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1950-03-18 第7回国会 参議院 法務委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月十八日(土曜日)    午前十時五十八分開会   —————————————   本日の会議に付した事件検察及び裁判運営等に関する調査  の件(五井産業事件)  (右件に関し証人証言あり)   —————————————
  2. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それではこれより法務委員会を開きます。検察及び裁判運営等に関する調査で、本日は五井産業事件に関するところ調査について証人訊問することにいたします。
  3. 遠山丙市

    遠山丙市君 証人を御喚問になつておりますので、この事件進行の上において誠に重要なことであると考えておりますので、二、三点委員長さんにお尋ね申して置きたいのであります。  大体こういうような問題の取上げの形でありますが、今までの取上げ方の方法としましては、先ずこれが法務委員会に取上げらるべきものかどうか、どの委員会でこういうことはやるべきものかどうかというようなことは、第一といたしまして、議院運営委員会にかけて、そして決定をし、而して法務委員会で取上げるべきものであるということになつて法務委員会に廻つて来るという形でありまするが、そういう形をお取りになつたかどうかという点が第一であります。  第二点は大体法務委員会でやるといたしまするというと、その前日か若しくは当日でも委員会を開く前に理事会並びに委員長連合会というものを開きまして、その上でこの事件内容説明委員長がせられまして、そしてこういう内容であつて国民疑惑を招くことが誠に多いのであるから、如何にすべきかというようなことで議事を進められまして、理事会意見は多数によつて決定をし、而ういたしまして、又理事会等においてはこの問題を取上げるといたしますと、これを明白にするがために証人として誰々々を喚ぶのが至当である。その証人を喚ぶ理由はこういう点を明らかにするためであるというようなことで証人の名前、それから訊問事項というようなことも大体委員長から申上げられて、理事会意見のまとまつたところで、これは呼ぶということになつて、而ういたしましてこれが決定をいわゆる委員会に持越しまして委員会において、これに対して討論もありましようが、いずれにいたしましても多数によつて決定をして進んで行くというのが私は普通の取扱方であるとこう考えている。それが至当であると思つているのであります。然るにこの理事会等においては、前日若しくは当日においても委員会を開く前に具体的に委員長から何らのこの点についての表示がなかつた意思の表現がなくここへ持つて来ているというような点は少しく異例に属していると考えておりまするが、これは何か理事会等を開いて詳細に御研究になり、そうしてそれにまとまつた意見委員会に持込むのに時間を要する、而してこれは急速を要する事案であるからというので、特にこういうような簡便な取扱方をやられたものであるかどうかという点が第二点として承つて置きたいのであります。而うしまして本件委員会等において多数で以て押切られて取上げられたのでありますけれども、これが取上げになりまするというと、少くとも委員というものはこの調査内容というものに対しては可なり了承していなければ、この事件審理証人喚問いたしましても、どういう点が一体事案になつているものか、どういう内容のことが一番詳しく知つておらなければならんかというようなことがどの委員もどの理事も殆んど何も知らん、全然知らんでこれは殆んど拔打ち的にこういうようなことを敢てせられる意図は奈辺にあるのかどうかということも第三点として承つて置きたいのであります。我々といたしましては、この問題が社会一つ疑惑を招き、証人も宣誓の上でしつかりと真実に即したる証言をして貰い……。    〔小林英三発言の許可を求む〕
  4. 小林英三

    小林英三君 ちよつと発言中ですが、遠山君から相当の発言があるようでありますから、一時証人を別室に控えさして頂きたいと思います。
  5. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 長いですね。
  6. 小林英三

    小林英三君 長いと思いますから……。
  7. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでは恐れ入りますが……。    〔証人宗像三郎君退席〕
  8. 遠山丙市

    遠山丙市君 この問題の内容を私は各委員が十分に了承した上で、疑点の点はどの点とどの点である、この点はこの書類によつて委員報告によつて明白になつた、この疑点とこの疑点についてはどういう証人をどういうような方面から調べて行けば明白になるでおろうというようなる点をお互い各委員了承しておるにあらざれば、事件真相を把握し難いと私は考えておるのであります。ところ理事も然り、委員全体が本問題について殆んど了承していないというようなること、かくしてこの問題はそれまで委員長さんだけはよく御調査になつてつて、御訊問をなさるでありましよう、そうして真相を掴むのに御努力なさるでありましようが、委員というものはここに出て来ました証人証言というものを聞いた上で何かそこに食違いがあるな、この点がどうも合点がいかんなというところで補足的にちよいちよいと突つくというようなことであつては、私は全く事実が明瞭には相成らんものである、こういう工合に考えておるのであります。或いは委員長さんの方で本問題は祕密を要し、そうしてこれが外部にそういうようなことが漏れるとか、若しくは事前にいろいろなことを知るということが偏つた、いわゆる偏頗なる頭によつて事件審理をして行くということは不都合であるいうお考えの下、御意図の下においてそういうような簡便法をとられたのではないかと私考えておるのでありまするが、これは誠に以てそういうようなる御見解でありますると、以ての外のことでありまして、この問題は私達の耳にいたすところを以ていたしますれば、これは御承知のように先般の証人の御喚問によつても明瞭でありましたが、事件はまだいわゆる刑事訴訟法上の捜査段階である。そうしてどの証人も、或いは前の証人のようにいわゆる捜査段階にあつて、職務上知り得たること、いわゆるこれについて公表を憚かる意味において誠に逡巡をしておられるというような点が見受けられるのである。我々といたしましても、そういうことを恐れまして、前回の委員会においては今は事犯の内容というものはまだ捜査段階、而も序の口に過ぎないのである。最も密行的に、そうして祕密のうちに、そうしてどんどんと事件進行して公判に廻すか否かを決定し、もう廻つたのもありますけれども、公判に行きましても敗れざる資料の蒐集ということに捜査当局は努力を拂つておるというときにおいて、これが横合いからこの委員会がこれを採用して進んで行くということについては、如何かと言つて私は採用方についての反対の意見も述べたのでありまするが、多数を以て押切られた。押切られたのでありまするから、多数の意見には従うのでありまするけれどもが、従うといたしましても、前述いたしましたように本件内容は殆どメモというようなものもわしらの方に廻つて来ない。私は前日も委員会が終りましたときに、速かに知らして貰いたいのだ、こういうような内容は若干でも知つておらんと、どの点を衝いていいか、どの点を外していいか分らんと言つたにも拘わらず、どの委員にも今日まで未だ何らの御報告も、又何らの内容の告知もないというようなことは、或いは公明なる今までの委員長さんの御事績に鑑みまして私は何か御意図でもあるじやないか、こういう工合に考えておるのであります。誠に僭越な言葉を申上げて恐縮でございまするが、この点については委員長さんといたしまして十分なる釈明をして頂きたい。これが明瞭に相成りましたる上においてどんどんと証人証言、これを記録にとりまして我々最後の断案に入りたいと、こう考えておるのでありまするから、どうしても先決要件でありまする以上の諸点について納得の行くようなる御説明を承つて本日の証人喚問に入りたいと考えておるのであります。以上。
  9. 大野幸一

    大野幸一君 どうもしばしば遠山委員から証人調べを前において発言があるようでありまするが、すでに遠山委員の言われたような点は、当初理事会において討議された結果、十分なる考慮の上において進行をされた。証人喚問はすでに委員会において委員長に一任されております。私は議事を直ちに進行されることを希望いたします。
  10. 小林英三

    小林英三君 今のは大野君に聽いているのではないと思う。遠山君は委員長に聽いておるのですから、委員長に……。
  11. 遠山丙市

    遠山丙市君 只今大野君のすべてのことは委員長に一任しており、それが委員会決定しておるから、その順序によつて進んで行くということは、これは至当なことであると仰せになつたのであります。但し本委員会のそういう工合にすべてこう無理に押切つて委員長に一任し、そうして多数でやつて来たという点、この点について多数でもう決まりましたことでありますから、この点にかれこれ言うのでありませんが、とにかく私が今申上げたようなことは、これは苟くも本件に関しまして重大な事件でありますので、委員長さんからいわゆる釈明があつたとて、敢て私は議事の引延しをやつておるというようなことではない。大野委員からしばしばというようなお言葉を頂戴したのでありますが、しばしばではありません。これで二回であります。
  12. 大野幸一

    大野幸一君 三回であります。(笑声)
  13. 遠山丙市

    遠山丙市君 でありまするので、そう横槍が入りますと議事が遅れるようなことになりますので、速かに委員長さんから御報告願つて置く次第であります。
  14. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ではお答えいたします。本件につきましては私がくどくど御説明申上げるまでもなく、衆議院におきましてこれこそしばしば発言がありまして、法務委員会におきましては、本件に対しまして調査進行したい旨を申出でられて、これが遂に否決になり、或いは考査委員会におきましてこれが調査要求がありましてこれ亦否決になり、その他予算委員会等におきまして質疑が相当繰返されてはおるのでありますが、何故か衆議院におきまして本件に対するところ調査が阻まれたのでありますが、本来かような問題に対しまして、いわゆる国民代表者が疑義がありと信じこれを明らかにすることは、正に国会が国民に対する責任を果す意味においてなさるべきものであるというような趣旨においてこれが要求をされたのに拘わらず、これが不幸にして阻まれたということに対しましては、国民といたしましては、ますますこれに対して疑惑を深からしむる一途を辿るのみであると私は考えます。かような場合におきましては、参議院といたしましては、正にその制度の上から申しましても、これをとつて以て国民の前に、かような疑惑に対しそれがあるかないかということを明らかにするということは、参議院本来の使命からいたしましても当然なさなくちやならんとかように考えておる次第であります。たまたま一委員より委員会にこれが調査要求がありましてそれは三月の十三日でありましたが、直ちに理事会を開きまして、理事会におきまして理事諸君に本案に対するところ調査をなすべきや否やという点をお諮りいたしましたところが、満場一致只今委員長において釈明申上げましたごとき趣旨において、これは当委員会において取上げ調査すべきものである、かように御決定を見た次第であります。遠山さんの理事会において諮らなかつたとかどうとかというような御趣旨は何かの御間違いであるとかように考えます。然る後委員会理事会決定をお諮りいたしましてそうして委員会におきましては、大多数を以ちまして本件調査するという御決定をお願いいたした次第であります。而してこれが進行方法につきましては従来の当委員会において執り行われて来たところ一つの慣例に基きまして、この証人喚問人選等につきましては委員長に御一任を願いました次第でありまして、委員長はその都度理事会にこれをお諮りいたしまして、そうして御協力を得てこの人選をして、喚問手続を行なつて行きたいとかように考えておる次第であります。又さようにして参つたのであります。第一回の証人としてお喚びした人は御承知通りでありまして、それが今日執り行われておるのであります。  第二点の御質疑は御承知通りこれがなぜ調査要求を出してしなかつたかという御質問でありますが、これは遠山さんも十分御了承のことと存じまして、釈迦に説法のような次第でありますが、当委員会検察及び裁判運営に関する調査というものを継続して今日まで行なつて参つた。それに対するところ調査各種事件につきましては、今日までしばしば一つ一つ報告して参つたのであります。その一環としてこの事件が取上げられておるのでありまして、議運にこれを諮り、そうして本会議において、若しくは議長の承認を得てなされなくちやならんという事案ではないのであります。いわゆる当委員会において検察及び、裁判運営に関する調査のその一事項として行われておるのであります。従つて議運やなんかに諮るところの必要はないのであります。又検察及び裁判運営に関する調査としてこの事件を取上げたゆえんのものは、これは御説明するまでもなく十分御了承のこととは存じますが、現在の日本検察運営におきまして捜査ということがこれは大きな事態であつて検察運営の中心をなすものは捜査である。而してその捜査は従来の検察官捜査というものと離れて、別個に独立して、いわゆる警察官捜査権自主性を持つた今日の法制の上におきましては、我々司法に携わる者といたしましては、この検察官に代つて新らしい法律の下において捜査の主たる権限を持つところ警察官捜査というものに対しましても、我我としては重大なる関心を持たなくちやならんと思うのです。殊に全国の師表たるところの警視庁の捜査というものは、あまねく日本全国警察官に対するところ一つの模範ともなるべきものでなくちやならんと思うのです。この官庁におきまして或る事件に対していろいろの揉消し運動がされたとか、或いはその事件取扱に対しまして金品その他の授受の関係がなされて、その結果不当にその捜査方法が曲げられたというような疑惑があるといたしますれば、我々としてはこれを黙視することはできないのであります。検察裁判運営に対して正しい行き方を我々は常に支持しておる立場からいたしましても、これを軽々に黙過することは許されないと思うのです。正に我々としてこれを調査するの必要は十分あり得るものと考えられます。又それに附随いたしまして、これらの捜査機関を構成する官庁内におけるところの、いろいろな忌わしいところの不評なり、或いはそういう批評なりというものに対してその真僞を確かめるということも、正に当然なされなくもやならないと思うのです。而うしてこれらの捜査機関に対しまして事実の真僞は別といたしまして、いわゆる追放者と称せられるような人が或る種の政治圧力をかけて、そうしてこれらの捜査機関を曲げしむるということに至りましては、断じて許すことはできないと思います。これらの真否を又糺すことも、当委員会職責として当然なさるべきことであると思います。それが又一般政界方面の、或る有力者から関係者金品の贈與によつてそういう行動が行われたといたしますれば、これ又国家の国政の上から見ましても軽視することはできない問題ではなかろうかと存じます。これらの一環の繋がりを我々は事実を明らかにして、そうして検察裁判運営の正しき方途を示唆するということは、我々が今日まで二年有余行なつて来たところ調査の目的であり、又使命であると考えてこの問題を取上げた次第であります。  それから第三点の証人取扱及び調書その他の資料取扱でありますが、これは遠山さんも十分御了承のことと存じますが、他の在外同胞調査会であるとか、或いはその他の労働においてなされるところ調査というものとは性質が非常に異るのでありまして、苟くも我々はこういう事案に対してその真僞を明らかにするために調査を行なつて行く上におきましては、相当機微に属する事項もあり得るのです。従つて資料を各委員の方に事前に配付し得るものと得ないものとありましよう。こういう点は一つ委員長取扱にお委せ願つて今日まで運行されて来たのであります。若し委員各位がその内容を御了承されたいという御意思の方は、進んで專門員室に備付けてあるところの一連の書類を御一読願いますれば、只今遠山さんの御疑問になるような内容は十分御了承願えることと存じます。勿論この書類は或る段階に参りますれば、皆様のお手許へ御配付する時機もあり得ることと存じますが、いわゆる調査進行の過程におきまして、これを一般に流すという場合と、この記録を御一覧願うという場合とあり得ることはこれ又今日までの取扱の上において当然なされて来たところであります。そういうような点を考え合せまして、一々これを一つ一つ皆様へお渡しするということは或いは御指摘のように、これが機密が漏れるという点を委員長が懸念してというようなお説がありますけれども、我々はそういうふうには考えておりません。賢明なる各位がこの調査を阻害するというようには考えておりません。又各位がこれを漏洩するとも考えておりません。若しそういうようなことがありますれば各位職責上の責任というものは当然負われることでありますから、さような不信の下において皆様手許へこの調査資料をお渡ししないとこういう意味じやありませんです。ですから調査進行の上におきまして便宜そういう取扱をいたしておる次第でありまして、若しお説のごとく内容を十分御了承願いたいというような御趣旨ならば專門員室にお出で下さいましてこの記録を御一覧下さいまして、お分りにならん点は調査員に御釈明を願うというふうなことによつて十分遠山さんの御趣旨は通ることと存じますから、決して委員長においてこれを殊更阻んでおるというのではありません。  尚誰を証人に喚ぶかという問題、それから証人訊問事項というような問題に対しましては、これは法律家である遠山さんにおいては十分御了承のことと存じますが、この事案が我々の手許参つたのは、十三日に取上げるということが決定いたされた次第であります。委員長といたしましても、その内容の盡くを知つておるわけではありません。端的に申しますなれば、新聞、雑誌その他において、或いは衆議院においての発言、そういうものの知識程度のものでありまして、この全貌を知るということは到底不可能なことであります。従つて先ず以て理事会におきましては、この事案基礎をなすところの母体とも称すべき証人三人を喚問いたしまして、そうして事件の大体のアウト・ラインを掴む、こういうことに先ず基礎が置かれたのであります。この証人喚問証言を得た後におきまして目下取寄せを要求してあるところの或る種の書類が日ならずして委員会に到達すると存じます。これらを総合いたしまして、その上におきまして今後におけるところの何人、誰々証人に喚ぶということを決定をいたしたいとかように考えておる次第であります。今日の程度におきましては誰と誰を喚ぶとか、どれだけを喚ぶとかいうようなことは分かつていない次第であります。簡單にお答えいたして置きます。
  15. 遠山丙市

    遠山丙市君 私の質問に対して詳細御答弁になつたのでありますが、少しく明瞭を欠く点、私が発言をいたしまして根本的に憂慮に堪えないと思つておる点を補足的に申上げて御答弁を願えば結構であると考えておるのであります。本件法務委員会に取上げられたその経緯、いわゆる理事会の問題でありまするが、私は一理事に承わるところによりますると、そんな詳細なことの何も話もなかつたということであります。今日もその理事の人は御出席になつておりまするが、委員長は何か非常に詳細に御説明になつて了承を得て、理事会満場一致可決確定を見て委員会にお廻しになつたと言われるが、それはまあこの御説明のとにかく内容というものがどの程度詳しいか、詳しくないかということは問題でありますけれども、今のような詳細な御説明は恐らくなかつたのではないか知らんとも考えておりまするが、その点は如何でありましようか。第二の点で、議運の方にかけなかつたということが本委員会一つの特色であるかのごとき御説明願つたのでありますけれどもが、これは最も大きい事件でありまして、私はこれはやはりこういう問題は議運に廻す、これが当然である、而して議運からこちらの方でやれと言つてつて来るという愼重な態度を取られたからといつて少しも差支ないものであると考えておりますけれども、この点は如何という問題であります。勿論この法務委員会は過去約二年有半に亘りまして幾多の事件調査研究し、そうしてこの法務委員会の在り方、それからこれが検察当局及び裁判運営においても相当なるよい方に導かしておるというような点は万人盡く認めるところでありまするが、ただ惜しむらくは過去においても浦和の子供殺し事件等によつて或いはこの参議院法務委員会として行過ぎじやないか、憲法違反にあらずやというような問題も幾多議論をせられておつたというようなことがあるのでありまして、これがために相当な権威者からも行過ぎじやないかというような非常に長つたらしい抗議文のようなものも出ておつたと記憶しておりますので、非常に委員長といたしましては御注意あつて然るべきものであると私は考え、最も愼重にやらなくちやならんと考えておるのでありまするが、その挙に出でないように私は考えておつたのを遺憾といたしておるのであります。それから私は自由党に所属しておるもんでありますが、この自由党三名は、これは割当の関係上でありましたか、理事というのは出ておりませんから(「社会党も出ておらん」と呼ぶ者あり)殆んど私の方は何しておりませんが、これは形の上でありますからかれこれ言うわけではないのでありますが、何といいましても私は賢明なる委員長といたしましては聊かその早きに逸する御行動を、敏速は結構でありますが、取られたように私は考えておる。又理事並びに委員も十分に納得しなかつたうちにこういう工合に開かれて来る、形の上では多数決でありますから止むを得ませんが、やはり納得政治の上から時機を早まられたのではないかとも考えておる次第であります。私はこの問題が社会に及ぼすこと誠に大きいと考え、而も証人は事細やかに知つておる限りをここで言つて頂くよう私は先般も追及したのでありまして、何も糞隠しに隠すということは、これはいずれ明瞭になるのでありますからいかん。もうどんどんと言われて成る程そういうことがあつたのか、それはこうだということは、やはり国民全般の御批判に俟つということは私は委員長と同意見でありますが、ただ以上申上げました通りに、理事も出しておらんというようなことは誠に遺憾千万ではありましたけれどもが、とにかく誠に極めて簡單なる御報告でもなかつたかと私は考えております。或る理事はそう言つておるのであります。そういうような点から見まして、どうも私は納得行かんので、重ねてお尋ねをいたした次第であります。  それから次に私がお尋ねを申上げたいと思います点でありますが、調査要求書でありますが、これは私が專門員の室に行つて覗いて見ましたところによりますと、衆議院考査特別委員長宛にお出しになつた文書をそのまま聊かも御訂正にならんままで、宛名が変つておる。日にちが変つておるという程度で、突出して来ておるのでありますが、そういう点でありまするが、苟くもこれを衆議院で片付けてしまつた、取上げなかつたということは疑惑を招くというお説はあつたのでありますけれども、苟くも一院においてそういう取止げざる意思を表現されたものといたしますると、尚私は重大な問題であると思う。向うが取上げないから俺の方で意地でも取上げてやろう、これを片付けてやろうという、そういうようなお気持はさらさらございませんとは思いますけれども、そういうふうに、向う一院のいわゆる多数の意思で以てこれが却下の形になつておるといたしますと尚更のこと、一院ではこうなつておるけれども、こういうこともよく調査になり、而うし参議院法務委員会としてはどうしてもこれは諸君の賢明なる判断に訴えて取上ける取上げざるを決めなければならん、それにはこうだと言つてよく御報告にならなければならないと思うのであります。委員から恐らくこういうような祕密事項が漏れることはさらさらないと委員長さんが言明せられておるところを以てしても、どうしてもそうあるべきであつたと考えておるのでありますが、そういう点から見ましても委員長さんに似合わざる軽い取扱をせられたということは遺憾に考えておる次第であります。それから只今委員長さんの御報告の中に、一委員より取上げ方の要求があつたと仰せになりましたが、一委員とは何党に属する誰でありますか。その取上げねばならんようになつたその一委員からは詳細に委員長さんに御報告があつたと考えておるのでありまするが、その取上げる要求をせられましたるその詳細な御説明の理由と、何人がこういうことを引担いで来て、そうして御説明を願つたか。この点も我々は進行の上に承つて置く必要があると思いますので、併せて承つて置きたいと思います。
  16. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お答えいたします。第一点の理事会の詳細な、只今私が申上げましたような趣旨のお話があつたかどうかというお話でありますが、勿論只今申上げましたような詳しいお話を申上げた覚えはありません。併し賢明なる理事諸君でありますから、そのアウト・ラインだけを申上げますれば、十分事件如何に重大なものであるか、又国会としてこれが調査をなさなくてはならんというような御判定は得られるという、御判定を得られるだけの発言は申上げて置いた次第であります。それの結果御判定を頂いて理事会の御決定を願つた次第であります。理事会の日にちは先程十三日と申上げましたが、三日でありましたことを御訂正申上げて置きます。それから運営委員会の問題でありますが、これは先程も申上げました通り、先に当委員会検察及び裁判運営に関する調査ということが運営委員会において承認されております。この調査の対象として取上げるところ事案というものは、その都度委員会においてこれを決定して、どの事案を取上げるかということを決定して参つた次第であります。勿論今日この調査会におきまして取上げておるものは司法制度に関する調査、青少年犯罪に関する調査及び刑事訴訟法に関する調査、こういうものもこの一環として取上げておる次第でありまして、この事件のみを運営委員会に取外して持つて行かなければならんとは考えておりません。殊に先程申上げました通り、正にこの事件の中心をなすものは、捜査の全体に対するところの大きな問題であるという意味におきましては、当委員会調査としてその対象となることは当然のことでありまして、お説の通り殊更運営委員会に持出すというふうには私は考えておりません。どうも遠山さんの先程からのお話を伺つておりますと、何か官界方面に贈賄したという点を非常に神経過敏にしていらつしやるようでありますが、こういう点が調査の目的でない。附随して勿論そういうものは出て参るでしようけれども、そういう金がばら撒かれて調査が曲げられたということがあるか、どうかということが、勿論調査の対象になつて参りましようが、そういうことに余り重きをお置きにならずに、我々の主たる使命を達成するという点に一つ御協力を願いたいと思います。  第三点は一委員とは社会党の大野幸一君の発言がありました。委員会への発言がありまして、それを理事会において協議いたしまして、その結果委員会に諮つて決定を願つた次第であります。以上お答えいたします。
  17. 遠山丙市

