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1950-03-02 第7回国会 参議院 農林委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月二日(木曜日)    午後二時二分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農業改良助長法の一部を改正する法  律案内閣提出) ○農業災害補償法の一部を改正する法  律案内閣送付) ○農業災害補償法第十二條第三項の規  定の適用を除外する法律の一部を改  正する法律案内閣送付)   —————————————
  2. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) それでは只今から農林委員会を開会いたします。本日は最初に農業改良助長法の一部を改正する法律案につきまして、昨日に引続き御質疑を願い、できますれば引続いて討論、採決に入りたいと思いますので、さようにお取計らいを頂きたいと思います。それが済みましたら農業災害補償法の一部を改正する法律案及び農業災害補償法第十二條第三項の規定の適用を除外する法律の一部を改正する法律案、この二件につきまして衆議院の方は昨日委員会上つたそうでありますが、本院におきましては尚予備審査の案件でございますが、この二件を御審議いたしたいと思います。さように御了承頂きたいと思います。
  3. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 我が国の将来の農業方針については羽生委員から質問があつたのでありますが、私もこの問題についてお尋ねしたいと思うのであります。農業改良局我が国農業指導方針をどういうふうにとつておられるか、その具体案をお示しを願いたいと思うのであります。
  4. 磯邊秀俊

    政府委員磯邊秀俊君) 昨日も御説明申上げましたように、農業改良局のやつておりますことは、必ずしも広い意味農業改良の全般ではなくて、農家に働きかけまして、そうして農業改良を馴致する。こういう点でありまして、狙つておりますことは限られたる日本土地でありますから、これでできるだけ増産いたしますと同時に、半面におきましては農家の労働の能率をもつと高めまして、農家の生活改善なり、生活水準の向上に資する。一般的な方針といたしましてはそういうことでありまして、それを具体的に適用しまするにつきましては、各地の立地條件がありますから、その條件に応じまして或いは畜産を盛んにし、或は園芸を盛んにし、或いはその他の茶業を盛んにするというように、適地に適産と言いまするか、そういう方針で抽象的に流れないようにしたい、又その方針に進みますように試験研究機関を動員いたしまして、もつと能率が上りますように整理、統合を進めておるわけであります。
  5. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 農業改良局ではいろいろ調査もしておられるのでありますが、農業改良局調査の結果は、農家収支計算が現在どういうふうな状態になつておるか、又将来どういうふうな状態になろうとしておるのか、農村恐慌が今にも来ようと農家は非常に憂えているのでありますが、こういうふうなものに対する対策を考えておられるならば、その具体的の事項をお示しを願いたいと思うのであります。
  6. 磯邊秀俊

    政府委員磯邊秀俊君) 農家経済生活の変化につきましては、統計調査部経済調査課におきまして全国的に経済調査を進めておりまして、今ここにその具体的な資料を持ちませんので、数字的に申上げることはできませんが、それによりますると、農家経済がいろいろな点におきまして段々困難になつているように考えられるのであります。ただ調査を始めましてまだ十分期間が経ちませんし、十分的確に前と比較することはできませんから、はつきり申上げるだけの全国的な材料は持ち合せませんが、そういう経済の段々困難になつて行きますに対処いたしまして、技術のいろいろな指導をいたしますと同時に、改良局でやつておりますことは農家簿記普及を図りまして、そうして一方におきましては新らしい課税に対して適正な課税が行われるような資料農家の側に整えさせますと同時に、経営改善資料に資したい、こういうことで努力いたしております。それと同時に、この二十四年度までは農家課税実態につきましていろいろ研究いたしまして、この従来の課税方法について、改正すべき点についていろいろ立案いたしまして、大蔵省の関係当局といろいろ折衝して参つたのであります。又シャウプ使節団の参りましたときにも、改良局で作りました原案を中心にいたしまして、各方面とも御相談いたしましていろいろ意見を具申したのであります。その外農村電化機械化という問題、それから今のお話恐慌実態を全国的な数字として掴みますと同時に、特定の村につきまして、もつと突込んで実態を調べるということを、最近いろいろな方面、いろいろな村につきまして調査いたしておりますが、これは今月中にまとまると思いますが、まだはつきり申上げる段階には達しておりません。
  7. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 現在の農家状況から考えて見まするというと、租税の負担に非常に困つておるような状況であるのであります。例をとつて見ますると、米価は政府において決定せられる場合においては、価格差利益金が四十四円と決定しておられるのにも拘わらず、実際の供出の例によつて見ますれば、政府の予定したような優良な米ができなかつために、却つて私の方の調査によつて見まするというと、約八十円くらいのマイナスになるのであります。そうして見まするというと、政府計画と実際とは一石について百二十円くらいの減になつておる。こういうふうなことから、考えて見ますれば、本年の課税というようなものは相当減額しなくちやできないのにも拘わらず、税務署決定は殆んど減額しないような状態にあるといたしましたならば、この税務署決定が不合理であるというようなことを数字的に改良局調査されましてこれを示し、以て税制の改善努力すべきが改良局急務中の急務であると思うのでありますが、こういうふうな点についての御感想をお願いしたいと思うのであります。
  8. 磯邊秀俊

    政府委員磯邊秀俊君) 今申上げましたようにいろいろ調査して参りましていろいろな機会調査した結果は科学的な調査資料としまして一般に公表いたしますし、それから今申上げましたように課税の仕方のいろいろ改善を要するところ、農業の実情が十分理解されないところには改善されますようにいろいろ努力して参つておりますし、今も努力いたしております。それから又先程申述べることを忘れましたが、来年度からはシャウプ勧告が出ますると、従来の所得税中心としたいろいろな問題、それに加えますのに地方税のいろいろな問題が出るかと思いますので、この点も今調査計画を進めております。
  9. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 現行法の第十三條の第二項によつて見ますれば、この法律は「農業協同組合その他政府若しくは都道府県以外の団体によつて支持されている普及事業を打ち切り、又は退歩させる意図があると解すべきではない。」こういうふうに書いてあるのであります。然るに政府は本法の施行以来農業協同組合普及事業に対して圧迫干渉するような手段を講じておられるということは、甚だ遺憾に堪えないのであります。例をとつて申上げますと、農林次官は各府県知事に対して新らしい普及事業政府の支持する唯一の普及態勢であるから、農業協同組合に対して技術員の雇用のために国及び都道府県納付金を交付することは望ましくない、又農林省としては農業協同組合技術員を設置することに対する補助金の交付は、これを行わないという見解を堅持しておる次第である。こういうふうなことで何だか農業協同組合を圧迫し、又地方自治体が若しも農業協同組合補助金を出そうとするならば、これは実質的に相成らんのだというような干渉をしておるように考えられるのでありますが、この点についてお伺いしたいと思うのであります。
  10. 磯邊秀俊

