運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1950-02-10 第7回国会 参議院 本会議 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月十日(金曜日)    午前十時三十二分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第十五号   昭和二十五年二月十日    午前十時開議  第一 臨時通貨法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)  第二 自由討議(前会の続)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 諸般の報告朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。  この際、御報告いたしたいことがございます。  先般我が国国会議員一行南カロライナ議会を視察するに当り、同州の上下両院は本年一月十一日共同決議をなし、この決議袋がマツカーサー元帥宛送付せられ、総司令部民政局長ホイツトニー准将より議長に伝達されました。右、共同決議の要旨は次の通りであります。   南カロライナ議会は、日本国国会議員の来訪に対し歓待の意を表すると共に、一行の接待のため、特に上下両院議員六名よりなる委員会を設けることとし、一行が本会議及び各種委員会議事を見学し、米国人の抱懷する個人尊嚴の観念、国政の民主的運営並びに列国国民と友誼相和し、かち得たる平和の惠福等を熟知し得るように便宜を共與するものである。   右御報告申上げます。    〔拍手起る〕  尚、本件に関し、議長は、南カロライナ議会の好意に対し深甚の謝意を表する旨、ホイツトニー准将に伝達方依頼することにいたします。      ——————————
  4. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際お諮りいたします。渡邊甚吉君から、母死去のため十二日間請暇の申出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。      ——————————
  6. 竹下豐次

    竹下豐次君 現下の我が国産業復興並びに社会問題として、電気事業再編成の問題、電源開業の問題、電力料金問題等につき緊急に調査検討することが適当と存じまするので、本員はこれ際、電力問題に関する調査のため、三十名より成る特別委員会の設置せられんことの動議を提出いたします。
  7. 小林勝馬

    小林勝馬君 竹下君の動議に賛成いたします。
  8. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 竹下君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて電力問題に関する調査のため三十名より成る特別委員会を設置することに決しました。  本院規則第三十條により、議長が選任いたしました特別委員の氏名を参事をして朗読いたさせます。   (海保参事朗読〕   電力問題に関する特別委員    赤木 正雄君  阿竹齋次郎君    飯田精太郎君  鎌田 逸郎君    玉置吉之丞君  野田 俊作君    久松 定武君  村上 義一君    結城 安次君  石坂 豊一君    石原幹市郎君  北村 一男君    小林米三郎君  中川 以良君    廣瀬與兵衞君  松嶋 喜作君    門屋 盛一君  境野 清雄君    高橋  啓君  林屋亀次郎君   深川榮佐衛門君  栗山 良夫君    島   清君  下條 恭兵君    田中 利勝君  吉田 法晴君    佐々木良作君  水橋 藤作君    小川 久義君  板野 勝次君      ——————————
  10. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第一、臨時通貨法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長報告を求めます。大蔵委員会理事黒田英雄君。     —————————————    〔黒田英雄登壇拍手
  11. 黒田英雄

    黒田英雄君 只今上程されました臨時通貨法の一部を改正する法律案の審議の経過並びに結果について御報告いたします。  この法案は極めて簡單な法案でありまして、現行臨時通貨法によりますと、御承知通り当分のうち所行することのできる臨時補助貨幣といたしまして、五円以下一銭までの六種を規定しておるのでありまして、このうち現在製造いたしておりまするのは五円と一円の二種のみであるのであります。然るに最近におきまする経済事情の安定に伴いまして、先に千円券を発行することになりましたが、補助貨幣の系列をも整備することによりまして、その機能を十分に発揮せしめることが必要でありますので、今回臨時通貨法の一部を改正して、臨時補助貨幣の種類を増加して、従来のものの外に十円の臨時補助貨幣を加えまして、昭和二十五年度中に六億枚、即ち六十億円を発行しようとするものでありまして、市中に流通するのは明年の三月頃となり、それ以後は順次現行の十円券の発行を停止する趣きであります。尚、十円の補助貨幣は二百円までを法貨として通用する旨の制限が設けられております。  大蔵委員会におきましては種々熱心なる質疑応答が交されたのでありますが、これは速記録によつて承知を願いたいと思います。かく質疑を終了いたしまして、討論に入り、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定した次第であります。これを以て御報告を終ります。(拍手
