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1949-12-17 第7回国会 参議院 本会議 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十二月十七日(土曜日)    午後零時五十一分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第三号   昭和二十四年十二月十七日    午前十一時開議  第一 最高裁判所裁判官国民審査管理委員の選挙     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 諸般の報告朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) これより本日の会議を開きます。  この際お諮りいたします。高良とみ君より海外旅行のため会期中請暇の申出がございました。許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。      ——————————
  5. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) この際、お諮りして決定いたしたいことがございます。厚生委員長から、宗教団体の経営する社会事業実情及び地方における共同募金処理実情を実地調査するため、京都府、大阪府及び広島県に姫井伊介君、草葉隆圓君及び竹中七郎君を、十二月二十五日より明年一月十五日までのうち七日間の日程を以て派遣いたしたい旨の要求がございました。これら三名の議員を派遣することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。      ——————————
  7. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 参事をして報告いたさせます。    〔海保参事朗読〕 本日委員長から左の報告書を提出した。  薪炭需給調節特別会計における債務支拂財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案可決報告書      ——————————
  8. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) この際、日程に追加して、薪炭需給調節特別会計における債務支拂財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。大蔵委員長櫻内辰郎君。     —————————————    〔櫻内辰郎登壇拍手
  10. 櫻内辰郎

    櫻内辰郎君 只今議題となりました薪炭需給調節特別会計における債務支拂財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  薪炭事情の好転に伴い、その需給統制及び薪炭需給調節特別会計を廃止することとなり、すでに去る七月三十一日より薪炭買入を停止し、残務整理を急いでおるのでありますが、現物の不足並びに薪炭値引減耗等により清算結了時において五十五億円程度の赤字を出す見込であり、又残務整理を促進する必要上、本年度において五十四億七千万円を限り一般会計から繰入金をなさんとするものであります。  さて本案は第六国会において十一月十八日より十二月三日まで審議を盡し、大蔵委員会においては原案通り可決すべきものと決定したものでありますが、本会議に上程に至らずして審議未了になり、本国会に改めて提案せられたものであるのであります。本案については、本日政府より提案理由説明がありましたが、小川友三委員より、本案は前国会において十分審議を盡したのであるから、質疑及び討論を省略し採決せられたしとの動議があり、この動議は多数を以て可決せられましたので、直ちに採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。尚、詳細は速記録によつて御承知願いたいと存じます。  右御報告いたします。(拍手
  11. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 本案に対し討論通告がございます。順次発言を許します。中野重治君。    〔中野重治登壇拍手
  12. 中野重治

    中野重治君 日本共産党はこの薪炭特別法案反対であります。なぜかというと、これは五十四億七千万円という性質の如何わしい赤字一般国民から持つて行つた税金で埋めようとする犯罪的な法案であるからであります。問題は戰争時代から続いて起つておりますが、要するに一九四〇年頃から以後九年間に、薪炭の出産、売買、消費、配給、こういうものをめぐつて非常に大きな不正が行われて来て、その結果、生産者支拂うべき大枚の金が支拂われない。金庫をあけてみると、中が空つぼになつておる。そこで買い止めとなる。そこで供出者生産者の方で大騒ぎになつて政府その他の機関も默つておられなくなつた。調べて見ると、続々不正が現われて来た。こういう問題であります。実際調べて見ると、炭、薪を野山に雨叩きにして、野ざらしに積んで置いて、倉敷料を取り、動かさないものについて移動手数料を取り、送らないものについて輸送料を取り、それから一等品を三等品だというふうにして鞘を取る。それから、それを伝票でごまかして空供出をやる。その結果、木炭では一四%、薪では三二%、ガス薪では五・五%、金に見積つて十四億円近くのものが品物がない。現品がない。それで空気木炭というふうな新らしい言葉さえできて来るというようになつておる。ついでに言えば、この木炭関係最大の不正が行われておる地方は高知県です。薪に関して最大の不正が行われておる地方は秋田県です。これは二つとも民自党政府関係の浅くない土地である。で、木炭事務所にして見ると、これは悪質な大頭株業者に引摺り廻されておる実情として、そうして、一九四一年には一円八十三銭であつた炭が、四八年の六月には二百二十円になるという工合ですから、悪質業者頭株が人民を凍えさせて置けば金がうんと儲かるという仕組がずつと続けられて来ておる。こうやつて集まつた金を、これは前金或いは現品引替で金を集めておるのですから、莫大な金になりますが、その莫大な金をば悪い業者の大頭株政府支拂わないで、つまりそれだけ国民の金を横領して、そうしてその金を自分の懷に入れて、再び山元へ行つて貧しい生産者品物を叩き買いにする。こういうことをやつて来ておる。で、このことが調べて見ると続々現われて来ております。ところが会計検査院会計検査院としての役目をずつとやつて来ておらない。そこで、そのぼろを隠すために薪炭証券というものを発行して、それをあれこれやり繰りして来たけれども、こういう如何わしい赤字が出てしまつた。それですから、これは先国会委員会で詳しく質疑討論した結果現われているのですが、この問題は軍政府から始まつて歴代政府、特に一九四八年以来の民自党政府、それから会計検査院林野庁行政管理庁国家警察、こういうものが陰に陽に、客観的にはグルになつて、そうして国庫の金を食つて来た、直接生産者を食つて来た。その尻を苦しい中から集めた税金で埋めようというのですから、極めて犯罪的な法案と、こういうことにならざるを得ないのであります。それですから、これはさつき説明しましたように、送らないものについて輸送料を取るとか、野ざらしにして置いて倉敷料を取るとか、そういうふうなことが行われておる。それから現に刑事問題になつております。これは新聞なんかにも現われておりますから、一々名前或いは政党関係を申しませんが、多くの刑事問題が現に進行中である。こういう現に進行中である犯罪問題に結び付いて、あいて来た穴がこの五十四億七千万円の中に相当部分食い込んでおるのですから、これを国民からの税金で埋めようとすることは言語道断ということになります。これは被害者から賠償を取立てて、それを加害者に奉るという、こういう理不盡な法案になる。こういうものには、我々は絶対に賛成することができない。特に私が言うまでもありませんけれども、現に国鉄裁定の問題では、非常に大きな問題が出ておる。官公庁労働者からの強い要求も出ている。現に今日は日雇労働者国会に来て、そうして六千円よこすか、でなければ青酸加里をよこせと言つて、今非常に強い叫びを出しております。それですから、この法案は盜んだものについて、その被害金を盜まれた者から取立てて、盜んだ泥棒に與えて行こうという案ですから、それ自身極めて犯罪的なものなんですが、今日飯を食わせて働かせろという、こういう強い要求が出ておるときに、その方は蹴飛ばして、そうしてこの犯罪的なものを通そうということになれば、これは二重に犯罪的になる。それだから我々はこういう法案はどうしても葬むらなければならんのでありまして、そうしてそういう金があるならば、それは渡すべきところへ渡さなければならない、渡すべきところへ金を渡さずにおいて、渡してはならないところへ無理に金を持つて行こうというのには絶対反対である。今日の委員会では多数でこの法案が可決さるべきものとして今ここに送られて来ておりますが、我々はこの点に関しては参議院相当責任を負つて、こういう犯罪的な法案葬むらなければならんと思う。若し不幸にして、こういう犯罪的な法案参議院で多数によつて通るということがあつたとしても、かかる犯罪案賛成する者だけで我が参議院が構成されてはおらないということを我々はここで宣告したいと思う。そうしてその反対の先頭には日本共産党が立つておるということを宣告するものであります。(「宣伝じやないか」と呼ぶ者あり)何だ……。
  13. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 小川友三君。    〔小川友三登壇拍手
  14. 小川友三

