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1950-02-28 第7回国会 参議院 農林委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月二十八日(火曜日)    午後一時五十二分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農産種苗法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○家畜保健衛生所法案内閣提出、衆  議院送付) ○農業改良助長法の一部を改正する法  律案内閣提出)   —————————————
  2. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) それでは只今より委員会を開会いたします。本日は最初農産種苗法の一部を改正する法律案議題にいたします。この法律案につきましては、各委員共同提案になる修正案がございまして、その修正案関係方面と折衝をいたしておりましたところ、昨日オーケーが参りましたので、そのことを御披露申上げて置きます。大体この前の委員会質疑の大凡は盡したわけでありますが、最後討論採決に入ります前に、若し質問が残つておりますれば、この際にやつて頂きたいと思います。
  3. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 農産種苗法の第一條によつて見まするというと、この法律において「種苗とは農作物の繁殖の用に供される種子」云々と、こうあります。而して農林大臣が指定した種苗種類を見てみますると、主食であるととろの米麦というようなものがここに入つていないのであります。農産種苗法研究するというようなことであつたらば、先ず第一に米麦というようなものから取上げなくちやできないのであるにも拘わらず、これを取上げてないということは、この点については別な法律で何か制定せられるところの考があるかどうか。又現在の米麦種子取扱のようなことでは、優良なる種子普及増産するということは不可能であると考えるのでありますが、米麦等優良品種増産普及に対する対策をお伺いしたいと思うのであります。
  4. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) 一応私から基礎観念についてお答えいたしたいと思います。由来米、麦というものは、日本のあらゆる地方栽培されておる作物でありますが、而もこれが地方の気候、土質に特別な繋りがありまして、この統制法が考えられるまでは、各府県独特の品種純系分離いたしまして、これを農家栽培をいたしておつたわけであります。これが米麦が統制されるようになりまして、品種が非常に堕落いたしておるということも認めておるのでありますが、併し関東地方に適当な稻の種類が、関西地方に必ずしも適当するというわけではないのであります。又単作地帯寒冷地方におきましては、特殊の品種も必要といたしておるのであります。それで国家の事業といたしまして、農事試験場等において、地区的に優良品種を選出いたしまして、従来は純系分離或いは人工交配等をやつて来たのでありますが、今暫くその途が絶えておりますが、やはりこれも持続いたしておるのでありますが、各地区別に、農事試験場がその地区に適当なる品種を編み出しまして、選出いたしまして、これを各府県の試験場試験的に栽培せしめ、そうしてこれを地方普及する、こういう組織を採つておることを藤野委員も御了承下さることと思うのであります。これは種苗法によつで、日本の稻の種類はこれこれのものを登録するというふうなことは、却つて実際に合わないのではないかと考えるのであります。果樹であるとか、或いは花卉類蔬菜の特殊の種類というようなものと違いまして、全国的に普及してあり、又これが地区的に特有な品種を必要とする、こういう立場から稻或いは麦というものにつきましては、今日まで採つておりまする、農事試験場地区的に研究発見いたしました品種を、指導的にこれを普及させるということで、これがいいのではないか、かように考えておるわけであります。又農家におきましても、その種籾の選択につきましては、適当な方法によつて選択もいたしておりますし、これを登録いたすということはどうかと考えるのであります。
  5. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 米麦のようなものに拙して、将来種子としての何か具体的の奨励政策があつたらば、それをお伺いしたいと思うのであります。
