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1950-04-20 第7回国会 参議院 法務委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月二十日(木曜日)    午前十一時八分開会   —————————————   委員の異動 四月十九日委員鈴木安孝君辞任につ き、その補欠として石原幹市郎君を議 長において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○商法の一部を改正する法律案(内閣  送付)   —————————————
  2. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) それではこれより法務委員会を開きます。商法の一部を改正する法律案を議題に供します。前回に引続きまして逐條審議に入ります。  本日は第五節社債、第一次総則、二百九十六條よりご説明をお願いいたします。
  3. 岡咲恕一

    政府委員岡咲恕一君) この五節のおきまする重要な改正点は、第一点といたしまして社債発行権者及び発行限度を改めまして、社債発行を容易にいたしましたということであります。第二点は社債名義書換代理人を置くということにいたしました点、第三点は転換社債規定を合理的に改めたという点でございます。  で、先ず二百九十六條を御説明いたします。現行法によりますと、社債株主総会決議によりまして発行いたすということになつておりますのを改めまして、会社取締役会決議を以て社債募集することができるということにいたしたのでございます。これはかねがね御説明申上げましたように、自己資本の調達が新株発行によりまして行われ、その新株発行取締会権限といたしましたことに対応いたしまして、取締役会決議によつて募集することができるということに改めたのでございます。  次に、第二百九十七條におきましては、社債発行限度を改めまして、現行法にありまするように、社債総額資本総額を超えることを得ないという点を改めまして、社債資本及び準備金総額を超えてこれを募集することを得ないということにいたしたのでございます。現行法によりますと、社債発行決議の当時におきまして、社債総額資本総額を超えることができないと解釈されるのでございまして、社債発行限度がやや狭きに失しまするのみならず、社債発行決議当時を標準といたしますると、オープン・エンド・モーゲーヂを事実上不可能にいたすという点もありまするので、これを容易にいたしたわけでございます。資本の外に準備金を加えましたのは、準備金は、申すまでもなく、資本準備金及び利益準備金を意味するものでありまして、任意積立金はもとより入りません。利益準備金及び資本準備金資本に準ずべき金額でございまするので、社債募集限度を、準備金を含めた金額資本金及び準備金総額といたすことを適当と考えたわけでございます。又発行決議の時に、必ずしも資本金及び準備金総額範囲内にございませんものでの、現実に募集をいたしまする際に総額を超えていなければよろしいということにいたしますると、先程申しましたオープン・エンド・モーゲーヂを可能にいたすことができるのでございまして、適当な改正かと考える次第でございます。第二項は現行法にありまする原則を、そのまま踏襲いたした次第でございまして、別段申上げる必要もないかと考えます。それからその以下の規定でございまするが、これは大して重要でないので省略してもよろしいかと思いまするが、三百一條の第二項の十号を改正いたしまして、現行法会社資本総額とありまするのを、会社資本及び準備金総額といたしましたのは、社債発行限度拡張に伴う当然の改正でございます。又十六号におきまして、名義書換代理人及び登録機関制度を認めたのでございまするが、これは後程申上げることにいたしまして、そのような制度を採用いたしました場合には、これを社債申込証に記載させることは当然のことと考えまして、この規定を設けた次第でございます。  三百五條改正も、社債につきまして名義書換代理人を採用いたしましたので、このように改正いたした次第でございます。名義書換代理人制度を採用いたしました規定は、三百七條の第二項でございます。株式につきまして、株式の流通のために、名義書換代理人を設けたのに対応いたしまして、社債につきましても、同一の制度を採用した次第でございます。即ち社債原簿副本を認めまして、名義書換代理人に、営業者社債原簿またはその副本を備えて置くことを認めることといたしたのでありまして、副本名義書換をいたしました場合には、原簿名義書換をいたしたと同様な効力を生ずるということにいたしたのでございます。三百七條の第二項がその趣旨規定でございます。  三百二十六條の二項を削除いたしております。これはかねがね申上げましたように、裁判所裁量権を余りに広く認めるという誤解を生ずる虞れがありまするので、かような裁量をなし得るという規定を削除いたした次第でございます。  それから三百三十七條の二項を削除いたしておりまするが、これは少数社債権者保護のために、社債権者集会召集費用を、株主総会の場合における取扱との均衡を考えまして、常に会社の負担とするということにいたした次第でございます。その外の多少の改正につきましては特にご説明を申上げることもないかと考えます。  次に転換社債のことにつきまして簡單にご説明申上げます。現行法によりますると、社債募集株主総会特別決議事項でありまするが、転換社債発行いたしまする際には、株主総会におきまして、同時に転換限度において資本を増加するという決議を必要といたすのでございまするが、改正法案におきましては、社債発行取締役会権限となりましたことに関連いたしまして、三百四十一條の二の第二項の規定を設けまして、取締役会転換社債募集するという決議をいたしまするためには、定款又は総会特剔抉議を以ちまして、転換條件転換によつて発行すべき株式内容及び転換請求し得べき期間定めることを要するということにいたしたのでございます。で授権資本制度を採用いたしました結果、転換によつて株式発行いたしますとは新株発行となるのでございまして、従つて転換社債発行新株引受権付與に準ずるものと考えるのでございます。従つて転換による株式発行が、新株発行となることが転換請求に応じて発行すべき株式額面及び無額面の別、種類及び数は、当然授権資本の枠内に予め留保さられておることが必要となるわけでございます。これが三百四十一條の二の第三項のこの規定の設けられた趣旨でございます。  次に三百四十一條の三、三百四十一條の四は現行法の三百六十六條、三百六十七條に対応いたす規定でございまして、別段申上げることはないかと思います。次に三百四十一條の五は転換株式規定を概ね準用いたしたものでございまして、二百二十二條の三は券面額以下の発行禁止趣旨から考えまして、転換社債発行価額転換によつて発行する株式発行価額といたした次第でございます。次に二百二十二條の五は、いわゆる株主名簿閉鎖期間中に転換請求をなすことも転換株式の場合と同様といたすべきものと考えまして、これを準用いたしたわけでございます。次に二百二十二條の六は、転換請求がありましたときには直ちにこの転換効力を生ぜしめることといたしたのでございまするが、会社の便宜を考えまして、利益の配当につきましては、転換請求のときに属する営業年度終り又は前営業年度終り転換があつたものとして取扱うという自主的取扱を認める規定を準用した次第でございます。次に二百十二條の七は登記につきまして、この転換株式の場合に準ずる取扱をいたすべきものと考えまして、これを準用いたした次第でございます。次に二百八條規定を準用いたしておりますのは、いわゆる物上代位規定を準用いたしておるのでございまして、転換社債を対象といたしまする質権は、転換によつて発行されまする新株の上に当然効力を及ぼすのが適当と考えまして、この規定を準用いたしておる次第でございます。  次に転換変更について御説明申上げます。いわゆるこの特別決議に関する規定でございまするが、三百四十二條におきましては現行法通りで別段申上げることはございません。三百四十三條のこの特別決議方式につきまして改正法案現行法頭数主義廃めまして、ここに規定いたしておりまするように出席したる株主議決権の三分の二以上であつて、且つ発行済株式総数過半数に当る多数を以てこれをなすということを原則といたしております。現在における株式分散状況から考えますると出席した株主議決権の三分の二以上の多数を以て決議いたすことは当然といたしましても、この三分の二以上が発行済株式総数過半数に当るという要件はやや過重に過ぎるのではないかという批判もあるかと考えまするが、アメリカにおきまする立法の実勢を見ますると、大多数発行済株式総数の三分の二以上又は少くとも過半数決議要件といたしておりますることに鑑みますると、少くとも発行済株数過半数を必要とすることは、妥当な要件ではないかと考えまして、第一項の規定を設けた次第でございます。尤も株式分散状況不在株主と申しまするか、会社の経営に対しまして、比較的無関心で、総会の出席のことなどは殆んど念頭にない株主が相当多数いる現状を考えますると、第一項の決議のみでは、やや取扱上の不便を処理いたすことができないかと考えまして、第二項におきまして、仮決議方法を認めた次第でございます。仮決議は只今申しました発行済株式総数過半数に当る多数を得ないために、特別決議をなすことができなかつた場合には、出席した株主議決権の三分の二以上の多数で仮決議をして、そうして仮決議の場合に各株主に対してその趣旨の通知を発し、且つ無記名株式発行されております場合には、その趣旨公告して、更に仮決議の日から二ケ月内にその承認を求めるために、第二回の株主総会を招集いたすのでございます。第二回の株主総会におきまして、仮決議承認がありました場合には、その承認のときにおきまして、特別決議があつたものとみなすということにいたすのでございます。この承認決議は出席した株主議決権の三分の二以上の多数を以てこれをなすということにいたしているのでございます。尤も決議は仮の決議でございまして、会社目的たる事業変更をいたす場合にはこれを適用いたしませんことは現行法通りでございます。  次に三百四十五條特別決議要件改正に伴いまする改正点でございまして、別段申上げることはございません。  次に三百四十六條は数種の株式につきまして、株式併合等に関し格別の定めをなす場合、それによつて不利益を受ける種類株主総会決議が必要でございまするので、この規定を設けた次第でございます。  次に三百四十七條でございまするが、これはいわゆる授権資本範囲拡張することに関する規定でございます。授権資本範囲拡張いたしますることは無制限にこれを認めてもよろしいわけでありまするが、改正法法案の採りました授権資本制度は、設立に当りまして授権資本範囲の少くとも四分の一に当る株式発行設立要件といたしましたことに対応いたしまして、授権資本のこの枠を拡げまするためには、発行済株数の四倍を超えることを認めますることは権衡を失すると考えましてかような制限を設けた次第でございます。若し授権資本制度我が国におきまして十分完熟せられまして、取締役会権限濫用というふうなことも憂うる必要がなくなりまするならば、この第一項の規定は或いは必要でないかと考えます。  次にこの第二項でございまするが、これは原始定款におきまして新株引受権に関する規定を必ず定めるということに対応いたしました規定でございまして、授権資本の枠を拡張いたしまする総会決議におきましては、これと同時に必ず増加すべき株式につきまして、旧株主に対し新株引受権を與えるかどうか、或いはこれを與えましても制限するかどうか、或いはこれを場合によつて解除する場合があるかどうか、又会社縁故者、或いは従業員その他の第三者に対してこれを與うるかどうかという点につきまして、必ず附帯的に決議をなすことを要する旨を定めた次第でございます。新株引受権が旧株主にとりまして極めて重要な関係を持つことに鑑みましてかような規定を設けた次第でございます。従いまして第二項の決議を伴わない授権資本範囲拡張決議は当然無効となるものと考えます。従つてその無効の決議によつてなされた定款変更は無効となるわけでございます。この第二項の決議をいたしました場合に、これは定款に記載することを要するかどうかという点でございまするが、原始定款におきまして新株引受権取扱に関する事項定款記載事項といたしておりますることに鑑みまして、会社におきまして三百四十七條の二項の決議をいたしきた際に、これを定款に記載せられることが適当な措置であると考えまするが、法律的に申しまするならば、必ずしもこれは定款に記載することを必要としないと解釈してよろしいのではないかと考えます。  次に資本減少でございまするが、資本の額は定款記載事項でなくなりました関係上、資本減少をなすには必ずしも定款変更決議方式によることを必要としないわけでございまするが、株主に対すら利害関係の極めて重大な事柄であるのに鑑みまして、資本減少総会特別決議によるということにいたしたのでございます。  