○
政府委員(
坂本實君)
農業災害補償法の一部を
改正する
法律案の提案理由を御
説明いたします。
農業災害補償法は、実施以来二ヶ年を経過いたしましたが、その間不幸にして台風の連続、冬季温暖という異常の現象、更にはこれらに伴
つて各
地方に稲熱病等の頻発を見るに至り、これがため水稲、陸稻及び麦並びに蚕繭の共済金の支払総額は、昭和二十三年度は二十八億一百八十九万円余に達し、昭和二十四年度は七十七億円が見込まれるに至
つたのでありまして、
農家はこれらの共済金を直接生活費に、或いは肥料、資材、農薬等の購入費に充て、或いは又
農業手形割引の担保として生産資金の獲得に利用し、再起の途を講じているのであります。
農業災害補償制度は、かくいたしまして、民主的
農村社会の基礎たる独立自営の
農業経営の安定を図り、併せて
農業生産の発展に寄與することを目的といたすものでありまするから、特に近年における災害の頻発と逼迫せる
農村経済の窮状を注視いたし、この際共済の対象として農作物共済の共済事故に虫害及び鳥獣害を加え、蚕繭共済の共済事故に蚕兒の風水害、地震、噴火、虫害及び桑葉の
病虫害を加えますと共に、従来の
都道府県知事の権限に、新たに
農業共済組合連合会に対する業務報告、徴収、会計検査等に関する監督上の権限を加えまして、事業の拡充を図りますと共に、これに伴い一層適切な
指導を期することといたしたのであります。
以上の
通りでありまして、何とぞ愼重御審議の上速かに御賛同あらんことを切望いたす次第であります。
尚引続きまして
農業災害補償法第十
二條第三項の規定の
適用を除外する
法律の一部を
改正する
法律案につきまして、その提出理由を御
説明いたします。
この
法律案の内容は、
農業災害補償法第十二峰によりますと、食糧管理特別会計は、水稲、陸稻、麦の農作物共済の共済掛金の一部を
農業共済再保険特別会計に繰入れて
負担いたしますと共に、この
負担金を食糧の売渡価格の中に織り込みまして、消費者に
負担させるように定めておるのでありますが、第五国会におきましては、これに対する臨時立法として「
農業災害補償法第十
二條第三項の規定の
適用を除外する
法律」を制定いたし、昭和二十三、二十四の両年度における食糧管理特別会計の
負担金を消費者価格に織り込まないことにいたしたのでありまして、昭和二十五年度におきましてもこれと同様の措置を講じたのであります。一而して食糧管理特別会計の昭和二十五年度における
負担金二十六億九千二百一万一千円の財源につきましては、
一般会計からの繰入金によることといたし、これに伴う
予算並びに
法律案は、この
法律案と並行して今国会に提出されているのであります。
以上の
通りでありまして、何とぞ愼重御審議の上速かに御賛同あらんことを切望いたす次第であります。