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1950-04-25 第7回国会 参議院 法務委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月二十五日(火曜日)    午前十一時十三分開会   —————————————   委員の異動 本日委員鈴木安孝君辞任につき、その 補欠として石原幹市郎君を議長におい て指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件検察及び裁判運営等に関する調査  の件(五井産業事件)  (右件に関し証人証言あり)   —————————————
  2. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ではこれより法務委員会を開会いたします。検察及び裁判運営に関し五井産業事件について証人証言を求めることにいたします。  渡邊良夫さんでいらつしやいますか。
  3. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) さようでございます。
  4. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 本日は五井産業事件について証人として御証言をお願いすることになつております。証言をなさいます前に宣誓をお願いいたします。宣誓の上若し間違いがありますと制裁がありますから御注意申上げます。
  5. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私はこの際この事件
  6. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) はい。
  7. 伊藤修

    委員長伊藤修君) では宣誓を願います。   [総員起立証人は次のように宣誓を行なつた]    宣 誓 書  良心に従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 渡邊 良夫
  8. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私はこの際この事件進行……議事進行に関しまして、委員長に二三重要な事項について質問したいと思うのであります。若干時間もかかりまするので、先ず証人の退席を願つておきまして、質問を少しやつてみたいと思います。
  9. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 証言をお願いしてからでは如何ですか。
  10. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 証言の前の方が私はいいと思います。
  11. 伊藤修

    委員長伊藤修君) では恐れ入りますが渡邊さん少し……。
  12. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私は先般来、初めて法務委員としてこの委員会に列したのでありますが、丁度五井産業事件中心とする検察及び裁判運営に関する調査に千與することとなつたのであります。そこでこの事件に関しまする速記録であるとか、関係新聞記事等を蒐集いたしまして、又今日までときどき傍聴しておりましたときの感想等からいたしまして、どうも若干不可解な感に打たれる点もありまするので、それらの点について委員長にお尋ねしてみたいと思うのであります。  先ず第一に不審に思いますることは、この取調中の公判継続中の被疑者被告人等警視庁等における調書、これは私は相当嚴祕に付しておられるものと思うのでありますが、これがいつの間にか漏洩いたしまして、新聞紙上等に大々的に報道されておる。而も本筋五井産業事件としてのいわゆる詐欺事件等本筋事件よりも、どう見ても事件にならない、ただ政治的興味を惹くような部面が大々的に興味的に報道されまして、意外の迷惑を受けておる人が多いばかりでなく、いわゆるこの重大な時局に当りまして、国家も信用を大いに高めて行かなければならないときであるに拘わらず、徒らに国民政府に対する不信、疑惑の念を高からしめておるようなことが多いように思うのでありまして、この非常のときに当りまして、国家にとり大きな私はマイナスであると思うのです。我々は一ときも早くこの疑惑国民から拭い去るべく努力をしなければならんと思うのでありまするが、事実はこれに反しまして更に一層国民疑惑に拍車をかけるかのごときがつぎつぎと出て来るのでありまして、御承知のように去る四月四日の東京紙夕刊、五日の朝刊等にかけまして、殊に夕刊読売においては「嵐呼ぶか五井産業佐藤社長長自供調査献金や派手な饗応、政界官界警察方面」云々と題しまして、アイ記者というアルファベットのIの署名で、佐藤の自供調書なるものが大々的に報道されたのであります。而もこれは当院におきまして、四月六日からの証人喚問の前に、丁度直前にこのことが大々的に報道されたのであります。  これらのことは先般の委員会でたしか小林委員からであつたと思うのでありまするが、発言されておるのでありますが、今回の五井産業事件佐藤昇氏が二十二三年頃、金廻りのよい頃に各方面献金をしておりまする事件と、その後佐藤が不調となりまして、只今取調中のこの数箇の詐欺事件、これは時期的にも相当の間隔のあるこの二つの異なつ事件一緒くたにされまして、これを誇大に宣伝し、政治問題化しまして、事件内容を詳細にしない国民大衆に故意に疑惑を起さしめるがごとき、お芝居と言いましては少し語弊があるかも知れませんが、何かこういうようなことが蔭で打たれておるのじやないか、打つ者があるのではないかと思わざるを得ないような感じがするのであります。而もこの佐藤調書というものは、佐藤が数十日間拘留されまして、威迫を加えられて作られたと称しておるものでありまして、現に佐藤自身も今日相当部分を訂正しておるのでありまして、いずれが真なりや否やは、今後の公判によつて判明する問題であろうと思うのでありまするが、これを而も吉田総理や、増田官房長官が関連する部分を特に大きく興味的に、誇大的に、計画的に世間に発表されておるものとしか考えられない、思われないような感じがするのであります。これは私の感じが誤つておりましたならば十分直して頂きたいと思います。  そこでこの件につきまして委員長に先ず質したいのでありまするが、先般の委員会においても、遠山委員からこの調書漏洩事件について、軽い質問があつたのであります。委員長御存じになりませんから、委員会から漏らしたことはないかという質問があつたのでありまするが、委員長は、断じてそんなことはないと答えられたように承つておるのであります。我々もそれを固く信じておるのでありますが、又法務委員長としての、これは当然のことと思うのでありますが、そこで重ねてちよつと伺つて置きたいのでありまするが、五井産業事件に関しまする四月四日の夕刊読売、或いは五日の朝日毎日等を初め五社のこの記事について、何かこれらが大々的に発表されたということについて、御存じのことがありましようかどうか。その点を先ず第一に一つ承わりたいと思います。
  13. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これは我々といたしましては、まだその点に対するところの資料を得ていなかつたのでありまして、ようやく再三請求いたしまして、この二十一日に記録が正式に委員会に提出されました。で現在では記録はありますが、委員会といたしまして又我々といたしまして、二十一日にそれを領収したということは申上げて置きます。従つて私といたしましては、まだその調書も全部読んでおりませんし、見てもおりませんのですが、その以前におけるところのそういう事実は、委員会といたしましても、又私といたしましても知らない立場におりますからさようなことはあり得ないと……
  14. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 御存じない。あり得ない。そうなければならんと思うのでありまするが、併しどうも私は最近委員長のこの問題に対しまする行動につきまして、誠に残念でありまするけれども、疑いを差挾まざるを得ないような一事を聞き及んだのでありまして、このことは私の誤聞でありましたならば、私は非常に、却つてそうなければならんと思うのでありまするが、これらのことについて若干質問をして見たいと思うのでありまして、どうか率直にお答えを願いたいと思うのであります。  最近商法の一部改正に関する実情調査というようなことで、委員長初め法務委員の各位が大分出張されたようでありますが、そういうことはございましようか。
  15. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ええ。出張いたしました。
  16. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それはどことどこらでございましたか。
  17. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは名古屋九州大阪ですね。
  18. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 大阪へも行かれましたですな。
  19. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうです。
  20. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 大阪に行かれたのはいつ頃のことであるのか。
  21. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 三十日と三十一日です。
  22. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 三月の……
  23. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうです。
  24. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 御一行はどなたでございましたか。
  25. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一行は、衆議院参議院と両方でありまして、参議院としては私と、松井さんと、松村さんでしたか……
  26. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 松井さんも行かれたのですか。
  27. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうです。
  28. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それから何か専門員……。調査室の方も。
  29. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 調査室も一、二名参りました。
  30. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 大阪のどこにお泊りになつたのですか。(笑声)質問の形になりまして申訳ございませんけれども……
  31. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 金森に泊りました。
  32. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それで商法改正会議商工会議所の……
  33. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうです。
  34. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 そのとき御出席されたのはこういうことについて意見を聴取されるような人が御出席された……
  35. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうです。
  36. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 そのとき新聞関係報道陣の人も出ておつたでございましようか。
  37. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 沢山報道陣として見えておられました。
  38. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 これは大阪報道陣ですか……。東京報道陣も見えておりましたか。
  39. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 東京の人もお出になつたようでありますし、又東京から公述人の人が経済界を代表してわざわざ出張されておりました。そういうような関係上、東京及び大阪等報道陣の人がいらつしやつたようです。
  40. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 東京からの報道陣ですか。九州名古屋に行かれたときもやはり東京報道陣でしたか。
  41. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これはあなたも御良識でお考えになれば分りますが、日本経済の中樞は大阪であつて我々としても大阪重点的に考えておつたのです。九州及び名古屋はまあ従的に考えておつた従つて大阪におけるところの財界人意見というものは、以て日本財界代表的意見とこう考えるというところに我々としては重点を置いておりました。従つて一般の感覚もそうあるべきじやないかと思うですね。
  42. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 東京から来た報道陣記者のお方はどの新聞の方でしたか。まあ記憶ないかもしれませんが。
  43. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 覚えないですね。新聞記者の人は沢山ですからね。
  44. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 委員長にもう一つお伺いしたいのですが、東京から来た報道陣の方はどこへ泊つておられたですか。これは委員長にお聴きするのは無理かも知れませんが、金森旅館にやはり泊られたのじやないですか。
  45. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 泊られたですね。
  46. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 金森旅館に……。金森旅館でこの報道陣の方とお会いになりましたか。東京報道陣の方に……
  47. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 東京大阪全部こめてとにかく十五、六名の方にインタビューしたです。
  48. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それは東京大阪記者団一緒に……、別々……
  49. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一緒です。
  50. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 全部一緒に……。それは三十日ですか、お帰りになる三十一日でございますか。
  51. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあ三十一日の晩も十二時頃まで個々に訪問を受けた人もありますし、大阪方面の人も……、それからいずれも疲れておりましたから、三十一日の午前にお願いしまして三十一日の午前にお目にかかつたようであります。
  52. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 三十一日の午前に会われたのは、これは東京大阪報道陣の方全部一緒に会われたのですか。
  53. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうです。三十一日に一緒会見しました。
  54. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 このとき……、三十一日の会見のときに何か報道陣の方に相当メモになつておるようなものを何か委員長から渡されたというような話を聞くのでありますが……
  55. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうことはありません。
  56. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 全然ございませんか。
  57. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう書類を持つておりませんし、そういうものはありません。むしろ向うからいろいろの質問を受けましたけれども、大体こちらの知らないようなことが多く、質問されておりました。
  58. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それは我々の單なる誤聞であつたならば非常に結構なのでありますが、そのとき委員長から十枚くらいの紙に書いたメモようのものを渡されて、而もこれの発表は四月四日の夕刊か、五日の朝刊にして呉れというような指定を受けて発表したということを我々相当確かな筋からそういう話を聞きまして、これはそういうことであれば非常に大変なことだ。最も公正だと我々が信じております委員長にそういうことがあつたのではこれは大変だと思うのでありますが、そういうことは断じてございませんでしようか。
  59. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 断じてありません。
  60. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 断じてない。
  61. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ええ。
  62. 遠山丙市

    遠山丙市君 関連したことで恐縮でございますが二三点委員長にお尋ねしたいのでありますが、委員長が三月二十九日八時半の夜行で大阪出張されたと聞いておるのでありますが、それから四月一日に帰京せられた。この出張只今委員長からのお答えのように、商法改正に関しまする件の御調査で向うに出られた。これは江戸堀の金森旅館、こういう工合に我々は聞いておるのでありますが、商法改正に関しまする御調査で御出張になつて、それを調査せられたというふうな今のお答えでありまするが、委員長は予め東京新聞記者、殊に商法関係を有していないと思われまする社会部記者、例えば東京新聞の芳賀君、朝日の工藤君、読売の井野君、時事の庄田君、毎日の永田君、国会記者クラブの江川君、こういう諸君と三月三十日午後十時より夜遅くまで人拂いをして、委員長のお部屋でなく、記者の泊つておられます宿屋の二階の第一号室、又翌日の三十一日の午前同じ部屋で、今否認はせられたのでありまするが、四日、五日に発表せられましたと思われまする詳細なる書いたものを社会部記者諸君にお渡しになつたということを聞いておるのですが、そういうことは全然ございませんでしようか。
  63. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうことは断じてありません。
  64. 遠山丙市

