○
羽仁五郎君 只今の御言葉は私の申上げた点を少し補足する必要を感ずるのですが、私は若しも今なされてここに提出されておる
報告書の中で、さつきから御議論にな
つておるような、
刑事上の
証拠がないのならば、そういうものは全然問題にならないのだというお考えがあるとすれば、それに対しては私はこの政治道徳の問題を問題にしなければならんのじやないかというのです。ですから確実な
証拠と、いわゆる刑法上の
証拠というものはないが、併しそういうものに対して、みずから反省せられるということがあるというお考えだろうと私は信ずるので、この
報告書の中で政治道徳の問題を問題にするという必要はない。それは差控えるというふうに考えるのですが、併し若しそうでないと、その刑法上の問題でなければその重要な
要職にある方々が、日本を内外に向
つて代表せられるような方々がそれだけの高い政治上のモラルをお持ちになることを期待しないという態度をこの
委員会がおとりになるというならば、それには反対だというのでありまして、この中でやはりさつき
大野委員から言われたように、
社会の常識として、丁度この間我々がここでこの
委員会で調べたように、当時いわゆる財政上に非常に苦境に立
つておられたときに、俄かに三十万円という金が銀行の口座に入
つて来たんですから、あれはあの頃としては非常に大きな
事件だつたろうと思います。従
つてこれを聞知しないという
証拠がない。聞知していたという
証拠がないというふうにこの
報告書に書かれていることは、私共全く理解できない。むしろ聞知しないという
証拠はなかつた。恐らくは聞知されたんじやないだろうか。ですから今岡部
委員のおつしやるように、従来の
法務委員会の慣例ということもありますし……、尤も従来こういう問題がこの
委員会に出た場合と、今の場合と違うと思いますが、併し大体そうだとすればむしろこの
結論は改めて聞知しないということはない。聞知していたという
証拠はないということは、即ち政治的な責任、政治道徳というものを我々の
委員会では全然問題にしない。政治道徳はどうでもいいんだというふうな態度をとるのじやないかという誤詳を受ける。そういう
意味であります。私はこの
報告書の中で政治道徳の問題を追及すべきだと申上げているのではないのです。政治道徳の問題はどうでもいいのだというような態度は是非とらないようにして頂きたい。