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1950-02-10 第7回国会 参議院 文部委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月十日(金曜日)   ―――――――――――――   委員の異動 二月七日委員松野喜内君辞任につき、 その補欠として深水六郎君を議長にお いて指名した。   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件教育文化施設及び文化財保護に関す  る調査の件(文化財保護法案及び文  部省関係予算に関する件) ○八丈島東京都立園芸学校分校設  置問題の件 ○東京学芸大学豊島分校敷地使用問題  の件 ○日本学術会議法の一部を改正する法  律案内閣提出) ○連合委員会開会の件   ―――――――――――――    午後二時二十四分開会
  2. 木内キヤウ

    理事木内キヤウ君) これから委員会を始めます。田中委員長はちよつと御都合がありますので、代理いたします。山本委員から文化財保護法案の御説明を願いたいと思います。速記ちよつと止めて下さい。    午後二時二十五分速記中止    ―――――・―――――    午後二時四十五分速記開始
  3. 木内キヤウ

    理事木内キヤウ君) 速記を付けて下さい。  新議員岡崎委員を御紹介申上げます。
  4. 岡崎真一

    岡崎真一君 岡崎でございます。どうぞよろしく。(拍手)
  5. 木内キヤウ

    理事木内キヤウ君) 鈴木委員緊急質問に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 それでは暫くお時間をお借りしまして質問したいと思います。この問題は皆さんもすでに御承知かと思うのでありますが、八丈島東京都立園芸学校分校の設置問題についてでありますが、その問題をお尋ねするのですけれども、私はこれを一方の陳情を聴いてですね、それを指示しようとかどうとかという意味ではない。平地に波を立てるような意思は毛頭ないのです。ただ八丈島という島は非常に平和な一つの国をなしているような島であるのに、その島が教育問題を中心にして、島が真二つに割れて相争つているということに対して、これは都立高等の問題でありまするから、都道府県教育委員会の問題であるということのために、文部省としては何も関係しないのかどうかというようなことを先ず承りたいのです。聞いてみまするというと、この日本の新らしい教育が発足して以来、こういつたようなひどい対立をして、そうして非常に非民主的な方法で相争つているように私には受取れるので、やはり文部省としては、こういう問題に対して適当な調査をして見るとか、或いは助言をするとか、指導をするとかいう考えはないかどうかということをお尋ねするわけなのですけれども、御承知のように各新聞が大きく取上げており、陳情団文部省、或いは国会都庁というようなところへ陳情をしておるようでありますが、この両方が同時に学校を建設してしまうまで平気で、平気というわけでもないでしようが、見ておつて両方学校が建つてしまつた今日、この問題を一方的に片附けてしまうという状況のようなのでありますが、果してそういう問題が本当なのかどうか。これは事教育によつて一つの島が非常に相争うということは余り感心したことでもありませんので、我々も非常に関心をもつわけなのです。でその我々の持つ関心に対して、文部省はその実態をよく知つておるのかどうか、先ず第一にお伺いしたい。そうして知つてつても、事教育委員会のことであるから、これを傍観しているつもりなのかどうか。或いは進んで大いにそれは関心を持つておるのだ、この府県の委員会に対しても、或いは都庁に対しても、島の実態に対しても相当調査もし、助言もし、指導もするつもりでいるという立場を取つておられるのかどうか。私は非常にこのことに対して一方から聞いただけでありまするので判断に困つておるのでありますが、その点を文部省について一応質して置きたい。若し実態がよく調査していないというならば、今後調査をする意思があるかどうかというようなことをこの際お伺いして置けば、非常に結構だと思うのであります。尚都の委員会に対しても、こういう調査を進める意思があるかどうかという点を先ずお聴きしたいと思うのであります。
  7. 太田周夫

    説明員太田周夫君) 御説明申上げます。この問題は只今お尋ねになりましたように、教育委員会の問題でございまして、私共文部省直接の所管ではございませんが、早速東京都に照会いたしまして、調査いたしましたのであります。その結果を御報告申上げます。昭和二十三年七月八日東京條例第七十二号によりまして、八丈島大賀郷村に定時制高等学校が設置されることに決まつたのでありますが、校舎がなかつたので、同村の講堂を使用して授業を続けております。昨年の春以来、島内の、五ケ町村がございますが、五ケ町村建築費を分担いたしまして、校舎を新築する機運が起りましたが、意見がまとまらないのでそのままになつておりましたところ、大賀郷村と三根村の両村で都の教育委員会無断でそれぞれ別個に校舎を建設し始めたのであります。教育委員会では工事中止を命じましたが、着々工事を続行いたしまして、八月に教育委員会の係の者が調査に行きましたときには、双方の校舎が七分通り完成しておつたそうでございます。そこで三根村の方の校舎のことをちよつと附加えて申上げて置きますが、定時制高等学校の生徒は二百六十六名でございまして、普通課程園芸課程二つ過程を置いておりますので、教室が六教室必要でございまして、三根村の方では、小学校校舎を六教室取壞しまして、これを移築して定時制高等学校校舎に充てるために建築をしておつたのであります。その後、東京教育委員会では更に教材の專門の係員を派遣いたしまして、いろいろ調査いたしました結果、三根村の敷地火山灰地で非常に大きな熔岩が沢山あるので、農業実習には不適当であるということが分りました。又将来この定時制高等学校水産過程を置く予定になつておりますので、そういう点から見ましても、海岸から遠く離れておりますので、この点からも非常に不適当であるという結論になつたのでございます。一方、大賀郷村の敷地はもと無電局敷地の跡でございまして、約一万坪ばかりあるということであります。ここでは農業実習が可能であります上に、海岸にも非常に近い場所だそうであります。そうして又ここには支庁その他の官衛も近所にありますし、そういうような関係で本年の一月二十八日、東京教育委員会では、この村に定時制高等学校を置くことが適当であるという結論に達しまして、学校の位置を変更しないという意思決定をいたしたそうでございます。一方大賀郷村におきましては、その校舎東京都に寄付する願出をいたしましたので、都の方ではこの願出を採択いたしまして、許可いたして、この通知を村の方にすでに発しております。只今お話のように陳情団も出て参りましたが、教育委員会におきましては、二月九日に定時制高等学校敷地の変更は行わないということを改めて確認したということでございます。  それから、事実は以上の通りでございまして、只今文部省からこういう問題について指導助言を行わないかというお尋ねでございましたが、文部省の方からそういう指導助言は行うことは、現在の法令ではできませんが、こういうことにつきまして助言を求められましたならば、文部省の方から助言をできるようになつておりますので、東京教育委員会につきまして調べましたところ、東京都で措置しましたことは正しいことと考えられますので、文部省の方から更に指導助言をする必要はないのではなかろうかと考えております。
  8. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 指導助言のことなどはそれで了承しますが、ただ一方の教育委員会、こういう事態が起りました際に、文部省として教育委員会意見を徴しただけであつて現地を実際によく調べて見るというような措置に出られる意思はないのですかどうか、それをお伺いしたい。
  9. 太田周夫