次に資本減少の手続につきましては現行法通りでございまして、殆んど注目すべき修正はございません。三百八十條におきまして、監査役制度改正いたしましたことに伴いまして、資本減少無効の訴え提起者から監査役を除いております。  それから三百八十條の第三項におきまして、合併無効の判決についての裁判所裁量権に関する規定現行法の百七條の準用を削除いたしております。これはかねて御説明申上げましたので、別段申上げることもございません。  次に会社整理関係でございまするが、整理申立権を有する株主資格を緩和いたしまして、「発行済株式総数ノ百分ノ三」以上に当る株式を有する株主といたしております。三百八十一條の三項を削りましたのも、権利濫用等理由とする場合は必ずしもこの規定を以ちませんでも、一般原則により、或いはこの法律の解釈によりまして、当然裁判所がなし得るのでございまするし、この規定裁判所自由裁量権を広く認めたかのごとき誤解を生ずる虞がありますので、これを削除いたしたのでございます。  次に三百八十二條から四百三條までにつきましては、監査役制度廃止、或いは裁判所法警察法の制定に伴う改正等でございまして、主として字句の整理で、別段申上げることもないかと考えます。  次に四百條四でございます。現行法によりますと、四百四條の第三号におきまして、営業全部の譲渡がありました際に、会社が当然解散をいたすということになるわけでございまするが、営業全部を譲渡いたしましても、会社は、その後は持株会社として、存続する場合もございまするし、或いは他の業務目的とするということもあり得まして、当然に解散させる必要はないものと考えまして、この三号の規定は削除いたしたわけでございます、尤も会社はこの場合に営業譲渡をいたしますると同時に、解散決議をいたすことは毫も差支ないわけでございます。  次に四百六條の二という規定新設いたしております。これはアメリカ法制度に倣いましたものでございまして、株主保護のため、少数株主会社解散判決請求し得ることを認めたものでございます。この解散判決請求いたしまする事由といたしましては、ここに掲げておりまするように、取締役会が分裂して、株主総会におきましても、取締役行為の差止め、或いけ解任の訴え、その外の措置を講じても、その効果がない、或いは講じて見たところで結局取締役会の分裂を打開できない、遂に業務の執行が実質的に停止してしまうというような状況にありまして、会社に対して回復すべからざる損害を生じ、或いは生ずる慮れがあるような場合、又は取締役会会社財産の管理又は処分が著しく失当であつて会社の存立を危殆ならしめるというような場合におきまして、他に会社を救済すべき方策がないという場合には、株主自衛手段といたしまして、裁判所に対しまして、解散判決請求することができるという道を開いたものでございます。で四百六條の二の第一項の一号二号に掲げてありますような事由がありましただけでは、まだ不十分でありまして、この事由が存在する上に更に止むを得ないという條件を必要といたすわけでございます。止むを得ない事由というものが如何なる事由であるかということは、結局裁判所の認定に俟つわけでございまするが、只今申しましたように一切の救済方法を講じても、その効果を収めることができない、或いは収める見込がないというふうな場合であることを必要とするものと考えます。第二項におきまして、百十二條の二項の規定を準用いたしておりまするが、これはこの訴え専属管轄に関する規定、言い換えれば本店の所在地を管轄する地方裁判所管轄といたした点、それから原告が敗訴いたしました際に、悪意である場合には、損害賠償責任を負うということにいたしまして、解散判決請求濫用に出づることを防止いたしたわけでございます。  次に四百八條の二におきましては、会社合併反対株主株式買收請求権を認めた規定でございまするが、これは営業譲渡の場合に同様の権利反対株主に認めておりまするので、すでにそのときに御説明申上げましたので省略いたします。  次に四百九條でございまするが、これは吸收合併の、合併契約書に関する規定でございます。授権資本と無額面株式を採用いたしました結果、合併契約書記載事項変更いたしたのでございます。第一号は別に申上げることもないかと思います。第二号は消滅会社株主に割当てるために存続会社合併に際して発行する新株内容を記載せしめることといたしたのでございます。第三号は、これも別段申し上げることもないかと思いまするが、合併のための新株発行によつて資本及び準備金の額を増加するときには、予めその額を記載するということにいたしたのでございます。これは資本構成取締役会で決定するという原則定めておりまする二百八十條の二に対する一つの例外となるわけでございます。  次に四百十條でございまするが、これは新設合併の場合の合併契約書記載事項に関する規定でございまして、特別に御説明申上げる必要もないかと考えます。  四百十二條の第二項でございまするが、これは合併登記によつて効力を生ずるものとされておりまするので、通常の新株発行の場合と異なりまして、報告総会のときには新株を引受けた者は、まだ株主になつておりませんが、その者にも議決権を與えることを適当と考えましてかような規定を設けた次第でございます。  次に四百十六條でございまするが、これは合併の無効を主張し得る株主訴えにつきまして、株主に不当な経済的な面からの制限と申しまするか、制約を除くことにいたしました点、合併無効の判決について裁判所裁量権に関する規定を削除いたした点の外はそれらの規定をそれぞれ準用いたしておりますような次第でございます。次に清算でございまするが、これも主として監査役制度改正に伴いまして、必要な所要の修正をいたしたわけでございます。特別清算につきましても同様でございまして、特に申上げることもないかと考えます。  四百五十二條検査命令につきまして、監査役の代りに会計監査役申請権者に加え、株主権利を保護いたしますために申請権を有する株主資格発行済株式総数の百分の三以上の株式を有する株主にいたしたわけでございます。その外は監査役制度改正に伴いまする改正でございまして、別段申上げる必要もないかと思います。  次に第五章を削除いたしてありますが、これは株式合資会社廃止することにいたしたわけでございます。これも総括的説明の際に申し上げましたように、株式合資会社は一種の沿革的な理由に基きました変態的会社でございまして、我が国におきましても、その数は極めて僅少でございます。実効性が乏しく、殊に今回株式会社法改正いたしまして、授権資本制度取締役会というふうな制度株式合資会社にも適用いたすということになりますと、その組織の二元的であるために、徒らに法律関係を複雑にいたしまして、尚更実効性を乏しくいたすこと、実効を少くいたすことに相成ろうかと考えますのでこれを廃止いたすことといたした次第でございます。尤もかねて申上げましたように、既存の株式合資会社につきましては、これを経過的措置といたしまして認めて参るつもりでございます。将来株式合資会社設立を認めないということにいたすためにこの規定を削除いたしたわけでございます。  次に外国会社でございます。現行法におきましては、日本支店を設けて活動する会社に対しましてのみ規定を設けまして、外国会社日本支店を設けたときは登記をなすことを要するものとし、その登記あるまでは第三者会社成立を否認し得るものとしておるのでございます。併しながら外国会社日本支店を設けないで継続的に取引をいたしますことに現にございますし、又将来十分これを予想し得るのでございまして、かかる外国会社の活動を規正することを必要と認めまして、四百七十九條の規定新設いたした次第でございます。即ち外国会社日本におきまして、取引を継続してなさんとする場合には、日本における代表者定めてその住所又はその他の場所に営業所を設くることを要することといたしたのでございます。代表者を置き且つ営業所を設けました場合には、登記公告をなすことを要するものといたしたのでございまして、この登記公告日本成立する同種のもの又は最もこれに類似するものの登記公告規定に従うということにいたしたのでございます。そうしまして外国会社代表者につきましては、七十八條規定を準用いたしまして、代表者外国会社営業に関する一切の裁判上又は裁判外行為をなす権限を有するということにいたしたのでございます。  次に四百八十一條でございますが、従来外国会社登記をいたしませんで国内におきまして取引その他の法律行為をいたしました場合には、第三者会社成立を否認し得るということになつておるのでございますが、この場合の法律関係は極めて不明確であることに鑑みまして四百八十一條の第一項におきまして登記をなすまでは日本においては取引を継続してなすことを得ないということいたしますと同時に、若しこの規定に違反いたしまして、登記なくして取引を継続的にいたしました場合には、四百九十八條の三によりまして、罰則規定の適用がありまするのみならず、四百八十一條の二項におきまして、取引をなしたるものは外国会社と連帯して取引に関する責任を負う、負担するということにいたしたのでございます。  次に四百八十四條でございまするが、これは外国会社に対する解散命令制度改正に対応いたしまして、外国会社営業所閉鎖命令に関する規定を整備いたした次第でございます。  次に四百八十五條の二でございまするが、これは外国会社日本におきまして法律に別段の定めのある場合を除きまして、日本成立する同種又は最もこれに類似する会社と同様の法律上の地位を有するものであるということを明らかにいたした次第でございます。  次に第七章の罰則でございます。現法の改正をいたすわけでございまするが、原則といたしまして、罰金及び過料の最高限を引上げると同時に、新らしい規定に伴いまする適当な罰則を整備いたした次第でございます。四百八十六條の規定は、監査役廃止会計監査役新設株式合資会社廃止、非訟事件としての取締役代行者選任制度廃止に伴いまする改正と、現行法罰金額を高めまして、現行法の一万円を五十万円といたしたわけでございます。  四百八十七條罰金最高限現行法の五千円から三十万円に高めたわけでございます。  四百八十九條は同様に罰金最高限を三十万円に引上げますと同時に、新株発行取締役会に委ねました結果、増資報告総会というものがなくなりましたのでそれに伴いまする改正をいたしたわけでございます。四百九十條以下四百九十七條まではそれぞれ罰金最高限を引上げたものでございます。それから四百九十四條には少数株主資格要件変更いたしましたことに対応いたしまして規定を整備いたした次第でございます。  次に四百九十八條でありますが、これも監査役制度改正並びに非訟事件としての取締役職務代行者選任制度及び株式合資会社廃止に伴いましで制裁を受くべきものが変更されましたことに対応する改正と、過料の最高限を引上げました点、それから現行法の百九十條二項において発起人が株式権利株の譲渡を禁止する規定に反しまして譲渡いたしました際の罰則規定を第二項に追加いたした次第であります。  次に四百九十八條の二でございますが、これは新設規定でございまして、従来は設立登記の懼怠に対しましては過料の制裁があるのみでございましたが、会社設立前に会社の名義で営業をいたしますことは実質的に申しますと設立登録税を潜脱するものでございますので新たにかような規定を設けた次第でございます。四百九十八條の三は同様の見地から外国会社に対しても登記を間接的に強制いたすためにかような制裁規定を設けた次第でございます。七百二條株式合資会社廃止に伴う改正でございまして別段申上げることもございません。次に最後に附則でございますが、施行の期日は政令で定めることにいたしましてその期日は昭和二十六年七月一日以後であつてはならないということを規定いたしたのでございますが、幸いこの法律案成立いたしまするならば、十分この法律の周知徹底の期間を置きますすと同時に、この法律自体につきましても十分検討を加える機会を與えまするためにはもう少し施行までの間に期間を置きますることが適当であるかと考えるのでございますが、新法の主眼といたしておりまする資金調達の便宜、或いは株式会社機構における民主化というものは現下の国内事情から考えますると相当緊急な必要があるかと考えまして、来年の七月一日までには本法律案を施行いたすことも止むを得ない必要と考えましてかような附則を設けた次第でございます。簡単でございまするがこれをもちまして一応の御説明終ります。
  4. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) ではこの程度で休憩いたします。午後は一時から再開いたします。    午後零時十一分休憩    —————・—————    午後一時三十三分開会
  5. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 休憩前に引続き会議を開きます。
  6. 松井道夫