  6. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 只今大臣からお話のございましたように、との農産種苗法の対象といたしますものは、蔬菜花卉果樹等でありまして、米麦については、これは事情が非常に違いますので、むしろ別途の措置によつてこれをやつて行くという建前を考えております。今大臣からお話のございましたように、米麦については、農事試験場が優良な原種というものを育成いたしまして、これを普及して行く。こういうふうな改良技術普及施策と相待ちまして、若しもそういうふうな優良な品種が手に入らないというものについては、これをできるだけ手に入るように斡旋をして往く。従つて我々といたしましては、一方優良品種に対する試験研究調査と相俟ちまして、農家の希望するところの品種について計画的に需給を按配して、そうしてこれら確実に農家の手に渡すような方向で進めて行きたいということで、これは二十五年度の予算のときにも要求いたしましたが、財政の関係上実現はいたしませんが、若干の経費市町村農業調整委員会、その外地方農業調整委員会経費として通りまして、そういう方向に今後進めて参りたいと考えております。
  7. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 今回の改正花卉が加えられたのでありますが、日本花卉その他の種苗が、現在輸出品としてどう、うふうな状況にあるか、又こういうふうなものを将来どんな手段方法によつて奨励しようとしておられるのであるか一具体的の案を承りたいと思うのであります。
  8. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 最近におきまする農産種苗輸出実績は、蔬菜種子につきましては、二十四年度は約三万ドル、それから花百合球根、これは二十二万ドル、それからチユーリツプ球根、これは六千ドル、花卉種子は三万七千ドル、こういうふうなことでございまして、これは戦前の種苗輸出と比べますと、非常にまだ少いわけであります。で我々といたしましては今後は、種苗の問題は将来輸出種苗を育成いたしましてこれを大いに輸出するということに中心を置いて進めて行きたいと考えております。只今申しましたように、全部球根等を入れまして蔬菜種苗の総計が三十万ドル、一億円でありまして、アメリカ沖繩等輸出されておるわけであります。今後は台湾、朝鮮、南方地域等へも輸出を進展させないと考えております。特にアメリカには蔬菜花類種苗が、オランダなどから年約一千万ドル程度も輸入されておるという状況でございますから、このアメリカの欲するところの、これらの種苗日本でも生産いたしまして、そしてこれを輸出するということについては相当の将来性があると考えております。尚又坂田種苗輸出をいたしております。ペチユニアのごとき高い技術を必要とする、而も單価の非常に高いもの、こういうものは相当将来性のあるものと考えておるわけであります。要するに将来この種苗種類毎に、こういうふうなものについて採種圃を設定いたしまして、輸出向採種事業を振興して行く、これに全力を注いで参りたいと思います。
  9. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 外に御質疑もなければ、これから討論採決に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 御異議ないようでありますから、農産種苗法の一部を改正する法律案につきまして討論に入ります。
  11. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 私は次の希望條件を付しまして、本改正案賛成するものであります。  第一は、我が国は輸出向特殊種苗が多いのでありますから、政府は速かにこれら輸出種苗育成助長に寄與する具体的施策を樹立実行せられたいのであります。  第二は、米麦雑穀等種子は、供出の強化によつてその品質は低下いたします。増産度への期待も薄くなり、これが取扱方法改善を要する点が多いのでありますから、政府は速かに左の措置を講じて、種苗行政一元適正化を図り、増産に寄與せられたいのであります。  一、各級農業調整委員会の決定に基く採種計画、並びに採種圃設置及び本事業運営並びに指導は、それぞれ監督庁の指示によつで系統農業協同組合事業主体としてこれに当らしむること。  二、右措置に基く生産種子食糧管理法から除外すること。  三、採種圃設置に要する諸経費指導費も含む)及び減収による減收額、又は保管に要する経費は国費を以て負担し、種子等量交換を原則として優良種子普及努むること。  四、品種子に対する検査栽培を含め国営検査とすること。  五、原種及び原々種の生産を大巾に拡張し、採種事業基本的條件を確立すること。
  12. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 外に御発言がなければこれより採決に入ります。  最初に各委員共同提案になる修正案議題にいたします。修正案は念のために私から朗読をいたします。    農産種苗法の一部を改正する法律案修正案   農産種苗法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   第三條の改正規定の前に次のように加える。   第一條の次に次の一條を加える。   第一條の二 この法律において、相続人又は一般承継人に関する規定は、相続人が二人以上あるときは、相続人の協議によつて定めたそのうちの一人について適用する。但し、被相続人がそのうちの一人を指定したときは、その指定を受けた者について適用する。   第十條の改正規定の次に次のように加える。   第十一條に次の一項を加える。   農林大臣は、前項第一号又は第四号から第六号までの規定による登録の取消をしようとするときは、当該登録を受けた者又はその一般承継人に対し、予め、その理由と認められる事項を文書を以て通知し、当該登録を受けた者若しくはその一般承継人又はこれらの者の代理人が、種苗審査会において弁明し且つ有利な証拠を提出する機会を與えなければならない。   第十三條第六号中「第十一條」の下に「第一項」を加える。  この修正案に御賛成の方の御起立を願います。    〔総員起立
