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1950-04-07 第7回国会 参議院 本会議 第40号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月七日(金曜日)    午前十時四十八分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第三十八号   昭和二十五年四月七日    午前十時開議  第一 精神衛生法案中山壽彦君外十四名発議)(委員長報告)  第二 青少年飲酒防止法案姫井伊介君外二十一名発議)(委員長報告)  第三 旧軍港市転換法案佐々木鹿藏君外二十一名発議)(委員長報告)  第四 保險業法等の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第五 公職選挙法案衆議院提出)(委員長報告)  第六 公職選挙法の施行及びこれに伴う関係法令整理等に関する法律案衆議院提出)(委員長報告)  第七 別府国際観光温泉文化都市建設法案衆議院提出)(委員長報告)  第八 水路業務法案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第九 倉庫業法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第一〇 愛媛県三間村小学校改築に関する請願委員長報告)  第一一 新制中学校建築費国庫補助増額に関する請願委員長報告)  第一二 六・三制建築予算復活に関する請願委員長報告)  第一三 育英資金国庫補助増額に関する請願(三件)(委員長報告)  第一四 科学研究等に必要な経費増額請願委員長報告)  第一五 六・三制義務教育費全額国庫補助に関する請願委員長報告)  第一六 六・三制建築予算増額および定員定額制廃止に関する請願(二件)(委員長報告)  第一七 九州大学大学院特別研究生研究費増額等請願委員長報告)  第一八 公民館に專任職員配置請願委員長報告)  第一九 国宝月輪寺薬師堂改修費国庫補助に関する請願委員長報告)  第二〇 国宝瑞巖寺本堂外廉修理工事費国庫補助に関する請願(二件)(委員長報告)  第二一 旧制高校卒業生の進学問題に関する請願(四件)(委員長報告)  第二二 育英資金等国庫補助増額に関する請願委員長報告)  第二三 六・三制建築予算増額等に関する請願委員長報告)  第二四 育英資金国庫補助増額等に関する請願委員長報告)  第二五 大学研究機関拡充に関する請願委員長報告)  第二六 私学に対する国庫補助および貸付の請願委員長報告)  第二七 六・三制教育費全額国庫補助等に関する請願委員長報告)  第二八 私学への国庫補助に関する請願委員長報告)  第二九 短期夜間大学開設に関する請願委員長報告)  第三〇 大学院学生に対する育英資金増額等に関する請願委員長報告)  第三一 室蘭工業大学火災復旧に関する請願委員長報告)  第三二 六・三制学校建築費国庫補助増額に関する請願委員長報告)  第三三 東北積雪地帶の六・三制建築費国庫補助増額に関する請願委員長報告)  第三四 盛岡市青山小学校増築に関する請願委員長報告)  第三五 育英奬学生希望者全員採用等に関する請願委員長報告)  第三六 青年教育振興に関する請願委員長報告)  第三七 手芸教育振興に関する請願委員長報告)  第三八 東北大学に東北文化研究所設置陳情委員長報告)  第三九 山形県島海中学校建築費国庫補助に関する陳情委員長報告)  第四〇 新制中学校建築費国庫補助に関する陳情委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。    〔松井道夫発言許可を求む〕
  4. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 松井道夫君。
  5. 松井道夫

    松井道夫君 本員はこの際、中国飢饉の問題、日本の安全、在日朝鮮人処遇の問題につき、緊急質問をすることの動議を提出いたします。
  6. 駒井藤平

    駒井藤平君 只今松井君の動議に賛成いたします。
  7. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 松井君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。松井道夫君。    〔松井道夫登壇拍手
  9. 松井道夫

    松井道夫君 先般公表されました中ソ同盟條約によりますと、中ソ両国日本敵性国家として取扱つておるのであります。恒久平和を念願いたしまして武裝を放棄いたしました我々日本国民は、事の意外に驚くと共に、奇異の感を抱いたのであります。併しながら飜つて考えて見まするに、世界の冷戰の一当事国でありますアメリカ日本駐兵いたしておりまして、さようなことはあつてはならず、あらしめてはならないのでありますが、冷戰熱戰に転化するということを想定いたして見ますると、この日本米国進駐軍がおるということは、恰かも中ソ両国の脇腹に匕首を擬したごとき感を中ソ両国をして抱かしめるということが考えられるのであります。これは中ソ両国にとりまして一つの大きな脅威であらねばなりません。もとより米国日本駐兵いたしておりますることは、決して中ソ両国を脅かすためではございません。占領政策を遂行いたしまするために、中ソ両国を含めました連合国の同意の下に駐兵いたしておるのであります。併しながら冷戰熱戰に転化いたしました際、米国がこの進駐軍を対中ソ攻撃に使用する、日本を中ソ両国を攻撃する基地といたさないという保証は現在どこにもないのであります。一方、我々は現在安全を保持し得ておるのでございまするが、武裝を放棄いたしました我々が安全を保持し得ておりますその根源は、実にアメリカ進駐軍の賜物であるのであります。それが一つの大きな因子となつておることは疑う余地がないのであります。我々は米国占領軍の下、安全を保待し得ると共に、かかる日本存在第三国に対する脅威とならないという方法を真劔に考えなければならないと存ずるものであります。平和国家文化国家を念願いたします我々日本存在が、第三国脅威となる、安全の脅威となるという事態が我々として頗る遺憾千万なことであります。さような方法米国日本第三国に対する作戰基地といたさない(「どちらも反対だ」と呼ぶ者あり)という保証米国政府より得ることの外にないのであります。日本第三国に対する作戰基地としないということは、勿論進駐軍第三国に対する作戰に用いないということがその一つでありまするが、又この日本に、中ソ両国第三国に対する作戰司令部をも設置しないということをも意味するかと思うのであります。曾てマツカーサー元帥が、日本を東亜のスイスといたしたい、さよう申されておる趣旨は、私はこの趣旨であると解しておるのであります。中ソ同盟條約が日本仮想敵国とみなしましたこの機会に、米国政府懇請いたしまして、日本第三国に対する作戰基地といたさないという趣旨声明或いは宣言米国政府から発して頂くということは、最も時宜に適し、且つ日本中立的地位を確保するための緊急の必要ある措置であると私は確信いたすのであります。私はここにおきまして、吉田総理大臣外務大臣に対し、この問題についての意見を開くと共に、米国にさような宣言を発して頂くよう懇請する意思ありや否や、お尋ねいたしたいのであります。  次に中国飢饉の問題についてお尋ねしたいのでありまするが、中国史上稀有の大飢饉に襲われておりまする事実は今や隠れもない事実のように信ぜられるのであります。我々は敗戰後社会的混乱に眩惑せられまして、又日常の窮迫した生活に忙殺されておりまして、聊かみずからの人間性を見失いがちであるのであります。併しながら古く親しく付きつておりました中国国民が、或いは七百万といい或いは二千万という食に飢えたる人達を出しておりまするということを聞きまして、この大飢饉原因、或いはその害悪を増大さしておりまする原因に、我我があの中国に対しまして加えました大きな害悪が、その原因の少くともその一般を與えておりはしないかということを考え、我々の人間性に問いまするときに、我々は中国国民苦悩に対し深い生命の共感を覚えざるを得ないのであります。これを対岸の火災視をしてよいものでありましようか。我我自身戰後食糧を自給し得なかつたのでありまするが、アメリカ人人間性により、好意により、飢餓に陷らずに過して参つたのであります。我々がこの際、中国国民の、その苦悩を少しでも軽減いたすということは、我々が中国国民に加えました言うべからざる害悪の、その一部をも償うゆえんであるのではないかと存ぜられると共に、又我々の人間性のやむべからざる声であると思うのであります。我々は現在食糧援助を受けておる立場にありまするから、他国飢饉救済するという程の地位に置かれておらないのかも知れません。その資格に欠くるところがございましよう。併しながら我々が一月の主食のうち一日分を節約いたすならば、ここに二十万石が浮きまして、飢えたる中国人二十七八万人の一月の生活を支えることができるのであります。又一月十数円を醵出いたしまするならば、それとほぼ同じ結果を得ることができるでございましよう。我々はここに吉田総理大臣外務大臣に対し、マツカーサー司令部懇請いたしまして、何らかの方法により中国飢饉苦悩を救いまするため、我々のできまする方法を研究して頂き、又首相外相自身この問題について相当のお考えがあると存じまするので、その御意見を伺うと共に、只今申しましたマツカーサー元帥懇請いたす意思があるかどうかということをお尋ねしようと思うのであります。  次に在日朝鮮人処遇の問題でありまするが、この点につきましては、私は曾て第六国会施政方針に対する質疑の際に警告をいたして置いたのであります。然るに最近の新聞を見ますると、李韓国大統領が、在日朝鮮人処遇がよろしくない、警察と朝鮮人との衝突事件報道された、こういうような状態では、日本実業人その他に朝鮮に来て頂くというようなことはとてもできないという趣旨のことを申しておられるやに報道されておるのであります。又朝鮮外務局長からマツカーサー司令部に対しまして、日本政府在日朝鮮人基本的人権を無視いたしておるという点に関しまして強硬な抗議的な申入れをいたしまして、その調整に努力いたしておるという記事が見えておるのであります。日本朝鮮とは一葦帶水でありまして、古くから文化的に経済的に政治的に密接な関係がございます。この地理的関係その他の関係を絶とうとしても絶つことは不可能なのであります。平和文化国家として、我々は外国人に対し最も公正にして親切な態度を以て臨まなければ、悔を千載の下に残すことに相成るのであります。私はここに改めて吉田総理大臣外務大臣に対し、在日朝鮮人処遇についてどういうお考えを持つておるかという点をお尋ねいたしますると共に、法務総裁に対し、李大統領並びに外務局長申入れ趣旨或いは談話の趣旨は奈辺にあるのか、如何なる事件が勃発いたしたのか、又在日朝鮮人処遇について欠けるところがあるのか等の点について、意見を質したいと存ずるのであります。  以上を以て私の緊急質問を終ります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  10. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 松井議員お答えをいたします。  中ソ條約において日本敵性国家なりと述べておるということについてのお話でありますが、今日講和條約のできない限りは連合国との間の関係敵国関係であるのでありまして、敵性国家という意味は存じませんが、併しながら現在講和條約の成立するまでは連合国日本との間は敵国関係にあるということを御承知を商いたいと思います。故に敵性国家と書いたからといつて抗議申入れる筋合ではないのであります。  又米国駐兵が恰かも中ソ両国に対して手裏劍を突け付けておるような状態ではないかというお話でありますが、米国駐兵は、即ち連合軍駐兵は、連合国のために駐兵せられておるのであつて、これを以て直ちに中ソ両国に対する敵国行為と断ずることはできないのであります。又日本において米国政府軍事基地を設ける、これに対して抗議と申しますか、将来かくのごとき軍事基地を置かないようにという懇請をすべきであるという御意見でありますが、併しながら米国政府日本政府に対して軍事基地を設けるという交渉はないのであります。又日本連合国の支配の下にある今日においては、駐兵連合軍或いは連合軍司令部が、日本において如何なる施設をなそうが、これは政府の容喙すべきところではないのであります。又将来において軍事基地を置かないようにという懇請をなすべき地位にはないのであります。日本政府司令部監督、総司令官監督の下に、指揮の下にあるということは、條約に明記しておるのでありまして、従つて進駐軍のなす施設に対して、これはいかん、あれはいいということをかれこれ申す立場にないのであります。  次に中国飢饉についての御意見でありますが、中国飢饉状態については詳細に存じませんが、併しながら新聞紙等報道によりまするというと甚だ憂うべき状態であるということであります。無論、政府といたしても、日本国民といたしても、隣国飢饉窮状にあるという状態に対して、果してそうであるならば誠に同情に堪えないことであります。日本国として、又日本国民として、隣国窮状飢饉を救うことの手段があるならば、又救済し得るならば、玉日本国民として同情を現わすということについては、我々も決して異存はないのでありますが、併しながら日本国自身が今日米国政府から四億ドル、三億ドルの救助を受けて、僅かに今日、日本の経済が立つておるというこの状態におきまして、他国飢饉を救うだけの余裕がないのであります。我が国状態他国を救うだけの余裕が若しあるならば、これは先ず以て米国政府救助を受けないようにすべきであつて、その救助を受けておるにも拘わらず他国に対して、殊に中国に対して、たとえ今日までの関係或いは将来の関係が非常に密接で、又善隣の誼を盡すべき日本といたしましても、他国援助を受けておる今日において、他国に対して救済の途を講ずるだけの余力は現在ないのであります。あれば、先ず他国援助を受けずして自立して参るという途を講ずべきものであると私は存じます。  次に朝鮮人の、在日韓国人待遇についてのお尋ねでありますが、韓国との間において、過日も韓国大統領その他が見えましたが、今日韓国に対する日本としては、日本政府としては、飽くまでも善隣の誼を盡したい、既往においての関係は勿論でありますが、将来においても十分親交を続けて行きたい、互いに助け合つて参りたいということは、私が、私自身が過日韓国大統領に対して申述べたところであります。政府といたしては、将来において韓国との間の国交はますますこれを努めることは勿論でありまするが、善隣の誼を進める外交に終始いたすことは勿論でありますが、韓国政府からしてお話のような抗議のあつたことは承知いたさないのみならず、最近において韓国との間の交渉は、拿捕された船舶の返還等において、韓国政府においても、司令部を通じて日本に対して、日本政府日本国民に対して相当好意ある処置をいたしております。又日本在留韓国人取扱に対して不満があつた、苦情があつたということは、私共まだ承知いたしておりませんが、併しながら韓国人に対する政府取扱としては、法規の許す限り優遇もし、善遇もし、少くとも公平の待遇をするということについては、決して変つておるところはないのであります。  この際、三好始君の御質問に対してお答えをいたしますが、御質問の趣意は、農林当局自由党側との湯河原会談の性格及び妥当性について意見お尋ねのようでありますが、政府として、農林当局が党に対して党の研究資料を提供するということは、これは自由党だけではないのみならず、如何なる政党からもお尋ねがあればこれに対して資料を供給するということは当然のことであります。自由党なるが故にというわけではなくて、如何なる政党からも御質問があれば必要な資料を提供することは当然のことであります。又湯河原会談なるものにおいて、供出完了後の自由販売秘密了解ができたということでありますが、これは政府承知いたさないところであります。一応お答えをいたします。    〔国務大臣殖田俊吉登壇
  11. 殖田俊吉

    国務大臣殖田俊吉君) 松井さんにお答えを申上げますが、朝鮮人待遇につきましては只今総理大臣よりお答えを申上げました通りでありまして、私共は朝鮮人を成るべく日本人と同樣に取扱いたい、これに差別的待遇を與えたくないという考えを以て臨んでおるのであります。併しながら法律の規定に反しますような処遇をいたすことはできませんのでありまするから、例えば朝鮮人連盟解散のごときはいろいろ文句もございますでありましようが、これは、はつきりと団体等規正令に規定しておりまする條件が発生いたしましたために、これを断乎解散をいたしたのであります。然るに今日までそのあと腐れと申しますか、いろいろな問題が残つておるのでありまして、そのためにいろいろなトラブルを実は生じておるのであります。先立つて台東会館接收のごとき、又それから起りました朝鮮人と警察官の衝突のごとき、いずれも源をこれに発しておるのであります。併しながらこれは法律に、政令にはつきり規定されておる事柄でありまして、日本政府といたしましては、如何に朝鮮人が不平があろうとも、これは日本の国法を断乎実行する外に途がないのであります。これのグリーヴアンスを一々取上げまして何とか特別な計らいをするというわけには参らないのであります。この程も、朝鮮新聞でありましようか、いろいろと朝鮮政府日本に対してグリーヴアンスがある、それに対して抗議を提出したというような報道が伝わつておるそうでありますけれども、それらにつきましては何ら承知をいたしておりません。只今総理からお答えをいたした通りであります。單にこれは風説であろうと考えております。又いろいろなグリーヴアンスの生じまするのも、先般の議会で松井さんにお答えをいたしたと思いまするが、朝鮮人国籍が、まだ講和会議講和條約以前でありますために、はつきり確定をいたさないのであります。恰かも二重国籍であるかのような樣相を呈しております。これがいろいろと又問題を起す種になるのであります。それから又在日朝鮮人大韓民国との間が実はしつくり行つていないところがあるのでありまして、大韓民国代表者は東京におられるのでありまして、地るにその代表者が全部の朝鮮人に対して十分な統制力を持つていないのでありまして、或る朝鮮人大韓民国大韓民国人と称することを拒絶する人もありますし、そこで実は日本政府といたしまして、いろいろと困る問題を生ずる場合もあるのであります。併しながらこれらいろいろの事情もございまするが、お話のごとく古い善隣関係国民でありますから、何とかして日本人とよく調和して日本生活に馴染ませまして、そうして緩かにやつて行きたいという方針をもとより堅持しておるつもりでございます。
  12. 松井道夫

    松井道夫君 再質問をお許し願います。
  13. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 松井君は再質問でありますか。それでは與えられました時間の範囲内で再質問を許します。あと二分程でございます。松井道夫君。    〔松井道夫登壇
  14. 松井道夫

