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1950-04-22 第7回国会 参議院 本会議 第44号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月二十二日(土曜日)    午前十時五十三分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第四十二号   昭和二十五年四月二十二日    午前十時開議  第一 証券取引委員会委員長及び委員の任命に関する件  第二 社会保障制度審議会設置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第三 恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第四 資産再評価法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第五 地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、税関監視署及び税関支署監視署設置に関し承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 諸般報告は朗読を省略いたします。      —————・—————
  3. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。  一昨日、公益事業法案及び電気事業編成法案が本院に予備審査のため送付せられました。つきましては、特に本会議において政府よりその趣旨説明を聽取する必要がある旨の議院運営委員会の決定がございました。この際、両案につき通商産業大臣説明を求めたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。高瀬通商産業大臣。    〔国務大臣高瀬荘太郎登壇拍手
  5. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) 一昨日、電気事業編成法案及び公益事業法案を参議院に送付いたしましたので、この際、その提案理由一括説明申上げます。  先ず電気事業編成法案についてその概要を御説明いたします。  申すまでもなく、電気事業再編工は、昭山二十三年二月、日発及び各配電会社集中排除法による指定を受けて以来の縣案でありまして、ポツダム宣言要請による経済民主化方策の極めて重要な一環をなすものであります。政府としては諸般客観情勢に鑑み、速かにこの縣案の解決する必要を痛感いたしましたので、昨年十一月、通商産業省に電気事業編成審議会設置し、爾来再編成方策愼重審議したのであります。本法案政府審議会の答申及び参考意見を検討参酌した結果到沢した最終の結論盛つたものであります。  本法案の骨子は、経済民主化要請に即応し、電力国家局理体制を刷新し、電気事業の再編成実施するため、集中排除法指定を受けた日本発送電及び九配電会社を解体し、現在の配電区域をそのまま供給とする九個の新電気事業会社を新説し、民有民営基礎の上に企業運営上活溌なる創意を発揮せしめると共に、発送配電一貫経営による責任体制を確立せんとするものであります。その際、これらの新会社はそれぞれ供給区域内の発送配電設備を保有することを原則とするが、各地域電力需給の均衡を確保し、且つ水火力発電所を不可分の一体として運営せしめる見地から、特定の発送電説備についてはその所在に拘わらず帰属を決定したのであります。私はかくのごとき再編成によつて、初めて電気事業経営合理化供給力の増強、サービスの改善が招来せられ、延いては電気事業に対する外資道入の再開の前提條件が成就するものと確信するものであります。即ち今回の電気事業の再編成は、單に集中排除要請に対応するという消極的見地のみならず、我が国の最重要の基礎産業としての電気事業の正常且つ健全な発達を促進するという積極的な目標の下に実施せられるものでありまして、特株会社整理委員会の外、特に公益事業委員会が再編成実施の衝に当ることとしたのも、その一半の理由をここに求る得るのであります。  次に、公益事業法案概要を御説明いたします。公益事業法案は、国家管理廃止後の公益事業行政機構及びこれによる公益事業監督調整に関する規定に大本を定めたものであります。即ち本法は国家行政組織法規定に基く総理府外局として公益事業委員会設置することといたしております。公益事業委員会はその範を米国のいわゆるレギユラトリ・ボデイにとつたものでありますが、我が国憲法議院内閣主義を採用し、行政各部内閣の下に統一せられ、内閣を通じて国会に対して責任をとる建前をとつておりますので、委員会性格についてもこれを行政部の一部とすることとし、総理府外局とした次第であります。委員会内閣総理大臣が両議院の同意を得て任命する委員五人を以て組織し、委員長委員の互選によつて定めることになつております。公益事業委員会の使命は、公益目的の達成のため、電気及びガス事業及びその需要家並び投資家その他利害関係者相互間の利害関係調整し、これらの公益事業を指導監督し、特に料金その他経理面監督によつて間接電気及びガス事業運営を規正することにあるのであつて国家管理の場合のごとく事業経営に介入し業務の細目に干渉することは、こけを認めないこととなつております。公益事業委員会の一々の権限等については説明を省略しますが、この際、特に指摘いたしたい点は、再編成後において電力地帶間融通の円滑な実施を確保すると共に、電気料金地域差拡大を防止するため、委員会電力融通及び料金調整に関し強力な権限を付與せられている事であります。  終りに、電気事業編成法案電力国家管理から電気事業民営への切替のために臨時立法であり、公益事業法は従来の電気事業法及び瓦斯事業法に代る恒久立法でありますが、同時に両法案が不可分の関係にありますことは、再編成実施事務の大半が公益事業委員会によつて担当せられている一事を以ていたしましても、すでに明らかであります。  以上両法案概要につきまして御説明をいたしましたが、御審議の上、速かに両案を一括御可決あらんことを切望する次第であります。
  6. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 只今通商産業大臣発言に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。佐々木良作君。    〔佐々木良作登壇拍手
  7. 佐々木良作

    佐々木良作君 只今公益事業法案電気事業編成法案趣旨説明に対しまして、以下大きく分けて六項目に亘り質問を行いたいと思います。  先ず第一は、本関係法案取扱に対する政府態度についてであります。それから第二番目は、電気事業在り方の対する政府考え方について、更に第三は、政府経済民主化立法だと言つておるけれども、むしろ逆行危險がありはしないかという点について、それから第四番目には、政府の本法案提出の準備と、それから自信の程について、更に第五番目には、この二法案の法的な疑義について、最後提案説明でも触れられたところの本法案外資導入との関係について、以上の諸点について順次お伺いしたいと思います。  最初に先ず簡單な問題でありますけれども、本関係法案取扱に対する政府態度についてお飼いいたしますが、本法案日本経済国民生活にとつて極めて重大な影響を持つものであるということは言うまでもないことであります。併しながら私は特にこの際次の二点を指摘して注意を喚起し、政府態度を質したいと思います。第一には、本法案は現在現に生きておる電気事業を、そうしてあらゆる生産活動がその上に乘つかつて時々刻々に動いておるところの電気事業を、俎上に載せて料理しようとするものである。従いましてその影響は直ちに即刻に且つ全生産部門に亘つて起るということです。先の説明にもありましたように、直ちに起り得る危險として電力融通阻害の問題があり、電力料金地域差拡大の問題があり、現在進行しておるとことの電源拡充工事の停滞の問題があります。こういうような事態は、この法案の可決して再編成実施着手せられると同時に発生し、そうしてこのことは直ちに又日本経済の全地域に対しその影響をもたらすことになるわけであります。更に第二番目には、若し実際に再編成に解りかかつてしまつたら、途中でこれは工合が悪いからちよつと考え直そうというように考えても、これは簡單にやり直すということのできない性質のものであるのです。国民生活と重大な関係がありますところの予算案であるとか、或いは税法案であるとか、これは電気事業の再編成より以上に直接的な関係がある問題であります。併しながらです、これらの問題は政府さえやる気になりさえすれば、議会を開きさえすれば、議会たびごとにこの修正というものは割合に簡單にでき得る性質のものである。ところが生きている事業を料理する俎板の上に載せて、そうして半分くらい庖丁を組れたところで、これは工合が悪いからもう一遍池に入れて生かそうと言つても生かせる性質のものでない。こういう二点からいつても、私はこの法案審議に関しては極めて愼重態度をとるべきであつて苟くも最近起つておるように承わるところの感情論とか、或いは最近間々政府がとられる政治勢力の数の威力、数の威力というようなことで以て無理押しをするような性質のものではないというふうに私は考えるのであります。今の理産大臣お話にもありましたが、愼重審議して速かに通して呉れというお話でありますが、政府は本当の意味で、この法案国会で十分に且つ合理的に審議されることを本当に希望しておられるかどうか。或いは十日を出ないところの今国会の会期の中で飽くまでも結論を出すために無理押しをするような政治的な審議意図されておるかどうか。念のために第一点の質問として承わつて置きたいと思います。尚、念のために附加えますけれども、政府提案の際、政府の間で十分一生縣命審議したから、議会では簡單にやれということは、逆であつて成り立たない。政府が重要であるから一生縣命結論を出すために長い間かかつておればおる程、国会でも同様に十分な日にちをかけて審議をしなければならぬと、私はこう考えます。同じ類似したところの問題であるところの、昨日か委員会で可決された放送関係法案議会に最初提出されてから三年がかりです。これを十日間でやれということは飛んでもない話である。先ず第一点の質問はこの審議に対する政府態度についてであります。  