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1950-04-12 第7回国会 参議院 農林委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月十二日(水曜日)    午後二時十三分開会   ——————————————   本日の会議に付した事件 ○牧野法案内閣提出衆議院送付) ○家畜改良増殖法案内閣送付)   —————————————
  2. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) それではこれより委員会を開きます。  本日は主として畜産関係二つ法案について御審議を煩わしますが、牧野法案家畜改良増殖法案、この二件でありますが、牧野法案衆議院の方で先般本会議を済まして、こちらの方に本付託として回付されて参りましたし、それから家畜改良増殖法案は、本日大体向うの方の委員会討論採決段階に入つておりまして、従つてこれらも近く今週中にはこの委員会に本付託として回付される見込でございます。従つてこの二つ法案は、できれば今週中に一応の質疑を済まして、来週早々でも討論採決のような運びにいたしたいと思つておるのでありますが、そこで本日は最初牧野法案、それから家畜改良増殖法案、この二件について提案理由説明を伺いまして、それから関連しておる事項も多いと思いますから、両方一括して質疑をお願いすることにいたします。  尚その前に、この牧野法現行牧野法を全面的に改正しまして新しい牧野法ができ、それから家畜改良増殖法案は現在の種畜法が廃止されまして、それを包擁して新しい、こういうような法制が立案されておりますので、提案理由説明を伺いましたあとで、事務的な点で積極的に畜産局の方から御説明せられることがありましたら、予めその説明を伺うことにいたしたいと思います。さように御了承願いたいと思います。それでは最初に政務次官。
  3. 坂本實

    政府委員坂本實君) 只今御審議を願います牧野法案提案理由を御説明いたします。  畜産振興の必要は今更申上げるまでもないことでありますが、この畜産振興の基礎をなす粗飼料資源供給の大宗である牧野は極めて重要性を有するものでありまして、農地改革牧野にも拡大されたことは、この重要性一端を示すものに外なりません。特に現下飼料事情におきましては、牧野生産性維持向上を図り、牧野経営合理化を促進する必要が倍加していると共に、他面又国土保全上から牧野緑化促進が要請されているのであります。  我が国牧野改良が識者によつて叫ばれ出したのは明治以後のことでありますが、昭和六年に至り初め牧野法施行されるに至り、この法律によつて牧野改良制度化され、国の助成政策によつて改良が促進されたのでありますが、この法律は、牧野用施設に関して改良事業を行うことを目的とした強制設立強制加入制度を伴う牧野組合に関する事項を骨子としたものであり、現下農業協同組合整備等に伴う新情勢に即応しないものとなつたのであります。  地方戰時戰後を通じて行われた過放牧や、濫獲によつて牧野中には漸く荒廃の度を加え、このまま放置することは徒らに土壌の侵蝕を受け易い状態に放置することとなるものも生じ、国土保全上も重要な問題となつておるのであります。かかる状況に鑑みまして、特に公共的な牧野について、その管理運営を適正にしその改良を促進すると共に、又国土保全上から支障のある牧野については、その緑化を図り、併せて飼料資源を培うことが緊急の要務となつたのであります。  次に提出法律案内容簡單に御説明いたします。  第一は、地方公共団体管理する牧野について、牧野管理を適正にするため牧野管理規程を作成する事項であります。  地方公共団体管理する牧野については、団体性格等に鑑み自作農創設特別措置法において特に牧野買收対象から除外し、共同利用の形態を存続して参つておるのでありますが、一般的にはその利用状態が悪く買收除外主旨にも副つていない現状のものもありますので、その利用価値を高めるため、その管理者牧野維持改良に必要な牧野管理規程を定める義務を負わしめたものであり、これによつて牧野利用効率化を図るわけであります。  この点につきましては、現在河川及び堤防で牧野として利用されているものについても地方公共団体管理するものについては、牧野と同じよう管理規程を定めさせることといたしております。  第二は、保護牧野制度に関する事項であります。  畜産の用に供する牧野であつて国土保全上重大な障害があるものに対してその保全及び改良に関し、取るべき必要な措置の指示を行うことができる主旨のものであります。  経済的に技術的に畜産基地となり得る可能性のある牧野に対する措置でありまして、この点で保安林制度における原野に対する考え方と異るわけであります。  第三は、第一及び第二に述べました措置に係る牧野保全及び改良事業を行う者に対する奨励措置に関する事項でありまして、資金の融通、牧野改良に必要な資材の供給等について必要な措置を講ずることを政府の方針として明かにしたことであります。  第四は、牧野の害虫の駆除を命ずることができる権限、その他必要な報告徴收をする権限に関する事項であります。  第五は、現行法の廃止に関する事項でありまして、改正牧野法施行と共に現行法は廃止され、牧野組合は解散することとなることであります。  以上が牧野法案の大要であります。  尚最後に附加えたいと存じますが、土地改良法中に牧野改良を含ませることをも内容といたしまして、別途議員提出として予定されておりまするが、この法案は、牧野が上述のような特殊性があるために、議員案と表裏一体となり、牧野行政の完全を期するために必要なものであります。  何とぞ慎重御審議の上、速かに御可決されることをお願いする次第であります。  次に家畜改良増殖法案提案理由を御説明いたします。  今更申上げるまでもなく、畜産振興することは、農業経営合理化を保し、農業綜合生産力を増強し、以て農業経済の安定を図ると共に、栄養食糧確保し、国民の食生活を改善するため極めて肝要なことでありますので、政府といたしましても種々畜産振興に関する具体的方策を策定いたしまして、その有効適切なる実施に努力いたしているのであります。  なかんずく、種畜確保し、その利用の増強を図ることは家畜改良の基本であり、畜産振興の根幹をなすものでありますので、昭和二十三年八月から施行せられました畜産法等に基き鋭意その施策を進めてやるのでありますが、種畜法施行以来一年有余の経験に鑑み、その一部を改正すると共に最近急激な普及を示しておりまするところの家畜人工授精の健全なる発達を図るため必要な規制を加えまして、家畜改良増殖施策を行おうとするものであります。  以下本法案の主要なる内容について、その概要を申上げたいと思います。  第一は、現行種蓄法によれば種畜検査はすべて農林大臣が行うことになつているのでありますが、この際臨時検査の一部については都道府県知事に行わせようとすることであります。  即ち、種畜検査農林大臣において行うことは、その判定基準を統一するため必要なことであり、今後もこれを原則とすることは変りないのでありますが、不測の事故により種畜を補充する必要が生じたとき、これを機動的に行わせるためには、都道府県知事をして臨時種畜検査を行わしめ、種畜を補充せしめる途を開くのが適当と考えられるからであります。  第二は、家畜人工授精の健全な発達を図るため、家畜人工授精師並びに家畜人工授精所を免許或は許可制にすると共に、家畜人工授精実施に必要な規制を加えたことであります。家畜に対する人工授精術の応用は、我が国においても十数年以前から試みられているのでありますが、特にここ数年来急激に普及いたしており、政府といたしましても都道府県に対し、家畜人工授精施設の開設を勧奨し、明年度におきましては全国二六〇ケ所に対する半額国庫負担経費を計上し、その普及推進を図つているのであります。かくのごとく家畜人工授精は現在飛躍的発展段階に達しているのでありますが、一歩その運用を誤れば家畜人工授精に対する信用を失い、その健全な発達を阻まれる虞れがありますので、この際これに適当な規制を加えその適正な実施確保しようとする必要があると考えられるのであります。  第三は、現行種畜法にありますところの家畜登録協会に関する規定を廃止したことであります。即ち現行法家畜登録衣目的とする団体として、特に家畜登録協会について規定しましたのは、当時民間団体家畜登録事業を行うことは事業者団体法規定する禁止行為に該当するとの意見が有力でありましたので、家畜登録事業重要性に鑑み、特にこれを同法の適用除外にしようとの意図によつたのでありますが、最近有力な意見として家畜登録事業は、事業者団体法による禁止行為に該当しないのではないかとの解釈が示されましたので、かかる意味からはもはや家畜登録協会を法的に規制する必要がなくなり、寧ろこの機会にこれを自由な形で民間の創意により民主的に運営させるのが適当ではないかと考えられるのであります。この処置により家畜登録協会法律上の特別の制度としては廃止されるのでありますが、家畜登録事業家畜改良増殖上極めて重要なことには変りないのでありますから、政府といたしましても従前同様この種事業普及発展に努力いたす所存であります。  第四は、現行法に認められておりますところの種畜確保に関し、必要がある場合における家畜の移動又は屠殺の制限に関する農林大臣権限を廃止したことであります。これは、現行種畜法制定以後における家畜事情の好転に伴い、もはやかかる非常手段を講ずる必要が少くなつたと認められるからであります。  以上が本法案内容の主な点でありますが、本法案はその円滑なる施行によりまして現下家畜改良増殖、延いては畜産振興に対する膨湃たる要望の一端に応えると共に、畜産飛躍的発展の実現に資し得られるものと考えられるのであります。  右のよう理由によりまして、この法案を提出した次第でありますが、何とぞ慎重御審議の上、速かに可決せられんことを御願い申上げます。
  4. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 畜産局の方で何か御説明せられることがあつたら、この際伺つて置きたいと思います。若しなかつたら……
  5. 山根東明

