○
政府委員(舟山正吉君)
只今の金融情勢下におきまして、長期の
資金の融通ということは極めて困難であるのであります。
只今は証券金融のための短期融資をいたしておりまするが、昨年四月復興金融金庫の機能停止以来、長期事業
資金を放出する金融
機関といたしましては、事業会社の株式募集、社債
発行、その他直接の
資金回收によります外は、興業銀行辺りが金融債を
発行して事業
資金を出しておりますが、長期
資金の融通の円滑を欠いておることは大きな問題とな
つてお
つたのでございます。この点につきまして或いは
預金部資金の利用ということがいろいろと要望せられて、又銀行の
債券発行を認めて長期金融をさせるようにという御要望も参
つておるのであります。
先ず
お尋ねの第一の
放送債券の
発行につきましては、復興金融金庫の機能が停止された後におきましては、これを大口にまとめまして国策的に引受ける
機関というものはないのでございますが、従
つてこれが消化を図りますについては、銀行その他の金融
機関については限度があるから、勢い
預金部資金を以てこれを引受けるようにしたらどうかという御要望にな
つて来るのでありまして、御
承知の通り
預金部資金の
運用につきましては司令部からの覚書によりまして嚴重なる
運用制限が加えられておるのであります。即ち国債の保有、地方債の保有、又は地方公共団体に対する貸付、或いは一部公団に対する融資ということに限られておるのでありまして、今直ちに今
お話になりましたような
債券を預金部から出すというようなことは不可能であります。併し目下の金融情勢に対応いたしまして、
預金部資金を遊ばしておかないで、できるだけ活用するようにという
趣旨から、近く銀行の
発行いたしまする金融
債券は
預金部資金でこれを引受けることができることになる見込でございます。尚私共当局者といたしましては、單に
預金部資金で金融
債券を
発行するだけでなく、これが可能になりました曉には一歩を進めまして産業
債券、事業
債券というものも
預金部資金で引受けることがきるようになることを望んでおるのでございます。
只今のところはまだ金融債の引受という問題も完全に解決はいたしておりませんから、一段先の問題になりますが、併しその中には事業債の引受もできるようにして貰いたいというのが我々の希望でございます。その段階に立ち至りますれば、各種の
債券類、或いは会社社債類を持つ会社も可能かと存ぜられるのでございまして、その際におきましては
放送債券のごとき公共的色彩の濃厚なものにつきましては、
預金部資金で以てできるだけの御便宜が図られるのではないかと思うのであります。これは将来の目標でございまして、
只今のところこの途はございませんが、私共といたしましてはその方を開拓して参りたい、こう
考えておる次第でございます。
次に民間放送会社の
資金調達について、何らか援助
方法はないかという
お尋ねでございますが、今国会に
大蔵省から銀行が
債券を
発行することができるという
法案を提案いたしまして、目下御審議を願
つておる次第でございます。この
法案によりますれば、現在
債券を
発行いたしております興業銀行の外に、勧業銀行その他の銀行が
債券を
発行することができることになるのであります。尚これらの
債券発行が認められます上は、
預金部資金で以てこれらの銀行債を引受けて貰える見込であることは
只今申上げました通りであります。そういたしますると勧業銀行その他の銀行に相当長期の貸出ができる能力が出て参るのでありまして、
経済界から渇望せられております。長期金融の
措置のこともこれによ
つて可能になるかと思うのでございます。その際にはこの民間放送会社に対する設備
資金の融通というようなものも、これ又その公益的性質に鑑みまして、当局といたしましても
資金の融通について御斡旋することなどもできるように相成るかとこういうふうに
考えております。