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1950-04-10 第7回国会 参議院 内閣委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    ————————————— 昭和二十五年四月十日(月曜日)    午前十一時二分開会   委員異動 四月十日委員大屋晋三君、大野木秀次 郎君、小杉繁安君及び門屋盛一君辞任 につき、その補欠として島津忠彦君、 小林米三郎君、横尾龍君及び大隈信幸 君を議長において指名した。   —————————————  本日の会議に付した事件 ○恩給法等の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○連合委員会開会の件 ○田本政府在外事務所設置法案内閣  提出衆議院送付) ○賠償庁臨時設置法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○北海道開発法案内閣提出衆議院  送付)   —————————————
  2. 河井彌八

    委員長河井彌八君) これより内閣委員会開会いたします。  議事の都合上恩給法等の一部を改正する法律案、これは予備審査でありますが、これを議題といたします。先ず政府より提案理由説明を願います。
  3. 三橋則雄

    政府委員三橋則雄君) 只今議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案につきましてその提案理由説明申上げます。今回政府がこの法律案によりまして、恩給法等改正を加えんといたしまする事項は、凡そ次の諸点にこれを要約することができるのであります。  第一点は、現行給與法令が適応される前の俸給基礎として計算されている恩給年額改定に関するものであります。現在支給されておりまする恩給は、その年額計算基礎なつておりまする俸給の点から見ますると、凡そ次三つにこれを大別することができるのであります。即ちその一は、昭和二十三年六月三十日以前に給與事由の生じた恩給でありまして、昭和二十三年七月、法律第百九十号、恩給法臨時特例別表第三号表に掲げられている仮定俸給年額基礎として計算された年額改定されておるものであり、その二は、昭和二十三年七月一日以後に給與事由の生じた恩給でありまして、現行給與法令が適用される前の俸給基礎として計算されておる年額のものであり、その三は、現行給與法令による俸給基礎として計算されておる年額恩給であります。この三つに大別された恩給につきまして、その年額計算基礎なつている俸給支給水準について考えますると、その三に属するものは、その二に属するものよりも、又その二に属するものは、その一に属するものよりも高くなつておるのであります。従つてその恩給支給水準は、その三に属するものは、その二に属するものよりも、又その二に属するものは、その一に属するものよりも高くなつておるのであります。言い換えますると、俸給支給水準の変つたことによりまして、現に支給されている恩給支給水準に、退職の時期により差異ができているのが実状であります。而して現行給與法令による俸給基礎として計算された恩給金額でさえも、現在におきましては必ずしも十分な金額であるとは断言し難いように考えられますので、この恩給よりも低い支給水準に属する恩給金額につきましては、尚一層その感を潔くいたす次第であります。この低い水準に属する恩給、即ち前に述べました一および二に属する恩給につきまして、その年額計算基礎なつている俸給に対応する現行給與法令に基く俸給推定しもその推定された俸給に相当する額を基礎として計算しました場合の恩給年額に、これを改定いたしまして、昭和二十五年一月分から支給いたそうとするのであります。この法律案附則第二項から第四項までがこれに関する規定であります。  第二点は、増加恩給、又は傷病年金家族加給及び扶助料扶養遺族加給増額に関するものであります。現行恩給法臨時特例によりますると、増加恩給、又は傷病年金家族加給及び扶助料扶養遺族加給金額は、扶養家族、又は扶養遺族一人に対して年額二千四百円になつておるのでありますが、さき頃公務員在職給與たる扶養親族手当増額されましたのに伴いまして、これらの加給金額につきまして、右の年額二千四百円を、四千八百円に増額するこことし、現に支給されているこれらの加給につきましては、昭和二十五年一月分から、これを支給いたそうとするのであります。この法律案の第二條中の恩給法臨時特例第七條第一項及び第八條第二項の改正規定、並びに附則第五項から第七項までの規定がこれに関する規定であります。  第三点は、いわゆる多額所得者普通恩給の一部停止に関する規定改正であります。現行恩給法臨時特例によりますると、普通恩給年額一万五千円以上で、恩給外所得年額十五万円を超える者につきまして、普通恩給年額恩給外所得年額合算額に応じ、普通恩給の一部を停止することになつておるのでありますが、この法律案によりまして、現行給與法令適用前の俸給基礎として計算されている普通恩給年額改定されることになりますることと、最近の経済状況の推移に鑑みまして、これを改めて、普通恩給年額三万円以上で、恩給外所得年額二十万円を超える者につきまして、現行法のよつな割合で、普通恩給の一部停止を行うことといたそうとするのであります。この法律案の第上條中の恩給法臨時特例第三條第一項及び第二項の改正規定がこれに関する規定であります。  第四点は、官吏制度改正に伴い、新たに恩給法上の公務員となつた者に関する恩給法上の措置に関するものであります。海上保安庁職員の中でも海上警備の第一線に勤務する一等海上保安士、二等海上保安士及び三等海上保安出たる海上保安官は、その職務の態様からいたしまして、恩給法上警部補、巡査部長及び巡査たる警察官と同じような取扱をすべきものと考えられますので、これらの海上保安官を、これらの警察官と同じように取扱い、恩給法警察監獄職員として指定いたそうとするのであります。この法律案の第一條中の第二十三條第五号の改正規定がこれに関する規定であります。  又特定郵便局長は、従来、恩給法上準文官たる準公務員として取扱われておつたのでありますが、先般特定郵便局制度改正されまして、恩給法文官たる公務員となつたのであります。現行恩給上の、取扱いといたしまして準公務員たる準教育職員が引続き公務場員たる教育職員になりました場合には、公務員としての在職に引続いておる準公務員としての在職年の二分の一を、公務員としての在職年に通算することになつておりまするので、この現行恩給法上の取扱に倣いまして、特定郵便局制度改正に伴い、準公務員たる特定郵便局長から引続き公務員たる特定郵便局長になつた者につきましては、その準公務員としての在職年の二分の一を公務員としての在職年に通算することといたそうとするのであります。この法律案附則第八項がこれに関する規定であります。  第五点は、地方公務員に対する恩給法準用規定の整備に関するものであります。地方自治警察、消防、教育等諾制度改正に伴いましても恩給法上の公務員が、国家公務員身分から地方公務員身分に変つた場合におきましては、これら地方公務員退職後の給與制度につきまして、何分の決定を見まするまでの暫定的の措置といたしまして荷当分の間、従来通り恩給法上の公務員身分のまま在職する者として取扱い、その地方公務員退職いたしましたときに、恩給法を準用して恩給支給することとし、各制度改正の際のそれぞれの法律の中に、これに関する規定が設けられておるのでありますが、これらの法律規定につきまして、その実施後の事務取扱実情に鑑み、今後一層恩給事務の円滑なる運営を図るため、この際、注釈的規定を加えまする等、所要の改正をいたそうとするのであります。この法律案の第三條から第八條までの規定がこれに関する規定であります。  第六点は、図書館法制定並び建設省建築出張所及び教護院職員都道府県移管に伴う恩給法上の善後措置に関するものであります。  地方自治法施行に伴いまして、公立図書館職員身分は、政府職員身分から都道府県職員身分変つたのでありますが、地方自治法施行の際、恩給法上の公務員であつた者が、引続き公立図書館職員になりました場合には、昭和二十二年法律第七十七号恩給法の一部を改正する法律附則第十條の規定により、従前身分のまま勤続するものとみなし、当分の間、これに恩給法規定を準用することになつておるのであります。而してこのたび、新たに図書館法が制定されますると、図書館法施行の際現に市町村の設置する図書館勤務する職員で、地方自治法施行の際官吏であつた者は、別に辞令を発せられない限り当該図書館を設置する市町村職員に任命されたものとされることになりましたので、市町村職員になりましたこれらの者をも従前恩給法上の教育職員身分のまま動続するものとみなし、当分の間、恩給法規定を準用することといたそうとするのであります。この法律案附則第九項の規定がこれに関する規定であります。次に、先般建設省建築出張所が廃止され、その事務及びその事務に従事していた職員が、国から都道府県に移管され、又今回都道府県立教護院職員身分が、政府職員身分から都道府県職員身分に変わることになりましたので、これらの職員につきましても、前述の公立図書館職員の場合と同じ様に、当分の間、恩給法規定を準用することといたそうとするのであります。この法律案附則第十項及び第十一項の規定がこれに関する規定であります。  第七点は、恩給法上の特殊公務及び在職年加算に関する規定改正であります。恩給法上の公務員が、職務を以て海難、火災その他の災害による危險を救助又は防止するに当りまして、その危険を予断し得るに拘わらず、敢てこれを冒して、その職務を執行いたしましたために受けました傷痍疾病及び職務を以て機雷掃海作業に従事中に受けました機雷による傷痍疾病を、特殊公務に因る傷痍疾病として取扱い、又海上保安庁排水量百五十トン以下の木造巡視船や、排水量二百五十トン以下の木造掃海船乗組員勤務につきまして、その不健康勤務実情に鑑み、これを不健康業務加算の付く業務として指定し、又静岡県加茂郡神子元島、及び福岡県糸島郡鳥帽子島につきまして、その辺陬にして不健康な環境に鑑み、これを辺陬又は不健康地域加算の付く地域として指定いたそうとするのであります。この法律案の第一條中の恩給法別表第一号表の三、恩給法第三十八條の四及び恩給法別表第一号表改正規定がこれに関する規定であります。  以上の外、人事委員会規則人事院規則に、又法務庁事務官法務事務官に改められましたことに伴う字句の修正のごとき簡單な改正その他、制度改正に伴い不要となりました條項整理等をいたそうとするのであります。この法律案の第一條中の恩給法第十三條、第二十三條第三号及び第四号、第八十二條、第八十二條の二の改正規定、この法律案の第二條中の恩給法臨時特例一條第二項の改正規定、並びにこの法律案の第九條の規定がこれに関する規定であります。  以上が、この法律案提出するに至りました理由であります。尚詳細なことにつきましては、御質問に応じまして説明申上げたいと存じます。何とぞ御審議の程願い上げます。
  4. 河井彌八