  13. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 総員起立であります。従つて修正案は可決されました。次に残余の部分、即ち政府提出原案につきまして採決をいたします。政府提出原案に御賛成の方の御起立を願います。    〔総員起立
  14. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 総員起立であります。よつて農産種苗法の一部を改正する法律案全会一致を以て修正可決することに決定いたしました。多数意見者の御署名並びに本会議における委員長報告前例によりまして、然るべく御一任頂きたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) それでは本案を可とされた方は順次御署名願います。   多数意見者署名     羽生 三七   柴田 政次     石川 準吉   藤野 繁雄     門田 定藏  池田宇右衞門     北村 一男   深水 六郎     加賀  操   徳川 宗敬   —————————————
  16. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 次に家畜保健衛生所法案議題にいたします。ての法案につきましても一応の予備的な審議は終了いたしましたが、本審査に当りまして、尚残つております御質問がございますれば、この際御質問願います。
  17. 加賀操

    加賀操君 第七條に補助金規定があるのでございますが、それでこの家畜保健衛生所の規模であるとか、設備だとか職員の数、資格というものに基準があるように考えられるのですが、若しこの基準がありましたら、その基準と大体の補助金の額とをお示し願いたい。
  18. 山根東明

    政府委員山根東明君) 最初補助金関係、これは前回参考資料としてお手許に配布してございまするが、それによつて御覧願いたいと思いまするが、施設費としましては單価僅かでありまして六万円、備品費補助としましては十五万円、合せまして二十一万円を施設費として計上いたしております。それから人件費としましては、一個所に二人、本官と雇員を予定しておりますが、二人を予定しております。これに人件費補助を計上いたしております。全国総額を御参考までに申上げますと、二十五年度のこれに関しまする総予算は三千三百八十六万八千円でございます。  それから施設なりの基準を承知したいという点でございますが、私共でこれは家畜保健衛生所法施行規則を、この法案が可決になりますに引続きまして、制定いたしたいと考えておりまするが、只今つておりまする案によりますと、考えておりますことは、家畜保健衞生所構造及び施設は、左の基準によらなければならない。構造事務室診断室実験室薬室等を有し、総建坪数十五坪以上というふうに考えております。施設としましては、診断用器具一式細菌検査用器具一式繁殖障害除芸及び人工授精実施用器具一式、かような施設基準としております。この外に、業務の内容に応じ、前條第二号に掲げる施設の外、必要な試験及び検査に関する施設を備えなければならない。この施設運営に関しましては、国、都道府県その他のものの設ける家畜衛生に関する試験研究横関と緊密に連絡し、その機能の発揮に努めなければならない。こういうような施設なのでございますが、一つ基準も考えております。  更に職員資格、先程補助職員としては二名と申上げましたが、更に敷衍いたしますと、家畜保健衛生所には、左の職員を置くものとする。所長事務吏員技術吏員所長は医師であつて、左の各号の一に該当する者を以てこれに充てる。所長は五年以上家畜衛生の実務に経験があり、農林大臣の行う所定の衛生識者会の課程を終えた者。前号と同等以上の資格があると認めた者。所長は、都道府県知事指揮監督を受け、家畜保健衛生所事務を掌理する。事務吏員は、上司の命を受け事務を掌る。技術吏員は、獸医師を以てこれに充てる。上司の命を受けて技術掌る。  大体こういうようなことで、所長以下事務吏員技術吏員おのおのが、これの仕事に従事するわけでありますが、私共の予算におきましては、このうち二年分の助成を考えておる。こういうようなことになつております。
  19. 加賀操

    加賀操君 次に第三條の第五号に家畜診断に関する事務と、こうありますのですが、これは診断だけだろうと思います。後に続く治療、又その先に来る予防などがありますが、主として治療ですが、治療をやらないという理由、若しやらない場合に、診断とそれから治療とをどういうふうに結び付けるか、こういう点についてお伺いいたしたい。  それからそれと同じ六号におきまして、調査というのがありますが、これは調査だけに限定しでありまして、予防治療字句が又抜けておるのでございますが、これもその理由をお知らせ願いたい。
