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1950-04-04 第7回国会 参議院 法務委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月四日(火曜日)    午前十時五十二分開会   —————————————   本日の会議に付した事件更生緊急保護法案内閣提出) ○保護司法案内閣提出) ○国籍法案内閣送付) ○国籍法施行に伴う戸籍法の一部を  改正する等の法律案内閣送付) ○土地台帳法等の一部を改正する法律  案(内閣送付) ○株式の名義書換に関する法律案(内  閣送付) ○裁判所職員の定員に関する法律の一  部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○裁判所法等の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それではこれより法務委員会を開きます。本日は更生緊急保護法案保護司法案国籍法案国籍法施行に伴う戸籍法の一部を改正する等の法律案土地台帳法等の一部を改正する法律案、以上一括して議題に供します。先ず更生緊急保護法案について、提案理由並びにその内容の御説明をお願いいたします。
  3. 牧野寛索

    政府委員牧野寛索君) 只今上程になりました更生緊急保護法案提案理由について御説明申上げます。  最近犯罪の思増、凶悪化国民生活の平穏を脅やかし、平和国家建設の前途に大きな暗影を投じまして、社会関心の的となつておりますことは御承知の通りでありますが、この憂うべき犯罪現象の蔭には、多くの場合、すでに犯罪経験を過去に持ついわゆる前歴者が躍つているのでありまして、その者が或いは新しい犯罪集団の中核となり、或いは自暴自棄に走り、又は一層無謀大胆な犯行に出するなど、その現象に大きな役割を演じておりますことを考え合せますと、この前歴者再犯を完全に防止することが今日の社会不安を一掃し国家再建の基礎を確立するために極めて重要な事柄であると存ずるのであります。而してこの再犯防止の大きな一つ基本的措置といたしまして、去る第五国会で御審議可決を得まして昨昭和二十四年七月一日から施行に相成つております犯罪者予防更生法があるのでありますが、同法によりますと、その保護観察対象は、仮釈放中の者、仮退院中の者、少年法により家庭裁判所において地方少年保護委員会観察保護処分を受けた者、及び少年刑執行猶予言渡を受け猶予中の者の四者に限定されておりまして、これに漏れたいわゆる満期釈放者起訴猶予者又は大半の成人刑執行猶予者等のうちにも、その再犯防止に何らか的確な保護措置を必要とするものが少くありませんにも拘らず、これについては、現在殆んど放任の状態にあり、国の施策といたしましては僅かに今日すでに無力に近い状況に陥つている司法保護事業法昭和十四年法律第四十二号)が存するに過ぎません。又この犯罪者予防更生法も、国の財政等を考慮して、専用の収容保護施設に関する規定が設けられておりませんため、同法による保護観察中の者に対する応急救護措置に万全を欠く恨みがあるのであります。  そこで、この法案は、犯罪者予防更生法適用を受けないいわゆる満期釈放者起訴猶予者等のうち再犯率 の最も高いと認められる状況にある。即ち刑事上の手続によつて身体の拘束を解かれた後一定の期間内の者に対しまして、強制力を伴わない緊急適切な更生保護措置を講じて、その再犯防止に遺漏なからしめることを期し、併せて犯罪者予防更生法規定する保護観察中の者に対する応急救護を円滑に実施すると共に、更にこれらの更生保護に関する事業の健全な育成発達を図りますために、現行司法保護事業法を廃止いたしまして、新たに生活保護法職業安定法その他の関係法令とも十分に調和し、又実効の期待できる法律を制定しようとするものであります。  以上この法案内容を重要な点につき概略申上げます。  第一に、只今申述べましたこの法律目的の外、更生保護及び更生保護事業の定義、更生保護責任範囲事業経営の許可と届出、国の委託費支弁とその他の費用補助及び附則等に亘りまして規定を設け、更生保護措置内容及びその措置に対する国の責任範囲を明らかにし、又この種の事業の運営上、特に重要で、且つ関連の多い他法律との関係に意を用いまして、犯罪者予防更生法を初め刑事訴訟法監獄法は勿論、生活保護法職業安定法及び労働基準法等との間の結び付き及びその適用関係を明確にいたしております。これらの規定の中で更生保護措置を国の責任で行うことの原則を明確にいたしますと共に、国みずからの機関で直接これを行い得ない場合に処するため、一定国費支給裏付けを持つた委託制度を開き、その委託先を国の監督が適切に行き届く地方公共団体又は更生保護会に限定しておりますが、これは、本来この事務が、その性質上国刑事政策一環として行われるべきものとする考え方に基くものでありまして、夙に旧監獄則当時から官営の保護事業たる別房留置制度等の姿で認められ、その後国家財政等理由により国は一歩後退し、僅かに奨励金の支出を以てこの種事業経営を専ら民間篤志家の手に依存する近状にありましたものを、戦後の経営困難、その他諸般の事情に鑑み、ここにその本然の姿に返そうとするものであります。  第二に、保護開始手続及び更生保護会の行う更生保護について規定いたしまして、更生保護措置は本人の申出があつた場合にのみ適用が考慮されること、及びその当面の事務取扱責任者たる保護観察所長を初め関係機関の取るべき保護手続委託の場合の保護措置内容を明らかにし、併せて犯罪者予防更生法規定による保護観察中の者に対する応急救護更生保護会を容易に活用できる途を開いております。  第三に、更生保護事業経営認可認可事項の変更、廃止、更生保護会又は地方公共団体の営む事業監督事業経営の制限、停止、認可の取消、事業運営監督に関する重要事項審議のための更生保護事業審議会寄附金の募集の監督及び罰則等について詳細な規定を設けておりますが、これらは、只今述べましたこの事業の本質及び今日の経済その他各般事情に鑑みまして、従来比較的緩やかな監督の下に置かれて来た司法保護団体運営の方式を一擲いたしまして、新たなる構想の下に、この法案による更生保護事業が真に社会の信頼に応え、又治安の確保に寄与できますように事業認可その他各般監督を適正に行い、以て国がみずから直接この事業を全面的に行う場合と実質上殆んど異らない支配の下においてこれを管理しようとするものであります。  第四に、費用の徴収及び表彰について規定しておりますが、これは前述の更生保護開始手続規定と相俟つて、国と被保護者との関係を明らかにし、又、報酬をも度外におき、この困難な事業に、献身される更生保護会又はこの事業従事職員に対し、特に国として表彰の途を開く旨を法制上明確にいたすものであります。  以上が本法案要旨であります。新憲法の公布後その精神を具現するため、犯罪前歴者再犯防止に関する抜本塞源的な法的措置は、刑事政策一環として、先ず第二国会において新少年法及び少年院法が、次いで第五国会において犯罪者予防更生法及び同法の施行法が、それぞれ可決成立し、既に実施に移されて、逐次その実効を挙げているのでありますが、本法案関係と別途提案保護司法案関係の分野に関しては、事務性質上その他各般事情から今日までその改廃が遅延していたものであります。今回この両法案法制化によりまして、初めて、ここに、前歴者再犯防止に関する法制が総合的な体系として整い、既に実施されております右の各関係法令も全面的にその効果を発揮することと相なるのであります。  何とぞ慎重御審議上速かに御可決あらんことをお願いいたします。
  4. 伊藤修

    委員長伊藤修君) では次に保護司法案について政府の御説明をお願いします。
  5. 牧野寛索

    政府委員牧野寛索君) 只今上程になりました保護司法案提案理由について御説明申上げます。  いわゆる刑余者等のよき相談相手として、何ら報酬目当とすることなく、ひたすら奉仕精神を以てこれら社会落伍者更生補導に当つて来ましたわが国司法保護委員制度は、昭和十四年九月現行司法保護事業法施行の以前から、その献身的な努力によりまして幾多の犯罪者を更生させ、犯罪防渇に大きな功績を築いて参つたのでありますが、別途この国会上程になりました更生緊急保護法案実施の暁は、これに伴いまして、司法保護事業法と、これに基く司法保護委員令が廃止されることと相成ります。ところが一方この司法保護委員は、犯罪者予防更生法による保護観察その他犯罪前歴者改善更生並びに犯罪予防活動等に必要不可欠の重要な任務を帯びておりますので、是非ともこの種事務に従事する者の組織、権限に関する法律を新たに制定する必要が生じたのであります。  よつて法案は、この機会犯罪者予防更生法その他の関係法令と完全に調和した独立法を制定することといたし、従来の司法保護委員に替えて、その任務にふさわしい名称の「保護司」を置き、これに適用すべき各般基準を定めまして同法の円滑な実施を期そうとするものであります。  かような本法案の趣旨は第一條に法の目的として掲げたところでありますが、以下その他の條文内容について重要な点を概略御説明申上げます。  第一に、保護司職務執行区域服務監督事務執行に要した費用支給及び表彰について規定いたしておりますが、これらはこの法案一條の法の目的及び後述の保護司任期に関する規定と相俟つて保護司の公的な身分責任範囲を明かにいたすものであります。保護司は、大体従来の司法保護委員の性格を受け継ぎまして、その服務基本姿勢社会奉仕精神を以て、職務を遂行するものであり又これには給与を支給いたしません。けれども現実に職務の遂行上要した費用につきましては、これを全部保護司の負担に俟つことは、事務性質及び実効の点から見て当を得ませんので、国が予算範囲内でその費用の全部又は一部を支給できる途を開くことにいたしております。保護司は以上の如く全く奉仕的にこの国の事務に従事する篤志家でありますから職務上特に功労のあつた方々に対する表彰の途を法文上明確にいたしますことは、国として些かその労に報ゆる当然のことと存ずるのであります。  尚この保護司性質即ち国家公務員法又は刑法との関係についてでありますが、保護司は、それぞれ実社会で現に活動中の方々にお願いして、その本職の傍ら無報酬奉仕的にこの仕事に携わつて頂くのでありますから、これに国家公務員法を全面的に適用することは妥当でないのでありまして、人事院も亦同様の解釈であります。然し、その身分はこの法案による委嘱をまつて発生するものであり、又その従事します事務は本法案及び犯罪者予防更生法規定するものでありまして、即ち保護司法令により公務に従事する職員に外ならないのでありますから、刑法上は公務員として取扱うべきものと解するのであります。  第二に、保護司推薦及び委嘱欠格條項保護司選考会保護司任期並びに保護司解嘱について規定いたしまして、全保護司が常に適任者のみで充実されることを期しております。法務総裁司法保護委員任命又は解任する従来の形を改めまして、この法律による保護司は、中央更生保護委員会委嘱又は解嘱するものとし、その委嘱又は解嘱に当つては、各地に置かれる保護司選考会意見を聴き、又解嘱の場合に当該保護司に弁明の機会を与えることにいたしましたのは、法の運用を犯罪者予防更生法規定に調和させ、且つ、保護司の進退に特に慎重を期する意図に外ならないのであります。  第三に、保護司設置区域及びその定数保護司の種別に関する規定を設けておりますが、これは、保護司の従事します事務が、広く全国的に発生散在し、且つその内容対象とも極めて複雑多岐多様に亘りますのに鑑みまして、保護司の最も適正な配置に意を用いているのであります。  以上が本法案要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、速かに御可決あらんことをお願いいたします。
  6. 伊藤修