    遠山丙市君 最後にちよつと簡單に、御説明願つたのでありますが、私は何も本件の中で、官界方面にどのように金が撒かれて、それが如何なる結末を告げておるかどうかということについて、聊かも神経過敏にも何にもなつておりません。勿論そういうことこそ綺麗になさつて頂いて、そうして根こそぎにこれを明瞭にして貰うということ、これは政党の問題ではありません。日本の政治全体の運営の上にも、向上の上にも、又国会というものに対しまする国民の信頼感の上にも必要でありますので、神経過敏というような点で御心配のようでありまするが、その点は聊かも心配はないのでありまして、御安心を願つて置きます。そういうような非常なる御意図の下に本件を進めて行くという壮烈なる御決心には(笑声)私共敬服いたしておるのでありますが、私はこの点について御注意を申上げて置きたい。委員長は曾て集団暴力に対しまするところの法案を作らなければならんというので、委員全国に派遣し、沢山の費用を使つてこれが全部資料がまとまつて来た。非常に努力を拂つて委員もくたくたになるくらいこれが調査研究をいたした。いよいよ結論ができ條文が全部でき上つて来たのでありますが、これも何党か知りませんけれどもが、わんわんわんわんと横槍が入つて来て、突如としてこれもどこかに消え失せたというようなことに現実になつておる。でありまするから、本件等については委員長さんの御意思ではなかつた。この集団暴力も御意思ではなかつたが、或る種の牽制によつて倒れたということもありまするので、我々は決して自由党に所属しておるからといつてかれこれ申しません。明らかになるということは、これはもう望ましいことでありまするので、本件につきましても途中で腰折れることなく、徹底的に御調査を願い、そうしてありのままの公表を委員会でも決議して決めまして、そうしまして国民疑惑を解かれるよう、念のため失礼をも顧みず申添えた次第であります。
  18. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 遠山さんの只今の御激励のお言葉に対しましては、厚く感謝申上げます。ただ一言お答え申上げて置きたいことは、本件には関係ありませんが、例の集団暴力に関する法律におきましては、決して横槍が入つたからうやむやになつたという事実はありませんです。御承知通り、小委員会におきまして御決定願いました法案を結論といたしまして、そうしてあの調査報告を、千枚近くも調査報告を提出いたしておるのであります。これは不日印刷になりまして、お手許へ皆各議員の方に配付されることと存じますが、それによつて例の問題は我我の成果を得たのであります。得たところのその結果を、各議員のお方が正しいものである、正に然るべきであるという御意図が盛り上つて参りますれば、これは必ずや一つ法律として現われるものと存じます。我々の調査の目的は如何に横槍が入りましても、その目的だけは貫徹して、職務は遂行したということだけは御了承願つて置きたいと思う。決して途中で腰折りをしたわけではないのですから、その点だけは誤解のないようにお願いをして置きます。
  19. 小林英三

    小林英三君 今の遠山君の委員長に対する御質問の中で、ちよつと委員長の御答弁を聽き漏らしたのでありますが、委員長本件調査の詳しいことについては、專門員室に備付けてある帳簿があるからして、それを見て来ればいいというお話を承つたんでありますが、大体これは何ですか、本件の概要につきましては、プリントか何か添えまして、委員会にもお配りになつたんでしようが、私は実は不幸にして前回から初めて本委員会に属して参つたんでありますけれども、外の委員の方に聞くところによりますと、本件の概要についてそれは詳しいことは專門員室へ行けば大体分るでしよう、大体の概要というものを委員会にお配りになつたんでありましようか。それがただ勝手に專門員室で調べるということでなしに、証人訊問して、証人にどういうことを訊いたらいいかという全体の全貌を押えて置くことは、極めて必要なことだろうと思うのでありますけれども、これを何ら委員会にお配りになつていない。先程の御答弁のような内容によつて本件進行して行こうというように私は承つたんですけれども、何ですか、この全貌についての印刷物を十分に委員会にお配りになつて、その上に御審議になつて、この証人訊問その他の問題を取上げられたのでしようか。その点についてお聞きして置きます。
  20. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これは概要と申上げましたところが、概要はいわゆる新聞に出ている程度のものでありまして、衆議院において質問されておる程度のものでありまして、我々としてはその程度以上のものは分りません。それがあるかないかということを調査をして行くわけでありまして、概要の点について、まだこれが正しいものであるという決定は勿論我々として把握しておりませんし、いろいろな資料を集めて、その中から抽出して、どこに真実があるかということを、我々は発見したい、かように努めておるわけです。それで先程申上げました通り、どうかさようの段階でありますから、まだ基礎的の調査に過ぎないのであります、今日の状態では……。だから皆さんに確定的な書類として御配付する自信は持つておりませんから、それで調査資料として集まつておるものは散逸を恐れるために專門員室に備えてありますから、委員各位は十分御研究を願つて委員各位の信ずる面を、又疑問とする面を、十分お調べ願えば足ると考えます、今日の段階におきましては……。
  21. 小林英三

    小林英三君 ちよつと今の委員長のお言葉を聽きますと、この委員会は特別な司法関係委員会でありますから、委員諸君は恐らく專門家が沢山おいでになる。殆んど全部專門家かも知れませんけれども、私は不幸にしてその專門家じやないのでありまして、私の申上げることが甚だどうも、他の委員がお聞きになりますと、素人臭いことを言つておると思召されるかも知れません。併し私は苟くも一つ事件を取上げて、そうしてこの委員会において研究する、或いは証人訊問するというような場合におきましては、その事件の概要というものは、先ず委員会にプリントで刷つてそしてこの問題はこういうことになつているんだ、新聞はこれは別問題であります。委員会として取上げる以上は、新聞によつて我々がどうこうするのじやないのであります。こういう專門の委員会があります。以上は、例えばこういう問題についてはこういうような内容になつておる、真偽は分らない、併しこういうような概要になつているのであつて、我々としてこの点を取上げてこうしようではないかということを、委員会に十分に諮つて納得の上でこれをやつて行くということでなければならんと私は考えるのでありますが、先ずその点について委員長はどういうお考えでいらつしやいましようか。
  22. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 勿論本日の証人調査ができますれば、その後のアウト・ラインをまとめて、その内容はお示しするつもりでおりますし、今日の段階においては皆さんにこれがいわゆる正しい概要であるというふうに申上げるわけに参りませんです。
  23. 小林英三

    小林英三君 それから尚私はこの前、前回の委員会、これは本日は証人訊問しておる重大な時期でございまして、私はこういう質問をいたしますということは遠慮いたしたいと思つたのでありますけれども、併しよく考えて見ますと、これは神聖な委員会を構成する意味におきましても、私はこの前に御質問申上げて置いて、丁度証人訊問進行中でありましたので、差控えたのでありますけれども、これは今後法務委員会の、この委員会の将来のためにも、これは委員長に十分に承つて置きたいと思う。それは前回のこの委員会におきまして「陰謀の走狗警視庁を民衆の手で粛正せよ」大見出しといたしましては「昭電事件、味の素事件、繊維事件、○○事件、○○事件は何故ほうむり去られ又さられようとしているか?あらゆる不正の取締を行うべき警視庁が追放特高ボスの伏魔殿と化している。増田官房長官の私兵となり、自由党宮廷派(官僚派)のドル箱をつとめているからだ。」こういう大見出しによりまして、ずつといろいろな経路を書いた一つのポスターと申しますか、パンフレットと申しますか、ただ私がこの前委員長に、何故委員長は自分みずからこれを読んで納得されて、そうしてこういう神聖な委員会にお配りになつたか、委員長は不謹愼じやないか、こういうことを私は委員長質問申上げたのでありますが、委員長は、こういうものは参考になるから皆さんにお配りしたんだ……。或る委員の方は、法務委員会としては小林君は初めてであるので、知らないのであろう。こういうようなものは従来たびたび委員会に配られておるというようなことを御注意をされている委員もあつたのでありますが、私は今ここでこういう重要な事件を審議しておる最中に、而も証人を審問して十分に我々がこれを探究しようという際におきまして、こういう一方附いた結論を出しておるようなもの、而もこれは、我々が従来委員会においていろいろな資料を頂戴しておりますけれども、大体これは数字なんか並べてありますものは、それは出所はなくたつて参資料として頂戴しておりますが、これは何も出所がない。責任者は何も書いてない。むしろ私はこういうようなビラというものは、これは一種の怪文書に等しいものである。むしろ怪文書と称すべきもんだろうと思う。この怪文書とも称すべきものを委員長はこれを御覧になつて、何故こういう神聖な法務委員会の席上に自分から配らされるか。委員長が御承知の上に配らされたということでありますが、何故にこういうものを配らされたのであるか。それじや配つたのが惡ければ取上げればいいじやないかとおつしやるけれども、私は神聖な委員会における委員長ともあるものが、こういう怪文書とも称すべきものを、どういう意図を持つてこれを委員会に配らされたかということを、聽きたいのであります。これを取上げれば済むんじやない。私は今後の司法委員会運営の上におきまして、委員長ともあるべきものがこういう怪文書を御承知の上で係の者に配らされたというこの意図です。而もこの問題は、今度の問題というものは、新聞紙上におきましても、いろんな噂をしておる問題です。某政党が某政党を堕とすためにやろうという陰謀じやないかというようなことも伝えられているのです。その際におきましてこういうような怪文書とも称すべきものを、委員長委員会に配らされた、この私は委員長のとられた行動を聞いているのです。それが果していいか惡いか。取上げればいいんじやない。配つたその意図をお聞きしているのです。又こういうことはいいか惡いか、今後の司法委員会の公正なる運用の上においていいか。そう簡單には私はこの前のように片付けられるべき問題じやないと思う。私はこの前は証人訊問中でありましたので、途中でありましたので御遠慮申上げて、ゆつくりと後でこの問題について承わりたいと、こう思いまして、私は本日承わるのでありますが、私はこの問題についてはつきりした委員長の御意図、並びに今後の方針、これがよかつたか惡かつたか、或いはこれは差支ないのだ、自分はいいと思つているのだ、未だにいいと思つているのだということをはつきりと承わりたいと思います。
  24. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御答えいたします。それは前回に大体お答えしております。重ねて今日お尋ねなりましたので、前回の御答弁で足ると存じますが、尚附加えて申上げて置きます。大体この一つ事案を審議する場合におきまして、当委員会におけるところの審議というものは、多少司法的な性質を帶びておる。勿論司法とは申しません。司法的な性質を帶びておる。そういう場合におきまして、或る証拠というものが、或る参考資料が、たとえ路傍に落ちておりましても、それがとつて以て、本件調査する資料に値いするものであるという場合におきましては、委員長はそれが路傍に撒布されておるものでも、これを取上げて、そうして資料に供するということはあり得ることであります。殊に国会におけるところの、この種の国政調査権の発動というものは、国民が或る意味におけるところ検察官である。国民がこういうことがあるという不利益な、いわゆる当事者に対しては不利益なことを提示された場合におきましては、それを一つ資料として、そういうことがあるかないかということを、国民に代つて我々がこれを調査し、その結果を発表し、行政官庁に対し或る示唆を與え、勧告し、処置を促すということは、正に憲法六十二條によるところの国政調査権の目的であり、手段方法であると思うのであります。従つてその調査を遂行する上において必要なりと信ずるところのものは、その如何を問わず、これを資料として採つて委員各位に配付することを可と信じた場合においては、これを配付するということは、私は今日においても差支ない、又必要であると、かように信じております。従つて例えばここに「真相」もあります。これもお説のあれから申しますれば、署名こそありますけれども、これも当事者に対しては不利益なことでしよう。新聞記事も大体において不利益でしよう。併しこの不利益な各種の国民の訴え、検察官の声というものが国民検察官の声というものが、果して正しいのかどうかということを、我々は公正なる見地におきまして判断することが当委員会職責である。だから片方の言うことを耳を覆うて見ないという、そういう偏狭のものであつてはならんと思います。凡そものを判断する場合におきましては、善惡を問わず、その利益、不利益に我々は耳を傾けず、公正にこれを取上げて、そうしてすべてこれを判断の資料に供して、而して結果を得るというふうに、我々は導きたいと思うのであります。当委員会におきましては、今日までそういうふうな方向に持つて参つたのであります。只今小林委員のお説の資料取扱方は、他の委員会におけるところの政府提案の数字の資料とか、ああいうような普通の常例の場合を御指摘になつておりまして、法務委員会におけるところ資料蒐集の場合とはおのずからその趣きを異にするのでありますから、その点を御了承願つて置きたいと思います。
  25. 小林英三

    小林英三君 私の今聞いておりますのは、これは何ら印刷した人の責任者を書いておらない。
  26. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはあなたの判断です。
  27. 小林英三

    小林英三君 一種の怪文書じやないか。    〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
  28. 小林英三

    小林英三君 誰が印刷したか書いてないじやないか。責任者がないじやないか。    〔「議事の妨害するな」と呼ぶ者あり〕
  29. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 責任者があるかないかということは分りません。それはあなたの判断ですから、私は資料として出したのだからあなたがそれをどうおとりになろうとそれはあなたの後でおとりになつた判断でありますから……。
  30. 小林英三

    小林英三君 それじや承わりましよう。あなたは先程今回の事件の問題について、(「代れ代れ」と呼ぶ者あり)これは重要な問題ですから聞くので、黙つて聞いて下さい。本事件内容についてはまだ十分に審らかにしていない。審かにしていないからプリントなんて、こういうようなものはお配りしていない。このこれらの怪文書というものは、(「怪文書で結構だ」と呼ぶ者あり)一方附いたものを書いてある。審らかにしていないじやないか。(傍聽人席にて発言する者あり。大野幸一君「何の資格がある」と述ぶ)それをこういう怪文書というものを配るというのは何事でありますか。一向に審らかにしていない……。
  31. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは怪文書としておるが、中にあるところの系統関係はこの間の証人を……、いいですか、証人証言を取る場合に、皆様が聞きになつてですね、非常に分り易いであろうとかように考えて、便宜のため差上げてあります。それで皆様がこの間の証言をお聞きになる場合において、いろいろな系統を一目瞭然にお分りになる……、勿論違つておるか、違つてないか分りませんが、そういうような意味においても資料として皆様が有効に御利用できる、かように信じたからであります。だからそのものが怪文書であるとか、どうとかいうことは、それは又皆様の御判断するところで、何も不利益なことが書いてあれば怪文書とお思いになるということは、これはちよつと速断じやないかと思います。
  32. 小林英三

    小林英三君 私は責任者のない文書は、而もこういう不穏当な見出しで書いてあるものは怪文書とみなしております。
  33. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ああ、そうですか。
  34. 小林英三

    小林英三君 尚あなたが、先程委員長がおつしやつた事件内容についてはどれがいいか惡いか分らん、まだはつきりしてない。はつきりしてないからまだ皆さんにそういうプリントを配られてない、そういう説明であります。これも何かこういうものをやはり資料としてお配りになつたということでありますが、こういうことについて嚴正を謳つておるところのものである……。これを資料としてお配りになるというのは……。
  35. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その資料を全部御覧になりますれば、警視庁の内部の機構関係は一目瞭然に分り得るような一つの参考資料になるから、こう考えて資料として差上げたのです。だからそれをあなたが別に敷衍されたところ言葉のように判断をするというのは、それはあなたの認識ですから……。
  36. 小林英三

    小林英三君 これは警視庁の内部の機構関係を知らすというのならば、こういう「陰謀の走狗警視庁を民衆の手で粛正せよ」、或いは最後に「自由党宮廷派」がどうのこうのということを書いたものを配られるのでなく、径路だけをずつと印刷して配つたらどうですか。神聖な法務委員会において、あなたが、委員長ともあろうものがこういうものをわざわざ読んで、それを配らすということは、何らかの意図があつてつていると考えられやしませんか。
  37. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはあなたの御判断で、私は單純に皆さんの御参考に供する資料として差上げたに過ぎないのです。
  38. 小林英三

    小林英三君 併し今あなたのおつしやつたことは、警視庁の調査一つの参考にしようとして配つたのだとすれば、こんな汚ないまるで怪文書のようなものを配らなくても簡單にあなたは書記に印刷させて配られるがいいじやありませんか。こういう誤解を招くような、苟くも何らかの意図を以て配つたように、この委員のうちの或る一人の人間にだけでも思わすことがすでに間違つてやしませんか。
  39. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはあなたのお考えで、私はそういうふうでないことをはつきり申上げておるのですから……。
  40. 小林英三

    小林英三君 それからもう一つ承わりたいのは、こういう……、私は怪文書と申します。怪文書をこういう委員会に配る。どういう文句であつてもこういうものは資料のようなものであれば何でも配つてよろしいのだということを今でも考えて、お考えになつておるわけですね。
  41. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 私は資料として考えて配つております。
  42. 小林英三

    小林英三君 資料と考えているというならば、こういう怪文書というものを、今後あなたは取上げなくちやなりませんね。    〔「それは無論取上げるよ」と呼ぶ者あり〕
  43. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは資料に値いするものであるとすれば取上げます。    〔大野幸一発言の許可を求む。遠山丙市君「ちよつと関連事項だから一言だけ」と述ぶ。大野幸一君「こちらは重大な事項」と述ぶ。〕
  44. 遠山丙市

    遠山丙市君 委員長関連してちよつと……。私は先般この怪文書の問題で、これは署名も何もないが、誰かと言つてお尋ねしましたら、労農党から出て来たという委員長の御報告でありました。すると労農党の党派から出て来たということは明瞭になつたのでありますが、何も労農党からぽつと風に吹かれたようにして入つて来たのじやなかろうと考えておりますが、これは労農党の何人が、これは委員長手許まで突出したものであるかどうかということをお尋ねいたしたい。  それから次はこれをお配りになる直前に或る委員が、これは我々の党派に属せないところ委員の人が、こういうものを配るということはどうか知らんということを委員長さんに御注意があつたように聞いておりまするが、そういうことがありましたかどうか。あつたに拘わらず敢て今申されたような委員長の見解に基いて御配付になつたものであるかどうか。この二点についてお尋ねいたして置きたい。
  45. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 前の点はその人の名前は分つておりますが、一応その人の了解を得てからお答えいたします。それから第二点は配つた後の御注意であります。
  46. 大野幸一

    大野幸一君 引揚促進同盟において、共産党の人が野次つたというので問題になつた。只今民自党所属議員にして衆議院議員の人は……傍聽人から本議員に対して大野黙れという言葉を吐いた。事重大であります。私は委員長に対してそのことを申上げて善処されんことを要望いたします。
  47. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 傍聽人の方はどうぞ靜粛にお願いいたします。
  48. 遠山丙市

    遠山丙市君 議事進行につきまして……時間を見ますと、十二時というようなことになつておりますが実は今証人が二人と承つておりますが、そうすると今直ぐそれを始めますと、途中の半端で証人を廊下に置いたりして、次の証人と打合せする虞れもなきにしもあらずでありますので、一つ御飯後に継続してやられんことをお願いいたします。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  49. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 只今の遠山議員の議事進行について御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 大野幸一

