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1950-04-07 第7回国会 参議院 法務委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月七日(金曜日)    午前十時五十七分開会   —————————————   本日の会議に付した事件検察及び裁判運営等に関する調査  の件(五井産業事件)  (右件に関し証人証言あり) ○証人喚問に関する件   —————————————
  2. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それではこれより委員長会を開きます。検察裁判運営調査について五井産業事件に関する証人証言を求めます。千葉淑夫さんですか。
  3. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) さようでございます。
  4. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お住いはどちらですか。
  5. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) 品川区南品川一丁目五番地でございます。
  6. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今日御承知五井産業事件に関連しましてあなたに関係する分をお尋ねいたしたいと思いまして御出頭願つたのでありますが、これから御証言をして頂く前に嘘を言わないという宣誓をお願いいたします。宣誓をなさつてから嘘、僞りがありますと僞証の罪に問われますから御注意いたしておきます。それでは宣誓をお願いいたします。    〔総員起立証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣誓書  良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又何事をもつけ加えないことを誓います。         証人 千葉 淑夫
  7. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 年齢はお幾つですか。
  8. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) 四十七歳です。
  9. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お仕事は……。
  10. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) 医師でございます。
  11. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どこで開業していらつしやるのですか。
  12. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) 今の番地の所に開業しております。
  13. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 千葉病院というのは、あなたが主任でございますか。
  14. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) さようでございます。
  15. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの病院伊藤鑛壽という人が何か病気診察にいらしつたことがありますか。
  16. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) 私が自宅に伺いまして診察いたしました。
  17. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いつ頃から伊藤鑛壽氏がかかつておりましたか。
  18. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) 三月の三十一日でございました。
  19. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どういう病状つたのですか。
  20. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) 扁眺腺がはれまして、同時に右の咽喉のこの近所におできができまして、それで熱がございました。
  21. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでそれは往診されたのですか。
  22. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) さようでございます。
  23. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 往診されたときの伊藤鑛壽状態は寢ていらつしやつたのですか。
  24. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) ええ、寢ておりました。そのとき。
  25. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それからいつ御覧になつたのですか。
  26. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) それからずつと見ております。
  27. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 毎日……。
  28. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) 日曜以外は伺つておりました。
  29. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 日曜というと二日ですね。
  30. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) ええ、そうでございますね。
  31. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 二日以外は毎日診たのですか。
  32. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) 毎日診ました。
  33. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 毎日往診されたのですか。
  34. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) 毎日往診しました。
  35. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 毎日寢ていらつしやつたのですか。
  36. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) そうでございますね。最近は寢たり起きたりでございますね。
  37. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 最近でない毎日において、あなたが御覧なつたときに……。
  38. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) ええ、そうでございます。
  39. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 毎日寢ていたか……。
  40. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) 寢ておると申しまして……、在宅でございます。
  41. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 寢ているかどうか聽いているのです。
  42. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) 起きておることもありましたし、寢ておることもありました。
  43. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 布団は敷いておりましたか。
  44. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) 布団は敷いておりました。
  45. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それで三日の日は……。
  46. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) 行きました。
  47. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 三日の日はどうでしたか。
  48. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) 様子でございますか。
  49. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ええ。
  50. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) 三日の日は、やはり喉の腫はよくなつておりましたけれども、おできの方はまだ大分痛みがございまして、そうしてそれを治療いたしました。
  51. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それで三日の日は寢ていらつしやつたのですか。
  52. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) そうでございます。寢ておりました。
  53. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 病状の場合ですね。外へ外出したり、お話することについてどうですか、差支ありますか。
  54. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) そうでございますな。まあこの病気病気でございますから、絶対安靜という程のことはありませんでございます。
  55. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると外出されても構わないですね。
  56. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) まあ、しない方が病気のためには治りは早うございましようね。
  57. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 治りは早いけれども、されたところで差支ないでしようか。
  58. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) それはそうでございますね。
  59. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 人と会談するのには差支ないですね。
  60. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) 程度にもよりますですけれども。
  61. 伊藤修

    委員長伊藤修君) こうやつてお話しすることはどうでしようか。
  62. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) そうでございますね。まあ成るべくやらない方がよろしうございますけれども、できないことはございません。
  63. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 病状に障るようなことはないですか。
  64. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) 段々、ああいうものは病気の性質が分つておりますから、又ぶり返すとか何とかいう、そういう性格のものじやございませんから……。
  65. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 四日の日に診断書を書かれておりますが、これは御覧になつて……。
  66. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) そうでございます。
  67. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 四日の日に診断したのですか。
  68. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) ええ、拜見しました。
  69. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうしてこの診断書をお書きなつた。
  70. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) そうでございます。
  71. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 和田医者診断書は、これはどういうわけで和田さんが御覧になつたのですか、四日の日。
  72. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) それはちよつと妙ないきさつなんでございますけれども、大体和田という医者は私共の耳鼻科外科をやつているのでございますよ。先月三月の十日前後でございましたか、盲腸をやりましてずつと休んだのでございます。代りの医者が来ておつたのでございますけれども、それが今度外科学会がありますから四日、五日、六日と休む。それで臨時ちよつと和田君に来て貰つたのです。そのときに診断書が要るという話があつたものですから、それじや君、ちよつと一緒に来て呉れんかというので行つて診て貰いました。
  73. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 和田さんは本人の宅へ行かれたのですか。
  74. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) そう、一緒に参りました、私と。
  75. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それで診察の結果書かれたのですね。
  76. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) そうです。
  77. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 余りよく知らない人ですね。
  78. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) 私の方がよく知つております。
  79. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どうしてあなたがお書きにならなかつたのですか。
  80. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) それは習慣上いつも各科の自分のやつは、自分の科のものはまあ自分で書いて貰うという癖が、私ついているものですから、やはりそんなつもりでやつて貰いました。
  81. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 四日の日は起きてらつしやつたのじやないのですか。外へ外出されておつたのじやないのですか。
  82. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) 私の行つたときは在宅しておりました。診断書が欲しいというので私診ました。
  83. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 寝ておつたのじやないのですか。
  84. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) 床は敷いておりました。
  85. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 横になつているということは……。
  86. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) それはもう寝る程の状況じやありません。
  87. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ええ、当日外出していらつしやるのですがね。
  88. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) そうですか。それは私存じません。
  89. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは何時頃いらつしやつたのですか。
  90. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) いつでございます。
  91. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 四日の日に……。
  92. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) 四日の日に私が行きましたのは、そういう時間はちよつとはつきりしていないので分りませんが、お晝過頃つたように覚えておりますがどうもはつきりいたしません。
  93. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お晝過頃ですね。
  94. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) ええお晝過頃つたように覚えております。
  95. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどこの部屋ですか。
  96. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) 自宅のいつも寝ておられる部屋でございますがね。
  97. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お晝前……。
  98. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) お晝前というかお晝前後でございました。はつきり覚えておりません。
  99. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何かお尋ねになることは……。
  100. 大野幸一

    大野幸一君 四日の日に二人のお医者行つたのでございますね。
  101. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) そうでございます。
  102. 大野幸一

    大野幸一君 初めて和田さんが……。
  103. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) そうでございます。
  104. 大野幸一

    大野幸一君 それは和田さんがよくなつて来たから行つたのですか、特に診断書が欲しいからというので……。
  105. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) いやいや今お話しましたように、四日、五日、六日、和田君という医者が私のところにおりまして、出て来ましたものですから、臨時に……。それは普段から一緒にいる心易いものですから、私ちよつと一緒に来て貰つた、こういうわけであります。
  106. 大野幸一

    大野幸一君 その診断書は、どこへ出す診断書ということは申しましたか。
  107. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) それはここへ出す診断書と申しました。それで私やはり事重大だと思つたものですから、私専門科耳鼻科外科じやなかつたものですから、一緒に行つて診て貰いたいと言つてつたわけであります。
  108. 大野幸一

    大野幸一君 それじや出掛けるときから診断書が必要だということは分つてつたのですか。
  109. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) そうです。
  110. 大野幸一

    大野幸一君 事重大だと思いましたか。
  111. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) ええ、思いました。
  112. 大野幸一

    大野幸一君 どのくらいあるのですか、距離は。あなたの所から……。
  113. 千葉淑夫

    証人千葉淑夫君) 私のところから極く近うございます。
  114. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 他にお尋ねになることは……。それじやお忙しいところを御出頭恐縮でございました。   —————————————
  115. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どうぞお掛け下さい。    〔証人佐藤昇君着席〕
  116. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今日出頭願いましたまことは、御承知五井産業事件に関しまして、あなたにいろいろお尋ねしたいことがありますので、その御証言を願うために御出頭を願つたわけです。これから御証言をお願いする上において、若し嘘、偽りがありますと処罰されます。勿論宣誓をして頂くわけですから……。それでは宣誓を願います。    〔総員起立証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣誓書  良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。          証人 佐藤 昇
  117. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お住いはどちらですか。
  118. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 住いですか。東京都文京区林町九十二番地です。
  119. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お年は幾つですか。
  120. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 数え年三十九歳です。
  121. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの略歴をおつしやつて頂きます。
  122. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 学校ですか、それとも……。
  123. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 学校以来でよろしいでしよう。
  124. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 簡單でよろしいですか。
  125. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 略歴でよろしいです。
  126. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 学校中央大学専門部昭和七年に卒業しまして、それから学部三年まで行きまして中途退学しております。七年に専門部を卒業して、常盤生命に奉職しました。それから昭和十一年と思いますが、鐘紡東京サービス・ステーションに入りました。それから昭和十六年と思いますが国富商会というものを作りまして独立いたしました。その後戦時中は株式会社五井製作所を創立いたしまして軍需品製作をしておりました。終戦昭和二十一年三月と思いますが、五井産業株式会社を作りまして、それからたしか同年の八月頃かと思いますが、国富繊維株式会社を作ました。それ以後逐次旭機電工業とか、国富パルプとか中央産業とか、いろいろ会社を起しましてやつておりますが、現在残つておりますのは国富繊維五井産業とでありまして、旭機電工業は投資しただけでありまして、私は役員としては関係いたしません。大体そういう経過であります。
  127. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは今お話がありました各御経営の会社仕事ですね。
  128. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) は。
  129. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 簡単にその会社状態を。
  130. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 現在残つておるやつでよろしいのでありますね。
  131. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 初めから。
  132. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 国富商会は大体繊維と雑貨を扱かつております。それから五井製作所は先程申上げました通り軍需品製作をしております。それから五井産業株式会社は農機具とか機械製作、販売、或いは運動器具、或いは鉄鋼関係、そういう仕事をしております。それから国富繊維繊維関係だけ、旭機電工業は投資してあつたのですが、大体電気機具系統をやつております。大体そういう状態であります。
  133. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはいずれもあなたが社長ですか。
  134. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) いいえ、旭機電工業は違います。
  135. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それ以外は全部あなたが社長ですか。
  136. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) その当時はそうでございました。
  137. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 現在は五井産業国富繊維だけですか。
  138. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そうでございます。それから一つ新らしく作つた中央産業というものがございます。
  139. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどういうことをやつておりますか。
  140. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それは大体今までの国富五井仕事一つに統括したような仕事をしたいと思つて、まだ仕事の発足はしておりませんが、会社自体はできております。
  141. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 五井産業はどこに本社があるのですか。
  142. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 本社神田神保町一丁目五番地になつておりましたが、それがたしか小川町三丁目一番地に最近変つておる筈です。
  143. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 国富繊維はどこですか。
  144. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 国富繊維もたしか同じ所であると思います。
  145. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 永代橋かどこかに何かおありになるのじやありませんか。
  146. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それはもうすでにありません。二十四年の春ですか、五六月頃から殆んど使つておりませんで、外から借りてあつたものですから返してあります。
  147. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、永代橋にあるところの事務所五井産業事務所であつたのですか。
  148. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 五井産業も使つておりましたし、国富繊維も使つておりましたし外の関係会社も全部いろいろ入つておりました。
  149. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その事務所はいつからいつまでお使いになつておりましたか。
  150. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 二十二年のたしか夏くらいから実際使つたのは二十四年の春くらいまでじやないかと思います。
  151. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その各会社資本金は分りますか。
  152. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) はつきりちよつと分りませんが、国富が百万ということは分つております。
  153. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 五井産業は。
  154. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 五井産業はいろいろ合併したものですから経理の者でないとはつきり分らないのです。
  155. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 最初作つたときは。
  156. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 最初作つたときは十何万だと思いましたが、私の記憶では合併して後から増資して百万くらいになつておるのじやないかと思いますが、いろいろ独占禁止法などがあつた関係上、なかなか合併ができなかつたものですから資本金についてはよく分りません。
  157. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その他の会社は。
  158. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) その外は旭が百万くらいじやなかつたかと思います。
  159. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まだありますね。
  160. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) あと五井製作所はたしか十何万だと思います。これは戦争中のあれでございますから。
  161. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 外のは。
  162. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 外のは皆小さな資本金で全部十万台じやなかつたかと思います。それは全部合併しましてあと五井産業にいたしました。
  163. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 終戦当時は、失礼ですが、あなたの資産というのですか、どのくらいおありになつたのですか。
  164. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 借も貸もありましてはつきりちよつと分らないのです。
  165. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 凡そどのくらいあつたのですか。
  166. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) はつきり数字的には分らんのですが。
  167. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあ凡そ百万とか二百万とか一口によく申しますがその程度でよろしいのです。
  168. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 終戦当時どの程度でしたかどうもはつきり分らないのですが。
  169. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 併し大体自分の財力というものを御承知の上で御事業をなさいますのですから、一口に五百万とか千万とか……。
  170. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 純粋に言えば百万くらいじやないかと思いますが、たびたび借りたり出たりなんかしておりますから……。
  171. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 勿論清算して……、計数的にお尋ねするわけじやないのですから。
  172. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 百万くらいじやないかと思うのですが。
  173. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたのお気持ちとしてはね。
  174. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) は。
  175. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 二十二年頃は失礼ですが、どのくらいあつたのですか。
  176. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) ちよつと分りません。ああいうふうに社会情勢がずつと変つておりましたので、しよつちうどんどん仕事を変えて行きましたから、どのくらいあつたかということになると、ちよつと分らないのです。
  177. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 相当おありになつたようですね。
  178. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 財産としてあつたかどうかは分りませんが、仕事がぐるぐる廻つたことは確かです。
  179. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 運転しておるところの事業形態ですね。約どのくらいのものが動いておつたわけですか。
  180. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) やつぱり資金的のやつは……。
  181. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたのものであつてもなくても。
  182. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 大体銀行の動きになりますから、ちよつとはつきりした記憶はないのですが。
  183. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 当時一億くらい動いておつたのですか。
  184. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 出入りしたということになるとその程度はあるかと思います。
  185. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのくらいの仕事はなさつておるわけですか。
  186. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 純粋な注文とか何とかということになると別ですけれども、金の動きとしてはそのくらいは動いておるかも知れません。
  187. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 全体の動きとしてはね。
  188. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 全体の動きとしては……。
  189. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 大体そのくらいの商取引はなさることができたわけですね。
  190. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) ええ、そうですね。
  191. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは主として繊維の方でしたか。
  192. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 繊維もありましたし、機械関係運動関係、全部ひつくるめたことでありますから……。
  193. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 主力はどこに注いでおりましたか。
  194. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 私の気持……主力としては両建てにしておりましたけれども…‥。
  195. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 両建てとは。
  196. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 金額繊維の方は御存じのように、あの当時マル公がどんどん上つて、来ましたから、金額としては繊維の方が張つておるかも知れませんが……。
  197. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 金額的に言えば、繊維の方が主力的に……。
  198. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 金額的に言えば、やはり繊維の方が主力的になると思いますね。
  199. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 繊維と申しますと、全体としてどのような繊維をお扱いになつてですか。
  200. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 大体私の方は絹、人絹布帛ですね。あの当時登録がありましたから……、特紡とか、ガラ紡とかそういうものが主体です。
  201. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、当時の商工省登録は何の部類に入つておりましたか。
  202. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 絹、人絹、それから布帛製品特紡ガラ紡ですね。この三つつたと思います。
  203. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、三種に登録されておるのですな。
  204. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そういうわけです。
  205. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 当時は登録資格はなかなかむずかしかつたのですね。
  206. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そうでございますね……、なかなかむずかしかつたですね。
  207. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、あなたの方は戦時中の何か……。
  208. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) いいえ、私の方は外の実績を買つてやりましたから。
  209. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お買いになつてつたのですか。三つともが……。
  210. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) ガラ紡や何かは、昔のあれはあんまりなかつたものですからね。それで布帛の方は、あれは工場がありましたから、工場自身布帛登録というものをやつておりましたから取れたと思います。これも合同してとれた形です。一軒々々ではそんな大きいものはありませんから、何社か合同して布帛登録をとりました。
  211. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 権利をお買いになつたのですか。
  212. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) どれですか。
  213. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 絹、人絹の……。
  214. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 絹、人絹権利買いました。
  215. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その当時は相当したのでしよう。二百万か三百万したのじやないのですか。
  216. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そんなにはしなかつたですね。
  217. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一口に二百万という相場でしたね。
  218. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それは金額から言つたのではありませんか。権利から言つたのではなくて、金額の問題ではありませんか。
  219. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そんなことを聞きますがね。
  220. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) ええ。
  221. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは大変政界の方にお近付きが多いようですが、御商売の上において、政界の方へお近付きを求められたあなたのお気持はどういうわけですか。
  222. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 私は商売として政界に近付いたとか、そういうことは私はありません。私の終戦後の考えというものは、要するに二十年の終戦なつたときに私の考えたことは、要するにこれから世の中がどうなるだろう、これは私一人でなく国民が皆考えたことと思います。従つて昭和二十一年二月まで果して世の中がどうなつて行くかということを考えて、ずつと参つたのであります。段々世の中が乱れて参りまして、これではとてもいかんと、少くとも我々一応商人の端くれと申しますか、いくらかでも商売して行かなくちやならん、我々国民の一員といたしましては。これはとにかく商売と並行して社会的な問題を解決しなければならんのではないかということが、私共の商売を擁護する立場も勿論あるかも知れませんが、併し私共の純粋な気持は、少くとも戰後の日本を何とかしなくちやいかんと、国民一人々々がそういう気持であれば、当然これはよくなるだろうと、そういう考えから先ず第一に私は自分スポーツをやつたものですから、取敢ず健全なる体力には健全なる事業が宿るという我々のモツトーがあるものですから、先ずスポーツにということからスタートいたしまして、それから次に治安の問題、或いは社会的に非常に冷遇されている人とか、そういう者ですね、そういう者を救つて行かなければならんと、我々のできる範囲で、私の気持はこれをできる範囲でやつて行くと、従つて私達と同じ気持でやつてつて貰い、将来そういう国を作り上げて行くという人達には、政界ということを抜きにして、お互いに付き合つて行きたい、こういう気持から付き合つたのでありまして、当時政界に乘り出して人とは余り関係はありません。ただ現在、その後ずんずん情勢変つて政界に出られている人もおりますものですから、その点をピツク・アツプされて、何か沢山あるように思われますが、自分気持はそういう気持でした。
  223. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたはこの警視庁関係の知己を多く求められておりますが、これはどういうわけですか。
  224. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それは只今申上げた通り、要するに武器のない日本治安ということが結局根本になりますので、治安を守るためには警察より他に日本のそのときの現状としてはなかつたのであります。従つて我々は神田事務所があつた関係上、或いは自分の家が他にあつた関係上、少くともその土地のあれだけはこれはお互に治安に維持して行かなくちやいかんという建前から、たまたまそういうふうに防犯協会しか或いは協力会という話も出まして、いろいろ人からもお話があつた自分の趣旨にも非常に合つたことであるから、できるだけ協力しようということで先ずやりまして、その後その線に倣つた東京警察後援会というのがありまして、いざ事件が起つて総動員しなくちやいかんような場合は、やつぱり住所が転転としては非常に困るという建前から、警察寮の建設を警視庁がやられたと思いますが、そういう関係でそこに少し寄付をいたしたものですから、それと同時に評議員とか何とかそれになつてつたんです。その関係でたまたま自分が警視庁にも出入りして、とにかく治安繊維を確立してやつて貰いたいという気持で警視庁なり警察には出入りをいたしておりました。
  225. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御商売商工省方面にもお近付きが多いようですがね。
  226. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 商工省の方は私直接、仮に繊維仕事にしても、まあ一般では直接商工省と取引されるように思つておられるが、我々の商売というものは要するに協会がありまして、協会自体が動いておるものですから、直接私達から繊維局へ行つてとやかくいうということは余りないのです。ですから商工省にはそういう皆さんが、今委員長さんがおつしやられたような沢山の近付きがあるということはないと思います。
  227. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 併し繊維業者の方は商工省に殆んど詰めかけていらつしやいますな。
  228. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 私は詰めかけておりません。
  229. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの会社のその担任の方のどなたか詰めかけておられませんか。
  230. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そのときの事情によつて商工省に行かなければならん場合もありますので、それは行く場合もありましたけれども、世間で一般にいう商工省に出入りしてそこから仕事を貰うということはなかつたと思います。
  231. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの事業の方では切符操作というものは要らなかつたのですか。
  232. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 切符は小売屋さんから上つて来るものを卸売切符に切換えて、メーカーなりから我々が貰つて、又元に戻すだけの仕事ですから、切符操作だなんということは小売屋さんと卸売屋さんがやることでありまして、商工省に行つてそれをどうこうするということはありません。
  233. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 商工省から枠を貰うということはありませんか。
  234. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 私の会社自体にはありません。
  235. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの方ではその必要はなかつたのですか。
  236. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 私の方にはありません。
  237. 伊藤修

    委員長伊藤修君) よく繊維業者の方や何かが枠を貰つて登録することはよくありますね。
  238. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それはメーカーとか……大体メーカー関係が多いと思いますが、要するに小売屋さんですね。一番末端の小売屋さんの各地区の連合体がありましたから、そういうところはやはり商工省に行つて大きな枠を、仮に戰災になつた場合に戰災のいろんな被服とかその他の物を貰うためには、今まで出ている切符では間に合わんから、そういうものは繊維局に行つてこのためにひとつ枠を出して呉れということは小売業さんの連合体がやるのです。我々はただ下から来た切符を現物化して渡すということであります。
  239. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か商工省から何といいますか、拂下げといいますか、そういうようなお仕事をなさつたことはありませんか。
  240. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) ありません。
  241. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 官庁方面から何か物を拂下げを受けたことがありますか。
  242. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 官庁方面から物を拂下げたことは、貰つたことはないと思いますが……。
  243. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 自動車なんかを拂下げて貰つたことは……。
  244. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そんなことはありません。
  245. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ガソリンとか何かは……。
  246. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) ありません。
  247. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうものは扱つておりませんか。
  248. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 扱つておりません。
  249. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か資材関係商工省からいろんな拂下げを受けるとか、切符を貰うとか、枠を貰うとか、そういうことはありませんか。
  250. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そんなことはないと思いますが、細かい点については自分自身でやつておりませんからよく分りませんけれども、大体ないと思います。
  251. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 大体会社の大きな事業の枠としてですね。
  252. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 私の会社ではないと思います。
  253. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 岡田秀男という方を御存知ですか。
  254. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 知つております。
  255. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この方とお知合になつた最初の御関係、その後の御関係ちよつと述べて頂きたいと思います。
  256. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 岡田君の場合は、岡田君と知合になりましたのは、よくはつきり知合つたの昭和十一年に鐘紡に行つてから知合つたのですが、一番最初スポーツで帝大病院に試験台になつておるときにちよつと会つたことがありますので、元へ戻せばそれからになりますが、交際を始めたのは大体鐘紡に行つてからだと思います。それから現在もずつと交際しております。
  257. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 最初は岡田秀男という人に御紹介になつたのですか。
  258. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) いやそれは違います。
  259. 伊藤修

