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1950-04-24 第7回国会 参議院 農林委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月二十四日(月曜日)    午後一時三十五分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○牧野法案内閣提出衆議院送付) ○家畜改良増殖法案衆議院提出、衆  議院送付) ○競馬法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○造林臨時措置法案院内閣提出、衆議  院送付)   —————————————
  2. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) それではこれから委員会を開会いたします。  本日の予定牧野法案家畜改良増殖法案及び造林臨時措置法案、この三案につきまして大体最後の質疑をして頂き、そうしてできれば討論、採決に入りたいと考えておりますので、御了承頂きたいと思います。で、この三案が済みまして時間が若しありますれば、衆議院議員提出競馬法の一部を改正する法律案について提案の説明を伺う予定にしております。  それでは最初牧野法案家畜改良増殖法案について残された質疑をこの際して頂きたいと思います。
  3. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 私は最初にお断りして置きますが、この前の委員会に出席しておらなかつたために、重複する虞れがあるかも分りませんけれども、その点は惡しからず御了承願いたいと思います。  先ず逐條的に申しまして、第三條の第二項「牧野管理規程案を十日間公示しなければならない。」こういうようなことになつておるのであります。公示方法は恐らく県公報によるというようなことではなかろうかと思うのでありまするが、交通不便な所を沢山持つておる所では、十日間くらいの県会報による公示では、県公報が発行されてから十日間……公報が到着するまでにすでに十日間経過する。こういうふうなことで、公示効果が全くなくなるようなことになりはせないかと考えるのでありますが、十日間の公示で完全であるとお考えになつておるかどうか。この点伺いたいと思います。
  4. 山根東明

    政府委員山根東明君) 第三條第二項の「公示」は、只今お話がありましたように、県の公報予定にいたしておりますが、離島その他で公示県公報現地まで到達するのに時日を要するような場合には、折角こういう規程を定めましても、そういう特殊な事情のためにお話のように折角効果が期待できないようなこともあろうかと思うのでありますので、そういう点につきましては何らかの便法を以て特殊な方法を用いまして、そういうことのないようにさせるべく指導いたしたいと考えております。
  5. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は第四條の第二項でありますが、これは私畜産の專門家でないために知らないからお尋ねするのでありますが、「この場合の換算方法は、」と書いてあるのでありますが、その換算方法、又これは農林省令で定めるとこういうふうなことになつておるのでありますが、換算方法に関する農林省令の内容は参考資料にも出ていないようでありますが、どういうふうにやられるのか、お尋ねいたしたいと思います。
  6. 山根東明

    政府委員山根東明君) 実はこの法律だけではありません。いろいろな計画をする場合に、大家畜で小家畜換算する方法を従来、これは或る程度合理的な根拠を持つたつもりでおるのでありますが、用いておるその方法を踏襲したいというふうに只今のところは考えております。一口に申しますと、それぞれの家畜が食べます量を基礎といたしまして、具体的に一例を申しますと、緬山羊十頭を以て牛馬一頭に換算するというふうなことになつておるのでありますが、従来と特に変つた換算方法を用いるつもりはございません。
  7. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は第八條であるが、「契約の変更の通知があつた日から三十日経過したとき」こう書いてあるのでありますが、これは受信主義で三十日とこう考えたのでありますか、受信主義であるかどうかをお尋ねいたしたいと思います。
  8. 山根東明

    政府委員山根東明君) 受信主義でお考え願つておられるようでありますが、私共もそういうふうに考えております。
  9. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は第十四條の第二項でありますが、これは前の委員会でも質問応答があつたと思うのでありますが、補助金総額国会議決を経た予算の範囲内、こうなつておるが、すでに国会予算議決されておるのであるかどうか。若し国会議決されていないとしたならば、いつ、どのくらいの予算計上されるお考であるか、お尋ねいたしたいと思うのであります。
  10. 山根東明

    政府委員山根東明君) これは前回の委員会でも問題になつたのでありますが、遺憾ながら現在のところこれに対する予算国会議決を経ておりません。私共も法律が通過いたしましてこの法律を実施いたしますに当りまして、予算の裏打ちがないことは非常に遺憾に思つておる点であります。そういう意味から実はできるだけ早い機会にこれに必要なる予算計上いたしまして御審議をお願いしたいというふうな考え方をいたしておるのでありまして、差当り予算計上はございませんけれども、できるだけ早い機会予算化したい、こういうような考え方をいたしております。
  11. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 予算計上されるならば大体の予定額はどういうふうになつておるか、若し分つたらば予定額のお示しを願いたいと思います。
  12. 山根東明

    政府委員山根東明君) 実は、私共もこの計画つきましてはいろいろ検討をいたして、できますれば大体補償予定額がどのくらいであるかというようなことを、参考資料としてお配りしたいつもりでおつたのでありますけれども、この点につきましては只今までのところ具体的に大体の総額がどのくらいになるかという数字がまとまつておりません。何しろ暫くの間牧野に関する実態把握ができていないような現状でございまして、現状を直ちに調査することにいたしたいと考えておりますので、現状が逐次明かになりますれば、大体の補償金総額もその節には具体的に予測できる段階になるかと思うのでありますが、現状におきましては遺憾ながらそういう事情でございます。
  13. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は第二十條、これもこの前委員会質問応答があつたと思うのでありますが、資金融通牧野草種子及び牧野樹林種苗供給等、こういうようなものに関しては、必要な奨励措置を講ずる、こう言つておられるのでありますが、現在どのくらいの程度に必要な奨励措置を講じておられるのであるか。又この法律が通過したならば、将来どんな方法奨励措置を講ぜられようとしておられるのであるか、この点をお尋ねしたいと思うのであります。
  14. 山根東明

    政府委員山根東明君) 資金の問題につきましては、実は従来まで殆んどこの融通についての措置を採つておりません。ただ法律が通りまして、この法律に基きまして各種事業が国の強力なる推進の下に行われるということになりますれば、金融機関側における考慮も現在と或いは相当違つて来るというふうに私共も考えております。従いまして法律の実施に伴いまして、具体的な計画が進みます曉には、私共の努力によつて所要資金の斡旋をいたしたいというふうな考え方をいたしております。  次に牧野草種子及び牧野樹林種苗供給でございますが、これにつきましては現在のところ国の牧場内に予算計上して、確か全国で四箇所ばかり経営せられておるのでありますが、ここで優秀な牧野草種子種苗供給を今日まで実はそういう施設でやつておるのでありますが、今後にお寺ましては、事に予算の許す限りこの施設を拡充して、そうして各地の要望に十分応え得るようにやつて参りたい、かような計画をいたしておるのであります。
  15. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は第二十四條と第二十七條であります。度々罰金制度については私質問するのでありますが、二十四條によるというと三万円の罰金額があつて体刑がない。別な法律であつたならば、三万円だつた大概体刑が付いておるのであります。それから二十七條関係は、過料に処すべきところの者が、私はこの法律を読んで見まするというと、第六條第二項の趣旨に従わなかつた者、第十八條趣旨に従わなかつた者も同様に過料に処すべきものであると考えるのでありますが、第六條第二項の趣旨、第十八條趣旨に従わなかつた者に過料を特に免じてあるところの理由はどこにあるか、お尋ねしたいと思うのであります。
  16. 山根東明

    政府委員山根東明君) 第二十四條に出迎いたしまして、三万円の罰金だけで体刑規定いたしていないのは十どういう理由かというのが御質問の第一点のようでありますが、罰則の適用は、いつも問題になりますように、非常に慎重でなければならん重大な問題でありますので、実は私共もこれを決定いたします場合には、何と申しますか、勿論他の法令のそうした前例十分参考に見ますことは勿論のことでありますが、それと同時に、命ずる規定実質を考えまして、これに対する違反を一方においては罰則によつて、これを何と申しますか、防止する効果、それを罰則の額の決定に十分採り入れなければならんというような考え方で、そうした或いは多くの場合、三万円の罰金に何らかの体刑が併せて規定してあるのが前例であるかと或いは思うのでありますけれども、この場へ第九條でございまして、「都道府県知事は、その必要の限度において、期間及び区域を定め、当該牧野所有者その他権原に基き管理を行う者に対して、草種又は草生の改良その他牧野改良及び保全に関しとるべき措置指示することができる。」この指示に違反した場合の罰金でございまして、これに対して特に体刑規定するのは、聊かこの規定自体の本質から見て、更にその他の法会の規定等権衡上において、体刑まで規定することは聊か酷ではないかというようなことで、罰金刑のみ規定した事情でございます。  それから二十七條の同じような過料が、六條なり或いは十八條規定にも必要ではないかという御意見でございますが、実は十八條は主して第六條を指示することに実際問題としてはなるかと思うのでありまして、これは実質はすでに御承知と思うのでございますが、関係者としましては、この指示自体はむしろ望むところであろうか……ダニを駆除するために火入れ等指示は、関係者としてはどちらかと申しますと、これをむしろ希望する場合が多いのが実情であろうかと思うのでありまして、そういうような関係もありますので、こうした指示に違反するという場合も恐らく殆んどないであろうというようなことを考慮して、これに対しては過料規定をいたさなかつたのであります。  それから実はこれは最初に申上げましたように、罰則権衡を得させるということが非常にむずかしい、而も重要な問題でありまして、二條のその他の規定との権衡上、或いはこれに対する過料規定することがむしろ適当ではないかという考え方もあつたのでありますけれども、一方において私共は必要な最小限度にこの罰則規定を持つて行きたいというようなことから、むしろあらゆる指示過料を実は科することを止めたかつたという気持で参りまして、ただ二十七條に書いてあります十一條二項の規定、十三條一項の規定、これに対しましては、むしろできましたならば、この過料規定を削除したいという気持でありましたけれども、これらは例えば保護牧野用途廃止届出等規定でございまして、これらにつきましては、行政秩序関係からこれを止むに止まれず過料にした。これに対する罰則を削除いたしましたのでは、折角保護牧野用途廃止規定が、何と申しますか、いい加減に扱われるということでありましては、事の性質が、御指摘になりました諸規定と比べまして、聊か性質がそこに違うのではないか、こういうような見地から、むしろ特に必要なもののみに二十七條では過料規定規定した、こういうようなふうに一つ御了解を願いたいと思います。
  17. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は附則の四項です。牧野組合が解散いたしましたならば、その後には牧野事業は如何なる団体にやらせるお者であるか。そのやらせる団体予定されておつたならばお伺いしたいと思うのであります。
  18. 山根東明