    政府委員磯邊秀俊君) これは第十三條にありますように、協同組合その他で普及事業をやられることを強権を以て圧迫したり、干渉したりするという気持はないのであります。ただ農林省考えておりますことは、現在国費の補助を以て改良事業をやつておりますから、それと同じような仕事を民間の費用でおやりになれば技術員両方で取合いつこになるし、或いは同じような仕事農民に二重の負担をさせるということになるから、そういうことは十分お考えになつてからやられる方がよかろう、こういう趣旨であります。決して干渉するようなことはありません。昨日も申上げましたように協同組合とは、日本零細農業経営改善するために十分連絡を取つて参るように、この点につきましては繰返し繰返し指導をいたしておるわけであります。
  11. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 只今の御説明で大体分つたのでありますが、森農林大臣は本委員会において今局長お話なつたように、農業の振興のために農業協同組合指導協力を求めておられるのであります。又これは現在の日本状況から言つたならば当然のことを考えるのであります。そういたしますならば政府農業協同組合、殊に指導事業を行なつておるところの農業協同組合に対して如何なる助成、或いはこれが発展に資するような施策を講じておられるか、その具体的の案を事実を挙げてお示し願いたいと思うのであります。
  12. 坂本實

    政府委員坂本實君) 只今藤野委員の申されました指導協同組合に対する政府考え方に対してでありますが、或いは御質問に外れるかも知れませんが、つまり補助金を以て維持育成して行くというような方向に持つて行つたらどうかというような意味もあるのではないかと思いますが、この点につきましては政府といたしましては聊か考えが違うのでありまして、補助金を以て出すというようなことは只今のところでき難いと思うのでありまして、むしろいわゆる指導協同組合の本旨でありますところの各般の仕事に対しまする政府考えは、能う限り我々のあらゆる機関を通じまして得た総合の結果をお示しいたしまして、これに基いてやつて頂く、こういうようなことになろうと思うのであります。尚この点につきましては我々も今後できるだけの御協力を申上げたい、かように考えておる次第であります。
  13. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 我が国農業の将来を考えて見ます場合には、私は農業協同組合、殊に指導的の立場に立つ農業協同組合活動によらなければできないということが、多々あると考えるのであります。又今坂本政務次官もそういうような御答弁になつておりますから、将来においては日本農業恐慌から救い上げるために、指導農業協同組合が十分なる活動ができるように、政府施策を講ぜられるように希望するのであります。  次に提案の理由の第二によつて見ますというと、都道府県特殊事業の比重を高めて補助金割当を適正にしたい。こういうふうに書いてありますが、この点について今少し具体的の説明をお聞きしたいと思うのであります。
  14. 磯邊秀俊

    政府委員磯邊秀俊君) 第十六條の改正に関連しておるものと思うのでありますが、昨日も申上げましたように改良局といたしましては、速かに一市町村平均一人の割合改良普及員を置きたいということで進んでおりまして、現在六千七百五十人の普及員を配置しております。明二十五年度におきましては、二千五百人の普及員を増員をいたします。そうすると、大体四ケ市町村に三人強ぐらいの割合で配置されることになると思うのであります。でありましてこれを至急どの市町村にも少くとも一人以上の普及員が配置されますようにいたしますことと、それからもう一つは、どうしてもこの普及事業を進めますためには、市町村という行政単位を強く考えることが、普及事業進展上有効であるという考えからいたしまして、こういう改正をお願いしたのであります。
  15. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 町村ということを考えられたということでありますが、町村の中には、例えば中心に出て来るのにどうしたつて一泊しなくては会議にも出られないというような町村があると考えるのであります。そういうふうな辺鄙な町村が若しもあつたと仮定いたしましたならば、この特殊事情というようなことを加味して、割当金額を幾らか増加されるお考えがあるかどうかお伺いしたいのであります。
  16. 磯邊秀俊

    政府委員磯邊秀俊君) これは全くお説の通りでありまして、第十六條の第一項第一号、第二号、第三号は、人口割と、耕地面積割と、市町村数割とで、機械的に割当をするのでありまして、割当の結果、今お話通りに、交通の非常に不便な県で指導上特に必要だと、こういうところでは第四号の二割の、仮に自由裁量と申上げますれば、その裁量いたします場合に十分考慮いたしたい、かように考えております。
  17. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 配付された農業改良普及事業補助金割当の、現行法によるものと、改正法によるものとの比較、この表を拝見して見まするというと、現行法によれば九割であるし、改正法によれば三割であるというような関係があつてでありましようけれど、増加になるのは山梨県外六府県であります。殆んど全部のものが減少するということになつて来ているのであります。これは今お話のあつたように、二割を取つてつて、その二割によつて加減するから、こういうふうなことになつているのだと、こういうふうなことであろうと思うのでありますが、一応この点をお伺いいたします。
  18. 磯邊秀俊

    政府委員磯邊秀俊君) ちよつとお尋ねいたしますが、この第四の表でございますね……、これは、今お話通りに、前の数字は全体の予算の九割の場合でありますし、後の場合は八割について計算したものであります。これは、当然こうなるかと思うのであります。この点は、後の二割の考慮をいたします場合には、先程申しましたように、地勢であるとか、交通便否であるとか、或いはその他いろいろな事情を考慮いたしまして、適正に分けて行く。で、昨日も申上げましたように、今年よりも減る県はどこもないようにいたします。
  19. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 若しも最悪の場合を仮定いたしましても昨年よりも減ることはないと、こう仮定いたしましたといたしましても、人間が二千五百人増すのでありますから、同様の金額を配給されたならば、二千五百人の中の、その県に割当てられた分だけは減になつて来るのであります。その点は、昨年度よりも減らないということでは、ちよつと合点が行かないような点がありますが、その点お伺いしたいと思うのであります。
  20. 磯邊秀俊

    政府委員磯邊秀俊君) これは、市町村数割というものを入れますから、それがなかつた場合に比べますると、その県の町村平均面積が非常に広い県におきましては、若干減ることもあるかと思うのでありますが、これは先程申上げましたような趣旨で、多少その点は、規則を改正いたしますから、不便を伴われる県もあると思いますけれども、全体といたしまして、今までの普及員の配置状況なり、その他を十分勘案いたしまして、御迷惑をかけるような県が少くなるように、又できましてもその御迷惑は最小限度に止めたい。漸次我々の計画に従いますれば、増員して参りまするから、先程申しますように、これを一ヶ村一人というところに早く持つて行くように考えて行きたいと、かように考えております。
  21. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 昨年から病虫害防除方法変つて、従来石油で大体防除しておつたのが、薬剤防除になつたのでありますが、この結果・農家負担が一反歩当りどのくらい加重になつたとお考えになつておりますか、又将来においてもやはり薬剤による防除を主として奨励されるお考えであるか、この点お伺いしたいと思うのであります。
  22. 磯邊秀俊