    政府委員山根東明君) 法案提出理由等につきましては、只今相当詳細に御説明いたしました通りでありまして、特に附加えて言うことはないのでありますが、この機会に私から牧野法に関連いたしまして、牧野現状と言いますか、最近の状況等について若干附加えて御説明をいたして置きたいと思います。  牧野法は、現行牧野法昭和六年に制定されたのでありますが、爾来今日まで現行制度が続いて来ておるわけでありますが、その間御承知のように戦争を中に挟んでおりまして、牧野法の趣旨も当初は、どちらかと申しますと強健な軍馬育成というところにあつたわけであります。そういう意味から当時予算的にも相当な主力が、この牧野改良事業には注がれて参つたのであります。改良事業費に対する助成等も相当あつたのでありますが、終戦になりましたから、一つには国の財政の都合もあつたわけでありますが、一つには、そうした軍馬育成がすでにその必要がなくなつたということと、又これははつきりは申上げかねますが、そうした馬に対する反動的な考え方が或る程度働いたと思うのでありますが、そういうことから、牧野に対する国の施策というものが今日まで、まあブランクになつて来てやるのが現状でございます。予算的に見ましても、多年相当な経費を支出いたしておりましたものが、終戦直後からは大巾に削限されたのであります。現在僅かに、地方における職員経費、指導に要する旅費等が若干、それと本省における最小限度経費が残つているだけでありまして、言換えれば、牧野行政については、現在全くブランク事情であります。そういうような事情でありますので、戦争中までは牧野についての現状も十分把握できたのでありますが、今日におきましては、現状がどうなつておるか上いうことの把握すら不十分であるというような事情であるのでありますが、それにしましても私共では将来のことを考慮いたしまして、その間乏しい経費ながらも調査なり、というような仕事は続けて参つておるのでありますが、その調査に基きますと、現在牧野面積は二十三年末でありますが、百四十二万五千三百五十七町歩、その中放牧地が八十万九千六十町歩……
  6. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) ちよつと途中ですが、お手許にお配りしてあります牧野法関係資料の中に、今の数字が載つております。
  7. 山根東明