    政府委員山根東明君) 実情によつて牧野経営をやります団体は、一概に申上げることはできんと思うのでありますが、私共が予想いたしておりまする今後における牧野団体としましては、牧野に関する農業協同組合、こういうものが大部分を占めることになるのじやないかと、かように考えております。
  19. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 参考資料予算措置昭和二十五年度既定予算牧野改良に必要な経費、これによつて見まするというと、飼料対策費が、二十五年度は二十四年度の約一割に減少しておるのであります。こういうふうに急激な減少をしたのは、何か理由があると思うのでありますが、十分の一に減少するに至つた理由の御説明を願いたいと思うのであります。
  20. 山根東明

    政府委員山根東明君) 実はお話のように飼料対策費といたしましては、前年度と本年度予算を比較しますと、約十分の一程度になつておりますが、これは前年度予算は、実は前年度当初におきまして、国で牧野を直接経営いたしたものが相当あつたのでございます。これはその成立ちの元から申しますと、主として強健なる軍馬を育成するというような趣旨から、国が直営牧野を東北、北海道に数個所経営しておつたのでありますが、今日その必要がなくなりましたので、確か昨年の六月限七、国の放牧地直営廃止したのであります。その経費が、本年度はそういう関係計上されておりませんので、この区分の下における金額は減つておるのでありますが、それを除きまして、牧野改良に必要な経費はここにありますように、総額三百八十一万六千六百円、主として中央の職員の諸経費地方に対する補助金、これは前年度と大した異動なしに計上いたしております。
  21. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 これは第二十六條です、今度は……第二十六條によつて見まするというと、最近出たところの法律によつて見れば、二十六條のような規定では面白くない。善良なる経営者理事者であつて、部下に正当なるところの注意をしたのにも拘らず、不正行為をやつたというような場合には、その法律責任者は処罰を受けない。こういうふうな規定があるのにも拘らず、二十六條では善良なる注意をやつた者にでも処罰するというようなことは、別な立法と齟齬することになるのじやなかろうかと思うのでありますが、善良なる注意を使用人、代理人にやつても処罰される考であるかどうか、お尋ねしたいと思うのであります。
  22. 山根東明

    政府委員山根東明君) 第二十六條の規定は外の立法では別の規定の仕方がしてあるというような御指摘でありましたが、実は私共はこの規定につきましては、他の法令規定を倣いましてこういうふうな規定をいたしたのでありまして、特にこの法律のみ特殊な規定をいたすつもりもありませんし、事実もそういうふうになつて来ておるというふうに了解いたしております。
  23. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕   —————————————
  24. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 速記を始めて——牧野法案について外に御質疑がなければ、家畜改良増殖法案について御質疑をお願いします。
  25. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 この法律案質問の中でも或いは重複する点があるかも知れませんけれども、この点御了承をお願いいたします。家畜増殖五ケ年計画家畜頭羽数表を対照して見ますと、いずれも二十四年度で五ケ年計画は突破しているように見受けられるのであります。若し五ケ年計画をすでに二十四年度で突破しておるといたしましたならば、将来の計画はどうされるのであるか、これを伺いいたしたいと思うのであります。
  26. 山根東明

    政府委員山根東明君) 増殖五ケ年計画実績はお手許資料としていつかの機会に差上げたと思うのでありますが、幸いに一口に申しますと、比較的順調に進んでおります。併しお話のように、すべての家畜最終年次の目標を突破いたしてはいないのでありまして、家畜によりまして非常に進捗状況のよし惡しがあるのであります。例えて申しますと、牛などは非常に順調に進んでおりますが、馬に参りますと、二十四年度の計画にも尚到達していないと、現状計画に下廻つておるというような事情があるのであります。これは併しながらこのままでいいのかと、このままにして置くのかというお話でありますが、その点になりますと、この前の委員会とも私からちよつとお答えいたしたと思つておりますが、実は計画を立てました当時と今日ではいろいろな事情が、卑近な例を採つて見ましても、飼料事情一つつて見ましても、当時飼料統制が或る程度尚続くという前提を以てあの計画が立てられておつたのでありますが、御承知のように、四月一日から飼料事情統制廃止されるような事情になつております。その他いろいろな條件が最近変つて参つておりますので、この新しい條件の下に、更に過去一年の実績をこれを検討いたしまして、そういう点から五ケ年計画をもう一度見直す必要があるというふうに私共は考えておるのでありまして、改訂新計画というようなものとして、できるだけ近い将来において新しくこの計画を見直して参りたいというふうな考え方で今日参つております。
  27. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 今畜産局長お話によれば、馬は予定計画に達していないと、こういうふうなことでありますが、私の手許にある資料によれば、予定計画に達していないところの数字は殆んど僅かであつて、その他のものは非常に増加しておるのでありますから、五ケ年計画は速かに立て直して、将来向うべきものを示さなくちやできないとこう考えておるのであります。  それから家畜生産頭数表によつて見まするというと、各家畜とも近年生産高が増加しておるのでありますが、本年に入りまして家畜が増加した結果か、或いは経済界の変動か分りませんが、家畜が非常に暴落しておるのであります。この非常に家畜暴落に対して、政府はいかなる対策を考えておられるのでありますか。或いはこの暴落が契機になつて今まで増加して来たところの生産量が急激に減少するというようなことになりはしないかと考えられるのであります。若しそういうふうなことであつたならば、畜産奨励上由由しき問題が突発すると考えておるのでありますが、家畜暴落に対する、政府対策を承りたいと思うのであります。
  28. 山根東明

    政府委員山根東明君) 特に最近家畜価格暴落した実状は御指摘の通りでありましで、これに対しましては私共も藤野委員の御心配になつております心配をいたしておるわけであります。折角順調に進んで参つた畜産熱がこのためにここで挫折するようなことがあつてはいかんということから、同じような心配をしておるのであります。これに対してどういう施策を考えておるかという点でございますが、実は私共も家畜暴落実状を早速私共の係りを現地等に派遣いたしまして実際の実状把握を先ずいたしたのであります。それによつて勿論具体的な対策も早速立てなければならんのでありますけれども、いろいろこの根本的な原因は非常にむずかしい点にあるようでありまして、一つには一般の経済界のそうした波の煽りをくつたということが大きなまあ原因をなしておるわけでありまして、このためにはそうした面からの問題も根本的に解決を要する問題であるわけでありますが、私共の見地からだけこれを申して見ますと、実は遺憾ながら私共自体も今日まで増産にのみその主力を注ぎまして、これの消費面と申しますか、流通面と申しますか、そういう面につきまして殆んど根本的な考をいたすことに実はなつていなかつたの実状であるのでありまして、私共としましては、私共の今後の施策一つの重点をそうした面にこれは切換えて行く必要を痛感いたしておるのでありまして、そのためには乳、肉、卵等生産物消費の宣伝と言いますか、消費面における強力なる一つ施策を樹立して参りたいというようなことで、実は具体的に金額なり、或いは計画なりが、今日尚具体化はいたしておりませんけれども、そういう方法を以て、これは経費が必要でありますれば、新しく予算計上等によりまして、そうした面に今後力を注ぐことによつて折角今日高揚しております畜産熱が挫折することのないようにという気持だけは持つて折角各種調査を取りまとめいたしておるのが現状でございます。
  29. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 畜産物の下落の原因は多々あるのでありますが、私はその一つ原因家畜市場が競争的のものであつたの原因になつて濫立せられて、取引の公正を欠いておる。これが一つ原因であろうと考えるのであります。でありますから、暴落を防止するところの一つ方法としては、速かに或る一つ制度によつて家畜市場を現在のような自由の形から、ある一定の方針の下に家畜市場をやらせるというようなことに立法化して行かなくてはならないじやなかろうかと思うのであります。家畜市場に対する現在の使用する設備その他について、或る程度の制限を加えて家畜暴落を防止する策を考えておられるかどうか。この点をお伺いいたしたいのであります。
  30. 山根東明

    政府委員山根東明君) 家畜市場に関して一つの法制を設けて、それによつてこれを市場運営方式統制する意思があるかないかという点につきましては、実はこの前の国会でも同じような御質疑がありまして、私からもお答えしたように記憶しておりますが、必要があればそういうふうに参りたいということで、実は爾来各県の実情調査、或いは県に対する照会等を取りまとめて今日おるのでありますが、実は県によりまして実情が必ずしも一致していないようでありまして、現状のように全く自由放任することの方が望ましいというような回答をよこしておる県も、どちらかといえば相当多いのであります。私共もこの前の国会の御意見もありましたので、何とか結論を出したいというふうに考えておりますけれども、現在のところ実は近い機会において家畜市場における取締法規を制定いたしまして、それによつて市場運営を規正して行くということが、最も望ましい結論であるというふうな結論にまでは実はまだ到達していないのであります。ただこの度の価格暴落と関連いたしまして、将来市場をどういうふうに持つて行くかということにつきましては、尚更に今後におきましても研究を続けて、正しい結論を出すことに努めて参りたいとかように考えております。
  31. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 家畜生産頭数表最近十ケ年、この表によつて見ますというと、緬羊及び山羊昭和十四年以来非常な順調を以て増加いたしたのであります。又農家においても緬羊及び山羊は非常に有望であるとして飼育を奨励しておるのでありますが、緬羊及び山羊に対する将来をお尋ねしたいと思うのであります。
  32. 山根東明