    委員長伊藤修君) では以上二法案につきまして御質疑がありましたら、この際御質疑をお願いいたします。
  7. 松井道夫

    松井道夫君 現在の司法保護事業の実際はどういうふうになつておるか。相当効果が上つておるかどうか。その点について一つ……
  8. 池田浩三

    政府委員池田浩三君) 現在の司法保護事業法運営実績についてのお尋ねですが、この司法保護事業法対象となりますものの取扱いの最近の状況、これはお手許に配付申上げました国会資料犯罪者更生保護に関する調査、この中へ或る程度まとめております。現在の状態を簡単に申上げますと、実は現在の司法保護事業法は、その第一條に掲げております対象を非常に広く掴んでおりまして、その数も二百万を超えるといつたような数字が出て参つております。それに対しまして予算面では手当が非常に薄く、僅かに補助金九百万円余充てておるというだけの状態で、予算としてもそれが中心になつておる。かような状況で、対象を網だけ広く拡げて掴みまして、そうして実質的にはこの機構も十分に備わつていない。予算裏付けも十分できていないので、その効果は当初法律狙つた程に挙つていない。かような現状になつております。それでこの際この新しい法案によりまして、その対象をもつと狙いを定めて、範囲を狭めて重要な部分をしつかりと掴んで、そうしてその対象に対しては重点的に更生保護手当をして行つて再犯防止目的を達しよう、かような観点で進んでおるような実情でございます。
  9. 松井道夫

    松井道夫君 資料は今日頂戴しましたので、又拝見いたしまして、疑問の点をお尋ねしたいと思いますが、現在司法保護委員は何名ぐらいあつて、それに支給されるいろいろの関係費用は一人当り平均どのくらいになつておるのか。又これが社会奉仕的な性質を持つておるので、現在の社会情勢から言えば、戦前と違つて国民経済的の余裕というものは非常に少くなつておると思うのであります。それで従前のように社会奉仕の形にして置いて、果してこの事業に十分な力を注ぎ得るような適任者を選任できるかどうか。その辺の見通しをお尋ねしたいと思います。
  10. 池田浩三

    政府委員池田浩三君) 司法保護委員の現在の定数でございますが、これは昭和二十四年度までのところでは全国で約四万二千となつております。本年度昭和二十五年度からこれは約一万殖やすことにいたしまして約五万二千五百、かような数にいたしております。そうしてその司法保護委員に対する手当及び費用支給でございますが、二十四年度までは各保護委員に年間通じまして手当として謝金五百円を支給いたしておりました。その外に司法保護委員に対しましては、司法保護の主として犯罪者予防更生法対象でございます保護観察対象でございますが、このケースを以て頂きました方々に対しまして、一件一人当り月三十円という補導諸費を差上げることにいたしておりまして、さように実施して参りました。本年度、二十五年度からは、これを月一件七十円に増額いたしました。従いまして二十五年度では、年間通じての謝金に当る一人当り五百円の手当と、それから一件月七十円ずつの補導諸費とが司法保護委員方々に差上げる額になるのでございますが、今度のこの保護司法案によりまして、従来の謝金としての手当を差上げることは、これは税金の差引やら、いろいろと細かい金額を更に小さくするといつたような支障もございます。むしろこれは実費の補填といつたふうに考えるべき性質のものでございますので、これを従来の謝金で出しておりました分をも本年度からは補導諸費の方へ繰込みまして、補導諸費一本で、事件を沢山扱つて頂く方にはそれだけ沢山差上げるというふうに操作するように予定いたしております。  司法保護委員数字とそれに差上げる費用支給は以上の通りでございますが、無報酬でこういつた仕事に携わつて頂く適任者の方を、これから五万二千五百も選びますことが果して可能かどうか、その見通しについてでございますが、終戦後大変経済状態が変りまして、無報酬篤志を以てこういう仕事に従事して下さる方は非常に少くなりました。けれども各地にこういう仕事に対しては非常に理解を持つて下さる方々も相当ございまして、一挙に非常に厖大な人数の方々を選び出してお願いするということになりますとむずかしいのでございますが、五万二千五百といつた程度数字であれば、大体最近全国のいろいろの事情地方委員会なり保護観察所を通して私の方で調査しておるのでございますが、この程度数字ならば何とかお願いしてお引受頂ける方があるのではないかと、かように見当を付けている次第でございます。
  11. 松井道夫

    松井道夫君 それで五万二千なにがしの保護司について、今度は報酬は差上げないということですが、大体一人当り予算関係でどのくらいの予算を取つてあるのか、この点更にお伺いいたします。更に法案を調べれば出て来るかも知れませんが、従前司法保護委員原則としてそのまま新しい保護司任命するということになるのか、或いは相当実績を調査してこれを任命することになるのか。実は地方におりますと、例えば坊さんであるとか、先生であるとか、いろいろ司法保護委員になつている方があるのでありまするが、何ら実際上の働きをしておいでにならない方が多々あるように聞いているのであります。それがどういう原因によるのか審かにいたしませんが、必ずしも不適任者とは言えないのかも知れません。併しながらそういう実績を調査いたしましてこれを任命することになるのか。折角立派な制度ができるのでありますから、できるだけ健全なものにして行きたいと存ずるので、その辺を一つお尋ねしておきたい。
  12. 池田浩三

    政府委員池田浩三君) 保護司、現在の司法保護委員でございますが、新しい法律実施になりますと保護司になるわけでございますが、この関係只今二十五年度予算で予定いたしております金額、これは先程お話申上げました謝金手当に当るもの、これが結局補導諸費の方に行くわけでございますが、この部分につきまして二千六百七十三万円、本来補導諸費として組んでおりますものは四千四百万円、かような金額でございますので、これを合計いたしまして約七千七十三万円というものが保護司方々に渡る予算金額、かようなことに相成ります。  次に現在の司法保護委員をそのまま新しい法律による保護司になつて頂くかどうかの点についてでございますが、この点につきましては、この法案附則にも何ら経過的な事柄に触れておりません。その考え方基本を申上げますと、今度の保護司というのは従来の司法保護委員そのままのものではない、こういう考え方なのでございます。仕事姿勢を整えて行きますためには、やはりすつかりと新しく組み直すという必要があるだろうと考えまして、かように経過規定においても一時的にも従来の方々仕事をなさるという時期を置かなかつたわけでございます。そこで新しい保護司の適正な任命ができるかどうか、それについてこの法案はどういうことを考えているかという点についてでございますが、この法案では三條の推薦委嘱についても触れておりますように、保護観察所長が先ずその地区における適任者推薦する、それを委嘱権者である中央委員会委員長、又はその委任を受けて地方委員会委員長保護司選考会、これは第五條に出ておりますが、この保護司選考会にかけて、その選考会で、この人は適任者であると判定のついた方々について委嘱手続を取るという慎重な方法を取つております。尚その外に保護観察所長推薦そのものにも相当慎重な段階を踏まなければならないと考えております。例えばその地区の他のすでに委嘱されている保護司方々との協調が巧く行くか、又この仕事性質としてその地区の自治体なり、或いは関係の官庁とか、労務関係とか、警察関係とか、学校関係とか、民生委員会厚生課と申しますか、そういつた方面とも巧く連絡協調がつくといつたような方々が結局適任者となると思うのでありますが、そういう方面意見推薦に先だつて聴く必要があると考えます。さような細かい点につきましてはこの法案條文中には織込んでおりませんけれども、細則として中央委員会規則で適当なその推薦団体の向きを考えようということを予定いたしております。尚又保護司選考会組織でございますが、これは五條の二項に述べておりますように、委員十三人、東京は十五人、こういうふうに予定いたしております。この組織保護司適任者であるかどうかということを広い目で鑑定して頂くために、その地区における関係機関代表者を網羅した選考会にいたしまして、それがその数字が大体十三人か十五人、こう予定されますので、こういつた限界の広い選考会にかけまして、その適不適を鑑定いたしますならば、きつといい人が選ばれて出て下さると、かように期待している次第でございます。
  13. 松井道夫

    松井道夫君 今の保護司選考会に充てる委員は十三名ということでありますが、大体予定しておられますのは具体的にどういう人でありますか、ちよつとお伺いしたいと思います。
  14. 池田浩三

    政府委員池田浩三君) まだはつきりと最後案をつけるところまで検討が済んでおりませんけれども、現在この保護司選考会についての、中央委員会規則案といたしましては、次に申上げますような顔触れの委員を考えております。少年成人保護観察所長、それから検事正、裁判所側の方は地方裁判所長、又は家庭裁判所長のうち適任な方一人、次に矯正保護施設、と申しますと、これは刑務所、少年院拘置所少年保護鑑別所等になりますが、この矯正保護施設のその地区における地方代表の方一人、それから都道府県公安委員会委員長、それから都道府県教育委員会委員長都道府県民生委員審査会委員長都道府県職業安定委員会会長、それから弁護士会会長、それから少年保護司代表者一名、成人保護司代表者一名、その外に尚その都道府県内でやはり適当な方があると考えられますので、学識経験者として一名加わつて頂きます。こういつたことを予定いたしまして、これで全部で十三人でございます。東京弁護士会が三つございますので、十五人になります。大体かようなことを只今検討中でございますが、まだ最後の決定した分までは至つておりません。
  15. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 第四條についてお伺いしたいのですが、第四條は保護司となるべき適格條件を挙げておるのですが、その一号は勿論これは欠格者であることは間違いありませんが、第二に「禁こ以上の刑に処せられた者」というのがありますが、刑法には前科に対する時効があるのでありますが、その時効は敢てこの場合適用せずして、一旦禁錮以上の刑に処せられた者は、何年経つてもこの保護司になれないというように考えていられるのかどうか。それから第三号でありますが、日本憲法というのは勿論この意味から言いますと旧憲法も指すのでありますが、ここで言う日本憲法は新憲法を言うのか、旧憲法を言うのか、それから「又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党」こういうことが書いてあります。この「主張する政党」というのは、これだけではつきりしない。判決によつて主張する政党と認められたものか、或いは客観的に認められたものか、或いはその主張するということが行動綱領に書いてあるものか、或いは行動綱領として現れた事実を言うものか、或いは基本綱領で言うのか、さつぱり分らないということ。それからその一番下に、「これに加入した」ということがありますが、併しそういうふうな政党に加入いたしましても、加入したいという単なる事実によつて、それが敢てこの保護司なる適格を有しないというのは、頗る時代に逆行していると思うのであります。後に至つて、加入したことが当時悪いというような社会観念である場合もありましようけれども、併しその後その者が他に転向したというような場合もありますし、又社会観念上そういうことは差支ないという時代も来るのであります。従つてこの点はこういうふうに書きますると、如何にもこれは或る政党目的として書いたというふうに見られるのでありまして、非常に狭くなる、こういうふうに考えられておりますけれども、この点について御意見をお伺いしたい。
  16. 池田浩三

