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説明員(
澄田智君) 六十四億五千餘万円でございます。これらの
電力会社の旧
外債につきましては、
戦争中、
昭和十八年でございますが、
外貨債処理法という
法律を出しまして、この
法律によりまして国が
債務を承継いたしまして、各
電力会社にはこの
外債の額に見合います
社債を
発行いたしまして、これを国に納付させまして、そうしてその債券を見返といたしまして国が
債務を承継いたしました。即ち従来
社債による
外債でありましたのが国債としての
外債に
肩替りに
なつたわけであります。そういたしまして、その際にやはり同じ
法律の
規定によりまして、旧
電力会社の
担保の
規定、こういう
規定は、
効力を失う、こういうことにいたしまして、従いましてそのときまでにありました旧
電力会社の
財産の
財団といたしまして、これに
担保を付けまして、その
担保によ
つて外債を
発行してお
つた訳でありますが、その
担保権は消減したこういうことに
なつております。従いましてその当時七件
財団がございました。そうして
外貨債といたしましては九銘柄あつたわけでありますが、それはいずれも国が承継すると同時に
財団の方は
財団の上にあります
外貨債のための
抵当権というものは消減いたしました。その消減いたしました際に
財団そのものは当時
内債の、普通の
社債、
内国の
社債が第二
順位の
抵当権を
財団の上に持
つておりました。従いまして第一
順位の
外債抵当権は、
法律の
規定によ
つて当然消減したのでありますが、第二
順位の
内債の
抵当権が第一
順位に上りまして、
財団そのものはそのままずつと存続をし続けたわけであります。こういう
状態で以て
終戦を迎えまして、
終戦後になりまして、当時の
内国の
社債が逐次
償還期が参りまして、
償還されることに
なつたわけでありますが、その際に若し
社債が
償還されてしまいますと、
社債の
抵当権というものは消減する。と申しますのは
一般担保の
規定によりまして
会社の総
財産の上に
先取特権を有するというような形になりまして、特別な
財団抵当というものを、新らしい借
替えのための
内債のために入れないということになりまして、従いまして借
替えのための
内債は、その旧
外債と同じ
財団の上に
抵当権を新らしく設定するという必要がなく
なつて、
一般担保の
規定によるということになりましたために、放
つて置きますと、昔
外債の
担保であつた
財団の上には、新らしい
抵当権というものはもうなくなるということに
なつたわけであります。これは
財団抵当の
規定によりますと、
抵当権が消減いたしますと、
財団そのものも当然に消減する。こういうことに
なつておりますので、その際
外債の問題が将来に残
つておるというために、
財団を残して置いた方がいいのじやないかということに
なつたわけであります。と申しますのは、先程も申しました
外貨債処理法というのは、
戦争中の
日本の一方的な
行為でありまして、これの
法律的な
効力というものは、
講和條約後の将来の
解決に残された問題に
なつたわけであります。一方的な
日本の
行為がそのまは承認されれば、先程も申しましたように、
債務は国が承継いたしますし特別の
担保というものは消減してしまう。従てまして
財団というものは、別に新らしく必要はないわけでありますが、若しそういう一方的な
行為が承認されないということになりますと、或いは旧
電力会社が又
債務者として
外債の
債務を再び負わなければならないということになります。それから
担保が消減するという
規定も、
効力を
規定いたしますと、昔と同じ
財団の上にやはり
担保権を持たなければならない、こういうことになりますので、その際に
財団というものがなく
なつてしまいますと、これは昔の
原状に回復するということが相当むずかしくなります。と申しますのは新らしく
財団を組成し直さなければならないことになるが、昔と同じに
財団を組成できるかどうか、昔の
債権者を満足させる
財団が再び組成できるがどうかということは、技術的に相当困難な問題があります。戦災で以て消滅した
施設も、若干ありますし、それから登記なんかもその後変更に
なつておりますので、こういうものを昔の
原状に回復するというのは相当困難がございます。
外債の問題が終局的に国喬的に
解決されるまでは、やはりそういう
可能性というものが考えられますので、それに備えまして
財団を残して置かなければならない、こういうふうに考えられましたので、各
電力会社はそれぞれ
財団保存の
措置を当時講じたわけであります。と申しますのはこれらの
財団の方に
内国債が
償還になりました後に、これに代る
債務の
抵当という形にして置けば、やはり
財団というものは存続する、こういうことになりましたので、それぞれ
借入をいたしまして、
借入の
担保ということにいたしまして、この
財団はそのまま存続するということに
措置したわけであります。こういう形を取りましたために
財団は今日まで存続しております。併しこの
財団は先程申上げましたように、現在においては
法律的には勿論
外債の
担保に
なつておるわけでありませんので、それぞれの
電力会社の
借入金の
担保という形で
財団が存続しておるわけであります。現在
内国の
社債の
担保に
なつております
財団が、七つの
財団のうち二
財団ございますが、あとの五つの
財団はこれは
社債でなくて、
借入金の
担保という形をと
つておるものと思われます。
社債の
担保に
なつております
財団のうち、近く
償還期限の来るものもございまして、これは
社債の
担保としてはいずれも
償還されてしまうということになりますと、普通の
借入金の
担保という形になりまして、これは将来の
外債の
解決のために備えるという
意味だけで残る、こういうことになると思います。
現状はそのくらいであります。