    政府委員山根東明君) 緬山羊一口に申しますと中家畜でありますが、これが非常にこの表でも分りますように最近殖えておるのでありますが、実はこれにつきましては、私共も日本の農業実情から見まして、中小家畜に今後相当力を入れて行くことが必要であるというふうに考えておるのでありまして、このように殖えて参つております実情は私共としては非常に喜んでおるのであります、将来とも農家山羊につきましては副業として、緬羊につきましてはこれから更に衣料資源の自給というような狙いを以ちまして、緬羊山羊増殖には将来とも力を尽して参りたいというふうに考えております。
  33. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は種畜法施行に要する経費であります。これを二十四年度と二十五年度と比較して見まするというと、その減少率は僅かでありますけれども減少しておるのであります。政府種畜奨励を一方でしておるのにも拘らず、予算減少するに至つた理由はどこにあるか、又種畜奨励をして行くのについては、各地方に出て廻つて指導奨励をやつて行かなくちやできないと思うのでありますが、それに対する旅費の減少、或いは委託費減少備品質減少、こういうふうなものがあるのでありますが、種畜奨励するとしたならば予算を増加せなくちやできないのに、減少するに至つたところの理由をお尋ねしたいと思うのであります。
  34. 山根東明

    政府委員山根東明君) お配りしてあります資料附表八の種畜法施行に要する経費だけ見ますと、お話のように前年度に比べまして若干ではありますけれども減つておるのであります。ただ私共が種畜奨励改良増殖を今後期して参りたいために考えております経費は、ここにあります種畜法施行に要する経費のみに止まらないでありまして、極端に申しまするならば、畜産局のすべての予算が直接、間接に種畜改良増殖に関連を持つておるとも言えるわけであります。ただここにあります種畜法施行に要する経費は、少くともこの費目は或る程度つておるのでありますが、これは実は種畜の検査をやりますための経費でありまして、本省から種畜検査に出かけます者の旅費、或いは国が従来施行いたしておりました種畜検査を府県に委託するための経費でございまして、これは従来とても実は不足勝ちであつたのでありますけれども、今回更に減りました理由につきましては、実はこの前のこの委員会でも御指摘がありましてお答えいたしたのでありますが、国の経費が非常に圧縮を必要とするような実情ですので、出かけて行きます検査の日程を或る程度短縮し、更に班の構成人員も、従来の人員に比べまして、構成人員を減らすというようなことをせざるを得なかつた。そうして或る程度節約しまして、日数も人員も減らしまして、仕事を能率的にすることによつて従来通りの仕事をやつて行きたいというようなことから、この費目はそういう意味合から国の財政上の都合によつて、これは縮減を余儀なくされたという事情にあるわけであります。
  35. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は人工授精設設置に要する経費でありますが、人工授精施設設置予定の個所は二百六十ケ所ということであるのであります。この二百六十ケ所は如何なる方針によつて地方に割当てられるのであるか、又職員設置費というのを組んおられるのでありますが、この職員設置費の内容はどういうふうになつておるのか、お尋ねしたいと思うのであります。
  36. 山根東明

    政府委員山根東明君) 実はこの予算の人工授精施設の二百六十ケ所でございますが、これはすでにこの国会で御可決を願いました家畜保健衛生所法案に基きまして、今日まで全国で百八十ケ所の保健所が設置されておるでのであります。   〔委員長退席、理事羽生三七君委員長席に着く〕  新たに本年度追加されました八十ケ所、合計二百六十ケ所の保健所が設置される予定になつておるのでありまして、人工授精施設も原則としてはそれに併置するというふうな実は考え方をいたして、計画といたしましては二百六十ケ所を予算計上いたしたような関係になつております。
  37. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 最近四年間家畜屠殺及び肉量、これを調査して見ますると、成牛が減少して犢が増加しておるのであります。成牛が減少し犢が増加したこの理由はどこにあるか、お尋ねしたいと思うのであります。
  38. 山根東明

    政府委員山根東明君) 従来の屠殺の趨勢から見まして、最近成牛はむしろ減つおるけれども、犢は非常殖えておる、こういう現象をお話のように示しでおるのは事実であります。これはどういう理由かということにつきましては、一概には申せないと思うのでありますが、一つには価格関係があつて、最近犢を屠殺した方が価格の点で有利だというような、価格関係がそういう点に働いた面もあろうかと思うのでありますが、一つには実はこれは或る程度農家の金詰りを反映いたしまして、後牛の補充がなかなか困難でありますような関係上、古い老廃牛を抱えてこれの更新をしたくても実はなかなかできない、いわばそこでふん詰りの形になつておるという現象を、これは先程問題になりました最近における価格暴落もやはりそういう現象に影響されておるということも実は考えられると思うのでありますか、最近なかなか後牛の補充の関係で、本来であればこれを更新すべきものが、なかなかいつまでも老廃牛を抱えてふん詰りの状態でおるというような事情を聞いておりますので、ここに現れましたこうした数字の趨勢も、若干そういう現象を反映いたしておるのではないかというふうに見られる節もあろうかと考えるのであります。
  39. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は最近四年間の畜産物生産数量、これによつて見まするというと、すべてのものが増加しておるのにも拘らず、バターとチーズの生産だけが減少しておるのであります。何故にバターとチーズだけが生産量減少するようにならなくちやできないか、減少するところの理由をお尋ねしたいと思うのであります。
  40. 山根東明

    政府委員山根東明君) 特にバター、チーズと煉粉乳と比較いたしますと、同じ乳製品でありながら煉粉乳は非常に殖えておりますが、バター、チーズは減つておる、この点は、一つには国の政策としまして、御承知のように、乳製品の統制を続けて、最近も続けて参つたのでありますが、その間において、煉粉乳につきましては、こうした増産の計画を国が採られまして、バター、チーズは煉粉乳の増産に抑えらもよして、こうした趨勢を取つておるものと思うのであります。と同時に、今後自由になつたわけでありますが、何と申しましても、価格の問題が、バターにしましても、チーズにしましても、今日の価格では、なかなか増産しても、それが一般消費者の口にはなかなか入らないような価格であるのが現状であるのでありまして、今後バター、チーズが増産されますためには、価格の面を現在よりもつと安い、もつと消費し得る価格の面にまで、これを、生産費を引下げるということに問題が残つておるのでありますが、少くとも過去におけるこうした数字の趨勢は、最初私からお話しましたように、統制この間におきましては、そうした線に副つて統制を国が続けて参つたということが、こうした数字の現れております一番大きな原因であろうというように考えます。
  41. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は、飼料配給公団廃止後におけるところの飼料配給の現在の状況はどうであるか、又将来の対策はどうであるか。又各公団については、いろいろの不正事件が摘発されつつありますが、飼料公団には、そういうふうな問題がないかどうか、こういうふうなことをお尋ねしたいと思うのであります。
  42. 山根東明

    政府委員山根東明君) 飼料配給公団は、御承知のように、三月末で廃止になつたわけであります。その後における飼料配給の実情はどうであるかというお尋ねでありますが、実は廃止に当りまして私共が一番心配しましたのは、廃止直後飼料の需給の面に大きな混乱を来たすことはないかという点であつたのでありますが、すでに約一ケ月近くの時日を経過いたしておるのでありますが、幸いに今日飼料の需給面における非常な混乱が、実はまだ私共の耳に入つていないのであります。ただ従来価格等も、統制価格があつたのでありますが、これも近く原則的にはこれを外すという、実は方針を取つて手続中であるのでありまして、それを見込みまして、若干生産業者、飼料の生産業者等において、価格が外されるのを見越して、売惜みをするというような事情が、例えて申しますならば、「ふすま」等においては見られるのでありまして、そのために「ふすま」の入手が今日限りでなかなか困難であるというような点で、或る程度家畜の使用者に不便をかけておる点は、これはあるようでありますが、これも価格が近く決定すれば一方においては時期的にも青草が芽生えて来る時期でもありますし、飼料の需給は私共の見通しとしましては混乱を生ずることはなかろうというふうな見方をいたしておるのであります。  それから公団におけるいろいろな不正事件が問題になつておるのでありまして、飼料公団においてそういう問題がないかどうかということでありますが、実は数日前殆んどの各新聞が飼料公団の事件を取上げて記事にいたしておつたのであります。あの記事は実は記事自体といたしましては、何と申しますか、余り間違っていない記事があつたと私共は読んでおるのであります。只今当局の手で実情調査されておるような段階でありまして、最後的な結論はその上でないと申上げかねるのでありますけれども、私共が今日まで知つておりますあの問題に関する実情は、先程申しましたように、新聞に出ておるところと余り違わないのであります。    〔理事羽生三七君退席、委員長着席〕  一口に申しますと、飼料配給公団の職員が悪質なるまあブローカーと申しますか、そういう者に騙されて、公団の貴重な預金を詐取されたというのが大筋のようになつておるのでありまして、その間に公団の職員が情を知つてこれと共謀したという事実は只今までのところ、実はないというふうに私共は承知しておるのであります。大筋はそうでありますけれども、あれ程のことが行われるということになりますと、その間それに騙された側における、騙されたことに対する責任の問題、更に当初は騙されたということから発足いたしましても、行く行く事件が進みます中に、或る程度情を知つてこれに加担したというようなことがあつたかどうか、又その間に増收賄等の汚職事件が全然なかつたかどうかということにつきましては、これは私共も実は十分調査した上でないと申上げかねますけれども、実はどうであろうかという程度気持は持つておるのでありまして、只今関係の筋でも調査いたしておりますし、私共の方でも公団当局についていろいろ事情を聴收しておりますので、或いは近い中にその問題についての正しい結論も出るかと思うのでありますが、現在におきましては只今申上げましたような事情で、その間に他の公団等で大きく問題になつておりますような職員の不正ということが、今日までのところでは介在いたしておるというような結論は実は出ていないのでございます。
  43. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は牧野との関係でありますが、私などが牧野に放牧する場合においては、牝牡を……どんなものを放牧しても差支ないのでありますが、同一牧場に牝牡を一緒にやるということであつたならば、そこに自然交配ができて、畜産改良上支障があると思うのでありますが、牧場に放牧する場合に牝牡の関係は或る制限が与えられるかどうか、その点をお伺いしたいと思うのであります。
  44. 山根東明