    委員長伊藤修君) もう少し岡田秀男さんとの御交際関係を詳しく述べて頂けませんか。
  260. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) どの程度ですか。
  261. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それからの岡田さんとの御関係を……。
  262. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 要するに新聞紙上に出ているようなことですか。
  263. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあそれからいろいろ御交際になつていらつしやることですね。
  264. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) ずつとつき合つております。
  265. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあ金銭をやつたりどうとかいうことはあとでよろしいですから、その御交際関係を……。
  266. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 交際関係はそれからずつと、岡田さんが名古屋に行つたり或いは地方に行つたりしたこともありますが、非常にずつと親密にしておりまして、勿論私の家庭などえは、私がいなくても遊んで行くというような、そういうような親密の度合で今日まで来ております。
  267. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 岡田さんとそのおつき合の間にいろいろ金品のお取りやりがあるようですね。その御関係を述べて下さい。
  268. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) これは私の記憶はつきりしないところが多々ありますので、その点を先に御了承願つておかなければならんと思います。
  269. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 憶えていらつしやることで結構でございます。
  270. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) とに角長い友人でもありますし、岡田さんについては私も非常に心服しており男ですから、非常に向うから或る程度まで信頼して貰つたという形で、本当に友人としてつき合つて来ております。大体一番……金銭的の問題になりますけれども。
  271. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 若しメモがありましたらメモを御覧になつて……。
  272. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) メモはありません。読売新聞一枚だけです。(笑声)大体岡田君は確か……これはここまで来ますと職務関係などもいろいろ入つて来ますが一応申上げます。大体岡田は終戦後名古屋の確か東海地区か何かへ転勤になつて行きまして、奥さんや何かと離れて生活をされておられた。そこでまあ東京へ来られたり何かしますと、なかなか裕福でもありませんし、幾らかでも私の方が商売しておりますから何とかなる立場にあつたものですから……非常に正しい男でありますしするもので奥さんに……知つてるか知らないか知りませんけれども、奥さんが来られたとき少しくらい費用を渡したということもあるかと思います。それから二十二年になりまして商工省の特別資材部長になつて参りまして、それで確か四月か五月だつたと思いますが……その間病で倒れたのであります。倒れまして一月くらいで……確か特別資材部長というのは非常に重要なポストであつたのですから、やめたのではないかと思いますが、これは岡田さんから聴いて貰えば分ると思います。はつきり分りません。確かやめたと私記憶しておりますが……それでずつと病気病気つたものですから、非常に長かつたのです。それで確か夏頃だつたと思いますが、ちよちよい見舞には行つておりましたが、費用もなくて困るだろうということから、岡田君に金額は二万円か三万円かその辺は分りませんけれども、最初は二万円くらいじやなかつたかと思うのですが、その後ずつと静養をしておりまして、確か二十二年の終頃までは役所にも行かないような状況だつたと思います。それから役所へ出てからもずつと病院通いをしておつた関係もありますので、自分としましてはできるだけ自分のできる範囲で面倒見てやらなくちやいかんという立場で、ずつとその後継続して幾分でも援助してあつたのですが、その金額が全部で十二、三万になるかとも思うのでありますけれどもそれはとにかく記憶はつきりしませんので、はつきりした金額は申上げられませんけれども、大体そういうふうな事情になつております。それから二十四年……三年の春ですか……四年の春だつたと思いますが、お母さんが岡田におられるもので、世帯が二つになつてはとてもなかなか役人として生活が困難だということから、岡田さんの親戚の人がいろいろ相談なさいまして一つ部屋を作りたいからということで何とか佐藤少し貸してやつてくれんかという話もありましたし、本人からもそういう話がありましたものですから、多分十万円ばかりそのときに貸してやつたと思います。但し勿論借用証とかそういうものは取つておりません。大体その程度でございます。
  273. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうですか。それ以外には御記憶ないですか。
  274. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それ以外には記憶はありませんです。まあ細かく言えば二十四年の後半期や何かに少しくらい援助したこともありますものですから、それはありますけれども……。
  275. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その十万円援助した後に……。
  276. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) はあ。
  277. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 十万円援助なさつた後にですね。
  278. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) は、そうです。はあ。現在でも岡田さんはやはり病院通いしているものですから……。
  279. 伊藤修

    委員長伊藤修君) はあ……。何か二十四年の五月頃てすね。上野の一力ですね。消防庁の衣料品特別配給について塩谷さんからお話があつて、それであなたと塩谷さんと岡田さんと、或いは近藤繊維局長ですか、藤井製品課長、山田経理課長ですか、それから吉岡厚生課長ですね、こういう方と御会合になつて飲食を共にされてそういうお話なさつたことがありますか。
  280. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) ええ、あります。
  281. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどういうあれですか。
  282. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それはですね、消防庁は要するに警視庁に前一緒にあつたのですが、その後消防庁と警視庁が分れましたので、それで厚生部面が、やはり警視庁と消防庁が厚生部面が違つておりました。非常に不馴れだつたもので、なかなか職員の厚生関係ができないというので、たまたま消防庁の係の人がまあ私も幾らか繊維をやつておるということを知つておられたものですから、来られて、何とか盡力して貰えんかという話だつたものですから、それで私はそれは大体警視庁が前に今まで、現在でもやつておられるような厚生物資のやり方をされておるから、それに倣つてやられたらいいでしようと、こういうふうには申上げたのですが、やはり不馴れですから、まあお手伝い願うと言つたものですから、それではお手伝いしましようということでお手伝いしてあつたのです。それで、それにしても一応やはり正式にやるのだからまあ一つ総監も、役所の方と一応はつきりした連絡をとられてやつたらどうかというもので話をいたものですから、それでまあでは一応会合しようというので会合されたわけないです。私も最初お断りしたんですが、まあ仕事の面について余り詳しくないから佐藤君もちよつと出て一応援助してくれんかという話もあつたものですから、それではというので私もそこへ列席いたしまして、でもまあ一応その話をいたしまして、一応それは御尤もな話だということで、その会はそれで私は直きに帰つてしまつたんであります。まあその後消防庁の方も、商工省の方もいろいろ検討された結果ですね、まあ警視庁並に扱つた厚生物資の配給をしようじやないかという話はしておりました。又その線に沿つて実行しつつあつたと思います。
  283. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その設営はあなたがおやりになつたのですか。
  284. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) その支拂は消防庁が拂つております。
  285. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ですけれども設営支拂というものは、消防庁がおやりになつたのですか。
  286. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) ええ、それは消防庁がやつたと思います。ただ場所をどこにするかなんといつたとき、私がどこがいいというので、上野の一力と言つて私が連絡したかも知れませんが、併し一応設営は全部消防庁がやつております。
  287. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたがお設けになつたわけじやないのですね。
  288. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) ええ。私が設けたわけじやありません。
  289. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたと岡田秀男という方はどういう関係ですか。
  290. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それは岡田秀男さんは岡田秀男さんの伯父さんに当りますが。併し大体兄弟みたいな形にあつたものですから、私も前からまあ岡田秀男さんの方に非常に親しい人があれば、岡田秀男さんの方が紹介して貰つたり、岡田秀男さんの方の親しい人があれば、岡田秀男さんの方に紹介して貰つたりなんかするような関係があつたものですから、岡田秀男さんから私が紹介されたんです。
  291. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 包義と書いて「かねよし」と読むのですか。
  292. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) これは「かねよし」と読む筈ですか。
  293. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この人が北海道長官かなんかやつておられたのですね。
  294. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) ええ、北海道長官をやつておりました。
  295. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その時分から御存じなのですね。
  296. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 知つております。
  297. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その時分もすでに紹介を受けていたのですね。
  298. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) ええ、知つております。
  299. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それで何かいろいろな仕事の御関係は生じたのですか。
  300. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 仕事関係は別にありませんですけれども、ただ当時、岡田秀男さんが北海道長官に赴任する当時は、北海道の供米が確か四八%しかできていなかつた、これに対して報奬物資を渡すという約束で農民その他に非常に宣伝してあつたらしいのですが、それがちつとも現物が行かんというので非常に困つておると言われましたので、それで私も繊維をやつた関係がありますので、何とかこれは一つ向うへ持つて行かなければならんと、そうしなければ米ができないということで、そういうことで岡田秀男さんから、佐藤君なんとか……、私も北海道の出身なものですから郷土でもあるし、何とか米を出すためにやつてやらなければならんじやないかということで、確か私と岡田秀男さんと秀男さんと三人で北海道に行きまして、そういう事情を一応申上げまして、大体そういう事情ならば出しましようということになつたんですが、当時そのときの統制機構は、北海道繊維連合会というものがありまして、そこを通さなければ品物が出せないものですから、そこから先に北海道連合会に、こういうことで大体出せることになつたから一つ盡力してやつて貰いたいということで、向うに全部連合会にお任せし、連合会に話をバトン・タツチいたしまして、そうして向うでずつと配給されたということはあります。
  301. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それ一回切ですか。
  302. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 大体岡田さんのあれのときはそれだけでございますか。
  303. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどれだけの金額ですか。
  304. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 金額は私の方では分りません。皆連合会が扱つておりますから、私の方では扱つておりませんからちよつと分かりかねますが。
  305. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの品物でないですか。
  306. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 私の品物ですか、その後私の方は北海道との取引がありましたから、北海道繊維連合会との取引になつておりますけれども、岡田秀男さんとの関係はないと思います。
  307. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 京都府、大阪府の内務部長とか、当時のことですね。それから商務課長だとか工務課長、こういう者は岡田秀男さんから御紹介受けたことがありますか。
  308. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) ええ、あります。それは最初私の会社が、国富繊維が京都に支店を設けたのですから、その時に全然未見の土地でもありますし、まあいろいろ挨拶かたがた紹介して貰いたいというので一応名刺で紹介を受けたいと思いますが、その頃岡田さんも大阪の方へ用事があつて、私も丁度支店に行く用事があつてものですから、帰りまた一緒になろうかという話になつたのです。丁度京都へ寄られたものですから、名刺紹介でなく、私の所に支店長を連れまして、一奇まあ支店を開設しましたからよろしくということで、岡田さんも確か先輩が二三人おられたと思うので、その方々に岡田さんが挨拶かたがた、こういうわけで僕の友人で支店を開設したからよろしくということの紹介は受けております。それだけでございます。
  309. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 商売上のことについて何か。
  310. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) いえ、何も受けておりません。
  311. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か岡田秀男さんから進駐軍へカーテン納めることについて御盡力願つたそうですね。
  312. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それはありません。カーテン納めることですが、私の方から納めることですか、どつちですか。
  313. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうです。あなたの方から納めることですね。
  314. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それはですね。福岡のことだと思うのですが、それは当時特別資材部というものは、何といいますか、一つのビルならばビルの設営にP・Dを出しておられたのですが、で私の方には関係ないのですが、たまたま福岡の何か役所の方が、進駐軍の方から非常に納期に遅れるということでやいやい言われまして、確か岡田さんの所へその事情を話に来られたと思うのです。その当時資材が非常になつたものですから資材部からは出せないので、結局どつか在庫のあるところを捜して、それから出すより外にはないということで、佐藤のところへ行けば繊維もやつているから分るかも知れんから、一応行つたらどうかということを言つて何とか頼んでみろということで来られたことがあるのです。それで私はそれじや一応当つてみましようということで、外の商社にたまたま丁度あつたものですから、それを一つ紹介しますからそつちでやつて欲しいということで紹介して上げたことがあります。
  315. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの方でマージンをとつたかということは……。
  316. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) マージンは貰つたのか貰わないのかはつきりしないくらい、幾らかやらなくちやいかんということは聞いて記憶にあるのですけれども、はつきり貰つたかどうか分からないです。
  317. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か八重州ホテルとかパーク・ホテル、そういうものについてやはり繊維品を納入するということについて……。
  318. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それは全然ないと思います。
  319. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御盡力を受けたことは……。
  320. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それはないと思います。なぜかならば、私の方は当時P・Dの仕事をしておりましたけれども、大体P・Dに則つた仕事つたものですから、仮に簡單に言えばこの議事堂が進駐軍のホテルになるとすると、このホテルのウエイトレスとか或いはボーイの服とかそういうものを発注を受けるわけなんですね、私の方は。従つてこれはそこのマネージヤーから我々が受けて、形は確か終連だと思いますが、終連の何といいますか、P・Dと言いますか、オーダーといいますか、そういう形でやつていたものですから、岡田さんの方とき全然関係がありませんし、私の方は岡田さんから八重州ホテル、パーク・ホテルについてのやつはあれしたことはないと思います。
  321. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これはどうせこのホテルで以て今おつしやるように繊維品が入用だものなので商工省辺りへ申込んで来た、商工省の方から、商工省の方からという誤弊があるかも知れませんが、秀男さんの方からあなたの方へ行つたらよかろうと、こう言つて紹介して来たわけですね。
  322. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そうではありません。全然違います。私の方は大阪ホテルならば大阪ホテルへ行つて注文をとるのですから、これはその当時アメリカン・クラブか、出先がありまして、そこへ行つて切符を切換えて貰つて現物化するものですから、特別資材部に行つてやる必要は私の方にはなかつたわけです。
  323. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると今までお伺いしておつたことは要約しますと、結局岡田さんがいろいろな方面へ、まああなたと特に親しいものですから御紹介して頂いた。そうしてあなたは商売の商権を拡張して行かれる、それを頼りにして商売の途を開いて行くというような方法になつてつたわけですね。まあそういうとおかしいですが……。
  324. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それだけで取上げて言われればそうかも知れませんけれども、まあこれは仮に委員長さんが僕であつたとして、親しい間であれば一応は役人としての範囲を脱しない程度の話はすると思うのです。だからそれが特に私の商売に利用したとかいうことはないと思いますけれどもね、それは大きな意味から言えばやはり友人としてそういうふうにいろいろやつて呉れたことはやはり商売上にも力になることは、これは常識的に考えて当然な話だと思いますが、そのことだと思うのですが、取上げてそう言われるとちよつとそうじやないと否定したくなつちやうのですが……。
  325. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあ刑事上の問題のあるなしは別問題として、商売上の立場から立てばそういうふうにして顔を広くする、紹介を受けていくということは非常に有利ですからね。
  326. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) これは人間として……。
  327. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 誰でもやることですからね。
  328. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 誰でもやることですからその点は否定することはないと思いますが。
  329. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 東舜英さんはどういう御関係ですか。
  330. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 東舜英さんとは知らないのですけれども、御存じの昭電の総務部長をしていました藤井孝さんから、私は常磐生命時代一緒つたものですから、そういう関係で途中とぎれておりましたけれども、御交際を願つてつたので、たまたま二十三年の四、五月頃だと思いますが、藤井さんが来られましてまあ郷土の先輩で一応義理を立てなくちやいかん立場にいるのだけれども、一つ佐藤君わしは今疑惑を持たれてもつまらんから一つ佐藤君やつて呉れんかということでありましたから、それじやよござんすということで別れまして、幾日もたたずして東さんが来られたものですから、碓か月末月末に三回ぐらいですね、四、五、六か、期間ははつきりいたしません、いずれにしても藤井君が逮捕される前までだと思います。三回ほどやつておりますが、これは私の方は立替というつもりですが、まあ併し藤井さんと私の間で立替で請求するほどのこともありません。併しその後私も今日になつて来ては藤井さんからも援助を受けておりますから、返して貰つた形にもなつておりますから、そういうふうな恰好のものです。
  331. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは三回にどれくらいいたされたのですか。
  332. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 一回に三万円ずつだつたと思います。
  333. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今の話だというと、二十三年のことですね。
  334. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 三年ごろだと思います。
  335. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 藤井さんが逮捕される頃と申されたから……。
  336. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 逮捕される前だと思います。後ではないと思います。
  337. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その前、直前ですね。
  338. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 直前頃になると思います。
  339. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、年から申すと二十三年ですね、あの事件は。
  340. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 二十三年だと思います。
  341. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから東さんとはお付合は……。
  342. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) いえ全然付合つておりません。
  343. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何も関係ありませんか。
  344. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) ええ関係ありません。
  345. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御談合になつたこともありませんか。
  346. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) ありません。
  347. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何かお尋ねなつたこともありませんか。
  348. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) ありません。
  349. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 大木操さんという人との御関係は……。
  350. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それは確か友人の福家さんから一回、これはもう昭電の調書に載つておりますから改めて申すことはないと思いますが、福家さんの紹介で来られまして、確か暮で奥さんが病気されて困つてつたときで、品物を買つて呉れないかというので私の所に来たので、その品物を買つて上げたことはあります。それだけの関係あとはありません。
  351. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何を買つて上げたのですか。
  352. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 確かダイヤモンドの指輪だと思います。
  353. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは幾らで……。
  354. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 二十万円だと思います。
  355. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはお持ちになつておりますか。
  356. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 持つておりません。私の方は処分しましたから。
  357. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 幾らで……。
  358. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) はつきり分りませんですが……。
  359. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 二十万円取れましたか。
  360. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 大体それくらいのものだと思います。
  361. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 損はなさつたですか。
  362. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そう言われてもはつきりした金額は分りません。
  363. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どこえ行つても二十万円で売れればあなたのところへ頼みに行きませんね。
  364. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) まあそういうことになるかも知れませんが、私にはちよつと言いかねますが……。
  365. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御損になつたことでしよう。
  366. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 大したあれじやないと思います。
  367. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ほぼその程度で売れたわけですね。
  368. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) はあ、大体その程度で売れたのじやないかと思います。
  369. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあそれ一遍きりですか。
  370. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 一回きりです。
  371. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御関係はですね。
  372. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) はあ。
  373. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう御関係ができて、部長や何かいろいろそういう連絡をおとりになつたことはありませんか。
  374. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 警視庁でもお調べになつておられたのですが、そういうふうな反対給付を受けるというような気持はありませんから、それだけは、一つこれからの御質問その他についてもそれだけは私の気持はつきりここで申上げて置きます。そういうことはありません。
  375. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お尋ねすることは却つてあなたの立場をはつきりする意味においても有効だと思いますから、やはりいろいろの誤解もありますから、却つてそういう機会にはつきりおつしやつて頂いた方がよいと思います。
  376. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それはありませんです。
  377. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 渡邊年之助という人との御関係は……。
  378. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それは確か福家君からの御紹介で、年時はちよつと忘れましたが、二十一年でしたか二十二年でしたか紹介を受けております。
  379. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでずつと……。
  380. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 確か二十二年の四月ですか、選挙はいつですか、私もちよつとそれがはつきりしないのですが。
  381. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 二十二年四月頃です。
  382. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 四月頃です。その選挙に出るので、少し応援してやつたことがありますがその後落選しておりますから……。併し御存じのように非常な何といいますか、生活が非常に淡々としている人ですから少しぐらいの援助はしておりました。但し安本の労働局長になつてからは全然そういうことはありませんが、その後二十四年の選挙のときも幾分援助していると思います。その後はしたくてもこつちができない情勢にありましたからしてないと思います。
  383. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どのくらい援助しておりますか。
  384. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それはその金額は私が十万円ぐらいじやないかと思いますが、或いは少いかも知れませんが、はつきりした金額は分らない。
  385. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か渡邊君にお頼みになつたようなことはありませんか。
  386. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) いやありません。
  387. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か吉武係長の依頼で下山事件の情報を取るため鍋山貞親氏を紹介して貰うようにお頼みになつたことがありますか。
  388. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それはあります。それは吉武君がこれの問題をやりたいということでみんなの協力を得たい。たまたま私も先程申上げました通り東京警察後援会評議員もしておりました。佐藤ならいいだろうと向うは思つたと思いますが……、それで来られまして一応紹介してくれんかということで、私としては直接知りませんものですから、じや一つ渡邊年介助さんに話して貰つて若し知つていたら紹介して貰つたらどうかということで、渡邊さんを吉武君に紹介しましたが、その後のことは私分りませんから申上げることはできませんが、そこまでは……。
  389. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その後下山事件とは関係ありませんか。
  390. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) とにかくどうせ後で問題が出ると思いますが、大体一月半くらい、下山事件のことでいろいろ協力を頼まれたものですから、吉武さんの部屋に出入りしておりました。併しその後二係長をやめて上野へ行かれたものですからその件についてはそれつきりでおしまいになつております。
  391. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 江花靜さんとの御関係は。
  392. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 江花さんとの関係は、これは塩谷隆雄さんから私が紹介を受けたのです。それで金銭的のことも申上げましようか。
  393. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どうぞ。
  394. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 非常に立派な人物でもありましたものですから。個人的に援助しておりました。但しそのうち最初の五万円はなんか翡翠か何かですか、援助しようと言つて出しましたら、そうは言つてもそれは工合が悪いからというので、翡翠か何かの帶止とか、カフスボタンとかいろいろ持つて来られまして一応一つまあこれで勘弁してくれということでございました。二度目のときは確か二十万円ぐらいだと思いますけれども、これも事業の方に出したいのだからということで二十万円出しております。それから三度目のときは十万円か十五万円はつきりしませんがこれか確かやつぱり仕事のことで、江花さんが使いを寄越したのですが、これはどこか江花さんの知つている会社の名前で一つ借用書を入れて借りていやしないかと思います。それからもい一回は当選したとは、二十四年の当選したときに、私が当選のお祝いとして三万円やつております。その程度だと思います。
  395. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その後の御関係はないですか。
  396. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 私偶に会うくらいで最近はちつとも会つておりません。
  397. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か政治的にいろいろ御斡旋願つたようなことはありませんか。
  398. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 全然ありません。
  399. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 商売上のことについて。
  400. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) ええありません。
  401. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 渡邊良夫さんとの御関係は。
  402. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 渡邊君との関係はこれははつきりその当時いろいろの人を知つたのはつきり覚えておりませんが、確か日野さんの紹介じやないかと思います。その紹介先ははつきり記憶がないのですが、確か二十四年の選挙の前に十万と、それから選挙直前に確か五万ぐらい選挙区へ送つてつたと思います。その後選挙が終つてから五万円くらい選挙区に送つておるのじやないかと思います。二十万くらいこれは出しておりますが、これは出世拂いでやつて呉れというのですが、私は昨年から資金的に困つてつたものですから、確か昨年の九月頃十万円、十二、三万ぐらいですか私に返して呉れました。この前にも私が新潟へ体育関係で行つたときも、確か二、三万立替えて貰つておるので、大体出したくらい現在に至つては返しておる恰好じやないかと思ますが。
  403. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう金銭関係以外には何もありませんか。
  404. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 金銭関係以外には人を紹介しつ貰つたり何かしたことはあると思いますが、後は昭電の公判を今やつておりますから、そういう問題になれば少しはありますけれども……。
  405. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 神楽坂の植木というところへですね、大野伴睦さんや藤井孝、渡邊、あなたですな、というところへお集りになつたことがありますね。
  406. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それは昭電の公判でやつておりますから。
  407. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これは一口に言うとどういうことをしたのですか。
  408. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 單なる社交上のことだけです。
  409. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か目的があつてお会いになつたのですか。
  410. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) いえ全然ございません。
  411. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの方から……。
  412. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) ええありません。
  413. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そこで御相談になつたことはどういうことですか。
  414. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 相談したことはないのです。
  415. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ただ……。
  416. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) ただそれは一杯飲もうということでたまたま集つたところに、藤井君が飛込んで来たものですから、それで飲んだたけの話で……。
  417. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 岡崎、丹羽という人の御関係は……。
  418. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 岡崎さんの最初はですね、渡邊さんか誰か知りませんが、私も記憶か辿つてみたのですが、その当時はつきり記憶してないのですが、確か何か最初渡邊さんから梱包会社社長をしておつたというふうに紹介を受けております。その後渡邊さんから電話で非常に困つておるから何かと援助して呉れという話があつてそれで来られております。丹羽さんは確かそのときが最初で岡崎さんは何か前にそういうことで会つておるような記憶がするのですが、仕事をしておるということを確か言われておるような気がするのです。そんな関係で一応会つております。
  419. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうして……。
  420. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 金銭的のことを申上げましようか。
  421. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ええ。
  422. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) で渡邊さんからの電話でありましたから、まあ困つておるということも前からそういうふうに幾らか私の頭に入つておりました。それじやまあよこして下さいよ、まあ少しぐらい援助しましようということで来られまして、確か第一回が二十万円、それから二回目がこれは警視庁の調書では三十万になつておるのですが、どうもいろいろずつとこういうふうに出て来たものですから記憶を辿つてみますと暮に十万行つておりますので、私のなんかのメモでは三十万となつておりまするものですから、多分この三十万がそうじやないかと思つてみたのですけれども、確か最初の二十万と暮の十万を合して三十万という記憶に残つてつたと思います。ですから大体の確かな記憶は二十万、十万、十万、四十万が大体確かではないかというふうに記憶しておるんですが。
  423. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのときのあれですが、渡邊さんの電話ですね。お話ははつきりしないのですか。
  424. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) はつきりしませんけれども、とにかく二人少し援助してやつてくれいということは、はつきりしておりますが、外のことははつきりしません。
  425. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 渡邊さんから増田甲子七氏にですね、その人の政治資金として援助してやつてくれいというようなお話はなかつたのですか。
  426. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そんな電話はないと思います。
  427. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると何に援助するのですが。
  428. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それは先程説明いたしましたが、岡崎氏もそういうふうに梱包会社社長をしておりまして、役人をやめて非常に武士の商法でうまく行つておらん、一つ助けてくれということは私は前にも言われたような気がするのです。ですから先入観も入つてつたかも知れませんが、そのときにはとにかくそういう意味で困つておるということで、ともかく困つておるんならば一つ少しぐらいの援助をしましようという意味で私はやつております。これも本人連中はまあ出世拂いの意味でいずれはよくなればお返ししたいというふうには言つておりますが……。
  429. 伊藤修