    政府委員山根東明君) 放牧地は八十万九千六十町歩採草地が六十一方人千二百七十七町歩、これはそり中国有地が二二%、三十万三千三百五十三町歩公有地が四十八万五百五十大町歩、私有地が六十四万一千円百三十八町歩、こういうことになつておりまして、この利用状況放牧頭数が三十五万六千六百二十四頭で、家畜頭数の一〇・五%でございます。採草地に依存しておりまする頭数は四十七万九千六百六十九頭で十四・二%、合せまして八十三万六千二百九十三頭、牛馬頭数の約二四%が牧野利用をいたしておる事情であります。これはお手許資料として差上げてあるのでございますが、この中今度の法律都道府県又は市町村等の所有管理する牧野に対しては、管理規定を定めるごとにいたしたいと思つておるのでありますが、管理規定対象面積を推算、調査いたしましたところによりますと、大体四十二万七千町歩、百四十二万五千町歩の中四十二万七千町歩が新しい法制にまりまして管理規定対象に考えられますので、行く行くはこれだけのものにつきましては、管理規定が完備する見込でございます。  それから法律保護牧野規定がございますが、これの対象となる面積もこれも調査によつて推定いたしたのでありますが、これが二十二万町歩ぐらいではないかどいうふうに推定いたしております。  次に牧野組合、これは今度の法律によりまして解散するわけでありまするが、実はすでに以前から現行牧野組合提案理由説明にもありますように、現状に即しない点がありますので、これを解散するべく指導して参つてつたのでありまして、逐次解散して来たか、誠心は解散の手続はしなくとも、殆んど有名無実組合として今日まで来ておるのでありますが、現在残つております組合の数を参考までに申上げますと、全国で二百三十三の組合が、現在と申しましても二十四年六月でございますが、残つております。大体牧野面積なり、或いは関係牧野組合現状は以上のようでありますので、蛇足ではございましたが、私から御説明をいたした次第であります。
  8. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 今の利用頭数ですね、いま一遍言つて下さい。
  9. 山根東明

    政府委員山根東明君) 放牧頭数は三十五万六千六百二十四頭、家畜頭数の一〇、五%です。牛馬頭数の一〇五%放牧しておる。それから採草地に依存しておりますのは四十七万九千六百六十九頭で一四、二%、トータルといたしまして八十三万六千二百九十三頭で、二四%ちよつとでありますが、二四%であります。
  10. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) どうぞ御質問をお願いします。
  11. 羽生三七

    羽生三七君 ちよつと伺いますが、この牧野法農地調整法関係の法規と何か抵触するようなものはないのですか。全然別個のものですか、どこかで交錯するような問題はないのですか。
  12. 山根東明

    政府委員山根東明君) 別に抵触する点もないようです。
  13. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 現在の牧野法牧野特定地というものがあつて、大体これと同じような思想で今度の牧野というものができておるように思うのですがね。その間に大きな違いというものは、何かあるのですか。それが一つと、もう一つは、この資料で行くと、牧野特定地面積というのが、全体で二十三万町歩ですか、それから今のお話保護牧野というものが二十二万町歩、大体同じような数字なんですが、そういうところから見ると、大体現在の牧野特定地というものが保護牧野に肩替りするような、内容的に変らないような気がするのですが、何かその間に大きな違いがあるのか、その点を先ず一つ伺いたいのですが。
  14. 山根東明

    政府委員山根東明君) 或いは成る程度においては一致すると思うのでありますが、従来の牧野特定地には転用制限として一つのあれがあつて牧野以外に転用してはいかんということがあつたわけですが、保護牧野は、何と言いますか、転用制限を除いたという点が、二つ関係の実質上違う点ですが、具体的な問題としては、従来の特定地が或いは大部分今度保護牧野として指定を受けるということに、お話のようになる場合が多いのではないかと思うのですが。
  15. 山本兵三郎

    説明員山本兵三郎君) 私ちよつと補足して申上げて置きますが、例の牧野特定地として限定されておりました約二十三、四万町歩土地は、牧野として、殊に軍馬資源確保のために、そういう資源というものを確保しなければならんということから、他にこれを転用することを制限しておつたのでありますが、御承知かと思うのでありますが、それは今回、殊に国有地については、その中の一部を特に民間の希望がありますれば、農地局の方に所管換をいたしまして、地元の方へ払下げをする。こういうことで今調査をしておりますのが約十二万五千町歩程度つたのであります。その十二万五千町歩のものは、今回の新しい牧野法によりまして、管理規程を定める対象になるというふうに我々考えておるのであります。それが保護牧野の約二十二万町歩と申しますものが、これは法案にも書いてありますように、特に水源涵酒養の面、或いは土砂崩壊の面、或いは治山の面から申しまして、相当過放牧乱獲等が起つて、そうして水害などの原因の一つとなりはせんか、こういうようなところを実は調査いたしたのであります。正確なものではございませんが、そういう裸地になつてつて、或いは草が非常に悪くなつておる、水源寺においても寒心すべき状態であるというようなところを考えておるのであります。その一部につきましては、従来の特定牧野というものと重なり合うところも、これは当然生じて来るわけであります。
  16. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) そうすると…皆さんに申落しましたが、今御説明なつたように、今回牧野採草指定関係国有地を、主としてこれは林野庁関係所管ですが、これについて民間以外に調査をやつておられるのは、今お話にありましたように、十二万五千町歩対象になつておる、こういうお話なんですが、この問題に関連して林野庁の方のこの点に関する話も聽いておいた方がいいと想いますから、本日は間に合いませんでしたが、明日委員会には林野庁を呼んでおりますから、それだけちよつと申上げて置きます。それから先程の補足説明最後お話はこういうことなんですか。つまり従来の牧野特定地二十三万町歩の中で十二万五千町歩保護や転換の対象になつておる。それを引いたあと、それから新たに加えるもので二十二万町歩、そういうのですか。或いはそうでなくて、民間に委譲されたものをも、保護牧野対象になるものも、それから新たに加えられるものも加えて、とにかく調査の結果は推定二十二万町歩だというのですか、その後の方の……
  17. 山本兵三郎