    委員長河井彌八君) この際何か御質疑がありますれば御発言願います。
  5. 島津忠彦

    島津忠彦君 この新らしい支給を実施されまする時期でございますね、そのお見込を伺いたいのです。
  6. 三橋則雄

    政府委員三橋則雄君) この増額のことだと思いまするが、この増額につきましては昭和二十五年の一月分からの恩給について増額をいたすごとになつております。ただ現実増額しました恩給を支拂いたしますのは、恩給の七月渡しの分を支給いたしますときから若干お渡しできると思いますが、全部の恩給について一月に遡りまして、一月分からの恩給を支拂することができるかどうかということは、ちよつと今のところは困難じやないかと思います。一部でも七月にはお渡しするようなふうにいたしたいと思つております。十月までには恩給局で裁定いたしておりまする恩給は、全部増額の分を支拂いするようなふうに大体予定を立てて事務を進めておるところでございます。
  7. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 子算はよろしいのですか。二十五年一月から三月までですね、それはどうなつておりますか。予算はよろしうございますか。
  8. 三橋則雄

    政府委員三橋則雄君) ええ、よろしうざいます。
  9. 河井彌八

    委員長河井彌八君) これは私は間違いじやないかと思うのですが、賀茂郡を「加える」という字が書いてありますが、「賀す」という字じやないのですか。これは調べて置きますが、間違つていたら正誤でも出して置きましよう。私はそういうふうに思いますが
  10. 三橋則雄

    政府委員三橋則雄君) そうでございますか。
  11. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 法律のどこかにありますね。
  12. 三橋則雄

    政府委員三橋則雄君) そうでございますか。それは惑うございました。「加える」という字じやなくて「賀す」という字ですか。これは「かも」と読むのでございましよう。
  13. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 賀茂郡… そうするとよく調べて置きます。若し間違つてつたら…
  14. 三橋則雄

    政府委員三橋則雄君) 分りました。早速いたします。
  15. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 只今説明になりました恩給を受ける種類が三つばかり違いますね。そのおのおのの人数及びその金額等についてお調べがございますか。
  16. 三橋則雄

    政府委員三橋則雄君) 昭和二十三年の末におきまして調べたところによりますると、昭和二十三年六月三十日以前の退職者が殆んど全部と申上げていいくらいな数でありまして、昭和二十三年の七月一日から一般政府職員でございますならば、十一月三十日まで、それからその他の特別職職員判検事なんかにつきまして申上げますれば、十月の三十一日まで、一般政府職員は先程申上げましたが、十一月の三十日まで、その間に退職しました者は極く僅かでございます。それから現行給與法令規定されておりまする俸給を貰つて退職した者、そうして恩給を貰つておる者、この数は全然ございません、二十三年末…。そこで二十三年末の恩給金額はどれくらいになつておりますかと申上げますと、お手許に差上げてありまする表に載つておりますが、この第二表を御覧下さると分りますが、第二表のところに昭和二十三年の年金恩給総額といたしまして十八億一千七百四十三万五千余円、こういう金額が出ておりますが、これが即ち昭和二十三年末におきまするところの恩給年金総額でございます。これを改定いたしました場合にどれくらいの金額になるかということは、現実改定をして見なければ分らないわけでございますが、一応大まかな私達の事務的な推定といだしまして出しました金額では、三十八億八千万円前後ではないかと思つております。勿論これは今度改定いたしました結果によりましては増減があることど思つておりまするが、今度の改正案によりまして、いろいろと推定をいたしました只今見込みといたしましては、それくらいな金額になるのではなかろうかと思つております。尚この第二表のところで、昭和二十四年の統計年金恩給総額を上げておるのでございますが、この年金恩給の二四年度の分につきましては、これは註の所に書き漏らした点でございますが、それはまだ正確な最後的な統計ではございませんで、取敢ずいろいろな点から大まかに統計を取りました結果でございまするから、或いは今後正確な統計を取りました場合においては、異動があるかも分らんということを一応御了承置き願いたいと思います。そこで昭和二十四年のこの統計からどれくらいになるかと一応推定いたしますと、次のようなことになるのでございます。次のように推定いたしております。これも実際やつて見なければはつきりしたことは分りませんのでございまして、実際の結果は或いは異動があるかも知れませんが、今のところは推定といたしましては、大まかに申上げてこういうことになります。大まかに申しまして昭和二十三年六月三十日以前に退職した人の年金恩給を三千七百円ベース以下の恩給と略称します。それから昭和二十三年七月一日から昭和二十三年の十一月三十日までが一般公務員のいわゆる三千七百円べースの俸給が行われたのでございまするが、特別職職員とそれから判検事につきましては、現行給與法一般政府職員より一ケ月早く十一月一日から行われているのであります。これらの俸給で計算した恩給を全部引括めまして、いわゆる三千七百円ベース恩給と、こういうふうに略称しまして、それから又昭和二十三年の十一月乃至十二月以後の俸給基礎として計算しました恩給引括めて六千三百円ベース恩給と略称しまして申上げますると、三千七百円ベース以下の恩給に相当するものが二十億四千二百万円、これは二十四年末の調べでございます。それから三千七百円ベース恩給というのが三千六百万円、それから六千三百円ベース恩給というのが一億四千三百万円、大体そういうような大まかな見込でございます。これを改定いたしました場合の金額は、三千七百円ベース以下のものが四十二億五千七百万円、三千七百円ベースのものが五千四百万円、それから六千三百円ベースのものが一億四千三百三十六万円、この三十六万円という極く僅かな増加の金が出て来ましたのは、これは公務傷病関係恩給加給金額増加している関係でございまして、その関係でこれだけの僅かな金額改定した場合に殖えるという見込でございます。そうしまして総計いたしますると、この昭和二十四年末ではこの表に掲げておりまするように、第二表に掲げてありまするように、二十二億二千三百二十万六千円余りになつておりますが、これを改定いたしますると、四十四億五千四百三十六万円ぐらいになる見込でございます。先程からたびたび申上げまするように、実際におきましては或いは相当の金額の狂いがあるかも知れませんが、今のところ大体そういうように推定いたしております。尚若年停止金額が、ここには統計表には出ておりませんが、若年停止金額といたしまして、昭和三十四年の金額は大体一億三千五百万円程ございました。今度若年停止に関する規定が変りますると、いや、違いました、金額増額になりますと、若年停止金額も又変つて来るものと想像されるのでございますが、この若年停止金額がどれくらいになるかということは、なかなか判定がつきませんが、一応の推定といたしましては、私達は二億六千五百万円ぐらいに殖えるのじやなかろうと思つております。
  17. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 恩給法改正に関する質疑は、今日は一応この程度に止めて置きたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   —————————————
  18. 河井彌八