    大野幸一君 すでに証人は国家の義務として御出頭なさつておるのである。而も前回にも又今回にも証人の時間の待たれることを考慮せずして、相当の議論が討かわされましたが、今回は止むを得ませんが次からは直ちに証人訊問に移られんことを希望いたします。
  51. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでは午後一時まで休憩いたします。    午後零時三分休憩    —————・—————    午後一時十五分開会
  52. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ではこれより午前に引続き開会いたします。宗像三郎さんですか。お所はどちらですか。
  53. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 葛飾区金町三丁目二千百二番。
  54. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お年は。
  55. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 四十三歳です。
  56. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今日は御承知五井産業事件に関連した事項及びそれに関連事項があるとこちらで考えております味の素の事件とか、或いは警視庁の内部の機構とか、いろいろな事項についてお尋ねいたしたいと思います。それで今日証人として御出頭願つたわけです。先日御出頭わざわざお願いいたしまして、都合上今日に延びて甚だお気の毒ですが、今日はその証言を求めたいと思います。勿論御証言願いますればそれに隠したり嘘を言つたりしますと刑罰の制裁がありますから御注意願つて置きます。尚先日宣誓を頂きましたが、今日は改めて宣誓書をもう一度宣誓して頂くことにいたします。    〔総員起立、証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣誓書   良心に従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 宗像 三郎
  57. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの略歴はどんなものですか。
  58. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 大正十三年に県立の中学四年終了しまして、昭和四年に警視庁巡査を拜命、昭和十六年に警部補を命ぜられて、二、三転勤しましたが、昭和二十二年には警視庁に来て経済主任、更に二十三年から現在まで捜査第二課勤務になつたです。
  59. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは昨年七月頃以来いわゆる味の素事件というのを捜査なさつたことがありますか。
  60. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) あります。
  61. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その当時のあなたの室員というか、捜養二課の室員の人は誰々ですか。
  62. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) どういう意味ですか。
  63. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの部下です。その当時の……。
  64. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 大体私以下十名ぐらいおりました。
  65. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お名前はお分りになりませんか。
  66. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 部長が二人おりまして、巡査部長ですね、棟方、私と同じ名前です、森田、こういう部長が二人おりました。その下に刑事が高橋、杉田、葛西、山崎、そのくらいです。
  67. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 十人いらつしやるとおつしやつた……。
  68. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 違いました。十人はなかつたです。
  69. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると今仰せになつた方々が味の素事件関係したわけですね。
  70. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そうです。
  71. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その際鈴木恭二というのですか、責任者は。それに逮捕状の請求書をお書きになつたでしうね。
  72. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 作成しました。
  73. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどなたがお書きになつたのですか。
  74. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それは私が作成したのです。
  75. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その請求書をお書きになると、それをどなたかにお渡しになつて要求されるわけですね。
  76. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 結局上司の決裁を受けるわけです。
  77. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どなたにお渡しになつたのです。
  78. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) その事情は、大体この問題はちよつと前から話さんと分らんのですが、当時捜査課の第二課係長吉武係長の指示がありまして、去年の五月頃に高輪警察署の事件を警視庁の方へ問題が大きくなる予想があるので引継いだわけです。それで五月頃から着着進展しまして、逐いに七月頃に味の素事件になつたとこういうものなんです。それでやつていたのですが、鈴木恭二を逮捕する前に味の素の課長二人を検挙したわけです。田代というのと齋藤この二人を検挙したんです。これはですね。大体二度に分けて百万円ずつ二百万円E・D・Tの国家買上げに関して贈賄したというような容疑で以て逮捕したわけです。ところが七月の半ば過ぎにその二人を検挙しまして取調べた結果、常務取締であるところの鈴木恭二が共謀したというような容疑が出て来たわけです。そこで結局意思決定したところの鈴木恭二をやはり検挙せなくちやならん、こういうことになつたわけです。当時加藤検事が主検にあつたのですね。加藤検事が指揮されておつたわけです。逐一その状況は勿論上司にも連絡を取りましたし、加藤検事にやはり指揮を受けておつたわけです。それで大体二人の調べがほぼ明瞭になつたので、八月の夏頃どうしても課長の二人の釈放を待たずに鈴木恭二をどうしても検挙しなくちや事件がまとまらん、こういうことになつたわけです。そこで加藤検事が大体十日過ぎですね。十日過ぎになつていよいよ鈴木恭二を検挙せねばならん、どうするか、早急にやろう、こういうふうなまあ指示を受けたわけです。そこで警視庁の態度を決定せいというような指示があつたわけです。それで私は吉武係長に当局の意向としてはこれは検挙せねばいかんというような指示があるからどうするかということを吉武係長に指示を仰いだわけです。ところがその当時吉武係長は検挙することを快しとしなかつたわけです。つまり任意出頭の形式で調べろ、こういうふうな意向を持つてつたわけです。私の考えとしては、加藤検事の指示とはちよつと違うように感じたわけです。そこで加藤検事にその旨を話したところが、とにかく任意ということはこれは事件の崩れる慮れがある、どうしても検挙で臨まなければいかんというような、こういうふうな御指示であつたわけです。まあ二日間ぐらい待つから警視庁の態度を決定して貰いたいというような話だつたのです。そこでその旨を吉武係長に報告をしたわけです。そうしているうちに又電話なり、或いはどういうふうに決定したかというようなことを加藤検事が私の方へ問合せをして来るというような状況であつたわけです。で、私はこれはどうしても検挙で臨まなければいかんというので逮捕令状を認めましたのです。逮捕令状を認めて吉武係長に検事局はその回答を待つておる、むしろ検挙を待つておる。或いはそのとき加藤検事は若し事情があつて警視庁で鈴木恭二を検挙するのは工合が惡かつたならば検察庁で検挙するからというような指示だつたのです。それでは非常に私も困る。その意味も吉武係長に私も報告したのです。それと同時に大体八月の十七日ですか、そのときに認めたところの令状を請求しました。吉武係長に決裁して貰うべく出したわけですが、ちよつと待て、そのうちに決定して話すからとこういう話だつたのです。そうしてまあ待つてつたんですが、お晝過ぎになつても係長は呼ばないし、指示を與えないのです。もうそのうちに又電話で以て加藤検事からどうなつたか、警視庁の態度はどうかというような電話があつたわけです。それでは私が中に入つてどうもどうしていいか分らないわけです。そこでこれは仕方がない、実際決定したところの返事を私が加藤検事にするためには仕方がないから課長直々に指示を仰ぐより外ないというような考えから、松本課長殿に直接部屋に行きまして、実はこういうわけなんで、実は係長の方から話もあつたろうと思うが、検事局ではこういうような意向だ、実は今直ぐ返事しなくちやならんのだがどうしますかというふうに指示を仰いだわけです。それは早くやらなければいかん、それは直ぐに請求せい、こういう指示があつたわけです。そこで新たに逮捕状の請求書を認めまして、そうして請求をまあ実行したわけですが、その夕刻になつてその逮捕状の発付を見たんです。
  79. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると最初加藤検事から逮捕した方がよかろうと、こういう話があつて、その間今お説のような経緯があつて、そうして十八日に吉武氏に請求書をお渡しになつた、その間にはどのくらい日にちがあつたのですか。
  80. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 二、三日だと思うんですが、大体記憶は余りはつきりしませんが、たしか二、三日の間があつたのではないかと思います。
  81. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどういうことで躊躇しておるんですか。検察官がそれ程緊急である、こう考えてあなたにそういう指示を與えたのに拘わらず、吉武氏がそれを躊躇しておるということはどういうふうにお感じになりますか。
  82. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 私はその当時こういうふうにその問題ばかりでなしに、事件によつては主任が検挙してやるべきだというふうな意見を申して指示を受ける場合があるわけです。ところがそれまでは必要なかろう。この問題は任意で喚んで調べて、更に第二段の方法を取るというような一種の作戰といいますか、こういうふうな指示をする場合があるのです。私はその当時委員長の今尋ねられるように何か含みがあるような意味にはとらなかつたのです。係長のつまり作戰上の問題で、そういうふうな作戰を持つているのかなあ、自分としてはどうしてもここで検挙して、共謀者の一人が外にいる、これはどうしても逮捕しなければこの問題というのは解決せんというような私は意見を持つてつたし、加藤検事もそういうふうな意見であるし指示があつたわけです。つまりその当時は係長の意見と私の意見はこれは食違いがある、どういう意味か、それは作戰上の食違いがあるというふうに、それはまあそういうことも間々係長としては指示することがありましたからそう思つたわけです。
  83. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その当時他から何らかの工作がめぐらされて、そういうふうに躊躇しているというふうに感じなかつたですか。
  84. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) その当時は考えなかつたです。
  85. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その後どうですか。
  86. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それから令状を取つてその翌日十八日鈴木恭二を検挙したわけです。それからまあ期間だけ調べたその調べ中に、これはおかしい、中間人物が必ずあるに相違ないということが、私は直感したわけであります。
  87. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどういう意味ですか。
  88. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それは明瞭には鈴木恭二は自供をしなかつたわけでありますが、やはり私らの勘と言いますか、やはりあるわけなんです。どうもこれには何か人物が介在しておるというような考えを持つたわけです。更に過去になつて考えて見ると、吉武係長が、つまり生ぬるい意向を持つてつたというようなことも思い合せると、どうしてもここに何かなくちやならんというような感じがわいたわけです。
  89. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどういうような、風評か、どういうような感じであつたのですか、具体的には。
  90. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そうですね。鈴木恭二を調べて、調べを開始してからか、或いは検挙の前か、それはちよつと記憶に残つていませんが、その頃鈴木を逮捕してからと思います。築地の田中屋で以て鈴木恭二が明日逮捕の事実を知つて、何らか人物と会合したというような噂があつたわけです。
  91. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 鈴木の逮捕というのは前日に漏れておるわけですね、そうすると。
  92. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 鈴木逮捕後に考えた話ですね。
  93. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 結果的にですね。
  94. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 前日に漏れておるというふうなことは言えるわけです。
  95. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 要するに逮捕についてですね。
  96. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そうです。
  97. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 明日逮捕されるか。
  98. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 令状が発付されたということがですね。すでに前日の少くとも夕刻には知れておつたという感じを受けたわけであります。
  99. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それで築地の田中屋に会合された人は、どういうような人が会合されたということをお聞きになつたのですか。
  100. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それは、そこまでは噂というものはなかつたわけです。
  101. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあ噂でもよろしいが、どういうような人が会合されましたか。
  102. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) まあ鈴木恭二と、つまり揉消しする人物ですね、中間人物と会合したというような噂であつたのです。
  103. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 中間の揉消しするという人物の名前は。
  104. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 分りません。
  105. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたはそれまでは知らなかつた……。
  106. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そういうことは聞きません。
  107. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その後に聞きませんか。
  108. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 聞きません。その後も実は、それも本当は調査すべきだつたのですが、その調査する余裕がなかつたのです。その調査はやつておりません。
  109. 伊藤修

    委員長伊藤修君) けれどもどういう噂で以てどういう人が寄つたということは御存じにならなかつたのですか。その正否は別として。
  110. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そうですね。そういう点ははつきり聞いていなかつたのですな、とにかく……。
  111. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いわゆるそこに寄つたのは、吉武、日野昇、佐藤じやなかつたのですか。そういうことをお聞きにならなかつたか。
  112. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それも聞いていないのです。そういうことも明瞭に聞いていないが、とにかく……。
  113. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 明瞭でなくても……。
  114. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そういう名前は聞かなかつたように思うのです。とにかく鈴木がもうすでに事前に知つて、何らかそういつた操消しか、連絡の会合をしたと、とにかく鈴木はもう明日引かれるのだということをすでに知つて、田中屋に会合したということだけは、もう噂として私の耳に入つたのです。
  115. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その田中屋に会合したというのは幾日ですか。前日というと幾日になるのですか。
  116. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 十七日ですな。
  117. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 十七日ね。
  118. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 八月の十七日ですな。
  119. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、第二回目の逮捕状、初め吉武氏にお渡しになつた請求書はそのままになつちやつたのですね。
  120. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そうです。出して貰わなかつた
  121. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 出して貰えなかつた。握り潰しになつたのですね。
  122. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そうです。
  123. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 第二回目に正式に逮捕状の許可を得たんですね。
  124. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 課長の許可があつた。早急にこれを作成しました。課長さんが俺の指示だから、直ぐ請求せいというような話があつたので、直ぐ新たに請求したんです。
  125. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それじや逮捕を執行した令状というのは、第二回目の令状であつたわけですね。それは即日に貰いましたか。
  126. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 即日夕刻に発付されました。
  127. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 十七日の夕刻に。
  128. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 十七日の夕刻に貰いました。
  129. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何時頃ですか。
  130. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それは記憶にありませんが、とにかく夕刻です。
  131. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 貰いに行つたのは誰が貰いに行つたか。係員の人ですか。
  132. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 係員の人が、私の部屋の刑事ですが……。
  133. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、その逮捕状は、第二回目の逮捕状が出たことが漏れたわけですね、結局。
  134. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 勿論そのとき実は課長のとにかく指示を仰いで、只今の電話で、加藤検事から連絡があつたし、たしかに課長さんの方から係長さんの方えお話があつたと思いまして、やはり忙しいというようなことも考えて、直接お聞きしたところが、直ぐ請求してよろしい。こういうような指示があつたので、請求しますということも係長に報告してあります。これは、そうかというような話で、又逮捕状が出たときも、逮捕状が出たというようなことも報告してあるわけです。
  135. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その係長というのは、吉武氏のことをいいますか。
  136. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そうです。
  137. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 吉武氏は、自分が握り潰しているにも拘わらず、第二回目の逮捕状が出たということは直前に知つているわけですね。
  138. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それは知つております。
  139. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、結局令状の出たことを知つているのは、あなたと、それから吉武氏と、それから松本さんじやありませんか。松本さんは知つておりますか。
  140. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 知つております。
  141. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それからその外に知つている人は。
  142. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 部屋の刑事。
  143. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 先程御指摘になりました方々ですね。
  144. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) ええ、そうです。
  145. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 全員知つておられますか、先程おつしやつた人は。
  146. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それまでは記憶は明瞭でありませんが……。
  147. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 大体知つていらつしやいますね。
  148. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 部長と、発付を受けに行つた刑事は知つております。これは一つつて置きます。令状請求ですら、自分の部下には知らせない場合がありますから、非常に漏れる虞れがあるので、こういうことも二課の主任としては注意しておりますから、その点はそういうふうに、全般の部屋が知つているという場合も予想できないので……。
  149. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いや、私のお尋ねするのはその点をお尋ねした。令状を機密に出される場合もあるし、部屋全員の協議に基いて出される場合もあると、その範囲をお聞きしたわけです。その逮捕状を執行してからですか。執行せん前ですか。鈴木恭二の逮捕又は取調べについて、吉武係長から、余りその事件に深入りするなというような趣旨の話があつたですか。若しくはそういうような言動、素振りがあつたわけですか。
  150. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 逮捕で臨む必要はないというような話はしておつたですね。併し事前に、そういうことを言つたような記憶はありません、逮捕に当つて
  151. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう素振りはどうですか。
  152. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 折入つてそういう話を受けたというような感じはありません。とにかく逮捕は余り好まなかつたことは間違いないと思います。
  153. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうふうに感じたのですね。
  154. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) はい。
  155. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 溝淵国警次長を御存じですね。
  156. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 知らないです。
  157. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御存じないですか。
  158. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 知りません。
  159. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 溝淵国警次長から吉武氏に電話で今味の素の事件について何か話があつたというなことをお聞きになつておりませんか。
  160. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 聞きません。
  161. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 岩田元捜査二課長からやはり吉武氏に対して今の事件について何か話があつたということをお聞きになつたことはありませんか。
  162. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それは聞いておりません。併し前の岩田捜査二課長ですか、岩田氏から別の問題で一応私が話を受けたことはあるのです。これはこの味の素とは別なんですが、味の素の鈴木恭二を逮捕する直前だと思うのです。日にちは明瞭でありませんが、山之内の松島という社長です。これを任意で調べたいという私の意向で以て吉武係長の指示を受けたのです。それじやよかろう、喚んで調べろ、こういう話があつたわけです。直ぐに電話で以て呼出したと思います。そうしたらその翌日と思いますが、私のところに電話で以て第一方面の監察官附の折田警部から部屋え来いというような電話があつた。私は突然なんで、とにかく行つて見ようと行つたんですがね。ところが君に会わせる人がある、こう言うので部屋を変えて紹介して呉れたのです。その人が私が初めて会つた岩田元捜査二課長なんです。何でしようかと言つたところが、実は私は山之内の顧問のような恰好になつておるのだが、松島社長を喚んでおるそうだが、君何とか止めて呉れんか、こういうような話があつたのです。いや、それは係長のちやんと承認を得て私は正式に呼出し申上げたのだから、あなたが意外にもきいてくれるということはあつても、一応は話は聞かなければならない。とにかくよこして下さい。このまま呼出しを中止するわけにはいかんということを申上げたことがあるのです。
  163. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうことがあつたのですか。
  164. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) あつたのです。その後その翌日ですか、松島社長が出頭したわけです。そういうふうな恰好で山之内の松島社長の事件というのは事前にそういうふうな恰好になつて来れば二課の事件というのは非常に難儀なんです。非常に苦労するわけなんです。
  165. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 日野原やなんかお扱いになつておるのに、今は事前にそういう呼出逮捕ということでやらせて行くわけですね。
  166. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そこで暫く過ぎてからその岩田氏がどういうお考えか分りませんが、私のところに菓子折一個を持つて來ました。これは話が違う。あなたは前に課長もやつた人ではないか。こういうものを私が受取れるかということで拒否したことがあるのです。その後そういうことはありません。
  167. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今のお話を伺つても前に漏れておるわけですね。
  168. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) まあどこから漏れたかわかりませんが、知つてつたわけですね。
  169. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 若しも佐藤昇が何人かを介して吉武に対してこの事件を何とかして貰いたいというような噂をお聞きにならなかつたのですか。
  170. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 話は前に戻りますが、鈴木恭二が九月八日に釈放になつて、もう釈放するまでは、事件を固めるのに非常に忙しいので、そういう次の問題を考える余地がない。釈放になつてみて、すらすら調べる途中、それから逮捕状の握り潰し、そういう問題も考え合せ、それから逮捕の前日に漏れたという噂、そういうことを総合すると、これは何かこの中に揉消し運動に介在した人物がいる筈だというような観点から、課長殿に私は報告したわけです。私はこう思う。併しこれを放つて置いて次に事件を進めるかどうするか、その指示を意見具申をしまして申上げたわけです。課長殿は暫く愼重に考えて言つておられた。併し若し中に介在しておる人物があるとすれば、又事件を進展させても恐らく邪魔されてこれは成功しないだろうというような御意見つたのです。ちよつと誰か分らんが、主任は一つそういうところを注意して置け、暫く苦労したのだけれど分らない、息を抜く意味でも、そういう点をちよつと注意していた方がよろしい、こういうような御指示があつたわけです。それは九月の終り頃なんですが、初めは佐藤昇ということは私は知らんのです。何だか佐藤という人間がこれに踊つているという聞込みがあつたわけです。これが佐藤と言つたつて一体何者かというようなことは、私もさつぱり佐藤という人物は分らないのです。段々聞込みも取つている間に、これは五井産業の社長であり国富繊維の社長であつて、而も昭電疑獄に連坐したところの佐藤昇という人物だ。尚警視庁にはしよつちゆう出入しているということが分つたわけです。それでそれも逐一課長の方に報告しました。それじやこれを除こうじやないか、除かなくてはどんな事件をやつても、これは無駄だ、こういう中間に踊るような人物を先ず除いてからに、次の事件に移ろうじやないか。道草を食つてもこれはやるべきだというような御指示があつたわけです。それでまあ十月に入つて佐藤なるものの大体内偵を開始したわけです。だから直ぐに佐藤昇というものが浮き上つたのではなくて、私は昭電の始まる頃初めて二課に來た人間であつて、昭電というものの実際の状況はどういうものであつたか、それは新聞紙上では見ておりましたけれども、実際分らないのです。殊に検察庁で扱つたところの佐藤昇の性格というものも知らないわけです。
  171. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 佐藤のことをお調べになつておるうちに、佐藤は警視庁内に始終出入しておつて非常に顔がきくのであつて、警視庁の事ならばどんな事でもまあ平たく言えば間引してやる、自由になるというようなことを豪語しておつたことをお聞きになりましたか。
  172. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 噂には聞いておりましたが、実際のことは……。
  173. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 勿論直接そんなことはお聞きになることはないでしようが、そういうことは噂にお聞きになりましたか。
  174. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 噂には聞いておりました。
  175. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうことを佐藤が豪語する根拠というべきものは、佐藤が元警視庁の幹部であつたところの丹羽喬四郎とか、岡崎英城とかいうものと非常に親しいところからじやないですかな。
  176. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それはいろいろ、その当時はそれまでは知らなかつたんですな。
  177. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今日はどうですか。
  178. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) その当時は……まあどの程度親密か……。
  179. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これは程度の問題は別として、とにかくそういう人とは親しくはしておるのですね。
  180. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) まあ関係あると思うのですがな、それは。
  181. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 関係あるんですね。消防総監とも非常に親しいそうですね、佐藤は。
  182. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) まあ相当出入をしておつたようです。
  183. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か消防総監の応接室ですか、総監の部屋ですか、そういうところを随意にこれを使用して、自己の商取引とかいろいろな会談に使用しておつたような話をお聞きになつたですか。
  184. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それはまあ大袈裟ですが、まあ相当出入り……。
  185. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 程度は何回か知りませんけれども、とにかくそういうところでいろいろな会談と取引とかいうものを行われたこともあり得るですね。
  186. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) まあ自分の私用も足したというようなことはあつたようです。
  187. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、余程総監と親しかつたわけですな。総監も自分の部屋を使わせるくらいですから……。
  188. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そうだろうと思うのですが……。
  189. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 佐藤は、あなたの前は上官ですか土田精という人とか、吉武とも親しいんじやないですかね。
  190. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) どの程度か分りませんが……。
  191. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあ程度はよろしい。少くとも親しいと思われるような間柄ですね。
  192. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そう私は思つておるのですが……。
  193. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これはまあ土田とか吉武とかいう人は、直接関係ができたのでなく、先程申した丹羽喬四郎、岡崎英城、これらから紹介されたか、そういう人の繋がりから親しくなつたわけですね。
  194. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そういうことは知らないのです。
  195. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お調べにならなかつたですか。佐藤の身辺をお洗いになつたのは、そういう点もおやりになつたのでないですか。
  196. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そういうことはないと思いますが……。
  197. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これは調査なさらなかつたのですか。
  198. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) ないと思いますが……。
  199. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう噂をお聞きになつたのですか。
  200. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 噂は私は聞いていないですな、その点は……。
  201. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これはまあ先程、あなた昭電事件は済んでからお入りになつたんだから、御承知ないとおつしやつていましたけれども、要するに佐藤というのは昭電事件の際もやはり丹羽とか岡崎というものを利用してというか、そういうものを介して揉消しや何かに奔走したことがあるんでないですか。
  202. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) その点もはつきり私は聞いていないのです。
  203. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたがいわゆる佐藤の身辺を洗うようになつた十月頃から、十一月頃でしたかな、その頃から何かあなた若しくはあなたの部下、いわゆる二課の人々……二課でない、あなたの部下ですか、あなたの部下の人々の身辺を警視庁内部の今度監察官というものがありますね、折田監察官、その監察官が今度逆に身辺を洗うというようなことはなかつたですか。
  204. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それは噂に聞いておるのです。それで一番前に戻るのですが、岩田前課長ですか、その問題で私も撥ねつけたというようなその直後ですから、或いは折田警部がそういう私の意に副わなかつた点があつたために、まあそんなこんなでそういう挙に出たのじやないかというふうにも考えておつたのですが、私としては何も薬品会社から薬品を貰うとかそういうことは私は事実ないのです。私は問題でないのです。そういうことは問題にしない。ただ私は課長の指示に従つて捜査に進んで行けばいいのであつて、どの程度折田警部が私の身辺を窺つたか、その真意は勿論知る必要もないし、問題にしなかつたのです。
  205. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあそのときの主たる理由というか、今あなたのお言葉にちよつとあつたように、何か山内製薬会社から薬を貰つたとかどうとかいう噂を基にして、身辺を洗つたわけですね。
  206. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) まあそうだろうと思うのですが、十一月頃でしたか、私の部下の棟方部長が、まあ私も家族が病気なんで山内と日曹から極く僅かの薬を有償で分けて貰つたことはあるのです。それがどういう噂として折田警部の耳に入つたか分りませんが、それを切掛けに身辺を窺つたのではないかと思うのです。併し私としては何も少しも問題にする必要はないのですから、正々堂々捜査にやつたわけなのです。
  207. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一体監察官というものは、それは折田警部ですが、折田監察官以下七人くらいだそうですね。
  208. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) その点はよく分りませんが……。
  209. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 監察官の陣容というのは……。
  210. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 六、七人じやないかと思うのですが……。
  211. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いわゆる監察官制度には四つかそこらあるそうですが……。
  212. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 四方面……。
  213. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その第一方面を担任しておるそうですね、折田監察官は……。第一方面の監察官の陣容というのは、七名くらいだそうですね。
  214. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 七人ぐらいじやないかと思いますが、その陣容はよく分りません。
  215. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その七名の陣容で都下の警察十五警察ですかと、警視庁の内部とを担任していたわけですね。
  216. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) その点ははつきり分りません。
  217. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 職務範囲が……。
  218. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 大体そういうふうに思うのです。
  219. 伊藤修

