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1950-04-20 第7回国会 参議院 内閣委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月二十日(木曜日)    午前十一時三分開会   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○国家行政組織法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○水産庁設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○恩給法等の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 河井彌八

    委員長河井彌八君) これより内閣委員会を開会いたします。  国家行政組織法の一部を改正する法律案、これを議題といたします。諸君にお諮り申しますが、この案は委員会に付託されましてから相当長い日時を経過しております。それにはいろいろの点において相当理由があるのであります。殊に衆議院からも修正がありました。一応委員会審査した状態がどのくらいになつておるかということを專門員から説明を申上げさせたいと思います。殊に委員諸君の中にはお代りになられた方もありまして、この際それが必要と考えますので、さように取計らうつもりでありますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御異議ないと認めます。それでは杉田專門員から経過の状況を説明して頂きます。
  4. 杉田正三郎

    專門員杉田正三郎君) 私からこの国家行政組織法につきまして、従来この委員会で御審査なつ経過、それから現在懸案なつておる要点を御説明申上げますが、従来この委員会国家行政組織法につきまして、いろいろな点で問題がございまして、皆さん御研究なつたのでありまするが、まだ結論を得ない現状でございます。そこでどういう点において問題があるかということを大略御説明申上げたいと思いまするが、その第一点はこのたび衆議院国家行政組織法修正が加えられたのでございまして、それによりますると、原案の第二十條に一部修正が加えられたのであります。二十條には原案では第七條官房、それから委員会事務局に長を置く場合には、法律の定めるところによらなければならないという規定がございまするが、これでは狭きに失するというので、例えば委員会事務局が置かれておる、その事務局事務局長を置いた場合、それから事務局次長を置いた場合、尚各行政機関外局の庁に次長を置く場合等は、この政府原案だけでは狭きに失する、置き得ないのじやないかというような疑いをさし挾む余地がありますので、その点を明確にいたしまして修正が加えられたのであります。そういたしますとこの衆議院修正案をこのまま通すとすれば、現在各委員会のうちで法律根拠を持たずに事務局長を置いておるものがあるのでありまして、それらはこの際法律規定改正して、委員会事務局に長を置くという規定を明確に掲げる必要があるというので、参議院といたしましては、その修正案を出す必要があるのではなかろうかということが考えられておるのであります。  そこで現在委員会事務局に長を置いておるものがどれだけあるかということを調べますと、先ず委員会事務局を置いておるものが十ございます。統計委員会公正取引委員会外国為替管理委員会公共企業体仲裁委員会国有鉄道中央調停委員会專売公社中央調停委員会国有鉄道地方調停委員会豊年公社地方調停委員会公認会計士管理委員会証券取引委員会、そういつたよなうものがございまして、これらにつきましては、いずれもその設置につきましては、根拠法律ができておりますが、そのうちに事務局が置かれておりまして、その事務局に長を置くという規定が全部ないのでございまして、そこでそのうち特にこの際こちらで修正を加えて事務局の長を置くという規定を置く必要のあるものは、統計委員会一つでございます。それは統計法の一部を改正する必要があるのであります。  その二は、外国為替管理委員会でありまして、これは外国為替管理委員会設置法の一部を改正する必要があります。  その三は、公共企業体仲裁委員会でありまして、これは公共企業体労働関係法の一部を改正する必要があるのであります。その外のものにつきましては行政管理庁当局説明によれば、別途に大蔵省設置法の一部を改正する法律案の中に、例えば証券取引委員会などに長を置くということが規定せられることになる。又外資委員会設置法案が提出せられまして、それで外国為替管理委員会事務局に、事務局長を置くという規定が盛られるというような話でございまするので、この際参議院といたしまして、法律改正を必要とするものは以上挙げた統計法以下の法律改正をこの際必要とするというような話でございます。それが先ず問題の第一点でございまするが、これより先この内閣委員会といたしまして、この国家行政組織法で問題となつておりました点は、審議会が今日多数存在しておりまするが、その審議会の中で事務局を置いておるものが現在あり、又今懸案なつております社会保障制度審議会設置法の一部を改正する法律案の中にも、その審議会事務局を置くという規定がありまして、そこでこの国家行政組織法八條の、審議会委員会と同じような事務局を置くことが、国家行政組織法の上からいたしまして、これが適当であるかどうかという点が先ず考えられるのでございます。  第二点といたしましては、仮に審議会事務局を置くことが国家行政組織法の立法の精神から考えまして違反していない、置いてもよろしいといたしましても、この審議会事務局を置くならば、あたかも委員会事務局を置くという規定が、国家行政組織法の第七條の第四項に規定せられておるがごとくに、明白に法律の上で審議会事務局を置くことができるという規定を設ける必要があるのではなかろうかという疑問であります。又次長が、過般運輸省設置法一部改正法律の中で、運輸研究所次長が置かれることが規定せられておりますが、かくのごとき運輸研究所次長を置く場合においては特に明白に法律規定、即ち国家行政組織法自体研究所次長を置き得るという規定を設ける必要があるのではなかろうかという問題が残されておるのであります。これに対して二つの議論が成立つのでありまして、一つ国家行政組織法の上からいつて、そういう審議会とか、或いは協議会とか、或いな研究所とかそういつたようなものには事務局というものを置くことができないのであるという一つ考え方と、他方におきましては国家行政組織法の第七條では法律の定むるところによつて審議会協議会などの機関を置くことができるという規定がありまするので、ここに広範な法律の委任があるから、かくのごとき審議会や、協議会などに事務局を置いても敢えて国家行政組織法の上からいつて違法ではない。それはすべて広く任されておるのであるから自由に、政令でも、閣令でも、省令でもそういうものによつて、自由に組織を定め得るのであるという考え方でございます。政府考え方が大伸そういう方向に向つておるのではなかろうかと考えられるのでございまして、それはこの国家行政組織法の当初できました当時の速記録を見ますると、第二国会におきまして衆議院決算委員会でこの法案審査の際に政府委員のこういう答弁がございます。「第八條に列挙しでありまする機関はいずれも国民に対して種々行政権を発動し、その結果国民権利義務というものに影響を及ぼすような働きのものはないのでありまして、むしろこれによる財政負担というような点に問題があると思うのであります。従つて私共といたしましては、機関設置そのものといたしましては、第七條内部部局、或いは第九條の地方部局の問題よりは軽く取扱つておる次第であります。」という答弁を見ますると、第七條審議会とか、協議会とかいろものは比較的委員会、各省庁、或いは地方部局などと違つて軽く考えで、従つてその行政組織などは自由に決めても余り支障はないというような工合に考えておるのではなかろうかというように推測せられるのでございます。これにつきまして行政管理庁当局の御意見はあとから御発表になろうと思いまするが、政府の方でも私共が個人的に話合つたところでは私共と同じように、即ち審議会などにはこの事務局設置するということは適当でない。即ち審議会というものは本体行政官庁行政機関附属機関であつて、その本体行政機関諮問に応ずるものであるから、その諮問に応ずるこの審議会などに更に事務局を付けるということは適当でない。而もかくのごとき審議会などに事務局が付けられて、その事務局が非常に厖大なものとなつた場合においては本末顛倒で、審議会などはその強力な事務局に引摺られてしまつて、本来の審議会の機能というものは発揮できない嫌いがあるのではないかというような意見も聞いておるのでございまして、どれが政府の本当のお考えであるか、実は今までの審査経過では明白になつていないのでございまして、今日行政管理庁から見えておりまするが、政府考え方をこの際改めてお聞き下さつて、今まで疑問となつておりまするこれらの点を解決して頂けば残つておりまする社会保障制度審議会事務局を置くかでうかという問題もおのずから解決せられるのではなかろうかというように考える次第でございます。  以上大体今までの問題の経過を御報告いたす次第であります。
  5. 三好始

    三好始君 衆議院修正した内容と、それに伴つて更に修正を必要とするに至つたという先程の杉田専門員の御説明に対する政府側見解を承わりたいと思います。
  6. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 先程專門員からお話がありましたように、衆議院の御修正によりまして、委員会事務局長を置く場合、若しくは次長を置くような場合には法律規定しなければならんということになりましたのでありますが、現在ございます各委員会事務局で比較的最近にできましたものはいずれも事務局を置いで、それには事務局長が置かれるという規定があるのでございますけれども、古いものによそういう規定がないのがありまして、事務局なれば当然事務局長が置かれるというような考えから、従来事務局長が事実上あつた委員会相当ございますので、それらにつきましては事務局長法律によらなければ置き得ないということになりますると、どうしてもそれらの裏務局長を置く規定が必要になりますので、只今お述べになりましたような法律の一部改正が必要になると存じます。
  7. 三好始

    三好始君 次に本委員会で以前から懸案の点について政府側のお考えを承わりたいのですが、それは先程杉田專門員から御説明のありました後の問題でありまして、例えば研究所に所長の外、次長をそれぞれの規定で置くことは、国家行政組織法制限規定がない以上自由にできるというお考えなのかどうか。又審議会協議会事務局を置く或いはその事務局次長を置くことは、法律規定すれば自由にできるとお考えなつておりますかどうか、こういう点でありますが、これは国家行政組織法と一応これに基いて制定されたと認められる各省設置法等関係をどういうように考えるかという問題でないかと思うのです。形式的にいずれも法律である以上同格である。こういう立場を取れば法律で制定される以上何ら違法でもない、こういうことになるわけでありますが、併しながらそういう考え方を取りますというと、各行政組織法の存在の理由というものが非常に薄弱になつて、これは殆んどあつてもなくても大して違わないような結果になりはしないか、こういうふうにも考えられるのでありますが、これらの点に関する政府側の御意見を承わりたいと思うのであります。
  8. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 只今審議会事務局設置すること、並びに研究所次長の問題でございますが、これらはいずれも国家行政組織法の第八條による附属機関でございます。併し組織法にはそういうものが法律によつて置くことができるという規定だけでございまして、その内部組織等につきましては規定いたしておりませんので、私共の考えといたしましては、先程専門員からお話もありましたように、若しどうしてもそういう機関事務局を置くことが必要である、又次長を設ける必要があれば法律で認められれば置くことは支障はない、そういうように解釈いたしております。
  9. 三好始

    三好始君 只今の問題については法制意見長官の方からも御意見を述べて頂きたいと思います。
  10. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 私共の考えを一通り筋をたどつて申上げたいと存じますが、との国家行政組織法全体を眺めて見ました場合において、この中で第三條において国の行政機関として、府と省と委員会と、それから庁というものを挙げておるわけでございます。行政組織法といたしましては、この府、省、委員会、庁というものを行政組織根幹をなすものとして非常に重く取上げておる。このことは他の條文におきまして、この四つのものにつきましては相当詳しい條項が置かれておるということからも申上げることができると思います。そこで只今問題になつておりますのは、例の第八條の問題であります。これは今申しました第三條の各行政機関に置かれる附属機関であるということは、又八條の文章からも明瞭でございますということ、それからその意味にお、て格が余程違うということ、それから次には先程杉田専門員お話にも出ましたが、仕事の実態は行政権力の行使に携わるようなものではないというようなことからいたしまして、組織法はこの八條機関については相当大まかな扱いをなされておる、言い換えますならば一予算上の拘束の下には勿論帰せしめますけれども、個々の細目の事項については組織法としては、別段立ち入つた制限は設けないという建前なつております。ただ先程のお話に出ましたように、この中にはやはり「法律の定めるところにより」とございまするからして、各たの審議会なり、研究所設置については、個々法律根拠を要することになりまするからして、具体的の審議会なり、或いは具体的の試験所を捉十らえて、その個々法律がどの程度までに細かく内容をお決めになるかどうかということは、この場合はいわゆる設置法の系統の問題として残されておるわけであります。組織法自身としては、一般的の態度としてはそこまで立ち入つておらないというのが大きな建前なつているように思います。でこの個々審議会は先程例に出ましたから、審議会の例をとりますというと、実際上、との審議会性質からいつて事務局というようなものを置く必要のないことは、これは当然でありますが、又現に審議会事務局の置かれているものは極めて少数の例外でございまして、これらもこの審議会内部規則、細かい規則政令に今までお委かせ願つておりますために、我々政令審議いたします際には、行政管理庁と連繋いたしまして、極めてきつく、嚴重にやつているわけであります。大体の審議会についての事務機構は、幹事制度、それから書記の制度というようなもので、極めて地味な形をとつております。或いは又幹事制度をとらないものにつきましては、現存の本省の或る部局が、審議会事務を掌ると、いう建前で、一般的には、政令嚴重縛ばつて来ているわけであります。大体といたしまして、私共はその方針で行つております。ただ特に審議会の特殊の性質から、事務局を要するというような場合においては、先程のお話にも出ましたように、この審議会設置法等におきまして、特に事務局を趣くということが、法律條文で直接出ているものもございます。従いまして、結局その審議会そのもの事務局を置くかどうかという問題は今の設置に関する個々法律の問題としてお取扱い願つたならばいいんではないか、行政組織法の問題としては、一般法としてそこまで立ち入るというこ上は見方によりましては、むしろ審議会事務局を置くことができると、こういうように法文が、行政組織法に入りますと、むしろ奨励されているという形になる嫌いも、見よう次第によると思いますが、ありやしないかという気持ちを持つております。それから研究所関係におきまして、お話がございましたが、研究所の方も実はピンからきりまででございますので、大きなものも小さいものもあります。そういうものに次長を置く場合には法律で定める、或いは法律次長を置くことができるというようなことを一般的の組織法の問題としてお取上げになるということも、今まで申しました一般体系から言つてどうであろうかという気持がいたします。又試験所研究所の中には現在部長などをとつておるものもございます。その場合に部長をとつておるわけでございますが、部長という職名外局部長という職名と同じかどうかということは格の上からも問題がございましようし、その部長仕事から申しましても、先程申しました行政執行権力作用というものに参與するかしないかという点において本質的に違いますから、たまたま部長という名前が出て、今の研究所等部長という名前が出て来ましても、外局等部長とは本来性質の違うものであるということが一般の通念であろうと思います。笑い話でございますけれども、部長言つて巡査部長というような意味に使われる場合もあるし、局長と申しましても、特定の、郵便局長というよろな場合に局長という字が使われることもあるというようなこともだんだん深く考え参りますと、なかなかむつかしい問題でございまして、一般的には取上げにくい事柄を含んでおるというような気持を持ちながら、行政組織法としましては、只今申しましたような大きな筋で今までの建前をおとり願つたらいいじやないか。その点から申しますというと、今度衆議院修正でいわゆる三條に上つております委員会事務局のことをお取上になつたことは、我々としては率直に申して適当な措置だと思います。大体三條あたりが打止めではないだろうかという気持を持つております。
  11. 三好始