    小川友三君 本議員は、この法律案に対しまして賛成をするものであります。その賛成理由を少し申上げます。  今回のこの金額の中には、生産者に拂う金が二十数億円すでに拂わなくちやならいものがあるのでありまして、これを拂わなければ製炭業者というものはこの年末は送れない、親子心中する人を作るかも知れないというような政治性を持ち、生活擁護立場から、本案はどうしても通して、そうして製炭業者並びにこれを……現在昭和十五年の関衞内閣以来、十一代に亙りまして、この薪炭需給に対しましては、各内閣が非常に骨を折つて、そうして炭を使う国民に対しまして便宜を大いに拂つてつたということは、これは認めることができ得のであります。そうしてこの伏府が、七月から炭を生産者から買わなくなつたという面についても、大蔵委員会においては、政府は十分の善処をするという政策を持つていらつしやるのでありまして、この案は飽くまでも生産者中心とする、いわゆる作る人を救済する法案でありまして、又不正が幾分あつたということも、それは事実でありますけれども、それは検察庁において適当に手を入れて、そうして使つた連中から全部これを回収する、来年一杯には空気木炭の金は回収できるという見込みが付いておるのでありまして、本案に対しまして、本議員賛成いたします。(拍手
  15. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 天田勝正君。    〔天田勝正登壇拍手
  16. 天田勝正

    天田勝正君 日本社会党は本法案反対いたします。  世の中に摩訶不思議という言葉がございます。この言葉に、凡そこの法案ぐらいぴつたりと当嵌まるものはないと存じます。先程大蔵委員長は十分に審議されたと申されておるのでありまするが、第六国会におきまして、予算委員会、或いは農林委員会、或いは大蔵委員会において十分審議いたしました結果、明らかにされました点は、ただ薪炭需給においてその損耗が極めて厖大であつた、その理由については明らかになつたのでございまするが、その責任いずこにありやという点につきましては、全く明らかにされておらないので、これを要約いたしますならば、全くこの責任所在は、誰が惹き起したものやら不明のままに、ただ五十四億七千万円の国費が無駄に使われた、こういうことになるのであります。恰もこれは天然現象によつて空に風が吹くごとく、或いは天から雨が降るごとく、いつの間にやらこうしたことが起きてしまつた。こういう説明になつておるのでありまして、私共はかような不明確なる、責任所在不明確なる理由によつて税負担からこの尻拭いするということには、断じて反対せざるを得ないのであります。  反対の第二の理由は、政府説明によりまするならば、その責任を全く分散してある。これを一々申上げまするならば限りがないのでございますが、その二つを取つて見ましても、先ず政府の提出いたしました資料によりますれば、薪炭需給調節特別会計令にその理由がある。つまり会計令不備なるが故にかような損失が生じたのである。こう説明されておるのであります。凡そその年度内に損失或いは利潤が上つたことが分らないような人達がその責任の衝に当つておるというこの事態、かような点一点をとつて見ましても、全く責任逃れであると言わざるを得ないのであります。  次には評価益が加算されて参つたために、十ケ年に及んで、それが水膨れ的に今日まで押し進められ、そのために今日の厖大なるこの赤字が生じた、こう言うておるのであります。ところが段々追及いたして参りますれば、政府機関でありまする行政管理庁報告によりましても、二十二年度以前においてはさような赤字は極めて微々たるものであつて、これらの厖大なる赤字はかかつたそれ以後に生じておるということが明らかでありまして、この長年に亙るところの責任の分散、これは全く政府の虚構なる申立てであるということが明らかになつておるという点であります。(拍手)  第三に、政府機関の調書の差異であります。先程も中野議員からも指摘されましたが、会計検査院、或いは林野庁、或いは行政管理庁、これらの提出されました資料は、盡く食い違つておるのでありまして、この点も又冒頭に申上げましたように、全く責任所在を晦ますという一方的な而も悪意に満ちたやり方であるということは指摘できるのであります。更に最もきれいな言葉を以てこれを合理化しようといたす点は、若しこの法案を通過させなければ生産者が困るという一点であります。こういうことによりまして、これらの犯罪的な行為が看過される、かようなことは断じて許し得ないのであります。生産者への支拂方法は他に幾多の方法がございます。勿論、金融措置もありましようし、少くともこれらの原因を十分究明することによりまして、初めて国家損失ならば国家から支出するのが当然でありまして、この際、調査未了のままに直ちに国費によつて支弁するということは到底容認し難いのであります。更に過ぐる第六回国会審議の過程におきまして、三浦林野庁長官は、第七回国会においてはこの責任所在を明確にしたところの資料を提出する、こういう約束があつたのであります。それに基きまして、第六回国会の最後の大蔵委員会において可決されました場合に、私はその反対討論の中にも述べましたが、第七回国会とは即ち明日である、明日になつてそれらの責任所在が明確になるならば、この際審議未了にしても一向差支ない。こういうことを申方げたのであります。然るに先程委員長報告にもありまする通り、すでに第六回国会において十分審議を盡され、且つ可決されたが故に、今日は討論を用いずして採決すると、こうなつておるのであります。即ち政府の約束いたしました資料を我々に全く提示することなしに本案が可決せられた。かようなことになつておるのであります。更に過ぐる国会において議決せられました予算に関連しての問題でございまするが、先ずこの薪炭需給会計が如何にでたらめなものであるかというのは、この予算の組み方を見れば明らかなのであります。即ち過ぐる補正予算におきまして、違約金補正が驚くなかれ一万二千倍ということになつておるのであります。或いは又弁償金のごときに至つては二十一万販の補正をいたしておるのであります。或いは六十倍、七十倍、こうした驚くべきところの補正が行われておる。このこと自体がすでに本特別会計が如何にでたらめに経理されておるかということが明らかになつておるのであります。尚、本会計において現品不足を生じたところの理由の二、三を見ましても、誠に驚くべきものがございます。特に現品保管中、盗難、火事、水害以外の理由によつて減耗したるもの、かような項目すらあるのであります。保管とは天災或いは人為的なる理由損耗を防衛することが保管であるにも拘わらず、而も保管中、盗難でも水害でも燒失でもない天然自然に減耗しておるというようなことを平気で政府は述べておるのであります。かような点を一、二取つて見ましても、この会計は全く内部の者の結託によつてかような損害が生じ、而もその理由を全く追及することなしに国民大衆税負担に転嫁するという点、この一点からいたしましても我が社会党は断じて本法案反対するものであります。(拍手
  17. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 島村軍次君。    〔島村軍次登壇拍手
  18. 島村軍次

    島村軍次君 私は緑風会を代表いたしまして本法案賛成するものであります。  その理由を簡單に申上げたいと存ずるのでありますが、元来、蒔炭需給調節特別会計赤字の問題は、昭和十四年以降十一ケ年に亙る長い間の特別会計予算中から年々会計経理不備の結果によつて(「そうでないということが分つたんだよ」と呼ぶ者あり)今日の赤字が出て来たのでありまして、(「その通り」と呼ぶ者あり)この五十数億円の数字の出ましたことは歴代内閣責任でありまして、この赤字を生じた原因並びにその責任については明らかにいたさなければならんのであります。(「違うよ、予算の小委員長報告を見たか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  19. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 靜粛に願います。
  20. 島村軍次

    島村軍次君(続) その結果によりますと、我々は先に衆議院考査委員会において取上げられ、或いは又本参議院等におきましても、農林委員会その他において政府に対しその原因究明を徹底的にいたされましたことは諸君の御承知の通りであります。社会党並び共産党各位の御指摘になりました点は確かに本会計不備より生ずる大いなる欠陷であり、国の会計経理において将来これらの問題に一大警告を與えなければならぬ問題と私は存ずるのであります。併しながら今日若しこの法案を認めないという結果になりますというと、先程来の各議員の御指摘になりました通りに、全国多数の生産者は一日千秋の思いでこの支拂を待つておるのであります。(「その通り」「そこが全くの嘘だ」と呼ぶ者あり)而して若しこの法案が否決になるというようなことになりますれば、年の瀬が越せないということは、すでに自明の理でありまして、(「その通り」「泥棒拂わせろ」と呼ぶ者あり)この点は我々は、国会議員立場において十分なる検討を加えなければならぬ問題と思うのであります。即ち支拂未済の問題は、我々はこれを支拂うだけの措置を講ずることが国民に対する義務と信ずるのであります。(「そうだとしてもそれは二十億だよ」と呼ぶ者あり、拍手)この特別会計を若し打切つたことによるいろいろな混乱のあることに対しては、我々も十分今後政府警告を與え、究明をすべきことは当然であるのでありまするが、只今申上げましたような理由によつて、我々は止むを得ずしてここに全国に亙る生産者のために、この法案を認めざるを得ないという結果と相成ると思うのであります。(「緑風会はいつでもそうだ、止むを得ずしてだ」と呼ぶ者あり)一面、政府といたしましては、この特別会計卸売方面輸送業者(例えば弁償金のごときもの)に対しまして有するいわゆる債権、その他一切の債権が完全に回收されていないということに対しましても、これが重大なる責任があるのであります。これらの点は大蔵委員会或いは農林委員会において相当政府に突つ込んだ質疑応答が行われ、その結果、政府もこれらの問題に対する将来の責任を或る程度言明いたしておる点等から考えまして、(「それは仮定だよ、民自党の好きな」と呼ぶ者あり)所期の目的に向つてこれら清算の完了せられんことを要望いたす次第であります。以上の理由によりまして、緑風会は本法案賛成をするものであります。(拍手
  21. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) これにて討論通告者発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  22. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。(拍手)      ——————————    〔栗山良夫発言の許可を求む〕
  23. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 栗山良夫君。
  24. 栗山良夫