    説明員太田周夫君) 今お話ししましたように、文部大臣にはそういう権限はございませんので、東京教育委員会から現地を視察して助言を與えて欲しいという要求がございました際には、そういうことができると思います。
  10. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 終ります。
  11. 藤田芳雄

    藤田芳雄君 今丁度八丈島お話がありましたが、どうも最近校舎とか或いは校地とか、そうした面で教育上非常に阻害するような事件があちらこちらに起きている。しばしば耳にしているのでありますが、殊に東京都内などにおきましては、住宅の不足から一時校舎を他へ貸し與えたとか、その後始末がつかないで困つているとかいうようなことを聞くのでありますが、最近やはり一つ、これは而も文部省直接の監督下にあるものだと思うのでありますが、豊島師範附属中学校校庭に、何か工場のようなものを作つてつているらしい。而もその校庭無断使つているのであつて、その立ち退き方を申出ても頑として応じない。而もそこは兒童運動場ができておつて狹いものですから、しよつちゆうそういう建物にもさわるような、或いは遊びの間にはそれにいろいろ触れることもあるでしよう。そうしたことを待ち構えておつて、随分学校方面へ難題をふつかけて来たり、或いは兒童をして非常な不自由をさせている。学校当局も困り抜いている。而もそれをやつている者が土地の相当な者らしく、随分困つているというようなことが父兄の間に最近非常に大きな声となつてつて来ている筈だと思うのです。多分これも文部省の方で御承知のことと思う。大学附属中学のことでありますから……、併し私も実はそこまで行つて調べたのではないのでありまして、明細な点が分らないのでありますが、できますならば丁度今の鈴木委員の御質問に似たような、やはり教育のそうした問題に対しての大事な一つの取扱いをせねばならない、或いは指導しなければならん大きな面に立つと思いますので、連関してその点をお聽きいたしたいと思つております。
  12. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) 只今東京学芸大学分校になつております、元豊島師範附属中学校舎敷地に関する問題を御質問になりましたが、その問題につきましては私共も十分承知いたしておるのでありまして、これは実に非常に紛糾をしまして、又相当古くから、終戰直後からの問題になつておる事件でございます。事案はいろいろ複雑なことがございますが、とにかく校地であつた所を附近のものが建物を建てて、そうしてまあいろいろ営業的なことに使うという問題なのでありますが、これにつきましては終戰直後のどさくさ等がありまして、一応その相手の者も使用許可を取るとか、或いは建築許可を取るとかいうことはいたしたのでありますが、現在はその関係は全部切れておりまして、全然権利のない土地になつておりますから、文部省としましては当然これに対してその立ち退きを要求する権限があるというふうに考えておるのでありまして、事情十分調査をいたしまして、それを現に法務庁と連絡を取りまして、訴訟のような形で解決をするように今努力中でございます。恐らくそういう形でなければ解決しないのではないかというふうに存じておりまするので、一層詳細に調査をいたしました上で、一層な解決を図りたいというふうに存じておるのであります。  尚一般に学校校地を他のものが使つて教育支障があるという場合には、例のポツダム勅令によります学校施設確保に関する政令というのが出ておりまして、これに対して立退きの命令をすることができるようになつておりまするので、その政令活用等も考えまして、事案のような問題が起らないように最善の努力を拂うつもりでおります次第でございます。
  13. 藤田芳雄

    藤田芳雄君 只今政府委員お話、大変によく分りましたが、そういたしますとやはり話のごとく非常に、無断で、而も非合法に校地内へ工場を建てたというふうなことでありますから、それはできるだけ早い機会に、徹底的に処置をして解決をつけて頂きたいと思う。而もそれが今現在の状況を聞きますというと、父兄間に随分大きな問題を起しており、同時に子供がもう困つているらしいのであります。下手したらどんな危害を加えられるか分らんというような状況にまで至つているらしいのでありまして、事柄は明白だと思いますので、今の問題はできるだけ早い機会解決するようにお願いいたしたいと思います。
  14. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) 御意見の点は十分実現をいたしますように努力いたします。   ―――――――――――――
  15. 木内キヤウ

    理事木内キヤウ君) それでは、これから日本学術会議法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質問がございましたら……
  16. 河野正夫

    河野正夫君 この法案は極めて簡單で、そうお伺いすることもありませんが、これに関連して一つだけ承つて置きたいのですが、この改正案は、要するに学術会議会議は何ら政治的なものじやない。全然それとは無関係で、而もいわゆる行政上の主要な何らの仕事をするものではない。だから国会議員を兼ねても差支ないのだというような意味、及びその外のいろいろな関連したことから、選挙権、被選挙権の修正であるというお話でありましたが、御尤もであります。併し日本学術会議運営の中に、特定の政治的意図を以て運営されている面があるのではないかという一部の疑惑が生じていることも事実であります。それは学術会議の中は幾つかの部に分れておりましようが、その全部では勿論ございませんが、或る部においてそういうふうなことを聞くのでありますが、そういうことはもとより学術会議そのものの性格からしであり得べからざることで、面白くないことであると、こう思うのでありますが、事実上は如何なものでありましようか。その御説明だけを承つて置きたい、こう思います。
  17. 本田弘人

    説明員本田弘人君) 運営に当つてそういう意図は全然ございません。ただ総会等におきまして、一定手続を以て提案されました場合に、それが討議に附せられるとか何とかいうことは、これは勿論のことでありますけれども、運営にそういう特殊な意図や何かということはありません。そうして公正に論議されているのであります。その点お答えいたします。
  18. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 この法案は衆議院の方が先議になつているのでしようね。
  19. 木内キヤウ