    説明員山本兵三郎君) 後者の方です。
  18. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 後の方ですね。先程ももちよつと私お伺いしたように、大体現在の牧野特定地というものも、特に牧野として保護する必要があるものということになつてつて、今度の保護牧野も、勿論国土保全とかというようなこともありますが、主なる狙いは、牧野として尊重し、これを保護して行こう、こういうことなんです。狙いは種々あると思いますが、この場合参考に伺つて置きたいのは、従来の規定による場合に、牧野特定地に対して維持改良命令を出したり、或いは補助法律上約束したりしているのですが、これが具体的な事例として、そういうふうな維持改良命令を出し、又その件数がどのくらい、又補助が幾らくらい、こういう資料が若しお手許にあつたら伺つて置きたいのですが。というのは、大体お話しのような法制を今度作つても、今までの過去の実績で余り大したこともやつておらず、補助金も出しておらないということになると、今度の新らしい法制に対する信用が、非常に薄くなるから、そういう意味で伺つて置きたいのです。
  19. 羽生三七

    羽生三七君 極く簡單なことですが、この牧野管理規定を設ける場合に、この地方公共団体がこれを定めるわけですが、地方公共団体はどういう人がこれに当るのでありますか、県当局がやるとか、或いは民間のこういう牧野関係のある人というようなものを加えるのかどうかということが一つと、もう一つは、「前項の規定により牧野管理規程を定めようとするときは、あらかじめ、」云々ということがあるわけでありますが、そうすると、定めようとするときにというふうに私達は解釈しているのでありますけれども、この後の、その次の項を見るというと、当該牧野管理規程案不服のあるものが、又異議申立て云々とあるわけでありまして、そうすると、定めたものについて異議申立をするか、定めようとするときに何か告示を見て異議申立をすれば、管理規程が又変えられるというのか、その辺ちよつとお伺いしたい。
  20. 山根東明

    政府委員山根東明君) 地方公共団体が定める管理規程は、県であれば県のお役人と言いますか、県の職員が定め、市町村であれば市町村の吏員がこれを定めて、市町村なり、県の管理規程として、これが生れるわけで、民間の人がどうこうということではございません。それから……
  21. 羽生三七

    羽生三七君 その次の項で、牧野管理規定を定めようとするときに、予め告示をせんならんわけですね。ところがその後に不服があれば異議申立ができることになつておりますが、それは定めたもりに不服があつた場合ということですか、定めようとする事前のときに不服があれば、申立をすれば管理規程が変えられるということですか。
  22. 山根東明

    政府委員山根東明君) 後段の御意見のように考えていいのではないのでしようか。
  23. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) それは第三条の三項で、当該牧野管理規定案とあるから、案を先ず作つて、それから不服のあるものは、それから申立てて、公聽会を開いて、それで今度案が変つて固まつて、それでこの規程ができて認可するというのでしよう。
  24. 山根東明

    政府委員山根東明君) そういうのです。
  25. 羽生三七

    羽生三七君 私が先程地方公共団体管理規程を作る場合に、民間人云々ということを申したのは、最初にお尋ねした農地調整法と何か関係を持ちはしないかということを考えたからで、例えば市町村農地委員、或いは府県の農地委員というものがタツチする必要が、時によつては生じはしないかということを考えたのですが、何か牧野法農地関係委員とか何か密接な連絡がないというと、完全な運営ができないのじやないかという感じがするのですが、そういう心配は全然ありませんか。
  26. 山根東明

    政府委員山根東明君) 農地委員の御意見を聽く必要があるかというお話ですが……
  27. 羽生三七

    羽生三七君 そうです。
  28. 山根東明

    政府委員山根東明君) これは現在農地委員が、どういう権限といいますか、お考を持つておるか、正確には私存じませんが、恐らく牧野管理規程制定について、農地委員の、行く行く牧野というものを、農地委員権限が拡大されれば別ですけれども、現在の権限の下においては、実は私共もその意見を聽くという考え方は初めから持つていないわけです。
  29. 羽生三七

    羽生三七君 私は権限を言つておるのではない。その方が何か円滑に行くような感じがしたからお尋ねしたのですが、別にそういう必要もないという御確信があれば結構であります。
  30. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  31. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 速記始めて。さつきの何はどうですか、今の改良命令牧野特定地に対する、今まで法律維持改良命令とか、そういうものが出し得ることになつてつたが、現実に出した事例ですね。その場合に補助金を出すことに現行法ではなつておるけれど、その補助金の金額なり、出した事例を伺いたいと思います。
  32. 山根東明

    政府委員山根東明君) 維持改良命令を出した事例は今までないそうです。
  33. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) そうすると、補助もないわけですね。
  34. 山根東明

    政府委員山根東明君) これは補助は、従来一般の牧野改良事業奨励金があつたときは、それが特定地にも行つたという意味での補助金は行つておるわけですけれども、この法律にありますように、特定の命令を出して、それに必要な、従つてこれだけの経費をという形で出した実績はない、こういうことになつております。
  35. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) それからさつきの転用制限規定というのは、現行法の何条でしたかね。
  36. 山本兵三郎

    説明員山本兵三郎君) 第一条の八に、開墾とか造林とか、工作物の新築、改築、又は増築とか、その他牧野の保続を妨ぐる虞れある行為にして命令を以て定むるもの、そういうものに該当する行為をなさんとする者は行政官庁の許可を受けなければならん、こういうことになつております。
  37. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) それはこの規定のことですか。そういう規定は今度ないわけですか。
  38. 山本兵三郎