  12. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立
  13. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。      ——————————
  14. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第二、自由討議。本日の自由討議は前会の続きでございます。発言者はそれぞれ発言時間を遵守せられんことを望みます。これより発言を許します。    〔鈴木清一発言者指名許可を求む〕
  15. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 鈴木清一君。
  16. 鈴木清一

    鈴木清一君 無所属懇談会星野芳樹君を指名いたします。
  17. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 星野芳樹君の発言を許します。    〔星野芳樹登壇拍手
  18. 星野芳樹

    星野芳樹君 今日は私は自由討議機会を借りて、聊か首相外務大臣としての質問をするのですが、由来このいろいろ講和会議に関する質問がなされましたが、首相は具体的のことは全然答えられないので、これはまあ具体的なことは答えないことが正しいという、まあ信念だか考えだかを持つておられるようなんで、これは聞いてみても無駄ですから、無駄なことはいたしませんで、私は方面を変えて、講和会議とか日本の将来とかを考え前提になるこの現在の世界歴史段階、新段階をどういうふうに把握しているかという点について伺いたいと思うが、この点は首相も当然何も機密もないので返事ができると思うのであります。  先ず第一に、吉田首相は曾て帆足計氏が日本永世中立ということを述べたときに、これに対して、ベルギー永世中立だが、あれはやはり侵略されてしまつたということを漏らした。このことを伺いますと、どうも吉田首相の頭の中には、一九一四年の時代と現在の一九五〇年の時代と大きな歴史的な変化なく、同じような世界情勢だという頭が残つているようであります。それについては、つまりこの間には原子力というものが発達し、この原子力というものが世界政治機構経済形態、こういうものに大きな影響を持たざるを得ないということを見落していられるのではないかと思うので、この点に対する所信を伺いたいのであります。私はこの原子力影響を……第一点といたしましては戰争の規模が飛躍的に増大したということ、これは画期的なことだと思うのであります。吉田首相が言われたベルギーの問題、これは一九一四年の第一次欧洲大戰ですが、そのときも成る程被害が出たが、まだ飛行機とタンクしかなかつた。そして戰線といつても、ドイツは結局負けたけど終りまで国境には入られなかつたので、ドイツの国内の産業が破壞されるということはなくて、ただまあ無理をして、戰争したから「じやがいも」を食つて栄養失調になつてという事態はあつた。フランスに攻め込んだけれどもパリにまでは行かなかつたパリは御承知通りドイツ国境に近い時で、本当に荒された時は、僅かに狭い帶のような地帶だけだつた。現在ではそれとは非常に変つて来た。而も広島、長崎に一発落されて我々の心胆を寒からしめた時より、一昨年アメリカビキニ群島でこの実験をしたときは数倍の破壞力に伸びている。更に水素爆彈の発展という事態なつた。この非常な変化、前は戰争したつて、相当被害が出るけれども人類が滅びるか生きるかという程ではなかつた。併し現在では再び戰争が起つたら全く人類全体の存亡は危機に瀕する程変つて来ておる。この点については、世界一の物理学者であるアインシユタイン博士が、若し第三次戰争が起つたならば、人類の滅亡と言わないまでも、まあ五分一ぐらい生残つたらいいだろうということを言つておる。併しこれは水素爆彈が生れる前だから、現在は五十分の一ぐらい生残つたらいいだろうと言うかも知れません。そういう事態変化であり、従つて世界民衆は何とかして平和を保ち、戰争を何とかして防止したいという熱情は、以前と違つてずつと真摯なものになつている。こういう世界情勢変化がある。これが一つ。  それから第二に、今度は水素原子力が発展し出しましたが、これも世上いろいろ言つておる。ウラニウム爆彈の千倍だなんて言つておりますが、これは化学を知らない人の言で、ウラニウム原子水素原子エネルギーとは同じくらいの桁ですから、ただ効率の問題だから、十倍程度と考えられますが、併し今度の原子力はリチウムに水素をぶつつけるという型らしいのですが、そのうちには水素の中に重水素を通して、水素だけを大量に取り、ヘリウムまで行くという系統ができるのは、必ず十年ぐらいの将来のことだと思います。こうなると非常に世界史的な、いわゆる第三次というか、厖大産業革命が起るということを見落してはいけないと思うのであります。  そうしてよく民自党の方々は、アメリカ資本主義だから、それとマツチするために日本資本主義で行くというようなことを言つております。