第二番目から内容的の問題に入りますが、電気事業日本経済上における地位と、そうしてその在り方に対する政府考え方についてお伺いいたします。  その第一は、日本経済上における電気事業地位について承わりたいと思います。言うまでもなく電気事業は一国の産業及び民生の基幹産業でありまして、他の産業同列の立場における、同列状態で資本的な競争をさせて、そしてその成り行きに任せるという筋合いのものではないと思います。丁度鉄道の幹線がすでに明治初頭に国有鉄道という形で統合されて、そして、この交通動脈という共通基盤の上に他の一般産業競争状態に入つて成り立つている、これと同じように、電力は一国の動力、動脈として、他の産業が最も健全に育つための共通基盤でなければならぬ、こういうふうに私は考えます。果してそういう性格電気事業にあるとするならば、電気事業を合理的に発展させる刺戟薬、刺戟的な材料になるものは、この電気事業営利性というものではない筈であります。現在の電気事業がすでにそうなつているのでありまして、若し電気事業一般の他の産業と同じように営利性に基いて成り立つているものであつたとするならば、終戰後一般物価は御承知のように二百五六十倍に上つている、そうして電気事業営利性を元にしてできておつたとするならば、当然に電気料金も二百五六十倍に僕はなつていなければならぬと思います。併しながら、それにも拘わらず最近まで、去年の暮まで、電気料金は値上げされたと言つても四五十倍、そうして去年の暮に今非難ごうごうたるこの中で成り立つているところの電気料金は、やつとまだ百倍に満たない料金値上率であります。私はこれを安いというわけじやない。それにも拘わらず、一般物価が二百五六十倍に上つているにも拘わらず百倍に満たないくらいしか上つていないということと、それにも拘わらず、皆さんは御存じないかも知れぬけれども、終戰後生産が一番沢山つているのは電気です。外には全然ありません。戰時中及び戰前の日本生産活動の最も旺盛な如何なる年よりも、電気生産量だけは、最も旺盛な年の生産量を遥かに越えて生産されているわけであります。料金関係と関連してこの電気事業生産だけがこのように伸びている理由、それを十分に御考慮を願いたいと思います。  今回の電気事業編成意図が後に述べるように集中排除等にあるとするならば、これはちよつと別の問題でありますけれども、これは同様に電気事業発展させる云々という言葉がありましたけれども、若しこの再編成意図が、今言われたように一つ理由電気事業発展方策として考えられているならば、そして而もそれを一般産業と同様に事業者自主性であるとか或いは営利性であるとかいうものに根拠を置いておられるとするならば、これは電気事業日本経済上に占めている地位をちつとも御存じない、或いは現在電気事業日本経済発展のために果しているところの役割を殆んど沒却されている議論でありまして、これはナンセンスであります。若し政府案のごとき電気事業の再編成が行われますならば、現在電気事業が負担しているところの経済的な犠牲は、すべて他の一般産業にそのまま転嫁されることになります。二百五六十倍に上つている物価に対して、電気料金はまだ一応百倍である。併しながら一般産業と同様な営利性自主性というものに基いてこの事業を運転させて行くならば、同様二百五六十倍に料金の値上げを要求するに違いない。その差額は、これを拂うところの需用者に対してその犠牲が全部転嫁されるということになるのであります。而も電気事業が負担している今の犠牲を他の一般日本産業に転嫁される危險考えた場合に、私は一般産業危險を非常に強く感ずるのでありますけれども、政府はかかる電気事業基礎産業的性格を、又それが現在果しつつあるところの役割を本当にどうお考えになつているのか所見を承わりたい。これが第二の質問です。  次に第三の質問でありますが、電気事業自身のあり方について申上げたいと思います。電気事業の再編成問題をめぐつて発送配電一貫経営がいいとか、或いは電力経済圈というものが適正な経済規模でなければならぬという言葉沢山使われております。併しこういう言葉は、或いは非常に勝手気儘に、或いは又日本電力技術発展段階を忘れて、好い加減に使われております。正確に言うならば、発送電技術発達従つて電力連繋地帶は段々と大きくなりまして、送電設備送電線の容量なり、或いは送電線技術発達すると共に、数個の発電所送電線で結び付ける地域が段々と拡大する、そうして拡大された地域共通電源電力供給が可能な地域、これを電力経済圈、或いは電力圈ということが言い得るわけであります。従つて電力経済圈であるとか或いは電力圈という言葉は、電気発送発電の中の発送の部分的な関係であるから、配電部門とは別です。そうしてこれが適正規模であるかないかということは、今の電力連繋によつて、丁度同一の電源共通電源によつて供給し得る地域が最も経済的に成り立つか成り立たないか、これが電力経済圈の大きさを一番経済的に見得る判断である。配電区域の大きさが適正であるかどうかということは、むしろ逆に需用家数の大きさによつて本当は考えなければならぬ問題であります。これを混同されないようにお考え願いたいと思います。今申上げましたように、電力経済圈というのはそのような事情でありますけれども、そういう意味から行くならば、現在の日本電気事業発展段階は、ただ一つ電力経済圈か、或いは島を分けるとしてもせいぜい三つか四つ電力経済圈にしかなりません。これを九つに分けるなんというそんな小さな経済圈ではありません、日本の場合発展しておりますから、併しながらこの電力経済圈は今言いましたように発送電部門合理的経営の大きさを意味するものではありますけれども、それがそのまま配電部門適正規模意味するものではないということを御承知を願いたいと思います。  今申上げましたように、発送電技術発達伴つて電力圈は当然に次々に大きくなつて行くわけでありますけれども、これは電力経済圈が大きくなるに従つて、今度は別の経済的の問題でありますところの、これが大きくなれば一つ会社によつて経営されるところの、別の問題であるところの独占という問題が出て来る。この独占を如何にして排除して行くかという方法二つ方法がある。言うまでもなく独占排除しようと思つたならば、ちつとは電力経済圈犠牲にしても、経営規模を小さくすれば当然排除される、これが一つ方法。もう一つは、独占排除するには、惡いのは私的独占であつて私的独占排除して独占を公的な恰好にすれば、国営とか公営という形に、公的な独占の形にすればいい。この二つの形が世界各国においてとられておるところの電力事業発展方向であります。そうして国営とか公営とか、公有、或いは国家管理とかいうような方法によつて独占の私性、私的独占性排除をしたやり方の場には、先程の最も技術的に発展したところの大きな経済圈利益をそのまま享受して、その上に発送配電が一貫されて経営されるところの経済的の利益も加味し得るような一つ発送配電、而も発送部門電力経済圈と一致したところの規模経営が可能であります。併しながら逆にこの私的独占性排除に徹底を欠いた場合におきましては、発送電部門配電部門とを分離いたしまして、発送電部門は今の経済圈電力経済圈の大きさを以て運転されて、そうしてこのうちから配電部門だけを別に切つて私的独占を小さくして行くという方向が辿られるわけであります。世界各国電気事業は、この第一か、第二かのどの方法かによつて現在の発展を遂げておるわけでありますけれども、御存じのようにイギリスにおきましては、すでに一九二六年に、而も保守党内閣によつていわゆるグリツド・システムといつて発送電部門国営的な一元運営に置かれておるわけであります。それが一昨年労働党内閣によつて十四の配電局をこれに結び付けて、発送配の一貫的な国営実施しておる。第一の形を最も端的に現わしたものと思います。スエーデンという日本によく似た水力電気の国がありますけれども、最近の情報によりますと、このスエーデンは北に水力電源地帶があつて、南に需用地帶がある。この中に三十八万ボルトの大送電線、千キロに亘るところの大送電線国営で拵えて、この電力発送地帶需用地帶と一貫的に結び付けようとする状態になつておる。千キロというと、丁度関東電源の中心である関東山岳部から下関に至る距離、これを結び付けようという計画がある。丁度今政府案として出されておるものは、このような状態はつきりとして逆行であります。アメリカにおきましても、一番近代的な電気会社或いは電力総合開発の例と言われるところのTVAは、飽くまでも電気を発電し送電する、これを開発し送電する、つまり電気生産するところのシステムであります。配電部門は除いておりまして、決してTVA自身一般供給しておりません。配電会社に対して御売をするだけであります。こういうような世界的な、而も電気技術の、電気事業の当然の発達の、自然の形と逆行したような方法で、以て、今政府案はむしろ発達しておる日本電力経済圏を分割して、小さい配電部門にこれを食つ付けようとしておる。これは飛んでもない間違いであります。一体このような時代錯誤を敢えてして、常識を無視してまでも、馬鹿の一つ覚えみたいに、全科玉條のように言われて、この発送配電一貫経営を固執される理由はどこにあるのか。恐らくこれは素人考えだろうと私は思います。御意見を承わりたい。これが第三の質問です。  次に、先程の大臣趣旨説明に、この法案経済民主化のための立法だ、こういうことを言われております。これに対して御質問を申上げたい。  先ず第一に、今度できるところの九つの新らしい会社は、高瀬さんは経済学者でありますから御存じと思いますけれども、純粹な経済的な観点に立つて考えた場合に、従来よりも私的独占排除された形と考えられるかどうか。日本電気事業発達の歴史を言うと長くなりますからやめまなけれども、国家管理が行われて、そうして最後に今の形が行われる直前におきましては、まだ日本には四百の事業者があつた。これを固めて、今の一発送電九配電会社にしたわけです。この四百のものを固めて一つにした。そうしてその代りに先程言つたよう私的独占排除するために国管という形をとつた。これを今度の法案では、そういう四百を統合してできた会社をぽんぽんと縦に九つに割つて、そうして独占性をそのままにして国家管理を外す。これだと私的独占が弱くなる、排除される、経済民主化立法だ、これは飛んでもない話だと思います。因みに新らしくできるところの九つ会社規模を申上げて見ましようか。その中で一番大きな会社関東にできる会社関西にできる会社です。