    松井道夫君 只今首相外相の御答弁を伺つておりますると、私の質問趣旨を誤解しておられるのではないかという、少くとも一般答弁を聞かれておる方に誤解を與える嫌いがあると考えられまして、頗る重大でありますから、再質問をいたします。  私の申した趣旨は、現在アメリカ進駐軍がおる、それは占領目的乃至は日本の安全を保持するために駐屯しておられるので感謝に堪えないのでありますが、ただこれを第三国に対する作戰基地として日本を利用して頂きたくない、進駐軍は利用しないという宣言乃至は声明アメリカ政府懇請して頂きたいということを申上げたのでありまして、首相答弁を聞いておりますと、日本アメリカ軍基地として貰いたくないという趣旨答弁しておられるようでありまして、私の質問する趣旨と大分違うようでありますから、その点を更に御答弁を願いたいと思います。    〔国務大臣吉田茂登壇
  15. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えをいたしますが、只今進駐軍のしておる施設は、日本を将来軍事基地にする目的で以て施設しておるとは承知いたしておりません。進駐の目的に必要な施設をするということであります。従つて只今お話のような、現在の施設を以て軍事基地にするという目的であるように了解して、これに対して御意見のごとき懇請をいたすということは、政府としてはいたしたくないと思いますし又いたさない考えであります。      ——————————    〔大畠農夫雄発言許可を求む〕
  16. 佐藤尚武

  17. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 本員はこの際、食糧統制撤廃に伴う農村危機に関する緊急質問動議を提出いたします。
  18. 小川久義

    小川久義君 只今大畠君の動議に賛成いたします。
  19. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 大畠君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。大畠農夫雄君。    〔大畠農夫雄登壇
  21. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 私は食糧統制撤廃に伴う農村危機に関して緊急質問を行いたいと存じます。  先ず質問するに先立ちましてその要旨を申上げて置きたいと存じます。第一点は農林大臣並びに安本長官にお聞きしたいのでありまするが、それは本年度予想されておるところの食糧需給の実際から割出して真に必要な輸入量はどのくらいであるか、更に必要量を超える自主性のないところの食糧輸入は行うべきでないと考えておるのだけれども、その所見はどうかということであります。第二点は、食糧自由販売なつた場合におきましては、食糧の過不足に拘わらず、零細農家窮迫販売を余儀なくされまして買い叩かれる虞れがあるのであります。政府はそれでも供出後における自由販売を許すようなお考えを持つているのかどうかということであります。これは農林大臣にお聞きいたします。第三点は農林大臣安本長官にお聞きしたいのでありまするが、それは将来の食糧政策というものは国内自給主義を目標とするのであるか、農業輸出工業の犠牲にしても止むを得ないというような考えで行くのであるか、この農業政策転換に際しましての構想はどういうものを持つておられるかということであります。第四点は、農産物価格維持の問題でありまするが、この価格維持のために調整機構を考慮する要があるのでありまして、我々は商業資本農村搾取復活には反対であるのでありますけれども、この点に関する農林大臣意見はどうであるかということであります。第五点は、政府農村の情勢の変化によりまして、シヤウプ勧告に囚われることなく、更に思い切つた減税をなすべきであると思うのであるが、政府のお考えはどうであるかということであります。第六点は、現在農業協同組合等は全く危機に瀕しておるのでありまして、この点に関しまして政府は至急その救済処置をとるべきであると思うのでありますけれども、この点についてのお考えを承わりたいと思うのであります。これは農林大臣にお伺いいたします。最後に、首相にお伺いしたいことは、農村の窮乏は申すまでもありませんが、農村内におきまする潜在失業者というものは実に夥しい数をなしておるのでありまして、この救済をするのに救農施策を設けなければならない、こう思うのでありまして、そのためには速かに参議院議員選挙がありました後に臨時国会を召集する意思があるかということをお聞きしたいと思います。  今や我が国食糧政策が根本的に転換を要求せられまして、その結果一歩誤まりますれば農村一大危機に立つことは私が申すまでもございません。これに対しまして政府に確乎たる方針がなく、それがために全国五百万農家はその帰趨に迷つておる現状に鑑みまして、政府に対し農政上の重要な問題について質問しようとするものでありますが、先ず先に申しましたように、その第一は、政府は本年度において三百七十五万トンの外国食糧の輸入を計画しておるということを聞いております。現行為替関係からいたしまして、巨額の価格調整費をこれに要するということは私が申すまでもございません。ただ援助資金によるものは、見返資金といたしまして国内に蓄積され、再投資されるのに対しまして、商業的輸入の分はそれだけ多く外国に流れ出すのでありますから、その影響については愼重に検討することが必要であると考えるのであります。現在国内におきましては食糧の闇値が配給価格を下廻つておるというこの際に、何を苦しんで巨額の国家支出を敢えていたしまして、国内の農産物価格に悪影響を與え、尚且つ国和負担の増大を来たすようなことを敢えていなければならないのか、私達は了解に苦しむのであります。政府は三百七十五万トンをただ與えられた数字といたしましてこれを受取ることなく、本年度において予想されるところの食糧需給の実際から割出して真に必要であるという輸入量は幾らであるかを算出いたしまして、これをはつきり農民に示さなければならないと思うのであります。必要輸入量を超えるところの自主性なき食糧輸入というものは、農村のために或いは又国家のためにこれを行わないという確乎たる信念を持つて農村の不安を一掃すべきではないかと私達は存ずるのであります。次に食糧事情の緩和に伴いまして現行食糧管理制度に再検討が加えらるべきことは私が申すまでもありません。先に與党たる自由党内の意向といたしまして供出制度の撤廃乃至供出後の自由販売が論議されたように聞いておるのでありますけれども、新たに設けられるところの機構、制度、この確立に関する方針が未だ決定していないのに、供出制度の撤廃或いは又自由販売の採用等重大なる問題が放送せられるということは、徒らに農民を不安に陷れるものであるのであります。米券制度というものが放送されまして以来、政府並びに與党のとつた態度というものは、農村に対しましては全く誠実を欠くものと申上げても過言ではないと私は存ずるのであります。食糧の不足下の現在、自由販売が消費者に対しまして非常に不公正な結果になることは勿論でありまして、更に重大なのは、食糧の過剩なると不足なるとに拘わらず、窮迫販売を余儀なくされるところの零細農家が非常に安い値で買い叩かれる現象を生むことは必然であろうと言わなければならないのであります。自由党の内閣といたしまして、政府は党の固執するところの供出後の自由販売についてどんな考えを持つておるか、これを承わりたいのであります。  第三点でありますが、これはやはり農相と安本長官にお伺いしたい。日本の将来の経済の中に農村の占める地位政府はどういうふうに見ておるかということであります。日本を飽くまで農業国といたしまして止め置くというこの考え方は、文明社会の進歩発展に逆行する痴人の夢に等しいということは私が申すまでもありません。併しながら多年国家の助成と多数農民の勤労によりまして築き上げて来たところの日本農村を、現在の遅れておりまする技術水準のまま国際的競争の前に放り出すということ、これは混乱的崩壞に導くのでありまして、農村はもとより、その影響の及ぶところは国民経済の破壞となること火を見るよりも明らかであろうと思うのであります。日本は現在の能率の低い生産費の高い農業を無理して維持することよりも、機械化されたところの生産費の安い外国食糧を自由に輸入して、代りに輸出工業を盛んにすることを目標とすべきであると、かようなことを言うところの有力な意見もあるように聞いております。併しながらこれは日本農業の現在置かれておりまする諸條件や厖大な人口を抱えておるところの現状において、これを一挙に実現することは全く不可能でありまして、又危險この上もないと言わなければなりません。ここにおいて私は先ず政府に、将来の食糧政策国内自給主義を目標として進むのか、国内自給に拘泥いたしませず、必要によつて農業輸出工業の犠牲に供するも止むを得ないという考えで行くのか、いずれであるかを明確にせられると共に、農業政策転換に際しまして如何なる具体的構想を持ち合せておるかをお尋ねしたいと思うのであります。  次に農林大臣農産物価格維持の問題をお尋ねしたいと思います。蔬菜、果実、畜産品等はもとよりでありまするが、主食の闇値までが暴落いたしまして、将来ますます低落の傾向を迫ることが予想されておるのであります。従つて主要農産物の需給調整乃至価格維持のために国家が何らかの調製機構を設けることは何人も予見するところでありましよう。私見を以ていたしまするならば、かかる調整機能というものは飽くまで政府が直接農民との関係の下に行うべきものでありまして、曽てのような商業資本の跳梁を許し、まじめに働くところの農民を中間搾取の祭壇に供するがごときことは断じて許すことができないのであります。もとより純消費都市におきまする配給業務というものは商人をして行わしめることは又自然でありますけれども、米穀取引所の復活のごとき、或いは集荷方面の商人の進出のごとき、曽ての農村の最大の吸血的機能を復活せしめるということは全く反対でありまして、この点多大の危惧を持つものでありまして、政府の所見を承わりたいと思うのであります。  次に大蔵大臣にお伺いしたいと思うのであります。政府は本年度におきまして、所得税、特に農民の所得税が非常な軽減をされたと見ておるようでありますけれども、農家は税率が低くなるということ或いは基礎控除や扶養控除が多くなるということよりも、今日のような不完全極まる不合理な徴税機構の下において査定される課税所得額それ自体に多大の虞れを抱いておるのでありまして、農家の多くは政府の宣伝にも拘わらず決して安心してはいないのであります。更に又地方税特に住民税におきましては数倍の増税が行われておるのでありまして、今年一年におきまする農家所得の激減を見込みますると、真に恐るべき納税苦が今年度において振りかかつて来ると私共は確信しておるのであります。この点、昨年のシヤウプ勧告当時の情勢と今後一年間の情勢とは全く一変しておるのでありまして、政府シヤウプ勧告に囚わるることなく、減税に関しましては更に思い切つた処置を考慮しなければ農村は破滅すると考えざるを得ないのでありまして、この点について政府の御所見を承わりたいと思うのであります。  第六点といたしまして農林大臣にお伺いしたいことは農業協同組合のことでありますが、現に組織されております農業協同組合が、その資産的基礎の薄弱なのと最近の経済上の変化によりまして、大多数が破滅に瀕していることは周知の事実でありまして、敢えて私がここに申すまでもありません。我が国のごとく零細農家経営が大多数を占めております農村におきましては、国家の十分な助成政策がなくしては協同組合の完全なる発展を望むことは全く不可能でありまして、政府農業協同組合の危機に対しまして、どういう考えを持ち、どういう措置をとろうとしておるのか、お伺いしたいと思うのであります。  最後に首相にお伺いしたいことは、現在の農村というものは大きな転換期に立つておりまして、生産費に足りないところの米価と税金の重圧によつて、闇景気は昔の夢となつております。牛馬を売り、娘を売つて、更に飯米すらないという農家がある程、農村の窮乏は甚だしいのであります。この農村を如何にして打開するか、この窮乏の農村を如何にして安定させ得るかということであります。政府の施策なくして救済方法は全くないのであります。更に農村には潜在失業者といたしまして恐らく一千万に近いと思われるところの失業者がおりますが、これは農村不況と共に一層農家経済を重圧しているのであります。農村の工業化も畜産その他の副業も軒並に倒壞せんとしているとき、資力が全く少く、経済的視野も全く狹く、指導者に乏しい農村に、自力を以て新らしい收入部面を開拓させるということは全く期待できないのでありまして、政府はみずからよろしく農村に又地方に向いまして投資を行い、土地改良その他建設工事を起すべきであると考えるのでありますが、政府農村に対して雇用の機会をできるだけ速かに與えるよう、具体的施策を樹立すると共に、曾ての救農議会のごとく、来たるべき参議院議員選挙後におきましては、農村救済のために臨時議会を招集して対策を樹立する意思があるかどうかということをお伺いして見たいと思うのであります。  以上農業恐慌に怯えているところの農村に対しまして政府は緊急に何らかの措置を明らかにし光明を與えることが必要であると信じまして、この質問をした次第であります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  22. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 大畠君にお答えをいたします。  農村の問題、農村救済、失業等の問題につきましては、政府といたしても非常な関心を拂つておるのであります。又従つてこの度の予算案、過日通過いたしました予算案の中に相当の金額を織り込んでおります。その予算案が未だ実施せられざる今日において、その実施の結果を待たずして、農村問題のために、農村失業問題のために、更に特に臨時議会を参議院議員選挙後において開くか開かぬかについては、今日まだ何ら確定した考えは持つておりません。(拍手)    〔国務大臣森幸太郎君登壇
  23. 森幸太郎

    国務大臣(森幸太郎君) お答えいたします。  輸入食糧の量につきましては、不必要なものまで輸入する必要はないのでありまして、今日の需給関係から三百十六万三千トンを予定いたしておるのであります。決して従らなる輸入を計画するわけではないのであります。尚、食糧自由販売になれば非常に農村を窮迫に落すではないかという御質問でありましたが、供出後の自由販売等につきましてはまだ研究の段階にありまして、政府はさような方針を持つておらないのであります。将来の食糧政策は国内の自給主義で行くか或いは輸出工業の犠牲としてでも考えて行くかという御質問でありましたが、飽くまでも自給度を高めまして、そうして足りぬものだけはこれは仕方がない、輸入をせざるを得ない、こういう状態日本食糧事情は置かれておるということを御承知願いたいと思います。決して自給度を好い加減にして安易に輸入を考えるというようなことは毛頭考えておりません。  農産物の価格維持につきましては、農業の再生産に差支ない程度において飽くまで維持して行きたい、日本農業というものは、六割、七割を占めておる重大に産業でありまして、決してこれを無視して安易に工業立国を以て進むというようなことを考えておりません。  農業協同組合につきましては、御意見通り非常に脆弱な組合が相当あるのであります。これは農業会から引継ぎました関係もありますが、まだ二年余りの農業協同組合でありまして、なかなか基礎がはつきりいたしておりません。従つて農業協同組合を中心として農業政策を立てて行きます上におきまして、現在の農業協同組合はまだ一人前に歩くことのできない協同組合が相当に多いのであります。併しこのまま見捨てることはでき得ません。飽くまで政府はこの農業協同組合の堅実な発達を期待いたしておるのであります。従つて今回皆さんに御審議願つております農業協同組合の一部の改正によりまして、そうして協同組合をはつきりした立派なものに作り上げるようにいたしまして、そうして金融面もこの協同組合の立て直しによつてつて行きたい、かように考えておるわけであります。(拍手)    〔国務大臣池田勇人君登壇
  24. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 大畠君にお答え申上げます。  今回政府シヤウプ勧告案を基といたしまして税制改正案を御審議願つたのであります。私は国税におきましても、地方税におきましても、シヤウプ勧告案以上の減税を企てまして相当の減税をいたしたのであります。殊に農民の方々に対しまして一般勤労階級或いは中小商工業者の方よりも相当強く減税になつておると承知いたしておるのであります。即ち基礎控除の引上げとか、或いは專従者の控除を新たに認めるとか、或いは税率を低くするとか。こういうことをやりましたのみならず、事業税も撤廃いたしまして、従いまして固定資産税或いは住民税が或る程度上りましても、農民の負担は相当軽くなつておると私は考えておるのであります。而して今後の問題といたしまして、即ち昭和二十六年度におきましては、できるだけ財政規模を縮小いたしまして、今年に劣らないような減税をいたしたいと今努力をいたしておる次第でございます。    〔国務大臣青木孝義君登壇
  25. 青木孝義

    国務大臣(青木孝義君) 大畠議員にお答え申上げます。  食糧輸入の問題でありますが、これは御承知通り現在のところ成人一人当り三百八十五グラム、二合七勺を実行いたしておりまするが、これを尚将来実行して参りたいという努力を拂つているのでございます。尚二十五年度産工麦につきましては、これはほぼ二十五年度において二十四年度と同量というふうに予想をいたしておりますが、併しながらこれに対して尚二十五年度におきましても、馬鈴薯、甘薯を四億貫買入れるといたしましても、どうしても日本の主要食糧は尚三百十六万三千トン程度の足りない部分があるということで、この程度はどうしても輸入しなければならないと考えておる次第でございます。  この際、過日三好議員から御質問がございました食糧問題に関する緊急質問で、農家経済を安定させるには、農産物の価格を支持する方式と生産資材の補給金による二つの方式があるが、いずれをとる考えか、こういう御質問があつたそうでございます。これに対してお答え申上げます。今後の肥料補給金等は削減して行く方針をとつております。この考えは変えるという考えを持つておりません。従つて農家経済の安定のためには、最近の農業及び食糧事情の推移と睨み合せまして適当な農産物価格政策をとつて行きたいと考えている次第でございます。併し価格政策のみでは不十分でありますことはもとよりでございますので、同時に農家生産力を高める諸施策も実施して参りまして、両々相待つて農家経済の安定を期して参りたいと存じております。(拍手)      ——————————    〔油井賢太郎君発言許可を求む〕
  26. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 油井賢太郎君。
  27. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 本員は、この際国政審議に対する政府の見解に関して緊急質問をすることの動議を提出いたします。
  28. 小川久義