    理事木内キヤウ君) 参議院先議であります。
  20. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 参議院先議ですか。そうしますと成るべく早く討論終結に至るように私は動議を提出いたします。
  21. 木内キヤウ

    理事木内キヤウ君) 今の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 木内キヤウ

    理事木内キヤウ君) 御異議ないことにいたします。  委員長がお見えになりましたから代ります。    〔理事木内キヤウ君退席、委員長着席
  23. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それでは日本学術会議法の一部を改正する法律案につきまいして、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。
  24. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方はどうぞ賛否を明らかにしてお述べを願います。
  25. 藤田芳雄

    藤田芳雄君 私はこの改正案に賛成いたします。事柄簡單でありまして、而もすでにこの法文にある形が認められて、その通り現に行われていることなんです。それを法文に明らかにしたのでありますから、何ら疑義のないところだと思いまして、私はその点で賛成いたします。
  26. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 外に御発言はございませんか。  御意見も盡きたようでございますから、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれから採決に移ります。日本学術会議法の一部を改正する法律案、本案を可決することに御賛成の方の御起立を願います。    〔総員起立
  28. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 全員一致でございます。よつて日本学術会議法の一部を改正する法律案全会一致を以て可決することに決定いたしました。  尚本会議における委員長口頭報告の内容その他は、先例に従いまして、成規手続によつて処理することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 御異議ないものと認めます。  尚、御賛成相成りました方の御署名をお願いいたします。    多数意見者署名    木内キヤウ   藤田 芳雄    河野 正夫   岡崎 真一    佐藤 義詮   梅原 眞隆    堀越 儀郎   ―――――――――――――
  30. 左藤義詮

    ○左藤義詮君 今放送法案予備審査になりまして、電気通信委員会で審議しているのでありますが、電波を出すまでは電気の方でありましようが、出したその実際のいろいろな效果とか、そういう点につきましては、我々の委員会関心を持つことが非常に多いと思うのでありますが、この際に当委員会から電気通信委員会合同審査会要求せられて、各方面から検討する必要があると思います。お諮り願いたいと思います。
  31. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 只今左藤君から御提案になりました放送法案につきまして、本委員会から電気通信委員会の方に合同審査申入れをすることについてお諮り申します。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) では合同委員会開催申入れをすることにつきまして御異議ないものと認めます。委員長からさように申入れることにいたします。
  33. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 次に文部関係予算についての説明を前回に続いて聽取することにいたしたいと思いますが、よろしゆうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) では御異議ないものと認めます。会計課長見えておりますから、どうぞ……。
  35. 河野正夫

    河野正夫君 文部予算要求額等の数字からの質問ではございませんけれども、一つつて置きたいのは、先程藤田委員からもちよつと御発言がありましたが、直轄学校等部外者が居住しておる、乃至は工場を建てておるというふうなお話がありましたが、終戰後これは、国立学校と言わず、公立学校と言わず、その校舎教育上の目的でない意味で利用されておるのが可なり多いと思います。それで例えば東京都などでも、未だに約一千世帶ぐらいは校内居住をしておるものがあるという話であります。そこで、東京都ばかりでもありません。又国立学校でも私の知る限りでは、或る数名の教授諸君が、或る大学研究室なり……それがおらなければ他に教育上利用できる場所を占拠しておる方があるのであります。これは又戰後今日までの日本経済條件から言つても止むを得なかつた点だろうとは思いますけれども、ぼつぼつこういうものを改善して行かなければならない。その点について、そこに会計課長見えになつておりまするけれども、せめて国立学校においては、何らかの財源措置が講ぜられるべきであろうと思いまするし、公立学校につきましても、これが地方の財政の現状から言えば、何程かの補助を與えてでも、教員住宅の建設とか、その他の方法によつて、少くと承教育支障のないように校地校舎は利用するという方向に行かなければならんものだろうと思いますが、その点について何程かの企画があつたのか、又来年度において予算があるのか、その点を承りたいと、こう思います。
  36. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) 只今指摘のように、政府職員殊学校教官等で、宿舎がないために校舎に寝泊りをしておるという例が事実相当あるのでありまして、私共といたしましても、非常に責任を痛感しておる次第でございます。これにつきましては第一の方法といたしましては、これは文部省限りの問題ではなくして、各省全体の国家公務員のための有料宿舎、或いは無料宿舎という形で、大蔵省予算におきまして、本毎度は十一億、来年度は確か十二億の予算を以ちまして、政府職員宿舎建築して行く計画を持つておるのであります。その宿舎利用方法につきましては、無料宿舎に入れるものは、例えば文部省関係で申上げますならば、継続的に一月も眼を放せないというような研究に従事している教官というような人々、そういう方には無料宿舎に入つて貰う。それから有料措舎関係は、一定の順序によりまして、必要度の高い人から逐次入つて貰うということになつております。ただこの計画が進みましても、直ちに問題を解決するというわけには行きませんが、逐次その点を改善して行くということにいたしておる次第でございます。
  37. 河野正夫

    河野正夫君 公務員である教官の場合について今お話がございましたが、併しそれにしてもその大蔵省で計上した予算文部省関係でどれだけ確保できるかというようなことについては、而もそれが諸大学教授諸君に対してどれだけ恩恵が及ぶかということに関しては、どうも只今文部省政治力を以ては、堪だ心細い点を感ずるのでありますが、十分その点は御盡力を願いたいと思います。  ただここに来年度におきましては、住宅金融公庫で百五十億ばかりの金が融資される途が開けているのですから、こういうものを、併しながらこれが仮に国立乃至は公立教職員住宅方面に融通されるとしても七割に過ぎない。そこで、公定価格の、坪当り幾らでしたか忘れましたけれども、そういう安い値段の見積りの中の七割が借りられるに過ぎない。残りの三割というのは個人々々が持ち出さなければならないので、これを利用する教職員というものは多くないだろうと思います。そこらを、例えば文部省関係共済組合というふうなものもありましようし、いろいろな点から何らかの融通の途をつけて、少くとも校内居住者というようなものだけでも一掃するというような大きなプランを立て、而もこれを地方公立学校の方にも及ぼすというふうなことを当然やらなければならんのじやないかと思いますが、その辺の御用意がありやなしや、承つておきたいと思います。
  38. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) 只今の御指摘の点につきましては、率直に申しまして、私共まで十分準備ができていなかつた点があるわけでありまして、大変反省をいたしておる次第でありますが、共済組合の資金を廻すというような方法で、できる限りその解決に向つて努力いたしたいと思います。
  39. 河野正夫