成る程アメリカは現在資本主義であります。併しながらこういう原子力発達伴つてアメリカもいつまで資本主義でおられるかどうかという問題です。それはですね、先ず例えば電気発達でも産業形態が変つて来ている。御承知通り電気産業が非常に発達したので、これは一国の産業を分断できなくなつた。電気は御承知通り方々に機動的に融通する機構になつているのです。今九州で雨が降らないで東北で雨が降れば、東北電気九州まで持つて行く装置をしなければならない。それで今電産の方々が盛んに電気事業分断反対と言われておるけれども、意味があるので、こういうものは国有形態としなければならぬという状態になつている。併し更に水素原子力が生れ、工業に使われると、これこそ実に厖大エネルギー源の工場を作らなければならないので、これでは到底私企業ではできなくなる。そうすると、どうしても、ここの面で社会主義化必然性がある。それから又逆に政府の方々は、ソ連はこれは軍国主義で……だと思つておられる。成る程私も現在のソ連が甚だ軍事重点主義的な点があることは誠に遺憾なんでありますが、これも私はこの原子力発達でいつまでも続けられない情勢だと思う。というのは、水素原子力機構というものが非常に厖大なものですから、それを作つて行き、更に平和産業にまで使わなければならぬというと、これに動員する人間の数が大変な数になる。それを一々目隠しして行くということはできない状態になる。而も平和産業として発達すれば、民衆生活が向上するし知識も又向上して行く。ここで以て、いつまでもいわゆる強権形態というものはできない情勢になつて来ておる。こういう意味において両方機構変革せざるを得ないという事態に立至るだろう。勿論両方指導者がそういうことを自発的にするというのではないが、どうしてもそういう変化をしなければならないという時代が来つつあるという事実を、一つ見落してはならないと思うのであります。  それから第三にですね、この水素原子力発達による大きな変革は、いわゆる世界資源の分布という問題が意味をなさなくなる。御承知通り今までは鉄と石炭石油を抱いておれば強大国であるという話であつた。然るに状来水素原子力発達して来ると、そういうことがなくなつて来る。というのは、水素爆彈水素原子力の材料になり、ウラニウムは山の中を探さなければならないのですが、水素は水の中に沢山入つておる、海に沢山ある。私の計算によりますと、現在全世界石炭使用量、これと同じだけの熱量を出すためにどれだけの水が必要だというと、三万トン程の水があれば同じエネルギーが出ます。三万トンというと大海の船一艘、これはまあ塵みたいなものです。これはまあ千倍ぐらい使つたつて一億年ぐらいなくなりません。これは水が絶対的になくなるのですから、それまでは一億年か十億年ぐらいかかるから、それまでには遊星旅行もできるだろうと思いますから、心配はない。それは余談ですが、そういう状況で水がエネルギー源になる。そうすると鉄の時代というものはなくなる。なぜというとですね、地球上にはウラニウムアルミニウムの方が鉄より多いのですね。泥や石というのは皆アルミニウム化合物だ。それでアルミニウムは合金によつて堅さも保てるし、鉄より軽いから便利です。ところが現在はボーキサイトからしかアルミニウムを取つていない。それは実験的にはできたのだ。泥からでも石からでもできる。併し工業的に成立たない。余計な電力が要るから成立たない。ところが原子力によつて非常に電力が豊富になる。そうすると山から鉄の鉱石を碎いて来て精錬するより、アルミニウムを泥から分解した方が早い。そうなると資源というと水と泥になつてしまう。そうすると鉄と石炭石油軍事資源なんだとか、重工事資源だとか言つている時代は過ぎてしまう。泥と水ならどこでもある。そういう時代が実に十年以内に近付きつつあるというこの大きな事態、これを見ていられるかどうか、これが一点であります。  それからもう一つの点は中国の新らしい政権、これをどういう見方をしているかという点であります。これは貿易の問題であつたか引揚の問題であつたかに、首相は曾てこういうことを言つている。向うは何分混乱状態でありますからということを言われた。併し中国歴史を繙くとなかなか全統一ということがあつた時代はないのでむしろ現在くらい大きな統一ができたというのは、私は清朝の乾隆帝以来未曾有のことではないか、それを混乱状態だからと言つているような状態では、これは先ず第一の認識不足。それからもう一つ首相中国の新政権は何かソ連衛星国とでも考えていられるような口振りがある。この点も大きな認識不足。成る程毛沢東は新政権が樹立したとき、「民主專制を論ずる」という論文の中で、資本主義社会主義の中道はあり得ないと、はつきりと社会主義だということを言つている。そして、この論文の中に幾たびか繰返して、親ソ、連ソ政策を強調しております。併し特に注意することは、この毛沢東が親ソ政策を強調しているその前文には、前提が必ずある。前提は何かというと孫文言葉を引きまして「我を平等を以つて遇する民族と協同奮闘し」と、これが孫文の教えであり、これが中国基本方針である。こういう前提を出して、それからアメリカは平等に扱つて呉れないがソ連は平等だから、これと協調する、こういう行き方をしている。それはつまり裏から言えばソ連に対する平等の要求でもある。こういうところに新中国はつきりした独立精神というのを見てとらなきやいけない。  それからもう一つは、どうも貿易関係などでも、経済政治関係ないからやはり資材は入れるだろう、向う経済建設でレールだの機械だのうんと入れたがるだろう、こういう見方をしています。