    三好始君 先程の杉田専門員お話も一応我々としてはそういう気持を持つのでありますが、官房若しくは委員会事務局次長を置く場合は、法律の定めるところによらなければならないという制限的な規定があるに拘わらず、研究所審議会事務局などに次長を置くということは、法律規定さえあれば国家行政組織法上は、全く自由であるということは多少権衡を失する結果が起りはしないか、こういう気持がいたすのであります。つまり国家行政組織法筋八條法律の定めるところによるということを、法律で定めれば如何なることも規定できるというふうに非常に広く解釈することは、今度の衆議院修正に現われたように、次長を置くことを非常に制限するような明文が出て来ておることと較べて考えて見た場合に、果して先程来の御説明のように解釈して済むかどうか。勿論本省局長郵便局長という同じ局長でも相当違うという、そういうふうに考えれば又別の問題になるかと思いますけれども、この場合はそういうふうには言えない点があるじやないか、こういう気持がするのであります。第八條にいう「法律の定めるところにより」ということは先程来の御説明にありましたよらな広い解釈をするより外ないというお考えでしようか、それとも次長を置く場合には法律の定めるところによらなければならないという、はつきりした規定を設けて次長を置くことを奨励するのでなくして、次長を置く場合には法律の定めるところによらなければならないという規定を設ける方が、他の規定との関係からしでいいじやないか、こういうふうに私達一応考えるわけで拠りますが如何でしようか。
  12. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 第八條の「法律の定めるところにより」とございまするのは、少くともそれを設置するのに法律以外の形で自由に設置してはならんという含みがあることは第一の主眼点であろうと思いますが、第二の点としては各々の個性に応じた定め方を法律自身としてお取上げになつて定めてもよろしい、要するにその設置、或いはその組織等に関する事柄は、組織法自体としては取扱おないが、個々法律において十分顧慮すべきであるというような意味であろうと存じます。併し今のお話のように、然らばそういう次長というような制度がよろしくないことであるからして、個々法律に委せるよりも、むしろこの行政組織法で大きく禁止規定を置くべきじやないかというお話もとれは勿論御尤もな点であろうと思いますが、ただそれに関しまして、先程私が述べました例の組織法全体の建前というものが三條中心主義と言いますか、八條関係はここで一括して附属機関として扱つて行くという建前からして体系上どうであろうかという気持と、それからもう一つはこれも先程触れましたが、八條機関というものにはびんからきりまであるので、次長というものを置いてはいかないということが、例えば研究所試験所等についてちよつと常識的に考えぴつたりしないような気持がするわけであります。勿論この次長制度を採つたらと、いうのもあるとは存じますけれども、それほど一般的にこれが濫用されているというふうには実は私共感じておりません。これが目に余るようなことであるならば、只今のようなお話もまた強く出てくるのではないかと思いますけれども、只今のところそれほどまでにこれが目に余る濫用のあれになつているというようなところまで考えておりませんので、非常に消極的な気持を持つておるわけであります。
  13. 三好始

    三好始君 他に質疑がなければ……。
  14. 河井彌八

    委員長河井彌八君) ちよつと待つて下さい。私から一つ政府に伺いますが、『附則第二十四條の二中、「昭和二十五年五月三十一日」を「昭和二十六年五月三十一日」に改める。』と、これでありますね。これは別表に書いてありますが行政組織法根幹と違つたものを、存続期限を昨年はこの行政組織法を決めましたときのは昨年の五月であつたのです。それで一年延ばすこういうことであつた。政府もそのときには次の国会には行政整理相当行なつて機構改正行つて、もつとこれを合理的のものにしようということを承知されたわけであります。これは一年間期間を延ばしたということになる。併しその後の実情を見ますると、行政整理についてはいろいろ研究は十分努めておられるということは我々も認めているのであります。併しその結果は何といたしましても、この国会には出されていない。そこでこれを一年延ばすということにするのは、初めこの行政組織法を我々が審議した精神に違うということを考える。そこでさればというてこれをすぐ期限が切れたから拠り放してしまうという考えは持ち得ないのですが、これをどうでしようか、三月三十一日までに有効とするということにしたならばどうかと考える。それまで政府相当研究を続けているのでありますが、そういうふうにしたらいかがかという考えを持つというの一は、五月三十一日までにするという二とよりも、つまり新年度の初まる四月一日には新しい整理された組織が実行に上つて来るのだということにする方が正しいじやないかということを考え内閣委員会においてはこれらの点について第五国会において、やはり相当苦心した問題であるのであります。それに拘わらず漫然と五月三十一日までこれを延ばすということは、内閣委員会においてこれまで苦心した精神と違うこういうふうに考え、そうしてこれを三月三十一日までに延ばすということにして見たところ、それはそうすることの方が却つて正しいのではないかという見解を持つわけなんです、これに対してどういう政府考えを打たれろか、それを伺いたいのであります。
  15. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 昨年行政整理に当りまして、各官房局に置かれました部並びに庁に置かれました局の問題でありまするけれども、昨年の行政整理の際は、これを実施いたします上に、そういうものを置くことが必要であると考えまして、実は組織法改正ということも考えたのでございますけれども、その点にゆきましては国会の御要請によりまして一年間を限りという御修正になりましたので、その後政府におきましてもこの点に関する研究を十分できるだけいたして参つておる次第でございます。それでできれば成るべく早い機会にその研究の結果に基きまして、設置法改正等の方法によりまして御審議を煩わしたいと考えておる次第でございますが、只今お話になりましたようにこの存続期間を明年の三月三十一日までにするということは、事務的に考えましては結構であろうと思つております。
  16. 三好始

    三好始君 今の問題でありますが、第五国会でこの法律案審議した際、或いは各省設置法審議した際に、国家行政組織法七條第一項の規定に拘わらず局に部を届くことができる、こういう例外的な規定があつたことは委員会の問題の一つの焦点になつたわけであります。殊にその際に各省設置法において国家行政組織法七條第一項の規定に拘わらずという表現のしかたを取つておつたのは、国家行政組織法とこれに基いて制定されておる設置法とは同格であるという形式的な考え方に立つて規定であつて国家行政組織法の認識において委員会大多数の意見違つておる、こういうところから例えば通産省設置法の場合等、国家行政組織法七條第一項の規定に拘わらずというような表現を削除する修正を本委員会で可決いたしたような例もあるのであります。そういうところから生れたのが現行法の附則第二十四條の二の規定なんでありますが、これを今度の改正案によつて一ケ年延長するということになつておるわけであります。私がお伺いしたいのは、昭和二十六年五月三十一日までに局に置かれておる部を廃止されて、第七條第一項の例外をなくする方針を立てておられるのかどうか、そういう方針の下に準備が進められて、文字通り二十六年五月三十一日までの暫定的なものとして現在ある部を我々として考えていいのかどうかということを先ずお伺いしたいのであります。
  17. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) この点につきましては、いろいろ最高の方針もあるかと存じますが、現在設けられております行政制度審議会におきまして、今後の行政機構の改革につきまして審議せられておるのでございますが、その審議会におきましても、官房局の部はこれを廃止するという方向で進まれておる状態でございますので、それらは将来の機構の改正の上において大きな示唆になるのではないかと任じます。
  18. 三好始

    三好始君 只今答弁のような方針で準備が進められておるものとすれば、一応了承いたすわけでありますが、国家行政組織法七條第一項ではつきり「府及び省には、その所掌事務を途行ずるため、左に掲げる内部部局を置く。」という規定をいたして、何らの例外を第七條では認めておらないに拘わらず、ここの設置法国家行政組織法七條第一項の規定に拘わらずというような表現をして例外的に部を設置して行く、こういう変な恰好にならんように私達は希望するのであります。どうしても部を設けなければいけないということであれば、第七條自身を問題にしなければいけない、若し第七條を動かさないで、部は遠からず廃止するのだという方針がはつきりしておるのであれば、これはそういう準備の時を籍すという意味で、今度の改正案のようなものも止むを得ないということにもなつて来るのでありますが、その辺のことを政府の方としては明確にせられたいのであります。例外がいつまでも恒久的なものになつてしまう。今度附則二十四條の二について改正して一年期限を延長したが、その期限が来て又再延長するということを繰返すようなことになつたのでは困ると思うのであります。その辺の方針をはつきりさして貰いたいのであります。
  19. 大野木克彦

    政府委員大野木克彦君) 若し将来何らかの理由によりましてどうしても例外的な部というものがなければならんということになりますれば、只今お話のように七條自身が改正されなければならないと存じます。ただ従来のよろな形で徒らに延長を繰返すというようなこと吐いたさないつもりでおります。
  20. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  21. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記をとつて下さい。それでは午後一瞬まで休憩いたします。    午前十一時五十七分休憩、    ―――――・―――――    午後三時一分開会
  22. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 午前に引続きまして内閣委員会を開会いたします。  水産庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
  23. 山本豊