    ○松井道夫君 二、三お尋ねしたいと存じますが、先ず三百四十三條のいわゆる特別決議の議決方法の問題でありますが、これはすでに公聴会、意見聴取会等において一般の意見を聴取いたしておりますので、問題の所在はすでに明らかになつていると思うのでありますが、尚念のためにお尋ね申上げたいと存ずるのであります。頭数というフアクターをとつたことは非常によろしい。これは申上げるまでもなく結構なことでありますが、「議決権ノ三分ノ二以上ニシテ且発行済株式総数過半数ニ当ル多数」という要件が少し厳に失するのではないか。計算いたして見ますと、出席を要する株主議決権が総議決権の七六・五%なくては決議ができないという結論に相成るのであります。これは非常に厳格な決議方法であると言わねばなりません。例えば国民の最も大切な基本的人権その他を扱つておりまする例えば国会にいたしましても、定足数は議決権の三分の一ということに相成つておるのであります。株式会社、勿論これは私の利益を処分する総会である。出て来ない者は、これは自分の私益を放棄、乃至は出た人に一任してあるのでありますから、私益だから特にこれだけの厳格なものを要するという理窟は出て参らないのであります。むしろ公益を取扱う国会などの方がこれはもつと厳格であるべきだという議論も正当に成立するだろうと思いますが、すでに招集の手続その他で、どういう議案がかかるかということも分つておる。それを出て来ないということは、これは要するに私益を放棄しておるものであるのであります。私益は放棄に最も親しいものであることは申すまでもない。社団法上の原理からいつてこれだけのものが是非必要なんだということも、これは社団法の一つの考え方であつて、その必要がないという議論も十分成立ち得るわけなんで、その点も何ら第一項の厳格性をどうしても確保しなければならんという理窟にはならんと思うのであります。殊に現在、いつも言われておりまするように、株式が非常に分散いたしておつて、その他諸種の理由株主の出席がおもわしくない。これはいわゆる企業所有、企業経営の分離という、殊に多数の株主を擁します株式会社に、その分離の傾向はこれは顕著なものがあつて、又それは経済の原則から言つて別にこれを非議すべき理由は少しもないのであります。いろいろな国家経済上の関係から総会出席の費用、或いは招集その他の費用、その費用が企業の経営の面から言つて、これは必ずしも過小視することを許さない日本経済の実体でもあるのであります。仮決議方法があるのでありまするが、この仮決議方法があるからといつて、この弊害は十分に救済することができないことは申すまでもないのであります。再び承認決議を求めるために又その総会招集の手続きを繰返さなければならない。かように見て参りますると、如何にもこの第一項の決議方法が厳格に失するという非難はあたつておるのではないかと存ぜられるのであります。いろいろ修正の一般の意見の一案によると、発行済株式総数過半数ということを定足数にいたす、そうしてその三分の二で議決いたすということにして貰いたいという意見が相当あるのでありまするが、そういたしますると、結局出席を要する株主議決権はこれは総議決権の五一%に相成りますので、前に述べました原案の七六・五%というのと対比いたしまして、これは非常に一つの救済に相成る案であると存ずるのであります。又取締役の選任決議でしたか、定款を以てするも定足数を三分の一以下にすることができないという規定があつたと思うのでありますが、定足数をそのくらいまで下げればこれは又いろいろ論議もありましようけれども、又救済と相成る程度となるわけであります。いずれにいたしましても何らかの方法を以て、この嚴格な規定を緩和する必要があると思うのであります。これは緑風会の話をいたしまして、性格も違うのでありますが、何でありまするが、緑風会の特別決議というのがあるのであります。これはやはり半数以上出席して、その三分の二で議決すると、これは重要決議特別決議というような意味に思われておつて、そういう決議があつた場合には、会員は成るべくその決議に同調いたすという、いわゆる統制決議というものであります。そういう重要のものでもその程度にしておるのでありまして、国会の除名の議決もやはり三分の一の定足数でその三分の二で議決するということであります。憲法改正決議がややこの特別決議に三百四十三條の決議とほぼ同じだと思うのでありますが、これは一般の意見に従つて緩和する意思はおありであるかどうか、何故にこの一項を以て強行しなければならないのか。その辺を更にお尋ねいたしたいと思います。
  7. 岡咲恕一