    説明員山本兵三郎君) ないわけであります。ですから、実際問題としては、農地調整法緊急開拓の関係で、この第一条の八というのは、開墾の問題は全然、そつちの法律が強いから、これは全然できないのです。
  39. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) それからこの法律を実行するのに必要な予算の資料は頂いておりますか。
  40. 山本兵三郎

    説明員山本兵三郎君) 差上げておりますが……参考資料最後のCの十一、最後から四枚目です。
  41. 山根東明

    政府委員山根東明君) これは既定予算です。この十一は現在成立しております。予算額三百八十一万六千六百円、Cの十一です。
  42. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 三百八十一万六千六百円、これは……
  43. 山根東明

    政府委員山根東明君) これはですね、既定の予算です。これはもう通過した予算ですがね。これは現状を先程ちよつと御説明いたしましたように、本省では職員俸給、職員手当、旅費、消耗品等、それから平衡交付金として地方に対する補助職員の旅費、協議会の補助等が平衡交付金で載せておるわけであります。それで、これで以て新しく法律を改正するに伴つて必要な経費は、実は内容としては載つていないわけです。そこで予算的な措置についての考え方お話し申上げますと、二十五年度のこの予算編成当時は、牧野法の改正についての所要経費がこれ以外に当然要ることが予想されたわけでありますけれども、いろいろな関係で実現を見なかつたわけで、そこで私共の現在の考え方としましては、この既定予算、極く僅かでありますが、三百八十一万六千六百円で、法律が成立いたしました上は、直ちにこの遣り繰りで或る程度の仕事を始めて行く。そうして次の機会に、と申しますのは、場合によりましたら次の国会等に新しいこの法律に基く所要の経費を要求したい。それまでの間は僅かでありますが、これだけの経費なり人がおりますので、現在の経費と人の範囲内で、どちらかと言えば基礎的な調査あたりから先ず着手してやつて行きたい、こういうことで、これは私の方で新しい法律施行について、例えば臨時国会に要求するとして、どれだけの経費が要るかという実は計画も持つておりますけれども、この資料はそういう意味資料でありますので、お手許には差上げてありません。
  44. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) そうすると、例えばこの新しい法律に基いていろいろの命令を出して、損失補償の規定があるのですが、この損失補償の規定は国会の議決を経た予算の範囲内においてしなければならない、こうなつておるのは、例えば十四条なら十四条のような規定は発動できるのですか、できないのですか。
  45. 山根東明

    政府委員山根東明君) 実はその点になりますと、先程申しましたように全然その予算は現在のところないのでありますが、できるだけ最近の機会に、例えば臨時国会等が開かれます機会等に、この法律に基いて予算は実は要求したいと考えております。ただ遺憾ながら、先程もお断りしましたように、現在牧野行政が暫くブランクになつておるような関係で、法律施行になりましても、その日から只今のすべての規定が直ちに動いて、それに基く経費が直ちに所要であるという状態にはなかなかならない点があるのです。その臨時国会等で予算が成立するまでの間には、むしろその前提として既定経費で、これはまあできるわけですから、いろいろの基礎調査ということでその間は進んで行きたい、こういう考え方でおるわけです。
  46. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) そうすると、現実には九条とかそういうようなものは法律が通つて施行できないということでありますか。
  47. 山根東明

    政府委員山根東明君) 非常に大きな予算を伴うということになりますと、これはこの法律にもありますように、限度内で指示をすることになつておりますので、非常に大きな経費が伴うということになりますと、或いは新しい予算が通るまでは、発動できんかも知れないのですが、仮に臨時国会等で若しその予算が認められないというようなことになると、来年度まで延ばさなければならんという問題が起るわけです。私共はできるだけ早い機会に通したいということと、一つには基礎調査がまだ十分できておりませんので、こうした九条の規定の発動ということは、やはり或る程度基礎的な調査に若干の日時が要るという関係で……
  48. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) いや、僕の聴いておるのは、国が必要な指示をするという場合は、今のお話のように、それは予算がないから予算ができるまで国はそういう指示をすることを差控えるということをするのであるが、例えばこの九条で行くと、都道府県知事は指示ができる。そしてその尻拭いを国が十四条で補償するということになつておりますから、都道府県知事は予算の如何に拘らず指示をする。併しそれによつて損失を受けたものは、国に予算がないからというので補償は受けられないということになつて来るから、そこの辺がはつきりせんじやないか、従つて九条の規則はこれは施行できない、こうしないと非常に不測な損失を受け、而も補償されない場合が出て来やせんかということを心配して質問しておるのです。
  49. 山根東明

    政府委員山根東明君) 現状ではそういうことになるわけですね。従やましてこれは私共としましては、こり法律の、何と言いますか、予算関係がそういうことであるというので、実際問題としてのそういう支障は、府県のそういう行政措置の手加減と言いますか、運用で、実際問題としてはそういう支障があつて、二進も三進も行かんという事態が起つても困りますので、起らないような途は取らなければいけないと思つております。
  50. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 三万円以下の罰則まで伴つておる重要な法律であるから、その辺がはつきりしないと知事は法律権限に基いてどんどんやつたということになつて来るというと、相当問題が起りはしないかという心配をするのですが、その点は今お話のよりに大丈夫だということであればいいのですが、衆議院ではそういう問題は起らなかつたのですか。
  51. 山根東明

    政府委員山根東明君) 衆議院では起りませんでした。これは私共の方ではそういうふうに、何と申しますか、実際問題としては妙なことが起きないようにやつて行きたいとは思つております。
  52. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) その関係はあれですが、駆除予防の場合は、これは予算的の措置というものは要らないのですね。法律上から言えば、奨励するのだから……そうしたら駆除、予防の場合の二十条の「必要な奨励措置」という具体的の内容はどういうことですか、一つ説明して下さい。
  53. 山根東明