    河野正夫君 只今質問はそれで打切りますが、もう一つちよつと予算関係とは言いかねるかも知れませんが、お許しを願つて玖村課長もお見えになつているので一つつておきたいと思います。  それは教職員免許法並びに同施行法が実施せられまして、文部省としては施行細則を出しているのであります。最近私は山梨県に行きまして、土地事情をいろいろ聽いたのでありましたか、非常な誤解が地方にあるのではないかという点を見附けたのであります。と申しますのは山梨県におきまして、東部の方で東京の諸大学先生方を招聽して、教育委員会で主催して認定講習をやろうというような説が出たそうであります。ところが山梨大学学長がこれを許可しない。そのためにその計画はおじやんになつたという話を聞いたのであります。そんな馬鹿なことはないということで私いろいろ研究したところが、明らかにそういうことが可能な、ばかばかしいことが可能な規則文部省の手によつて作られているということを知つたのです。この施行法に伴う施行規則の第三十八條におきましては、こういう教育職員免許法に関する認定講習を開く資格あるものとしては、認定講習課程を有するような大学受與権者この二つになつておるのであります。山梨教育委員会がその授與権者である場合は当然でありますが、この山梨教育委員会教育委員会の名において、責任においてこういう所定の認定講習を開こうとするときに、山梨大学学長許可を得る必要はないと私は思つておる。然るに第三十八條の第二項におきましては、この授與権者の主催するところの認定講習についても、解釈していいか悪いかということに問題がございますけれども、その土地人々及び山梨学長はこういうふうに解釈しておる。その講習については、当該都道府県大学指導承認を経なければならないという規定になつております。若しそうであるとするならば、これは国立大学でなくてもいいけれども、主として今日都道府県において認定講習を行うという場合には国立大学になりするところで、その文部省の直轄するところの大学学長承認指導によつて認定講習が行われるということになると、教育委員会自主性というものはどこにあるか、こういう問題が当然起つて参る。私は率直に考えてどうもそれはどこかに聞違いがある、諸君の解釈はどこか違つていると言つてつて来ましたが、文部当局はどう考えておるか、一先ず承つて置きたい。予算関係は又あとから伺いたい。
  40. 玖村敏雄

    説明員(玖村敏雄君) 今の問題はおつしやつた通りでありまして、当該大学指導承認を経なければ都道府県教育委員会認定講習を開くことができない、という規定であります。そういうふうになりました所以のものは、今度の認定講習はすべて單位の計算をいたしまして、その單位が一定の所要條件を充たすときに三級の免許状を與える。その單位につきましては大学責任を持ちまして、これを一單位と数えることはよろしいとか、これを何單位とするには無理だとかいう判定をして呉れなければいけない。文部大臣認定するのでありますから、文部省が直接にそのことをやればいいのでありますけれども、そうなりますといわゆる中央集権にひつかかりまして、どうしても地方分権にしなければならない。而も地方分権にするときには、教育委員会は單位をみずから與えるという権限を持つておりませんので、どうしても大学がそのことを判定しなければならない。それから尚私共の方の初めの計画は、現職教員につきましては、都道府県に所在をいたします大学と密接な協力の下にやらなければ到底できない。今おつしやいましたような山梨県が東京の学者を通れて来てというふうなことは、実は常にある状態ではない。一番望ましい状態はその県にあるところの教員養成大学とその県の教育委員会との密接な協力で、常に計画を立てて行かなければならん。そういう意味大学指導承認という権能を與えたわけでありまして、若しこの大学の方で東京から学者を呼んでやる場合の課程、コースが通切であると思えば、必ず承認すべきものなんであります。今おつしやつたような面倒が起るということは、実は私共非常に意外に思つております。そういう場合には山梨県の教育委員会から、認定をするのは文部大臣でございますから、文部大臣にそういう事情を具申しておつしやつて頂けば、私共の方で当然解決しなければならない問題だと思います。どうも初めてそういうことを承りまして、他の府県からは非常に協力的に相互関係がうまく行つておるということを現実に見ておりますので、尚御質問の趣旨によりまして、私の方からも一つ調べて見たいと思つております。
  41. 河野正夫

    河野正夫君 その点をもう少し申上げますると、教員の側からもいろいろと教育家が認定講習を受けるについては、日にちとか課目等について希望を申出たようであります。ところがお前達は子供である。オツパイをやるのは母親の権利である。だからオツパイの欲しいものが今欲しいと言つたつて、今飲んだら下痢を起すかどうか分らんじやないか。だからこちらから適当にやるから黙つておれ。こういう暴言を吐いておるのであります。そうして又その土地人々から行きますと、これは速記に取られてその大学の士気に関係するかどうか存じませんけれど心、土地の人の気持から言うと、当大学講習よりももつと有力な講習を受けたいという人情があるのであります。東京から近いために、そういう気持が余計起るのでありますが、ところがそのところを山梨大学の権威に関するというふうに思われておるのかどうか私は存じませんけれども、その人々から言わせると、僻みかどうか知らんが、そういうふうな気持から頑強に拒否するというようなことがあり狩るのであります。事実そうであつたかどうか私は申上げられませんけれども、あり得ることであります。その意味において今の玖村さんの御答えは一応御尤もでありますが、そういう特殊な場合が今後は特殊でなく多々起つて来るということが考え得られるのであります。  それからもう一つそこに問題になるのは、何故当該都道府県大学承認認定でなければならないか。当該でなくて堂々とした国立大学、他の例えば教育大学にせよ、東京大学にせよ、東京所在の大学人々に相談をして、そこの教育程度で認定講習課程をすればよろしいということを承認せられて、その人々が、例えば川崎において講習会を開くということがちつとも不合理でない。それを当該都道府県大学にのみに限つたのはどういうわけであるか。而も当該都道府県二つ大学があるという場合において、どちらでもいい。然るに一つしかないときにはその都道府県のみに限るといような点に、私は解しかねる点があると思うのでありますが、その点は如何でありますか。
  42. 玖村敏雄

