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政府委員(三橋則雄君) 今の倍率の点でございまするが、この倍率は私は必ずしも今この
お話のように、下の方が多くて上の方が少くならなければならないようなふうになるかどうかということについては非常に疑問を持
つておりまして、そうは必ずしもいかないのではないかと思うのであります。問題は、この
昭和二十三年の七月一日にいわゆる職階制に基きまするところの給與
制度が本格的に実行されることに
なつたのでありまするが、その実行される前は、いわゆる職階制に移り変らない給與
制度というもの、官吏俸給令による給與
制度であ
つて、この官吏俸給令による俸給が、職階制に基きまする給與
制度の俸給に七月一日に切換つた、その切換つたときをどういうふうに
考えるかによ
つて問題が決ま
つて來るだろうと思うのであります。この案を立てまするに当りましては、その官吏俸給令の俸給が七月一日にどういうふうに移り変
つて行つたかということも、各省の切換の実情ということをやはり
考えなければならんのじやないかというので
考えたのであります。これは私がもう御
説明するまでもなく、三好委員は御承知のことだと思いますが、旧官吏俸給令の俸給が同じ俸給であつたといたしましても、七月一日に切換えられた俸給が職種によ
つて異
つております。或いは四倍に行つた者も、或いは五倍に行つた者、六倍に行つた者もあります。又俸給の官吏俸給令における号俸が違うことによりまして、又七月一日に切換つたところの俸給に対する倍率も又いろいろ
違つておつたのであります。そこでこの仮定俸給を作ります場合におきましては、七月一日前に退職しました者の恩給を
考えることは勿論必要でありますけれども、七月一日後に残職してお
つて辞めたところの者の恩給もやはり
考えて置かなければならんのじやないか、仮に機械的に仮定俸給を作
つて行きまして、過去のものは
相当恩給を増額したけれども、即ち
昭和二十三年六月三十日前においては
相当増額に
なつたが、それと比較して七月一日以後に退職した者は、それよりも非常に悪く
なつたということを非常に大きい声で叫ばれては又困る、そこはやはり行政技術としても
相当考えて置かなければならんと思うのです。そこでこの第一号表のところは問題にされていることと思うのでありますが、この一号表は御承知の通り、上の方の欄の金額は、これは三十に分れております。下の方は六千三百円の俸給の中で上の方の俸給に
相当するものを持
つて來たものであります。この一号表の一番右の端にございますところの一万四千四百円に対応する仮定俸給として挙げてありまする三万八午二百八円は十一号俸のところでございます。この一番上の最後の金額のところの九万六千円に対応する仮定俸給として挙げてある二十万二千八円は七十号俸のところでございます。
従つて上の方は官吏俸給令の俸給で三十に分かれ、下は十一号俸から七十号俸までの俸給でありますから、機械的に対応俸給を作りまずならば、上の金額に合せましてこの十一号俸から一号間差に方法を決めて行けばいいということになるのであります。併し一号間差に機械的に行きますと、今申しましたように七月一日におきます新旧俸給の切換えということを
考えますと、又そこにいろいろ問題が起
つて來る。そこで大体におきましては、一号間差の方針を採
つて行けるということで、一号間差の方針を採
つて行きました。併し極端にと言いますか、非常に甚だしくそういう方針を採つたために七月一日以後の退職者が従前の退職者に対して不利になるというところだけは若干伸び縮みをさしたところがあります。それが今
お話のように率が少し下
つているわけであります。ごたごたした問題もありまして、これは実になかなかむずかしい問題でありまして、この恩給の増額をします場合において、官職を
考えて恩給の増額をやるという
考えもありますし、尚又俸給を土台にして飽くまでやるという
考えもあります。極端な例を申上げますと、私なら私の場合、
局長の俸給を
考えますと、従前の
局長は五年で退職しますと、年功加俸が年六百円ついております。
従つて六百円ついた
局長を
考えて、そうしてそれをずつと引直してこの俸給でやりますと、十四級の、私
ちよつと今はつきり覚えておりませんが、十四級の
相当のところに行くのではないかと思います。現職の
局長の中には、
局長になりてすでに五年を
経過しておつ七も十四級に行かないという人もおります。又
局長と同じ俸給を貰
つている技師なんかは尚更そういうことが出て来るだろうと思います。それでは曾ての人はよくて、あとの人は悪いということになりますむそういうように
考えて行きますというと、やはり官職を逐うわけに行きませんし、俸給を
考えなければならんからして増額のことも
考えなければならん。増額のことを
考える場合に、切換えのときの職階制の俸給制に従来の俸給切換えの、七月一日の前後の状況を、やはり或る程度までは
考えなければならない、その
考え方にもいろいろあると思いますが、私の
気持といたしましては、
相当過去の
昭和二十三年六月三十日以前の退職者につきまして事情の許し得る限り、金額の上げ得られるような措置をと
つて来たつもりであります。