    政府委員岡咲恕一君) 三百四十三條に規定いたしておりまする特別決議要件を如何ように定めるかという問題は、一つのポリシイと申しますか、政策に係る問題でございまして、或いは松井委員の御提案のような決議要件も一つの方法かと考えます。政府か第一項のような、この一般の要望に比較いたしますと、相当過重した要件定めましたゆえんのものは先程も申上げましたように、主としてアメリカの立法例等を斟酌いたしたのでございまして、アメリカの立法例によりますると、発行済株数の三分の二以上、少くとも過半数の三分の二以上、又は過半数を有する株主の同意を要件といたしておりまするし、又イギリスにおきましても千九百四十八年の会社法によりますると、総株主の四分の三、又は資本の九五%以上の株主の同意を必要とするというふうにいたしまして、極めて要件は過重いたしておるのでございます。で改正法案によりますると、特別決議をいたしまする場合は、定款変更、或いは会社解散合併、契約者の承認といつたような、專ら、或いは資本減少といつたような、会社の組織の根本に関する事項につきまして決議いたす場合でございまして、成るべく大多数の株主の同意を必要とすることが適当ではないかと考えた次第でございます。お話のように株式が広く国民一般の間に分散いたしました現状、殊にその株主の大多数は会社の経営に対しまして多く無関心、いわゆる不在株主であるというふうな状況におきましては、やや行過ぎの規定ではないかとも考えまするが、又飜つて考えまするのに。若しこの要件を緩和いたしますると、比較的多数の株式を持つておりまする者が会社を支配し得るという状態にも相或るわけでございます。株式分散いたしまする場合か激しくなりますればなりまする程、比較的多数の株式、例えば三〇%、或いは場合によりましては二五%の株式を保有いたしております者は、会社に対して殆んど絶対的の支配権を握り得るようなふうな状況にもなりまするので、この比較的多数の株主の支配を排除いたしまする意味におきましても、特別決議におきましては成るべく多数の株主が、株主と申しまするか、株式数を所有する株主が参加いたしまして、そうしてその問題を検討いたすということが必要と考えまして、発行済株数の少くとも過半数の者の同意を必要とするということは如何にも、適当な規定であろうと、かように考えた次第でございます。尤も先程お述べになりましたように、この規定が現状から見て重きに失する、会社特別決議をいたしまするためには、非常な費用と手数をかけるということは事実のようでございまして、一般の要望を考えますると只今お述べになりましたように過半数株式を有する株主の出席を定足数といたしまして、そうしてその三分の二以上の賛成によつて特別決議を行う、或いは発行済株数の三分の二以上に当る株式を有する株主の出席を定足数といたしまして、出席した株主過半数決議によるというふうな方法があり得るかと考えまするが、若し当委員会におかれまして愼重御検討の上、只今申しましたような案が適当とお考えになりまして御修正になりますることにつきましては、私共としては別段異議を差挟む次第ではございません。
  8. 松井道夫

