○河井彌八君
只今上程になりました二案、即ち
通商産業省設置法等の一部を
改正する
法律案及び
経済安定本部設置法の一部を
改正する
法律案、この二案につきまして、内閣
委員会における
審査の経過並びに結果を順次御
報告いたします。
先ず
通商産業省設置法等の一部を
改正する
法律案でありますが、本案につきましては
委員会を開くこと予備
審査と共に二回、一昨日
全会一致を以て可決すべきものと議決いたしました。
本案の提案の
理由及びその法律の内容につきまして詳しい説明をいたすことは省きまするけれども、
改正点の主なるものを概略申上げます。その
改正点は大きく分けまして三点であります。
その第一点は、通商産業省設置法の一部
改正の問題であります。これを細かく申しますと四つの事項となります。その
一つは、従来貿易公団で行な
つておりましたところの輸入
事業のうちで、米国の対日
援助物資に関しましては行政機関で処理すべき要請がなされておりますので、これを臨時通商業務局を新設いたしまして、この局において対日
援助物資の輸入
事業を実施させることにしたということが
一つ。次には企業合理化の問題であります。この問題は現在の経済事情の下におきまして最も緊要な事柄であることに鑑みまして、その強力な推進を図ることを明らかにすると共に、主としてこの事務に当らしめるために通商企業局に次長を設けることにいたしたこと、同時に行政簡素化の
趣旨によりまして通商企業局内の調達賠償部を廃止すると共に、資源庁
関係におきましても、石炭監理局、石炭生産局の二局をば炭政局といたしまして統合するなど、所要の整理改廃を実行したことであります。次にもう
一つは、従来部門別の生産動態統計調査は調査統計部の各課で行な
つて参りましたが、これをば本省の各生産原局に移しまして、調査統計部では基本的な調査統計と各生産原局及び外局の行う部門別統計調査の総合調整を行うこととしたのであります。尚もう一点は、昨年の十一月一日から通商産業局の分室に代
つて都道府県に置かれました商工資材事務所の
職員の身分をば、現在の国家公務員より都道府県の吏員に切替えることといたしました。以上が第一点の主なるものであります。
次に第二点は工業技術庁設置法の一部
改正の問題でありまして、従来工業技術庁の人事、会計等、庶務に関する事柄は調整部で所掌しておりましたのが、人事院規則の実施並びに財政法及び会計法の
改正に伴いまして、これらの人事、会計行政の事務は大幅に増加して、加えて来年度においては相当数の増員が
予定されておりまする
関係から、新たに長官官房を設けまして、人事、会計行政を專管させることにしたのであります。
第三の要点は、中小企業行政の強力化を図るために、中小企業を育成及び発展を図るべき基本方策の設定、商工組合
中央金庫に対する監督等につき、その権限を明確にすると共に、私的独占禁止法又は
事業者団体法の適用について公正取引
委員会との
関係を整備することといたしたこと、この三つの点が主なるもので、あります。
尚これに対しまして衆議院において修正が加えられてあるのであります。その修正案の要点を申上げますると、これも三つに分けることができるのであります。その第一点は臨時通商業務局の所掌事務に関するものでありまして、
政府原案におきましては、輸入業務を二つに区分して、米国対日
援助物資に関するものは新設の臨時通商業務局において処理し、その他は従来通り通商局において行うこととしておりますが、今後は貿易公団の全面的の縮小が予想されますので、輸入業務全体をば臨時通商業務局が併せて実施することといたしたのであります。これが第一点。次の第二点は、現行法のままでは、輸出信用保險特別会計の経理は大臣官房で行い、輸出信用保險に関する事務は通商振興局の経理部以外の機関で行うことになりまするが、保險に関する行政事務と会計事務は同一部局で行うことが運営の円滑を期する上において必要であるということ、及び事務の性質上、現在経理部で行な
つておる通商金融と別個に行うことは好ましくないこと等の
理由から、経理部において統一的に処理できるようにしたことであります。衆議院の修正の第三点は、工業技術協議会の委員の任命権者に関する事柄でありまして、この協議会の委員の任命が内閣に委ねられてありまする現在の制度をば、任命手続等について、この協議会というものは長官の單なる諮問機関に過ぎないのでありますから、無用の煩瑣を避けますために、この際、工業技術庁長官に委ねることに変更したのであります。衆議院の修正点はこの三つが主であります。尚最後に、本法の施行期日につきましては四月一日という日が書いてありますのは、これはもう時も経過しておりまして不可能でありますので、これをば本案が成立後速かに公布され、そうして即日施行されるという趣意に修正せられたのであります。
この案につきましていろいろ
政府から詳しい説明がありましたが、
委員会において明らかに
なつた事項を申しますと、現在通商産業省の
職員の総数は二万一千二百五十九名であ
つて、大蔵省は本年度の
予算で以て四百六十八名を整理する案にな
つております。これに対して行政管理庁においては約二千人を削減しよう、そうして最低一万八千八百三十九名を保持すべきものとしておるのであります。この削減される人員はどこから出るかと申しますれば、通商産業局、纖維局等、統制事務を所掌しておる部局のものであるのであります。又工業技術庁の人員は五百五十名増員される
予定であるという状況であります。
本案につきまして委員との間に熱心な質疑応答がありましたけれども、主たるもの以外はこれを省略させて頂きます。先ず梅津委員から、商工資材事務所の
職員が千八万名あるうち、千百名だけをば
地方吏員に切替えるということに当
つて、残りの七百名の
措置をどうするかということについて非常に同情のある質疑が行われたのであります。これに対しまして