関東にできる会社におきましては、発電設備が百七十四万八千キロ、そうして関西にできる会社は更に大きく二百四十四万四千キロ、而もそれが独占的に持つておるところの一般需用家の戸数は、関東会社におきましては三百十二万三千戸、それから関西におきましては二百三十一万七千戸です。この数をとつて言つても余り規模はつきりしないと思うのですが、ちと古い一九三七年の調べによりますと、アメリカにおきましても、アメリカの一番大きな民営会社であるところのエジソン・カンパニー、ニユーヨークのエジソン・カンパニーという会社がありますが、これでもその発電量は百三十二万キロ、発電所の数がたつた四つです。そうしてこれが持つておるところの需用家の数は九十七万四千戸、それから発電規模云々の問題が出ましたから申上げますけれども、イギリス九つ発電局が今度十四になつたと言いましたけれども、これの一番大きな、一番沢山需用を持つておるところのロンドン地区配電局におきましても百二十二万五千戸の需用家しか持つておりません。イギリスのこの十四の配電局平均需用家数は八十九万戸です。日本の今の九つに切つた場合に、九つに平均した場合には百五十四万戸です。更に又この国家管理実施される以前に、電気会社が巨大な私的独占性を発揮して暴利を貧つてしようがない。これが暴れてしようがない。これをとつちめるために一つ国家管理という形が行われたが、その当時あつたのは五大電力会社であつて、中心的の動きをしたのは、その一連大きな勢力であつたものは東京電燈という会社でありますけれども、東京電燈にしても七十七万七千キロの設備しか持つていない。東邦電力が四十六万七千、日電、大同、宇治川、おのおの四十万から二十万程度です。これが今言いましたように、関東の場合は百七十五万、関西の場合は二百四十四万、二倍乃至三倍の巨大な発電設備と、而も競争状態に決して置かれないところの独占的供給地域を持つておる。而もこれらは国営なり国管なりというものは、これは取除けられて、非常に弱いところの、飽くまでもレギユレート的機関であるところの公益事業委員会、五人の公益事業委員会でレギユレートする。これで以てまさか経済学者であるところの高瀬さんは、私的独占が止められて、そうして経済民主的な立法だと言えないと思うけれども、この状態、このような巨大私的独占会社をどういうふうに考えられておるか。本当に経済民主化考えられておるか。全く経済民主化逆行じやないか。むしろ或る意味におきましては、悪意に考えた場合は、政府はこういう蔭に隠れて、実質的な私的独占強化意図しておるのじやないかという心配さえ起るのです。この点に対する御所見を伺いたい。これが第四の質問点です。  時間がなくなりましたから少し端折つて申上げますが、今の問題と関連して、これは集中排除法との関係を申されましたけれども、集中排除法は現に生きておる。生きておつて、一日発九つ配電会社が平等に現在集中排除法によつて指定されておるのであります。それにも拘わらず日発だけを分割する、小さくする、これは一つ考えられる。だけれども、発電をこれに食つ付けて配電を大きくするというわけでありまして、配電会社におきましては、これの倍に近いところに大きくするという措置である。これは集中排除法自身に正面から挑戰したことになる。而も国家管理を排して、旧民営会社自主性を尊重する建前をとつておられる。飽くまでも私は集中排除法に対するところの挑戰だと思う。今特に而も御注意申上げたいのは、集中排除法は、言うまでもなく極東委員会の指令二百三号によりまして高度な経済民主化立法として国際的にぶち上げたところの法律である。そうして今度出されたところのこの電気事業編成法案は純然たる国内立法です。この国内立法で以てこの原則を打ち破る、これに挑戰するということは、飛んでもない考えだと思う。まだ第二次戰争に対しての我々に対する世界の疑惑は決して解けておりません。この段階において、世界の常識を無視した、これと全然逆行したような今のような方向のとられるところの再編成が、私は非常に大きな国際的な誤解を受けなければよいがと、非常に心配しておるわけです。政府の非常に愼重なる御答弁をお願いたしたいと思う。  次に、公益事業委員会が国民及び消費者の利益擁護を十分にすると言われたけれども、し得ないという論拠を示そうと思いましたけれども、時間の関係上省略いたします。ただ後ちよつと二三分時間を借りて問題だけ羅列して置きますけれども、本法案を提出されたところの具体的な計数的準備の有無についてちよつとお伺いします。これまであらゆる意味日本の中で一番検討されたところの委員会、大山委員会であるとか、松永委員会であるとか、この二つとも今の政府案とは全く逆な結論を出しておる。これに対して政府は松永委員会の松永試案、松永氏の個人的意見を根拠として今の法案を出された。而もそれも観念論を出ていないのであつて、而も一遍も計数的な内容を示されたことがない。今後若し我々が委員会その他で追究する場合に、政府はつきりと計数を示してこの合理性を証明されるところの準備があるのであろうか。実際私はこの準備がないことをよく知つておる。電力局の持つておる数字もよく知つておる。私が特にここに言うのは、そういう問題ではなく、飽くまでも問題があるのならあると、今日国会を通じて国民に問題の焦点を全部さらけ出して貰つて、そうして十分な審議をやつて貰いたいというために申上げておるわけです。  最後一つだけ指摘して置きますが、公益事業法の中に一地区一事業という原則が宣言されておる。これは知らん間にするつと入つた法文です。條文の二十八條三項に、公益事業委員会は同一の地域供給区域という二つ以上の公益事業の許可をしてはならないという條項が入つておる。これで自由競争だの何だのと言うのは飛んでもない話であつて、僕はこの法律の中でなぜこういうような、そうでなくても私的独占を強化するようなこの民営会社を作る上に、それを飽くまでも不動のものとするようなこういう規定がなぜ入つたのか、私はこの條文に入れられた意図がどこにあるのか了解に苦しむわけでありますが、御説明を願いたいと思います。  更に又、公益事業法案の附則において、先程言いましたように、非常に重大な立法であるところの独禁法であるとか事業者団体法であるとかいうような国際立法を、いとも簡單に一片の法律の附則で以て修正しておる。これは最近におけるところの法律の混乱の状態から見ましても、又国際的な関係から見ても、私はどうも不安に堪えない。政府は一体どういう考えで以てそういう手つ取り早い方法をとられたのか、お伺いしたい。  最後にもう一つだけ、外資導入との関係を申されましたけれども、一体この再編成によつて外資導入が余計できるなんというのは、ちやんちやらおかしい。発送配電が一貫できなければ外資が入らないなんというのは、これは嘘だ。大同にしましても、日電にしましても、むしろ卸売会社であつて、十分会社に入つてつた。更に又、最近のジロン・リードのドレーパー氏が来たときにもはつきり言つておられる。日本電気事業は遅かれ早かれ国営的な恰好になつて行く、そうして外資を入れるために一番心配なのは、国営になるということではなくて、国営的なものになつた際に、無償で国家に沒收されないための強力を保証を付ければよいのだと、(「その通りだ」と呼ぶ者あり)それをはつきり言つておるのですよ。而も、それに附け加えて、最近の国際的な状態においては、日本の大きな固定資産に対して外資が入るなんということは考えられないと、はつきり言つておられる。それをこういうふうに切りさえすれば外資が沢山つて来るというような顏をしてやられるということは私は危險だと思う。而も御存じのように、電気事業資産は総資産として今の為替に換算するというと、十億ドルですよ。この十億ドルの電気事業の総資産の運用の如何、或いはこの再編成のやり方如何によつて、たつた一割の機能障害があつたとしても、一億ドルの外資導入がすぽつと元から消えたと同じことになるわけです。而もそのような危險を証明するごとくに、松永委員会の答申書にしても、はつきりとした具体的な数字を示して、今度のような案が実施されたような場合には、電力融通の障害が全電気事業を通じて現在の約一割五分のロスを生ずるということを言つておる。嘘か本当か知らんけれども、はつきりと数字的な説明をしておる。而もこれに対しての反駁は外の方から全然数字的になされていない。この一億ドルがふつ飛ぶような危險を敢えてして、どこで以て外資導入をしようとするのか。私は非常に危險だと思う。むしろこのような外資導入の幻想を国民に振りまいて、そうして而もこういう重大なこの電気事業を、今の国内経済の最も危險なときに、そのような試験台にするような電気事業状態であり得ないということを私は強く主張したいのです。外資々々と言つたところで、去年入つたのは百十六万ドルか、そんな辺です。今日外資委員会で民間外資導入の保証金として考えられておる額にしたところでたつた二千五百万ドルです。やりそこなつたところの一億ドルがふつ飛ぶ方がずつとでかい。これは先程大臣が言われましたけれども、本気でこの外資導入ということを持ち出しておるのか、もう一遍念のために伺つて置きたいと思います。  時間がないので途中は端折つて非常にお聞き苦しかつた点もあると思いますが、私は全部包括的な質問を兼ねて、項目では六つでありましたけれども、質問個数は十一の質問を出しました。その一つ一つに対して明確な御答弁をと言いたいところですけれども、私はむしろ極めて愼重な御答弁をお願いしたい。ただ答弁の内容におきましては、質問條項を落さないようにどうかお願いしたいと思います。これで質問を終ります。    〔国務大臣高瀬荘太郎登壇拍手