    小川久義君 只今の油井君の動議に賛成いたします。
  29. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 油井君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
  30. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。油井賢太郎君。    〔油井賢太郎君登壇拍手
  31. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 私は本日、吉田首相、増田官房長官及び池田大蔵大臣に対しまして、我々国会議員が国民の負託によるところの国政の審議につき、如何なる見解を有しておられるか、更に廣川幹事長話によつて、四月四日発表されましたところのあの発表談に対し、政府の責任につきお尋ねをいたしたいのであります。我々国会議員、殊に参議院議員は、新憲法の発布によりまして、国政の最高機関たる立法府を預かるべく、何万、十数万或いは数十万の国民により選挙されまして、ここに参つておるのであります。従つて我々参議院議員たる者は、戰後疲弊のどん底にある我が日本の再建と国民生活の安定のために、それこそ寢食を忘れ、家郷をも顧みず、名利も追わず、献身的努力をすべきであり、又かかる目的達成のために與党野党を問わず議員の大半は挙げて日夜奮闘を続けているということは、首相初め各大臣も十分に御了解のところであると思うのであります。従つてこの際我が民主党は、四月四日のあの廣川幹事長談において、参議院のこの予算委員会において審議いたましたところの、昭和二十五年度の予算に対してとつた審議の態度が、国政運営上非常な過まちを犯したもので、講和会議の前途に一大暗影を投じたというような発表について、政府の見解を問うというよりは、もう一つ更に大きな見地から、国会、殊に参議院の国政審議についての認識の程をこの際はつきりされたいと思うのであります。大体現自由党内閣は、政府として自分の都合のよいときは増田官房長官の名によつて始終発表をされる。併しながら政府自体の都合の悪いときには、廣川幹事長談という形式を以て常に発表される常套手段をとつておるのであります。(「その通り」「ノーノー」と呼ぶ者あり)事実その通りじやないか。お蔭様で我々参議院議員は、いわゆる廣川暴走というようなもので以て、三鷹事件みたいなようにして、まごまごすると轢き殺されてしまうというような不安が生ずるのであつて、全くこれは迷惑千万なものであります。自由党の党則第二十四條において廣川幹事長の地位をどういうように説明しておるかということを申上げて見たい。「幹事長は総裁を補佐し、党機関の決議に基いて党務を執行する。幹事長は総裁の推薦により議員総会の承認を経て決定する。」とあるのであります。(「当り前じやないか」と呼ぶ者あり)従つて現内閣総理大臣たる吉田首相即ち自由党総裁と廣川幹事長は全く一心同体であると言わなくてはならないのであります。その廣川幹事長談が現政府と何ら関係のないということは、これは全く詭弁であります。(「そうだ」「ノーノー」と呼ぶ者あり)併し政府みずからの怠慢と與党の無能をカムフラージユするため、今度の参議院の予算審議に対して、ああいうふうに廣川幹事長をして乱暴な発表をいたさせましたことは疑いのない事実であります。(「そうだ」「カムフラージユはしてないぞと呼ぶ者あり」苟くも国家の最高機関たる国会が法案並びに予算案の検討を行う折柄、いわゆる国政を審議するに当りまして、政局担当の最大公党の幹事長たる人が、真実でない、かような重大な発表を行なつたことは、国民に與えた国会に対する観念に拭うべからざる汚点を印したのみならず、世界の各国に対しても、政府並びに與党たる自由党自体が、日本の再建並びに民主化未だしの誤まつた観念を宣伝したと言わざるを得ないのであります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)参議院の議院運営委員会において増田官房長官は、幹事長談の是非は国民が審判して呉れるであろうと言い切つたのであります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)成る程国民の審判は、近く行われるところの参議院の改選或いは明年のいろいろの選挙におきまして、自由党に対する投票の激減という現象を以て明らかにされるでありましよう。(拍手、「その通り」「ノー」と呼ぶ者あり)併しながら廣川幹事長談が海外各国に我が参議院に対する誤まつた認識を若し與えたとするならば、ひとり自由党内閣の取返しの付かない大失態のみならず、国家国民全体の一大損失であり、我が参議院において真劔に検討を要すべき問題であるのであります。(「その通り」「詭弁だ」と呼ぶ者あり)この際、廣川幹事長談に関連して、政府みずからのとつた態度につき先ず明らかにされたい。  政府昭和二十五年度の予算案に対し、審議期間は予備審査の期間を加えて十分な期日を残したように言われております。併しながら予算審議に不可分であるところの地方税法や或いは平衡交付金法、所得税法、法人税法等というような重大な法案提出が非常に遅れたということはどうであつたでしよう。中でも今回の予算に最も関係の深い地方税は三月の末漸く提出されたのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)又平衡交付金法はどういう関係かまだ出ないのであります。この平衡交付金法の出ない前に予算の審議をすることは意義がないといつても(「ノーノー」と呼ぶ者あり)これは仕方がないと思うのであります。(「それは見解の相違だ」と呼ぶ者あり)併しながら現在の国情よりして成るべく早く昭和二十五年度の予算を上げるということは、これは我々は止むを得ない点であるとして、片輪な予算審議であるけれども、懸命なる努力をして四月三日にこれを上げたのであります。(「否決したんじやないか」と呼ぶ者あり)吉田首相は常に、参議院における法案或いは予算の審議は十分愼重にやつて貰いたい、審議をして貰いたいということとを言われておるのであります。然るにも拘わらずこのような事態を発生したということは、これは政府並びに與党の責任でなくて何でありましようか。(「その通り」「野党の責任だ」と呼ぶ者あり)今回の予算は一面におきましては政府が非常な努力をした。結局その編成が昨年の八月頃終了いたしまして、関係方面に対し九月から折衝に入つたということは、これは我々認めてもよい点であつたと思う。併しながらこの画期的税制改革に対してシヤウプ勧告が九月の初めにされた。シヤウプ勧告と予算というものは重大なる関係があつて、予算の検討は実際は九月から行われておつたのであります。その一方におきまして、地方財政のいわゆる地方税というものも、税制改革とは切つても切れない関係にあります。地方税がはつきりしないうちは予算というものは、はつきり立てられない。これは真実であります。併し地方税が三月末、先程申上げた通り漸く出されて、まだ平衡交付金が出されない。これはどこの責任であるかということをこの際政府は明確にすべきであります。若し政府において何ら平衡交付金法が現在出ないということを以て、我々の責任でないというようなことであるならば、現在政府が折衝しつつあるところの関係方面がこの責任をとらねばならないかという点に立ち至る重大なる点であります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)特に平衡交付金法がまだ提案されてないという醜態を暴露しているということは、世界各国に対しても全く日本政府の無能振りを発揮しておつて、これは我々国民の一大痛恨事であります。増田官房長官は、法律はまだ出なくても予算が通れば差支なく運営できるというようなことも言つておられます。併しながら愼重審議をすべき参議院の立場上から言いましたならば、これは本筋じやないものであります。昨年九月から四ケ月余の準備期間を持ち、尚本日まで通算いたしますればもう八ケ月の日子を費していながら、まだ提出されていないということは、これは全く政府の怠慢であります。債務償還というごときものも今回の予算には大分問題になりました。而も期限未到来のものまで今拂つて置こうというような現政府の予算案というものは、全く我が国の国情を無視して、我が国の経済界の立て直しということは念頭になく、先方に折衝されたという結果こんなことになつたのじやないか。これは政府当局の全くの無能であつたのであります。(「反対だ」「有能だよ」と呼ぶ者あり、笑声)  ここに面白い事実があるのであります。廣川幹事長が国政審議を我々参議院が妨害したというようなことにつきまして、(「もう時間が来たぞ」と呼ぶ者あり)二つの面白い事実があるのであります。先ず第一に政府みずから三月の二十八日に主計局長をして暫定予算を作成させ、これを通過するべく先方にいろいろ折衝された、この点であります。これは遺憾ながらお断わりを食つた、OKを貰えなかつたというのは誰の責任であるか。我々参議院の審議の責任であつたかどうか。これは與党の諸君もはつきり考えて貰いたい。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)決して我我参議院の責任ではない筈である。政府の責任であります。(「政府の責任だよ」と呼ぶ者あり)これが先ず第一番に一つ。第二に奇つ怪千万なることがこの参議院であつたのです。三月三十一日の仮議長という前代未聞の選挙をしたのであります。それはなぜかというと、松嶋副議長がおられなかつた。松嶋副議長は本来ならば党籍を離脱した立場の人であらねばならないのですが、今日尚自由党に党籍あり、自由党の幹部として大いに活躍されておるのであります。(「脱線するな」と呼ぶ者あり)松嶋副議長が山田予算委員長と相談いたしました結果、この予算案は四月三日までかかるから三月三十一日はお留守になつても差支ないというようなことによつて休まれた。(「冗談言うな」「事実を捏造するな」「そうだ」「詭弁だ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)これは明白であります。こういう二つの不思議な結果があつたのであります。(「でたらめだ」と呼ぶ者あり)これはいわゆる四月三日までは予算が延びても仕方がないということをはつきりと與党の諸君が認識されたのであります。(「認めているのじやないか」と呼ぶ者あり)  一体参議院が新憲法下におきまして貴族院に代つて存置されてから満三年となりますが、国政審議上特にこの三年間にどういう変化があつたでありましようか。一体昭和二十三年度の予算に対しまして、参議院の委員会におきまして、自由党を代表し……その当時の民自党でありましたが西川昌夫議員が次のようなことを述べておる。その一節に「單に衆議院が通つたからこつちが急ぐというような御気分は分りますが、かようなことを繰返すこと自体が、参議院を第二義的な院外団的なものに下げるゆえんの以外の何ものでもないと存ずるわけであります。非常に我々は遺憾に存ずる次第であります。」と言つております。翌五日、本会議においても小野光洋君が自由党を代表され同様のことを言つておつた。(「その通り」と呼ぶ者あり)その当時と今日の状態で国政の審議上特に変つたことがあるかどうか。参議院において予算審議は、衆議院から廻つて来てから三十日の余裕は與えられておることは、国会法を見れば明らかな筈である。本年度の予算は三月十日に衆議院において終了し、当院に廻つて来たのであります。四月三日に上がつたということは相当早かつた。これに対して三日間の空白を生じたということが果してどこの責任であるかということを明瞭にすべきである。(「そうだ」「明瞭にしろ」「きつかり明瞭にしろ」と呼ぶ者あり)  もう時間がありませんから、(「ゆつくりやれ」と呼ぶ者あり、笑声)結論に入りますが、(「悠々とやれ」と呼ぶ者あり)ただ今回の廣川幹事長談において、自由党内閣に反対意見を持つ者はすべて占領下の好ましからない人物であつて、すべて共産党の諸君に同調するものであると断ぜられておることは、これこそ共産党の諸君に乘ぜられることになつて、世界の信用を失墜する結果となるのであります。これだけはよく與党の諸君も頭に置いておいて頂きたい。  以上の要点を今一応申述べて総理並びに各大臣の返答を求めるのであります。第一に、講和條約に対し、参議院のとつた予算審議の態度により、どのような点で廣川幹事長談の言うような悪影響を及ぼしたものであるか、具体的な理由を申述べてはつきりとされたいのであります。第二に、参議院において予算審議が四月三日に終了したために予算の空白が三日間できたことは国会法或いは財政法上果して違法であつたかどうか、この点を明瞭に政府はすべきであると思う。国民政府のこの点に対する見解を要求しております。第三に、地方税法、平衡交付金法の提案が非常に遅れたこと、これに対しては政府は如何なる責任を今後おとりになるか、これを明瞭にされたいと思うのであります。以上で以て私の質問を終ります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  32. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えをいたします。  廣川自由党幹事長の談につきましては、幹事長として反対党の攻撃をするということは、これは当然であります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)併しながらこれは自由党幹事長の責任とその地位においていたしたことであつて政府はこれに対して何らの責任を持ち、これに対して答弁をいたすべき筋合でないと考えるのであります。たまたま私が自由党の総裁であるといたしましても、ここで私のお答えをいたすことは内閣総理大臣としてお答えをいたすので、その責任の範囲において、範囲外のことはお答えいたしません。又参議院の審議の遅延等については、これは参議院自身の責任において、権限においてなされた行為でありまするから、行政機関である政府としてはこれを批評すべき限りではない。その遅延等についての責任は、若しありとするならば国民がこれを問うであろうと思います。即ち次の参議院選挙において国民の批判は明瞭になると考えるのであります。以上お答えをします。(拍手)    〔国務大臣増田甲子七君登壇拍手
  33. 増田甲子七

    国務大臣(増田甲子七君) 油井さんにお答え申上げます。  地方税につきましては、御承知のごとく国会に提案いたしまして只今愼重御審議を願つておる次第であります。平衡交付金が遅れておる点については政府の恐縮に存ずるところでございます。ただ併しながら極めて近日中に提案いたし得る運びと相成つております。関係方面との折衝はもとよりいたしておりまするが、政府の責任において近日中に最も早い機会において提案いたします。(拍手)    〔国務大臣池田勇人君登壇拍手
  34. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 油井君にお答え申上げます。  昭和二十五年度の各予算案が四月三日に成立いたしましたため、三日間の空白が起つたのであります。私はこのことをなからしむるために三月の二十八日来二回特に折衝いたしまして、暫定予算案の提出を考えたのでありまするが、関係方面から暫定予算案の編成は罷りならぬという返事を貰いまして、このことは予算委員会に二回、又参議院議長報告いたしたのであります。政府といたしましては三月三十一日までに議了を切望いたしまして八方努力いたしたのでありまするが、今日のようなことに相成つたのであります。この点につきましては、先程総理がお答えになりましたように、国民がこれを批判することと私は考えております。(拍手)      ——————————    〔中野重治君発言許可を求む〕
  35. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 中野重治君。
  36. 中野重治

    ○中野重治君 私はこの際いわゆる廣川談話に関して緊急質問をすることの動議を提出いたします。
  37. 小川久義

    小川久義君 只今の中野君の提案に賛成をいたします。
  38. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 中野君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。中野重治君。    〔中野重治君登壇拍手
  40. 中野重治

    ○中野重治君 私はいわゆる廣川談話の問題について只今油井君から質問のありました問題にも関係し、そこから出て来る一曾大きな問題について総理大臣に質問したいと思います。  いわゆる廣川談話の問題について、今油井君の質問に対して総理大臣、大蔵大臣等から答えがあつたけれども、ああいうふうなものはこれは答えとは言うことができない。(「その通り」と呼ぶ者あり)これは余程能力のない代言人でも今はああいう答えで事を済ますことができないのであつて、ああいうやり方で答えたという体裁を繕えば、それで事が済むと思つているような政府の性格をみずから告白したものに過ぎない。こういうその性格の告白というものは、正式な答えとは我々は認めることができないということを先ず初めに言つて置きたい。それで、これは官房長官も議院運営委員会でしばしば同じことを繰返しておりますが、現在の衆議院、参議院で構成されている日本国会において、自由党の幹事長廣川君がしかじかのことを言つた、而もそれは国の政治の運営に重大な関係がある、事は根本的な予算の審議から発しておるというような場合に、ああいうことを言うことは、多数を擁する党派を基礎として政府が作られておるという日本の政治の現状に対してみずから正面衝突をするものと、こう言わなければならない。これは非常に大きな問題だと我々は考えます。議院運営委員会で問題になつたことの一つには、あの日、増田官房長官が総司令部のリゾー民政局次長と会つた、それから廣川読話が発せられたというので、それで何かリゾー民政局次長の方から話があつたのかというような問が出たのに対して、増田官房長官は、そういうことは絶対になかつたと言つておる。これは、つまりそういうことは自由党並びに政府の独自の責任において言われたということを、官房長官自身が主張しておるものと、こうとる外はないのですが、大体予算の審議を遅らしたとか何とかいうことは問題にならない。これはいわゆる廣川談話では、自由党が参議院に対して予算案を審議するに十分な時日を與えたと、こう言つておるけれども、或る党が現在どういう横暴な多数を擁していようとも、参議院にある法律案を審議するために、必要にしろ不必要にしろ或る時日を與えるということはあり得ない。これは参議院の機能を全く侮辱しておる。而も政治責任の問題に関して言えば、これは今総理大臣その他からの答弁にも明らかなように、責任は明らかに政府側にある。(「その通り」「ノーノー」と呼ぶ者あり)地方税法案のことはもう言いませんけれども、七百三十九ケ條に及ぶものが三月二十三日に出て来ておる。それから吉田総理大臣及び本多国務大臣がたびたび一両日に必ず出します出しますと、こう繰返して来た平衡交付金法案が今以て出ておらない。そうして大蔵大臣が今日もここで近いうちに何とか出しますと言つておる。誰が今大蔵大臣が近いうちに必ず出しますということで、これを信用する者があるか。これを信用しろということは、これは一方的な暴力で押し付けるものでなければならない。こういうふうな予算案が出て来ておるから、これを無理に通そうとしたからして、現に参議院で懲罰委員会の問題になつておる小川君のような忌わしい問題が出て来る。これは性格的に然らしめるところであつて、必然的な問題であります。ところが、こういう忌わしい、予算案の審議を遅らしたとか、妨害したとか、何とかと言つておるけれども、これは盗人猛々しいと言つてもまだ足りない。一体こういう日本の勤労人民のすべてを苦しめ、軍事的性格を持ち、国を植民地化そうするというような性格のある(「そういうことはやつてないよ」と呼ぶ者あり)こういうような予算案は、この通過を妨害しなければならない。葬り去らなければならない。これが国民から我々に負託されたところの参議院議員本来の任務である。(「そうだ」と呼ぶ者あり)それだから、この点についてそれぞれの主張が違いつつも、民主党から共産党に至るまでの参議院の全野党が共同一致してこれを葬り去ろうと努力したことは、この人々は、参議院における全野党及びこれに同調した他の会派の人々も、すべて日本の人民の利益のために悪い予算案を葬り去ろうと協力一致して奮闘努力したということに外ならないのである。(「そうだ」と呼ぶ者あり)恐らく今後もこういう協力一致は見られるでしよう。又それなしには日本の本当の回復というものは望まれない。これを妨害と見る者は、見る者自身日本の自主的再建の妨害者であるということを告白しておるに過ぎない。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)実に許すべからざることは、油井君のお言葉にもありましたが、かかる参議院議員として正当な任務、正当な義務を果すことが、占領下における日本の国政の運営を阻害する、或いは講和問題を遅らせるというふうなことを言う。この馬鹿げた放言、(「何が馬鹿げた」と呼ぶ者あり)全く馬鹿げておる。これは如何に馬鹿げておるかということは次のことで明らかになる。それは予算案その他の問題に関して、現政府はこの全く何とも形容のしようのないような政府のやつておることに対して、日本国民が下からこれに鬪う、これと鬪う立場から鬪争を遂行する。この場合にすべてこれは国政の運営を妨げるものだという名で、これを押え付けようとする、そういう馬鹿げた悪逆な性格を現わしておる。これは戰争の時代、侵略主義の時代に、日本政府がとつて来たそのままの方策である。戰争の問題その他に関して、時の権力を持つておる政府に対して反対鬪争が起れば、これに公けの秩序であるとか或いは治安維持法であるとか、すべてそういうものをおつ被させて、天皇に叛く者であるとか、そういう大きな看板を持つて来て、それ一放で叩き付けた。あれと少しも違わない極めてフアツシヨ的な行き方である。一体日本人が、議員も含めて、ああいう悪税の撤廃のために奮闘する。労働者、農民の生活をよくするために奮闘する。そのために、ああいう悪い予算を葬り去るために一致して奮闘する。これがどうして国の政治的運営を妨げるか。これをやることこそ、日本の国の政治的運営を民主的にやること、そのために奮闘することに外ならない。(「減税予算をやつたのは自由党じやないか」「はつきり言え」と呼ぶ者あり)そういうわけの分らんことを言う人が今ありましたけれども、そういうわけの分らんことを言う人が参議院の民自党の議員の中にはいるということを申して、次の問題に行きましよう。(拍手)そこで、さつき大畠君に対する池田大蔵大臣の答えにも、減税をやるというようなことを言つている。明らかに嘘である、これは。(「どこが嘘だ」と呼ぶ者あり)どこが虚だという野次が出ておりますが、これは正当に言えば、池田大蔵大臣が、自由党政府が減税をやるのであるということは嘘であるということすらも分らない人間が、議員としてかかる悪い予算を通そうと努力したということを裏書するものに外ならない。(「そうだ」と呼ぶ者あり)恐らく油井君その他の人の質問に対して答えたと同じようなことを、政府は勿論、與党はそういう二百代言的な答えをしようと思つているだろうと思いますが、そういうことは、私はこの際尋ねることを控えます。私が政府に聞きたいことは、総理大臣に聞きたいことは、次の一点に盡きる。つまり今まで明らかになつたような方式において、一方では多数を擁する党の上に政府が作られている。政府党の総裁ということと、総理大臣ということとを使い分け、それから党の幹事長をして適当な機会に適当な発言をなさしめるということと、それから政府が予算案その他に関して国会を無理に押し切ろうとすることと、両々相待つてうまく運営して行こうとする。そうして、この政府が予算案その他に出して来たような、ああいう国民を苦しめるあらゆる手段を国会を通してなそうとする場合に、かかる政府は打ち倒さるべきであるということを政府と與党とがみずから国民に訴えているものではないか。(「その通り」と呼ぶ者あり)廣川幹事長その他が、共産党を利用しようとして共産党に利用されたんだというようなことを言つているのは、それは、これ程に悪い政治に対しては、政党政派の違いがあつても、民主党以下の参議院の全野党は一致して政府を打ち倒すべく協力しているということを証明しているものではないか。(拍手)この二つの点について総理大臣の答えを求めます。
  41. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 吉田内閣総理大臣。(「登壇々々」「答弁無用」と呼ぶ者あり)増田官房長官から答弁があるようであります。    〔国務大臣増田甲子七君登壇
  42. 増田甲子七