    政府委員山根東明君) その点は実は無制限に牝牡を同時に放牧すれば、自然交配等によつて弊害が生ずることはお話のようにあるのでありますので、実はさせたくないつもりでおるのであけますが、家畜を飼うもの自身恐らく十分承知している問題でありまして、そういう弊害が生ずるようなことは、家畜使用者自身の側において十分これは慎むと言いますか、そういうことのないように当然する問題であろうかと思うのであります。同時に牧野はまあ年中これに放牧するということも勿論でありますけれども、大体においてそういう発情時期等においては、牝牡の混牧がこれは行われないのが実情でありまして、お話のような心配は実際問題としては私共が特にこれを禁止する、或いは統制するというようなことを、そういう措置を採らなくても、実際問題としてはそういうことは少いのじやないかというふうに申上げてよいのじやないか、かように考えております。
  45. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は逐條的に数点お尋ねしたいと思うのであります。十六條第二項の第二号の「農林大臣の指定する者」これは誰ですか、お尋ねしたいのであります。
  46. 山根東明

    政府委員山根東明君) 例えば家畜登録協会でありますとか、或いは農業団体等を指定いたしたいと考えているのでありまして、特に、この規定はお読みになつても分りますように、講習会の開催地帯として農林大臣が指定するわけでありますので、講習会の開催の地帯として適当なものでありますれば、これを農林大臣が指定したいというふうに考えております。
  47. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は第十七條第二項第三号です。一番しまいに、「罰金以上の刑に処せられた」こうなつておるのでありますが、一旦罰金以上の刑に処せられたものは永久にできないのであるかどうか、この点お伺いしたいと思うのであります。
  48. 山根東明

    政府委員山根東明君) 罰金以上の刑に処せられましたものは、この法律が現存する限り免許を与えることができないというふうになると思います。
  49. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 罰金刑以上の刑に処せられたところのものも特赦の方法も従来はあつたのであります。併し罰金刑に処せられたいろいろな原因調査して見ますると、悪意でないところのものも多々あるのであります。それにも拘らず永久にこういうような制限を与えるということは、余りにも行き過ぎじやないかと考えるのでありますが、再考される意思がないかどうか、重ねてお尋ねしたいと思うのであります。
  50. 山根東明

    政府委員山根東明君) 法律規定としましては、これに、何と申しますか、第三号に関する限りは、只今申しましたように、罰金以上の刑に処せられたる者となつておりますので、この法律を改めない限り、取扱を緩和するわけには参らないのでありますが、本文でお読みになつて分りますように、「左の各号の一に該当する者には、前條の免許を与えないことができる。」というこの條文で、その点は緩和される関係になりますので、これは私の説明も、まあそういうことを申しますと若干矛盾するような感じもいたしますけれども、御質問の御懸念の点は二項の本文で解決できるんではないかというふうに読んで頂きたいと思います。
  51. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は第十九條第二項です。「業務の停止を命ずることができる。」こう書いてあるのでありますが、命ずることができるのであつて、命じなくても差支ないのじやないが、疑義の点があるからお尋ねしたいと思います。
  52. 山根東明

    政府委員山根東明君) 命ずることができるのでありまして、都道府県の知事が、命ずることを適当と認めます場合には命ずる、命ずることが情状によつて不適当であるというふうに考えます場合には、命じないことも当然あり得るというふうに考えます。
  53. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 二十六條の第二項です。「使用の停止を命ずることができる。」と書いてあるが、命ずるだけじやなくて、この場合においては命じなくてもできないのじやないか、こう考えますが、この点伺いたい。
  54. 山根東明

    政府委員山根東明君) 二十六條の二項に「使用の停止を命ずることができる。」と書きましたのは、ここに規定してあります内容に該当いたします場合に、これは先の規定と同様、こうした事態が生ずるに至りまする情状がそれぞれ違う場合があることが予想されますので、因つて来る理由が、何と申しますか、情状酌量の余地があるものに対しましては、使用の停止を必ずしも命じない場合を残して置いた方が適当であろうというようなことで、こうした書き方にいたしたのであります。
  55. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は三十七條です。「政府は、政令の定めるところにより、島を指定しにこの法律の全部又は一部を適用しないことができる。」こういうふうになつておるのであります。而して政府が示されたるところの案によつて島はどういうふうな島であるか、こういうふうなことを検討して見ますというと、私の長崎県から例を取つて見ましたならば、ただあれだけでは不十分であると考えるのでありますから、政令で定める場合においては、島については更に十分検討せられる考があるかどうかお尋ねしたいと思うのであります。
  56. 山根東明

    政府委員山根東明君) 十分検討をいたして実情に副つた措置を探りたいというふうに考えております。
  57. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は三十六條の手数料の問題でありますが、二十四條の人工授精所の開設の許可申請の手数料であるとか、或いは人工授精師の免許申請手数料であるとか、これは十六條です。これは三十六條の規定によつて具体的の額が定められておりますが、そういうふうな場合においては、人工授精に関する学識経験がある者、及び農業団体というようなものの意見を聞いて、成るべく低率に定めて頂きたいと思うのでありますが、この点について千円と千円以内になつておりますが、その金額を大体どのくらいに立てるお考であるか、お伺いしたいと思うのであります。
  58. 山根東明

    政府委員山根東明君) 手数料の額をできるだけ安くすることにつきましては、御意見の通り私共も考えて行きたいと思つております。二十四條の手数料を、規定では千円の範囲内というふうになつておりますが、千円の範囲内で具体的に幾らに考えるかという点につきましては、実は私共もできるだけ安くという考え方は持つておりますので、できるだけ安く定めたいとは思つておりますが、こうした手数料につきましてはやはりいろいろ同種の開設許可手数料がいろいろあるのでありまして、それらの横の釣合いというようなものも勿論参考にいたすことが必要であろうと思うのであります。そういうものを十分研究いたしました上で、而も畜産奨励の立場からできるだけ安くという線で実は金額を決定いたしたいと考えておるのでありますが、只今のところ具体的に幾ら幾らというふうなところまで結論を出していないのでございます。
  59. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 外に御質疑ありませんか。
  60. 岡村文四郎

    ○岡村文四郎君 先般大体お聴きしましたが、その他今藤野委員の方からお聴きなつて、答えられたのでありますが、この第四條の一項に、第三十七條規定により指定された島から輸入又は移入することができる云々と、この指定した島というのはどこを言つているのですか。輸入ですから外国だと思うのですが、島というのはどこなのですか。
  61. 山根東明

    政府委員山根東明君) 第三十七條で島を指定する規定になつております。これは先程藤野委員からも御注意がありましたように、この島を指定することにつきましては、今後更に実情調査した上、不都合の起きないように指定いたしたいと考えておるのでありますが、考え方といたしましては、三十七條の島はこの法律の全部又は一部を適用しないことができるという規定でございまして、これはこれらの島には家畜の数も少く、又他の地域より隔離されておるというような所で、従つて相当多額の経費を費して種畜検査或いは家畜人工授精の規制を行わなくても、家畜の疾病が伝播する虞れもなく、又他に及ぼす影響も少いという見地から島を指定して参りたい、かように考えております。
  62. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 岡村さんの質問は、輸入とあるから、その島はどこのことを言つているのかということで……本邦以外の地域から輸入し、又はこれこれの島から移入する、こういう説明だと分るのだけれども、そうじやない説明つたものだから、岡村さんは疑問を……
  63. 岡村文四郎

    ○岡村文四郎君 もうちよつと、これは字句だけお伺いしますが、この法律は牝牡という字を使うことは止めて、参考書には牝牡と書いてあります。これは私が不勉強でそういう字がなくなつたのを知らないのか、使うのが適当でないから使わないのか、どういうことですか。
  64. 山根東明

    政府委員山根東明君) 従来家畜には牝牡という字を使つていたと思うのでありますが漢字制限の関係で牝牡の実は漢字がなくなつたらしいのです。そういうことで雄雌という字を使つたわけであります。
  65. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 大体それでは、牧野法案及び家畜改良増殖法案についての質疑を以上で終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 御異議ないようでありますから、この両法案についての質疑は終了いたしたものと認めます。   —————————————
  67. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 尚途中で変更して誠に恐縮でありますけれども、実は競馬法の一部を改正する法律案について、この法律案は先程も申上げましたように衆議院議員提出の法案で本院に回付されて参つているのでありますが、この提案理由説明者として江崎真澄君が先程からお見えになつておりますので、大分お待たせいたしましたので、途中でありますけれども、提案の説明だけこの際伺つて置きますから、御了承頂きたいと思います。
  68. 江崎真澄