    栗山良夫君 本員はこの際、電力料金値上げに関する緊急質問をすることの動議を提出いたします。
  25. 小林勝馬

    小林勝馬君 本員は栗山議員動議賛成いたします。
  26. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 栗山君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許可いたします。栗山良夫君。
  28. 栗山良夫

    栗山良夫君 首相の出席を要求いたします。
  29. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 只今要求いたしておりますが、少し遅れるようであります。
  30. 栗山良夫

    栗山良夫君 来られるわけですか。
  31. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 後刻見えられる筈であります。    〔栗山良夫登壇拍手
  32. 栗山良夫

    栗山良夫君 政府が去る十二月十三日告示を以て発表いたしました電力料金の値上は、電気事業の運営に画期的な将来を與えたばかりではなく、経済界或いは家庭生活に深刻なる影響を與えるものでありますから、以下八点に亙りまして私は首相並びに関係大臣の所信を伺いたいのであります。時間に制限がありますので簡單率直に質問要点を述べるに止めまするが、詳細はすでに係官を通じてお伝えいたしてありますから、何とぞ明確にお答えを願います。  質問の第一点は、自由経済統制撤廃基本理念の問題でございます。現政府自由経済への全面的復帰を理想として、生産需要を追い越したものから漸次統制撤廃することとして政策を進めております。然るに電力生産はここ数年生産需要を追い越す見込はない。即ち電力不足実情にありまするが、このときに当り電力料金制度の大改革を断行して、火力料金支拂い覚悟ならば使用勝手次第という、料金制度からする事実上の統制撤廃を断行したのであります。このことは政府統制撤廃理念に全く矛盾するものであり、何か外に意図ありと推察されますが、首相はこれを何と考えられますか。又統制撤廃した以上、不足電力の公平な配分のために電力統制を止むを得ないものといたしまして、国民電力制限を強要して参りましたところの理論的根拠を失つたわけであります。然るに電力不足の現状からして、電力制限の継続は不可避の状況下にあつて電力統制撤廃を断行した首相は、今後如何なる理論を以て電力制限について国民に呼びかけるつもりであるのかどうか、この点を伺いたいのであります。  質問の第二点は電力割当についてであります。先ず第一に、従来の電力割当は、電力制限統制を主目的といたしました建前から、安定本部動力局所管でございましたが、今後の割当はその性格を変えまして、料金操作中心でございますから、必然的に物価庁所管となり、従つて機構の改革を要するものと考えまするが、この点はどうお考えになるか。第二には、今回の料金改正要点は、地域差付き小売單価にあるとして議論が集中せられておりまするけれども、これ以上に重要な点は総発電電力量の中で標準電力料金引当割当てられるところの電力量の枠の大小が問題であります。即ち火力料金標準料金の約四倍という大幅な倍率でありまするから、この枠を狹ばめれば狹ばめるほど火力料金負担が増大し、反対拡めれば拡めるほど負担が減少するのであります。従つてこの枠の操作如何によりまして、直ちに電気事業経理を左右し、又需用者料金負担の軽重に直接関連する重要問題であります。而もこの重要な枠の決定政府がこれをすることとなつておりますが、私はこの標準料金引当電力量決定は、政府の外に事業者需用者を含めた民主的な公開機関決定せしめ、国民が納得するような方途を講ずべきであると考えますが、その用意ありや否や。第三には、若し仮に以上のような工合に民主的に枠の決定ができましたとしてましても、尚、問題が残つておるのであります。即ち標準割当量の中には水力ベース火力ベースがあります。その比率は本年第四・四半期で全体の八七%が水力であります。火力ベースは正確に計画通り発電し得られましようけれども、水力はその計画を河水の七ケ年平均水量に置いておるわけでありますから、年々の異常渇水又は出水で非常に大きく変動するのであります。若し年度の初めに決定した標準電力割当量の責任発電を強要いたしますると、河水の変動によりまして電気事業の收入は意外な黒字或いは赤字となるのであります。併しこの黒字又は赤字は、当然事業者が独占し又は負担すべきものではなく、需用者にも公平に配分又は負担せしめなければならないと思うのであります。政府はこの計画と実績との間に生ずる大きな金銭的修正を如何ようにして実行しようとしておられるのか。この点を明らかにせられたいのであります。次に第四には、大口電力の業種別の標準電力量割当であります。家庭用及び小口電力割当は一定の基準が設けられて国民に公開せられました。併し大口電力に関しましては何らの表示がありません。伺うところによりますと、従来の電力需給調整規則を援用して政府が個々に割当査定を行われるようであります。従来の電力需給調整規則が設けられました理論的な裏付けは、正に軍需生産中心とした生産計画であつたのであります。ところが今や大多数の産業は自由生産に入つておるのでありますから、政府がこの古い需給調整規則を基にして需用者の申請を査定する理論的根拠はなくなつたわけであります。従来においても、とかくの風評を生んだこの個別割当の査定は、今後は特にガラス箱の中で、事業者需用者全体を含めた民主的な公の機関で行うべく改める必要があると考えますが、その用意ありや否や。今回の料金制度の地域料金を横糸といたしまするならば、只今申上げました三点は正に縦糸であります。而も国民が直接知り得ない機微な新制度の心臓部であり、この制度の生殺を決定する重要な点でありますから、特に明快な答弁をお願いたします。  質問の第三点は、料金の地域差についてであります。今回の電力料金制度の大眼目は、全国を九ブロツクに分けまして、各地区の水力及び火力の現在の発電力を基礎として各地区の発電原価を定め、これによつて各地区の独立採算を主的に大幅な地域差を設けたところにあります。併しこれが質問の第二点と併せまして非常な問題点であります。即ち水力、石炭などの天然資源は、国民がひとしくその恩惠に浴する権利を有しておるにも拘わらず、新料金制度では、一部地区に大幅な地域差を設けて特別の恩惠を許し、一部には苛酷を強いておるのであります。又戰前においては火力及び水力の発電原価は二対一でありまして、このため昔の自由経済時代におきましても、全国に散在した各地の電力会社は、大なる地域差を設けないで收支をバランスさせることができました。又各産業は各地は興つたのであります。然るに戰後の異常な石炭代の値上りのために、この比率は七対一と大幅に開き、そのため今回のような大幅な地域差が生れたのであります。若しこの地域差を修正しないで強行いたしまするならば、中国、四国、九州、北海道などの火力地帶の産業は決定的な打撃を蒙むり、到底水力地帶の産業と競争し得ないのであります。今後の新規企業を新料金制度に合致せしめるために、その敷地を水力地帶に誘致することは別問題といたしまして、現に大幅な料金の地域差を予定しないで事業を興し、目下操業中の企業を、戰後の異常な石炭値上りによる火力原価の高騰の犠牲に供して、これを倒壊せしめることは、断じて許さるべきでないと存ずるのであります。そこで政府はこの幣を改めるために次の三点を実行する用意があるかどうかを伺いたいのであります。  先ず第一点は、政府がとつているところの本州中部の水力電源開発第一主義を改めまして、水力電源不足地帶の中国、四国、九州、北海道地帶の開発を優先せしめまして、各地区の水力対火力の発電電力量の比率の均衡を得させること。  第二に、戰後における石炭の異常な値上りが今日の地域差の重要原因でありまするから、火力用炭に大幅の国庫補助を行い、少くとも水力、火力の発電原価の比率を戰争前にまで復元すること。  第三は、各地区の独立採算制の強行を取り止め、当分日発の卸売料金でプールせしめことであります。  特に附言して置きますが、今回の料金制度の大眼目であるところの地域別独立採算制の確立は、その後の計数チエツクの結果、及び火力地帶からの反対陳情などのこともあつて、本年第四・四半期に限つて、日発及び配電会社に一部プール制を残すべく措置中であると伺つております。このような考えが政府にあることが、最も端的に私の意見の正しいことを政府みずからが立証しておるわけであります。  質問の第四点は供託金の問題であります。政府は今回の料金改訂を機会に、電気事業者が需用者より電力料金二ケ月分の供託金を收納し得るように措置いたしました。電力料金一ケ年六百億円といたしまして、百億円に上るのであります。事業者需用者との需給契約は殆んど無期限でありますから、この供託金制度は、正に身軽な形で長期資金を電気事業に與えたものであります。我が国産業界に前例を見ない措置であります。従つてこの供託金制度について、共託金を事業者に許すところの理論的根拠及び供託金の使途、既契約需用者に適用の有無、一片の電気料金改訂告示で以てこのような大きな権利を電気事業者に與える根拠の四点を明らかにせられたいのであります。  質問の第五点は、農業用電力料金であります。土地改良事業の一翼として、今まで灌漑排水等の電力料金は特別の措置が講ぜられて来ましたが、今度は全部除外となりましたのであります。そのため、一例を挙げますると、岐阜県の揖斐川以東水害予防組合の本年度電力使用量を基礎として新料金に引き直しますると、標準料金のみとして約七割増し、超過料を織り込みますると実に八乃至十倍になると言われております。このままでは農家をして耕作を放棄せしめるがごとき重大問題の惹起も懸念されまするので、灌漑及び排水用の料金は全部超過料金を徴收しないこと、基本料金は免除すること、料金割引制を設けること等の緊急なる対策を必要と考えまするが、その用意があるかどうか。特に農林大臣に今回の電力料金が農業政策に及ぼす影響及びその対策について所信を伺いたいのであります。  質問の第六は、自家用発電設備等の讓渡の問題であります。政府の行なつた電気事業に対する戰時中の強制統合に関しまして、戰後、旧事業関係者から買戻しが相当強く要請せられて来ましたけれども、新電気料金制度をめぐつて更に一段とその運動が活溌化するであろうと想像されまするので、次の二点について伺います。第一は、地方の山間部にあつた旧村営又は公営の電気事業を旧関係者に配電会社をして売り戻しせしめる用意ありや否や。第二は、稻垣大臣は最近、自家用発電所は旧所有者に売り戻しさせる用意のあることをたびたび言明されておりますが、私の承知しておるところでは、日発及び配電会社が買收したのは電気事業でありまして、自家用設備を買收した例はないのであります。恐らく大臣の何かお考え違いではないかと存じますが、若し大臣が旧事業者から日発が買收した設備を特定の産業法人を讓渡したいとの意図でありまするならば、事は重大でありますから、この際この点を明らかにせられたいのであります。  質問の第七は、新規及び増加契約の制限解除の問題であります。従来は電力不足に鑑み、電力需給調整規則を以て新規及び増加受電契約は政府の嚴重な抑制を受け、一馬力と雖も簡單には参らなかつたのであります。併し今や電力統制撤廃が断行せられたのでありますから、すでに述べた通りに、この制度も直ちに廃止すべきであると存じます。若し受電電力は量は解除したが、受電電力は解除していないと申されるならば、これは電気の正体を知らざる人のたわ言でありまして、国民を納得せしめるものではありません。受電電力の解除ができなくて受電電力量の解除をすることは、理論的に誤まりであるからであります。勿論、電気事業者が自主的に供給能力と見合せてこれを調整することはあり得ましようが、これは飽くまでも運用でありまして、法規で抑制することは理論的に誤まりでありますから、即時解除せられたいと思うのであります。この点を伺います。  質問の第八点は、同居世帶の電力割当であります。只今は同一家屋でただ一個の需給契約受電をしておりましても、同居世帶の数に応じまして電力割当が行われて、公平を期して来たのであります。然るに新制度では、標準料金割当は同居世帶に関係なく一契約一世帶として処理せられまするので、窮乏に喘ぐ同居世帶者は、四倍の高率な火力料金負担しなければならないのであります。不合理、矛盾これより大なるはないのであります。この点は即時訂正を要する緊急問題でありますが、その用意ありや否やを伺います。  以上八点を以て私の質問を終ります。特にお断りして置きますが、従来電力問題に対する政府答弁はピントが外れておりまするけれども、今日はさようなことのないようにお願いを申上げます。(拍手)    〔国務大臣青木孝義君登壇拍手
  33. 青木孝義