    委員長伊藤修君) するとそのときにはまだ岡崎さんとそれから丹羽さんとは面識はないのですか。
  430. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 岡崎さんは、ですから先程説明しましたが、その前に一回渡邊君か何かの紹介で、渡邊君の事務所で会つたような気がするのです。丹羽さんとは初めてだつたと思います。
  431. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 会つたような気がする程度ですね、一面識程度の人ですね、それに突然二十万、三十万というのを御融通になるのはちよつと……。
  432. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それは渡邊さんを私は信用しておりますから、渡邊さんから言つて来たことで渡邊さんを信用してやつたことです。
  433. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると両人の事業資金だと思つたのですか。
  434. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 両人の事業資金なり、いろいろ何に使われるか分りませんけれども、そこまでは僕らは考えません。第一の考えはそういう考えで旭梱包のごときも非常に資金的に困つてつたことは聞きました。まあそういう方面に使われたのじやないかと思つております。
  435. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは今までどつかで渡邊さんから増田甲子七氏の政治資金として援助してやつてくれい、両名取りに行くから援助してやつてくれとこういうことをどこかで言つておるわけじやないのですか。
  436. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 或いは警視庁の調査でそれのようなふうな形、そういうふうな意味のことが或いは出ておるかも知れません。併しこれはですね、警視庁の調ベは要するに五井産業とこう出ておるのが私としてはちよつとおかしいのですが、いずれにしても結構ですが、要するに詐欺事件の使途、詐欺容疑事件の使途ということについて、ずつと金額を並ベて行つたわけです。ですから今ここに問題になつておるようなことは余り深くこちらも説明しなかつたし、口頭説明ぐらいはしておりますけれども。それからもう一つは警視庁自体もそう深くは追及していないと私は主観的にそう思つております。それで問題は一つあるんですが、先程名前が出ました吉武さんですね、当時警部の第二係長をしておりましたが、まあこの機会にちよつと私の説明を聞いて頂けますか。
  437. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あとでそこのところは……。
  438. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そうですかそれじや簡單に申上げます。
  439. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 余り複雑しますと、外の人に分りにくいから……。
  440. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 結局私が岡崎さんに金を渡して、岡崎さんが吉武さんにその金をやつて、警視庁その他に揉消しをしたんだろうというような追及が非常に警視庁じや多かつたのです。又事実相当期間がかかつてつておりました。そんな関係で私は岡崎さんじやない、個人じやない、丹羽さんもいるということで話をしそれから私のところに増田さんの後輩の人もおりましたし、部下の人もおられた関係上、増田さんについては私も先入感としていろいろ立派な人だということを聞いておりますし、そういう意味で、大きな意味で言えば或いは増田さん個人の部下が私の所に世話になつておるので、面倒を見て貰うということになれば、大きな意味では個人増田さんを応援した意味になるのじやないかというふうな私の考え方だつたんですが、それが調書にどういう文句で謳われておりますか、私には記憶ありませんけれども、その面には深く追及されておりませんし、又この問題につきましては、私の勾留期間中は検察庁も言つておらなかつたのです。後で参考に検察庁に行つたときに警視庁の調書はどうなつておるということについて、ちよつと簡單にお聞きされたことがあるだけでございます。そういうふうな意味じやないかと思うのでございます。
  441. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあけれども事件の方のお金の使い途をお尋ねを受ければそれは重要なことでしよう、あなたの立場から言えば……。又あなたの想像で増田さんの名前を出されるということになれば、増田さんとしても非常に重要な立場になるわけですね。それからあなたも常識を備えていらつしやるんですから不用意に余り御迷惑の行くような言葉を載せられるということが我々には分らないのです。
  442. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) まあ若しそうであれば私の非常に不徳のいたすところで増田さんに非常に申訳ないと思います。そういう吉武さんの追及の激しかつたこと、それを逃れるといいますか、これは卑怯な話ですが、そういうことも一つ加味されておりまして、そういう私の先入観自体がそんなふうに入つておるところもありました。やつた人が渡邊さんだということになればやはり自分の先入観もそうじやないかという、先入観程度の問題を一応説明したつもりでおるのであります。
  443. 伊藤修

    委員長伊藤修君) けれどもそういうお話を伺つておりますと、渡邊さんというのを信用しているが、渡邊さんがそんなわけだつたから、両氏を援助してやるというふうにおつしやるんでしよう。
  444. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) ですからそれは私はそれが本当で、ただ今委員長さんからどうしてどういうそういう調書に載つたかというふうに言われましたから、それに対する説明として今申上げたのであつて、前のあれとは全然違います。
  445. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今おつしやることが正しいとすれば、それと不用意にしろそういう人に迷惑のかかるような言葉を載せられるようになつたか、その心境が分らないのです。
  446. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 心境が、まあ分らないと言えばそれまでの話でありますけれども、併しやはり五十日間、警視庁で当然いずれこれは後から御説明したり、或いはお聞きされたりすると思いますけれども、普通の何といいますか、事件として扱つてないという程度のことはまあ常識で分つておられると思いますが、いろいろ調ベの進行状態その他から出て来ることでありますから、單に普通の常識論から判断されてもちよつと分らんのじやないかと思います。私の心境は今申上げたようなふうでありますから名前を出された、出したというところが非常に佐藤お前は怪しからんと言われれば、これは止むを得ません、私が惡いんですから謝りましよう。
  447. 伊藤修

    委員長伊藤修君) けれども増田さんあたりの名前をあなたがそこへひよつと出されるということはどうも、増田さんには迷惑な話で、出される心理の過程が私らにはちよつと理解し兼ねる、こういうのです。
  448. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) まあ今御説明した程度以外にはちよつと説明するといつても説明しようがないのですけれども……。
  449. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 併し当時そういうふうに思つていらしたのじやないですか。前のお言葉の方が本当じやないですか。これはお確めして置くんですが……。
  450. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) どの部分ですか。
  451. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは單に今日ここでお述ベになることでなく、前にお述べになつたことが本当じやないのですか。
  452. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それは違いますね。
  453. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうことが心の奥底にどこかにあつたのじやないですか。
  454. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) とにかくそれは先程からちよつと説明いたしましたが、私のところに後輩なり或いは部下が私の会社におられたものですから、話はときどき聞いておりましたし、或いは話のついでのときに、増田さんは非常にいい人だという話を聞いておりますから、繋がりは非常にあるわけですね、人間的の繋がりは。
  455. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ではそういうふうに伺つておきます。その後、なんでございますね、増田さん、事務所へお訪ねになつたことがあるのですか。
  456. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) あります。それは一回ですが、日比谷の内幸町、あそこの所に増田さんの何か事務所があるというのでこれは私の所に……名前を申上げますが、現群馬県知事をしておる伊能さんが昔の部下でありまして、あれはさつき言つた岡田秀男さんが後輩で私の会社におられるので、一回敬意を表しに行かなければならんということを言つておりましたので、私も一回ぐらいは行かなければならんとは思つておりました。そこにまあ丹羽さんあたりも見えるようになつたものですから、それだから、いつ頃いられるのかということは聞いたことはあると思います。で、大体何日と何日ぐらいはいられるというお話があつた。私の丁度前に銀行がありましたから銀行に行つたときに会つた。確か二度ぐらい行つて一回はおられなかつたと思います。二度目のときは確かおられまして、それで私の記憶では、あそこの何か縁側みたいなところにちよつと腰かけまして簡單に挨拶し、それでまあ皆お世話になつておりますし、いろいろ有難うございました、今後ともよろしく頼むという程度の話をしております。それも人が沢山おられましたので、私もその程度の挨拶をしまして直ぐ帰つて来ております。もう一回は、議会の正面のところで私用事があつて来たときにぶつかつた。お辞儀をしたけれども向うは私のことは知らなかつたような恰好でありましたから、実は神田佐藤ですがという程度に私が話をしたわけです。どうもこれは忘れちやいまして、いつも皆世話になつておりますが、よろしく頼むというような程度のほんの三十秒もかからないというような程度の挨拶です。
  457. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 皆世話になるというのは、皆というのは誰を指すのですか。
  458. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) ですからやはり一応岡田秀男さんとか、或いは伊能さんとか、やはり岡崎さんも入つておると思いますがね。私のこれは主観でありますから向うはどうですか分りませんけれども。
  459. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 皆という言葉は後から付いたのではないのですかね、後から……。
  460. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そのときの言葉は皆と言つたか言わんかということになると、ちよつと記憶はつきりしませんけれども、とにかく私の主観は、感じを受けたのは、要するに今私のところにもそういうふうに、世話しておるというと語弊がありますけれども、一応おられるものですから、そういう意味でこれをお礼を言つておられるのじやないかと私は受取つたわけであります。
  461. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ただ單純にいろいろお世話になるという御挨拶があつたのじやないのですか。單純にいろいろお世話になるということでお礼があつたのじやないでしようか。
  462. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) いやそのときはそんなことは……それから伊能さんなんかいることも確か話が出たと思います。
  463. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か衆議院の廊下でもつて川崎代議士ですか、お会いになつて増田さんをお訪ねになつたことがあるのじやないですか。
  464. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) さあ、ちよつと増田さんを訪ねたのじやなくて、何かであつたかも知れません。
  465. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 自由党の役員室へ訪ねて行かれたこともあつたのじやないですか。
  466. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 自由党の控室ですか。
  467. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 自由党の控室ですか、役員室ですか。
  468. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 役員室には私たまに行つたことはありますが、増田さんと限つたわけでもないと思いますがね。
  469. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 川崎秀二さんとお会いになつてお尋ねなつたことがあるのじやないのですか。
  470. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 川崎さんに私がですか。
  471. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 増田さんはどこにいられるかということをですな。
  472. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) さあちよつととはつきり記憶はないんですが、或いは岡田秀男さんなんかとも一緒なつたことがありましたから、或いは秀男さん達が会うのでそういうふうに言つたかも知りませんけれども、ちよつとそこら辺の記憶はつきりしませんから、とにかく一度秀男さんと一緒に来たきともありますから、或いはそのときに増田さんに会いたいと言われたので、それで私が探したかも知れません。
  473. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何かお茶の水のどういう料亭ですか知りませんが、岡崎さんとか、丹羽さんというような人とお会いになつたのですか。
  474. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それは確か小口の登録問題のときに私の方はすでに登録が取れておりましたから、向うは初めてですから、いろいろ盡力して呉れというので確か一、二登録が取れたと思います。それでまあそのお礼だという意味で、一回私を招待して呉れたことがあります。そのときには確か小口さんの重役さんの岡崎さんがいられたかどうかちよつとはつきり分りません。それは御本人に聞いて貰つた方がはつきりなるのじやないかと思いますが、大体小口の重役さんが私を招待して呉れたということになつております。
  475. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 小口の重役というのは秋山博という人ではありませんか。
  476. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) さあ秋山さんも重役であられたと思いますし、村田さんという人もおられたし、いろいろおられると思いますが、確か五、六人ぐらいじやなかつたかと思う、多かつたよう記憶しております。
  477. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ではもう一点午前中にお尋ねしたいと思います。福田篤泰という人との御関係は……。
  478. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) はあ知つております。
  479. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その人との御関係はどういう御関係ですか。
  480. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それはその当時、この間も警視庁で会つたのですが、誰からどうというのじやなくて、皆丁度一緒頃に知り合つたものですから、紹介された人の記憶はつきりしませんが、いずれにしても、確か吉田さんの秘書官をしておつた当時でしたか、前でしたか、はつきりしませんが、その当時の知り合つております。
  481. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 最初は読売の柴田という人の御紹介で会つたのではないのですか。
  482. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そうじやないかとも思いますが、はつきりは分りません。
  483. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それからの御関係一つお述べ願いたい。
  484. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それからの関係は確かもう……簡單に申上げますが。吉田内閣がやめられて、それで昭和二十二年の年に二度くらい浪人になりましたし、役人もやめられておられたものですから、いろいろな費用もかかるというので、とにかく出世拂いにして呉れというので確か二十二年に十万円くらいずつ二度やつていると思います。貸しているといえば貸していることになりますが。それから二十三年の春頃に経費と、自分の方にいろいろかかる費用と、それから荻外莊の方の費用が何少しいるので、それで少しなんとかしなくちやいかんという話と二つでありまして、確かその時の五十万福田さんに渡していると思います。これは私はまあ現金だと思つていたのですが、警視庁の調べで三十万は小切手が何か外の人の裏判で取られておるというふうに警視庁から言われたものですから、それならそうかも知れないというふうに返事はしてあります。確かその後福田さんも、荻外莊の費用に使つたというようなふうにも聞いたような記憶があります。一部はそれだけだつたと思うのですが。
  485. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その年に外にもう出していらつしやるようなことはないのですね。
  486. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) ないと思うのですが。
  487. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると全部で七十万円ですか。
  488. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) その程度だと思います。
  489. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどこの小切手をお渡しになつたのですか。
  490. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それははつきり記憶しておりませんね。
  491. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは三和丸の内支店じやないのですか。
  492. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そうかも知れません。
  493. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そこの当座はおありになりますか。
  494. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) ええあります。
  495. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 小切手の控えはお持ちになつておりますか。
  496. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) どうですかね。分らないです。
  497. 伊藤修