    政府委員池田浩三君) この第四條の第二号の「禁こ以上の刑に処せられた者」というような表現についてでございますが、これは刑法中のいわゆる前科抹消によりまして復権いたしました者とか、或いは恩赦法によりまして復権いたしました者とか、これは含まない趣旨でございます。それであれば、その未だ復権をしない者といつたふうにはつきり書いたらどうかというような御疑問も出るかと存じますが、実はこの語法は裁判所法にも使いまして、復権いたした者はこの刑に処せられた者の中には含まないのだというはつきりした解釈が確立いたしておりますので、却つてここへまだ復権をしない者というふうに書きますと、却つて外の法律條文の解釈に疑問を超すようなところも出て参りますので、その語法は他の法律と合せましてこういう表現を使いましたものでございます。だからこの復権を得ました者はこの二号には該当しないのだ、かような解釈なのでございます。  次に第三号についてでございますが、ここに日本国憲法と申しますのは、私共新憲法を指しているというような考でおります。尚この法をここに入れておりますのは、これは国家公務員法の第三十八條の五号に、やはりこれと同じ語法を使つた表現がございましたこと、やはり提案理由説明中にもございましたように、公務に従事する職員でございますので、保護司についてもこの点は国家公務員と同じような建前で考えて行くのが妥当であろう、かように考えましてこの條文を置いたわけでございます。その解釈につきましてはいろいろと疑問が出て来るところもあるかと存じますが、これはまあ国家公務員法等にも通ずる同じ問題でございまして、既にかような語法を使つた條文もございますので、一体これで疑問はないではないかというふうに考えまして、この文字を使つて四條の三号を整備いたした次第でございます。
  17. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 やはり只今の関連事項として伺いたいのですが、成る程四條三号に対する御説明は、そういう趣旨によつてここに掲げたものと思いますが、それにいたしましても、新しく法律を制定する場合に、他の法律においてすでにその文字を掲げてあることによつて、その理由をもはつきりせず、その趣旨においてのみここに規定したというようなことではどうも説明が足りないのじやないか、殊に今も他の委員より質問されましたごとくに、この三号に規定されて、おりまする「政府を暴力で破壊することを主張する政党」なんというようなものが一体はつきりできるのですか。又どんな暴力で破壊することを主張する政党というものを政府の方で指定でもするのであるか。個々の事実を掴まえて、その団体をいわゆるそういう団体なりということを一体断ずることができるのですか。況んやその他の団体を結成しということにありますので、いよいよこれを具さに考えてこの法文自体を解釈して、一体何かの結論が出ましようか。これは実に分らないこともこれくらい分らない條文の書き方はないと思います。今少しこの趣旨を、内容を、ただ国家公務員法に書いてあるから、この場合においてもやはり保護司公務員なるが故に掲げたのだというふうな説明では了解し難い。公務員法にあろうがなかろうが、この法案審議する際においては、この法案の趣旨というものを我我委員に明確にあなた方の方から説明されて、我々は納得して初めて賛否を決するわけなんです。只今説明では了解し難いと思います。もう少し「政府を暴力で破壊することを主張する政党」、更にその上に「その他の団体を結成し」とあります。これはますます分らない。例えば、最も私共の分りいいように説明するとすれば、一体現在日本におけるこの種の団体とは何を指して言つたかということを一例を挙げて御説明願いたい。それから一つ始めて見たいと思います。
  18. 牧野寛索

    政府委員牧野寛索君) この問題につきましては、相当国家公務員法の問題につきまして議論せられた点であろうと思いますが、現在これに伴うところの資料その他が用意してございませんので、次回においてこの点について御答弁したいと思います。
  19. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 よろしうございます。
  20. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 司法保護委員が又もとの保護司という名前に変りますのですが、これは保護司と申します方が仕事性質上から大変相応しいとは思いますけれども、これに関連しまして、家庭裁判所の今まで少年審判に関しまして初めて使つて参りました保護司というものがなくなりまして、調査官及び調査官補になりましたので、この点は非常に紛らわしくもあるしおかしくもあるし、一方で司法保護委員保護司に変つたということを喜びますと同時に、非常にたびたび名前が変りますということについて紛らわしいことじやないかというように考えておりますが、その点について御所見を伺いたいということと、それからいま一つは五万二千余の保護司でございますが、その古い保護司が、つまり司法保護委員が大体どのくらい使われるといいますか、新しい保護司として採用ができるものがあるお見込がございましようかという点と、それからその新しく選ばれます保護司は児童福祉法によります児童委員と兼ねる者が、兼ねさせるということが大体になるのでございましようか、その点は如何でございましようかという点、それからこれは従来もあつたことと思いますけれども、保護司奉仕的の御苦労なお仕事でございますから、つまり篤志家として表彰する途を法文によつて明確にするということは、これは大変大事なことと思いますけれども、従来非常に表彰されたということについていろいろそこに利用しまして、又悪用しまして、民間に或る一つの弊害があつたようにも聞いておりますけれども、一体今度の表彰内容はどういうことでございましようか。それから第七條に、「保護司任期は、二年とする。」とございまして、「但し再任を妨げない。」とございますが、こういう篤志家仕事で、奉仕的にやられることについて二年という任期を定めるということは必要がございましようかどうかということを先ずお尋ねしたいと思います。
  21. 池田浩三

    政府委員池田浩三君) 先ず保護司の名称についてでございますが、最近いろいろと名称が次々と変つて参ります。その点お説明通り大変紛らわしい感じを与えるのでございますが、従来の司法保護委員というものに相当するものの名称をここに保護司と掲げますその基本考え方を申上げますと、司法保護委員と申します名前のうち、その文字のうちで司法という言葉がこれは裁判所専属、専用の言葉と現在ではなりますので、この言葉は避けなければなりません。又委員と申します言葉、これが国家行政組織法ができました後は委員制度の、行政官庁であるところの委員会が沢山ございます。その委員会の委員と紛らわしい点があります。特にこの更生保護の分野におきましては、中央の保護委員会なり、地方少年保護委員会と地方成人保護委員会という委員組織の役所がございまして、そこに委員というはつきりしたものがございます。その委員と大変紛らわしくなりますので、何とか外の名前を考えなければならないからという点がこの名称改正の出発点でございますが、この保護司の名称、これは従来旧少年法当時嘱託の少年保護司という制度がございまして、これを通常保護司保護司と呼ばれるのが例でございまして、それが非常に親しみいい名前になつております。又成人司法保護の分野におきましても、一部保護司という名前を嘱託保護司に使つていたこともございまして、この仕事には最も似つかわしいいい名前だと、而も保護司という名称はこれは保護の実務に当る執行の面の従事者といつております名前でございますので、ここに従来の司法保護委員に代えて保護司という名前を使うことにいたしたのでございます。裁判所に最近まで少年保護司という名前がございました。けれどもこれは実は新しい少年法を作ります機会に同時に裁判所法の改正もございましたが、その際に本来その仕事性質に当て嵌まらない名前を間違つて使つたのでございましたので、その点を裁判所法の方で改めて頂いて、本来ここで使うべき名称のところへ今度こちらの法案保護司という名前を使うということにいたしたのでございます。これで裁判所の機関とそれから保護執行面の機関の名称は本然の姿に落着いたわけでございますので、今度はこの名前は変えないでずつと続けて行く予定にいたしております。これで十分落着くものと考えておりますので、今度は紛らわしい点はなくなるだろうとかように考えております。  次に保護司は今度新しく五万二千五百名とこうなるわけでございますが、それに適任の方々が従来の司法保護委員方々の中どれくらいあるだろうか、これについての見通しでございますが、昭和二十四年度までの定員が約四万二千でございますが、実は昨年度の中にすでに新しい司法保護委員令という政令を組みまして、従来任期制のなかつたものにつきまして、この新しい政令で任期制を設けて、その機会に、これは法文上はつきりしたものではございませんでしたけれども、法務府の訓令によりまして各地選考会というものを設けまして、前後二回に旦つて従来の司法保護委員方々の選考のし直しをいたしました。そうしていい方々だけを残つて頂いて、これは今正確な数字をここに持つておりませんけれども、全部で約二万ぐらいあるだろうかと、この方々達が司法保護委員として現在保護観察仕事に援助協力して頂いておるわけでございますが、こういつた方々は大体新しい保護司法の保護司としても適格な方だろうと思いますけれども、併し地区によりまして、いろいろ事情がございまして、必ずしも適当でない、或いは年令とかその他の関係で引続いてやつて頂くことは無理な方々もいくらかはございますので、新しく選考会にかけます推薦のメンバーの中にはその三万の方方全部お入りになるということは考えておりませんけれども、その三万のうち相当多数の方々が新しい保護司としても適任であるというふうに選考会でも判定される方々ではないかというふうに考えております。  次にこの児童委員保護司とは、特にこれは少年を担当する少年保護司と直接関係があるものと思いますが、そういつた少年保護司と兼ねさせることを原則とするのかどうかといつた問題でございますが、これは仕事性質が全然違いますので、この点は児童委員と当然兼ねるべきものというふうには考えておりません。むろん児童委員方々の中にも保護司、特に少年保護司として適当な方も相当おありだろうと思いますので、その方々には保護司をお願いするように進めようかという程度に考えております。  次に十三條の表彰の点についてでございますが、表彰内容をどのように考えておるかとのお尋ねにつきまして、これは條文にも上つておりますように、どこまでも表彰でございまして、そうしてその表彰の場合には、その業績を一般に周知させることに意を用いるというふうに考えております。内容精神的なものでございますので、表彰状のような形式のものを中心に考えて行くものというふうに予定いたしております。  次に第七條の任期二年と規定いたした問題でございますが、司法保護事業ができ上りました昭和十四年以来、ずつと引続いて昨年の八月までの司法保護委員令によりますと、司法保護委員には任期がございませんでした。ところがその当時から非常に現場の司法保護委員の皆さん方から強い御希望が出ておりまして、やはり司法保護委員というような仕事は常時新陳代謝によつて新しい良い人がどんどん入れ替つてつて頂かないと、一度任命されたならば、年がいくらになろうと、活動力がどうであろうと、仕事はしないでもその肩書を持つておるという関係ではこの仕事は活発に動かない。だからしてどうしても任期性を作つて欲しいというような御要望がございましたので、昨年の八月に新しい司法保護委員令を作ります機会任期三年ということを規定いたしまして、ここに初めて任期制ができたのでございます。それを今度の保護司法案によりまして更に任期を縮めて二年というふうにするわけでございますが、この適任の方々につきましては御意見通り、やはり長くやつて頂くのが最もよろしいのでございますので、そういう方々については任期ということを考える必要はないのでございますが、併しこの年令とか、或いは活動力とか、この時間的余裕、こういつた点でやはりその保護委員、まあ今度の新しい法案では保護司になりまするが、保護司になつて頂いております方々にもいろいろ事情がございますので、それに応じてやはり常時適任な方々だけでこの保護司を充実して行くということが必要なのです。そのためには任期はやはり短くしておく方がいいのじやないか、併しながらいい方は続けてやはりその仕事をして頂くために、再任を妨げないものとしてここに二年の任期を設ける、こういうふうな構想の下にこの法案を考えておる次第でございます。
  22. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 重ねてお伺いしますが、この保護司仕事、殊に少年関係保護司仕事内容でございますが、報告の点なんかございますのでございますか。
  23. 池田浩三

    政府委員池田浩三君) 保護司仕事は第一條にも書かれておりますように、その仕事の中心と申しますのは犯罪者予防更生法によります保護観察を中心とした犯罪前歴者更生保護仕事になるわけでございます。で犯罪者予防更生法の建前によりますと、やはりその取扱つて頂いておりますものの成績につきましては、常時その保護観察所の方へ頂く建前を取つておりまして、現在のところ一月に一度づつその成績の経過を御報告頂くとかようにいたしております。
  24. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 今まではその一ヶ月一回の報告ということが実際行われておりますのでございましようか。その成績についてちよつとお伺いしたいのでございます。
  25. 池田浩三