    政府委員(山本豊君) 大体の今回の改正の要点だけを私から申しまして、あとで逐條的に簡單に課長から御説明さしたいと思います。  今回の水産庁設置法改正の狙いどころは大体二つあるわけでありまして、一つは御承知のように先般通過をみました漁業法の実施の問題であります。漁業制度を全面的に改革するこの法案が先般の国会で通過をみまして、この実施を円満にやるためにどうしても内部の機構を若干いじりまして、この仕事の遂行に支障のないように膳立をしたいということが一つ。それからもら一つは、御承知のように先般魚類の統制の撤廃もありました。又資材関係等におきましてはだんだんと統制が逐次解除になりつつあるわけでありまして、その方面の仕事が漸次縮小して参りましたわけであります。そういう意味で主としてそれらの関係の事跡を縮小しまして、その余つた事務員を配置転換して、先程申しました漁業制度の改革の実施面にこれを充当したい、かような考えで今回の機構の改正考えたのであります。従いまして当初の考えでは、先程申しました漁業制度の実施に関して一つ新しい部制等を設けまして大きく打出したいと考えたのでありますが、種々の情勢を察知いたしまして、予算なり定員なりというものをこれ以上に増加することは如何かと考えまして、部の数も又課の数も現状通りにいたしました。その範囲内で或る課はなくし、又新しい課を一、二作り、課の数は同数であるのでありますけれどもそういうふうなやりくりをいたしまして、目下の事務の能率化を狙いまして今度の改正案を出したわけであります。簡單にその要点だけを申して見ますると。  第一は、先程申しましたように、漁業制度改革の実施に関する事務を水産庁の権限として新しく付加える必要があります。その都度実施の仕事を、現在部が三つございまして漁政部と生産部と調査研究部、この三つがありますが、それを漁政部の権限として小行うこと。  第二は、従来漁政部にありました漁船の行政、漁港の行政、この二つを生産部に振替えたのであります。その理由は、先程も申しましたように、漁業制度改革の仕事はやはり漁政部の仕事でありまして、そういたしますると現在漁政部には相当課の数が多いのでありまして、仮にこの関係の課を三つも加えますると、漁政部と生産部との事務のアンバランスといいまするか、そういう関係が非常に顕著になりまするので、暫定的の措置としましてそういう漁政部に新しい課を二つ三つ新設する代りに、現在ありまする漁船と漁港の行政を逆に水産部に振替えたのであります。これが第二点であります。  第三点は、最近の情勢といたしまして審議会を整理しろというふうな方針が、方針としてあるわけでありますが、その方針に即応いたしまして水産物規格の審議会というのが現在あるのでありますが、これを廃止いたしまして、その仕事は、現在ありますが今度この関連する法律国会に出ておりますが、農林物資規格調査会というのが現在あるわけであります。この調査会をして水産物の規格の関係事務も担当せしめる、こういうことにしたのであります。  第四点は東京水産大学と第いち水産講習所でありますが、これが先般の法律によりまして、今年度から文部省に移管しなければならん約束になつておるわけであります。いろいろと経緯はありましたが、文部省と円満な話がつきましてこのニ校を文部省の所管に移したわけであります。  以上四つが今回の改正の注目される点であると思うのであります。大体結論的に申しますると、予算も定員も変更はないのであります。ただ比較的不必要になつた課を廃めまして、重点的に仕事の多いところに新しい課を新設し、全体としても課の数も部の数も現在通り、こういう状況になつておるのであります。
  24. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) 私からそれでは逐條的に御説明を申上げることにいたします。  先ず最初の第二條の改正でございますが、第二條は現在の水産庁の所管事務の範囲を決めている條文でございます。それに今度の漁業法の施行に伴ないまして、漁業法に基く漁業制度の改革の実施に関する事務というものを新たに加えるということにいたしたのが第一点であります。それから次の十号として一号を加えておりますのは、これは実は條文の單なる整理にすぎないのでございまして、水産庁設置法は、今般の行政機関設置法が出る前に出ておりましたので、従つてその所管事務の範囲の指定の仕方がその後いろいろの行政機関設置法が出るに従つて大体の形ができて参りました。その形に合せるために第十号を加えることにいたしたわけであります。この十号の内容を申上げますと、これは現在行政機関なつております人事関係に関する仕事を細かく書いている農林省設置法のその規定をそのままここに引いて来たわけであります。  それから次の第四條の改正でございますが、第四條は漁政部の仕事の範囲を決めておる條文であります。これは先程次長からも詮明いたしましたように、漁業制度の改革の仕事を漁政部でやるということにいたしまして、それに関係する仕事内容を書いております。それは第三号と第五号でございます。それからもう一点は四号と、六号でございますが、沿岸漁業及び内水面漁業の指導監督、それから水産増殖に関する事務、これは現在生産部の所管になつておりますのを、漁政部の所管に移すということにいたしたい、こういう改正でございます。  それから第五條の改正は、これは第五條は生産部の事務の範囲を決めておる條女でございまして、その一号を改めまする改正條文の趣旨は、現在遠洋漁業の許可に関してはこれは漁政部で事務をやつております。その遠洋漁業の許可事跡を生産部の事務にするという改正でございます。それから二号はこれは現在すでに生産部においてこういつた仕事をやつておりますわけでありますが、それをはつきり事務の範囲として明文で設置法の中に入れたいこういう趣旨でございます。その必要が実は出て参りましたのは、近く電波法が施行されますと、国が持つております無線施設についてむやは力電波監理委員会の免許を受けなければならない、こういうことになりまして、そうしてその免許を受ける資格はその業務を実際に運営しておる主体に限る、こういうことになつておりますので、そこでそういつた仕事をやつておるんだということをはつきり法律規定いたしたいこういう趣旨でございます。それから五條に八号から十号までの三号を加えますのは、先程次長からも御説明申上げたように、現在漁政部に属しております漁船行政と、漁港行政を生産部に移すというための改正でございます。  次の第六條の改正は、これは一つは「水産試験場」とありますのを「水産研究所」に改めるという改正でございますが、これは全く整理洩れの改正でございます。それから次の第六号を加えますのは、これも現在水産研究所において、無線施設をもつて運営をやつておりますその仕事をそのまま、先程生産部の仕事の範囲において申上げたと同じような理由で、ここに法律で明定して置くという趣旨でございます。  それから次の十七條の五の改正は、東京水産大学並びに第水産講習所を文部省に移管するということに伴つてそれに関する規定を削除する、こういう改正でございます。それから第七條の六の改正は、最近政府の方針といたしまして、各種の審議会をできるだけ数を少くして整理して行きたいという方針に則りまして、現在ございます水産物規格審議会を廃止いたしまして、その仕事は農林物資規格調査会という委員会が現在農林省にありますので、そこの一つの部として今後は仕事を続けて行くという趣旨でございます。大体簡單でございますが以上をもつて説明を終ります。
  25. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御質疑がありますればこの際願います……。  もう一つ申上げるのは、水産庁設置法の一部を改正する法律案、この案のうちで漁港法関係におきまして修正を要する点があるので、政府から説明を願います。
  26. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) 衆議院の水産委員の提案にかかります漁港法が昨日を以て成立いたしましたに伴いまして、水産庁設置法の一部を改正する、只今議題になつております法律案修正する必要が生じましたので、その修正内容を簡單に御説明申上げたいと思います。  これは全く法律技術的な修正でございます。漁港法の附則におきまして現在の水産庁設置法を前提とした改正をいたすということになつておりますが、先程説明を申上げたように現在の漁港行政は漁政部で行なつております。ところが今度のこの水産庁設置法の一部を改正する法律によりまして、その漁港行政を生産部の方に移すということになりますので、現在漁港法の附則に規定されております第四号の改正條文というものは、これは無意味規定なつてしまうわけであります。そこで第四号の改正規定というものを漁港法の附則から落して行くということがどうしても必要になつて参ります。それが最後のこの法律の附則によつてそれを落すということにいたしておるのがそれでございます。  それからもう一点は現在の漁港行政については漁港の修築なり、修理の指導助成に関する事務だけの範囲に限られております。それが今度いよいよ漁港法が通りましたので、農林大臣の権限が広くなつたわけであります。その広くなつた点をここに規定する必要がございますので、現在の五條の改正規定の最後の十号というところを今お手許にありますように十と十一というこの内容に変えなければならないということになるわけで、そういつた点で修正を必要とするということになつたわけでございます。簡單でございますが一応御説明を申上げます。
  27. 城義臣

    ○城義臣君 この改正案の内容只今の御説明によるというと、予算も定員も全く従前と変りはないと、そうして全体としては部の数も課の数も同じだ、こういう御説明でありますが、これではいわゆるこの行政機構を簡素化して、国民の負担をして軽減せしめるという、こういう狙いから見まするというと、これは全く軍なる機構いじりであるというような誇りを免れ得ないのではないかというような感じもいたすのであります。仕事のボリユームが減ずれば單なる機構いじりでなしに、そのボリユームに応じた点を十分勘案して、いわゆる簡素化の線に副い得るという線も生じ得るのではないか、こういうような感じがいたすのであります。先ずこの点について政府の御説明を願いたい。
  28. 山本豊

    政府委員(山本豊君) 我々といたしましても折角機構をいじるのでありますので、そういう点も十分考慮はいたしたのであります。併し本来なればこの漁業制度の改革の仕事というものは、予算にいたしましても二億近い予算を持つておりますし、又戰後三ヶ年間に亘りまして全国的に漁場の全部の抹消をやり、又それに伴う新漁場計画を立てまして、而もその立てる漁場なるものは、いわゆる調整委員会というような海区的にできまする委員会でこれを取上げて、まあ民主的にやつて行く非常に大仕事でありまして、本来なれば是非この際そういう漁業調整部と申しまするか、漁業制度の実施に部くらいが実際は欲しいくらいであります。そういう線で当初はいろいろ考えたのでありまするけれども、四囲の情勢が行政機構簡素化、簡素化という方向にございまするので、又そういうことをやるためにはそれに伴う人件費、その他の予算の膨脹の問題がありますしいたしますので、その部の設置をとにかく見合すことにいたしまして、現在のままでいわゆる重点的な部面に、簡素化できた部面の人を配置転換いたしまして最善を盡くしていく、こういうつもりでやりくりいたしたのであります。従いまして外から見ますると、課の数なり、部の数なりに移動はないのでございますが、我々としましては更に部ぐらいを設置いたしたいという気持は多分にあつたのでありますが、それを差控えまして、その替りになくなる仕事についての人員或いは課等を整理いたしまして、そうして必要とする部はできなかつたのでございますが、課を二、三新設いたしまして、そうして事務の按配をとつて参つたわけでございます。
  29. 城義臣

    ○城義臣君 今の御説明をくだいて言えば、もつと仕事内容というものは、新らしい部門において拡大すべきものがあるのだ。そこで一方圧縮したものをそちらにもつていつたのだ、こういうようなふうに了解されるのでありますが、これはいつの政府説明を聞いても必ずそれをおつしやる。併しこれは全体的なもつと大所高所からいえば、私共とすればやはり基本的な機構の簡素化ということについては、国民の声を率直に聞いて欲しい、こういう主張を私共は持つております。役所に聞きますと、仕事内容は極めて室疎なものということを言う筈はない。いつも仕事内容はあるということですけれども、それでは今の日本の国家財政の面から見ても、国民経済の面から見ても決して簡素化ということは、百年河清を俟つがごときもので、実現不可能だ。そこで我々としてやはりこういう機械的にできるだけその線を活かすということが極めて必要である、こういうふうに考えるのであります。具体的な個々の問題を一々ここで論議すると時間を喰いまするので申上げませんけれども、我々とすればいわゆる概論的に言えば、もつと簡素化し得るのであるというふうな考え方を今でも持つておるのであります。併しこれは質問というか、むしろ意見に近い我々の要望なんですから、この点で止めますが、併しそういう国民があるということだけは十分考えられます。これに対する行政官庁として立案するに当つては、十二分に考慮を抑われるように将来に向つても私共は強く要望して置きます。
  30. 三好始

    三好始君 只今の城君の御意見と、結論的には逆な問題かも分りませんけれども、国民意見に基いて妥当な行政機構を考えて行くという点からすれば、先程申上げたのと逆な考え方と思うのでありますが、水産省設置の問題が古くから考えられ、今日も相当熱心に主張されておることは御承知の通りであります。水産庁ができるときに恐らく水産関係者は、水産省を設けたいのだけれども、それが四囲の情勢上できないとすれば、次善の策として水産庁も止むを得ない。恐らくこの程度の気持であつたのじやないかと思うのであります。日本の水産業が、国民経済、産業の上で極めて大きい比重を占めており、今後も益々そういう点が考えられて来るわけでありますが、そういうことから、水産省設置の要望が関係者の間に、特に漁民の間に昂まつて来るということは、これは一つ理由があると思うのであります。そこで諸外国の実例からして、水産省に相当する機関を持つている国がどの程度あるのかという問題と、国内各方面のこの問題に対する意見が、現在どういう状況にあるのか、このことについて承わりたいと思います。
  31. 山本豊

    政府委員(山本豊君) 水産行政の重要なこと、特に最近水産行政につきまして非常にやかましくなつて参つていることは、只今いろいろおつしやる通りであります。我々全力を盡くしてやつてはおるのでありますが、微力でございまして、天下の漁民の期待に副い得ないことは非常に遺憾に思つておるのでありますが、最近水産省の設置問題が、殊に漁民並びに漁業関係者の間に起つております。前国会のときでありましたか、衆参両水産委員会でもこの問題に関して可成り論議されたのであります。最近、ここ一月程前でありますが水産関係業者の主立つた人達が中心になりまして、水産省設置に向つて次期国会一つ、署名運動を起そうというような動きがあるわけであります。我々としましては、平素事務を執る上におきまして、農林大臣が、どなたがお見えになりましても、最近戰後の農林行政の非常にクローズアツプされた時代からの感じを申上げますと、結局食糧問題とか、続いては林野の問題でありますとかいうことが先ず先行いたしまして、率直に申しますれば、一人の大臣では到底水産まで手が廻わらんという感が非常に深いのであります。そのことが一つ。  もう一つは、最近の水産行政というものは、非常に岐路に立つておるわけでありまして、対外的に申しますと、戰後の食糧増殖に非常に貢献したにも拘わらず、いわゆる漁区の制限という現状でありまして、この拡張がなかなか遅々として思うように参らないのであります。近く講和会議等がありますということになりましても、その際に如何に有利に展開するかということにつきましては、水産庁としても非常な大きな責任を感じ、又問題であろうと考えておるのでありますが、それらの新しい問題に対処するだけの陣容も実はないのであります。  更には従来とかく問題になりました役所との関係の所管の問題がいろいろとありまして、例えば漁船につきましては運輸省と関連があり、又港湾についてはこれ又関係があり、或いは又貸材の面につきましては通産省と関係があり、これらがしつくりいたさないのでありまして、我々事務当局としましては、いろいろと苦心はしておるのでありますが、これが根本的な解決を見ないのであります。これなども一つには水産省ができまして、專管の大臣でも迎えるようなことができますれば、閣議におきましての発言もかなり効果があろうということを思い、我々としても期待はしておるのでありますが、ただ我々は行政官庁の一人といたしまして、現下の予算の非常に苦しいこともよく承知しておるのでありまして、その間、民間でいろいろの方途はあるのでありますが、我々としましては、よくその時期を見極めてかからなければならんと存じまして、実は前進も後退もできんような状態にあるわけであります。従つて今回のこの機構の改革につきましても、根本的問題はいろいろあるのでありますが、非常な事が大きくなりますので、我々としましては、当面の範囲で最大の能率を上げるように、とにかく苦心を拂つたわけでありまして、一方には簡にする点は簡にし、一方拡張すべき点は拡張して、そこで本当に国民の要望に応え得るような水産行政機構を作るのが根本だと考えておるのであります。大体の考え方はそういうことでありますが、ついでに各国の水産省の問題でありますが、カナダとノルウエーは水産省、水産大臣がおるわけであります。その外につきましてはまだ聞いておりませんけれども、殊に日本の水産というものは御承知のように、戰前では世界の漁獲高の三分の一を占めておつたような状況でありまして、戰後は必ずしもそこまでの回復は、敗戰国としての日本の立場もありますので、そうは困難であろうと思うのでありますが、併し日本の水産というものは、今後の日本のいろいろな原始産業の中では、最も伸び得る可能性があるのではないか。むろん国際信義、その他の関係相当な制約は覚悟しなければなりませんけれども、今日日本の国内の土地、或いは林野と申しましても、これはもうすでにはつきりと限界されておるのでありまして、むしろ国際的の信用を高めることによりまして、外へ何ぼでも伸び得る関係にあるし、水産行政というものが我が国の全体産業の今後の開発の上からいいましても、非常に大切ではないかというふうに考えておるわけであります。
  32. 三好始