    ○松井道夫君 次に三百四十七條についてお尋ねしたいと思うのでありますが、この第一項の規定は、設立の場合に百六十六條の第二項によりまして、「会社設立ニ際シテ発行スル株式総数会社発行スル株式総数ノ四分ノ一ヲ下ルコトヲ得ズ」という規定があります。これと歩調を合せたのであるという趣旨の御説明だと承つたのでありまするが、更に飜つて考えて見ますると、終戰後非常なインフレでありまして、増資に次ぐに増資という状況が現出されたと承知いたしておるのでありまするが、まだ当時或る制限の下にありました関係上、十九万何がしといつたような会社も相当残つているかに存じているのであります。その会社が例えば百万円金額拂込みであつたといたしましても、仮に百万円、現在百万円と申しましてもそう大きな会社であると申すことができないことは申すまでもないことなんでありまするが百万円に実質上の増資をいたすという必要に迫られることは考え得られることなのであります。そのときにこの定款変更いたしまして株式総数を殖やすという場合に、発行済株式総数の四倍を超えて発行し得るということになつておりますと、非常な不便を感ずるのじやないかと存ずるのであります。現在のそういう会社がこの法律施行後に、今のように株式総数を殖やすという場合に、何らかの経過的の規定を設けると仮定いたしましても、併し将来やはりこのインフレというようなものが不幸にして日本を襲うことがないとも限らない。そういうことを考えて見ますると、この規定は一考の余地があるのじやないかと存ずるのであります。定款変更いたしまして株式総数を殖やす。その場合にはその殖やした数の四分の一以上はその際に発行しなければならないといつたような規定にいたしますれば、そういう心配がなくなるし、又第百六十六條の二項の趣旨とも正しくマッチすると思うのであります。この三百四十七條の第一項に書いて、今申しましたような方法を採用することができないのかどうか、その点お尋ねいたします。
  9. 岡咲恕一