    ○衆議院議員(江崎真澄君) 私衆議院の江崎でございます。只今御審議をお願い申上げます競馬法の一部を改正する法律案につきまして、提案者を代表いたしまして御説明申上げたいと思います。  本競馬法の一部を改正する法律案は、第五国会に衆議院におきまして審議を願つたのでございます。然るところたまたま中京競馬場を設置するというので、中京地区に設置要望の候補地が数ケ所出て参りましたために一時審議を打切られまして、農林委員会及び農林省において一応この中京地区に競馬場を設けることは妥当と思うけれども、いわゆる候補地が多過ぎるから、実際にこれを見て見ようではないかというようなことから、農林委員会の観察となり、或いは農林省当局の御視察となつて、今日まで経過いたしたような次第でございまするが、この程漸く心の地元におきまして五つの候補地、と申しまするのは一ノ宮市、春日井市守山町、鳴海町、大府町の五ケ所の間において、自主的に場所を本法案通過後決定するということに円満に、実は衆議院の農林委員会の御裁量斡旋等もありまして、結論を見たような次第でございます。そこで先般本法案を衆議院に上程いたしまして幸い御決定を頂いたのでございまするが、併せ参議院におかれましても、是非とも一つ本法案に格別の御協賛御決定を頂けまするならば、提案者といたしまして大変幸せと存ずるところでございます。  現行競馬法におきましては国営競馬場として御承知の通り札幌、函館、福島、新潟、中山、東京、横浜、京都、阪神、小倉及び宮崎の十一ケ所が規定せられておるのであります。然るところ今般この法律案を提出いたしまして、新たに中京地区に中京競馬場を設置せんとするものでございます。  その理由の第一といたしまして、勝馬投票券の売得金額の増大によりまして政府收入の増額を図りたい、これが第一でございます。  第二には只今申上げましたように現行競馬法には十一ケ所の国営競馬場が規定せられておるのでございまするが、実際その現状はどうかと申しますると、戰争中に設備が全然荒廃して、その用を足さない、或いは交通事情が思うに任せないといつたような理由によりまして、現在競馬が本当に開催されておりまするのは札幌、函館、福島、中山、東京、京都、阪神及び小倉の八ケ所に過ぎないといつたような状況でございます。この八ケ所の競走馬だけでは、いわゆる馬主とか、調教師とか、騎手とか、その他競馬関係者の経済的負担が極めて重過ぎるということを我々は承つておるのでございます。これらの経済的負担を軽減いたしまして、一層競馬の健全な発達に寄与いたしたい、かように考えでおるのでございます。  第三番目の理由といたしましては、現在横濱、京都の間に国営競馬場が全然ございません。そこで関係者におきましては、その距離が遠いために非常に不便を感じておるという声を聴くのでございます。そこで中京に競馬場を設置することができますならば、丁度その中継場所と言いますか、中継の場所となりまして、関係者の便益を至極円滑に図ることができると思うのでございます。  以上三つの点からこの法律案を提出いたしましたわけでございます。どうかすでに重要法案山積の折からいろいろ議論もあるとは存ずるのでございますが、何とぞ御審議を賜わりまして、速かに御可決して頂けますようお願いを申し上げたいと思います。  大変簡單でございまするが、以上提案理由説明といたします。
  69. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 本件につきましてはいずれ後程又取扱い方その他についても御協議いたしたいと思いますから、この程度にいたします。
  70. 江崎真澄

    ○衆議院議員(江崎真澄君) 恐れ入りました。どうぞよろしくお願いをいたします。   —————————————
  71. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) それでは只今から牧野法案及び家畜改良増殖法案についての討論採決に入りたいと思いますが、その前に委員長から一応御説明を申上げて置きたいことがありますので、それを先に申上げます。  お手許牧野法案中修正案、家畜改良増殖法案中修正案が行つていると思いますが、これについて御説明を申上げて置きます。  この二つの修正案は、四月十三日の委員会におきまして御出席になつておられました委員の方々全部の御賛同の下に、この修正案を作りまして、そうして、関係方面にOKを求めておつたのでありますが、先週OKが参りまして、特に牧野法案は出して一時間程経つて直ちにOKが参つたようなことでございましたが、十三日の委員会に御出席になつておられなかつた委員の方もあると思いますから、この際簡單にこの修正案の説明だけ申上げて置きます。この修正案は施行期日を修正するのでありますが、法案を御覧頂きますと、原案では「この法律の施行の期日は、公布の日から起算して九十日をこえない範囲内において、政令で定める。」、こういうふうに附則の第一項に規定されておるのでありますが、この法案は御承知のように地方公共団体の定めまする牧野管理規程に関する規定、これが第二章として規定されておりまして、第三章に保護牧野に関する規定があるのでありますが、この保護牧野につきましては、第九條で御覧頂きますればお分りのように、牧野改良のために、又国土保全のために、都道府県知事が必要な指示をすることができるようになつております。次に十四條の規定によりまして、今申上げました都道府県知事が必要な指示をいたしました場合にへその実施によつて通常生ずべき損失に対しましては国が補償をする。その補償は「補償金総額国会議決を経た予算の範囲内において、」これをいたす、こういう規定があるわけであります。そこで先程も藤野委員から御質疑が重ねてありましたように、この十四條における予算というものは、現在の昭和二十五年度予算には計上されておらないのであります。普通の場合でありますと、予算計上されておらないから、従つて指示命令も予算計上せられるまでは遠慮する、差控えるというような手段も講ぜられないことはないのでありまして、現在植物防疫法では種馬鈴薯の検査につきましては、予算計上されるまでは国において種馬鈴薯の検査を施行しない、こういうようなことも先般の植物防疫法の審議の際に、政府との交渉の結果そういうような結論が出、遂に政府からもそういう趣旨の声明があつたわけであります、この場合は指示をする主体と、それを補償する主体とが違つておりまして、即ち都道府県知事指示をしたものに対して、第三者である国が補償する。而もその補償する予算は現在計上されておらないということなりますると、法文の建前から申しても非常にその間に齟齬を来たし、補償を受けられなくて指示だけを受ける、こういう場合も法律規定の上においては想定されまするので、従つてこういうような不完全な規定そのままではどうも危ない。そこで予算が成立して、そういうような指示をしても通常生ずべき損失に対しては補償し得るという裏打ちかできるのを待つて、この法律を施行した方かよくはないか、こういう意味でこの第三章の保護牧野に関する規定は、昭和二十六年四月一日まで施行を延ばして、その他の規定は原案通り公布の日から九十日以内の範囲内で政令の定むるところによつて、これを実施する、こういう趣旨であります。勿論先程の政府委員の御答でも、できるだけ早い機会にこれらの必要の予算も確保したい、こういう趣旨でありまして、従つてこの二十六年四月一日からというふうに修正いたしました趣旨は、次の通常国会で必要な予算計上せられ、その結果その予算の成立を待つて四月一日から施行しよう、こういう趣旨でありますが、政府側の御努力により、或いは開催せられるかとも思いますが、臨時国会等でこれに関する予算計上されるということであれば、その国会においてこの昭和二十六年四月一日からというのを改正して、もつと早く施行してもよかろう、こういう考で、一応現在通常国会における予算の成立を待つて明年四月から施行する、こういうようにいたしたいと考えて修正案を作つてつたのであります。十三日の委員会に御出席になつておれらなかつた委員の方には御参考までに申上げて置きます。  それから家畜改良増殖法案についても修正が行われたのでありますが、その経緯は、只今牧野法の修正案と全く同一の経緯であります。即ち四月十三日の委員会における出席委員の方々の全部の御同意に基いてこれをやつたのであります。この趣旨は三十六條第一項の表がございますが、この表によりますと、種畜について国又は都道府県が強制検査をするわけでありますが、その検査に際しまして、千円の範囲内で手数料を徴收する、こういうことになつておるのであります。ところがこれも御承知のように、この家畜改良増殖法は従来の種畜法を包摂いたしまして、即ち吸收しておるのでありますが、従来の種畜法におきましては、本法で規定しておりますと同じように、種畜に供するものについては国の強制検査を実施することにいたしておりましたが、その検査手数料というものは無料であります。これは種畜に強制検査を施行する以上、これに手数料を課するということは、延いて種付代を高くし、又牛馬その他の価格にも影響し、最後には農耕者にも影響を及ぼすことでありますから、手数料を免除しております。その代りに、検査に必要な予算は、これも先程藤野委員から御質疑があつたのでお聽き取りのように、予算計上されておるのであります。本年の検査、即ち家畜改良増殖性が成立いたして、強制検査を国がいたすという場合にも、その必要な予算昭和二十五年度予算計上されておるのであります。そこで検査に関する費用については、勿論十分とは言えないと思いますけれども、予算計上せられておる。ところがこういうふうに種畜法を改めて家畜改良増殖法と大きく名を謳って積極的に改良増殖をやろうという際に、従来無手数料であつたものが、この法律ができるとたんに、題名と逆行したように手数料が徴收されるということは不合理ではないか、そこで検査手数料に関するものについては、この表から落す、即ち従来通り無手数料で行くべきである、こういう趣旨からいたしまして、お手許に配付してありますような修正案ができたのであります。即ち「第三十六條第一項の表中第一号及び第二号の部を削り、同表中第三号を第一号とし、以下順次二号ずつ繰り上げる。」それから第二項に検査のことがありますが、今申上げますように、検査手数料をなくするわけでありますから、「同條第二項申『農林大臣の行う検査を受けようとする者及び』を創る」こういう趣旨であります。  こういうような修正案で進みたいと考えておるのでありまして、一応この機会に御報告を兼ね御説明申上げて置きます。  これより討論採決に入ります。最初牧野法案を議題にいたします。
  72. 羽生三七

    ○羽生三七君 この法律趣旨に関して、格別反対するものではありませんが、只今委員長から御報告がありました通り、修正部分について考えて見まするに、これは本法律案の中心をなすものでありまして、保護牧野規定予算的処置がないために、修正いたしまして、予算的処置のできるまで本法の施行を延期するというこの修正案について明かであるがごとく、本法案の一番重要な点がその処置を誤つてつたということは誠に遺憾であります。併しそうかと言つて保護牧野の荒廃を防止するために必要な管理を行うという本法の趣旨そのものに反対する理由はありませんので、賛成はいたしますが、特に留意しなければならない点は、農地関係法規との問題でありまして、立法士農地関係法とこの牧野法とに、直接の抵触するがごとき関連はないとは思いますけれども、運営の上におきましては、十分この点御留意を願わなければならんと思うのであります。例えば造林臨時措置法案におきましても、第九條第七項におきましては、場合によつては都道府県農地委員会或いは市町村農業委員会等の代表が聴聞に参加して、意見を述べることができるというように規定されておるわけでありますが、これと同様に、こういう法的な規定はなくとも、運営の上におきまして、地方公共団体牧野管理規程を作成する場合におきましては、農地関係諸法規との関連を考慮して、適切なる対策を考慮する必要があるということを考えるわけであります。  更に、先程藤野議員から指摘されました第二十六條の罰則規定におきましても、これは妥当を欠く嫌いがありますから、これも本日修正というようなことは諸般の情勢上困難だと思いますので、適当な機会に修正すべきであるということを考慮し、以上の二点を希望條件といたしまして、本法律案に賛成するものでございます。
  73. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 外に御発言ありませんか。外に御発言がなければ、これより採決をいたします。  先ず最初に修正案について採決をいたします。先程委員長から御報告申上げましたように、  附則第一項を次のように改める。  (施行期日)  1 この法律中第三章の規定は、昭和二十六年四月一日から、その他の規定は、この法律公布の日から起算して九十日を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。  この修正案に御賛成の方の起立を求めます。    〔総員起立〕
  74. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 総員起立であります。  次に只今の修正個所を除く原案全部を問題にいたします。原案に賛成の方の起立を求めます。    〔総員起立〕
  75. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 総員起立、よつて牧野法案は全会一致を以て議決するごとに決定いたしました。では例により御署名願います。   多数意見者署名     池田 恒雄  藤野 繁雄     岡村文四郎  加賀  操     徳川 宗敬  岡田 宗司     鈴木 順一  柴田 政次     羽生 三七  北村 一男   —————————————
  76. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 次に家畜改良増殖法案を議題にいたします。討論に入ります。
  77. 岡村文四郎