    三好始君 只今の水産省の問題は、相当各方面に亘つて問題になつておることでもあるし、お伺いいたしたい問題もあるのでありますが、この問題を直ちに現在提出されておる法案審査の上で大きく取り上げるのもどうかと思いますので、一応この程度にして、具体的な問題で一二お伺いして見たいと思います。現行法の第七條の六に掲げておる審議会委員会等の問題でありますが、四つの附属機関のうち今回の改正案で水産物規格審議会を廃止することになつて、三つが残るようでありますが、先般通産省設置法案を審査いたしました際に、特に経済関係で民間人の参加しておる審議会等については、そのあり方について根本的な問題がある。こういうような点が特に司令部の意向としても表明されたようなことを承つたのであります。恐らく通産省だけでなくして、そういう考え方をとるとすれば、農林省関係なんか特に同様の立場にあると思うのであります。  そこでこの三つの附属機関のうち、特に中央漁業調整審議会であるとか、瀬戸内海連合海区漁業調整委員会であるとか、こういうものがどういうメムバーによつて構成されておるのか。民間人が入つて、そうしたものの意見が会の意思決定の上に相当の影響力を持つて来る。こういうことになつて、いろいろ通産省で一応問題になつたと同じような危惧の起ることがありはしないか。こういうことについて現在の状況を承わりたいのであります。
  33. 山本豊

    政府委員(山本豊君) この中央漁業審議会なり、瀬戸内海連合海区漁業調整委員会というものは、先般制定になつたばかりの漁業法に基いてできる審議会でございまして、これは在来中央でいろいろありました單なる諮問機関言つては語弊がありますけれども、そういう審議会とはやや事情が違うのじやないかというふうに考えられるのであります。漁業法の実施につきましては、政府、或いは府県の役人が独断で決めるということにつきましては、殊に漁業制度の改革に当りましては、いろいろと非難もあるわけでありまして、そういう意味でできるだけ民主的に、広く民間人の委員を以て構成いたしまするこういう機関で、決定機関とまでは参りませんけれども、かなり強い内容を持つ審議会なり、委員会なんでありまして、殊に中央におりまして出先の各沿岸の漁業権の状態というふうなものは、方向は示しましても、具体的にはなかなか一小役人等には分らないのでありまして、それらの意味で、大いに民意を反映さすというような意味合でこの委員会ができておるわけであります。  従いましてこれを一例申上げますと、今度削られました水産物の規格の審議会というようなものとは多分に事情が違うのじやないかというふうに考えるのであります。先般の漁業法の審議のときにもこの点がいろいろ問題になつたのでありますが、上論議の結果、非常によろしかろうということであり、又司令部方面でもこういう行き方を非常に催促されましてできた委員会であります。これは一応規定の上では、例えば中央漁業調整審議会は漁業法にございまして委員は漁業者及び漁業従事者の代表者が十人と、学識経験者が五人と、こういうふうな構成で、これは主務大臣――農林大臣の申出によりまして、内閣総理大臣が任命するようなことになつております。で、只今のところ、まだこの委員会ができていないのでありまして、目下各方面からこの代表者といわれるような委員の候補者の自薦他薦がぼつぼつ出て来ておる程度であります。今後これ等を最も公正な立場で処理するような人を選定いたしまして、任命いたしたいと考えておるわけであります。この瀬戸内海の漁業調整委員会につきましても、これは中央と地方の違いはありまするけれども、大体においてはやはり漁業法の実施面の具体的の計画等にタツチいたします――形は諮問機関でありまするけれども、相当内容を持つた委員会のような建前なつておるわけであります。簡單でございますけれども……。
  34. 町村敬貴

    ○町村敬貴君 私も漁業の方は詳しくは存じませんけれども、これも私やはり農業関係の方と非常に似ておると思うことは、漁業は日本の非常に大きな産業であることは、もうこれは誰しも分つておることでありますが、どうも一方政府の方でいろいろ水産庁あたりの計画を見まするというと、いろいろ進んだ非常な計画はあるのでありまするけれども、どうも実際面の方からこれを眺めて見まするというと、即ち漁師のつまり頭とか、又魚を売る、いわば実際の民間に供給をしておる方の、商売の方から見ましても、まだ余程の私は漁業というものに対しては、科学的に魚を扱うという点において非常に粗末があるのじやないかと思われる。勿論魚というものは建つたらすぐこれは卸しから小売りというふうに行かなければ腐るものでありまするから、その点は止を得ない点はあるのでありまするけれども、日本で獲れる魚の中にも、まだいろいろ科学的にこれを考えて行くというような面において、処理法において非常に無駄ができておる点があるのじやないか。外国あたりでは或いは完全な冷凍の設備、或いはこれの罐詰法というような行き方が相当に完備しておるために、その獲れる魚が、つまり少しもそつなく国民に使われて行くというような点が、非常に私は今後研究すべきことがあるのじやないか、例を挙げますというと、北海道の例えば「にしん」というようなものでも、これは外国ではあの「にしん」というものは非常なうまい貴重な魚として扱れまするけれども、例えば現在北海道で獲れておるにしんしが東京に来た頃には、もう我々が北海道で食べておるところの「にしん」とはまるで問題外な調子になつて、これが売り捌かれておる。だからさつぱり北海道の「にしん」が喜ばれないけれども、あれは皆生きて獲れておるのですから、元は腐つていなかつたものであります。まあこれは一例でありまするけれども、そういうような面において、どつちかというと、これは水産庁あたりで進んだ頭を持つて考えておられるのと、実際に行つておる漁師の頭、或いは魚屋の頭というものが、非常に低級であるということ、こういう面をやはり今後余程改良し、そうして魚というものを有効適切に使うという点に、これは非常に教育も、いろいろな点において、むしろ上の方の面よりも実際に行つておる面にまだ改良すべき点があるのじやないか、これは農業の面も同じでありまするが、完全な加工をし、そうして貯蔵に堪えるという面にもつと力を入れますならば、日本の魚というものは、まだまだ時期を外れたときでも、国民の食膳に供し得る点が非常に沢山あるのではないか、でこれにはどうしてもいろいろ魚屋さんの頭、或いは漁師の頭というものからも、非常に教育する必要がありまするけれども、これは水産庁あたりでも、もつど上の人の考えておる考えと、実際に扱つておる者との接触面をもつと強くやつて行くというような点に、非常に改良されれば有効に日本の魚というものはまだまだ使われる面が非常に多いのじやないか、こういう面についてつちよつと御意見をお伺いしたいのでございます。
  35. 山本豊

    政府委員(山本豊君) 只今お話は全く我々としましても同感でありまして、戰後非常にこの食糧が不足いたしました時代は、何でもかんでも或る程度は買手がつきまして、比較的有利に売れもするし、又消費者の方でも大切に扱つたと思うのでありまするが、最近統制撤廃というふうな現段階に入つて参りますと、只今のお読のような点が多分に考えられるわけでありまして、この日本の魚の、例えば一例を申しますると、関係方面などに参りまして、湖川区が狭い、これを拡めてくれ、そうでないと日本の漁業者は野たれ死するんだというふうな民間の声もあるんでありまするけれども、そういう声を我々が取次ぎますと、直ぐまだ日本は利用の仕方が足らん、こういうことをいつも言われておるのでありまして、どうも「にしん」の話が出ましたが、「すけそうたら」なんぞにつきましても、諸外国では非常に高級魚同然に優良に、調味その他におきましても完全に行つておるようであります。日本ではそれなどが非常に遅れておるわけであります。それが併しまあ在来のように魚の非常に拂底しておるときでありますれば、これはまあ需給の関係で、ある程度有効に行くのでございまするが、今日のようになつて参りますると、その点を非常に考えて参らなければ、漁民のためにもなりませんし、又広くいえば食糧政策の上からいつても、非常にロスが大きいと思うのであります。最近まあ一例を申しますると、南氷洋の捕鯨が帰つて参りましても、昨年度あたりは鯨肉が或る程度捌けたんでありまするが、今年あたりになりますると、牛肉が非常に下つて参りまして、とても鯨肉などはという一般の感じもそうでありまするし、又折角苦労して獲つて来た者としましても、格安の値段になりまして、採算が合わんというふうな状況になりつつあるわけであります。水産庁としましてもそれらの問題には関心を持つておるのでありまして、例えば北海道あたりで挙に非常に沢山獲れるもの等につきましては、東京或は大阪方面に出す数量は或る程度に止めて、残つたものを今のお話のように冷凍加工するとか、或いは「にしん」等につきましては、その他の処理方法も考えられると思うのでありますが、そういうことをいたしまして、長い目で有効にこれを処濁して行くということは非常に大切だと思うのであります。これはまあ衆参両院の水産委員会でも問題になつたのでありまするが、例の見返資金等を相当にこういう方面に注ぎ込んで頂いて、そうして貯蔵設備といいますか、冷凍設備といいますか、船に備えつけた高速度冷凍というふうに、そういう方面を大いにやる必要があるのではなかろうか。特に高速度冷凍を備えつけた船というようなものは、まだ日本には極めて進んでいないのでありまして、試験的にでもこういうことも口をつけて行つたらどうかというふうな考えを持つておるのであります。それと只今お話に出ておりましたように、そういうふうな研究自体がこれは水産関係は農林関係に比べまして、又日遅れておるのであります。先般この水産庁ができましたときにもそういうことも考えまして、調査研究部というふうな部制を独立させまして、ここで全国を八海区に分けた、水産試験場を水産試験研究所と改めまして、これを手足に使いまして化学的研究という方面についても相当に突つ込んで行きたいという態勢は今日取りつつあるわけでありますが、これ又まだ併し実効の上るまでに至つていないのであります。それと同時に、こういうものが或る程度データーその他のものが出ました場合に非常にそういうことに無頓着な、実際の漁業者に普及徹底させることがこれ又非常に遅れておるのであります。殊に金融問題等におきましても、漁民金融、漁村金融というこういうものは、これは又林業より遅れておるのでありますが、これが昔から言い伝えられておるように、宵越しの金は持たんというような貯蓄の根本精神、というと語弊がございますけれども、そういうことから非常に遅れておる。これらの改良から始めて参りませんことには、なかなか漁民金融もできないのでありまして、そういう方面の普及徹底につきましてもいろいろと考えておるのであります。併し役人の考えておることです。実践の問題になりますると、いろいろ御非難があると思うのでありまして、殊に漁業制度の改革の問題などは理論としては非常に立派でありますけれども、これも先程申しましたような何百万の漁民によく徹底させて、そうして自主的に解決させて行くということはなかなか絵に画いた餅のようでむずかしいと思うのですが、できるだけ我々もそういう方面に留意いたしまして、パンフしツトその他のことにつきましても、できるだけくだいたものを使わなければならんと彼らに言い付けておるのでありますが、そういうふうな仕組で漸次教育して貰わなければならんと考えておるわけであります。
  36. 町村敬貴

    ○町村敬貴君 只今の御説明でよく分りましたが、この前私がアメリカにおります時分に、或る会社はいろいろフイシミールを扱つておりました。そのときに日本のフイシミールも入つておりまして、若し日本でノールウエイあたりのようなフイシミールを、殆ど無味無臭というああいうものを使つて頂くならば、これは幾らでも需要がある。で、フイシミールの需要というものはただ單に肥料にするというふうなものじやなく、これは人間の食糧及び家畜の食糧、或いは化学方面、いろいろな方面に非常に需要がある。日本だつて決してこういうようなものができない筈はないと思う。魚の現品が一緒なのだから……、こういうことを言われたことがありました。そのときはまだ戰争前のことでありましたから、非常な豊富な日本のあれを持つておりました。そういう面について今後行けば、まだまだこれは水産というもの外国向けの方では非常に余地があるのではないか。随分粗末にしておるという点が非常にあるのじやないかと思います。
  37. 三好始