    政府委員山根東明君) 駆除、予防につきましては、これは実は主として害虫としましてはダニというようなものが考えられるわけですが、これの駆除について、これは或る程度火入れをするという簡單な駆除方法もありますし、実はそう多額の経費が要らん場合が多いのじやないかという考え方をしておりますので、従いまして、これに対する仮に奨励金の予算の成立を見るまでの間におきましても、このことは実施できる場合が相当あるのじやないかという考え方をしております。それから勿論薬を使うとか、そういういろいろなことで相当の経費が要る場合もあると思いますので、これらは新しい予算では勿論考えたいと思つておりますが、大した経費を伴わないで実施できる駆除、予防の方法があるのじやないかというふうに考えております。
  54. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) それから二十条の、「資金の融通、牧野草の種子及び牧野樹林の種苗の供給等に関し、必要な奨励措置を講ずる。」というこの「必要な奨励措置」というのはどういう奨励措置が伺いたいと思います。
  55. 山根東明

    政府委員山根東明君) 予算的に実は奨励金と申しますか、改良当該事業を行うために必要な限度において資金の融通は、これは中金等からの資金の斡旋を考えておりますが、必要な奨励措置につきましては、先程申上げましたように薬が要りますとか、或いは或る程度の購入資材が必要だという場合には、これは補助奨励金を計上したいという考え方を持つております。
  56. 羽生三七

    羽生三七君 これは委員長から今指摘された通り、この第九条の規定で行くというと、まあ保全のために必要な、指示を受けた場合に、何にもこの予算上り措置ができておらんという場合、而も本人が金がなくてできないという場合、そういう場合、一方でははつきり罰則が決められておるということは非常に不合理だと思うので、そういうことはないであろうといろ予測で法律が出て来るということはどうも変だと思うので、予算上の措置が伴つて法律が出なければ少し片手落ではないかと思うが、というのは、予算上の措置を伴わなければ法律上の意味がないと思う。
  57. 岡村文四郎

    ○岡村文四郎君 いろいろ承つたんですが、一体この法律が非常に重要な法律だと思うんですが、これを厳重に管理をし地方に指示をしてやらそうとしておる。そこでそうなると、今までと違つて殆んど見るに足るような補助、奨励施設もないというようなものを拵えて見ても……どうも近頃出す法律がおかしいので、この牧野法にも疑義が沢山あるが、その疑義を沢山言つたらこの法律は駄目だということになるから私沢山言いませんが、もう少し畜産局として畜産を重要視して伸して行こうとい真意があるならば、もう少しこの法律らしいものを拵えて来んとこれは非常に困難だと思う。沢山作ろうとしておるが、肝腎の趣旨が不徹底だから……
  58. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止
  59. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 速記始めて。
  60. 岡村文四郎

    ○岡村文四郎君 そうすると、この法によると、個人の所有の牧野の経営に対して、相当強く干渉するように思われるが、第一条の国土保全牧野利用の高度化を図ることが目的であるが、果してそうとすれば、国が牧野改良に関し経費の面においても、又物質の面において尾、むしろ国が負担するか、又は国が国営すべきことになると思うが、そういうようなものを一体どう考えておるか。どうもこれを見て、さつぱり責任の所在が分らない。
  61. 山根東明

    政府委員山根東明君) 只今の点についてお答えいたします。個人の牧野につきましては、只今問題になりました保護牧野指定制度を考えでおるわけでありまして、これに対して全然現在のところ予算が計上されておりません点は、これを只今いろいろ御意見が出た通りでありまして、私共も実は法律を仰々しく御審議を願う段取りまで運びましたに拘らず、そういう実情であります点は、非常に顧みて遺憾に思つておる点であります。ただこの点につきましては、私共としましは、できるだけ早い機会に所要経費を計上することに実は努めたいと考えております。すでに或る程度事務的には大蔵省にもその見込があるということの申入がしてあるわけでありまして、決して全然手ぶらで以てこの法律施行して行こうという考は持つておりません。同時に一つには、これは先程提案理由説明の中にもありましたように、牧野改良事業土地改良事業として扱われることに将来なりました場合には、例えば差当つて本年度の土地改良に関する経費を若干でも、この牧野改良に割いて貰うということも、これも或る程度可能なことであろうかという考え方で、これも農地局ともよりよりそういう面で相談をしておるわけでありますので、差当りは既定の僅かな調査費等で以て準備を進めて、できるだけ早い機会に予算を計上する。そうして私共はこの法律施行の完璧を期して行きたいというような考え方をいたしておりますので、先程来お話しましたことと重複いたしますが、岡村委員の御質問には、そういうことでございますので、御了承願いたいと思います。
  62. 岡村文四郎

    ○岡村文四郎君 それではもう少しお尋ねしますが、二十四条に関連して保護牧野として指示を受けても、資金の措置もないし、奨励措置も不十分なために、実行が不可能な場合に、その原因がむしろ政府の責任に帰すると思われるが、然るにも拘らず、指示に違反したというので罰金刑に処するというのは、これは矛盾してはいないかと思うが、どうですか。
  63. 山根東明