    政府委員磯邊秀俊君) 今御質問の、どのくらい殖えたかということは、まだ調査いたしておりませんで、ここで的確にお答えすることはできませんが、病虫害駆除をどういう方法でやるかという問題は、試験研究機関におきまする絶えざる研究の結果を待ちまして、その病虫害種類に応じまして、最も有効適切な、而も農家のおためになるような方法駆除ができますように指導して参りたいと、こういうことを考えておりまして、これはどうも試験研究の結果と、それから病虫害種類によつて考えて行きたい、農薬による以外に方法はないというふうに堅くは考えておりません。
  23. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 最後に、我が国の食糧問題から考えて行きまするというと、甘藷加工貯蔵というようなことに力を入れて行かなくちやできないと思うのであります。改良局では、甘藷貯蔵及び加工に対して、どういうふうな方法でこれを奨励せられる予定であるか、現在の状況、或いは将来の計画があるならば、それをお伺いしたいと思うのであります。
  24. 磯邊秀俊

    政府委員磯邊秀俊君) 加工貯蔵の問題につきましては、先ず試験研究機関におきまして試験をいたすということが第一点でございまして、それは農事試験場の、例えば中央試験場におきまして、キュアリングの試験をいたす、その他の試験研究機関におきましても、それに準ずる試験研究をいたしております。それから又、試験研究のやり方なり、成果につきまして、外国の事情も知る必要がありますので、いろいろ要求の中で、特にこういう「いも」類の貯蔵につきましては、技術員をアメリカに派遣いたしまして今研究させております。近く帰つて来ると思います。試験研究の結果生れましたものにつきましては印刷物として一般にお知らせいたしますし、又他面におきましては普及員を通じまして農家にお知らせする。ただこの貯蔵いたしますについて、設備費その他の補助金の問題はこれは外の局で考えております。
  25. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 各委員から非常に本案の問題につきまして質疑をされておりますが、私はこの際更に指導強化ということについてもう少しくお尋ねして見たいと思います。大臣から指導陣の活躍がなかつたから、農業進展に対して聊か物足りないという言葉もあつたが、戦時中から日本農業指導ということについて欠けておることは、次官局長もお知りの通りであります。若し日本農業に対して必要ということに相成りますならば、零細農業を最も合法的に合理的に、而も今日のこの過重な税を負担して、尚且つ産業を進めて行く上においては、余程指導を十分に徹底しなければならないということは論を俟たないのであります。私はこの点に対して日本農業指導陣強化に当りましては補助政策なくして指導陣強化されていないということも今日までお知りの通りであると思います。大陸の大農組織であれば自力自営の下に又指導強化されて行くでありましようけれども、今日のごとく農地の改革、再編成によりまして、日本農業はそこに非常なよいところも見出しましたけれども、一方又力の抜けてどうしても指導しなければならないという点も見出されておるのでありまして、先程次官指導補助政策はこの際望めないと言つたが、私はむしろ日本農業とその他の農業との違うところをよく認識いたしまして、未だ日本農業においては補助政策をこの間に織込んで行かなかつたならばできないということと、それから農業は勿論でありますが、特殊産業は普通専門的の指導者が要る。その県、その郡、その町村によつてお知りの通りそれぞれ農産物が違うのです。その土地その地方に適した、即ち又輸出産業に振向けられるような日本農業指導をして行かなければならない。これに対して各専門員をもつと強化して特殊産業助成方法をとると同時に、これらの指導員を、いわゆる技術指導方面強化するところのお考えがあるかどうかということを先ずお聴きし、引続いて税制問題その他についてお尋ねしたいと思います。
  26. 坂本實

    政府委員坂本實君) お答えいたします。転換期に立つておりまする我が国農村を如何にするかということにつきまして、最も合理的な而も効果的な指導方法をいたしますることの必要は、今更申すまでもないのであります。かような意味におきましていわゆる指導協同組合の責務は、誠に重大なものであると思うのであります。ただ先程申上げまする通り国助成金を出し補助金を出して、これに協力をするということは、今日の国の財政立場におきましては困難であろうと思いまするが、併しながら農林省がいろんな機関を持つております、農業改良局のごとき試験研究をいたしておりまするところはもとよりでありますが、その他いろんな機関がありますので、これらの機関の得ました成果を周知徹底させまして、これによつてこの転換期を大過なく善処して行くというような方向一つつて行かなければならん、かように考えております。もとより今お話がありました通りこの指導に当る人の量という問題もあると同時に、質の問題もあろうと思うのであります。今後におきましても御意見のところは十分我々も一つできる限り実現をいたしまするように更に一層の努力をいたしたい、かように考えておる次第であります。(「議事進行」「委員長採決」と呼ぶ者あり)
  27. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 専門員を置くか置かないか、それから特殊産業に対する強化策を採るか採らないかということを局長に尋ねるのでありますが、併し税制問題について各委員からも言われましたが、一つの例を申上げますならば、同じ「りんご」に対しましても青森県は一貫目の所得税の査定が四十五円と算定した、長野県は九十円と出した。それから同じ農地に対しましても、あの山間の地でも四千円五千円で、平坦地でもやはり大した違いのないように所得税の算定をされておりますから、農民はこれを……これは大蔵当局に言うことでありますけれども、一例でありますが、非常に過重な税を負担しておる。従つてこの税を負担するに農産物の売上ではなかなか賄えないような状態に入つためです。それは農村におけるところの不況及び農村は立ち行くか立ち行かないかというような岐路に段々追込まれて行くというような過程でありますから、この点を十分に御研究下さいまして指導徹底を図らなければならん。今日まで戦時農業はただ供出方面に重点を置いたが、事業連経営もかようなわけでなかなかむずかしくなつた際であるから、指導強化補助政策でなければならない。又補助政策でなかつたならば、国も都道府県町村みずからもこの指導のよき人を抱えまして、そうして指導徹底を図ることはできないというのが私の質問するゆえんであります。局長においても次官においても……今議事進行という声が出ましたから、私はもつとやりたいのでありますけれども、この程度にしますが……
  28. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) やつて下さい。
  29. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 今後十分納得のできるように答弁をして頂きたいと思います。
  30. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 今の答弁をせられる前に、私からもちよつと申上げるのですが、農業協同組合に対する政府補助金を最近できるだけ少く、又或いは打切つた、こういう趣旨は、私共が理解しておるのに、農業協同組合が昔のように補助金に対して頼つておる、又政府補助金をどんどん出すということは、新らしい農業協同組合が真に農民の民主的な団体として、又自主的な団体として活動して行く上において却つて支障がある。従つて協同組合を飽くまでそういうような自主的な立場から活動をさして行くために、補助金は出さん方がいい、こういうことで補助金が打切られておる、こういうふうに私共は理解しておるのです。先程政務次官お話のように国家財政の観点から補助金が出せないのだということであるとすれば、少くも六千億の予算というものがあるのだから、而も先程来池田委員からお話がありましたように、指導事業というものは極めて重要である、こういう際に六千億のうちで一円も金が出せないと、こう言うのはちよつと受取れないのです。従つてその点はこの機会に、農政局長も来ておられますから明らかにして置いて頂いた方が、議論を整理する上において都合がいいと思いますからお伺いいたします。
  31. 坂本實