  8. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) お答えをいたします。  第一の御質問の点についてでありますが、政府といたしましては諸般の情勢を考えまして、すでに長い間の懸案になつておりました電気事業編成の問題をこれ以上遷延せしめますことはいろいろの意味において甚だ不適当であると、こう考えて、(「いろいろじや分らん」と呼ぶ者あり)再編成の法律及び公益事業法案を提出するということにいたした次第であります。再編成実施されました場合において複雑な問題を生ずるということは、全く御意見の通りでありまして、殊に各ブロツク内の電力の需給の均衡の問題でありますとか、又電力地域間の融通の問題でありますとか、料金地域差の問題とか、これらの複雑な問題を生ずるのでありますから、これらの点につきまして、愼重政府といたしまして考慮し、審議をいたしたのであります。そういう事情から国会へ提出する時期も大変遅延いたしまして、その点は国会に対して申訳ないと考えておるのであります。けれども、先に申しましたような事情で以て、できるだけこれを早く解決いたしたいと、こう考えておりまするので、国会の御審議に対してとやかく政府として申すべき筋合ではありませんが、政府としてはできるだけ速かにこれを成立いたしたいと、こういう希望でございます。(「そんなことを質問していないよ」と呼ぶ者あり)  次に第二の点についてでありますが、電気事業というものが一般産業と異なりまして、非常に公共性の強い又自然的な独占性を持つた事業であるという点につきましては、お説の通りであります。公益事業法が一供給区域に一個の電気事業のみを認めるということを規定しておりますのも、そういう電気事業の自然的な独占性性格を認めておる結果であります。又電気事業一つ基礎産業として重大な日本経済の上に意義を持つという点も同感であります。そういう意味で、豊富低廉な電力供給の上に我が国産業の建設をやつて行かなければならないと考えておるのであります。今回の再編成の方針も無論そういう方針をとつた上での実施方法でありまして、発電、送電配電一貫経営によつて運営されるようにするということも、実は政府考えといたしましては、民有民営適正規模による一貫経営ということが、電気事業合理化、能率向上の上から言つて最も適切であり、これによつて産業に対する電力の豊富低廉な供給ができると、こういう見地から実行いたしたわけであります。(「それが違うのだよ」と呼ぶ者あり)  第三の点につきましては、最近の送電技術発展に伴いまして電力圏が拡大して行くという傾向にある、ところが今度の再編成におきましては、発送電組織を分断することになり、これが時代の趨勢に逆行するという御意見でありました。併し電気事業編成の今回の狙いは、発送配電をさつきも申しましたように一貫経営をする、そして、それによつて経営合理化を達成し能率を上げる、そうして又一方において適正な規模による経営合理化を図るというような意味で以て、これが実施されたわけでありまして、これがために生ずる電力需給関係料金関係、いろいろな複雑な問題につきましては、公益事業委員会によつてこれを調整して行く、こういう構想になつておるわけであります。公益事業委員会が強力な権力を持ち、而も適切な方策実施することによりまして、この分割された結果に基く御心配になるような欠陷は除かれるものと私は考えておるのであります。  次に、今度のような電力事業の再編成私的独占を一層強化することになるのではないかという御懸念のお尋ねでありました。電気事業というものは、お話にもありましたように、一船の事業とは性質が違つて自然的独占事業でありまして、一つ地域内に二個以上の会社が競合するというようなことは甚だ望ましくないということは明らかであります。従つて今までも配電会社にそれぞれ配電事業地域独占を許しておつたわけであります。それで今回更に発送配電一貫の地域独占会社を認めるということになりましても、その結果は、先程申しましたように責任体制を強化して、経営合理化、能率の向上を期待できるという点だけでありまして、これがために従来よりも一層独占が強化されるという結果にはならないと考えております。又公益事業委員会は、従来の国家管理の場合のように、事業経営に介入いたしましたり、業務の細目に干渉するというようなことはなくて、電気事業会社にその運営の上に活溌な創意を発揮させる、同時に一方において公共性を擁護するという立場から、必要な調整監督を行うという建前になつておるのでありますから、私は、こういう公益事業行政機構が、電気事業の今後の健全な発達ために必要且つ適切な措置を講ずるものと信じておりますので、お尋ねにありましたような私的独占の強化、従つてそれによる非常な弊害は必ず除去されるものと信じております。  次に、今度の再編成方法集中排除法に反するような結果にはならないかと、こういうようなお尋ねでありましたが、今度の再編成集中排除と同時に、一方において電気事業性質に基く最も合理的な方策を採用したわけでありまして、集中排除電気経済合理化というような二つの立場から実行されておるのでありまして、指定を受けました日本発送電、又九つ配電会社は解散をいたしまして、新たな九会社が設立されるということになる、そうして先程から申しますように公益事業委員会による適切なレギユレーシヨンが行われるのでありますから、私はお尋ねのような疑いはないと考えておるのであります。  次に、いろいろの再編成についての案があつた、それらについてどう処置したかというようなお尋ねであつたと思いますが、政府といたしましては、無論いろいろの案、審議会の答申等について、十分検討を加え愼重に考慮いたしました結果として、今回のような最後の案を得たわけであります。  次に、一地区一事業ということで、他の二つ以上の事業を認めないということに規定されておるという点についてのお尋ねでありましたが、これは先程来申しますように、電気事業の自然的独占性から来る適当な処置であると私は考えておるのでありまして、自然的独占性を持つ電気事業について自由競争の認められないということは、これは当然であろうと考えております。尚、独占禁止法、事業者団体法についての除外例を設けるというようなことが軽率に行われておると、こういうような御質問もありましたが、あの法律の規定料金調整の問題につきまして特に除外例を規定しただけであります。  それから次に外資の導入との関係についてお尋ねがありましたが、政府としては勿論電気事業につきましても健全な外資の導入は歓迎しておるところでありまして、今回のような再編成処置によりまして日本電気事業が健全に発展をして行くということになれば、おのずから外資も又これを導入し得るだろうという期待を持つておる次第であります。(拍手
  9. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 門屋盛一君。    〔「頑張れよ」「遠慮するな、遠慮を」と呼ぶ者あり〕    〔門屋盛一君登壇拍手
  10. 門屋盛一

    ○門屋盛一君 総括的のことは佐々木議員からお尋ねになつたようでありますから、重複を避けたいのでありますが、併し二三点だけは重なる点があるかも知れませんので、まあ御容赦願いたいと思います。  只今佐々木議員の質問高瀬通産相の答弁を伺つておりましてもはつきりしないのでありますが、大体この集排法の指定を受けましたのが二十三年四月で、そういて二十四年の十一月に再編成に関する審議会を設けてやつた、こういうことになつておりますが、この間に内閣が三代も代つております。最後の吉田内閣は御承知のように、二十三年の十月に吉田内閣になつておる。芦田内閣に大山委員会の答申が丁度出ました折に内閣が代つておる。私はこれは民主党でありますから、芦田内閣の大山委員会の案が民主党だからいいというのではない、民主党の委員でなくても、現在の日本電気事情の分つておる者は、現在自由党員の中にもこれがいいという人が沢山おる。(拍手)私はこの敗れた日本が、日本というものが、一体になつて日本再建をやるという建前から行きましたならば、たとい芦田内閣の時代に調査したことであつても、それがいいということであつたならば、吉田内閣はこれをとつて行えばいいのだ。(「そうだ」と呼ぶ者あり)それを殊更にこの大山委員会の答申をそのままにして置いて、大山委員会はまだ現在でもなくなつておるのか現存しておるのか分らない、つい最近までは残つておるようなことも聞いておる。そうして吉田内閣ができまして、二十四年の十一月まで、この食糧と同樣のウエートを持つところの電気問題、我が国産業再建の原動力になるところの電気問題を、二十三年の十月に組閣して二十四年十一月まで放つたらかしにして置いた。(「そうだ」と呼ぶ者あり、拍手)まる一年間放つたらかしにして置いた。(「怒れ怒れ」と呼ぶ者あり)自分が内閣を取つて一年間放つたらかして置いて、そうしてこの国会があと何日残つておると思いますか、十日しか残つていない、その十日間に愼重審議して速かに通して呉れと言う。(笑声)これはまあ日本語は分るのには分るのですが、高瀬さんは文部大臣を兼務なさつている。(「そうです」と呼ぶ者あり)もう少し文教の府の責任者とある者が通産相を兼ねた場合には、この神聖なる国会においては良心的な発言をして貰いたい。(「そうだ」「恥を知れ」と呼ぶ者あの)これに対する先ず一番に通産大臣の所信をお答え願いたい。愼重審議をして速かに通せ、これはどういうことなんですか、一体。(「恥を知らないんだよ」と呼ぶ者あり)吉田内閣が二年間愼重審議をして、こんな碌でもない案が出て来た。碌でもない案ですよ、これは。(「そうだ」と呼ぶ者あり)凡そ電気ということを知らない人ならば、これがいいと思うか知らんが、電気事情の分つておる者はこれはどつち付かずですよ。大体ですよ。問題は、配電地域によつて編成をするのか、発送電地帶によつて編成するかということは、これは今日の電気の再編成の上で第一番に行わなければならん問題である。今、日本電気は足りないんです。我々は終戰以来苦労して来ておる。通産大臣も、通産政務次官もお見えになつておるようだが、九州においでになつたと思うんですが、関門トンネルを渡れば電気が暗くなつたので九州へ入つたということが分る、そのくらい日本電気は足りない。その足りない電気が、現在の電気事業者、特に発電業者の努力によつて、戰争で一番電気を余計使つたところの昭和十八年よりも沢山電気を起すまでに電気事業者は努力している。それでも足りない。その足りない電気を補うために、我々待ちに待つたところの電力電源開発というものが漸く今年一月から諸についた。この電源開発をやつて、少くとも現在より三百万キロ以上の発電設備ができた時でないと日本電気はいじつてはならない。電気のことを愼重に研究なさつたらこれは分る筈です。そういうことも何も研究せずに、組閣以来一年間電気のことを放つたらかして置いて、そうして今愼重審議して速かに通せと言うが、この政府案に対しては、先程佐々木議員も言われましたが、御列席の政務次官、政府委員等に委員会等においてかくかくの資料を要求しましても、ただの一つも要求の資料が出たことはない。(「持つてないんだよ」と呼ぶ者あり)今日から直ちに委員会審議に入りましても、果して我々の要求する資料が出るのか出ないのか。(「早くあやまつちやえ」と呼ぶ者あり)国会立法府でありまして、あなた方から言うと、政府の方から言うたら、法律の審議をするのに行政府の方に資料の要求をし過ぎる、国会みずからがやれというかも知れない。