運営者
Bitlet
姉妹サービス
kokalog - 国会
yonalog - 47都道府県議会
nisalog - 東京23区議会
serelog - 政令指定都市議会
hokkaidolog - 北海道内市区町村議会
aomorilog - 青森県内市区町村議会
iwatelog - 岩手県内市区町村議会
miyagilog - 宮城県内市区町村議会
akitalog - 秋田県内市区町村議会
yamagatalog - 山形県内市区町村議会
fukushimalog - 福島県内市区町村議会
ibarakilog - 茨城県内市区町村議会
tochigilog - 栃木県内市区町村議会
gunmalog - 群馬県内市区町村議会
saitamalog - 埼玉県内市区町村議会
chibalog - 千葉県内市区町村議会
tokyolog - 東京都内市区町村議会
kanagawalog - 神奈川県内市区町村議会
nigatalog - 新潟県内市区町村議会
toyamalog - 富山県内市区町村議会
ishikawalog - 石川県内市区町村議会
fukuilog - 福井県内市区町村議会
yamanashilog - 山梨県内市区町村議会
naganolog - 長野県内市区町村議会
gifulog - 岐阜県内市区町村議会
sizuokalog - 静岡県内市区町村議会
aichilog - 愛知県内市区町村議会
mielog - 三重県内市区町村議会
shigalog - 滋賀県内市区町村議会
kyotolog - 京都府内市区町村議会
osakalog - 大阪府内市区町村議会
hyogolog - 兵庫県内市区町村議会
naralog - 奈良県内市区町村議会
wakayamalog - 和歌山県内市区町村議会
tottorilog - 鳥取県内市区町村議会
shimanelog - 島根県内市区町村議会
okayamalog - 岡山県内市区町村議会
hiroshimalog - 広島県内市区町村議会
yamaguchilog - 山口県内市区町村議会
tokushimalog - 徳島県内市区町村議会
kagawalog - 香川県内市区町村議会
ehimelog - 愛媛県内市区町村議会
kochilog - 高知県内市区町村議会
fukuokalog - 福岡県内市区町村議会
sagalog - 佐賀県内市区町村議会
nagasakilog - 長崎県内市区町村議会
kumamotolog - 熊本県内市区町村議会
oitalog - 大分県内市区町村議会
miyazakilog - 宮崎県内市区町村議会
kagoshimalog - 鹿児島県内市区町村議会
okinawalog - 沖縄県内市区町村議会
使い方
FAQ
このサイトについて
|
login
×
kokalog - 国会議事録検索
1950-04-20 第7回国会 参議院 法務委員会 第28号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十五年四月二十日(木曜日) 午前十一時八分開会
—————————————
委員
の異動 四月十九日
委員鈴木安孝
君辞任につ き、その補欠として
石原幹市郎
君を議 長において指名した。
—————————————
本日の会議に付した事件 ○
商法
の一部を
改正
する
法律案
(内閣 送付)
—————————————
伊藤修
1
○
委員
長(
伊藤修
君) それではこれより
法務委員会
を開きます。
商法
の一部を
改正
する
法律案
を議題に供します。前回に引続きまして
逐條審議
に入ります。 本日は第五節
社債
、第一次総則、二百九十六條よりご
説明
をお願いいたします。
岡咲恕一
2
○
政府委員
(
岡咲恕
一君) この五節のおきまする重要な
改正点
は、第一点といたしまして
社債
の
発行権者
及び
発行限度
を改めまして、
社債発行
を容易にいたしましたということであります。第二点は
社債名義書換
の
代理人
を置くということにいたしました点、第三点は
転換社債
の
規定
を合理的に改めたという点でございます。 で、先ず二百九十六條を御
説明
いたします。
現行法
によりますと、
社債
は
株主総会
の
決議
によりまして
発行
いたすということにな
つて
おりますのを改めまして、
会社
は
取締役会
の
決議
を以て
社債
を
募集
することができるということにいたしたのでございます。これはかねがね御
説明
申上げましたように、
自己資本
の調達が
新株
の
発行
によりまして行われ、その
新株
の
発行
を
取締会
の
権限
といたしましたことに対応いたしまして、
取締役会
の
決議
によ
つて
募集
することができるということに改めたのでございます。 次に、第二百九十
七條
におきましては、
社債
の
発行限度
を改めまして、
現行法
にありまするように、
社債
の
総額
は
資本
の
総額
を超えることを得ないという点を改めまして、
社債
は
資本
及び
準備金
の
総額
を超えてこれを
募集
することを得ないということにいたしたのでございます。
現行法
によりますと、
社債発行
の
決議
の当時におきまして、
社債
の
総額
は
資本
の
総額
を超えることができないと解釈されるのでございまして、
社債発行
の
限度
がやや狭きに失しまするのみならず、
社債発行
の
決議
当時を標準といたしますると、
オープン・エンド・モーゲーヂ
を事実上不可能にいたすという点もありまするので、これを容易にいたしたわけでございます。
資本
の外に
準備金
を加えましたのは、
準備金
は、申すまでもなく、
資本準備金
及び
利益準備金
を意味するものでありまして、
任意積立金
はもとより入りません。
利益準備金
及び
資本準備金
は
資本
に準ずべき
金額
でございまするので、
社債募集
の
限度
を、
準備金
を含めた
金額
、
資本金
及び
準備金
の
総額
といたすことを適当と考えたわけでございます。又
発行
の
決議
の時に、必ずしも
資本金
及び
準備金
の
総額
の
範囲
内にございませんものでの、現実に
募集
をいたしまする際に
総額
を超えていなければよろしいということにいたしますると、先程申しました
オープン・エンド・モーゲーヂ
を可能にいたすことができるのでございまして、適当な
改正
かと考える次第でございます。第二項は
現行法
にありまする
原則
を、そのまま踏襲いたした次第でございまして、別段申上げる必要もないかと考えます。それからその以下の
規定
でございまするが、これは大して重要でないので省略してもよろしいかと思いまするが、三百
一條
の第二項の十号を
改正
いたしまして、
現行法
に
会社
の
資本
の
総額
とありまするのを、
会社
の
資本
及び
準備金
の
総額
といたしましたのは、
社債発行限度
の
拡張
に伴う当然の
改正
でございます。又十六号におきまして、
名義書換代理人
及び
登録機関
の
制度
を認めたのでございまするが、これは後程申上げることにいたしまして、そのような
制度
を採用いたしました場合には、これを
社債
の
申込証
に記載させることは当然のことと考えまして、この
規定
を設けた次第でございます。 三百
五條
の
改正
も、
社債
につきまして
名義書換代理人
を採用いたしましたので、このように
改正
いたした次第でございます。
名義書換代理人
の
制度
を採用いたしました
規定
は、三百
七條
の第二項でございます。
株式
につきまして、
株式
の流通のために、
名義書換代理人
を設けたのに対応いたしまして、
社債
につきましても、同一の
制度
を採用した次第でございます。即ち
社債原簿
に
副本
を認めまして、
名義書換代理人
に、
営業者
に
社債原簿
またはその
副本
を備えて置くことを認めることといたしたのでありまして、
副本
に
名義書換
をいたしました場合には、
原簿
に
名義書換
をいたしたと同様な
効力
を生ずるということにいたしたのでございます。三百
七條
の第二項がその
趣旨
の
規定
でございます。 三百二十六條の二項を削除いたしております。これはかねがね申上げましたように、