    委員長伊藤修君) にも拘わらず、あなたの問題についていわゆる殆んど総員を挙げて、部員総員を挙げて身辺を洗つたということですがな。そうですか。
  220. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そういうところは一切……。私は噂には聞いておつたのですが……。
  221. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いや、噂ですがな。
  222. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 自分には分らないのです。
  223. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どうして、本来十五警察全部を七人で担任しておるし、庁内も担任しておるのですから、相当忙しいですね。それを挙げて、外の警察を調べることをせずに、あなたの方ばかり全力を挙げてやつたんでしようね。その事件の真中に……。
  224. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) どういうわけですかね、それは。
  225. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何かあなたが味の素事件及び佐藤事件というものに手を着けている牽制じやないですか。逆襲という意味じやないですか。
  226. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) まあその当時も、噂があつたときも、部下からも話を私も聞いておつて「いや、心配するな。これはもう課長から指示があつて、被疑人を中心としてやつておるんだから、どんな迫害があろうと、いいじやないか。自分で潔白で、どんどん進めばいいじやないか。心配するな」というように私も言うて、「もう、聞かんふうにしておれ、そういうことは……」というふうにして、その点はもう少しも心配せんし、とにかくこの事件はやるというふうに決定したならば、一体になつてやらなければいかんというふうに言つてつたので、そういう細かいところまで気をとめている必要はなかつたのです。
  227. 伊藤修

    委員長伊藤修君) けれどもそういう外部から迫害的にひしひしと身に迫るような気配にあつたのですね。
  228. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 噂が出るくらいだから相当あつたのじやないかと思います。
  229. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それにも拘わらずあなただけは自分の職務を敢然と遂行しようと、一団となつてやるという悲壯な決意をして進行されたわけですね。
  230. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そうです。その通りです。
  231. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どんな方法でそんな観察をしたのですか。身辺を洗うというのは、どういう方法でやつたのですか。
  232. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 全然それも聽いておりません。どういう方法でやつたか私は調べて見ないのですから……。
  233. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 勿論そういうものは調査すれば、調査報告書というものを作つて総監の手許に出してあるのですね。
  234. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 全然そういう調べをやつてないのですから、私の方としては……。
  235. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いや、あなたの方としてでなく、あなた達が逆捜査をされているわけですから。
  236. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) さあ、どうですかね。監察官の方でどういう措置を……。
  237. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは監察官としても、報告をしなくちやならないでしようね。逆捜査ですから……。
  238. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) どういう報告になつているか、私は監察官の職務をやつたことがないので、分らんのですが……。
  239. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうような逆捜査の命令というのは、一体どこから出たと思うのですか。噂はお聞きにならなかつたのですか。
  240. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) その点は分りません。
  241. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どんなところから出たのだろうとか、あいつがやつたのかしらんということは思わなかつたのですか。
  242. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 恐らく事件を喜ばない部類でしようね。
  243. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 事件の進展を喜ばざる人々の行為だと思われるのですね。
  244. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 誰という、私も全然感知していませんが……。
  245. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 土田氏があなたを呼んで、いつだか存じませんが、そうして課長の言うことは聞かないでも吉武の言うことを聞け、自分や吉武についておれば出世するというような意味のことを、あなたにお話したことはあるのですか。
  246. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) ちよつと委員長さんのお話の内容とは違うのですが……。
  247. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どんなような意味のことですか。
  248. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 記憶が余り明瞭じやありませんが……。
  249. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあ趣旨でよろしいが……。
  250. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それはたしか佐藤の内偵が始まつた直後ですね。突然私を呼びまして、たしか伝令か何かを使いによこしたと思う。巡査です。そいつが隊長が用があるからちよつと来て呉れと言つて、こういうので私が行つたように思いますが、そうしたら隊長が部屋にいて、掛けろというようなことで……どうだ元気かというような何か雑談がありまして、それからその後の話の末に、吉武からお前は何か大変叱られたのを君は気にしているというような噂を聽いたのだが、吉武はいい人物だぞ、お前の警部の試験のときも大分骨を折つてつておるのだ、吉武の言うことを聽いておれば間違いないのだ、松本課長のあんな馬鹿野郎の言うこと聽くな、こういうふうな意味のことを言つたように思うのですね。どうも私も反問はしませんでしたが、はいと言つて、まあ将来よろしく御指導願いますというので、私も引下つたわけなんですが、隊長おかしなことを言うなと思つたですね、そのときには……。冗談で言うのか、本気で言うのか、まあ私も判断に苦しんだのですけれども、まあ隊長の言うことをそのまま受入れて、私もどうも後に退いて隊長の意に副うわけには行かなかつたのです、実際は……。もうすでに課長の方から命令も受けて内偵に掛つているのですから、その御趣旨には副うわけに行かなかつたのです。
  251. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それだからそういう御趣旨には副うわけには行かんとおつしやつたのですか。
  252. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) いや、何も言わなかつたのです。私は反問も何もせんかつた。はい、とただ返事をしまして、何分将来よろしく御指導願いますとそういうことで私帰つて来たわけですね、どうもどういう意味で言われたか私も外え、部屋を出まして分らなつたですね、実際……。はてこれは味の素の事件のときに私は逮捕令で行こう、係長は任意出頭で行けというような対立もあつた。それからまあそういつた……それから吉武係長に報告せずに、課長直接に内偵の報告もやつてつたような状況でして、こういうことも感じて、これは吉武係長の方からどうも宗像氏はおかしいというようなことが言われたので、そして一応私に隊長から注意的に言つたのかとも感じておつたのですが、私もどうも部屋を出て解せないのですが、どういう意味でそういうことを言われたか……。
  253. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まああなたの御言葉にちよつとありましたようにですね、そう言われたところが、手を着けたら味の素及び佐藤事件について捜査を打切ることはできないというふうに思つた。そんなふうにお思いになつたのですね。
  254. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そうです。これはまあ内偵を開始したんですから、後えは退けない。どういう意味合からおつしやるか、冗談におつしやるかどうか分りませんが、私としては後え退くわけにはいかん。
  255. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その後先程の土田の言うた言葉の含む意味ですね。含む意味というものが、そういうところにも包含されているというふうに考えられるのですね。
  256. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) まあ私の考えではですね、今言うた通りに吉武係長と意見の対立もあつたわけです。鈴木恭二を逮捕する場合、それから佐藤の内偵は吉武係長を省いてですね、直接課長にやつておるということも、これは知らんわけはないのですから、そういうことが耳に入つて私に注意的に言つたのかなというふうに考えました。
  257. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはいつ頃のことなんです。いわゆる佐藤事件捜査する前ですか。それに入つてからですか。
  258. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 内偵に着手してからだと思うのですね。
  259. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 内偵に着手しているということは土田なり、吉武は知つているわけですね。
  260. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それは知つているかどうか、私から確かめてはおりませんから、分りませんですね。
  261. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 知り得る立場にあるわけですね。
  262. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) とにかく事件はすべて毎日各主任は捜査の状況はもう逐一係長に報告するわけであります。習慣的にありますから……。
  263. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは知つている……。
  264. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) ところがこの佐藤事件は課長から指示がありましたから、これは課長直属に報告せいというような指示があつたので、吉武係長を省いて私は課長に連絡を取つておるわけですから、それはもう知らん筈は私はないと思うのです。
  265. 伊藤修

    委員長伊藤修君) すると吉武は外しておるけれども、併し捜査していることは分り得る立場におるわけですね。
  266. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) まあ遠い部屋におるわけじやないですから、分るですね。
  267. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう立場におるわけですね。それは省いておることについては吉武は快く思つていないでしような。
  268. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 恐らく快いと思わないでしよう。私も非常にその中間に入つてつてつたのです。
  269. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあ殊更に省くということは、事件の進展を阻害する、目的を達成せられない、吉武を通しておつたのでは……。という趣旨からですね。
  270. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) まあ課長さんからそういうはつきりした指示はありません。
  271. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ええ、ありませんけれども……。
  272. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) とにかくこの問題は課長と主任と直結でやるのだから、そのつもりで俺のところへ皆報告せい、係長に報告する必要はない、こういうまあ指示だつたのです。
  273. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあ重要な事件ですから、係長なんか本来ならその協議に携わらなくちやならん立場であるのでしよう。
  274. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 勿論そうです。
  275. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 係長をオミツトするということは、その人を通ずることによつて事件が外に漏れるとか、事件の進展を阻害する、或いは妨害されるということを恐れてのことですね。
  276. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 私もそう心得ておつたのです。
  277. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 吉武が上野署の次席に転出したのはいつ頃ですか
  278. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 十二月の五日か六日頃でないかと思います。
  279. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると逮捕状が出る前ですか。
  280. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 前だと思うのですが……。
  281. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 令状が七日に出ておるわけですね。
  282. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そうです。
  283. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その前に転出したのですね。
  284. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そうだと思うのでございます。
  285. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 転出の理由は御存知ない……。
  286. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それは分りません。
  287. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると今のあなたの証言を伺つて見ますと、逮捕状を受ける前に、吉武というものはその前日かに転出をさしたということになりますね。
  288. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そういうことになりますね、その順序のことは分りません。
  289. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 順序から言うとですね……。
  290. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) たしかにそう思うのですが、事件に熱中しておつたから記憶はありませんが……。
  291. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その頃佐藤昇に対して逮捕状を執行するために協議したことがありますね。
  292. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) どこでですか。
  293. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの部屋かどこかで、あなた達が協議なさるでしよう。
  294. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 私の部屋は使つた覚えはないと思います。
  295. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何かそういうことで協議なさつたことがありますか。
  296. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 勿論課長のところでは指示を仰ぐ、或いは事件については、絶えず地検と連絡しておりましたが……。
  297. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その協議の席上で、今佐藤の逮捕を執行することは吉武の追討ちのようになるから少し待つてはどうかというような話を、誰か言つた人はないのですか。
  298. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そういう点は、私は分らないのです。これは上司でないと分りません。
  299. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは協議のときにおられたんでしようが、そういうことはお聞きにならなかつたのですか。
  300. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そういうことは分りませんですね。私は上司の決定、今日何せい、明日何せいというような指示を受けますので、私はそういうところは判然記憶しておりません。
  301. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 又そのときに、佐藤の三十五万円やそこらの詐欺事件で、逮捕するのは問題だというような意味のことを言つておる人はありませんでしたか。
  302. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それは検事局でもそういう意向であつたわけです。何故かというと十二月の六日頃の状況は、もうすでに一ケ月半以上も内偵に費しておるわけなんです。その間に、私の方で容疑ある事実と見たのは、今言われた三十五万円事件の問題と、仙台と北海道の詐欺問題ですね、この方が額が多いし、相当惡質になつておるが、地域の関係で証拠の蒐集、内偵というものは、相当時間も要しますし、困難なんです、どうするかというふうに課長殿と私との協議の間には、とにかくやり易いところから証拠の蒐集はしなくちやならんということの何はあつたのですが、如何せん北海道と仙台なので……。どうするかという意見はまあ出ておつたわけですね。
  303. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあ、そういう場合は三十五万円というのは小さいこともないのですが、事件としては相当の事件になるのですが、三十五万円の事件一つは明らかになつておれば、先ず以てそれでもつて逮捕して置いて、そして地域的に多少時間を要するものは、その後捜査進行して行くということが、常に繰返されているのでしようが、三十五万円事件だけで、この程度だけだということは、どういうことですか。
  304. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) ところが実際の捜査に当つていないと、一般の人が聞けば、三十五万円というと大きいように思うのですが、やはりただ單に三十五万でなしにそこに附随したいろいろな事情があるわけです。捜査して見ると……。これで一体起訴に持つて行けるかどうか、或いは有罪にあらしめるかどうかというような先まで考えなければ、私らは捜査というものが進められないのです。三十五万円の問題だけはその内容から推して行つて、どうも起訴になるかならないかという境にあつたわけです。どうしても北海道と仙台、これが必ず証拠を掴むというところに持つて行かなければ、これは確実にもう間違つても起訴になるというような見通しは先ずなかつたと思う。併しその逮捕はこの三十五万円ではできるという自信は、容疑があるのですからこれはできるのです。できるのですが、逮捕しただけでは我々捜査官は納得できないのです。これを起訴に持つて行き、有罪にしなければ、私らは納得できないのです。
  305. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その次に逮捕状を、やはりお取りになつたのですね。
  306. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 取りました。
  307. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどういうふうにしてお取りになりましたか。
  308. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それはもう内偵を始めてから、もう一ケ月半以上も過ぎておる。そうしてどうも気配を佐藤がこれは感付いた、勘がいつて刑事に当らしたところが、自分の住居に寄りつかない。これはおかしい。もう感付いたと、これは一刻も早く身柄を取らなければならんというように私は考えを持つたのです。もう一日も早く逃がして置くことはこつちの負けだ。どうしても捜査を開始して、内偵を開始して、向うに感付かれて証拠湮滅をされる、或いは逃亡する、日を稼がれるということはこれは一歩私の方の負けなんです。本人に証拠湮滅をさせないうちに身柄を取つて証拠を蒐集するという、これは非常に困難があるわけですが、そこえ持つて行かなければならん。そこで私はどうしてもこれは警視庁の方にも最近は余り出入りもしなぐなつたし、家にも寄りついていないというところから見ると、これは恐らく逃げ仕度だ、証拠湮滅に、或いは京都或いは自分の支店出張所がありますから、そういうところに工作を施しに飛ぶかも知れない。これは今のうちに飛ばないうちに身柄を取らなければ、私の方が負けだというふうに私は考えたのです。つまり三十五万円の吉村商店の被害というものは、東京に被害者がおるので、これは蒐集が非常に簡單です。近いから直ぐできたのですが、遠い北海道や仙台というようなところはまあその地域的にむずかしい。併しそれを待つていたのでは、これはもう駄目なんです。私の方で一歩負けてしもう。そこで意を決してどうしてもここで検挙しなければならない。そこで何を措いてもこれは身柄を取つてから蒐集に当るというふうにする決意をしたのです。
  309. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 逮捕状の請求はいつされたのですか。
  310. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 七日です。
  311. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それで直ぐ逮捕状を取つたのですね。
  312. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それで逮捕状を取つて……。
  313. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 即日取つたのですか。
  314. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) その日に取つたのです。
  315. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 執行は……。
  316. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 執行は十四日にやつたのです。
  317. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どうしてその間に、今お説のようだと寸刻を入れず執行しなければならないのに十四日までに延ばされた理由は……。
  318. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それはつまり私としては、身柄を早く取らなければいかん。北海道なり、仙台或いは京都の方に飛ばれて証拠湮滅をされては困る。先ず身体を取らなきやならない。それから刑事派遣するなり、そして証拠の蒐集にやるというふうな考えがあつたわけです。
  319. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたのお考えはよく分りました。
  320. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それで課長殿にも話して、そうしてやつたところが、上司の方の意見は、それでは非常に、恐らくは短期間の間ですから、拘留というものは二十日ですから、二十七日の間にそれが果してなし得るか否かというつまり不安というか……というような懸念があつたと思うのです。その点は私共の方では私は強硬にそういう意見を申上げたまでであつて、上司の間に恐らくそういうふうな見解の相違で、そして遷延したと思うのです。逮捕せいというような指示は、令状は取つたのだけれども、その指示はなかつたわけです。
  321. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 執行の場合においてあなた達の任意にいかないのですか。
  322. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) これはみんな私の方では課長の指示を受けるのです。
  323. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると課長はそれ程熱意を持つて佐藤事件捜査に従事して来て、祕密を保つて来たが、たまたま漏れておるようですが、その事件が漏れておるようですが、にも拘わらず課長の立場から言えば、直ぐにあなたの気持を察して、又事件の状態からいつても直ちに執行すべき立場にあると思うのですが、他の何らかの制約によつてそれを執行することを止められておつたのじやないですか。
  324. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そういう点は私に聞いても分からんと思うのです。そこでたしか九日と思うのですが、これはまあ、とにかく令状を取つて、いつでも身柄を取れる態勢にあるわけです。直ぐに早急に被害者の証拠蒐集に当らなければならないというので、たしか九日頃ですね。北海道仙台に各三名の刑事を派遣したのです。そうしておいて大体逮捕の問題に掛かるのですが、そういう処置を直ぐとつたわけです。
  325. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 私の不審に思うのは、それ程あなたの……直接の担当官たるあなたがどうしても一刻も猶予すべき事項でないというので、おとりになつて、直ちに執行なさなければな心ないのに拘わらず、それが相当の日にち執行なさらずに、止め置かれたという点に、我々としては疑惑を持つのです。
  326. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そういう個人的に……それは成る程逮捕するために逮捕状を取つたのですが、そういうことは課長、係長の指示があつて初めてやるのであつて……。
  327. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 恐らく課長のお気持も直ぐ執行したかつたと思うのですが……。
  328. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) その点は……。
  329. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お分りになりませんか。
  330. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 私ら捜査前線でやつておる者は実際分らんですな。
  331. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 佐藤はいつ頃からお調べになつたのですか。
  332. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 調べというと内偵ですか。
  333. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いや、佐藤の供述をお取りになつたのは……。
  334. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 逮捕から釈放までずつと当つてつたのですが……。
  335. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ずつと、何回ぐらい調書をお作りになりましたか。
  336. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 二十四、五回ぐらいになると思いますが……。
  337. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 二十四、五回……。それは一々別々になつておりますか。
  338. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 一回ごとになつております。別に取つておりました。
  339. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その調書はお手許にはないわけですね。
  340. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 私の方にはございません。
  341. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 検察庁に送りましたね。
  342. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 検察庁まで送りました。
  343. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 後でお聽きしますが、二十四、五回というのは涜職の分も入れてですか。
  344. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 涜職と言われると、語弊があるのですが……。
  345. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 本件の……。
  346. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 詐欺事件……。佐藤詐欺事件について全部です。
  347. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 全部を通じて当時第二回目の逮捕状まででしよう。
  348. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それを入れてそうですね、それくらいと思うのですが……。
  349. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのときに佐藤が政界とか官界とかという方面へいろいろ金品をばら撒いたとか、又は饗応したということを言うておりましたですね。
  350. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) これは突然そういうことを聽かれても困るのですが、詐欺事件というのは、これは私共通常やつておることは、その本人の直接の動機ですね。動機からどうしてやつたか、直接の犯行の決意を、それを調べるわけです。それから犯行の前後、それを更に調べなけりや実際の犯行の情状というものは分つて来ないのです。それで第一に経理関係、それから生活状況、或いは交友関係、こういうものをつまりここからここまで調べよというような、調べればこの本人の経理状態、段々こういうような状況になつて詐欺をどうしてもやらざるを得ない状況にあつたのだ、詐欺をやつたためにこの結果はこういうことになつたのだというところまで持つて行かなければ、実際の有罪まで持つて行けないのです。実際その過程としてやはり国富繊維というのは、二十一、二年から、彼は社長として繊維を扱うようになつて、繊維に絡んでのこの詐欺ですから、それに一貫したところの経理状態を調べたわけです。その調べた経理面に現われて初めていろいろな全貌が現われて来た、こういうことなんですね、涜職事件は……。
  351. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 私は涜職事件をお聞きしておるのじやなくて……。
  352. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 誤解を受けると困るのですが……。
  353. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうようにあなたが今仰せになつつたようなお調べの面まで、犯罪の動機、原因及び環境というものをお調べになるのは当然のことであつて、そういうときにそういうことが浮び上つておるのかということを伺つたまでです。その中には相当の政界の知名の人や官界の知名の人が加わつてつたのですか。
  354. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 相当厖大な調書になつておるので、はつきり分らないのですが、関係しておる人物も出て来たわけですな、それは……。
  355. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあ職務関係があるとかないとかということは別といたしまして、あなたのいわゆる繊維関係から考えて、そういうような行為があつたということに対してどういうふうにお考えになつておりますか。
  356. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) つまりそれを調べる、その当時は、この事業面はこういう行き方塔ある、借財がどのくらいあるか、銀行経理はどうなつておるか、或いは社交的にどういうふうな方法で金をばら撒いておるか、よつて借財がどういうように現われて来ておるか、これを穴埋めするためにどういうような決意……動機で以て犯罪をやらなくちやならんか、その間に金を持つてつて、これを、詐欺ですから、金を拂うといつても、拂う状況にあつたかなかつたかというところの問題であつて、実際社交的に金を使つた面は、どれだけの法の適用をすべきかどうかということは第二次的の問題であつて、実際調べる途上においてはそういう余裕がないのです。実際は……。
  357. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 私のお尋ねしておることは、それが犯罪になる、ならんということは別問題として、そういうことを調べる途上において知り得た場合において、その点に対してどういうお感じをお持ちになつたかと、こういうのです。
  358. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 感じですか。
  359. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ええ、そういう事実に対して……。
  360. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) いいとか惡いとかというお尋ねですか。
  361. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ええ。
  362. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 勿論不正であれば惡いと思うのですがね。
  363. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう供述は、あなたが供述を聞いておる立場から考えて、供述の信憑力ですね、佐藤の言うている言葉の信憑力ですね、どういうふうにお感じになつたですか。言葉の真実性があるとか、出たらめを言つているとか、どういうふうにお感じになつたですか。
  364. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 私はこれはもう通例感ずることなんですが……。
  365. 伊藤修