これは一つの理窟にはなる。併し残念ながら新憲法下の国会が生れまして日が浅いために、或いは国会図書館とか、国会の常任委員会の專門員、調査員の整備とかいうものが十分に整備されておらないため、我々は情ないことであるけれども、行政府の資料によつて判断せざるを得ないのが今日国会審議の状況である。これは恐らく大臣諸公と雖も議員を兼ねておるから異議は言えなかろうと思う。そうしたなら、この審議に当つて我々の要求するだけの資料が即日揃うか。私は今日言うのじやない。もう電力の特別委員会提案と同時に資料が出して貰わなかつたら早いこと行かないということを言うてあるんですが、先ずこの資料が出るか出ないか。又高瀬通産相の愼重審議して速かに通して貰いたいという解釈を聞きたいのであります。  次に先程も言われたのでありますが、集排法の精神に全然反するところの九ブロツク組織は、これは今申しましたように配電区域に根拠を置いてやりましたから、配電会社を大きくするのではない。十の会社を解散して九つの新らしい会社を作るのである。これは小学校の生徒でも分る。併し事実は配電区域に主体を置いてありますから、凧上げか幟上げか知らないけれども、関西区域が北陸地方に発電所を持たなければならんようになる。それもごてごてごてごてするのに暇が要つて提案が遅れた。外に理由がない。もう私は、仮にこの九つのブロツクにお分けになつたのでありますから、電力問題から横走りをするようですが、通産大臣としての高瀬さんにお伺いいたしたいのは、日本産業をこの九つ区域に縛つてしまうのか。九つ区域に分けてやらせるつもりか。大凡日本産業は石炭と電気が原動力になつておる。石炭には限りがある。私は日本の動力源は水力電気に求めなければならないと思つておる。この水力電気に求めなければならないところの電気九つ区域に割つてしまつて、その区域内一社しかできない。これは地域的の独占事業であります。集排法の精神から言うても大いに違反しておる。併しまあそれを論じよると時間がないから、これは委員会等で論じて賛否を明らかにする折に又討論いたしますが、先ずそれをお預けにしても、九つのブロツクに分けたのは、日本産業九つのブロツクに分けてやるだけの総合計画があつて九つに分けたかどうか。それをお伺いしたい。本日は総理が御出席になつておりませんから、これは通産大臣からお伝え願つて置きたいのですが、これだけ九つに分けて日本産業九つに分けられるならば、今回の九分割によつて最も打撃の多いところの地区から考えましたならば、電力だけを九つに分けられたのでは飯が食つて行けなくなる。ついでのことに政治、財政、あらゆる経済面を九つに分けて、日本九つの州制を布いてやると言われるならば、これ又考えようがある。そこまでの総合的の考えがなくして、電気だけを配電会社九つあるから九つに分けたらよかろうというような安直な考え方でお分けになつておると思うのですが、これはどうしても水力電源を持たない所はいつまで経つて産業は興つて来ないのであります。まあ、詳しいことは委員会に讓りますが、どうしてその産業が興つて来ないかと言いますと、今の案から行きますと、九州出身の私が九州のことを言うて我田引水のように聞えるかも知れないが、九州と中国は同じような運命にある。水力の発電地帶のない所は火力で補えばいい。火力で補うときには、まあキロ当り現在で五円数十銭かかつておる。約六円かかつておる。約六円かかるところの火力の料金、これは料金面では八円取られることになつておるが、実際の生産コストが六円、その六円の火力と一円の水力と……九州にしましても中国にしましても、水力の電源というものは少い。御承知のように九州は現在火力と水力が半々なんだ。ですから六円の火力と一円の水力を合せると七円になつて、三円五十銭の原価になる、電気が……。北陸地方に比べまして四倍になります。中部地方に比べましても三・五倍になる。これは本当の独立採算制を持つたところの九分割になる。これを補うためにうまいことを考え出して、水力地帶からキロ当り千五百円のものを取つて火力の方に補給する、こういうことを言われておるのです。併しこれがどういう形で現われて来るかと思うて私は今日まで待つてつた。これは立法措置で現われたのじやないのです。これは今度できるところの公益事業委員会でそれを決めて、水力の方から取立てて一方に交付する、こういうことになる。併しこういうことはいつまで行われるかというのですよ。これはちよつと考えますと、現在中部地方で発電されておりますところの発電所の減価償却を除きまして日々発電して行くところの費用は、キロ当り八百円か九百円で上つておると思う。その金にして売るところの電気を起す金が八百円か九百円で行くのに、自分の所は痛くも痒くもない、九州の電気が高く付くために、関東の人が千五百円のこの負担金をいつまで喜んで出すでしようか。いつまで得心して出すでしようか。これが今度の案の政府が九州人と中国人と電気の足らんところをなだめるところの饅頭か煎餅の代りなんです。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)余りにも九州人や中国人を子供扱いに考えちやいないか。(拍手)これが永久の食糧でないくらいのことは我々は分つておる。これが永久の食糧であるというならば、電気事業編成法なりいずれかの立法措置をなぜ講じないか。(「そうだそうだ」「その通りだ」と呼ぶ者あり)立法政治、立憲政治、或いは法治国の日本が、法的措置を講じ得ないというようなものが、どこに我々九州人が安心して産業がやつて行けるか。又開発面から考えましても、電気の開発面から考えても、地形の持つところの弱さ、中国、九州の水力地帶は、現在の物価発電所を作りますのに一キロ当りの経費は八万円から九万円かかる。本州では安い所は四万円、高い所でも六、七万円でできる。平均して五万円ぐらいでできる。いつまで経つても九州、中国は電気のために産業が伸びぬということは、これは分りきつた話なんです。これはどういう方法でこれを補つて行くのかということをお尋ねしたいのと、もう一つは現在設備されておるところの九州の工場です、産業ですね。中国の産業、これはどういうふうにして生かして行くつもりですか。あなた方内閣諸公は、電気のない国に生れたのは運が悪いのである、電気のない国に工場を拵えたのは見通しが悪かつた、そういうところの工場は潰れるものは潰れてもいい、そういうところの国民は万劫末代電気で苦労してもいい、こういうふうに思われておるか。果してそう思われておるのなら、これは政治じやない。そういうことを少くするのが政治なんである。(「しつかりしつかり」と呼ぶ者あり)とにかく大山委員会の答申から推しても、それから現在この国会には数千通の請願が来ておる、請願陳情が……。国会に来ただけの請願陳情は皆政府にも行つておる。その請願陳情はこの分断に反対し、非常な反対をしておる。それから又分断反対の陳情もあれば、配電事業を都道府県営に移して呉れという請願陳情もあるし、県営の発送配電までをやれという陳情もある。又自家用を還元しろというような請願陳情も出ておる。でありますから、日本発送電なり今の九つ配電会社が、戰時立法、凡そ戰争目的のためにできたものであり、集排法の指定を受けてこれを作り直そうというのであるなら我々はこれは賛成なんです。私もちつぽけな事業をやつておりますが、事業経営能率等から考えてこれを再編成するというなら非常に考えさせられる点もあるのです。併しそうじやないのです。今の集中された資本、現在は十に分れておるのを一つ減らして九つに分けるのですから、それだから集中されるところの密度は多くなるのです。そうしてその電源の足らない地帶の産業をぶつ壞してしまう。それから電源の多い方の人は俺の方は電源が多いから安心だと思うかも知れませんが、これが又心配なんですよ。今みたいに九つの地帶に切つてしまつて送電線まで九つ切つてしまうのです。そうすると電源の多い所で発電所を作つても、その地帶内で事業が起ればいいが、御承知のように事業を起すのにはいろいろな立地條件がある。港湾とか材料とか或いは労力の関係等で、必ずしも電源地帶にその事業が起ると決まつたものじやない。そうしたならば電源開発はできなくなる。電気を起して金にならないのに資本を集めて発電所を作る阿呆はない。    〔議長退席、副議長着席〕  そうすると、日本の持つておるところの天然資源ですよ、雨さえ降れば一つも減ることのない天然資源、この天然資源を活用して日本産業を起して、貿易場裡でコストの安い品物を拵えて行かなければ日本は生きることができない。その発電をする必要がなくなるのですよ、九つ地域々々でやるのですから。そうすれば、これは公益事業委員会で足らない地区に対しては余る地区から流すようにする。併し全部が民営になりまして、この公益事業委員会が今の法律案に決められておるくらいの性格のもので、あの命令を聞いて、引合わない発電所を作つて、買手のない発電所を作つて、九州が石炭が高いから送ろうというような篤志家の事業日本に出て来ると思われるか。あり得ないのです。今折角緒についたところの開発を全然遅らしてしまうというような結果になる。どうしても公益事業委員会の下に、公益事業委員会が最も公平なことを考えてこれが直ちに行えるためには、少くともです、少くとも五〇サイクル、六〇サイクルの両サイクルの切替のつく発電所、貯水池式の発電所、水力の発電所と、全国の主要送電線を持つたところのパブリツク・コーポレーシヨンを作つたならば、それは行えるわけであります。ボデイが幾ら命令したところでできませんよ。大臣はどういうふうにお考えになつておるか知らんが、電気というものは、今日起した電気というものが余るから庫の中に入れて、この次の汽車便で九州に送るということは絶対にできないのだ。今起きた電気は今直ぐやらなければならない。今レギユラトリー・ボデイで仮に五日後のその日のことを命令しても、命令しておる間に、発電所が送つても損が行くのですからやりやしない。これをやらせようとすれば、今度は五日後のやつをやろうとしても天候の工合が明日の見通しが利かない。これはこの委員会の指示によつて地帶間融通をやろうというのは、恐らくこれは電気を一ケ月研究したら分ることなんだ、これは本気で言われておるかどうか。併しおやりになるとすれば、私の方の調査が足らないのでありますから、この席上で高瀬通産大臣なり宮幡政務次官からはつきり御教示を願いたいのであります。