裁判所
の
裁量権
を余りに広く認めるという
誤解
を生ずる虞れがありまするので、かような
裁量
をなし得るという
規定
を削除いたした次第でございます。 それから三百三十
七條
の二項を削除いたしておりまするが、これは
少数社債権者保護
のために、
社債権者集会
の
召集費用
を、
株主総会
の場合における
取扱
との均衡を考えまして、常に
会社
の負担とするということにいたした次第でございます。その外の多少の
改正
につきましては特にご
説明
を申上げることもないかと考えます。 次に
転換社債
のことにつきまして簡單にご
説明
申上げます。
現行法
によりますると、
社債
の
募集
は
株主総会
の
特別決議事項
でありまするが、
転換社債
を
発行
いたしまする際には、
株主総会
におきまして、同時に
転換
の
限度
において
資本
を増加するという
決議
を必要といたすのでございまするが、
改正法案
におきましては、
社債
の
発行
が
取締役会
の
権限
となりましたことに関連いたしまして、三百四十
一條
の二の第二項の
規定
を設けまして、
取締役会
が
転換社債
を
募集
するという
決議
をいたしまするためには、
定款
又は
総会
の
特剔抉議
を以ちまして、
転換
の
條件
、
転換
によ
つて
発行
すべき
株式
の
内容
及び
転換
を
請求
し得べき
期間
を
定め
ることを要するということにいたしたのでございます。で
授権資本
制度
を採用いたしました結果、
転換
によ
つて株式
を
発行
いたしますとは
新株
の
発行
となるのでございまして、
従つて転換社債
の
発行
は
新株引受権
の
付與
に準ずるものと考えるのでございます。
従つて転換
による
株式
の
発行
が、
新株発行
となることが
転換
の
請求
に応じて
発行
すべき
株式
の
額面
及び無
額面
の別、
種類
及び数は、当然
授権資本
の枠内に予め留保さられておることが必要となるわけでございます。これが三百四十
一條
の二の第三項のこの
規定
の設けられた
趣旨
でございます。 次に三百四十
一條
の三、三百四十
一條
の四は
現行法
の三百六十六條、三百六十
七條
に対応いたす
規定
でございまして、別段申上げることはないかと思います。次に三百四十
一條
の五は
転換株式
の
規定
を概ね準用いたしたものでございまして、二百二十
二條
の三は
券面額
以下の
発行禁止
の
趣旨
から考えまして、
転換社債
の
発行価額
を
転換
によ
つて
発行
する
株式
の
発行価額
といたした次第でございます。次に二百二十
二條
の五は、いわゆる
株主名簿
の
閉鎖期間
中に
転換
の
請求
をなすことも
転換株式
の場合と同様といたすべきものと考えまして、これを準用いたしたわけでございます。次に二百二十
二條
の六は、
転換
の
請求
がありましたときには直ちにこの
転換
の
効力
を生ぜしめることといたしたのでございまするが、
会社
の便宜を考えまして、
利益
の配当につきましては、
転換
の
請求
のときに属する
営業年度
の
終り
又は前
営業年度
の
終り
に
転換
があつたものとして
取扱
うという
自主的取扱
を認める
規定
を準用した次第でございます。次に二百十
二條
の七は
登記
につきまして、この
転換株式
の場合に準ずる
取扱
をいたすべきものと考えまして、これを準用いたした次第でございます。次に二百
八條
の
規定
を準用いたしておりますのは、いわゆる
物上代位
の
規定
を準用いたしておるのでございまして、
転換社債
を対象といたしまする
質権
は、
転換
によ
つて
発行
されまする
新株
の上に当然
効力
を及ぼすのが適当と考えまして、この
規定
を準用いたしておる次第でございます。 次に
転換
の
変更
について御
説明
申上げます。いわゆるこの
特別決議
に関する
規定
でございまするが、三百四十
二條
におきましては
現行法通り
で別段申上げることはございません。三百四十三條のこの
特別決議
の
方式
につきまして
改正法案
は
現行法
の
頭数主義
を
廃め
まして、ここに
規定
いたしておりまするように出席したる
株主
の
議決権
の三分の二以上であ
つて
、且つ
発行済株式
の
総数
の
過半数
に当る多数を以てこれをなすということを
原則
といたしております。現在における
株式
の
分散
の
状況
から考えますると出席した
株主
の
議決権
の三分の二以上の多数を以て
決議
いたすことは当然といたしましても、この三分の二以上が
発行済株式
の
総数
の
過半数
に当るという
要件
はやや過重に過ぎるのではないかという批判もあるかと考えまするが、
アメリカ
におきまする立法の実勢を見ますると、大多数
発行済株式
の
総数
の三分の二以上又は少くとも
過半数
を
決議
の
要件
といたしておりますることに鑑みますると、少くとも
発行済
総
株数
の
過半数
を必要とすることは、妥当な
要件
ではないかと考えまして、第一項の
規定
を設けた次第でございます。尤も
株式分散
の
状況
と
不在株主
と申しまするか、
会社
の経営に対しまして、比較的無関心で、
総会
の出席のことなどは殆んど念頭にない
株主
が相当多数いる現状を考えますると、第一項の
決議
のみでは、やや
取扱
上の不便を処理いたすことができないかと考えまして、第二項におきまして、仮
決議
の
方法
を認めた次第でございます。仮
決議
は只今申しました
発行済株式
の
総数
の
過半数
に当る多数を得ないために、
特別決議
をなすことができなかつた場合には、出席した
株主
の
議決権
の三分の二以上の多数で仮
決議
をして、そうして仮
決議
の場合に各
株主
に対してその
趣旨
の通知を発し、且つ無
記名株式
が
発行
されております場合には、その
趣旨
を
公告
して、更に仮
決議
の日から二ケ月内にその
承認
を求めるために、第二回の
株主総会
を招集いたすのでございます。第二回の
株主総会
におきまして、仮
決議
の
承認
がありました場合には、その
承認
のときにおきまして、
特別決議
があつたものとみなすということにいたすのでございます。この
承認
の
決議
は出席した
株主
の
議決権
の三分の二以上の多数を以てこれをなすということにいたしているのでございます。尤も
決議
は仮の
決議
でございまして、
会社
の
目的
たる
事業変更
をいたす場合にはこれを適用いたしませんことは
現行法通り
でございます。 次に三百四十
五條
は
特別決議
の
要件
の
改正
に伴いまする
改正点
でございまして、別段申上げることはございません。 次に三百四十六條は数種の
株式
につきまして、
株式
の
併合等
に関し格別の
定め
をなす場合、それによ
つて不利益
を受ける
種類
の
株主
の
総会
の
決議
が必要でございまするので、この
規定
を設けた次第でございます。 次に三百四十
七條
でございまするが、これはいわゆる
授権資本
の
範囲
を
拡張
することに関する
規定
でございます。
授権資本
の
範囲
を
拡張
いたしますることは無
制限
にこれを認めてもよろしいわけでありまするが、
改正法
の
法案
の採りました
授権資本
の
制度
は、
設立
に当りまして
授権資本
の
範囲
の少くとも四分の一に当る
株式
の
発行
を
設立
の
要件
といたしましたことに対応いたしまして、
授権資本
のこの枠を拡げまするためには、
発行済
総
株数
の四倍を超えることを認めますることは権衡を失すると考えましてかような
制限
を設けた次第でございます。若し
授権資本
制度
が
我が国
におきまして十分完熟せられまして、
取締役会
の
権限濫用
というふうなことも憂うる必要がなくなりまするならば、この第一項の
規定
は或いは必要でないかと考えます。 次にこの第二項でございまするが、これは
原始定款
におきまして
新株引受権
に関する
規定
を必ず
定め
るということに対応いたしました
規定
でございまして、
授権資本
の枠を
拡張
いたしまする
総会
の
決議
におきましては、これと同時に必ず増加すべき
株式
につきまして、旧
株主
に対し
新株引受権