    三好始君 私十分に確める時間がなかつたので念のためにちよつとお伺いして置きたいのですが、沿岸漁業及び内水面漁業の免許及び許可の決定権は今誰になつておるのですか。それからそれを決める方法について極めて簡單で結構ですからお伺いして置きたいと思います。
  38. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) 沿岸及び内水面漁業の免許につきましてはこれは全部知事の権限になつております。それから許可の方もこれは全部沿岸、内水面は知事の権限でやつております。ただ沿岸漁業の中で、少し沖合の方のいわゆる我々が底曳と言つておる底曳の免許の一部が農林大臣の許可になつております。それから遠洋漁業の方は全部農林大臣の許可になつております。それからその場合の免許の方から申上げますと、免許につきましてはいろいろ漁業種類がございますが、いずれの漁業におきましても適格性と、それから優先順位というのがございまして、それは法律に細かくこういう資格を持つておる人でないと免許にしない、それからこういう條件に合つておる者が先ず番最初に考慮される。こういうものが漁業法に明記されておるわけであります。この條件に該当しておるかどうかということを、これは知事が決めるわけでありますが、その前に海区漁業調整委員会というのが大体各県に三つ乃至四つくらいできることになつております。その海区漁業調整委員会意見を聽きまして、それから知事が免許をする。こういうことになつおります。それから許可の方で地方の知事の許可になつておりますものについては、これは知事の裁量によつて決める。こういうことになります。  それから中央の許可になりておりますものの中で遠洋漁業でありますが、これにつきましては大体半年毎にこの漁業についてはこれだけの船を大体定数として一定の、それは自然とマツチして余り濫獲に陥らないように一定の許可の漁船数というものを決めて置く。その決める場合に中央漁業調整審議会意見を聞き、その決めた範囲内において申請に基いて許可をする。こういう方法、手続をとつております。
  39. 三好始

    三好始君 只今お話のように漁業に関する免許、許可が海区漁業調整委員会なり、地方漁業調整審議会審議に基いて、知事なり、農林大臣が決定するわけでありますが、そういたしますと、調整委員会なり、調整審議会なりのメンバーは、やはり一方に偏しないで、例えば特に大資本を持つたものにのみ許可免許が行われるというようなことが起らないように注意が拂われねばならんと思いますが、そういう点についてはどろいうふうな用意がありますか。
  40. 山本豊

    政府委員(山本豊君) その点は我々も全く同感でありまして、まだ人選の段階には入つておりません。それで今後人選をやるわけでありますが、只今お話のような趣旨に副いまして、政党政派にこだわらず、又いろいろ業種別の一つの業種に非常に縁の深いというふうな関係等もよく考慮いたしまして、最も公正妥当な人を選びたいというふうに考えております。
  41. 三好始

    三好始君 もう一点お尋ねいたしたいと思います。現行法の第八條の水産駐在所の問題でありますが、この條文を見ますと、水産物の需給調整及び漁業の許可の施行に関する事務の一部を分掌させるために臨時に設けられることになつているわけでありますが、水産物の統制撤廃等に伴いまして、水産駐在所の比重というものも、この條文から言いますというと、余程軽くなつたような印象を受けるわけであります。水産駐在所に対する今後の方針等について承わりたいと思います。
  42. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) その前にちよつとミス・プリントがございますので訂正させて頂きます。それは第八條の今おつしやつた「水産物の需給調整及び」というのがございますが、これはミス・プリントでございますので、削つて頂きたいと思います。これはこの前の漁業法の施行法によつてそこは訂正されております。今後の仕事内容は、従いまして新漁業法に基く許可の一部をやらせる、この場合大体我々として現在考えておりますのは、漁業許可についてはこれは漁業法の規定に基いて知事なり、或いは農林大臣が必要と認めた漁業種類を捉えまして、そうして許可漁業にする、こういうことになるわけであります。その場食にいろいろな海区によつていろいろ漁業の種類もまちまちでありますし、それから漁業の実態というものも相当まちまちであります。そういつたものをよく調べた上でないと、そういつた措置がなかなかとりにくい、そういう大体において調査ということが主とした仕事になる、こういう考え方で現在おります。
  43. 三好始

    三好始君 水産駐在所は第八條によりますと、臨時に設けられるものになつているわけでありますが、これは恐らく水産物の需給調整というような点に重点が置かれた当時の考え方じやないだろうか、それは漁業の許可等に関する調査本位のものになつて行きますと臨時にという表現が果してぴつたりしておるかどうかということも一応問題になるのじやないかというふうに考えられますし、水産物の需給調整という事務がなくなつて来ると、水産駐在所の位置であるとか、或いは定員であるとか、こういうものにも変動が起るのではないかというような点も考えられるのでありますが、これらはどうなつておりますか。
  44. 山本豊

    政府委員(山本豊君) 只今漁政課長から申上げましたように、我々もこの水産駐在所は永久に置く気持はないのでありまして、ここにございますように、まあやはり臨時という考えであるわけでありますが、今までは需給調整の仕事も駐在所の重要な仕事であつたわけであります。これは今後の問題としまして、この新らしい漁業制度の実施に関連いたしまして、各種、例えば一例を申しますると、漁業の入会の調整に関する調査でありまするとか、或いは底曳の漁業に関する資源、先程申上げましたような資源の関係でありますとか、或いは沖合の漁場についての実態の調査でありまするとか、大体そういう調査ものになるわけでありますが、こういうふうな観点から今暫く漁業法の実施、これはまあ今後三年かかるわけでありますが、その間ぐらいは是非これは活用いたしまして、一局部になずまず、一つ中立的な立場でよく実態を極めて貰うような意味で、一つ中央の手足になつて頂きたい、こういうように考えておるわけであります。尤もそういう意味でありますので、時期到らば先程どなたかからお話もありましたように、簡素化の線に副つて、更に再検討する必要があろうと思つております。
  45. 城義臣

    ○城義臣君 簡單に伺いたいと思います。先程私は簡素化を発言したものでありますが、この問題と離れて考えたい。それはいわゆる水産行政の重要性というものは、国民齎しく認めるところであります。従つてこの機構の問題ですが、業者関係ではあくまでもその重要性を前提として、独立の省として行くという声が強かつたのは、すでに第三国会あたり水産委員会でも相当議論が出ておる。このことは私はよく承知しております。ところで現在、例えば行政審議会等において、農業水産省というふうなものなどの構想が、現に発表されたりしておりますが、率直に水産行政の当面の重要な案をお示しになつていられる各位として、この問題をどういうふうに考えていらつしやるか、率直に御意見を参考のために伺いたい、こう思つております。
  46. 山本豊

    政府委員(山本豊君) これはまあ農林省の省内でもいろいろ論議をしているわけでありまして、一応の見解官房長を通じて行政審議会にも伝えてあると思うのでありますが、只今の折角のお話でありますので、これは私の本当の私見でありますが、水権庁の意見というわけにも参らんのでございますが、ちよつと考えていることを申上げて見たいと思います。今度の行政審議会で農水省ということにしたらどうかということ、林野はこれは国土省、こういうお考えのようであります。詳しくは私も承つておらんのでありますが、新聞等から見た程度の知識しかないのでありますが、そういう前提で考えて見ますると、私はこの林野行政というものが国土省に行くことについては反対なんであります。それはなぜかと申しますと、由来農林省は大体が農家経済というものを中心にして行政をやつて行つたのでありますが、ところがそれが日華事変以後非常にそれがもう重要視されて参りまして、殊に戰時中は物資が非常に窮屈になりました関係で、すべて物の行政に変つて参つたと思うのであります。併し今日におきましては又再び元の状態に帰りつつあるという状況であります。殊に自由経済の立場になりますると、農家経済というものはなかなか圧迫を受けまして維持が困難になりて来るのじやないか、こういうような観点からいたしまして、農家というものは、軍に農業だけでなく、畜産、蚕糸は勿論でありますが、山村におきましては林業も併せていわゆる多角経営を中心として農家の地位を高める、こういう方針でやつて行かなければならんのではないか、そういたしますると、林業というものは、別の見方もあろうかと思うのでありまするが、やはり日本の零細農家というものからは切つても切り離せないのじやないか、もう一つは国土省というものはこれはできて見なければ分らないのでありますが、我々の想像ではこれは経済省でなくて純然たる経済を扱つておる農林省の配下にあります林業行政というものを、経済省でない国土省に移管するということは、そういうような先程申しましたような意味合からいたしましても如何かというふうなまあ感じを持つておるわけであります。ただ年来いろいろ議論のありまするいわゆる砂防の問題もありまして、この問題は或いは予算或いは工事の関連性という意味から言いますると、或いは国土省へ行くというようなこともこれは或いはいいことかとも思うのでありますが、そういうふうな意味で私は林業関係が国土省へ行くことについては反対であります。逆に水産につきましては、これは先程も申しましたような農家を一体とした経済という観点から見ますと、無論漁業にも兼業はありまするけれども、殊にこうした遠洋漁業等も開かれておるのでありまして、こういう意味からいいまして、こういう際に水産が、事情が許せばむしろ林野を他に持つて行くよりも、水産を切り放して独立させる方がいいのではないか、これは庁でも省でも私はなんでもいいと思うのでありますが、内閣に所属させるのでも結構と思うのでありますが、それがより合理的ではないかというような意見を持つておるわけであります。
  47. 三好始

    三好始君 他に御質疑がなければ大分法案が溜つておりますから、問題の要点も略々明らかに……。
  48. 河井彌八

    委員長河井彌八君) ちよつと、二私お尋ねいたしたいと思います。第二水産講習所というのはあるのです、か、第一水産講習所は文部省へ移すというのですが、第二水産講習所はここに改正機構の中にありますが、これはあるのかないのか、これはどういうふうにここに存するのか、これをお伺いしたいと思います。
  49. 山本豊

    政府委員(山本豊君) 第二水産講習所は現在下の関にございまして、これは現在通り農林省の所管で一応行くという建前なつております。この点については文部省と経緯がございまして、我々の方としましては、單科大学で東京水産大学と同じような重科大学でやつて行きたい、所管は勿論文部省に移つて結構だ、こういうまあ考え方を持つております。ところが、文部省は山口大学の一学部にしたらどうか、そういうことなら大学昇格を認めるような空気が設置委員会の方にあるとこういうようなお話で、その点の話が付かないもんで、現在従来通り農林省が所管するということにいたしております。
  50. 河井彌八

    委員長河井彌八君) そうするとこれは当分のものですか。どうですか。
  51. 山本豊

    政府委員(山本豊君) 永久になります、大学になりますと、大学令によつて現在規定も初め申上げるように四月から行くこういう話合であつたわけです。それで実際内容を見ますと、文部省なり現在の水産講習所が昇格するわけでありますが、これは水産庁でやつてくれというわけですけれども、大学の関係がありまして、運営についでは当分文部省とよく相談し合つてつて行こうという了解の下にきれいさつはり認めたのでございます。
  52. 河井彌八

    委員長河井彌八君) もう一つ伺います。日光の養漁場の管理というのはこれはどうしてこんなものをここに残すのですか、特に必要なんですか。
  53. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) これは昨年まではあそこが宮内省から物納になりまして、大蔵省の所管に移りまして、それと同時に林野庁にあそこ一体の管理を委せるということになつて昨年はやつておつたのであります。それを今度は大蔵省の方と林野庁の方と水産庁と三者の話によりまして、あの施設だけは水産庁が管理するというのが一番いいだろう、それから又水産庁といたしましても、現在日本で冷水漁の試験のセンターというものを全然持つでおりません。従つてあそこが一番冷水漁の養殖試験のセンターとしては最も適当な條件を備えております。そこで水産庁といたしましては、大蔵省から無償で移管を受けるということで、この前の漁業法の施行法の中に一條を加えて頂きまして、そうして移管を受けた、こういうことになつております。
  54. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 水産庁にはその試験等について十分な知識のある人はいるんですか。
  55. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) ございます。
  56. 河井彌八

    委員長河井彌八君) ここだけに限つていいんですか。
  57. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) それはもう少しセンターを持たなければならんのですが、それは予算との睨み合せもございまして、急には行かないと思います。これは設置法にございます、いずれは設置法にございます淡水区の水産研究所というのが東京に一応設置されております。この研究所附属機関として育てて行きたいという将来の考えとしてはそち考えておるわけです。
  58. 河井彌八

    委員長河井彌八君) もう一つ、漁船の建造については、これは許可は必要ですか。これは自由に建造できるんですか。
  59. 山本豊

    政府委員(山本豊君) これは許可が必要なんです。現在のところは大体業者から水産庁にその申請がありまして、それを水産庁といたしましては鋼船等についてはN・R・Sの許可もあるのでありまして、そういう申告をし、そうでないうものは水産庁で吟味をいたしまして、これを運輸省の方に廻すわけなんです。そうして運輸省は大体これを機械的にこつちのお膳立したものに許可して頂いているわけであります。運輸省の見解ではこれは資材があり、できれば多々益々便ずる考えでおるわけです。水産庁といたしましては、最近資源の問題もありますし、無暗にこれができたんではこれは又好し惡しでありまして、そういう資源の関係上睨み合わしてそうしてやつて行こうというわけで、多少見解も違うのですが、実際の今までのやり方は水産庁に事実上は委されておるような恰好です。形式上は運輸省の許可を受けることになつております。
  60. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 実際各府県で沢山造つておるんじやないですか。
  61. 山本豊