    説明員(玖村敏雄君) お説の点は私共の方で奥は心外千万なことだと思つておるのでありまして、各都道府県にありますところの当該大学は、少くとも都道府県の教員養成の全般に対して重大な責任を持つております。その責任を果すために、自分達の力が足りなければ、優秀な大学の教授を招いて来るのは当然でありまして、私共は全国のどの大学はどういうふうな指導をしても承認をしてもよろしいとしますと、今度は逆の場合に、今お挙げになりましたことはむしろより高い講師のレベルのところを出さざるを得ない。反対の場合も亦あると考えます。国立大学といたしましては、相当の責任を持つてその県全体の現職教育を考えるということを私は期待もし、信頼もしているのであります。おつしやるような問題が起りますならば、今後は学長会議とか、或いはそれに関係する教授達の協議会なんかを開きまして、極力そういう弊害の出ないようにしなければならん。今の段階ではそう考えておるのでございます。
  43. 河野正夫

    河野正夫君 今の課長の御説明の中に一つ承服できない観念が潜んでおりはしないかと思います。各府県で教育或いは学芸大学と言いますか、その学部と言いますか、そういうふうなまあ旧師範学校的なもので、そういうものはその都道府県教育の全般についての責任を持つべきものであるというお説は、その当該大学がそういう責任を感ずるということは、これはまあ一応肯ける。又そうあるべきものでしよう。学校というものはコミユニテイ――と当然結びつくべき関係を持つのが当り所ですけれども、土地の住民がその当該大学にのみ縛られなければならんという逆な論法はこれは成立ち得ない。若しそうであるとするならば、それこそ中央集権的ないわゆる文教政策のどこかに残存したものがありはしないかと私は思うのであります。その点が承服いたしかねますけれども、これから先は議論になりますから質問を打切りますが、さて今この認定講習の県について申したのですけれども、この教育教員免許法の改正等については又別の機会意見も述べ、又質問もしたいと思います。本日は主として予算関係ということでありますから、私はその意味で申上げたいと思います。  文部省の計上したところのこの教職員の免許状関係認定講習等の費用は少きに失しはしないか。特に今お話しのように、曾ての各府県立の師範学校、後に昇格して国立の師範学校となり、更に今お話しり各府県にある学芸的な、教育学部的な大学となつているのでありますが、この大学講習に要する経費というものが少くはないか。そうして而もそういうふうな講習をする側の予算が仮に相当ありましても、この講習を受ける側の人々予算というものは、これは都道府県に所属するものでありますが、都道府県でその旅費等を極めて少く見積られているときは、成程講習会は開催しても参加者は極めて少かつた、こういう状況が来るか、或いは参加者は多くしても、もつと参加したいという人々が、教壇を離れることによつて教育支障を来たすから、止むなく自分は参加したいけれども参加しない。そのために法律上の規定が二十八年云々までにどうしなければならんといつたようなところに引掛つて、遂に上級の免許状が取れなかつたというような事態を来たさないとも限らない。それ故にこの教職員免許法を嚴重に励行し、その精神を嚴格に考えて行く場合には、相当の予算というものを責任を以て文部当局は考えなければならない。又地方教育委員会にこれこそ干渉というか、教育委員会指導するというかして、その土地の議会を通じて豊かな予算を獲得しなければならない。ところがこの点に関する文部当局の努力はまだ十分でないということを、私は今数字を持つておりませんけれども、先般頂いた要求額等を見ましても看取することができると思うのであります。その点如何でありますか。
  44. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) 教職員の現職教育予算が非常に少額であるというお叱りでありまして、これに関しましては、私共も非常に責任を感じるのであります。私共の現在持つております計画は、現職教育として大学教育、学部或いは学芸学部におきまして、小中学校教員のために行います現職教育のために二千四百万円余を予定しておるのでありまして、その計画は大体二万四千三百人に対し、八十一箇所において六十日間の教育をするということになつております。全国の教員数が大体五十万人余でありますので、この計画で行きますれば相当の年数がかかるということになるわけでありますが、併しながらただこれに関しましては、私共が予算において持つております現職教育の経費というのは、言わば教職員の研修の一種のモデルを示して、そうしてそれによつて県が主体となつてつて貰うということを中心に考えておるのであります。これに関しましては教育公務員特例法の十九條におきまして明確に規定をしてあるのでありまして、公立学校教育公務員並びに教育長及び專門的教育職員については、その研修のための費用は当該都道府県で負担する形になつておるのでありまして、責任を回避するわけではありませんが、私共の趣旨としましてはモデルをお示しして、そして本体は都道府県が中心になつてつて貰うというつもりなのでありまして、御指摘を受けますれば非常に少額で、これでは困るじやないかというふうに感じられまするが、趣旨はそういう点にあるということを一応御了承願いたいのであります。それから研修の旅費等も少額で、講習を受ける方はやり切れないのではないかということでありますが、これも決して多額であるとは思いませんが、例の教育費として平衡交付金中に算定しました基準としましては、昨年より増額をいたしておりまして旅費を一人当り三千円から四千円に上げておるのであります。それはほんの雀の涙に過ぎないかも知れませんが、それにつきましては大いに考えておるというつもりでおります。尚現職教育講座の外に、通信教育方法によりまして教育職員免許法によります資格の向上を図るための施設を講じるという、このこと来年度の国立大学予算の上で約二千百万円ばかり取つておりまして、これの計画は大体五万人を対象にしておるのであります。この金額も決して多額でありませんが、別に通信教育のための協会を作りまして、それによつて実際は政府で計上した予算よりももつと大規模な実施ができますように考えておるのであります。そういうことで一応自分としては見通しを持つてつておるというような次第でございます。
  45. 河野正夫