    政府委員山根東明君) 御意見全くその通り考えるわけであります。でありますので運用に当りましては予算が計上されて実現を見ますまでは、実は保護牧野指定内容という点で特に経費を要しない面、或いは国の既定の経費で以て、間接的ではありますけれども助成のできます面、具体的に申しますと、草生の改良等につきましては国がすでに別の経費を計上して原種圃を経営しておるようなこともありますので、草生の改良等につきましてはこれはお話のように、関係者に負担のみ掛けるということでなしにやつて行ける面もあるのでありますので、その面につきましては、これは保護牧野指定内容として、今日直ちにでも実施できる面であろうかと考えております。その外の面で相当な経費を要するものに、これを保護牧野指定して、而も国が法律に命じられたこれの跡始末を何ら考えないでそういうことをし、而もそれに対する罰則を適用するというようなことにつき幸しては、お話のように全く無茶な話でありますので、差当りましては保護牧野指定内容としては、場合によりましてはそういう限度に限定するということにならざるを得ないのじやないかというふうな考え方であります。
  64. 岡村文四郎

    ○岡村文四郎君 そうすると第十一条の第一項の、用途の廃止後効力の発生の確認の方法でありまして、第十条によれば、必要ある場合に指示の変更を知事に申請することになつておる。第十一条の用途の廃止は、所有者又は利用者の一方的意思によつて措置して差支ないものと解して差支ないかどうか。第十一条の二項の届出をなさなかつた場合処罰されるというが、その理由はどうだろうか。
  65. 山根東明

    政府委員山根東明君) 第十一条で牧野としての用途が廃止されたときは、」指示は、「その効力を失う。」と、第十条で以て指示の変更については都道府県知事に対して申請をすることを必要としておるけれども、用途を廃止するととについては、ただ用途が廃止されれば、そのまま効力を失うということになつておる点はどういう関係かという御質問だと思うのでありますが、その点につきましては、実は保護牧野につきましては、先程問題になりましたように転用制限を私共考えていないのでありまして、いわば勝手に牧野としての使用を廃止することができるわけでありますので、これも関係者の自由な意思によつて廃止された場合には、従来保護牧野を前提としての指示は、これは当然にその効力を失わせることにしたのです。それから余談でありますが、これが廃止されました後々において、尚国土保全上そのもりが、これが何等かの制限の必要があるような現状である場合には、保安林等の指定を受けることになろうかと考えております。それから都道府県知事にその旨を届出ない場合に、これに対する罰則が規定されているのでありますが、これは実は保護牧野につきましては、何と申しましても国土保全という一つの公共的な意味を持つておる制度でありまして、これの用途廃止等につきましては、十分都道府県知事としましてはその現状を把握して置く必要がある。これがいい加減に扱われるということでありましては折角国土保全上の見地からこうした制度を設けました趣旨が、最後まで貫徹されないというような点がありますので、そういう関係でこの用途廃止の届出につきましては、厳格にこれを実施して参りたいというような趣旨から、これに対しては違反者に対する罰則の規定を設けたわけであります。
  66. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) その問題は法律的に見るとどうなりますかね。その二十四条の三万円以下の罰金というような罰則規定まで伴つておる法律なんだけれども、九条の一項で指示を受けると、そうして用途を廃止する、或いは牧野にするということは全く当事者の自由意思によつて決まるとすれば、これは当事者が、それだけの意思表示をすれば、二十四条の罰則は勿論適用されないし、指示の効力も失う。こういうことになつて来ると、極めて不完全なことなんですね。
  67. 山根東明

    政府委員山根東明君) そこで、例えば、さつきもちよつとお話しましたけれども、これが森林、原野であればそれは保安林になる。
  68. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) これは保安林なら保安林の規定で行けばいいわけでしよう。ところが牧野法規定で行つて、而も罰則が伴つておるけれども、尻が詰つておらんということになると、極めてこれは不完全なことになりはせんかと思うな。
  69. 岡村文四郎

    ○岡村文四郎君 どうも最初から誠に遺憾なことだが、その心配は随分されておるが、一体こういう不完備な法律を通過して実施されることになつて、そうして次の機会にという話ですから、臨時国会か通常国会か分りませんが、これに伴う措置をしようとしてもできなかつた時分にはどうなる。現在の状態では、非常に僕は困難だと思う。それで先に資金面のお話があつて、中央金庫にでものお話がありましたが、恐らく今そういうことをお考えになつても、何か別の問題で出すべく措置してやれば別だが、現在の状態で、ここ半年や一年では、金額にもよりましようが、その金額は余りに僅かな金でなくなると、そういうことは考えても非常に不可能だと思う。で、僕等は大体預金部の金が産業資金に一切使われんということになつてしまつたような恰好ですから、そうなると貯金法さえ廃止したいと考えておるわけです。それですから、簡單に考えたのじやこういうものは、現在の国情では非常に困難が伴う。これはよく念に念を入れて確かめなければならない。よかろうよかろうで衆議院へ出して見たが、これが分らんものになつたのでは迷惑するだろうと思う。
  70. 山根東明