    国務大臣(増田甲子七君) 中野君に答え申上げます。  中野君の御質問は悪意と誤謬に充ち満ちた御質問でありまして、政府も甚だしく不本意であるということを先ず以て申上げて置きます。それから我我は予算総会においても、私は各党の討論等も熱心に拜聽しておりましたが、必ずしも反対する野党が挙つて共産党と所見を同じういたしておると絶対に思いません。野党は、参議院の野党は、挙つて、全力を注いでこの予算を葬むろうとしたということは、他の野党諸君が甚だしく迷惑されることであろうと私は思います。我々は、この予算は国を救い、又人民を救い、そうして産業を復興せしめるいわゆる救国予算であるということを確信いたしております。(「その通り」と呼ぶ者あり)
  43. 中野重治

    ○中野重治君 時間が残つておりますから、簡單に再質問をいたしたいと思います。
  44. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) それではまだ時間が七分残つておりますから、その範囲でお願いいたします。    〔「番頭の代言は駄目だ」と呼ぶ者あり〕    〔中野重治君登壇
  45. 中野重治

    ○中野重治君 今、私が答えを求めた総理大臣の代りか何か知らないけれども、(笑声)増田官房長官が何かをここで答えましたが、増田官房長官がここで喋つたことは、私が総理大臣に尋ねたその尋ねに対する総理大臣の答えではないということを私は先ず確認して置きます。  次に再質問に入りますが、今増田官房長官がここで喋つたことは、私が総理大臣に対して尋ねた問に対する総理大臣の答えの代弁であるかどうかということを先ず尋ねて置きます。それから第二には、増田官房長官は私がさつきあれ程明瞭に言つたことを分らなかつたのか、分つたけれども鷺を烏と言いくるめようとするのかということを尋ねて置きます。それは何かと言うと、かかる悪質な予算案に対しては、参議院におけるすべての野党は政党政派のそれぞれの差異にも拘わらず、かかる悪質な予算案を葬らねばならぬという点においては共同一致してやつたのだ、鬪つたのだ、こう言つておることを、何故その大臣な点を回避して、そうして恰かも他の党派が我が共産党と同じ意味で鬪つたのだ、こう作りごとをして、そうしてそうではなかつたのだということで、この私の間をすり拔けようとしたのか。我々は、他の野党の諸君が我が共産党と同じ意味で鬪つたのだなどと言つてもいなければ、考えてもいなかつた。かかる悪質な予算案に対して徹底的に鬪つたのは、我が共産党であるということを私ははつきりと言つておる。天下はこれを認めておる。差異があるにも拘わらず、かかる悪質なものに対しては、多少の相違はあるにも拘わらず一致して鬪つてこれを葬むらなければならぬというのが、我が参議院議員の任務である。この点において本質的な意見の一致があつたということを私は明瞭に言つておるのだ。大体今の、これが私の問の第三点であるが、今の増田官房長官の私に対する答えと称するものが、廣川幹事長談話と政府との関係自由党政府との関係及び自由党政府及び参議院、衆議院の国会、この関係における二つの使い分け、さつきから問題になつておるところの彼らの、左の手ではぶん殴り右の手では撫で廻す、この方式をそのまま告白しておるものではないか。分りにくければもう一遍言うが、油井君等の質問にもあつた通り政府の都合次第で、或るときには広川幹事長談を発表させ、或いは内閣官房長官談を発表させ、或いは総理大臣談話を発表させる。そういう方式で、その反国民的な党略を押通そうとするかということを、吉田総理大臣に答えが求められて、官房長官が全然関係のない二百代言的な答えをするという今のこの答弁そのもので、再び三たび裏付けしておるものではないか。(拍手)この点に対する官房長官並びに総理大臣の答えを求める。(「支離滅裂」と呼ぶ者あり)若しこれに対して答えがなされなかつた場合は、彼らは正当の理由によつては答えることができないのだと撲は認める。(拍手、「答弁の価値なし」「答弁」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣増田甲子七君登壇拍手
  46. 増田甲子七

    国務大臣(増田甲子七君) 簡單に中野君の再質問お答えいたします。  中野君の先程の言、又今更に確識された言によりますると、私はあなたの御質問には所見を申上げてよろしいと思う。即ち廣川幹事長が言われたこととそつくりのことをあなたが言つております。野党は全力を注いで国のこの予算を葬ろうと努力したということをあなたが確認されておるということは、他の野党の諸君の討論は、ここでも、又予算総会におきても良さに拜聽いたしましたが、おのがじしそれぞれ反対する立場があつたのであります。例えば民主党の方々においては債務償還が少し多過ぎる(「決まつたことだ」と呼ぶ者あり)というような立場でありまして、(「顧みて他を言うな」と呼ぶ者あり)あなたの言うように低、武器を急久に我々は捨てて、平和国家、民主国家の建設に急ぐための予算を、(「何を寢言を言うか」と呼ぶ者あり)軍国主義的予算であるというような悪意と誹謗に満ちた見解から反対した他の野党の諸君はないということを、私は断言いたします。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手〕    〔「答弁無用」と呼ぶ者あり〕
  47. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 私のお答えは油井君にお答した通りであります。これを以て盡きておると思いますからこれに加えません。(「不謹愼だ」と呼ぶ者あり、拍手
  48. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 議事の都合により午前一時半まで休憩いたします。    午後零時三十六分休憩      ——————————    午後二時二十八分開議
  49. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。  参事をして報告をいたさせます。    〔海保参事朗読〕  本日委員長から左の報告書を提出した。  議員小川友三君懲罰事犯の件審査報告書      ——————————
  50. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程に追加して、議員小川友三君懲罰事犯の件を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます、先ず委員長の報告を求めます。懲罰委員長太田敏兄君。     —————————————    〔太田敏兄君登壇
  52. 太田敏兄

    ○太田敏兄君 只今議題となりました議員小川友三君の懲罰事犯の件に関する委員会の審議の経過並びに結果について御報告申上げます。  本件は去る四月四日の本会議における議長宣告の通り国会法第百二十一條第一項の規定に基き、議長職権を以て本委員会に付託されたものでありまして、議長は、小川友三君が昭和二十五年度一般会計予算外三件の審議に際し、会議の基本的原則を無視して委員会における表決及び本会議における討論し相反する表決を本会議において行うと共に、この問極めてまじめさを欠く発言をなしたことは、議員の体面を汚した行為と認めたものであります。本委員会におきましては、同日直ちに委員会を開きまして、その審査を開始し、議長より付託の事由等について説明を聞きました上、翌五日及び今七日には本人小川友三君を本委員会に召喚し、一身上の弁明を聽取すると共に、尋問を行い、更に関係者として議員伊達源一郎君及び岩男仁藏君の発言を求めまして、愼重に審議をいたしました結果、本日討論採決を行い、本件に関する審議を結了した次第であります。  次に委員会における審査の経過につきましてその大要を申上げますると、先ず本件が本委員会に付託されました際に、議長から、この事犯の審査に当つては、議員小川友三君が昭和二十五年度一般会計予算外三件の審査に際して、同君の委員会の表決及び本会議における討論に相反する表決を本会議において行なつた事実の裏面には、何らかの工作が行われたのではないかとの疑念を差挾む余地があるので、その背後関係をも併せて調査すること、及び本事犯の審査は成るべく早く結了することを希望するとの申入れがございました。よつて本委員会におきましては、本懲罰事犯及びその申入れの内容につきまして、議長より詳細なる御説明を承わりました上、翌五日には本人小川友三君の一身上の弁明を聞くと共に、主として本事犯の原因に関して質疑を行い、議長のお申入れ趣旨に副つて審議を行なつたのであります。  次に本人小川友三君の委員会における一身上の弁明並びに同君に対する質疑応答に関しまして御説明申上げます。先ず議長の宣告によりますると、その事犯の一つとして予算委員会における表決から本会議における表決の間において極めてまじめさを欠く発言をなしたとのことでありましたが、委員会における本人小川友三君の答弁からその言葉を借りてそれを要約いたしますと、予算委員会においては熱意を以て反対討論を行い、次いで本会議においては三十分間も討論の発言許可されたのは今回が初めてで、この点、処女演説であつたため非常にいい気持になつて調子を落して討論したのであるが、予算委員会におけると同様反対意思を表明するつもりで登壇し、本心から真劔に反対の討論を行なつたつもりであるとのことであります。又議長の賛否表明に関する注意につきましては、その際、議長が時間を二分間超過したと言われたと思つたので、まだ原稿が十枚程度残つていたのでありますが、降壇したのである。併し反対討論として登壇している以上反対討論と解釈されるものと思つていたのであり、従つて二度目の登壇の際には反対意思を明確にしたのであるとのことであります。次に重大な事犯として、同君が会議の基本的原則を無視して委員会における表決及び本会議における討論と相反する表決を本会議において行なつたということが挙げられておりまするが、委員会における審議もこの点に集中されたのであります。かかる行動をされるに至つた原因につきまして、同君は一身上の弁明及び答弁において、大要次のように述ベているのであります。これを同君の言葉を借りつつ説明をいたしますると、先ず予算委員会及び本会議の討論で政府原案に反対した理由は、政府の怠慢を是正し、又池田大蔵大臣が昨今非常にのぼせているので、これに大衝撃を與えて、大いに勉強させる必要を認め、又一方ではその政策の一つに勤労というのがあるので、社会党と提携して警鐘を乱打し、猛追撃をする意味で反対したのである。そうして予算委員会で反対したその興奮と感激の抜け切れないうちに本会議における反対討論の通告をしたのであるとのことである。それではどうして本会議の表決に賛成投票をされたのかという点につきましては、同君は、すでに予算委員会においては政府原案を否決し、吉田内閣も参議院においては弱いものであるので、弱い者をいじめるのは小川君の政策の中の博愛という政策に反することなると共に、(笑声)勤労という政策からは反対すべきであるが、本予算に対しては親米に白、博愛も白、勤労は青であるが故に、賛否の比率は二対一であり、結局賛成したのであるとのことであります。又当日午前中に、同君は與党、野党各派の議員の登院数を算定して、すでに予算の成立を見越して、自分の一票はどちらに入れても全般には影響をもたらさないものと判断し、同君の言葉を借りれば、博愛主義から言えば、すでに野党さんには御奉公は済んだので、今度は與党側に一票入れてもいいと思つていたということ、及び日本の現状からして、又親米政治家としての立場からして、白票を投ずることが妥当であると信じたからであるとも述べているのであります。又同君の言によりますると、予算採決の当日、同君の控室には国鉄労組の人達が予算反対懇請に多数見えていたのであるが、その労組から発行している新聞によれば、次期参議院議員選挙に際して、その労組の支持する人名の中に小川友三の名前は載つていなかつたので、敢えてその懇請を受入れる気にならなかつたと申されておるのであります。又同君は去る昭和二十三年十二月の給與法の審議に当つて、委員会における同君の表決と本会議のそれとが異なつていた先例があるので、別段惡いことではないと思つていたこと又同君は一人一党で一々党議に諮る必要もないので、君子豹変したのだとも申されているのであります。然らばいつ君子の豹変を行なつたのであるかという点につきましては、一委員からの質問に対しましては、二度目の討論が済んでから表決に至るまでの間においてであると言われ、又一委員によつて明らかにせられたところによりますと、青、白二票を共にポケツトに入れて登壇し、遂に白票を出したのであるとも答えられております。従つて同君が先に述べられたように、賛成の意思を持たれるに至つたこととの間に時間的に明確な区別を知ろうとすることは困難で、同君が一委員よりのこの点の矛盾についての質問に対しまして、常にジグザグコースを辿つていたのであると答えられたのであります。それでは、こうした事犯について小川君の現在の心境はどうであるのかという委員の質問に対しては、小川君は、委員会の表決と本会議の表決が異なつたことは以前にもあつたことであるし、惡いことであるとは思つていなかつたが、それがいけないならば改め、又は発言中不穏当な言葉があつたらこれを取消し、更に青白二票を所持して登壇するようなことは今後は愼しむ旨を述べられ、更に懲罰事犯として付託されたということを聞いた際には、議員の投票権にまで干渉するのか、ちよつと意外であつた旨も述べられたのであります。  更に同君の表決に関連する同君の行動及びその風評について種々質疑が行われたのでありまするが、その主なるものについて申上げますると、先ず同君が投票を終つて自分の席に帰られるときに、某議員の所に行つて愉快そうに握手をされたということにつきまして、同君は次のように答えられました。即ち以前、今国会において政府反対をして降壇の際に、共産党の中野議員と総理大臣の前で党々と握手したことがある。そこでどこでも手を出せば握手するという主義でおるので、降壇してから握手をしたことは沢山あるが、当日は降壇してから握手はしなかつた。ただ近道をせずにふらふら廻つてつて、「よう」と言つて通つただけであるとのことであります。又、現内閣の閣僚との関係についての質問に対する同君の答弁は、現閣僚の中で最もよくこちらえ来いと言われるのは総理大臣である。吉田総理は昭和二十三年の二月十一日参議院の首相指名の際二票勝つたときに、小川友三君のお蔭であるということを感謝いたしまして、翌日お茶を飲みに来いというので、車をよこして呉れました。君はなかなか政治家だ、民自党に正式に入党しなさいということを言われました。私は小なりと雖も一党の総裁ですから、あなたは七十二歳で大きいけれども、私は四十五歳なんだから、後三十年もやれば民自党は負かしてしまう。ほう、なかなか君は面白い男だ。面白いじやない、そういう信念で闘つているのですから、私は民自党には入りません。あなたが親米民自党にすれば入りましようと、こうやつたわけです。元来私は親米政治家で、博愛で勤労党であるからこそ、票が入るのである。だから民自党に入ればその票が落ちてしまうし、又特異の行き方であるから入党はしないということで、私はお断わりした云々と答え、又同君は、山口国務相と食堂において懇談したとの新聞報道に関して、山口国務相と合つたのは四月三日の日に議員食堂で行き合つたのが初めてであつて報道にあるごとく酒など御馳走になつたことはない。自分の酒を飲んだのであると弁明され、又その際の談話の内容についての質疑に対しても、「山口君と会つて、何だこれが山口かというので、こんなのが大臣になれるなら俺も直きになれるような気がしたのです。そこで、小川君今度はどうするのだと言うから、それはあなた、一党の総裁だから私は白紙だよと言つたので、他に何にも言つておりません」と述べ、更に同君の感じとしては、山口国務相のこの言葉は、六〇%ぐらいは賛成投票を要求されたのだと思つたとの答弁でありました。次に或る自由党の有力者から同君に対して政務次官に推薦することに盡力するとの話があつたということにつきましては、今日まで票が決戰になると何十回となく風評を立てられたことがあり、最近も冗談に言われたことはあるが聞き流しているので、誰が言つたか覚えていないとの答弁があり、又同様の趣旨の書付けを四月二日の予算委員会開会当日同僚議員に見せられたということについての同君の答弁は、現内閣は自由党員でなければ大臣にも政務次官にもなれないと思う。自分の党を解体してまで自由党に入党することは、以前から勧められてはいたが、政務次官ということぐらいで飛び込む気にはなれない。それについては何の証明も貰つていないとのことであり、更に同君が示した書付けは、同君が自分で自分の便箋にボールペンで書いたものであり、いわば落書であり、その署名人の氏名は同君がでたらめに書いたものであるため、現在記憶しておらず、且つ捺印は自分の判を三ケ所に押したものである、とのことでありましたが、この点に関しては伊達議員より、同君が自分で朗読されたのであるが、内容は大体そのような趣旨であつたと記憶する、又その書類には三つぐらい捺印してあつたと思うとの御証言がありました。又このような誤解を産み易いことをみずからされた理由につきましては、同君の言葉を借りて申しますると、ちよいちよい漫談をやりに各控室に行つているので、懇意な伊達議員、田村議員に対しまして、道化半分に漫談的にやつたことで、断じて他意はないとの答弁であります。更に緑風会及び自由党所属議員と予算問題に関連する投票権の行使について話をされたことがあつたのではないかとの疑点、採決のあつた本会議開会の直前、衆議院の議員と自由党控室前において談合されたこと、或いは本会議における討論及び投票の後に同僚議員が注意したのに対して、最後まで賛否を不明にしてダークホースで行くと言われたこと、並びに懲罰が恐くて大政治家になれるかと言われたとのこと等に関しましては、同君は、すべてそのような事実のないことを述べられ、否定をされたのであります。又同君が議場開鎖になると同時に逃亡的な行動をされた事実については、本人はこれを認め、玄関にエンジンをかけた自動車を待たせてあつたとのことであります。かかる行動をされましたゆえんは、同君が賛否いずれに投票されましても、いわゆる左右両派のいずれかの人々から暴行を加えられる運命にあつたことを感ぜられたからであると言われ、又この同君の不安に対し院内警察は信頼するに足りなかつたとも述べておられるのであります。その他、各委員より詳細なる質問がございましたが、それらは速記録に讓りたいと思います。尚、同君の答弁につきましては、委員より、正直に誠意を以て答弁せられたい旨の発言がありましたことを附言いたします。  次いで討論に入りましたところ、社会党島清委員より、本事犯は通常の感覚を備えた人間の行為とは思われず、法に規定するところがないからといつて、民主主義の当然自明の基本的原則を無視するということは許し難いことであり、国民の前に襟を正して謝罪し、国会の名誉を保つために極刑即ち除名の懲罰を科すべきものであり、又青白いずれの票を投じても危害を蒙むる虞れがあつたと言うがごときは、それ自体自己の不正の暴露しているものである。尚、憲法によつて保障されている議員の地位に基く安全を脅威されたということは、議会史上の痛恨事であるが、本事犯の審査の対象外のことであるため、後日これを他の機関によつて究明すべきものである旨の討論がありました。次に民主党前之園喜一郎委員から、事犯の内容は明らかにせられたが、その背後関係の調査においては時間も少く、十分その真相の把握ができなかつたのを遺憾とする。併しながら過去三年に近い間、小川君と議員生活を共にしたが、この間、同君が幾多の醜聞と汚名を残して来たのであり、且つこの事犯のあつた後も何ら反省の態度は見えず、本委員会における陳述も支離滅裂であり、でたらめであつたこと等から、すでに情状酌量の余地は認められない。政治の浄化と議院の名誉のために同君に除名の懲罰を科すべきであるとの趣旨の討論がございました。次に緑風会の松井道夫君は、議員の生命である本会議の壇上において、国民との公約を即刻に変更して恬として恥じざることは、国民を瞞著し、議院の名誉を傷ける行為であり、政治道徳上許し難いことである、かかる行為は議員としての自殺行為であり、過去においてもその例なく、又将来においても恐らくあり得ない行為であると思う。よつて小川友三君には除名の懲罰を科すべしとの趣旨の討論がございました。最後に緑風会の小杉イ子委員から、前三者と同様の理由、並びに小川君には盧僞の言動が多く、同君が引続き議員となつておることは国政上の損害であり、当面には議事の運営を妨害するものである。以上の理由によつて同君を除名すべきであるとの趣旨の討論がございました。  かくて討論を終り、採決の結果、全会一致を以て議員小川友三君に対し国会法第百二十二條第四号により除名すべきものと議決した次第であります。  以上を以ちまして、議員小川友三君の懲罰事犯に関する本委員会の審査の経過並びに結果についての御報告を終ります。(拍手
  53. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 小川友三君から一身上の弁明を求められましたから許可いたします。暫らくお待ち下さい。(「聞く必要なし」と呼ぶ者あり)小川友三君の登壇を許します。    〔小川友三君登壇拍手、「今日まで酒を飲んでいるのか」と呼ぶ者あり〕
  54. 小川友三