    河野正夫君 もう一つだけ承りたいのですが、今の教職員認定講習の件につきまして、もう一つだけ承りたいと思います。一体、今無資格教員が何万名で、そしてそれに対してこういう経費で、こういう講習をやつて行くと、何年以内にその無資格教員というか、臨時免許状の教員がなくなるかというような、そういう計画がおありだと思いますが、或いは又二級免許状か一級免許状を得るためには、今そういう位置にある者が何万名で、それをこういう経費でこういう計画でやればどうなるというような見通しをお持ちになつておるだろうと思います。聞くところによりますると、新制大学の卒業生が出たときには、もはやこういう認定講習等は終りになつてつて、そうしてそのときまでに資格を得ないものは駄目だというようなことを、教員の間に、これは組合幹部諸君じやありません、現地の教員の間にそういう不安の気持を持つておるのを私は聞いて来ておる。それでこういう教員諸君に対して不安を與えないで、今年に講習を受けなくとも、来年でも再来年でも、とにかくその期間内には順が廻つて来れば講習を受けられる。そのときまじめに講習を受けたならば、必ず資格は取れる。或いは年齢から言つても経歴から言つても、新卒の生徒よりも少くとも上の待遇と地位とを得ることができる。こういうふうな安心した立場においてやることが必要なんでありまするけれども、私の申上げるのは。その意味でどうも経費が十分じやないのじやないかと、こう言うのでありますが、その意味計画をお聽かせ願えれば幸いだと思います。
  46. 玖村敏雄

    説明員(玖村敏雄君) お答えいたします。  今丁度そのことを承りませんでしたから、私の方で正確な計算をいたしたものを持参いたしませんでしたから……、勿論助教の……、臨時免許状でございますね、助教が何人、それから仮免教員が何人、二級教員が何人という大まかな、併し相当これは根拠のある統計は持つております。ただそれを全部国費で何年間にやるというのでございませんで、地方事情によりましては、或県は多少遅れるし、或る県は早くやつてしまうであろう、こういうふうな相違が出て来ると考えます。  尚、助教は何年に終るかとおつしやつても、次々に新らしく教員不足のときには出て来ますものですから、恐らくいつまで経つても助教はなくなるときはないだろう、と、こういうふうに考えるのであります。  それから昭和二十八年の三月三十一日を過ぎたら、上級の免許状を得られないのではないかという地方先生方の御心配は、それは全然間違つておるのでありまして、免許状はちやんと永久計画で、何年かかつても上級の免許状が取れるように措置してあります。
  47. 河野正夫

    河野正夫君 それは承知しておるのでありますが、新年卒業生が出て参ります。そうすると、新卒業生の方が上級の免許状を取り、その先生であつた者が下級の免許状ということがあり得るのですね。そういう不安を持つておるので、成るべくそうでないように講習計画が立てられて行き、そうしてそれは本人の不勉強によつて、或いは病気等の事情の場合には、これは止むを得ないが、自分自身が講習を受けたい意欲を持つておりながら、而も教え子の方が早く有資格者、或いは上級資格者になるという事態は成るべく避けなければならん。そういう意味予算措置というものは、国家でももとよりですけれども、地方でもやらなければならん。地方庁でやらなければならん点は我々の責任ではないと言わないで、文部本省はかくのごとき計画を持つておるから、地方では是非ともその方向に副うてやるように努力して貰いたいということを、あらゆる機会に徹底させることが文部省責任であるということを申上げたかつたのであります。以上で質問を打切ります。
  48. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 予算関係につきまして、外に御質疑はございませんか。
  49. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 従来たびたびこの問題は質問されたのでありますが、例の国立大学学芸部の附属の小学校、中学校の先生の俵給でありますが、これは各地方で非常に行くたびに何とかなる見込があるかどうかというようなことを聽かれるのですけれども、今度の予算ではそういう面をどういうふうにお考えになつたか、説明をお願いいたします。
  50. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) 大学附属小中学校の先生が、一般の公立小中学校の待遇よりも低いのではないかという御質問でありますが、これは国立学校の職員はいわゆる政府職員の、基準によりまして、一定の基準で行つておりますので、ただ公立学校との比較において、簡單に上げ下げするということがむずかしいのでありまして、私共から申しますと、実は公立学校の職員が或る時期に非常に全体のレベルが上りまして、国の方の職員の方はそのまま、言わば人事院等の方針にも縛られて、非常に嚴重な基準で行つたというようなことのために、こういう結果に段々陷つて来たわけであります。今のところこれを是正する方法といたしましても、はつきり見通しがつかないような現状であるというのが率直なところでございまして、大学の職員であるということでありますので、止むを得ないというふうに考えております。
  51. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 止むを得ないというような考え方で拠つて置かれるというと、ここには従来非常に優秀の材が研究を目的にして、多少は給料が少くても我慢をするという立場で入つて来たり、迎えられたりしておる人があるのでありますけれども、併しながらそういう人なればこそ余計に、国としては面倒を見てやらなければならんじやないかというふうに私は考えるのであります。そうしてこういう所で大いに研究修養したものが一般に出て、現在は非常に地方の一般の教職員とは差があるようでありまして、又大学自体によりましてもこの予算が一括されて大学へ行つておるのじやないか、そうしてその中で以て、これは小学校の分、これは中学校の人件費というふうにして、割合に、そう申しては何ですが、附属方面の方に流れ方が少いのじやないか。そういうのを文部省としては、国立大学としては規定してやるというような考え方は持たれないのかどうか、お伺いしたい。
  52. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) 大学へ行きます人件費を大学の中心幹部の方が主に取つて附属小中学校の方には流れないというようなことは絶対にないのでありまして、悉くその何級何号という基準によつて、全部細かい定員の計画によつて、経費を流しておるのであります。ただ何級俸から何級俸に上るという場合に、一定のそこに昇給の基準等がありまするので、それを簡單に追越してどうするということができにくいのであります。若し附属小中学校関係で、公立学校との関係においてそれをやるということになりますと、政府職員全体の基準にこたえて来るわけです。その意味政府職員である限りは止むを得ないものだ。ただ国立学校の職員は何と言つて指導的地位にあるのでありますし、そこにおいて研究機会或いは施設というようなものも與えられるのでありますから、そういう意味で待遇以外に、その職員としての非常に働き甲斐を見出しておるのではないかと思うのであります。そういう意味で止むを得ないというふうに考えております。
  53. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 働き甲斐があるから止むを得ないというようなことでなしに、今後大いにこういう方面に有用の人材を集めて教育改革の一助にするための線を打出すように、文部省としては今後大いに努力をして貰いたいということをお願いして質問を打切ります。
  54. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) ちよつと関連したことですが、今の鈴木委員質問された点は、終戰後常にそういう苦情を聞いて、而も非常な尤もな主張だと我々思つておりまして一何とか簡單に打開されそうなことだと思つておりましたけれども、只今の答弁を聞くと、なかなかそうでない。むしろ前途は非常に見込がなさそうなふうで、甚だどうも意外に思つたわけです。現在の俸給の根本をいじらないで、等級でも上げて、公立学校と水平まで少くとも行く。むしろ優遇したい。人材を集めておるのだから優遇したいとすら思われるわけです。少くとも横に公平を期するというようなことは根本をいじらないでできないものですか。上のマキシマムの方は止むを得ないけれども、そこまで段々下を上げて行つて水平を期するというようなことが何かできないか。そういう操作が不可能ではなさそうだと考えられるのですが、どうです。
  55. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) この問題につきましてはいろいろ人事並びに人事院とも相談をしておるのでありますが、尚結論に到達しておりませんので、十分研究いたしたいと思います。
  56. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 甚だ尤もな主張だと思いますから、どうぞ御努力願いたい。
  57. 藤田芳雄