私がそこまでうまい方法があることを知らずに質問しておるのですから、うまいことがあれば教えて貰いたい。併し私の知つておる限りは、このレギユラトリー・ボデイの命令によつて地帶間融通が、法文の上ではできるけれども実際にはできない。それができれば我々は何にも心配はない。どういうふうにおやりになるか、地帶間融通の問題をはつきり説明して貰いたい。  それからまあ時間の関係もありますので、今一番問題になつておるところの料金の問題ですが、先に述べましたように、今行われておるところの新料金、現在の現行料金というものは、十二月から大騒動をやつて、本当は各地帶間の独立採算制によるところの地域差料金でやれというのであつたのを、それでは産業が潰れてしまうからというので、いろいろとアロケーシヨンの問題とか、スタンダード・アロケーシヨンとかで手加減をしまして、そうして本当に地域差の付く……本当の地域差から行きますと、先程申しましたようにあの中部地方とか北陸地方の電気の多い所と中国、九州と比べましたならば、まあ分り易く言えば約四倍の料金になるのです。これが、四倍はですね、特殊なものが四倍になるのではなくして、この日々生活に欠くことのできぬところの電燈料金までがそうなる。それではならないというので、御当局においてもいろいろと斡旋されまして、現在二・一倍から二・五倍程度のもので納まりが付いておる。これは今やつと納まりが付いておるが、政府の言われるところでは、千五百円の水力からの補給金を取つてそれを石炭の方の流せば現在ぐらいな差に止まると、こう言われる、少くとも中国、九州の方はこれは誠に不安心でかなわない。水力の方から千五百円取つて石炭の方に廻して貰うということは安心できないことでありますけれども、先ず政府のやられることであるから一応信頼してみても、その地域差というものは、よその二・一倍から二・五倍の料金でやつて行かなければならぬ。それはどういうふうにお考えになるか。中国、九州地方はもうよそよりも二倍以上の差の付くことは、これは止むを得ないとお考えになつておるのか。そうして、それはまあ非常に地域的に困る問題ですが、それ以外に、この調整補給金を取るということについては、私はこれは実際は行えないと思うのです。これは納める方がレコードの上でいろいろと手加減をしたら、これは取上げる金はなくなつちやう、これは恐らく実行できないと思うのです。それよりも困ることは、一般的な原価において今の料金の七、八乃至一七%の値上りになるということは御研究になつたのかどうか。  それからこれは電気の問題と関連して通産大臣に聞くのでありますが、こういうことをやつて、この調整補給金を取上げて、水力から取上げたものを火力にやるということは、私は一種の石炭消費の奬励になるのではないか。これは九州人として石炭がどんどん売れることは、目前においては非常に喜ばしいことでありますけれども、限りある石炭が煙になつてしまつたのでは日本の化学原料がなくなるのと同じなのです。石炭の化学的な利用価値については通産大臣御存じの筈なんです。只降つて来るところの雨を利用して、そうして電気を起して、その電気産業を起せばいいものを、無理に九つ地域切つてしまつたために、九州としては外に出せばもう少し日本産業再建上有利に使えるところの石炭を発電の燃料として煙にしてしまわなければならんということは、国策上策を得たものではない。飽くまでもこの地帶間融通のことを考え、総合的な国策を考えたならば、電気の多い地帶から少い地帶に自然流れ込むような方法をしなきやならん。流れ込む方法というのは、非常な特高圧の送電線を本州から中国を通つて九州に引つ張つて置けば、たとえ本土で以てキロ当り一円で起りましたところの水力原価が、圧力を高めまして送りますと送電ロスというものは非常に少くなる、そのロスの少い送電線で送りまして、その送電費用を加算しましても、九州に行つて二倍にはならない。恐らく私はこれは一・五倍以内で納まると思う。そういうことを国策としておやりになるお考えをお持ちになつておるかいないか。そういうことでもお考えになつておれば、今間に合わなくても、近い将来において、九州の石炭を焚いてしまつて、キロ当り五円、六円の電気を起さずに、これは極端な例を申しますと、只見川の発電を特高圧の送電線で引つ張つて行けば九州ででも産業はやれる。  話がえらい散漫になりましたが、どうせこれは本会議で片付く問題ではないので、賢明なる通産大臣なり政務次官の方でおまとめになつて、先ずお答えになれるだけのお答えを頂けば結構です。私は、愼重審議して速かに通せと言うが、愼重審議の資料さえあればやりますけれども、資料がなくして、八千万国民に代るところの国会議員が、あなたの方の都合が悪いから直ぐ通すということは絶対できない。併し愼重審議はしますよ。これだけのことを申上げるのは、この頃政府考え方なり又或る方面の考え方は、日本国会というものがあるのかないのか分らぬような考え方でおる。政府では十一月から御研究になつたか知らぬが、国会もこれに対していろいろと研究はしております。研究はしておるけれども、政府がもう出す、いつ出す、これは出す出すと言つてから二ケ月も出さない。初めから四月の二十日でなければ提案できないという……我々も、少くとも参議院電力特別委員会では、議員提案一つやろうというような意気込みを持つてつた。併し政府が出す出すと言うから今まで待つてつた。そういう点もお考えになつて一つ……。時間が来たようですから、どうせ詳しいことは委員会で御答弁願いたいと思います。(拍手)    〔国務大臣高瀬荘太郎登壇拍手
  11. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) お答えいたします。  非常に会期が切迫して来て出して、尚、愼重審議の上速かに御可決あらんことを希望するという点について、甚だ怪しからんというようなお言葉であります。(「その通り」と呼ぶ者あり)併しこの点は、先程佐々木さんの御質問に対してお答えした通りでありまして、政府としては、お話がありましたように、この一年間何ら努力をしない、研究もしないで放つて置いたというわけでは決してないのでありまして、熱心に研究はしておつたのであります。併しながら問題は御承知の通り非常に複雑であり、困難な問題を含んでおる。その結果として完成が遅れたわけであります。それがために提出の時期が大変遅延したということは、甚だ申しわけないということも先程申上げたのであります。併しこの法案をできるだけ早く成立されまして、問題の解決を急速に図りたいという熱心な希望を持つておるところから、期間が切迫はいたしておりますけれども、何とぞこれを御審議の上迅速に御可決を願いたいという希望を申上げておる次第であります。  それからその審議について、資料の提出についての御要求がありましたが、通商産業省といたしましては、無論御要求の資料は、できるだけ審議開始と同時に差上げるという用意をいたしておりますので、御要求を願いたいと思います。  それから次に、九つ配電区域基礎にして分割が実施されるという結果として、日本産業を大体九つに分断してしまうというような方針でやつているのかという、こういうようなお尋ねでありましたが、決してそういう方針でやつておるわけでありません。やはり日本経済の全体としての構造、産業性質等から考えまして、それぞれ適切な立地的條件というものがあると思うのであります。それに応じて日本産業というものは構成されるべきものでありまして、その場合に電気関係からいろいろと困難な事情も起きるという場合もあるかも知れません。それらにつきましては、電力調整料金についての調整等を適切に実施いたしまして、支障のないようにしようという考えでやつておるわけであります。そういう点から考えて、需給の調整がなかなかそう言つてもうまく行かないということになるだろう、こういうような意味でのお尋ねがあつたのでありますが、今度分割された地帶間の電力融通の必要量は、私共の計算では大体総需用の一五%程度に止まるであろう、そうしてその中で一〇%くらいは電気事業会社相互の間の自主的な話合いで円滑にこれが実行される見通しである、従つてせいぜい総需用の五、六%程度のものについて自主的な解決が困難になるのではないか、そうしてその場合だけが公益事業委員会の斡旋によつて解決されるのであろう、こういうような見通しを持つておる次第であります。  次に、電源開発の問題が今度のような分割によつて非常に困難になるのではないかというようなお尋ねでありました。電源開発の急務であるということは勿論でありますが、私共の考えから申しますというと、今度の再編成の結果として、これが特に非常な支障を生ずるだろうということは考えておりませんのであります。  いろいろの点につきまして御批評があつたのでありますが、門屋さんの御意見の根本は、結局はなかなか條文に書いたり抽象的に考えたりしたところで、電力融通の問題であるとか料金調整の問題というものは、そう円滑に適切に実行されないものだ、こういうお考えではないかと思うのであります。その点は私共と実は意見が違つておるわけであります。私共の考えとしては、無論それらの実行につきまして、いろいろと困難は起るだろう、むずかしい問題は起るとは思いますけれども、今度の法案によりまして、その問題の解決も円滑にできるだろうという見解を持つておりますので、その点御意見が違つておるように思います。  尚、その点を関連いたしまして、今までの事情を考えて見ましても、今まででも、戰争前の五大会社の間でもそういう調整が行われたのでありますし、又日発及び九配電会社相互間のプールの計算でも、やはりそういうことが行われておつたのであります。ですから今度の再編成後の料金調整等につきましても、当事者の話合というものが相当にできると私共は予想しておるのでありまして、どうしても話合が付かない極く小部分については、公益事業委員会の裁定でこれを実行するということで解決が付くのではないかということを考えておるのであります。(「料金差はどうするか」と呼ぶ者あり)尚細かい点につきましては御質問の中にありましたように委員会において御答弁申上げたいと思います。(「了解」と呼ぶ者あり、拍手
  12. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 栗山良夫君。    〔栗山良夫君登壇拍手