    遠山丙市君 断じてない。
  65. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ええ。渡したならばそういう渡した文書をお手許にお取寄せ願いますれば分るだろうと思います。
  66. 遠山丙市

    遠山丙市君 そういたしますと、商法改正に関しまする以外、いわゆる勢の赴くところ委員長の取扱つておられます五井産業事件のこの問題に関しても相当花を咲かしたのではないかとも察せられるのでありまするが、この問題に対して四日、五日に新聞に現われましたようなことに触れました話も出たものでしようか。どうでしようか。
  67. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 三十日の朝会見の際いろいろな話が出ました。
  68. 遠山丙市

    遠山丙市君 いろいろな話といいますと、商法改正に関しますること以外に五井産業事件のことにも関しましての話ということがいろいろな話ということになるのでありますか。
  69. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうです。
  70. 遠山丙市

    遠山丙市君 はあ。それはあれですか、いろいろな話の中にはいわゆる四日、五日に詳細に現れました、ああいうような内容まで触れた話まで及んだのでございますか。
  71. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そんな細かい話はございませんね。その中の、覚えはございませんけれども、数多の点についていろいろお聴きになりましたけれども、こちらとしても分らん部分が大部分でございました。
  72. 遠山丙市

    遠山丙市君 そういたしますと、今私が申上げました記者諸君、殊に政治部門を担当しておられません社会部記者諸君大阪の方へ出掛けておりました事実はございますか。東京から……
  73. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは東京から見えておるということは存じておりますが……
  74. 遠山丙市

    遠山丙市君 社会部記者も。
  75. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ええ。
  76. 遠山丙市

    遠山丙市君 それは東京での御発表ではいろいろどうかというお考えがあつて大阪の方へ俺は行くのだが、来る者は来たらどうだというような御連絡でもせらられたことはありませんか。
  77. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうことはありません。
  78. 遠山丙市

    遠山丙市君 そういうことはありませんか。
  79. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 絶対にありません。
  80. 遠山丙市

    遠山丙市君 そうしたら社会部記者行つたのは、これは記者自分の働きで自分で勝手に行つたということになりますか。
  81. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうでしよう。我々としては関知するところではありません。
  82. 遠山丙市

    遠山丙市君 いや、御連絡がないとしても、そういうふうに見られるのでありますが、それは連絡がない。
  83. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ええ。
  84. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 先程ので大体分つておるのでありますが、三十日の夜にも記者団に会われておるわけですか。
  85. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 会いました。三十日はばらばらと……
  86. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 二回ですか。
  87. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 三十日はばらばら会つております。
  88. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 三十一日は共同で……
  89. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ええ。
  90. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それから今遠山委員からので大体分つたような分らんようなことでありますが、商法改正のこれに社会部の、而も警視庁関係記者団一行が丁度時を何して一緒行つておられるのですが、これは先程委員長大阪経済中心である。こういうことで何をするのだろうというお話であつたのであります。それから警視庁社会部記者がずつと行くというのはどうもちよつと私は何かそこに連絡があつたのじやないか。誰か間に入つて連絡をしたのではないかというような気がするのですが。
  91. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは毛頭ありませんな。
  92. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 これは邪推したようですが、そういうことはありませんか。
  93. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ありません。
  94. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 こういうことも聞くのですが、国会記者クラブ戸川という人が何か間に入つて、大事なニュースがあるから大阪行つてはどうかというようなことで、その間の連絡をされたというような話も聞くのですが……
  95. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう戸川さんという人も知りませんね。
  96. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 御存じありませんか。
  97. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 知らないです、全く。
  98. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それから何か金森旅館での支拂記者団一行支拂も含んでおるのではないか。そういうのも委員長の方で拂われたというようなことも聞いておるのですが、変なことまで聴いて申訳ありませんが、それは委員長は行かれた人だけの分を支拂われたのですか。
  99. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは随行は金はないでしよう、別に。
  100. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 そういうことはないものと思いますが、そういうことを言う人がありますが……
  101. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 随行は金は持つておりません。
  102. 大野幸一

    大野幸一君 議事進行について……
  103. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 いや、もう少し待つて下さい。私も議事進行について伺つておるのです。
  104. 大野幸一

    大野幸一君 議事進行にならんでしよう。
  105. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 議事進行になるでしよう。非常に議事進行になる。本件の進捗をもたらす上において進行になります……。それから今の件以外に、私もう二点聴いて置きたいのでありますが、今日ここへ喚問されておりまする福田代議士渡邊代議士及び峰谷、これはこの前の荻外莊関係の関連をお聴きになるように思うのでありますが、どうもこれは私の考えが間違つておれば十分直して貰わなければならんのでありますが、このことはもう警察でも調べ、検察庁でも調べまして、いわゆるどこから見ても、事件刑事関係事件にはならないということが大体私ははつきりしておることではないかと思うのであります。警察においても検察当局においても、只今まで聴いたところでは参考人としても喚問もしていない、それをどうも検察及び裁判運営等に関する調査ということで、この法務委員会が今この事件をやつておるのでありまするが、それに特にこれらの人を呼出されていろいろのことをこれから証言を求められるということは、どうも私検察及び裁判運営に関する調査をやつておる法務委員会として少し行過ぎているのじやないか。どういうわけでこういうような人を呼ばれたか、又今後名前の出ておりまする代議士であるとか、いろいろな人を全部お呼びになるつもりであるのかどうか、その点について委員長の所見を承わりたいと思います。
  106. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 大体今までの証人証言によつて本件がどこに焦点があるのかということは石原さんにおいても十分御承知のことと存じます。一体佐藤供述というものが真なりといたしますれば、佐藤昇という者が自分の名によつて得たか、それは別問題といたしまして、自分の金を検察及び裁判運営面にその金を流し込んで、そうして不当に捜査とか、或いは検察とかいうものが曲げられたという疑いが濃厚であることは、これは佐藤警視庁におけるところの供述によつて我我は十分窺知することができるのです。  若しそれが真なりといたしますれば、我々としてこれは日本裁判及び検察を確立する意味合においても黙視することはできないのです。今日検察及び裁判というものに対して重点を置いて、我々が治安面に考慮を拂わなくちやならん時代はないと考えるのです。だからこういう点においてこの事件が取上げられているわけです。従つて佐藤のいわゆる警視庁におけるところの供述というものが仮に真たりといたしますれば、その金がばら撒かれた先が警視庁方面、或いは検察方面にはまあ出ておりませんが、或いは政界方面、その他官界方面に流し込まれた金というものによつて検察が曲げられておるかどうかという点を我々は明らかにしなくちやならんと思うのです。(傍聴人席にて発言する者あり)お騒ぎになりますと、御退席願います。  そういう意味合において調査しているのです。それで若し仮に、そういうことはあるかないかは存じませんが、そういう面において流し込まれた金によつて政府に流し込まれた金によつて検察が曲げられておるというようなことがありといたしますれば、それは由々しい問題です。我々といたしましては、そういうことがあるかないかということを明らかにすれば足りるのでありまして、その事件が今石原さんのお説のごとく贈賄になるかならんか、そういうことを我々は調べておるわけじやありません。これは検察庁においてなすべき仕事であります。お説のごとくそれは罪にならんのじやないか、……罪になるとかならんとかいうことは我々としては問題外であるのです。これは申すまでもないことであります。そういう点を我々は調べているわけじやありません。  それから又佐藤供述というものは、警視庁における供述でたらめ喋つて皆様に御迷惑をかけたのか、或いは当委員会において述べていることが正しい、従つて警視庁に言うておることはでたらめを述べて世を騒したものであるということになるかどうかの真証を得る故におきましても、佐藤警視庁におけるところの供述信憑力真実性というものを我々は追及して行かなくちやならんと思います。これは当然のことだと思います。そうしなければ警視庁におけるところの述べたことが正しいのか、当委員会において述べたところが正しいのか分らないのであります。その点を明らかにする必要に迫られて聴いておるのであります。
  107. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 委員長の言われたことは私大体分るのでありまするが、私の特に心配しておりますることは、会期も余りない、而もこの事件はまあ私らの直観々察では、本筋事件よりも何か興味ある方に、横にほぐれてしまつて、その方ばかりが非常に誇大に宣伝されて、国民も何だか非常な昭和電工のような、ああいうようなことでもあるのじやなかろうかどうかというて、今非常な疑惑といいまするか、この事件の真相は一体どこにあるのかということを非常に持つておるのであります。衆議院法務委員会においてそれをやつているのであつて、この始末といいますか、この法務委員会で調べたところを一日も早く知りたいと思つております。それにも拘わらずこういうふうに今日から又いろいろな人が呼ばれるということになりましたならば、なかなか事件始末ということを、私は会期一杯にはむずかしいのじやないかという気もするのでありまして、国民に対する疑惑を一日も早く一掃するという意味で、早く結論を出して貰いたい。ちよつと結論が出なければ委員長から中間報告でもして、この事件を調べてみたところが、詐欺事件はこうであつて献金面はこうであつて、これは何ら事件を構成するものではない、こういうようなことを早く国民に表明して貰いたいと心から願つているのでありまして、それに関連して昨日委員長がいろいろ福田代議士なり、蜂谷なんかを呼ばれた理由をお話しになりましたが、私はこれらの事件を、大体もうこういうことは誰が見てもあつたように思えるのであつて、而もその人が荻外莊の方へ連絡はないけれども、行つたということになつておるのでありまして、特にそれらの人をこの最後の忙がしいときに呼んで、而もこれは警察検察庁でも恐らく一遍も呼んでいないのじやないかと思う。それを法務委員会で呼んで、ここでやるということは、どうも僕らのいわゆる直観といいまするか、良識から考えて少し法務委員会として、殊に検察及び裁判運営に関する調査というこの調査権の範囲を逸脱しているのじやないかと思います。先程の委員長の御説明では、私どうも心から納得ができないのであります。
  108. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは毫末も逸脱していないと思います。むしろその点を明らかにすることが却つてお説のごとき結果をもたらすのじやないかと思います。検察庁において調べないということは、これに対しましては各委員において恐らく御意見があることと存じます。調べないということが適正であるとは、我々の個人的な良識から考えても、そういう結論は出ないと思います。併し検察庁がやらなかつたのは事実であります。その点に対して我我は今とやかく言うわけではありません。又本委員会におきましては、先程も言いましたごとく、刑事問題であるとかないとかいうことを研究しているわけじやないのです。ただこの種の金がそういう意味合において流し込まれているかどうかという、そういう点を明らかにすればよろしいのじやないか。従つて検察庁において御召喚になる目的と、我々において召喚してお尋ねする目的とは、目的がおのずからそこに相違しているのです。
  109. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 福田代議士だの蜂谷氏だのその間に入つている、あの事件が一体この警視庁の揉み消しとかそういうことに流れているのじやないかというような疑いを持てるような節が今までの警察なり、検察調書、或いは今日までの経過においてそういう感じを持たれるのでしようが、どうも我々この両人が間に入つているのか、検察側が曲げられる方面にその金が使われているのじやないかというような感じは少なくとも私は持てないのですが、委員長はそういう感じを持つたのですか、持たれたのですか。
  110. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どうもこの間岡崎及び丹羽という人が当委員会において供述されたことが真実がどうかということを、調査員をじて調査いたさせましたところ、その金というものが曖昧模糊としている、いわゆる当委員会において述べたとは又異つた事実があるわけです。だから一体金がどこへ流れ込んでいるのかということも恐らくそれは本日の証人供述というものは従来と相違していないと思うのです。その間の真実は恐らく御証言を願えますまいと思うのですが、併し一応は委員会として聞いて置かなければ、たとえ中間報告にしろ出せないと私は思うのです。それでお急がしいところ御出頭願つて、弁明をお聞きして置きますれば、それに基くところの中間報告というものはなし得ると思う。お聞きもせずしてそういうことはあり得ないのだということは、ちよつといいにくいのしやないですか。
  111. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 岡崎、丹羽両君のことと、この福田、蜂谷はいわゆる小切手これと……、私は十分記録を読んでおりませんが、これは今までのお調べで関連がありますか。
  112. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 福田氏とは御承知の通り佐藤から福田氏に、福田氏から蜂谷氏に金が行つたこういう関係であります。
  113. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それは分つておりますが、先程委員長は岡崎氏、丹羽氏と言われたが、岡崎、丹羽と関連がありますかありませんか。
  114. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 岡崎、丹羽氏の金は、いわゆる佐藤から岡崎、丹羽に金が行つたということに対しましては、渡邊さんが御紹介になつておる関係上、果して岡崎、丹羽氏が言うがごとき方法において若しくはそういう話合において渡されたものかどうかということを、御迷惑でも御証言つておかないと、いずれの証言を採るべきかという場合においては、重要なポイントではないかと思うのです。
  115. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 だから私は渡邊代議士のことを一言も言つていない。福田代議士及び蜂谷君、これが何かそういう検察を曲げるというようなことに関係があるというような感じでこれ等の人を呼ばれたのかどうかということについて伺つておるのであつて渡邊代議士のことはまだ一言も触れていない。それは如何でしよう。
  116. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 福田氏の場合におきましても、そういう政界方面に流されたという金において、今日の警視庁におけるところのあの取扱いというものに影響を及ぼしておるかどうかということは、やはりつきつめておく必要があるのじやないのでしようか。又佐藤供述信憑力を確かめる上においても、重要なことじやないかと思うのです。それは佐藤供述を一つ一つ洗つて来ればこれは大変な仕事になりまして、代表的に一つの事例を挙げて、果して佐藤供述が、警視庁における供述が正しいか、当委員会における供述が正しいかという点を明確にする上においても、これは必要じやないかと思うのです。
  117. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私はその点においては委員長感じを異にするのでありますが、それは委員長がそういうつもりでやつておられるならば仕方がありませんが、もう一点、私が先程伺いました会期中にこの結末を出されるのか、出ない場合は中間報告でもして、早く国民にこの事件はこうこうこうであつたということを、委員会、国会を通じて国民に真相を発表されるつもりがあるか、うやむやのままこの事件を継続にでもして持つて行くかということを伺いたいと思います。
  118. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 率直に申上げますと、私の個人の意見としては、成るべく本会期中において結論を出したい。若しそういうふうに持つて行くならば、相当の食違いがあるのです。御承知の通り基本となつた事実と、それから当委員会において証言を得た事実とは非常に大きな隔たりがあるのです。その点を明らかにするためには、相当に細かい点について調査しなければ結論が出ないのじやないか。して見ますると、どうしても中間報告という程度以外には方法がないのじやないか、かように考えます。これは今明日に理事会を開いて、その方針を決定いたしたい、かように考えております。
  119. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 ただこの事件はどこから曲つたのか、曲げられたのか分りませんが、如何にも昭和電工の二の舞のような感じ国民の一部では持つておると思います。これは今日までのところではそんなものではないということはもう誰が見ても分るのであります。この点だけは私はこの会期中に、全体の結論は得られないとしても、中間報告として国民の前に一つはつきりとしておいて欲しいということを私は強く要望しておきます。
  120. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは今明日理事会に諮りまして、いずれとも決定いたしたい、かように考えております。
  121. 遠山丙市