    ○国務大臣(青木孝義君) 只今の栗山議員の御質問につきまして、先ず第一に、新料金制は実質的に統制撤廃と等しいが、電力需給がまだ不均衡である現在これを如何に考えるかという御質問にお答え申上げます。  新料金制におきましては電力使用限度の割当は行わないことになりますが、一定量以上の使用量に対して火力料金を適用することと、それから基本料金最大電力の実績によつて計算すること等によりまして、電気事業者の側の供給力の増加に努め、更に需用者側においても需用電力の節約に努めることとなりますので、相当程度自動的に需給の均衡保持に役立つことができると考えるのであります。併し差向きこの冬の渇水期におきましては、供給力にも限度がありますし、特に最大電力需給につきましては、逼迫の危險がないとは言われませんので、万一需給の不均衡を来たす虞れのある場合には、適宜の調整措置を講ずることにしたいと考えておる次第でございます。  それから第二点でございますが、(「そんな運用の問題じやない」と呼ぶ者あり)電力割当についての御質問と存じまするが、新料金制では電力割当が需用家の料金を左右することになるが、割当は今後物価庁で行う考えであるかどうかという御質問と存じます。そこでこれに対しましては、電力割当の如何が電気供給事業者及び需用者経理に影響を與えますことは事実でございますが、今回の電力割当は、その特質上需給の調整の趣旨を持つものでございますし、各種産業の生産計画との関連もありまするので、安本において物価庁と十分連絡をとりまして、これを行なつて参る考えでございます。  それから第三点でございますが、電力割当を需用家団体等を入れて公開的に行う用意はないか。この点でございますが、電力割当に当りましては、極力各地区、各需用部門の実情を反映するよう努力する考えでありますが、需用家代表等を直接これに参加して頂くということは、私共としては不適当と考えております。従つてその用意はいたしておりません。  それから第四点でございますが、今回の割当に当つては、水力は七ケ年平均の水量を基礎としているが、豊水、渇水によつて割当を増減するかどうか。これについては、水力発電の状況が計画量より増減した場合でも、原則といたしまして割当量は変更しない考えでございます。  それからその次は電力の……。(栗山良夫君「收支の問題はどうする。僕が聞いたのはそこなんだ」と述ぶ)尚、幾つもございましたので、順次申上げます。(栗山良夫君「一番重大なところが拔けておるのだ。今のところが一番重要なんだ」と述ぶ、笑声)この第五番目でございますが、電力のごとき天然資源は、国民平等に享受すべきもので、全国均一料金制もこの見地から採られておるものと考える、こういう御質問で、尚それを分ちまして、今回の新料金制はこれに反しておる、そうして既成産業に急激の打撃を與えると考える、この点に関して根本的にどう考えておるか、こういう点。もう一つは、新料金制によつて電源開発計画に変化を與えないか、こういう点。それから火力用炭への補給金が必要だと考えるがどうか、こういう点であります。次にもう一つは、第四・四半期は割当ですでにプール計算を考えておるが、新料金制度の不合理を現わしておると思うがどうか、こういう御質問であると思います。そこで先ず今回の新料金制は、根本的には各地区の電力原価主義によつたものでございます。需用の性質によつて、例えば定額制電燈料金等については、その差は極めて小さくしてございます。それから産業用電力については地域差が相当著しいのでございますが、産業に與える影響を過渡的に緩和するために、第四・四半期の電力割当におきましては、基準料金に組み込むべき火力用炭を、地域原価そのままの配分によらないで、九州だとか、それから北海道、中国、これらの地区におきましては、火力地帶に重点的に配分いたしまして、そうして各地区の割当基準がほぼ均等になるように措置して、この間の影響を幾分なりとも緩和するということにした次第でございまして、従つてこの分につきましては、日発、配電会社等のプール計算方式も過渡的に行う結果となるものと考えております。将来におきましては、必然的に地域原価によつて電気料金が定められることになると考えられまするが、産業も各地区の特質に応じた発達をすることが望ましいというふうに考えておる次第でございます。それから尚、電源開発につきましては、新料金制になりましても需用が減退するとは考えられないのでございまして、現在計画しておる程度の規模のものは開発を進める必要があるものと考えます。併し地域別又は地点別には、各地区の特質、需給の状況等に鑑みまして、多少修正されるものがあると考えます。それから尚御質問の三になりますが、火力用炭代補償の問題については、補給金は御承知の通り漸次廃止して行くという方向にございます。且つ又補給金の支出によりまして電気料金を必然に引上げますることは、電気料金と他の物価との関係もございまして……。(栗山良夫君「そんなこと聞いているのじやない」と述ぶ、笑声)今回は実質賃金による火力料金制を採用いたした次第でございます。右お答え申上げます。(拍手)    〔国務大臣稻垣平太郎君登壇拍手
  34. 稻垣平太郎