    政府委員(山本豊君) 正式にはそういうことはあり得ないのですが、密漁船とか……。
  62. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) 十五メートル以上のものが運輸省の許可を受けることになつています。船の長さが……。それ以下のものは許可を要しない、結局これは各県ばらばらにやつているわけです。
  63. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 登録はどうするのですか。
  64. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) 登録は、これは水産庁でやつております。小さいものでも……。
  65. 河井彌八

    委員長河井彌八君) そうすると造つても登録ができない場合があるのですか。
  66. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) これは登録のあつたかどうか、現実にあればそのまま……。
  67. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 燃料との関係はどうなんですか。
  68. 山本豊

    政府委員(山本豊君) これはまあ登録前だから必ずやるというわけじやない。まあ無許可船とか、それから登録のないものは無論これは考えないのですけれども、実際問題としては大体正当な船を免許にし同時に漁獲高等を根拠にして、府県別に石油を割当しておるわけです。資材調整事務所から許可を受けるこういうことになつておるんです。
  69. 町村敬貴

    ○町村敬貴君 太平洋の方に今度大きな漁区が殖えたのですか。、
  70. 山本豊

    政府委員(山本豊君) 東の方に……。
  71. 町村敬貴

    ○町村敬貴君 あれはどんな資源のあるものですか。
  72. 山本豊

    政府委員(山本豊君) 「かつお」、「まぐろ」です。大体「まぐろ」です。
  73. 町村敬貴

    ○町村敬貴君 あれに出るためには沿岸漁業の小さい船じや駄目でしよう。
  74. 山本豊

    政府委員(山本豊君) 相当大きなやつでなければ駄目です。「かつお」、「まぐろ」の組合がありまして、大体そこに所属しておるようなまあどれ位か、二百トンくらいないといかんだろうと思います。
  75. 町村敬貴

    ○町村敬貴君 二百トンくらいなら安全なんですか。
  76. 山本豊

    政府委員(山本豊君) 安全とは言えませんけれども……。
  77. 町村敬貴

    ○町村敬貴君 あれなんか今後非常に余地があるわけですね。
  78. 山本豊

    政府委員(山本豊君) ええ。
  79. 河井彌八

    委員長河井彌八君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  80. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を始めて下さい。それでは水産庁設置法の一部を改正する法律案はこの程度に止めて置きます。   ―――――――――――――
  81. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 次に恩給法等の一部を改正する法律案、これを議題といたします。
  82. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) この前の委員会におきまして三好委員から統計のことについてお尋ねがございました。それにつきまして取急ぎ調べましたところを申上げたいと存じます。  その一つは多額所得者の停止に関しまして、大体の人員数がどのくらいあつたかというお尋でございました。昭二十四年度におきまして一応一万五千円以上の恩給受給者につきまして調べまして、そうして停止すべき人であるかどうかということをきめますため税務署の方に恩給外所得税の照会することにいたしました人員は三万九百五十四人であります。或いは取急ぎまして若干の数の違いはあるかも分りませんが、大体三万九百五十四名であります。そうして昨年の末までに税務署の方からこの一応の回答がございましたものが二方八千九百五十四という数になつております。まだ回答がございませんものが二千九百件、約三千件ばかり来ておりません。これも逐次参つておりますので、これは遅くなりましても法律規定通りに追つかけてでも停止すべきものは停止するようなふうにいたしたいと思います。これは恩給法の臨時特例の中にございますようなふうに、その次の年度になりましても停止できることになつておりますから、遅れたものについては翌年度でも停止するようにいたします。今後は税務署の方の事務が整つて参りますれば自然報告も早くなりまして、こういうふうな報告が遅れることもなかろうと思いますが、今のところはそういうふうになつております。そこで今度は停止しました金額でございます。現実に停止いたしました金額でございますが、昨年その税務署からの報告によりまして、一応停止の手続をいたしましたものが三百十八万七千九百三十七円ということになつております。この前の委員会のときに私が申上げましたのは数がこれよりも多かつたのですが、これは本年の三月末まで予定いたしましたからです。それから昨年末の統計はそのくらいでございますが、その後も相当出て来るのじやなかろうかと思つて、実はこの前の委員会で申上げましたような数を申上げたのでございますが、或いはそれだけの数が来ないかも知れませんが、大体今まで来ております報告によりまして、現実に停止いたしました金額は申上げた通りであります。  それから今度は加算のつく地域に勤務している人員はどのくらいあるかというお尋ねでございましたが、これにつきまして取敢えず急ぎまして関係の各庁に照会いたしまして三分の二月加算のつくところ、二分の一月加算のりくところに勤務いたしております公務員につきまして調べましたところが、その総数は五十七人ということで、現在のところ非常に少いのでございますが、これは燈台一辺陬の地なんかに勤務しております関係上、勤務人員が少いからそうじやないかと思います。その内訳は三分の二月加算のつきますところに勤務しておりますものは二十四名で、二分の一月加算のつきますところに勤務しておりますものは三十三名になつております。以上であります。
  83. 三好始

    三好始君 前回に引継いて数点の質疑をいたしたいと思います。  一つは辺陬、又は不健康地の指定の問題でありまするが、現在の別表第一号に掲げられておりますのは全部が島になつておるようであります。ところがこういう地域を拡張して行けば際限がないと思いますけれども、恐らく追加しなければいけないのじやないかと思われる地域がまだ相当つておるんじやないかつ島以外にも非常に辺陬の深山で勤務しておる森林関係の公務員であるとかいうものも別表第一号に掲げられていいのではないかというふうな感じもいたすのであります。勿論これは地域を限定することが非常にむずかしい。島のようには簡單に行かないという点も確かに考えられますけれども、現実には指定の必要が認められる点も相当あると思うのでありますが、これらの点についてどういうふうにお考えなつておりますか。
  84. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 今度燈台二つを辺陬不健康地に指定することにしてこの案に出しましたのは、これは従来認めておりましだその程度と申しますか、その程度を下げるというような趣旨からこういうふうにこの案を出したわけではございません。先日御説明申上げましたように、現在認められておりますところの長崎県にある大立島と比較いたしまして、今度新らしく指定地といたしまする二つの地域は当然同じような取扱いをしていいのじやないかということを考えましたのでこのようにいたしたわけであります。勿論最初燈台の加算について、こういうふうに現在のように指定いたしましたのは、それぞれ相当理由があつてされたのだと思うのであります。これは一応慎重審議をされて決められたことであると思います。従つて今度この加算地域につきましてこの現行の外に新らしい地域を加算のつくような取扱いをするとか、或いは現在加算の認められておるものにつきまして、尚一層有利な加算のつく地域に指定するというようなことにつきましては、いわゆる程度を下げるといいますか、そういうふうな取計いをすることになりますので、これは余程慎重にしなければいけないことだと思います。今度の二つの島につきましては関係当局の方から大立島との比較の問題もありまして、かねがね強い要望もされて来ておりました。これも私達の方におきましては、今申上げましたようにすでに既定の事実として一応加算のつく範囲から外してしまつておりますから、今度既定の事実としてはずれているものをこんなふうに認めるにつきましては、これは如何なものかと考えたのでありますが、これは考え直して見まするというと若干の補正するといいますか、一応私達の認定を以て加算の外に出るべきものだろうと考えていたのが、実はこの加算さるべき中に入れても然るべき、いわゆるすれずれのところぐらいのものと、こういう考えに至りましたので実は入れたようなことでございます。従つて今申上げましたように、繰返して申しまするが、決して今度加算を認める程度を下げるというようなことを考えたわけじやございません。先日のこの委員会において説明の際に申上げましたように、この燈台の勤務者の全般につきましては、この辺陬不健康地の加算を現在認められている以上に範囲を拡げるか、拡げるべきでないか、或いは又今度のように補正という見地から若干直すべきものがあるかどうかというようなことにつきましては、荷今後も検討を、関係部局の要望もありまするから、続けて行きまするけれども、これは程度を下げるというようなことは、そう簡單には私達すべきでなかろうと思つております。今お話の島以外にいろんな、これと同じような、又これに準じて坂扱うべきところがあるのではなかろうかというお尋ねでございまするが、一応はこの恩給法の中でこういうふうな制度を作つております今日におきましては、加算の範囲については一応線を引く、既定の事実として線を引かれたところまで認めると、こういうことにして行かなければいけないのじやないかと思います。従来は外地におきまして、それ以外に島でないところで、このような加算の認める所があつたのじやないかと思つておりますが、今古い恩給法の規定を持つて來ておりませんのでちよつと即答いたしかねますが、日本内地におきましては、この加算の制度が布かれましてから、結局比較の問題でございまするけれども、今お話になりましたようなところにつきましては、ここに認められておるものに比較して加算をつけるものでもなかろうという、こういう認定をいたしておるのであります。
  85. 三好始

    三好始君 恩給法の改正規定のうちで、提案理由の御説明には條文の整理というふうに出ておりまうけれども、そのうちの恩給法『第八十二條第三項中第五項を1第四項に改める。』という改正法の、これは條文の整理でなくて、現行法のミスの訂正でないかというように思うのですが、これは如何ですか。
  86. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) これは昭和二十三年の法律第百八十五号によりまして第五十九條ノ二の第三号を削除したのであります。その削除した際に当然この條文を整理すべきであつたのでございまするけれども、その整理すべきものが洩れたりであります。それでまあそのまま放つて置くわけに行きませんので、この洩れましたものを遅くなりましたけれども今回の條文にて整理しよう、こういうことなんであります。
  87. 三好始

    三好始君 この問題と同様の事情にあるのではないかと思われる点が残つておるように思いますので、一応お伺いしたいのであります。  それは現行法の第六十四條の関係でありますが、現行法の第六十四條の第三項の規定中一第六十二條第六項の準用は、これは間違いでないかと思いますが、第六項の準用ということになるとちよつと変なことになるようです。
  88. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 今のお尋ねでございますが、お話のようにダブつておるということであるが、無意味規定でありますが、それがこの前の條文整理の上からいたしまして、六項が或いは五項の間違いになつておるかとも思いますし、これはちよつと今わかりません。私法文の基になる原本を確めまして一そうして整理すべきものであるならば、これは整理するようにいたしたいと思います。
  89. 三好始

    三好始君 次の問題に移りますが、改正法律案の第三條に関連してお伺いいたします。改正法律案の第三條によりますと、恩給法の一部を改正する法律昭和二十二年法律第七十七号)の部を次のように改正する。」という表現になつておるのでありますが、この第三條で言つておる一恩給法の一部を改正する法律しというものが存在するのかどうか。私達の常識からしますと、法律の一部改正案が成立しましたならば、それは基になる法律に吸收されて、單独に一部改正法律というのが存在するというのは、少し変なんじやないかという気持がするのであります。これは恩給法の場合に特に認められる法律の整理の悪い状態を現わしておるんじやないかというような感じがするのであります。この第三條に関係する改正法律だけでなくして、恩給法を見てみますと附則というのが沢山付いております。こういう形は恐らく外の法律には全然例がないのじやないかと思うのです。つまり現行恩給法自身が非常につぎを無数にくつつけて、未整理のままの雑然たる法律なつてハ極めて分りにくい形になつておるのじやないか。これを整理してもつと明確に分り易い形に改める必要があるのじやないか、こういう気持がいたすのであります。これができておらないために法文を一見して内容を理解するのに非常に苦しむ点が多いのであります。例えて申しますと、昭和二十三年法律第百八十五号の附則のごときは、私達見して何のことやら余り分らないのであります。例えば第二條では一この法律施行前禁こ以上の刑に処せられた者については、なお従前の例によるしすべてこれと同じような「従前の例によ、る」という表現で殆んど満たされておるような形で、これだけでは何のことやら内容を理解し難いのであります。これらは恩給法全体を近い機会に整理して明確なものにする必要を感ぜしめるものでありますが、これに対する御意見を伺いたいと思うのであります。
  90. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 今のお話の恩給法が非常に分りにくくなつておるというお話は、私も同感でございまするが、今指摘されましたところの恩給法の一部を改正する法律云々のことでございまするが、これは昭和二十二年の法律第七十七号によりまして恩給法の一部が改正されて、改正された所は、本文の所は恩給法の中に入つて来ておるわけであります。そこの経過的な規定というのは附則にある。その経過的な規定というものはどうしても本文の中に入れられませんから、結局附則として残つて来なければならん。恩給法が度々改正されるご上に、改正されまするものの経過的な規定は本文でなく附則に入りますから、その附則が集まつて来て今お手許に差上げておりまする恩給法令に附則が沢山になつて来ておるわけであります。今度の改正の所の、恩給法の一部を改正する法律のこの改正案としてここに出しましたのも、これも経過的な規定として附則の所の改正をするわけであります。恩給法の本文の中に入つておりますれば、勿論恩給法の本文の改正でやれるわけでございますけれども、附則なものでございますから、書き出しようがこれより外ないのでございます。従来からこういう取扱は法律手続として認められておるところでございまして、私なんか見ますれば不思議でもなんでもない、これは当り前のことだと思うのでございますけれども、或いはお分りにく、い所があるかも知れませんが今申上げますように経過的な規定として附則の中に入つておるから、どうしても本文の中に整理しても入れられないのでございます。附則は附則としてどうしても残して置かなければならない。本文の中に入るべき性質のものでなかろうと思つております。
  91. 三好始