    委員長河井彌八君) そこでお諮り申上げたいことがありますが、外務委員会から日本政府在外事務所設置法案について連合委員会開会いたしたいというお申込がありました。これはこちらでも御異存はないと思いますから如何でございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 河井彌八

    委員長河井彌八君) ではさように決定いたします。それでは今本会議が始まりましたから休憩いたしまして、午後一時から委員会を続行いたします。    午前十一時三十一分休憩    ——————————    午後二時二十六分開会
  20. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 内閣委員会を再会いたします。  十條の日割計算の算定の方法ですね、私にはちよつと分らないのです。私の考え方では、その月に支給せられる総額勤務の日を掛けて、その月の日数で以て割つたならそれでいいと思うのですけれども、これはそういうふうに出ていないのですが、どういうわけですか。どういう違いがどうできるか、その理由を。……これはあとでもよろしゆうございます。  それからもう一つ日本の今の現状においては、こういう特殊の事務所を作るということは必要だと思いますが、領事館職務の内容は違いますかどうですか。その比較をお伺いいたしたい。
  21. 島津久大

    政府委員島津久大君) 領事館の通常行います仕事の極く一部ということです。
  22. 河井彌八

    委員長河井彌八君) その異同はどうなのですか。
  23. 島津久大

    政府委員島津久大君) 領事館と違いますところは、これは領事館仕事を一々列挙いたしますと大変なことになるのでありますが、御参考に申上げますと、例えば今度の事務所でできないことというようなことがあるのでございます。領事館でございますると地方官憲といろいろ折衝することができるわけでございます。今度の事務所は公式の折衝をすることができない建前なつております。又職員身分につきましても領事官というような待遇を與えられていないのであります。仕事の面で旅券の取扱、そういうこともできないことになつております。これは一例でございますが、そういうような違いがございます。
  24. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 今のその答弁の反対になるよりですが、この説明書によると、領事館事務の中、特に限られた範囲事務を行うということになつておるのですが、限られた範囲事務という抽象的なことですが、それを具体的に一つ説明願います。
  25. 島津久大

    政府委員島津久大君) これはこの法案の第三條を御覧願います。この第三條の一号と十三号は総括的なものでございますが、二から十二というものに具体的に掲げてございます。念のために読みますと、第一号は、所在国との間の貿易振興を図ること。これは貿易振興という一般的なことを申しております。その次は、所在国との間の貿易について所在国市況及び経済事情を調査すること。市況経済事情の調査であります。その次は、貿易及び商事関係法令に関する情報を伝達すること。所在国情報を伝達する。その次は、貿易及び商事関係法令に関する情報を提供すること。これは本邦情報相手国の方に提供するのであります。次は、貿易に関するあつ旋、貿易に関する照会、こういうものに応ずる。その次は、商品の見本を展示し、又日本との貿易について日本経済事情に関する情報を向うに提供する。次は、旅行に関する照会に応じ、又旅行に関する情報を提供する。以上が貿易関係であります。その次は、国籍、戸籍、或いは証明、遺産の保護、管理をいたします。十二号は本邦の重要な法令、こういうものを在留邦人へ知らせる。具体的に申しますと、こういうようなことでございます。
  26. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 これは参考までにちよつとお聞きしたいのですが、先だつても何かラジオか新聞で聞いたようですが、大量の日本人が、南米かどこかにおる人達が未だに日本の、もう三年四年にもなるのに敗戰事情も何も知らないというようなことであるというのですが、一体そういうことが有り得るのかどうか。この十二号の在留邦人に周知せしめるというような点からいつて、この辺の事情、真相はどうなのか。政府の方でお調べなつておるならば一応聞かして頂きたい。
  27. 倭島英二

    政府委員(倭島英二君) この前の新聞に出ておりましたのは、恐らくブラジル関係ではないかと思います。ブラジルが主であむます。ブラジルでは御承知の通り臣道連盟という連盟が主になつて、戰争中からいわゆる国粋的な主義と活動をしておつたわけでありますが、その後も日本は負けないということで、いわゆる負けた、負けないという争いを続けて来たわけであります。最近の情報によりますと、まだ今でもやはり臣通連盟に属する或る種の人達が従来の活動を続けているということは、新聞で時々報道せられる通りであります。併しながら日本の現在の状態が、果してそれでは分つていないのかと申しますと、どうも大体今迄のところ殆んどすべて分つておるようであります。而もやはり従来の建前やいろいろなことがあつて、従来の活動なり組織を続けておるということではないか。政府といたしましては寸従来勿論在外の公館がございませんし、それから外に送り得る通信関係制限がいろいろありましたので、併しながらその制限の中ででも、送り得るものを送るという趣旨で、主としては日本の主なる新聞を相当部数ブラジル、その外の国にも送りましたが、主としてブラジル新聞或いは政府諸般刊行物、つまり政治上、経済上の変化しました建前を知り得るような諸般刊行物、それから硬いものばかりではいけないというので、戰後の状況を背景にして書いた小説、雑誌等も送りまして、日本人会或いはその他のそういう類似の団体を通じまして、日本の現状をできるだけこれらの国の人達に映るように工作をするという努力を続けて参りましたので、現在のところではも現状を知らないということはないと思います。ただ従来の建前とかいろいろなことで継続しておるということではないかと思います。
  28. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 いずれにいたしましても、そういつたような状況が行われ、それが而も日本人同士の間で対立抗争が行われておるというようなことは甚だ遺憾に思うのですが、そういつた者に対して、一体政府は何とか早く措置をせなければいかんと思うのですが、その点対策として何かお考えがあるのですか。
  29. 倭島英二

    政府委員(倭島英二君) 直接にとり得る対策は、実は従来も在外公館がございませんので、直接の適切な方法はとりにくいのでありますが、今申上げましたような啓発をやるということと同時に、最近ブラジル、その外ペルーでもアルゼンチンでも、向うの方から経済関係等を利用して、或いは親族の訪問というような形で、相当人が我が国を訪問することができろようになりまして、そういう方々は大体或る地位の人でありますし、その人達に我々としましても、いろいろ会つて頼んでおります。勿論日本状況を見て帰られるのと同時に、我々の特にそういう現地の同胞に対して実状を伝えて貰うというような点で頼んでおります。尚最近は相当日本からも、現地への呼び寄せというような恰好で人も参つておりますので、そういうことで実情を本当に知つて頂けば、そういう点はよくなるのじやないか、できれば誰が適当な人でも派遣をしたいということが、従来政府のみならず、それらの国々と関係のあつた方々の間にもそういう希望があつたのでありますが、遺憾ながら渡航関係等について制限がありますので、未だに実現せずにおるような状況であります。
  30. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 如何でしようか。本日は在外事務所法案説明を聞くことが主でありましたから、この程度に止めて置きましても更に賠償庁臨時設置法の一部を改正する法律案。これは大体この前に議決になろうとしておつてならなかつたんで、それと北海道開発法案、この二つの審議に入りたいと思いますが、如何でしようか。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕   —————————————
  31. 河井彌八