    政府委員池田浩三君) 現在までの司法保護委員のその担当しております事件の成績についての報告、これは昨年犯罪者予防更生法実施いたしまして、以後この点を漸次充実して参りましたのでございまして、全国地区によりましてその成績の報告はまちまちでございますが、よい報告になりますと、九〇%を超えてその成績が出て来るといつた成績を出していられるところもございます。悪いところは二〇%、或いは三〇%くらいを前後しておるといつたような成績の悪いところもございます。併し成績の悪い地区におきましても、逐次この保護観察所の方でもその点を十分司法保護委員方々に御理解頂くように仕向けまして、その成績は逐次上つてつておる現状でございます。
  26. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 この保護司仕事の成績の上つておりますか、おりませんかという標準は、私は一にかかつて報告にあるのではないかというように考えておりますが、報告によつて保護司の成績を見る以外に、もつと実際の保護司の出来不出来を見る何か物指になるものがございましようか。
  27. 池田浩三

    政府委員池田浩三君) 保護司、現在の司法保護委員でありますが、司法保護委員活動の上つておる方といない方とのより分けができるかどうか、かような点についてでございますが、この点は全国保護観察所とも大変努力いたしまして、いろいろ新しい構想でその成績が上り方をして行くようにという方向に努力いたしておりますが、その方法といたしまして、現在毎月或いは隔月にその地区保護委員協議会というものを開きまして、その協議会にその地区保護委員方々をお集まり頂く。場合によりましては地区で人数が多い場合には、地区の更に分区の保護委員協議会という形でこれを開きます。これを毎月、或いは隔月にどんどん開いて参ります。そうしてその地区で各保護委員方々にその担当していらつしやる事件の経過を報告をして頂く。その際に保護委員方々相互に、又観察所の保護監察官との間でもそのやり方について十分検討いたしまして、或るケースについてAの方法よりBの方法がもつとよいのではないかという意見が出れば、その点を当の事件を担当しておられる保護委員にお話する。そうしてお互いに研究をして、尚その機会にその成績もどんどん出して頂くように催促いたしまして、そうしてこの成績が毎月の成績が出て来るように努力いたしておりますが、かように地区或いは分区の保護委員協議会を度々開くこと、又観察成績を励行して頂くこと、これをどんどん推し進めまして、そうしてその地区における保護委員方々でケースの扱い方がまずい方とか、或いは熱意のない方、或いは成績を高くお出しにならない方、こういうお方々は一応保護委員として結局適任でないのであるから、そういう方々任期満了の機会にもう次の選考名簿に入れない、推選しない、こういつたような方法を採つたり、或いは直接その事情をお話して辞めて頂くというような方法をとつております。かようにしてできるだけ現在の現任の司法保護委員方々は本当に仕事のケースを持ち、その仕事を十分こなして頂く方々だけで組織して行こうというふうなことにつきまして努力いたしております。
  28. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 今伺いました地区保護委員協議会が地区々々で開かれますことは、大変これは仕事の上によいことだと思います。先達ても東京の婦人の保護司の方が参議院の会館にお集り下さいましたときには、私は出席いたしましたので丁度伺いましたら、百二、三十人の婦人の保護司の中の、殆んど百人近くの方がお出ましになつて、実に熱心に子供の観察について研究がされて、又いろいろな発表なさいましたのを私伺つておりましたが、大変有難く思つたのでございますけれども、そういう東京のように活発に動いております所があります半面に、今伺いましたら報告が三〇%しか出ないというような所もあるということになりますと、そうするとその報告は三〇%出るきり、三割きり出ていないということは、子供の観察が或いは随分ルーズにされているのじやないかということも懸念されるわけなのでございます。それで、本当にこの保護観察のことが十分にできておれば、むしろ任期なんかございませんで、少し年寄りでも私は構わないと思つております。むしろ年取つてお父さん役、お母さん役のできる方が、むしろ仕事としたら有難いのでございますから、結局は、この調査も観察もしないし、しよつちゆう子供との接触もないし、怠つているというような方は二年ではなく、半年でも一年でも、そういう方はやめて貰わなければならないと思つておりますので、それで第七條の、保護司任期を二年にするということよりも、もう少し仕事の成績によつて、何かそこに保護司をやめさすというような方法は考えられないものかと思うのでございますが、その点もう一度お願いいたします。
  29. 池田浩三

    政府委員池田浩三君) この保護司方々が、その成績を上げられるようにということ、これはこの法文の中に、第九條の服務、「保護司は、常に人格識見の向上とその職務を行うために必要な知識及び技術の修得に努め、」これを服務の本体とするということを要求しております。尚解嘱の、十二條の二項でございますが、その一号に、「第三條第一項各号の一に掲げる條件を欠くに至つたとき。」、この場合は解嘱することができるものといたしております。それで、結局成績の挙がる方と申しますと、第三條第一項の、この各号が揃つて具備されている方々だと思います。で、成績の挙がらない、事件を扱つてもちよつとも成績は挙がらんというような方々は、必ず第三條一項の、各号のいずれかの條件の具備が欠けてくるといつた方々ではないかと考えられますが、その点は十二條二項の運用によりまして、任期が来ないでもそういつた方々はおやめ頂くという方法がとれると考えております。但し、いい方は長く続いてやつて頂くという建前、この点は第七條の任期條文に、但書をして、「再任を妨げない。」という文言を付けただけで、法案が極めてぞんざいに見えるのでございますが、実はこれは非常に意味のある規定なのでございまして、いい方は続いてどんどん再任して頂くのだと、こういうふうに私共は解釈いたしまして、この但書を十分に活用して行こう、こういうように考えている次第でございます。
  30. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 保護司制度については今までもありましたが、仕事をやらせるという点について、私達これで大体了承はできるのですが、併し国家がこれをどうしても必要だとしてこの法律を作る以上、何故こういう中途半端な、暇があればやれるのだというようなそういうことをさせるような保護司を置くような規定を……むしろ必要だとするならば、もう少し突込んだ、もう少し義務でも何でも相当履行させるということも、強力にできるような法律を作らないと、結局今の我々の考から見たときに、保護司仕事というものはあればやつてもいいのだというふうに思はれるのだと、こういうふうに考えられるのですが、何故こうした中途半端な法律を作つたのですか。
  31. 池田浩三

    政府委員池田浩三君) 只今の御質問のごとく、必要なものであるならば、もつと責任を十分に持たせた職員を考えなかつたかということは御尤もであります。私共常にそういうことを考えておるのでありますが、実は保護司仕事性質、これが専従職員として実施したのでは、必ずしも円滑に行かない面もございます。例えば、犯罪者予防更生法によりますと、保護観察、指導監督の外に補導援護という問題がございますが、補導援護の中には就職の世話までやつてやらなければならない面もありまするし、その人の衣食住、あらゆる面について心配してやらなければならない、こういつたことは、その地区における世話の非常に上手な、而も余力のある方といつたような人々にお願いする方が結果としてはいい効果が現れる例が相当多いのでございます。その外に専従職員を置きますことは、私共できるだけそれを多く置きたい。そうしてできれば何とか観察所の保護観察官の陣容を整えまして、その保護観察官だけで相当部分仕事を片付けて行きたいと、いうふうにも考えておりまするが、この点は国家財政の関係もございまして、必ずしもそれは理想通りには実現できないような実情にございます。かようなわけで、国家財政の面と、又仕事性質に鑑みてのその効果の点を睨み合せまして、かような、見方によつては中途半端だと見えるかも存じませんけれども、保護司法案という保護司のような性質仕事を置いて、これを十分に活用して行くことが現在の国内事情の下においては最もいい方法ではないかと、かように考えておる次第でございます。
  32. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 本法案には、特に第五條に一号を設けられまして、司法保護司の選考会規定を設けられておりますが、司法保護司の選考会委員、それから所掌事項、選考会組織委員及び事務処理の手続と、こういうことまでは書いてありますが、この事務処理の手続とかいうようなことは別としまして、苟くもこうした司法保護司選考会という、保護司の任免、委嘱、或いは黜陟に対する諮問機関等になりまする重要な職については、全然これを中央委員会規則のみに一任して、如何なる人がこの任に当るのであるかということすら、この法律では分らない。掌るところの職務は、少なくとも保護司の任免黜陟に関する重要なる職務である。それを、中央委員会規則によつてのみ委任をいたしておりまする筋は、どういうわけであるか、もう少しこうした重要なる機関を定めるのであるならば、せめて委員のやはり資格、どういう一体委員を設けるのであるか、どの範囲において設けるのであるかということくらいはこの本法に私は記載すべきことが適当じやないか、ただ漠として一つの顧問だとかいうようなこととは、これは違います。殊に罷免については、何ヶ條かにありましたが、罷免については、特にこの選考会意見というものを、中央委員長は、聴いて後でなければ罷免ができない、こういうふうなことになりますれば、かなりやはりこの選考会というものは重要なる職務を扱うものだ、これは常置のものであるか、或いは非常置のものであるか、どんな範囲で、どういうふうな径路において定めるのであるか、少くとも今後私は規則が一ヶ條できたならば、その一体選考会委員というものは、どのくらいな、どんなものであるかということくらいのことは記載すべきで、その程度のものは、少くとも私は知らなければいかんと思います。この点はどういうふうにお考えになつておるか。尚本法の実施上について、特にこれを中央委員会規則の方に一任しております末項の十四條の委任規定でありまするが、これとても、実施上、執行上の必要なる事項については規則に一任をしておるというのは、少し抽象に流れておるのではないか、実施上の手続きについてならばともかく、これを実施するについての執行上についてまでも広く委任いたしますることは、果してどうであるか、こう思うのです。政府の御意見を伺いたい。
  33. 池田浩三