成る程私は、将来中国ソ連からだけではなくアメリカ側からも日本の物資も入れると思います。併しその量を今までのような考え方、普通の常識的に、あれはどんどん工業建設をするからどんどん入れるだろうと考えるのは、これは認識不足で、それは何かというと、中国毛沢東の行き方の要点はいわゆる政治中心主義であるということ。このような例を話しますと、国民党の飛行将校ですでに毛沢東に寝返つているのが二千五百人いる。それからまあ中国は貧乏だと言つても、毛沢東は四億五千万人の民衆を把握しているのですから、少し税金を重くすれば三百台や四百台の飛行機作つて飛行隊はできる。今台湾で蒋介石の方は二百台の飛行機を擁している。そして飛行隊を養成しておる。ですから毛沢東ちよつと無理をすれば飛行隊でも圧倒できる。ところがそいつをしない。そういう民衆経済力と飛び離れた軍事力作つて、それによつて圧倒するということは、本当でもなく長続きもしないというのが彼の思想の根柢なのです。ですから、そういう立場から言つて貿易が始まつても、今までの常識的なように、やたらにその資材を買入れる、こう解するのも大いなる誤まりなんです。そういう点を根本から考え直して頂きたいと思うのであります。  幸い共産党議員の方もおられるのでちよつと御注意しますが、原子力が非常に政治的経済機構に大きな変革があるということについては、まだ共産党方々はつきりとお認めになつていないようでありますが、(「冗談言つちやいけない」と呼ぶ者あり)これは是非認めなければいけないことで、マルクスマルクスとしての最も唯物史観唯物史観たるゆえんは、先ず機織機械だとか蒸汽機関の発明、これが社会革命原動力になる、こういう鋭い見通しだ。洞察なんだ。これは外の人は紡積機械が起つたつて機織機械ができたつて殿樣殿樣家来家来という考えつたのを、ここに社会革命原動力を見出すのがマルクス唯物史観唯物史観たるところだ。それを考えたならば、この原子力というものは実にエネルギー源が無限……じやありませんがね、大体百万倍の熱に上つた。つまり一トンの石炭を燃した熱量は一グラムのウラニウムが破裂した熱量と同じだ。これだけの熱がある。これは非常に大きな世界的な変化……。それは冗談じやないかと言われますが、あなた方の指摘しただけでは甚だ不十分だということを余談ですけれども言つて置きます。  それからこれは本論に帰りますが、もう一つ吉田首相に伺いたいのは世界史動向なんであります。現在の常識的に世界というものを米ソという二つの線に引いて考えて行く。併し私は、今中国情勢を少しく申上げましたが、ここにやはり独自性があるということをお認めだろうと思うのであります。更にインドの情勢もこれはアメリカ範囲……圏で言えばアメリカ範囲であるが、ますます独立性を発揮し出している。それからヴエトナムのホー・チミン政権だ、やれ印度支那共民国だ、片一方ソ連圏だ、片一方アメリカ圏だ、片一方は容共だ、反共だと言うていますが、大観すればこれは等しく弱小民族の興起であります。この世界の動きが、むしろ世界抬頭というのは、こういた多年虐げられ圧迫されたいわゆる全世界の被圧迫民族が次第に興隆し、これが強固な結合体を作りつつあるというのが世界史動向ではないか。マルクスが百年前に万国のプロレタリア団結せよという言葉を以て、これが百年間に大きな波を打たしたのですが、今や具体的に言えば、この言葉に附加えるに全世界の被圧迫民族団結せよという言葉が附加えられる。つまりこうした弱小民族の団結を中核として、これが全世界勤労者の解放というものを叫び出す、そういうことによつて、抱えた原子力は、両方共原子力は無用となつて戰争を防止して恒久平和の将来が見込まれる。こういう動向抬頭しつつあるということを認められるが、この抬頭認められたときには、日本立場は甚だ明らかになると思うのであります。即ち憲法に謳つてある平和主義を徹底して、而もこれを世界に要望して、日本永世中立を徹底的に承認させる。この線は実にこの世界史的な背景を持つている、こういうことを認められると思うのであります。  私は今日この言葉は、実にこれだけ言えば、今日聞いて下さる方は甚だ少いのですが、三年間議員生活をした甲斐があつた、これだけ言うたならば、まあこれで一生涯終つても無駄ではなかつたと思うので、皆さんの御理解はどうであるか、まあこれだけのお話をいたします。
  19. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 吉田内閣総理大臣の答弁は他日出席される際まで留保いたします。     —————————————    〔寺尾豊発言者指名許可を求む〕
  20. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 寺尾豊君。
  21. 寺尾豊

    寺尾豊君 民主自由党左藤義詮君を指名いたします。
  22. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 左藤義詮君の発言を許します。    〔左藤義詮登壇拍手
  23. 左藤義詮