  20. 山根東明

    政府委員山根東明君) 五号において特に家畜診断に限定いたしたのは、一つには御承知のように、現在開業獸医師がそれぞれの地方に開業いたして、家畜疾病診断治療に実は従事いたしておるのでありまして、開業獸医師の生業をこの施設によつて脅すことのないように、この施設機能予防なり診断の面に止めて行きたい。診断の結果、引続いて治療その他の措置を必要とする面は、本来の開業獸医師の方にこれを移して行く、かような見地からさようなことをいたしたのであります。  六号の地方的特殊疾病調査に関する事務でありますが、これは実は今日尚私共の方でも調査が十分でない面もあるのでありまして、この施設全国末端の個所々々に施設されます場合に、この施設一つ仕事としてそうした特殊疾病調査は、是非この施設を通じでやつて行きたい。かような趣旨で特に六号を入れたわけでございます。これに対する病源のはつきりしておるもの、更にその療法のはつきりしておるものにつきまして、診断治療限界は五号で御説明しましたように、この施設では一応一つ限界を持ちまして、治療以降の段階はこれを開業獸医師に委せて置きたい、同じような考え方を地方特殊疾病にも採つて行きたい、かように考えでおります。
  21. 加賀操

    加賀操君 第五條で、農林大臣都道府県知事に或る程度の権限を委せてあるのでありますが、その場合に「地方における家畜衛生向上を図るため必要があると認めるときは、」と書いであるのですが、この地方におけるというのは何か意味がございますか、それともただ地方におけるというのですか、つまり都道府県知事の管理する区域地方という意味ですか。この字があつてもなくてもいいように聞くのですが、この意味一つ御説明願います。
  22. 山根東明

    政府委員山根東明君) この「地方における」という字句は、実は強い意味を持つておるのではなかつたのであります。その都道府県管轄区域の問題に従つて、嚴密に限定するという考は持つてはおりません。ただ都道府県知事の所管いたします区域中心とした家畜衛生向上の問題を、すべて「地方における」を読みます場合には、そういうふうな読み方をいたして行つたらどうかと、かような気持でおりますけれども、初めから強い限定的な意味は、実は原案としては持たずにここに書いたのであります。
  23. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 外に御質疑がなければ、これより討論採決に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 御異議ないようでありますから、これより家畜保健衛生所法案議題にいたしまして、討論採決に入ります。  別に御発議もなければ直ちに採決に入ります一本法案は衆議院により送付されました原案通り賛成の方の御起立を請います。    〔総員起立
  25. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 総員起立もあります。従つて家畜保健衛生所法案全会一致を以て可決することに決定いたしました。尚、多数意見者の御署名並びに本会議における委員長報告前例によりまして、然るべく御一任頂きたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) それでは本案を可とされた方は順次御署名願います。  多数意見者署名     羽生 三七  柴田 政次     石川 準吉  藤野 繁雄     門田 定藏 池田宇右衞門     北村 一男  深水 六郎     加賀  操  徳川 宗敬   —————————————
  27. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 次に農業改良助長法の一部を改正する法律案議題にいたします。この法律案は先程申上げましたように、参議院先議で、本委員会に付託された案件でありますが、先が最初農林大臣から提案理由の御説を伺いまして、次いで質疑に入りたいと思います。
  28. 森幸太郎

    国務大臣森幸太郎君) 只今提案になりました農業改良助長法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申上げます。  日本農業の民主的な建直しのため、農地改革実施及び農業協伺組合の発足と相俟つて、新らしい構想に基く農業改良事業が始められて以来一年有余になります。この事業を推進し、日本農業の要請に即応する試験研究を行い、その成果を迅速に普及し、農家自発的意志と理性に働きかけて、農業及び農民生活改善を図ることは刻下の急務と考えられます。  能率的な農法の発達農業生産の増大及び農民生活改善を図るために、農業に関する科学技術発達及びその成果の有効な普及を目的とする農業改良助長法は、第二回国会を通過しまして、昭和二十三年七月十五日公布施行せられましたが、その後この法律を運用した経験に基きまして、その立法趣旨を更に有効適切に実現するよう、数箇所につき早急に改正したいと考えるものであります。  