    ○岡村文四郎君 家畜改良増殖法案は、法案の名称は大変立派であり、こうなくちやならんという名称でありますが、内容は誠に貧弱であります。人工授精をするということが殆んどの眼目で、見るべきものはないのであげますが、本員の主張いたしますことは種畜の検査方法でありますが、現在のようなことでは完全な増畜を得てそれによつて増殖することは非常に不可能でありますから、でき得る限り早い機会に血統と能力を主にした尤も優秀なものでなければ合格しないようなことにするのでなければいかんと思うのでありますし、又この法律を十分施行し、十分に国民が履行いたしますれば、種牡馬も種畜も、現在の殆んど四分の一か或いは五分の一で間に合うことに相成ると思いまするから、私の申上げますように検査の方法を講じても何ら不都合とならないと考えておりますから、是非中味を堅実のものにするということと、国の予算が実に貧弱で、これでは看板のみで、決して家畜増殖はでき得ないと考えますから、その点十分に政府当局は関心を持つて、申上げました希望に副うように御努力をして頂きますことを希望として申上げまして、本案に賛成いたします。
  78. 羽生三七

    ○羽生三七君 この法律案についてはしばしば質疑の際に申上げましたが、増殖計画を樹てましても需要の面、或いは食生活全般の指導の面が欠けておりますれば、先程藤野議員が指摘されましたように、結局価格調整作用によりまして、生産が増せば増す程生産費が下落して、農家増殖計画を思い止まらなければならないような事態を招来する結果になるわけであります。従いまして一面において家畜改良増殖計画を樹てると共に、他面において日本の食生活の改善のために全面的な指導、並びにこれに関連する諸対策を十分樹立するよう政府当局が、今の岡村議員の指摘にもありましたように、種種なる予算措置をも講じて万全を期すべきである。以上のことを希望いたしまして本法律案に賛成いたします。
  79. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 本法律案の提案理由に述べられております通りに、畜産を振興することは農家経済の安定を図ると共に国民の食生活を改善するために極めて肝要なことであることは論を俟たないところであります。従つて畜産振興の一貫として本法律案を提案し、而もその第二條において畜産改良増殖の促進に有効な事項については、これを積極的に行わんとする方針を明示した政府の意図は、これを諒とするところでありますが、これを些細に検討いたしますというと、その内容は僅かに種畜の検査、種付の制限及び家畜の人口授精等に関するものに過ぎないのでありまして、明かに羊頭狗肉と言うべきであります。而も現行法等においては種畜の検査は無手数料で行うことになつておるのでありますが、本法律案によれば毎年新たに相当額の検証手数料を徴することにせんとするようなもので、誠に政府の真意を疑わざるを得ないのであります。併し本法律案を提案するからには、恐らく政府法律案の成立を企図いたしまして本法律案第二條の趣旨に即応して家畜改良増殖のために大いに精進することを期しておられることを確信いたします。又人工授精の開設申請手数料及び人工授精師の免許手数料を省令で定められる場合においては、特に人工授精に関する学識経験者及び農業団体意見を聴いて、成るべく低廉に定められるように要望いたしまして、修正案及び修正箇所を除く原案に賛成いたします。
  80. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 外に御発言がなければこれより採決をいたします。  先ず修正案について採決をいたします。先程朗読いたしましたように、修正案は、   家畜改良増殖法案の一部を次のように修正する。   第三十六條第一項の表中第一号及び第二号の部を削り、同表中第三号を第一号とし、以下順次二行ずつ繰り上げる。  同條第二項中「農林大臣の行う検査を受けようとする者及び」を削る、以上であります。この修正案に御賛成の方の起立を求めます。    〔総員起立〕
  81. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 総員起立。  次に修正箇所を除く原案の残余の部分について、原案通り賛成の方の御起立を求めます。    〔総員起立〕
  82. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 総員起立、よつて家畜改良増殖法案は全会一致を以て修正議決することに決定いたしました。例により順次御署名願います。   多数意見者署名     池田 恒雄  藤野 繁雄     岡村文四郎  加賀  操     徳川 宗敬  岡田 宗司     鈴木 順一  柴田 政次     羽生 三七  北村 一男    —————・—————
  83. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) それではこれから造林臨時措置法案を議題にいたしまして、若し残された御質疑がございますればこの際やつて頂きます。質疑終了後討論、採決に入りたいと思います。
  84. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 第八條第一項でありますが、造林臨時措置法中命令事項の第二の二によつて見ますると、「十日間同項の公告の写を」こう書いてあるのであります。十日間という期間を定められたところの根拠をお尋ねしたいと思うのであります。
  85. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) それじや説明員から説明させますから……
  86. 奥原日出男

    説明員(奥原日出男君) 一つの市町村におきまして造林地が指定された場合におきまして、その地方その近隣に到達いたしまするという期間といたしましては大体十日間ぐらいが適当なのではないか、こういう考え方から十日間の公告をするということにいたしたのであります。
  87. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 第九條第五項によつて見まするというと、公示という字を使つてあるのであります。資料によつて見まするというと公告という字を使つてあるのであります。公示と公告とここに使い分けられた関係を御説明願いたいと思うのであります。
  88. 奥原日出男

    説明員(奥原日出男君) これはやはり法律規定に従いまして資料におきましても公示という表現をすることが適当であろうかと存ずるのであります。要しまするに、政府のいろいろの行政上の措置で一応決定いたしましたものを一般に知らせるとこういうふうな場合においては、公告という言葉を使う方が適当であろうと思うのでありますが、この場合におきまするように、單なる手続上の関係から行われますことを、一般に広く知らせるというふうなものにつきましては、公示という言葉を使つた方が適当であろうと思います。
  89. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 然らば公示方法はこれ亦前の場合と同じように県広報でやられるのであるか。その公示方法をお伺いいたしたいと思うのであります。
  90. 横川信夫

    政府委員(横川信夫君) 県公報で発表いたしますると同時に、その造林地の指定町村役場に掲示をいたすことにいたしております。
  91. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 同條の第七項の「省令で定める団体」、これをお尋ねしたいと思うのであります。
  92. 奥原日出男

    説明員(奥原日出男君) 農業協同組合等を予測いたします。
  93. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 第十一條の第二項です。これの終いの方に損失の補償という文字が使つてあるのでありますが、損失の補償は誰がするのであるか。
  94. 奥原日出男

    説明員(奥原日出男君) 都道府県が損失の補償をいたします。
  95. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうすると、その損失の補償の見積りは都道府県知事がやつて補償するのであるかどうか、お尋いたしたいと思うのであります。
  96. 奥原日出男

    説明員(奥原日出男君) 只今お話の通り都道府県知事におきまして損失額を認定してこれを補償する次第であります。但し前回の委員会におきましても申上げましたように、諮問機関としての制度化された造林審議会というふうなものは一応法律の上から削除いたしたのでありますが、実際の運用に当りましては、行政の專断に陥ることのないように関係団体、或いは識者との間の十分な連絡を取つてやりたいとかように指導いたす考でおります。
  97. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 十六條の第三項です。不良で成林の見込があるかないか、こういうふうなことは誰が認定するか、お尋ねしたいと思うのであります。
  98. 奥原日出男

    説明員(奥原日出男君) 都道府県知事が認定いたすのでありますが、ただ植栽の成績が不良で成林の見込があるかないかということは、これはむしろ技術的の実際の結果に基きまする批判から客観的に出て来ておりまするものを判定して、おのずから結論が出て来るとかように考えております。
  99. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 不良で成林の見込がないというのはその森林を見た場合に、或るものは不良であるし、或るものは不良がないというその境のものがあろうと思うのであります。そういうふうな境のものに遭遇した場合において、慎重な態度を取らなくては問題が後で起ろうかと考えるのでありますが、そういうふうな今問題が起ろうとするような場合の決定について慎重審議される場合においてはどんな方法で、不良で成林の見込がないということを決定せられるか、更に一つお尋ねしたいと思うのであります。
  100. 奥原日出男

    説明員(奥原日出男君) その点につきましても只今申上げましたごとくに、この法律の実施に関しまする都道府県知事の処分、或いは裁定、或いは決定というふうなものにつきましては、法律制度化されました諮問機関でありまする造林審議会というものは法律の上から一応姿を消したのでありますけれども、実際の運用に当りましては、決して行政の專断に陥ることのないような衆智を集めまして、そして又関係団体等の代表者をも十分意見の聽き得るような組織、別個に指導して作つて行きたいとかように存じておる次第であります。
  101. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 これば第二條を読んで見まするというと、「針葉樹」、それから「省令で定めるかつ葉樹」と書いてあります。省令で定めるかつ葉樹の種類は又別の方に明記してありますが、地方によつては竹林の奨励をせなくちやできないところがあろうと思うのであります。殊に又特殊の事情で竹林の奨励をしなくちやできないところがあろうと思うのでありますが、竹林をこの中に入れられなかつた理由は、竹林というものは植えたらば直ちに伐採ができると、その期間が短いからというような理由であるかどうか。竹林を入れなかつた理由をお尋ねしたいと思うのであります。
  102. 奥原日出男