    遠山丙市君 ちよつと関連して、長くは申しませんが、今のことは非常に重要なことであろうと思います。四日、五日に現れましたことは大々的な暴露的の大記事、この記事を読んで国民の頭に大体できた、これはもう昭和電工、或いはそれ以上の大事件じやないかということでもうすつかり植え込まれました。それで今後いろいろ結論に到達して報告せられるというまでには、いろいろ喰い違いがありますので、相当の日時を要するのじやないかということは察知できるのでありますけれども、あのままにして、これが理事会によつてどうのこうのと言つておられますが、余程これは委員長として御決心を願つて、重要な点だけは、いわゆる四日、五日に現れたものと同一なら同一でも結構だけれども、違つておるなら違つておる、これは大体のところはこういうものだ、細かいところは又追て報告するなり発表するということを、少くともこの会期中にやつて貰うということが、私は本当に委員長としての責任であると考えております。委員として勿論責任がありますが、ただあのでかでかと……、全くここで幾多の証人を喚びまして、もうあれと似てもつかんようなこともありました。そういうようなことを発表せられつ放しで、その後においてはあれの報告がなかつた、そうして半ケ月も経つた後で、興味を引かなくなつた頃にぽこつと、実は似寄つたことはこういうことだが、違うところはこういうところだといつて出るということは、これはやはり面白くない。早いところあのままならあのままとしてでも結構であります、どつちでもいいのでありますが、それは委員会にかかつてやることでありますが、どつちにいたしましても最も速かに協議をして、早いところ中間報告だけでも是非やつて貰うように要望をして置きます。
  122. 大野幸一

    大野幸一君 どうも民自党の委員の方のを聞いておると、すでに自分勝手に結論を決めておるようでありまするけれども、その結論は理事会で決めるのでもなく、委員会で決めることになる。私達は伊藤調書佐藤調書の信憑性について遺憾ながらここに来て証言をされた人を信用するか、佐藤調書、伊藤調書を信用するかということについては、我々はあくまで聰明でなければならないと思うのであります。従つて今までの発言を聞いていますと、本件は最初の新聞発表されたのとは異なつたように結論されるのは、それは民自党の委員意見としてこれは承知しておくことをここに付加えておきます。それから新聞発表されたことに対して非常に御意見を述べられたのですが、一体新聞には事実を発表したのであつて、真相とは違つていないのである。伊藤調書は我々がこの証言で見ますと、新聞発表されたのと伊藤調書が存在することは確かである。一体新聞に事実を曲げて報道したときこそ重大な責任があるかも知れないけれども、調書そのもの存在を発表されて、これこそ国民が知りたいところであります。私は新聞というものは事実を発表すればいいと思います。その発表のし方がどうであろうと、こうであろうと、それは新聞社の手腕であり、任務である。我々が真相を究明しようとするのと、新聞社が事実を報道しようとするのと何ら変りはないと思います。こういう意味において委員長も先程中間発表をするとか、或いは結論を民自党委員の言うようにするとかいうことをやや肯定的なことを申されたけれども、この委員会においてすつかり討議し、結論すべきことを申上げておきます。我々は遺憾ながら民自党の人と反対である。例えば法務総裁であつたか、予算委員会で我々の総理吉田首相に聞いたところが、金は全然知らない、こう言つておる。国はやはり吉田は知らないと思つておると、あにはからんや、小切手は吉田の口座へ流れ込んでおるということを見ましたときに、やはり疑惑疑惑を生ずるのは当り前である。こういう国民疑惑を解くことこそ我々の任務だから我々はこれは議論を闘わすことなくして証人によつて真相を得るようにする。こういうことを私は意見として申述べておく。
  123. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 これは一昨日の日本タイムスでありますが、日本タイムスが社説で以てこういうことを言つておる。吉田首相が最近五井産業事件というものは裁判で決定する問題だということを言つておられる。こういうことは吉田氏のような地位にある人がこういうことを言うということは、彼が日本の人民がよい信頼すべき政府を持つということに対しての持つべき責任に対して、不忠実なものとして非難されなければならないであろう。政府におけるあらゆる種類の腐敗、又は不正というものについては日本人民が深く関心を持たざるを得ないところなのである。で最後に結論として、国会がこれらの事件を徹底的に調査しなければならないということを強調しております。そしてこれらのことを国会が回避することは、国民に與えられておる信頼と責任とを回避するものとして解釈しなければならない。こういうことを言つている。只今遠山委員石原委員から御発言ありました趣旨も全くこの趣旨にあると私は考える次第でございます。これらの問題についてどうか本委員会としては、殊に参議院委員会として、十分少くとも曖昧なところがないように徹底的な調査をして頂いて、そして事実の真相がどうであつたかということにつき、国民疑惑がないようにして頂きたい。若しこれを途中で阻止するようなことがありますと、国民参議院に対しても信頼を失うようになる。最近の輿論調査を見ますと、各政党に対する、……自由党に対しては尤もでありますが、併し各政党に対する国民の支持率というものは著るしく下つておるということは非常な危険なことでありますので、どうか国民が国会も揉み消しをやつておるというような感情を持たないように、この問題について委員長並びに各委員参議院の重大な使命に鑑みられて、徹底的な調査が行われるように希望する次第であります。
  124. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 今羽仁委員から我々が何かこれを回避する、隠蔽するような気持でやつておるようなふうに取れたのでありますが、決してそうではありません。これは飽くまでも真相を糾明しなければなりませんが、その糾明の仕方において何か国民に大きな興味というか、そういうことを與えるようなところだけを重点的に取上げてやつて行くということであれば、これは私はこの際参議院の品位というか、行き方に関連する大きな問題でありまして、そういう意味で、私は先程今日喚んだ証人について、私の意見を申述べ、御質問したんであります。それからこれは大野委員から言われたんでありますが、我々は何も新聞社の腕とかそういうことについてどうこう言つておるのではないので、ああいう祕密であるべき調書が各新聞にでかでかと出た。その出所について重大なる疑惑を持てるようないろいろの事実を聞き込み、話を聞きましたので、そういうことがあれば、これはもうこの委員会にとつて大変なことであります。委員会全体の信憑力を疑われるようなことで、最も重要なことであると思うので、私はまあお尋ねしたようなわけであります。それが大野委員は、我々が大体の判断を下しておるように言われるが、大野委員自体も、大野委員の方では大体調書のあることが大体事実のような感じだと先程言われておりますが、これも私はいけないと思います。ここでやはり真相を糾明しておかなければならないのです。蛇足のようでありますが……
  125. 大野幸一

    大野幸一君 先程調書の祕密云々と言われますが、我々は法務総裁がこの調書を我々に素直に提出しなかつたことを非常に遺憾に思うのであります。私はこれだけ附加えておきます。
  126. 遠山丙市