    政府委員山根東明君) その点について重ねて私から申上げて置きたいと思いますが、実は現行牧野法が殆んど死文化しております。言換えれば予算はないし、牧野法の大部分の規定牧野組合規定であり、この牧野組合はこれは速かに解散しなければならんという状況にある。そこで実は私共としましても、この法律を御審議願います前に、予算のはつきりした見通しも同時に立てた上でという考え方をいたして、できるだけその線で努力をして来たのでありますが、一方においては、現行牧野法がそういうふうに死文化しておりますので、一日も速力に廃止しなければならんという情勢に立至つたのでありますので、これを廃止し、かたがた新しい法制が生れないということになりますと、その間牧野に関する法制が、僅かな期間でありましても、全然ないということになりましては、精神的な見地からも牧野の側に与える打撃も非常に大きい点もありまして、実はいろいろ御意見が出ました点は、私共も非常に問題にしたのではありますけれども、止むに止まれず予算を伴わないこういう法律を提案するような経緯になつたわけであります。そこで予算としましては、次の国会で考えると口では言つても、実際実現しなかつた場合はどうなるかと、これを実現……予算を計上することについて、決して簡單に計上できるかどうかという点につきましては、私共も同じような心配を持つておるのでありますが、ただ事務的に私共がこの法律を作り上げます際に、その問題についていろいろ大蔵省とも折衝いたしました事情から申し上げるのでありますが、仮に臨時国会で新しい補正予算として提出するチヤンスが或はあるかどうかという点は、はつきりいたしませんけれども、仮にそういうチヤンスがあります場合には、これは私共は何とかしてそこに所要の経費の計上を図つて行きたいという強い気持を持つておりますし、そのことは先程申しましたように、大蔵当局にも実は申入れであるわけでありますし、又来年度からは改良事業に対する助成金としては、土地改良法が仮に現在準備されておりますような内容で成立いたしましたといたしますれば、この方の予算に牧野改良の予算が当然計上せられなければならないということにつきましては、これは或る程度大蔵当局とも、まだ確定的な話合いまでに至つておりませんけれども、大蔵当局にも、こちらからその場合の経費の算出資料、その地資料も提出してございますし、大蔵当局も事務的にはそれはすでにまあ財政の面からの支出を覚悟しておるというふうな事情であると思うのであります。そこで勿論私共も一〇〇%確言はできませんけれども、そういう事情でありますので、法律が通過いたしますれば、この法律自体も当然のことでありますが、大蔵省の事務当局も十分承知しておる法律でありますので、私共の努力によつては、決して見通しが全然暗いというふうなことではないのじやないかと考えております。  それから金融面のことも、これはお話のように、私共も決してこれは簡單に中金から所要経費が出して貰えるというふうに、簡單には考えておりません。ただこれも私共の今後の努力によりて、一般の畜産に対する金融が、今日非常に金融機関側においてまだ十分認識して貰つてない現状を打開する、その線に沿つて、この牧野改良に対する金融措置も、これも相当困難ではあろうと思いますけれども、やはり私共は努力しなければならない点であつて、そうしたいというふうに考えております。
  71. 岡村文四郎

    ○岡村文四郎君 金融機関が畜産に対する認識が足らないというのじやない、そこで現在も中央金庫は中長期資金として、畜産資金と土地改良の二本以外に今のところやらないというふうにやつている。そうして畜産資金が出ている。併しながら今度はこれも非常に不可能だと考えております。よく知つております……御承知か知らんが、小水力電気の助成金融をやることになつて、日本で百数十箇所どんどん工事を始めた。ところがぴつたり止つている。金融も止つておる。どうなるかということは、そういう事態からこれはもう甘く見てはいけないということをお話したのです。  これは続いてお伺いしますが、林野庁と御相談ができていると思いますからお分りと思いますが、国有林野の中にある牧野の開放の方針、これは実施計画及び実施状況はどうなつておるかということと、それから牧野の払下価格に関して、取扱がどういうふうになつておるか、それから東北地方に……北海道もそうでありましようが、東北地方にある特に国有林野の現行価格による即時開放と、その必要経費の予算計上を要望されておりますが、その現状と、今後の方針は一体どうなつておるか。これは林野庁がおらんとあなたのところでは決まらんと思いますが、この法律を出す以上、いろいろお打合せになつておると思いますから、お分りだと思います。
  72. 山根東明

    政府委員山根東明君) 後段の御質問は……。
  73. 岡村文四郎

    ○岡村文四郎君 国有林野の中に牧野が入つておる、それを開放する実施状況がどうなつておるかということ、それからその次は、牧野の払下の価格、林野庁の価格、それの取扱は一体どうなつおるか。それから東北地方……北海道もでありますが、国有牧野現行価格による即時開放の必要経費の予算を要望されておるわけですが、今の現状は一体どうなつておるかということ、これはあなたのところばかりではないから、まだ打合せがしていないから分らんというかも知れないが、それは……
  74. 山根東明

    政府委員山根東明君) 只今の御質問の点につきましては、資料も整備できると思いますので、後刻資料を整備してお答申上げます。
  75. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 今の問題は先程申上げましたように、畜産局よりもむしろ林野庁の方に明日聴くことにいたしましよう。外に問題があるところを岡村さん。
  76. 岡村文四郎

    ○岡村文四郎君 外に問題というて…
  77. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 私の申上げるのは、参議院は衆議院の足らざるところを補いをするところであるから、問題点を列挙して置いて貰つたら、場合によつてはこの法律審議未了にするし、場合によつては、例えば修正をする、これは一つの例ですけれども、二十五条なら二十五条というのは、その指示が行われないことについて、その責任が都道府県知事にある場合は処罰しないとか、九条の指示は国会において、十四条の予算が成立するまでは、九条の規定は適用しないとか、施行しないとか、こういうような今問題にされているようなところを一応問題としてずつとやつておいて貰うと、我々としても研究の資料が得られるから、それで問題のあるところを專門の岡村さんにやつておいて貰いたいということです。
  78. 岡村文四郎

    ○岡村文四郎君 お聴きしても、一つも満足な…、その通り、同感という話はあるが、満足な答がないので、これじやあとを聴いてもしようがない。
  79. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) それでは、牧野法はこの程度にして、家畜改良増殖法案を……、これは明日やりましようか。本日はこの程度にしましようか。それではこの程度で散会いたします。    午後三時五十八分散会  出席者は左の通り。    委員長     楠見 義男君    理事            羽生 三七君            石川 準吉君           池田宇右衞門君            藤野 繁雄君    委員            深水 六郎君            柴田 政次君            赤澤 與仁君            徳川 宗敬君            岡村文四郎君    農林政務次官  坂本  實君    農林事務官    (畜産局長)  山根 東明君   説明員    農林事務官    (畜産局有畜    営農課長)   山本兵三郎