  13. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 電力事業の再編成に関しまする政府提案に対する質問が佐々木君並びに門屋君から行われましたのでございますが、私はこの問題につきまして、尚両者の質問の中で重要な点で回答が不十分であると考えまする点、並びに更に他の観点に立ちまして、数点に亘つて質問を申上げたいと思うのであります。  先ず第一に、先程愼重審議論が出ておりますが、私はこの重要な法案が、とにかく私共自身が愼重審議態度を今日まで持しておつたのでございますけれども、遂に四月の下旬になつて提案せられました。そうして而もその法案が謄写版刷で議員に配付されるということに至りましては、全く了解に苦しむわけであります。この法案は仮に謄写版刷で出たといたしましても、それで国民が結得し得る法案でありますならば、急遽これを愼重審議するという手もありましようけれども、電力の割当の問題にいたしましても、或いは地域差料金の問題にいたしましても、これは九州、中国地区だけではございません。関東或いは中部地区に亘りましても喧々ごうごうたる非難が巻き起つておるのであります。こういうような点を考えましても、更に法案性格等に対する十分な審議の余地を残しまするためにも、当然常識で考えて本会期中に審議を完了するということはむずかしい状態にあると思うのでありますが、これにつきまして、先程の質疑の方々からは抽象的な意味政府の所信のお尋ねがございましたが、私は率直にお聞き申上げたいのであります。即ちこの法案を今会期中に愼重審議して是非とも上げなければならぬ、こういう政府意図があるといたしまするならば、私共が如何に良心的にこの法案と取り組みましても審議未了になる百パーセントの公算を持つておると思うのであります。ここで政府考えられる考え方と相違を来たすわけでありますから、従つてさような場合には、過日衆議院で行われましたような政府と與党との馴れ合いによる、いわゆる力の押合いによりまして、非常に非民主的に国会の通過を図るというような措置をとられないとも限らないのでありますが、そういうような非民主的な議会通過の措置をとる考えを持つておられるかどうか、この点を明瞭に伺いたいのであります。それから更にさような強硬措置をとることを避けまして、そうして審議未了になるも又敢えて辞さないということであるといたしまするならば、その後の措置について伺つて置きたいのであります。次の国会まで持ち込みまして継続審議をせられるのか、或いは本国会審議の過程を通じましてもう一度よくお考えになつてこれを練り直しをされるのか、この点を明瞭に伺いたい。或いはそういうことを避けまして、吉田内閣が極めてお得意でありますところのいわゆるポツダム政令、これを以てこの法案を成立せしめるようなことをおやりになるお考えがあるのがどうか。こういう法案取扱につきまして具体的に、抽象的な言葉でなくて具体的に、一つ明瞭にお答えを願いたいのであります。  それから先程の質問の中で一番問題になりましたのは、今度の政府原案によりますると、電気事業のブロツク別の私的独占の形が極めて濃厚に出るのではないかという一点であります。この点は将来電気事業運営に対しまして非常に重要なポイントでございますが、通産大臣は答えて、経営合理化と能率の向上によつてこれの弊を改めて、更にそれでもできない場合には公益事業委員会権限によつてその弊を更に改めて行くような措置をとるので心配はないということをおつしやつたのでありますが、この場合に私は政府にお伺いをいたしたいのは、今度の法案の中に、電気事業を公共事業とするということが第二條の第三号に書かれておりますけれども、然らば公益事業というものはどういう性格事業を言うのであるかという定義がどこにも明記されていないのであります。そこで、この公益事業性格が明らかでありませんので、私は明快な論究を進めるわけには参りませんけれども、公益事業委員会の構成を見ますると、電力の需給、或いは電力料金その他の供給條件の設定、或いは電源の開発事業の強化というような、日本電気事業全体の締括りをいたしまする重要な仕事が、この公益事業委員会に課せられておるわけであります。従いましてブロツクに幾つかの会社を分けましても、この公益事業委員会があり限りにおいては、いわゆる自由な奔放な経営は許されない、こういうお考えであろうと思いまするけれども、ここに問題の最も重要な点があるわけであります。政府考えておられますることは、公益事業というはつきりした名前を打ち出しまして、その実は全くはつきりした私的営利企業にこの電気事業を再編成しようという考え方が明瞭に現われておるのでありまして、そういうことになりますると、総枠を国の政策として決定をいたしまして、その枠の中で各地区の事業会社がよろしくやれということになりまするから、ここに電気事業は恐らく分断をされました場合におきましては、最も電気事業の大きな使命である公共事業の使命でありまするところの、電気の消費者に対しまして忠実に豊富な電気を低廉に送るというような義務の優先する仕事を忘れまして、そうしていわゆる一つの枠の中におけるところのいろいろな権利或いは利益の獲得競争が起きますることは、現在起きておる実情を更に強化するものであると言わなければならないのであります。そうして電力の割当或いは融通の問題にいたしましても、先程、うまく行く、五%くらいのところであろう、こういうことを言われましたけれども、これは今日の状態、いわゆる二十五年度の第一・四半期の割当ですら事業者間の話合がうまく付かなかつたのでありまして、非常に時間をかけましてやつと適当なところで妥協されたように聞いておりまするが、従いまして完全に独立企業として電力融通を自由契約によつてやるというがごときは全く不可能な近いことであろうと私は思うのであります。特に法案の第五十五條に書かれておりますることなどを見ますると、適当にやることができるというようなことになつておりまして、そういう弱い性格を持つた法規の取締で以て、この重要な一社の死命を制するようなそういう電力融通なり電力の割当が、国民の希望しまするように自由にできるとは考らえられないのである。電気料金地域差調整の問題に至りましては、これはもう申すまでもないのでありまして、この法案では前池田大臣は法的措置を講じてやると言われておりましたけれども、この法案におきましては実に内容がぼやけておりまして、地域差調整に対しましては、第四十四條に、「一定の金額を受取る旨を定める協定を締結することができる」というような実に緩かなものであります。従いまして一つの枠を決められまして、電力料を決められ、その融通の限度を決められた場合におきましては、電気事業者としましては、恐らくその経営の能率を高めまするために、その経理は徹底的に秘密に付され、そうして不明朗な形が出て来ることは火を見るよりも明らかでありまするが故に、この点から考えましても、公共事業として消費者に奉仕するという第一義は忘れられまして、事業者間の対立がますます深まつて行くことは火を見るよりも明らかであります。特に電源の開発の問題に至りましては、先程門屋議員が言われた通りであります。この電源の開発にいたしましても、資金の調整などにいたしましても、地域差が極めて大きく出て参ります。地域差が大きく出まするならば各地区の産業分野に大きな変動を生ずることは火を見るよりも明らかでありまして、さような観点から恐らく九会社の経理内容は非常に大きな懸隔を生じて来ることと思うのであります。そうして資金面から電源開発は非常に大きな制約を或る会社は受けることになるでありましようし、更に社債の発行のごときにいたしましても、オープン・モーゲージの権利は殆んどなくなつてしまいましたので、すべて工場財団の設定によつて、この資金の調達をしなければならぬということになりますならば、ますます電源開発が資金的な面で制約を受けますることは、これ又当然であります。そうして結局、結論としまして、電気事業の不均衡な各地区の発展が招来されまして、これに追随するがごとくに、その地区の産業の不均衡が起きまして、九州なり関東、中部の間の産業に非常に不均衡が起きまして、そうして今九州において営々として操業を続けておりますような重工業に対しましても、内地の電力豊富県の重工業との競争ができなくなりまして、遂に倒れて行かざるを得ないということになるのであります。この点は政府の行政官の人々も、さようなことになることも又止むを得ないというようなことを、現地に行つて言われたので問題になつておる点がございますが、このことは、戰争中の東條内閣が、民業を圧迫いたしまして、企業整備を国の力を以て行いましたけれども、これと全く同じことが、電力経済の民主化に名をかりまして、そうして国の電力政策の強い展開によりまして、地方別に大きな企業整備が行われざるを得ない羽目になるのでありまして、極めて重要な問題であろうと考えるのであります。  更にその他電力の実際運営の問題にいたしましても、今までの法規を以ていたしますと、私有地などに対するいろいろな特権があつたのでありますが、ところが完全自由企業、営利企業という立場が打ち出されましたために、さような特権というものは殆んど全部なくなつてしまつたわけであります。従いまして今後若しこの電気事業に対する国民の深い公共性に関する認識を欠きまするならば、送電線一本建設することができなくなると思うのであります。鉄塔一本建設することすら不可能になる虞れがあるのでありまして、かようにこの電気事業私的独占の形をとらない、経営合理化をやり、能率の向上を進めることによりまして、十分に切抜け得ると言われましたけれども、それは公益事業委員会のひとりこれをよくすることができる問題ではないのでありまして、結局この九会社が持ちますところの性格は、大きく電気事業全体を国の政策の枠に嵌めまして、その中で自由企業をやらせようというのでありますから、電気消費者に奉仕するという考え方を第一主義にすることを忘れまして、事業者間の内部的な競争が非常に深刻に行われ、そうして利用者に対しましてすべての負担が転嫁され、非常に今日以上に悪化したところの電気條件を国民に強いることになると思うのであります。電気事業の使命、即ち公共事業の使命といたしましては、豊富低廉なる電力、これを国民の意思に従えとまでは誰も言うのでありますが、意思に従いまして全国民に公平に分配するのが使命でなければなりません。