡を付けていたのでありますが、その関係が現在はすつかり壊れている、ここに中小企業金融を困難ならしめている原因の一つがあります。次に右のような金融機関に対しますると、中小企業の信用受入態勢は甚だ不完全なるものと言わざるを得ません。元来中小企業の経営の中心をなすものは、経営主の個人的信用とか能力にあるのでありまして、担保力など殆んどないものが多いということ、更に少額金融であるため、收益を目的とする銀行の採算ベースに乘り難いということ等であります。この二つの原因と関連して、中小企業に廻し得る資金が不足である。資金はあつても中小企業へ廻つて来ないで、いわば資金は零細なる資金でも常に大きな金融機関に向つて流れて、中小企業に還元して来ないという現状になつているのであります。  そこで金融対策は、右の諸点を解決しなければならない。即ち中小企業向け資金の拡大、次いでそのルートを作るための中小企業金融制度の確立、更にこれを中小企業側で受入れるための受入態勢の整備ということになります。勿論中小企業対策は、金融問題に直面されるのではなく、輸出振興その他も考慮すべきであり、合理化も協同化も決して金融面からのみ議論されるべき性質のものではありませんが、ただ現下の情勢としては中小企業困難の現象が、金融面に集中表現されているのでありまして、現下の事情としては金融面の解決が早急に要望されているのであります。併しその施策の多くは、本年三月に入つて危機が叫ばれてから急速に実施されるようになつたのであります。この事実が示すように、中小企業問題は常に放置して顧みないという危險があるのであります。この意味において国会政府も常に中小企業の振興について注意を拂つて頂きたいと思うのであります。  以上を以て要旨の報告を終ることにいたします。(拍手)      ——————————
  80. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程の順序を変更して、日程第二十より第四十二までの請願及び日程第四十六より第四十八までの陳情を一括して議題とすることに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。運輸委員長中山壽彦君。    〔中山壽彦君登壇拍手
  82. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 只今上程になりました請願第五百八号、北海道南景勝地帶観光施設完備等に関する請願外二十二件、陳情第百九十六号、西鹿兒島駅改築工事完遂に関する陳情外二件につきまして、委員会における審議の経過並びに結果を、詳細は委員会速記録に讓りまして、簡單に御報告申上げます。  請願第五百八号、北海道南景勝地帶観光施設完備等に関する請願請願の要旨は、函館港を観光港に指定すると共に、道南景勝地帶に観光施設を完備して欲しいというのであります。委員会におきましては、審議の結果、願意を妥当と認めました。請願第七百八十二号、宇津野駅、小本間に鉄道敷設促進請願請願第八百五十一号、白棚鉄道線の復活に関する請願請願第千二十二号、北見枝幸、雄武両駅間に鉄道敷設請願請願第千三百二十五号、三陸沿岸鉄道敷設促進に関する請願請願第千二百四十三号、山川、枕崎両駅間に鉄道敷設請願請願第千二百七十八号、相生、西大寺両駅間の鉄道敷設完成に関する請願請願第千四百八号、伊豆半島循環鉄道敷設促進に関する請願請願第千四百二十六号、隼人、古江両駅間および高須駅、大泊間に鉄道敷設促進請願請願第千四百三十七号、宮古、久慈両駅間に鉄道敷設促進請願、右九件はいずれも鉄道敷設促進或いは線路復活に関する請願でありまして、委員会におきましては現地の事情を考慮し、産業の開発、文化の向上並びに民生の安定を図る意味において、願意を妥当と認めました。  請願第八百二十八号、八木港の避難港整備工事継続に関する請願請願の要旨は、昭和二十三年度から五ケ年計画を以て工事を開始したが、過去二年の実績ではその成果を挙げ得ないから、本年度以降も継続工事を施行されたいというのであります。委員会におきましては、このまま中止することは工事上も損失であるから、願意を妥当と認めました。  請願第八百三十八号、車両工業復興対策等に関する請願請願の要旨は、昭和二十四年度の均衡予算の実施は経済、産業界に重大な影響を及ぼし、殊に車両工業は甚大な影響を受け壞滅状態に陷つているから、二十五年度において適当な予算的措置を講じ、併せて浜松米原間の電化工事も着工して現状を打開して欲しいと言うのであります。