    委員長伊藤修君) よくまあ、被疑者を調べているとき、出たらめ言つていることは直ぐ分りますね、これは本当のことを言つている……そのときの言葉、供述の信憑力について、あなたはどういうふうにお考えになつたですか。
  366. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 勿論私が調書を取つた内容は、これはもう、彼は本当のことを言つているというふうに感じておるのですがね。
  367. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると佐藤があなたの面前で二十何回述べたことは本当のことを言つている、少くともあなたはそう感じているわけですね。
  368. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 私は信じております。何故かというと、私の経験では、こういう知能犯というものは、自分はこれきりありません、全部もう主任の前で曝け出しまとたと言うても、先ず大体は十分の一ぐらいですね、言えばもう上なんですから……これは全部曝け出しても十分の一なんですから……そういうふうな場合が多いのですね。
  369. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうふうに他から考え合せましても、言うていることは真実と考える……。
  370. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 私は、多くあつても少くない。こういうふうな感じです。
  371. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのときに、先程包括的にお尋ねしたのですけれども、こういうことを言つておりませんでしたかね、福田篤泰代議士に四十万円、吉田茂氏に福田代議士を通じて三十万円であるとか、増田甲子七氏に六十万円、山花秀雄氏に四十万円、それから岡田鉱山保安局長に三十五万円、鹽谷消防総監に三百万円とか、日野昇に十一万円、吉武捜査二課二係長に三万円、上野総務部庶務係長に五万円、中西元警務部長に百万円、これも融資したというような……橋本警備課第一係長に酒と靴下、間狩国警防犯課長に三万円とか、それから増井群馬県国警隊長に五万円とか、或いは遠藤、竹瀬世羅三郎、これに対して、いずれも物品を供與したとかというようなことを言うておりませんでしたか。
  372. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 今読み上げた中に関係のある方もない方もあるように記憶しますが、相当その事情が混み入つているので調書を見ないと、申上げられないですな。で、逐一調書を取つてあるのです。
  373. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今読み上げたようなものがその調書に出ておるのじやないですか。
  374. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 関係者は全部調書を取つておるのですがね。
  375. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 調書を取つたことはお伺いしたのですが、その取つた内容について、そういうような今読み上げたような事項が出ておるのじやないですとか、こう言うたのです。
  376. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そうだと断定できませんが、いろいろな佐藤との繋がり、交際……。
  377. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いや、その細かい理由は今お尋ねしないのですが、一一の御記憶はないでしよう。名前だけとか今申先名前というのは浮び上つておるのじやないですか。
  378. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 記憶に上つておるのもありますし、又初めて聞くような名前もあります。
  379. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 初めて聞く名前というのは誰ですか……。もう一遍名前を言いましようか。
  380. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) どうもその調書を見ないとよくわからないですが……。
  381. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 大体は出ておるのですか。
  382. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 大体関係者も中にあります。
  383. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今申上げました名前のうち、大体は出ておりますね。
  384. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 大体あります。
  385. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 数字も大体そんなようですね。
  386. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 数字は違うところもあるようですな、どうもその点ははつきりしませんな。
  387. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 細かいことですから一々あなたにお伺いするのは御迷惑ですが、詐欺事件をお調べになつて一応釈放されましたね。
  388. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) ええ。
  389. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうして今お尋したような事件及びその事件をお調べになるかどうか存じませんが、少くとも岡田秀男ですか、に関するところ事件をお調べになつたらしいですね。涜職事件として……。
  390. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そうです。
  391. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうして逮捕状をお持ちになつたのですね。
  392. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) ええ。
  393. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの持時間と検察庁の二十四時間をお使いになつてお調べになつておるのですね。
  394. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) ええ。
  395. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 三日間お調べになりましたね。
  396. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) ええ。
  397. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この種の涜職事件というものは関係者を出してしまえば証拠は相当得られないですね。これは普通の常識ですね。
  398. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 勿論そうです。
  399. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 我々過去の経験から考え合せましても、そういう場合においては、先ず拘留を要求されてそうしてお調べになつて、そうして警察官の持時間が十日間、或いは特別な場合において十日間延ばして二十日間、こういう日にちを費やしてその真偽をお確めになつて、然る後にこの犯罪については罰すべきかどうかを決定するとこういうふうに思われるのですが、少くともこういう事件が浮び上つておるに拘わらず、その被疑者を放してしまうということは、何だかそこに何か手が延びておるような気がするのですがね。今までの捜査事件をお扱いになる常識に外れておるのじやないですかね。
  400. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 逮捕令状を請求する場合においては、容疑があるということを認めて令状を発付するわけですから……。四十八時間のうちにこれを送検しまして、検事さんのところにおいて調べて、どうも職務関係が不十分である、或いはその他の條件が余り芳しくない、不備だ、よつて拘留不備だというように決定をされれば、私の方ではどんな方法を採つても仕方がないですね。
  401. 伊藤修

    委員長伊藤修君) けれどもあなたの方でそういう嫌疑があると思つてお過しになつたのですから、その場合には検察官にその趣旨をよく申されて、もう少し検察官の持時間をお借りになつて、そうして捜査を継続するということが通例ですね。
  402. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) まあそういう……。
  403. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうするとこういうような事件が沢山あり得るに拘わらずそれを捜査もせずにいきなり放してしまえば、それ自体がもう打切りというふうに見られるじやないですか。
  404. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 勿論任意出頭ではこれはもう捜査が困難です。
  405. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 困難だから事実上の打切りみたいなものですな。
  406. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 別な方法、作戰を以てやる外ない……。
  407. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの方では拘留を希望しておられるのですか。
  408. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 勿論拘留はつけて呉れるというような観点から令状を請求したのです。
  409. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 要求したのですか。
  410. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) はあ。
  411. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 係検事はその必要なしとして放したのですか。
  412. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 一応検事局へ送ります。送ればこれは当然一応調べます。調べて検討した結果、これは拘留不必要というような決定をされてしまえば止むを得ないんです。
  413. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その場合にあなたの方で異議を言わなかつたのですか。
  414. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それは連絡してあります。
  415. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 不服の旨を申上げたんですか。
  416. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 連絡して、何とかこういう将来の見通しもあるからこうだというような意見は附してありますが、併しその後も上司との連絡もあつたと思いますが、これは拘留不必要というので、釈放になるというような決定を受けたわけです。
  417. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、そうなれば事件は事実上立たなくなつて來ます。困難になつて来ますね。
  418. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) まあ困難ですね。
  419. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その後あなたの方が自主的に捜査を継続なさいましたのですか。
  420. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) その方法ではできない。できないから別な方法を採らなければ困るんです。
  421. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 諦めちやつたんですか。
  422. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 諦めるということはしませんが、いつ又どういう方法で浮び上つて、やらなくちやならんというような態勢は整えておりますが、併し前に繰返して、拘留不必要で以て決定されるような状況では、これは駄目なんです。別な作戰を練つてやらなくちやならん。
  423. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 事実上やりにくくなりますね。
  424. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そうです。その期間内において実際内偵を進めておつても、時が延びる、こういうことはあります。
  425. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 検察官の方からは、特段にあの事件はこういうふうに捜査して呉れというその後指示もないですか。
  426. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) その後の指示はありません。併し当然書類を全部送つてありますから、検察庁の方では捜査中である……。
  427. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 検察庁はお止めになつたんですか。
  428. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 私はそう思います。
  429. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなた方としてはちよつと投げた形ですね。
  430. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 検察庁の方からは指示がないんです。
  431. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは警視庁内に、元警視庁に関係していらつしやつた知名の人ですね、警視庁に在職しておつた人が多いようですが、そういう人が何かグループを作つておるということを御存知あつたのですか。
  432. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そういうことは知らないんです。
  433. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう人がそのグループでいろいろなことを協議して、そうしてその結果を警視庁に持込んで、警視庁の枢要の人々を動かして、いろいろな揉消したいうようなことがあるということは御存じないですか。
  434. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 二回私が勤務してからこういう問題は初めてなんで、どうもその点はデリケートな問題で、問題は分らんですね。
  435. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御存じないですか……そういう噂をお聞きになつたことはないですか。
  436. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) どうも私らには全く分らんですね。
  437. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か町村さんとか、衣川、相川、廣岡とか、上村、秋山、川口、原、倉井、日野、藤田、折田、高橋とか、こういうような人が一つのメンバーになつてグループを作つておる、そういうメンバーによつて決定されたことといつては語弊があるかも知れませんが、警視庁の事務の方にいろいろな影響を及ぼしているということは、噂にもお聞きになりませんか。
  438. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そういうことは聞いていないですが……ちよつと思い出したのですが、張本という名前をおつしやつておりますが。張本氏も私の身辺を窮つたということの噂を聞いたのですがねその当時……真僞はどの程度か分りませんが……。
  439. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでは主訊問は大体この程度で……。
  440. 小林英三

    小林英三君 宗像証人お尋ねいたしますが、これは一問一答でお許しを願いたいと思います。
  441. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どうぞ。
  442. 小林英三

    小林英三君 先ず承わりたいと思いますことは、先程委員長からあなたに対して、あなたの身辺を監察官か何か殆んど総動員で調査をしたというようなことを委員長お尋ねになつたのでありますが、それに対するあなたの御返答が極めて曖昧であつたんですが、はつきりして置きたいと思います。そういう事実が本当にあつたかどうか、又あつたとすればどういう根拠でそれが分つたかどうか。
  443. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それははつきりして貰いたいと言われてもちよつと。
  444. 小林英三

    小林英三君 まあはつきりして貰いたいということは、誰かから簡單に聞いたくらいでそうだつたんだろうぐらいに思つておられるのか、或いはそういう具体的な事実があつたかどうか、そういう警察官なり監察官があなたの身辺をのみ調査するような事実があつたかどうか、そういうことを承わりたいんです。
  445. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) さあ、幾人で捜査したかということは私には分りません。
  446. 小林英三

    小林英三君 私は先程委員長から殆んど十五名の監察官でしたか、それらの人が総掛りであなたの身辺を調査しておるような印象を受けたような質問があつたんですが、それに対してそんなことはなかつたんですか。
  447. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 私はそういうことは知らないんです。何人で捜査したか全然そういうことは知らないんです。
  448. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 小林さんにちよつと申上げますが、さつき尋ねた趣旨は、監察官は大体七人で構成しておる、この七人で十五の警察と本庁とを監察する役目を持つておる。十五の警察の方を七人でやるということは、それはなかなか大変なことである。にも拘わらずその監察官の殆んどを挙げてこの人方の身辺を調査した、十五の警察の監察の方を放つて置いてそつちへ捜査を集中したんじやないかということを尋ねましたんです。
  449. 小林英三

    小林英三君 そうすると今の七人の人が十五の警察の監察を放つて置いて、主としてあなた方の身辺に一時的な、何か知りませんけれども、身辺を調べられたというようなことがあつたんですか実際。
  450. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 噂に聞いておるので、私は実際どの程度つたかということは知らない。
  451. 小林英三

    小林英三君 噂というと一人の人から聞いた噂もありますが、恐らく根拠のある噂として、あなたは信ずべき噂としてお聞きになつたんですか。ただ單なる噂ですか。
  452. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 庁内で噂を聞いたんですから、実際又一歩進んで実際調べたかどうかということを聞けば、これははつきりするんですが、さようなことは私は知りません、やらなかつたんですから……。
  453. 小林英三

    小林英三君 それではその問題につきましてあなたも專門家でいらつしやいますから、自分の身辺を捜査されておるかどうか、或いは取調べを受けておるかどうかということはよく分ると思います。勘で分るんですが、そういうことはなかつたわけですね。
  454. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 恐らくやつているだろうという勘はありましたね。
  455. 小林英三

    小林英三君 そういう勘はあつた……。
  456. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 恐らくそういう噂もあり、新聞にもちよつと見えたようですし、恐らく或いはそういう調べをやつているだろうという感じはありましたね。
  457. 小林英三

    小林英三君 それはどういうところからそういう感じが出て来たでしようか。あなたの噂というものを、自分の上司か、或いは友人か、或いは庁内のどなたか仲のいい人か、或いは自分と同じ系統の人かどうか知りませんけれども、そういう噂を聞いておることを前提としてそういう感じを持たれたんじやないですか。事実があつたんですか。
  458. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 事実ということになると困るんですが……。
  459. 小林英三

    小林英三君 今の七人の監察官が総動員で、外の警察の方を止してあなたの身辺の調査をやつたということはどうして分りましたか。
  460. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それが分らない。私は今委員長さんに答えたばかりである、そういうことは分らない、併し噂は聞いている。
  461. 小林英三

    小林英三君 それから今の贈賄事件ということは、あなたは先程贈賄事件という言葉で言われては困りますというようなお話もありましたが、要するに人に物を贈つたり受けたりしているような問題、これは何ですか、何年頃から何年頃ありまして、それからいわゆる詐欺事件というものは何年頃から問題がこの事件についてございましたか。
  462. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それはどういう意味ですか、もう一遍おつしやつて頂きたいんですが……。
  463. 小林英三

    小林英三君 つまりこの事件につきまして、五井産業の事件につきまして、つまり佐藤昇というものが贈收賄しておるというようなことは、何年頃から始まりまして例えば昭和二十年とか、二十一年とか、何年頃まであつたか。それから詐欺事件というものはそれと併行してあつたのか、或いはその最初の贈賄なんかの行われた後に、詐欺事件というものが起つて来たのかということです。
  464. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それは明瞭には調書を見ないと分りませんが、詐欺に関しては、詐欺の犯行は、大体二十三年の暮から二十四年の六月の間にできた問題ですが、それは直接の問題として、私の方では調べなくちやならん。併し何故詐欺をやらなければならんか、或いは金銭の……。
  465. 小林英三

    小林英三君 私の言うのは、いわゆる涜職の問題、贈賄の問題というものは、それより前に起つたのですか。そうすれば二十三年のあなたが言われた……。
  466. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それは贈賄とか何とかいうような決定的の言葉で聽かれるのは困るのです。何故彼等がとにかく官界、政界に金をばら撒いたかというような、つまり刑事上の問題ですね。これは先程も申上げた通り、この詐欺事件というやつは、繊維を主体としてやつておる、繊維関係、衣料品ですな。衣料はいつから始めたかというと、要するに二十一、二年から始めておるのです。国富繊維と称する会社を建てて、そこから金を逐次どういうところに社交上使つておるか、どういうふうな穴をあかしたか、それは調べなければ分らんのです。それでよつて現在に至つたのだというところまでやらなければ分らんのです。それだから結局二十一、二年から以降において刑事状況を調べた結果が、その間の社交上の金銭がそういうふうに現れたということを私は言つておるわけです。
  467. 小林英三

    小林英三君 それで何ですか、今の贈收賄事件といいますか、或いは今の金銭をばら撒いたという事件は、大体いつ頃が最後に終つておるのですか。そういう関係はいつ頃からいつ頃が最後に終つておるのですか。
  468. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 今申した通り二十一、二年から逮捕直前までです。
  469. 小林英三

    小林英三君 逮捕直前、それから詐欺事件というのは今の二十三年十二月頃から行われたわけですか。
  470. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 十月秋ですね、つまり昭電で佐藤が出てからですね。
  471. 小林英三

    小林英三君 十二月……。
  472. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 昭電から帰つて来たのはいつでしたか忘れましたが、出て直後からですね。
  473. 小林英三

    小林英三君 十二月頃ですか。
  474. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) いやもつと前からですね。
  475. 小林英三

    小林英三君 そこでまた承わりたいことは、この問題に対して世の中でですね、つまり詐欺によつて得た二千何百万円と申しますか、金額はよく分りませんが、相当の金額を二千万円とか或は二千五百万とかいう……、詐欺によつて自分が不当利得した金を以て官界方面その他に金銭をばら撒いたというように、我々もそうでありますが、世間では誤解しておるんですが、今のあなたの話を聽きますというと、むしろ金銭をばら撒いた方がずつと年代が先になつておる。そうして詐欺事件をやつたということが、むしろ日限的に言えば最近のものになつておる、こう考えられるのですが、そうですか。
  476. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それは巷に伝えられる話は、私共とらないのです。どういうことを報道されようと、それはもう正しくあろうと、正しくなかろうと、そういうものに私も拘泥しないのです。実際捜査はこういう方針で行かなければいかんということでやつておるんですから、あなたにそういうことを聽かれても答弁する必要はないですね。
  477. 小林英三

    小林英三君 いや今私の申しますのはですね、日限の前後を聽いておるんです。
  478. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 前後は調書を見なければ分らんというのです。私が限定されて言われても実際記憶に今ないです。いつからいつまでにそういうことがあつたかということは、相当数の調書になつておるので、どうもそう限定されて聽かれると、そうだということは言えないですね。
  479. 小林英三

    小林英三君 それじやその問題は又あとで聽くことにいたしましよう。それからあなたがまあ佐藤の取調べにお当りになつたそうですけれども、この佐藤の取調べに当りまして、捜査の二課の他の人が、涜職の犯罪事実はないというので、取調べの打ち切りを主張したということに対しましてですね、課長が頑強に取調べを続けて呉れというような事実はありますか。
  480. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 何ですか。
  481. 小林英三

    小林英三君 つまり佐藤の取調べに当りまして、あなたの方では、捜査二課の他の人は、涜職の犯罪事実はないようだ、それは金をばら撒いたということは多少あつたかもしれんが、涜職の犯罪事実はないから取調べを打ち切つたらどうかということを主張された方々が、たまたまあつたのに対して、課長はこれを頑強にその取調べを……。
  482. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 誰がその主張をしたんでしよう。そういうことを。
  483. 小林英三

    小林英三君 それは係長とか何とかいうような……。そういう事実がありますか。
  484. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そういうことは知らんですね。
  485. 小林英三

    小林英三君 それからあなたが佐藤を取調べた際に、人権蹂躙というようなことはなかつたでしようか。
  486. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 絶対にありません、そういうことは。
  487. 小林英三

    小林英三君 例えばそれに白状さすために、言わすために、大声を挙げて怒鳴るとか、或いは時間などは夜遅くまで取調べるとかいうような問題はなかつたでしようか。
  488. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) むしろ感謝しているでしような佐藤は。
  489. 小林英三

    小林英三君 これは時間なんかについては、遅くまで取調べたことは……。
  490. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 雑談してなんですね、食事を夜遅くも、是非熱いものを飲ましてくれというようなことで、家族が持つて来たような場合には、よしそれじや僕が遅くなつても、熱いうちに食べろというふうにして便宜を計つたことはありますがね。
  491. 小林英三

    小林英三君 いや取調の時間が夜遅くまで亘つたということはありませんか。これは警視庁の留置簿の出入りを調べれば直ぐ分るわけです。一応分るわけですが、そういうようなことをあなたが遅くまで時間をかけて調べたというようなことはありませんか。
  492. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そう遅くまでとは思つていませんがね。これは不法に遅くまでというように思つておりません。
  493. 小林英三

    小林英三君 それからもう一つお尋ねしたいことは、なんですね、この問題は、五井事件というのは、つまり佐藤昇という人の大きなまあ詐欺事件というものが主なんですが、どうも世の中の人々が、何か政界の大立者がこれに関係しているかのごとき印象を受けている、これは事実であつたら非常にこれは国家として悲しまなくちやならんと思う。そこでこの問題が新聞紙上に逸早く先般載つた、そのときに、これは証人がですね、証人が読売新聞の或る記者に酒を飲まして、そうしてこれを発表をした、こういうことを我々は聞いておるんですが、そんな事実はないですか。
  494. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 私が誰に酒飲ましたんですか。
  495. 小林英三

    小林英三君 それは読売新聞の或る記者に。或る所え連れて行つて酒を飲まして、是非これを発表して貰いたいというようなことを言つたという。
  496. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そういうことは絶対ありません。酒を飲ましたというようなことは絶対ありません。
  497. 小林英三

    小林英三君 読売新聞の津田という記者をあなたが或るところえ連れて行つて酒を飲ましてこれを発表して貰いたいということを言つたというが……。
  498. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 絶対ありません金は……。
  499. 小林英三

    小林英三君 金じやない、酒を飲まして……。
  500. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 絶対ありません。
  501. 小林英三

    小林英三君 それからもう一つ承わりたいのですが、あなたがまあ二十何回か佐藤に対して調書を取つた、その調書は今検察庁え行つておるわけです。その調書が現在社会党の某代議士の手に写しが二通手に入つておるのですが、それはあなたの手から渡されたという噂さがあるが……。
  502. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 絶対渡した覚えはありません。
  503. 小林英三

    小林英三君 社会党の猪俣浩三君というのと鈴木茂三郎君の、代議士ですね、この二人に調書の写しがあなたの手から渡されておる。
  504. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 絶対そういうことはない。絶対そういうことはない。私はそういう人を知らない、二人とも知りません。会つたこともないのです。私は知らんです。
  505. 小林英三

    小林英三君 それから先程の委員長からの、今の、金をばら撒いたという問題について委員長からあなたに御質問になつた中で、名前を挙げられて金額を言つておられたのですが、これに関係しておる人がおりますかという問に対して関係しておる人物がおりますということをなんですが、その関係しておるという言葉は、これは私ははつきりしないけれども、関係しておるということは、それに関係しておれば、やはり自分が罪を犯しておるとかおらんとかいうのではなくて、つまりたまたまそこに名前が出て来たという意味じやないですか。
  506. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それは了解して頂きたいのですが、その点は今、先程申上げた書類は全部検察庁に送つてあります。今それは捜査進行中なんでして、私はそういう佐藤の事業について逐一調書を取つてありますが、その今お尋ねのような問題は私からは申上げられないですな。
  507. 小林英三

    小林英三君 よく分ります。ただ私はこの問題が私自身が法務委員としてここに座つておりまして、そうして先程委員長からあなたに質疑応答をしておる、あにたは証人としてお答えになつておる、それを漠然として聞いておりますと、例えば世の中では五井産業事件というと、政界に非常な大きな贈収賄でもあつたように考えておるのです、その頭に……。簡單に考えるというとそこにこういうような、吉田茂が三十万、増田甲子七が六十万これに関係しておりますかいないかと聞いたときに、これは関連しております、関係しておるということになりますと、それは金銭を受けたというように我々は考えられます。
  508. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それじやどういうふうに言つたらいいでしよう。(笑声)
  509. 小林英三