    政府委員池田浩三君) 選考会組織につきまして、法案條文の中には、どういう範囲方々を、この委員に御願いするかということを明記いたしておりません。この点は御質問のごとく、大変これは重要な事項を、その点ブランクの形で規則に委任することは不適当じやないかと、こういうお考も御尤もと存じますが、この保護司選考会、現在では司法保護委員選考会というものを、事実上法務府の訓令を持ちまして実施いたしております。現在のところは、少年司法保護委員選考会成人保護委員選考会と、それぞれ別個に各府県に一つずつ作つているのでございますが、今度の法案ではそれをまあ一本にまとめて、その構成を十三人とか十五人と、こういうふうにしようとするのでございますが、そのメムバーに予定いたしておりまするところは、先程も御説明申上げましたように、大体その地区府県内におけるこの仕事関係のある法的の機関なり組織なりの代表者のみをこの委員に数え上げて、十三人或は十五人と予定いたしているのでございまして、これはまあ従来からの行きがかりで大体その選考委員に入る方々は、そのポストによつて大体決まつた方々なのでございますので、その点は規定性質から申しますと、ちよつと不都合のように考えられますけれども、実質上はさほどそれを規定しないからといつて、そのメンバーが非常に違つたものになるというようなことも考えられないのでございます。そういつた関係で、この條文の中に組織についてのこと、参加される方々範囲を明記いたさなかつたようなわけでございます。実際の取扱においては、この点では今後決して全然違つた観点の方々がこの委員としてお入りになるというようなことも考えられませんので、今後私共これを運営して行きまするためには、この十三人なり十五人なりのこの顔触れというものは、もう決まつた各関係代表方々の以外には廻さないんだというふうに運営して参りたいと思つております。  次に、この最後の十四條の條文についての委任の形でございますが、御質問の御意見通り、かようなことを中央委員会規則などに広く委任すると大変な問題が起きはしないかと、こういう御懸念のような点でございますが、この條文にも書いておりますように、「実施のための手続、その他その執行について必要な細則」というふうに表現いたしておりまして、その細則とか手続、これ以外なことで大きなことをこの中央委員会規則で決めるということは、これはもう十四條の條文からして絶対にできないものだというふうに私共は考えまして、この條文を組んだ次第でございます。私共この條文を運営いたしますにつきましては、そういつた頭で動いて行くつもりで、本当の細かい部分だけを規則で出して行こうと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  34. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 只今保護司選考会に対しまする御説明を承りますると、すでにポストは決まつておるのであるから、又関係団体でありまするか、関係者の代表をそれぞれ定めるつもりであるし、又政府を信じて、これを、別に脱線をしないからというようなふうに承つたのでありまするが、一体そんな知らしめずして拠らしむべしとようなことは、考えられないです。苟もこうした重要な重要ポストをここに規定の上において設定いたしまする場合においては、すでに保護司に対しまする任免要件、その他職務條件、すべて書いてありまするので、その上の選考、而もその任免黜陟に関しまする更にその上の地位のある者について、漠として捕捉するところなき規定だけで以て、先ず凡そ決つておるからというようなふうなことでは、私は苟もこの制度を設けるに対しまする規則としては、甚だ足らざるものではないかと思います。こういうものを置くのだと、併し置くについては、あとは皆委員規則において決めるのだと、こういうふうな一体私は設置法なんというものは考えられない。或いは政府考え方としましては、すでにポストは決まつておると思うのであります。決まつておるかも知れませんが、この規則だけ見ましたら、誰に決まつていますか、恐らく決まつておること自体に対することが、果してよいか悪いかということにもなりますので、せめてやはりこうした制度を設けて、條文を煩わしておるといたしまするならば、やはり大体この委員というものは、どういう構成である、どういうものを以てこれに当てる、員数もすでに決めてありまする限りにおいては、私はここにありまする組織、いわゆる所管事項、或いは資格、これだけぐらいはせめても書いておかなかつたならば、恐らく他の制度規定におきましても、これ程私は漠とした抽象的な規定は余りその例を見ないのじやないかと思います。その職務の重要性等を考えまして、特にそれを軽んじられていやしないか、そういつた趣旨をもう少し詳しく説明して頂きたいと存じます。
  35. 池田浩三

    政府委員池田浩三君) 只今の御質問の点につきましては、この立案に当りまして、決してこの点を軽く考えたと申すわけではございませんが、従来事実上やつて参つた司法保護司選考会なるものが、ただこの法務府の訓令といつた程度で行われておるということは、これはどうもはつきりしないので、一つこれを法律條文へ書き直そうというのが、この五條法案に組み入れました基本でございまして、実はさような細かい点まで細かく検討が進んでいないような次第でございますが、従来この法務府訓令程度で賄つていたものを、ここに法文として保護司法案條文にはつきりと書き込むということにいたしましたのは、これはその性質が甚だ重要なものであるからという考え方、これに勿論基くのでございまして、現在までのところ、そういつた観点で條文を整理いたしておりますが、この選考会委員の予定の顔触れにつきまして、実は五條の二項に細かくずつと述べて行くかどうかといつたようなことも、一応は考えて見ましたけれども、立案の当時におきましては、実は組織がいろいろと時々に変つて来ると、そういつた場合に、又本條文をいじらなければならないといつたような点も将来出て来ることを考えまして、一体決まつた枠内の中で考えられるものならば、中央委員会規則にこの際譲つておいても支障ないではないかといつたような考えから、かようにいたした次第でございます。
  36. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 すでに保護司に対します欠格條件等は、第四條に書いてありまするし、又三條には、保護司についての具備條件等も書いてございます。そのいわゆる保護司を任免し、或いは黜陟いたしますについての委員長の諮問、或いは諮問を必要なる條件といたしまするがごとき重要なる立場にありまする者を、禁治産者であろうが、或いは準禁治産者であろうが、若しくは禁錮以上の刑に処せられた者であつて差支ないということに、この規定の上から言うならば考えられます。規則規定に当つては、恐らくその点については考えられるでありましようが、併し、従来この種のものを訓令によつてつておつたのであるが、職務性質上非常に重要なのであるから、それは不適当だということをすでにお認めになつて、新しく今度條文においてこれを規定いたしますことになるのであろうから、同時に、やはりこの委員というものに対する構成、或いは所管事項、若しくは欠格條件等についての必要なる重要事項だけは、少くとも規則の上に明記することが正しいのではないか。政府の方では、お分りになつておるに相違ございますまいけれども、これは、折角訓令を本則に明記するという趣旨は分りますけれども、併しながら、頭だけ出して、あとは全然政府に任せるのであつたならば、書いてみたところで何もならない。むしろ肝要な点は、委員を置く規定を設けるというよりも、むしろ委員というものを如何なる者を以て当てるか、そうしてその委員は如何なることをなすべきかというようなことこそ、規則において明確にして、このいわゆる委員と申しまするか、選考委員の権威というものを規則の上で明らかにして、そうして即ち任免黜陟に参画するということになることが、私は制度の上においても、又効果の上においても、甚だ意義が大きいのではないかと思います。若しこの際お分りでございましたならば、起案に当りまして政府が考えておりました、この五條の第二項に掲げようと当時考えておられたということでありましたら、その趣旨等もこの際お洩らし願えますれば、私共も審議に当つて考えてみたいと思います。
  37. 池田浩三

    政府委員池田浩三君) その点は、先程松井委員の御質問の際にも、梗概を御説明申上げたのでございますが、現在この選考会についての中央委員会規則案におきましては、次のような顔触れを考えております。保護観察所、これは各府県単位に置かれておるものでございますが、少年成人両観察所がございますので、その両観察所長、それから検事正、それから裁判所側は、地方裁判所長又は家庭裁判所長のうち適任な方一名、それから次に強制保護施設これは刑務所、少年院拘置所、それから少年鑑別所等でございますが、この強制保護施設のその地区における長の代表者一名、それから都道府県公安委員会委員長都道府県教育委員会委員長都道府県民生委員審査会委員長、それから都道府県職業安定委員会会長、それから弁護士会長、それから少年保護司代表者一名、成人保護司代表者一名、これで十二名になりますが、尚その外に広い視野に立ちまして、適当な方が一名くらい加わつて頂くということがよいと考えられますので、学識経験者一名、かように考えております。この中弁護士会、これは東京は三つの会がございますので、そこで外の地区よりも更に多くなつて、この定員が十五人、その外の地区保護司選考会は十三人の委員、かように予定いたしております。
  38. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 第二條の保護司定数でございますけれども、これは提案理由説明にございましたか知れませんが、私遅くなつて……重なつておりましたら失礼でございますが、「全国を通じて、五万二千五百人をこえないものとする。」この五万二千五百人ということの、その数の基準は予想から来たものでございましようか。適正な、全国に配置をするのにこれだけ要るというような、予想から来たものでございましようか、ちよつと御説明を願います。  それから今一つは、第三條でございますけれども、保護司委嘱でございますが、これを読んで見ますと、先程から一委員の質問もございましたが、如何にも有閑人の片手間仕事というような感じを与える。私もそういう感じを持つのでございますが、第二のところの「時間的余裕を有すること。」ということも、それから「生活が安定していること。」これは時間にしましても生活の安定ということにしましても、程度問題だろうと思うのでございますが、この点についてお考えを伺いたいと思います。
  39. 池田浩三

    政府委員池田浩三君) 第二條第二項の定数五万二千五百人の根拠でございますが、これは大体保護観察全国における事件数を睨み合せまして、一人でいくら多く受持つて頂くとしても三件を超えるというような数字になりますと、これは大変無理が行く。現在のところは実際に一人平均一件半といつた数字になつておりますが、これが大体常時二件くらいになるのが通常の場合ではないか。現在犯罪者予防更生法施行後半年を経過しておりますが、まだ常態には達しておりません。今少し事件が殖えて行くものだろうというふうに考えております。それで一人平均二件ずつ持つて頂くとすれば、大体この五万二千五百のところで間に合うのじやないか。尚予算的に予定いたしております手当も大体この五万二千五百となつております。更にもつと多い方がいいのではないかというような点も考えますと、この点は余り多くなると、適任の方をそんなに沢山得られないだろうというような見通しも得られますので、いろいろそういつた点も考え合せまして、この定数五万二千五百という数字を決めたわけでございます。  次に三條の各号に掲げております條件でございますが、成る程各号に述べておりますところを見ますと、如何にも余裕のある、余暇のある方だけを選ぶというふうにも見えるのでございますが、この点は熱意なり、社会的信望なり、或いは健康と活動力等その方が持つていられる長所、これを以てカバーして全体として大体この條件が満されると思われるならばお願いしようといつたような考え方なのでございまして、非常に余裕を持つていらつしやる方でなければ全然お願いしないというような趣旨ではございません。
  40. 伊藤修

    委員長伊藤修君) では大体この程度にいたしまして、あとは午後にいたします。   —————————————
  41. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尚この際お諮りいたしたいことがありますが、先に専門員の泉君が辞任いたしまして、その後任を選考中のところ、この度國宗榮君、元の刑事局長であります、このお方を理事会において御選考願いましたから、委員会において御承認願いたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでは國宗榮君を専門員に任命することにして手続きすることにいたします。それではこれで休憩いたします。    午後零時四十七分休憩    —————・—————     午後二時三十七分開会
  43. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 午前に引続き法務委員会を開会いたします。  次に国籍法案及び国籍法施行に伴う戸籍法の一部を改正する等の法律案の両案について政府委員提案理由の御説明をお願いいたします。
  44. 牧野寛索