    三好始君 改正法律案の第四條の関係でありますが、法案の七頁であります。この中で終りから三行目に「これを同法第十九條第一項に規定する公務員として」云々という表現があるのでありますが、ここで使われておる1同法しという表現が果して適当なのかどうかと、いうことが問題なんであります。同法という言葉を使う以上、それ以前に法律名前がはつきり出ておらなければいけないわけなんでありますが、ちよつと見ましたところ、警察法の附則第七條に、恩給法という名前は軍に括弧の中に出ておるに過ぎないのであります。括弧の中に出ておる恩給法という名前を直ぐ後へ承けて、「同法」という言葉で次ぐのが適当かどうかという問題なんでありますが、これは如何でしよう。
  92. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 今お話のように恩給法というのは括弧の中に入つて来るのでありますから、これを今の括弧の中に入つている恩給法を括弧の外に置いて同法と引くのは、これは当を欠いてはいないかというお尋ねだろうと思います。一応私達も考えたのでありますけれども、これで差支ないのではないかというようなことで実はこういうふうにいたしております。
  93. 三好始

    三好始君 同じく第四條の関係でありますが、法案八頁の真中どころにある第三号の「警察長又は前二号に掲げる者以外の警察吏員」が文官として取扱われておる理由について承わりたいと思います。
  94. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 警察監獄職員として恩給法で従来規定されておりましたのは、警部補以下のいわゆる警部補、巡査部長、巡査、こういうところであります。その外のいわゆる警察職員につきましては、従来から警視、警部というものがございましたが、現在の警察制度におきましては、下の方の、警部補以下におきましては、ここに一、二掲げておりますように、警部補、巡査部長、巡査というのがあるわけでございますが、従来の警察職員の中の警部以上のところの職名は、いろいろ変つておるところも、場所によつてはあるようになつております。そこでその中の警察長というのは、これははつきり分るのでございますが、その外の例えば警視でございますれば、警規正というような名前のものを使つたり、或いはその他いろいろの名前を使つております。それを引括めまして警察職員の中で従来から警察監獄職員として取扱を受けておりました者に相当する者を一、二に挙げました。それからその外の警察職員は、従来も文官と同じような取扱を受けておりましたが、今後も文官と同じような取扱をする、このような趣旨からいたしましてまとめて三号のような規定を別に設けたのでございます。
  95. 三好始

    三好始君 この三号には「警察長又は前二号に掲げる者以外の警察吏員」となつておりますが、「前二号に掲げる者以外の警察吏員」ということになりますと相当範囲が広くなつて、これらを文官として取扱うことが適当かどうかについては疑問になるような点が起りはしないか、一号、二号に掲げたものだけが警察監獄職員としてみなされるということになると、名称の上からも不自然な結果が起りはしないかということが一応考えられるのでありますが、そういうことはありませんか。一つお尋ねします。
  96. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 警察吏員というのは階級の設けられておりますいわゆる警察官を考えているのでありまして、警察ではそういういわゆる警察官以外に国の警察官を考えられるわけですが、市町村の警察におきましては警察官という言葉を使えないのであります。いわゆる市町村の警察におきましては自治体の職員になるわけでありまするからして、どうしても警察吏員という言葉でこれを表現する外になかろうと思います。ですから国家警察における警察官に相当する者を指しておるのが警察吏員というわけであります。四十六條の四号の方は、これはその警察に勤務し七おりまするいわゆる警察官以外の一般の職員がいます、これは文官たる職員が……、これを指して四号に掲げておるわけでありまして、今お話のように、警察吏員といろいろなものを広く含めまして言えば、或いは四号の方も入つて来ることとなり広過ぎやしないかというような意見も出るかと思いますし、又四号をこれを広く解釈しますると、その外いろいろ出て来るたとえば書記につきましてはどうだ、従来の官吏の書記と比較してどうだとか、或いは従来の官吏の雇員に相当する者があるのじやないかというようないろいろの御意見が出るかと思います。そうしてそういう見地からいたしますというと、非常に広過ぎるようになつていやしないかというような意見も或いは出るかと思うのでございまするが、この規定は何と申しましても従来恩給法上の公務員であつたものが、地方自治体の警察職員になつた場合の規定を設けておるわけでありまするからして、従来恩給法上の公務員であつたものが、今申上げまするようなふうに、従来の官吏の場合で比較しますれば、雇員というような者に成下つて行くというようなこともないのじやないか、こういうふうに実は考えております。それでまあここで書いているような書記というようなものになつたといたしましても、これは従来の恩給法上の公務員に相当する者、或いはそれ以上の職にある者と、こう考えて一向差支ないのではないかと、こういうふうに考えております。
  97. 三好始

    三好始君 実際問題として一市町村警察の職員には警部という名称を持つた警察吏員もあるのではないかと思うのでありますが、この規定によりますというと、警部である警察吏員は、恩給法第二十三條に規定する警察監獄職員とみなされないということになるのですが、それが不自然の結果を生じませんか。
  98. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 恩給法上に警察監獄職員と申しまするのは、警部補、巡査部長、巡査でございまして、警部は警察監獄職員の取扱をせずして巡査、巡査部長、警部補と同様の取扱をせずして恩給法上は、一般文官と同じような取扱をいたしております。從いまして今お尋ねのようなことはないのではなかろうかと思つております。
  99. 三好始

    三好始君 改正法律案の附則第一項の施行期日の問題でありますが、この施行期日を一見しますというと、それぞれの規定によつて施行期日を著しく異にしておるのであります。殊に目立ちますのは、相当つてこの改正法律が適用される予定になつておりますが、法律が過去に遡及しないという原則が、応あるわけでありますから、これは適用を受ける者の不利益になるよりたい性質のものであつたらこの原則は絶対に守るべきものであるように私は思つております。又不利益にならない性質のものであつたならば、法律は過去に遡つてはならないという法律不遡及の原則は必ずしも厳格に守らなくても例外もあり得ると思うのでありますが、それにいたしましてもここにありますように昭和二十二年五月三日から適用するというような遡及の仕方は非常に不自然さを感ずるのであります。こういう結果になつた事情について一応承つて置きたいと思います。
  100. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) これは特に今度こういうふうに二十二年五月三日に遡及してやろうという新らしい問題ではないのでありまして、この図書館法の制定に伴いまして、法律規定関係上、こういうふうなことを分り易くするために実はしたことなのであります。これを今から御説明申上げます。
  101. 三好始

    三好始君 簡單で結構です。
  102. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) ちよつとややこしいかと思いますが、この公立図書館の職員は從来官吏でございましたのですが、これが昭和二十二年の五月に新らしい憲法が施行されまして、これが地方の吏員に移管されました。そこで従来公立図書館の職員であつて、身分が、今申上げますように新らしい地方制度ができまして、地方の吏員の身分に切換つたものにつきましては、昭和二十二年の法律第七十七号の恩給法の一部を改正する法律の附則第十條によりまして、右のような地方制度の新らしく施行される際に、公立図書館の職員であつた従来の官吏、そういうようなものにつきましては地方の吏員になりました後におきましても当分の間恩給法を準用して従来通り恩給法上の公務員の取扱をするということにして今日まで来たわけです。今度図書館法が新らしく作られまするというと、今度どういうことになるかと申しますると、図書館法の規定によりまして、この間ここにおきまして私が提案理由説明の際に御説明申上げましたように、県の吏員となつておりましたところの、この今申上げました公立図書館の職員で、今度は市立の図書館に勤務しておつた者につきましては、市の吏員になるわけでございます。市の吏員になりまするから今度市の吏員になりました者につきましてもやはり身分が変つただけで従来通り恩給法上の公務員として取扱をして来た者を、この際止めるわけに行きませんから、当分の間尚従来通り恩給法上の公務員としての取扱をして行こうということにしたわけであります。そこでそういうような職員につきましては、ややこしく規定をしまするならば、この昭和二十二年の恩給法の一部を改正する法律の附則第十條の中に、図書館の職員を一部入れるようにして置いて、今度又新らしく市町村に移り変つて行くところの図書館の職員だけに別な規定を設ければこれで済むわけです。併し同じ図書館職員であつて、元はどこからそういうふうな取扱をするかと言えば、昭和二十二年の五月二日に国の官吏であつた公立図書館の職員であるということに基いておるわけでありますから、公立図書館職員につきましては、昭和二十二年の法律第七十七号のこの恩給法の一部を改正する法律の附則第十條の規定から外しまして、そうして新らしく規定を作つた方がいいという考えから規定をいたしまして、この新らしい規定を設けたので、あります。設けまして、結局その規定はここに書いてありますように昭和二十二年の五月三日に遡らなければいけなくなるから遡らしたのであります。実質上今昭和二十二年五月三日に遡らせなければいけないような事実を発見して遡らしたわけではないのであります。これを一つ御承知願いたいと思います。
  103. 三好始

    三好始君 いろいろ細かい点に亘つてお尋ねいたしましたが、では最後に今度の法律改正の最も重要な眼目である給與事由の生じた時期による恩給額の是正ということについてお伺いいたしたいのでありますが、不均衡是正が正面的に見るとこの改正法律案によつて解決されておるように見受けられるのでありますが、詳細に検討して見ますというと、これで最終的な均衡に到達したのかどうかについては尚疑問があるのでありますが、恩給局長はこれを以て最終的な均衡に到達しておるとお考えなつておるのか、或いは多少不均衡の点がまだ残つておるとお考えなつておるのですか。その点を承わりたいのであります。
  104. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 私は今度のこの増額の案を考えますにつきましては、最終的な案を作る意図の下に作りましたのでありまして、私いろいろ御意見があるかと思いますけれども、私はこれ以外に作るべき方法がないと、これが最終的なものであるとこう考えております。
  105. 三好始

    三好始君 均衡を実現するために仮定俸給を設けて、それぞれ一定の倍率が出て来るようになつておるわけでありますが、その倍率の数字を検討して見ますというと、恩給額の少い者に倍率が多くつて、大きい者になると倍率が低くなるという大体の方針が採られておることが、見して分るのでありますが、それらの間の曲線が必ずしも自然であるようには見受けられないのであります。途中で相当の凸凹がまだ残つておることが分るのでありますが、これらは是正の必要が果してないのでしようか。これ以外に方法はなかつたわけですか。
  106. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 今度のこの増額の案を考えますにつきまして、こういう仮定俸給を作つたのでありますが、この仮定俸給を作りましたのは、先般むここで提案理由の際に御説明申上げましたように、現在の給與法令に基きますところの俸給、その俸給とこの給與法令の適用前の俸給、これを比較対照いたしまして、そうしてそれ相当なところの俸給を考えまして、そして従前の恩給の計算の基礎となつておりますところの俸給を、ここに表に出ておりますところの仮定俸給の年額で計算をして、恩給の金額の増額をしようとこう考えたのでありまして、ある恩給につきましては何倍にする、或る恩給については率を多くして何倍にするというようなことを全然考えたわけではありません。恩給の不均衡という、恩給金額に均衡がとれてないという主なる理由は、この俸給の俸給の水準が変つたということによつて、その俸給を土台として計算をしておるところの恩給の支給額が又違つて来て、この違つたところを直すのが今度の狙いであります。今申上げるような次第でありまして、私はこの案つきまして、恩給を何倍にするというようなことは全然考えていないとはつきり申上げたいと思います。  次にこの方法以外に考えられなかつたかということでございまするが、いろいろとあらゆる方法を考えました。考えることは考えられるのですが、考えた案につきまして、それが許さるべき合理的な案かどうかという問題になるわけです。その点から考えまして、いろいろの案を考えまして、結局この案がベストの案ということに結論を下したわけでありまして、案といたしましてはいろいろ考えられ、而も考えられた案が或いはいろいろ最後まで調べて見ますと、変なものになつて来るというようなことで、これが、番合理的な案としてここに提出いたした次第であります。
  107. 三好始