    遠山丙市君 大体羽仁君の意見と私も同じでありますが、これは全く今言われたように何もくそ隠しに隠すとかそんな吝な考えはありません。ただでかでかと烽火が上つております。四日、五日のあのでかいもの、(笑声)あれで国民は、これは政党の話をしますと汚いのでありますけれども、あれでとに角吉田内閣は大変汚いことをやつておる、ひどい奴だということで、とに角烽火がでかでかと上つたということは、意図する者から見れば一つの成功であろう。意図せられないといわれるならそれでいいのでありますが、あの烽火の通り、でかい煙りであるか、どういう煙りであるか、私の方は結論はああいう大きいものとは言わんのでありますから、とに角徹底的に糾明することは結構でありますが、徹底的に糾明して折角ここ何ケ月もかかつてつておる。そのうちに報告したのでは、もう特ダネでなくなつて新聞にも出れんということでは、国民に対して私は余り忠実なやり方でない思う。あの通りならあの通りでよろしゆうございます。とに角長い間かかつていることでありますので、どんどん継続でやられることは結構でありますが、少くとも要点だけをまあ今までの調査では中間的にこういうものだということは、とに角委員の多数の意思によつて決まるわけでありますが、一つ作り上げてやつて貰いたいということを委員長さんに申上げておるのでありまして、何も新聞社をかれこれ私は申すとか何とかいうのではない。又我々はあんな大きいものでないということも結論付けてもおりません。又大野君も恐らくあの調書の通りだとこういう工合に判断しておられるものでないと思う。全く白紙である。そうしてあとから出て来る証人等によつて成る程ここだけとこれが公正、中正なものだというところでやつて貰う。それがただいつでもやればいい、調査研究を長くやればいいというものじやない。ここにおいてかどうしても派生的な問題はどんどん調べて貰うことはよいと思いますが、大体お分かりになつたところは、どんどん中間的に報告して行く、そうしてあれが真実性がある、この点はこうだということを速かにやつて貰いたいということを先程から委員長さんに要望をし、委員長さんも肯定して賛成しておられるのでありますが、何かくそ隠しに隠すように言われるので、それは私の面白くない。そういうことは、そんな気持はちつともない。私の性格としてそんなことはやらん。どんどんやつて貰う。これはやつて、それがどうなつて行こうと、それは構わないのである。ただあの烽火というようなこと、あの通り或いはあれよりもでかいことなら、でかいことでいいからやつて貰いますが、ただ速かに一つの中間的にやつて貰いたということをお願いしまして私の発言を終ります。
  127. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 他にございませんか。午後は証人調べに入ります。証人に御迷惑でありますから……。それではこの程度にいたしまして休憩いたしまして、午後正一時から始めます。    午後零時九分休憩    —————・—————    午後一時二十六分開会
  128. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 午前に引続き開会いたします。  渡邊さんでございますか。
  129. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) はい。
  130. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたと増田さんとの御関係をお述べ願いたいのですが。
  131. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) 増田さんとは党の先輩であり、又最初知合いましたのは、増田さんが運輸大臣時代に私が内閣の嘱託とし、或いは農林大臣の吉田首相の兼設の大臣の祕書官として、当時において知合つたわけです。
  132. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、最初はいつ頃のことですか。
  133. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) それは吉田さんの第一次内閣の頃です。
  134. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ああそうですか。あなたと岡崎英城という人がおりますね、それから丹羽喬四郎という人がございますね、この人との御関係は……
  135. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) 岡崎君は私が警視庁詰めの新聞記者時代に、先生が当時大学を出まして、警視庁の交通係長をやつておりました昭和五年当時からの非常な懇意な仲でございます。
  136. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 丹羽君は、
  137. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) 丹羽氏は特高部長時代だと思いますが、ずつと遅れております。
  138. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それからずつと引続いて御交際ですか。
  139. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) そうでございます。
  140. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたと佐藤さんとの、佐藤昇という人との、御関係は、
  141. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) 昭和二十一年頃かと思いますが、私がよく警視庁へ遊びに行つておりまして、警視庁の日野という刑事課の第二係長をやつておりました日野君のところで知り合いまして、以来交際しておりました。
  142. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは二十二年の九月か或いは十月頃ですか、佐藤昇という人に対してですね、岡崎、丹羽に対して金をやつてくれというようなことをお話になつたことがありますか。
  143. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) 何月頃でしたか、二十二年の夏頃でしたか岡崎にはたしか梱包会社か何かやつておりまして、非常に会社の経営がおもわしくない、しよつちゆう困つたつたと言つておりまして、私のところに相談に来ましたから、当時佐藤君は非常に景気がよくて、商売も非常にうまく行つてつたものですから、私が電話をかけて困つておるから相談にのつて上げてくれんか、こういうことであつたのです。
  144. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはあなたのところに岡崎氏が来たのですか、丹羽氏が来たのですか。
  145. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) 岡崎さんです。
  146. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたのお宅にですか。
  147. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) ええホテルに参りました。
  148. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そこでいろ社会社の事業についてお頼みになつた……
  149. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) ええ、ええ、前からしよつちゆう当時前の内務大臣をやられた安倍源基さんが巣鴨に入つておりまして、その弁護士なんかの斡旋などでよく会つておりましたものですから、それで先生会うたびに困つたつたと、そういうようなことであつたわけです。
  150. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その会社を経営するについての資本というのですか、或いは運転資金というものですか。
  151. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) 運転資金だつたと思います。できてから困つたのですから……
  152. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か会社の株の拂込みに必要だとかいうお話じやなかつたのですか。
  153. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) 詳しい会社の内容については余り触れておりませんけれども、何かそんなようなことを言つておりました。
  154. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 幾らくらい欲しいかとかいう……
  155. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) 全然額のことは言いません。
  156. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたに対しまして応援して呉れというのですか、どこか貰つて呉れという意味ですか。
  157. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) 誰かいいパトロンでもないか、こういうことだつた人です。後援者ですな。
  158. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 出資者を求めるという意味ではないのですか、どつちですか。
  159. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) そういう詳しい意味のことではなかつた。困つてつて助けて呉れと、こういうような意味合のことでした。
  160. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それを依頼を受けまして、直ぐそこでお電話をかけたのですか。
  161. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) そこに卓上電話があるものですから、直ちに電話して了解を得たわけでございます。
  162. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か世上に伝わつておるところによりますと、あなたが増田さんに何かお金が要るので、それで少し出してやつて貰えんかと、岡崎さんと丹羽さんを使いにやるから出して呉れというような趣旨の御依頼があつたのではないのですか。
  163. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) そんなことは毛頭ございません。若しもそういうようなことであれば、増田さんにじかに私ができ得る間柄であつたのですから、何も中に仲介を立てる必要もなかつたわけです。
  164. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたが電話をいたしますれば、佐藤は出て来る立場におる人ですね。
  165. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) 非常に懇意にしておりまして、電話で幾らでも話ができる。その前に私の部屋佐藤君と三人で食事したこともございました。まんざらそのときは初めてではないわけであります。
  166. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 佐藤というのは岡崎、丹羽とはその前に会つておりますか。
  167. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) 私のところにたまたま佐藤君が来ておつたときだつたか、岡崎君が来ておつたときだつたか、そこに三人が丁度一緒になつて食事を共にしたことがあるわけです。
  168. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 岡崎君と丹羽君は佐藤君から金を受取つたのですがね、二十万円と、その後十万円、十万円と、三回に亘つて受取つておるようですね。これはあなたに何か御報告がありましたか。
  169. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) 別にありません。そういうふうにその後会いましたときに、岡崎君なんかえらく厄介になつておるという、こういう報告は受けております。
  170. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはいつ頃のことですか。
  171. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) いつ頃でしたかな、その直後だつたと思います。
  172. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 直後というと、第一回の金を受取つたときですね。
  173. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) そうでございます。
  174. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 幾ら貰つたとも言わなかつたのですか。
  175. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) 別に私も聞こうとも思いませんでしたし……
  176. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 普通考えると、大変世話になつた、二十万円ばかりということを言いそうなものですが、言わなかつたのですか。
  177. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) 別に……
  178. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その後二回、年が明けてから二回行つておるのですが、暮に一回と、年が明けてから一回行つておるのですが、それに対しても何ら報告しなかつたのですか。
  179. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) その後ときどき行つておるものだと私も思つておりますし、別にしよつちゆうそれについて報告を受けなければならんという程の他人行儀でもないものですから……
  180. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうことは勿論増田さんに御関係がなければ、増田さんに何もお話しにならなかつたわけですね。
  181. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) 勿論全然増田さんには関係ございませんし、増田さんとそのことについて話し合つたこともございません。
  182. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 丹羽君や岡崎君が世話になつておるというような趣旨の話もないですね。
  183. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) 勿論でございます。全然ありません。
  184. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ありませんでしたか。
  185. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) ありません。
  186. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 増田さんとしては、あなたを通じて丹羽君や、岡崎君が佐藤君に世話になつておるということは、御存じやないのですか、あるのですか。
  187. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) ありません。
  188. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 佐藤君を増田さんにあなたが御紹介になつとことがありますか。
  189. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) 紹介、或いはどこか事務所あたりで会つたかな、ちよつと記憶がありませんな。
  190. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御紹介になつたような御記憶もあるわけですな。
  191. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) ええ。
  192. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたが一緒に御同席になつたことはございませんね。
  193. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) ございません。
  194. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 佐藤という人が、増田さんとその後親しく交際しているようなことは御存じつたでしようか、あなたとしては……
  195. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) ございません。
  196. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御存じないですか。
  197. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) ええ。
  198. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 佐藤が増田さんのところにしげしげ出入りするということも御存じないのですね。
  199. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) そのくらいのことは聞いたような気がしますが……
  200. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か増田さんが佐藤君にいろいろ世話になるというような、何か謝礼の言葉を述べられたというようなことをお聞きになつておりませんか。
  201. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) 全然ありません。
  202. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 佐藤君に会つたからこの間礼を言つておいたよという話もなかつたのですか。
  203. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) 全然ありません。
  204. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 岡崎さんや丹羽さんと増田さんというのは相当親しいのじやないですか。
  205. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) それはやはり内務省の先輩として、そういう関係つたろうと私は思いますが、特別にどうということは聞いておりません。
  206. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か岡崎、丹羽という人が増田さんの選挙に応援に行かれたというようなことをお聞きになつたことはございませんか。
  207. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) それも聞いておりません。
  208. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 最近はあなたは岡崎、丹羽さんにお会いになつたのですか。
  209. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) 最近でございますか。
  210. 伊藤修

    委員長伊藤修君) はあ。
  211. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) そうです、いつ頃でしたかな、まあ極く最近は、そうですね、一ケ月前ぐらいに会つたことがあります。
  212. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 失礼ですが、どういう御要件だつたのですか。
  213. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) いや、偶然に警視庁の前でちよつと会つたのです。別にそれで何の話も、この問題についての話なんか、人も誰か知らない方がおられましたからこの話には触れませんでした。
  214. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの昭和二十四年の選挙の前後に、佐藤氏からあなたの方へ二十万円程お渡ししているようですね。
  215. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) それは何か新聞に二十四年と出ておりますが、それは間違いでございます。二十二年の選挙の際でございます。そのときは五万円、選挙直前に私が田舎に行つているとき五万円送つて呉れて、私が東京に出てから十万円借り貰いのような形になつております。当選して参りましたらお祝いという形で五万円呉れました。そういうわけです。非常に懇意な仲でありましたから、去年あたりは非常に佐藤君が詰つておりまして、逆に私の方から五万円、五万円、それから二、三万円、一、二度渡したようなことになつております。ですから、金銭的には私の、今のところは賃借関係は全然ないような計算になつておるわけでございます。
  216. 伊藤修

    委員長伊藤修君) するとその当時お渡しした金は、その趣旨はですね、選挙に関してですね。
  217. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) そうでございます。
  218. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、外に他意はなかつたわけですね。
  219. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) 別にございません。何らものを頼まれたこともありません。
  220. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何かあなたにそういうお金をお渡しして、公的、私的にお仕事をお頼みになつたことはあるのですか。
  221. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) 全然ありません。
  222. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 佐藤君はあなたにいろいろなこと、俗にいう事件とかですね、或いは仕事を、紹介というようなことをお頼みになつたこともないのですね。
  223. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) 全然ありません。
  224. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 誰か紹介なさつたこともないのですか。
  225. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) ええ、ありません。
  226. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何かあなた、神楽坂で、「植木」とかいうところで大野伴睦氏、藤井孝氏、佐藤昇氏という人とお会いになつたことがありますね。
  227. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) ございます。
  228. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これはどういう趣旨だつたのですか。
  229. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) これですね、佐藤君が前に大野さんとどつかで会われたことがあつて、非常に酒の飲みつぷりがいいから一遍ここで御馳走しようと、こういうことで私と佐藤と大野さんと三人飲むことになつてつたわけです。で、そこに丁度度前の日か何かに、その藤井氏が、俺も仲間に入れて呉れろと、こういうことであつたわけであります。それでまあ四人で会合した、こういうわけなんです。
  230. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると藤井氏は誰を通じて仲間に入れて呉れと言つたのですか。
  231. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) 佐藤君を。
  232. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 佐藤君をですか。
  233. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) それは直前か何かだつたと思いますが、自分の友人の、昭電にいる藤井というのが行くからどうかという、私に電話の連絡がありまして、それは君の友達だつたらいいだろうということで、それで食事を共にしました。
  234. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そこで何か藤井君から昭電の会社の内容とか、会社の現状というものをお話になつて、ご理解を得るように努めたのですか。
  235. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) いや、理解とか何か、そういうことはございませんでした。何か名刺によれば昭電の方ですから、昭電の何かいろいろの話なんか簡単に挨拶の中にあつたように記憶しておりますが、最初からまあとに角そこに行きましたときに、すでに芸者なんか大分賑やかに来ておりまして、祕密な話とか何とか、何もございませんです。
  236. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 特段に会社について藤井君から積極的な話はなかつたのですか。
  237. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) ございません。
  238. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 佐藤君と最近お会いになりましたか。
  239. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) 会いません。
  240. 伊藤修