    政府委員坂本實君) 只今楠見委員長から御指摘になつたのでありまするが、もとより民主化されました農村機関といたしまして、この協同組合が逐次整備されつつあるのでありまするが、これは今申しまするように、自主的に経営をして頂くということが一つ考え方であり、同時に又今お話がありまする通り、いわゆる指導事業に携つている者につきましては、もとより補助金が出せますならば、非常にこれはその仕事をもつと円滑に推進することができると思うのでありまするが、国の財政等関係もありまして、非常にこれはむずかしいと、かように今申上げたのでありまして、けだしこれは両方意味合いにおきまして、我々も今後更に努力はいたしまするが、今申しました両様の意味におきまして、只今のところちよつと望み得ないのではないか。かような意味で申上げたのであります。
  32. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 望めないということだけではなくて、これは出すだけの決意を、今後そういうことをするかしないかの信念を聞くのです。そういうおざなりではなく、もつと農民の安心するように、農村強化をするには必ずやるという信念を私は聞きたいのです。
  33. 羽生三七

    ○羽生三七君 時間がないようでありますので、簡單に一つお尋ねしたいと思いますが、昨日ちよつと申上げましたように、日本農業の将来を考えて、單に栽培の技術指導だけでなしに、経営にまで亘る経営の合理化等をも考えての指導を行う場合に、農林省内の役務担当と言いますか、その各部局の役割から考えて、そういう純粋農政的な面での指導という場合に、農政局が担当されるのか、或いは改良局がみずからその役割をも果そうとするのか。その辺をちよつと伺つて見たいと思います。
  34. 磯邊秀俊

    政府委員磯邊秀俊君) 純粋農政という言葉の解釈は非常にむずかしい問題でございますが、農業改良局でやりますことは、先日も申上げましたように、農家農業経営改善をするに当りまして、技術的な改良もいたさなければならんし、又いろいろな技術の組合わさつておりまする農業経営改善もいたさなければならない。そういう点に重点を置きまして、改良事業を進めているわけであります。ただ農業経営改善をいたしまするにつきましては、これを取巻きますところのいろいろな経済的な條件改善しなければならない。例えば災害の共済の制度を作るとか、或いはその他いろいろな農業上の問題があると思いますが、これは農政局で担当いたすことになつております。私の方でやつておりますことは、飽くまで農家を相手といたしまして、その経営なり、その経営を構成しております技術改良を目安にやつております。
  35. 羽生三七

    ○羽生三七君 もう一つつて置きたいことは、農林省内で、特に農政局で昨日もお話がありましたように、日本農業の将来をいろいろ測定する場合に、例えば社会科学的な面では、農業総合研究所がこれを担当し、或いはその他地域的個々の技術問題等は、各府県或いは国の試験場がこれを行うということはよく分るわけでありますが、先日来私が申上げ、又昨日藤野委員も申された、本当に日本農業を将来どうして行くかというような観点から農業経営考えて行く場合には、一体農業改良局自体がお考えになるのか、或いは農業総合研究所あたりの研究に俟つて、その結論をただ取入れようというのか。そのどちらであるか。或いは農業改良局自体が積極的に大臣或いはその他と折衝されて、日本農業について根本的な一つ施策を立てようということをお考えになつているのかどうか。その辺をちよつと承わりたいと思います。
  36. 磯邊秀俊

    政府委員磯邊秀俊君) この農林政策全体の動向に関しまする問題の決定と申しますか、それは農林大臣決定される問題でありまして、改良局といたしましては先程お話のいろいろな試験研究機関を動員いたしまして、その決定に御参考になるようないろいろな資料なり、或いは計画なりを科学的な立場で供給申上げるということでございます。
  37. 山崎恒

    ○山崎恒君 紙一重の問題でありますが、こういう問題を一つ私は参考にお聞きして置きたいと思いますが、今農政の問題と農業経営の問題を捉えて羽生さんから御質問されたのでありますが、只今当面の問題で、農村がもう不況になりつつある。ところが最近の、例えば一つ食肉関係の例を、取つて見ますと、豚は百匁八十円から二百円したものが現在六十円から七十円で売られている。ところが地方ではこれを農協あたりで以て投げ売りするのはよせというようなことで抑えているのですが、まだ下るというような見通しから非常に売り方が殺到している。殊に最近の金詰りのために殺到しているというような実情があるために、これはもう非常に安く叩かれる。ところが農村ではここで一時に豚や牛が相当出てしまうというふうになると、将来の経営に非常に支障を来たすというような点があるのですが、これは農政の面で指導するのか、或いは改良局の面で指導するのか、その辺紙一重でありますが、お聞きして置きたいと思います。
  38. 磯邊秀俊

    政府委員磯邊秀俊君) 只今お話通り本当に紙一重の問題でありますが、そういう何と申しますか、目先の見えないと申しますか。早まつた行動をされるような、そういう経営の行動と申しますか、そういうことにはならないように先程来申上げまする普及員を通じましていろいろ指導いたしておりますが、食肉の政策が全体としてどう行われるか、これは畜産局の問題でございまして、そういう畜産局で取られる政策と睨み合せまして、科学的に或いは客観的に見まして、こういうことがあるから、こういうことは注意しろということは普及員を通じてやつております。
  39. 北村一男

    ○北村一男君 先程局長が税金の問題について、いろいろ御心配になつているとお話になりましたのでありますが、米を所得税の対象にするときに、実収審議会とか何とかいうのがありまして、そこで決められるのが所得税の対象になる。そこで事前割当に対して補正減額をして貰つたような地方が、実収審議会の決定が非常に高くなつたために、補正減額をして貰つたのに拘わらず、事前割当を超えて実收が査定されるというような例がありますが、実收審議会と、いうものが農村にとつては誠に無用有害の機関になりつつあるというようなことを、ときどき言つている者がありますが、さような事実はありますかどうか。私は先般作報課長に伺つたときに、確かにそういうことはしている。併し実審議会で決めしました実収というものはその確実なものでないから、一%乃至二%というものはどつちにも動かして使わなければ、絶対確実ということはできないのであるから、そういう彈力性は持たして使わなければならんものであると自分らは考えている。こういうことを申しておられましたが、改良局統計調査部を所管しておられるのでありますが、こういう注意を国税庁になさつた事実があるかないか、このことを一点……
  40. 坂本實