    委員長河井彌八君) じやさようにいたします。先ず賠償庁臨時設置法の一部を改正する法律案これを議題といたします。ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  32. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を始めて。  賠償庁臨時設置法の一部を改正する法律案これを議題としまして御審議を願います。  大体これまでにすでに質疑応答が終了しておつたものと認めるのですが、別段御意見がなければこれは採決しようと思いますが如何でしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御異議ないと認めます。それでは賠償庁臨時設置法の一部を改正する法律案、賛成の諸君の挙手を願います。    〔総員挙手〕
  34. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 全員一致であります。では全員一致を以て可決すべきものと議決いたしました。この法案につきましての委員長報告は、委員長にお任せ願うことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御異議ないと認めます。両賛成の諸君の御署名を願います。   多数意見者署名     竹下 豐次  町村 敬貴     小林米三郎  横尾  龍     島津 忠彦  淺岡 信夫     カニエ邦彦
  36. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御襲名漏れはありませんか。なきものと認めます。   —————————————
  37. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 次に北海道開発法案、これを議題といたします。    〔委員長退席、理事カニエ邦彦委員長席に着く〕
  38. 小林米三郎

    小林米三郎君 本案も大分審議が進んでおつたのでありまするから、これも一つ採決を願いたいと思うのですが、北海道開発法案
  39. カニエ邦彦

    ○理事(カニエ邦彦君) 小林さんにちよつとお答えいたします。この法律案は実は附則の第一項中の、「同年四月一日から」という実施期日の、施行期日の変更がなされねばならないので、実はその点で、それの修正からなされねばならんというような段階にあるのです。従つて今お話のような運びにまで行かない事情にあるのであります。    〔理事カニエ邦彦君退席、委員長着席〕
  40. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 本法律案附則第一項の「この法律は、昭和二十五年六月一月から施行する。但し、附則第三項の規定中総理府設置法(昭和二十四年法律第百二十七号)附則第五項及び第六項の改正規定は、同年四月一日から施行する。」と、この点でありますが、この点はもうすでに四月一日が何しておりますので、改めてこの点を附則第一項中「同年四月一日」を「公布の日」に改めるという修正案を提出いたします。
  41. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 只今カニエ君の御修正は尤もなことで当然こうしなければならんことと考えます。でありますが、これはその筋の同意を要しまするので、速かにその手続をとりたいと思いますが、只今のカニェ君の修正の動議に対しまして御異存ないでありましようか。    〔「異議なし」ど呼び者あり〕
  42. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御異議ないと認めます。それではこれは早速その手続をとることにいたします。  この際尚他の部分につきまして御質疑をお願いいたします。
  43. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 増田官房長官の出席をお願いしておるのですが
  44. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 只今要求しております。ちよつとお待ち下さい。で増田長官でなくてもよろしい点について政府委員にお尋ね願います。
  45. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 憲法第九十五條と本法案との関連でありますが、憲法第九十五條では確か「一の地方」云々ということがあるようですが、その点この法案とのかね合ということについてお伺いしたい。
  46. 高辻正己

    政府委員(高辻正己君) 極めて御尤もな御質問を受けたわけでございますが、私共の見解といたしましては、こう考えておるわけでございます。御承知のように憲法第九十五條の住民投票の規定と申しますのは「一の地方公共団体のみに適用される特別法」について適用があるものであるのであります。併しながら北海道開発法は北海道という地域を対象として開発を行うことに関するものではありますけれども、それについて国の施策なり国の機関を定めた法律なのでございまして、北海道という地方公共団体そのものにつきまして、特別の規定を設けようとするものではないのでございます。この法律を御覧頂きますというと、第一條、第二條等に見えます「北海道」というのは、いずれも北海道という地方公共団体を言うのではなくして、地理的名称である北海道を指しておるのでございます。従つて憲法第九十五條に言いまするところの「一の地方公共団体のみに適用される特別法」とは言い難いのでございます。従つて住民投票は不要と考えておる次第でございます。
  47. 河井彌八

    委員長河井彌八君) ちよつと申上げますが、増田官房長官は司令部に行かなければならないのでここに今出ることができないと言つて参りました。
  48. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 そうしますと今の説明によりますと、この北海道というものは、曾て或いは広島の平和都市建設法とか或いは長崎の国際都市建設法というようなものにありましては、この住民投票というものを出したのでありまするが、この北海道開発法というものに対しては今の説明でその必要はないということなんでございますね。
  49. 高辻正己

    政府委員(高辻正己君) さようでございます。
  50. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君  この第二條の二項の「開発計画は、北海道における土地、水面、山林、鉱物、電力その他の資源を総合的に開発するための計画とし、その範囲については政令で定める。こうありますが、その水面というものは、これは何ですか。どういう範囲のものを指しておるのでありますか。
  51. 高辻正己

    政府委員(高辻正己君) ここに掲げられておりますいろいろな資源につきましては、この第二項に掲げられておりますように、その計画を実際立てまする場合におきましては、そり計画自体は、今後北海道開発庁におきましていろいろ研究がなされるわけでございますが、その研究ができました結果は、その範囲については政令で定めるということになりておりますけれども、水面という水の意味につきましては、まあ簡單にいいますれば水産資源というようなものを実は水面という資源の名称で以て抑えたつもりでざいます。従つて水面というものは実はその水面の区域を示しておるのでありまして、勿論その水中もこれに含まして考えておるわけでございます。
  52. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 今の説明で水面というものは、要するに水産関係のものだということの御説明があつたのですが、ここに特に土地という問題に対しましては、これは農業なり、或いは林業なりいろいろありましようが、ここに鉱物というものが掲げてありますが、そうした面に対してただ單に水面というだけで、ちよつと理解に苦しむ点があるのでございますが、こうした点に対して、今の説明を伺えば成る程水産関係ということは分るのですが、こうした点につきましては、外にもう少し考えらるべき点がなかつたかどうか。もう一遍重ねて一つ
  53. 高辻正己

    政府委員(高辻正己君) 水毒資源だけを申上げましたが、その水ということで、広く資源のいろいろな場合における水に関係ある資源を言つておるのでありまして、河川というようなものもこれ入りましようし、それを非常に細かく言つておりますと、外の資源についても同様な問題が出て来ると思いますので、一応水面ということで全部を含まして考えたつもりであります。勿論先程申上げましたように、これが資源という面でいろいろに細かくいいますればいろいろな場合が出て来ると思いますが、それは計画の立案というようなことと関連しまして、いろいろな分野ついてに詳しいことは政令で定めるということになるのであります。
  54. 淺岡信夫

    ○淺岡信夫君 了承。
  55. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 第二條に「北海道総合開発計画(以下「開発計画」という。)を樹立し、これに基く事業を昭和二十六年度から当該事業に関する法律(これに基く命令を含む。)の規定に従い、実施するものとする。」というのですが、「(これに基く命令を含む。)」ということはどういうことなのですか。
  56. 高辻正己

    政府委員(高辻正己君) 御承知のように、この「当該事業に関する法律」と申しますれば、例えば鉱業資源に関しましては、或いは鉱業法案というようなふうにそれぞれの事業につきましていろいろな法律があるわけでございますが、それを勿論書いて置きませんでも、法律を要するものについては法律規定従つてやつて行くのは当然でありますが、念のためにこれが書かれたわけであります。して見ますと法律につきましては、それぞれ法律なり政令に讓つておる場合もありますし、又はその法律の実地のために省くというものが出る場合もございましようし、その法律を基本にした命令というものはいろいろあり得ますので、そういうものもこれに入るのだという意味で括弧を附したわけでございます。
  57. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 この二條の後段に「これに基く事業」ということは、前段の「北海道総合開発計画」、その計画がなされ、この樹立されたものを具体的に行う。「これに基く事業」というものは、結局具体的には工事であるとか、機械を据えるとかそういうようなことを指すのですか。
  58. 高辻正己