委員会におきましては審議の結果願意を妥当と認めました。  請願第八百四十六号、南海電気鉄道株式会社に国鉄、私鉄連帶輸送車扱貨物運賃通算制実施請願請願の要旨は、国鉄、私鉄連帶輸送車扱貨物運賃通算制が若干の会社線について実施されようとしているが、南海鉄道も荷主を初め各種企業の経営及び採算の合理化を図るため、通算制を実施して欲しいと言うのであります。委員会におきましては、審議の結果願意を妥当と認めました。  請願第九百四十六号、掛塚燈台移設に関する請願請願の要旨は、靜岡県天龍川のデルタにある掛塚燈台附近の砂防林が燈台の光を遮るとの理由で当局より伐採を要求されているが、砂防林は附近の四百町歩の耕地を荒廃より免れしめており、燈台は現在千メートル以上は内陸して、これを目標に遠州灘を東航する小型汽船は、デルタの先端に坐洲する等却つて遭難を誘致するので、燈台を適当な位置に移設すべきであると言うのであります。  委員会におきましては、審議の結果当局に速かに適当な措置を講すべきものと認めました。  請願第九百五十七号、二本松、津島両駅間に国営バス運輸開始請願請願の要旨は、この区間に現在福島電気鉄道株式会社のバスが運行されているが、運行区間の一部が不定期であり、且つ営業状態地方民の利益と合致しないから、国営バスを運行して欲しいと言うのであります。委員会におきましては、審議の結果地方のバス輸送を強化する意味において願意を妥当と認めました。  請願第千三十号、電気機関車製作に関する請願請願の要旨は、茨城県勝田所在の日立製作所水戸工場は、従来電気機関車のみを製作して来たが、国家予算関係でその製作が中止され、工場は休業状態となり、失業者が続出しているから、昭和二十五年度に国鉄の電化を促進し、電気機関車の製作ができるようにして欲しいと言うのであります。委員におきましては、審議の結果願意を妥当と認めました。  請願第千百十号、松山駅復旧工事施行に関する請願陳情第百九十六号、西鹿兒島駅改築工事完遂に関する陳情、以上二件は、いずれも戰災により燒失し、その後返駅舎のまま現在に及んでいるが、両駅共市の表玄関であり、又輸送上も多大の支障があるから、速かに完全に復旧して欲しいと言うのであります。  請願第千七百十二号、仙台駅東昇降口設置に関する請願請願の要旨は、近年市の東部地方の発展は著しく、又貨物駅及び中央卸市場の建設計画もあるのに、東口に昇降口がなく不便が多いので、速かに東昇降口を設置して欲しいと言うのであります。  請願第千百七十九号、広島県音戸の瀬戸開さく事業施行に関する請願請願の要旨は、広島港及び呉港の発展のためには、音戸の瀬戸の開さくが絶対に必要で、又この開さくは海難事故の防止その他にも寄與する点が多大であるから、本工事に対し国庫補助をして欲しいと言うのであります。委員会におきましては、審議の結果いずれも願意を妥当と認めました。  請願第千百十四号、浜松米原駅間鉄道電化に関する請願陳情第二百二十号、高崎線電化促進に関する陳情陳情第二百五十二号、浜松米原駅間鉄道電化促進に関する陳情。右はいずれも鉄道電化促進に関するもので、願意を妥当と認めました。  請願第千二百十号、美島丸沈沒原因調査および遭難者死体收容に関する請願請願の要旨は、美島丸は昨年十一月遭難により五十二名の死者及び行方不明者を出したにも拘わらず、未だに死体收容数は僅かに六体で、又遺族に対する手当は余りに少く、涙のないやり方であるから、速かに沈沒原因を究明して必要な措置をとられたいと言うのであります。委員会におきましては審議の結果願意を妥当と認めました。  請願第千二百九十二号、特急つばめまたは急行銀河神戸始発とするの請願請願の要旨は、神戸は船車連絡の要地として重要性があるので、特急つばめ又は急行銀河神戸始発として欲しいと言うのであります。請願第千三百三十一号、山陰本線中一部路線変更に関する請願請願の要旨は、山口県仙崎町は山陰沿線中自数の経済観光都市であるが、鉄道運輸の現状地方の発展を阻害しているから現在の正明市駅より長門三隅駅に至る線路を、正明市駅より仙崎駅を経由し長門三隅駅に至るよう変更して欲しいと言うのであります。委員会におきましてはいずれも願意を妥当と認めました。  以上請願二十三件、陳情三件はいずれも委員会におきまして全会一到を以て議院の会議に付し、内閣に送付を要するものと決定いたしました。  以上御報告いたします。(拍手
