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1950-02-18 第7回国会 参議院 電気通信委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月十八日(土曜日)    午前十時三十五分開会   —————————————   委員の異動 二月十三日委員赤松常子君及び千葉信 君辞任につき、その補欠として高田寛 君及び水橋藤作君を議長において指名 した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○電波監理委員会設置法案(内閣送  付)   —————————————
  2. 松野喜内

    委員長松野喜内君) それではこれから委員会を開会いたします。電波監理委員会設置法案について質疑を継続いたします。  千葉議員から、委員外発言の通告がありますが、許可して差支ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松野喜内

    委員長松野喜内君) それではさように取計らつて置きます。
  4. 小林勝馬

    小林勝馬君 第二十條におきまして、事務局を設置することに相成つておりますが、この事務局電波監理総局を置く、この電波監理総局の長を長官として置くということに相成つておりますが、この長官を置けばいわゆる長官最高なのか、委員長最高なのか、下部に非常に誤解をするような虞れはないかと、こういうふうに考えられますが、これは電波監理総局長官というふうにされた理由その他これに関する御意見を承わりたいと思います。
  5. 網島毅

    政府委員網島毅君) 今の御質問は或いは行政管理庁からお答えした方がいいかとも思いますが、立案した私共の考えからいたしますと、この電波監理委員会ができまして、委員会仕事はその大部分委員会会議制の決議によりまして執行されるのでありますが、何分にも全国に亘る電波行政を行うためには相当の人員を要するところの事務局が必要であります。そこでこの事務局といたしましては現在の電波庁がそのまま引継がれるわけでございますが、この電波監理委員会事務の中には許可、認可或いは規則制定又は審理手続というふうに、いわゆる会議制委員会会議によりまして愼重に決められる部分がありますると同時に、電波法によりまして電波監視業務を実際の現業としてやつて行かなければならない責任を負わされておるのであります。ところがこの電波監視業務或いは又施設の検査業務というものは、その不法電波なり或いは不正の電波が発見されたとき直ちにそれに対する措置を取らなければならないのでありまして、これらの事項はいわゆる電波におけるところの警察的な事務をやるのであります。従いましてこの法案にもございまするように特別な事項につきましては、電波監理委員会の委任によりまして電波のその事務局長が担当することになるわけでありまして、そういうように責任の重い点も考えまして、尚その仕事性質国家地方警察本部におきましてこの事務局の長として国家地方警察本部長官が当るのでありまして、そういう実際面の現業的な仕事を担当して責任を遂行して行くというような事柄をも考えまして、尚もう一つ現在電波庁には外局でありまするからして長官制が布かれております。その電波庁がそのまま事務局に移り代るというようなことを考慮いたしましてその名称をそのまま受けました次第であります。
  6. 小林勝馬

    小林勝馬君 只今の御説明ではちよつと納得が行かないようですが、各種会議制を以て警察職務を持つというような御説明でございますが、この各種会議制一覧表を頂載しておりますが、今国警長官を置く以外は殆んど長官というものはないようでありますし、尚この部下と申しますか、その定員その他の関係からすれば、国警は四万何千電波庁が僅かに三千名くらいの程度でありまして、むしろ電波監理総局の長はやはり電波監理総局長でいいのではないか、現在は外局としていわゆる独立といいますか一個の何になりますが、今後は監理委員委員長がそれを指揮するわけで、いわゆる單なる事務局と我々は思うのですが、監理委員会命令権限と、その長官命令権限では、如何にも長官の方が命令権限が強力であるというような感じを持つのですが、そういう点はどういうふうに考えておるか。
  7. 網島毅

    政府委員網島毅君) 私共はそういうふうには感じなかつたのでありますが、この第二十條の第三項にもございますように「電波監理長官は、電波監理委員会指揮監督を受け、電波監督総局事務を掌理する」、「電波監理長官は、電波監理委員会同意を得て、委員長が任命する」ということになりまして、この監理長官進退身分は全部委員長が握つておるわけであります。そういうような誤解は起らないと私共は考えております。
  8. 小林勝馬

    小林勝馬君 次に第四條の所掌事務の中に二十二号に「電波が伝わる状況予報し、及び電波の伝わり方の異常に関して警察を発すること」ということになつておりますが、どういう見地から電波が伝わる状況予報ができるのか、尚又電波の伝わり方に異常というのはどういう点を異常というふうに考えておられるのか、この警報を如何様に発せられるかお伺いしたい。
  9. 網島毅