    ○小川友三君 只今提案になりました私の懲罰の件の一身上の弁明を申上げます。  私は親米博愛勤労党の党首でございます。親米博愛運動としまして終戰の三日目からその運動を展開いたしまして、占領下の現在を最もよく認識をしまして、そうして現在占領せられておるということを忘れないで、マツカーサー元帥を中心とし、現在の吉田内閣が占領政策の一指導の政府としまして、占領政策に最も従順に、最も国民との間を緊密に連絡をしまして政策を樹立せられておる点につきましては、吉田内閣に対しまして滿腔の限りなき敬意を表するものであります。(笑声)又自由党各議員諸公に対しましても限りなき感謝の意を表する次第であります。又緑風会の自由党を支持せられるところの議員各位に対しましても満腔の敬意を表する次第でございます。又曾て‥‥
  55. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 小川君、一身上の弁明の範囲を越えないように願います。
  56. 小川友三

    ○小川友三君(続)そこで今回三日に本会議に上程されました予算につきましては、私は占領せられておる諸般の情勢から判断をいたしまして、この予算を参議院において本会議で通さなかつた場合どうなるか。国家公務員さんの俸給の支拂は延び、食糧公団の支拂は延び、この一日に恩給を受ける人が貰えないで、又幾百万、幾千万の同胞が迷惑をすることであることを私は固く信ずると同時に、飽くまでも占領せられておるという現状を把握しまして、私は政府支持の白色票を命がけで投票したのでございます。(笑声)この行為が、今後私がたとえ除名になつたとしましても、占領せられておるところの国民が、占領軍最高司令官マツカーサー元帥閣下の指揮に反しないで、そうして従順にやつたという歴史が不滅に燦として私は残ると固く信じておるのであります。(笑声)予算案につきましては幾多訂正する点もあると思いますので、その点につきましては委員会或いは分科会におきまして鬪つたのでございます。私は投票の後で社会党の椎井康雄君にエレベーター前で以て背負い投げを食いました。(笑声)併し私は親米博愛党です。博愛の精神を以て、この人を告発するとか懲罰にかけるとかいうような不人情のことをしません。興奮の結果やつたことはこれは許してやるのが当然博愛の精神であり、ならぬ堪忍をするが本当の堪忍と私は教えられておるのでありますから、(笑声)暴力を行うところの社会党の議員さんがたつた一人あるために、社会党さんが暴力政党の烙印を押されるということは社会党に対して済まないと私は思いまして、そうした告発もしていないのでございます。私はこの予算問題の審議に当りまして、占領されておる国民として最も正しい行き方をこの本会議場におきまして実行したものと確信をいたしておる次第でございます。私はこの席におきまして、占領軍司令官マツカーサー元帥閣下の万歳、吉田内閣の万歳、自由党の万歳、緑風会の万歳をいたしまして、私は一身上の‥‥
  57. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 小川君、一身上の弁明に留められたい。
  58. 小川友三

    ○小川友三君(続) へえ。これで終ります。(「大変いい一身上の弁明だ、よく分つたよ、それで」と呼ぶ者あり)
  59. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本件の採決をいたします。本件の表決は記名投票を以て行います。委員長の報告は除名でございます。除名に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上御投票を願います。氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  60. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 投票漏れはございませんか。投票漏れはないと認めます。これより開票いたします。投票を計算いたさせます。議場の開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  61. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 投票の結果を報告いたします。投票総数百二十八票、白色票即ち除名を可とするもの百十八票、青色票即ち除名を否とするもの十票、除名を可とするものは出席議員の三分の二以上でございます。よつて議員小川友三君は除名することに決せられました。      ——————————   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名      百十八名       赤澤 與仁君    阿竹齋次郎君       安部  定君    飯田精太郎君       大山  安君    岡部  常君       河井 彌八君    楠見 義男君       來馬 琢道君    西郷吉之助君       島村 軍次君    高橋龍太郎君       伊達源一郎君    徳川 宗敬君       北條 秀一君    穗積眞六郎君       松井 道夫君    山崎  恒君       山本 勇造君    結城 安次君       伊藤 保平君    井上なつゑ君       宇都宮 登君    小野  哲君       鎌田 逸郎君    小杉 イ子君       小宮山常吉君    鈴木 直人君       竹下 豐次君    松嶋 喜作君       野田 俊作君    波多野林一君       久松 定武君    一松 政二君       松村眞一郎君    三島 通陽君       村上 義一君    岩本 月洲君       島津 忠彦君    横尾  龍君       城  義臣君    大島 定吉君       黒田 英雄君    平沼彌太郎君       草葉 隆圓君    柴田 政次君       石原幹市郎君    松野 喜内君       佐々木鹿藏君    藤井 新一君       深水 六郎君    伊東 隆治君       藤森 眞治君    西山 龜七君       小林 勝馬君    竹中 七郎君       林屋亀次郎君    小串 清一君       大隈 信幸君    門屋 盛一君       中井 光次君    油井賢太郎君       木内キヤウ君    高橋  啓君       櫻内 辰郎君    安達 良助君       島田 千壽君    吉田 法晴君       木内 四郎君    谷口弥三郎君       田中 利勝君    塚本 重藏君       境野 清雄君    岩木 哲夫君       前之園喜一郎君    大畠農夫雄君       岩崎正三郎君    島   清君       石川 準吉君    淺井 一郎君       岡田 宗司君    天田 勝正君       羽生 三七君    鬼丸 義齊君       下條 恭兵君    和田 博雄君       山下 義信君    細川 嘉六君       中野 重治君    岩間 正男君       鈴木 清一君    水橋 藤作君       千葉  信君    堀  眞琴君       姫井 伊介君    カニエ邦彦君       小泉 秀吉君    大野 幸一君       千田  正君    太田 敏兄君       藤田 芳雄君    羽仁 五郎君       伊藤  修君    青山 正一君       中平常太郎君    丹羽 五郎君       佐々木良作君    中村 正雄君       原  虎一君    若木 勝藏君       三木 治朗君    波多野 鼎君       木下 源吾君    門田 定藏君       駒井 藤平君    小川 久義君       岩男 仁藏君    鈴木 憲一君     —————————————  反対者(青色票)氏名      十名       赤木 正雄君    大屋 晋三君       川村 松助君    小林 英三君       寺尾  豊君    遠山 丙市君       加藤常太郎君    石坂 豊一君       池田七郎兵衛君    廣瀬與兵衞君      ——————————
  62. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第一、精神衛生法案中山壽彦君外十四名発議)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。厚生委員会理事藤森眞治君。    〔藤森眞治君登壇拍手
  63. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 只今議題となりました精神衛生法案は、本院厚生委員会全員並びに中山、谷口両議員の提出法案でありまして、一昨五日の厚生委員会におきまして中山壽彦議員より提案の理由及び内容の説明がありました。その審議の経過並びに結果について御報告申上げます。  先ず本案の提出理由及びその内容の大要について簡單に御説明申上げますると、現在精神衛生に関する法律といたしましては精神病者監護法と精神病院法の二つがあります。精神病者監護法は明治三十三年の制定にかかるものであり、又精神病院は大正八年に作られたものであります。前者につきましては制定されましてから五十一年間、後者につきましては制定後三十三年間、その間まだ一回も改正を見ずして今日に至つておるのであります。当時の精神病者の推定数は十万乃至二十万人と言われておりましたが、今日におきましてはその数が六十四万人に及び、尚今回の法案で、精神障害者として対象といたしました精神薄弱者及び精神病質者をも加えますると実に三百三十四万人乃至四百万人の多数になるのでございます。かようにして精神衛生の面における治療及び保護の対象が増加いたし、又精神医学もその間に急速の進歩をいたして来ましたにも拘わらず、これを規律する法律は未だに明治年間の衣を着たままであつたのであります。精神病者監護法は專ら精神病者の不法監禁を防止することを主たる内容とするものでありまして、題名は監護法でありまするが、実質は精神病者の監置法とも言うべきものであります。即ち精神病者を監置できる者を保護義務者に限つたことがその狙いであつたのでありまして、いわゆる座敷牢の制度を特定の者について合法化したものとも言えるのであります。併しこのような座敷牢制度の制限だけでは精神病者は救われないことは明らかでありまして、それから十七年後に制定された精神病院法は、精神病院を府県に設置し、犯罪傾向のある精神病者、身寄のない精神病者を先ず收容することといたして今日に至つたものでございます。この二つの法律によつて賄われて来ました精神衛生行政の現状を見ますると、現在全国における公立及びこれに代用される精神病院のベツド数は二万床を持つに過ぎません。欧米における施設は人口二百人乃至五百人に対して一ベツドの率で整備いたしておりますが、我が国の現状は人口四千人に対して一ベツドの率でありまするから、これを国際水準に比べますると未だその十分の一を満たすに過ぎないのであります。このベツド数の不足から、現在病院に收容することができず、座敷牢にある者の数は二千六百七十一人に達しておるのが実情でございます。健全な社会の発展のためには、身体に対する衛生と並んで精神衛生が不可欠であることは申すまでもございません。それは恰かも車の両輪とも言うべきものであります。ここに上程されておりまする精神衛生法案は、この立ち遅れ且つ取残されて来た精神衛生行政の車を一刻も早く前進させまして、心身共に健康なバランスのとれた国民社会が達成されることを願つておるものに外ならぬのであります。  次に本法案の大要について申上げますると、第一に、苟くも正常な社会生活を破壞する危險のある精神障害者全般をこの法案の対象として掴むことにいたしました。即ち従来の狭義の精神病者だけでなく、精神薄弱者及び精神病質者をもこれに加えたのであります。第二は、従来の座敷牢による私宅監置の制度を廃止して、長期に亘つて自由を拘束する必要のある精神障害者は、これは精神病院又は精神病室に收容することを原則といたしましたのであります。これがために精神病院の設置を都道府県の責任とし、又入院を要する者で経済的能力のない者については都道府県において入院措置を講ずることとし、国家はこれらの費用の二分の一を補助することにいたしましたのであります。第三は、医療及び保護の必要な精神障害者については、警察官、検察官、刑務所その他の矯正保護施設の長のように職務上精神障害者を取扱うことの多い者には通報義務を負わせる外、一般人は誰でもその医療保護が必要であるに拘わらず與えられざる者のなきように、国民のすべてが協力かる体制を作りたいと考えたのでございます。第四は、人権蹂躪の措置を防止するために、精神病院への收容に当つては真の病気以外の理由が介入しないように注意いたしました。即ち精神衛生鑑定医の制度を新たに設け、その二人以上の鑑定の一致することを病院收容の條件といたしたのであります。第五は、自宅において療養する精神障害者に対して巡回指導の方法を講ずる外、精神衛生相談所を設けまして、誤まつた療養による弊害を防止すると共に、更に進んで精神衛生に関する知識の普及に一段の努力を拂うことといたしました。第六は、精神衛生行政の推進と一層の改善を図るため精神衛生審議会を厚生省の附属機関として設置し、関係行政庁及び專門家の協力によつてこの法律の施行の万全を期することといたしました。以上が本法案の大要であります。  次に、本法案の審議に当りまして政府当局に要望した事項のうち、主なる点の二三について簡單に申上げますと、第一に、精神障害の原因、症状、治療、予防に関する調査及び研究のセンターとなり、併せて精神衛生に従事する職員の訓練を行うための国立精神衛生研究所の設置は予算措置ができるまで延期することになつているので、政府は明二十六年度予算にはこれに要する経費を計上してこの実現に努力されたい。第二には、兒童福祉法による精神薄弱兒の收容施設は全国にも極めて少く、又不完備であるので、本法によつても行われるよう取扱われたい。第三には、精神病院、指定精神病院等に收容しておりまする患者の処遇については、患者の人権を尊重し、安心して入院できるように十分配慮され、遺憾のないように嚴重に監督されたい。以上の要望事項に対しまして、政府当局からは、第一の点については、精神衛生研究所を設置することになれば非常に画期的な発展を見ることになりまするので、政府当局といたしましては、二十六年度には是非予算を確保して本法を完璧なものといたすべく努力するという回答がございました。第二の点につきましては、精神薄弱兒については兒童福祉法とも関連がありますので極力協力して行きたい。第三の精神病患者の処遇については、従来はよろしくないところもありましたが、最近では段々と改善されておりますが、更に本法の施行によつて今後とも尚一層監督を嚴重にして改善に努力したいとの所見の開陳があつたのであります。  又本法を実施するに当り必要な主たる経費は、精神病院並びに患者の入院に要するものでありまして、昭和二十五年度予算に計上中の一億八百九十三万五千円で凡そ本法の実施は可能なのであります。尚、精神相談所の設置に要する経費は現在特別に計上されてありませんが、これは運用によつて実施することにしてあります。従いまして本法施行に当つては、政府は細心の注意と最大の熱意を以て十分の効果を挙げるよう努力を拂われんことを強く希望したのであります。かくいたしまして、質疑を打切り、討論を省略して、直ちに採決に入りましたところ、原案通り全会一致を以て可決することに決定した次第でございます。  以上御報告申上げます。(拍手
  64. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立〕
  65. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  66. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第二、青少年飲酒防止法案姫井伊介君外二十一名発議)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。厚生委員長塚本重藏君。     —————————————    〔塚本重藏君登壇拍手
  67. 塚本重藏