    説明員(奥原日出男君) この法律は、民有林に関しまして、すでに前年度におきまして五五%編成を完了し、又昭和二十六年末においては全部民有林についての編成を完了いたします施業案に従いまして、ここで揚げてありますように植裁の方法による森林の造成を適当とする、そういうふうな林地についてのみこの法律を適用いたしまする考であります。竹林についてこれをこの法律で取上げなかつた理由は、この法律によりまする推進が、結局本来は本権者の造林熱を推進するという狙いでありますけれども、その造林者が権利を行使しない場合においては、第三者が造林者として指定されて、この法律の上に現われて来る。その第三者が出て来ます以上は、この者のやりまする造林行為というものが、この法律の上で取上げて推進しなければならんだけの一つの努力を要する造林行為というものでなくてはならないと、かように存じた次第でありまして、そういう意味におきまして、竹林はこの法律の上には取上げなかつた次第であります。但し政府といたしましては、別段竹林の造成ということを軽視しておる理由ではございません。ただ竹林によつて経営すべきものであるという一応の施業案上の判定の下つております所については、この法律を適用することはございませんが、その奨励には努めて参りたいと、かように存じております。
  103. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 我が国は敗戰により台湾を失つた結果、樟脳の生産が非常に少くなつて来たのでありますが、樟脳の将来というものは、非常に有望であろうと考えられるのでありますが、樟林の造林を将来奨励される考えであるかどうか。又樟脳に関する貿易の将来はどういうふうに考えておられるか、お尋ねしたいと思うのであります。
  104. 横川信夫

    政府委員(横川信夫君) 樟は積極的に奨励をいたしたいと考えております。尚專売公社等とも緊密の連絡をいたしまして、只今樟の奨励には努めておるところであります。  尚貿易の将来につきましては、私ちよつと見通しが付きにくいのであまりすけれども、只今奨励をいたしております立場から申しまして、将来貿易上も非常に有利なものであるというふうに考えて奨励をいたしております。
  105. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は椎茸の問題でありますが、最近椎茸熱が非常に起つて、各地方とも椎茸の生産の奨励をやつておるのであります。而して椎茸の主なる目的は、輸出を目的としておるように考えられるのでありますが、政府が椎茸の生産を奨励せられる場合においては、如何なる国に如何なる方法によつて輸出するというような計画を立ててやつておられるのであるかどうか。或いはただ椎茸を生産したならば、どこかに輸出ができるだろうからというような考でやつておられるのかどうか。この点お尋ねしたいと思うのであります。
  106. 横川信夫

    政府委員(横川信夫君) お話のように椎茸は私共極力増産を奨励いたしまして、又栽培技術も非常に進歩して参りましたために、大増産が実現できたのであります。従来香港を通じまして相当支那、或いはその他の南方地方に出ておつたのでありまするが、最近貿易上のバーター制度等の関係で、一部少しく只今輸出量も減つておるのでありまするが、将来中共貿易が全面的に行われます場合には、相当この椎茸という物が外貨獲得には非常な働きをなすのではないか。そういう考を持ちまして増産に努めておるわけであります。
  107. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 昭和二十五年度の予算を拜見して見まするというと、安本所管の公共事業費には林道施設費が五億五千万円、林道施設災害復旧事業費が四億円あるのであります。政府は造林を計画される場合において、その効果を現すためには、林道の施設が最も必要であると考えるのでありますが、これだけの予算造林臨時措置法案、その他の林業奨励上事足れりと考えておられるのであるかどうか。又一旦予算計上されたところのものは、できるだけ早く支出をして農村の金融梗塞を除かなくちやできないのでありますが、これらの資金を従来のような煩雑な手続の下に年度の終りくらいに出すということであるならば、農村の不況をますます強くするだけであるのでありますが、これらの資金の交付の時期はどういうふうに考えておられるのか、お尋ねしたいと思うのであります。
  108. 横川信夫

    政府委員(横川信夫君) お話の通り林業経営の基盤を成しますものは林道でありまして、林野庁といたしまして、できるだけ予算の獲得に努めておるのでありますか、二十五年度の予算におきましては当初要求額の僅に三五%をお認め願つただけであります。尚今後におきましてはこの予算をできるだけ多額に獲得するように、私共努力をいたして参りたいと考えております。  尚御承知のように四期に分けまして、認承をいたしまして経費を支出いたしておりますが、本年度は公共事業全般的にそうなんでありますけれども、一期、二期にできるだけ多額の認承を得まして、できるだけ早く事業を完遂するというふうに努力して参りたいと考えております。
  109. 柴田政次

    ○柴田政次君 私一昨日の委員会に欠席いたしましたので、或いは重複するか分りませんが、第一條の第三項の造林の費用に関しまして、この法案によりますというと補助金、或いは金融の措置を講ずることになつておりますが、先達ての説明によりますと、この金融は確定的のものではなかつたというように私は伺つております。従つてこれが造林のやはり重大な問題がここに懸かつて来るということを、私は考えておるのでございますので、御承知の通り最初はこの問題は、先達て委員長からお話の通り林業懇話会におきまして、随分案を練りました問題でございます。最後の頃にお営まして、私はその懇話会の問題は更に出席いたさないために承知いたしておりませんが、最初の案とは全く一変されて、変つてしまつておるのでありますので、最初は幾らに対して幾らの金を貸す、例えば一町歩に対して補助ならば幾ら、金融ならば幾ら、金融ならば五十町歩以上とか、或いはそういう制限を相当に論議されておつたのでございますが、先達ての説明におきましては、そういう細部に触れた点はなかつたのでございます。この点につきまして補助は一町歩に対して幾ら、金融は幾らというようなことを一つお示しを願い、尚且つこの問題は昭和二十五年度のみならず、五ケ年計画でございますから、相当二十九年度までずれるということになりますので、万一若しも幸いに見返資金か出て参りますれば非常に結構でございますが、これらの将来或る程度で打切りになるということも承知して置かなければならん問題と私は考えております。その場合における金融の措置というものは今から相当これを考えて置く必要はないか、こういうふうな問題も併せて林野庁としてのお考えをお示しを願いたい、こういうふうに私は考えますから、この点を今少しく細かに御説明願います。
  110. 横川信夫

    政府委員(横川信夫君) 前の委員会でも申上げましたように、当初林業懇話会におきまして、いろいろ御審査を願つております中途におきまする情勢では、見返資金から十億円出して頂くということになつてつたのでありますが、最近の情勢では見返資金の枠が四百億の場合は一億円、四百二十八億の場合には二億五千万円というような大体の只今の見通しで進んでおるのであります。従いまして十億の場合には、一応五十町歩以上のものには融資で行く、それ以下の森林所有者に対しては補助金で行くという標準を立てたのでありますけれども、我々は只今の情勢では、改めて検討しなければならないというような状態になつております、尚造林を実行いたす場合の補助金の実額でありますが、補助金は国庫が四割、県費が一割で、造林者に参りますのは、造林費の五割ということになつておりますが、造林費は一応予算額は、一町歩二万円という計算になつておりますので、大体一万円程度のものが実際に造林者に参る。尚融資をいたします場合には、造林費の額の七割乃至八割程度を融資をして頂くということに考えております。尚見返資金がなくなつた場合の措置でありますが、農林中央金庫よりの融資を受けまして、造林したいけれども資金のないという方々には、できるだけ資金融通を受けられるような途を開きたい、かように考えております。
  111. 柴田政次

    ○柴田政次君 今一つ、二十二條の施業案の問題につきまして伺つて置きますが、「この法律に基き植栽した林木の所有者は、施業案に従つて、これを育成し、且つ、伐採しなければならない。」こういうことになつておりますが、これはこの法律案によつて造林した者が、いわゆる施業案によつてこれを伐らなければならんということになりますと、この造林の意欲というものは非常に制約を受けるということは、甚だ私は当を得ないような感をいたします。造林をいたしますのには、これは大地主の山を第三者が植林をした場合におきましても伐らなければならないというような、ここにはつきりと施業案によつて覆されるというようなことになりはしないか、こういう点につきまして造林者の安心のできるような方法に今一段して頂きたいと思うのでございますが、この点について伺います。
  112. 横川信夫

    政府委員(横川信夫君) 施業案と申しますのは、昭和二十二年から編成いたしておりまする民有林の施業案と同様なもので、その中に含まれるものでありまして、それの伐採する時期を決定いたしまする際には、分森林所有者の意思を酌み入れて決定するのでありまして、御心配のような点は起り得ないのじやないかと考えております。
  113. 奥原日出男

    説明員(奥原日出男君) 施業案の拘束の問題につきましては、只今長官からお答え申上げた通りでありますが、この法律は要しまするのに、植裁を完了するというところまでを規定する法律でありまして、爾後におきまする森林の育成及び伐採等の規制の問題に関しましては、これは森林法によつてこれを規律して行く。こういうふうな考え方であります。ただこの法律によりまして植林いたします者が、趣旨といたしましては植栽につきましても施業案の規定に従いますると共に、その後の経営についても、施業案によつて行かなければならないという一つの精神的な訓示をこの際示して置くということが適当であるというふうな関係方面の意向もありまして、二十二條の規定を挿入いたしましたような次第でありますが、併しながらこれは只今申上げましたような一つの訓示規定でありまして、罰則を以てこれを強制する考は持つておりません。
  114. 柴田政次

    ○柴田政次君 只今お話ではよく分りますけれども、この施策案によつて五ケ年計画後の維持管理というものは、施業案によつてやるということは、成る程分りますけれども、併しながらそれでやるならば、今少し字句を改めて、育成しても伐採してはならないというような文字を用いず、今少し穏かないい方法によつて、これを安心させて置くという方が穏かではなかろうか、こう私は考えのでございますが、殊更に伐採をしなければならないという字句はどういうものか、こういうように私は考えるわけでございます。
  115. 奥原日出男

