○千葉信君 私は
只今上程になりました本案に対し、労農党を代表して反対の意見を表明いたします。
反対する理由の第一は、御
承知のように三月三十一日まで
実施されておりましたあの
法律案に対して、昨日の本会議において満場一致七月三十一日までの延長を認めた
諸君は、八月一日以降は当然に
人事院勧告に副
つて修正されなければならない、こういう意味における本院の全会一致の決議でございました。ところがその翌日、八月一日以降においては当然に修正されなければならないというその
法律よりも、もつと悪い
法律が本院に提案せられておる。先程の反対討論の
諸君の意見の中にもございましたが、恐らく昨日までの
法律よりももつと悪い
法案に対して賢明なる
諸君が賛成されるということは万々あるまいと思うのでございますが、(「ある」と呼ぶ者あり)併し実は先程の委員会においても、今日の午後五時までは俺は絶対に反対するということを言
つておられた一委員が、五十歩百歩だから俺は讓歩するのだ、こういうことを言われた方が自由党の方にございましたので、或いはひよつとすると(笑声)自由党の
諸君がこの委員と同じように誤謬を犯すのではないかと懸念されますので、以下私はどのように悪いかということをよく皆さんに分
つて頂くために申上げる点があるのでございます。(「よく聞いて置け」と呼ぶ者あり)
先ず第一は、第一條によりまして、旧法においてはいわゆる
賃金ベースの体系というもの、この点が実は皆さんは余りお分りにならないかと思いますが、非常に重大でございます。(「分
つた」「教えてやれ」と呼ぶ者あり)
賃金体系のこの
ベースというものと総平均の実收高というものとは、根本の
考え方において違
つておる。
諸君が八月一日からは修正しなければならないということを
考えられたあの旧法の中では、
原則的に
人事院の
勧告を承認するのだ、こういうことを言
つてお
つたのが、今度の提案では、いつの間にか提案理由の説明の中でも明確に言われずに削除されておる。
第二の点につきましては、このことは皆さん方の身辺に起
つておりまするので、よくお分りになると思うのでございますが、旧法の第十一條におきましては、具体的に申上げますならば、次官であるとか、或いは大学総長であるとか、或いは
国会における專門員のごときは、旧法の十一條によ
つては当然にその官職は十五級に格付けされる。これが今度はいつの間にか完全に削除されておる。
従つて諸君の目の前におられて、專門員でありながら、あの新
給與実施法を完全に
実施されないために、一年半先に
なつたら十五級にするとか、或いは二年先に
なつたら十五級にするとか言われて、現在のところ十二級に格付けされて暫定的にごまかされておる、あの專門員がその十一條によ
つて確保されてお
つたところの格付が、完全に今度は、この提案された
法律では抹殺されてしまう。
諸君の目の前でこういう
事態が起る。こういう
状態でございます。
而も私は今日大きな問題になりまして、ここまで来てこのような混乱を起しておるところの一番大きな原因として、
賃金ベース改訂の問題に対して一番悪い影響を與えたのは何であるか。御
承知の
通り政府が二月の三日に発表したところのあのいわゆる
給與白書でございます。あの
給與白書というものは、委員会におけるところの質疑、討論におきましても明らかに指摘されたところでございますが、具体的にこの問題を申上げますならば、この白書の中に、
政府はいろいろの
賃金ベースを上げることができないという理由を書いておりますが、その理由の一々を反駁しておる時間がございませんので、最も分り易い点を申上げたいと思います。(「えらそうなこと言うな」と呼ぶ者あり)増田長官もしばしば言明しておりましたが、二十四年度は実質
給與は七千三百円にな
つておる、二十五年度においては超過勤務手当を増額するから七千四百十一円になる、こういうことを言
つておる。ところがです、この増田官房長官が言明しておるところのいわゆる二十五年度に支給する七千四百十一円というものは、それでは六千三百七円とはどういう関連があるかといいますと、この七千四百十一円の集計の仕方に問題がある。ごまかしがある。例えば同様の要素を