    ○塚本重藏君 只今上程せられました青少年飲酒防止法案に関しまする厚生委員会における審議の経過並びにその結果を御報告申上げます。  本法案は本院議員二十二名の発議、百十六名の賛成署名を以て提出いたしたものであります。先ず提案の理由について御説明申上げます。  この法律は青少年の自党と克己並びに国民の理解と親切によりまして、青少年が飲酒に馴染まないようにすることによつて、その天分の素質を養護し、心身共に健全で優良なる国民を育てることを目的とするものであります。近時の社会情勢からいたしまして青少年の不良化乃至犯罪化の傾向が非常に悲しむべき状態にあり、その数又増加の一途を辿つておる点からいたしまして、この法律によつてその不良化、犯罪化を防止する必要があります。特に高度の文化国家を建設する途上にあることに鑑みまして、青少年の素質を天分のままに引伸ばして、この混乱せる日本の社会情勢を淨化することによつて文化国家建設の目的に即応せしめることは極めて緊要なことであります。これが本法案提出の理由であります。次にその内容について申上げます。第一は、現行未青年者禁酒法を廃止して、禁酒年齢を二十五歳まで引上げようとするものであります。但しこれを一挙に断行するのではなくして、この法律施行の際現に二十歳以上の者には適用いたしません。従いまして二十歳未勇の者から一年延びに順次適用し、実施後五ケ年を経過して初めて二十五歳以下の者全都に適用することになるのであります。尚この間、医師の指示により医療用として使用する場合、又は結婚の儀式用として使用する場合などは除外することとし、実施上に無理がないことにいたしたのであります。第二は、一般人に対しまして、青少年がみずから飲用することを知つて酒類を販売し、讓渡し、又は提供してはならないことを規定したのであります。  厚生委員会は三月十四日以来委員会を開くこと四回、又三月二十九日には公聽会を開催いたしまして、七名の公述人から賛否の意見を聽取する等、愼重なる審議をいたしたのであります。委員会におきまする質疑応答及び公聽会における賛否の公述の詳細は速記録を御覽を願うことにいたしまして、ここにはその賛否両論の主なるもの二三を紹介いたします。  先ず反対論としましては、第一、適量の飲酒は害とはならないのみならず疲労の回復等に効果的である。第二、二十歳になれば選挙権が與えられる等の点からして、すでに成人であるから、自制に委ぬべきで、法律強制すべきではない。第三、未成年禁酒法の施行が十分に励行されていない。これを二十五歳までにすれば、一層その取締が困難になる。実行不可能な法律を制定することは、立法の権威と遵法精神とを失墜する等であります。  次に賛成論といたしましては、第一、少量の酒を運用しても害とならない素質の人もありまするが、中には極めて少量でも害となる人もあります。アルコールは飲み癖が付きますると段々多量になり、当人の肉体及び精神に害を及ぼすに至る。のみならず子孫にも害を残し、又社会にも害を及ぼすに至る危險があります。第二、二十歳になれば選挙権が與えられるが、犯罪年齢は十四歳、結婚年齢は十八歳、被選挙権は二十五年以上であり、更に参議院議員及び都道府県知事の被選挙権は三十年以上であるように、能力年齢は対象によつて相違するものである。人間の成長期は、医学、心理学、生物学上から見て二十五歳までとされておるから、成長期間にある二十五歳までの者を酒害にかからぬように守ることが必要である。第三、従来未成年者禁酒法はまさしく履行されていない。これは政府当局の怠慢である。併しこの法律があるために、未成年者は酒を飲んではならぬことが今日国民の常識となつておるのである。そうしてその結果、有形無形に効果を挙げておることを認めなければならない。本法の履行が困難であり、法が守られないとするならば、軽犯罪法においても同様のことが言い得る。併しこれは文化国民の常識を示す法律として必要なのである。最近制定せられますところの幾多の法律のうちに、「努めねばならぬ」というような用語が多く用いられておることは、国民の良識に委ねる立法形式であります。本法の制定は、成立後において、警察の取締による効果よりも、国民の関心が高まり、強力な国民運動の展開による実効が期待される等であります。  委員会は四月四日の質疑を終了し、討論を省略いたしまして、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  以上御報告を終ります。(拍手
  68. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔起立者多数〕
  69. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。(拍手)      ——————————
  70. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程第三、旧軍港市転換法案、(佐々木鹿藏君外二十一名発議)、日程第四、保險業法案の一部を改正する法律案、(内閣提出衆議院送付)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員長木内四郎君。    〔木内四郎君登壇拍手
  72. 木内四郎

    ○木内四郎君 只今上程せられました旧軍港市転換法案並びに保險業法等の一部を改正する法律案の大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  先ず第一に旧軍港市転換法案について申上げます。  横須賀、呉、佐世保及び舞鶴の四都市は、軍港といたしまして終戰時まで発展して参つたのでありますが、終戰によつてこれら軍港市を支えておりましたところの経済的基盤が失われ、四市の市民の多数はその職場を奪われ、夥しい失業者を擁して、市民生活同情に堪えないものがあるのであります。これら軍港市の巨大な海軍の軍需品製造設備や港湾施設の一部には、関係方面と市当局の努力によりまして、若干の工場誘致を見たものもあるのでありまするけれども、その大半は依然平和産業のために活用せられず、今尚遊休施設として放置され、特に造船施設は旧軍港であるという故を以ちましてその作業は極度に制限を受け、転換活用を阻害いたしておる実情であります。そこでこの四市の軍港色を根本的に拂拭いたしまして、平和産業港湾都市として再出発させることが本案の目的としておるところでありまして、法案の主な点を申上げますれば、第一は、旧軍港市を平和産業港湾都市にふさわしいように建設する計画及び事業について、都市計画法及び特別都市計画法との関係を定めておることであります。第二は、旧軍港市転換事業の促進と完成とに対して、国及び地方公共団体の関係諸機関ができるだけ援助を與えなければならない旨の規定を設けておることであります。第三は、旧軍港市の都市計画又は特別都市計画の区域内にあるところの旧軍用財産の処分について特別の規定を設けておることであります。即ち旧軍用の土地、施設その他の財産を拂下げます場合には、旧軍用財産の貸付及び讓渡の特例等に関する法律によりまして、時価の二割以内の引下げができるのでありますが、本法律案におきましては、公共団体が医療施設、社会事業或いは引揚者の寮に供するとき、又は学校教育法第一條に規定する学校の用に供するときは、時価の五割以内の引下げができ、又代金支拂の延納の期間も三年となつておりますものを、最長十年まで延納の特約をすることができることにしようとするものであります。第四は、その処分の適正妥当を期するために、大蔵省に旧軍港市国有財産処理委員会を設けまして、その委員には、大蔵事務次官、建設事務次官、関係府県知事、旧軍港市の市長、関係各省の職員の外に、更に国会の承認を経まして学識経験者をも加えて、実情に適合したところの権威ある決定をなさしめんとしたことであります。第五は、本案による転換事業の実施の進捗状況を、事業の執行者は六ケ月ごとに建設、大蔵両大臣に報告し、内閣総理大臣はこれを国会報告しなければならないということになつておることであります。第六は、本案は憲法第九十五條にいわゆる一地方公共団体のみに適用される特別法に当りますので、本案の国会議決後、各市において住民投票に付さなければならない旨を明らかにしたことであります。  本案審議に当りましては、建設委員会、地方行政委員会と連合委員会を開催する等、愼重審議をいたしたのでありますが、その詳細は速記録に讓りたいと思います。かくて討論に入りましたところ、藤井委員より、この法案の趣旨には賛成であるが、国家の特別な援助を受けるのであるから、苟くも利権問題等の弊に陷ることなく、四市の経済再建に役立つように処理せられたいとの趣旨の賛成意見が述べられ、又油井委員、天田委員及び西川委員よりも、法の不備の点があれば、市民の協力によつてこれを補い、本法の精神を十分に生かすようにして実施せられたいとの賛成意見が述べられ、又波田野委員より、国有財産は国民の汗の結晶であり、国民全体の財産であるから、国有財産の価格体系を讓さないように注意し、十分責任を以て実施せられたいという意味の賛成意見が述べられました。採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に保險業法等の一部を改正する法律案について申上げます。  本案は、本邦の保險事業者及び外国の保險事業者の他会社の株式保有につきまして、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の特例を設けると共に、本邦の保險事業者と釣合のとれた條件の下に外国保險事業者の本邦における保險事業を規正するため所要の改正をいたそうとするものであります。  即ち改正の第一点は、保險会社の株式所有について、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用を除外し、内外保險会社が他の会社の株式を所有し又は貸付の担保として受入れ得る割合を百分の十といたしまして、保險会社の資産内容の健全性を保障しようとするものであります。第二点は、内外保險事業者の相互の国際的進出に伴いまして、保險契約者その他一般債権者の利益を保護するために、設立後三年未満で且つ最終の事業年度において利益を計上していない場合には、外国保險事業者については本邦への進出を禁止し、又本邦の保險事業者については外国において営業することを禁止しようとするものであります。次に、外国損害保險会社で本邦の損害保險会社に業務の代理を委託する場合は大蔵大臣を認可を必要とすること、又外国保險事業者に対しても現行損害保險料率算出団体に関する法律を適用いたしまして、本邦の保險会社と同様な会員資格を認めようとするものであります。第三点は、損害保險料率の公正なる算出を保障するために、その算出しようとする保險料率についても公聽会を開催させようとする外、改正諸規定の違反に対する所要の罰則を規定しようとするものであります。  本案審議の詳細は速記録に讓りたいと思います。かくて質疑を終局し、討論、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。  以上両案の御報告を終ります。(拍手
  73. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  先ず旧軍港市転換法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立〕
  74. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。(拍手)      ——————————
  75. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 次に保險業法等の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立〕
  76. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。(拍手)      ——————————
  77. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、議事の都合により日程第五、第六、第七を後に廻すことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。      ——————————
  79. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程第八、水路業務法案、日程第九、倉庫業法の一部を改正する法律案、(いずれも内閣提出衆議院送付)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。運輸委員会理事小泉秀吉君。    〔小泉秀吉君登壇拍手
  81. 小泉秀吉

    ○小泉秀吉君 只今議題となりました水路業務法案について、運輸委員会における審議の経過及び結果について御報告申上げます。  最初に本法案の提案理由について申上げます。その一つは、水路業務の成果は海上における安全確保の基礎的資料となると共に、港湾、沿岸土木工事、防災及び海洋の利用開発、更に地球物理学の調査研究に不可欠のものでありますので、水路測量の成果その他の海洋に関する科学的基礎資料を整備する必要のあることであります。その二は、我が国は総司令部の好意ある措置によりまして近くモナコの国際水路局に加盟の予定でありますが、加盟国は国内における水路に関する資料及び情報を提供交換いたしまして、航海の安全に協力しなければならないのであります。従いまして、これらの資料及び情報を入手し、これを公表するための基礎的制度を確立する必要のあることであります。現在水路業務に関する法律といたしましては、明治二十三年に制定されました水路測量標條例がありますが、この法律は新憲法の施行された今日において妥当性を欠く点が多いので、これを廃止いたしまして、前に述べました必要を満たすために本法案が提出された次第であります。  次に本法案の要点を申し上げますと、第一は、水路測量の基準を定めてその成果の国際的交換に資することとしたこと。第二は、海上保安庁長官に水路業務の成果の公表を義務付けると共に、これに関する資料又は報告要求の権限を定めたこと。第三は、水路業務の円滑な実施を図るため、水路測量標及び測量船の保護、海上保安庁職員の土地、水面への立入、障害物の除去の権能について定めたこと。第四は、水路業務の実施により海上保安庁の刊行した海図、水路誌、潮汐表、燈台表等の水道図誌は海上保全の指針でありますので、これらの複製類似刊行物について制限したこと。第五は、この法律に基く海上保安庁長官の処分に対して訴願の途を開き、又必要な罰則を設けたことであります。  本委員会において審議いたしましたところ、海上保安庁長官の承認又は許可を受けないで海上保安庁の刊行いたしました水路図誌の複製又は類似刊行物の発行をした者について罰則の規定があるのでありますが、水路図誌の保護の万全を期するため、法人の代表者、又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その業務に関しましてかかる違反行為をいたしました場合においては、行為者のみならず、その法人又は人に対しても罰則を適用するいわゆる両罰規定を設ける修正案が提出されました。本委員会はこの修正案に基きまして審議いたしましたところ、衆議院送付案は修正案の通り修正可決すべきものと全会一致を以て決定した次第でございます。以上御報告申上げます。  更に倉庫業法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審議の経過及び結果につきまして御報告申上げます。  現行倉庫業法昭和十年に制定されたものでありまして、その内容は倉庫証券の発行についての取締規定であります。従いましてその規律の対象も発券倉庫業者に限定されておるのであります。然るに終戰後におきまして倉庫証券を発行しない倉庫業者が著しく増加いたしましたが、現行倉庫業法の規律の対象とならず、自由放任の状態に置かれておりますので、重要物資の保管に不都合な事情が生じて参りました。このような事情を背景にこの法律案は提出されたのでありまして、その主なる点を申上げますと、その一は、倉庫証券の発行の有無に拘わらず、倉庫業者に対して倉庫の施設や経営について届出義務を課しまして、倉庫業の実態把握を図つたこと、その二は、倉庫の施設や経営に著しく不都合な点がある場合に、政府がこの改善に関しまして公聽会にかけましたる上必要な措置を講じ得ることとしたことであります。  本委員会におきましては審議を重ねまして討論に入りましたところ、本法案の運用に関しまして次のような要望意見が述べられました。即ちその一は、前に申述べました本法案の趣旨に鑑みまして、特定の業者を保護したり又は既存業者に対しまして不当に不利益を與えないよう十分に注意をすると共に、倉庫の施設や経営に関する政府の命令によりまして、業者が不測の損害を蒙むらないように、本法案に基く政令、省令を十分に承知し得るよう親切な措置を講ずること、その二は、倉庫の不正利用を阻止し得るような措置を講ずること、第三は、本法案の施行に伴い事務量が増加するものと思われるが、増員を避けて既定の経費で賄うように努力することなどであります。次に本法案の採決に入りましたところ、本法律案は原案通り全会一致を以て可決すべきものと決定した次第でございます。  以上御報告申上げます。(拍手
  82. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  先ず水路業務法案全部を問題に供します。委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立〕
  83. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て委員会修正通り議決せられました。      ——————————
  84. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 次に倉庫業法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立〕
  85. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。  議事の都合により暫時休憩いたします。    午後三時五十三分休憩      ——————————    午後四時五十七分開議
  86. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。  この際、日程第五、公職選挙法案、日程第六、公職選挙法の施行及びこれに伴う関係法令整理等に関する法律案、(いずれも衆議院提出)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。選挙法改正に関する特別委員長小串清一君。    〔小串清一君登壇拍手
  88. 小串清一