    委員長伊藤修君) なりませんか。
  241. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) ええ。
  242. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一番近くお会いになつたのはいつ頃ですか。
  243. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) 去年の……、去年の何月頃でしたかな。先生がまだ……、秋頃ですな。
  244. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、警視庁などの……
  245. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) いや、そんな問題は全然出ていない頃です。
  246. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ずつと前ですか。
  247. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) そうです。どうしているかなと思つて行つたくらいのときです。
  248. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 警視庁でああいう問題になつて逮捕された当時は何かお話が……
  249. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) 何もございません。
  250. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ないですか。
  251. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) ええ。
  252. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 佐藤君の友人あたりから警視庁に対して……
  253. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) 毛頭ございません。
  254. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 他に何かお尋ねになることはございませんか。
  255. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 ちよつと一、二伺わして頂きたいのですが、私共にちよつと理解ができないのは、証人が御紹介になつて、それで佐藤さんという方が岡崎さん、丹羽さんに相当の金を融通されるということの意味はよく分らないのですが、まあこの佐藤さんが相当景気をよくやつておられた、そうして証人に対して信頼を持つていた。それから、岡崎、丹羽さんが事業で困つておられというだけでその金を出されるということはどうも一般に納得されにくいのではないですか。
  256. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) それは佐藤という人の性格をあなたが御存じないからだと思いますが、非常に気前のいい男です。あればどんどんどんどんやるという、実に淡白な方なんです。それですからちよつとその点は御不審あられるのは御尤もかも知れませんけれども、そういう人なんです。
  257. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 非常にに気前のいい淡白な人だつたら、警察関係とか政界関係とかという関係よりも、他の面にもいろいろ社会には金を必要としている人が随分いるわけですが、そういう方面にも同じようにぱつぱつと出しておられたのでしようか。
  258. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) それはそういう方面の人が頼みに行かなかつたからだろうと思いますが、頼まれれば何でもあの人はやる人なんです。
  259. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 やはりそこに何か証人の政治的の影響力とか、従つて証人と増田さんなり何なり政界の有力者の影響力ということが全然なかつたということはどうも……
  260. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) 私と岡崎氏との関係は非常に先ず言えば兄弟分見たいな附会いをやつてつたものですから、別に……そうして私を非常に信頼してくれておつたものですから、私にくれたようなつもりで先生はやつてつたのじやないか、こういうふうに思つております。
  261. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 そうするともう一つ伺いたいのは、佐藤という方から金銭上の援助をお受けになつた後に、逆にお返したという、それは最後はいつ頃だつたのですか。
  262. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) 去年の夏頃です。
  263. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 去年の夏頃……
  264. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) 去年の確か六七月頃じやないかと思いますが……
  265. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 六七月頃が最後の二三万円をお返しになつたという……
  266. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) さようでございます。返すというような気持ではなくて、先生が困つてつたから私が出したというようなわけでございます。返すといつようなわけではございません。
  267. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 今の証人佐藤という方に対するその人格的な判断といいますか、私共が今までいろいろな方の証言を伺つたところでは、佐藤さんという方は特に警察及び政界官界に金銭を渡されていたような印象を受けておるのです。それですからこれについては田中警視総監の証言にも佐藤昇という方は警視庁、消防庁その他官庁に出入しておる好ましからざる官庁ボスという印象を持つておるということの御証言があつたのですが、只今証人は非常に立派な人であるというような御証言つたのですが、そういうように伺つて宜しうございますか。
  268. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) さようでございます。
  269. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 それからこれは今委員長からお尋ねがありました神楽坂でお会いになつたというのはいつ頃のことですか。
  270. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) それは二十二年の何月頃でしたかな。春頃でまだ寒い頃でございますから、二三月頃だつたろうと記憶しております……
  271. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 二十三年じやないのですか。
  272. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) 二十三年ですか。
  273. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 二十三年の寒い頃ですね。
  274. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) ええ。
  275. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 ありがとうございました。
  276. 大野幸一

    大野幸一君 証人の方に伺いますが、岡崎さんと丹羽さんと比較すれば、佐藤との交友関係では、あなたの方が密接なわけなんですね。
  277. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) いや……、それは佐藤さんと丹羽さんとの関係でございますか。岡崎と……
  278. 大野幸一

    大野幸一君 それとあなたと佐藤との関係は……
  279. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) 私との関係は岡崎氏の方が深い、岡崎氏とは昭和五年頃以来の交際です。
  280. 大野幸一

    大野幸一君 私のお尋ねしておるのは、あなたと佐藤との関係の方が、丹羽や岡崎の関係より親密が……
  281. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) そうでございます。
  282. 大野幸一

    大野幸一君 それであなたには選挙のとき、というのは代議士として選挙は非常に大切なときに、五万円や十万円だつたのですね。
  283. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) ええ。
  284. 大野幸一

    大野幸一君 ところがあなたが紹介されたあなたよりは親密の度が少い人に四十万円出しておる……
  285. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) それは別に私は金が欲しくなかつた。欲しかつたらいくらでもくれたかも知れません。
  286. 大野幸一

    大野幸一君 警視庁の前の通りでお合いになつたのですか、岡崎と……
  287. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) 知らなかつたのです。
  288. 大野幸一

    大野幸一君 岡崎、丹羽と会われたとおつしやつたのですが……
  289. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) いや私が、最近会われたのはいつかと言われるから、警視庁の前で一ケ月くらい前に、岡崎さんと知らない人が歩いておられるときに偶然お会いしたということです。
  290. 大野幸一

    大野幸一君 警視庁のどこですか……
  291. 渡邊良夫

    証人渡邊良夫君) 警視庁の前の通りを歩いておられたわけです。
  292. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それではどうもお忙がしいところありがとうございました。    〔証人渡邊良夫君退席〕   —————————————    〔証人福田篤泰君著席〕
  293. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは福田篤泰さんですね。
  294. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) そうです。
  295. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今日は五井産業事件につきまして証人として御出頭を願いました。これから御証言願う前に宣誓をお願いいたします。宣誓の上誤りがありますと制裁がありますから御注意申上げます。宣誓書を朗読して頂きたいと思います。   [総員起立証人は次のように宣誓を行なつた]    宣 誓 書  良心に従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 福田 篤泰
  296. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは吉田さんの祕書をしていらしたことはありますかどうですか。
  297. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 祕書官の意味ですか。
  298. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 祕書官です。
  299. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 第一次吉田内閣のときです。
  300. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いつからいつまでですか。
  301. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 昭和二十一年の五月から二十二年の吉田内閣の退陣まで、確か五月でした。
  302. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから私設祕書はなすつていないのですか。
  303. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 別にやつておりません。祕書的な仕事をしておりました。
  304. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 佐藤昇というのは御存じでしようね。
  305. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 知つております。
  306. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはいつ頃からお知合になつて、どういう経過で今日になつておりますか。
  307. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 昭和二十二年の春頃会いまして、それ以後付合つております。
  308. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 昭和二十二年春頃というと、祕書官をやつていらつしやるときですか。
  309. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) そうです。
  310. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その頃ですか。佐藤昇氏を伴つて吉田さんの大磯のお宅へ行つたことがありますですか。
  311. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) そのときじやありません。
  312. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いつ頃のことですか。
  313. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 確か二十二年の夏暑い頃だと思います。私が浪人になつてからです。
  314. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 祕書官をお辞めになつてからですか。
  315. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) ええ。
  316. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどういうような動機で一緒に行くことになつたのですか。
  317. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) あの時分佐藤君のところへ行きまして、当時佐藤君は確か四、五台車があつたんです。車を貸して呉れと言つたことがあります。どこへ行くか、大磯へちよつと吉田さんに会いに行くのだ、それならばちよつと会わして呉れ、敬意を表したいというような軽いものでした。それじや一緒に行こう、それで一緒行つたわけです。
  318. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは夏頃というのはどういうことから、そういう御記憶があるのですか。
  319. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 夏か九月かはつきり覚えておりません。
  320. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 夏服という記憶があるわけですか。
  321. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 記憶はありません。何か夏か秋、とにかく九月前後と思います。そういう記憶です。
  322. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 涼しくなつたというだけですか。
  323. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) はつきり覚えておりません。
  324. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 八月頃ですか。いつ頃でしようか。
  325. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 九月前後じやないかと思います。はつきり分りません。
  326. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあ秋ですから寒くなりますから……
  327. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 寒くはなかつたと思います。
  328. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると八月乃至九月頃という……
  329. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 大体そうじやないかと思います。
  330. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでは吉田さんのところにいつ頃いらつしやつたのですか。
  331. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 午後晝過ぎに。
  332. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 晝過ぎにいらつしやつた
  333. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) ええ。
  334. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 吉田さんは我々承知しておる程度では、なかなか一面識の人にはお会いにならないのじやないですか。
  335. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 当時野党時代で総裁も割合にお暇なときです。初め私行きまして何かの報告なんかの用事があつてそれを簡單に終えまして、実は友人が一緒に来ておるから一遍お目にかかつて頂けないか、何かお暇でして気軽に会おうとおつしやいました。そういう意味でございます。
  336. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か食事を共にされてお話合いになつたわけですね。
  337. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 確かあれは簡單な御食事が出たと思います。
  338. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 夜分までいらつしやつたのですか。
  339. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 夜分まではおりません。
  340. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 夕方お帰りになつたのですね。
  341. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) ええ。
  342. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 夕食をしたためてお帰りになつたのですね。
  343. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 確か四時か五時頃夕方だつたと思います。
  344. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 相当の長時間いらつしやつたのですか。
  345. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 一時間ぐらいと記憶しております。
  346. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お晝過ぎにお着きになつととおつしやつたのですが……
  347. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 午後出たわけです。
  348. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 午後ですか。お着きになつたの相当遅いんですね。
  349. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) そうです。
  350. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何時頃お着きになつたか。
  351. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 私ははつきり覚えておりません。
  352. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 向こうではどのくらいお話になつたのですか。
  353. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 大体一時間ぐらいでございます。
  354. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どういうようなお話があつたわけですか。
  355. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 内容ははつきり覚えておりませんが、取りとめないことで、佐藤君も、これは実は陸上競技の関係で、お互いに仲がよかつたのであります。スポーツ関係のことだと思います。
  356. 伊藤修