    政府委員牧野寛索君) 国籍法案及び国籍法施行に伴う戸籍法の一部を改正する等の法律案について、提案理由説明いたします。  現行国籍法は、明治三十二年の制定にかかるものでありまして、その中には新憲法及び改正民法の趣旨に副わない規定が含まれておりますので、これを改める必要があるのでありますが、改正を要する條文が多数に上ります関係上、現行国籍法を廃止して新たに国籍法を制定することといたしたのであります。又、この新たな国籍法施行に伴つて戸籍法その他の関係法律を整理する必要があるのであります。以上の理由によりこの二つの法案を提出いたしたのでありますが、先ず、国籍法案内容について現行法と異る点の概要を説明いたします。  第一に、現行法では国籍を離脱することができる場合を狭く限定し、且つ国籍の離脱について法務総裁の許可を必要とする場合があるのでありますが、これは国籍離脱の自由を保障した憲法第二十二條第二項の規定に牴触いたしますので、この法案におきましては、外国の国籍を有する日本国民は、すべて法務総裁に届け出ることによつて自由に日本国籍を離脱することができることといたしました。  第二に、現行法では第二條その他民法の「家」の制度に立脚する規定があるのでありますが、「家」の制度は両性の本質的平等及び個人の尊厳を宣言した憲法第二十四條の精神に反するものとして、すでに民法の改正を見た次第でありますので、この法案では現行法のこれらの規定を廃止することにいたしました。  第三に、現行法は国籍の取得についても、又、喪失についても、「妻は夫の国籍に従う」という原則及び「子は父又は母の国籍に従う」という原則を採用しており、婚姻、離婚、養子縁組、離縁、認知等の身分行為に伴い、或は、夫又は父母の国籍の喪失に伴つて、当然に、妻又は子の意思に基かないで、その国籍の変更を生ずることになつているのでありますが、これまた憲法第二十四條の精神と合致いたしませんので、この法案におきましては、近時における各国立法の例に倣い、国籍の取得及び喪失に関して、妻に夫からの地位の独立を認めてその意思を尊重することとし、又子についても、出生によつて日本国籍を取得する場合を除いて、子に父母からの地位の独立を認めることといたしました。  第四に、現行法では、帰化人等に対しましては国務大臣その他国家の重要な官職につく資格を制限いたしてをりますが、これは国民はすべて法の下において平等であることを宣言した憲法第十四條の精神に反しますので、この法案では、帰化人等に対するかかる資格の制限を撤廃いたしました。  第五に、現行法では、日本に特別の功労のある外国人につきましては、勅裁を得て帰化を許可することができることとなつておるのでありますが、憲法第四條の規定によつて、天皇には国政に関する権能がないこととなりましたので、この法案では、国会の承認を得て、帰化を許可することができることといたしました。  その他、この法案では、二重国籍の発生を防止するため、外国で生れたことによつてその国の国籍を取得した日本国民は、戸籍法の定めるところによつて日本の国籍を留保する意思を表示しなければ、出生の時に遡つて日本の国籍を失うものとし、又現行法における国籍回復の制度を帰化の制度に統一し、尚帰化及び国籍離脱の効力の発生の時期を明確にするため、帰化及び国籍の離脱は官報に告示された日から効力を生ずることといたしました。  以上説明いたしました諸点を除きましては、この法案は現行法の規定の趣旨を踏襲いたしております。  次に、国籍法施行に伴う戸籍法の一部を改正する等の法律案内容について、その概要を説明いたします。  第一に、新国籍法施行に伴いまして、国籍の取得及び喪失に関する戸籍の手続にも変更を生ずることとなりますので、戸籍法中国籍の得喪に関する規定に所要の改正を加えることといたしました。  第二に、新国籍法施行に伴いまして、法務局及び地方法務局に法務総裁の管理いたします国籍事務を分掌させる必要がありますので、法務府設置法に所要の改正を加えることといたしました。  第三に、明治六年第百三号布告改正法律は、外国人を養子又は入夫とする場合の條件を規定いたしておるのでありますが、入夫婚姻の制度は現在既に廃止され、又新国籍法では、養子縁組は日本国籍取得の原因とはならないこととなつて、右の法律はその必要がなくなりますので、これを廃止することといたしました。  以上簡単でありますが、国籍法案及び国籍法施行に伴う戸籍法の一部を改正する等の法律案について、その内容説明いたしました。  何とぞ、御審議上速かに可決せられんことを希望いたします。
  45. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 以上両案につきまして何か御質疑がありましたならばお申出で願います。  尚政府から逐條説明に関するところのプリントがあるそうでありますから、あとで御参考までに印刷いたしましてお配りすることにいたします。  第六條の四号ですが、「日本の国籍を失つた者(日本に帰化した後日本の国籍を失つた者を除く。)で日本に住所を有するもの」この括弧の中の「除く」という趣旨を御説明願います。要するに何故除かなければならないか……
  46. 村上朝一

    政府委員(村上朝一君) これは現行法の第二十六條にあたるものでありまして、日本に帰化したのち日本の国籍を失つたというように、国籍を転々としておる者につきましては、この回復帰化を認めないという趣旨が現行法にも認められております。それを踏襲したわけであります。
  47. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か御質疑ありますか。
  48. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 この第四條の帰化の條件の中にも、第六号、これは前に、今日の午前に、保護司法案についても同じようなことの規定ができておるのでありますが、この「日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て」るというような規定、これは現行法にはこういうようなものがないと思うのでありますが、特にこういう規定を入れられたのは、何か外国の例にでもこういうのがあるのでありましようか。外国の立法例を、ここに参考書を頂いているのですが、まだ拝見するいとまがないのですが、何か例でもあるのですか。
  49. 村上朝一

    政府委員(村上朝一君) アメリカの国籍法に例があるようでございます。同じ條文ではありませんが、大体において趣旨の類似した……
  50. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 第何條ですか。
  51. 村上朝一

    政府委員(村上朝一君) 三百五條、参考資料の、各国国籍法規集の十六頁。
  52. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 刑法の何か規定と関連でもつけておいた方が簡単ではないかとも思うのですが、非常にアメリカの規定は詳細に亘つておるのですね。日本のこの規定と違つて、もつと非常に詳しく書いてあります。いろいろなことを書いてある。刑法に大体の好ましからざる行為は掲げてあるのでありますから、これはいずれにしても刑法としても許すべからざる行為じやないかと思うのですが、刑法を引用するようなことをしないで、これは独立の法律であるから、独立に書いたということになりますか、犯罪の中で。いずれにしても、大抵の場合は犯罪だろうと思います。犯罪のうち或ものだけ取り上げるということにもなると思います。刑法のどれということは、何かはつきり関連がつかない……
  53. 村上朝一

    政府委員(村上朝一君) 刑法犯罪に触れるようなことをした場合には、主としてこの第三号の「素行が善良であること」、この要件を欠くことになると考えておるのであります。この第六号の場合は、必ずしもこれが刑法内容に該当するということがはつきりいたしませんし、又第三号に含まれるということも、字句の上から言い切れないということでございまして、特に第六号を加えたわけであります。
  54. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 私は政府ということについて、はつきりした解釈が今定つているということは言い得るかどうかということを疑問にしておりますが、憲法を見ましても、憲法の前文にあるのですね、政府ということが。憲法の本文の中に政府という字がない。旧来の政府ということがどういうことを言つているのか。政府と言うと、これは行政府だけではないので、国会のことも考え、裁判所も考えているということであるが、なんだかこう正確でないような気分がして、現在的の表現でないような感じがするのですが、はつきりしておりますのですか。政府と言えば刑法には書いてある昔からのこれは文字である。政府顛覆というようにね。併し新憲法の下に、政府という用語が実は私は少し疑問にしております。政府委員というようなことを言いますけれどもね。昔の政府という観念と今の政府という思想とは、憲法の中にはどうもちよつと政府という字はないですね。裁判所も内閣も国会政府というような解釈か、どうですか。
  55. 村上朝一

    政府委員(村上朝一君) 刑法に使つておりますのと同じように、内閣、国会、裁判所、すべての国家権力を含めた意味に解釈いたしております。    〔委員長退席、理事宮城タマヨ君委員長席に著く〕
  56. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 別に主義は変つていないんですか、従来と。属人主義、属地主義という関係は、やはり属人主義で行つておりますね。特に今度の改正によつて、国籍取得についての原則を変えたということはないんですね。
  57. 村上朝一

    政府委員(村上朝一君) 国籍取得につきまして、殊に出生による国籍の取得につきまして、血統主義を原則とし、補充的に出生主義を採るという原則におきましては、現行法を全くそのまま踏襲いたしております。    〔理事宮城タマヨ君退席、委員長着席〕
  58. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尚、論議は沢山あることと存じますが、後日に質疑をやつて頂きたいと思いますが、よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それではそういうことにお願いいたします。   —————————————
  60. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでは、次に土地台帳法等の一部を改正する法律案提案理由をお伺いいたします。
  61. 牧野寛索