    ○小串清一君 只今一括上程になりました公職選挙法案並びに公職選挙法の施行及びこれに伴う関係法令整理等に関する法律案につきまして、選挙法改正に関する特別委員会における審議の経過並びに結果について御報告申上げます。  その前に本委員会における選挙法改正に関する調査について一言申上げます。本委員会は昭和二十四年十二月五日選挙法改正に関する調査のために設置されたものでありまして、前国会の委員会において作成をいたしました選挙基本法案の要綱について調査を継続し、概ねその調査を完了いたしまして、その要綱に基きまして選挙法改正案の立案に着手する段階に到達いたしたのであります。ところが一方衆議院におきましても本院同樣に特別委員会を設置して、選挙法改正に関して調査をいたしておりまして、同委員会はその調査の結果、公職選挙法案要綱を作成しておりましたので、当委員会においてもその内容を比較検討をいたしたところ、本委員会の選挙基本法案要綱とその内容において極めて接近しておりますので、法案の発議は衆議院の委員会に讓りまして、当委員会は調査の結果をできるだけ同案に盛り込むようにいたしまして、数次の折衝を経た後、衆議院において本法案等の発議なつたのであります。  次に公職選挙法案の内容について申上げます。本法案は、衆議院議員、参議院議員、地方公共団体の議会の議員及び長並びに教育委員会の委員の選挙に適用するもので、十七章二百七十三條からなる厖大なる法案であります。その第一章は総則でありまして、公職選挙法案全体に通ずる総則的事項を規定しており、公職選挙法制定の目的を「日本国憲法の精神に則り、衆議院議員、参議院議員、地方公共団体の議会の議員及び長並びに教育委員会の委員を公選する選挙制度を確立し、その選挙選挙人の自由に表明せる意思によつて公明且つ適正に行われることを確保し、もつて民主政治の健全な発達を期することを目的とする。」と、かように明示しまして、その他、法律の適用適囲、定数等を規定しております。第二章は、選挙権及び被選挙権を規定いたし、現行法の建前を踏襲いたしております。ただ選挙権について、地方公共団体の議会の議員及び長並びに教育委員会の委員の選挙権の居住要件を、現行法の「六ケ月以来市町村の区域内に住所を有する者」とありますのを「三ケ月に短縮し、更に準禁治産者及び選挙犯罪以外の犯罪による刑の執行猶予中の者にも、選挙権、被選挙権を與えることに改めたのであります。第三章は選挙に関する区域について規定しておりまして、現行法の建前と大して変りはありません。第四章は選挙人名簿に関する規定でありまして、各選挙を通じて基本選挙人名簿と補充選挙人名簿を調製することとし、特に船員に対しては、その職業の特殊性から、できるだけ投票し得るように基本選挙人名簿の特例を規定いたしております。第五章は選挙期日に関する規定でありまして、現行法と大差ありませんが、衆議院議員の任期満了による総選挙の期日を、参議院議員の通常選挙と同樣に、原則として任期の終る日前三十日以所に行うということに改めております。第六章は投票についての規定でありまして、大体現行法と同樣でありますが、文盲者に代理投票を認めて、自書主義の制限を緩和し、監獄若しくは少年院に收容中の者に不在者投票の途を開いて、多年問題となつていた懸案を一挙に解決いたしております。第七章は開票、第八章は選挙会及び選挙分会についての規定であり、第九章は公職の候補者の立候補に関する規定であります。公職の候補者の立候補の場合に供託金の額を、衆議院議員、参議院議員、都道府県知事は三万円とし、その他の選挙の場合におきましても、その額を高め、又公営費用二万円を分担することといたし、従来衆議院議員の選挙の場合に採用されて来た公務員の立候補制限の制度を各選挙に採用いたしております。第十章は当選人、第十一章は特別選挙、第十二章は選挙を同時に行うための特例でありまして、現行法と大差はありません。第十三章は選挙運動に関する規定であります。而して本案におきましては、従来よりも選挙公営を拡大いたして、衆議院議員、参議院議員及び都道府県知事等の選挙において、無料葉書、ポスター用紙、新聞広告、放送、交通機関の利用、経歴の公報、氏名掲示表、立会演説会等を公営で行い、又は経費の負担が公営で行われる旨を規定いたしております。尚、文書図画の頒布又は掲示につきましては最小限度の制限をいたしております。併しながら演説につきましてはでき得る限り自由といたし、立会演説会の代理回数を増加し、個人演説会及び街頭演説を自由とし、これらの演説は第三者におきましても自由にでき得ることといたしております。新聞雑誌につきましては、その報道及び評論の自由を尊重する規定を設けております。戸別訪問についても原則としては禁止しておりますが、候補者に限つて、親族、平素親交の間柄にある知己、その他密接な間柄にある者を訪問することは自由といたしたのであります。次に、第十四章は選挙運動に関する收入及び支出並びに寄附に関する規定であります。これは現行政治資金規正法中にありました公職の候補者に関する規定を選挙運動に関する費用規定と共に本法案中に一括したものであります。第十五章は争訟、第十六章は罰則の規定でありますが、特に申述べることはなく、現行法と殆んど同樣であります。第十七章は補則でありまして、議員及び委員の任期の起算、選挙費用の国及び地方公共団体の負担区分を明確にする等、補則的事項について規定をいたしてあります。  以上公職選挙法案の内容に関する極めて概略を申上げたのでありますが、次いで本委員会における審議の経過の詳細につきましては速記録に讓りまして、その主要なものについて少しく申上げます。この法案について次の諸点の質疑が行われました。第一点は、選挙に際して検察官、警察官吏等の取締について、第二店は、参議院議員選挙における供託金の沒收率及び法定得票率について、第三点は、同時選挙の場合における重複立候補禁止について質疑がなされました。第四点は、公務員の立候補制限に関して、公選せられた知事及び五大市の市長がその任期満了前に自発的に離職して立候複する場合の制限の必要について、第五点は、地方公共団体の議会の議員が在職中、他の地方公共団体の議会の議員の立候補及びその兼職禁止について、第六点は、参議院全国選出議員の選挙の場合に、一都道府県に設置する事務所又は掲示するポスターの数につきまして、第七点は、参議院全国選出議員の選挙の場合のポスターの検印について、活溌なる質疑が行われたのであります。第八点は、文書図画の頒布又は掲示の禁止を免れる行為の制限規定中「主として」を加えるべきことについて、第九点は、参議院全国選出議員の交通機関の利用につきまして、第十点は、選挙費用の支出において、公職の候補者又は出納責任者と意思を通じないでする支出の制限の必要について、第十一点は、選挙事項の周知及び棄権防止の啓蒙宣伝に要する費用について質疑がなされたのであります。第十二点は、参議院地方選出議員の定員を増加することにつきまして、第十三点は、本法案を実施するに当つての予算との関係について、第十四点は、参議院議員の在任期間を異にする合併選挙の場合の繰上補充につき、第十五点は、教育者の地位利用の選挙運動について、本法案のごとく教育者のみに限定すべきでなく、何人も学校の兒童、生徒及び学生で年齢二十年未満の者に対して教育上特殊の関係ある地位を利用して選挙運動をすることができないことと規定する必要について、各委員より熱心な質疑がありまして、それぞれ答弁があつたのであります。  かくして討論に入るに先立ち、各委員の共同提案になるところの修正案が提出せられました。今これを朗読いたすのでありますが、少し長くなりますので、各議員諸君の文書函にこれが配付しており、すでに御覽になつたことと思いますので省略させて頂きます。  続いて討論に入りましたところ、修正案については、出席委員の全員が賛成の意を表されまして、その修正部分を除く原案に対しましては、中川、鈴木、小林の各委員より賛成の意見開陳があり、羽仁、太田、姫井、來馬、兼岩各委員よりそれぞれ原案に反対の討論がありまして、直ちに採決に入れましたところ、修正案については出席委員全員を以て可決し、修正部分を除く原案については多数を以て可決し、ここに本案は修正議決せられた次第であります。  以上で公職選挙法案に対する御報告を終りまして、次いで公職選挙法の施行及びこれに伴う関係法令整理等に関する法律案についての御報告を申上げます。  本法案は、公職選挙法の施行によつて廃止すべき法令及び関係法令にして整理を要すべきものについて整理すると共に、公職選挙法の施行及び関係法令の整理に伴う経過事項を規定したものであります。即ち関係法令の整理については、政治資金規正法、地方自治法、教育委員会法、刑事訴訟法施行法、最高裁判所裁判官国民審査法、農地調整法、漁業法、地方自治法の一部を改正する法律、検察審査会法、全国選挙管理委員会法等、以上十法律の一部改正を行い、廃止法令については、衆議院議員選挙法、参議院議員選挙法その他の法令十七件の廃止を規定したものであります。更に公職選挙法の施行に伴う経過規定において、従前の選挙の効力について、現任の議員及び委員の選出について行われた選挙は、公職選挙法によつてなつ選挙とみなす等、必要な各種の事項を規定いたしております。  本案に対する質疑におきましては、公職選挙法案との関連において、いろいろの質疑が行われました。而して討論に入るに先立ち、公職選挙法案に対する修正に関連する部分について、各委員共同提案になる修正案が提出せられました。それを朗読するのでありますが、前の公職選挙法案におけると同じに、これも各位の文書函に配つてありますから、これを省略さして頂きます。而して討論に入りましたところ、別に御発言もありませんため、直ちに修正案及び修正部分を除く原案につき採決に入りましたところ、それぞれ多数を以て修正案及び修正部分を除く原案について可決し、ここに本案は修正議決せられた次第であります。以上二案について御報告を申上げます。  尚、本法案は第五国会以来約一ケ年を費しまして、ここに結論を見るに至りました。この際、前委員長柏木庫治君、小川久義君を初め各委員諸君の非常なる御努力に対してここに感謝いたして、この報告を終りたいと存じます。(拍手
  89. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 討論の通告がございます。発言を許します。來馬琢道君。    〔來馬琢道君登壇拍手
  90. 來馬琢道

    ○來馬琢道君 本員は公職選挙法案反対する主なる理由を申上げます。  第百四十七條のポスター処理の規定が殆んど不可能のことを都道府県市町村選挙管理委員会に要求したものであるという点であります。従来選挙当日に限り、投票所の入口から三町以内の区域に選挙事務所を置くことを禁じたる精神に従い、且つ昭和二十年十二月十七日内務省令第三十二号、衆議院議員選挙運動取締規則第三條第三号に、選挙の当日に限り、演説会場表示用の張札、立札看板、演説会告知用の文書と雖も投票所の入口より三百二十七メートル(約三町)以内の区域において頒布、貼付、掲示することを得ずと定めたる精神により、約三町を今回は約一町と改め、これを法律で定めたものである。この三町云々は従来適当の規定と思われ、各候補者及び当時の責任者たる選挙事務長は、これを実行するために真夜中から天明までの間に事務所を移転し、立札を撤去し、ポスターを剥ぎ取る等少からざる苦心と労力を費したものであります。然るに本法案においては三町を一町に縮め、すでに掲示したポスターを短時間内に撤去することを選挙管理委員会に命ずるのである。これは管理委員会には非常な重荷になつて、若し人通りの多い人家櫛比の所、例えば浅草雷門の区役所の辺のごとき場所であれば、各候補者が五枚でも十枚でも貼付け、且つ近頃は強靱な糊で貼付けるから、地方区においては勿論、全国区に仮に二百人の候補者が出ると見て、五十人が五枚ずつ貼るとすると数百枚に達することがないとも言えない。これを深夜作業で剥ぎ取るのは容易の業でない。全国選挙管理委員会連合会が本法案に対し修正の陳情をなし来たつたのは無理もないことであります。よつて本員は委員会において二三の修正説を述べておる。即ち「選挙場の入口から約一町以内の所には一人五枚以上掲示してはならない」。これはもつと数を減らしてもいいと思います。「各候補者は張札の撤去につき選挙管理委員会に協力しなければならない」等の條文を第百四十七條の第三項に加えることを提案したのであるが、衆議院の方では、これらの義務を選挙管理委員会に嫁してしまう方針で、到底同意を得られないという委員諸君の観測であつたから、本員は修正案を見合せたのであります。然るに採決の時期に近付くに従い、委員は、本條の明文は初めからその地域内の枚数を制限しなければならぬ、そうでなければ必ず争訟の基となり、收捨できないことになることをますます憂うるに至つたのであります。換言すれば、この点、本法案は不備である。これが本案に反対する第一の理由であります。  第二に、本法案の不備なりと思うことは、参議院全国区議員選挙と、他の公職の選挙とを同一の法律を以て規定することは根本観念において誤まつているという点である。言うまでもなく、我が参議院の組織は世界に例のない制度であつて、殊に全国区の選挙は最も特色のある規定である。即ちすでに全国の同業者等の間に、その人格、学識、技能等が知られている人が立候補して当選を争い、全国の有権者も、平素予め得たる知識により判断して投票するのを根本観念とするのである。昭和二十二年の第一回の選挙において、一部の人が、選挙人が無関心だから当選者が定員に達しないだろうと言つていた憂を裏切つて、極めて適当な人物を参議院に送られたのである。然るに本法案を通覽するに、都道府県市町村内の選挙運動し、この特異性ある全国区議員とを同一の方法選挙を行わせようとするので、例えば法定運動費は非常に多額に定められ、候補者及び運動員は全国を駈足で運動して廻るべきものなりと指示してあるごとく、いわゆる八当五落の標語が夢に非ずして現実なりとあつては、かかる困難なる運動の結果当選した人が如何にして政治活動を続けるかを考えるとき、甚だ寒心に堪えない。本員は、本法案の根本観念を改め、国家の待望する人物を選出する途を講じたいと思う。即ち参議院全国選出の議員選挙に関する法律は大改善をなす要あり。本案はこの点不完全である。よつて反対するのであります。  第三に、目下来たるべき六月選挙に先立ち、次官、局長級の人材が続々辞職して立候補するようであり、折角当選した知事、市長等を中途辞任して、その地方を主たる地盤として立候補する者もあるやに聞いている。これはその人の自由であるが、行政面に進出して多年の知識経験を積んだ官吏が、参議院全国選出の途が開けたことを立身の捷径なりと心得て、この方面に転進する傾向を示したことは、参議院議員選挙規定が、何か有能の官吏を参議院に赴かしむる欠陷といつては誤弊があるかも知れないが、これがあるのではないか。これは今少しく研究しなければならないと思う。只今委員長の報告中にも触れられましたが、この問題については、或る種の公職に対し、辞任後六ケ月を経過しなければ立候補できないことにしようという修正案も出たが、本員はこれら枝葉末節でなく、一層高い所から改正せねばならぬと思う。これが本案に反対する第三の理由であります。  本員は、本法案に対し他の委員諸君の主張をも参酌して修正案を提出する用意もないではなかつたが、審議の中途からこの委員に加わつたため、前に述べたような大修正を企画する余裕もなく、又今日においては行われないこととも思う。よつて欠点多き法律として委員会の議決に従わんとも考えたが、審議終局の現状に鑑み、最も近き次の機会に改正せらるべき準備として、この反対意見を述べるゆえんであります。(拍手
  91. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。両案全部に対する討論は終局したものと認めます。  参事をして報告をいたさせます。    〔海保参事朗読〕 本日議員から左の修正案を提出した。  公職選挙法案に対する修正案(羽仁五郎君発議
  92. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、羽仁五郎君提出の修正案の趣旨説明を求めます。羽仁五郎君。    〔羽仁五郎君登壇拍手
  93. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 御承知のように、只今議題となつておりまする選挙法は選挙基本法としての性格を持つております。その意義を十分に認識せられて、衆参両院の委員会においては愼重審議を盡され、殊に我が参議院の選挙法改正特別委員会の委員長は非常な努力を拂われて、先程御報告になりました結果に到達せられたのであります。併しながら我々参議院の使命を考え、そうして又今議題となつておりますものが選挙基本法であるだけに、今まで到達せられました結果の中で、どうしてもこれは我々として反対せざるを得ない、従つて修正の必要を感ずるという約六つの点について修正案を提出いたしまして、多数の皆樣の御賛成を得たいと思いますので、その趣旨を説明することを許されたいと考えるのであります。  不幸にして我々日本国民は、従来我我国民生活を政治の方法によつて改善するという体験を持つたことがありません。これは歴史的に考えて見ますと、旧議会がいわゆる立憲制度の上に立ちながらその実権を持たなかつたことに最大の原因があつたのであろうと考えられます。従つて真実の実権を持たない議会の議員の選挙であるために、日本には久しく選挙腐敗の悪習慣が成立してしまつてことは皆樣の御承知通りであります。ところが現在新憲法によつて我が国会は旧議会とは全く異つて、いわゆる人民主権の上に完全なる実権を持つたのであります。然るに今国会が完全なる実権を持つたにも拘わらず、過去において養われた選挙腐敗の悪習というものが今日まだその跡を絶たない。その結果、本日も不幸にしてその実例を見ましたような、現在の国会においても国民の期待を周分に発揮することができないで、却つて国民の失望を買う。併し若しもこの新らしい国会国民の失望を買うということになるならば、その結果が如何に恐るべきものであるかということは諸君も十分御承知のところであります。国会に対する国民の信頼が失われるならば、それは除々にフアシズムの成立を助けるものに外ならない。その意味において、我々は国民の期待を裏切らざる国会を作らなければならない。現在諸君の前に問題となつている新らしい選挙法の制定は、実にかような重大な使命を持つているのであります。いわゆる世人はしばしば国会を批評し、又議員を非難いたしております。併し一定の選挙法が一定の議員を選挙するのであります。選挙法の性格によつて必ず一定の議員が選挙されるのであります。ここに選挙法の重大な意義がある。又選挙法改正の重大な意義があると考えます。遺憾ながら現在選挙法はかかる意味において世人の関心事となつていない。そのために選挙法の真実の改正が容易でありません。国家に対し、議会に対して不満を抱く前に、一般大衆は選挙法を問題とすべきなのであります。旧帝国日本選挙法と新らしい民主主義日本選挙法と、そのあり方はどこが違わなければならないか。参議院の選挙法改正委員として委員会の討議に参加すること約一年、その間、僕の痛感したことは、ただこの一事であります。旧帝国日本選挙法の観念が残つておる限り、新らしい御主主義の国会と議員とは選出されないのであります。旧帝国日本選挙法と新らしい民主主義日本選挙法と、そのあり方の違いはどこにあるか。旧帝国日本選挙法は一種の警察法でありました。それは官僚が国民選挙を如何に取締るかの法でありました。従つて、それは何よりも取締に便宜のようにできていたのであります。併し取扱を以て断じて優秀なる議員が選出されなかつたことは、事実がこれを証明しております。僕は個々の先輩議員を非難しようとするものではありません。旧帝国議会が、軍閥、官僚、財閥に膝を屈したことを指してかく言うのであります。新らしい民主主義の日本選挙法は、断じて警察法の一種のようなものであつてはならない。新らしい民主主義の日本選挙法は、国民の最高の政治的自由の発揮である選挙の自由を保障する法でなければならない。現在改正されようとしておる選挙法は、悲しいかな、旧選挙法の色彩を多分に存しております。旧選挙法をこの程度にしか改正し得ないことについて、僕自身その微力を謝さなければならないのでありまするが、幸いにして、只今から御説明申上げる修正案が多数の諸君の賛成を得て、どうか新らしい選挙法がその名にふさわしいものになることを心から懇願する次第であります。  その第一点は、新らしい選挙法によつて刑務所におり人々の選挙権をも尊重することになつたことは誠に喜ばしいのでありますが、その際、警察に留置されておる人の選挙権というものが尊重されなければならない。それがお手許に配付されております一部修正案の第四十八條に関する修正の趣旨であります。  第二は、これは最も重要な点でありまして、御承知のように現行法においては、何人も教育上の地位を利用して未成年者を選挙運動に使用してはならないということを規定しております。この法の疑うべからざる要点は、未成年者を不当なる選挙運動から保護するということにあつたのであります。然るに只今提案されております公職選挙法案においては、教育者が教育上の地位を利用して学生を選挙運動に用いてはならないということになつております。これは現行法の精神とその立法の精神を全く異にしておる。こういう公職選挙法が若し通過するならば、現行法で禁止しておるような未成年者を何人と雖も選挙運動に利用してはならないという禁止はなくなつてしまつて、誰でも未成年者を選挙運動に使つて構わないということになるという点、それから次に、その中で特に教育者のみを、教育者が学生の選挙運動の援助を受けるということを禁止するという不公平な状態が発生するということ、そうして第三には、学生の中には、未成年者でない、成年者がありこの成年者である学生は十分の政治的判断を持つて、完全な政治的権利を行使し得べきであるに拘わらず、これが制限されたという点、以上三つの点は、全く現在提出されている公職選挙法案というものに、何人と雖も賛成することができないのであります。従つて私は、この公職選挙法案の第百三十七條は現行法の通りに戻すべきであると諸君に訴えたいと思うのであります。  第三は公職選挙法案第百四十六條の第一項についてであります。選挙期間中において、著述、演芸等の広告において、ポスター、文書などの制限を免れる行為として、主として候補者の氏名を掲げることを禁止する、これは現行法でありますが、公職選挙法案においてはその現行法の中の「主として」という文字を削られたのであります。これは技術的にはこの「主として」という字は必ずしも必要ではないのでありますが、併しこの「主として」という字が削られたために、現在一般に従来許されていたことも許されなくなるのではないか。つまり従来は明瞭に文書図画の制限を免れる行為として著述、演芸の広告をしていたことは禁止されたんだが、今度は新らしい法律において、選挙中は凡そ著述、演芸の広告に候補者の氏名を掲げることが禁止されたのではないかという疑いを受けて、又一般にそう理解される。又事実において現場の取締などにおいては、そういうような不当な制限が行われる憂いが多分にあるのであります。従つてこれも現行法の通りに「主として」という字を入れて置くのが親切であり、且つ妥当であると考えるものであります。  それから第四は、公職選挙法案第百四十八條の第一項でありまして、これは新聞の自由に関する條項であります。これは御承知のようにしばしば輿論の批判を受けて、新聞の自由というものをそこにお認めになつたのでありますが、そのあとに但書を附けて、そしてその新聞の自由が濫用されることを禁止されようとしているのであります。併しながらこの新聞の評論の自由の濫用に対しては、他に法律があり、又その規定があるのでありまして、これを選挙法の中に持つて来る必要がない。又持つて来るために選挙の間における新聞の自由というものが、場合によつては不当に著しく制限される虞れが多分にある。従つてこの但書は削除せらるべきものである。  第五は、又その問題に関して第二百三十五條の第二項というものも必要がない。これは選挙という政治的自由が最大限に発揮せられることを選挙法の中においては期待すべきであつて、これに対して他の法律で十分行い得るような取締の規定を持つて来るべきではないという理由によります。  第六は、第二百三十三條に次の一項を加える。即ち選挙管理委員会が、選挙のときだけでなく選挙選挙との間におきましても、選挙事項の周知及び棄権防止のために啓蒙宣伝を行う、これに対する費用を国から支出すべきである。これは選挙管理委員会からの熱心な希望に基くものでありまして、且つ又選挙管理委員会がその新らしい使命を十分に発揮せられる上に、選挙管理委員会の機構が充実することを希望するからであります。これに対する費用というものは若干の費用が必要でありますが、併しこれによつて国民の政治教育が徹底し、それによつて得るところの利益は、支出するものに比して遥かに大であると考えるので、この費用が支出されることが望ましいと考えるのであります。  最後に、第二百七十條第二項及び第三項を削除せられたいという理由は、この二百七十條の第二項及び第三項は、現に療養所において療養をしておられる方々のその療養所をその住所と認めないというのが第二項であります。そうして第三項において、この第二項はその人々の選挙権の行使を制限するものではないという規定を置いておるのであります。これは誠にこの規定の上からも曖昧な規定でありまして、第二項においてその選挙権の行使を制限し、第三項においてそれを制限するものではないというような、二項、三項というものはその意味が全く明らかでない。これは何が故にこういう第二項、第三項が設けられたのか、その推測をすることはここに差控えますが、療養所に療養しておる人々の選挙権の行使というものを完全に認めるべきことは当然であつて、これに対して法律を以て不当な制限を加えるということは許すべからざることである。この点については全国の療養所の諸君から陳情請願が委員会にも多数に参つておるのでありまして、殊に心身を傷いて療養しておられる諸君に対して、その選挙権を不当に制限するようなことは我が新らしい選挙法の中で行わるべきでないと考えて、この修正案を提出する次第であります。  以上修正案提出の理由の説明を終りたいと思うのでありますが、最後に一言を許されたいと思いますことは、本日この議場において行われた実に悲しむべき事件、こうした事件を根絶するために、どうか理想的の選挙法を作つて頂きたいということと、それから次には、我々が占領下において国民生活の安全と幸福とを守る責任を持つておるのでありますが、併しその占領下において、我が国会に特に許されておるところの最大限の自由というものを、私共は最大限に利用しなければならない責任が国民に対してあると考えるのであります。どうか以上の理由によりまして、この修正案が多数の諸君の賛成を得て、我々が新らしい選挙法において特に我々参議院の使命を発揮せられんことを懇願する次第であります。(拍手
  94. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  先ず羽仁五郎君提出の公職選挙法案に対する修正案を問題に供します。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔起立者少数〕
  95. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 少数と認めます。よつて本修正案は否決せられました。      ——————————
  96. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 次に委員会提出にかかる公職選挙法案に対する修正案を問題に供します。本修正案の表決は記名投票を以て行います。本修正案に賛成の諸君は白色標を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上御投票を願います。氏名点呼を行います。議場の閉鎖を命じます。    〔議場閉鎖〕    〔参事氏名を点呼〕    〔投票執行〕
  97. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 投票漏れはございませんか……投票漏れないと認めます。これより開票いたします。投票を計算いたさせます。議場開鎖を命じます。    〔議場開鎖〕    〔参事投票を計算〕
  98. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 投票の結果を報告いたします。投票総数九十九票、白色票即ち本修正案を可とするもの九十一票、青色票即ち本修正案を否とするもの八票、よつて本修正案は可決せられました。(拍手)      ——————————   〔参照〕  賛成者(白色票)氏名      九十一名       赤木 正雄君    阿竹齋次郎君       安部  定君    飯田精太郎君       岡部  常君    岡本 愛祐君       河井 彌八君    木下 辰雄君       伊達源一郎君    玉置吉之丞君       穗積眞六郎君    堀越 儀郎君       町村 敬貴君    矢野 酉雄君       伊藤 保平君    井上なつゑ君       小野  哲君    中山 壽彦君       鈴木 直人君    竹下 豐次君       高瀬荘太郎君    小林 英三君       野田 俊作君    波多野林一君       一松 政二君    岩本 月洲君       島津 忠彦君    池田宇右衞門君       横尾  龍君    中川 以良君       寺尾  豊君    加藤常太郎君       城  義臣君    淺岡 信夫君       西川甚五郎君    大島 定吉君       黒田 英雄君    平沼彌太郎君       石坂 豊一君    柴田 政次君       石原幹市郎君    松野 喜内君       佐々木鹿藏君    藤井 新一君       深水 六郎君    平岡 市三君       藤森 眞治君    中川 幸平君       小林 勝馬君    竹中 七郎君       林屋亀次郎君    廣瀬與兵衞君       小串 清一君    大隈 憲二君       大隈 信幸君    門屋 盛一君       中井 光次君    油井賢太郎君       木内キヤウ君    島田 千壽君       吉田 法晴君    木内 四郎君       谷口弥三郎君    田中 利勝君       境野 清雄君    岩木 哲夫君       大畠農夫雄君    島   清君       淺井 一郎君    岡田 宗司君       天田 勝正君    羽生 三七君       鬼丸 義齊君    椎井 康雄君       太田 敏兄君    カニエ邦彦君       千田  正君    藤田 芳雄君       伊藤  修君    青山 正一君       中平常太郎君    丹羽 五郎君       佐々木良作君    中村 正雄君       原  虎一君    若木 勝藏君       三木 治朗君    木下 源吾君       小川 久義君    岩男 仁藏君       鈴木 憲一君     —————————————  反対者(青色票)氏名      八名       細川 嘉六君    中野 重治君       岩間 正男君    鈴木 清一君       水橋 藤作君    千葉  信君       堀  眞琴君    羽仁 五郎君      ——————————
  99. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 次に只今可決せられました修正の部分を除く公職選挙法案の残り全部を問題に供します。残り全部に賛成の諸君の起立を求めます。    〔起立者多数〕
  100. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて残り全部は可決せられました。従つて本案は修正議決せられました。(拍手)      ——————————
  101. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 次に公職選挙法の施行及びこれに伴う関係法令整理等に関する法律案を採決いたします。委員長の報告は修正議決報告でございます。委員長報告通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔起立者多数〕
  102. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数と認めます。よつて本案は委員会修正通り議決せられました。      ——————————
  103. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第七、別府国際観光温泉文化都市建設法案衆議院提出)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。建設委員長中川幸平君。    〔中川幸平君登壇拍手
  104. 中川幸平