    委員長伊藤修君) スポーツ関係中心にしていろいろなお話があつたわけですな、雑談に終つたわけですか。
  357. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 大体そういうことであります。
  358. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは佐藤さんからお金をお受取りになつたことがありますね。
  359. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) あります。
  360. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その経緯をちよつとお述べ願いたいのですが……
  361. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 昭和二十二年ですね。確か二回に亘つてですね、十万円ずつですか、それから翌年の二十三年の初め頃です。三十万円の小切手と、現金二十万円、大体そういう記憶でございます。
  362. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その前のお金はどういう趣旨だつたのですか。
  363. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 前の金は、私浪人しておりましたし、いろいろかかりもあつたこと等、別に深い意味はなかつたわけであります。
  364. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、あなたの個人的の、何といいますか、政治献金と、こういう意味なんですか。
  365. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 別にこれは、私は代議士でも何でもなくて、政治的の意味ではなかつた
  366. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 要するに、あなたの政治力を助ける意味ですね。
  367. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 政治力というとは別です。私は野人ですから、浪人ですから、政治的なあれは何もないわけです。
  368. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 当時政界に御関係になつていらつしやつたのですね、すでに政界に御関係になつていらつしやつたのじやないですか。
  369. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 別に関係はありません。
  370. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 單なるあなたの、何と言いますか、援助という意味ですか。
  371. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) そういう意味だと思います。
  372. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 十万円ずつ二回……
  373. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) はあ。
  374. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 次の五十万円は……
  375. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 次のやつは日にちや月ははつきり覚えておりませんが、二十三年の初めの頃荻外莊で丁度私の後、先輩である蜂谷さんが祕書的な役をしておつたのです。何か話の序でに少し荻外莊の経費が足りない、党に行つて催促して呉れという話があつて、党に行つて見たが丁度苦しくて暫く待つて呉れと言われた。それで佐藤君の所に行きまして、こういうわけでちよつと荻外莊で少し金が要るので融通して呉れと、そう言いました。それで三十万円の小切手を融通して呉れたわけです。
  376. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると三十万円、そのときに同時に二十万円は受取つておるのではないですか。
  377. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) そうです。それは私個人の佐藤君の後援です。
  378. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのときのお話合は三十万円と二十万円と別々にお話しになつたのですか。
  379. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 別な話です。
  380. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 同時にお話になつたのですか。二十万円はあなたの個人の費用として……
  381. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) それは私の費用として……
  382. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 三十万円の費用は荻外莊の費用として充てるために何とかして呉れと……
  383. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) そうですね。
  384. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 別々に話合つたのですか。
  385. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 別々と言いますか、これは一緒に話したわけです。
  386. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、そのお金はお受取りになつてどうなさつたのですか。
  387. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) その金は受取りまして、小切手の分を蜂谷君の所に持つて行つたわけです。これで用を足して呉れとお渡しいたしました。
  388. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのお金をお渡しになるときは先程吉田さんを御訪問になるときとは非常に密接な近い日にちじやなかつたのですか。
  389. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 先程申しましたように半年以上離れているわけです。
  390. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると御訪問になつたのは先ですか。
  391. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 先です。
  392. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうふうに荻外莊にお使いになる費用ということについては吉田さんにお話しになるのですか、ならないのですか。
  393. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) これは一々吉田さんにはお話しいたしませんでした。
  394. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 党の方にはお話しになるのですか。
  395. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 党の方には連絡しております。
  396. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうのは党の方で賄うべきものではないのですか。
  397. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 党の方で賄うべきです。
  398. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたが臨時に資金を作つてつたというわけですか。
  399. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 立替と言いますか、党の方で苦しかつたので、党の立替のようなものです。
  400. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 党の方の収入にはなつていないのですね。
  401. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 収入にはなつていません。私個人の、佐藤君と私の間の賃借関係ですから、私と党の間では当然私に返して呉れて、それを佐藤君に返すべきものと思います。
  402. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 党の方に受入れになつておるのですか。
  403. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 受入れになつておらんと思いますが……
  404. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうでしようね。
  405. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) はあ。
  406. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ただあなたの單なる御斡旋によつて得たという程度になつておるのじやないですかね。
  407. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) そうでございます。
  408. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのことについて蜂谷さんとその後に何かお話合いになつたですか。
  409. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) そのことですか……
  410. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その三十万円のことについて……
  411. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 別に話はしておりません。
  412. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 別にないのですね。吉田さんの方にも勿論お話しになつておらないのですね。
  413. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 話しておりません。
  414. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 党の方にも別に話していない……
  415. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 党に話しました。できたら、こちらで立替えて置くから私にお金を廻して呉れという話はしておりました。
  416. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは安藤光という人を御存じですか。
  417. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 存じております。
  418. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これはどういう御関係ですか。
  419. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 関係といいますと、友人です。
  420. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ただ友人だけですか。
  421. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 友人です。
  422. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いつ頃からお知り合いですか。
  423. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 二十二年前後と思います。
  424. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か事業のために御存じですか。
  425. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 別に事業のことではありません。
  426. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この人は大安土地株式会社というものを経営しておられるわけですが、何かそういう方面政府の拂下のことを扱つておるのですね。ガソリンの拂下かなんか、ガソリンの拂下ができるのかどうか知りませんけれども、ここから吉田さんにお渡しすると言つて百万円お借りになつたのですか。
  427. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) それはいつ頃の話ですか。
  428. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうことはないのですか。
  429. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) よく覚えておりません。
  430. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 百万円ですから覚があるかないか、ないならないで宜しいのですが……
  431. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) はつきり覚えておりません。
  432. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 僅かな金なら覚がないということになりますけれど、あるならある、ないならないとおつしやつて下さい。
  433. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 佐藤君からは融通して貰つたことがあるように記憶しております。
  434. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 百万円ですね。
  435. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 金額ははつきり覚えておりません。
  436. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 百万円か十万円ぐらいのことはお分かりになるでしよう。
  437. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) それぐらいであつたかも知れません。
  438. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのお金はどういうふうにお使いになつたのですか。吉田さんにお渡しになりましたですか。
  439. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 古い前のことですからはつきり覚えておりませんが、吉田さんのいろいろな費用に使つたと覚えております。
  440. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 百万円全部あなたがお受取りになつたのですか。
  441. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) そうです。
  442. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうするとあなたが中間でお取りになつておるわけではないのですね。
  443. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) そうじやありません。但し私と安藤君との関係は、安藤君から借りたわけであります。
  444. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 安藤君からは百万円あなたがお借りになつてそうして吉田さんのためにそれを全部使用された、こういうふうに伺つてよいですね。
  445. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) そうです。
  446. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると大体いつ頃ですか。
  447. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) はつきり覚えておりませんが、これは恐らく吉田内閣が終る頃じやないかと思います。
  448. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 第一次内閣のときですか。
  449. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) はあ。
  450. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 終つてからですか、終る前ですか。
  451. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 終つた頃です。
  452. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か安藤君の方へガソリンの拂下とかそういうもので非常に御世話になつたのですか、あなたが……
  453. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) そういうことは絶対ありません。
  454. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 安藤君の方へその金をお返しになりましたですか。
  455. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 去年の初め頃と覚えておりますが、何月頃か覚えておりませんが四十万円ばかり返しました。
  456. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 安藤君は今どこにおられますか。
  457. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 私最近伺いました。事業が不振になられて今までの事務所を引拂われたようです。
  458. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どこにお住まいですか。
  459. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 五反田じやないかと思います。
  460. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今もそこにおりますか。
  461. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) おると思います。
  462. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 五反田で一戸お持ちですか。
  463. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 持つております。
  464. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一番最近に会われたのはいつ頃ですか。
  465. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 最近会いましたのは今月であります。
  466. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今月のいつ頃ですか。
  467. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 二週間ぐらい前じやないかと思います。
  468. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どこでお会いになつたですか。
  469. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 私のところに参りました。
  470. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 向うからおいでになつたのですか。
  471. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) そうです。
  472. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると東京にいらつしやるわけですね。
  473. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) おられると思います。
  474. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 大変お困りになつていらつしやるようですね。
  475. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 弱つておるようです。
  476. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 安藤と佐藤とはよく懇意なのじやありませんか。
  477. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 全然知らない筈です。
  478. 伊藤修

    委員長伊藤修君) なんか往復しておるという話ですが。
  479. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) そんなことはないでしよう。
  480. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 事業上の関係もありませんか。
  481. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 私の知つておる範囲では、ないでしよう。
  482. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたが御紹介になつたことはありませんか。
  483. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) ありません。
  484. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 ちよつと委員長に伺いたい。午前中にも伺つたのですが、今いろいろと証言を求められた前段の点でありますが、これだけの話なら特に福田氏を……、今後誰を呼ばれるか分りませんが、呼ばれてやられるということが検察及び裁判運営等に関する調査とどんな関係があるのですか。
  485. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 世間の疑惑があるから、却つて御本人の弁明をして頂く機会を與えることの方がいいし、委員会といたしましても、その意見を聞いて置く方が独断に流れんで私はいいと考えますのでやつておるのです。
  486. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 この点、私と委員長考えが違うわけであります。
  487. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 欠席裁判ではいけないから、一応御意見を伺つておるのです。
  488. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それから今の第二の点は、五井産業事件検察運営となんか関連があるかという意味ですか。
  489. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは只今証人の方の証言でも佐藤君との関連性を否定していらつしやるのです。それで必ずしも証言が事実を述べておられるというふうには考えられない。又それによつて明かにならん事項もあると思います。又証人の方も知らん場合もあると思います。
  490. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それなら宜しうございます。
  491. 大野幸一

    大野幸一君 吉田さんの東京銀行本店の口座のことについて御存じないですか。
  492. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 存じません。
  493. 大野幸一

    大野幸一君 最初の十万円、十万円というのはなんか選挙などと関係あるのですか。
  494. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 全然ありません。
  495. 大野幸一

    大野幸一君 吉田さんを紹介するときに、荻外莊の費用ということで十万円ばかりでなく、五十万円ぐらい寄附させようという意味で、吉田さんに会わせたということはありませんか。
  496. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) ありません。
  497. 大野幸一

    大野幸一君 それからどうして安藤氏に金を返したのですか。
  498. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 安藤君が十分苦しいから成るべく早く返して呉れという催促がありまして一昨年あたりから一二回催促があり、私も非常に気になつておりましたから、それを返したわけであります。
  499. 大野幸一

    大野幸一君 何か仕事を頼まれて、その仕事をあなたの方でやつてやらないというようなことから、今度向うから無心に来るということになつたのではないですか。
  500. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) そういう意味ではありません。
  501. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 ちよつと委員長、念のために伺つておきたいのですけれども、佐藤という方をお知合になつたのはどういう御関係ですか。
  502. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) それはですね、私記憶が、はつきり覚えておりませんが、読売新聞の、今の馬場さんの祕書をされている柴田君という友人がおりまして、確か柴田君の紹介で、どこかで会いました。
  503. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 それから昭和二十四年の春頃佐藤という者と一緒に通産省の岡田秀男さんを御訪問になつたのですか。
  504. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 佐藤君と一緒にですか。
  505. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 ええ、
  506. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) そういうことはありません。
  507. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 それから佐藤という人については現在どういうふうにお考えになつていますか。
  508. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 私佐藤は今でも信用しております。非常に今度は気の毒だと思つています。元来やはりスポーツマンですし、汚いことができない男ですからいろいろなことで疑いをかけられて、被疑事件だと思いますが、非常に気の毒だと思います。
  509. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 警察とか、政界とか官界とかという方々のところに金を送られたことについては、そういう習慣は今までの日本にはあつたのかも知れませんけれども、やつぱりいいことなんでしようか、どうなんでしようか。
  510. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 私のいい、悪いという価値判断の問題ですが、佐藤君が非常に金廻り、景気のいい時分です、私の記憶によれば二十二年、三年の初めあたりだと思いますが、本人はよく口癖に言つていたことですが、これは社会のために金が非常に儲かつたのだ、自分の私すべきものではない、自分の信頼する人は誰でも応援して国家のために使いたいということを口癖に言つておりましたし、決して悪いと思つていません。
  511. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 そういう方から援助をお受けになつて、やはりそういう方の考えておられることを実行したいというふうにもお考えになるわけでしようね。
  512. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 思想は別ですからどういう考えを持つておろうが、これは別個の問題です。
  513. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 そうすると金は貰い、その人がどういうことを自分に要求していても絶対に受けつけんと……
  514. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 全然別個のことです。貰つておりませんから……、私は借用書を入れてありますから、名刺でありますけれども返すつもしでおります。
  515. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 有難うございました。
  516. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 外にお尋ねになる方はありませんか。
  517. 遠山丙市

    遠山丙市君 東京銀行丸の内支店ですか、吉田さんの別口というのは、書いてありますね、御存じですか。
  518. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) これは知つております。支店の方は……
  519. 遠山丙市

    遠山丙市君 この別口というのはどういうのです。吉田さんが命じて党の予算であるから別口にしておけということで別々になつているのか、どういうことですか。
  520. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) あれは荻外莊の費用を建前として党が見るという話合であつたものですから、党の金をはつきりするために別口を作つたわけです。荻外莊費用として作つたものです。
  521. 遠山丙市

    遠山丙市君 そうするとそいつの出入りは誰がやつてつたのですか。
  522. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 出入りは実印は吉田さんが持たれて必要の場合に吉田さんに書いて貰いました。通帳その他は私が保管しておりました。
  523. 遠山丙市