  83. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  84. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一到を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ——————————
  85. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程第四十三より第四十五までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。電気通信委員長松野喜内君。     —————————————    〔松野喜内君登壇拍手
  87. 松野喜内

    ○松野喜内君 只今議題となりました請願について電気通信委員会審査の経過並びに結果について御報告申上げます。  先ず請願千八百二十五号でありますが、郡山市に電気通信施設完備請願、この願意としますところは、同市は東北地方における商工業の中心地であり、且つ交通上の要地であるから、電信電話回線の集中及び電話交換方式を変更する等電気通信施設を早急に完備せられたいとの趣旨であります。  次に請願千八百九十八号でありますが、国会内電報局独立に関する請願、この願意としますところは、同局は臨時局として設置せられておるが、最近周辺に建物が増加し、閉会中の業務量も少くない実情にあるから常置局とせられたいとの趣旨であります。  次に請願二千百二十三号でありますが、元大阪戎電話局復旧促進に関する請願の願意としますところは、戎局焼失以来何ら措置がとられていないため、商工業経営上多大の支障を来たしているから本年度中に復旧せられたいとの趣旨であります。  委員会におきましては以上の請願につきまして慎重審議の結果いずれも願意を妥当なものと認めてこれを採択し、議院の会議に付し、且つ内閣に送付すべきものと全一致を以て決定した次第であります。  以上御報告申上げます。(拍手
  88. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採択をいたします。これらの請願委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  89. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立し認めます。よつてこれらの請願全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。  本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会は明後二十八日午前十時より開会いたします。議事日程決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十一分散会      —————————— ○本日の会議に付した事件  一、日程第一 国会法第三十九條但書規定による国会議決に関する件(広島地方専売公社調停委員会委員)  一、日程第二 全国選挙管理委員会委員指名  一、日程第三 参議院法制局職員定員規程の一部改正に関する件  一、日程第四 南海地震に伴う地盤変動による被害復旧対策に関する決議案  一、日本の外交の基本方針に関する緊急質問  一、地方財政平衡交付金一部概算交付暫定措置法案  一、日程第五 文化財保護法案  一、日程第六 建築士法案  一、日程第七 国会閉会委員会審査を行う場合の委員の手当に関する法律の一部を改正する法律案  一、日程第八 民事訴訟法の一部を改正する法律案  一、日程第九 国籍法案  一、日程第十 国籍法施行に伴う戸籍法の一部を改正する等の法律案  一、日程第十一 火薬類取締法案  一、日程第十二 牧野法案  一、日程第十三 家畜改良増殖法案  一、日程第十四 造林臨時措置法案  一、日程第十五 労働者災害補償保險法等の一部を改正する法律案  一、日程第十六 労働省設置法等の一部を改正する法律案  一、日程第十七 建設省設置法の一部を改正する法律案  一、日程第十八 海上運送法等の一部を改正する法律案  一、日程第十九 中小企業振興に関する調査に関する件  一、日程第二十乃至第四十二の請願  一、日程第四十六乃策第四十八の陳情  一、日程第四十三乃至第四十五の請願