○石坂豊一君 極めて簡單ですから……(「簡單でなくてもいいよ」と呼ぶ者あり)実はこの
法案につきまして、私共も幾多の疑義を持
つておるのでありますが、
政府與党でありますから成るべく
質問しないようにして理解したいと思
つていたのですけれども、よく調べれば調べる程なかなか私共の納得できない箇條が可なり多いのです。尤のこの問題は国有国営で以て全国的に
一つにして、そうしてその設備を全部改めたのを又ぶち切ろうというのですから、これはなかなか容易な問題ではないので、一再ならず
審議会などにかけて
審議せられて、それが或いは廃案とな
つてみたり、或いは答申案をそつち退けにして別に松永案によ
つて案を建直したというようなことで、苦心せられておる点はよく分るのです。併しながら大体においてこの再分割というものは、国民の納得するようによく公平に、又運営が円滑に行くようなことを主眼としてなさるべきことは当然のことと思う。でこの問題について
大臣の
説明及び
政務次官の
説明も非常に簡にして要を得ておるように思うのですが、大体においてこの九分割というものは、つまり原則的にその地区の設備をその地区の発送
配電会社に帰属せしめるということを言
つておる。然るに
一つの
区域については全くその
地域のものを全部余所へ持
つて行
つてしまう。そうしてこの除外例のようなものは、もともとそういうものを調節するために、こういう
公益事業委員会というものがあ
つて、その
委員が五人出て、そうして公平に配る。そういうことで融通
会社などは要らん、一方
公共事業会社が有機的によく各
地方の情勢を見て、そうして適正に運営して行けばいい。それも一応の理窟は立つのですけれどもそうなれば各地区に区分したところの……九つの地区というものを原則に
従つて分けて行けばそれでいいのだ。それを一方に持
つて行
つて、先の消費地に関係のあるものは全部そこへ持
つて行く。併しそうかと思うとそうでないところもある。如何にも以前に
電力を開発した
地域のものをそこに持
つて行くという、一応の理窟でありますけれども、当時開発した
会社というものは
日発ができた関係上全部解消してしま
つて、どつちに行
つたか分らないようにな
つておる。その点については如何にも或る場合においては原則に従い、或る場合においてはこれを変則に運営して行く、如何にも得手勝手なやり方のように
考えられる。(「その
通りだ」と呼ぶ者あり)で
只今門屋君の仰せられたことく、私の選出されておる県のごときは、これは非常な苦心を拂
つて、まだ水力
電気は成功するかせんか分らんような時代に、勇敢にこの
事業を敢行して開発した。それはなぜかというと、燃料資源がないから止むを得ず、渇水時もあれば豊水時もあるけれども、それを利用して水力
電気というものを起した。それが皆今
日発に入れられておりますから、皆さんも耳の痛くなる程お聞きにな
つておる
通り、これを返して呉れ、返して呉れということにな
つておる。それらも皆返さんぞと……、そうしてその
地方において開発されておる
発電は全部消費地の方の
区域に持
つて行く、こういうふうになると、如何にもその区分というものは得手勝手な区分にな
つて、ここはこの
地方に属すべきであるけれども、消費地が片一方にあるからそつちに持
つて行く、こういうふうにな
つている。併しこれを半面から見ますると、民有民営でなくて、超
官僚式というか、超国家式というか、実に中央集権の権限を飽くまでも発揮したものだ。(「その
通りだ」と呼ぶ者あり)私はこれ程ひどい、国家の権限を発揚して、そうして
地方の企業などを圧迫しておるものはないと思うのです。先程
門屋君の言われた私共の県の県営
電気は、まさに当時の価格で
日発の
株式を貰
つております。併しそれは無配当です。当時国有国営に
なつたときには、豊富低廉なる
電力を供給するので、そうして配当は六朱保障するということを大和田君などは啖呵を切
つていたのです。私共は当時反対してお
つたけれども、そういうことになるということであ
つたら、これが別途に、若し県が苦しくなければ六朱寄越せということを、民事訴訟でも何でもやらにやならんかと私は今から肚を据えておるのでありますが、そういうようなことで無配当です。そうして当時の企業資金は嚴重に年割額によ
つて償還をいたしております。こういうことはどこにありますか。これは国家のそれを一体暴政と言
つて差支ない。借金はお前が背負え、それから取上げたところのすべての動力はこちらで使う、そうしてそれは無配当にする。そういうことでこれは個人なら默
つている筈はない。県営県有を
株式でやりますというと、県民は否応なしに株主に
なつたと同じことになる。そうして今度の
法律によるというと、
公共団体は
株式を持
つてはならんことになる。そうするとこれは一体どうしたらよいか、今持
つている
株式はどうしてこれを
処分すればいいのか。その
処分の方法も何もついておりません。これについてどうか私共百万県民に納得せしめるような弁明を聽かなければ、私共は県へ帰ることはできない。それ故に私は
電力の方にへばりついて皆樣のお説を聽いて、どうかして合点の行くことができはせんかと思
つて聽いているが、佐々木君が言われた点においても非常な疑問を持つようにな
つております。何故かというと、今後新規開発することが、その帰属も容易に分らないし、又この九つの
会社の中に更に民有民営であるから競争
会社でも起すということができるのかできんのか、それも
ちよつとも分らん。一体それを止めるということになると、これ程民業圧迫ということはないことになる。その点は誠に私共は大きな問題にして疑問を持つことにな
つて来ておるのであります。今後生ずるところの九つの
会社については、大きな
会社もできる、小さな
会社もできましようが、大体それは平衡を得るように御
説明にな
つているけれども、私はそれもどうかと思いますので、これを作り上げるについてはなかなか容易なことではなかろうと思います。まあ時を要することであるからその間どうなるか待
つておれ、当分は従前と同じことだ。こういうてなだめて行くより外に我々は帰ることができない状態にな
つておるのでありますから、我々は汗水流してこれをいろいろ研究して見まして、どうもこれは非常に公平なことであり、どうしてもこうしなければならんということはまだ腑に落ちない。私は與党でありますけれども、この点だけに対しましてはもう或いは純粹なる野党側に立たなければならんかと思
つて今から心配している。(笑声)どうぞこの点を明瞭に、賢明なる
政務次官から
一つ御
説明願いたいと思います。