    委員長伊藤修君) もうないですか。
  498. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) あるかどうか分りません。一応あるとすれば全部検察庁その他に行つております。
  499. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 勿論横線じやないですね。
  500. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そうじやないと思います。ちよつとはつきり分りませんです。
  501. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは受取の記名入りですか。
  502. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そうじやないかと思います。
  503. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 無記名ですね。普通無記名ですからね。
  504. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 普通無記名ですし、それ程までに記名式にするまでのことはないと思います。福田さん宛のことですから記名式なんかにはしないと思います。
  505. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはあなたの家でお渡しになつたのですか。
  506. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) いや事務所です。
  507. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 永代橋田の事務所ですか。
  508. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) さて神田じやなかつたかと思いいますが、ちよつとその辺の記憶はつきりしないです。永代橋かも知れませんし、神田事務所かも知れませんし……。
  509. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それで荻外莊何か費用というのは、その当時の記憶を辿つてどういう費用のことを言うのですか。
  510. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そこまで深くは聴きもしなかつたです。
  511. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの……。
  512. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) どういう意味ですか……。私は福田さん個人に応援しているつもりですから、その金をどういうふうに使おうと気にしておりませんし、ただそんなような話をしておつた記憶があるので、取立ててそれをこうだ、ああだという記憶はありません。
  513. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは何か吉田さんの方に金が行くとかいうふうにはお聞きにならなかつたのですか。
  514. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 全然聞きておりません。
  515. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう話も、吉田さんという話も出ないのですか。
  516. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そのときは全然そんな話はありませんでしたと思います。
  517. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か、荻外荘建築費用ですか、ただ費用ということですか。
  518. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それは建築費用ではないんじやないですか。
  519. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 修繕費用とか……。
  520. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それはちよつと私には分らないです。
  521. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう細かいことは知らない……。
  522. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 全然分かりません。
  523. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 併し金で要る場合はその金の要る理由を一言ぐらいは言わなければならんことですからね。
  524. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) その理由として一応荻外荘の名前が出たのじやないかと思うのですが。自分の方も勿論必要だし、荻外荘も少しは自分達もあれしないとやつて行けないような話でしたから、私の方はどちらに使われても福田さんを信用して、ただ将来よくなつてくれればいいというつもりでやつておりますから、それを突込んで聴く必要もありませんし、又突込んで聴くなら何も援助する必要はないと思います。
  525. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その当時福田さんに対する感覚として、福田さんが党資金、財政面で御心配になつているような立場の人とこういうふうに思つたですか。
  526. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それはそうとは思つておりませんでした。
  527. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いろいろな立場の人であつて、党の資金を援助するとかそういう点で始終苦労をしている人がありますがね。
  528. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そんな感覚はなかつたと思います。
  529. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その前後にあなたは吉田さんの私邸を福田さんと一緒にお訪ねになつたことがあるんですね。
  530. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それは確か二十二年の秋頃じやなかつたかと思います。それは一回、福田さんが車がないのでちよつと車を貸して呉れんかという話で、どこに行くんだというと大磯まで行くんだという話でした。貸して上げましようということになつて佐藤君一回会つておかれたらというので、それじや一回会つておきましようというので、一回大磯までお尋ねしたことはあります。それで食事を御馳走になつてつて参りました。それだけでございます。
  531. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは今の福田さんのお金の直前、一ケ月前のことじやないのですか。
  532. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そうじやないと思います。
  533. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 秋と冬とは相当條件が違うから御記憶に残ることと思いますが……。
  534. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) とにかくそんなあれじやないと思うのです。秋の頃が本当じやないかと思います。
  535. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 秋とすれば前の年の秋ですか、その年の秋ですか。
  536. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 前の年の秋じやないかと思うのです。その辺のところは警視庁でも時期的な記憶は非常にはつきりしていなかつたものですから非常に前後しておると思います。
  537. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 郊外をドライヴしているならば相当條件は記憶に残るべき筈でありますがね。秋と春とは相当違うですから。
  538. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 違うことは違いますけれども大体秋じやないかと思うのです。
  539. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 別に吉田さんにあなたからお話がなかつたのですか。
  540. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 全然ありません。そういう話はなかつたのです。ただもう本当の世間話と敬意を表するという意味ですか……。
  541. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 面識を得るということは光栄……。
  542. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) という意味ですね。簡単に言えば。
  543. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どうぞよろしくお願いしますということは普通の面識ですね。
  544. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 普通の面識です。
  545. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それに対して吉田さんは何とか言いましたか。
  546. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 声も低うございますし、言うこともはつきり分りませんでした。
  547. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 余りものを言わない人ですから……。うんとおつしやつたくらいのことですか。
  548. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) どうですかね、その点は……。
  549. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 別に明確にどうしてやろうとか、応援してやろう……。
  550. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そういうことは言つておりません。
  551. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうことはありませんね。
  552. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) ただ私の友人で、佐藤君から丁度車を借りて来たので、一度会いたいというから会つてつて下さいという程度に福田さんが紹介したのじやないかと思いますが……。
  553. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの商売のことや何かおつしやつたのですか。
  554. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 仕事のことは全然言いませんでした。運動関係のことをちよつと話しました。運動をやつておりますので、スポーツの精神で鍛えるというようなことを……。
  555. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 経済界がどうなつて行くというような……。
  556. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そういう話はしませんでした。
  557. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 恐ろしくてですか。
  558. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) どうですか。
  559. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 福田さんはあなたを紹介する場合に、これは私の世話になる人だということはおつしやらなかつたのですか。
  560. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そんな話はしませんでした。私の友人だという話をしました。
  561. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ただ友人として。
  562. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) ただ立派な人であるというお褒めの言葉があつたと思います。立派かどうか知りませんが……。
  563. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 実業界の錚々たる人だとが……。
  564. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そんなことは言つておりません。我々みたいな若造ですから、そんなことは福田さんとしては常識でそんなことを言うことはないと思います。
  565. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 別に党のために盡力している人だからというような御紹介もなかつたのですか。
  566. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そんなことはない筈ですね。その当時そんなふうに、党とか何とかいうふうに私考えておりませんです。
  567. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 夕食を招ばれてお帰りになつたのですか。
  568. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 確か夕食を招ばれて帰つて来ました。
  569. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その他福田さんとは御関係はないですか。
  570. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 別にありませんですね。
  571. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それではこの程度にして、爾余は午後に続行することにいたします。    午後零時三十九分休憩    —————・—————    午後一時四十三分開会
  572. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) それでは午前に引続きまして開会いたします。  日野昇氏との間の関係についてお尋ねしますが……。
  573. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) これも日野さんは誰から紹介を受けたか、柴田君ということになつておりますが、どうもその辺のところが、いつ頃だつたか、誰から紹介をされたかということははつきりしないのですが、二十一年の春頃から知つておることは確かです。
  574. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) それからどうなつたか……。
  575. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 関係だけでよろしうございますか。金銭的の関係もですか。
  576. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) ずつと日野氏との間の関係についてすべて証言して頂きたい。
  577. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 日野さんとは昭和二十一年の春頃から知つておりまして、先程も申上げました通り治安という問題が非常に私たちも考えておつたものですから、私自身も考えておつたものですから、そういう関係から日野さんとも親しく……個人的に親しくするようになつて、そうしていろいろ警備情報をとるのにいろいろな費用も要ると思いましたから、私の方から是非警備費に当てて呉れということで、昭和二十一年の多分秋ぐらいから二十三年の暮か或いは二十四年の春頃までと思いますが、これも金額はつきりいたしておりませんが、十万円程度ぐらい出しておるのじやないか、こう思つております。
  578. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 警備費というのは左翼運動の情報をとるというような関係においての警備費ですか。
  579. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) いやそうじやありません。全般的の警備費です。
  580. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 日野さんから左翼運動の情報をとるために機密費が要るからこれを援助するという意味じやなかつたのですか。
  581. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) そういう意味じやありません。
  582. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 日野さんに物をおやりになつたことがありますか。
  583. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) それは暮盆くらいに少しぐらいやつておると思います。
  584. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 日野さんと会合なさつたことがありますか。
  585. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 会合はたびたびあります。
  586. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) どういうのを覚えておりますか。
  587. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) そうでございますな。はつきりしておるといいますと、二十三年の五月頃に一回、小石川のもみぢであります。それから二十四年の八月か九月頃に向島の八百松であります。それから池袋の、ちよつと名前は忘れましたが、所でも一回あります。それから牛込の植木でもあります。きくかわもあつたと思います。大体そんなところじやないかと思いますが……。
  588. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) それはどういうような意味で…。
  589. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 別にこれということはありません。皆そういうわけでお互いに協力していこうという立場でおりましたし、私自身もまあ治安の意味から非常に優秀な人ですから、是非一つそういう面で活動して貰いたいという意味でときどき会つておりました。
  590. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) あなたは何か自警会の出入り商人ですかというものになることに日野さんから盡力して貰つたのです。
  591. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) それは自警会の出入り商人ではなくて逆でありまして、先程申上げた通り警察後援会の評議員をしておつたり何かしておりましたので、厚生物費が非常に足りない、何とかして呉れということで、こつちが逆に警視庁から頼まれて物資の斡旋をやつたことがあります。
  592. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 日野から紹介を受けたのじやないか。
  593. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 紹介ということでなく、逆に頼まれた形になつております。自警会の方の係りの人から、こういう事情で困つておるから何とかやつて呉れないか、私自身としては厚生物資をできるだけ集めて上げることが、やはり警察を後援する一つの目的じやないかというふうに考えたものですから、できるだけしましようということであつたのです。
  594. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 日野さんから紹介を受けたのは塩谷、上野、津久井、吉武、張本、細田、こういうような警視庁のいわゆる高級幹部の人をすべて日野さんから紹介を受けたのですか。
  595. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) すべてというわけではありません。それも警視庁の調書には日野君から受けたというように書いてあるかも知れませんが、そういうのではなくて、検察庁に行つてもその問題について話をしたんですが、全部が全部日野君を通して知つたということじやありません。
  596. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 大体今読上げた人々らは塩谷さんから紹介を受けたのですか。
  597. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 日野さんは塩谷さんから紹介を受けた人じやありません。
  598. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 塩谷さんとの関係は……。
  599. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 塩谷さんの関係は、確か一番最初に知つたのは、私が何かの機会に坂田さんという人がおられまして、その方が何か会をやるんで来て呉れというので、私も伺つたら塩谷さんがそこにおられて、初めてそこで紹介されたのが最初だと思います。それから警察後援会が主体になりまして、自警会の住宅の建設の基金募集をしておられたときがありました。そのときに私もまあその一端をと思いまして、警察後援会に寄付をするときに、そういう関係ちよつと知つてつたものですから、塩谷さんに一応相談したことがあるのです。それは自分の方の関係じゃなくて警務部の関係だから、警務部へ行つて話をして呉れ、こういう話がありました。それから知つております。それから保安部長時代は殆んど行つておりませんで、消防庁に来られましてからときどきお邪魔していました。
  600. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 塩谷さんとはたびたび会合をやつておりましたですか。
  601. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) やつておりました。
  602. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) どういうところですか。
  603. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 場所は銀座の天ぷら屋を歩いてみたり、あつちこつち行つてみましたけれども、これといつてつたところは別にございませんです。
  604. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) その中で主だつたものは……。
  605. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) そうでございますね、先程言つた一力なんというのは別問題ですが。
  606. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 日本橋の御牛……。
  607. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 日本橋の御牛でもあつたと思います。
  608. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 東京クラブでも……。
  609. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 東京クラブでもあつたと思います。
  610. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) あなたのお宅でも……。
  611. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) ええそうです。
  612. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) そういうものは勿論あなたが費用をお持ちになつたのですね。
  613. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) いや、それは私の家の場合は、これに塩谷さんの方から料理、酒を持つて来られてやつたんです。場所だけ私の方がお貸ししたということになつております。それから御牛の場合も、私が拂う場合もありますし、或いは塩谷さんの方で拂う場合もあつたものですから、その点の記憶はつきりいたしません。
  614. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) あなたば塩谷さんから間狩さんとか、中西、上野、古屋、後藤田とか、三枝だとか、こういうような人を紹介したんですね。
  615. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) それは受けている人もありますし、受けてないのもある、必ずしも全部受けておるわけじやありません。自然に知つた形の方が多いんじやないかと思います。
  616. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) あなたと塩谷さんとの間の自動車の取引について述べて下さい。
  617. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 自動車の問題は経理課長の山田さんという方がおられまして、たまたま私が塩谷さんの部屋に行つたときにおられて、自動車の話をされていたもんですから、それで私が山田課長さんに、自動車を僕も持つておるから、若しあれなら一つ見て買つて呉れんかという話をしました。それで見て貰いまして結局買つて貰つたのでございます。それで引続いてその話を申上げてよろしうございますか。
  618. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) どうぞ。
  619. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) それからそのときですね、私が警視庁で申上げたやつは、五万円塩谷さんに機密費として渡した、こう申上げて調書には載つていると思いますが、それは約一週間に亘つて警視庁でお調べ願つたんですが、私はもうないと思つていたんですけれども、証拠、証人がおるというふうに調官の人が何回も何回も言うものですから、証拠、証人がおるならこれはやつたかも知れない、併し自分記憶でははつきりしなかつたのでありますが、一応調書はそうなつております。併しどう考えてみてもはつきりしないものですから、後でよく考えたら、これは全然私の記憶違いである、記憶違いといいますか、自分記憶の方がはっきりして来たものですから、これは警視庁でも正式に調書にはとつてつておりませんが、弁護士立会いの上で、二度程、あの問題は違つておる、記憶が全然はつきりして来たからあれは違うということを申上げてありますが、検察庁へ行つてもそのように申上げてあります。これは私の弁護士の堂野さん、或いは牧野さん、是川さんあたりを証人に呼んで頂けばはつきりすると思いますが……。
  620. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) その五万円というものは誰かにやつたことはやつたんですね。
  621. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) それは友人に貸しました。
  622. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) それはその席上で……。
  623. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) その席上で。
  624. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 工合よく来ておつたものですね。
  625. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) ですからそこに間違いがあつたんじやないかと思いますが…。
  626. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) その最後の取引をするときに、その人がたまたまそこにおつた……。
  627. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) それはそうじやありません。それは友人が前から金が要るという話があつたものですから、金が入つて来たときに何とかしようという話をししてあつた
  628. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 友人はあなたが金を受取るということは知つてつたんですか。
  629. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) いやそうじやありませんが、たまたまそこに私がおりましたときに来ておりましたから渡したわけです。
  630. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) その友人の人は始終出入しておる人ですか。
  631. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 出入しております。
  632. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 始終。
  633. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) ええ。
  634. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 今日金を九十万円受取るんだからということを友人に伝えたわけではありませんね。
  635. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) そんなことじやない。あれに分割拂いで貰つておりますから……。
  636. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 偶然その金を受取る日に来ておつたわけですか。
  637. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) そうです。
  638. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) その金は塩谷さんから受取つたのですか。
  639. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) それに経理の方から貰つて来てお.ります。
  640. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 塩谷さんの部屋で……。
  641. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) そうです。貰つたつたのは経理の部屋ですが、渡したのは塩谷さんの部屋です。
  642. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 塩谷さん立会いのところで……。
  643. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) そうです。
  644. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 現金で渡したんですか。
  645. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 現金で渡しました。
  646. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 受取るのは現金ですか。
  647. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 現金でした。
  648. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 幾ら受取つておるんですか。
  649. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) はつきりしませんが私が持つてつたのは十万円程持つてつたと思います。
  650. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) それは自分の手金ですか。
  651. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) いや、部屋に入るときに十万円程持つてつたが……。
  652. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 受取つたのに十万円ですか。
  653. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) もつと受取つたかも知れませんが、一部社員へ渡して会社へ返したものもあると思いますし……。
  654. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) その友人というのは朝日新聞の川手恭二という人ですね。その人に金をやつたのは日にちが違うんじやないですか、金をやつたのは今のあなたのおつしやるのはずれがあるんじやないですか。
  655. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 私はその時と思いますが、とにかく証.拠、証人があるというので、調べの面からそういうふうになって来た、塩谷さんに金をやつたことの記憶は初めからないということで記憶がずつとはつきりしておつたんです。
  656. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 自動車のお金を貰つたのは、下げられたのは四月から五月までじやないですか、三、四回に……。
  657. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) そうだと思います。
  658. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 今の川手さんの話は八月頃のことじやないですか。
  659. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) それは逆だと思います。川手さんの方は返して呉れたのは九月か十月じやないですか。
  660. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 渡したのは。
  661. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 渡したのはその時期に渡してないと思います。
  662. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 八月頃じやないですか。
  663. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) いや、確か春だと思いますか…も
  664. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 五万円の話が二つが一緒になつて来たんじやないですか。
  665. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 二つというと……。
  666. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 要するに五万円というのに、四月、五月の問に受渡しが済んで、その頃に五万円というものを、いわゆる機密費か運動費か何か知れませんけれども、塩谷さんにお渡しになつて、その話が一つつて、その後別な話で川手さんの方の話が八月頃に、それは融通されたかどうか知れませんけれども、その話が五万円、たまたま金額一緒で、たまたまその話の二つを一つに結びつけたんじやないですか。
  667. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) そんなことはない。とにかくこの話は、最初からこの問題については日野さんの関係はないということで、自分記憶が出たものはすつかり申上げておつたものですから証拠書類が要るということで随分、まあ一週間に亘って朝から晩までやつてつたのですが、それならばそうかも知れんということでおつたのですが、後からよく考えたら、それは多分記憶が出て来ないからで……。あるとすれば確か争のときに川手君が流線型のボストンバツクを持つておりました。その中に入れて帰つたことを僕は記憶を持つております。だからそれは夏じやないかと思います。
  668. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 今おつしやつたようなことは警視庁でおつしやつたのですか。
  669. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 公式には申上げておりませんけれども、四十二号室で弁謹士、その他が来ておるときにあの問題はどうも私の記憶違いだと、こういうふうに言われたけれども、とにかくこれが本当らしい、だから自分記憶が本当だから一つこれを調べて貰いたいということは二、三度言いました。
  670. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 調書をお取りになるときに……。
  671. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 調書を取つた後です、それは。
  672. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 調書をお取りになるときもそういうことをおつしやらなかつたのですか。
  673. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) そのときは調べを終つたすぐ翌日私の調書を取りましたから…、約一週間くらいに亘つて夜遅くまでやつておりましたので、すぐ翌日取つたものですから、そのときは訂正するまでそこまで考えつかなかつたものですから、そのまま調書になつているのです。
  674. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) そうすると川手さんの話はそのときは調書になつておりませんね。
  675. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 調書になつておりません。
  676. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 塩谷さんのことだけが調書になつておるわけですね。
  677. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) そういうわけです。
  678. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) その後川手さんのことをおつしやつたわけですね。
  679. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) ええ、言つたのですけれども、それは公式には調書になつておりません。検事局に行つてはその説明をしました。
  680. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) じや調書ができておるとすれば別々にできておるわけですね。川手さんのは。
  681. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 若し調書を取るとすれば、それは別々に取つてありますけれども、それは取つてありません。
  682. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 取つていない。
  683. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) はあ。
  684. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 問狩信義氏を御存じですね。
  685. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) ええ、知つております。
  686. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) これはどういう関係ですか。
  687. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) それは先程申上げましたけれども、警察寮の建設のときに当時の警務課長でありまして、それで警務部と、要するに東京警察後援会とが一体になつで、そういう仕事をやつてつたものですから・…、仕事といいますか、そういう関係東京警察後援会に対する、何といいますか連絡機関は、要するに警務部がやつてつたのです。そのときの警務課長が間狩さんだつたものですから、その関係で知つておるのです。
  688. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 間狩さんに靴下を千足お渡ししたのですね。
  689. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) それは和歌山の警察部長に行かれたときに一応土産として持つて行かれたらどうですかと、私の方から申上げて、それで丸公で持つてつたら如何ですかと話をしたら、非常に結構なことだから是非頼むということで持つて行かれまして、後刻向うの方が東京へ来られたときに大体一月も経たなかつたと思いますがお金を頂いております。
  690. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 初めから丸公でというお話だつたのですか。
  691. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) ええそうです。
  692. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) ただ初めは品物をお渡しただけじやないのですか。
  693. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) いえ違います。
  694. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) それで後で以て丸公でお金が来たんじやないですか。
  695. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) いいえ、それは初めからお話してあります。
  696. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) そのときに切符は要らないときですか。こういう繊維製品の切符は要らないときですか。
  697. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 絹は切符は要つたと思います。
  698. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) その切符はどうしたのですか。
  699. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) その切符は確か後で個人ごとに行つておりますから、後で確に貰っておる筈です。
  700. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 切符を貰わん先に、品物が先に移動できますか。
  701. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) それは法的に切符を貰わん先にどうこうと言われますけれども、要するに、甲の切符を貰つて来るのに、先によこせとか、後によこせとか…・それは法的に言えばそうかもしれませんけれども、それは商売上として先に貰う場合もありますし、後で整理する場合もあります。それはもうその点はあると思うのですが……。
  702. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) けれどもこれはよく統制経済で引つかかるのに後で貰えると予想して品物を先に移動すれば、それ自体が引つかかるのです。それで大抵起訴しますよ。警察で。それ自体を起訴します。チッキなしで動くことはできない筈です。
  703. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) それは輸送その他が、大量に輸送する場合とかに、或る場合は輸送証明で通りますから、そういうことになりますが、とにかく絹の靴下の千足というのは幾らでもないですから。
  704. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 幾らでもないかもしれませんが、素人からいえば千足といえば相当の数量であつて、それが衣料切符なしで事前に動くということはあり得ない筈です。それが動くことになつては何にもならんのですから……統制に。
  705. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 併しそれはまあ商売上のことですけれども、結局貰えるということになつておると、 一応そういうふうにでもしてやらないと、なかなか簡單に品物は移動できない場合もありまして…。
  706. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 中西久夫という人の関係は。
  707. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 中西さんは先程申上げました通り、警察寮の時の警務部長であつたものですからそれで知つておるのでございます。
  708. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) そうして金銭その他の関係は。
  709. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) それは現役中には全然ありません。後は商売上で貸したことはあります、やめてからですね。
  710. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 警察におつたという関係上援助してやつたわけですね。
  711. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 警察におつたからという意味じやありません。
  712. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 警察におらなかつたら援助する必要はないじやないのですか。
  713. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) いえそんなことはありません。警察の肩書を除いた中西という人であつて、そういうことは考えておりません。
  714. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 理窟はそうであつても縁故に引きずられて援助することになるのじやないですか。
  715. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 強いて言えばそういう……。
  716. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 無関係の路傍の人に金を融通する必要はないわけですから。
  717. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) ええ知つておることは、警察で知つておるわけです。
  718. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) それは率直にお話になつて頂いた方がいいです。
  719. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) ええ率直に申上げます。
  720. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) その後何か百万円ばかり融通を申込まれたけれどもそれにお断りになつたのですね。
  721. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) いいえ百万円一回申込まれましてお貸しまして返つて来ました。ただその後もちよつと記憶にはありませが、それは断っております。若しあれば。
  722. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 十万円はどうですか。
  723. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 十万円はこれはやめるとき、役.人さんで皆困るだろうと思いまして、とにかく一応経費に使われたらどうですかというので渡してあります。
  724. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 吉武辰男という人の関係は……。
  725. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) それは日野さんから紹介を受けて知つております。それで確か最初は二十三年の五月でしたか、日野さんの下におられた細田さんという方が、捜査二課の第三係長になつて栄転されたので、栄転祝ということで、吉武さんと細田さんと上田さんと日野さんと私と五人で会合しだ時が最初だと思います。その後ずつとお会いしておらなかつたのですが、前、日野さんのところで一二度顔ぐらい見ておるかも知れませんが、その後丁度昨年のあれは下田事件を捜査二課が捜査に当つた頃ですね、たまたま私が丁度警視庁に行つて、廊下のところでばつたり吉武さんに会いました、そうしたら、丁度いいところに来た、実はあなたに頼みがあるということで何かというて部屋に入りましたら、下山事件の話だつたものですから、私自身としても警察後援会に関係しでおりますし、今までの関係もありますから、協力しようということで、協力したわけです。それで先程申上げましたけれども、最初の時渡邊年之助さんを紹介したこともあります。この問題は現在捜査中のことですから、それから先のことは成るべく言いたくないと思つております。
  726. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) その時五万円かそこら融通されたか提供されたかしたんですか。
  727. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) いえ、それはその時に費用もないだろうというと、実はないというので、それじや一つこれは相当大きな事件でもありますし、前に帝銀事件の捜査費用として五万円出したこともありますから、じや今度も一つ何とか借金しても援助しなくちやいかんなと話をしたんですが、それにはまあ一応正式に言わなくちやならんだろうというと、それは是非正式に言って貰いたいというものですから、総務課長の手柴さんのところに行つて話したんですが、取敢ず費用は間に合つておる、だから今回は遠慮するというので、そのままになつております。
  728. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) その頃岡田秀男氏を通じて岡田氏に一万円か渡して、そうして生ビールか何か振舞つたんですね。
  729. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) それは一万円渡してやつたんだというのじやありません。岡田氏が、岡田秀男さんの方が、下山事件というものは何か確か岡田さんが前に名古屋にいるときに下山さんや何かよく知つておられたと思うのです。そんなこともあつたし、又今度丁度吉武さんがそんな関係でやるという話をしたものですから、それじや御苦労さんだから是非やつて貰わなければならんだろうから、生ビールでもやろうという話だつた。それで岡田さんの方でビールをやつた。私が金を拂つておるわけでもないし私がやつたわけではない。ただその前後に私の方から金が行つているということは、多分行つているのじやないかと思います。それはその問題と全然切り離された話です。
  730. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) それは岡田さんが自由に向うにそういうものを寄贈したわけですね。
  731. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) そうでございます。
  732. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) それに対する代金はあなたが岡田さんに拂つてつたというわけじやないのですね。
  733. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) そういうわげではありません。
  734. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 向島の八百松で何か会合を催しまレたね。
  735. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) ええあります。そ.れは前に兵庫の警察部長をしておつた絹川二郎さんが東京に来られたのです。その関係は私の会社の出張所が神戸にあったものですから…、これは最初申し遅れましたが、出張所長が岡田秀男さんから紹介されて一回知つでいる。そんな関係で私の出張所の者がいろいろやめられてから後においても連絡して、いろいろな仕事関係をしていたというものですから、お世話になつたということを聞いていたものですから、東京へ来たら一回お礼を言わなくてはならんと思つてつたのです。たまたま都市対抗で来られたものですから、吉武さんに若し暇があつたら一回席を設けたいという話をした。それを吉武さんに通じて、それで日野さんも私も行つて、絹川氏も来られておるから、どうです食事をしませんかということで、四人で八百松に行つて食事をしたことがあります。
  736. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) それはあなたが主催したわけですか。
  737. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 勿論そうです。
  738. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) それに警視庁でお話なすつたのですね。
  739. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 多分そうだと思います。吉武さんに対して警視庁と思います、ただその下山事件のことでちよつと行つているときだつたものですから。
  740. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) そうすると吉武さんにあなたがその催しのことをお話になつて、あなたがそのメンバーを集めたのですか。
  741. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) いやメンバーといつても日野さんだけですから、私の方から言いました。
  742. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) あなたが指示したわけですね。
  743. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) いや私が直接日野さんにこういうわけでやるからということで…。
  744. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 日野さんと吉武さんと絹川さんということはあなたがここにおつしやつた…。
  745. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 絹川さんは吉武さんを通じて話してくれましたということになります。
  746. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) そうですか。その他吉武さんの方に何か品物をお送りになつておりますね。
  747. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) それは吉武さんには送つてないのです。調書に或いは出ているかもしれませんが、それは私は調書のときにも係長知らんことなんだから、係長と書いても仕方がないということを私は再三言つております。併しそんなことは問題じやないから顔を立てて置けという話もありましたし、これは吉武さんについては非常に長い期間かかつて調べておりますものですから、いろいろなことがあると思いますが、そんなわけでその点につきましては係長の話でもありませんし、又係長には渡しておりません。
  748. 伊藤修