    政府委員岡咲恕一君) 松井委員の御提案のように、この会社授権資本の枠を拡張いたします限度につきましては、別段法律上の制限を設けないと但し拡張いたしました場合には当然その四分の一に当る株式発行しなければならないというふうな強制的な規定を設けまするならば、或いは実質的にこの法案と差別はないわけだと考えまするが、株式発行を強制いたしますことは会社自治の原則から申しましてもやや行過ぎかと考えまするので適当でないと考えます。で三百四十七條の第一項の規定を全然削除してしまうと、言い換えれば一旦会社成立いたしました上は会社の自治によりまして会社発行する株式総数を如何ようにも拡張し得るという、この制度にいたすことも確かに一つの考え方かと思います。殊に一昨年来行われました我が国における増資の実情を考えますると、四倍の枠というものはやや狭きに過ぎるのではないか。もつとこの枠を拡げないというと折角授権資本制度を採用しながら運用上差支を生ずるという場合もあり得るということは十分考えられるのでございまするが、松井委員の御指摘のように百六十六條におきまして、会社設立する場合には、授権資本の四分の一に当る株式は必ず発行しなければならないというこの制限を設けておるのでございます。で、この百六十六條の只今申しました制限規定のあることから、論理的に当然授権資本拡張いたしまする場合に、この四倍以上に拡張いたすことが許されないという解釈が可能だということを主張される学者もおられたのでございますが、一応取締役会新株発行権限を與えましても、会社の自治によつてこの権限を如何ようにも拡張し得るということになりますと、多少弊害を生ずる場合があるのではないか。或いはは最初は発行済株式総数が僅々一万株程度の小さい会社を作つて置きながら、直ちにそれを百万株も発行し得るような大会社に切換えるというようなことをいたしまして、国民が授権資本に馴れておらない状態を利用いたしまして、詐欺的な行為をする会社も絶無とは保し難いわけでございますので、又会社理事者の権限も或る程度法律上制約いたすことが、その権限の行使を適正ならしめる面から考えましても適当と考えまして、一応この授権資本の枠を四倍ということに定めることが適当であると考えます。これは設立の際においてもさよういたすことが適当であるならば、設立後の授権資本の枠の拡張の際もこの比率を保つことが妥当である。かように考えまして、或いは極端な場合には多少会社に不便をお與えすることがあるかと思いまするが、一応この程度の制限が妥当と考えて、かような規定を設けた次第でございます。
  10. 松井道夫

    ○松井道夫君 設立の場合に会社発行する株式総数の四分の一はまあ発行しなければならないということにいたしました理由としましては、私御説明を聞き漏したかも知れませんが、或程度の会社の実質の、物的のもの、資産を充実するという趣旨にあつたのではなかつたかと考えるのでありますが、その趣旨から言いますと、会社授権資本という枠があるに拘わらず、更にその枠を越えて、定款変更いたしまして、株式総数を殖すという場合には、いろいろな必要に迫られるという理由よるものではありましようが、併しながらこれは経済上の必要でそれを必ずしも抑えるということは適当でない場合が多いのではないかと思うのであります。ただそのようにして株式数をうんと殖やして、併しながら現実には株式も何も発行しないというようなことでは、この設立の場合におきまするように、その発行し得る総数に比べて一般社会に與える影響、印象その他からやはり面白くない場合で出て来るのではないかということを恐れられたんじやないかと存ぜられますが、そういう場合にはやはり殖やした株数の四分の一は必ず現実に株式発行するということにいたしますれば、これはその弊害が除かれる。そういう手続を取りまするならば、この経済上の必要に迫られまして発行する株式総数を幾ら増したところが一向差支ない。現に設立の場合にには、これは一千万円の会社にしようが、或いは一億円の会社にしようが一向制限がないのでありまして、成立後に株式総数を殖やす場合にのみこういう制限があるということはどうも納得が行かないのであります。やはり物的の充実を図るという要請さえ満たれるならば、設立の場合と同じように幾ら殖やしても一向差支ないではないか、私はさよう感ずるのであります。そうしてそういう株式発行を強制するのは面白くないということでありまするが、その半面総数を殖やすことを制限するということも一つの会社経営に対する干渉であります。又現に設立の場合には四分の一を下ることを得ずというあれに制限してあるのでありまするから、何らそのことが私の提案の反対の強い理由になるとも考えられないので、どうも只今の御答弁ではよく分りませんので、更に納得の行くように説明を願いたい。
  11. 岡咲恕一

    政府委員岡咲恕一君) 松井委員の御意見のようにいたすのも一つの方法かと考えまするが、結局発行済株式総数会社発行すべき株式総数との比率を一対四にするということは、松井委員もお認めでございまして、結局そうなりますると便宜の問題になるのではないかと思います。会社が四倍を超えて授権資本の枠を拡張するということをいたしますると、当然少くともその四分の一に当る株式発行しなければならない義務を会社が負うということになるわけでございまして、或いは場合によりましては一回の定款変更で賄い得るという便宜があろうかと思いますが、一体その新株発行はいつまでにそれをしなければならないのか。或いはその義務の範囲といつたようなものも相当むずかしくなりますので、一応発行済株式総数というものを基準といたしまして、四倍を超えては増加できない、更にそれ以上の株式発行を必要とすれば重ねて定款変更をするということによつて賄い得るわけでございますから、この会社に特別な義務を設定するような規定を設けるよりも、三百四十七條の一項のような規定で十分会社の需要を満たし得るのではないかと考えておる次第でございます。
  12. 松井道夫