    ○国務大臣(稻垣平太郎君) 栗山議員の御質問に対して、私に関係する部分についてお答えを申上げます。  第一は、供託金制度は既契約需用家にも適用するのかどうかという御質問であつたと思うのでありますが、供託金制度は新らしい制度でありまして、今直ちに画一的に全国に実施して、既契約需用家に大きな影響を及ぼすということについては、十分種々の観点から考えなければならぬ点がありまするので、この点につきましては実情に即した運営を図るように考慮いたしたいと考えておる次第であります。  それから第二に、農事用の電力料金の値上げ著しいが、これを緩和する方法はないかという御質問であつたと思うのでありますが、これにつきましては、今回の料金改訂に当つては、御承知のように原則としまして原価主義が採られておるわけでありまして、従つて料金生産される電気の特質に基いて決定され、又需用家の種類によつて差別を付けることを避けておるわけでありますが、特に農事用としての電力料金決定されておらぬことはお話の通りであります。併し灌漑排水用は、その需用の特性を考慮いたしまして、通産省といたしましては、標準料金率を適用する割当において調整をいたして行きたい、かように考えておる次第であります。  第三に、鉱山であるとか或いは工場等に対して自家用発電所を返還することは不都合ではないかというお説であつたと思うのであります。もとよりお説のごとく水力が天與の資源であり、国民のひとしく享受をすべきものでありまするからして、従つて発電水力の利用或いは電力設備の合理的の運営ということのためには、水力発電所は電気事業用として極力広範囲に総合運営を行うことが必要である、この点では、私、全く栗山さんと御同感であります。但し御承知のように、化学工場や鉱山の自家用の発電所のうちには、その事業の経営と密接不可分のものもあることも、これも栗山さんは御同意下さることと私は思うのであります。(「違うのだよ」と呼ぶ者あり)ただ先般私は、いわゆる自家用発電所を返すという問題を申しましたことについてのお尋ねがあつたのでありますが、この私が申しました意味は、成る程、法的には自家用発電所を日発が取上げたのはないのでありまするけれども、実際問題といたしまして、自家用であつたものがいろんな経緯によつて日発の中に入り込んで行つた、こういつたものが二、三あるのであります。こういう点について十分考慮をいたしたいということを申上げておるわけでありまして、この問題につきましては、尚、電力再編成の審議会において十分御調査を願うつもりでおります。できるだけ早く電力再編成審議会においてその結論が出ることを希望いたしておるような次第であります。  それから、その次は従量電燈料金について、世帶数に拘わらず同一基準によつて火力料金を徴收することは、同居世帶に対して非常に不合理ではないかという御質問であつたと思うのでありますが、一般従量電燈料金について世帶数、取付燈数等を考慮しなければならない点もあると考えられますが、実施に当つての事務の煩雑も考えて頂きたいし、又取扱等の不合理性等という点もありますので、今回の改訂におきましては特に世帶数による増加は考えられておりません。尚、最低使用料金を入れて計算いたしまするというと、世帶数を考慮すると否とによつて大きな差は生じないように我々は存じております。(栗山良夫君「新規の契約解除……」と述ぶ)よく聽き取れないのですが、何ですか。(栗山良夫君「新規増加契約の制限解除」と述ぶ)増額料金の何ですか。
  35. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 又の機会にされたら如何ですか。(「冗談じやないよ」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣吉田茂君登壇拍手
  36. 吉田茂

    ○国務大臣(吉田茂君) 栗山君にお答えをいたします。  只今通産大臣から詳細のお答えがあつた通り、私においても同意見であります。電力料金の改訂は現在の事情において止むを得ないことと存じますし、各地域の差は、地域の特質に応じて産業の発達を図ろうとするものでありまして、やがて将来の電力再編成に備えんとするものであります。各種の企業の将来を十分考慮いたして処置いたしたものと御承知を願いたいと思います。(拍手)    〔国務大臣森幸太郎君登壇拍手
  37. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) お答えいたします。灌漑排水用の電力料金につきましては、今通商産業大臣よりお答えがあつたわけでありますが、今回の電力料金の改正は農業生産の上に非常な関係を及ぼすのでありまして、御承知の通り、周年的に動力を使用いたしておりまするもの、又天候の如何によつて臨時的にこれを使用するもの等に分れておるのであります。その需用地によりまして、いろいろ考え方も変つて来るのでありますが、今回の増額に対しましてはできるだけ農民の負担の過重にならないように措置いたしたいと考えておるのであります。電力割当量と超過料金率の適用関係につきましては、相当の余裕を認められておるようでありまするので、電力の追加割当によりまして、補正使用分を普通料金によつて支拂うことにいたしたいと、かように考えておるのであります。又最大契約電力を全設備容量の七〇%以下にいたし、そうして基本料金の減少を図ることとし、尚、電力を使用しない月の基本料金の免除につきましても、更にこれを実現いたしたく努力いたしておるのであります。従来の三割引の特典が今回廃止されるという問題につきましては、地区的に料金率も変つておるのでありますが、その事情に即応するよう目地他の方面によりまして対策を考究いたしておるわけであります。(拍手)      ——————————    〔板野勝次君発言の許可を求む〕
  38. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 板野勝次君。
  39. 板野勝次

    ○板野勝次君 私はこの際、食糧確保のための臨時措置に関する政令について緊急質問をすることの動議を提出いたします。
  40. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 只今板野君からの動議に対しまして賛成いたします。
  41. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 板野君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 松嶋喜作

    ○副議長松嶋喜作君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許可いたします。板野勝次君。    〔板野勝次君登壇拍手
  43. 板野勝次