    委員長(伊藤修君)  あなたは昭電関係に何かいろいろ御関係していらつしやるのですね。
  749. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) それは昭電の公判がやつておりますから御存じだと思います。
  750. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 味の素事件についてあなたが塩谷氏から頼まれて、そうして味の素の重役の鈴木恭二さんの釈放について、若しくは取調について、吉武さんに何かお頼みになつたのですね。
  751. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) まあ頼んだということではないのですが、それは実は塩谷さんの部屋に行つたときに、塩谷さんが味の素のこの事件の話が出まして、まあいい男だけれども今取調べられている、ああいうのはまあ早く出して貰うといいのだけれども、という話をしておりましたもんですから、たまたま私が先程申上げました関係で吉武さんの部屋に出入りしておつたものですから、行つたときに、私の友人だけれども何か鈴木君というのが今調べられているそうだけれども、どうなんだろうとしう話を僕はちよつとしました。するといやあれは相当の事件なんで、なかなかむずかしいという話をされておつたものです。ああそうですか、それじや成るべく早く調べて早く帰してやつて下されば結構ですがという話を僕はしたのです。いやそれは取調が終れば勿論返すだろうけれども、相当なことだからなかなか簡單に行かんだろうというようなことがありました。
  752. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) その話を塩谷さんから伺つたのは、まだ鈴木氏が逮捕される前じやないですか。
  753. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 私の聞いたのはあとです。もう入つておるときです。
  754. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 入つておるとき……その前からその話は塩谷さんから聞いておるのじやないですか。
  755. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) いや私は聞いておりません。
  756. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) そういう関係でいわゆる口実を設けて、いわゆる一つの機会を捉まえて、八百松の招待ということがなされたのじやないですか。
  757. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 警察でもそういうふうに言われたのですが、それは全然違います。
  758. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 時は同じうしておりますね。
  759. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 時を同じうしているというので誤解を受けたということもあります。
  760. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 一方では頼んで置きながら一方ではそのチヤンスを……。
  761. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 頼んだといえば頼んだのです。
  762. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 絹川さんという一つのチャンスを捉えてその会合を催したというように、外形的には考えられると思います。
  763. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 外形的には考えられると思いますが私としては毛頭そういうことはありません。
  764. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) あなたとしてはそういう意思があるのじやないですか。
  765. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) そんなことはありません。
  766. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 逮捕状が出る前に、前日にあなたは、築地の田中家で吉武氏とあなたと鈴木さんが会合しているのじやないですか。
  767. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 全然そんなことは知りません。全然そんなことはありません。
  768. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) でもいろいろな事実から総合いたしますと、逮捕される前にいろいろ工作が、まあ工作と言つては語弊があるかもしれませんけれども、少くとも了解を求めに行かれたというふうに考えられるのですが……。
  769. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 私は全然そういうことはありません。どうもそういうふうに噂も飛んでおります。警視庁の調べもそうであつたのですが、全然そんなことに関係はないのですから、おかしいことはおかしいと思つておりますけれども、私としてはそういうことはありません。
  770. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 主任の吉武氏とその当時とにかく八百松等に行つたということは考えられる。何かそこへお頼みになつたことと吉武氏のそういう接近闘係とが絡み合つているように考えられますが……。
  771. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) それは全然ありません。田中家で会ったことも事実に全然ありません。
  772. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 田中家というのはあなたの行きつけの料理屋じやありませんか。
  773. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) いいえ違います。
  774. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 築地のどこへいらつしやいますか。
  775. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 築地は最近全然参りません。昔行つたことはありますが最近全然行きません。
  776. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 田中家ではあなたがちよちよいおいでになるようなことを言つていますが。、
  777. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) それは二十一年か二十二年頃は商売関係で行つたが、最近は……。
  778. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) おかみはよく存じ上げているということを言つております。
  779. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) おかみさんは肥つた人です……併しそれは商売関係で、昭和二十一年か二十二年頃のことです。
  780. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 昭和二十一年頃は商売で行かれたのですか。
  781. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 昭和二十一年か二十二年頃までは商売関係で行つたことがあります。
  782. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 二十二年頃は行かれたのですか。
  783. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) その頃までに行つたと思います。
  784. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 二十三年以後にいたちの道ですか。
  785. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) いたちの道ですね。(笑声)
  786. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) あなたはそれほど鈴木さんのことに関心を持つていらつしやつたのだから、鈴木さんの逮捕状が出たということをいつ頃お知りになつたですか。
  787. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 全然私知りません。
  788. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 逮捕されたのは……。
  789. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 関心を持つていたと言われますけれども関心を持つていたわけじやありません。
  790. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) でもあなたは頼まれたということですから……。
  791. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) ちよつと聞いてみようと思つてきいてみたので……。
  792. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 外ならぬ塩谷さんから頼まれた、消防総監ともあろう人からあなたに頼まれたというのですから、むしろ向うから直接行つた方が早いと思われるのに、あなたの方が勢力があるという話を聞いたのでしようね。あなたに頼めばことが片付くと思つた、塩谷さんすらできないようなことをあなたに頼めばいいということで……。
  793. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 頼んだということになつておるでしようけれども、そういうふうに心配しておつたものですから、行つたついでに聞いて見たというだけで、頼まれた、頼んだとつことじやないと思うのです。
  794. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 今度あなたの事件について、あなたの逮捕状が出たことはいつ頃御存じになつたのですか。
  795. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) それは逮捕状を見せられて分りました。
  796. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 形式的にはそうですが、事前に知つてつたのじやないですか。
  797. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) ただ新聞紙上に逮捕状が出たとか出ないとか出ておりましたが、私は全然知りません。
  798. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 君の逮捕状が出ているということは、警視庁方面から事前に知つたのじやないですか。
  799. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 全然それは分りません。
  800. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 警視庁の中のことは殆んど御存じですから……。
  801. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 噂にそうかも知れませんけれども、又そういうことについてあれはありませんが、出入りしておつたので誤解されておる点は多々ありますけれども、そういうことは全然ありません。
  802. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) あなたが逮捕される前日に、あなたの弟さんのお葬式がありましたね。
  803. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) ありました。それはお通夜で、翌日骨上げして、三時頃に逮捕状を見せられて来たわけです。
  804. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) あなたを取調べられた係官はどういう人とどういう人ですか。
  805. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 調べられた方ですか。直接当られたのは係長の飯塚さんですね、それから宗像警部補、棟方部長、それから杉田さんと言いますか、高橋さん、それからもう一人村上さんという人もおられたと思います。大久保さん、岸田さん、そういう方々がおられたと思います。
  806. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) あなたを取調べた人は、あなたを直接取調べ.た方は…。
  807. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) ですから大体取調べた方は飯塚係長と宗像主任さん、それから……。
  808. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) もう一遍……。
  809. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 飯塚係長さん、宗像主任さん、棟方部長さん、木扁に「東」という字を書いた……。それから大久保部長さん、岸田さんという刑事の方だと思います。.その方々が今のあれに当つておりました。
  810. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) それは警視庁の関係の方ですね。
  811. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) そうです。
  812. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 検察関係は。
  813. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 検察関係は詐欺容疑事件については、稻田検事さんが調べられました。その他については岩松検事さん、全般的には岡崎特捜部長さんも少し調べられました。
  814. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 河合検事さんは関係しておりましたか。
  815. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) それは昭電のことについてお開きになられたのでございます。
  816. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) あなたが二十五年の二月二日に釈放せられて後に、お調べを受けたことがあるのですね。
  817. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 稻田検事さんに一回あります。それから後、岩松検事さんには参考程度に二、三度行っております。二、三度行つたと思います。
  818. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 岩松検事は参考程度に二、三回……。
  819. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 調書は大したことは取つておりません。
  820. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 取つていないのですか。
  821. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 調書は取つておらんと思いました。
  822. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 稻田検事はあなたの方の今の……。
  823. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 詐欺容疑事件について……。
  824. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 詐欺容疑事件について一回…。
  825. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 私が出てから…。それは調書を取りました。
  826. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 岩松さんはその他のことですね。
  827. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) その他のことです。
  828. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 参考に二、三回聞かれた……。
  829. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) そのときは警視庁から調書が出ていなかつたと思います、ここに出ている大半のものが……。私はどういうふうなことについて調べられたかということを概略申上げただけであります。
  830. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) その程度ですか。
  831. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) その程度です。
  832. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) それ以後はお調べを受けており.ませんね。
  833. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) お調べを受けておりません。
  834. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 岡崎さんにも……。
  835. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 受けておりません。
  836. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 河合さんは昭電だから。
  837. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) それは私の勾留中のことですか。
  838. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 出てからのこと。
  839. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) 出てからのこと。
  840. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 今開会する本会議で採決がありますが、それはどういうふうにしますか。
  841. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 速記を止めて。   〔速記中止〕
  842. 伊藤修

    委員長(伊藤修君) 速記を始めて。本会議の都合がありますから休憩いたします。    午後二時二十六分休憩    —————・—————    午後三時十八分開会
  843. 伊藤修

    委員長伊藤修君) では休憩前に引続きまして、開会いたします。  あなたの事件が問題になつて、あなたが釈放されてから、丹羽、吉武、日野と、こういう人とはお会いになつたのですか。
  844. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 丹羽さんには挨拶に行つたことがあります。それから吉武さんは二度程あります。
  845. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはいつ頃ですか。
  846. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それは出て来てから何か新聞に、私が吉武さんに三万円金をやつたというようなことが新聞に出たり何かしたものですから、お前そんなことをやつたのかと、そんなことはない、そんなことを言つてないというふうに、あれで二度ばかり追及がありましたから、ないということを言つて置きました。
  847. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 岡崎さんや丹羽さんはどうですか。
  848. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 丹羽さんには挨拶に行きました。事務所に人が沢山おられたので、ただ挨拶した帰つただけです。それだけです。
  849. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何かお打合せになつたようなことが専ら……。
  850. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そんなことはありません。打合せすることは一つもないと思います。私には……。
  851. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 日野はどうですか。
  852. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 日野さんはありません。
  853. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お会いになりませんですか。
  854. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 会つてないです。
  855. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 塩谷さんはどうですか。
  856. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 塩谷さんは会いました。挨拶に行つたことがありますから。
  857. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 田中総監に三鷹の家を新築か、増築してやつたという噂があるのですがね。そういう事実はどうですか。
  858. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 知りません。
  859. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはありませんかね。
  860. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 田中総監ですか。
  861. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ええ、
  862. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そういうことは全然ございません。
  863. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう噂が専らありますが……。
  864. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 私は知りません。
  865. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 坂本前刑事部長に機密費を出しておるということはありませんか。
  866. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それもありません。
  867. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 噂に過ぎないのですね。
  868. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そうでと思いますが、自分ではありません。
  869. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは「うた藤」、これは知つておりますか。
  870. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) ええ。知つております。
  871. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これはどこですか、上野ですか、
  872. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 上野です。
  873. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 「一力」や、そういう所で岡崎氏や増田氏と数回いろいろ会合を催しておる噂さがあるのですが……。
  874. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そういうことは全然ありません。
  875. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 渡邊良夫氏を通じて廣川弘禪氏に、いわゆる政治資金を百万円渡したというような噂さがあるのですが……。
  876. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 全然存じません。
  877. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ありませんか。
  878. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) はあ。
  879. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 増田さんとは最近お会いになつたことがありますか。
  880. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 全然会つておりません。
  881. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 以上で大体主要尋問を終りますが、各委員から御質問を……。
  882. 小林英三

    ○小林英三君 佐藤証人にお伺いいたしますが、この、俗に言われておる五井産業事件という問題につきましては、この取調べに当つている方面でも、いわゆる警視庁の取調べに当つている方面でも相当の意図があつたように我々は聞いておるのです。そこであなたの取調べ中におきまして、五十日間ばかりの勾留中における取調べに対して、人権勾留中における取調べに対して、人権蹂躙に及んでいるようなことも聞いているのですが、これから私がいろいろなことをお尋ねいたしますから、この際一つ隠すことなくお答えを願いたいと思うのです。  先ず第一番に、一月四日の、本年の一月四日の検事勾留の期間が満了いたしまして、そうして勾留状なくして一月四日並びに一月五日の二日間留置しておつたというような事実があるように聞いておるのでありますが、この点は如何でしよう。
  883. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) とにかくそれは、私は六日の日にその勾留状を見せられたと思います。そう記憶しております。
  884. 小林英三

    ○小林英三君 そうすると、一月四日、五日の二日間は留置されておりませんか。
  885. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 留置はされておりましたけれども、勾留状をみせられたのは六日の日だと思います。
  886. 小林英三

    ○小林英三君 六日の日に見せられた……。
  887. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) はあ。
  888. 小林英三

    ○小林英三君 それから勾留状の一月六日附の、いわゆるそれを一月四日と日附を書き直してあつたというようなことを聞いておるのでありますが、そういう点はなかつたでしようか。
  889. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) さあ細かいところまでは見ておりませんので、分つておりません。
  890. 小林英三

    ○小林英三君 それからあなたの長い間の取調中におきまして、取調官が大勢で大きな声を出して、あなたをこずき廻わして、そうして取調べたというような事実はなかつたでしようか。
  891. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) さあ、ですね、留置場の出入りを見て貰いますれば、一番はつきりすると思いますが、二十四年の十二月二十六日から大体涜職関係という問題に触れて来ておりまして、特に警視庁内部との関係について相当追及がございました。まあ朝早いときは九時ちよつと過ぎから夜の九時くらいまでのこともございました。晝間食事の殆んど……。
  892. 小林英三

    ○小林英三君 今の証人にですね、私がお尋ねしましたのは、大勢で何か圧力を加えるように、周囲からこずき廻して、あなたを調べたことはありませんか。
  893. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) こずき廻すということはありませんが……。
  894. 小林英三

    ○小林英三君 大きな声を出して。
  895. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それは当然あると思います。
  896. 小林英三

    ○小林英三君 大きな声を周囲から出して、そうして馬鹿だとか、何とか言つて、毆られなかつたかも知れませんが、周囲から圧力を加えるような恰好であなたを取調べたという事実はありましたか。
  897. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 大体毆つたりなんかされたことはありませんが、腕を持つて書けとかということは言われたことはありました。地下室でやつておりますから、小さい部屋ですから、四人、五人入ると一杯になつてしもう、ですから相当調べについては峻烈であつたのじやないかと思つておりますし、気の弱い者でしたら、或る程度つてしもうのじやないかという感じを受けました。
  898. 小林英三

    ○小林英三君 非常に圧力が加つたということは考えられるのですね。
  899. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) これは直接手を出されておりませんけれども、そういうふうに圧力は加つておる。
  900. 小林英三

    ○小林英三君 非常に大きな脅威を感ずるという気持にはなつたのですね。
  901. 佐藤昇

    証人(佐藤昇君) そういうふうになるわけですね。
  902. 小林英三

    ○小林英三君 それから尚又、ちよつとお話がありかけたようですが、これは警視庁の留置人の出入れ簿を見れば直ぐ分ることですが、あなたの取調べに対して、夜遅くまで可なり夜遅くまで取調べをしたということがございますか。
  903. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) ございます。
  904. 小林英三

    ○小林英三君 凡そ五十日間の中、どのくらいそういう事実がございましたでしよう、大体において。
  905. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) はつきりは分りませんが、半分くらいはあつたのじやないかと思います。
  906. 小林英三

    ○小林英三君 夜遅くというのは、大体どのくらいまで……。
  907. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) これは留置人名簿を調べて貰えばよく分ると思うのであります。遅いときは、九時、十時までありました。或いは調書を取るときやなんかは、割合早くあれした場合もあります。
  908. 小林英三

    ○小林英三君 それから全体の勾留期間中において、半分くらいはあつたのでしようか。
  909. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) あると思いますが、お調べ願いたいと思います。
  910. 小林英三

    ○小林英三君 それから今のあなたの、今の何ですな、五十日間におきまする最初の詐欺の容疑で勾留した、詐欺事件で大体五十日間の間取調べていうものは、詐欺事件に対する取調べというものは極く短期間であつて、五十日間を通しましてそれは極く短期間であつて、殆んど大半というものはいわゆる涜職事件と申しますか、金をばらまいたと申しますか、こういうような問題に大部分が費された、つまり詐欺事件を中心としなくて、取調べの中心というものはどつちにあつたか、どつちに取調べの中心を警視庁の取調べる者共がやつたのでしようか、五十日間において。
  911. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それはですね、私が逮捕されましたのは十二月十四日でございまして、二十四日までは一応詐欺事件についての調書並びに調べ、恐らく調べというものは余りありませんでした。調書を書く……。
  912. 小林英三

    ○小林英三君 一番最初は何日です。
  913. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 十二月十四日です。それから二十四日までです。
  914. 小林英三

    ○小林英三君 二十四まで……。
  915. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) はあ。
  916. 小林英三

    ○小林英三君 それは調べないのですか。
  917. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) ええ、その間調べということよりも、調書を取るということに殆んど日にちを費しております。調べられて調書を取られたということになると思います。十二月二十六日から……それまでは主任の宗像警部補が直接調べながら調書を取つておられました。二十六日から大久保部長並びに岸田刑事が、これからわしがあなたを取調べるのだということを宣言されまして、大体涜職といいますか、こういつた関係に向つて、いろいろ取調べを受けました。但し調書の内容は、詐欺事件の金の使途ということについて調書は取つてあります。
  918. 小林英三

    ○小林英三君 そうするというと、実際に調べたのは、今の金をばらまいたというような問題を大部分調べたのであつて、調書としては詐欺事件ということに事寄せて作つてある……。
  919. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それは勿論そうであります。
  920. 小林英三

    ○小林英三君 そういうことでありますね。
  921. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) はあ。
  922. 小林英三

    ○小林英三君 それから私は今度の問題については、証人にお伺いしたいと思うのですが、これは証人の取調べ中における状態によつてそれは分つて来ると思うのですけれども、大体今度の五井産業事件というものの起りは私共の聞き及んでおるところによりますというと、警視庁の捜査第二課長である松本課長、これとその警視庁の内部における自分達の同僚との反目があつた、大きな反目があつた、これは何とかして除け者にしてやろう、例えば土田或いは日野とか、或いは吉武とか、こういう者との間にいろんな関係で従来から反目があつた、その反目についてこういう同僚をオミツトしてやろうというような考えを持つてつた、たまたまそれらの土田であるとか日野であるとか或いは吉武とかいうような者があなたと、佐藤証人関係があるごとくに考えておつた、これをこの問題について証人を引張つて来て、そして何かこれを調べが進んで行けばきつと関係が出て来る、そうすれば、自然に日野と自分と反対の立場にある警視庁の自分らの平素から私の怨を持つてつた人がオミツトされる、こういうような意図によつてつたというようなことを我々は聞いておるんでありますが、そこで証人にお伺いいたしたいことは、あなたのこの取調べ、詐欺だという問題で取調べ中、それから公判は詐欺ということに事寄せて今の金をばらまいたとか云々という問題について調書をとつておるそうでありますが、今私が申上げたような意図があるようにお考えなつたことはございますが、取調べ中において……。
  923. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それは大体新聞紙上にも或る程度まで発表されておりますが、今どなたか委員から質問あつたと思いますが、吉武警視については約全部日数を合せて二週間以上やつております。それから日野さんのことについては一週間くらいあります。私の受けた感じは逮捕されておりますし、或いは外の人方の涜職関係がないかということについてもお調べを受けておりますが、中心は吉武さんと日野さんのことによつて終始調べを受けたというふうに感じを非常に受けております、中で調べの間においても、宗像主任あたりからそういうふうなあれは顔を立てろとか、或いはこの問題は詐欺ということよりも外の方に大きな問題があるんだというようなことも言われておりますので、そういうふうな感じを非常に受けました。
  924. 小林英三

    ○小林英三君 それではそのなんですか、今の吉武については二十日間も同じことを取調べたとか、日野については二週間も取調べたということは、殆んどその期間内においてそれに終始しておつたというふうなことになりますか。
  925. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) まあ吉武さんの場合は先程言いましたように、二週間くらいではないかと思います。日野さんの場合は一週間くらいではないかと思います。大体その線に並んだところで、土田さんとか折田さんとか、確かその連中は知つているという話であつたのでありますが、私は全然知らなかつたので知らんと言いましたが、大体そういう何といいますか、仲がいいといいますか、そういう人についてお調べを受けたことが多いのであります。
  926. 小林英三

    ○小林英三君 そうすると、前に私がお尋ねいたしました中にありましたように、あなたの取調べ中においてこの事件というものは、あなたの詐欺事件は勿論でありますけれども、その外に何だかその松本課長を中心とする取調べというものが、そういうような問題に反感を持つて何ですか、これを何とかものにしようというようなことが相当あつたと見ていいのですね。
  927. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 私もそういう感じを受けますが。
  928. 小林英三

    ○小林英三君 尚お尋ねしたいと思いますことは、この味の素事件のもみ消しについてあなたは先程委員長からの質問に対して塩谷、岡田さんからはそういうような受けた関係……そういう深い意図があつて吉武さんに早く取調べて貰いたいというような意味でやつたのではないかということを聞いておりましたのですが、尚この味の素事件について、現在警視庁の捜査第二課長である松本課長みずからが味の素事件のもみ消し事件を引受けたというようなことを我々は聞いておるのでありますが、この件についてあなたは何か聞いたり或いは知つておることはありませんか。
  929. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) その点につきましては見たりしたことはございませんで、噂としてはこの間から新聞紙上に出ております何か最初四十七号の味の素を調べておる部屋が、金を貰つたとか何とかいう噂があつたので、その後私が森の素の関係から吉武さんに金の渡したんじやないかという疑を持つて見られて、それがどうも私の逮捕の本当の姿じやなかつたんじやないかとも考えられるのでございますが、逆捜査とか何か言われておりますが、少くとも警視庁内部の調べた部屋自体がそういうふうな噂を立てられた以上は、これは当然監察官というものが警視庁にあるわけですから、その監察官制度によつて一応調べた、而も私の場合は吉武さんとの関係があるということになれば、当然これも監察官が調べて、然る後に何かあれば私を逮捕して調べる。これが味の素の事件を中心とする場合の前提ですが、正しい捜査であればそういうように捜査して頂かなくちやならんのじやないかと思います。従つていろいろ噂のあることは、或いは課長に頼んであるとか何かいう噂を我々も聞いておりますが、併し具体的のことにつきましてはありません。
  930. 小林英三

    ○小林英三君 それからあなた証人自身が松本課長を呼んで饗応したというような事実はなかつたでしようか。
  931. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それは松本課長さんを呼んだのじやなくして、十五年会という会がございまして、その会をたまたまやつぱり部屋がなくて、私の家で催したときに、松本課長さんが見えられたことがありました。その席上では私も丁度家におつたものですから出まして、こういう会はぜひ一つ開いて呉れと言つて手を取つて涙を流して、非常に何といいますか、こともございました、招待をしたというような意味ではございません。
  932. 小林英三

    ○小林英三君 そうすると、松本課長さんはあなたの家へ行かれたということは分りましたが、その後特に松本課長さんに招待、饗応したということはありませんでしたか。
  933. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それはありません。
  934. 小林英三

    ○小林英三君 それだけのことですか。
  935. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そうです。
  936. 小林英三

    ○小林英三君 それからいわゆるこの五井産業事件というこの事件につきまして、我々が法務委員として非常に不思議に思つておりますことは、この前もこういう問題がどつから洩れて発表され、四月の四日の夕刊にも五日の新聞にも発表され、その翌日の朝刊にも細かく発表されている。それは昨日の特捜部長も不思議に思つてつたわけですが、あなた自身が発表されたのじやないでしようね。
  937. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 全然ありません。
  938. 小林英三