を與えるかどうか、或いはこれを與えましても
制限
するかどうか、或いはこれを場合によ
つて
解除する場合があるかどうか、又
会社
の
縁故者
、或いは
従業員
その他の
第三者
に対してこれを
與うるか
どうかという点につきまして、必ず附帯的に
決議
をなすことを要する旨を
定め
た次第でございます。
新株引受権
が旧
株主
にとりまして極めて重要な
関係
を持つことに鑑みましてかような
規定
を設けた次第でございます。従いまして第二項の
決議
を伴わない
授権資本
の
範囲
の
拡張
の
決議
は当然無効となるものと考えます。
従つて
その無効の
決議
によ
つて
なされた
定款変更
は無効となるわけでございます。この第二項の
決議
をいたしました場合に、これは
定款
に記載することを要するかどうかという点でございまするが、
原始定款
におきまして
新株引受権
の
取扱
に関する
事項
を
定款
の
記載事項
といたしておりますることに鑑みまして、
会社
におきまして三百四十
七條
の二項の
決議
をいたしきた際に、これを
定款
に記載せられることが適当な
措置
であると考えまするが、
法律
的に申しまするならば、必ずしもこれは
定款
に記載することを必要としないと解釈してよろしいのではないかと考えます。 次に
資本
の
減少
でございまするが、
資本
の額は
定款
の
記載事項
でなくなりました
関係
上、
資本
の
減少
をなすには必ずしも
定款変更
の
決議方式
によることを必要としないわけでございまするが、
株主
に対すら
利害関係
の極めて重大な事柄であるのに鑑みまして、
資本
の
減少
は
総会
の
特別決議
によるということにいたしたのでございます。 次に
資本減少
の手続につきましては
現行法通り
でございまして、殆んど注目すべき
修正
はございません。三百八十條におきまして、
監査役制度
を
改正
いたしましたことに伴いまして、
資本減少
無効の
訴え
の
提起者
から
監査役
を除いております。 それから三百八十條の第三項におきまして、
合併
無効の
判決
についての
裁判所
の
裁量権
に関する
規定
、
現行法
の百
七條
の準用を削除いたしております。これはかねて御
説明
申上げましたので、別段申上げることもございません。 次に
会社
の
整理
の
関係
でございまするが、
整理
の
申立権
を有する
株主
の
資格
を緩和いたしまして、「
発行済株式
ノ
総数
ノ百分ノ三」以上に当る
株式
を有する
株主
といたしております。三百八十
一條
の三項を削りましたのも、
権利
の
濫用等
を
理由
とする場合は必ずしもこの
規定
を以ちませんでも、
一般原則
により、或いはこの
法律
の解釈によりまして、当然
裁判所
がなし得るのでございまするし、この
規定
は
裁判所
の
自由裁量権
を広く認めたかのごとき
誤解
を生ずる虞がありますので、これを削除いたしたのでございます。 次に三百八十
二條
から四百三條までにつきましては、
監査役制度
の
廃止
、或いは
裁判所法
、
警察法
の制定に伴う
改正等
でございまして、主として字句の
整理
で、別段申上げることもないかと考えます。 次に四百條四でございます。
現行法
によりますと、四百四條の第三号におきまして、
営業
全部の
譲渡
がありました際に、
会社
が当然
解散
をいたすということになるわけでございまするが、
営業
全部を
譲渡
いたしましても、
会社
は、その後は
持株会社
として、存続する場合もございまするし、或いは他の
業務
を
目的
とするということもあり得まして、当然に
解散
させる必要はないものと考えまして、この三号の
規定
は削除いたしたわけでございます、尤も
会社
はこの場合に
営業譲渡
をいたしますると同時に、
解散
の
決議
をいたすことは毫も
差支
ないわけでございます。 次に四百六條の二という
規定
を
新設
いたしております。これは
アメリカ法
の
制度
に倣いましたものでございまして、
株主保護
のため、
少数株主
に
会社
の
解散判決
を
請求
し得ることを認めたものでございます。この
解散判決
を
請求
いたしまする
事由
といたしましては、ここに掲げておりまするように、
取締役会
が分裂して、
株主総会
におきましても、
取締役
の
行為
の差止め、或いけ解任の
訴え
、その外の
措置
を講じても、その
効果
がない、或いは講じて見たところで結局
取締役会
の分裂を打開できない、遂に
業務
の執行が実質的に停止してしまうというような
状況
にありまして、
会社
に対して回復すべからざる
損害
を生じ、或いは生ずる慮れがあるような場合、又は
取締役会
の
会社財産
の管理又は処分が著しく失当であ
つて
、
会社
の存立を危殆ならしめるというような場合におきまして、他に
会社
を救済すべき方策がないという場合には、
株主
の
自衛手段
といたしまして、
裁判所
に対しまして、
解散判決
を
請求
することができるという道を開いたものでございます。で四百六條の二の第一項の一号二号に掲げてありますような
事由
がありましただけでは、まだ不十分でありまして、この
事由
が存在する上に更に止むを得ないという
條件
を必要といたすわけでございます。止むを得ない
事由
というものが如何なる
事由
であるかということは、結局
裁判所
の認定に俟つわけでございまするが、只今申しましたように一切の
救済方法
を講じても、その
効果
を収めることができない、或いは収める見込がないというふうな場合であることを必要とするものと考えます。第二項におきまして、百十
二條
の二項の
規定
を準用いたしておりまするが、これはこの
訴え
の
専属管轄
に関する
規定
、言い換えれば本店の所在地を
管轄
する地方
裁判所
の
管轄
といたした点、それから原告が敗訴いたしました際に、悪意である場合には、
損害賠償
の
責任
を負うということにいたしまして、
解散判決
の
請求
が
濫用
に出づることを防止いたしたわけでございます。 次に四百
八條
の二におきましては、
会社
の
合併
に
反対
の
株主
に
株式
の
買收請求権
を認めた
規定
でございまするが、これは
営業譲渡
の場合に同様の
権利
を
反対株主
に認めておりまするので、すでにそのときに御
説明
申上げましたので省略いたします。 次に四百九條でございまするが、これは
吸收合併
の、
合併契約書
に関する
規定
でございます。
授権資本
と無
額面株式
を採用いたしました結果、
合併契約書
の
記載事項
を
変更
いたしたのでございます。第一号は別に申上げることもないかと思います。第二号は
消滅会社
の
株主
に割当てるために
存続会社
が
合併
に際して
発行
する
新株
の
内容
を記載せしめることといたしたのでございます。第三号は、これも別段申し上げることもないかと思いまするが、
合併
のための
新株発行
によ
つて
、
資本
及び
準備金
の額を増加するときには、予めその額を記載するということにいたしたのでございます。これは
資本構成
を
取締役会
で決定するという
原則
を
定め
ておりまする二百八十條の二に対する一つの例外となるわけでございます。 次に四百十條でございまするが、これは
新設合併
の場合の
合併契約書
の
記載事項
に関する
規定
でございまして、特別に御
説明
申上げる必要もないかと考えます。 四百十
二條
の第二項でございまするが、これは
合併
は
登記
によ
つて効力
を生ずるものとされておりまするので、通常の
新株発行
の場合と異なりまして、
報告総会
のときには
新株
を引受けた者は、まだ
株主
にな
つて
おりませんが、その者にも
議決権
を與えることを適当と考えましてかような
規定
を設けた次第でございます。 次に四百十六條でございまするが、これは
合併
の無効を主張し得る
株主
の
訴え
につきまして、
株主
に不当な経済的な面からの
制限
と申しまするか、制約を除くことにいたしました点、
合併
無効の
判決
について
裁判所
の
裁量権
に関する
規定
を削除いたした点の外はそれらの
規定
をそれぞれ準用いたしておりますような次第でございます。次に
清算