    政府委員坂本實君) 只今北村委員から御質疑のありました実收審議会というのでありますが、これは今年度新らしい制度といたしまして考えました実収査定委員会のことではないかとこう思うのであります。これは昭和二十四年度産米の供出に鑑みまして補正が十分でなかつたということのために、過般行いました知事会議におきまして、要するにかような僅少な補正を以ては到底供出は不可能だと思う。真に止むを得ない理由によつて供出ができなかつた農家については、いわゆる責任免除の措置を取つたらどうかというような実は御意見が出たのでありまして、一体それは誰が査定するかという問題があるのであります。この点につきまして、村に一つ実收査定委員会を作つて貰いまして、いわゆる市町村の長が中心になつて、食糧事務所の検査員、或いは又農業調整委員の方から一名ずつ出して貰う、こういう制度を作つて、真に止むを得ない農家というのは一体誰かということを一つ見極めをつけて貰う、こういう意味でこの制度を一つ今年は運営して見ようということにいたしたのであります。併しながら供出という仕事は非常に厄介な仕事でありまして、実際これはこういうような実收査定委員会を作りますことが一体妥当であるかどうかということでありますが、これを税という面から見ますというと、いずれにいたしましても今年の補正は十分でない。従つて今のよう気前割当というものと比較いたしますると、机の上に出ております数字と非常に違つているものが現われて来るのじやないか。こういうふうな意味でありまして、実は今年の供出の問題がさように厄介なものでありますだけに、我々といたしましても、大蔵省に連絡を取りまして、かような事実を実は連絡してあるのでありまして、国税庁といたしましても先程お話のありましたように、供出の最後的な数量を掴んで貰つて、そうしてこれを課税の対象にする。こういうことにして貰わなければいけないということを実は連絡いたしてあるのであります。国税庁からこの点につきましては、それぞれ税務署にも連絡は行つておるのでありまして、今お話のありましたように今年の補正が非常にむずかしく、而も責任免除といつたような新らしい制度を設けましたので、今お話のありましたように、査定委員会のいわゆる最終的な結果によつて少くとも課税の対象にして貰いたい、こういうふうに考えているのであります。この点はすでに大蔵当局を通じまして、国税庁を通しまして、それぞれ各府県の食糧事務所にも連絡してありますし、各税務署にもこの点は徹底いたしておると考えております。
  41. 北村一男

    ○北村一男君 只今政務次官の御答弁は誠に親心のある御答弁でありまするが、私の聞くところによりますと、この実収はやはり中央で一応地方から材料の上つて来たものを査定されて、各府県に対して実収を割当てられて、それから段々末端に下つて行くかのように承つております。そういう機関があるかないかは只今答弁頂かなくても、私は統計調査部から承つておるのでありますから、後日一つ示し願いたい。そういう機関があつてそれが所得税の対象になる、実收が所得税の対象になるということになりますと、どうも地方の実状とぴつたりしないことが沢山ある。これは非常に大きな利害関係農村に持つのでありますから、その事実をお調べ下さつて日本委員会においてお示し願いたいと思います。その次には試験研究の対象になさるのに、先刻来、羽生、藤野両委員からもこもごも御質問ございましたが、一体日本農業の将来をどう思つておるか、或いは極く範囲を縮めて申しますれば、総理大臣が施政方針演説でお述べになつたように日本の食糧の自給度を高める、そういうようなことが試験研究の場合にやはりお考えの対象になると思う。端的に申しますれば多収穫のものを作り上げるとか、或いはそうでなしに品質のいいものを作り上げるというようなことを、研究なさるときに御研究になると思うのですが、どういうようなところに対象をお置きになつておるか、こういうことを一つ示し願いいと思うのであります。  いま一点食生活の改善について、何か御研究なつた結果があると思います。この二点をお示し願いたいと思います。
  42. 磯邊秀俊

    政府委員磯邊秀俊君) 試験研究の問題でございますが、個々の政策についていろいろ問題があると思います。試験研究でやつておりますことは、ものによつて必ずしも一概に申上げられませんが、やはり限られた面積で増産をして行くと同時に、こういう情勢になつて来ますと品質も考えなければなりませんので、欲を申すようでありますが、品質のいいものを多収穫して行くというような方向で、今試験研究をいたしております。  それから第二の食生活の改善という点でありますが、これは農林省関係試験研究関係としては一番弱い点でありまして、現在やつておりますことは食糧研究所において若干そういうことをいたしております。特に開拓民の生活の問題については開拓研究所においてやつておる。この程度でありまして、食生活の改善につきまして殊にここで申しまするのは農家の食生活の改善でありますが、こういう問題につきましては事情が許しますれば将来もつと拡充して行かなければならんというように考えております。
  43. 北村一男

    ○北村一男君 繰返してお尋ねいたしまするが、試験研究の目標をお立てになる場合に、農業改良局におかれましては農林大臣が何か将来の農政上の考えを指示なさつて、その線に沿うように研究目標をお立てになるのであるか、それとも改良局長なり幹部の方が将来はかくあるべしという御想定の下に農林大臣、或いは政府から、格別の指示がなくとも、独自のお考えで御研究になつてそれを農林大臣農業政策を樹立する参考に供せられるのでありますか、その順序を一つしつかり伺いたいと思います。
  44. 磯邊秀俊

    政府委員磯邊秀俊君) これは試験研究のことでございますし、又試験研究の項目によつて違いますので一概に申上げかねますが、技術的な試験研究につきましては、改良局におきまして戰後のいろいろの情勢を見極めまして試験研究の長期計画とでも申しますか、そういうものを樹てまして、大臣の御了解を得まして予算の許す限り、人員の許す限り段々研究いたす、こういう方向で進んでおります。それから経済関係の問題はもつと現実の経済の政策に関連いたしておりますから改良局でいろいろ起り得る、現に起つておる問題を考えまして、いろいろ試験研究をいたします場合もありますし、又大臣からのお指図によつて試験研究いたす場合もあります。いずれにいたしましても全般的には大臣の御指示を得てこれをいたします。ただ御了解を得て置かなければなりませんことは、試験研究でございまするから、始めまして直ぐ成果を納めるというわけに行きませんで、やはり若干先を見通してやつて行かなければならんこの点に非常に苦慮いたしております。それから又今までの試験研究はややもすれば経済、或いは農業実態と離れてやる嫌いがなきにしもありませんでしたから、今後はこういうことのないように、できますならば審議会その他の方法で、そういう実情が十分試験研究機関に取入れられるようにいろいろ考慮いたしております。
  45. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 外に御質問ありませんか。
  46. 池田恒雄

    ○池田恒雄君 農林広報というちつちやな雑誌が出ておりますが、あれは何部ぐらい出ているのでございますか。
  47. 磯邊秀俊

    政府委員磯邊秀俊君) 農林広報は私共の所管ではございません。大臣官房の弘報課で出しておりますが、私の聞いておりますところでは、十万部ぐらい出しておりますように聞いておりますが、正確な数字は調べないと分りません。
  48. 池田恒雄

    ○池田恒雄君 農林省では農林広報の外に何か直接出版するが、間接出版するかするものが相当ありますか。
  49. 磯邊秀俊

    政府委員磯邊秀俊君) ああいう印刷物の形を取つて定期的に刊行されておりますものは、その外弘報課の農林時報、それから統計調査部の統計月報その他ございますが、その外印刷物でないガリ版の農林金融公報ですが、いろいろそういうものが出ております。それから特定の限定されたものでは、私共の方の普及部で「普及だより、」こういうものを出しております。いろいろあります。
  50. 池田恒雄