    政府委員網島毅君) この電波監理委員会には第二十七條の附属機関條項にもありますように、電波観測所というものを持つことになつておりまして、これが二十四時間中いわゆる電離層状況観測しておるのであります。電離層の変化によりまして電波全般状況を推定することができます。従いまして丁度紀象台が各地の気象状況の或いは気圧の配置状況、温度などを観測して、それから天候の予報をいたしますように、私共の日常電離層の高さ、或いは電子密度の多い少い、そういうようなものを観測いたしまして、それからこういう状況の場合にはどういう程度の波長の電波が最もよく伝わるというようなことを予報するのであります。これは現在は毎月予報しておるわけではございませんで、大体一月ごとにそのデータをまとめましてその後の一月なり三ヶ月間に電波全般予報をするのであります。ところで電離層日常毎日太陽の高さでありますとかその他季節によりまして定期的に変化する外に、いろいろな自然現象によりまして突発的に変化する度合が多々あるのであります。その一つの顯著な例はいわゆるデリンジヤー現象と称せられるものでございます。これは太陽面の黒点の活動と相当密接な関係がございます。そういうふうに太陽活動その他によりまして、そこから出て来る微粒子その他によりまして電離層が突発的に撹乱されることになりますと、今までうまく通じておつたところの通信が全然聞えなくなるという事態が起るのであります。ところがこういうものは太陽面活動観測するとか或いは又地磁気の変動を観測するとかいうことによつて、現在はその発生前に或る程度これを予知することができる状況に相成つております。従いましてそういうような観測をしてから明日はこのデリンジヤー現象が起るとか或いは又短波の現象がどういうふうに変化するかということを知りまして、それを全国に知らせまして、それに対する予備的な準備をさせるという趣旨でございます。
  10. 小林勝馬

    小林勝馬君 第四條の本文のところに「権限を有する」と相成つておりますが、今の御説明から行きますとそういう現象があつた場合はこれを予報しなければならないというふうに考えますが、予報しなかつた場合は一体どういう責任を取られるのか、どういう箇條でそれを現わしておるのか説明して頂きたい。
  11. 網島毅

    政府委員網島毅君) 第四條の第一項にもございますように、電波監理委員会はこれこれの権限を持つております。但しこの権限行使法律に従つて行わなければならないということになりまして、外に何らかこの実体法規定がありませんとこの権限行使はできないのでございます。従いまして只今の御質問の第二十二号に関しましても、これはやつてよろしいという権限を與えられただけでありまして、電波法その他にはやらなければならないという條項はございません。従いましてこの法文におきましては、電波監理委員会が何らかの都合によりましてやらない場合があつても、それは止むを得ないというふうになつております。これは実際問題といたしまして、仮にやらなければならないということにいたしまするとなかなかむずかしい問題が起つて参ります。と申しまするのは、これを十分やるためにはいろいろな設備も更に必要となつて参ります。又人員その他の問題もございます。従いまして只今の段階におきましては監理委員会がそのやれる範囲でできるだけこれをやつて、そうして一般利益のために公開するという程度がよろしいのではいかというふうに私共は考えているわけでございます。
  12. 小林勝馬

    小林勝馬君 第六條で「広い経験知識を有する者のうちから、両議院同意を得て、内閣総理大臣が任命する」となつておりますが、委員長及び委員はこの「広い経験」という意味をどの程度必要であるかという点を伺いたい。それから第三項第四号の「政党役員(任命の日以前一年間においてこれに該当した者を含む。)」ということに相成つておりますが、この政党役員程度を承わりたい。それから五号におきまして「同等以上の職権」という範囲を……。それから第四項の半数以上が同一政党委員ではいけないという理由。それから第八條の「営利目的とする団体役員」と相成つておりますがどんな程度のものがこの営利のうちに入れられるのか。「自ら営利事業に従事し」云々とありますが、この範囲説明願いたい。
  13. 網島毅

    政府委員網島毅君) 第六條の「広い経験知識」というのは、この電波監理委員会職務といたしまして、ただ單に一般無線通信のみならず放送という文化的な行政も取敢ず担当いたしまするし、又審理手続のところにございまするように異議申立に対する判定ということもございまするので、ただ單にこの方面專門的知識のある者ばかりではいけないという見地から「広い経験知識」ということにいたしたのであります。勿論この專門的知識を持つた人も必要かと思いますが、一般にそういう各方面の広い分野から委員が選ばれることが望ましいという趣旨であります。具体的に然らばこれをどういうふうにして選び出すかという問題につきましては、これは大臣から御説明願つた方がいいのではないかと考えます。それから第三項第四号の政党役員範囲でありまするが、これは追放令の出ましたときに総理大臣から各政党に宛てた通牒がございます、私共といたしまして大体その通牒範囲に載せられた範囲政党役員というふうに考えております。これには地方支部役員というものは含まれるようになつております。それから第五号の「同等以上」と申しますと、これはいわゆる民法或いは商法の上の役員ということでなくても、顧問であるとか、或いは相談役というような名前であつても、実質的にその事業の重要な発言者である、或いは事業に重要な影響力を持つているというような仕事をしている人を指定しておるのであります。それから第四項の「四人以上が同一政党に属する者となることとなつてはならない」という條項でございますが、この半数以上同じ政党の所属になつてはいけないということはこの委員会が飽くまでも不偏不党な公正な行政をやらなければならないという見地から、若しその委員のうち半数以上が同じ政党に属しているということになりますると、多数決制でございまするからしてその政党の一党一派に偏した政策が取られ易いということを懸念いたましてこういう條項を定めたのでございます。尚これに付加えまして御説明申上げまするが、この委員会には委員長を含めまして七人の会議制でございます。従いましてこの三人まででありますると三人で以て絶対過半数を制することができないのでありまするが、四人になりますると過半数を制することができます。従いまして、四人以上が同一政党に属する者であつてはならないということは過半数を制しないように、即ち三人以下でなければならんという意味でございます。それから第八條の兼職の禁止でございますが、「営利目的とする団体役員となり」これは会社でありますとか或いは商店でありますとか、そういう営利事業役員を言つているのでございまして、非営利の即ち公益法人例えば社団法人でありますとか、或いは財団法人というものの役員となることはこの條項では禁止してありません、即ち金銭上の利益を追求して行う事業団体役員はいけないという趣旨でございます。
  14. 小林勝馬