    左藤義詮君 自由討議機会に、先般国家公務員法附則第九條によつて行われました公開競争試験について、人事院総裁並びに本対国務大臣の御所見を伺います。明確適切な答案を望みます。  第一、今回の試験は特殊な過渡的なものであつて指定官職に現在在職する者に対して適格であるかどうかという選考をすれば足りる筈であります。一般的な試験は、職階制が確立せられ、試験制度全面的実施を待つて行わるべきであります。新職員を採用する場合にはそれは公開競争試験によりまするが、その上級職昇任の場合は部内よりの昇任試験原則とすることが常識であります。殊に次官、局長のごとき政策立案に参画する高級職員は、閲歴、経験、人物識見等おのずから衆目の帰するところがありまして、これら適格者のうちから任命権者が選考するのが行政の運営を円滑ならしめる最も妥当な方法であります。右のごとき原則を無視して、唐突而も無準備に、無準備と申しますか、かくのごとき公開競争試験を行なつたのは何のためであるか。世上往々にして人事院フアツシヨ化とか、甚だしきはゲシユタポだというような濡衣を着せておいでになる。この機会にこの濡衣を乾かすようにその意図を一つ御言明頂きたいと思うのであります。  次に質問の第二点は、今回の試験が卒然として不用意に且つ独善的に行われた。そのために当局に甚だ自信がなかつた。しばしば試験に臨む態度が動揺しておる。従つて試験の結果が万人を納得せしむるだけの十分な権威がなかつた。私は次の四つの点からこれを立証できると思うのであります。  第一、初めは筆記試験のみで及落を決定すると発表して置きながら、世論の反撃に会うや忽ち人物考査身体検査職務履歴を加えると追加発表をしております。  第二に、筆記試験五つ答えが並んでおりますが、どれかその一つに○を付けさせて、人事院の予定しておつたその正解者は百点、そうでない場合は全部零点、こういうふうに発表して置きながら、これ又世論の非難を受けるや、忽ち倉皇として、受験者の多数の者が○を付けたらそれを正解にするというような逃げ口上を言つておる。  第三に、殊に專門職の試験至つては、話の泉か棒暗記の出題が多くて、再び社会の嘲笑に会うや、第二次試験は殆んど採点の基準にしない、ただ同点で優劣の差のない場合のみ参考にすると言訳しておる。  第四、問題を全部回收して、これが問題だろうと思うのでありますが、全部の問題を秘密にして非常な非民主的な祕密主義をとつておられるのは何のためでありますか。国民奉仕者たる公務員適格性を判断することは国民の権利でなければなりません。後日の試験に問題を利用するというようなこてを言われるかも知れませんが、一方では、職階制ができるので、こういう試験はもうお終いだと言つておる。幾ら試験問題を隠しても、頭は隠しても尻の方からどんどん新聞が問題をすつぱ抜いておるじやありませんか。何故堂堂と問題を、或いはその正しい答案を発表して国民の納得を求められないのか。試験の公正と明朗を求めるために国会が問題の公開を要求したら人事院はこれに応ずる用意があるかどうか。  右のごとき四つの点から、この重大な試験が、朝令暮改、真に競々として薄氷を踏むがごとき自信のない態度で臨まれておる、こういう印象を受けておりますが、総裁所見は如何でありますか。  質問の第三点は、公開試験は主としてアメリカのメリツト・システムを参考にせられたものと拜察しますが、実は向うでもこれに対しては公務員が画一的、機械的となつて、第二流の人物しか集まらないというような一部の批評が聞かれるのであります。而もメリツト・システムの択一法は、五つの答えの中でAならば百点、Bならば八十点、最も惡いのはマイナス何点というふうに、相当の幅が、ゆとりが設けられております。又五つの外にもう一つ空欄を設けて置いて、出題者の意図しないような、よりよき名答が出る場合も予期しております。この用意がなかつたばかりに、例えば東京急行のバスの運賃は誰が決めるかとまるで話の泉のような問題でありますが、これに対する正しい答えは記されてあつた五つ以外の物価庁だつたと、こういうような失態を演じておいでになる。もうと実例を挙げましようか。修繕の要求がある場合にどういう考慮が必要かと、こういう問題でも、具体的に修繕の内容が提示されなければ、どの観点から処置すべきか妥当性は出て参りません。アメリカの大学はどれが大きいかという頓智教室のような問題が出ておりますが、(笑声)大きさの基準を何に置くのか。学生数か、規模か、基金か、教授数か、恐らくアメリカ人でも迷うような愚問が一体行政能力を確かめるに何の役に立つのでありましようか。こんなことを挙げれば限りがありませんが、教科書や六法全書の片隅にあるような部分的、断片的な知識を偶然暗記していたからというて、それが幹部職員の必須要件であり得るでしようか。一般と專門職と、沢山な問題を誰がどうして作られたか知りませんが、まあ御苦心はお察ししますが、学校出たての記憶力の強い者が得をして、多年至上の錬磨を積んだ有能達見の士には甚だ割の惡いことになつております。こんなことだから上級公務員を焦燥不安に陷れて事務の澁滯を来たしたというような非難も出て来るのであります。又、人事院のお偉い方々が御執筆になつたいろいろの参考書が巻に氾濫をして、その広告を受験者へ出した。それが又更に取消の手紙を出すというような不見識の出版社も現われておるのであります。全部を一遍白紙に返してやり直せと、こういうフランクな忠告さえありまする今日、総裁はこの試験の結果をどんな形で收拾処置なさるおつもりであるか、現在どういうような採点の方法で、どういうような段階になつておるか、将来どういう方法でこの跡始末をなさるか、はつきりと伺いたいと思います。  質問の第四点は、人事院では人物考査並びに身体検査又は職歴を加えるとか、現職者は別の観点から淘汰を加えるとか言つて、いわゆる序列の決め方に甚だ客観性、妥当性のないような印象を受けるのであります。