    ○池田恒雄君 農林広報が十万部ぐらい出ているということになりますと、役場、協同組合、或いは普及技術員等にも配られておるわけになりますが、その外に農林広報は農家まで配る余裕はあるわけでございますか、十万部ぐらい刷つているとすると……
  51. 磯邊秀俊

    政府委員磯邊秀俊君) 他の課の出版のことでございまして、余り的確にお答えはできませんが、私共の承知しておりまするところでは、何か農家には極く安い料金で配布されているように聞いております。
  52. 池田恒雄

    ○池田恒雄君 それは勿論有料であるかないかは問題じやないのですが、農林広報や農林時報、その他「普及だより」ですか、こういうものを見ますと皆それぞれ多少編集の内容は違つております。ちよちよいと病害がどうであるとか、或いは何がどうであるとかいう、同じようなことを書いているのですね。あれは読んで見ますと、それ程玄人が読むようなものじやないのですね。内容を見ますと、本当に百姓を知らん、百姓を練習中の人に案内に読ませる程度の、新聞の下の方のちつちやい欄ですね、あすこに紹介するような内容のものを書いているんですがね。あれはああいうことを書いていると、あれを読んで喜ぶとか、有益だというのは、発行部数十万とが二十万程度の場合のレベルじやないかと思うのですが、そうすると「普及だより」というのは一体どの程度の部数になりますか。これは部数によつて記事のレベルが違つて来ると思うのです。だから仮に農林広報が十万も出ているとすれば相当敬意を拂いますけれども、仮に農林広報が十万程度で、「普及だより」は一万程度だ、農林時報が五千ぐらいだということになりましては、農林省から沢山の出版物を出しておるが、書いていることは十万、二十万の低いレベルのゴシップみたいなものを扱つておるということになると、これは中間の役人諸君が遊戯的に綴方を作つておるような工合になつちやうのですね。何も別に読んだからと言つて役に立たない。書いたからと言つて役に立たない。とにかく予算を食つて見ようというようなものになりはしないかと思います。だからその発行部数が何ぼかということによつて、もつと編集の内容がきちんとされなければならん、予算関係もびちつとしなければならんのじやないかと思いますね。もう一つ、農林広報で「いも」の焼き方を書いている、「普及だより」の方にもそんなことを書いておる。而もそれは実際役に立つ人の手には渡らないというのじや、私は農林省なら農林省の中か、せいぜい地方事務所あたりの中で紙を食つてしまうということになる、何にも役に立たない。どういうものなんです、実際上の出版されている内容というものは……
  53. 磯邊秀俊

    政府委員磯邊秀俊君) 農林広報は私の承知しておりますところでは、農業政策を一般農村普及徹底させるという趣旨のものであつたと思います。それから「普及だより」は、これは全く性質の違うもので、先程来申しましたように現在六千七百部、これは農業改良委員が各地区にありまして、県にもありますが、そういう農業改良関係の職員と農林省普及部との連絡のものでありまして、これはもう雑誌というよりもただ一枚の新聞紙の小さいようなもので、簡單なものでございます。従つてそこに書いてあることも急速に農林省普及員なり、改良委員にお知らせしなければならんという、そういう手紙代りのものであります。
  54. 池田恒雄

    ○池田恒雄君 そうすると、特に広報について今お伺いしておりますのは、やはり読ます読物というものは非常に大切なものだと思うのです。そういうものは特別まとまつたものは民間にはないのです。そこで私は普及員を置くのは結構でありますが、更にそれに何倍する教育上の機関紙ですね、それが必要だと思うのです。それは一体どの出版物にそういう任務を與えておるのか、私はまだ承つておらなかつたのですが、果して農林広報にそういう役割をさしておるか、或いは「普及だより」にさしておるか分らないのですが、そういうものが普及制度から言うと必要なんじやないか。
  55. 磯邊秀俊

    政府委員磯邊秀俊君) 改良局普及事業の推進上必要な印刷物と申しますか、そういうのは大体極く一般的なものは農林広報を利用することもあります。それから又特殊な試験研究一般に知らせるというときは、いろいろな民間の雑誌もございますから、そういうものに職員が寄稿することもありますし、それから又特殊な専門的な問題につきましては、農林叢書というものが四十冊ぐらいになると思いますが、発行いたしまして、農業技術というものに補助金を出してやつておりますが、そういう方法でやつております。
  56. 池田恒雄

    ○池田恒雄君 併しああいう出版物はただ出版されているというだけで、普及事業として何か組織的にやつているかどうか非常に疑問じやないのですか。私が特にこのことを問題とするのは、こういう制度がありまして、一応企画は立つがちつとも実用的には動いていない。そうしてつまり役人が遊戯的に趣味でやつているような形になつてしまつて、ちつとも外まで行かない程度で実施されている。出版物が出ておりますから一応やつたということにはなるんですが、これで見ますとそれ以上に出ていないのじやないか。同じような出版物が沢山あつて、それぞれのところでこう刺身のつまみたいに幾つかのことを扱つているというのじや、何か非常に不経済じやないかと私は思います。
  57. 磯邊秀俊

    政府委員磯邊秀俊君) お説のようなことがないようにいろいろ今努力しているわけでありますが、まだ予算も十分ありませんし、思うように参りませんが、今お話の役人の遊戯に印刷して出すというようなことは極力排除いたしたい。又この普及事業の推進上印刷物によるという方法も軽視できない効果を持つておりますので、この点にも十分考慮を拂つているつもりであります。今後又段々改善して行きたいと思います。
  58. 池田恒雄

    ○池田恒雄君 普及技術員のポスターを見ますと、非常に綺麗な自転車に乗つて歩いているポスターなんですが、相談することは、農業経営・文化、技術というのですが、今それだけを大きく分けて二つの部門に関して一人の技術員にその任務を與えているのですか。
  59. 磯邊秀俊

    政府委員磯邊秀俊君) 一番多く普及員が今活躍いたしておりますのは、申すまでもなく農業技術であります。技術員技術だけ活動しましては、困るからして、段々経営指導ができるように改良普及員を教育いたしております。御承知の通り経営指導のできる職員というものはそう沢山ございませんので、今養成いたさなければなりません。農村文化というお話でしたが、改良局では農村文化というよりも、むしろ生活改善ということをやつております。これは別に生活改善普及員というものを置きまして、こういう者が担当しております。
  60. 池田恒雄