    政府委員(高辻正己君) 細かく申しますれば、そういうことになろうかと思いますが、この北海道開発法でここにいわゆる北海道総合開発計画というものを作りますると、それが現実の面で働いて行く、その仕事そのものがここにいういわゆる事業なのでございます。
  59. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうしますると、第二條の前段と後段とは、前段は開発の計画であつて、計画を樹立するということで、後段は樹立されたものに基いて実施をするということに解釈して間違いないですか。
  60. 高辻正己

    政府委員(高辻正己君) その通りでございます。
  61. 町村敬貴

    ○町村敬貴君 元来北海道の開発というものは、もう随分長く行われておるし、現在道庁でも相当なことをやつておるのですが、今回新たにこういう総合開発というこの計画が起きて来て、いわば新たになさんとするということになるのですが、これは余程そこの点をしつかりやりませんと、恰も終戰後に政府が開拓計画をやりまして、そして開墾事業をやつた、ところが今日五年間経りて見ても、あれだけの巨万の金を使つてもその割合にその結果が現れなかつたとやうようなことから考えまして、北海道は勿論随分残されておるとは私も非常に残されておると思いますけれども、今度はこれを計画する時に、ただ一種のお祭り騒ぎにこれが終るようなことになつてしまつては大変だ、こういう点について私は政府も開発庁を作り、又実際の事業は各省が行う、併し今までの大体の仕事は道庁がやつておるのでありますから、この三つ関係ですね、これに対して一つどういう政府のお考えがあるか、私はこの三つ関係というものは非常に今後のこれを実際に運営して行く上において、その結果を見ることが非常にむずかしいのだと思いますが、勿論この開発事業は私は将来の日本における人口問題の解決には、これより残されたものはないということは存じておりますけれども、運営が若し誤りまするというと、北海道の現在残されておるものがむずかしいものが残されておると思いますから、そこらあたりの見解を一つお伺いします。
  62. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 只今町村さんからこの法律施行に当りまして、北海道開発計画を立て、これを運営して行く場合の極めて適切なる御注意を賜つたのでありますが、この法律案のうちにも考えられておりますように、国が今回北海道総合開発計画を取上げまして、これに基いて事業を実施して行こう。いわば国策の重要なる一環として実施して行こうという熱意を持つでおるのでございます。ただその場合におきまして開発計画を立てます場合におきましても、御承知のごとく現在の行政組織の運用から申しまして各方面に跨つておるような次第でございますが、今回御審議を得まして北海道開発庁が産れました場合におきましては、これが中心となつて開発計画を立て、且つ又これを推進して行く場合の拠り所にもなり、又関係各行政機関相互の連絡調整を図つて行きたい。かような意図を持つておるのであります。尚北海道開発計画がおいおい具体化して参りますに連れまして、その実施面において只今御指摘になりましたように相当関心を持ち、又相互に齟齬を来さないように配慮いたさなければならない点が多かろうと存じます。従いまして、これにつきましては参與の制度を設けて関係行政機関の者を参與として、北海道開発庁長官の輔佐役として活動し得るような途を開き、且つ審議会を設けまして各方面の学識経験者による適正な助言によつて運営を図つて行くというような方法をとつて行きたい。その場合におきましては、地方公共団体と北海道とこの開発計画の実施の調整という問題にもなつて来るのでございますが、これにつきましては関係地方公共団体が、必要ある場合におきましては適当な意見を申出ることができるようにいたしまして、そこの関連を緊密に持つ行くようにいたしたい。かように考えておる次第でございます。併しながら従来の北海道開拓の現状から考えまして、お説のように北海道開発計画を具体的に実施して行きます場合におきましては、以上申上げましたような考え方を念頭に置きながら、これを実施面において調整を図るように政府としてもいたして参りたい。さような場合においては北海道開発法が所期の使命を果し得るように運用して行きたいということを考えておるような次第でございまして、只今の御質疑に対しましては、政府は十分御趣旨を尊重いたしまして今後支障のないように一層努力いたしたいと、かように考えております。
  63. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 第三條についてお伺いするのですが、第三條に「関係地方公共団体」とあるのですが、これは北海道の開発に関係のある地方々々の公共団体という意味なのか、或いはこれは北海道道内、或いは道庁を指していられるのですか、もう少しこれを具体的にいいますと北海道開発に関係のある地方公共団体というものは、可なりこれは範囲が随分あろうかと思います。例えば新潟にいたしましても或いは福井にいたしましても、その他青森にいたしましても、これは関係地方公共団体等には違いないので、この点のお考えはどうでありますか。
  64. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 只今カニエさんから御質問がございましたが、第三條の関係公共団体の範囲如何、この点でございますが、北海道のごとき地域における開発計画を立て且つこれを実施して行きます場合におきましては、相当広範囲に亘つて関係のある地方公共団体があることを予想いたすのでございます。従いまして單に北海道の区域内における地方公共団体のみならず、これと関係を有する他の地方公共団体、即ち全国的に見渡しまして、この開発計画に関して関係を生ずる地方公共団体が内閣に対して意見を申出ることができると、かように解しておる次第でございます。
  65. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 第三條の末に、「内閣に対して意見を申し出ることができる。」と、成る程これは意見を申出ることができ得ないよりは、申出ることができ得るという規定にした方がよいには違いないと思うのですが、併しこれでは、どの程度に実際その意見を愼重に聞くか、或いは極めて聞き流しの従来やつておるような程度に聞くということになれば、何ら意味がないと思うのですが、そういつたものでなくして、これに対しで可なり、或いは委員会の中に入れるとか、機関を通じてもう少しはつきりした力を持たないというようなことではどうかと思うのですが、その点はどういうお考えでございましようか。
  66. 高辻正己

    政府委員(高辻正己君) 御尤もな御質問でございまするが、関係地方公共団体の中でも、特に北海道の総合開発計画どいう面から関係の深いのは、北海道という地方公共団体であろうと思いますが、この点につきましては、第十條を御覧になりますると、北海道開発審議会というのがございます。その審議会の委員の中に、北海道知事と北海道議会が加わつておるようなわけでございます。従つて北海道という地方公共団体の利害というような点は、ただに第三條の規定のみならず、第十條の面からいいましても十分な反映は期せられると思うのでございます。その他いろいろ関係地方公共団体があるわけでございますが、これらにつきましては、今申上げましたような措置を講ずることは困難だと思われまするので、三條だけ止めたわけでございまするけれども、勿論「内閣に対して意見を申し出ることができる。」と書いてありまするのは、書いていない場合に比べまして、やはり相当に尊重をするということが、この裏面には含まれておるものと存ぜられるのでございます。
  67. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 この第五條ですが、第五條の点では、「北海道開発庁は、開発計画について調査し、及び立案し、並びにこれに基く事業の実施に関する事務の調整及び推進にあたる。」ということになつておるのでありますが、先程私が第二條の点で御質問を申上げたときには、計画を樹立して、この事業を実施すると、実施機関のようにこの二條の後段ではつきりしておるのですが、ところがこの第五條へ参りますると、「事務の調整及び推進にあたる。」と、何かこう実施に関しての事務調整と推進だけをやるような感じを受けるのですが、この点は一体どうなんでございましようか。
  68. 高辻正己