    藤田芳雄君 やはり今のに関連してなのでありますが、今委員長からもお話がございましたので、尚御考慮願う一つ方法として、多分思いますのに、公立の方の中小学校の方はいわゆる臨時教員というようなものがおりますので、その間で相当のやりくりもつくような面があるのだと思うのであります。ところが一方はもう優秀な人ばかりの集まりですから、勢いそこに融通性がないということもあり得ると思いますが、今のような正規の形から行きましたらむずかしいでしようけれども、一つ文部省からお考え願いたいと思いますことは、先日実は附属のことについていろいろお尋ねした一つ事柄に相当するわけなんですが、あれはやはり学芸部とか、或いは教育学部としての重要な研究施設だというような建前から、特殊な研究費というようなものをそこに計上する必要があるのじやないか、そうしたならばその点において、或る程度のそういう面のカバーもできるのじやないか、ところが実際においては公立関係の方よりもその研究費が不足なんです。そうして実際の附属の経費のやりくりは全く、全くと申しては失礼ですけれども、大部分がP・T・Aでやつておる。先日免除の問題をちよつと聽きましたのもそれなんですが、全部P・T・Aの負担でやつておる。決して国費でやつておらない。その余裕がないのであります。公立学校の方では却つて成る程度研究費についてのものがあるのに、一番研究を沢山やらねばならん、或いはやつておる方面に何もそういう経費の余裕がないのですから、むしろあれは大事な教育大学としての研究機関であるという意味から、その方面への経費計上ならば、何とか幾らでもできるのではないか。別なことですが、只今の話に連関しまして御考慮願う一つの材料としてお考え願いたい、こう思うのであります。
  58. 堀越儀郎

    ○堀越儀郎君 関連でございませんが……別ですけれども、この予算面で教育関係するのですが、旧制大学の入学試験が困難だと言つておられますけれども、いわゆる白線浪人が新旧併せると一万七千名ぐらい、或いはそれ以上あるかも知れませんが、その中の現在は收容能力が一万人ぐらいだということですが、幾らか收容人員を増加して救済されるような案も立てておるようでありますが、実際それは予算に響いて来るわけでありますが、どういうふうに救済されるのか、その予算面はどこに盛つておられるのか、それをお伺いしたいと思います。  あなたにお伺いして適任ではないかと思いますが、多少予算関係しておるので、御相談はお受けになつておることと思います。
  59. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) 旧制大学の收容人員につきまして、これは予算の上では特に白線浪人の吸收を図るようには、そのために考えるということが考慮されておるようには聞いていないのでありまして、ただ実際の收容をできるだけ定員よりも少しでも多くするというようなことで、多少でも、解決する点があるかと思いますが、予算の面ではそこまで考えられていない状態であります。
  60. 堀越儀郎

    ○堀越儀郎君 予算の面からそこまで考えておられない。当該関係責任者の方からも御相談はないのですか。
  61. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) 別にないのであります。
  62. 堀越儀郎

    ○堀越儀郎君 もう一つお伺いしたいと思いますが、地方に行くと一番問題になるのは平衡交付金の問題であります。これはいずれも地方庁との関係が出て参りますけれども、教育費の問題からの紐つきの交付金を早く決めて貰いたいという意見が非常に多いのであります。
  63. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) さつき委員長懇談会で、本会期中に提出される法案の予定を聞いたのです。そのリストの中に平衡交付金の関係の標準教育費の法案が入つていない。その点につきまして官房長官に質問をしたのです。ところが今研究中である、平衡交付金の法案と並んで出す、そういうようなことに聞きましたが、一体本会期中に上程される、付記されるかどうかです。その点の見込も伺いたい。
  64. 堀越儀郎

    ○堀越儀郎君 そういう点に関連して文部省の御意見を承つて置きたいと思います。
  65. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) 平衡交付金法と、標準教育費の算定に関する法律案とは、両方共是非必要な法律でありまして、一方が出たら一方が出る必要がないというものじやないので、ただ内容的にこれを調整しまして、平衡交付金法の方には、義務教育に関する面は標準教育費算定の法律の方に讓るような形で出して貰うことを私共は望んでおるわけであります。で今標準教育費に関する法律は、多少お聞き及びかとも思いますが、政府におきまして愼重に審議中であるのでありますが、これはいわば文部省の生命とも言うべきもので、地方自治庁の方ですべて教育費の算定をやつて、そうして地方で全部やつて貰うという形になりますと、教員の俸給の遅拂、或いは不拂というようなことに当然響いて来る重大問題になると思うのでありますので、私共も躍起になつてこの法律の成立のために今非常に努力中でございます。
  66. 河野正夫

    河野正夫君 その標準教育費の法律が非常な重大な障碍に今出会つているということを新聞でも承知しましたが、直接にその関係している人々から聞いております。そこで寺中さんではお分りかどうかと思いますが、これは我々がことによつて議員立法という形ででも、各会派共に、特に衆議院最大会派である民主自由党の諸君も熱心に支持しておられる法案だと私は思いますが、そういう我々の肚構えにも必要なので、ちよつと承りたい。この法案は今会期中に政府提案として出る可能性がありますか、どうですか。
  67. 寺中作雄