    ○板野勝次君 政府は去る七日、政令三百八十四号で食糧確保のための臨時措置に関する政令を出しまして、即日施行したのでありますが、この政令の基礎をなします勅令第五百四十二号は、すでにしばしば我が党も指摘いたしましたごとく、新憲法と共に消滅したものでありまして、明らかに憲法違反であります。吉田内閣は、憲法無視の内閣であり、法律無視の内閣であります。すでに国鉄裁定の問題をめぐります法律無視の態度によりましても明らかでありまして、今回の政令公布に当りましては、野党各派は直ちに政府に対して次のように抗議を申入れておるのであります。「国会提出を避けてポツダム政令で強引に実施した政府の態度は、民意を蹂躪し、民主主義政治の原則たる議会主義を否認し、全農民に挑戰するものである。政府の度重なる国会無視の非立憲的態度に対し、野党各派は挙げてこれに反対する」と申入書を出しておるのでありまするが、明らかに吉田内閣が農政に対する全く政治的な貧困を暴露したものというべきでありまして、この政令を出します根拠になつたと言われておりますところの主要食糧の集荷に関する件と称するスキヤツピンは、すでに御存じの通り昨年十二月二十四日附で出されておるのでありまして、すでに一年以前のものであります。而も前々国会以来審議を重ねて参りましたのに、参議院における三日間の審議では、到底審議を了することのできない事情にあつたのにも拘わらず、この審議未了になつたことを口実にいたしまして、国会審議権を無視するような態度は、断じて私達は農民と共に許すことのできない政府のフアツシヨ的な態度と断ぜざるを得ないのであります。而も現在一年を経過した今日、何ら緊急性がないということは、すでに農林大臣が食確法審議の際に強権発動をしないということを言明しておりまするし、更にポ政令を出しまするに当りまして、官房長官も、これは伝家の宝刀である、こういうことを申しておるのでありまして、何ら意味のないものでありますならば、何故に政令を出すに至つたのか。憲法を無視してまでも政令を出すに至つたのか。明らかに我々が理解し得られることは、吉田内閣は農業政策の失敗を蔽い隠すために政令を以て摺り替えたものである。そうして国会審議権を無視しようとするこのような態度は許されるべきでないのでありまして、速かに政府はこのような国会審議権を無視するような政令の撤回をすべきでありましようし、審議の経過からいたしまして、審議未了責任はむしろ政府が負うべきでありまするから、この際、審議未了責任を負い、吉田内閣の農業政策の貧困であつたという全責任を負つて、吉田内閣は即時退陣すべきであると思うのでありますが、総理大臣の率直明快なる答弁を望むものであります。  質問の第二点は、十二月四日号の農業省弘報課が編集しておる「弘報だより」によりまする農相の談によりますると、第六国会では前回の参議院の修正案通り衆議院が可決したにも拘わらず、参議院においては審議未了になつたと、その談話を発表しておるのでありますが、すでに前の本会議場におきまして楠見農林委員長が、増田官房長官の談話に対する一身上の弁明の中にも明らかに指摘されておりますごとく、政府のとりました農政自体では、到底農業の増産を確保することができないのであります。我が党は賛成いたさなかつたのでありますけれども、これを生かすために食糧増産確保基本法が附帶されておる。この事実を見落して、この「弘報だより」にながながと農相談を、繰り言を重ねておるのでありますが、これは明らかに我が参議院を侮辱し、我が農林委員会のとつて参りました愼重なる態度に対して、全く無視した態度と言わざるを得ないのでありまするし、事実を歪曲するも又甚だしいと言わざるを得ないのであります。これは私は何といたしましても農林大臣の失言であると断ぜざるを得ないのでありますから、本議場を通じて、このような事実を歪曲した談話を取消す意思が農林大臣におありかどうか。  第三点は、又農相談の中には、政令の公布は、国会を含む国民全体の責任において、ポツダム宣言受諾下に余りにも当然な道としてやつたんだ、こういうふうに談話を発表されておるのでありますけれども、これは明らかに政府責任回避の繰り言に過ぎないのでありまして、吉田内閣の無為無策であると申しまするよりも、むしろ農民をいわゆる特約的な賃金奴隸にしようとしておるものでありまして、指令を具体化するに当りまして、これをむしろ悪用し、そうしてポツダム宣言の受諾の精神を農林大臣自身蹂躙しておるものと言わざるを得ないのであります。果して農林大臣はポツダム宣言をどのように理解しておられるのか。ポツダム宣言の中には、日本の国民を奴隸化しないこと、平和産業は無條件に拡大されるべきであること、    〔副議長退席、議長着席〕  更に軍国主義を徹底的に拂拭して民主主義的な傾向の復活強化に対するすべての障害を除去しなければならない、このことが指摘されておるのにも拘わりませず、この民主主義的な傾向に逆行するような天下り的な処置をとつた、正に民主主義に反する農林大臣こそ追放されるべきものでありましようが、果して農林大臣はこのポツダム宣言を如何に理解しておられるか。この機会に、果して農林大臣がお読みになつておられるかどうかさえも疑わしいのでありまして、この理解に対する態度について承わりたいと思うのであります。  第四点は、私はすでに農林委員会においても指摘した点でありますが、昨年の食確法審議の際におきまして、農林大臣は当時野党の立場において次のようなことを言つておられます。それは食確法自体に対する森農林委員の態度として、「この法律に、農民が納得するような割当をするといううまい言葉を使つておられるが、これはカモフラージユした一つのやり方であつて、やはり強制的な供出を行わせなければならないという結果になるのではないかと思うがどうか」と言つて政府に迫られておる。更に報奬措置につきましても、「政府は供出に対してどういう奨励の措置を講じておられるか。供出以外のものに対しては三倍で買う、これが奬励の措置とは言えないではないか」と言つて追及され、「価格の面におきましても生産者が満足するような価格にして、報奬物資で釣るということは止めてはどうか」、「無理な供出割当と、そうして課税が苛酷であるために、耕地の返還が非常に多いではないか」、こういうふうなことについて報奬措置に対する森農林委員の見解を明らかにされ、更に供出のやり方につきましては、次のように速記録には書いてあります。「この田からはこれだけ穫れるからこれだけの余分が出て来る。それが部落から町村、町村から郡、郡から県に集まつて、何処の県は「いも」はどれだけ、米はどれだけ供出する能力がある。それが本当の供出の割当だと思う。今は大まかに知事をして、これは連合軍とも相談したのだからということで、これだけ供出せよと上から天下り的にやる。ここに無理な、適正ならざる不合理な割当があると思う」と言つて追及されておるのであります。当時私はスキヤツピンに基く改正案が上程されました時に、この速記録を引用して農林大臣の見解を質した。果してこのごとき言葉をそのまま農政の上に実現しようとしておられるか。若しこのことが実現できなかつたならば潔く農林大臣の椅子を退くべきではないか。(要らんこつちや」と呼ぶ者あり)それこそ真に農政を生かす途ではないかということを迫つたときに、農林大臣は今尚その信念に変りはないが、年度の途中であるから実現でき得ないということを言われたが、すでにその言葉を聞いて八ケ月、果して農林大臣が就任以来農村のために何をやられたのでありましよう。スキヤツピンの第一には、主要食糧をでき得る限り最大限に集荷するということと同時に、次には主要食糧の生産と供出に対して、農民に報奬を與える措置をも含めて、主要食糧の生産最大にする必要の処置を講ずる点が指摘されておるのであります。然るにも拘わらず、このような報奬の措置に対しては、逆に超過供出の買上げ価格を三倍から二倍に切下げて行く。民自党みずから選んで参りました米価審議会の米価決定に当りましても、それを下廻るような低米価を押し付けて来、更に農村の必要とする肥料その他の物資におきましても大幅な値上をされて来ておる。明らかにスキヤツピンの指摘いたしております報奬措置どころか、逆に農村を虐待するような措置でありまして、何ら改善の跡は一つも認めていないのであります。農産物と工産品とのシエーレの差は拡大し、農家の預貯金は減少して、負債はますます大きくなつて行く。租税の負担はますます過重になつて来ておるのでありますが、果して農林大臣が就任されて以来今日まで如何なる改善の跡を示されたか。私はただ農林大臣が、吉田内閣が米券制度以外には何ら農政改革の意図のなかつたことが、その八ケ月間において明らかにされておると思うのであります。このような何ら農政を改善することのできなかつた農林大臣が、果して農林大臣の椅子に就き得る状態にあるかどうか。潔く、農政が実現し得ないのならば、この際農林大臣の椅子を退いて、何故に我が国の農業が保護されないかの事実を全農民の前に明らかにしてこそ、真に農林大臣としての、政治家としての進むべき途があると思うのであります。農林大臣のこの点に対する見解を伺つて置きたいのであります。  第五の点は、農臣大臣は農業恐慌につきまして、外国の安い食糧が窓を開いて入つて来る(「時間だ」と呼ぶ者あり)こういうふうな誤解の上に立つておりますけれども、現在の農業恐慌は、大資本本位の統制政策から来ますところの低賃金政策、低米価政策による恐慌を断じて見逃すことができないのであります。外国食糧も上陸しまして日本の低米価格政策に遭つてむしろ顔負けをするような状態であり、国内の低賃金、低米価にマツチさせるためには、輸入食糧が増大すれば大衆課税による補給金が殖えて来る、輸入食糧は高く買つて来て安く配給しなければならないために、農民の負担も大衆の負担も重いのであります。  そこで私は最後に総理大臣に伺つて置きたい第二の点は、農林委員会におきまして、私が政府の食糧輸入政策と国内の自給体制について質問いたしました際に、農林大臣は、我が国の食糧政策については自主性がないのだと答弁し、青木安本長官は自主性があるのだと言われたのであります。果して我が国の食糧の自給体制或いは食糧の輸入政策について、政府に自主性があるのかないのか。この二人の大臣の答弁の食い違いを、総理の口から、どのような事態になつているか、この点を明らかにして頂きたいと思うのであります。(拍手)  私は最後に農業の保護政策について伺いたいのでありますが、すでに質問の時間がなくなりましたので、他の諸点につきましては別に農林委員会において質問をいたすこととして、この際、質問事項を留保いたして置きたいと思うのであります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂君登壇拍手
  44. 吉田茂