人事院における調査に比較いたしましても、
同一の要素においてもうすでに二百七円も違
つておる。これは特別会計におけるところの従業員
諸君の特殊勤務手当でございます。元え、特殊勤務手当はもつと違
つております。二百七円というものは、
人事院の調査と、このいわゆる
政府の
給與白書に書かれたところの
給與額との数字上のごまかしである。実際においてはこの二百七円というものは、もつともつと追及されなければならない性質のものでございます。而もです、最も我々の遺憾に堪えないことは、こういうインチキも極まるところの数字を羅列して、さながら
公務員の
給與そのものが
人事院勧告を遥かに上廻
つておる、増大しておるかのごとき印象を與えておりますが、本院におけるところの人事委員会の質疑において、私は山下人事官に対して次のように聞いております。
政府の発表のあの数字は根本に非常なごまかしがある。この際明確にして置きたいから、次のことをお尋ねする。
人事院の六千三百七円
ベースというものと
政府が来年度支給すると言
つているところの七千四百十一円とは如何なる相違があるか。こう聞きましたところが、山下人事官は、一銭も相違がございません。あれは六千三百七円の
賃金ベースそのものでございます。こう答えた。では、どうしてこういうことが生じたか。実はこのことについては私は非常に遺憾に堪えないのでございまして、委員会でも昨日の本会議における討論においても申上げたところでございますが、この資料を作
つたのは
内閣官房でございます。ここにおられる増田官房長官のあの
内閣官房でございます。そこで、これを作るときにどういう詐術を行
なつたかと言いますると、
国民諸君或いは
国会議員のこの問題に対する正確な判断を遮るために、悪意を以てこの
賃金ベースと比較できない要素を加えておる。例えば超過勤務手当の問題でございます。この問題は
賃金ベースと切り離して計算するのでなければ、決して
人事院の
勧告とは比較することはできないのでございます。それを敢えてしておるところにこういうものを作
つた反動的な
考え方が
はつきりとあるのでございます。而も私は増田官房長官に対して次のようなお聞きしておる。増田官房長官は、例えば特殊勤務手当の点におきまして、これが
賃金ベースの内か外であるかということを聞きましたところが、これは
賃金ベースの外だと言
つておる。こういう資料を作
つておるところの張本人が
賃金ベースに対してこのようなでたらめな
考え方を持
つておる。而もそれを再三私があらゆる席上でや
つておるのに、昨日も増田官房長官はそれに対して勘違いされておる。私が昨日のこの本会議の壇上から降りて行く途中で、増田官房長官は、依然として僕に対して、君の
考えは間違
つておる。こう言
つた。先程私は委員会において、増田官房長官に対して、
給與に対する非常に重大な立場に立
つておられますので、かくのごとき勘違いは非常に困ると、私は先程委員会で言いましたところが、初めて先程の委員会で増田官房長官は、あれは誤まりであ
つたということを言われておる。こういうのです。而も来年から殖えるところの‥‥(「やめろ」「もう少しだ」と呼ぶ者あり、その他
発言する者多し)默
つて聞きなさい。(「時間がないよ」「まだ時間があるよ」と呼ぶ者あり、その他
発言する者多し)今増田官房長官は、来年度は超過勤務手当を殖やすから、だから
公務員の
給與は増大する、こういうことを言
つておる。成る程超過勤務手当は来年は一人当り月百円程度は殖える。ところが超過勤務手当というものは、
公務員法で
はつきり決めてあるところの勤務時間以外の労働をした場合に支給されるものである。いわゆる超過労働に対して拂
つた賃金を、
賃金ベースの中へ、この
給與の中に計算するのはおかしいではないか。而もこの超過勤務手当というものは何故支給しなければならないか。(「やめろやめろ」と呼ぶ者あり)この超過勤務手当を支給しなければならないのは、昨年の増田官房長官の言明からいいましても、超過勤務手当の支給というのは‥‥(「引つ込め」と呼ぶ者あり、其他
発言する者多し)昨年の‥‥