○
説明員(
竹内二郎君) この
法律は、
提案理由でも御
説明申上げましたように、従来の
輸入植物の
検疫につきましてや
つております点と、それから二十九年に制定いたしました
法律で非常に不備な点がある、こういうことでこの
法案を作りましたのでありますけれども、一番問題になりますのは、最近におきます
馬鈴薯の輪腐病或いは
甘藷の
黒斑病、そういうようなものが急に
国内に入りまして、そうしてこれが伝播いたしまして、現在においては非常にその
被害に困
つておる
状態であります。そういうような
状態を先ずここで
防疫する、こういう
建前にいたしておるのであります。結局
海外から来ます
植物検疫の段階を港で第一回にこれを
防除し、
国内に入りましたものにつきまして又これを
防除する、こういうような
建前を採
つておるわけであります。その
外日本に前から入
つておりまして例えば
みかん蠅のように
九州地区に一部入
つておりまして、まだ他には伝播いたしておりません、併しその虫がおるために
みかんの
海外輸出もその
地方からの物は禁止されておるような
状態でありますので、こういうものを撲滅させて、そうして広まらないうちにこれを撲滅させて、いろいろな産業の振興に資したいと、こういうような点が主な点であります。それで
従つてそういうような点のみがこの
法律にありますので、一番問題になります点は、
一般の
稻熱だとか、
うんかだとかいうような、こういうような、現在
農村におります
病虫害の
防除と、こういうことが現在の
農村におきましては非常に大きな問題であり、又これを
防除しなければならんと、こういう点が問題であるのでありますけれども、
法律には国がそういう場合に
責任を負うというようなことが載
つておらないことが、一番問題になる点だろうと考えるわけであります。勿論これは、昨年におきましても
稻熱が大
発生をいたしました、その
発生をいたしました
防除費その他につきましても、
予算的の
措置は講じておるのでありまして、その
法律的の責務を
政府が持つということはないわけでありますが、その点につきましてはやはり従来と同じような
考え方を以て我々は進みたいと考えておるのであります。そういうような
異常発生とかいうようなことにつきましては、この
法律では
地方長官がこれをやると、こういうことにな
つておりますので、
地方長官は、県知事はそういう
異常発生の場合に、こういう
方法でやれということは命令し得ることにな
つておりますが、国はこれに対して命令することはないわけであります。この点が
防疫法といたしますれば、一番重要な点であり、一番又
農家といたしましても、
政府がこれに対する
責任を持つということが一番重要な点だと思うのでありますが、これには
関係方面とも
会つていろいろ相談をいたしました結果、除かれておりますので、その点は問題になる点ではなかろうかと思います。
それから次に
輸入食糧というものの
検疫をやるように、
検疫の方では拡大をいたしたのであります。この点は
米麦その他豆類とか、こういうような
食糧の
検疫をやることが果してできるかどうか、こういうことは大きな問題になり、又現にそういうような
輸入をやりますと、仮に虫でもおりますと、これを燻蒸しなければならん。その設備その他が十分にありませんので、非常に困る点もあるわけでありましてこれにつきましては、今まで大体入
つて来ますものは
作物じやなくいたしまして、その種子たるものでありますから、例えば米にしましても麦にしましてもいそのできた
果実でありますから、その
果実に仮に虫がつきました場合に、
国内の
栽培の
作物それ
自体にはその虫は
影響はないのでありますけれども、
貯蔵中の
穀類に非常に害を及ぼしますわけであります。従来からもこういうものにつきましては、
貯蔵中のものの虫につきましては、非常に心配をいたしておりましたのでありますけれども、不幸にして
豆象虫のようなものになりますと、豆の
貯蔵に
惡影響を及ぼすということになるわけであります。最近におきましては米や麦、
外国から入
つて来ます中に、
日本におりません
グナラリヤ穀象がおるわけであります。従来の
日本の
穀象以上に
被害を及ぼします
穀象が段々と入
つて来るのであります。そうしますと、折角
農家で作りました
食糧農産物も