本当に確信があるならば、筆記試験は何パーセント、職歴、身体は何パーセント、人物考査は何パーセントと明瞭な基準を示して頂きたい。ガラス張りの中でどういう比率と方法で序列をお決めになるのか、国会はつきりと一つ御披露を願いたい。人物考査につきましても、初めには願書に自分を最もよく知つておる者三人の名前を書かして置きながら、そうすればその三人の所へよく書いて貰うようにいろいろな運動があるでしよう。後にはその三人を除外して、別の三人を選んで調べるということを人事課長会議で言明されておられる。この三人をどういうふうに選ぶかということによつて、好意を持つている者と持つていない者とでは非常に大きな差が出て来ますが、こういうようないわゆるゲシユタポ式のやり方で果して客観的に公正が期し得られるでありましようか。人物考査についてのはつきりした一つの御所信を伺いたい。  最後の第五点は、公務員の任命権は国家行政組織法によりまして各省大臣の所掌たることは明らかであります。従つて人事院からする候補者の提示は五名以内とありまするから、その最大限まで範囲を広くして、任命権者が任命権の行使を容易ならしむべきであります。然るにこの提示を三名とするのは甚だ当を得ぬものと思う。下級者ならいざ知らず、次官、局長等にまで採用試験又は下級者の昇任と同じ方法で臨むのは甚だ見当違いであります。行政の実体に何ら責任を持たぬ人事院によつて、行政の責任を負う任命権者が著しく任命についての権限を制約されるというようなことになると思うのでありますが、これに対する総裁の所信を伺いたい。  以上を以て人事院に対する質問を終りますが、この機会に一言だけ本多国務大臣にお伺いをして置きたい。  今回の試験が唐突として天下つたために、幹部職員が受験準備のため、或いは試験の結果の不明瞭から来る不安定のために、各官庁の事務処理に相当の支障のあつたということをお認めになるかどうか。又人事院が政府各機関の実態を十分把握せず、なかなかむずかしいことでありますが、実情に齟齬するごとき制肘を加えられたために、各省とも人事院との連絡事務が極めて煩雑多岐となつて、屋上更に屋を架し、いわゆる公務員のための公務員が激増しつつある。こういう実情は現内閣の方針であります行政簡素化という点に背馳するものと思うのでありますが、これに対する所管大臣の御所見を伺いたいと存じます。    〔政府委員山下興家君登壇
  24. 山下興家

    ○政府委員(山下興家君) 只今の左藤さんの御質問にお答えいたします。  御承知のように今度の試験と申しまするのは、国家公務員法の附則第九條に書いてあるその法律に従つて行なつたのであります。十分に用意をいたしましてそうして始めたのであつて、決して唐突の間にこれをやつたのではありません。併し、これをやるという準備行動を公表いたしますと、なかなかいろいろは妨害が起る虞れがあつたものですから、これを発表するまでは非常に秘密を守つたのであります。(「虎の巻どうした」と呼ぶ者あり)それは、試験をするということ自体を秘密にしたのでありまして、この人物考査を途中で加えたとか、或いは身体検査について途中で批評があつたがためにそういうものを加えたということは我々の方でないのであります。御承知のように、課長以上の重要な位置の人を決めまするのに、ただ筆記試験ばかりではいけないということは明らかな事実であります。それで人物考査も必要でありますし、当然自体検査も必要であります。これは公開にいたします以上は自体検査が余程必要になつて来るのであります。それで又人物考査も無論必要になつて来る。そういうことで、これは余りにはつきり分つたことでありまして、それで、これを全部試験という名において言い現わしたのでありますけれども、その試験にはこういう身体検査も含まれておる、人物考査も含まれておるのでありますということを明らかにしただけでありまして、決して世の中の批評によつて我々の考えを変えたということはありません。  それから五つの答案がありまして、それに正しいと思う所にしるしを付けろということは、これは非常に進歩した試験のやり方であるのであります。人間を調べますのに、今までの普通の試験のように三つや四つの問題を出しまして答案を見るということでは、それに当る場合もあるし当らない場合もあるわけなのであります。どうしてもその人の人物を調べるのには百問近くの問題が必要なのであります。ところがその百問の問題を二時間、三時間、或いは四時間ぐらいの間に答えるのには、こういう行き方より外にないのであります。五つの中で一番正しいと思う所にしるしを付けて貰いたい、これによつて後の調べ方、点数の調べ方が非常に簡單になり、客観性を持つことになるのであります。御承知のように、論文であるならば、それを読んでそうして頭の状態でいろいろな点が変つて来る。これはよろしくない。問題を作るのに非常に骨が折れますけれども、こういう方法によつて採点が非常に客観性を持つようにするということと、それから問題の数を非常に多くして各方面からその人の人物を調べるということで、これは非常に新らしい良い方法だと私共は確信しておるのであります。それで問題は秘密にするのは困るとか、或いは何が正解であるかを早く明らかにしろというような御質問がありますけれども、これは追試験があるということを御承知願いたいのであります。今は外国に行つておるような人がありまして、そのために権利を失うということはよろしくないのでありますから、どうしても現にその位置を占めておる、指定の位置にある人に対しては、どうしてもこれは一遍試験をしなくちやならんのである。