    ○国務大臣(吉田茂君) 食糧確保のための臨時措置に関する政令に関して板野君の御意見は、政府の全く同意せざるところであります。総司令部の覚書、指令に対して、かくいたすことが最も適当なりと政府は信ずるものであります。その他のことは主管大臣からお答えいたします。(拍手、「答弁ができないのか」「明瞭」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣森幸太郎君登壇拍手
  45. 森幸太郎

    ○国務大臣(森幸太郎君) お答えします。板野議員からはたびたび同じ御質問を承わつているのであります。食糧確保につきましてポツダム政令によりましたことは、今総理のお答えになりました通り政府としては、この指令に対する忠実なるやり方として責任を果したわけであります。(「果してないじやないか」と呼ぶ者あり)尚、参議院において未了となりましたことは、これは事実をお話したことでありまして、而も参議院の決議されたことについて、先般基本法が伴つているというお話がありましたが、あの食糧確保臨時措置法の改正法律案に附帶決議としてお出しになつたのではありません。決してあの食確法の改正案に、参議院から附帶決議としてあの基本法が作られたのでないことは、御承知の通りであります。  それから尚、供出制の根本改革は、内閣成立当時受領したスキヤツピンの責任を完遂いたしたのでありまして、決してこれは憲法に違反したものではないと、かように考えております。(拍手)      ——————————    〔内村清次君発言の許可を求む〕
  46. 佐藤尚武

    議長(佐藤尚武君) 内村清次君。
  47. 内村清次

    ○内村清次君 本員は、この際、国鉄裁定に対する緊急質問をすることの動議を提出いたします。
  48. 宇都宮登

    ○宇都宮登君 内村君の動議賛成いたします。
  49. 佐藤尚武

    議長(佐藤尚武君) 内村君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 佐藤尚武

    議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許可いたします。内村清次君。
  51. 内村清次

    ○内村清次君 大蔵大臣が出席されておりませんが、この問題は大蔵大臣とは非常に重大な関係がありますので、議長から出席を……。(「次会」と呼ぶ者あり)
  52. 佐藤尚武

    議長(佐藤尚武君) 大蔵大臣は関係方面に出頭中でありますので、後日出席答弁せられるそうであります。    〔内村清次君登壇拍手
  53. 内村清次

    ○内村清次君 私は国鉄仲裁裁定に関しまして関係大臣の所信をお伺いしたいのであります。  去る十二月二日発表せられました国鉄公社紛争に関する仲裁委員会の裁定を中心といたしまして、政府の無理解、無誠意の態度に対しまして、全国の民主的労働組合は、政府みずから法を破るがごとき暴挙に対しまして、挙げて隠忍自重の限界に達し、合法的労働運動の終局であるとして、今や一触即発の極めて重大なる段階にあることを痛感する次第でございます。政府は今回の仲裁委員会の裁定を国会に付議するに当りまして、法律違反行為を無理押しに強行しようとする態度に対しましては、幸いに議院運営委員会におきまして、予算措置の伴わない裁定書は審議の対象にならないといたしまして、正しい論議が展開されていることは、参議院の権威にかけまして誠に当然なことであると思うのであります。(拍手)その結果、満場一致、院議を以て可決せられました先般の決議に対し、政府は、裁定を尊重して速かに必要な処置を講じ、仲裁裁定に対する解決に努力せねばならない重大なる責任が負荷されているに拘わらず、裁定発表後十五日間を経過し、決議可決後三日間を過ぎるも、未だその手続が完了しておらないことは、誠に政府の怠慢であると言わざるを得ないのであります。吉田総理は如何なる理由によつて院議を軽視するがごとき態度に出られているのであるか、その所信をお伺いしたいのであります。吉田総理は第六臨時国会の当初、私の緊急質問に対しまして、仲裁委員会の裁定があつた場合は善処すると答弁されております。仲裁委員三名の任命は公労法第二十六條によりまして内閣総理大臣が委嘱するものであります。その委嘱せられました仲裁委員が一ケ月間を費して、專門的立場から詳細に調査し、裁定したものである。この権威に対しましても、且つ総理が答弁せられました善処すると言われた立場からいたしましても、日本の労働運動を合法的に推進せしむる上からも、日本の労働運動を今政府みずから非合法に追い込むがごときこの態度、又総理が答弁せられました善処するというようなこの答弁が、全くその場逃れの答弁であつて国民を欺瞞するも甚だしいと言わねばならないと思うのであります。  質問の第二点は、仲裁委員会の裁定は、公務法第三十五條によりまして、当事者双方とも最終的決定として、これに服従せなければならないという規定になつております。労組は不満を忍びまして裁定を尊重してこれに服しておるのであります。国鉄公社も又裁定を尊重いたしまして誠実なる履行を表明して努力しておるのであります。而も裁定に示されてありまするように、職員が受けた待遇の切下げを是正するものでありまする以上、單なる名目賃金の向上ではないのであります。家計の赤字を積み重ね、又企業経理の犠牲となつて生活の窮迫の極から、漸く獲得した仲裁裁定の権利であります。仲裁裁定書の理由の第八には、「本裁定は、公労法第十六條及び第三十五條によつて当事者双方を拘束するから、公社は裁定の指示するところに従つてそれぞれ所定の時日までに裁定の内容を履行すべき法律上の債務負担する。」債務負担する、法律上の債務負担すると明記されてあるのであります。日本国有鉄道は国鉄法第二條によつて公法上の法人であります。本裁定が最終的に当事者双方を拘束する法律上の規定に従いまして債務償還の義務が明確化されております以上、政府の無理解、無誠意の態度によつて、尚これに與する多数の與党議員の冷酷なる協賛によりまして、国会において本裁定が修正せられ又覆えされるがごとき議決があつたといたしました場合と雖も、公社の債務償還の義務は尚存続するものであると思いまするが、これに対し運輸大臣及び大蔵大臣、法務総裁の明確なる御見解を承わりたいのであります。  質問の第三点は、十二月二日、本会議場におきまして、私の質問に対しまして運輸大臣は、国鉄公社から未だ何らの報告がなされておらないから答弁の材料がないと言つておられます。すでに時日を経過いたしまして法律上の期間も経過いたしております。この間、国鉄公社は経理上の可能、不可能の部分、又一般的債務履行の点について、如何なる報告をなしておるのか、その経緯をお伺いいたしたいのであります。尚これに対して運輸大臣は如何なる点に対処し、且つ又対処せられんとするのか、その所信を伺いたいのであります。  質問の第四点は、裁定には、明年度から国鉄は補正予算に比して約二百三十億の増收となり、又人員整理による余裕も七十億を見込むということができると言つております。従つて毎月十七、八億の余裕ができて、将来借入金の償還も可能であるとされておるのであります。かかる経理上の見通しに対しまして、政府が当然国鉄の経理能力を超える部分につきましては、諸手当として支給ができるように、これは速かに予算化すべきでありまして、国鉄法第二十八條及び第三十九條によりましても、政府の当然なる義務であることが規定せられております。この点を聊かでも拒絶いたしましたならば、政府みずからが法律を蹂躪することと相成るのであります。この当然なる債務履行につきまして、大蔵大臣はどんな考えを持つておられるか聞きたい。又公社経理におきまして不可能な部分の予算措置、財源の問題、それもお伺いしたい。給與ベース改訂についての御意見もお伺いしたいのであります。マツカーサー元帥書簡に基く公労法制定の目的は、紛争を友好的に且つ平和的に調整して、公共の福祉を増進し擁護することでありまして、国家の経済と国民の福祉に対する公共企業体の重要性に鑑みまして、主張の不一致を友好的に調整するために最大限の努力を拂わなくてはならないと規定されてあります。国鉄労組は八月十五日から今日まで満四ケ月の間、この法律の規定を忠実に実行いたして、数々の不満もただ隠忍自重して漸く最終的段階に到達しました。この際に政府みずから法律を破るがごとき冷酷無道なる処置を敢てするにおきましては、一国の政治経済文化の動脈である国鉄の運営が果して円滑に行われるでありましようか。基本的人権を制限せられ、その上、保障さるべき生活権をも抑圧せられて、労働者の希望ある建設的協力がなし得らるるでありましようか。従業員を代表する全国の百名を超える人々が、悲壮なる決意の下に行なつている合法的ハンストの最後の抗議を、政府は何と見られるでありましようか。日本の労働運動が平和的民主的に大転換いたしまして、而もその直後に初めて適用されたところのこの紛争の解決を現政府が如何に処理されるか。又国会が如何にこれを処理するのであるか。今や国際的環視の的であるということを見逃しはできないのであります。ロンドンにおいて開催中の世界自由労連の大会に出席の日本代表から、今大会は日本のこの仲裁裁定の問題を審議中であると入電があつたのであります。五千万の結成せられました世界の労働者が、日本の民主国会の公正なる審議を見守つておることを申し添えまして、これに対して吉田総理の所見をお伺いいたしまして、私の質問に代える次第であります。    〔国務大臣吉田茂君登壇拍手
  54. 吉田茂