    政府委員牧野寛索君) 土地台帳法等の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申上げます。  現在の土地台帳及び家屋台帳は、土地家屋の状況を明かにし、地租及び家屋税を徴収するために必要な事項を登録する課税台帳でありますと同時に、地籍、家屋籍に関する台帳といたしまして、不動産登記制度の基礎ともなつているのであります。然るにこの土地台帳及び家屋台帳に登録する賃貸価格の調査決定は、税務署においてこれを行うこととなつております関係上、その台帳の事務は税務署の所管とされていたのでありますが、他方不動産登記の事務が登記所の所管でありますために、不動産制度の見地から考えますならば徒らに手続を煩雑にし、事務処理の円滑を欠く憾みがあつたのであります。今回、税制改革の一環といたしまして地方税法の改正が行われようとしておりますが、これによりますと地租及び家屋税は市町村がこれを徴収することといたしますとともに、その課税は、右の賃貸価格を基準とせず、毎年市町村において認定する土地家屋の価格を基準として行われることになりますが、その結果は賃貸価格の登録をする必要がなくなり従つて又税務署において台帳事務を掌る理由も消滅することとなるのであります。ここにおいて、土地台帳及び家屋台帳の事務は、これと最も関係の深い不動産登記の事務を掌る登記所に移管し、併せて土地台帳及び家屋台帳の事務と不動産登記の事務との間に、或る程度手続上の簡易化を図りますとともに、従来通り市町村に土地台帳、家屋台帳の副本を備え、市町村の課税上支障を生じないように相互の連絡を図ることといたしたのであります。以上申述べました趣旨によりまして、土地台帳法、家屋台帳法、不動産登記法その他関係法律規定に所要の改正を加えるため、この法律案を提出いたした次第であります。  以下この法律案の要点を申し上げますと、先ず土地台帳法の改正におきましては、第一に、土地台帳の事務を登記所に移管いたします結果、登記所に土地台帳を備え、その登録の事務は、当該土地につき登記の事務を掌る登記所が掌るものといたしました。第二に、今後は土地台帳に賃貸価格を登録する必要がなくなりますので、土地の賃貸価格に関する規定は、全部廃止することといたしました。尚市町村におきましては、土地台帳の副本に課税の基準となる土地の価格を記載することとなりますので、今後は土地台帳にも市町村長の通知により土地の価格を記載するものといたしました。第三に、土地の異動に関する所有者の申告は、現在ではすべて市町村を経由してすることとなつておりますが、今後は直接登記所に対してすることもできるものといたしました。第四に、法令により登記名義人又はその相続に代位して、不動産の表示の変更その他の前提登記を申請し、又は嘱託することができる場合でも、従来は土地台帳法による申告を代位してすることができませんでしたため、種々手続上の不便を生じましたので、今後は代位してその申告をすることができるものといたしました。第五に、現在土地台帳の閲覧は許されないこととなつておりますが、今後土地台帳が登記所に移管されますと、登記との関係が現在以上密接となり、その閲覧の必要を生じて参りますので、従来の謄本の交付の制度の外に、新たに土地台帳の閲覧を認めることといたしました。第六に、現行の土地台帳法は、申告、土地台帳の副本等に関する重要な事項をもその施行規則においてこれを規定いたしておりますが、これらの規定を整理しまして、土地台帳法中に採り入れることといたしました。第七に、罰則につきまして、必要な整備を行うことといたしました。  次に家屋台帳法の改正におきましては、土地台帳法の改正と同様の趣旨によりまして、第一に、登記所に家屋台帳を備え、その登録の事務は、当該家屋につき登記の事務を掌る登記所が掌るものとし、第二に、家屋の賃貸価格に関する規定を廃止するとともに、家屋台帳には市町村長が通知した家屋の価格を記載するものとし、第三に、家屋台帳法施行規則中重要な規定を家屋台帳法中に採り入れることといたしました外、家屋に関する申告、家屋台帳の閲覧、罰則の整備につきましても、土地台帳法とほぼ同様の改正を加えることといたしました。  更に不動産登記法の改正におきましては、第一に、現在、登記所が土地の所有権、質権若しくは地上権又は家屋の所有権の得喪変更等に関する事項の登記をしました場合には、これを税務署に通知して、税務署はこれに基いて土地台帳又は家屋台帳の登録を修正することとなつておりますが、今後はその必要がなくなりますので、その通知を廃することといたしました。第二に、現在不動産の所有権の保存の登記及び不動産の分割、合併その他表示変更の登記を申請する場合には、土地台帳又は家屋台帳の謄本を添附することとなつておりますが、今後はその必要がなくなりますので、これらの謄本の添附を要しないものといたしました。第三に、不動産又は登記名義人の表示が、登記簿と土地台帳又は家屋台帳と符合しない場合には、その一致を図るための措置としまして、当該不動産又は登記名義人の表示の変更の登記により、先ずこれを符合させた後、他の登記をすべきものといたしました。第四に、登記申請の手続の簡易化を図る意味におきまして、土地台帳法又は家屋台帳法による申告をする場合に、別に登記の登録税の納付があれば、その申告の外に、不動産の表示若しくは登記名義人の表示の変更の登記、又は所有権保存の登記の申請があるものとみなして、その登記をすることといたしました。  以上申上げましたのが、この法律案の概要であります。何とぞ慎重御審議上速かに可決あらんことをお願いいたします。
  62. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 本法案につきましては、條文多数に亘りまして、それにつきまして逐條説明をお伺いすることにいたす次第でありますが、それについて便宜政府から逐條説明に対するプリントを頂いて、そうして審議資料に供したいと思います。そういう取扱にいたしたいと思います。   —————————————
  63. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 次に株式の名義書換に関する法律案を議題に供します。先ず本法案提案理由並びに内容の御説明をお願いいたします。
  64. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) 只今議題となりました、株式の名義書換に関する法律案提案理由を御説明申上げます。  株式の名義書換につきましては、現在会社の本店でのみ行なつております関係上、株式の名義書換をいたしますためには、相当の日時と経費を要し、株主において不便がありますのみならず、これがために会社側においても相当の経費を負担いたしておる状況でございます。  このような事情に鑑み、今回株式の名義書換に関しましては、従来行われておりました会社の本店の外、その支店又は会社の委託を受けた名義書換代理人におきましても行うことができるようにし、株式の名義書換を簡易迅速にして、株主等の利便と株式取引の円滑とを図り、併せて名義書換代理人の登録等に関し必要な規定を設けることとし、この法律案提案いたした次第であります。  次にその概略につきまして御説明申上げますと、内容の要点は次の三点であります。  第一に、株式の名義書換は、会社の本店で行う外、会社の支店又は名義書換代理人においても行い得ることといたしました。即ち現行商法では、株式の名義書換を行うためには、株主の住所氏名を必ず株主名簿に記載しなければならないことになつておりますが、この法律案では、現行商法の規定に拘らず会社の支店又は名義書換代理人が株主名簿、又はその副本、或いはより簡単な株式移転簿のうち、いずれか一を備え置いて、株主名簿の副本又は株式移転簿に株主の住所氏名を記載したときは、株主名簿にその記載をなしたときと同様に名義書換の効力を生ずることといたしたのであります。これらの措置に伴つて、現行商法では必ず会社の本店に備えて置かなければならないことになつております株主名簿を、会社の支店又は名義書換代理人の営業所に備え置くこともできることといたしたのであります。  第二に、名義書換代理人は、株式の名義書換を代行する外、総会招集の手続、配当金支払の通知等の附随業務も行い得ることとなつております。従つてこの法律案施行の後は、会社は一切の株式事務名義書換代理人に委託することもできることになるわけであります。  第三に、名義書換代理人は有価証券の移転に関する義務を営むものであり、その信用を保持することは是非とも必要でありますので、その最小限度の信用を保持し、これを監督するために、名義書換代理人の業務については、資本金百万円以上の会社で、証券取引委員会の登録を受けた者のみが行い得ることとしたのであります。  何とぞ御審議上速かに御賛成あらんことを希望いたします。
  65. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この新しい制度に対するアメリカの資料はあるのですか、お出し願えますか。
  66. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) ございますから、それでは提出いたしたいと思います。
  67. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 これは何ですか、新しい商法の改正に関係ないようですね。第三條を見ると、資本金額なんか書いてあるところは、現行商法と似ているようです。又商法を改正するとこれも改正しますか。資本金額というのは、これは額面資本の趣旨でしよう。無額面という考えを入れているように思えませんが……
  68. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) 仰せの通りでございます。
  69. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 本法はあれですか、新しい改正商法と今度提案されているところの商法の一部を改正する法律案との関連性はどういうふうになつているんですか。
  70. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) 今お示しの通り、改正商法においても、相当名義書換につきまして変ることになつております点は御指摘の通りでありますが、この法律を出しました理由は三つございまして、一つは改正商法は来年の七月から施行される、そういうことに相成つておるそうでありますが、この法令は、名義書換と株式市場対策等とも関連いたしまして、名義書換をできるだけ早く円滑にしたいということで、時期的にこの法令の方が先になります。その点が第一点でございます。  第二点は、改正商法におきましては株主名簿又はその副本による名義の書換の方法を認めておられますけれども、この提案によりますと、尚簡単に株式の移転簿によつて簡単に名義を書換え得るというような制度も、只今申上げましたように認めておるという点が第二点であります。  第三点といたしまして、名義書換代理人の資格とか登録とか監督等につきまして、この法令規定いたしておる。  以上の三点が違います。殊に急いでこの法律施行して頂いて、株式の円滑な移転を図りたいというのが趣旨でございます。
  71. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 これは代理業者のところへ必ず行かなければならんのじやないですね。
  72. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) お示しの通りでありまして、これはこういう制度を設けただけでございまして、会社におきましてこれが非常に便利で又有利だと思えば、これを段々利用して参るという関係でございまして、そこへ廻らなければならんという関係は全然ございません。
  73. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると本法は商法の一部改正法律案の二百六十三條のいわゆる名義書換代理人の営業所、こういうものに当るわけですね。
  74. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) さようでございます。
  75. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 これは会社の代理人だから、会社から代理料を貰うのですね。それから株主からは書換の手数料を貰うということになるのですから、本人は会社ですね。
  76. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) その通りでございます。会社との契約で手数料を貰う、それから株主からは名義の書換のお金をとる、こういうことでございます。
  77. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 これは資本金百万円で代理業のために百万円の金を出すわけですか。百万円の会社であれば代理業をやつてもいいというのであるか。これだけの単独の会社を起させるつもりじやないのですか。代理業会社というものを一つそれは百万円の金でやる。こういうつもりであると、こういうことだけで儲かるものかどうか、兼業もいいのでしようか。
  78. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) 今のお尋ねの百万円以上と書きましたのは、相当の信用が必要でございますので、百万円以上の会社という資格要件にいたしたのでありまするが、勿論アメリカ等でやつておりまする信託会社とか銀行とかいうのがやるのが多いようであります。このために単独に作りましても差支えないのでありますが、多くの場合は信託会社等がやるようになるだろうと、こう考えております。このために百万円の会社を起すことを要件とするわけではございませんで、兼業が多いのではないかと勿論考えております。
  79. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 そうしますと、第六條の場合は、これだけの事業として会社を作るわけでございますね。そうして専業でできそうにもない場合には、銀行なり信託会社がやる、こういう考え方ですか。
  80. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) 第六條の、例えば或る信託会社が名儀書換代理業をやりたいというふうな場合は、第六條の規定に従いまして登録簿に登録を受ける、こういう書類を出して登録簿に登録を受けまして、その信託が名儀書換代理を営むわけでございます。
  81. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この法案は御承知の通り、商法改正の中におきまして、こういう制度を認めたがよいか悪いかということは、論議の対象に相当なつておりますので、それと関連して研究いたしたいと思います。次の商法改正法案審議の際に研究して頂くことにいたしまして、今日はこの程度にいたしましてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり。〕
  82. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ではそういうことにいたします。それから参考資料をお出し願いたいと思います。   —————————————
  83. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでは今までの上程法案質疑は後日に譲ることといたしまして、裁判所法等の一部を改正する法律案及び裁判所職員の定員に関する法律の一部を改正する法律案、両案を一括して議題に供します。前回に引続き質疑を継続いたします。
  84. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 裁判所法等の一部を改正する法律案についてでございますが、局長が見えていらつしやるのでお伺いいたしたいのでありますが、家庭裁判所少年審判係の判事さんには今までの少年審判所の審判官が何人お出ででございましようか、それから重ねて、刑事の判事、民事の判事、大体でよろしうございますが、若しその数の大体が分ればちよつとお答え願いたいと思います。正確でなくてよろしうございますから……
  85. 宇田川潤四郎

    説明員(宇田川潤四郎君) 現在の少年係の裁判官は九十一名になつておりますが、少年審判所の少年審判官から転換いたしたものは、詳しい統計は持つておりませんが、十数名あると存じております。尚他の少年係裁判官は民事関係の裁判官であつた人、刑事関係の裁判官であつた人が大体同数ぐらいではないかと存じております。必要があれば詳しく調べて御報告いたします。
  86. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 それを伺いましたということは、将来の問題でございますが、この少年係の審判官に特別任用の制度でも設けて、そうして必ずしもこのいわゆる判事として研修された方でなくても、或いは心理学者であるとか、或いは社会事業家であるとか、また子供に対する特別の技術を持つているような人々を少年審判官として、少年の判事として特別任用するというような将来にかけて御意思がございませんでしようか、どうでしようか。つまりアメリカにおきまして少年審判にレフエリーが置いてございますようなものが必要ではないかと思いまするのでございますが、その点如何でございましようか。
  87. 宇田川潤四郎