    政府委員(高辻正己君) これ又御尤もな御質問でございまするが、この第三條の関係で申しまする事業を実施するのは、主体は実は国でございまして、国がこの事業の実施をするという点には何ら変りがないわけでございます。この第五條におきましては、北海道開発庁の所掌事務範囲と権限を明確にしたのでございます。即ち北海道開発庁は、この開発計画について調査立案するということが一つ仕事であると同時に、この開発計画に基く事業の実施というものは、国の機関がそれぞれ行うわけでございますが、その行う事業につきまして、北海道開発庁が特に事業の実施に関する事務の調整、まあ関係の各省いろいろございますと思いますが、そういう国の機関が行うにつきまして、ちぐはぐがないように事務の調整を図る、それから又推進を行うという、この北海道開発庁の所掌事務範囲という点から、このような規定が置かれたわけでございます。
  69. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 北海道開発庁は、今の説明によると、こういつた計画の調整並びに推進に当るというようなことのようですが、先程町村委員かちも、希望であり質問のようなことがあつたのですが、これでありますと、如何にも折角新らしく作る開発庁が、予算権も実施権も持たないというようなことで、而もその計画は、如何に立派な計画がここで樹立されるかは知りませんが、その計画がそのまま間違いなく実施されるところに問題があるのであつて、立派な計画を樹立したといたしましても、ばらばらの機関がばらばらに行うというようなことでは、恐らく私はやはり過去我が国が北海道の開発を重要だと叫びつつやつて来たことと、何ら結局においては変り得ないような感じを受けるのであります。又事実今まで幾多の例を見ましても、何ら予算権も実施権も持たさずに、ただ計画だけをやらすということになると、その計画の空廻りになつてしまうという虞れがあるのですが、この点については政府はどういうお考えですか。
  70. 小野哲

    政府委員(小野哲君) カニエさんの御質問は、誠に御尤もと存じます。北海道開発庁が設置されました暁におきましては、北海道開発に関する計画その他の問題につきましては、北海道開発庁が中心となつて取運ばれて行くということは、極めて望ましいことであります。それにつきましては、問題は、予算の運用の問題があり、又計画の実施上の問題があることは、御指摘の通りでございます。その場合におきまて、現行の予算の運用のあり方、或いは実施上の関係、行政機関の運用の状況等から判断いたしまして、北海道の総合開発計画を立てまして、これに必要な予算の高能率的な運用を図つて行かなければならんという点に鑑みまして、できるだけ北海道総合開発計画に必要なる予算は、北海道開発庁に一本で取りまとめるようにいたしたい。ただその実施につきましては、それぞれの事業につきまして、所属の行政機関もございますので、或いは又直接所属の行政機関が行い得ないようなものにつきましては、適当な実施機関を設けることも予想されるような次第で、これらの点を勘案いたしまして、予算の上につきましては、できるだけ総合的に取りまとめて行くようにいたしたい、北海道開発庁が中心となつてこれを扱い得るようにいたしたいという意図を持つておるような次第で、只今御指摘になりましたように、單純に調査立案をいたしまして、その結果がどうなるかチェツクができないというようなことでは、御指摘のように非常に不十分な点もございますので、さような点を考え合せ、又予算の運用についても、更に一歩前進の途を開くというふうな趣旨の下にも第五條の規定が置かれたような次第でございます。
  71. 町村敬貴

    ○町村敬貴君 只今カニエ委員が言われたことは全く誰しもこういう非常な心配を持たれるのは無理もないと思います。それでまあ結局三つになるような形、まあ開発庁とい方ものが計画をする、そうして実施をするのは、各省がする、併し今まで北海道のいろいろ、なことをやつておつたのは北海道庁がやつておつた、そこでこの三つの計画をやるところ、実施をするところ、それを又引受けてやるという道庁、そこで一番私は心配になるのは、計画を受けてやる各省が余程これはお互いの連絡がうまく行きませんというと、一つの目的をやるのに幾つの省もこれにかかつてやるというような場合もできることが非常に多いと思うのであります。これらを余程うまく取まとめ得る力が、私はこの仕事の完遂の上に非常に大切だと思う。若し一例を上げますというと、北海道には非常に大きな泥炭地を持つておる。これはどうしても最初は建設省がやらなければならない問題であるけれども、それは土地なるが故に農林省が俺がやるというふうになりますと、そこに農林省と建設省の間に境がなくなつてしまう。こういうような境をちやんと付けて、そうしてその開発も順を逐つて、最初は未開地の間はこれは建設省がやる、そうして一通りそれが完成した曉には、今度は農地として農林省が小さくこれも又土地の改良をやつて行くというようなことになりませんければ、なかなかこの問題は解決しない問題が沢山残されておると思うのでありますが、ここの調整をうまくとるということは、開発庁だけの力で、果して農林省、建設省をうまく動かせるかという問題、この御意見は如何ですか。
  72. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 町村さんの御意見は、カニエさんの御意見と相俟つて誠に御尤な点でございます。それにつきましては、北海道開発庁の任務が、実施機関たる行政機関相互間の事務の調整も図つて行くというところに狙いを置いておるような関係もございますので、北海道開発庁の長官は国務大臣を以てこれを当てるという考えをこの法律案では持つておるような次第で、従いまして国務大臣たる北海道長官が或いは閣議において、或いは政府全体の立場において、各行政機関相互の権限の調整であるとか、或いは北海道開発計画の進行に対しまして、閣議において相当強い発言をいたし得るような機会も設けて参りたい。いわば北海道総合開発計画を円滑に推進して参りますためには、相当強い政治力が必要であろう、かような見地から、特に総理府の外局として、その長官には国務大臣を以て当てるということによつて、只今御指摘になりましたような点につきまして、政府としてはできるだけ御趣旨に副うようにいたして参りたい、かように考えておる次第でございます。
  73. 町村敬貴

    ○町村敬貴君 そうしますというと、各省と北海道庁の関係はどうなりますか。
  74. 小野哲

    政府委員(小野哲君) この北海道開発計画は、第二條にもございますように、国が主体となつてやつて行くということになつておるのでございまして、従いましてその事業の種類によりましては、それぞれの行政機関によつて実施の衝に当るということが予想されるのであります。と同時に、地方公共団体である北海道自体が、或いは国の委任を受けまして行い得るものも中にはあるであろう、かように予想いたされるのでありますが、この間の調整につきましては、先程触れましたような北海道知事、或いは北海道議会議長等が構成員になつております審議会において、相当この間の調整を図り得るのではなかろうか、尚又地方団体である北海道とそれから国の関係におきましては、これ又この国務大臣が閣議に出ておりますような関係、並びに開発審議会が北海道開発庁長官の諮問に応ずるという任務を持つている点を考え併せまして、適切な調和をとり得るもの期待いたしておる次第でございます。
  75. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その点でありますが、今の点で仮に権限調整という点では十分でないにしても、従来よりは一歩進んだ形であるということが言い得られるのでありますが、先程も質問いたしまして、又同じようなことになりますが、計画を立てられまして、その立案が実施されるときに、開発庁が実施権を持たずに、各省ばらばらにこれが実施される場合に、その計画されたものが十であり場合、この十のものがその計画された通りに実施されてこそ完成をするのでありますが、ところが予算権も実施権もはつきり持たないというこのものが実施される場合には、往々にして十の計画のものが八しか現実には実施されない、或いは七しか実施されない、又或る実施機関においては十でよいものが十一も十二も実施されるというようなことに現実はなり得るのであります。そういたしまするというと、この計画というものは十のものがやはり十実施されるべきであつて、それが八であつてもいかず、七であつてもいかん、仮にそれが十一になても、十二になつても、やはり完全なる総合計画の土に行われるのでありますから、この点が非常に私は問題になるのじやないか、実際実施の面で、成る程文章の上では何ら間違いがないように一応考えられるのでありますが、実際は役所の仕事というものは、すべて過去においてそういう点から能率が上つていないのです。だからこの点について一応私はやほり開発庁がもりと強力な実施にまで、総合実施にまでやるべきであるという考え方を持つているのでありますが、この点についてはどうなんですが。
  76. 小野哲