    ○小林英三君 そうすると、もう一遍お伺いしますが、何ですか、発表された結果によりまして、新聞に発表された結果、今あなたはそこに読売新聞をお持ちになつているようですが、それをお読みになつてあなた自身その中で名誉毀損になるような、自分の名誉毀損になるというような記事がございましたか。その内容において……。
  939. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 一つ一つの字句につきましては、この点については法的にもよく知りませんので分りませんが、私の場合いろいろ今御質問のありました佐藤自供調書といつて新聞に発表になつておりますが、少くともこれは公判前のことでもありますし、或る程度つた部面もございますが、大体私が警視庁で調べを受けた調書に基かなければこの新聞は出ないと思うのであります。従つて昨日私の弁護士の堂野さんと牧野さんから人権擁護局の八木さんのところに行きまして、人権擁護局宛に岡田秀男さんの再逮捕問題とこの自供調書のことにつきまして、調査請求書を昨日提出いたしたことを弁護士から聞きました、岡田秀男さんの場合はこれも確か私の記憶では一月十日頃だつたと思いますが、調書を完了いたしまして、これは弁護士さんも立会の上での話ですが、これは全然問題にならんというふうに言われておつたんですが、三十日の保釈許可のときに突如として夕方、夜ですか、八時頃再逮捕の逮捕状が出たようなわけなんです。私といたしましても実に心外に堪えませんし、而も私は一応警視庁の評議員という立場にもありますし、治安というものについても相当考えて来ておるもんですから、あやふやな調べじやいかんと、どうか再逮捕というようなことは出さんで、少々長くても調べて頂きたいということはときどき私は申上げておりました。そういうふうな状況でありますので、その二つの点につきましては昨日人権擁護局に対して一応調査請求書を提出いたしました。
  940. 小林英三

    ○小林英三君 それから証人にお伺いいたしたいと思いますが、この五井産業事件というものは現在証人もよく御承知のごとく、あなた自身が承知しておられるように、詐欺事件というよりも現在ではむしろ政治問題化しているように我々は考え、今それはこの事件の中に昭和二十三年春頃か、二十二年でありますか、二十三年、丁度自由党が野党時代でありましたこの当時に、いわゆるあなたの調書の中に、たまたま自由党の総裁である吉田さんがときどきお使いになつて、自由党の管理に属しておる荻外莊に対していわゆる事務費とか何とかいう問題が出て来た。或いは当時の代議士である、今官房長官であるが、当時の一代議士に過ぎなかつたところの増田、現在の官房長官、これの名前が出たと、先程あなたの委員長からの調査によりまして大部明らかになつておる。名前が出たと、たまたまそういう荻外莊であるとか或いは増田官房長官の名前が出て来たということを先般ジヤーナリストが取上げて、これを新聞に取上げたと、これがたまたま真相を少しも知らないところの、審らかに知らないところの国民が曾ての昭和電工事件におけるその当時の芦田総理であるとか、或いは來栖蔵相であるとかいうような問題を連想して、今度も又何かあつたんじやないかというようなことを国民が詳らかの知らない国民がこれか連想しておるという今日の現状であると私共は考えます。私共は先般来法務委員としてこの問題にタツチしており、もう殆んど世の中の人が問題にしたり、新聞紙が問題にしたような問題ではない。今朝程委員長があなたにお尋ねしており、中には可なり詰らんこともあると思う。そこで私はこの詰らん問題を一日も早く明らかにする、国民に明らかにするということは、これは私は少くとも対外的にも対内的にも我々日本人として、又日本の国として大きな利益である。こういう考え方からはつきりともう一遍私はあなたにこの問題を明らかにしたいと思う。証人をめぐつておるところの例えば詐欺事件というようなものは、これはもう我々がここに取立ててどうだ、こうだといつて調べるべきものではない。これは裁判所もある、何もある、我々がただ政治問題としてこの問題を明らかにしたいと思うのは、この警視庁の内部のいろいろな経緯もありましよう。これも明らかにしなければなりませんが、先ず今の証人に特に私がお伺いしたいと思いますことは、いわゆる福田篤泰さんがあなたから小切手で三十万円貰つている。その当時は福田篤泰さんに聞きますと、秘書でも何でもなかつた。ただ自由党の一党員であつたと、これが丁度自由党が管理しておるところの荻外莊、この荻外莊の、当時いろいろ支拂の方に困つてつた。それで福田篤泰さんがあなたと知人であつたと、非常な知己であつたという関係で、実は非常に困つておるから、佐藤君、金廻りがいいようだから貸して呉れというので、あなたが小切手でお拂いになつた、こういうわけなんです。これははつきりしておりますね。あなたにこの吉田総裁に上げるとかどうかということを聞いたわけじやない。福田個人に、これを友人関係として困ついおるから上げた、こういうわけですね。
  941. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それは先程も委員長さんに申上げた通りであります。ちよつとあのとき説明が足りなかつたと思いますが、出世拂いという意見で五十万円も出しております。
  942. 小林英三

    ○小林英三君 あなたの考えとしては福田さんに上げたわけですね。
  943. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 勿論そうです。
  944. 小林英三

    ○小林英三君 これもこの間からの問題になつて、連想され、又誤り伝えられておることですが、先程この問題は委員長からあなたに御質問があつたのですが、あなたが福田さんと一緒に大磯に行つて、そうして吉田総裁に会われて、これもはつきりして置いて貰いたいと思うのは、よく連想するのです。そうすると何だか福田さんの手を経て吉田総裁に入つたように誤られておる。時期的に考えるとあなたのおつしやつたことは前の年の秋であろうとその年の春であろうと、それは構わない、自動車をあなたに貸して呉れと福田君が言つて、どうだ一緒に行つて偉い人に会つて来ないかということも、聞いておるのですが、先程それをあなたが委員長におつしやつた通りなんですか。
  945. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 先程委員長さんに申上げた通りであります。
  946. 小林英三

    ○小林英三君 それから昨日部長検事を証人として聞きましたことと、あなたのおつしやつたこととちよつと食い違いがあると思いますが、これも確めて見たいと思うのですが、渡邊良夫さんという人から二十二年の九月頃でありましたか、あなたに電話で自分の知つておるやつで岡崎英城君ですかのところに援助してやつて貰いたいというようなわけで、岡崎さんが警視庁をよしてから事業が不振だから何とか助けてやつて呉れないか。事業資金に助けてやつて呉れないかというわけで電話をして、そうして初めは岡崎さんが行くし、その次は岡田君と丹羽喬四郎、これは初対面という話でありますが、これが行つて、それから更に丹羽さんが行つて、そうしてあなたがおつしやるのは七十万とかいう話ですが、六十万か七十万を、この点に関してこれもやはり相当世間で疑惑を持つておる。疑惑を持つておりましても、昨日のこの部長検事の証人の話によりましても、又我々がよく知つておりますように、個人としてその当時献金して貰う分にはちつとも差支ない、罰にも何にもなりはしない、併し一応明らかにしたいと思いますが、これは何ですか、今私がお尋ねしたことが本当でありましようか。増田官房長官にこれを上げるとか何とかいうのではなく、岡崎本人或いは岡崎、丹羽本人にあなたが事業資金として献金して上げた、融通して上げたという方が正しいのですか。
  947. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) これも先程委員長さんに申上げましたので、あれが私の正しい記憶であります。ただ昨日の岡崎部長さんのおつしやつたことと違うとおつしやいますけれども、これは岡崎さんは警視庁の調書によつて言われたと思いますので、その点が或いは違うかも知れませんが、その点につきましても委員長さんから御質問がありましたので、お答えいたした通りであります。
  948. 小林英三

    ○小林英三君 これは重大なことでありますから聞いて置きたいと思いますが、つまり岡崎さんが貰つたにしても、或いは先の荻外莊の支拂の費用の問題で福田さんが貰つたにしても、これが又いろいろ関連されて誤解を招いて、あなたの詐欺事件というものは昭和二十四年の暮頃から起つておる、それから今の渡邊良夫さんを通じて岡崎さんが貰つたとか、丹羽さんが融通して貰つたとか、或いは福田さんが貰つたということは二十三年の春である。それらの、つまり誤り伝えられている何ですね、増田さんの名前が出たり、或いは荻外莊の名前が出たりして、よく誤り伝えられている事件について、その当時福田さんにあなたが金を廻して上げたとか、献金したとか、或いは岡崎さんに運転資金、事業資金を融通して上げたというその金、その金はこれは詐欺事件によつてあなたが取つた金と誤り混同されている、その当時あなたが出した金というものは綺麗な金であつたと私は思つている。あなたみずから儲けられた綺麗な金であると私は思つているが、その点はどうですか。
  949. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) この点につきましては、新聞紙上でもあとで出おりますが、詐欺容疑事件の期日といたしましては、確か十月の終りか十一月、二十三年の十月の終りか、十一月から十二月の中頃までの要するに商売上に受取りました手形、それが一応詐欺容疑として取調べを受けている、私の……。少くとも劈頭申上げました通り、私の終戦後の考え方によつてつて来たことは、二十三年の秋頃まで、大体昭電事件で私が十日間ほど留置されましたが、あの前ぐらいでありまして、その後私の詐欺容疑から出た金というものは殆んどありません。記憶的に幾らか違つておるかも知れませんが、出たところでせいぜい一万か二万か、或いは私の調書に時期的に違つておりますれば、或いは暮ということになつておるかも知れませんけれども、それは先程も縷々説明しておきましたので、その点ははつきりしていると思います。従つて詐欺容疑事件の金と、私が献金ということでなくして、社会的とかいろいろな問題について私が使つた金とは全然時期的に違う、こう思つております。況して私のときには私自身が詐欺容疑の金によつてのみ生きたのではありませんで、当然これはいろいろな事業上の問題もありまして、貸金が返つて来なかつたり或いは情勢が段々変つて社会情勢変つて来るということからできているものでありまして、時期としては全然違う。はつきりしております。
  950. 小林英三

    ○小林英三君 これも一つここで、名前は発表いたしかねますけれども、これも証人に若し関連があつたならばお答え願いたいと思います。つまり荻外莊のいろいろな費用なんかに福田、今現代議士、その当時は代議士じやなかつたのですが、それがあなたから友人関係として金を廻して貰つた、この福田君は今日の自由党の代議士、その当時は代議士でなかつたのですが、この自由党以外に他の政党である某政党からあなたに対して、あなたの金廻りのいいところを見て、是非一つ融通して呉れないか、献金をして呉れないかと言つて、あなたにたびたび頼んで、そうしてあなたから贈與したか、或いは断られたかこれは知りませんけれども、そういうあなたに対してぜひ一つ金を廻して呉れないか、現金で呉れないかと言つてあなたに頼まれた事実がありますか。
  951. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 具体的にはないと思います。
  952. 小林英三

    ○小林英三君 具体的でなくて何がありますか。
  953. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 今の御質問ですが、誰々がどうこうということは私の記憶にはありませんけれども、私の周囲にも沢山ありますものですから、いろいろなことで援助して呉れないかといつたようなことがあるかも知れませんが、私の記憶には、今誰々がどうだという記憶はつきりしておりません
  954. 小林英三

    ○小林英三君 私はそれだけです。
  955. 大野幸一

    大野幸一君 私の方からお尋ねしますが、本日はあなたを被告として取調ベておるのではなくて、裁判所でもなくて検察庁でもない。ただ私達は事実を知ろうとしておる。あなたの弁解を聞こうというのではなくて事実を知ろうというのですね。そこでお尋ねしますが、先ず吉田さんとの関係ですがね、二点聞きますが、福田篤泰さんは吉田総理というと第二次ですね。第二次吉田内閣の秘書官であつたということを御存じですか。
  956. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 知つております。
  957. 大野幸一

    大野幸一君 そうすると、代議士ではないが秘書官であつた、こういうことは、その当時代議士ではなかつたが、元秘書官であつたということは知つておりますね。
  958. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 知つております。
  959. 大野幸一

    大野幸一君 荻外莊は自由党が管理しておるのか、或いは吉田さんの居住家屋になつておるのか、どつちですか。
  960. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それは私分りません。
  961. 大野幸一

    大野幸一君 分りませんか、吉田さんに荻外莊の費用を出したとすると、それは自由党の費用を出すというつもりであつたか、或いは吉田さん個人の費用を出すということになるでしようか、あなたの御答弁中にも、荻外莊の建築であつただろうと想像する、こうおつしやつたのですが、それは想像とは言えません。
  962. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 先程はそうは言いません。
  963. 大野幸一

    大野幸一君 おつしやいましたよ。速記録を見たれば分る。
  964. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それは速記録を調べれば分ります。それは全然私は福田篤泰君に対して資金を援助したのであつて、吉田さんとかそういうことについては何も聞いてもおりませんし、知つております。
  965. 大野幸一

    大野幸一君 それでは国民の代表者として、今喋ベつていらつしやる不審に思う点を聞きますが、二十二年の十万円ずつ二回は福田さんにお渡しになつた。
  966. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) はあ。
  967. 大野幸一

    大野幸一君 そうすると、その暮に吉田さんに紹介しておるのですな、吉田さんに紹介されて大磯で会つている。
  968. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 会つておりません。
  969. 大野幸一

    大野幸一君 吉田さんはワン・マンと言われて、自由党の陣笠代議士でもなかなか会わない人です。あなたは自由党の幹部以上の待遇を受けて食事まで御馳走になつておる、それから二十三年の春になるとこれは十万円じやありません。十万円ずつ二度無心に行つておる。それから五十万円を要求した。こうするとこれは福田さんの顔じやない、一度吉田さんに会わしたという切りでも今度は福田さんの顔と見られない、国民から見ると今度は少し大きい、だから五十万円ということになつて来たように考えられる。そこであなたの三十万円というのは小切手で渡されたというわけですね。福田さんがこの小切手を使つてしまつておるならばよろしい、受取人が福田さんにならよろしいのです。併しながら福田さん以外の人が取つておるということを警視庁であなたは聞いたということをおつしやいましたね。それはどうですか。
  970. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 何ですか。
  971. 大野幸一

    大野幸一君 福田さん以外の人が三十万円の小切手の裏書をして取つておる。受取人として取つておることをあなたは警視庁で聞いたとおつしやつたのですが……。
  972. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 警視庁で私は五十万円が現金か小切手か分らなかつた。警視庁でお調べ願つておる中に三十万円が小切手で裏判があつてつておるから間違いないだろう。それじや私は分らんけれども、福田さんに渡したのだから福田さんがどういうふうにされたか私には分らない。併しその事実があるならば三十万円小切手であるかも知れません、こういう御答弁をしているのです。
  973. 大野幸一

    大野幸一君 それからその次にあなたがおつしやつたことは、誰かが小切手を取つておるかも知れないということをおつしやつておりますが、それはあなたが警視庁で言われた誰かというのは……。
  974. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) さようにお話しなかつたと思います。そんな話はしなかつたと思いますが……。
  975. 大野幸一

    大野幸一君 それはその小切手は吉田さんの秘書の峰谷さんの名前で受取つてあるのです。そうですと、福田さん自身が使つていないということになるのだがね。そういうことと、あなたが何ですね、吉田さんと会つた後に三十万円だけは小切手、二十万円だけは現金、現金は誰が使つてもいいのですが、小切手は人に転々として渡つておるのだからそんな気持で吉田さんに行くんじやないかとお考になつて、吉田さんの秘書の峰谷さんの裏書によつてつておるという事実があれば当然これは吉田さんの顔を立てて置こうという気はあつたのでしよう。
  976. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) その点は先程委員長さんに申上げたのですが、福田さんに対して私は差上げたので、それから先は福田さん自身に聞いて見なければ分りません。私は福田さんに応援しておるので、それについては先程申上げておる通りです。
  977. 大野幸一

    大野幸一君 それから十万円ずつ二度やつても、今度は五十万円と言つてもそれを出したということは同じことですが、納得できないように考えるのだが。
  978. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それは議員さんの主観ならばしようがありません。そういうふうなお考ならば……。
  979. 大野幸一

    大野幸一君 主観じやない。国民が納得するように答えて貰いたいのですがね。それから増田さんのところですね。増田さんが礼を言われた。こういうその増田さんの礼というのは、岡田とか伊能とか、岡崎、丹羽という人のことについて増田から礼を言われたと言われる。そうすると、増田さんはその人達とどんな関係にあつたのでしようか。子分というか親しい間とか、何かそういう子分親分の関係ですか。
  980. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そこまで私も分りませんが、伊能さんは北海道長官時増田さんの下におつて経済部長をされた。岡田包義さんは増田さんの次の北海道官をされた。それから岡崎さんについては余り知らなかつたが、内務省の後輩だというふうに我々聞いておつたのです。でまあ相当親密の間じやないかというふうにも聞いてはおります。
  981. 大野幸一

    大野幸一君 友達が世話になつておるためばかりでなく、対等の友達ではないのですね。そうするとあれは友達が世話になつておると言つて、余程親密の友達でなければ、人のことでお礼言うことはない。
  982. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 友達ではない、後輩です。後輩とか旧部下ということになりますか。
  983. 大野幸一

    大野幸一君 旧部下という関係ですね。
  984. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) ええ。
  985. 大野幸一

    大野幸一君 岡崎、丹羽両名が事業資金にするためにという話があつたから出したというのですが、どんな仕事ですか。
  986. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 梱包会社です。
  987. 大野幸一

    大野幸一君 梱包会社を拵えた。
  988. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 旭梱包会社ということをやつておられた。
  989. 大野幸一

    大野幸一君 自由党控室へときどき行つたという話だが、何回ぐらい。
  990. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 自由党の控室ですか。今までにですか。さあどのくらいといいますか、三四回は来ておると思いますがね。
  991. 大野幸一

    大野幸一君 それはどういう、主に誰に会いに来た。
  992. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) まあ主にですね、誰ということはありませんけれども、私は島村一郎さんが学生時代から非常に世話になつたので、殆んど毎日のように私の会社へ前から寄つておられたのですが、来ない時があるから、そういう時はこつちに来て連絡したりなんかで。
  993. 大野幸一

    大野幸一君 そうすると、あなたその自由党の人達にまあこういう政治献金をしたというのは、政治的識見と抱負に共鳴したと、こういう意味ですか。
  994. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) いや、そういうことではありません。個人福田です。個人渡邊君の人格を認めて、私はあれしたんです。
  995. 大野幸一

    大野幸一君 日野さんに警備費全般として寄付したというのは、全般とさつきおつしやつたのはどういう意味ですか。警備費全般というのはどういう意味ですか。具体的にはどういうところに使うのですか。
  996. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) まあ警備情報ですね。あそこはですから警備情報関係をやつておるわけなんですね。ですから情報とすれば、ありとあらゆる情報であり、それによつて警備がいろいろな意味において……。
  997. 大野幸一

    大野幸一君 そうすると金はどこへ使う。
  998. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) やはり警備情報を集めるためにはいろいろな人とも接触しなければならんので。
  999. 大野幸一

    大野幸一君 飲んだり食つたり……。
  1000. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) まあそういうものも入るのじやないかと思いますが。
  1001. 大野幸一

    大野幸一君 あなたは左翼関係の情報は、その当時日野がやつていたということを考えておつたのですか。
  1002. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それはそういう問題から何から一切含まつて、日野さんという人がやつておられたから。
  1003. 大野幸一

    大野幸一君 あなたはそういう左翼関係の方に対して、何か特別の捜査する興味を持つてつたということじやありませんか。
  1004. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そういうわけではありません。
  1005. 大野幸一

    大野幸一君 警察幹部と自然に知合つたというお話ですが、自然に知合うという以上は、しよつちゆう人のことや何かで頼みに行つて知合いにならなければならんというわけで、ただぶらつと行つて自然に知合つたというのはどういう意味ですか。次から次に紹介されたという意味ですか。
  1006. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 紹介された面もあるし、或いは主任さんの部屋に、非常に主任さんと私が仲好くやつて、そこへ行つておるときに外の方が来られれば、自然それで知合いになる。たまたまそういつた警察関係仕事を私らがお手伝いしたこともありますので、関係もあつたのですから、自然とそこで知つたという形にもなるという意味です。
  1007. 大野幸一

    大野幸一君 吉武から下山事件の捜査について協力して呉れたというのは、警視庁の言う協力ということは金出せ金出せということですか。あなたに対しては少くとも。
  1008. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) いや、金の面ではなかつたです。その場合は、吉武さんの場合はいろいろ捜査のことで人を紹介して貰いたいということだつたのです。金の面じやありません。金の面は私の方から吉武さんに対して前に帝銀事件にも出しておりますから、そういう相当大きな事件でもありますし、まあ自分の立場が評議員という立場だから、若しあれしたならばどうかということで話をしたのです。
  1009. 大野幸一

    大野幸一君 吉武に一旦五万円ばかり渡して、それを手柴課長に断わられて返して貰つたということがあるが、そういうことは。
  1010. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それは全然違います。初めから全然金は持つておりません。
  1011. 大野幸一

    大野幸一君 この警察で寄付する場合ですね、手続が要りますね。どういう手続をすればいいかということは知つておりますか。
  1012. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) さあ、手続が要るということは別に聞いておりませんが。
  1013. 大野幸一

    大野幸一君 聞いておりません。では手続していないわけですね。
  1014. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 仮に警察といつても後援会の方が多いのですから、警察後援会とか或いは防犯協会とか、そういう所に我我寄付するのです。
  1015. 大野幸一

    大野幸一君 ですけれども、日野に対して何かそんな意味じやないでしよう。
  1016. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それは、ですからその点は個人の問題になりますから、普通でしたらまあ何といいままか、総務課長に言つてですか、一応の承認を得てというのがこれが常道かも知れません。又事実そうだと思います。
  1017. 大野幸一

    大野幸一君 そういう政界とか財界に、まあ官界に知合いがあると、統制経済の当時は非常に便利だつたことは間違いないでしような。
  1018. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 商売については別に何の関係もなかつたのです。
  1019. 大野幸一

    大野幸一君 いや、そんなことはない。あなた商売関係ないと、先程から陳述聞いておりましても、全体的に見てあなたの方々へ紹介されて行くことは、これ程便利なことはないでしよう。統制経済の時に。それはそういう意味でしよう。
  1020. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) まあそういうふうに考えられればそれはそうですが、私としては反対給付ということは常に考えなかつたですから。
  1021. 大野幸一

    大野幸一君 岡田さんは友達だというのは、現在は援助しておられるのですか。現在岡田さんは援助しておられますか。
  1022. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 去年の終りぐらいからは一切しておりません。私自身がいなかつたですから。
  1023. 大野幸一

    大野幸一君 岡田さんが特資部長……。
  1024. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 特別資材部長。
  1025. 大野幸一

    大野幸一君 統制の切符の割当受けておりますね。
  1026. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 全然受けておりません。
  1027. 大野幸一

    大野幸一君 間違いありませんか。
  1028. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 私は……。
  1029. 大野幸一

    大野幸一君 いや、あなたの会社、若しくはあなたの関係からあなたの会社は……。
  1030. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 特別資材部長時代ですか。それはないと思います。
  1031. 大野幸一