貯蔵中に非常に減耗をいたすと、こういうことになりますので、こういう
取締をしなければならないように
なつたわけであります。ただここで問題になりますのは、一船入りましても一万トンとかいうような量でありますので、なかなかこれをうまく
検疫ができるかどうかということが非常に疑問になるわけであります。今はサンプリングにあちらこちらを引抜きまして、それの虫の有無を調べまして、若しありましたらこれを燻蒸するという
処置を取
つておるわけであります。将来におきましてこれも問題になりますことは、少くとも
米麦或いは
穀類のような
輸入食糧は、港を数ケ所に限定をいたしまして、そこで全部を燻蒸して、虫がおりましようとおりませんと、それに拘わらず燻蒸して
国内に入れるという
施設を講じなければ、完全に
病虫害の入
つて来ることを防止することは非常に困難であると思いますが、併し現在におきましてはそういう
施設もまだありませんし、いわばおりました場合に、それがなかなか実行が不可能だからというので、これをやらないというよりか、むしろやりまして、こういうものを十分に……十分とは言えませんけれども、
検疫だけはと、こういうような
意味で実行いたすようにいたしております。この点
施設その他につきまして、多量の物が入
つて来たときにどうするがと、こういうような点で御疑問の起きる点があると思うのであります。
それらから
緊急防除を要します虫や
病虫害の
対象でありますが、これは
日本の国に従来、現在も、今おらなくて新しく入
つて来るものと、こういうふうに限定しておるわけでありますが、現在これが入
つて困
つております虫と申しますと、先ず
アメリカンシロヒトリという虫がおるのであります。これ
あたりは一昨々年に、一部の
街路樹に入
つたのでありますが、昨年大
発生をいたしまして、殆んど
東京市内その他の
街路樹にこの
毛虫がついたのであります。この
毛虫は今は
街路樹の程度でありまして、
都会地、近傍だけでありますが、これが、一応
山林に入りますと、
山林或いは農
作物に入りますと、非常に害が大きくなるのでありまして、例えば桑に入りますと、これを
防除いたしますのに薬を使いますれば蚕が飼えなくなります。それから折角蚕を飼おうと
思つて桑を
栽培いたしましても、これによ
つて非常に
被害を受けると、こういうことになります。それから
山林に入りますと、これは
濶葉樹に入りますので……、針葉樹には
松食虫が入りますし、
濶葉樹には
アメリカンシロヒトリというようなものが伝播いたしますと、非常に
被害を蒙りますので、これは早速こういう
法律によりまして、その駆除をいたさなければならん、こういうように考えているわけであります。すでに入
つたものでありますけれども、これは国営で徹底的に駆除しなければならん、こういうふうに考えているわけであります。それから
馬鈴薯の根腐病も一昨年から入りましたのでありまして、そういうものを
対象にいたしたい。こういうものもやらなければならん。或いは
甘藷の根腐
線虫、これも
九州の一部にありますので、これが殖えますと
甘藷の
栽培が非常に困難になりまして、結局藷の中に虫が入りまして完全な藷ができない。こういうようなわけであります。これも
防除の
対象といたしたい。それから
みかんの
みかん蠅、さつき申しましたように
九州の一部におりまして、その
みかん蠅が全体に広まりました場合には、
みかんの
輸出も困難になりますので、これは
九州の一部でありますので、これは絶滅しなければならん、こういうように考えているわけであります。その他
馬鈴薯の凋萎病、こういうものも最近北海道の一部でこれを認めまして、その伝播によ
つて、
馬鈴薯の
栽培に非常に
惡影響を及ぼしている。こういう種類のものにつきましては、その非常に広まらない先に徹底的にこれを
防除いたしたい、こういうような考を持
つているわけであります。それがこの
法律に出て来ているわけであります。そういう点が、どういう病気を主体に、
対象にするかというので問題になる点であろうと考えるわけであります。大体我々の方で、この
法律と関連いたして問題になります大きな点は以上のような点でありまして、
農林委員会の方で
專門員の方に問題が提示してありますけれども、大体以上の点が問題になります重要点じやないかと考えておるわけであります。