    ○国務大臣(吉田茂君) 内村君にお答えをいたします。政府はこの問題を善処するため、又今日中にも結論を得ようとして、現に大蔵大臣はこのために関係筋との交渉をいたしておるわけであります。いずれ私は今日にもと思いますが、結論を得まして、更に御報告をいたすことができると確信いたします。(拍手)    〔国務大臣大屋晋三君登壇拍手
  55. 大屋晋三

    ○国務大臣(大屋晋三君) 只今内村君の御質問は、第一点は、この仲裁委員会の仲裁の額に対しての御質問でございましたが、これは私はかように信じております。即ち国鉄仲裁は言うまでもなく国鉄の経営者並びに組合両方に対してなされた裁定でございますが、国鉄総裁といたしましては、予算上可能な面に対しましては、直ちにこの支払負担の義務が発生しておるということは言うまでもないのであります。而して総裁の立場におきましては、いわゆるその負担行為が可能である、いわゆる予算措置を講じないで支拂い得る額と、而して予算措置を講じなければ支拂いが困難であるという面と、両方を検討いたして、実は去る十二月十日に政府に対しまして国鉄総裁の意見の具申がございましたのであります。その具申に基きまして、目下政府といたしましては、政府を挙げて、只今総理の答弁にもございました通り、これを解決すべく努力いたしておる次第でございまして、果してこれが可分の場合、いわゆるこの三十億、年内の要求の三十億の一部分は可能であり、一部分は不可能であるかどうかという点に対しましては、いわゆる目下努力の最中でありまして、これは最も速かなる時間の中に解決を確信いたしておる次第であります。(拍手)    〔国務大臣殖田俊吉君登壇拍手
  56. 殖田俊吉

    ○国務大臣(殖田俊吉君) 内村さんの御質問にお答えいたしまするが、裁定は通常の場合におきましては直ちに当事者を拘束するのでありまして、つまり最終的に決定といたしまして効力を発生するのでありまするが、ただ公労法第十六條に申しておりまする通り、公共企業体の予算上又は資金上不可能な資金の支出を内容とするものにつきましては、その第二項によりまして、これを国会の議に付しまして、その承認を求めなければなりませんのであります。従つてかような場合におきましては、国会の承認があつて初めてその効力を発生いたすのであります。そのことは、若し国会の承認があればその裁定の当時に遡つて効力を発生するということを規定しておる点から申しましても明らかでありまして、若し国会の承認を得られません場合には、その裁定自体が効力を発生することなくして終るのであります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)従つて承認がありません前に債権債務は成立いたしませんのであります。(拍手)      ——————————
  57. 佐藤尚武

    議長(佐藤尚武君) この際お諮りいたします。  内閣委員長から、行政機構改革及び行政機関職員定員法制定後における行政運営の実情を実地調査するため、愛知県、岐阜県及び大阪府に梅津錦一君、三好始君を、長野県、石川県及び新潟県に城義臣君、カニエ邦彦君を明年一月六日より一月二十日までのうち十日間、  人事委員長から、公務員の給與問題について実地調査するため、富山県、石川県、福井県、滋賀県、岐阜県及び長野県に赤松常子君、北村一男君を、群馬県、福島県、山形県、宮城県、秋田県、青森県及び新潟県に羽仁五郎君、木下源吾君を、島根県、鳥取県、福岡県、佐賀県、長崎県及び大分県に大山安君、小串清一君を、十二月二十日より明年一月三十日までのうち十日間、  文部委員長から、教育文化施設、文化財保護の現状を実地調査するため、香川県、徳川県、高知県及び愛媛県に木内キヤウ君、左藤義詮君を、佐賀県、宮崎県及び鹿兒島県に松野喜内君、鈴木憲一君を、関東一円に河崎ナツ君、三島通陽君を、十二月二十日より明年一月二十日までのうち十日間、  外務委員長から、山陰並びに九州地方における不法出入国問題の実情を実地調査するため、鳥取県及び山口県に徳川頼貞君、伊達源一郎君を、長崎県、福岡県及び佐賀県に金子洋文君、團伊能君を、鹿兒島県に淺井一郎君、伊東隆散君を、十二月二十日より明年一月三十一日までのうち十日間、  水産委員長から、講和に関連する国際漁業協定及び市場法並びに水産業協同産合法に関する実地調査をするため、京都府、大阪府及び兵庫県に淺岡信夫君、田中信儀君を十二月二十日より明年一月二十日までのうち六日間、山口県に青山正一君、千田正君を十二月二十日より明年一月二十日までのうち七日間、福岡県、長崎県及び壱岐、対馬に江熊哲翁君、木下辰雄君を十二月二十日より明年一月二十日までのうち十日間、  郵政委員長より、郵便事業用施設の整備復旧状況、郵便送達の迅速性及び正確性の向上施策、郵便貯金業務の整備並びに貯金増加の施策、簡易保險及び郵便年金の新契約増加並びに契約維持の施策に関する実地調査のため、大阪府及び京都府に山田佐一君、渡邊甚吉君を十二月二十五日より明年一月二十二日までのうち五日間、靜岡県及び愛知県に中村正雄君、奧主一郎君を十二月二十五日より明年一月二十二日までのうち四日間、  電気通信委員長より、放送事業並びに無線通信業務の地方における実情を実地調査するため、靜岡県、千葉県及び宮城県に小林勝馬君、千葉信君を、愛知県、大阪府、三重県及び兵庫県に大島定吉君、尾崎行輝君を、広島県、山口県、福岡県及び熊本県に橋本萬右衞門君、椎井康雄君を、十二月十八日より明年一月二十日までのうち七日間、  建設委員長から、アリーン台風による災害、治水並びに災害復旧工事、地盤沈下対策事業等実地調査のため、宮崎県に石坂豊一君、島田千壽君を、群馬県及び長野県に赤木正雄君、岩崎正三郎君を、徳島県、香川県及び愛媛県に石川一衞君、仲子隆君を、十二月二十日より明年四月三十一日までのうち十日間の日程を以てそれぞれ派遣したい旨の要求がございました。これら四十四名の議員を派遣することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 佐藤尚武

    議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。  議事の都合により本日はこれにて延会いたしたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 佐藤尚武

    議長(佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。次会の議事日程決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十一分散会      —————————— ○本日の会議に付した事件  一、議員の請暇  一、実地調査のため議員派遣の件  一、薪炭需給調節特別会計における債務支拂財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案  一、電力料金値上げに関する緊急質問  一、食糧確保臨時措置に関する政令に関する緊急質問  一、国鉄裁定に対する緊急質問  一、実地調査のため議員派遣の件