    遠山丙市君 そうすると要る場合はこちらの言う通り出されるわけですか。
  524. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) そういうわけです。
  525. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 他に……
  526. 大野幸一

    大野幸一君 ちよつと聞きますが別口の方の吉田さんの口座は実印を吉田さが持つておられて、必要に応じて判を出されるわけですか。
  527. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 御自身で書かれるわけです。
  528. 大野幸一

    大野幸一君 御自身で書かれる。そうして印を捺される。請求書を書かれるわけですか。
  529. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) そういうようなわけです。
  530. 大野幸一

    大野幸一君 そうすると吉田さんはその口座にどのくらいの金があつて、どういう金を入れられておるということは想像できるわけですね。
  531. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) その点は吉田さんは皆さんも御承知の通り金銭には非常に無頓着なんです。まだ金はあるか程度の御質問をなさることはあります。
  532. 大野幸一

    大野幸一君 無頓着なら実印も全部人に預けておいたらいいじやないか。
  533. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 併し祕書の立場で実印までお預りするのも困りますし、一々報告することも困ります。併しその点ははつきりして置く……
  534. 大野幸一

    大野幸一君 吉田さんが判を預けていたというならば承服できるか知らんが、御自分が書くというなら党費があるかないか分らんのを出す筈がない。出す以上は貰つた金がある、入つた金の性質ぐらいは分らんことはないじやありませんか。だからそういうことは隠さないで貰つたら貰つたでいいので、吉田さんもその点は了解していたんじやありませんですか。
  535. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) それは違いまさあ。これは今度このくらい要ると申上げれば、そのままお書きになるわけです。
  536. 大野幸一

    大野幸一君 入つたことは全然知らないのですか。
  537. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) それは党でやつておると思う、そういうことまでお心使いにはならんと思います。
  538. 大野幸一

    大野幸一君 相当つておる。何か一月には七万円あつた、その暮十一月には三十何円入つておる。そういうように入つておる事情がある。口座まで見せて貰つたのだがね。
  539. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 何年でございますか。
  540. 大野幸一

    大野幸一君 何年だかそういうことがあつた。これがその月によると二十五六万のやつが入つておるということもあるのですがね。そういうことを全然知らないで出すということは、常識上考えられないのだがんあ。構わないじやないか、総裁でも何でも……、誰から貰つたか知らないのですか。
  541. 福田篤泰

    証人(福田篤泰君) 我々としましては一党の総裁に台所の細かいことまで御心配させていかんという気持もありますし、党員間で、党が見えるという建前を堅持しておりましたから、その方法でやつております。これだけ入つてこれだけ出るということは一々御報告はしなかつたのです。
  542. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 他に御質問ありませんか。ではお忙しいところ有難うございます。ちよつと休憩いたします。    午後二時二十八分休憩    —————・—————    午後三時十一分開会
  543. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 休憩前に引続きまして開会いたします。蜂谷輝雄さんですか。今日は五井産業事件について証人として御出頭願いました。証言をお願いする前に宣誓をお願いします。宣誓に若し間違いがありますと処罰の規定がありますから御注意申上げておきます。宣誓を朗読して頂きます。   [総員起立証人は次のように宣誓を行なつた]    宣 誓 書  良心に従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 蜂谷 輝雄
  544. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 蜂谷さんは吉田さんのいつから祕書をなさつていらつしやいましたか。
  545. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 昭和二十二年の暮頃から、二十三年の第二次吉田内閣ができる頃までやつておりました。
  546. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは私設祕書ですか、祕書官ですか。
  547. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 当時野党でありました関係から別に祕書官という意味でなくて、ただ……
  548. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると私設祕書ですね。福田篤泰さんは御存じですね。
  549. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) ええ、知つております。
  550. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どういう御関係で……
  551. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 元外務省で一緒におりましたので……
  552. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 吉田さんの祕書をやつていらつしやつた関係上、福田さんも自由党ですから、そういう関係でも御存じですね。
  553. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) はあ。
  554. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何かお金のことであなたから福田さんにお頼みになつたことがありますか。
  555. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 私からですか。
  556. 伊藤修

    委員長伊藤修君) はあ。
  557. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) それは昭和二十三年の初め頃ですね、私まだ祕書になりたての時分でありまして、丁度荻外莊の金のことで、私荻外莊でいろいろ雑務をやつておりました。そのときに金のことにつきまして福田君に頼んだことがあります。それは何でもはつきりしたことでなく、大体古いから覚えておりませんが、大体二十三年の一月末から二月の初であつたと思いますが、荻外莊の経費の問題で当時金がなかつたのであります。それで荻外莊の経費は党の方から大体貰うことになつてつたのでありますが、ところがその時分は党の方の事情もよく分りませんし、福田君がよく知つておると思つたものですから……。丁度その時分に金がなかつたものですから、荻外莊の経費について何とか党の方に話して呉れないかというような話をしたことがありました。その時分福田君が確しか党の方にも話して呉れたと思うのですが、党の方で呉れなかつたかどうか、よくその辺は分りませんけれども、金を持つて来て呉れたことはあります。
  558. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お頼みになつたから福田さんが金を持つて来たのですか。
  559. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 私が話しまして、それから暫くしてから持つて来て呉れたのです。
  560. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの方に持つて来たのですか。
  561. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) はあ。
  562. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでお受取りになるときに、何でお受取りになつたのですか。
  563. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 小切手です。
  564. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは福田さんの小切手ですか。
  565. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) それは福田君の名前でなくて、佐藤氏の小切手です。
  566. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 佐藤氏の小切手で福田さんが持つて来たのは、どういうわけだとお尋ねになりませんでしたか。
  567. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) そこは訊きませんでした。私はただ金がなかつたから話ししましたら、何とかしようというて、そのときに小切手を持つて来たんです。
  568. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その小切手は現金にお換えになつたのですか。
  569. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) いえ、それは私が裏書きしまして、そうして銀行の方に預けました。
  570. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうするとあなたの口座ですか、どなたの口座へ。
  571. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) それは吉田茂名儀の東銀の口座です。
  572. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 吉田さんの口座は幾つあるんですか、東銀に。
  573. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 私が知つておりましたのは一つであります。
  574. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一つ……
  575. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) はあ。併し別に何かあつたように聞いております。
  576. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どちらの口座へお入れになつたのですか。
  577. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) それは私が荻外莊の経費を扱うために設けてある口座の方へ入れました。
  578. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、そういう口座は別に別口とかいうことになつておるのですが。
  579. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 別に別口とかいうことはございませんけれども、別にはなつておりました。
  580. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 別になつておれば、別口と銀行では扱うでしようね、その銀行の方の口座は。
  581. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) はあ。
  582. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたが出し入れするんですか。
  583. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) それは私が出し入れするといいましても、名儀が吉田茂名儀になつております。それで、私が荻外莊の経費を支弁する場合に必要な額を吉田さんにそう言いまして、そうして切つてつております。
  584. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、若しお金が入りますれば、その別口の口座へあなたが任意に入れるわけですか。
  585. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) そうでございます。
  586. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはお入れになるときに、吉田さんにはお知らせするわけじやないのですか。
  587. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) それは党から貰つたり何かするのは、一々話しませんで……
  588. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 入れるときには任意に入れて、出すときには吉田さんの御承認を得て出す、そういう形になつておりますね。
  589. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 大体そうなつております。
  590. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると入れる金は再々あるわけですか。
  591. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) そう再々はなかつたと思いますけれども、それでもときどき党から貰つて行つたことがありますから、何で貰つたということ記憶しておりませんけれども、ときどき貰つております。
  592. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうするとその別口の口座は別口のみに使うのですか。
  593. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 大体そういうつもりでやつておりましたですけれども、併したまにやはり吉田さんが総裁として何か必要なことがあつた場合に、小切手を切られたこともあつたように記憶しております。
  594. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 荻外莊の費用というのは、その口座のみですか。
  595. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) はあそうでございます。
  596. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 別に口座があるわけじやないのですか。
  597. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) ございません。私が知つております限りは。
  598. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうお金は、党の方で実際御入用なら、あなたの手許で処理されるんじやないでしようかね。
  599. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 何でございますか。
  600. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 吉田さんの口座に入れるということがちよつと納得行かないんですがね。
  601. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) ちよつと……
  602. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 党のためのお金であるとするならば、あなたがその荻外莊のいろいろな収支をお扱いになつていらつしやるのですから、あなたが別のそういう口座をお作りになるとか、或いはあなたにおいて保管していらつしやるというふうに考えられるのですが。
  603. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) それは全然ありません。
  604. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうせずして特に吉田さんの口座にその金を入れるということがどうも納得行かないのですがね。
  605. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) それは前からそういうふうに引継いでおりましたので、そのままにしておりました。
  606. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その口座が二つあるというのはどういうわけですか。
  607. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 片一方の今の荻外莊の関係はまあいわば党の経費のような意味であつたと思うのです。片一方の方はこれは私全然存じませんけれども、吉田茂さん個人のものではなかつたかと思いますが、その方は存じません。そのように区別しておつたと思います。
  608. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうするとその小切手関係については、吉田さんは御存じないのですか。
  609. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) どの小切手ですか。
  610. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今の佐藤昇の……
  611. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) ええ、それは御存じないのかもしれないと思います。
  612. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 併し小切手は吉田さんがお切りになるのでしよう。
  613. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) そうであります。
  614. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お切りになれば当然預金通帳というものを、預金当座帳というものを御覧になるわけですね。
  615. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) それは私が今までやつておりましたのは、大体吉田さんが、私が荻外莊の金を支出する場合に、金がないからと言つて、貰いたいということを言つてつて貰いましたし、それから又吉田さんが何か必要な場合に、金があるかどうか聞かれまして、私がまだあるようですと言いました場合に吉田さんが切つておりますが、一々細かいことは聞いておりませんでした。
  616. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると預金当座帳の内容は御覧にならないで、大体残高だけを頼りにしてお切りになるわけですね。
  617. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) はあそうです。余りそういうことを自分であれされなかつたもんですから。
  618. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それからそういうお金はどこから賄なうということもお聞きにならなかつたのですか、あなたに。
  619. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) それはまあ大体党の方でやるということに前から知つてつたのではないかと思います。荻外莊の方は大体党の総裁邸みたいなことになつておりまして、総裁としてそういうことになつておりまして、一々聞かれませんでした。
  620. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると荻外莊の費用は党の方から廻るわけですか。
  621. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) そうであります。
  622. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 廻つておりますか、党から。
  623. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 廻つておりました。
  624. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 廻つた金は当座にお入れになりますか。
  625. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 大抵入れておりました。
  626. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 入れておりますか。
  627. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) はあ、大抵。
  628. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 大抵じやない、全部お入れになりますか、全部。
  629. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 全部入れることになつておりましたけれども、細かいことは覚えておりません。
  630. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お入れにならなければ残高がどれくらいあるということは分らないのじやないでしようか。党から貰つたやつでしよう。
  631. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) それは大抵入れておりました。そうしてその中でいくらあるということはやつておりました。ただ細かいこと、そのとき急に必要があつて入れなかつた場合でありましたが、大体入れておりましたから、全部……
  632. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 毎月お入れになるのですか。
  633. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 毎月というわけでございませんで、そのときどきによつて必要なときに貰つて来たので……
  634. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうでなくて、それは吉田さんのプラィヴェートな別口預金であつて、それは党に関係はないじやないですか。その別口当座というものは。
  635. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 私はそう聞いておりましたのですけれども……
  636. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 聞いておる……。あなたが扱つておるというから聞いておる……
  637. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 私はそのつもりでやつてつたのです。
  638. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いやどちらでもよろしいのですがね、預金の動き方を見るとそうは考えられないですね。
  639. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) そうでございますか。
  640. 伊藤修