第一は第八條の試験研究資金流用禁止規定についてでありまして、試験研究用土地又は建物の購入、借入等に対してもこの法律により資金交付し、又はこの法律により交付された資金を使用し得る途を開き、試験研究推進のため、資金の有効適切な利用を図りたいと考えるわけであります。  第二は第十六條に掲げられた協同農業普及事業に対する補助金割当基準についてであります。この補助金の大部分普及関係職員殊改良普及員設置費でありまして、これら改良普及員は一市町村に少くも一名以上配置できることを理想といたしております。然るに現価規定では、補助金総額の九割までを各都道府県農業人口耕地面積割合のみに応じて配分することとなつており、現地の実情に即せず、事業の円滑な遂行に支障がありますので、配分基準の一として市町村数に対しても適正な考慮を拂い、且つ都道府県特殊事情の比重を高めて、補助金割当り適正を期したいと考えたのであります。  第三には協同農業普及事業資金を有効に使用するため、第二十條の二を新らしく設けまして、その事業実施状況が不良であるようだ場合に、補助金割当後も、その交付を停止し得る途を開きたいと考えるのであります。  最後に第二十三條関係でありますが、現行法の下におきましては、特別の理由によつて補助金割当又は交付をしない場合に、その補助金不用額となることになつておりますが、限られた補助金を有効に使用するため、それを他の都道府県交付し得る途を開きたいと考えるものであります。  以上提案理由を御説明申し上げましたが、尚詳細につきましては政府委員より申述べます。  何とぞ愼重に御審議の上成るべく速やかに御可決願いたいと存じます。
  29. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) それでは質疑に入ります前に、只今提案理由にありましたように、政府委員から本改正法案て関連いたしまして説明を伺うことにいたします。
  30. 磯邊秀俊

    政府委員磯邊秀俊君) この改良助長法の一部改正法案につきましては、今大臣から御説明申上げた通りであります。それに関連いたしまして、改良局からお手許にお届けいたしました参考資料につきまして、簡單に御説明申上げます。  一つの問題はこの改良事業を実行するに従いまして、強力に推進いたしますために、農業関係試験研究機関整備総合を、改良局設置以来推進して参りまして、漸く成案を得まして、近く提案されます農林省設置法に、その改正を御審議願うことになつております。その整備総合要旨が、この一枚刷りになつておる農業関係試験研究機関整備要綱内容でございます。そういうわけで試験研究機関整備総合の問題は、又御審議願うわけでありますが、本法案の御審議関係が深いと思いますので、簡單要旨を御説明申上げます。戰後日本農業事情経済事情が非常に変化して参りまして、この限られたる国土で食糧増産をいたし、又国民経済発展に資し、農民経済改善をいたしますためには、試験研究を強力に刷新しなければならん。そのためには従来ありました試験研究について、根本的な検討を加えまして刷新を考えたのであります。この方針はこの整備要綱にありますように、大体四点でありまして、第一点は、日本の国立及び都道府県立試験研究機関が非常に数が多い。その割合に十分の能率を挙げておらない、資金関係或いは人の関係施設関係で……。従つてこれをいろいろ検討いたしまして、もつと能率の挙がるようなものにしようというのが第一点であります。  第二点は、今申上げましたように、職後の日本のいろいろな事情の変革に即応いたしまして、新たに試験研究をいたさなければならん事情いろいろ出で参ります。例えばここにありますように、畑作の改善であるとか、労働の能率を上げる研究であるとか、土地総合利用開発、そういうことに関しまする試験研究は、従来比較的軽視されておりましたので、こういうものをもつと強力に推進いたしまして、いろいろな分野におきます調整の取れた試験研究を推進いたしたい。それには、現在ありまする試験研究所場所、配置の場所につきましても再検討をいたさなければならん。第三点は、試験研究も結局は日本経済の再建に資し、発展に資し、又農業経済農業経営改善に資さなければなりませんが、そういう観点からいたしますと、従来の試験研究機関はややもいたしますると、農事、畜産、園芸というように、それぞれ分立いたしまして、その間に連絡が必ずしも十分でなかつたのでありまして、今度の新らしい整備要綱に従いまして、こういう点にもつと連絡協調を円滑に行きますようにいたしたいというのが第三点であります。第四点は、従来ややもすると試験研究機関農業と離れ、遊離する嫌いがなきにしも非ずであつたのでありまして、改良事業の精神に従いまして、これから試験研究農業改良復旧事業と密接なる連絡をいたしまして、最も有効に農業の要求しまする試験研究が推進されるようにいたしたい。こういうのが第四点であります。  