    大野幸一君 一部あつたのじやないか。
  1032. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 全然ないと思います。
  1033. 大野幸一

    大野幸一君 岡田秀男さんとの話で、北海道繊維連合会に渡した品物というものは、先程の話であなたの品物であつたのですね。
  1034. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 日本織物統制会社から正式に貰つたものです。
  1035. 大野幸一

    大野幸一君 あなたの会社に一度貰つて、あなたの会社を通じて……。
  1036. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 私の会社を通じないで、直接北海道連合会へ行つておるわけです。
  1037. 大野幸一

    大野幸一君 あなたが全部で今までどのくらい人に債務あるのですか。代金の支拂とか何かで、どのくらいのものが総額債務があるのですか。
  1038. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 現在ですか、現在はそうでございますね……。
  1039. 大野幸一

    大野幸一君 未拂に分ですね。
  1040. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 貸した分は聞いて頂かないで、未拂の分だけですか。未拂に分はどのくらいありますかね、二十万ぐらいじやないかと思いますが。
  1041. 大野幸一

    大野幸一君 貸した方はどのくらいですか。
  1042. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 貸した方は全部で、やはりそれ以上多いですね。
  1043. 大野幸一

    大野幸一君 それじやそう人に迷惑かけなくても済むわけですね。
  1044. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) ですけれども、こういう社会情勢には貸した方のものは取れません。借りた方は道義的に拂つて行かなければなりませんから、最近進行しておりませんが、極く最近までは一部ずつでも拂つております。
  1045. 大野幸一

    大野幸一君 岡崎という人、丹羽さんという人が警視庁では、岡崎や丹羽さんの顔が警視庁では相当きいたのでしようか。きいておるわけでしよう。
  1046. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 直接私達は知りませんけれども、お名前はよく出ておりますね。
  1047. 大野幸一

    大野幸一君 警視庁内部でですか。お名前というのは警視庁内部ですか。警視庁の中……。
  1048. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 警視庁の中ですか、中ということは言えませんけれども……。
  1049. 大野幸一

    大野幸一君 名前が出ているというのは、どういう意味。
  1050. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 私達が会うと、岡崎、丹羽さんという名前は、内務省関係で話が出るとき出ることは出ますが、警視庁内部ということになりますと、ちよつと私には分りませんが、警視庁の人に聞いて貰わなければ……。
  1051. 大野幸一

    大野幸一君 あなた警視庁の人より詳しい。これだけばら撤いておるから。
  1052. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) いや、それは噂ですから、それはしようがありません。(笑声)
  1053. 大野幸一

    大野幸一君 総監室で事実あなた連絡を取られたようなことがあるようですね。そういうことがありますか。塩谷消防総監の所でね。それで仕事の連絡をされているというようなことがありますか。
  1054. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 仕事の連絡ではありませんけれども、たまたま新聞に出ております逮捕状の内容に吉村商店がありますが、この品物を場所がなくて総監室の応接間に置いて貰つたということはございます。
  1055. 大野幸一

    大野幸一君 そこから取引のことは……。
  1056. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そんなことはありません。
  1057. 大野幸一

    大野幸一君 塩谷総監との自動車のことでありますが、自動車はどういう自動車ですか。自動車の種類は……。
  1058. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) ダツジ・ブラザーです。
  1059. 大野幸一

    大野幸一君 あなたの自家用自動車ですか。
  1060. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そうです。
  1061. 大野幸一

    大野幸一君 警視庁であなたは弁護士をいつ付けましたか。
  1062. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 弁護士は私が逮捕された二日目か三日目に来られたと思います。
  1063. 大野幸一

    大野幸一君 それで幾たり付いておりますか。
  1064. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 最初二人、三日目までに三人付かれたんじやないかと思います。
  1065. 大野幸一

    大野幸一君 そうすると面会はできますね。弁護士は常に面会が……。
  1066. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) さあそれはどの程度ですか、面会が……。
  1067. 大野幸一

    大野幸一君 あなたは面会しましたか。
  1068. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) ええ、しました。
  1069. 大野幸一

    大野幸一君 毎日しておりましたか。
  1070. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 毎日はしておりません。
  1071. 大野幸一

    大野幸一君 どのくらいしましたか。要するに三日目くらいに三人付いて、後一ケ月くらい置いて会いましたか。
  1072. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) その次に会つたときですか。
  1073. 大野幸一

    大野幸一君 ええ。
  1074. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それは、二、三日経つてから会つたと思いますが……。
  1075. 大野幸一

    大野幸一君 それから月にどのくらい会いましたか。
  1076. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) ちよつとそれははつきりあれはありませんけれども、続けて今日仮にAという人が来られて、明日Bという人が来られる場合があります。それから調べの都合上ちよつと困ると言われれば、やはり四日、五日間を置いて来られる。これは大体警視庁の方に来て頼むのですから、一応やはり検事局の許可を得て来ますから……。
  1077. 大野幸一

    大野幸一君 接見禁止になつていても弁護士とは会えるわけです。
  1078. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) いや接見禁止で……。
  1079. 大野幸一

    大野幸一君 弁護士に接見禁止というのはない。
  1080. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そうじやありません。接見禁止の場合は、弁護士は検事のところへ行つて検事の許可を得て初めて警視庁へ来て……。
  1081. 大野幸一

    大野幸一君 時と時間の制限は受けるけれども、必ず会えるわけですから……。
  1082. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それは私には分りませんから、それは弁護士さんの方に……。
  1083. 大野幸一

    大野幸一君 三日目まではあなたの言う脅威を感ずるような、いわゆる人権蹂躪の事実はなかつたですか。
  1084. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) ないです。
  1085. 大野幸一

    大野幸一君 それはいつ頃からあつたですか。
  1086. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 十二月二十六日頃から始まつた
  1087. 大野幸一

    大野幸一君 それから弁護士に会えなくなつたんですか。
  1088. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 余り会えなかつたですね。
  1089. 大野幸一

    大野幸一君 弁護士が、それは調べて見れば分るでしようけれども、弁護士に直ぐ言えば、今弁護士が人権調査をやつておるというくらいだから、弁護士が直ぐ抗議を申込めばいいじやないですか。
  1090. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それは私に聞いても分りません。
  1091. 大野幸一

    大野幸一君 あなたは抗議を申込んで呉れということを言わなかつたんですか、その事実を弁護士にこういうふうにみんなから攻められるということを話さなかつたんですか。
  1092. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それは相当長い時間やられておるということについて一応話してあります。
  1093. 大野幸一

    大野幸一君 そのときに弁護士は何ら処置を取らなかつたんですか。
  1094. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そのときには取なかつた。別に抗議はしなかつた
  1095. 大野幸一

    大野幸一君 特に大切な、調書上塩谷総監に五万円やつておるという点は間違いであつたということを弁護士に話したんですね。
  1096. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) ええ。
  1097. 大野幸一

    大野幸一君 それでは調書をもう一度取り直せということをあなたは要求しなかつたんですか。弁護士にも告げなかつたんですか。
  1098. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 弁護士にも言いました。それは四十七号の部屋のときに、車座になつてつておるときに、あの問題は記憶違いであるということを二度ばかり私が申上げてあります。敢えて取つて呉れと言いませんけれども、御存知のような調べ方ですけれども、検事局に行つたとき話した方がはつきりすると思いましたから話しました。
  1099. 大野幸一

    大野幸一君 訴訟法が変つて、現在と昔は相当開きがあつて、あなたがいわゆる勾留中でも相当弁護士を通じて十分なる権利の擁護ができるということは、あなたも相当の人ですから、人に大分迷惑をかけとおるから、万一の場合は自分権利をこのくらいというくらいのことを感じておられたんじやないですか。昔だつたらそういうことがありますが、現在はそういうことのできる余地は少いんです。それで私はそう言うんですが、弁護士とあなたが連絡をされつつ、何故に釈放されて出て来てからそういうことを訴えられるかということです。
  1100. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 併しそれは訴えたものは再逮捕の問題です。それから調書の問題、この二つですから、訴えた事項は違うんです。
  1101. 大野幸一

    大野幸一君 この前のことを、長い間夜遅くまで調べられたとか、或いはみんなに怒鳴られたというようなこともどうしてその当時弁護士に話さなかつたんですか。そうして自分も心ならざる調書を取られるということになれば、調べた調官に対してあなたは感謝しておるんだろう、これとは大分開きがある。
  1102. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それは調官の方は感謝されておると言つておるかも知れませんけれども、私の方は別に感謝とか、そういうことは問題じやないと思います。正しい捜査をして下さればいいのでありますから、感謝とか、そういう意味じやないんです。
  1103. 大野幸一

    大野幸一君 感謝という意味は、正しい捜査をしたと確信しておる、彼はそう言つておる。
  1104. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) まあ係の方はそうおつしやつておりますが、私の申上げたのは別です。
  1105. 大野幸一

    大野幸一君 味の素事件で塩谷から、鈴木はいい男だ、こういう話があつた、余程緊密な間柄のように察しましたが、いい男とか悪い男とかいうことがあるものですから……。
  1106. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 或る程度親密でありました。
  1107. 大野幸一

    大野幸一君 先程岡崎や丹羽を援助するということは、結局増田を援助することに間接的になるという意味でお礼を増田さんから言われたんじやないかというようなことを言われたんですが、そういう意味ですか。
  1108. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それは調書の問題が先程委員長さんから説明がありました。私の調書はそう書かれておるが、はつきりしないんじやないかという御説明でありましたから、私の気持は、大きな意味から言えばそういう意味も含まれておるんじやないかという意味のことで、そういうふうな説明を出したので、増田さんの名前を出したことは申訳ないと、こういうふうにさつき説明いたしたのであります。
  1109. 大野幸一

    大野幸一君 あなたも警視庁へ相当出入りされて、大物の名前を出せば自分の捜査上幾分牽制できるだろう、こういう考えも幾らかあつて、それで増田さんの名前が出たか、吉田さんの名前が出たか、こういうようにも思う一面の解釈は、外の事件でもそういうことがある。俺は誰を知つておる、誰を知つておる、こういうと、そこで調官がたじたじになるだろう、こういう意味で言われたなら、それも又それで別だが、そういう意味で出されたという意味ではないですか。
  1110. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そういう意味はないです。
  1111. 大野幸一

    大野幸一君 そういう意味だと正しくこれは成功していると思えるが……。
  1112. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そういう意味ではありません。
  1113. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 天田勝正君から委員外発言を求められておりますから、これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  1114. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 天田君。
  1115. 天田勝正

    ○委員外議員(天田勝正君) 一問一答の形で、極く簡単に申上げます。若し各委員の質問と私の質問が同じものがございましたら、委員長から御注意願いたいと思います。私は主として佐藤さんと吉武さんの関係について伺いますが、先程の御証言で、吉武氏とは日野氏の紹介で会つて、その後二、三回会つておる、こういう御証言であつた記憶いたしますが、そのお会いになつたのは、できれば何回ということをはつきりして頂きたいし、更にどこでお会いになつたかということを伺いたいと思います。
  1116. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それは先程も申上げましたが、一回は二十三年の四、五月頃小石川に「もみぢ」という所がありますが、そこで二回会つております。それからその次は先程申上げた通り「八百松」です。それから後は例の下山事件の問題で、部屋に約一月半ぐらいの間に一回ぐらい出入りしておるのではないかと、そう記憶しております。
  1117. 天田勝正

    ○委員外議員(天田勝正君) 部屋とは吉武さんの役所における部屋ですか。
  1118. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そうです。
  1119. 天田勝正

    ○委員外議員(天田勝正君) その「もみぢ」や「八百松」でお会いになつたのはあなたの方がお呼びになつたのか、吉武さんから呼ばれたのですか。
  1120. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 私の方から呼んでいます。
  1121. 天田勝正

    ○委員外議員(天田勝正君) その目的は何ですか。
  1122. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 「もみぢ」の場合は細田係長の栄転祝ということで私を入れて五人程集つてつております。そこから「八百松」の場合は絹川さんがこつちに来られたので、お祝に一緒にやつたらどうかというので私が御招待したのです。
  1123. 天田勝正

    ○委員外議員(天田勝正君) その後におきましては下山事件で役所で会つた、それ以外には役所以外の場所ではお会いにならないですか。
  1124. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 会つておりません。
  1125. 天田勝正

    ○委員外議員(天田勝正君) あなたは吉武氏の自宅を御承知でありましたか。
  1126. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 全然知りません。
  1127. 天田勝正

    ○委員外議員(天田勝正君) あなたのお宅に吉武氏の夫人が訪問されたという事実はお認めになりますか。
  1128. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 全然ありません。
  1129. 天田勝正

    ○委員外議員(天田勝正君) 五月以前におきまして、あなたがさつきお話になりました二十三年の五月を指すのでありますが、それ以前におきまして、吉武氏は二十一年の六月に復員されて駒込の署僚警部になられておる。その当時に場所柄吉武氏とお知合いになつたのではございませんか。
  1130. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 全然知りません。
  1131. 天田勝正

    ○委員外議員(天田勝正君) では吉武氏とはあなたの自宅でもお会いに全然なつておらないのですか。
  1132. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 会つておりません。
  1133. 天田勝正

    ○委員外議員(天田勝正君) ところが不幸にして本員は吉武氏の自宅である当時谷中の清水町一番地にあなたがおいでになつたのを私は承知しておるのでありますがそれでも御否定なさいますか。
  1134. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 私は全然谷中清水町一番地に家があつたことを知りません。それは何らかの間違いではありませんか。
  1135. 天田勝正

    ○委員外議員(天田勝正君) 先程大野議員の質問だと思いますが、あなたの自動車はダツジだということを聞いておる。そのこととも符合しておるということを承知しておるわけなんですが。
  1136. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それは二十一年ですか。
  1137. 天田勝正

    ○委員外議員(天田勝正君) 二十三年です。
  1138. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 二十三年ですか。
  1139. 天田勝正

    ○委員外議員(天田勝正君) そこに吉武氏がおられましたのは恐らく私の記憶では今言つたようなことなのでありますから、二十三年の十二月たしか十九日に移転されたと思つております。それまでの間です。
  1140. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 全然ないです。それは。
  1141. 天田勝正

    ○委員外議員(天田勝正君) 従つてあなたがおいでになつたのは二十三年の五月にお知合いになつというが、その以前にも来たと私は記憶しておりますが。
  1142. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) どういうふうなお調査をなすつたか知りませんが、私はありません。
  1143. 天田勝正

    ○委員外議員(天田勝正君) では、その吉武氏がおられた家が田代英一という人の家だということは御承知ではありませんか。
  1144. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 全然知りませんね。どういうふうなことでお聞きになるか。全然知りませんですよ。
  1145. 天田勝正

    ○委員外議員(天田勝正君) それは別に私の方から説明することは要らんのですが、吉武氏があなたの自動車をちよちよい乗り廻していたということはお認めになりますか。
  1146. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 吉武さんが私の自動車を乗り廻したということはありません。それは何かの間違いじやありませんか。
  1147. 天田勝正

    ○委員外議員(天田勝正君) 決して間違ではありません。私はそれをこの目で見ております。
  1148. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 番号その他をお控えになつて調べたのですか。吉武さんが乗り廻しておるわけはないでしよう。
  1149. 天田勝正

    ○委員外議員(天田勝正君) わけはなくても、吉武氏がそのダツジの自動車で帰つて来たのを私は見ておる。
  1150. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) とにかくそれはお調べ願いたい。
  1151. 天田勝正

    ○委員外議員(天田勝正君) 一応この程度で、後は吉武氏に伺います。
  1152. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 あなたはこの詐欺事件以外に各方面に金を差上げたのであるか或いは借したのであるか、ともかく各方面に金を出されておるのであるが、そのことについて警視庁並びに検察庁の方で調べを受けましたね。
  1153. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 受けました。
  1154. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 調べを受けましたことによつて調書を取られましたことは、警視庁で何回、又検察庁で何回ありますか。
  1155. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 警視庁で二十五回だと思います。
  1156. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 それはこの金を撒いたことに関してですか。
  1157. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 全部そうです。
  1158. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 その金を撒いたことによつて調書を何回取られました。
  1159. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そこまでははつきりしません。
  1160. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 主として調書を取られたのは詐欺事件の方が多いですか。
  1161. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 詐欺事件の方は少い。先程も説明いたしましたけれども、詐欺事件の金の使途ということについて全部書類を取られておりますから、形式論から行けば詐欺事件ということになると思います。
  1162. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 関連してですね。そういたしますと、あなたが詐欺事件によつて検挙せられ調書を取られた事件は二十三年の十一月ですか、十二月ですか。
  1163. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 多分十一月だと思います。十一月の半ば頃、手形の受取の詐欺容疑で……。
  1164. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 それは二十三年の十一月頃ですか。
  1165. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 十一月か十二月か記憶はつきりしません。
  1166. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 そうすると、詐欺事件であなたが金を得た以前に、各方面に渡した金は大略どのくらいでありますか。
  1167. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) この新聞にも出ておるように三百五十万円ぐらいです。
  1168. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 そうすると、あなたの先程言われました通り、詐欺事件によつて得たる金を各方面に使つたということによつて調書を取られたわけでしようね。
  1169. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そうです。
  1170. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 ところがこの詐欺事件によつて金を得ます前に三百何十万円の金を撒いておるならば、それは関連事件として調書を取られる理由はないでしよう。
  1171. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 併し調書はこういうふうに取られております。
  1172. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 故に金を撒いたことに対する容疑のために取られた調書があるわけでしよう。
  1173. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 調書は全部詐欺容疑事件として二十五回取られておる。
  1174. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 そこで調書を取られましたそのときにあなたが陳述された事実と、本日ここにおいて陳述した事実との間において相違しております点がありますか。
  1175. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 調書については先程も申上げましたのですが、朝から夜遅くまでやられたので相当歪められた調書になつておる。実際問題としましては、私の説明した通りの調書になつておりません。従つて今日の証言と相当の食い違いがあると思います。
  1176. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 成る程、そうすると警視庁において取られた調書というものは真実にあらざることを陳述をしておるので、今日陳述しておることが真実である。こういうことですか。
  1177. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そうです。
  1178. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 そうすると、警視庁で取られた調書というものは。先程のあなたの答弁によりますと、別段暴力を加えたり、或いは小さい部屋であるがために、最高四人以上は入れない部屋で調べるということであるならば、殊更あなたが著しい不本意なる陳述をせなけりやならんというふうにも考えられませんが、その点はどうですか。
  1179. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それは調べを受けたものの立場になつて見なくちや分りませんですが、幾らこちらが正しいことを言つても、説明しても納得して呉れないで調書自体がそうじやない、仮に常識問題だと言えば、そうだと書いて行くので、それは調べられた私の立場になつて見ませんと、そのときの状況が分らんと思いますが。
  1180. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 そうすると、あなたの財産というのは、終戦当時に一百万円くらい大略あつたということですね。
  1181. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それははつきりした記憶じやありませんけれども、そうじやないかと……。
  1182. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 大略ね。それは昭和二十年の終戦のときのことですか。
  1183. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そうですね、二十年の終り頃の話だと思います。
  1184. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 それから今度あなたが事件を起されて、そうしてあなた自身が利益を受けられたのは凡そいつ頃から始つたのですか。
  1185. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 二十一年から二年、三年の春頃だと思いますね。
  1186. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 二十一年乃至二十三年の春に至る間において大略どのくらい儲けられたと思いますか。
  1187. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) さあ、それは先程も御質問があつたのですが、ぐるぐる廻りをしておりましたものですから、どの程度儲けたかということはちよつとはつきりしないのですが。
  1188. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 そこで先程の委員長の御質問になられました一億円ぐらいの出入りがあつたということですね。
  1189. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) はい。
  1190. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 併しながらあなた自身が如何に何にいたしましても、大略どのくらいな自分は今財産を自分の財産として持つておるかというくらいな勘はなければならんと思いますね。それでないと誠実なる答弁でありませんぞ。さもなかつたらば、誠実なる答弁として私共理解できんですね。ですから大略一億円くらいの出入りの取引をしておつたということについて、その間にあなたの所有財産が大略どのくらいあるのだというくらいの勘は少くともなければならんと思いますね。
  1191. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 二十一年、二年と二年間で一億円年に動かすとすれば二年間で二億になりますね、大体それで一割見当のものは、利益があるのじやないかと我我は見ているのですけれでも。
  1192. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 それはこういうことですね、昭和二十一年、二十二年の両年に亘つて大略二千万円の利益はあなたが得ているのだと。
  1193. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) はい。
  1194. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 得た利益というものは純利益であつて、あなたの財産として残されるべきものですか。
  1195. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) まあ一応私の会社は個人会社になつておるものですから、私の財産と言われれば財産のような……。
  1196. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 故に一割に利益があるものならば、その利益はそれは一切の費用を控除して純利益金として、あなたの財産として残さるべき金が約一割と見ていいのですか。
  1197. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そうじやありません。
  1198. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 その中から或る程度の出費というものがありますね。そこでいよいよ最後に残つたあなたの純財産として残るべきものはどうでしようか。
  1199. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) さあ、そうなりますと、仮にそれをこういう面に使つてないと仮定すれば、或いは一千万円ぐらい残つたかも知れません。併しながらその当時の私の気持としましては、時代が結局金を儲けさして呉れたのじやないか、当然これは社会の金であつて私自身が個人に持つべきものじやないというふうな感覚は持つていたものですから、できるだけ広く有効な方面に使つたらいいのじやないかというふうに考えたのです。
  1200. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 そこでそういたしますと、結局二億円の金を動かして約一割の利益があると見て二千万円の利益がある、そのうちから相当な出費を控除して差引き残るべき金は大略あなたの利益となる部分は約一千万円、こう見ていいのですか。
  1201. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 大体数字的にここでお話すればそういうことになるでしよう。
  1202. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 そこで昭和二十二年の当時に、あなたが三百五十万円の金を各方面に使われていますね。まあ人として如何に儲けたにいたしましても、自分の財産を処理する場合に出金の場合に、おのおの理由なき理由によつて幾ら金が入りましてもばらまく理由はありませんね世間に向つて、何人も然るべき根拠がなければ財産処分というものがあり得ない。そこで私共は伺いたいのは、あなたのその当初、終戦当時一百万円あり、その後一千万円利潤があつたと仮に仮定いたしますと、あなたにとりましては一千万円の金はその当時では相当尊いあなたの財産でなければならないと思う。その尊いあなたの財産をあなたが処分するには相当な理由がなければならん。何某かが非常に困つておるから直ぐおい幾らというように、あなたをお見受して、あなたの御手腕とあなたの人格とを私が先程から謦骸に接して見ますれば、理由なくあなたが遊蕩兒のごとく、湯水のごとく財産を処理される人とは思いません。それには相当の理由がなければならん。そこで私は先程来委員長その他の委員の方にお答えになつておりまする渡邊年之助さんですが、それから渡邊良夫、この二人の関係がございますね、この岡崎、それから丹羽の両氏に紹介を受けたというのはどちらの渡邊さんでしよう。
  1203. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 渡邊良夫さんです。
  1204. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 良夫さんの方ですね、あなたは昭和二十三年の中に三回に亘つて二十万円の金を贈られておりますね、この渡邊良夫さんとあなたの関係は、先ず渡邊良夫という人はどんなことをやつておる人ですか。
  1205. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 現在ですか。
  1206. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 いやその当時の渡邊良夫さんの仕事は何をやつていたのですか。
  1207. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) その当時は、確か知つた頃は何といいますか、吉田さん秘書というのですか、秘書という恰好におられたのじやないでしようか。その点がはつきりしないのですが……。
  1208. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 吉田さんはそれ総理大臣の当時の秘書ですか。
  1209. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そうだと思います。
  1210. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 そこであなたとの親交ができたのはどのときからですか。
  1211. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 多分私ははつきりしないのですが、二十一年じやなかつたかとも思えるのですが。
  1212. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 二十一年……。
  1213. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 春か秋頃じやないかと思いますが。
  1214. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 どういう縁故から……。
  1215. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それは紹介の問題は先程申上げたのですが。
  1216. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 誰でしたかね。
  1217. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 確か私は日野さんから紹介を受けたのじやないかと、こう思つておるのですが。
  1218. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 その紹介というのはどんな形において紹介されたのですか。
  1219. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それはまあ非常によい人だから附合つてみんかということの最初の紹介だけです。
  1220. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 この人はもう代議士だつたのですか、その当時は。
  1221. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 代議士じや確かなかつたと思います。私の知つたのは。
  1222. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 そこで日野さんがどこでどういうふうにして紹介されたのですか。
  1223. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 私の会社に渡邊さんが来られたのじやないかとも思うのですが、どうもその辺の記憶はつきりしないのですが。
  1224. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 そうすると、どの会社に来られたのですか。
  1225. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 最初は神田の方だと思います。
  1226. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 一人で見えましたか、日野さんが一緒に来たのですか。
  1227. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 一緒に来られたのじやなかつたと……どうもその辺の記憶はつきりしないのです。日野さんから多分紹介されたのじやないかとも思つております。昭電のときにもその調査になつておるのですが、はつきりどうもしないので……。
  1228. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなた今のあれは福田さんとあれと間違えてやしませんか、渡邊さんと……。
  1229. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 福田さんとですか。
  1230. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 日野氏が渡邊氏を紹介しましたか。福田氏を紹介したのじやないですか。
  1231. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 私先程そういうふうに申しましたでしようか。
  1232. 岡部常