    小林英三君 ですから仮に五井産業の佐藤昇があなたの取調べによつて、それはいろいろなことを言つたかも知れません。例えば福田代議士を通じてどうこうしたとか言つたかも知れません。併しそれは調べてみないと分らない。関係しておるというのでなしに、たまたまそういう名前が出たという程度じやないですか、あなたが調べた結果は……。
  510. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 名前は出て来ております。併し内容は、これは記憶も明瞭でもありませんし、捜査中ですから、私から申上げられないのです。
  511. 小林英三

    小林英三君 それから今の委員長の御質問に対しまして、佐藤の供述の信憑力と申しますか、どのくらい程度に信用したらいいかという御質問があつたようでしたが、あなたは、つまり詐欺事件の問題に対していろいろな詐欺をやつておる、これはもう十件や二十件ではない、或るところでは倍も、数倍もあるかもというようなことを言つた、それは主として詐欺事件の問題ですね。信憑力という委員長質問に対して、私はもう十分佐藤の言つておることは信憑を十分しております。これは、調べられておる奴というのは、なかなか吐くものではなくて、たまたま調書にあるものの何倍もやつておるのですというようなことをおつしやつたが、それによつて信憑力があるというようなことをはつきりおつしやつたようですが、これは佐藤の詐欺事件の問題ですな。
  512. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それは限定されるとそうだというようには私は申上げにくいのですね。併し過去の経験からそういうふうな感情を持つておるのです、私は。
  513. 小林英三

    小林英三君 感情はよく分つておるのですが、今あなたの取調べによつて佐藤に調書を書かして、白状したといいますか、そういうことは委員長の信憑力如何という問題に対して、あなたはもうこれは私の今までの経験上、そういうものは何倍もあるものを匿すのは……。
  514. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それは自供した佐藤の調書はありますが、その或る部分は虚僞の事実であつて、或いは状況とか金額とかいうような問題は本当であるか、或いは一方に何か大きなものを匿しておつて、ちよびつとその小さいものを出すというような場合もあるのです。ですから私は先ず私の調書も取る相手の、或いはこれは勘といいますか、捜査上の勘といいますか、先ず私には本当の、それは外に何か別の明題が残されておるかも知れませんが、併しとに角あの状況を私に話したことは大体本当だ、こういうふうに思うのです。
  515. 小林英三

    小林英三君 私が聞いておるのは信憑力という問題につきまして、あなたが必ず佐藤の言つておることは、取調べたことは信用がおけるのだと言つたことは、主としていわゆる佐藤の沢山やつておる詐欺事件に対して言われたことかということを聞いておるのであります。今の金銭の受理とか政界にいろいろな関係があるとか、そういうことについて言つておるのではないでしよう。
  516. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 今委員長さんのお尋ねの問題は、つまり社交上に金をばら撒いた点についてこれはどうだという、つまり刑事上の問題です。どうだというふうに私は感じたので、先ず私はその調書を取る状況から、いろいろ過去の経験から見て、私共はこの中は嘘を言つておる、一応嘘でも調書へ取れという場合もあるわけです。又同じことを二回取る場合もあるのです。だんだん真実に近寄つて来る、つまり同じ事項でも五回くらい取る場合もあります。そういうような状況から見て、私はほぼこれは先ず匿しのないところだと思つて調書を取つておるわけです。だからいきなり聞いていきなり書くというようなことをする場合もあるし、しない場合もある、何遍も……。これは余談に亘りますが、調べというものは本人がまことしやかに自供するわけです。一旦私は崩して見る場合もある、君、それは嘘ではないか、自分の方に証拠を握つてつても、君はそれは嘘ではないのか、そういうことになると君はえらい損をするではないか、君を一方には助けたいのだ、なぜ本当のことを言つて、全部真実を言わないのか、こう一旦は崩す場合もある、だから私は感じた状況からして、佐藤から取つた調書についてはこれは先ず真実を言つておる、という意味も私は言つたのです。
  517. 小林英三

    小林英三君 そこで今あなたのおつしやることと、それから先程委員長が読み上げられた、例えば福田篤泰代議士四十万、吉田茂は福田代議士を通じて三十万、或いは増田甲子七六十万、江花靜代議士四十万、その他鉱山保安局長の岡田さんが三百五十万というふうにいろいろ読上げられた、これを先程のどのくらい信用がおけるかという問題について御質問があつたのと関連して考えると、これが如何にも事実のように考えられるのです。それについて私は聞いておるわけです。
  518. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) その点先程私はお答えしたと思うのですが、今読み上げられた問題はそれだと断定し兼ねる。何故かというと、私は沢山の調書を取つているので、少しも私はメモを持たないのですが、従つて他に漏洩することを惧れて私はメモを持たないので、どうもここに臨むのに検討して見たわけでもなし、一切書類は全部送つてあります。飯塚係長を通じて検察士に送つてあるので、今読み上げられてもそれに間違いありませんというわけにも行かないし、そういうことは記憶にないし、はつきりしないから、更にそれが又犯罪になるとかならないとか、贈賄になるとかならないとか、その問題は今捜査中でありますから、申上げられないです。
  519. 小林英三

    小林英三君 もう一遍聽きますが、私が、読み上げたようなこの人物は、これはたまたま調書の中に名前が出て来たということに解釈してよろしいのですか。
  520. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) その程度に記憶しております。はつきりどうも記憶がないのですが……。
  521. 遠山丙市

    遠山丙市君 証人に二、三お尋ねいたしますが、大体お尋ねいたしまする点は、小林委員からのご質問で明瞭になつたのもありますが、ちよつと明確を欠く点がありますので、御答弁を願いたいと思う。それから又小林委員お尋ねにならなかつた点に触れて一、二点お尋ねしたいのでありますが、最初にお伺いするのは、あなたの身辺を狙つたというのか、私は警視庁の言葉はよく知りませんが、どうも仲間が仲間の穴を掘るということはあり得べからざることと思つておりましたが、ありそうな話だと承つておりますが、今度のことについて相互に、あなたばかりでなく、互いに穴の掘り合いというようなことが始まつてつたのじやないか、そんなことは聞いておりませんか。
  522. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そういうことはない。
  523. 遠山丙市

    遠山丙市君 こつちから捜査してやつをとつちめてやろう、そういうことはなかつたですか。いろいろあなただけ專門に掘られておつたかどうか。
  524. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それはどういう意味でお話になるか存じませんが、伊藤事件如何にして証拠を蒐集して起訴まで持つて行くかということに忙殺されておりましたので、私としてそういう余裕はありません。
  525. 遠山丙市

    遠山丙市君 あなたの御記憶では、自分だけがどうも掘られておつたように思うが、外の方は知らんというわけですね。
  526. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 分りません。
  527. 遠山丙市

    遠山丙市君 その次は逮捕がその後二度ありましたですね。逮捕が……。
  528. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) ありました。
  529. 遠山丙市

    遠山丙市君 それですから、前の逮捕の期間が経過してしまつて、後の逮捕令状が出るその間をおつぱなさなくちやならんのに拘わらず、切れたのにまだ掴えておつたという事実はございませんか。
  530. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) ありません。一応釈放して……。
  531. 遠山丙市

    遠山丙市君 一応釈放して今度新らしく出て来ておつて、その間、法に基かずして抑えておつたということはありませんね。
  532. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) ありません。
  533. 遠山丙市

    遠山丙市君 間違いありませんね。
  534. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) はあ。
  535. 遠山丙市

    遠山丙市君 人権蹂躙というと話は大げさになりますが、何か被疑者佐藤を大勢で刑事が取囲んで馬鹿野郎という言葉を連発し、よつて以て相手を相当威嚇して、然る後にお調べになつたような事実は断じてありませんかどうか。
  536. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) ありません。それはこの調べは参考に申上げますが、捜査二課の二係長の飯塚警部を主体として、或いは他の刑事を使つてつた場合もありますが、そういうことは絶対にありませんね。
  537. 遠山丙市

    遠山丙市君 ない……。それからいよいよ佐藤が放されますという前日、多数の記者をどの部室か分りませんが、新聞記者をお集めになつて、その中に読売の記者もおつたと聞いておりますが、この事件内容を新聞社諸君に漏らされて、その席に酒が出ておつたということを聞いているのであります。而もそういつた記者の中には、証人に出てこの点を明瞭にしてもよろしいという記者もおりますが、そういうことが果してありましたかどうか、お尋ねいたしておきたい。
  538. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それは場所はどこでしようか。
  539. 遠山丙市

    遠山丙市君 警視庁の中であります。部屋は私聞いておりませんか……。
  540. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それは私は知りません。
  541. 遠山丙市

    遠山丙市君 あなたは知らない。
  542. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 知りません。
  543. 遠山丙市

    遠山丙市君 あなたの上司か何かで、そういうことをやつたということをお耳にしたことはございませんか。
  544. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 私は聞いておりませんですね。
  545. 遠山丙市

    遠山丙市君 聞いておらない。
  546. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) はあ。
  547. 遠山丙市

    遠山丙市君 それからこれも小林委員からも聽いているのでありますが、明瞭を欠くので、私は要点だけを摘んで聽いて、極めて簡單に御答弁願いたいと思うのであります。この厖大な調書でありますから、御記憶がない、こういうような話でありますが、こういう御記憶はありませんか。詐欺事件として掻き集めた金で金をばら撒いたものか、ばら撒いた金というものは、詐欺事件関係がない金かどうか、こういう点だけはお分りになると思いますが、お答え願います。
  548. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そういうことはどうも記憶にないし……。
  549. 遠山丙市

    遠山丙市君 重大なことだから御記憶がありそうに思うのでありますが、なければ仕方がないが……。
  550. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 調書を見れば答えられると思うのですが、どうも今のところそういう限定したことをお尋ねになつても、はつきりしたことは言えないのですが……。
  551. 遠山丙市

    遠山丙市君 実は先般の証人、あれは松本証人等の証言によつて見ても、詐欺事件というものはずつと日にちが前の方だ……いや、詐欺事件は後の方だ、金をばら撒いたという日は、どだい日が全然ずつと先になつている、こういうことを言われており、あなたも先程の問に対しましては、詐欺事件は昭和二十三年十二月から始まると言つて、後では十月と訂正されておつたようですが、昭和二十三年十月から二十四年六月頃までに詐欺事件というものは行われたのだと仰せになり、金をばら撒いた……私は涜職という言葉は使いませんが、金をばら撒いた事件は、ずつと前の昭和二十一年の二月頃からずつと後まで来ていると言つているまうですから、あなたのお言葉から見ましとも、全然先えばら撒いておつて、殊る後に詐欺行為というものは後日出て来たように聞えたのでありますが、そういつた一体このばら撒いた金というものと、詐欺をして来た金というものとは、全然関連性のない、いわゆるこれで詐欺をして来て、その詐欺で得た金をばら撒いたとはならんように思いますから、日にちの点から推してお尋ねしているのですが、どうですか、大掴みのことでよろしいのですが……。
  552. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それは先程お尋ねのときに答弁をした通り、つまり直接の当時の詐欺の犯行状況ですね、それとその経営しているところの事業面において、どういうふうな経過を辿つて詐欺を決意し、詐欺の犯行を企図して、そうしてやつたかということも、心証を取らなければ、この事件というものは、それは先ず上乘ではないのです。従つてこの佐藤という男は確か昭和二十一、二年頃から国富繊維株式会社というものを創設して、社長となり、繊維を取扱い始めたのですが、大体その資本金の運営、それからその闇の融資問題、そういう社交上の問題というようなことから調べて来た、その間に出て来た問題だということを答弁したわけなんです。
  553. 遠山丙市

    遠山丙市君 そうするとその日にちの点はどうですか。
  554. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) どうもそれも調書を見ないとどうもはつきり申上げられないのです。
  555. 遠山丙市

    遠山丙市君 あなたは聽取り書きをお取りになる担当者で、前後二十四、五回に亘つてお取りになつておるということでありますが、これは私は重要なことだと思いますが、世間では何か人を騙して掻き集めて来た金をばら撒いたようにも言い伝えられておりますから、これは事実かどうかは知りませんよ、知りませんから、あなたの御記憶では日にちの関係上……、くどいようで恐縮ですが、この集めた金というものはずつとあとである、ばら撒いた金はあなたから仰せになつても先になつていますから御関係はないように思うのですが、それとも関係ありと、こういわれるのですが、それはよく分らんといわれるのですか、日にちでよろしうございますから、あなたも日にちから推して行くと関係ないように見えますから御質問いたしますのですが。
  556. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) どういうところお尋ねになるのですか……(笑声)どうも私は直接の詐欺犯行の中核となる問題と、その前後関係をはつきり明瞭にしなければ、詐欺問題というのは成立たないのです。つまり詐欺をやつた、金を騙してとつた、相当の金額があつて、返し得る状況にあつて、尚且詐欺をやる人物もありますが、本当に詐欺を働く者は、外に借金があつて金が一銭もない、あらゆる状況、前後の状況を調べて、どうしてもこれは拂う気はなかつたのだ、品物を売ると称して品物を入れる気はなかつたのだというところの心証をとらなければ、これは実際の捜査上からいつて上々ではないということを先程申上げたので、その間における過程なんで、私は限定されて……。聞かれると記憶がない。
  557. 遠山丙市

    遠山丙市君 限定しているわけでも何でもありません。いや尋ねる趣旨がまずいからお答えにくいかも知れませんが、私の見るところでは、どうも私の問うことにお答えにならんようですから、こんなことはくどいことをいつてもしようがありませんが、ただ今のあなたの御説明の詐欺犯罪というものの成立つには非常に困難な事情ということについての御説明はよく分るのです。その詐欺犯罪を問われて、これをいよいよ公判に付するまでの御苦労はよく分りますが、そのことをお尋ねしているのでない。あなたの述べられたこと、並びに松本捜査課長の述べられたことは辻褄の合いまする点は、詐欺をやりました点と、金をばら撒いたという点、これがいずれも別な目にちであるということはよく合つておる。それで先にその金をばら撒いたということもよく分る、日にちの関係で……。あとから詐欺事件は何月何日に何が誰を欺瞞してこれを詐取したということは、先になりますと何月何日ということをあなたの方で押え込んでいると思いますからそれで聽くのですが、それですから先に金はばら撒いた、何月何日、日にちはいわゆるずつと後に詐欺をしているという日の点において、どうしても詐欺をして来た時にちというものが先であればともかくですが、後ですからそこのところはあなたのあつさりした考えから推して來ても関係がないように思われるのですが、それともあると仰せになるかという点、あればその理由如何という問題であります。
  558. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) だから今申上げた通りなんです。
  559. 遠山丙市

    遠山丙市君 申した通りなんですが、さつぱり分らないのです。他の委員でもお分りにならんと思う。そこは止しましよう。  ちよつと最後の一点だけ誠に時間を取つて恐縮ですが、先程委員長さんがお尋ねになりましたる誰々に幾ら金をやつたとずつとこうお読みになりましたが、あの資料委員ところへ廻つておりませんが、あれはこれを要求した大野さんのお出しになつた中に載つておるのでございましようか。どうでございましようか。私も今書いておりますけれども(「証人に尋ねて御覧」と呼ぶ者あり)いや委員長さんに……。
  560. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これは大野さんからは出ておりませんです。私の蒐集した資料からお尋ねしたわけです。
  561. 遠山丙市

    遠山丙市君 ちよつと一言だけ、どうでございましよう。これは証人お尋ねいたすのですが、これは私はこの段階差支えないと思つてお尋ねするのですが、この福田、吉田、増田その他の人が沢山出ておりますが、(「それ聞け」と呼ぶ者あり)あなたの御記憶でもうあつさりと(「そう」と呼ぶ者あり)一体こういう金を福田代議士に渡した、これは犯罪になつておるかどうか知らんが、吉田に対して福田代議士を通じて三十万円と書いてあるが、これは一体吉田茂というものは受取つておるものかどうかの筋はどうだ、増田甲子七代議士はどうだという点を、若し差支えなければもうすつかりここでぶちまけて、そうしてすつかりお話を願うということが私は一番いいと思うんです。これはどなたが警視庁の人が出て来てもその点に来るとおつと待つたという形になりますので、一つ是非証人差支えなければ述べさして頂きます。委員長さんからも特に御注意願いたい。
  562. 大野幸一

    大野幸一君 委員長関連して一つ。これは私はその第一点だけお尋ねしようと思つて、先程から発言を求めておるのです。あなたのいう理由に二つあります。この点に関して記憶がはつきりしない。すべて調書に記載されて送つてある。記憶がはつきりしないということと、捜査中であるという御理由で二つとも御尤であります。そこで記憶ということは今委員長は福田代議士、吉田茂、増田甲子七、こういうふうに読上げられて余り注意しなかつたのですが、吉田茂というのは総理大臣、増田甲子七というのは国務大臣、官房長官である有名な人の記憶というものはそう薄らぐものではない。そこで私はこの三、四人の名前について記憶がないということは首肯ができない。そこで捜査上というお話でありましよう。併しこれがもし名前に入つておれば、これは総理の名前が入つておるなあというと、証拠の湮滅にかかる惧れがありますが、ですからこれは入つておれば言うことができない場合もありましよう。併しその名前が入つていないというあなたの御信念があるならば、も早や吉田総理大臣、増田甲子七両氏については名前を記憶しないと、あなたがはつきりお答えできるかどうか。私はこれは遠山議員に敬服いたしまするが、遠山委員の補充訊問と揆を一にするものでありまして、私は昨日の松本課長にこの点をお尋ねいたしましたら、否定はできないというお答えを得ております。併しあなたは今ここでその両氏の名前はあつたかないかということを若し言われるのであつたならば、なかつたらなかつたと、あつたらあつた言つて頂ければ結構ですがどちらですか。
  563. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 吉田首相と、福田代議士の問題は一緒に事情をそのまま調書にとつたと思います。増田官房長官のはやはりこれも一回通して調書をとつて、私は二十四、五回調書をとつたのだが、参考人から聞いたそういうものを入れると、これは二十四、五回ではない。実際私は恐らく数十回とつておるだろうと思います。そういう関係で私は記憶が明瞭でないのですが、調書の中に増田官房長官から礼をいわれたようなことも内容にあると思います。調書をとつてあります、それは。
  564. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 補充訊問で大体委員の聽くという核心に触れて來たようでありますけれども、私は四、五点、率直に一問一答で答えて頂きたいと思います。それは築地の田中において、明日逮捕されることを鈴木恭二がすでに知つてしまつたというようなことを、あなたがそれを知悉したということは聞いて知つたのか、職務上の勘で知つたのか。若しも聞いて知つたとするならば誰からそういうことを聞いたのか。
  565. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それは覺えないですが……、そういう噂はあつたですね。
  566. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 もう一つ、九月頃に或る人物が介在しているから注意しろということは課長から言われましたね。そうしてそれが佐藤昇である。而もその人間は警視庁に出入しておつて事件に介在していることが分つて来たといわれましたが、それはどこから誰に聽いて分つたか。或いは噂によつてそういうことを知つたか。
  567. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それは一種の捜査技術ですが、その点はどうも……。明瞭に申上げられないですが……。
  568. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 ではいいです。それからもう一つ、佐藤の社長をやつております五井産業並びに国富繊維でありますが、五井産業の資本金と国富繊維の資本金について御記憶あれば御供述願いたい。
  569. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) ちよつと忘れました。
  570. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 それからもう一つ、佐藤の出生地、それから佐藤の経歴の概略、これは如何ですか。
  571. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 出生地は確か北海道だつたと思うのですが……。大体中大に席を置いて相当苦心した男ですが、戰争後に発達した会社ですから……。
  572. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 それじやもう一つ、佐藤個人の資産状態はどのくらいであつたか御記憶ありますか。
  573. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 大体一番最高潮であつたのは何といつても昭和二十三年の初め、二十二年二十三年ですね。あと昭電疑獄で以て小菅に收容されて、出て来て直後は言行を調べても分つたのですが、非常に貧弱なものでした。
  574. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 大体どのくらい……。
  575. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そういうことは……。
  576. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 貧弱だということは記憶しておりますか。
  577. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 記憶しております。
  578. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 もう一つ、官界方面、或いはその他に金をばら撒いたという供述ですが、あつたことは御記憶にありますね。
  579. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 調書に取つてありますけれども……、全部調書に取つてあります。
  580. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 証人の御記憶はどうですか。
  581. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) どういう意味ですか。
  582. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 調書に取つてあるじやなくて、御記憶は如何ですか。
  583. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 余りこれはどうだということを聽かれますと言えないです。
  584. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 内容はいいですか、金をばら撒いたという事実があつたかという……。
  585. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 事実はあります。
  586. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 その供述は。
  587. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) あります。あることは全部調書に取つております。
  588. 遠山丙市

    遠山丙市君 一点だけ、さつき大野委員ので、ちよつと私は聞こえなかつたのですが、よく聽いてみると誠に重大らしいから一言聽いて見たいのですが、佐藤の調書の中に、増田さんが有難うということを言われたということを言われましたね。それは間違いございませんか。
  589. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そう記憶しているのです。
  590. 遠山丙市

    遠山丙市君 実は増田長官は予算委員会だと思つておりますが、そこでの答弁ではその話は全然否認しておられましたが、あなたのところで増田さんを呼んで、有難うということを言われたことがあるか、あなたはどうでございますか、ということを増田さんを呼んで調べたことがありますか。
  591. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それは調べない。佐藤を調べたところが、自供によつて得たる事実をそのまま調書に取つたのです。
  592. 遠山丙市

    遠山丙市君 それは反対の人から確かめたという事実はないのですね。
  593. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) ありません。
  594. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 委員外の板野勝次君から発言を求められております。これに許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  595. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 極めて簡單に、五分間ぐらいでお片附け願いたい。これを許可いたします。
  596. 板野勝次

    委員外議員(板野勝次君) 最初にお伺いしたい点は、昨年の味の素の事件を担当していた地検の加藤検事が鈴木恭二を逮捕した後に横浜の地検に転任を命ぜられ、堀検事正の子分というのですか、環検事に代えられたということをあなたはお知りになつておられますか、御存じですか。
  597. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 知つております。
  598. 板野勝次

    委員外議員(板野勝次君) 御存じですか。これは聽き違いかも知れませんけれども、先程の証言で、二月二日後三度目の逮捕請求を行なつたとの証言でありますが、逮捕請求の月日は……。
  599. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 三度目はやつておりません。二度目です。
  600. 板野勝次

    委員外議員(板野勝次君) 二度目ですか、二度目の日にちは……。
  601. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 二度目は一月三十日です。
  602. 板野勝次