    ○池田恒雄君 併し私は慾張り過ぎているのじやないかと思うのですが、技術指導をやるなら、今の態勢では技術をこなすのに困難じやないでしようか。それなのに生活指導をやらせたり、経営指導をやらせたりするのは、結局これも中央機関が趣味で計画を立てて、やれないことをやらしているのじやないかと思う。今村の実際を見ますと、二ケ村に一人とか三ケ村に一人しか技術員はいない。これは大した月給も貰つていないし、ろくに本も読んでいない、しよつちゆうぐるぐる廻つてて、あの人達に飯のたき方から経理の見方まで指導させている。そういう企画を立ててやるというこのことが、私はただ制度があるから申訳にやつているというようなことになりはせんかと思う。現状においては、経営指導とか生活指導とかいうようなものは分けてしまつて技術なら技術、而もその技術も一体どの程度のものがやれるのかということが、はつきり吟味されるべきじやないでしようか。
  61. 磯邊秀俊

    政府委員磯邊秀俊君) 慾張り過ぎておるのじやないかというお話でありまして、それは現在の定員を以てすれば非常に無理であります。でありまして、生活改善の問題は今申上げましたように、生活改善普及員を極く少数配置いたしておりまするので、そのできる範囲でやつております。一般改良普及員は殆んどタッチしておりません。それでまあ経営指導は今申上げましたように、指導者を得ることが非常に困難でありますし、段々やつて行きたい。ただ私ここで特に申上げたいことは、技術指導といつて技術だけ指導いたしましても、必ずしも農家のお役に立つ技術指導が的確に行われないというように我々は考えますので、技術指導をいたしまする場合にも、農家経営実態考えてやつて行くというふうに段々指導して行きたい、かように考えております。現在の職員を以てしましては、大部分技術指導に当つております。
  62. 池田恒雄

    ○池田恒雄君 技術指導する場合には、経営実態に応ずるのは当然ですが、ただ問題は、その人達が独自でそういう能力や何かを持つことは私は困難だと思うのですが、そういう農業実態の上に即応した一つ技術を與えるというだけでも、私は人間一人の仕事には余ることだと思う。だからみずから経営問題や経営の学問を研究しながら、一人前に技術を勉強して教えて行くということは困難、いや不可能なことではないでしようか。それを可能ならしめる機関というものは、私はお伺いするまでもなく、今の普及技術制度の中にはないと思う。何かそれとも奇蹟を行う方法があるでしようか。
  63. 磯邊秀俊

    政府委員磯邊秀俊君) 私の方ではその県に専門技術員を置きまして、専門技術負が経営の問題について普及技術員の力を超える問題がありましたら、ここで解決いたします。又専門技術員経営問題につきましては、改良普及員機会あるごとに再教育して行く。経営指導技術指導とは別に離してやるならばうまく行かない。技術を離れて経営指導はないので、非常にむずかしいのじやないかと思います。又逆に、経営問題を離れて技術指導することも、非常に的確有効に技術指導が行われないのじやないか、これが私達の考えであります。
  64. 池田恒雄

    ○池田恒雄君 同じような理窟になりますが、私の考え方ちよつと違つておるのです。技術指導する場合は経営指導しなければならない、こういうような工合に聞えますが、ところが私は、技術指導とはその経営が主体なんです。技術は手段ですから、その経営に求められるものを與えることになるのじやないかと思うのです。だから経営というものの主体性を認めないで、技術もやるのだ、経営もやるのだ、こういう話じやないかと思うのです。一緒にやるなら同じように見えますけれども、経営に牽連性があるわけですから、経営が求むる技術を與えて行くのだ、こういうことになるのじやないでしようか。
  65. 磯邊秀俊

    政府委員磯邊秀俊君) 非常にむずかしい議論になつて参りましたが、私のお話と大した距離はないと思います。大体同じ考えであると思います。お話通り技術経営の手段であります。でありますから、どういう技術農家が要求するかということが、経営改善一つの大きな問題でありまして、そういう点につきましても、或る程度普及員が相談相手になるようにいたしたい、こういうことが現在改良普及員でなし得る限度だと思つております。
  66. 池田恒雄

    ○池田恒雄君 特にこの点が問題になりますのは、非常に極端な例を取りますと、経営指導するのだという考え方は、国策の線に経営を沿わせようとする傾向が今の日本の農林行政には多いわけです。だとしますと今国策というのは、供出をうんと出させることなんです。普及技術員経営指導すると、うつかりすると供出督励者になつてしまう。極めて極端な例を申しますと……。普及技術員の任務は供出が出るか出ないかにあるのではない。問題は如何にして思うような米をとるかというところにある。ところが私は最も現在問題になるのだから申しますが、單に極端な例だというだけではなく、現実的にも問題になつておると思う。農林省の機構は指導する機構と、それからやたらに監督する機構の二つがあると思う。食糧管理局なんというものは、農村の面倒を見て行くというのじやなく、いじめて行く方であると思う。あなたの方は非常に農村を大切にして行くところの機構だと思うのです。その場合、供出問題なんかでは大分問題を起しておるのです。そうして出せないような米を出さした。そうして、食い物が無くなつたというような例が沢山ある。そういう場合普及技術員が同じ農林省の役人でありながら、一言半句もそこに意見を出せない。これは国策的経営方向が余り強力過ぎるのじやないかと思う。米がとれなかつたらとれなかつたのだと、自分のおる地位においてはつきりさせられない。これでは普及技術員というものは極端に脱線しておると思うのです。供出問題で問題が起つておると、尻をまくつて逃げてしまうということなんです。一方的に食管のいじめる方だけが強く行つて、大切にする方は、ここに入つたのではまずいというので、逃げてしまうというような恰好が出て来ると思うのです。
  67. 磯邊秀俊

    政府委員磯邊秀俊君) 私の方では、普及事業で最初から申しておりますが、農家立場に立つて相談相手になる。かるが故に普及員というものは供出、検査ということには一切携わらない。こういうことを強く言つておりますし、現在そのことを嚴守しておるつもりであります。でありまして今お話供出の問題が起つたときに、普及員が何ら積極的に発言できないのじやないかというこういうお話は、普及員としては苦しい立場だと思いますが、現在止むを得ないのではないか。でありますから、できるだけそういう供出の督励ということは供出の事務に関連いたしますから、普及員は携わらないという方針を強く堅持いたしております。これはどうも日本の現在の農林行政がこういう転換期にありますので、私達としても非常に苦しい立場に立つのでありますが、私たちはできるだけ農家経済が伸びて、大きな意味において日本経済の発展に寄與するような方向に伸びるように本を培う、こういうように努めております。
  68. 池田恒雄

    ○池田恒雄君 だから私はその点で、今の普及技術員の態勢では経営というところまでどうも伸びないだろうと思いますが、若し経営指導力があるとするならば、私は供出問題が起つた場合、それに対して職権を以てどうこうという権限は勿論ないのであります。ただ農民のものの判断についてはつきりした相談相手になれる筈です。この供出は出せんなら出さんでもいいと言えると思うのです。法律上こうじやないか、技術上こうじやないかという、それが言えないというなら、非常に苦しい場合において誰が相談の相手になるか。最も大切なとき相談相手にならない……これは民間の人なら自由にやれるかも知れないというが、民間の人に代つてそういう判断をやるわけですよ。経営の問題や生活、文化の問題まで御相談に応じますと決めたならば、それならば供出問題でいじめられてどうしたらいいでしようと言われたら、こういう限度まで出すべきだ、それ以上出せというのは食管の方は無理である、こういうことが言えないなら非常に権威がないのですよ。それからもう一つ、こういうことが問題になるというのは、普及技術員地方事務所の中に置くかどうかという問題です。今後とも……
  69. 磯邊秀俊