でございまするが、これも主として
監査役制度
の
改正
に伴いまして、必要な所要の
修正
をいたしたわけでございます。
特別清算
につきましても同様でございまして、特に申上げることもないかと考えます。 四百五十
二條
の
検査命令
につきまして、
監査役
の代りに
会計監査役
を
申請権者
に加え、
株主
の
権利
を保護いたしますために
申請権
を有する
株主
の
資格
を
発行済株式総数
の百分の三以上の
株式
を有する
株主
にいたしたわけでございます。その外は
監査役制度
の
改正
に伴いまする
改正
でございまして、別段申上げる必要もないかと思います。 次に第五章を削除いたしてありますが、これは
株式合資会社
を
廃止
することにいたしたわけでございます。これも
総括的説明
の際に申し上げましたように、
株式合資会社
は一種の沿革的な
理由
に基きました
変態的会社
でございまして、
我が国
におきましても、その数は極めて僅少でございます。
実効性
が乏しく、殊に今回
株式会社法
を
改正
いたしまして、
授権資本
制度
、
取締役会
というふうな
制度
を
株式合資会社
にも適用いたすということになりますと、その組織の二元的であるために、徒らに
法律関係
を複雑にいたしまして、尚更
実効性
を乏しくいたすこと、
実効
を少くいたすことに相成ろうかと考えますのでこれを
廃止
いたすことといたした次第でございます。尤もかねて申上げましたように、既存の
株式合資会社
につきましては、これを
経過的措置
といたしまして認めて参るつもりでございます。将来
株式合資会社
の
設立
を認めないということにいたすためにこの
規定
を削除いたしたわけでございます。 次に
外国会社
でございます。
現行法
におきましては、
日本
に
支店
を設けて活動する
会社
に対しましてのみ
規定
を設けまして、
外国会社
が
日本
に
支店
を設けたときは
登記
をなすことを要するものとし、その
登記
あるまでは
第三者
は
会社
の
成立
を否認し得るものとしておるのでございます。併しながら
外国会社
が
日本
に
支店
を設けないで継続的に
取引
をいたしますことに現にございますし、又将来十分これを予想し得るのでございまして、かかる
外国会社
の活動を規正することを必要と認めまして、四百七十九條の
規定
を
新設
いたした次第でございます。即ち
外国会社
が
日本
におきまして、
取引
を継続してなさんとする場合には、
日本
における
代表者
を
定め
てその住所又はその他の場所に
営業所
を設くることを要することといたしたのでございます。
代表者
を置き且つ
営業所
を設けました場合には、
登記
、
公告
をなすことを要するものといたしたのでございまして、この
登記
、
公告
は
日本
に
成立
する
同種
のもの又は最もこれに類似するものの
登記
、
公告
の
規定
に従うということにいたしたのでございます。そうしまして
外国会社
の
代表者
につきましては、七十
八條
の
規定
を準用いたしまして、
代表者
は
外国会社
の
営業
に関する一切の
裁判
上又は
裁判外
の
行為
をなす
権限
を有するということにいたしたのでございます。 次に四百八十
一條
でございますが、従来
外国会社
が
登記
をいたしませんで国内におきまして
取引
その他の
法律行為
をいたしました場合には、
第三者
は
会社
の
成立
を否認し得るということにな
つて
おるのでございますが、この場合の
法律関係
は極めて不明確であることに鑑みまして四百八十
一條
の第一項におきまして
登記
をなすまでは
日本
においては
取引
を継続してなすことを得ないということいたしますと同時に、若しこの
規定
に違反いたしまして、
登記
なくして
取引
を継続的にいたしました場合には、四百九十
八條
の三によりまして、
罰則
の
規定
の適用がありまするのみならず、四百八十
一條
の二項におきまして、
取引
をなしたるものは
外国会社
と連帯して
取引
に関する
責任
を負う、負担するということにいたしたのでございます。 次に四百八十四條でございまするが、これは
外国会社
に対する
解散命令
の
制度
の
改正
に対応いたしまして、
外国会社
の
営業所
の
閉鎖命令
に関する
規定
を整備いたした次第でございます。 次に四百八十
五條
の二でございまするが、これは
外国会社
は
日本
におきまして
法律
に別段の
定め
のある場合を除きまして、
日本
に
成立
する
同種
又は最もこれに類似する
会社
と同様の
法律
上の地位を有するものであるということを明らかにいたした次第でございます。 次に第七章の
罰則
でございます。現法の
改正
をいたすわけでございまするが、
原則
といたしまして、
罰金
及び過料の
最高限
を引上げると同時に、新らしい
規定
に伴いまする適当な
罰則
を整備いたした次第でございます。四百八十六條の
規定
は、
監査役
の
廃止
、
会計監査役
の
新設
、
株式合資会社
の
廃止
、非訟事件としての
取締役代行者
の
選任制度
の
廃止
に伴いまする
改正
と、
現行法
の
罰金額
を高めまして、
現行法
の一万円を五十万円といたしたわけでございます。 四百八十
七條
は
罰金
の
最高限
を
現行法
の五千円から三十万円に高めたわけでございます。 四百八十九條は同様に
罰金
の
最高限
を三十万円に引上げますと同時に、
新株
の
発行
を
取締役会
に委ねました結果、増資
報告総会
というものがなくなりましたのでそれに伴いまする
改正
をいたしたわけでございます。四百九十條以下四百九十
七條
まではそれぞれ
罰金
の
最高限
を引上げたものでございます。それから四百九十四條には
少数株主
の
資格
要件
を
変更
いたしましたことに対応いたしまして
規定
を整備いたした次第でございます。 次に四百九十
八條
でありますが、これも
監査役制度
の
改正
並びに非訟事件としての
取締役
職務代行者
選任制度
及び
株式合資会社
の
廃止
に伴いましで制裁を受くべきものが
変更
されましたことに対応する
改正
と、過料の
最高限
を引上げました点、それから
現行法
の百九十條二項において発起人が
株式
権利
株の
譲渡
を禁止する
規定
に反しまして
譲渡
いたしました際の
罰則
の
規定
を第二項に追加いたした次第であります。 次に四百九十
八條
の二でございますが、これは
新設
の
規定
でございまして、従来は
設立
登記
の懼怠に対しましては過料の制裁があるのみでございましたが、
会社
設立
前に
会社
の名義で
営業
をいたしますことは実質的に申しますと
設立
登録税を潜脱するものでございますので新たにかような
規定
を設けた次第でございます。四百九十
八條
の三は同様の見地から
外国会社
に対しても
登記
を間接的に強制いたすためにかような制裁
規定
を設けた次第でございます。七百
二條
は
株式合資会社
の
廃止
に伴う
改正
でございまして別段申上げることもございません。次に最後に附則でございますが、施行の期日は政令で
定め
ることにいたしましてその期日は昭和二十六年七月一日以後であ
つて
はならないということを
規定
いたしたのでございますが、幸いこの
法律案
が
成立
いたしまするならば、十分この
法律
の周知徹底の
期間
を置きますすと同時に、この
法律
自体につきましても十分検討を加える機会を與えまするためにはもう少し施行までの間に
期間
を置きますることが適当であるかと考えるのでございますが、新法の主眼といたしておりまする資金調達の便宜、或いは
株式
会社
機構における民主化というものは現下の国内事情から考えますると相当緊急な必要があるかと考えまして、来年の七月一日までには本
法律案
を施行いたすことも止むを得ない必要と考えましてかような附則を設けた次第でございます。簡単でございまするがこれをもちまして一応の御
説明
を
終り
ます。
伊藤修
3
○
委員
長(
伊藤修
君) ではこの程度で休憩いたします。午後は一時から再開いたします。 午後零時十一分休憩 —————・————— 午後一時三十三分開会
伊藤修
4
○
委員
長(
伊藤修
君) 休憩前に引続き会議を開きます。
