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政府委員(
網島毅君) 最初に第六條及び第七條
関係の御
質問にお答え申上げます。この
無線局の申請に記載して頂く事項は、これは申請を審査する場合の重要な参考資料でございまして、従いましてこの
無線局の
運用がうまく行くかどうかということなどは、その審査の対象として十分考慮されなければならない問題であろうかと存じます。
ところで第七條の第一項第三号の「当該
業務を維持するに足りる財政的基礎があること。」これを審査の
基準の一つの対象にしておるのでありまするが、これは非常に少い
電波をでき得るだけ
公衆の福祉のために、これを公平に能率的に分配するということがこの
電波法の
目的でございます。ところで
如何にこの
目的がよくても、つくつたところが直ぐその
無線局は維持ができなく
なつた、潰れてしまつたということになりますれば、その
無線局に割当てたところの波長というものがそのまま死んでしまうことになります。従いましてこういうようなことは
一般公衆の福祉という点から
考えまして非常に遺憾なことでございますので、一旦この波長の割当を受けたからには、それがこの申請の
目的を達成するように、少くともその必要
期間は維持ができなければならないということは、これは当然かと
考える次第でございます。この問題は
一般無線局共通の問題でございまして、やはり漁業
無線局にいたしましても、つくつたけれども直ぐその
無線局が閉鎖にな
つてしまつたということでは、
電波行政上非常に遺憾と存じますので、財政的に基礎がしつかりしておるということは是非審査の対象にしたいと
考えております。
ところで元へ戻りまして、第六條の第一項の第八号「
無線設備の工事費及び
無線局の
運用費の支弁方法」、これを申請書に書いて頂くのでありますが、これは
只今お話いたしましたその申請の審査の際に、財政的にしつかりしておるかどうかということを一つの資料として
無線局の工事費がどのくらいかか
つておるか、これを
運用するのには
運用費がどのくらいかかる、而もそれはどういう方法で支弁するか、一方その
申請者の財政上のいろいろな基礎というようなものを考慮いたしまして、その審査に資するために是非必要と存じております。これも
無線施設全般に通ずることでございまして、漁業
無線だけこれを除くという
理由は困難ではないかと
考えるのであります。併しながらこの
一般船舶でありますとか、或いは漁業用の
漁船の
無線というものに関しましては、その必要性、公益性、ということは十分分
つておりますので、審査に当
つてはこの点は余りやかましく論議されないだろうと
考えております。
それから第十三條の有効
期間の問題でございまするが、現在の
無線電信法におきましては、
無線施設に関しまして一旦許可されたものに対しましては有効
期間というものがございません。無
制限にその施設を維持し、
運用して行ける建前にな
つております。併しながらこれは
電波の有効な利用、或いは條約上の問題、いろいろな問題からそのままでは工合が惡いのでありまして、これをカバーするために、現在におきましてはこの許可の
條件といたしまして、公益上必要のある場合、或いは主務大臣において必要と認めます場合には、いつ何どきでもその
無線局の
免許を取消すことができる。いわば伝家の宝力を持
つておるわけであります。併しながらこういうように
電波監理庁が伝家の宝力を持
つておりまして、いつでもその
免許の取消ができるということは、新らしい憲法の下、民主主義の下においてそれは適当ではないと私共は
考えるのであります。従いましてこの
電波法におきましては、一旦
免許を受けました以上は、これは
法律で決められた
特定の事情がない限り、その
免許の取消はできないことにな
つております。又
設備の変更を命ずるというようなことに対しましても、非常にその
制限を加えておりまして、徒らに行政処分によ
つて免許者に負担をかける、或いは迷惑をかけるということを最小限度に止めるという方針の下にできております。そういたしますると、この
免許の有効
期間を無
制限にするということはできないのでありまして、ここに何らかの一定の
期間ごとにそれを検討して行く、チエツクして行くということは必要にな
つて参ります。そこでこの
電波法におきましては、第十三條にありまするように、
一般無線局につきましては、その有効
期間は五年以内ということにいたしまして、五年ごとにチエツクするわけであります。先程お話のように勿論この條約も五年ごとに変りますし、それによ
つていろいろな
設備の
條件も変
つて参ります。
従つて五年ごとの再検討の際に必要な改正をや
つて頂くということに相成るのでございます。
ところで漁業用の
無線局というようなものは、これは何人が見ましても、公益上必要なことでございまするので、その五年を区切
つてその
免許の延長ができないというようなことは
考えられません。ただその際に新しい條約なり、新らしい
法律によ
つて技術的な細かい
條件が変
つて来る、それをや
つて貰うという程度のことはあると存じまするが、全然
免許が取消になるというようなことは
考えられないのでありまして、漁業家の皆さんがお
考えになるような心配はないと思います。尚手続が面倒だからというお話もございまするが、手続はこの
電波監理委員会規則におきまして、できるだけ簡素化にいたしまして、できれば
漁船のようなものにつきましては、葉書一本でも
免許の更新ができるようにしたいというふうに
考えておる次第でございまして、御心配の点はないようにしたいと
考えておる次第であります。
それから第三十一條の周波数測定装置の備えつけの問題でありますが、これはお説のように小さな
漁船につきまして、いろいろ波長計を備えるということは困難でございまするし、又それ程効果もないと
考えまするので、
電波委員会におきましては、それらのものは除外したいと
考えております。勿論この
委員会規則は、委員会が発足いたしまして、委員会が決めることがございますので、私がここで
はつきり申上げることはどうかと思いまするけれども、一応立案者の心構えとしてはそういうふうに
考えておる次第でございます。
次は第百三條の手数料の問題でございますが、これはお説のように、手数料というものは全然ない方がよろしいのでありまして、この点につきましては私共も全く同感でございます。併しながら今日のように国の財政が非常に不如意なときに、その行政に必要とするところの経費を何で賄うかということになりますと、これを租税で賄うか、或いは手数料、その他の收入で賄うかということになるわけでありまするが、これらの
無線局の
免許というような問題は、
免許を受けた人がその
免許を受けたことによ
つて相当な利益を受けるということは、これは間違いのない事実であります。
従つて受益者がその中の全部とまでは行かなくても、若干のものは負担するという
考えも出て参るのでありまして、今日は財政当局からの極めて熱心な要望もあり、若干受益者に負担して貰うということに相成つた次第でございます。これは勿論
電波行政に必要な全部の経費を賄うという
意味ではございません。而も百三條に挙げておりますものはこれは最高額でございまして、この最高額と雖も、私共の見積りでは施設費の大体数パーセントという程度でございます。
漁船その他に関しまして私共はできるだけその経費を安くしたい、手数料を安くしたいというふうに
考えておりまするので、それは恐らく施設費に比べて取るに足らない程度のものになるのじやないかというふうにも
考えております。できるだけ漁業者に負担をかけないようにや
つて行きたいということを申上げたいと思います。
次に
電波監理委員会の委員の任命でございまするが、これは
法案にもございますように、総理大臣が両議院の同意を得て決めることに相成
つております。
只今の御
質問の趣旨は大臣にお伝えいたしまして、十分その御趣旨を伝えたいと思います。