以上四つの方針に従いまして、いろいろ検討いたしました結果、国立、都道府県立試験研究機関整備統合の案を得たのでありますが、その結論は試験研究の体系を三本建にいたしまして、各地域にありまする国立の従来支場だとが、支所とか呼んでおりましたのを適当に整備統合いたしまして、各地域毎に独立の農業試験場を作り、七ケ所でありますが、その外に従来本場、本所と呼んでおりました試験研究機関を一本にいたしまして農業技術研究所を設け、国立の試験研究機関につきましては、この二本建で参りたい。それから都道府県試験場は適宜整備統合いたしまして、できますならは一府県一試験場ということで、必ずしもこれは現在ある試験場或いはいろいろなものを全部廃止するというわけではありませんが適当にまとめまして、お互いに連絡がつくようにいたしたい。かように三本建にいたすということであります。その結果は、この一故紙にありますようなことになりまして国立、都道府県立を合せまして、現在までに三百七十九の試験場があつたのであります。これを整備統合されました結果は、約百九十一になるのであります。これは必ずしもこれだけで、あと残つたものが減るというわけではありませんで、二つ隣接しているものは一緒にしたというようなことで、数が減りたわけであります。この点は先程申しましたように又御審議を願うと思います。  それからもう一つ配りました資料は、農業改良局関係予算でありますが、これも御審議願えると思いますが、改良助長法に基きまして都道府県補助いたしておりますものと、それからその他の試験研究機関に連関いたしておりますもの、その補助いたしておりまするものが、低位生産改良施設費補助、病害虫発生予察調査施設費補助、奨励品種決定試験事業補助、二化螟虫駆除予防試験野業費補助であります。  それから今の国立の試験研究所で直接使つておりますものが、農業研究所、これは今申しました農業技術研究であります。それからこの農業改良実験所は最初の計画に従いますと、この整備統合の機会に、都道府県に移すという計画でありましたが、その後シヤウプ勧告、その他の事項で、急速に移すことが困難になりましたので、もう一年延期いたしまして、事情検討した上で移すということで、今申しました試験研究所の外に、当分は農業改良実験所が残るのであります。農業綜合研究というのは、農業技術研究所の外に、経済社会問題を中心にいたしまする農業綜合研究所であります。従来ありまするものその通りであります。それから農業経済調査研究調査に必要な経費というのは、これは改良局で従来経済研究をやつておけますものであります。その次三つはそうであります。  以上は研究予算でありますが、その試験研究しました結果を農家に移します普及事業に関連いたしましては、その次の農業改良普及員等養成に必要なる経費、これは普及員の養成に充てることになつております費用でありまして、主として都道府県立の従来の農事試験場にありまする技術員養成所を整備いたしまして、農業講習所といたしまして、改良普及員の養成に充てる費用であります。それからその次の農業改良普及事業に必要なる経費、これは大部分農業改良普及員人件費であります。これは今回御審議願いまする改良事業法に従いまして、都道府県に国から補助いたしております費用であります。それからその次の農業実務講習に必要なる経費というのは、従来ありました経営伝習農場、もつと古くは農民道場と申しておりまするものを、経営伝習農場という名前は存続させますけれども、その内容を刷新いたしまして、農業改良事業を承けて立ちまする農村の側におきまする中堅人物を養成するというような施設に充てる補助費であります。最後の庶務課の費用は一般行政費であります。  以上簡單でございますが、補足的に御説明申上げました。
  31. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) ちよつと申上げますが、皆様の御了解を得たいと思いますが、通産委員会と本委員会で共同で本日は一本の速記を利用していることになつておりますが、通産委員会の方で法案採決をこれからいたすそうで、その方に速記を割愛いたしますから御了承願います。では速記を中止して下さい。    午後二時三十八分速記中止    —————・—————    午後三時三十九分速記開始
  32. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 速記を始めて。本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十分散会  出席者は左の通り。    委員長     楠見 義男君    理事            羽生 三七君            柴田 政次君            石川 準吉君            藤野 繁雄君    委員            門田 定藏君           池田宇右衞門君            北村 一男君            深水 六郎君            鈴木 順一君            加賀  操君            徳川 宗敬君   国務大臣    農 林 大 臣 森 幸太郎君   政府委員    農林事務官    (農政局長)  藤田  巖君    農 林 技 官    (農業改良局    長)      磯邊 秀俊君    農林事務官    (畜産局長)  山根 東明君    農林事務官    (蚕糸局長)  最上 章吉君