    説明員(奥原日出男君) 施業案に対しまして法的な拘束力をどの程度持たしめるべきかということに関しましては、恐らくこの次の臨時国命で御審議願うことに相成ると思つておりまする森林法の改正におきまして、従来の施業案をやや範囲を拡張いたしまして、林業計画という観念のものを導入いたしまして、それを現実にどの程度の拘束力を持たせるかということについて、昼下研究をいたしております。我我は飽くまでも罰則を振り廻して、それによつて材木の所有者を拘束する、こういうふうな簡單な考え方は取りたくないと存じておるのでありまして、飽くまでもこれに対しまする金融的な裏打ちその他経済的ないろいろな施策と併行いたして、その施策の許容し得る範囲において施業案に法的な拘束力を持たせる、こういうことになると考えておるのであります。  二十二條は先程も申上げましたように、これは要しまするのに、爾後の育成、伐採等の森林管理がやはり施業案に従わなければならないのだ、こういうふうな精神をここに謳っただけの規定でありまして、そういう意味で御了承願いたいと存ずるのであります。
  116. 北村一男

    ○北村一男君 この参考資料の三枚日の造林計画に基く所要苗木数というのを拜見しますと、逐年需要苗木数が増加しまして、二十八年には十五億本必要ということに拜見しておりますが、これの育成には主として政府が当られると思いますが、こういう場合におきましても、民間の従来の種苗業者に対して何らかの保護措置を取つておられませんと、いろいろ天災などが起きた場合に、計画に支障を来たすと考えますが、こういう点において何かお考えがございましたならば、承つて置きたいと思います。
  117. 横川信夫

    政府委員(横川信夫君) 苗木の対策につきましては、昭和二十一年度から法律の補助をいたしまして、幸い最近に至りまして所要の苗木を得る段階になつてつたのであります。又増林事業の増大に伴いまして、苗木も事業として漸く引合うようになつて参りましたために、本年度よりその補助金を取止めることになつたのでありますが、何分にも苗木養成事業と申しまするものは、三年くらい立ちませんと役に立たないものでありますので、苗木商に安心をいたしまして苗木養成に当らせるということが我々として最も重大に考えなければならんと存じまして、その点御指摘の通りなのでありますが、私共といたしましては、不足県と生産県と緊密な連絡を取らせまして、でき得ますれば苗木商に予約を以て養成をさせるというような途を急速に講じて参りたい、かように考えております。  尚融資の点でありまするが、只今約五百万円程度の融資を農林中金から受けておるのでありますけれども、将来更にこの枠を増大いたしまして、融資の面でも不安のないように、又需要先の不安のないようにいたして参りまして、苗木の増産を図りたい、かように考えております。
  118. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 大体質疑も終了したように思いますが、これより討論、採決に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 御異議ないようでありますから、これより造林臨時措置法案を議題にいたしまして、討論採決に入ります。
  120. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 積年の造林未済林地を五ケ年間に急速に植栽し、森林資源の培養と国土保善に資せんとする本法律案にはその趣旨において賛成するものであります。  併し山林所有者が植えられなかつた林地、又植栽の意思も持たない林旭に地上権を設定して、希望者に植栽せしめる非常手段が果して実現し得るか否かについては、その第一條第三項に規定する「補助金の交付、資金融通、苗木の確保、その他の施策の実行」が直接に重要な役割を持つことを政府は十分に認識すべきであるのであります。それは現在のような未曾有の変態的なインフレ経済の下では、長期資金は勿論、それによらなければならない事業経営は私企業としては甚しく困難であるという経済理論によつても明瞭であるのであります。  我が国の森林の荒廃状態は甚だしく、災害の頻発は累年その被害を増大しつつあり、国民経済全般に及ぼす影響は甚大であるのであります。即ち治山治水事業の拡充強化の問題は、今日より強く痛感されることはないのであります。又これと目的を一つにする施業調整の問題、森林の開発促進の問題等、一連の林業施策が併行して取上げられることが喫緊の要請であります。  更に諸税負担の重圧が一般大衆の林業経営意欲を減退せしめ、殊に木材価格の低調下落に対する不安がますますその傾向を助長している事実に鑑みまして、先ず林業税制については特別の考慮を払う必要があるのであります。具体的には、新植林地は十ケ年間免税とするとか、或いは所得税におけるように特別の取扱いを富裕税及び地方税にも適用する必要があるのであります。木材価格の安定については、幸いに木材の全需要量の三割乃至四割を占むる国有林産材の生産の調節によつて、極めて簡單になし得ることに留意して、有効な措置、即ち特別会計の弾力性ある運用を可能ならしめるよう森林基金制度を創設することなどは当然に必要であります。  予算措置について述べて見ます。と、二十五年度一般造林補助費として林野当局は四十二億余田を以て合計三十九万町歩の造林を完了する予定であつたというのであります。然るに閣議では約半額の十九億円弱に削減され、造林五ケ年計画を承認して置きながら、計画を甚だしく変更することは妥当でないのであります。特に本法制定の上はかかる措置は許されぬところでありますから、補正予算を以て補充し、計画が完遂されるように努力を必要とするのであります。  次に造林資金について述べて見ますと、造林不振の原因資金の枯渇にあることに着眼して、その措置を取りつつあるのは林野行政の大進展であり、当局の努力を多とするところであります。併し対日援助見返資金による融通は、先日西村安本政務次官の言によれば、やや確実性を認められるとしましても、その額は所要の十億に遠く及ばないものがあるらしいのであります。山林所有者の意思を拘束してまで強権発動を以て、造林を促進せんとする政府の一方的措置は甚だ遺憾であります。例えば開拓者資金融特別会計などの例に倣つて、最少限度資金融通できるようにする必要があるのであります。現行森林法第九條乃至第十一條の造林命令に関する規定が死文化して発動し得なかつた不名誉な事実を繰返さないように重ねて注意をする次第であります。  次に苗木の確保及び優良苗木の養成についてであります。樹苗の生産が過去三ケ年間に順調に進展して、略々所要量を充足し得るに至つたのは約二割の補助金があつたからであることを忘れてはならないのであります。幸いにして所期の目的が達せられるようになつた現在において、これを打切るのはやや尚早の感があるのであります。即ち本格的な自己の採算による生産條件が備わるまで、更に一、二ケ年継続せらるべきであると思うのであります。ここで問題になるのは品質の低下である。植栽後十年近くの歳月を経なければ、良否の判別を下し得ない樹苗の特異性は、ややもすれば粗品の販売をする幣に陥り易く、これがために蒙る被害は金銭のみの計算では済まない点に留意する必要があるのであります。併し樹苗の良否は養苗技術の問題よりもその種子にある点に留意して適助な措置が望まれるのであります。国において採取した種子を無償配布する措置及び樹苗の計画生産、配布等、業者が安んじて業を営み得るように措置する必要があるのであります。  次は林業関係税制の問題であります。林業関係の諸公租、公課の負担は過重であり、且つその体系は甚だ雑然としていて、今次税制の改正で形態は整理されるようであるが、尚その負担は必ずしも軽減される傾向は見受けられないのであります。現行法による負担の例を示して見ますというと、山林所有者が負担する杉一石当りの公租公課は百八円で、立木価格平均二百円と見れば、その五割乃至六割に該当します。素材生産業者が負担するものは平均石当り六十三円であります。都市の卸小売業者の負担するものは約百二十五円であります。以上の合計金額三百六円は、平均の立木価格二百円に対しまして一五倍に相当するのであります。逆に申上げますならば、若しも諸税負担がなかつたならば立木の価格は五百六円にまで引上げることがてきるという結論になるのであります。收益率の低い林業に一般並みの富裕税を賦課することは中大林業の経営を否定する結果となる。又具体的には富裕税の税率の最高三%は資産の利廻を八乃至一五%と想定したものであるから、林業経営の利廻の三乃至五%の場合には更に低率の賦課が認めらるべきであるのであります。換言すれば、林木の価値生長率が年に三%の場合には、富裕税を三%負担すれば林業経営の目的が達せられない結果に陥る。更に所得税との合計においては、価値收獲よりも二割乃至三割も多額な負担となつて経営は成立たないのであります。米国における年々五%の財産税は、山林の早期伐採を誘発し、造林を減退せしめた事実において甚だしく不評判であります。先人の轍を踏まぬ対策が必要であると信ずるのであります。  次に水利地益税の賦課に際しては、往年の反別割のごとき観念による課税は行わないよう措置することが必要であります、山林の造成による受益者は、山林所有者よりも一般住民であるとの理論すら成立つのであります。  取引高税を廃止したのに拘らず木材引取税を存置する理由はないのであります。凡そ林業課税は甚だ過重である。従つてややもすれば経営意欲を喪失して荒廃への途へ追込む結果が生れ勝ちであるのであります。従つて全般的に再検討を要する問題ではあるが、特にこれら三税目については早急に解決をする必要かあると信ずるのであります。
  121. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 外に御発言もなければこれより採決をいたします。造林臨時措置法案について、衆議院送付原案通り賛成の方の御起立をお願いします。    〔総員起立〕
  122. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 総員起立、よつて本案は原案通り可決することに決定いたしました。  尚本日御採決を頂きました三つの法案の本会議における委員長報告は例によつて委員長にお委せ頂きます。それから多数意見者の御署名を逐次お願いいたします。   多数意見者署名     藤野 繁雄  岡村文四郎     加賀  操  徳川 宗敬     羽生 三七  岡田 宗司     鈴木 順一  柴田 政次     北村 一男
  123. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時十八分散会  出席者は左の通り。    委員長     楠見 義男君    理事            羽生 三七君            藤野 繁雄君    委員            岡田 宗司君            北村 一男君            柴田 政次君            鈴木 順一君            加賀  操君            徳川 宗敬君            池田 恒雄君            岡村文四郎君   衆議院議員    江崎 真澄君   政府委員    農林政務次官  坂本  實君    農林事務官    (畜産局長)  山根 東明君    林野庁長官   横川 信夫君   説明員    農 林 技 官    (畜産局競馬部    長)      井上 綱雄君    農林事務官    (林野庁林政課    長)      奥原日出男君