この観念は電力というものが天然資源であるという特質がありますると同時に、日本の水力電源は本州の中央部に集中いたしておりまする関係からいたしましても、特に重要に強調せられなければならない問題なのでありまして、私は本法案では公益事業委員会の活動の法規で定めます限度を以ていたしますならば、ブロツクの対立を解消することは絶対に不可能であり、そうして独立採算の自由企業的性格よりいたしまして、恐らくサービスの改善というようなことも疎かにされまして、そうして政府考えられておりますような意図とは全然方向の違つた形が日本電気事業の将来に現われて来るものと断言せざるを得ないのであります。この点は、もう一度大臣から明快な御答弁を願いたい。  それから特に具体的な例としてお尋ねをいたしまするが、電気事業日本経済の再建、産業の復興上占めております地位は、日本国有鉄道よりも上であるか、下であるか、具体的なお考えを伺いたいのであります。現在国有鉄道はこれだけ大きな任務を遂行し、日本の全鉄道網を一つ運営によつて行われておりまするが、従いまして鉄道企業体内におきまして、それぞれ経営上の、運営上の摩擦抗争というものがなく、この立派な一つの国鉄の企業体によつて、これが更に発展をいたしまするならば、全国一律の観点に立つて国民に奉仕するところの政策が行い得るのであります。この国鉄の事業よりも更に電気事業の方が将来の日本経済の再建のためには重要であると私は考えるのであります。(拍手政府はこの問題についてどうお考えになつておるか。更に前者の質問の中に十分に現われておりまするように、この法案の通りに電気事業を処置をいたしますならば、極めて拙劣な再編成の形となりまして、そうしてその苦悩は電気事業発展を妨げるばかりでなくして、国民のすべての双肩に大きな犠牲としてかけられて行くことを考えまして、そうして明瞭にお答えを願いたいのであります。  それから次に私はもう一点電気技術の点を申上げたいのであります。そもそも科学技術の振興は、その振興によりまして産業なり経済に大きな奉仕をいたしまして、そうして近代文明の発達に貢献して行くというのが本筋でなければなりません。これが誰もが考えますところの原則でなければならないのであります。然るに政府はこの科学技術の振興によりまして、電気技術発達によりまして、日本の中央水力電源地帶にある電気を天然資源として、北海道或いは東北或いは四国、九州、こういうような僻遠の地までも十分に補い得るような技術の振興に全力を盡されまして、これにマツチするような電力政策というものを除々に打ち立てて行かなければならない。これが本筋であると考えまするが、今ここにブロツクのはつきりした電力経済圏を確立いたしまして、そうしてすべての重工業は、九州の工場は門を締めて中部地方へ移つて来い、関東地方へすべて移るべし、こういうような誤まつて電力政策を行われまするならば、この科学技術発達電気技術発達はすべて頭打ちをせられまして、国の誤まつた経済政策のために頭打ちをせられまして、そうして大きな日本学術の将来にも悪影響を及ぼすものであると言わなければならないのであります。すでに世界的に見まするならば、四十万ボルトの送電線は出現しておりまして、こういう超高圧の大送電網を以ていたしまするならば、日本の国内電力資源はこの狹い国土に自由に配給ができるのであります。そういうような電気の持つ特性を忘れまして、そうして或る一つのイデオロギーによるところのこの電力編成をせられるがごときは、日本の国家百年の将来のために全く私共はとらないところであるのであります。特に日本の水力電源は今日のところ六百万キロの開発に過ぎませんけれども、包蔵水力は更に一千数百万キロあるのであります。こういうものを急燧開発いたしまして日本経済発達の将来に資さなければならないのでありますが、その開発をいたしまする土木技術、或いは電気技術、機械技術の面にいたしましても、かように全国的に分散をいたしてしまいます場合には、非常に大きな機能の喪失を伴いまして、そうして電源開発の将来に技術面から悪影響を及ぼしますることは、これ又火を見るより明らかなのであります。この電気技術発達、科学技術発達、又これを産業に貢献せしめるところの考え方、これにつきまして、幸いに現通産大臣は文部大臣もおやりになつておるし関係もございますので、この両者の関係に極めて明快な御答弁を願えると思うのでございます。この点を一つ私共の納得の行くように御説明を頂きたいと思うのであります。  それからもう一つ、最近の全国的な風潮として問題になつておりますのは、私共は天然資源である電力は、全地域に公平に、而も産業と言わず国民生活と言わず、この料金面までも公平に分配しなければならぬという主張を持つておりました。これに対しまして、政府が昨年十二年十三日にはあの甚だしい地域差料金を発表せられまして、この地域差料金が発表せられまするや、この料金制度に対しましてどういう風潮が起きておるかと申しますと、四国におきましても、中国におきましても、或いは九州におきましても、電力の豊富県でありまする新潟県におきましても、北陸においても起きておりまする問題は、最も電力の豊富県の電力料金は是非とも安く願いたい、いわゆる電力料金地域差というものは九ブロツク單位でなくして各県單位に是非行われたいという主張が極めて強いのであります。私は国会全体の電力料金対策として均一料金制をとる、或いはせいぜい送電ロスを織り込みました程度の地域差を付けるということなら理窟は付くと思うのでありますけれども、今日行われておるようなああいう大幅な電力料金地域差電力の豊富県と電力の貧弱地帶との間に設けるという理窟が成立つといたしますならば、四国なり或いは九州、中国方面におきましても、各県の人々が唱える主張を付ける理論的根拠はなくなると思うのであります。従いまして、政府としてこの一つの崩れた考え方の上に立ちまして、国民の真劍なる要求を抑えることができない、こういう立場に相成りました場合におきまして、かような県民の熱心な要望を対して応える用意があるかどうか、これを伺いたいのであります。若しさようなことができない、九州における宮崎県の立場、或いは四国における高知県の立場、中国における島根県の立場、こういうような点を考慮することができないということになりまするならば、これこそ全く自家撞着も甚だしいのでありまして、全国九ブロツク別に地域差を設けたこと自体が非常に大きな矛盾であると言わなければならないのであります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)この点を明瞭に一つお答えを頂きたいと思います。  以上の外まだ質問の要点がありますが、重複をいたす点もございますし、又委員会におきまして愼重審議をいたさなければなりませんので、すべてその機会に讓ることにいたしまして、私の質問を終りたいと存じます。(拍手)    〔国務大臣高瀬荘太郎登壇拍手
  14. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) お答えいたします。  御質問の第一の点は、この法案審議についての御質問でありました。この法案審議について非民主的な強行措置というようなものを講ずる考えを持つておるのか、又継続審議というようなことも考えているのか、こういうような御質問でありましたが、現在政府としてお答えできますことは、今までお答えした通りに、この問題を是非とも急速に解決をしたいという希望から、是非ともこの国会で成立することを熱望し、期待しておると、これだけお答えをする外はないと思つております。  それから第二の点は、政府電気事業を私的営利事業だというふうにみなしているのじやないか、こういうようなお尋ねでありましたが、決してそういうわけではありませんで、電気事業というものの公共性を特に重要視しておるのであります。それがために今度のような特殊な立法も必要になつておるのでありまして、今度の立法の内容もこの公共性を十分に発揮させるのにどうしていいかというところからできていると私は考えておるのであります。それからいろいろの実際の具体的な問題についてお話がありましたが、結局それらの問題について重要な点になりますことは、この前の門屋議員からの御質問の中にあつた通り、やはり結局今度のような再編成の行われた後における電力の需給関係料金の問題のように思います。つまり需給調節、料金地域差拡大防止ということを方針としておりますけれども、実際に政府がやつて見てそれができるかどうか、こういう問題にかかつておると私は考えておるのでありまして、これは先程お答えいたしました通り、政府といたしましては、今度の法案を通しましてこれが円滑にできると考えておりますわけであります。  それから次に電気事業というものと鉄道事業とについての比較のお話がありました。無論どちらも公共性の強い、独占性質を持つた事業で、よく似ておりますし、又産業に対する重要性についても甲乙のない関係にあるのではないかと思うのであります。ただ併し事業の内容、内産業との直接関連において或る程度の違いはありますけれども、どちらが特により必要かというような点につきましてはお答えすることができないように私は思います。  それから最後に、電気技術、又一般的には科学技術の問題として、今度のような再編成実施された場合においてその振興が阻止される心配がある、こういうようなお尋ねでありましたが、私は電気技術発達につきましては、今まで文部行政の立場から科学技術一般の問題として非常に関心を持つており、その方面の科学振興についてはできるだけの努力をいたしておつたのでありますが、御承知の通り通商産業省内に電気試験所というものがありまして、相当厖大な予算を以て常に研究をいたしておるのであります。それらを通しまして今後も一層努力をいたして行きたいと考えておりますので、御心配のような点の起きないようにいたしたいと思つております。(「研究しただけではいけない、実施しなければいけないのだ」と呼ぶ者あり)
  15. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終局したものと認めます。  議事の都合により今日はこれにて延会いたしたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 松嶋喜作

    ○副議長(松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。次会は明後二十四日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時三分散会      —————・————— ○本日の会議に付した事件  一、電気事業編成法案及び公益事業法案提案理由説明