政府においても合理的な配置転換を考慮するということを申したのであります。尚、三好委員から、この案を見ますと、設置法に基いておらない
審議会、法律に根拠を有せざる
審議会が沢山ある、そういうものは今回整理すべき筈にな
つておるのに、通商産業省内においてすでに八十の
審議会があ
つて、そのうち法律に基礎を持
つていないものをそのまま存続せしむる結果にな
つておるのであるが、この法律の中に全然その点に触れていないのは穏当でないという意味の強い質問があ
つたのであります。
政府はこれに対しましていろいろ事情を述べまして、止むを得ない点があるということを申し、そうしてこれは今後において必ず整理するであろうということをはつきり答えたのであります。
大体
只今申上げましたような事柄で以て質疑応答を終りまして、最後に
討論に入りまして、三好委員から、
改正案は大体においてこれは当然の規定の整理であり、又他の法律との関連において生じた
改正であ
つて、これは適当と認める、但し
審議会の問題については、次の
機会において是非整理すべきものは整理いたし、又存続の必要あるものであ
つて今日法律に基いていないものは、正式に設置法によ
つて法律的にこれを存続せしめるよう強い要望がありまして、本案に
賛成いたしたのであります。そこで採決は、衆議院のいたしました修正案、それを含めまして採決をいたしましたとろが、
全会一致を以て可決すべきものと議決した次第であります。
次に
経済安定本部設置法の一部を
改正する
法律案について
報告をいたします。
経済安定本部は国家行政組織法第二十四條の規定に基きまして臨時に置かれてある官庁であります。内閣総理大臣を総裁とし、
国務大臣を以て長官とする特別の官庁でありまして、これは経済安定の基本的施策の企画立案を初めとして、各行政機関の事務の総合調整及び推進、物価の統制、経済統制等を掌る機関であるのであります。今般
我が国の経済情勢の推移に鑑みまして、その組織を整理する必要が生じましたので、
政府からこの
法律案を提出することに
なつたものであります。本法案における
改正の要点を申上げますると、その第一点は、内部部局をば簡素化いたしまして、一官房六局という現在の制度をば一官房五局に縮小するのであります。即ち現在の生産局、動力局を統合いたしまして産業局といたします。又生活
物資局の名称を改めまして民生局とするものであります。第二点は、経済安定本部の
地方機構を簡素化いたしまして、従来、本部、物価庁、経済調査庁のおのおのの
地方機関としてそれぞれ
地方経済安定局、
地方物価局、管区経済調査庁が置かれてありまして、三本建の組織とな
つておるのでありまするが、今回はこれを一本建に統合いたしまして、管区経済局を八局設けることにいたしたのであります。尚その下部組織といたしまして
地方経済調査局を設置いたしまして、それは都道府県に各一局、北海道に四局以内ということになるのであります。尚、第三の点といたしましては、経済安定本部の存続期間を、従来は御承知のごとく一年ごとに更新する規定にな
つておりまするが、今度はこれを削除いたしまして、当分の間存続するということに改めたことであります。これが
改正の要点であります。
委員会は前後二回に亘りまして愼重
審議をいたしました結果、この
改正の
趣旨は概ね妥当であると認めまして、
全会一致を以てこれを可決すべきものと議決いたした次第であります。
尚この
委員会の
審議中には経済安定常任
委員長佐々木君も特に出席せられまして熱心な質疑応答を行われたのであります。而うして論議の中心と
なつた点を申上げれば、経済安定本部の性格と機能が今後
如何にあるべきかという点であります。最近経済事情の変遷に伴いまして
物資の統制は逐次廃止せられました今日、單に
物資の統制や
配給を主たる目的とする臨時機関であるならば、この経済安定本部なるものはもはや存続を必要としないのではないかということになるのであります。従いまして、経済安定本部の性格はどうであるか、尚これを存続せしむべきものであるかという点であります。この問題につきまして各委員から極めて熱心な
発言があ
つたのでありますが、大体総括して申しますれば、
日本の今日の経済事情の推移と国際情勢の変化とに考えてみましても、国の経済施策に関する総合的な企画機関は必要である、安定本部はよろしくこの機能を十分に盡すべきものである、而してその企画は飽くまでも国家的見地に立
つて健全な拔本的なものを
要求するのだというような、そういう意見が委員
諸君の意見と見て差支ないと思うのであります。尚、総合企画に基く施策の実施面の監査とこれの推進とは、両々不可分の
関係において是非必要であるという見解であ
つたのであります。尚、存続期限の規定はこれは削除せられるのでありますけれども、併し国家行政組織法の根本から見まして、これは臨時に置かれているところの機関であるという点においては変らないのであるということであります。そこで、これにつきまして人員の増減等を調べてみますと、総員五千八百二十五名、そうしてこれから一千百七十七名を減らしまして四千六百四十八名が残るということになります。それから
予算におきましては、
昭和二十五年度におきまして一千八百八十二億円、その中から五百四十二億余万円を減ずるということになることが明らかにな
つたのであります。
本案の
討論に入りまして梅津委員から、この経済安定本部をば強力に生かして行くように、そうして
日本の経済再建のために十分効果を挙げるようにという希望を述べられました。又町村委員からは、国家的な見地からはつきりした拔本的な企画をなして、強い力を以て国の必要に応ずるようにいたすべしという意味の御意見があ
つたのであります。かくいたしまして
全会一致を以て可決すべきものと議決した次第であります。
右御
報告申上げます。(
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