    ○岡部常君 さつきもやはり日野氏が渡邊氏を……。
  1233. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 若し委員長さんあれでしたならば、それは昭電のときの調書にも確か日野さんに紹介されたのじやないかと思うと、ところが後から考えて見ますと、いろいろ日野さんの関係もあつたりしたものですから、どこからどういうふうに紹介されたのかちよつとはつきりしなくなつたのです。それで非常に曖昧な点があると思いますが、この点一つ記憶はつきりいたしませんので御了承願いたいと思います。
  1234. 岡部常

    ○岡部常君 さつきも「だつたと思う」という疑問だつたと思います。
  1235. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 そうすると、日野さんの紹介だと記憶すると、渡邊さんがあなたの会社に見えたことによつて、渡邊さんと知る機会ができたわけですね。あなたの会社に渡邊さんが行かれたのはどんな用事で行かれましたか、あなたの知遇を得たいということで渡邊氏が行つたのですか。
  1236. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そういうことだと思います。はつきりそのときにどんな話をされたか知りませんけれども、日野さんか誰かの紹介でいい人だからお附合しましよう、今後ともよく互いに協力して参りましようというような程度の話はしておるのですが、その程度だと思います。
  1237. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 渡邊さんはいい人だと言つて、渡邊さん個人と附合いたいと思つたのですか、あなたは。
  1238. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そうです。
  1239. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 吉田さんの秘書なるが故の魅力によつてじやありませんか。
  1240. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) いえ、そんなことじやありません。全然違います。なかなか附合つて見るといい人ですから……。
  1241. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 いい人で……。どんないい人ですか。
  1242. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そう言われると、どこがどういいというわけには行きませんけれども……。
  1243. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 いや、あなたの友人として、どういうことにおいてあなたはいいと信じて附合を深くされたか。
  1244. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) まあ人格者と私は思つております。
  1245. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 人格者だと……。それから渡邊さんがあなたの会社を訪問されたことから、良夫はあなたと懇意になつたと、その間お互いの親交の程度はどういう程度の交際を続けておりましたか。
  1246. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 私の方から事務所に行つたり、又渡邊さんからこつちへ暇のときに見えたり、そんなことでしよつちう出入りしております。
  1247. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 相当に繁く往復しておりましたか。
  1248. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そうですね。その当時は割に繁かつたですね。
  1249. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 繁く。
  1250. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) はあ。
  1251. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 そのとき、渡邊氏の家はどの辺でしたか。
  1252. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 水明ホテルに事務所があつたと思います。
  1253. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 そうすると、その水明ホテルに行つたり、あなたの所に行つたりして……。
  1254. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そうです。
  1255. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 相当その後親交を温めていたわけですね。
  1256. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そうです。
  1257. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 そこで今度はこの渡邊さんの紹介電話によつて岡崎さん、それから丹羽さんですか、その人に金をあなたが十万円とか、六十万円とか渡されたようですね。
  1258. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) はあ。
  1259. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 ところが先程来からあなたの証言を伺つて見ますと、岡崎さんはその当時一回会つたか、会わないか、しつかり記憶はないけれども、又丹羽さんには確か一回会つたような気がする。
  1260. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) いえ、そうじやないのでございます。
  1261. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 どうでしたかね。
  1262. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それはですね、第一回のお金を援助するときですね、そのときに、丹羽さんにはそのとき初めて会つたので、それから岡崎さんの場合は、それのもう少し前に、もう一回前に、そのときじやない前に一回会つたように気がすると、こう申上げてあるのです。
  1263. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 そうすると、岡崎さんにはすでにそのときには……。
  1264. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それ以外に会つておるのです。
  1265. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 いつ頃から懇意になつたのですか。
  1266. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) さあ、確か第一回目と期間的にはないと思うのですが……。
  1267. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 金の援助の方法をするときまでには親交の度は深かつたですか。
  1268. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) いえいえ一度ぐらい会つた程度です。
  1269. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 一度ぐらい会つた程度ですね。
  1270. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) ええ。
  1271. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 私は先程来あなたの陳述をここで聞いていますと、岡崎さんとの関係は薄く、又丹羽氏との関係においても必ずしも厚くない、一片の電話を以て渡邊氏から両君に対して金を渡してやつて呉れ、援助してやつて呉れという電話を受けて、そこであなたがそれを易々諾々として相当なる額の金を渡しておられることは、あなたの財力と考え併せて見ましてね、余りにどうも軽々しいというのであるか、又何かそこに含む何ものかあるのじやないかということに思われる、何か私の理解の行くようなふうに実際を一つここで述べて頂くわけには参りませんか。
  1272. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) いえ、実際は、先程から委員長さんに申上げてありますが、渡邊さんに対しては私は非常に信頼を持つております。先程から言う通り、渡邊さんに対しては信頼を持つておりますから、信頼される友達から、そういうふうに頼む、況して前に一回ぐらい会つておるような気がしておるので、頼むと言われれば私の性格とすれば、よろしい引受けてやろう、その代り皆で協力してやろうというような性格だものですから、これ以上説明せいと言つても説明しかねますが、ただ軽々しいじやないかということは、この間の外の新聞の社説に出ておりましたが、その点については世の中の批判ですから別問題としまして、それ以上の説明といいますと、どうも説明のしようがないのです。
  1273. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 そこで一つつて見ますると、たまたま岡崎氏と丹羽氏の関係は、増田さんの関係は外にしておると言いましたね。
  1274. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 後輩でありましてですね。
  1275. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 後輩でね。
  1276. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) はあ。
  1277. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 そうしてあなたはここに増田さんとも会つたことがあると言つておりますね。
  1278. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) ええ、後で会つたこともありますね。
  1279. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 又福田さんとの関係において、先程から同僚諸君のお尋ねに対するあなたの答弁は、この二つとも非常に肝要であるに拘わらず、福田さんに対するあなたの気持というものは、敵は本能寺にあつたんじやないかということを私はどうしても……まあ私の良識が誤りがあるかも知れませんが、世間の良識が或いは違つておるかも知れませんけれどもね、どうもあなたの本当の良識……宣誓の上良心的に答えているということは、どうしても、あなたの叡智を以てしてはどうか知らんが、理解し難いですが、一方においては福田氏に止り、一方においては岡崎、丹羽両君の手によつて止り、それ以上は一歩も前進しないということは何だか作意的であり、あなたに対して良心的な言葉でないんじやないかということを考えられますがね。
  1280. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 先程それは委員長さんに申上げた通りそれを一歩も脱しておりません。ただ私はですね、これは証言……。
  1281. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 ちよつとそこで、この両件に対してあなたの先程言われておつた警視庁における口述書と、本日ここで言われております口述書との間に、これもやはり開きがありますか。
  1282. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 幾分あると思います。
  1283. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 幾分ある……。
  1284. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) はあ。
  1285. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 そうすると、警視庁においては、委員長が先程聞かれたようなふうの趣旨の答弁はあつたのですか。
  1286. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 調書にですか。調書には先程委員長さんから聞かれたような……。
  1287. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 ええ。
  1288. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それで先つき私がああいうふうな意味の説明を申上げたんです。
  1289. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 さあそこで、私があなたに対して無理やりに難題を吹つかけて、そのあなたの陳述を求めるのじやない。あなたは警視庁において、一方において吉田さん、他方においては増田さん両君に浅からざる関係があつて、金銭の授受が行われたというようなことが調書の上に散見することができるから、さればこそこうした大掛りな調べをしておるわけです。そこであなたの今日の答弁は、少くとも私共の良識から見て財産処分するについては、どうしてもそんな軽々しくこんな大金があなたの手から動いておるのには余りにも理由が乏しいように思うのです。それを一つ立場を変えて、私があなたに聞くからおかしいですが、あなたが私に聞くとした時分に、あなたとして納得の行くようなふうな答弁であるとお考えになりますか。
  1290. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) その点につきましては先程から御説明しておる通りで、そこから別に脱しないと思うのですが、ただ私の考えは少くとも仮に個人福田さんを応援したものが、たまたま代議士になつたと、そうして仮に私のような問題ですでに問題になつてつたならば、国民はやはり反対給付を受けるというために、或いは献金したりするような場合もあるでしようが、併し純粹なるやはり政治というものについて我々が考えるとすれば、仮にこういうふうな、今言つたように、ここに福田さんというものを我々教育してやつて行くと、そういうふうな立場は飽くまでこういう問題が起らんで常にスムースに行くと、こういうことになれば、政治に対して我々国民の感覚というものは変つて来ると思うのです。どうか私の考えは、今日ここで私が言つておることがどうも納得がいかんというふうに言われますが、とにかく竹を割つたような綺麗な気持で……。
  1291. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 納得がいかんというのは、あなたが警視庁において隆々たる勢力を持たれておることが、関係記録によつても、その当時のあなたの警視庁内における勢力関係はよく理解しております。そのあなたが警視庁において脅されて、真実たらざることを、而も一方大官に累を及ぼすような言説をなしたものとは、どうしても理解ができない。
  1292. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それは私が警視庁に力があるとかなんとかいうことは、他人の見ることでありましてね。
  1293. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 いや、警視庁に力があるなしに拘わらず、あなたの社会的地位と分別を以てすれば、先程調べられた人の名前を見ると、巡査部長が二、三人寄つたとか、刑事が寄つたとか、こういう人のためにあなたが脅されたり、それから威圧されたりして、不本意に、而もその言たるや実に天下を聳動するような大問題をあなたが軽々しく言う筈はないと思うのです。
  1294. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それはやはり調べる身と調べられる身で、どうであろうとやはり調べられる者は調べられる身です。警視庁がどうだとかいうことは別問題だと思います。少くとも調べられる者の立場は調べられる者の立場でものが進んで行くのではないかと思います。調べる方は調べる方の立場で進んで行くのではないかと思います。
  1295. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 これ以上あなたに求めましてもいけますまいが……。ちよつともう一点、そこであなたの陳述が警視庁当時から、身柄の釈放を受けてから後にあなたの陳述振りに相違があるということは、私共新聞その他を読んで承知しておりましたが、それについて何か止むを得ずあなたが不本意なることを言わなければならないようなふうな特殊な事情があなたに生じて参つたわけではないのですか。
  1296. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そんなことはありません。
  1297. 大野幸一

    大野幸一君 あなたはこの人達以外に、政治家及び官界の人々以外に援助してやられたような事実はありますか。
  1298. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 多分ないと思いますが。
  1299. 大野幸一

    大野幸一君 あなたのような気前のよい人ですから、困つておる人があつたら十万や二十万……。
  1300. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) これについては、政界、官界に対しては、それ以外にはないと思います。
  1301. 大野幸一

    大野幸一君 五万でも三万でも人に呉れてやつたことはないのですか。政界に対する以外にはないということですか。
  1302. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 官界以外ですか。個人として、商売をしたいとか、引揚げて来て金がなくて困るという人に……。
  1303. 大野幸一

    大野幸一君 それを聞いておるのです。
  1304. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そういうことはあります。
  1305. 大野幸一

    大野幸一君 どういう人にやりましたか。
  1306. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 名前はちよつと分りませんが……。
  1307. 大野幸一

    大野幸一君 そういうことは言わないで下さい。どういう人ですか。
  1308. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 岡安なんという人もおりましたし……。
  1309. 大野幸一

    大野幸一君 岡安何という人ですか。
  1310. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 最近もう全然……名簿には載つておりますけれども、どこへ行つたか分らないので……。
  1311. 大野幸一

    大野幸一君 どのくらいやりましたか。
  1312. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 十万円くらいではないでしようかね。
  1313. 大野幸一

    大野幸一君 それはどういう理由でやつたのですか。
  1314. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 商売したいから貸して呉れということで。
  1315. 大野幸一

    大野幸一君 それから。
  1316. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) ちよつと名簿でも持つて来ませんと、分りません。
  1317. 大野幸一

    大野幸一君 今日あなたは宣誓されておるのですから、僅かなことでも嘘は言わんで下さい。
  1318. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 嘘は言いません。今言つたように、確かにそういうことに二万や三万やつておることはあると思いますが。
  1319. 大野幸一

    大野幸一君 官界でない人にはちつとも迷惑しないのですから、人の迷惑を考慮して言わないというわけではないのですね。
  1320. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そんなことはありません。実際記憶がないのです。若し何か調べろということであれば、私の方でも調べれば出て来ると思います。
  1321. 大野幸一

    大野幸一君 それはどのくらいになりますか、総額は。
  1322. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それはちよつと分りませんね。
  1323. 大野幸一

    大野幸一君 不幸にして国民の代表者があなたと別な結論を出したときに、あなたは嘘つきだということになる。それでも吉田さんと増田さんだけに縋つておればよいというならば別ですよ。(笑声)そういう結果になると……。
  1324. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そういうことはありません。
  1325. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 留守にしまして、重複するかも知れませんが、あなたは昭和二十三年十月、十一月以前におきましても、相当沢山の金を儲けたのですが、その儲けたことにつきまして、何かお調べを受けたことはありませんか。
  1326. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 儲けたことについてですか、別に調べられてはいませんですね。
  1327. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 二十三年十月か十一月以前の利得に対しては調べられたことはありませんか。
  1328. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 税務署ですか。
  1329. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 そうではなくして……。
  1330. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 警察か何かですか……ないと思います。或いは何か参考に聞かれておるかも知れませんけれども、私自身よく分らないのです。
  1331. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 沢山警察関係に寄付をなされておりますが、それは何か成規な手続か何かによつて寄付されたのですか。
  1332. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それは後援会とか、協力会とか、皆ありますから、それへ向つて我々は寄付するわけですね。
  1333. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 それでは、吉武さんに一万円上げたでしよう。
  1334. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それは吉武さんに上げたのではなくて、秘書ですか、部屋におる秘書の塩川さんという人がおりまして、それが、用がないから罐詰を買つて呉れんかと言うものですから、それでは買つて上げましようというので、買つて上げたのです。
  1335. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 そのときに一万円やつたのですか。
  1336. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そのときは、金は今日持つておらんから、明日持つて来るからということで翌日持つてつて一万円上げたのです。
  1337. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 それは罐詰の代ですか。
  1338. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 罐詰の代です。
  1339. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 そんなに沢山食つてしまうのですか。
  1340. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) それは私が買つたのですから……。
  1341. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 あなたが買つた罐詰を塩川さんに上げたのですか。
  1342. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そうじやありません。警視庁で、私に、罐詰を買つて下さいませんかということをで、私がその罐詰を買つて上げたのです。私はその罐詰を持つてつたわけです。
  1343. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 吉武さんの部屋で宴会か何かやるので、それで罐詰か何か欲しいと……。
  1344. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) いえ、全然違います。それは逆です。
  1345. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 それから帝銀事件に、五万円捜査の補助費か何かの意味において上げましたか。
  1346. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 上げました。
  1347. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 昭和電工事件には。
  1348. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 出しておりません。
  1349. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 それから増田さんとか吉武さん……、この問題が新聞に発表になつてから、増田さんあたりから、そんなことでは困るというような通知か何かありましたか。
  1350. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 全然ありません。
  1351. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 吉田さんからも……。
  1352. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 全然ありません。
  1353. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 それから増田さんの子分、部下の者があなたの所に世話になつておるというのですけれども、それはさつき言つた人ですか。
  1354. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そうです。
  1355. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 増田さんとはいつ頃誰の紹介でどういうふうにどこで会つたのですか。
  1356. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 紹介の問題は、先程ちよつと御説明いたしたのですが、伊能さんや岡田秀男さんもおりまして、ときどき話も出ていたものですから、一回敬意を表しに行こうじやないかというような話も出たのです。たまには飯でも食つて見ようじやないかという話も出たのですが、たまたま事務所の前に取引銀行があつたものですから、二度程行つたことがあるのです。一度目はおられませんでしたが、二度目にはおられまして、そのときには確か丹羽さんもおられたと思いますし、伊能さんもおられたか、その点ははつきりしませんが、会つて、私の方からも申上げました。向うも昔の部下でもあるし、後輩でもあるので、よろしく頼むというような話が出たのです。
  1357. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 それはいつ頃ですか、福田さんに金をやる前ですか、後ですか。
  1358. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 福田さんですか……時期ですか。
  1359. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 福田篤泰さんですね。
  1360. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 福田さんですか。
  1361. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 ええ。
  1362. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 福田さんとは関係ないのじやないか。
  1363. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 関係なければなくてもいい。
  1364. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 福田さんとは関係ないのじやないか。
  1365. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 福田さんに金をやつたあとか先かと言うのです。
  1366. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 福田さんに金をやつたあとか先かというのですね、それは二十二年のとき十万円、十万円をやつておるから、十万円になりますと、或いはあとになるかも知れませんが、五十万円という問題から行きますと前になると思います。
  1367. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 それからもう一点お聞きしますが、福田さんが金をあなたから頂くときに、増田あたりに何か援助して呉れとかいう話はありませんでしたか。
  1368. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 福田ですか、福田さんからはそんな話は別にありませんでした。
  1369. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 合計七十万渡しましたね、その間ちつともそういう話はないのですか。
  1370. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) ありません。
  1371. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 ただそのあとの五十万は福田個人を救済する意味においてやつたのですか。
  1372. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そうです。
  1373. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今日御陳述になりました中で、重要な点で相当相違しておるようにも思われる点があるのですが、よろしいですかね。
  1374. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) どういうことですか。
  1375. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尚増田さんの点や、吉田さんの点において何か割切れんものがあるように考えられるのですが、吉武の点も……。
  1376. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 今、先程申上げた通りであります。
  1377. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 各委員の方々からも御質問もありまして、頑として飜されませんから……。
  1378. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 事実の通りですから。
  1379. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 万一思い返されて、今日のあれが御記憶違いでしたら、決定前にお申出を願います。責任がかかりますから。
  1380. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) はい、分りました。
  1381. 大野幸一

    大野幸一君 私達は勘違いしておつたのですが、蟹の罐詰は、あなたが警視庁から買つてやられたのでありますか。
  1382. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そうです。
  1383. 大野幸一

    大野幸一君 警視庁の誰から……。
  1384. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 塩川。
  1385. 大野幸一

    大野幸一君 塩川という人……。
  1386. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 吉武さんの部屋に祕書というものが係長の部屋におりますね、塩川君から私が買つたのであります。
  1387. 大野幸一

    大野幸一君 それでその蟹罐の代金を塩川に渡したのでありますか。
  1388. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そのとき塩川君がいなかつたので、女の人に塩川さんに渡して呉れと言つて渡したのであります。
  1389. 大野幸一

    大野幸一君 それは統制品じやないのですか。
  1390. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 統制品じやないと思います。
  1391. 大野幸一

    大野幸一君 警視庁にはどうしてあるのですか。
  1392. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 一般配給か何かされていたのじやないですか。
  1393. 大野幸一

    大野幸一君 配給品じや自分で食ベなくてはいけないでしよう、塩川の自分のものかどうか、警視庁の品物ですか。
  1394. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そこまでは念を押しておりません。
  1395. 大野幸一

    大野幸一君 あなたはどう思いましたか。
  1396. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 私は部屋に蟹か何かの罐詰が配給につながつたかどうかと思うので、それで余つたか何かして、結局罐詰ばかりで食つていても駄目ですから、それをお金にしていろいろな費用に充てた方がいいと考えたから、私にそう言つたのじやないかと思つております。私はそういうふうに受けたのです。
  1397. 大野幸一

    大野幸一君 何個ぐらいですか。
  1398. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) 一箱ですから、四十八入つております。
  1399. 大野幸一

    大野幸一君 四十八が一万円ですか。
  1400. 佐藤昇

    証人佐藤昇君) そうです。大きな方ですから、なると思います。
  1401. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでは月曜から伊藤鑛壽、日野昇、折田二雄、吉武辰男、土田精三、藤田二郎、塩谷隆雄、田中榮一、丹羽喬四郎、岡崎英城と、これを順次呼ぶことにいたします。  それではこれを以て散会いたします。    午後五時五分散会  出席者は左の通り。    委員長     伊藤  修君    理事            鬼丸 義齊君            岡部  常君    委員            大野 幸一君            大畠農夫雄君            小野 光洋君            小林 英三君            遠山 丙市君            深川タマヱ君            松井 道夫君            松村眞一郎君            羽仁 五郎君   委員外議員            天田 勝正君   証人    医     師 千葉 淑夫君    五井産業株式会    社社長国富繊維    株式会社社長  佐藤  昇君