    委員外議員(板野勝次君) それからその逮捕状の請求が検事から拒否されたということを言われましたが、その検事の名前は何というか。
  603. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 二度目はそういうことはありません。
  604. 板野勝次

    委員外議員(板野勝次君) 二度目はそういうことはないんですか。一番最初は……。
  605. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) これは検事には拒否されません。
  606. 板野勝次

    委員外議員(板野勝次君) 検事が督励したのですか。
  607. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 加藤検事がその味の素の鈴木さんを、加藤検事は強行に検挙する、吉武係長は任意にすべきである、こういうわけです。
  608. 板野勝次

    委員外議員(板野勝次君) それからあなたがお調べになられる過程で、神楽坂の大野屋とか、或いは下谷のうた藤、赤坂の一力などの待合で、佐藤と岡崎、丹羽というふうな人々がしばしば会つたということを御存じですか。
  609. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) その点は知りません。
  610. 板野勝次

    委員外議員(板野勝次君) 大体昭和二十三年頃からの問題なんですが、それはそういう調査の過程でお知りになつたという事実はないわけですね。
  611. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) ありません。
  612. 板野勝次

    委員外議員(板野勝次君) 調書にも出てこないのですか。
  613. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 記憶がないのですがね。
  614. 板野勝次

    委員外議員(板野勝次君) 記憶にないので否定もできんということですか。
  615. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それは細かいことですから……。
  616. 板野勝次

    委員外議員(板野勝次君) 併しそういう待合というようなところに出入りするということは、いろいろな事件調査して行く上には非常にあなた方は神経を尖らす部面じやないかと思うのです。
  617. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) はつきりしませんね。
  618. 板野勝次

    委員外議員(板野勝次君) 不明瞭だという……。
  619. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 確答できません。
  620. 板野勝次

    委員外議員(板野勝次君) それからもう一つですが、これは増田官房長官と岡崎、丹羽ですね。こういう人が内幸町にあつた増田さんの事務所でしばしば会つたということを、やはり捜査の結果、若しくは調書の上でお知りになつておられるかどうか。
  621. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そういう状況もあつたように記憶しますがね。どうもそういう状況の詳しいことは、どうも先程から何遍も申上げているのですが……。
  622. 板野勝次

    委員外議員(板野勝次君) 併し全く何と言いますか、吉田茂、増田甲子七といえば天下の名士ですから、記憶は薄いが、全くそんな事実はなかつたという否定的な記憶というものはないわけですね。
  623. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) ですから先程も申上げた通り、吉田首相の問題は調書を取りました。こう言つているのです。
  624. 板野勝次

    委員外議員(板野勝次君) それから増田さんの事務所で、つまり岡崎、丹羽らと会合して、そうして増田さんに選挙資金の世話を受けて、岡崎、丹羽という人が信州まで増田さんの選挙応援に行つておるというふうな事実をお知りかどうか。
  625. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それは知つていません。
  626. 板野勝次

    委員外議員(板野勝次君) それは全然記憶にもないというわけですね。
  627. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) ちよつと頭に浮んで来ません。
  628. 板野勝次

    委員外議員(板野勝次君) 大体それで結構です。
  629. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 ちよつと証人に一、二お尋ねしたいのですが、佐藤昇という方を実際に釈放せられたでしようか。
  630. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 釈放です。
  631. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 その釈放せられるときに証人の方では拘留を請求せられて、それでどなたがどなたと……、検事局の関係の方に対して拘留を請求されたのは、どなたがなさつたのですか。
  632. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) いや私の方では拘留を請求しないのですから、その点は……。
  633. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 いや拘留を続けて、取調べを続けるべきではないか、続けるべきだという考えをお持ちだつたということをさつきおつしやいましたが……。
  634. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) はあ。
  635. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 そういう意見を検事局の方へ通ぜられたと思うのですが。
  636. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 勿論通じました。
  637. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 それはどなたがどなたに御通知になつたのですか。
  638. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 飯塚係長と一緒に岡崎部長検事に行つて申上げたように思うのです。意見具申だけは。
  639. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 そうして、そのときにはそういう必要があるかないかというお答えはなかつたわけですね。
  640. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 決定はなかつたのです。若松検事が、その際調べ中でしたが、調べる前か、調べる途上において、これは拘留を続けて、更に容疑の点だけは調べるべきだ。そうもしなければ調べは困難になるということだけは具申してあると思うのです。
  641. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 あなたが……。
  642. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 私と飯塚係長と一緒ですね。
  643. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 その意見をどなたに具申されたか。
  644. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 岡崎部長検事ですね。
  645. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 そうしてその拘留の必要がないということがあなたに伝えられたのは、どなたから伝えられたのですか。
  646. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 警視庁に帰つてから電話だと思いますが、その点明瞭じやありませんが、釈放と決定するからというような通知があつたように思うのです。
  647. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 どうも有難うございました。もう一つお伺いしたいのですが、さつきの逆捜査のような意味のお話のときに、あなたのさつきの証言の中に、あなたの部下が心配するな、正正堂々と捜査を続けて行こう、こういうふうにあなたを激励されたということを述べられましたが……お述べになりましたね。
  648. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そうです。まあいろいろ噂が出まして、やはり僕が心配しますから、主任の身辺を窺うようでは、この事件はこれで恐らく打切りになるか、或いは中止するか、そういうふうな感じはするものです。従つてその際に主任がぐしやぐしやしておれば、これはもう捜査というものは当然できませんですから、いや全部僕がやるから、もう覚悟しているし、どうしても遂行しなければならんのだから、どういう迫害があつても、どういうことがあつても、主任が言つたようにしてやつて呉れということは当然常識として言わざるを得ないわけです。
  649. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 それは部下があなたを激励したのですか。部下があなたを……。
  650. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) いやいや私が部下をです。(笑声)
  651. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 時期はいつ頃か分りませんか。
  652. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それはどうも言えませんね、とにかくあつた直後です。
  653. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 そうするとそれは始まつて間もなくですね。
  654. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 恐らく十一月のいつ頃ですか、噂は聽いたと思うのですが、どうもその点はつきり分りません。
  655. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 ありがとうございました。もう一つこれは私がよく調べれば分るのかも知れませんが、鈴木恭二という方は起訴されておりますか。
  656. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 起訴されております。
  657. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 一点だけちよつと、鈴木恭二の逮捕状執行のときには、いろいろ検事や係長の間でも問題があつたのですね。そうした話は検事は直ぐ要求したのですけれども、係長は……。
  658. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 係長が出頭の形式でやれという意向だつたのです。つまり私が中に入つて検事の強硬な意見と反対な意見つた、こういうことです。
  659. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 その点はよく了解いたしておりますけれども、今度その調書を検事局にお送りになりますときに、その調書の内容について、又でき上つた調書について、まあ待てとか何とかいうような、そこに何と申しますか、何にも各方面から問題ございませんでしたか。
  660. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) でき上つた調書については、その調書でなくて逮捕状を請求する請求書というものを作成せにやいかんのです。それにやはり役所のことですから上司の決裁というものを入れなくちや、私共それを執行すること、手続することができないのです。執行する場合にちよつと待てというので、取上げてそのままになつているということです。併しその調べの調書、これは正当に行なつております。
  661. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 そうですが。そのときには問題ございませんか。
  662. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それはもう検挙したのですから、これはもう何を言うともできないのです。
  663. 松井道夫

    ○松井道夫君 一点、これは分り切つたことですけれどもお尋ねして置きますが、佐藤の今の涜職の関係で送検したときに、あなたの方では拘留をしてそうして更に捜査を続けたかつたという意味は、この岡田関係事件についてはつきりしないところがあるから、更に捜査をしたかつたという意味か、或いはそれもあるけれども、その拘留期間に金をばら撒いた関係も調べたかつたから、拘留を続けて貰いたいというのか、それはどちらですか。
  664. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) これはもう岡田局長令状を以て容疑がありとして逮捕するのですから、その容疑がある、逮捕状によつて逮捕したところ事項ですね、この犯罪の事由に対する裏付けどうしてもやらなければならんのです、そういうこれから次の段階にこうやるとか何とかいうことは第二次的の問題であつて、そういうことは逮捕する前には考える余地がないのです。とにかくこの事項で以て逮捕令状を取つたならば、これを起訴に持つて行く。如何にして起訴に持つて行くか、要するに二十三日の期間の間において、この令状にとつたその事項だけはがつちり証拠を固めなければならんのです。それはもう爾後の問題です。つまり逮捕によつて得たその事項を、容疑ありとしてその二十三日間調べさして貰いたかつたということなんです。
  665. 松井道夫

    ○松井道夫君 要するに岡田関係を二十三日間調べさして貰いたかつたと、こういうことですか。
  666. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それは二十三日間と限りませんが、その拘留の間においてですね。
  667. 松井道夫

    ○松井道夫君 ですから、私の訊くのは、その外の関係も場合によつては容疑があれば、その辺も当つてみたかつたという気分は全然なかつたですか。
  668. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それはつまり今詐欺事件と申上げた通り、逮捕状によつて、第一段階の逮捕状によつて得た事項は起訴まで持つて行かなければならん。これを如何にして証拠を蒐集し、事件を盛り立てて行く過程においては、その本人の職務関係、或いは経歴どの総務部長をやつておる、或いは特別資材部長をやつておる、その間にどういう業者との関係があつたとか、どういう行跡を持つているか、どういう業者との交友関係があつたかということを調べておる間に……。
  669. 松井道夫

    ○松井道夫君 ちよつと証言中ですがね……。
  670. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 待つて下さい。それを調べておる間に、新たな事項ができればこれは勿論やらなくちやならん、併し事前においてそういうことはここで明瞭に言うわけにいかないと思うのです。この問題によつて逮捕状を取つたならば、これに集中しなければならん。起訴までどうしても持つて行く必要がある。容疑があつて逮捕状を貰つたならば、これを起訴まで持つて行くことは我々の任務なんですから、拘留期間中にどうしてもこれを蒐集して、起訴まで持つて行くのが我々の任務なんです。そこには漠然とした考えはない。如何にしてこの逮捕状によつて得た事実を盛り立てて行くかという……。
  671. 松井道夫

    ○松井道夫君 あなたの強調なさるのはよく分りますが、それはその通りでしよう。併し私の訊いておるのは、そういうことを訊いておるのではなくて、その取調の間に今の、すでに佐藤の調書によつて政界その他官界、警視庁の中に金が出ておるということが明らかになつておるわけなんですね。あなた方としてはそれに犯罪の容疑があれば、これは職責上、取り上げなければならん問題です。その問題も場合によつては触れて見ようかというような気持もあつたのではないかということを、私は説いておるのです。正直に、率直に述べて貰いたい。
  672. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そういうことを漠然とは我々は考えていないのです。捜査というものは、そういう、あるんじやないかというようなことでは、とても進められないのですね。つまり幾らこれをやろうとしても、犯罪事実、実際の犯罪事実がなければ、これはやれないのです。
  673. 松井道夫

    ○松井道夫君 いや私の訊いておるのは……。
  674. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) あればやらなくちやならん……。
  675. 松井道夫

    ○松井道夫君 あなたいろいろおつしやるけれども、率直に述べて貰わなければならん。
  676. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) どういうのか、私には問いは分りません。
  677. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 松井さんのお尋ねしていらつしやるのは、岡田の事件を送致する期日前に、佐藤を調べた際に浮び上つて来た政界、官界にばら撒いた金銭事実についての、その事案も調べるという考えがあつたかどうかという意味合です。
  678. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それは……。
  679. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いや、岡田事件の進展、勿論あなたのおつしやる通り、岡田事件を主として調べなくちやならん。それを調べておる過程において、そういう点も触れて見たいと思つたかどうか、こういう気持です。あなたは送検していないのだから、あなたがやかましく言われるのは、こつちも分つておるのです。ただそういう気持があつたかどうかということを訊いておるのです。
  680. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 関係があれば、岡田との繋りがあればやはり関係方面もこれは調べなくちやならんのです。
  681. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 もう一つ証人に伺つておきたかつたのですが、先程証人が述べられた中に、折田警部とか或いは土田警部とか、そういうような方々が、捜査中に証人に対して、直接その捜査に対して影響を及ぼすと言いますか、捜査を妨害するというか、或いは捜査をやめさせようというか、そういうような行動をとられたことはお述べになりましたね。
  682. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) はあ、それで……。
  683. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 そういうようなあなたの職責上なさねばならない捜査というものに対してそれを妨害し、或いはそれをやめさせる、或いはそういうような影響を與えるというような動きが外部からあつたのは先刻お述べになつたのは主としてその二つですが、それ以外におありになつたのでしようか。
  684. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それ以外にないと思うのでありますな……。ありません。
  685. 羽仁五郎

    ○羽仁五郎君 顯著なものはそれ以外にはない……。
  686. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 記憶にないですね。
  687. 板野勝次

    委員外議員(板野勝次君) ちよつとお伺いしておきたいのですが、昨日からの松本課長からも聞いた点からこの事件真相というものは捜査の方で一番よくお知りになつているのはあなたじやないかと思うのですが、その点はそういうふうに感じていいでしようか、そういうふうに思つていいでしようか。
  688. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) まあ知つておるわけですが、細かいことを訊かれますとね……。
  689. 板野勝次

    委員外議員(板野勝次君) 細かいことじやなくて、とにかく一番よく調べた結果、いろいろ真相を一番よくあなたがお知りになつておるのじやないかというように想像されるのですが……。
  690. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) さあ、それはどうも私は頭が惡いから分りませんですが必ずしも……。係長が一番よく知つておるかも知れませんし、私が断言することはできませんですね。
  691. 板野勝次

    委員外議員(板野勝次君) もう一つは、先程官房長官からつまり礼を言われたというふうな証言があつたわけなんです。これは佐藤が直接に官房長官から礼を言われたのか、それとも例えば官房長官から礼状を佐藤という人が貰つたという意味なんでしようか。そこの所が若し記憶が確かならば……。
  692. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) それは調書を見ないと分らんですが、ちよつと委員長さんから尋ねられて、ひよつと頭に浮んだから、お答えしたわけで、どうもそう問い詰められると、分らんのです。
  693. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 一点お尋ねしますが、佐藤は北海道に生まれたということをさつき申されましたので、私今ひよつと記憶を新たにしたのですが、増田長官も北海道におられたというようなことで、佐藤は増田を知つているということですか、それとも、そうでなくて知るようになつたということですか。
  694. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 佐藤はその点はどういうふうに答えたか。とにかく岡田包義氏が長官に行くその前任者が増田長官ですから、調書はどういうふうになつてつたか、ちよつと記憶ないですな。
  695. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 それじや知つてつたということは記憶しておるのですか。
  696. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) 知つてつたということは記憶しております。いつか分らんですけれども、とつさに知つたんでなくてですね。
  697. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 その知つてつたということは附合つてつたということですか。
  698. 宗像三郎

    証人(宗像三郎君) そこまで問い詰められると困るのですが……。
  699. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 他に御質疑はありませんか——なし。では、お忙しいところを長い時間お気の毒でした。ではお帰り下さい。  それじや正時間で十分休憩します。    午後四時零分休憩    —————・—————    午後四時十八分開会
  700. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 休憩前に引続きまして開会いたします。  加島さんとおつしやいますか。
  701. 加島義成

    証人(加島義成君) 加島義成と申します。
  702. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お年はお幾つですか。
  703. 加島義成

    証人(加島義成君) 満四十歳です。
  704. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お住いはどちらですか。
  705. 加島義成

    証人(加島義成君) 世田谷区羽根木町千五百六十八番地です。
  706. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 本日は御承知通り、いわゆる五井産業事件に関連いたしまして、その事件及びその他の関連事項についてお尋ねしたいと思いますが、主として今日お尋ねしたいのは伊藤鑛壽に関する問題をお尋ねしたいと思います。かまうに考えて御出頭願つたわけであります。勿論御承知になつておることをおかくしになつたり、嘘をおつしやると刑罰に処せられますから御注意願います。御証言を願います前に宣誓をお願いいたします。    〔総員起立、証人は次のように宣誓を行つた〕    宣誓書   良心に従つて真実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。         証人 加島 義成
  707. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御経歴をちよつと簡單におつしやつて下さい。
  708. 加島義成

    証人(加島義成君) 警察に入つてからでございますか。
  709. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでもよろしいのですが。
  710. 加島義成

    証人(加島義成君) 昭和六年七月二十七日警視庁巡査拜命、それから愛宕警察署、戸塚警察署、久松警察署、戸塚警察署まで來て昭和十四年九月四日に巡査部長を命ぜられて、久松警察署に行きました。それから昭和十七年六月四日に警部補に任官して中野警察署に行きました。中野から荻窪に行きまして、荻窪で昭和十八年から昭和二十二年の三月まで司法主任をやつておりまして、同月警視庁捜査二課勤務になりました。昭和二十三年十一月十八日に警部に任官しました。以上でございます。
  711. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 二課ではどなたの下で仕事をしていらつしやいますか。
  712. 加島義成

    証人(加島義成君) 捜査二課は第一係で一係長上田良三警視です。そこで捜査二課長松本彊……。
  713. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その下でお仕事をなさつておるわけですか。あなたの直系の人は。
  714. 加島義成

    証人(加島義成君) 上田係長であります。
  715. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは昨年十二月頃、伊藤鑛壽に関する贈賄容疑ですか、その事件で同人をお調べになつたことがありますか。
  716. 加島義成

    証人(加島義成君) ええ、調べました。
  717. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その事件内容はとに角としまして、事件の経過大要をおつしやつて下さい。
  718. 加島義成

    証人(加島義成君) 簡單に言いますと、昨年の夏頃に、当時の通産省の紙業課の係員に收賄の容疑があつたわけです。それは関係業者と或いは待合、そういつたところによつて内偵するのですが、その容疑があつたのです。それで私の部下に命令して、内偵をさせておりました。それがよくよく確実な線を握りましたので、確か昨年の十一月に、最初に、板橋の番地は忘れましたが、板橋区に居住している塩飽という、これは紙工業者ですが、これを贈賄の容疑で検挙しました。そうして調べてみると、通産省の紙業課の技官で前川晃成という者に金をやつたり、御馳走をしている事実が分つたわけです。それから二日、三日置いて、その前川という技官を検挙しまして、前川を調べると、築地の管内にあるやはりこれは抄繊協会といいまして、紙の織物の業者ですが、小林健太郎という者及びその抄繊協会の理事長で奈良県に居任している松村、名前はちよつと忘れましたが、松村という者からそれぞれ二万円、三万円という收賄の事実が明らかになりましたので、それから数日して、この小林健太郎並びに松村を検挙したわけです。それと共に、品川の伊藤鑛壽から御馳走されている事実が分つたわけです。この事件は我々としては見込みとしては、業者の大物に聞けば、必らずそれが紙業課の上の方に発展するというような見込の下にまあ大物を一つ調べて見ようということから、その前川に対する、いわゆる饗応という点で令状を貰つて、すぐに品川の伊藤鑛壽を逮捕したわけであります。それから伊藤鑛壽を逮捕する前に、先に内偵中に紙業課の前川なんかの上官で、すでにそのときは退官しておりましたが、上田何とかいう元技官がおりました、これが伊藤かち現金を相当貰つたという、或カフエーのマダムからの聞き込みであつて、それのネタをもつていたわけです。従つて前川が伊藤から御馳走になつたという点で伊藤をひつぱれば、伊藤の方から結局上田につくという線で、伊藤を先ず最初にひつぱつたわけであります。そうして調べて見ると、上田に対する三回での二十五万円の贈賄が発覚して来たのであります。それによつて調べているうちに、その贈賄の元となつた事件、つまり当時それは、その事件内容は昭和二十三年二月頃に伊藤鑛壽が青写真感光紙を大量に隠匿していた、これは退蔵物資ですが、退蔵していた。それを警視庁の経済二課に摘発されて調べたのだけれども、その紙を商工省の紙業課から還元配給を受けている、そこに結局疑惑を持つたのですが、その商工省のその還元配給が不正じやないか、或いは又警視庁のその取調べが故意に事件を曲げていないかといつた点に矛を向けて調べたわけです。まあ経済から一切の書類を借りて来て検討して見ますと、その事件は昭和二十三年の二月初め頃から二月の二十八日頃まで調べて一応結末がついておりました。そうしてその結末は結局押えた青写真感光紙、これは約二トンぐらいであつたと思いますが、それを鉛、活字用の鉛が相当あつたんですが、紙とこの鉛は供出して、それぞれの当時の統制機関に供出して、そうして経済違反の処分はまあ行政処分として供出だけに止めるという結果に終つていたわけです。ところがその紙の値段が当時の闇値に評価して約百万円、それからその鉛は結局供出したんですが、還元配給になつた紙の値段が約百万円ですが、その百万円の紙の配給について上田技官といろいろ折衝して約二十五万円使つておりますが、併し当時その青写真感光紙はなかなか手に入らなかつたものであつて、それを還元配給して貰つたことについて伊藤は非常に感謝しているわけです。従つて伊藤はそれをまあ正当な警視庁の扱い、或いは商工省の扱いであつても、本人としては結局大きな利益を受けたわけで非常に感謝していたわけであります。すると、その年の四月になつてからです。警視庁の当時その事件取扱つた担当主任の飯澤当時警部補でこの事件、私の方で扱つた当時は駒込警察署の次席で、飯澤源藏という警部が扱つたわけですが、警部が確か四月頃になつてから伊藤の所に家を作るために金を貸して貰いたいという申込みで、最初に十五万円の現金を借りて、それから更に金が足らないというので、六月頃に又更に十万円を借りたという事実が分つたので、これがいわゆる職務が関係するかということを検討した結果、職務に関しての収賄であるという見解に立至つたので、それが昨年の十二月十八日頃ですか、逮捕状を貰つて検挙したわけであります。そして昨年一杯調べまして、それぞれ地方検察庁に贈収賄事件として一件記録を送つたわけであります。大体そういつた状況になつております。
  719. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのお取調べのうちにおいてですね、伊藤鑛壽の供述によつて承知になつた事件で二、三点伺いたいと思うんですが、当委員会において調査員が調べました結果によると、伊藤鑛壽は証人に対して、先程あなたがおつしやつた刑事事件とは別個の事柄であるが、同人とこの伊藤鑛壽と岡崎英城、丹羽喬四郎との関係、又有楽町の電気クラブ内の一室を丹羽に貸したこと。丹羽や岡崎の動き等に対していろいろな供述をしておることに関しまして、二回あなたが調書を作成せられたものと伊藤鑛壽は言うておりますが、それに相違ありませんか。
  720. 加島義成