    政府委員磯邊秀俊君) 第一点は先程申上げました通りでありまして、これ以上議論しますと大分細かいことになりますから、御了承願いたいと思います。(「了承」と呼ぶ者あり)第二の点は先程申しましたように、私の申しまする行政事務というのは供出、検査督励という行政事務でありますから、そういうことに携わらなくて役人として許す限度におきまして農民のためにお役に立つようにしたらと、こういう趣旨で、原則として地方事務所に置かない、或いは協同組合なり、或いは役場なり、その地方の実情に応じてこれを置く、こういう方針指導いたしております。
  70. 池田恒雄

    ○池田恒雄君 それはいつ頃から実行されますか、地方事務所に置かないということは……
  71. 磯邊秀俊

    政府委員磯邊秀俊君) これは初めからそういう方針でありまして、そのことを今も堅持いたしております。
  72. 池田恒雄

    ○池田恒雄君 実行の段階……
  73. 磯邊秀俊

    政府委員磯邊秀俊君) 最初から地方事務所には置かないということで、各都道府県に指示いたしております。
  74. 池田恒雄

    ○池田恒雄君 現在地方事務所から完全に独立しておりますか、事務が……
  75. 磯邊秀俊

    政府委員磯邊秀俊君) 独立しておりまして、ただ俸給の支拂とか、そういうことについて若干の連絡がある地方もあるように承知しておりますが、地方事務所長の指揮下には入つておりません。(「進行」と呼ぶ者あり)
  76. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 外にございませんか。    〔「採決々々」と呼ぶ者あり〕
  77. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 三日間に亘つて御熱心な質疑が続けられましたので、質疑はこの程度で打切りまして討論採決に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 御異議ないようでありますから、農業改良助長法の一部を改正する法律案を議題にいたしまして、只今から討論採決に入ります。別に御発言がなければ直ちに採決に入ります。  その前に申上げまするが、改正案の第二十條の二「農林大臣は、第十七條第一項」云々とありますが、第一項はミスプリントで訂正報告が別に出ることになつておりますから、それをお含み置きを頂きたいと思います。  政府提出の原案通り可決することに御賛成の方の起立を求めます。    〔総員起立〕
  79. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 総員起立、よつて農業改良助長法の一部を改正する法律案は全会一致を以て可決することに決定いたしました。  多数意見者の御署名並びに本会議における委員長の報告は前例によりまして、然るべく御一任頂きたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) それでは本案を可とされた方は順次御署名願います。   多数意見者署名     石川 準吉  藤野 繁雄     山崎  恒  加賀  操     徳川 宗敬  鈴木 順一     池田 恒雄 池田宇右衞門     北村 一男  門田 定藏     羽生 三七   —————————————
  81. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 次に先程申上げましたように、農業災害補償法の一部を改正する法律案、及び農業災害補償法第十二條第三項の規定の適用を除外する法律の一部を改正する法律案、この二件を議題に供します。先ず坂本農林政務次官から提案理由の説明を伺います。
  82. 坂本實

    政府委員坂本實君) 農業災害補償法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。  農業災害補償法は、実施以来二ヶ年を経過いたしましたが、その間不幸にして台風の連続、冬季温暖という異常の現象、更にはこれらに伴つて地方に稲熱病等の頻発を見るに至り、これがため水稲、陸稻及び麦並びに蚕繭の共済金の支払総額は、昭和二十三年度は二十八億一百八十九万円余に達し、昭和二十四年度は七十七億円が見込まれるに至つたのでありまして、農家はこれらの共済金を直接生活費に、或いは肥料、資材、農薬等の購入費に充て、或いは又農業手形割引の担保として生産資金の獲得に利用し、再起の途を講じているのであります。  農業災害補償制度は、かくいたしまして、民主的農村社会の基礎たる独立自営の農業経営の安定を図り、併せて農業生産の発展に寄與することを目的といたすものでありまするから、特に近年における災害の頻発と逼迫せる農村経済の窮状を注視いたし、この際共済の対象として農作物共済の共済事故に虫害及び鳥獣害を加え、蚕繭共済の共済事故に蚕兒の風水害、地震、噴火、虫害及び桑葉の病虫害を加えますと共に、従来の都道府県知事の権限に、新たに農業共済組合連合会に対する業務報告、徴収、会計検査等に関する監督上の権限を加えまして、事業の拡充を図りますと共に、これに伴い一層適切な指導を期することといたしたのであります。  以上の通りでありまして、何とぞ愼重御審議の上速かに御賛同あらんことを切望いたす次第であります。  尚引続きまして農業災害補償法第十二條第三項の規定の適用を除外する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提出理由を御説明いたします。  この法律案の内容は、農業災害補償法第十二峰によりますと、食糧管理特別会計は、水稲、陸稻、麦の農作物共済の共済掛金の一部を農業共済再保険特別会計に繰入れて負担いたしますと共に、この負担金を食糧の売渡価格の中に織り込みまして、消費者に負担させるように定めておるのでありますが、第五国会におきましては、これに対する臨時立法として「農業災害補償法第十二條第三項の規定の適用を除外する法律」を制定いたし、昭和二十三、二十四の両年度における食糧管理特別会計の負担金を消費者価格に織り込まないことにいたしたのでありまして、昭和二十五年度におきましてもこれと同様の措置を講じたのであります。一而して食糧管理特別会計の昭和二十五年度における負担金二十六億九千二百一万一千円の財源につきましては、一般会計からの繰入金によることといたし、これに伴う予算並びに法律案は、この法律案と並行して今国会に提出されているのであります。  以上の通りでありまして、何とぞ愼重御審議の上速かに御賛同あらんことを切望いたす次第であります。
  83. 山崎恒

    ○山崎恒君 本日はこの程度で一つ散会願います。
  84. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 本日はまだ二つも予定はございますが、この二件につきましては一応本日お持ち帰り頂きまして、御検討の上明日から質疑をいたしたいと思いますので、本日はこれで散会いたします。明日は午後一時から開会いたします。    午後三時三十一分散会  出席者は左の通り。    委員長     楠見 義男君    理事            羽生 三七君            石川 準吉君            藤野 繁雄君    委員            門田 定藏君           池田宇右衞門君            北村 一男君            鈴木 順一君            加賀  操君            徳川 宗敬君            山崎  恒君            池田 恒雄君   政府委員    農林政務次官  坂本  實君    農 林 技 官    (農業改良局    長)      磯邊 秀俊君