    説明員(宇田川潤四郎君) この問題につきましては各方面から種々の意見がございます。即ち法律の専門家でなくても少年係の裁判官はできるのではないか、さすれば心理学を専改し、又医学を専攻し、社会学を専攻した人が、その上に法律学を学んで少年係の裁判官になる途を開いたならばどうかというような意見が非常に多いので、少年法施行当時に只今宮城委員のおつしやつたようなレフエリーの制度も考究されたことと聞いております。さような次第でありますので、最高裁判所といたしましてもそういうような問題については研究はしておりますが、何分にも問題が非常に重大でありますので、只今この問題に関する最高裁判所の態度を申上げる程度に及んでおりません。
  88. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 それを伺いましたということは、この法案にございますこの少年調査官、少年調査官補の任用につきまして、これは従来の少年保護司とは一段高いものを追うというところに狙いを持つていらつしやるようでありますけれども、どうかして一段高いところの学識経験のある者を採用されまして、殊に先の委員会でも願いを申上げましたように、婦人の調査官及び調査官補のできるだけ数多くを採用されて、何とならば将来においては特別任用の形式によりまして婦人の人をも子供の裁判官として加えて頂きたいという希望を附加えて申上げておきます。それでこの少年調査官及び少年調査官補に関係しますところの者は公布の日から起算して三十日を経過した日からその施行をすることとしたいということでございますが、今申しましたような少し高級なものをお選びになろうといたしまするというと、三十日くらいで御準備はできましようか、如何でございましようか。 説明員(宇田川潤四郎君) 裁判所法第六十一條二の『「少年保護司」を「少年調査官」に、』切替えるのには三十日ぐらいでは短くないかというような御説でございますが、実は最高裁判所といたしましても予めこの制度の切替については著々準備をしておりますので、三十日でも何とか切替ができるものと考えております。
  89. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 その点はそれでは安心いたしました。  それから過日の委員会のときにちよつと触れました問題でございますが、少年調査官及び少年調査官補にパスを配付して頂く途は開けないかということを申しましたが、そのときに、それは優遇する意味だというふうに取られるように私の説明がございましたように思いますが、優遇する意味でもございませんけれども……寧ろこれは仕事の必要性からパスを配付いたさせなければならないのじやないかというように考えておりますので、この点は特に最高裁判所の方でお考え願つて、将来支障がございましてもこれは是非配付して、その仕事の、殊に観察、保護、同行という点につきましては全くパスがあるということは非常に仕事を滑かにして行く一つの大きい問題だろうかと思つておりますので、その点について御考慮願いたいと思つております。
  90. 宇田川潤四郎

    説明員(宇田川潤四郎君) パスの問題については、今後研究して善処いたして行きたいと思います。
  91. 小林英三

    ○小林英三君 今日は政府側はどなたがお見えになつておりますか。裁判所職員の定員に関する法律につきまして、これについてちよつとお尋ねしたいのですが、今日おいでになつている政府委員の方で御存じであるかないかということが分らないが、お聴きするのですが、この工業所有権の問題をめぐつて裁判が提起された場合において、これらの問題については、私は普通の裁判官ではこれの事件のいろいろ専門的、技術的の問題が沢山含まれておりますから、普通の裁判官だけでは、本当に適正公平な判決が下し得られないだろう、そういう意味で確か第二国会のときでありましたか、特許法或いは弁理士法等の改正のときに、当時の政府にも意見を強く要望しておきましたが、この定員の改正につきまして、或いは高等裁判所或いは地方裁判所等におきまして、特に政府が日本の再建のためには有力な発明家が出ることを希望しておるし、又それらの工業所有権者が自分の権利を擁護するために、工業所有権をめぐつての裁判をするときに、それの専門の知識を持つた裁判官を強く要望しておつたのでありますが、今回の職員の定員に関する改正につきまして、そういうことを十分にお考えになつて改正ができておるかどうかということをお伺いいたします。
  92. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今の小林君の御質問は、最高裁判所に御答弁をして頂いた方がいいと思いますが。
  93. 磯崎良譽

    説明員(磯崎良譽君) 只今小林委員からお尋ねがありましたが、お尋ねの御趣旨が、工業所有権に関する訴訟について特別裁判所を設置するようにという御趣旨でありますれば、これは又相当慎重に研究を要する問題であります。現に税法関係において特別裁判所を作るというような問題もありますが、遽かに結論も出しがたい問題だと思つております。ただ高等裁判所の中に特別部を置いて、特にその方面に詳しい裁判官を以てこれに当らしめるというふうなことにつきましては、尚研究いたしました上で、御趣旨に副うようなことができますように善処いたしたいと思います。
  94. 小林英三

    ○小林英三君 私の申上げましたのは、特別裁判所を作るということも必要でありますけれども、この問題は、工業所有権というものを保護するということが今後特許発明の奨励には必要なことは申すまでもありませんが、一度工業所有権をめぐつて事件が起きました場合において、これらに対して極めて公平な、適正な判決を下すには、裁判官自身がそういう知識がない場合におきましては、これが不可能であるというような場合が、従来もたびたびあつたのでありますが、そういうことに対して、特別にそういう教育を施した裁判官が今日すでに設置せられるという運びになつておるかどうかということについて私は質問いたしておるのであります。
  95. 磯崎良譽

    説明員(磯崎良譽君) お尋ねの御趣旨に添う程度にはまだ至つておりません。研究いたしておる程度であります。
  96. 小林英三

    ○小林英三君 これは今おいでになつておる方が法務総裁でないから、強く申上げられないのですけれども、政府は特許局を置きまして、そうして日本の発明奨励ということに対して非常に多くの費用をかけてやつておるわけであります。それから工業所有権者については今日相当の登録料というものを取つておいて、そうして一度この問題をめぐつて事件が起りました場合におきましては、果してこれらの工業所有権者が自分の権利を有効に擁護するという意味におきましては、私は従来これは長い間の日本の政府のこれらに対する弊害として、全然知識のない、抜術に対しては全然知識のない裁判官がこれに臨んでおつて、そうして代理人その他の人に教えを請うてやつておるという実際の状態なんです。日本が特許局を設けて長い間これをやつておりまして、而も今後日本が文化の上におきましては、遅れておる日本の文化を更に急速に進めて行くという上におきましては、偉大な発明家がどんどん出て来ることを希望する、一方においてはそれらの人から相当の登録料を取つて、これらを保護するための裁判官というものは何ら……何らと言うては申訳ありませんけれども、それらの専門知識のない人がこれに当るということは非常に矛盾しておるのではないかということで、私共この前の、前々国会でありましたか、強く主張しておいたのでありますけれども、未だに考慮中ということは聊か意外に思うのですが、こういう裁判所職員の定員に関する法律の一部を改正するような機会に、できるだけ早くこういう問題を真剣にお考え願いたいということを希望しておきます。この際御答弁が、本当の御答弁が頂戴できないものでありますから……
  97. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一点お伺いしておきますが、裁判所法等の一部を改正する法律案の第七十一條の二、これは勿論法文から言えば法廷外のみに限つておるようですが、法廷外の検証その他の場合においては考えていないのでありますかどうか。
  98. 野木新一

    政府委員(野木新一君) 御指摘の点は、第七十二條の一部を改正する「同條第一項の次に次の一項を加える。前條の規定は、前項の場合にこれを準用する。」ということによつて、これら準用処分によつてこれが働き得ると思つております。
  99. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 法廷以外の場合でも……
  100. 野木新一

    政府委員(野木新一君) はあ、さようでございます。
  101. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから、先達て鬼丸委員から御指摘になりましたごとく、要するに裁判所法の一部を改正する法律案といたしまして、改正されるのは第一條だけであつて、第二條以下は、他の法律を改正する、こういう、殊に弁護士法をこの法律によつて改正するというようなことについては、どうも立法形式として我々は不満足であるので、今後こういう形式を余りお採りにならないように我々としては希望いたしたい。かような点、政府のお考を伺つておきたいと思います。
  102. 野木新一

    政府委員(野木新一君) 裁判所法等の一部を改正するという題名の下におきまして、第一條、第何條といたしまして、数個の法律の一部改正に関連しておるものにつきましては、これと同じような例が大分ありますけれども、御指摘のように、いろいろ立法形式としては研究すべき点はあるだろうと思いますので、尚この点は将来研究して参りたいと思います。尚弁護士法の点につきましては、これは衆議院でも指摘されましたのでありますが、国会の立法について十分な連絡がついてないという点は、今後はそういう点は十分ないようにいたしたいと思つております。
  103. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 他に御質疑ありませんか。なければ両案に対する質疑はこれを以て終結することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ではこれを以て質疑は終了することにいたします。  直ちに両案とも討論に入ります。
  105. 松村眞一郎

    ○松村眞一郎君 裁判所法等の一部を改正する法律案施行期日の点について、附則の第一項ですが、「昭和二十五年四月一日から施行する。」と、こうあるのを、もう四月一日は経過してしまつているのでありますから、「昭和二十五年四月一日」を、「公布の日」と改めるということの修正案を提出いたします。  それから裁判所職員の定員に関する法律の一部を改正する法律案につきましても、同様に附則の第一項に、「この法律は、昭和二十五年四月一日から施行する。」という、この四月一日を公布の日ということに改めます。「昭和二十五年四月一日」を「公布の日」に改める。こういう修正であります。これも前と同じ理由で、すでに四月一日は過ぎ去つておりますのでありますから、公布の日から施行するという修正案を提出いたします。
  106. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 他に御意見もなければ、これを以て討論を終結することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ではこれを以て両案の討論を締結いたします。直ちに採決に入ります。  速記を止めて。    〔速記中止〕
  108. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 速記を始めて。  ではこれより採決をいたします。先ず裁判所法等の一部を改正する法律案につきまして、修正案を問題に供します。松村議員の御提出にかかるところの修正案に御賛成の方は挙手を願います。    〔総員挙手〕
  109. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 全会一致、修正案通り可決すべきものと決定いたします。尚修正案を除く議案全部を問題に供します。修正案を除く議案全部に御賛成の方の挙手を願います。    〔総員挙手〕
  110. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 全会一致、原案通り可決すべきものと決定いたします。  尚本会議におけるところの委員長の口頭報告の内容について、予め御了承願つて置きます。多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     松村眞一郎  宮城タマヨ     小林 英三  鈴木 安孝     鬼丸 義齊  岡部  常     松井 道夫
  111. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御署名洩れはございませんか……ないと認めます。  次に裁判所職員の定員に関する法律の一部を改正する法律案につきまして採決をいたします。  先ず松村委員提案にかかるところの修正案を問題に供ましす。修正案に御賛成の方の御挙手を願います。    〔総員の挙手〕
  112. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 全会一致、修正案通り可決すべきものと決定いたします。尚修正案を除く本法案全部を問題に供します。本案全部について御賛成の方は御挙手を願います。    〔総員挙手〕
  113. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 全会一致、原案通り可決すべきものと決定いたします。  尚本会議におけるところの委員長の口頭報告の内容については、予め御了承願つて置きます。多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     松村眞一郎  宮城タマヨ     小林 英三  鈴木 安孝     鬼丸 義齊  岡部  常     松井 道夫
  114. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御署名洩れはございませんか……ないと認めます。  では本日はこれを以て散会いたします。    午後三時五十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     伊藤  修君    理事            鬼丸 義齊君            岡部  常君            宮城タマヨ君    委員            大野 幸一君            大畠農夫雄君            小林 英三君            鈴木 安孝君            松井 道夫君            松村眞一郎君            羽仁 五郎君   政府委員    大蔵事務官    (理財局長)  伊原  隆君    法務政務次官  牧野 寛索君    検     事    (法制意見総務    室第四局長)  野木 新一君    検     事    (民事局長)  村上 朝一君    検     事    (中央厚生保護    委員事務局    長)      齋藤 三郎君    検     事    (中央厚生保護    委員事務局少    年部長)    池田 浩三君    法務府事務官    (中央厚生保護    委員事務局総    務部長)    鈴木 憲三君   説明員    最高裁判所長官    代理者    (事務総局総務    局第二課長)  磯崎 良譽君    最高裁判所長官    代理者    (事務総局家庭    局長)    宇田川潤四郎君