    ○松井道夫君 次に三百四十七條の第二項でありまするが、この規定定款におきまする新株の引受権の規定と歩調を合したのであろうと思うので、その趣旨自体はよく分るのでありますが、定款に関する規定と文言の立て方が若干違つておるのでありまするが、何かそれに特別の意味があるのかどうか。  それから設立の際の新株の引受権に関する規定定款に書く。ところが設立後の株式総数を殖やすという決議の場合にはこれを定款に書かんでよろしいのだという先程の御説明であつたと思うのでありまするが、どうせ発行する株式総数を増加する決議というのは、定款変更決議であると存ぜられますから、この際やはり新株引受に関する事項定款に書くということにいたしましても、一向手続を二にし三にするという不便もないのではないかと考えられるのであります。これを定款記載事項にするということにしたら如何であるかと考えられるのでありますが、その点お伺いしたいと思います。
  13. 岡咲恕一

    政府委員岡咲恕一君) 三百四十七條の第二項の趣旨といたしますところは百六十六條の第一項の第五号の規定趣旨と同様でございまして、表現の文言は多少異なつておりまするが、趣旨は全然同様でございます。  それから授権資本の枠を拡張いたしますると、これは定款記載事項でありまするが故に当然定款変更を伴う。而も新株引受権に関する定めは、その授権資本の枠を拡張いたしまする決議におきまして同時に決定いたさなければならないということでありまするが故にこれも又定款変更として定款に掲げるようにいたすことが、私は立法措置としては一番極めて妥当だと考えております。で私共はさように考えたのでありまするが、いろいろな関係がございまして、その旨の規定をいたすことができなかつたのでございます。実際上の運用におきましては、たとえその規定がございませんでも、必ず定款変更をされることを強く希望いたす次第でございます。
  14. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) ちよつと速記中止。    〔速記中止〕
  15. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 速記始めて。
  16. 松井道夫

    ○松井道夫君 次に三百七十五條関係についてお尋ね申したいと思います。この資本減少の場合に、現行法では恐らく株式券面額株式額面額を減らすなり、或いは株式の消却をいたすというようなことに相成つておると思うのでございますが、これを無額面株式が出ておりまする場合に、その資本減少方法といたしまして、單に資本の額を減らすということを決議いたし、登記いたすということで、従来発行されておる無額面株自身をそのまま利用いたすということが可能であるかどうか、その点。
  17. 岡咲恕一

    政府委員岡咲恕一君) 資本減少に関連いたしまして、例えば額面株につきまして券面額減少する。或いは株式を消却いたしまして、発行済株式総数を減らすというふうなことになりますると、これは当然定款変更を伴うのでありますから、その方の手続をいたさなければならないわけでございまするが、資本減少自体だけを考えますと、これは定款とは関係がございませんで、減少いたすことができるわけでございます。尤もこれは多くの場合無額面株の発行されておる場合に行われる場合が多いかと思いますが、必ずしも無額面株の発行とは関連いたしておらないのでございます。と申しまするのは、たびたび申上げましたように現行法におきましては、百九十九條という規定がございまして、「株式会社資本ハ之ヲ株式ニ分ツコトヲ要ス」、言い換えれば、株金額総額資本を成す、株式資本の一單位であるという意味を持つておりまして、資本株式との間に密接不可分の関連を持つておる次第でございます。ところが新法におきましては、説明が多少簡略で恐縮に存じておる次第でございまするが、二百八十四條の二におきましては、一応従来の資本構成原則を踏襲いたしまして、額面株につきましては、株金総額というものが資本を成す。無額面株については、発行価額総額資本を成すというふうにいたしまして、株式資本との間に一応の関連を認めたのではございまするが、第二項におきまして、拂込余剰金という制度を認め、更に二百九十三條の三項におきまして、準備金から資本への組入れを認めましたり、或いは利益による償還株式を認めまして、株式は償還されましても、資本額が減少しないというふうな取扱をいたすことにいたしましたりして、現行改正商法の運用によりましては、資本額というものと株式との間の関連が切断されたということは申される次第でございます。そういたしますると、たとえ額面株式だけを発行いたしておりまする場合でも、資本減少するということをやることも差支ないことになるのでございまして、必ずしも無額面株式発行の場合でなければ三百七十五條は適用されないというふうに限定すべきものではないが、あらゆる場合におきまして会社がむしろ資本減少を適当といたしますれば、発行済株数には全然手を加えませんで、資本減少をいたすということを認めた次第でございます。で三百七十五條の他面申しますと、現行法におけるような資本株式との密接な関係を切断いたす一つの例外的規定ということに相成るわけでございます。
  18. 松井道夫

    ○松井道夫君 次に大分飛びますが、罰則関係してお尋ね申したいと思います。いわゆる会社荒しに関する四百九十四條でございますが、この会社荒しにつきましては過般来の公聽会、意見聽取会におきまして非常に実際界では心配しておられることであります。ところが他面四百九十四條が真正面に適用された例が殆んどないということで、その間矛盾を感ずるのでありまするが、併し、折角会社荒しを何とか抑えたいというのでこういう規定が作られておりまする以上は、この規定についても、やはり検討の値打があると存ずるのであります。一般の実際界の今度の改正案について心配しておられた事柄の中には、今度株主が、新たに個々の株主といたしまして、いろいろの請求権が與えられておる。それは会社荒しの好餌になるだけだという点があつたと思うのでありまして、この四百九十四條の一項の三号ですが、この中で結構だと思うのですが、例えば二百四十五條に二の反対株主株式買取請求権、これが合併の場合にもあつたと存ずるのであります。それから、二百七十二條株主の差止請求権、更に二百八十條の十の発行の差止請求権等の権利行使についても、この罰則を適用すると、まあ三号に入れて規定すれば差支ないかと思うのでありますが、ところが原案には、その考慮がされておらんように思うのですが、その理由を伺いたいと思います。
  19. 岡咲恕一

    政府委員岡咲恕一君) 只今お尋ねになりました買取請求権、或いは取締役権限踰越及び定款違反の行為に対する差止請求、或いは株式の不当発行に対する差止といつたような請求はこれは結局におきましては、訴えに結びつくのでございまして、裁判外におきましてさような請求をいたしますることは、もとより差支ないのでございまするし、或いはその請求に際しまして、不正の請託をすると、或いは財産の利益を收受いたしますこと自体は、直ちにこの四百九十四條の刑罰が適用されるということにはならないかと思いまするが、若し会社側が不正な請託を拒絶されますると、結局訴えに相成るわけでございまして、若し会社側が自分の要求に応じなければ、或いは訴えを起すということになりますと、四百九十四條の第一項の第二号に該当いたすわけでございまするから、結局事実認定の問題になろうかと思いますが、会社は不正な請託に対して毅然としてこれを拒絶すると、そういたしますると、それ以上進んで不正な株主会社いじめをやろうということになりますと、結局この訴えの提起ということに相成るわけでありますから、四百九十四條の第一項の第二号を適用されて、処罰されることに相成るのではないかと思います。  問題は、結局この訴訟外における問題でございますが、結局もれはこの訴えに結びつくとい関係におきまして、私は只今御指摘のこの二号によつて処罰を受ける場合があり得るのではないかと考えまするので、相当不正な株主に対しては制裁が加えられることになるであろうと考えるのでございます。
  20. 松井道夫