    証人(加島義成君) その調書は作成いたしました。
  721. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 二回お作りになつたのですね。
  722. 加島義成

    証人(加島義成君) はあ。
  723. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その調書は刑事事件にはつけて出しておられませんね。
  724. 加島義成

    証人(加島義成君) ええ。
  725. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 警視庁のあなたの手許にありますか。
  726. 加島義成

    証人(加島義成君) それは上司の方に出してあります。
  727. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 上司というと……。
  728. 加島義成

    証人(加島義成君) 上田係長の方に出してあります。
  729. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると上田係長の手許にあるわけですね。
  730. 加島義成

    証人(加島義成君) それは分りません。
  731. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 上田係長の手許に出すとその書類はどこに行くのですか。
  732. 加島義成

    証人(加島義成君) それは事件になうて記録を送致する場合は、課長の決裁を受けて書類は又私の方に戻つて来て、私の方から出しますが、送致しない書類は参考として出す場合は課長が持つておることもあり、係長が持つておることもあります。
  733. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 結局二課が持つておるのですか。
  734. 加島義成

    証人(加島義成君) それは私が分りせまん。係長に出してそれが……。
  735. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは破棄されることはありませんね。
  736. 加島義成

    証人(加島義成君) それも分りません。私は渡してあるだけですから、それがどういう工合に処置されておるか分りません。
  737. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたが折角お作りになつた調書ですから、事件に添附して送付しない限りは他日何らかの用に供するわけですからね。
  738. 加島義成

    証人(加島義成君) それはあります。
  739. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 保存されておりますね、常識的に考えても保存されておると思われるでしよう。警視庁はそんなに物を無暗に破るのですか。
  740. 加島義成

    証人(加島義成君) それは破りませんが……。
  741. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 保存されておるというのが常識ですね。
  742. 加島義成

    証人(加島義成君) 保存してあるでしようね。
  743. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あるかどうかということは見ていないから分らないが、常識的に考えれば、折角あなた方が関連してそういう事実を、調書をお取りになつたのだから、警視庁のどこかに保存されてないことはないと思うのです。
  744. 加島義成

    証人(加島義成君) 普通は保存されております。
  745. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 破るということは特段のあれがない限り破棄するはずはないと思いますが。
  746. 加島義成

    証人(加島義成君) それはそうです。
  747. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのあなたがお取りになつた調書ですね、二回の調書ですね、先程申しました調書、それにおいて伊藤鑛壽が述べたことはどうですか。真実性があるのですか。いい加減のことですか。
  748. 加島義成

    証人(加島義成君) 伊藤鑛壽という人は非常にまあちよつと口が軽いのです。昨日言つたことと今日言つたことと、例えば数字的な点において喰違つたりすることがありますから、内容がすべて確実であるとは思いません。併しやや真実性があるとは思います。
  749. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 数字とか日にちとかいうことにおいては或いは相違があるかも知れませんが、大体の述べた主要の点については真実と認めるのですか。
  750. 加島義成

    証人(加島義成君) まあ真実じやないかと思います。  先程の証言でちよつと訂正するところがあります。それは調書は二回であつたか、三回であつたか、その記憶ははつきりいたしません。
  751. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 伊藤鑛壽は二回と申しておりますがね、どちらが正確ですか。
  752. 加島義成

    証人(加島義成君) 私は二回であつたか、三回であつたか……或いは三回であるかも分らんという気がするのです。
  753. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 少くとも二回は取つておりますね。
  754. 加島義成

    証人(加島義成君) ええ、二回取つております。
  755. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、先程申したような事項について二回の調書に亘つているわけですね。
  756. 加島義成

    証人(加島義成君) それは二回の調書には亘つておりますが、三回の調書には亘つていないと思います。
  757. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 第一回と第二回にそういう事実が記載されているわけですね。
  758. 加島義成

    証人(加島義成君) そうです。
  759. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この警視庁内に、従来丹羽とか、岡崎とかという人が、相当の勢力を持つているという噂をお聞きになつておりますですか。
  760. 加島義成

    証人(加島義成君) 噂を聞いたことはあります。
  761. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これらの人が警視庁の現在の幹部の人に、いろいろな要求とか、示唆とか、或いは依頼するとかというような事実はありませんですか。
  762. 加島義成

    証人(加島義成君) それは、私が他の人から聞いたことですか、伊藤から聞いたことですか。
  763. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ええ、伊藤から……。
  764. 加島義成

    証人(加島義成君) 伊藤の調書には、はつきりしたことは分りませんけれども、非常に抽象的なことしか載つておりません。ですから確実性はないと思います。それは、伊藤の調書そのものには確実性がないと思います。
  765. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その点に対しては……。
  766. 加島義成

    証人(加島義成君) ええ。
  767. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 警視庁内にはそういろいろな、何と言いますか、俗に言う追放組というのですか。そういうような人々がいろいろ働きかけているのじやないですか。
  768. 加島義成

    証人(加島義成君) それは私には分りません。
  769. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 伊藤鑛壽はそういうことを言つておりませんでしたか。
  770. 加島義成

    証人(加島義成君) 確実性でない言葉でそういうことを言つているようです。例えば誰々をどこに配置するとか、誰々はこうやつてくれとかということについて、例えば丹羽氏、岡崎氏が干渉したとか、或いは指示したとか、そういつた具体的な事実は伊藤は知らないようですが、抽象的なことは言つているようでした。
  771. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この丹羽とか、岡崎とか、現職の土田とかというような人が電気クラブというところへクラブを持つていろいろ会合を持つて、そういうようなことを話していること、お聞きになつたですか。
  772. 加島義成

    証人(加島義成君) その人事の問題で集つたか、その他の何かで集つたか……。
  773. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 内容は分りませんが……。
  774. 加島義成

    証人(加島義成君) 内容は分りません。それは伊藤が分らないと言つておりました。
  775. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう人が集つておるということは言うておるですね。
  776. 加島義成

    証人(加島義成君) 集つたことがあるという話であります。
  777. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そこへ増田官房長官が集合したということはお聞きになりましたか。
  778. 加島義成

    証人(加島義成君) 増田官房長官が来たということは調書に載つていないと思うのです。或いは一回くらい来たように載つておるかも知れません。その点は非常におぼろげです。
  779. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ああそうですかそんな記憶もあるというのですね。
  780. 加島義成

    証人(加島義成君) ええ。
  781. 伊藤修

    委員長伊藤修君) このいわゆるメンバーというものが町村とか衣川、相川、廣岡、門叶、上村、秋山、川口、原、倉井、日野、藤田、折田、高橋ですか、こういうメンバーであるということは言うておりましたか。
  782. 加島義成

    証人(加島義成君) そんなに大勢の名前は覚えていないようですね。
  783. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この前に前段に申した町村とか衣川とか相川、廣岡とか、門叶というあたりはどうですか。
  784. 加島義成

    証人(加島義成君) そういつた名前は出ていません。
  785. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 大体どんなメンバーのことを言つておりましたか。
  786. 加島義成

    証人(加島義成君) それは非常に伊藤の家でも何か会合したこともあつて混同されますから私の今の記憶では非常に曖昧です。曖昧ですが、まあ岡崎氏、丹羽氏ですね、それから秋山氏あたりが来た、そこへ藤田刑事部長などが来たようなことがあるという程度のことじやないかと思います。それからそこへ土田隊長なんかも藤田部長が来るときに一緒に來たという程度のものじやないかと思います。
  787. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 吉武氏はどうですか。
  788. 加島義成

    証人(加島義成君) 吉武氏の話はそれには出ておりません。
  789. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 出なかつたのですか。
  790. 加島義成

    証人(加島義成君) ええ。
  791. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 佐藤昇も出入りしておつたのじやないでしようか。
  792. 加島義成

    証人(加島義成君) 佐藤昇とは面識がないぐらいですね。
  793. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 出入りはしていなかつたのですか。
  794. 加島義成

    証人(加島義成君) ええ。佐藤昇が出入りしておるということは言つておりませんでした。どこか外で会つたことがあるような気がするという程度です。
  795. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いや伊藤鑛壽は……。
  796. 加島義成

    証人(加島義成君) ええ。
  797. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今私のお尋ねするのは、今のそういう会合に佐藤が出入りしておるのかどうかということをお尋ねしているのですが。
  798. 加島義成

    証人(加島義成君) 佐藤昇が來たことは尋ねもしませんでしたが、私は佐藤の事件には全然関係ありませんから、それで聞きもしませんが、調書にも載つておりません。
  799. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 気が附かなかつたわけですな。
  800. 加島義成

    証人(加島義成君) ええ。
  801. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 他に何かお尋ねは……。別にお尋ねはないですか。それではどうもお忙しいといところ御出頭願いまして有難うございました。お帰り下さつてよろしゆうございます。
  802. 大野幸一

    大野幸一君 本日午前中の当委員会において民自党代議士、あとで調査したところによると、民自党衆議院議員木村公平氏が、たまたま傍聽に来ておりまして、自党委員を激励する意味かどうか分りませんが、理事の岡部委員の後側に腰掛けていて蛮声を張り上げ、そして私が「委員長」と発言をしようとする瞬間私の名前を「大野黙れ。黙れ。」こういうことを言われました。私はその時丁度委員長は小林議員の発言を許された瞬間でありまして、小林議員の発言の終るのを待つてつたのであります。こういうことは法務委員会に未だ曾てない。我々がこういう慎重な調査をなしておるときに、他の院から参りまして応援の意味であつたか分りませんが、野次を飛ばして自党委員を激励するというようなことは、甚だ遺憾なことであります。丁度引揚特別委員会においても、これと似通つたことが問題になつておりまするので、当委員会といたしましても、この党について衆議院側に何らかの抗議を申込むようにして貰いたいと私は考えます。それは委員会としてその意思決定して議長を通じて諮つて頂きたい。こういうことで提議いたします。
  803. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 今大野委員から先程午前中に衆議院の木村代議士が野次を飛ばしたということは、自党の議員を激励する意味かどうか分らんという発言でありますけれども、私はそれよりも、むしろ神聖なこの参議院法務委員会を冒涜するものだと、こういうふろに感ずるのであります。これは個人的なものじやなくして、又党派的なものじやなくして、参議院法務委員会を侮辱するものである。その結果又大野個人そのものに対しても、大きな侮辱を與えているのです。こういうことが今後委員会において又反復されるとするならば、参議院委員会の権威というものは全く失墜するような形に、傍聽人の野次によつてなされてしまう。そうして又我々が公正に判断すべきにも拘わらずその野次によつて少く共我々委員意思の自由を阻害するということが出て來る。この点から考えまして、この際嚴重に御処置あらんことを委員長に望むものであります。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  804. 小林英三

    小林英三君 只今の大野委員の動議と言いますか、御意見と言いますか午前中は私の確か発言しているとき、私の後方におきまして確か傍聽人の中から発言があつたことは耳にしながら、私は発言をいたしておつたのであります。これは今大野君外一名の方から嚴重なる御処置あらんことを希望されるということでありまして、一応私は御尤もと思う。併しこれは従来他の委員会におきましても、問題が相当あらゆる方面に響きますような問題でありますというと、ついそういうようなことはまま見受けられるのでありまして、決して私はこれはいいということは申しませんが、今後自粛されなければならんことと思いますけれども、これはもう今日たまたま私共と席を同じうする衆議院議員から、言われたようでありますが、こういう光景は従来よくまま見受けるのであります。併し今日のこの問題につきましては、この際直ちに委員長が、御静粛に願いますと言つて直ちにあとはずつと静粛になつておるのでありますから、今後お互いに気を付ける意味におきまして、こういう問題を嚴重に、衆議院に今直ちに抗議を申し込むというようなふうに取扱わない方が、却つていいのじやないか。お互いの今後の我々の自粛によつてつた方がいいのじやないかと考えるのであります。
  805. 遠山丙市

    遠山丙市君 大野君の御発言が、これはともかくこの委員会の権威のためにも私は尤もな御主張であると考えております。この喧騒の状況でありますが、御承知通りでありまして、委員長の一言によつて全く静まり、先般行われました引揚委員会における暴行というようなものではない、一喝によつて縮まつてしまつて、廊下の方に帰つてしまつたほど彼も可なり出過ぎたというので引下つておるというような実情を御了解願いまして、我々同僚のものからもよく意のあるところを伝えたいと思います。我々から叱りおいてやろうと思つておりますので、この程度で御容赦を願いたいと思つております。
  806. 大野幸一

    大野幸一君 木村君とは同県人の関係もあり、決して私個人のためには如何ような了承もいたすのでありますが、衆議院議員の人が参議院え傍聽に来て、参議院で野次を飛ばしたという事実、これを委員会の権威のために私は申上げたのであります。従つて委員会でお採上げになるかどうかということを御決定して頂いて、私個人としては決して了承しないわけではありませんということを申上げておきます。
  807. 松井道夫

    ○松井道夫君 ちよつと大野さんにお尋ねしたいのですが、問題にしなくてもいいという動議でありますね。個人としては……。
  808. 大野幸一

    大野幸一君 大野個人としては問題を提起しているものではないということを申上げたのです。
  809. 松井道夫

    ○松井道夫君 丁度社会党と民自党対立のような形を呈しましたので私から一言いたしてみたいと思うのであります。まあ事件はこれはもう顕著な事実でございます。大野委員発言を何かされた、その瞬間時を移さず大野黙れという発言つたと記憶いたします。その他ちよつと一、二発言をいたしました、その行為の大いに追究さるべきことは申す言でもありませんので、どなたか一人でもその追求を主張される以上はいこれは緑風会を代表しておるのでもなんでもございませんが、私の考えではこれを取上げないわけには行きません。行かんと思います。将来惡例を残してはならない、小さなことであつてもそれを看過いたしますると、これが将来大きな禍いとなつて振りかかつて参るのであります。故にこれは今の民自党の委員の御意見ではありますが、同じ民自党に属する、これは衆議院議員でありまするけれども、その情誼から自分達が話すのだからと、これは御尤も、これが社会党側の、社会党と申すと何ですけれども、強く正論を主張する方にお話下さつて納得が行くならば、そうしてその方が主張することをやめようというのならば、私は敢て追究する必要はないと思うのでありますが、飽くまでも一人でも追究しようという方があるならば、私は賛成せざるを得ないのであります。処置はこれはまあ委員長に一任するか、或いは何か又名案がありましたら御発言になられれば幸せだと存じますが、一つ遠山委員あたりから被害者の大野委員を大いに慰留して下すつて、それでこの問題の当事者間に示談が成立するというのなら結構なことだと思います。
  810. 遠山丙市

    遠山丙市君 恐縮でありますが、五分ばかり御休憩を願いまして……。
  811. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでは五分間休憩いたします。    午後四時五十九分休憩    —————・—————    午後五時九分開会
  812. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 休憩前に引続き開会いたします。
  813. 松井道夫

    ○松井道夫君 どうですか、大野委員
  814. 大野幸一

    大野幸一君 今懇談中、私の最も尊敬する民自党議員鈴木安孝君及び遠山委員から、今度だけはというお話がありまして、私は誠に心苦しく思います。併し考えてみますると、これは先程松井委員言葉の中にあつた和解してはどうだ、示談をしてはどうだというお話でありますが、專門家の松井委員は御承知でありましようけれども、和解や示談に親しまないところの行為であろう、こう思うのであります。いわば和解の目的、示談の目的にならない事柄である、こう思いまして、考え直しましたので、一応これは委員会において決定願つて、議長の方えでも申出でられて、議長は議院運営委員会にと諮りになるなり、又はその他の処置を講ぜられると思いますから、一応は議長に報告する程度にして頂きたいと私は考えるのであります。
  815. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 私は議長に一任するという動議の前に、少くとも委員会において先ずこのものをどうしようか、然る後議長に一任しようという結論が出たならば止むを得ませんが、それに入つて貰いたいと思うのです。この際私達が考えますと、大野さんの言われること、或いは遠山委員その他の委員からそういつたお話がありまして、何となく同僚愛というものに親しまなければならんという感じを持つのでありますけれども、少くともここは委員会として相当嚴粛であるべきだ。参議院の議員が発言するならともかくも、衆議院の議員がこの場に来て発言するということは、参議院全体を侮辱するところだと私は思うのであります。従つてそうやつた委員長に任ぜるということでなくして、先ずその前に各委員がどうするかということをお決め願いたい。そういうふうにお願いいたします。
  816. 松井道夫

    ○松井道夫君 一言弁明をいたします。只今大野委員から示談にしたらどうかということを私が勧めたかのごとき御発言があつて甚だ迷惑千万であるのでありまして、私も大野氏と同じように、これは示談に親しまない案件であつて法律的に常識的にそういうことは熟知しておられるから、幾ら示談の話があつても成立する筈がないとさように思つてつたのであります。ただ民自党側の同僚、民自党議員の情誼を尊重いたしまして、ああいう発言をしたのに止まるのであります。そうして一人でも正論を主張される人があれば賛成せざるを得んと申上げたので、話合いの結果、どなたも主張なさらんのに私一人頑張つても仕方がないわけでありますから、そのときは又格別だと、こう申上げたのであります。右弁明いたす次第でありまするが、かような事件が若し参議院議員にして行われた、参議院議員がかような事件を起した、或いは衆議院において、或いは参議院委員会において。そういう場合にはこれは懲罰の問題として取上げる方があれば、私は懲罰に関係いたしておりますので、これは当然懲罰委員会にかけらるべき性質のものであるとまで私考えておるものでありますが、どうでありますか。只今大畠委員から御発言の点も賛成でありまして、一応委員会としての態度を決せられるのが適当であると存じます。
  817. 遠山丙市

    遠山丙市君 もうかれこれ申上げることはありませんが、そういたしますると大体衆議院議員、参議院議員たるとを問わず、大体委員会であの程度のことがありますれば、委員会といたしましては、大体こういうような線で行くことに我々は考えておつてよろしゆうございましようか。今後又起り得ることだろうと思つております。そうすると、これは以後も大体その方針で進んで行きたい、威嚴を保つなら保つで結構でありますから、そういう点は一つ委員長さんによく念を押して置きたいと思います。
  818. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 この国会においての委員会は、それこそ国会の運営においての心臓部でございますので、最も愼重に、最も公平に私共は審議をすることを努めております。その席において、今日はただ私は近くでございましたからですけれども、大野さんに対することだけでなくて、まだ何か外にも委員長どうとかというような言葉も聞えましたようでございまして、私はあの瞬間甚だ遺憾に存じました。どこまでもこの委員会のあり方を尊重いたします意味におきまして何らか考えて頂きたい、その意味において、大島さんの御意見に賛成いたします。
  819. 深川タマヱ

    ○深川タマヱ君 私先だつて引揚同胞委員会を傍聽しておりましたときに、あの騒擾と申しますか、あの事件は私の目の前で起つたことだつたのでございます。丁度守衛さんと衆議院の議員さん、傍聽においでになつていた方との間に起つた問題で、とうとう退場を命ぜられたのでありますけれども、ここにおける今日の事件はそれとは大分事情を異にいたしまして、苟も委員会の正しき委員発言に対しまして、傍聽人が名前を指して黙れと言うようなことは、これは容易じやないと思います。今後のこともございますのでい何らかの方法で本人に反省をお求めになることがいいと存じます。私は余り人を攻撃するのは嫌でありますけれども、この点はどうもその方が正しいように思いますので、ちよつと申上げます。
  820. 岡部常

    ○岡部常君 私も大畠議員、それから深川議員の御意見に賛成いたします。
  821. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 遠山さんと鈴木さんに申上げます。今お聞きのような御意見でありますが、我々として尊敬するあなた方からお申出がありましたのですから、この際委員会といたしましては一つの前例を残すということは好ましくないのでありまして、殊に他の院から、他の院へ来て、この委員会の活動を、少くとも抑制し、阻止する、若しくは影響を與えるというような言動を発せられるということは、委員会として誠に好ましくないことと考えられます。かようなことが、本日の程度においては先程の遠山さんのお説の通りでありまして、ことは一応終結しておる次第ですが、こういうことが屡々今後繰返され、若しくはそれ以上に亘つた場合において、事態がそれ以上のものを醸し出されるということになりますれば、延いては参議院全体の名誉にも関する、かように考えられますから、これに対しまして多数の御意見のごとく、当委員会においてこれを善処して頂くように議長に申出でまして、そうして衆議院議長に警告して頂いて、衆議院議長に適当な処置をとつて頂くというふうな手続で如何でございましようか。   〔「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  822. 小林英三

    小林英三君 我々は反対です。反対というのは、そういう動議、御無理はないと思いますけれども、一応委員長が静粛と言つて、あと、自分が惡いと思つて引下つたのですから、まあこの際大目に見てやつた方がいいんじやないかと思います。
  823. 大畠農夫雄

    ○大畠農夫雄君 遠山委員から今後そういう場合が起きたらばどうするか、前例になるからここでしつかり決めなければいかんというようなお話があつたのでありますけれども、これは遠山委員の考えていることは、参議院議員が参議院の中において、委員会において発言するその場合もこのような風にやるのか、というふうに考えていられるのだと考えるのでありますけれども、私達が考えているのは参議院議員よりもむしろ衆議院議員が、いわゆる他の議院の議員が我が議院に来て発言したという点を重んずるのでありまして、参議院議員がやつた場合という場合と違うのでありますから、その点は後日はつきりするように一言申述べて置きます。
  824. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 勿論参議院議員が行なつた場合におきましては、委員長においてそれが懲罰事犯に当ると考えますれば懲罰を要求するということに御決定を願う場合もあり得ると考えますが、本件の場合におきましては、他院の議員が他院の議事進行に対して少くとも妨害を與えるような言動をなした。こういう点に重点が置かれておるのであります。この点に対する先例を残さない。又今後の本院における委員会議事運行を円滑ならしめる。かような意味におきまして注意を促すという意味において取上げ、議長にその適当な措置を講じて頂くように申入れる。こういうことにいたして如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  825. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでは御異議ないと認めまして、さように決定いたします。  では本日はこれを以て散会いたします。    午後五時二十二分散会  出席者は左の通り。  出席者は左の通り。    委員長     伊藤  修君    理事            岡部  常君            宮城タマヨ君    委員            大野 幸一君            大畠農夫雄君            小林 英三君            鈴木 安孝君            遠山 丙市君            深川タマヱ君            松井 道夫君            羽仁 五郎君   委員外議員            板野 勝次君   証人    警  部  補    (警視庁刑事部    捜査第二課勤    務)      宗像 三郎君    警     部    (警視庁刑事部    捜査第二課勤    務)      加島 義成君