松井道夫
5
○松井道夫君 二、三お尋ねしたいと存じますが、先ず三百四十三條のいわゆる
特別決議
の議決
方法
の問題でありますが、これはすでに公聴会、意見聴取会等において一般の意見を聴取いたしておりますので、問題の所在はすでに明らかにな
つて
いると思うのでありますが、尚念のためにお尋ね申上げたいと存ずるのであります。頭数というフアクターをとつたことは非常によろしい。これは申上げるまでもなく結構なことでありますが、「
議決権
ノ三分ノ二以上ニシテ且
発行済株式
ノ
総数
ノ
過半数
ニ当ル多数」という
要件
が少し厳に失するのではないか。計算いたして見ますと、出席を要する
株主
の
議決権
が総
議決権
の七六・五%なくては
決議
ができないという結論に相成るのであります。これは非常に厳格な
決議
方法
であると言わねばなりません。例えば国民の最も大切な基本的人権その他を扱
つて
おりまする例えば国会にいたしましても、定足数は
議決権
の三分の一ということに相成
つて
おるのであります。
株式
会社
、勿論これは私の
利益
を処分する
総会
である。出て来ない者は、これは自分の私益を放棄、乃至は出た人に一任してあるのでありますから、私益だから特にこれだけの厳格なものを要するという理窟は出て参らないのであります。むしろ公益を
取扱
う国会などの方がこれはもつと厳格であるべきだという議論も正当に
成立
するだろうと思いますが、すでに招集の手続その他で、どういう議案がかかるかということも分
つて
おる。それを出て来ないということは、これは要するに私益を放棄しておるものであるのであります。私益は放棄に最も親しいものであることは申すまでもない。社団法上の原理からい
つて
これだけのものが是非必要なんだということも、これは社団法の一つの考え方であ
つて
、その必要がないという議論も十分
成立
ち得るわけなんで、その点も何ら第一項の厳格性をどうしても確保しなければならんという理窟にはならんと思うのであります。殊に現在、いつも言われておりまするように、
株式
が非常に
分散
いたしてお
つて
、その他諸種の
理由
で
株主
の出席がおもわしくない。これはいわゆる企業所有、企業経営の分離という、殊に多数の
株主
を擁します
株式
会社
に、その分離の傾向はこれは顕著なものがあ
つて
、又それは経済の
原則
から言
つて
別にこれを非議すべき
理由
は少しもないのであります。いろいろな国家経済上の
関係
から
総会
出席の費用、或いは招集その他の費用、その費用が企業の経営の面から言
つて
、これは必ずしも過小視することを許さない
日本
経済の実体でもあるのであります。仮
決議
の
方法
があるのでありまするが、この仮
決議
の
方法
があるからとい
つて
、この弊害は十分に救済することができないことは申すまでもないのであります。再び
承認
の
決議
を求めるために又その
総会
招集の手続きを繰返さなければならない。かように見て参りますると、如何にもこの第一項の
決議
方法
が厳格に失するという非難はあた
つて
おるのではないかと存ぜられるのであります。いろいろ
修正
の一般の意見の一案によると、
発行済
の
株式
の
総数
の
過半数
ということを定足数にいたす、そうしてその三分の二で議決いたすということにして貰いたいという意見が相当あるのでありまするが、そういたしますると、結局出席を要する
株主
の
議決権
はこれは総
議決権
の五一%に相成りますので、前に述べました原案の七六・五%というのと対比いたしまして、これは非常に一つの救済に相成る案であると存ずるのであります。又
取締役
の選任
決議
でしたか、
定款
を以てするも定足数を三分の一以下にすることができないという
規定
があつたと思うのでありますが、定足数をそのくらいまで下げればこれは又いろいろ論議もありましようけれども、又救済と相成る程度となるわけであります。いずれにいたしましても何らかの
方法
を以て、この嚴格な
規定
を緩和する必要があると思うのであります。これは緑風会の話をいたしまして、性格も違うのでありますが、何でありまするが、緑風会の
特別決議
というのがあるのであります。これはやはり半数以上出席して、その三分の二で議決すると、これは重要
決議
、
特別決議
というような意味に思われてお
つて
、そういう
決議
があつた場合には、会員は成るべくその
決議
に同調いたすという、いわゆる統制
決議
というものであります。そういう重要のものでもその程度にしておるのでありまして、国会の除名の議決もやはり三分の一の定足数でその三分の二で議決するということであります。憲法
改正
の
決議
がややこの
特別決議
に三百四十三條の
決議
とほぼ同じだと思うのでありますが、これは一般の意見に
従つて
緩和する意思はおありであるかどうか、何故にこの一項を以て強行しなければならないのか。その辺を更にお尋ねいたしたいと思います。
岡咲恕一
6
○
政府委員
(
岡咲恕
一君) 三百四十三條に
規定
いたしておりまする
特別決議
の
要件
を如何ように
定め
るかという問題は、一つのポリシイと申しますか、政策に係る問題でございまして、或いは松井
委員
の御提案のような
決議
要件
も一つの
方法
かと考えます。政府か第一項のような、この一般の要望に比較いたしますと、相当過重した
要件
を
定め
ましたゆえんのものは先程も申上げましたように、主として
アメリカ
の立法例等を斟酌いたしたのでございまして、
アメリカ
の立法例によりますると、
発行済
総
株数
の三分の二以上、少くとも
過半数
の三分の二以上、又は
過半数
を有する
株主
の同意を
要件
といたしておりまするし、又イギリスにおきましても千九百四十八年の
会社
法によりますると、総
株主
の四分の三、又は
資本
の九五%以上の
株主
の同意を必要とするというふうにいたしまして、極めて
要件
は過重いたしておるのでございます。で
改正法案
によりますると、
特別決議
をいたしまする場合は、
定款変更
、或いは
会社
の
解散
、
合併
、契約者の
承認
といつたような、專ら、或いは
資本
の
減少
といつたような、
会社
の組織の根本に関する
事項
につきまして
決議
いたす場合でございまして、成るべく大多数の
株主
の同意を必要とすることが適当ではないかと考えた次第でございます。お話のように
株式
が広く国民一般の間に
分散
いたしました現状、殊にその
株主
の大多数は
会社
の経営に対しまして多く無関心、いわゆる
不在株主
であるというふうな
状況
におきましては、やや行過ぎの
規定
ではないかとも考えまするが、又飜
つて
考えまするのに。若しこの
要件
を緩和いたしますると、比較的多数の
株式
を持
つて
おりまする者が
会社
を支配し得るという状態にも相或るわけでございます。
株式
が
分散
いたしまする場合か激しくなりますればなりまする程、比較的多数の
株式
、例えば三〇%、或いは場合によりましては二五%の
株式
を保有いたしております者は、
会社
に対して殆んど絶対的の支配権を握り得るようなふうな
状況
にもなりまするので、この比較的多数の
株主
の支配を排除いたしまする意味におきましても、
特別決議
におきましては成るべく多数の
株主
が、
株主
と申しまするか、
株式
数を所有する
株主
が参加いたしまして、そうしてその問題を検討いたすということが必要と考えまして、
発行済
総
株数
の少くとも
過半数
の者の同意を必要とするということは如何にも、適当な
規定
であろうと、かように考えた次第でございます。尤も先程お述べになりましたように、この
規定
が現状から見て重きに失する、
会社
が
特別決議
をいたしまするためには、非常な費用と手数をかけるということは事実のようでございまして、一般の要望を考えますると只今お述べになりましたように
過半数
の
株式
を有する
株主
の出席を定足数といたしまして、そうしてその三分の二以上の賛成によ
つて
特別決議
を行う、或いは
発行済
総
株数
の三分の二以上に当る
株式
を有する
株主
の出席を定足数といたしまして、出席した
株主
の
過半数
の
決議
によるというふうな
方法
があり得るかと考えまするが、若し当
