○政府委員(山下興家君) 只今の左藤さんの御
質問にお答えいたします。
御
承知のように今度の
試験と申しまするのは、国家
公務員法の附則第九條に書いてあるその法律に従
つて行な
つたのであります。十分に用意をいたしましてそうして始めたのであ
つて、決して唐突の間にこれをや
つたのではありません。併し、これをやるという
準備行動を公表いたしますと、なかなかいろいろは妨害が起る虞れがあ
つたものですから、これを発表するまでは非常に秘密を守
つたのであります。(「虎の巻どうした」と呼ぶ者あり)それは、
試験をするということ自体を秘密にしたのでありまして、この
人物考査を途中で加えたとか、或いは
身体検査について途中で批評があ
つたがためにそういうものを加えたということは我々の方でないのであります。御
承知のように、課長以上の重要な位置の人を決めまするのに、ただ
筆記試験ばかりではいけないということは明らかな事実であります。それで
人物考査も必要でありますし、当然自体検査も必要であります。これは
公開にいたします以上は自体検査が余程必要にな
つて来るのであります。それで又
人物考査も無論必要にな
つて来る。そういうことで、これは余りに
はつきり分
つたことでありまして、それで、これを全部
試験という名において言い現わしたのでありますけれども、その
試験にはこういう
身体検査も含まれておる、
人物考査も含まれておるのでありますということを明らかにしただけでありまして、決して世の中の批評によ
つて我々の
考えを変えたということはありません。
それから五つの
答案がありまして、それに正しいと思う所にしるしを付けろということは、これは非常に進歩した
試験のやり方であるのであります。人間を調べますのに、今までの普通の
試験のように三つや
四つの問題を出しまして
答案を見るということでは、それに当る場合もあるし当らない場合もあるわけなのであります。どうしてもその人の
人物を調べるのには百問近くの問題が必要なのであります。ところがその百問の問題を二時間、三時間、或いは四時間ぐらいの間に答えるのには、こういう行き方より外にないのであります。五つの中で一番正しいと思う所にしるしを付けて貰いたい、これによ
つて後の調べ方、点数の調べ方が非常に簡單になり、客観性を持つことになるのであります。御
承知のように、
論文であるならば、それを読んでそうして頭の
状態でいろいろな点が変
つて来る。これはよろしくない。問題を作るのに非常に骨が折れますけれども、こういう方法によ
つて採点が非常に客観性を持つようにするということと、それから問題の数を非常に多くして各方面からその人の
人物を調べるということで、これは非常に新らしい良い方法だと私共は確信しておるのであります。それで問題は秘密にするのは困るとか、或いは何が
正解であるかを早く明らかにしろというような御
質問がありますけれども、これは追
試験があるということを御
承知願いたいのであります。今は外国に行
つておるような人がありまして、そのために権利を失うということはよろしくないのでありますから、どうしても現にその位置を占めておる、指定の位置にある人に対しては、どうしてもこれは一遍
試験をしなくちやならんのである。それで、それから
考えますと、先ず追
試験は早く行
つて四月でないとそういう連中が帰
つて来ないのであります。それで、この際いろいろな点をここに公表いたしますと、その追
試験をする人に非常に工合のいいことになる、即ち
試験は公平でなくちやならんということが第一義でありまして、
人事院は何でも公平でなくちやならん。即ち
受験者に対して何か一方に工合がいいことを與えるということは良くないことでありますから、それで、できるだけ公平にするために、何が問題に出たとか、
正解がどこであるのか、どういう採点の方法をするのかということを極力秘密にして置く必要があると思います。尤もこれは最後まで秘密にするのでなくて、一番
終いにもうよろしいというときに、
かくのごとき採点方法をいたしました、そうして結果は
かくのごとくでありまして、その順序は、成績はどうな
つてお
つたのだということは無論お知らせいたすのでありますけれども、追
試験まではどうしてもこれをすることができないのであります。もう一点、非常に秘密にしているわけは、自分がこれを落第したろうかどうだろうかということが予測せられるということは困るのであります。それで予測ができますと、もうどうも自分は生命がないようだから、
一つ民間へでも出ようかと
言つて、いろいろな就職口を探すというようなことになりますと、これは行政の
運営に非常に大きな支障を来たすということになる。これは一番恐れているのであります。それで現在すでに点がとれたとか、どういう点数だ
つたとか、そういう噂があります。併しこれは全然嘘でありまして、現に私共はその
答案をまだ開かないのであります。そのままにしておるのであります。これは採点は割合簡單でありますから……。併し如何なる場合でも、この入れ替えをして行くすつかりの操作が済むまでには、皆に自分がパスしたとか落第したとかいうことを知らせないことが一番大切で、これに対して一番の苦心をしておるのであります。で、私共が今思
つていることは、どんなことが起きてもそれは漏洩ができないような
一つの方法を
考えているのであります。それで若しも途中で、あれは落第したとか、これは点がどうだ
つたとかいう噂がありましても、それは全部嘘であるということを御了解願いたいのであります。何故かと申しますと、
人事院の中でも分らないように、若しも分