それで、それから考えますと、先ず追試験は早く行つて四月でないとそういう連中が帰つて来ないのであります。それで、この際いろいろな点をここに公表いたしますと、その追試験をする人に非常に工合のいいことになる、即ち試験は公平でなくちやならんということが第一義でありまして、人事院は何でも公平でなくちやならん。即ち受験者に対して何か一方に工合がいいことを與えるということは良くないことでありますから、それで、できるだけ公平にするために、何が問題に出たとか、正解がどこであるのか、どういう採点の方法をするのかということを極力秘密にして置く必要があると思います。尤もこれは最後まで秘密にするのでなくて、一番終いにもうよろしいというときに、かくのごとき採点方法をいたしました、そうして結果はかくのごとくでありまして、その順序は、成績はどうなつてつたのだということは無論お知らせいたすのでありますけれども、追試験まではどうしてもこれをすることができないのであります。もう一点、非常に秘密にしているわけは、自分がこれを落第したろうかどうだろうかということが予測せられるということは困るのであります。それで予測ができますと、もうどうも自分は生命がないようだから、一つ民間へでも出ようかと言つて、いろいろな就職口を探すというようなことになりますと、これは行政の運営に非常に大きな支障を来たすということになる。これは一番恐れているのであります。それで現在すでに点がとれたとか、どういう点数だつたとか、そういう噂があります。併しこれは全然嘘でありまして、現に私共はその答案をまだ開かないのであります。そのままにしておるのであります。これは採点は割合簡單でありますから……。併し如何なる場合でも、この入れ替えをして行くすつかりの操作が済むまでには、皆に自分がパスしたとか落第したとかいうことを知らせないことが一番大切で、これに対して一番の苦心をしておるのであります。で、私共が今思つていることは、どんなことが起きてもそれは漏洩ができないような一つの方法を考えているのであります。それで若しも途中で、あれは落第したとか、これは点がどうだつたとかいう噂がありましても、それは全部嘘であるということを御了解願いたいのであります。何故かと申しますと、人事院の中でも分らないように、若しも分つたら漏洩の虞れがありますから、誰にも分らないような特別な工夫がしてあるのであります。漏洩の虞れは絶対にありません。それから、どうして民間人をここに含めて試験をしたかというお話は御尤もでございますけれども、我々は公務員考え方を全部改めまして、できるだけ民主的に行きたいという考え方から、この際できるだけ民間人も一つ受験して貰いたいという考えから、相当困難でありましたけれども、そういう方法をとつた次第であります。  それから第二次試験についていろいろ不評判があつたのでありますが、これは或る程度御尤もなんであります。何故かと言いますと、第一次試験は一般行政能力を調べるためで、第二次試験というのは、その職の特色を持つておるかどうか、その仕事に対して特別な知識を持つておるかどうかということを調べるわけであつたのです。ところが、そういう指定官職約二千六百であります。これをやかましく言いますと、この一つづつについて皆違う試験を出すべき筈である。その仕事に最も適する問題となりますと、二千六百あれば二千六百に対して別々の問題を出すべき筈である。それは若しもそういうことをいたしますと他所からは全然入れないという結果になつて来る。その現在の幹部以外には分らないようなむずかしい特有な試験をしますと、これは誰も公開と称しながら実際は入れないということになる。又試験の技術といたしましても、そんなに二千六百も種類がある特別の問題を作ることができない。それで、こういう方法をとります。先ず二千六百の種類を六十の種類に分けまして成るべく近い種類のものを一つ所に集めた。そうして、それでも尚一つの類別の中には相当な違う種類が入つているのであります。そこで、これに共通するような問題が出したいということになりますと、どれにもぴたつぴたつとは合わないわけであります。併しそれの成るべくこれくらいな基礎知識は持つてつて貰わなくちやならないということで問題を作つたのであります。それによりましても第二次試験は四十五種類の試験をいたしまして、四十五種類の中でそれを同時に行わなくちやならぬし、又自分がこの職類ばかりじやない、三つも四つも、中には五つの種類も一緒に受けたいという希望も満たさなくちやならない。それで、それを互いに秘密を守りながら試験をしなくちやならないという非常なむずかしい條件の下であれを試験をいたしたのであります。それで今申しましたように、その一つの職にぴたつと合わないものがあるからいろいろな批評を受けることは、これは止むを得ないと思います。そういうわけでございまして、我々は決して勿卒の間に無用意にこれをしたのではないのであります。附則九條によりますと、試験は今年の六月までにやらなくちやならぬということが決まつておるのであります。六月にやりますと、追試験がありますから、そうすると五月に仮に追試験をいたしましても、もう法律で決められた最後の時までに来ておるわけである。そういう次第でありますから、私共はこれについて非常に努力をいたしまして、それだけは一つつて頂きたいのであります。四十八種類の仕事に対して、その一つの種類の問題が八十づつ出してあるのであります。