委員
会におかれまして愼重御検討の上、只今申しましたような案が適当とお考えになりまして御
修正
になりますることにつきましては、私共としては別段異議を差挟む次第ではございません。
松井道夫
7
○松井道夫君 次に三百四十
七條
についてお尋ねしたいと思うのでありますが、この第一項の
規定
は、
設立
の場合に百六十六條の第二項によりまして、「
会社
ノ
設立
ニ際シテ
発行
スル
株式
ノ
総数
ハ
会社
ガ
発行
スル
株式
ノ
総数
ノ四分ノ一ヲ下ルコトヲ得ズ」という
規定
があります。これと歩調を合せたのであるという
趣旨
の御
説明
だと承つたのでありまするが、更に飜
つて
考えて見ますると、終戰後非常なインフレでありまして、増資に次ぐに増資という
状況
が現出されたと承知いたしておるのでありまするが、まだ当時或る
制限
の下にありました
関係
上、十九万何がしといつたような
会社
も相当残
つて
いるかに存じているのであります。その
会社
が例えば百万円
金額
拂込みであつたといたしましても、仮に百万円、現在百万円と申しましてもそう大きな
会社
であると申すことができないことは申すまでもないことなんでありまするが百万円に実質上の増資をいたすという必要に迫られることは考え得られることなのであります。そのときにこの
定款
を
変更
いたしまして
株式
の
総数
を殖やすという場合に、
発行済株式
の
総数
の四倍を超えて
発行
し得るということにな
つて
おりますと、非常な不便を感ずるのじやないかと存ずるのであります。現在のそういう
会社
がこの
法律
施行後に、今のように
株式
の
総数
を殖やすという場合に、何らかの経過的の
規定
を設けると仮定いたしましても、併し将来やはりこのインフレというようなものが不幸にして
日本
を襲うことがないとも限らない。そういうことを考えて見ますると、この
規定
は一考の余地があるのじやないかと存ずるのであります。
定款
を
変更
いたしまして
株式
総数
を殖やす。その場合にはその殖やした数の四分の一以上はその際に
発行
しなければならないといつたような
規定
にいたしますれば、そういう心配がなくなるし、又第百六十六條の二項の
趣旨
とも正しくマッチすると思うのであります。この三百四十
七條
の第一項に書いて、今申しましたような
方法
を採用することができないのかどうか、その点お尋ねいたします。
岡咲恕一
8
○
政府委員
(
岡咲恕
一君) 松井
委員
の御提案のように、この
会社
が
授権資本
の枠を
拡張
いたします
限度
につきましては、別段
法律
上の
制限
を設けないと但し
拡張
いたしました場合には当然その四分の一に当る
株式
は
発行
しなければならないというふうな強制的な
規定
を設けまするならば、或いは実質的にこの
法案
と差別はないわけだと考えまするが、
株式
の
発行
を強制いたしますことは
会社
自治の
原則
から申しましてもやや行過ぎかと考えまするので適当でないと考えます。で三百四十
七條
の第一項の
規定
を全然削除してしまうと、言い換えれば一旦
会社
が
成立
いたしました上は
会社
の自治によりまして
会社
が
発行
する
株式
の
総数
を如何ようにも
拡張
し得るという、この
制度
にいたすことも確かに一つの考え方かと思います。殊に一昨年来行われました
我が国
における増資の実情を考えますると、四倍の枠というものはやや狭きに過ぎるのではないか。もつとこの枠を拡げないというと折角
授権資本
制度
を採用しながら運用上
差支
を生ずるという場合もあり得るということは十分考えられるのでございまするが、松井
委員
の御指摘のように百六十六條におきまして、
会社
を
設立
する場合には、
授権資本
の四分の一に当る
株式
は必ず
発行
しなければならないというこの
制限
を設けておるのでございます。で、この百六十六條の只今申しました
制限
規定
のあることから、論理的に当然
授権資本
を
拡張
いたしまする場合に、この四倍以上に
拡張
いたすことが許されないという解釈が可能だということを主張される学者もおられたのでございますが、一応
取締役会
に
新株発行
の
権限
を與えましても、
会社
の自治によ
つて
この
権限
を如何ようにも
拡張
し得るということになりますと、多少弊害を生ずる場合があるのではないか。或いはは最初は
発行済株式
の
総数
が僅々一万株程度の小さい
会社
を作
つて
置きながら、直ちにそれを百万株も
発行
し得るような大
会社
に切換えるというようなことをいたしまして、国民が
授権資本
に馴れておらない状態を利用いたしまして、詐欺的な
行為
をする
会社
も絶無とは保し難いわけでございますので、又
会社
理事者の
権限
も或る程度
法律
上制約いたすことが、その
権限
の行使を適正ならしめる面から考えましても適当と考えまして、一応この
授権資本
の枠を四倍ということに
定め
ることが適当であると考えます。これは
設立
の際においてもさよういたすことが適当であるならば、
設立
後の
授権資本
の枠の
拡張
の際もこの比率を保つことが妥当である。かように考えまして、或いは極端な場合には多少
会社
に不便をお與えすることがあるかと思いまするが、一応この程度の
制限
が妥当と考えて、かような
規定
を設けた次第でございます。
松井道夫
9
○松井道夫君
設立
の場合に
会社
が
発行
する
株式
の
総数
の四分の一はまあ
発行
しなければならないということにいたしました
理由
としましては、私御
説明
を聞き漏したかも知れませんが、或程度の
会社
の実質の、物的のもの、資産を充実するという
趣旨
にあつたのではなかつたかと考えるのでありますが、その
趣旨
から言いますと、
会社
か
授権資本
という枠があるに拘わらず、更にその枠を越えて、
定款
を
変更
いたしまして、
株式
の
総数
を殖すという場合には、いろいろな必要に迫られるという
理由
よるものではありましようが、併しながらこれは経済上の必要でそれを必ずしも抑えるということは適当でない場合が多いのではないかと思うのであります。ただそのようにして
株式
数をうんと殖やして、併しながら現実には
株式
も何も
発行
しないというようなことでは、この
設立
の場合におきまするように、その
発行
し得る
総数
に比べて一般社会に與える影響、印象その他からやはり面白くない場合で出て来るのではないかということを恐れられたんじやないかと存ぜられますが、そういう場合にはやはり殖やした
株数
の四分の一は必ず現実に
株式
を
発行
するということにいたしますれば、これはその弊害が除かれる。そういう手続を取りまするならば、この経済上の必要に迫られまして
発行
する
株式
の
総数
を幾ら増したところが一向
差支
ない。現に
設立
の場合にには、これは一千万円の
会社
にしようが、或いは一億円の
会社
にしようが一向
制限
がないのでありまして、
成立
後に
株式
の
総数
を殖やす場合にのみこういう
制限
があるということはどうも納得が行かないのであります。やはり物的の充実を図るという要請さえ満たれるならば、
設立
の場合と同じように幾ら殖やしても一向
差支
ないではないか、私はさよう感ずるのであります。そうしてそういう
株式
の
発行
を強制するのは面白くないということでありまするが、その半面
総数
を殖やすことを
制限
するということも一つの
会社
経営に対する干渉であります。又現に
設立
の場合には四分の一を下ることを得ずというあれに
制限
してあるのでありまするから、何らそのことが私の提案の
反対
の強い
理由
になるとも考えられないので、どうも只今の御答弁ではよく分りませんので、更に納得の行くように
説明
を願いたい。
岡咲恕一
10
○
政府委員
(
岡咲恕
一君) 松井
委員
の御意見のようにいたすのも一つの
方法
かと考えまするが、結局
発行済株式
の
総数
と
会社
が
発行
すべき
株式
の
総数
との比率を一対四にするということは、松井
委員
もお認めでございまして、結局そうなりますると便宜の問題になるのではないかと思います。
会社
が四倍を超えて
授権資本
の枠を
拡張