    政府委員(小野哲君) カニエの御意見は誠に同感でございます。政府といたしましても、一種この方面の研究の過程におきましては、只今御指摘になりましたような問題につきましても、触れて参つたのでございます。先ずそれにつきましては何と申しましても、予算運用の現状から先ずこれを打開して行くことが必要であろう、事業の実施を円滑に推進して行きます場合におきましても、この基本的な問題は北海道開発に関する予算ができるだけ総合的に立てられるということにあるのであろうというような点に鑑みまして、開発計画に基く事業は、この法律案にも示しておりますように、昭和二十六年度から実施されるのてありますが、これに関しまする予算は、成るべく二十六年度以降、これを一括して総理府所管に計上いたしまして、使用に際しましては関係者に移して使用し得るよう、予算上の措置を講ずることが先ず適当である、かように考えておる次第でございまして、かくすることによつて北海道総合開発計画の実施を最も力強く推進し、且つこれを遂行することができるのではなかろうかと思つておる次第であります。もとより只今カニエさんから御指摘のように、北晦道開発庁が一面総合予算を樹立する責任官庁となり、一面これを実地する場合の実施官庁とするということは正しく一つの理だろうと存ずるのでございますが、只今申上げましたようなこの法律案立案途上におきまして、種々研究いたしました結果、かような内容に落付いて参つたまうな次第で、この点を御了承を願つて置きたいと存じます。
  77. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その点では尚もう一点物足りない法案の感じがするのでありますが、それは先ずあとにいたしまして、この第七條の「参與十人以内を置き、そうしてその参與には「庁務に参與させる。」二項に「参與は、関係行政機関の職員のうちから、長官が命ずる。」ということですが、この参與は予め大体お決めになつておろうかと思うのでありますが、どういう人を、十人お置きになるのですか。
  78. 高辻正己

    政府委員(高辻正己君) この参與については、関係行政機関との連繋を円滞に処理することができますように置いたわけでございまするので、肩然この参與と申しまするのは、特に関係の深い者ということになるのは当然でございますが、現在この参與を十人以内を誰にするかということは、具体的にはまだ考える時期に達していねいのでありますが、この制度の趣旨から考えまして、或いは農林次官、建設次官というようなふうな者に自然落付くだろうと思います。勿論十人以内でございますので、この人数には法の制限が十人ということでございますが、できるだけこの関係行政機関の次官なり、或いは事務官なり、局長等適当な職員のうちから開発長官が命じて、特に事務上の連繁を図るというふうに考えておる次第でございます。
  79. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 この只今説明によると、大体従来各委員会、審議会と、政府の機関によるものは定員法並びに政令によつて定められたものでしても凡そ百何十もあろうかと思いますが、ところがそれらの中に殆んど紋切り型のように参與という制度が設けられてありまして、その参與は盡くその次官或いは局長ということになつておる。そういたしますると、この参與といつものが実際どれだけその目的のために動いておるかということになるのです。ところかその殆んど実際を調べて見ますると、次官、局長はおのおのもう自分の任務ですらも、手一杯の仕事を各省庁とも持つておるのです。その外に各委員会、審議会の参與を又持つている。その参與もただ開発庁一つだけなら又考えようもあるのです。ところが各委員会何十となく参與を持つておつて、実際どうやつて適切な仕事ができ得るかという点であるのです。これは現実に、もう恐らく私は法律の條文の上にのみ、そうしてこういう機関を設けているというだけのことであつて、どれだけ実際効果が挙つているかということについては非常な疑問を持つているのです。従つてこの参與ということについては、私はもつと外の方法によるべきじやないか。少くとも新らしく作り上げて行くところの開発庁に対しては、どうも従来のこの参與の型ではいけないのじやないかという感じを受けるのですが、その点のお考えはどうでございますか。
  80. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 只今カニエさんから、参與のごとき制度を設けることが、実際上その任に当る政府職員が手一杯で能率が挙らんではないか。又効果がないではないかと、こういう御質問と拝聽したのでありますが、御承知のごとく北海道の開発に関しましては、関係各行政機関も相当多岐に亘つておりまするし、又予算の運営等から申しましても、その円滑なる実施につきましてはどうしても関係行政機関がこれに参画しなければならんということは申すまでもないのでございます。特に北海道の開発計画がこの法律にも書いてございますように、土地、水面その他もろもろの事項に旦つておりますような関係もございますので、只今御指摘になりましたような、関係行政機関の職員が参與として参画いたしました場合において、必ずしも御心配になるようなことは起らないであろうと、政府といたしましては、この法律案を立案いたします場合におきましても、北海道総合開発の性格に鑑みまして、又北海道開発庁の任務に鑑みまして、この種制度が最も適当である、こういう結論を得たような次第でございまして、この参與制度の任務なり、或いはその運用につきましては、勿論只今御注意になりました御趣旨を十分に体しまして、政府といたしましても努力をいたして参りたいと考えております。
  81. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そこで今答弁されたように、参與の運営の面では特に考えてやるというお答えでありましたか、この第二項の「関係行政機関の職員のうち」ということがあるのですが、こ関係行政機関とは、勿論最もこの開発に重要な関連を持つ北晦道庁も関係行政機関の大きなものであろうかと思うのでありますが、この点はただ政府機関という意味なのですか。或いは北海道庁も関係行政機関ということにお考えになつているのですか。その点はどうですか。
  82. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 只今御質問になりました関係行政機関の先ず定義と申しますか、そういう点を申上げますと、通常法律上使用されておりまする「関係行政機関」と申しますのは、政府の機関、かように解釈いたしております。
  83. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうしますと、私はこういう参與の制度を是非設けるということであれば、やはりこの実体であるところの北海道庁のうちから、職員のうちからでも、或いは知事が委員会に出れば、やはりその下の副知事であるとか、或いは局長、部長であるとかという者のうちから、やはり参與のうちに一名加えるということが、この運営を円滞に、又連絡等においても密接に行い得るということに思うのでございますが、その点はどうお考えですか
  84. 高辻正己

    政府委員(高辻正己君) 只今次官からお話下さいました「関係行政機関」というのは、一応そういうふうに解しておるわけでありますが、第七條の参與制度を置きましたゆえんのものは、これは第三條にありますように、国が北海道開発計画を樹立いたしまして、その事業の実施が各省に亘るものでございますので、国の機関としての各省との仕事の上の連絡調整を図うという意味合からそれを置いたものでございまする関係上、やはりこの「関係行政機関」と申しますのは、政府のそれぞれの事業実施の機関ということにするのが適当ではないかと存じでおるのでございます。
  85. 町村敬貴

    ○町村敬貴君 この開発庁の、つまり行うべき仕事は、余程今現在では…今回の開発は明治の初めの開発と違つて、やり易い所は全部やり盡してあつて、残つておる所は、数量は少くても非常にむずかしい所であるのですから、私は道庁との、つまり地方庁がやり得るような仕事はこれは地方庁が飽くまでやつて、その数量は少くても非常にむずかしい仕事にこの開発庁が当つて行くという、そつの見解はどうですか、政府にお尋ねいたします。
  86. 高辻正己

    政府委員(高辻正己君) この法案自体は、その実施の面に関しましては先程来申上げましたように事務の調整と推進だけに関連して来るわけでございまするが、一般問題といたしまして只今お話のような事柄につきましては、これは従前なつて参りました実施の大要等を十分にこの際検討したしまして、只今お話がありましたような方法が、若し国の行うべき開発事業の実施といたしまして適当であるということでありますれば、おのずからそういう方法にもこの際検討を加えて改正して行くのがいいのではないかと存ずるのであります。
  87. 町村敬貴