第一次の試験は無論一般行政についてでありますが、それについては九十問出してあるのでありますが、それを作るのになかなか骨が折れたということは一つ御了解を(笑声)願いたいのであります。(「簡單にやれ」と呼ぶ者あり)  それから、どれが正当であるかということが人事院が独断的に決めるということはよろしくないじやないかという御質問に対しましては、若しも独断的に決めるのであつたらよろしくないのであつて、併し大体はこの問題にはこれが正当であるということは腹案がある、無論それは定説があるのだから腹案がある、その腹案によつてそれが違つたら皆駄目だということになれば、これはよろしくない。それですから全部答案を集めまして、そして五つ答案がある、その例えば我々が第三が正しいと思うときに、三と五に、正当だと思つて多数の人が集まるかも知れない。そうすると我々は考えなくちやならないことは、我々は第三の答えが正しいと思つておるけれども、沢山な人間が第五にも回答が正しいと集まつたということになると、これは相当考えなくちやならぬのであります。(笑声)その考える場合に……これはこういうことであります。我々の問題の書き方が精密でないがために或いはそういう間違いが起るかも知れぬということがあるわけであります。それを決めますためにはこれは非常な科学的な決め方をいたしまして、全体の例えば九十の問題について正しかつた人、例えば成績がよかつた人、悪かつた人、又よかつた中でも又一番いいのと、その次の、そういう四つぐらいな群に分けまして、その一番成績が全体としてよかつた人がその問題で一つの問題のどこに集中しておるかということを細かく研究して行くのであります。そうして割合成績のよかつた人が第三問に集中して来た、割合成績の悪い人間が第五の答の所へ集中したとなると、これは我々の考えておつた第三の方が正しかつたということになるのです。そういうふうに一つずつ問題が細かく研究いたしまして採点をするのでありまして、決して呑気に採点をするのではございません。これにつきましては、もう少し詳しく、どうするかということを追つて人事委員会などで細かく御説明をしたいと思つておるのであります。(「答弁落第だ」「人事官落第」「その通り」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣本多市郎君登壇拍手
  25. 本多市郎

    ○国務大臣(本多市郎君) 第一の御質問は、先般の試験のために、行政上事務に支障を来たすことはなかつたかという御質問でございますが、時恰かも国会開会中でもあり、多数公務員試験の行われますことは、相当行政事務に影響の多かつたこととは存じます。殊に高級公務員の中には、今更試験を受けるということも誠にどうであろうかというような考えを持つ人もあつたようでありまして、その去就に相当迷つたり、ために多少の混乱も見受けられたのでありますが。(拍手)政府も、この間に大事な国務に支障を来たすようなことがあつてはならないと考えまして、十分そうした方面には注意を促しました結果、特に取上げてここに支障がはつきりあつたということは、お示し申上げる程のものは今日現われておらないのでございます。  次に、この国家公務員法による種々の制約のために、任免権者の統率ということに非常な困難を来たしはしないかという意味の御質問でございますが、これも制度の建前が、任免権者の独善的な任免というものを制約することを目的として公務員法の制定があつたのでありまして、この公務員法の制約に基いて任免権を執行して行かなければならんという立場になりました関係上、部下の統率ということに困難性を加えて来たことは事実でございます。併しこれは一面国家公務員法の精神を考え、更に又部下を統率する者が部下を最もよく認識する者であるというような、この両面からの理論の調整を図つて、そうしてこの制度の万全を期して行くべきものであると考えております。  更に又、人事のための機構、人員の厖大化という虞れがありはしないかという御質問でありますが、これも誠に私共といたしましては心配しておるところでありまして、今日人事院は千二百余人の定員になつておりまするが、この人事院の外に、各省の官房の中の人事課というような方面におきます調査事務というようなものが非常に複雑になつて参りました結果、結局部内の要員をそこに多く割かなければならぬというようなことになつて行くのであります。これも、この人事院の制度、公務員の制度も誠に大切なことではありますけれども、結局国力に応じたそれぞれの適正な規模で、でき得る限りのことを全力を盡してやつて行く外ないのでありまして、その必要性ということに余りに重大関心が向けられる結果、片ちんばに厖大化するというようなことにならないように、政府は御協力を願つて行きたい方針でございます。(拍手
  26. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 議事の都合により、残余の自由討議は次会に讓り、本日はこれにて延会いたしたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時三十五分散会      —————————— ○本日の会議に付した事件  一、渡米議員団に対する米国南カロライナ議会共同決議に関する報告  一、議員の請暇  一、電力問題に関する特別委員会設置の件  一、日程第一 臨時通貨法の一部を改正する法律案  一、日程第二 自由討議(前会の続)