    ○政椿委員寺中作雄君) 今会期中にどうしても政府提案として出すべく努力中でありまして、可能性はあると思います。ただ或る方面からいろいろそれの内容についてまあ意見があつたり、苦情が出たりしておるので、多少混乱的な状況に陷つておりますが、これはどうしても成立させなけりやならない法案である次第であります。
  68. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 その平衡交付金に関係をしている問題かと思うのですけれども、二頁のところに中等教育の振興に必要なる経費というところで、前年度限りの経費というのがありますが、それはその中の実業教育費の補助、或いは振興費というようなものは、中等教育においては実業教育をオミツトしたためにそこを抜いたのですか。高等学校へ持つてつてそれを入れるというような意味地方に任しちやつたわけですか。実業教育関係しての費用というものは、そうすると一切なくなつちやつたかどうかということを一つ………。
  69. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) この実業教育費の補助と申しますのは、実業教育費国庫補助法という法律に基く補助であつたわけでありまして、これが昨年は百八十万円ばかり入つてつたのが今度落された次第であります。その内容は確か一校十万円程度の金を、学校を拾いまして、実業教育の施設のために配当するという金であつたわけでありますが、そういう一種の恒久的な、経営的な補助というものは、シヤウプ・ミツシヨンの線から言つて面白くないから、地方費で以て賄うがよかろうということで落されたのでありますが、ただ落しつ放しになつているわけではないのでありまして、結局実業教育費補助と言いましても、文部省の政策から言いますと、一種の実験学校運営であります。そういう意味で、実験学校運営の経費としまして、その終りのところにありますように、職業教育の実験学校等にも相当の金を流すことになつておりますし、又職業教育振興充実ということで、昨年の経費の二倍ぐらいの経費を計上してございます。いわゆる地方に対する補助という形ではありませんが、文部省として力を入れる本省の施設としまして、実業教育振興のために力を注いでおりますことは、金額の上ではむしろ昨年よりも上つておるのでございます。補助という形はシヤウプ報告書の方針から言つて面白くない。そういうことは地方が中心になつてやるべきであるという趣旨から落ちたわけです。
  70. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 外に御発言は……。
  71. 藤田芳雄

    藤田芳雄君 今日頂きました資料に、「昭和二十五年度地方財政平衡交付金予算文部省関係分算出の基礎に関する資料」、その中の「文部省関係地方財政平衡交付金」この金額は間違いないですか。
  72. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) 間違いございません。
  73. 藤田芳雄

    藤田芳雄君 この二十五年度予算説明大蔵省主計局から出ているのを見ますというと、十三頁の文部省の所は、もう少し多くなつているように思いますが、これは、どういうところからこういう違いが出ておるのですか。
  74. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) どれだけですか。
  75. 藤田芳雄

    藤田芳雄君 そうですね。約二百六十万ばかりですね。
  76. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) この資料がそうなつている筈でありますが、二百六十一億三千五百四万一千円でございます。
  77. 藤田芳雄

    藤田芳雄君 そのうち二百六十万ばかり、主計局から出した予算説明の中へ入つている数字よりも、こつちは不足になつているんですよ。
  78. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) 二百六十万でございますか。
  79. 藤田芳雄

    藤田芳雄君 ええ、万です。億じやないんですよ。二百六十万ばかり。
  80. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) この数字は大蔵省とも話合いの合つている、間違いのない数字のつもりであります。或いはどういう資料をお持ちなのか存じませんが、その後に少し変つたのが出たかも知れません……。
  81. 藤田芳雄

    藤田芳雄君 昭和二十五年度予算説明昭和二十五年の一月の改訂版として大蔵省の主計局から出ている、議員の全部に回つているものですが、その十三項のところで……。それはそれとしましてあとでお調べ願いたいと思います。何か落ちがあつて、余計に貰えるものを不足に考えているのも変だし、種目が落ちているのもおかしいと思いますから。ただこれはちよいと言いにくいことかも知れませんけれども、文部省として本年度予算を最初立てられまして、いろいろ折衝したことだと思うのですが、最終でき上つた予算から眺めて、若しも復活し得られるならば、どの費目においてどういう程度のものから順に……その必要の度ですね、若しそういうようなものがありますならば、一応お聽かせ願いたいと思います。それは自分が予算委員として、又いろいろ質問したり、考えたりする上の参考にしたいと思いますので。
  82. 寺中作雄

    政府委員寺中作雄君) 大蔵省で審議を経ましたこの予算要求書のうちで、私共として特にもつと増額を必要としたり、或いは復活を必要としたりしました経費はそう沢山はありませんが、多少ございます。別に表にして差上げてもよいかと思いますが……。例えば学校給食の経費等も、本当はもう少しないと、いわば関係当局の趣旨に副わないような点もあるのであります。それから只今問題になつております実業教育費の補助でありますとか、或いは去年までやつて来ました中等学校及び高等学校の通信教育の経費の補助でありますとか、そういうものも、最後まで私共としても非常に努力をして来ました経費でございます。尚細かいものを申上げますといろいろございますが、一応そういうようなものでありまして、別に資料としてお配りしてもよいかとも思います。
  83. 河野正夫

    河野正夫君 本日はこの程度にして又次の機会に必要ならば質疑を続けることにして、本日はこれで打切つたら如何でしようか。
  84. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 河野君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それではこの程度に止めたいと思います。本日はこれで散会いたします。    午後四時十七分散会  出席者は左の通り。    委員長     田中耕太郎君    理事            木内キヤウ君            藤田 芳雄君    委員            河崎 ナツ君            河野 正夫君            岡崎 真一君            左藤 義詮君            梅原 眞隆君            堀越 儀郎君            山本 勇造君            鈴木 憲一君   政府委員    内閣官房副長官 菅野 義丸君    文部事務官    (大臣官房会計    課長)     寺中 作雄君   説明員    文部事務官    (初等中等教育    局中等教育課    長)      太田 周夫君    文部事務官    (大学学術局教    職員養成課長) 玖村 敏雄君    日本学術会議事    務局長     本田 弘人君