するということをいたしますると、当然少くともその四分の一に当る
株式
は
発行
しなければならない義務を
会社
が負うということになるわけでございまして、或いは場合によりましては一回の
定款変更
で賄い得るという便宜があろうかと思いますが、一体その
新株
の
発行
はいつまでにそれをしなければならないのか。或いはその義務の
範囲
といつたようなものも相当むずかしくなりますので、一応
発行済株式
の
総数
というものを基準といたしまして、四倍を超えては増加できない、更にそれ以上の
株式
の
発行
を必要とすれば重ねて
定款変更
をするということによ
つて
賄い得るわけでございますから、この
会社
に特別な義務を設定するような
規定
を設けるよりも、三百四十
七條
の一項のような
規定
で十分
会社
の需要を満たし得るのではないかと考えておる次第でございます。
松井道夫
11
○松井道夫君 次に三百四十
七條
の第二項でありまするが、この
規定
は
定款
におきまする
新株
の引受権の
規定
と歩調を合したのであろうと思うので、その
趣旨
自体はよく分るのでありますが、
定款
に関する
規定
と文言の立て方が若干違
つて
おるのでありまするが、何かそれに特別の意味があるのかどうか。 それから
設立
の際の
新株
の引受権に関する
規定
は
定款
に書く。ところが
設立
後の
株式
の
総数
を殖やすという
決議
の場合にはこれを
定款
に書かんでよろしいのだという先程の御
説明
であつたと思うのでありまするが、どうせ
発行
する
株式
の
総数
を増加する
決議
というのは、
定款変更
の
決議
であると存ぜられますから、この際やはり
新株
引受に関する
事項
も
定款
に書くということにいたしましても、一向手続を二にし三にするという不便もないのではないかと考えられるのであります。これを
定款
の
記載事項
にするということにしたら如何であるかと考えられるのでありますが、その点お伺いしたいと思います。
岡咲恕一
12
○
政府委員
(
岡咲恕
一君) 三百四十
七條
の第二項の
趣旨
といたしますところは百六十六條の第一項の第五号の
規定
の
趣旨
と同様でございまして、表現の文言は多少異な
つて
おりまするが、
趣旨
は全然同様でございます。 それから
授権資本
の枠を
拡張
いたしますると、これは
定款
記載事項
でありまするが故に当然
定款
の
変更
を伴う。而も
新株引受権
に関する
定め
は、その
授権資本
の枠を
拡張
いたしまする
決議
におきまして同時に決定いたさなければならないということでありまするが故にこれも又
定款変更
として
定款
に掲げるようにいたすことが、私は立法
措置
としては一番極めて妥当だと考えております。で私共はさように考えたのでありまするが、いろいろな
関係
がございまして、その旨の
規定
をいたすことができなかつたのでございます。実際上の運用におきましては、たとえその
規定
がございませんでも、必ず
定款変更
をされることを強く希望いたす次第でございます。
伊藤修
13
○
委員
長(
伊藤修
君) ちよつと速記中止。 〔速記中止〕
伊藤修
14
○
委員
長(
伊藤修
君) 速記始めて。
松井道夫
15
○松井道夫君 次に三百七十
五條
の
関係
についてお尋ね申したいと思います。この
資本
の
減少
の場合に、
現行法
では恐らく
株式
の
券面額
、
株式
の
額面
額を減らすなり、或いは
株式
の消却をいたすというようなことに相成
つて
おると思うのでございますが、これを無
額面株式
が出ておりまする場合に、その
資本
の
減少
の
方法
といたしまして、單に
資本
の額を減らすということを
決議
いたし、
登記
いたすということで、従来
発行
されておる無
額面
株自身をそのまま利用いたすということが可能であるかどうか、その点。
岡咲恕一
16
○
政府委員
(
岡咲恕
一君)
資本
の
減少
に関連いたしまして、例えば
額面
株につきまして
券面額
を
減少
する。或いは
株式
を消却いたしまして、
発行済株式
の
総数
を減らすというふうなことになりますると、これは当然
定款変更
を伴うのでありますから、その方の手続をいたさなければならないわけでございまするが、
資本
の
減少
自体だけを考えますと、これは
定款
とは
関係
がございませんで、
減少
いたすことができるわけでございます。尤もこれは多くの場合無
額面
株の
発行
されておる場合に行われる場合が多いかと思いますが、必ずしも無
額面
株の
発行
とは関連いたしておらないのでございます。と申しまするのは、たびたび申上げましたように
現行法
におきましては、百九十九條という
規定
がございまして、「
株式
会社
ノ
資本
ハ之ヲ
株式
ニ分ツコトヲ要ス」、言い換えれば、株
金額
の
総額
が
資本
を成す、
株式
は
資本
の一單位であるという意味を持
つて
おりまして、
資本
を
株式
との間に密接不可分の関連を持
つて
おる次第でございます。ところが新法におきましては、
説明
が多少簡略で恐縮に存じておる次第でございまするが、二百八十四條の二におきましては、一応従来の
資本構成
の
原則
を踏襲いたしまして、
額面
株につきましては、株金
総額
というものが
資本
を成す。無
額面
株については、
発行価額
の
総額
が
資本
を成すというふうにいたしまして、
株式
と
資本
との間に一応の関連を認めたのではございまするが、第二項におきまして、拂込余剰金という
制度
を認め、更に二百九十三條の三項におきまして、
準備金
から
資本
への組入れを認めましたり、或いは
利益
による償還
株式
を認めまして、
株式
は償還されましても、
資本
額が
減少
しないというふうな
取扱
をいたすことにいたしましたりして、現行
改正
商法
の運用によりましては、
資本
額というものと
株式
との間の関連が切断されたということは申される次第でございます。そういたしますると、たとえ
額面株式
だけを
発行
いたしておりまする場合でも、
資本
を
減少
するということをやることも
差支
ないことになるのでございまして、必ずしも無
額面株式
の
発行
の場合でなければ三百七十
五條
は適用されないというふうに限定すべきものではないが、あらゆる場合におきまして
会社
がむしろ
資本
の
減少
を適当といたしますれば、
発行済
総
株数
には全然手を加えませんで、
資本減少
をいたすということを認めた次第でございます。で三百七十
五條
の他面申しますと、
現行法
におけるような
資本
と
株式
との密接な
関係
を切断いたす一つの例外的
規定
ということに相成るわけでございます。
松井道夫
17
○松井道夫君 次に大分飛びますが、
罰則
に
関係
してお尋ね申したいと思います。いわゆる
会社
荒しに関する四百九十四條でございますが、この
会社
荒しにつきましては過般来の公聽会、意見聽取会におきまして非常に実際界では心配しておられることであります。ところが他面四百九十四條が真正面に適用された例が殆んどないということで、その間矛盾を感ずるのでありまするが、併し、折角
会社
荒しを何とか抑えたいというのでこういう
規定
が作られておりまする以上は、この
規定
についても、やはり検討の値打があると存ずるのであります。一般の実際界の今度の
改正
案について心配しておられた事柄の中には、今度
株主
が、新たに個々の
株主
といたしまして、いろいろの
請求
権が與えられておる。それは
会社
荒しの好餌になるだけだという点があつたと思うのでありまして、この四百九十四條の一項の三号ですが、この中で結構だと思うのですが、例えば二百四十
五條
に二の
反対株主
の
株式
買取
請求
権、これが
合併
の場合にもあつたと存ずるのであります。それから、二百七十
二條
の
株主
の差止
請求
権、更に二百八十條の十の
発行
の差止
請求
権等の
権利
行使についても、この
罰則
を適用すると、まあ三号に入れて
規定
すれば
差支
ないかと思うのでありますが、ところが原案には、その考慮がされておらんように思うのですが、その
理由
を伺いたいと思います。
岡咲恕一
18
○
政府委員
(
岡咲恕
一君) 只今お尋ねになりました買取