    ○町村敬貴君 これはやはり道庁もすでにやつておることでございますから、大抵の仕事は道庁がやつておる仕事が多いのでありますから、それで新たに開発庁ができて北海道の開発を扱う以上には、その道庁との関係というもので、やはり地方庁がやり得るような仕事にはもう殆んど手を出さなくてもいい。そうして片方の方では本当にやり得ないむずかしい仕事、本当の、いわゆる真の開発をやつて行くというようなところに、相当の重点を置かれて行く必要があるのじやないかと思いますが。
  88. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 只今町村さんが御指摘になりましたように、具体的な開発計画を実施していきます場合におきましては、さような考え方を織りこんでやつて行くべきではないとか、かように存じます。現行におきましても北海道庁が国の委任を受けてやつておるものもあるのでございますが、この種総合開発計画を樹立いたしました場合におきましては、十分にこれらの点を検討を加えまして、御趣旨のような方向に向つて北海道開発庁が中心となつて運営すべきであろう、又これを期待しておる次第であります。
  89. 河井彌八

    委員長河井彌八君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  90. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を始めて。
  91. 小林米三郎

    小林米三郎君 北海道開発法案は、誠に我々北海道に住んでおりますところの道民としましては、非常に結構なことでございますが、併し御承知のように北海道は非常に寒いのでありまして、我々北海道に住んでいる者がもう少し住み易いようにして頂かなければならん。それについては、御承知のようにこちらは内地と違つて非常に寒いために、生活費等も北海道は非常に余計にかかるというようなことになりまするから、結局税金も、所得税ぐらいは北海道に住む者は半分ぐらいにして貰うというように、人工的に土地の開墾ばかりでなしに、或いは資源の開発をやるのもいいのですけれども、最も面倒であるところの気候、気候を変えて行くことは到底できませんから、北海道に折角人が多くなりましても、これは寒くてどうも北海道にいられないというようなことで、夏行つては又直ぐ帰るというようなことが今まで多いのであります。こういうような面においては、この折角の北海道開発の問題を政府においではどういうようにお考えになつておりますか、この点お伺いして置きたいと思います。
  92. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 只今小林さんからお話がございましたように、北海道の気候風土等の点から、本土と異つた措置を講ずる必要があるのではないか、正しく御尤もの点であると存じます。これらの点につきましては、勿論具体的の問題として処理されるべきことでありまして、とこで抽象的にかくあるべきであるということを申上げることは如何かと思うのでございますが、例えて申しまするならば、或いは寒冷地帯というふうな意味合におきまして特別な措置を講ずる、或いは地方団体に対しましても、地方住民の負担との関連におきまして、或いは寒冷、積雪の要素を取入れも又は人口密度等の関係も考慮に入れまして、今後は新たに設けられます地方財政平衡交付金制度の運用の上に考慮を拂つて行きたい、かような考えを持つておるのであります。その他北海道総合開発計画が今回提案いたしましたこの法律案によつて力強く推進されます暁におきましては、政府といたしましても重要国策の一環として、特に重要国策として、この北海道総合開発計画を取上げておりまする熱意に徴しましても、今後更に各制度に亘つて改善を加えて参ることと私は期待いたしておるような次第でざいます。
  93. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 第十條ですが、これに内閣総理大臣が任命する委員二十人以内で審議会を設置する。衆議院議員のうちからと、参議院議員のうちからということですが、北海道知事、それから北海道議会議長、学識経験者云々ということになつておるのですが、この点、国務大臣の下にあるいわゆる諮問機関である審議会に、一体立法府の議員を委員にするということが、どうもこの点は甚だ合理性がないように思うのですが、この点についてはどういろふうなお考えを持つておられますか。
  94. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答え申上げます。行政機関である北海道開発庁の諮問機関である北海道開発審議会の委員中に、国会議員のうちからそれぞれ両議院の指名する議員を加えるということを規定いたしました趣旨につきまして申上げたいと思うのでありますが、御承知のごとく立法、行政、司法の三部門がそれぞれ独立いたしまして権限を行使し、国政の円満な発展を図るという三権分立の立場から申上げますと、原則的には御尤もな御質問と存ずるのでございますが、具体的に本件について考えますと、北海道総合開発計画を立案して行くという点から考えまして、必ずしも不適当であるとは考えられないのでございます。御承知のごとくに国会法第三十九條は原則として議員が兼職をするとふうことを禁止いたしておるのでございますが、一方又法律で定めましたような場合又は国会の議決に基くならば、国会藤員が公務員を兼職し又は内閣行政各部の各種の委員、顧問、参與その他これに準ずる職にも就くことができる余地を残しておるのでございまして、如何なる場合に国会議員が三権分立の精神に副いながら行政各部の地位をかねることが適当であるかということは、個々の具体的の場合について決定する外はなかろうと思うのでございます。御案内のように、すでに現行の各種機関につきましても、先例もあることでございますが、この北海道開発審議会は、北海道開発庁が北海道の開発計画を科学的総合的に立案するに当りまして広く衆智を集める必要から設けられる諮問機関でありまするし、従つてその意味においてその委員の中に博学であり経済に富む国会議員を加えることは必要と存ずるのでございます。一方この北海道総合開発が、この法律案にも掲げておりますように国民経済の復興及び人口問題の解決に寄與するため、国策として、又国家的一大事業として、取上げられておりまする関係上、先程も申しましたように北海道知事及び北海道議会議長を加えて現地の意向を反映せしむると共に、全国民の代表者である国会議員を委員の中に加えるということは、政府といたしましては時宜を得た措置ではないかと存じておるような次第でございます。而もこの審議会は、執行或いは議決の機関ではなくして諮問機関である点に鑑みましても、憲法上或いは国会法の精神から考えましても、これに停るものではない、かように考えました結果、この法律案のように両院の議員が北海道開発審議会の委員たわ得る途を開いているものであります。御了承願いたいと存じます。
  95. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 この点については今の折角の御答弁ではありますが、釈然としないのですが、それは後にいたしましても、大体一項の衆議院の場合、二項の参議院の場合、おのおの人員が五人、三人と明確に規定されてびるのですが、どういうわけでこういつたような差を特に設けたのですか。
  96. 高辻正己

    政府委員(高辻正己君) 極めて御尤もな御指摘でありますが、これは衆議院議員のうちから五人、参議院から三人といたしましたのは、概ね議員の定数に比例したわけなのでございますが、この議員定数に比例して員数を分けるういうことにつきましては、御承知のような検察官適格審査会というような国家の機関につきましても、すでに先例もございまして、それをそのまま北海道開発審議会についてもそのような比例という單純な意味合いから、五人、三人という数字が出て来たようなわけであります。
  97. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その点では、御承知のように衆議院と参議院とはおのおの性格も違い、又双方とも独立してやつているのであつて、特にそれが全体のアンバランスで計算されているというような根拠については、実に不満足に思うのであります。この点もいろいろ質問があるのですが、あとは私としては責任大臣の答弁を求めたい点が沢山残つておりますし、又予算等の問題についてもやはりこれは自治庁の方から聞くというよりも、関係大臣から聞くべき筋合いのものであろうかと一応考えますので、この程度で私の質問は留保いたします。
  98. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 如何ですか、他の委員諸君から御質問があればこの際願います。なければこの案はこの程度で本日は止めます。  それから他にまだ議案がありますが、本日はこの程度で散会したいと思いますが、如何ですか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それでは本日はこれを以て散会いたします。明日は午後一時から委員会を続行いたしますから御出席をお願いいたします。    午後四時一分散会  出席者は左の通り    委員長     河井 彌八君    理事      カニエ邦彦君    委員            淺岡 信夫君            小林米三郎君            島津 忠彦君            横尾  龍君            大隈 信幸君            下條 康麿君            竹下 豐次君            町村 敬貴君            堀  眞琴君   政府委員    総理府事務官  三橋 則雄君    (恩給局長)    地方自治政務次    官       小野  哲君    総理府事務官兼    法務事務官    (地方自治庁連    絡行政部長、法    制意見総務室主    幹)      高辻 正己君    外務政務次官  川村 松助君    外務事務官    (大臣官房会計    課長)     千葉  皓君    外務事務官    (政務官長)  島津 久大君    外務事務官    (條約局長)  西村 熊雄君    外務事務官    (管理局長)  倭島 英二君