    三好始君 今度の改正による倍率を検討して見ますというと、昭和二十一年十月十五日の法律第三十六号、臨時特例別表第一号の三百円のものが改正の結果増額される倍率は二・六五になつております。それが段々額が増すにつれて倍率の減つて行つているのはいいのですが、終りの方になつて来て、再び倍率が中程より高まつて来ておるという結果が起つておるのでありますが、なぜこういう中間の倍率が低くなるような結果が起つたのですか。公印な立場からいつたらこういう倍率の下降の程度は凸凹でなしに、自然の形で行わるべきではないかというふうに思うのです。倍率を決定するときに、そういうことが技術的にできなかつたのですか。仮定俸給を作るときにそういうことを入れるときにできなかつたのですか。
  108. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 倍率を決めまして、そうしてその倍率によつて増額することにしますれば、きちつと倍率で理想的なカーブを現わすような具合になり、整つた倍率の案が成立したかも知れないのですが、倍率を取つて加減しますということは、結局又倍率を取つたということによつていろいろの問題が起つて来ると思うのであります。そこで最初申上げましたように、この増額を考えます場合には倍率を全然考えていないので、現行俸給法令前の俸給と、現行給與法令の中の俸給とを比較対照して俸給を決めて行つただけであるということを繰返して申上げておるのでありますが、そういうふうなことをしたのであります。もう少し私詳しく申上げた方がいいかと思いますので、詳しく申上げることにいたしますが、一応全般の仮定俸給の構想につきまして御説明いたしまして、それから細部に亘りまして説明をつけることがありますならば説明をつけることにいたしたいと思います。  現在の公務員に支給されておりますところの俸給を規定します法律は四つございます。四つに分けられます。その一つ一般政府職員に関する法律でありまして、政府職員の新給與実施に関する法律でございます。それからその次は裁判官の報酬を規定されておりまするところの裁判官の報酬等に関する法律であり、その三は検察官の俸給等を規定しておりまするところの検察官の俸給等に関する法律であり、その四は内閣総理大臣、認証官、それからその他特別職の職員の俸給給與を規定しておりまするところの特別職の職員の給與に関する法律であります。こういうように四つの法律に分れておるのであります。こういう給與の法律体系ができましたのは最近のことでございまして、つい最近のことでございまして、先頃までは、このような法律体系にはなつておりませんでした。そこで今度の仮定俸給を作るに当りましては、今申上げました四つの法律の中に規定されておりまするところのこの俸給と、それから俸給を土台といたしまして先ず考えまして、そして現行給與法令の適用される前の俸給は、一体どの系統の中に入るものかということを先ず考えたのであります。ただ裁判官の系統の中に入る俸給なら裁判官の系統に入るものと俸給を決めまして、そうしてその旧俸給と裁判官の報酬等に関する法律の中にある俸給とを比較いたしまして、そうしてこの旧俸給が移り変つて行つて、裁判官の報酬等に関する法律の中のAならAという俸給に変つて行くと、こう考えられる場合においては、この旧俸給に対しAの俸給を仮定俸給としてこの表の中に作ることにいたしたのであります。そういうようにいたしまして決めましたのでありまして、倍率ということは全然初めから考えていなかつた。現在の俸給を土台として、前の俸給を作り直す、こういうふうにはつきりと申上げることができます。
  109. 三好始

    三好始君 今回は、そう私から別な考え方を申上げましても、実際問題としては到底実現はできないし、これ以上申上げません。ただ先程来御説明にありましたような方針で仮定俸給を設けられた結果が、倍率の上に著しく不適当な結果が起つておるとすれば、これは仮定俸給の定め方自身を検討して頂くということも必要ではないかと思うのであります。倍率の上に現われておる不自然さというのは、それ程顕著なものとは考えられませんけれども、併し一見して不自然さが現われておることは否定できない事実なのであります。ですから若し、将来何らかの事情の変化によりまして、再びこうした問題に触れて法律改正するような機会がありましたら、更に御検討を頂きたいという希望だけを申上げて置きます。
  110. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 今の倍率の点でございまするが、この倍率は私は必ずしも今このお話のように、下の方が多くて上の方が少くならなければならないようなふうになるかどうかということについては非常に疑問を持つておりまして、そうは必ずしもいかないのではないかと思うのであります。問題は、この昭和二十三年の七月一日にいわゆる職階制に基きまするところの給與制度が本格的に実行されることになつたのでありまするが、その実行される前は、いわゆる職階制に移り変らない給與制度というもの、官吏俸給令による給與制度であつて、この官吏俸給令による俸給が、職階制に基きまする給與制度の俸給に七月一日に切換つた、その切換つたときをどういうふうに考えるかによつて問題が決まつて來るだろうと思うのであります。この案を立てまするに当りましては、その官吏俸給令の俸給が七月一日にどういうふうに移り変つて行つたかということも、各省の切換の実情ということをやはり考えなければならんのじやないかというので考えたのであります。これは私がもう御説明するまでもなく、三好委員は御承知のことだと思いますが、旧官吏俸給令の俸給が同じ俸給であつたといたしましても、七月一日に切換えられた俸給が職種によつてつております。或いは四倍に行つた者も、或いは五倍に行つた者、六倍に行つた者もあります。又俸給の官吏俸給令における号俸が違うことによりまして、又七月一日に切換つたところの俸給に対する倍率も又いろいろ違つておつたのであります。そこでこの仮定俸給を作ります場合におきましては、七月一日前に退職しました者の恩給を考えることは勿論必要でありますけれども、七月一日後に残職しておつて辞めたところの者の恩給もやはり考えて置かなければならんのじやないか、仮に機械的に仮定俸給を作つて行きまして、過去のものは相当恩給を増額したけれども、即ち昭和二十三年六月三十日前においては相当増額になつたが、それと比較して七月一日以後に退職した者は、それよりも非常に悪くなつたということを非常に大きい声で叫ばれては又困る、そこはやはり行政技術としても相当考えて置かなければならんと思うのです。そこでこの第一号表のところは問題にされていることと思うのでありますが、この一号表は御承知の通り、上の方の欄の金額は、これは三十に分れております。下の方は六千三百円の俸給の中で上の方の俸給に相当するものを持つて來たものであります。この一号表の一番右の端にございますところの一万四千四百円に対応する仮定俸給として挙げてありまする三万八午二百八円は十一号俸のところでございます。この一番上の最後の金額のところの九万六千円に対応する仮定俸給として挙げてある二十万二千八円は七十号俸のところでございます。従つて上の方は官吏俸給令の俸給で三十に分かれ、下は十一号俸から七十号俸までの俸給でありますから、機械的に対応俸給を作りまずならば、上の金額に合せましてこの十一号俸から一号間差に方法を決めて行けばいいということになるのであります。併し一号間差に機械的に行きますと、今申しましたように七月一日におきます新旧俸給の切換えということを考えますと、又そこにいろいろ問題が起つて來る。そこで大体におきましては、一号間差の方針を採つて行けるということで、一号間差の方針を採つて行きました。併し極端にと言いますか、非常に甚だしくそういう方針を採つたために七月一日以後の退職者が従前の退職者に対して不利になるというところだけは若干伸び縮みをさしたところがあります。それが今お話のように率が少し下つているわけであります。ごたごたした問題もありまして、これは実になかなかむずかしい問題でありまして、この恩給の増額をします場合において、官職を考えて恩給の増額をやるという考えもありますし、尚又俸給を土台にして飽くまでやるという考えもあります。極端な例を申上げますと、私なら私の場合、局長の俸給を考えますと、従前の局長は五年で退職しますと、年功加俸が年六百円ついております。従つて六百円ついた局長考えて、そうしてそれをずつと引直してこの俸給でやりますと、十四級の、私ちよつと今はつきり覚えておりませんが、十四級の相当のところに行くのではないかと思います。現職の局長の中には、局長になりてすでに五年を経過しておつ七も十四級に行かないという人もおります。又局長と同じ俸給を貰つている技師なんかは尚更そういうことが出て来るだろうと思います。それでは曾ての人はよくて、あとの人は悪いということになりますむそういうように考えて行きますというと、やはり官職を逐うわけに行きませんし、俸給を考えなければならんからして増額のことも考えなければならん。増額のことを考える場合に、切換えのときの職階制の俸給制に従来の俸給切換えの、七月一日の前後の状況を、やはり或る程度までは考えなければならない、その考え方にもいろいろあると思いますが、私の気持といたしましては、相当過去の昭和二十三年六月三十日以前の退職者につきまして事情の許し得る限り、金額の上げ得られるような措置をとつて来たつもりであります。
  111. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御承知の通り請願が沢山あります。この請願の要求点として挙げられているのは、給與がしばしばその上つたのにつれてですね、恩給の方をそれにスライドさせる、そういう制度を採つて呉れということが、大分沢山の請願に要求されておつたのです。その点についてどうお考えになりますか。
  112. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 政府といたしましてはこの法律案を出しまするその理念の中にも現われておりまするように、俸給の変りましたことによりまして、恩給の支給水準が変つて来た場合におきましては、低いところの恩給水準を引上げるというような考えは持つておるのでありまするけれども、併しこれは現実の問題といたしまして、将来に法律を以て必ずそういう場合においては恩給の増額改定をするということを規定することがいいかどうかということにつきましては、余程愼重に考えなければいけないというような気がいたすのであります。と言いますのは、俸給が増額されるというような事態でございますれば、それは従来の恩給受給者の生活につきましても、相当政府としても考えて上げなければならないことではないかと思いまする。併し国のそのときそのときの状態によりましては十分に何もかもできないところは恩給受給者ばかりではなく、他の方面にも沢山あるだろうと思います。そういうことも、全般のことも考えつつ恩給増額ということも考えなければいけないということも私はあるのじやながろうかと思います。これは決して恩給増額をないがしろにし、恩給受給者を後廻しにするというような考え方ではないのでありまするけれども、そのときそのときの国の財政とか、その他社会情勢というものも考えながら善処して行くのが望ましいことじやなかろうかと、こう考えておるところでございまして、俸給が引上げられたから恩給も増額するというふうに法律規定するということにつきましては、直ちにここでさように取計らうということは申上げにくいところであります。
  113. 梅津錦一

    ○梅津錦一君 特殊な事情ですが、日本に一ヶ所しかない流水試験地、これは御存知だと思いますが、日本に一つとイタリーとイギリスとアメリカですか、三つか四つしかありません。日本のこの流水試験地は、特にこの調査並びに試験の結果非常によいということであるので、アメリカはたまげておる。群馬県から行つても最も奥地で、新潟県から行つても最も奥地にある。まるで俊寛の島流しのようなところにあるのです。冬季は殆んど交通遮断の状態になる、積雪が多いとき工は、二丈もあります。スキーも通れない。冬季の食糧並びにすべての生活品はこれは秋のうちにすでに運んで置かなければならない。そうして雪解けを待つて、出て来るわけです。ですからここで病気になれば、死を覚悟しなければならない。幸いにして現在まで決死的なよい人を得られたために、非常によい成績を得ておるのです。而も国の仕事です。こういうわけですが、これは燈台守のお話が出れば、恐らく燈台守以上だと思う。こういうところに人に知れない公務員が日本の農業政策、林業政策のためにおるということを、私は夏場ここに行つてたまげた。よくもここで生活できるものだ、こういうようなところにおる公務員にも恩給に対する対策が考えられなければならないと思う。何しろ燈台守以上の仕事をやつておるのです。こういう世間から知られない苦労を嘗めておる流水試験地におる職員に対して数は少いが、政府としては恩給制度をどうお考えなつているかお聞きしたいと思います。
  114. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 今の職員の点については私は初耳でありまして、全然……或いは私迂闊であるかも知れませんが、関係省の方からの意見を伺つたこともありませんので、よく事情を聴きまして考えることがあれば考えるようにいたしたいと思います。
  115. 梅津錦一

    ○梅津錦一君 これは多分農林省所管営林局の関係であろうと思いますが、これは全く思い半ばに過ぎると思う。若しもこういつた問題で警察官が特典に輿かるというならば、それ以上の特典をこれらの人にやらなければ、何らの効果もないと思う。本当に行つて見れば分るのです。これは忘れられておる少数の人達でずが、是非ともこの問題は特別に恩給局で調べて貰いたい。若し何なら行つて貰う芝よく分ると思います。そういう点で極く少数の人……日本にたつた一個所しかない。そのために忘れられておるのだと思う。そういうことのためにまだ手を打たれていないと思います。幸いにして特典に入つておれば私も問題はないわけです。若し、不幸にして忘れられているとすれば、早急に修正を加えて、そうした公務員の位地を確保して貰いたい。こう考えるわけであります。
  116. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 流水試験所ですね。
  117. 梅津錦一

    ○梅津錦一君 流水試験地です。
  118. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 本案について大体質疑も終了したように思います。これから討議に入つて採決したいのでありますが、少し出席が足りませんから明日にこれを決定しようかと思います。この法案につきましては、これで審査を終ります。  それから如何ですか、次に入りますか、それよりもさつきからお話をしてあります国家行政組織法の一部改正について非公式に懇談会を開こうと思いますが如何でしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 委員長河井彌八君) 本日はこれで散会いたします。    午後五時五十三分散会  出席者は左の通り。    委員長     河井 彌八君    理事      大隈 信幸君    委員            梅津 錦一君            城  義臣君            鈴木 安孝君            伊達源一郎君            町村 敬貴君            三好  始君   国務大臣            本多 市郎君   政府委員    内閣官房副長官 菅野 義丸君    総理府事務官    (恩給局長)  三橋 則雄君    行政管理庁次長 大野木克彦君    法制意見長官  佐藤 達夫君    農林事務官    (水産庁次長) 山本  豊君    電波管理庁長官 綱島  毅君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    農林事務官    (水産庁漁政部    漁政課長)   戸嶋 芳雄君