請求
権、或いは
取締役
の
権限
踰越及び
定款
違反の
行為
に対する差止
請求
、或いは
株式
の不当
発行
に対する差止といつたような
請求
はこれは結局におきましては、
訴え
に結びつくのでございまして、
裁判外
におきましてさような
請求
をいたしますることは、もとより
差支
ないのでございまするし、或いはその
請求
に際しまして、不正の請託をすると、或いは財産の
利益
を收受いたしますこと自体は、直ちにこの四百九十四條の刑罰が適用されるということにはならないかと思いまするが、若し
会社
側が不正な請託を拒絶されますると、結局
訴え
に相成るわけでございまして、若し
会社
側が自分の要求に応じなければ、或いは
訴え
を起すということになりますと、四百九十四條の第一項の第二号に該当いたすわけでございまするから、結局事実認定の問題になろうかと思いますが、
会社
は不正な請託に対して毅然としてこれを拒絶すると、そういたしますると、それ以上進んで不正な
株主
が
会社
いじめをやろうということになりますと、結局この
訴え
の提起ということに相成るわけでありますから、四百九十四條の第一項の第二号を適用されて、処罰されることに相成るのではないかと思います。 問題は、結局この訴訟外における問題でございますが、結局もれはこの
訴え
に結びつくとい
関係
におきまして、私は只今御指摘のこの二号によ
つて
処罰を受ける場合があり得るのではないかと考えまするので、相当不正な
株主
に対しては制裁が加えられることになるであろうと考えるのでございます。
松井道夫
19
○松井道夫君 おつしやる通り、今私の言いましたような、例えば二百四十
五條
の二、二百七十
二條
、二百八十條の十、四百
八條
の二の
合併
の場合ではないかと思うのですが、こういうものは結局は
訴え
になるのだと、それで第二号の第四章に
定め
る
訴え
の提起ということの一つの前提的の
権利
と考えられる、それ故に特にこれを掲げる必要がないのだという
趣旨
に伺つたのでありまするが、成る程或いはそうかも知れないのであります。併しながら、その間別個の
規定
を置いても必ずしも無用でないと考えられますので、特に三号に今のような
規定
を入れることについては、全然
反対
であられるのか、或いは全然無意味だと考えられるのか、或いは多少の実益が予想できると考えられるか、その辺を承わりたいと思います。
岡咲恕一
20
○
政府委員
(
岡咲恕
一君) 松井
委員
の御提案のように、三号に
株主
の
権利
の行使の場合を入れますことは、或いは適当ではないかと考えます。三号に入れるのがよろしいのか、或いは場合によりましては二号を
修正
いたしまして、広くそういう場合を救い得るようにいたすのがよろしいのか、多少立案上検討を要すべき点があるかと思いまするが、解釈上疑義を生ずる余地かないように、適当に
修正
いたしますことについては、賛意を表するものでございます。
松井道夫
21
○松井道夫君 次に、同じ
罰則
の
関係
でございまするが、四百九十
八條
の十号を削除せられました
趣旨
は、いつぞやの
委員
会で
説明
せられて、はつきりいたしておるのでありまするが、ところで旧法、即ち
現行法
の十号によりますると、これは
新株
の
発行
、即ち増資の
関係
に相成ると思うのでありますが、
取締役
もこの中の入
つて
いるように存ずるのでありまするが、尤もその点は今條文がございませんので、はつきりいたしませんけれども、さように承知いたしておるのであります。ところが、本條の第二項によりますると、発起人の場合に限られている。これが新らしい
制度
におきまして、
新株
を
発行
する、それに関連いたしまして、
取締役
が自分で
新株
を割当て或いは引受ける、その関連におきましてやはり不正を働く余地があるのではないかと私は想像するのであります。
取締役
を入れることについてはどう考えておられますか。
岡咲恕一
22
○
政府委員
(
岡咲恕
一君) 松井
委員
御指摘のように、三百七十條の第二項におきまして、
現行法
の百九十條の第二項の
規定
を
取締役
及び
監査役
に準用いたしておるのでございます。言い換えれば増資による
新株発行
の際に、
取締役
及び
監査役
が
権利
株の讓渡をすることを禁止いたしておりまして、この禁止
規定
に違反しました場合には、只今御指摘のように、四百九十
八條
の第十号の
規定
によりまして制裁を受けるということに相成
つて
おるのでございまするが、
改正法
安によりますると、四百九十
八條
に新らしくこの第二項を起しまして、発起人が
権利
株を讓渡した場合に、従前通り制裁を受けることにいたしたのでございまするが、
取締役
或いは
会計監査役
の
権利
讓渡につきましては、さような制裁を認めなかつた次第でございます。これは多少論議のございました点でございまして、或いは
現行法通り
認めることも一つの行き方でございまするが、発起人に
権利
株の讓渡を禁止いたしまして、殊にその禁止に違反しました場合に制裁を科しておりますのは、
会社
の
設立
における
会社
の基礎を強固ならしめる、
設立
の際における発起人の
責任
を特に重かしめて、従前よく見受けましたように、発起人が全く私益を図るために、私利を営むために、
会社
を
設立
して間もなく
会社
を投げ出すというふうなことを防ぐという
趣旨
が出るのでございますが、すでに
会社
が
設立
いたしました曉に、
改正法案
によりまして、この
新株
を
発行
いたすということになりますと、これは従前の増資とは多少趣を見にいたしておりまするし、その場合に
取締役
に特に
権利
株讓渡を禁止しなければならないという程の必要はないのではないか。若しもさようなことによりまして、
取締役
が不当な
利益
を図るというふうなことがありますると、
取締役
一般の
責任
によりまして、
損害
の賠償を求める、或いは
責任
追及をする、或いは
取締役
解任の
訴え
を起すというふうなこともなし得るわけでございまするし、
権利
株は現在におきましても広く殆んど慣習に讓渡されておるような
関係
にありまするし、その
権利
株が
取締役
の
権利
株なりや、或いは一般引受人の
権利
株なりや不明な場合もございまするし、むしろこの際
取締役
に対してはさような
制限
を置かないでよろしいのではないかというふうな意見が支配的になりまして、
取締役
に対しましては発起人同様の
責任
を認めなかつた次第でございます。
松井道夫
23
○松井道夫君 これは立法技術上の問題をちよつとお尋ねしたいのでありますが、従前の
規定
、即ち四百九十
八條
の
規定
では、今の
権利
株の場合を十号としてうまく包攝いたしておるのでありまするが、本
改正
案におきましては、第二項ということにな
つて
いるのであります。それが只今特に論議の末、
責任
を認めなかつたということ、
取締役
の
関係
でございまするが、その
関係
を除いたために、うまく十号の中に入れることができなかつたのか、これはどういう立法技術上の
関係
で第二項という、特に一項を設けなければならないのか、その点を伺いたい。
岡咲恕一
24
○
政府委員
(
岡咲恕
一君) これは立法技術の問題ですが、問題の起りは百九十條の二項を削除いたしました
関係
上、
現行法
の四百九十
八條
の十号のように條文を援用いたすことが許されなく
なつ
たわけでございまして、この條文を落してしまいますると、四百九十
八條
の本文にありまするそれぞれの人人が、すべてこの
権利
株の讓渡ができないというふうなことになりまして、これは不当な結果に相成るわけでございますから、むしろ第二項として発起人の
権利
株の讓渡だけを掲げるというふうにいたしたわけでございます。
伊藤修
25
○
委員
長(
伊藤修
君) それではこれで散会いたすことにいたします。明日は午後一時から開会いたします。 午後二時五十一
分散
会 出席者は左の通り。
委員
長 伊藤 修君 理事 岡部 常君 宮城タマヨ君
委員
大野 幸一君
石原幹市郎
君 深川タマヱ君 松井 道夫君
政府委員
検 事 (法制意見第一 局長) 岡咲 恕一君 検 事 (法制意見第四 局長) 野木 新一君