    ○中川幸平君 只今議題となりました別府国際観光温泉文化都市建設法案について、建設委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  本法案は、国際文化の向上を図り、平和理想を達成すると共に、観光温泉資源の開発によつて経済復興に寄與するため、別府市を国際観光温泉文化都市として建設することを目的とするものであります。その要旨は、国際観光温泉文化都市にふさわしい諸施設の計画と、その事業及びこれに対する国、関係地方団体の援助並びに国が本建設事業の用に供する国有財産の讓與に関するもの等であります。本委員会は提案者から提案理由の説明を聽取し、各委員と提案者及び関係政府当局との間に熱心なる質疑応答を重ね、又地方行政委員会との連合委員会を開いて愼重なる審議をいたしたのであります。委員会及び連合委員会における審議の詳細については速記録によつて承知を願い、ここには質疑応答の主要なるものを御紹介いたします。  本建設事業に対する別府市及び大分県の財政上の負担、国庫からの助成要求額並びに第四條に規定する国有財産の具体的内容如何との質問に対して、地元は相当の課税、負担を覚悟しておる。又予算措置は別としても、本法の制定によつて起債の枠を認められれば、その意義がある。又国有の普通財産として現在別府市にあるものとしては、一、旧軍用地として石垣原演習地六十万坪、この土地は二十年程前に別府市が九万円で国に売渡したもので、将来軍用を廃するときは同市に買受価格で売戻す契約があるものである。(「簡單にやれ」「簡單」と呼ぶ者あり)二、鉄輪所在国有地六千坪、この土地は亀川海軍病院分院用地として別府市某有志より寄附したものである。三、鮎返りダム及び上水道配水施設、これは昭和二十一年連合軍專用として施設せられ、後、国有となり、現在は市において国の委託により管理中のものであるとの答弁がありました。次は、国の援助の内容如何。国庫から多額の補助を要求するものであるか。又他の戰災都市、他の観光地に対しても同様に特別の助成を必要とするに至ることは考慮を要するところであるとの質問に対しては、別府市にはすでに相当の施設が整つており、今後の助成はそれぞれ所定の手続によつて行われるものであるとの答弁でありました。  本法案審議に当つて最も問題となりました点は、この種特定の地区に対する法案を制定する特別の理由及び本法が成立するときは、他の諸都、市がこれに追随して底止するところなきに至ることはないか。又全国に百二十五に上る戰災都市の復興も十分に進捗せず、昨年計画の縮小を余儀なくせられた状況から見ても、ひとり別府市に対して特別の助成をすることは、他の戰災都市に影響せざるを得ないのではないかとの諸点でありました。  委員会は建設大臣の出席を求めてその意見を求めましたところ、この種法律国会を通過した場合、国会意思を尊重し、観光事業はその重要性を認めるところであるが、一面戰災都市の復興は鋭意努力するところで、別府市助成のためにこれを犠牲にするがごときことは毫もなく、又これに影響するものでないとの答弁でありました。又観光事業としては国立公園の充実を図ることの急務であること、この種法律と観光都市建設に関する一般基本法制定についての質疑応答もあつたのであります。(「討論をやれ」と呼ぶ者あり)かくてこの種法律の制定が他の多くの都市の追随を招くこと、又戰災都市の復興との関係については繰返し愼重な論議が重ねられた後、質疑を終了、討論に入りましたところ、本法案に賛成するが、地元市及び県において必要なる予算の裏付けをすることを希望する。国が讓與する普通財産は従来から同市にあつて提案者から説明されたものだけと解する。又他に多くの戰災都市があり、別府に対して特別の補助はしないとの建設大臣の答弁を諒として、本案に賛成するとの発言がありました。(「もういいよ」と呼ぶ者あり)又観光事業の重要性を認めて、国際都市の建設が必要である。(「簡單々々」と呼ぶ者あり)而して都市は、国際都市として文化の向上を図り、その実を具することを企図しなければならない。従来観光国策と称して施設し来たつたところは僅少である。この際、観光施設を充実しなければならぬとの発言もありました。  次いで、本法案に賛成するが、附則に「この法律は、日本国憲法第九十五條の規定により、別府市の住民の投票に付するものとする」との一項を加えて、他の同じ性質の法律と同一の形式を整えたいとの修正意見が述べられました。又この修正に賛成する外、本案の名称が不適当である。従来国際関係のある諸法律にも特に国際云々の名称を付しておらず、又文化都市の名称は別府市の過去、現在の実情に徴して修正し、これを別府観光温泉都市乃至は別府温泉観光都市建設法と改める。又第七條のうち「特別都市計画法(昭和二十一年法律第十九号)及び」を削除すべきであるという修正意見があり、尚、今後同一性質の法案が続出するかも知れぬが、地元県及び市の熱意と、その先駆者であることを認めて、本法案に賛成し、万全の措置を望むとの発言があつたのであります。修正意見につきましては、委員長からは、修正には手続の関係もあるので、その旨を速記録に載せることによつて了承を得たいとの発言をいたした次第であります。  かくて討論を打切り、採決いたしましたところ、全員一致提案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。右御報告申上げます。
  105. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔起立者多数〕
  106. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 過半数を認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  107. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程第十より第三十七までの請願及び日程第三十八より第四十までの陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。文部委員会理事岩本月洲君。     —————————————    〔岩本月洲君登壇拍手
  109. 岩本月洲

    ○岩本月洲君 只今議題となりました請願第五十五号外三十四件、陳情第七号外二件につきまして文部委員会におきまする審議の経過並びに結果を御報告申上げます。  六三制建設予算増額の請願陳情十三件についてでありますが、右は六三制教育完全実施のため国庫補助の増額をなされたいとのことであります。次に育英資金国庫補助増額請願八件についてでございますが、これは現在、就学中の大学生約五十万人の七割即ち約三十五万人が、学資不足のために或いはそれのみならず、生活維持のためにアルバイトを希望しておるものであります。併しながらアルバイトに就職できる者は凡そ三分の一に過ぎず、多数の学生が学業継続困難に陷つている現状でありまして、この際大幅に育英資金の増額をなされたいということであります。次に旧制高校卒業生の進学問題に関する請願四件は、いわゆる白線浪人一万一千救済のために、旧制大学の採用人員増加、新制大学二年への編入、国立夜間大学の設置等を要望しておるものであります。次に私立学校に関する請願二件は私学に対する国庫補助の貸付の増額を希望しておるものであります。次に科学振興のために科学研究に必要な経費を増額して欲しいという請願、又科学研究機関を拡充して欲しいという請願でございました。次に国宝瑞巖寺本堂外五廉修理費祖庫補助の請願二件と、国宝月輪寺本堂修理費国庫補助請願、いずれも国宝建築物の腐朽損傷甚だしいために速急に国庫補助を與えて欲しいというのでございます。次に新制高校を卒業して社会に巣立つ勤労青年のために、尚学業を継続できるよう地方の国立大学に夜間部を設置されたいという請願でございます。又室蘭工業大学は本年一月火災を起しまして、その中枢部が約二千坪烏有に帰しております。その復旧のためこの際国庫の補助を得たいという請願がございます。次に公民館に專任職員設置の請願でございますが、これは社会教育法において、社会教育の基本施設でありまする公民館の充実発展のためには、專任職員を置くことが当面の急務であるにも拘わらず、今日市町村の実情は市町村費を以てこれを賄うことは到底望み得ないので、国庫負担によつて專任職員を置いて欲しいというのであります。次に青年教育振興に関する請願であります。今日青年は戰争のために、精神面、教養面において大きな空白がある。この空白を埋めて、以て新日本建設の大きな力たらしめるために、青年教育対策機関の設置、青年講座の開設、資料の発行等を要望しておるものであります。次に手芸教育振興に関する請願は、婦人の諸学校において手芸教育の振興並びに手芸教員養成のために適当な方法を講ぜられたいというのであります。  以上いずれも文部委員会におきまして愼重審議の結果、いずれも妥当と認め、これを院議に付して内閣に送付することを要するものと決定いたした次第であります。右御報告申上げます。(拍手
  110. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立〕
  111. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。  本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時十二分散会      —————————— ○本日の会議に付した事件  一、中国飢饉及び日本の安全、在日朝鮮人処遇に関する緊急質問  一、食糧統制撤廃に伴う農業危機に関する緊急質問  一、国政審議に対する政府の見解に関する緊急質問  一、所謂廣川談話に関する緊急質問  一、議員小川友三君懲罰事犯の件  一、日程第一 精神衛生法案  一、日程第二 青少年飲酒防止法案  一、日程第三 旧軍港市転換法案  一、日程第四 保險業法等の一部を改正する法律案  一、日程第八 水路業務法案  一、日程第九 倉庫業法の一部を改正する法律案  一、日程第五 公職選挙法案  一、日程第六 公職選挙法の施行及びこれに伴う関係法令の整理に関する法律案  一、日程第七 別府国際観光文化都市建設法案  一、日程第十乃至第三十七の請願  一、日程第三十八乃至第四十の陳情