つたら漏洩の虞れがありますから、誰にも分らないような特別な工夫がしてあるのであります。漏洩の虞れは絶対にありません。それから、どうして民間人をここに含めて
試験をしたかというお話は御尤もでございますけれども、我々は
公務員の
考え方を全部改めまして、できるだけ民主的に行きたいという
考え方から、この際できるだけ民間人も
一つ受験して貰いたいという
考えから、相当困難でありましたけれども、そういう方法をと
つた次第であります。
それから第二次
試験についていろいろ不評判があ
つたのでありますが、これは或る程度御尤もなんであります。何故かと言いますと、第一次
試験は一般行政能力を調べるためで、第二次
試験というのは、その職の特色を持
つておるかどうか、その仕事に対して特別な知識を持
つておるかどうかということを調べるわけであ
つたのです。ところが、そういう
指定官職約二千六百であります。これをやかましく言いますと、この
一つづつについて皆違う
試験を出すべき筈である。その仕事に最も適する問題となりますと、二千六百あれば二千六百に対して別々の問題を出すべき筈である。それは若しもそういうことをいたしますと他所からは全然入れないという結果にな
つて来る。その現在の幹部以外には分らないようなむずかしい特有な
試験をしますと、これは誰も
公開と称しながら実際は入れないということになる。又
試験の技術といたしましても、そんなに二千六百も種類がある特別の問題を作ることができない。それで、こういう方法をとります。先ず二千六百の種類を六十の種類に分けまして成るべく近い種類のものを
一つ所に集めた。そうして、それでも尚
一つの類別の中には相当な違う種類が入
つているのであります。そこで、これに共通するような問題が出したいということになりますと、どれにもぴたつぴたつとは合わないわけであります。併しそれの成るべくこれくらいな基礎知識は持
つてお
つて貰わなくちやならないということで問題を作
つたのであります。それによりましても第二次
試験は四十五種類の
試験をいたしまして、四十五種類の中でそれを同時に行わなくちやならぬし、又自分がこの職類ばかりじやない、三つも
四つも、中には五つの種類も一緒に受けたいという希望も満たさなくちやならない。それで、それを互いに秘密を守りながら
試験をしなくちやならないという非常なむずかしい條件の下であれを
試験をいたしたのであります。それで今申しましたように、その
一つの職にぴたつと合わないものがあるからいろいろな批評を受けることは、これは止むを得ないと思います。そういうわけでございまして、我々は決して勿卒の間に無用意にこれをしたのではないのであります。附則九條によりますと、
試験は今年の六月までにやらなくちやならぬということが決ま
つておるのであります。六月にやりますと、追
試験がありますから、そうすると五月に仮に追
試験をいたしましても、もう法律で決められた最後の時までに来ておるわけである。そういう次第でありますから、私共はこれについて非常に努力をいたしまして、それだけは
一つ買
つて頂きたいのであります。四十八種類の仕事に対して、その
一つの種類の問題が八十づつ出してあるのであります。第一次の
試験は無論一般行政についてでありますが、それについては九十問出してあるのでありますが、それを作るのになかなか骨が折れたということは
一つ御了解を(笑声)願いたいのであります。(「簡單にやれ」と呼ぶ者あり)
それから、どれが正当であるかということが
人事院が独断的に決めるということはよろしくないじやないかという御
質問に対しましては、若しも独断的に決めるのであ
つたらよろしくないのであ
つて、併し大体はこの問題にはこれが正当であるということは腹案がある、無論それは定説があるのだから腹案がある、その腹案によ
つてそれが違
つたら皆駄目だということになれば、これはよろしくない。それですから全部
答案を集めまして、そして五つ
答案がある、その例えば我々が第三が正しいと思うときに、三と五に、正当だと思
つて多数の人が集まるかも知れない。そうすると我々は
考えなくちやならないことは、我々は第三の答えが正しいと思
つておるけれども、沢山な人間が第五にも回答が正しいと集ま
つたということになると、これは相当
考えなくちやならぬのであります。(笑声)その
考える場合に……これはこういうことであります。我々の問題の書き方が精密でないがために或いはそういう間違いが起るかも知れぬということがあるわけであります。それを決めますためにはこれは非常な科学的な決め方をいたしまして、全体の例えば九十の問題について正しか
つた人、例えば成績がよか
つた人、悪か
つた人、又よか
つた中でも又一番いいのと、その次の、そういう
四つぐらいな群に分けまして、その一番成績が全体としてよか
つた人がその問題で
一つの問題のどこに集中しておるかということを細
かく研究して行くのであります。そうして割合成績のよか
つた人が第三問に集中して来た、割合成績の悪い人間が第五の答の所へ集中したとなると、これは我々の
考えてお
つた第三の方が正しか
つたということになるのです。そういうふうに
一つずつ問題が細
かく研究いたしまして採点をするのでありまして、決して呑気に採点をするのではございません。これにつきましては、もう少し詳しく、どうするかということを追
つて人事
委員会などで細
かく御説明をしたいと思
つておるのであります。(「答弁落第だ」「人事官落第」「その
通り」と呼ぶ者あり)
〔国務大臣本多市郎君
登壇、
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