    ○松井道夫君 おつしやる通り、今私の言いましたような、例えば二百四十五條の二、二百七十二條、二百八十條の十、四百八條の二の合併の場合ではないかと思うのですが、こういうものは結局は訴えになるのだと、それで第二号の第四章に定め訴えの提起ということの一つの前提的の権利と考えられる、それ故に特にこれを掲げる必要がないのだという趣旨に伺つたのでありまするが、成る程或いはそうかも知れないのであります。併しながら、その間別個の規定を置いても必ずしも無用でないと考えられますので、特に三号に今のような規定を入れることについては、全然反対であられるのか、或いは全然無意味だと考えられるのか、或いは多少の実益が予想できると考えられるか、その辺を承わりたいと思います。
  21. 岡咲恕一

    政府委員岡咲恕一君) 松井委員の御提案のように、三号に株主権利の行使の場合を入れますことは、或いは適当ではないかと考えます。三号に入れるのがよろしいのか、或いは場合によりましては二号を修正いたしまして、広くそういう場合を救い得るようにいたすのがよろしいのか、多少立案上検討を要すべき点があるかと思いまするが、解釈上疑義を生ずる余地かないように、適当に修正いたしますことについては、賛意を表するものでございます。
  22. 松井道夫

    ○松井道夫君 次に、同じ罰則関係でございまするが、四百九十八條の十号を削除せられました趣旨は、いつぞやの委員会で説明せられて、はつきりいたしておるのでありまするが、ところで旧法、即ち現行法の十号によりますると、これは新株発行、即ち増資の関係に相成ると思うのでありますが、取締役もこの中の入つているように存ずるのでありまするが、尤もその点は今條文がございませんので、はつきりいたしませんけれども、さように承知いたしておるのであります。ところが、本條の第二項によりますると、発起人の場合に限られている。これが新らしい制度におきまして、新株発行する、それに関連いたしまして、取締役が自分で新株を割当て或いは引受ける、その関連におきましてやはり不正を働く余地があるのではないかと私は想像するのであります。取締役を入れることについてはどう考えておられますか。
  23. 岡咲恕一

    政府委員岡咲恕一君) 松井委員御指摘のように、三百七十條の第二項におきまして、現行法の百九十條の第二項の規定取締役及び監査役に準用いたしておるのでございます。言い換えれば増資による新株発行の際に、取締役及び監査役権利株の讓渡をすることを禁止いたしておりまして、この禁止規定に違反しました場合には、只今御指摘のように、四百九十八條の第十号の規定によりまして制裁を受けるということに相成つておるのでございまするが、改正法安によりますると、四百九十八條に新らしくこの第二項を起しまして、発起人が権利株を讓渡した場合に、従前通り制裁を受けることにいたしたのでございまするが、取締役或いは会計監査役権利讓渡につきましては、さような制裁を認めなかつた次第でございます。これは多少論議のございました点でございまして、或いは現行法通り認めることも一つの行き方でございまするが、発起人に権利株の讓渡を禁止いたしまして、殊にその禁止に違反しました場合に制裁を科しておりますのは、会社設立における会社の基礎を強固ならしめる、設立の際における発起人の責任を特に重かしめて、従前よく見受けましたように、発起人が全く私益を図るために、私利を営むために、会社設立して間もなく会社を投げ出すというふうなことを防ぐという趣旨が出るのでございますが、すでに会社設立いたしました曉に、改正法案によりまして、この新株発行いたすということになりますと、これは従前の増資とは多少趣を見にいたしておりまするし、その場合に取締役に特に権利株讓渡を禁止しなければならないという程の必要はないのではないか。若しもさようなことによりまして、取締役が不当な利益を図るというふうなことがありますると、取締役一般の責任によりまして、損害の賠償を求める、或いは責任追及をする、或いは取締役解任の訴えを起すというふうなこともなし得るわけでございまするし、権利株は現在におきましても広く殆んど慣習に讓渡されておるような関係にありまするし、その権利株が取締役権利株なりや、或いは一般引受人の権利株なりや不明な場合もございまするし、むしろこの際取締役に対してはさような制限を置かないでよろしいのではないかというふうな意見が支配的になりまして、取締役に対しましては発起人同様の責任を認めなかつた次第でございます。
  24. 松井道夫

    ○松井道夫君 これは立法技術上の問題をちよつとお尋ねしたいのでありますが、従前の規定、即ち四百九十八條規定では、今の権利株の場合を十号としてうまく包攝いたしておるのでありまするが、本改正案におきましては、第二項ということになつているのであります。それが只今特に論議の末、責任を認めなかつたということ、取締役関係でございまするが、その関係を除いたために、うまく十号の中に入れることができなかつたのか、これはどういう立法技術上の関係で第二項という、特に一項を設けなければならないのか、その点を伺いたい。
  25. 岡咲恕一

    政府委員岡咲恕一君) これは立法技術の問題ですが、問題の起りは百九十條の二項を削除いたしました関係上、現行法の四百九十八條の十号のように條文を援用いたすことが許されなくなつたわけでございまして、この條文を落してしまいますると、四百九十八條の本文にありまするそれぞれの人人が、すべてこの権利株の讓渡ができないというふうなことになりまして、これは不当な結果に相成るわけでございますから、むしろ第二項として発起人の権利株の讓渡だけを掲げるというふうにいたしたわけでございます。
  26. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) それではこれで散会いたすことにいたします。明日は午後一時から開会いたします。    午後二時五十一分散会  出席者は左の通り。    委員長     伊藤  修君    理事            岡部  常君            宮城タマヨ君    委員            大野 幸一君            石原幹市郎君            深川タマヱ君            松井 道夫君   政府委員    検     事    (法制意見第一    局長)     岡咲 恕一君    検     事    (法制意見第四    局長)     野木 新一君