    委員長伊藤修君) むしろ吉田さんのプラィヴェートのものだと考えた方が正しいのでないですか。
  641. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 私はそうは考えておりません。別に……、プラァヴェートなものは別にありました。
  642. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いや別のものは吉田さんの本当の個人のものであつて……
  643. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 直接私はそう引継がなかつたものですから、党のものとしてやつてつたのです。
  644. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 党のものとすれば毎月党のものとしてやつて行つた。要るものは受入れて、一応とにかく当座へ入れるという形になつて来るのですが、そういう受入れがあるようには思えませんが……
  645. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) そうですか。
  646. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いやあなたが扱つておるのですから。
  647. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) そうですか。
  648. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうですかつて人のことのようですが……
  649. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) いやそう思つてつてつたのです。
  650. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 費用は、要る費用というのは大体分るものですから、まあ予算というのは大体立てられるわけですから、月に何千円とか何万円とか要るということは分りますから、それが党から始終賄なわれるということになれば、毎月とか或いはふた月とかそういうお金が入金されなくちやならん筈ですが……
  651. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 入金した、貰つたやつをそこへ入れておりました。党の方で……
  652. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうふうには見られませんがね、違うのじやないですか。
  653. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 私はそういうふうにやつておりました。
  654. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると佐藤さんという人は全然御存じないのですね。
  655. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 存じません。
  656. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どういう趣旨で金が来たかということも分らないのですか。
  657. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 全然分りません。ただ私が行つたときに福田さんが持つて来た金の性質ということは全然私は分りません。
  658. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 福田さんの小切手はなんですか。全然違つた小切手で貰つたのですからね。それはお確かめにならなかつたですか。
  659. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 私確かめません。私は福田君がどこからか融通したというふうに簡單に考えたものですから……
  660. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうするとこの金を福田さんにお返しになるのですか。
  661. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) そこは別にそう深く考えないで、とにかく使つておけということで私は貰つたので、返す返さないということは、その時分には別に考えなかつたのです。
  662. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、小切手を入金されるときは、結局はその吉田さんの別口当座に入れて呉れと言つて御指定になつたわけですね。
  663. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) そうでございます。
  664. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 他にお尋ねになることありますか。
  665. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 ちよつと一二点伺いますが、この吉田さんの東銀の口座というのは、あなたが引継ぎをされましたときから、あなたの所管としてこれは扱うことになつておるわけですか。
  666. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) はあ。
  667. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 そういうことになつておりますか。
  668. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) はあ。
  669. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 どなたから引継ぎになりましたか。
  670. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 福田君からです。
  671. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 福田さんはもとやつてつたのですか。
  672. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) そう聞いております。
  673. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 そうしてこの帳尻はあなたが常にお調べになるわけですか。
  674. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 一々調べませんですけれども、大体このくらいあるという見当はつけておりました。
  675. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 小切手帳は誰がお持ちですか。
  676. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 私が持つております。
  677. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 小切手帳はあなたが持つているのですか。
  678. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) はあ。
  679. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 そうすると入金帳もあなたがお持ちですか。
  680. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 入金帳も私が持つておりました。
  681. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 あなたが……
  682. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) はあ。
  683. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 吉田さんの手許では幾らか金が残つておるか分りませんね。
  684. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) ええ、分らなかつたと思います。
  685. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 分らない……
  686. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) ええ。
  687. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 小切手を、そうすると、書くのは吉田さんが書かれるのですか。
  688. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) そうでございます
  689. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 判も吉田さんがお持ちになつているのですね。
  690. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 判も持つております。
  691. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 そうするというとあなたの責任において、若し帳尻に金がなくなつたとすれば、あなたがそれを調達せねばならないことになつてつたのですか。
  692. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) それは党の方に参りまして、党の方から融通して貰えるようにしておりました。
  693. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 吉田さんの手許では、大体荻外莊の費用というものは党に負担して貰うのだと……
  694. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) はあ。
  695. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 だから党以外からその別口の口座に金が入るべきものはないのだとこう考えておるわけですね。
  696. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 吉田さんがですか。
  697. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 はあ。
  698. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) そう考えておつたと思いますけれども、一々確かめたわけではありませんが、大体そういうことに私は考えておりました。
  699. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 その小切手帳に何か吉田茂という名前を書いてあるのがありましたが、小切手帳というのをこの前見ましたが……
  700. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 小切手帳ですか。
  701. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 小切手帳の裏に……
  702. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 小切手の裏に……
  703. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 小切手帳でない、小切手の裏に、吉田茂とこの前書いたのがありましたが。
  704. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) それは私記憶ございません。
  705. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 記憶ございませんか。
  706. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) ええ。
  707. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 あの小切手はないですか。
  708. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 写真がありますから……
  709. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 ちよつと一遍……。これは小切手の写真なのですが、そこへ吉田茂という署名があるのですが、これは誰が書いたんですか。
  710. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 誰か存じません。
  711. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 あなたは御覧にならなかつた
  712. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 私そこまで覚えておりませんけれどもなかつたようですが、これは昔の記憶でございますから……
  713. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 ちよつとおかしいのですが、あなたが裏書きすれが別段吉田さんの名前をそこに書かなくたつて取れるわけです。それにも拘わらず吉田茂という署名をしてあるのですが、その点について、お取りになる場合にそれは何とかしなければならないわけじやないのですか。
  714. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) これは私よく分りませんけれども、私の想像ですが、後から何か書かれたのじやないでしようか。
  715. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 どうしてそんな……
  716. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) それは私全然分りません。
  717. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはこういうわけじやないんですか、あなたの裏書して、するとあなたの当座へ入つて来るわけです。あなたか裏書きしているんだから。
  718. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 私の当座がないものですから。
  719. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ないからその交換で廻つて来て入つて来た金はどこかの当座へ入れなければならない、そうすると振込みの当座を指定する意味においてこれは書かれたんじやないですか。
  720. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 書かれたのかも知れませんね。
  721. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 筆蹟は誰か分りませんか。
  722. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 全然分りません。
  723. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 吉田さんの筆蹟とは違いますね。
  724. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 吉田さんのそばにはおりましたけれども、一々分りませんがちよつと違うように思いますが分りません。
  725. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 あなたが福田さんに金策方を申入れしたのはそれはあなたの独断によつてしたわけですか。
  726. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) そうでございます。金がなかつたものですから。
  727. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 党の方から……
  728. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 党の方から呉れないといいますれば何ですが、私も党のことはよく分りませんし、どこからでもいいからということを言つたんですが……
  729. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 あなたとしては当時振出人佐藤某というのは御存じなかつたんですか。
  730. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 知りません。
  731. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 福田さんが持つて来たのだから。
  732. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 福田さんの小切手だから福田さんの金くらいに思いまして。
  733. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 あなたか請求なさるときには口座の残高はどのくらい、どういうふうになつておりましたか。
  734. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 記憶しておりませんけれども、何か殆んどなかつたのじやないかと思う、それで請求したんじやないかと思います。なかつたか或いは何かそのとき銀行から注意があつたような気もするのでございますけれども、そこまではつきり知りません。
  735. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 銀行から注意があつたんですか。
  736. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) そういうふうな、うすら覚えがあります。何かそういうふうなことから金がないので困つたんじやないかと思います。
  737. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 当時吉田さんと佐藤という人は面識がなかつたのですか。
  738. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 私存じません。
  739. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 この小切手があなたのお手許に入る前に、若干前に佐藤と吉田さんと会つているというようなことを覚えておりますか。
  740. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 私記憶ございません。
  741. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 吉田さんには佐藤というものの小切手が来たということを話しましたか。
  742. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 私からは話しません。
  743. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 この問題が起つてから後にこれに対して吉田さんの方からあなたに確かめてくれというようなことはございましたか。
  744. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) ございません。
  745. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 全然そのことについてはお知らせしたことはないのですか。
  746. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) ございません
  747. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 本日只今まで……
  748. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) はあ。
  749. 大野幸一

    大野幸一君 自由党から必要に応じて金が来たというお話ですが、自由党の責任者というのは誰ですか。
  750. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 私がその時分に会計の方に話しました。
  751. 大野幸一

    大野幸一君 会計は誰ですか。
  752. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 会計主任は花岡という人だつたと思つております。
  753. 大野幸一

    大野幸一君 その人だけの手を通じてですか。
  754. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) そうでございます。
  755. 大野幸一

    大野幸一君 他の人の手を通じない……
  756. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 通じません。
  757. 大野幸一

    大野幸一君 一ケ月幾らぐらいが必要だつたのですか。
  758. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) これも記憶は確かでございませんけれども、そのときによつてつていたのです。大体十万前後じやなかつたかと記憶しております。
  759. 大野幸一

    大野幸一君 三十万円という金額を言つて福田さんに頼んだのですか。
  760. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) そうでございません。ただ金がないから……
  761. 大野幸一

    大野幸一君 幾らぐらいが必要だつたのです。
  762. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) ちよつとその時分のことですからはつきり分りませんけれども、別に幾らということでなしに、ただ金が足らんからというようなことで言つたので、十万足らんとか二十万足らんとかいうようなことを言つた記憶はございません。
  763. 大野幸一

    大野幸一君 一ケ月も二ケ月も前のことを考えて、それで費用が足らないと言つたんじやないのですね。
  764. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) そうじやございません。何か多少未拂いといいますか、あつたような記憶があるのです。
  765. 大野幸一

    大野幸一君 小切手帳の残高が、調べてみれば分るのですからあなたのことも、そのときに小切手帳の残高が多かつたらおかしな話になるので、これは大丈夫ですか。
  766. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) それは記憶にございませんが、たしかなかつたのでそう言つたと思います。
  767. 大野幸一

    大野幸一君 先程吉田茂さんの署名と、どうもあなたとしてははつきり言えないと言うのですが、そうですか。
  768. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) それは吉田さんのじやないという気がします。私は吉田さんの字を一々知つているわけではございませんけれども、何となくそういう気がいたします。そのときにそういう字があつたことは、古いことですから覚えておりませんけれども、なかつたのじやないかと思います。
  769. 大野幸一

    大野幸一君 ですけれども吉田さんの字はしよつちう小切手に書いているのじやないですか。
  770. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) そうでございます。それと比較しましてどうも違うように思うのです。
  771. 大野幸一

    大野幸一君 署名ですからね、違うように思うというのではなくて、あなたは祕書としてそこは違うなら違う。似ているなら似ている、どつちかの答えが出るのが……
  772. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 似ておりません。
  773. 遠山丙市

    遠山丙市君 証人の個人口座がなかつたということは今言われましたね。そうすると普通、交換へ廻つて金を取るという場合に、口座のないものは、ひとの口座でよくやることがあるのですが、受取人はあなたの名前になつている。そうしてあなたは口座がない。そうして吉田さんの別口に入れるのだということで、これは銀行で何か印に書いたのではないですか。そこの吉田茂という字は銀行で覚えに書いたので、吉田さんの別口に入れるのだというつもりで書いたという気がしませんか。
  774. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) そういう気がします。銀行の方で書いたのじやないかと思いますが、これは別に確かめたわけではございませんが……
  775. 遠山丙市

    遠山丙市君 裏書にこういうふうに幾人もの名前があるというのはおかしい。そうすると吉田さんとしては署名だけで、判も何も捺していない。而も書いてある場所が、紙の上の方のとんでもない所にちよこつと書いてある。
  776. 蜂谷輝雄

    証人(蜂谷輝雄君) 私の想像では、私の名前になつているが、私の口座はない。これは吉田茂の口座に入れるべきものだというので、銀行員か何かが吉田茂というふうに書いたのではないかというような今拝見してそういう気がいたします。
  777. 遠山丙市

    遠山丙市君 結構であります。
  778. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 他にお尋ねになる方はありませんか……。それではお忙しいところを有難うございました。  では本日はこれを以て散会いたします。    午後三時四十一分散会  出席者は左の通り。    委員長     伊藤  修君    理事            鬼丸 義齊君            岡部  常君            宮城タマヨ君    委員            大野 幸一君            石原幹市郎君            遠山 丙市君            羽仁 五郎君    証人            渡邊 良夫君            福田 篤泰君            蜂谷 輝雄君