    小林勝馬君 第六條の第四項の今の御説明ではどうも納得が行かないのですが、例えば今の御説明で行きますと三人まではいいんだということですが、往々にして三人の人の力と申しますか、発言が非常に強いために、委員長も引摺られる面が起り得るのじやないかという点からしまして、なぜ三分の一とか四分の一とかいうことにせずに、半数まで認めたかということを聞いているのでその辺の御意見を承わりたいと思います。
  15. 網島毅

    政府委員網島毅君) これは外の国有鉄道でありますとか、專有公社、こういうパブリツク・コーポレーシヨン的な性質を持つたもの、及びこういう委員会政行のこの委員の選定についての共通な條文であると存ずるのでありますが、その趣旨只今お説のように三分の一或いは四分の一ということにして置いた方が安全じやないかということは御尤もだと存じます。併しながらそういうふうに考えて参りますと、結局一人一党の方が一番いいということになるわけでありまして、どの程度のところが然らば均衡しているかということになりますとなかなかむずかしい問題があると思います。ところでこの委員会におきまして非常な重要な問題、一般国民に非常に大きな利害関係を持つもの或いは政党影響を受けてはいけないような問題、そういうような問題を審議する場合には、私共といたしまして、委員長初め全委員が出席していろいろ協議するということを期待しておるのであります。それはこの委員会がいわゆるフル・タイム業務委員会でごいまして、一定の報酬を貰いまして常にこの行政に携わるために、この官庁に勤務しなければならない責任委員に與えられております。従いましてそういうような重要な問題の審議のときに全委員が揃つて審議をするということが望ましてのであります。従いましてそういう場合には三人までは同じ政党であつても四人は別な政党に属しておりますれば、一つ政党によつて多数を制せられるという虞れはないというふうに私共は考えておつたような次第であります。
  16. 河井彌八

    委員外議員河井彌八君) 六條の委員長及び委員選任の枠と申しますか、どういう標準を以て選任されるかということをお伺いしたい。この規定によりますと第三号、第四号等につきましてこういう人はなつてはいけないというような制限がありますが、然らばどういう枠から最も適任者を得るのかというその標準を伺いたい。
  17. 網島毅

    政府委員網島毅君) この條文は、この委員選任の当りましては、総理大臣が両議院同意を得て任命するということに相成つておる次第でありまして、内閣総理大臣がどういうふうにしてこれをお選びになるかは、私共からお答えするよりは大臣にお答えして頂いた方が適当かと存じます。
  18. 小林勝馬

    小林勝馬君 十二條の第二項におきまして、委員長及び委員同一政党に属する者が四人以上になつた場合は、両議院同意を得て三人になるように罷免して行くとてうふうになつておりますが、一体どういう人を罷免するのか、古い人から順次罷免して行くのか、その代られたときの罷免するというのは、どういうところからやつて行かれるのか、その基準を承わりたい。
  19. 網島毅

    政府委員網島毅君) この法律規定より一人或いは二人余計になつた場合の、この余計な方の罷免に関しましては基準法律上ございません。従いまして、これは総理大臣国会同意を得まして、そうして誰を罷免するかということを決めることになると思います。
  20. 小林勝馬

    小林勝馬君 十四條で、別に定める法律給與をやるということに相成つておりますが、この各種会議制機関の一覽表を見ますと大体決つておるようで、委員長の三万四百円、委員に二万五千六百円と相成つておりますが、他の委員会外国為替管理委員会のごときは委員給與は二万七千二百円、それから公正取引委員会委員長のごときは三万二千円というふうに相成つておりまして、何故に外の委員会よりも長官その他という名目を付けてしつかりしたものにするという、この委員会下部組織がそういうふうに相成つてつてこの委員長並びに委員給與は低く定められたのか、それを承わりたい。
  21. 網島毅

    政府委員網島毅君) 私共この法律の立案に当りました者といたしましても、この俸給は十分であるとは考えておりません。この委員会の重大な職責からいたしまして、もつと高い俸給が然るべきではないかという意見を十分持つてつたのでありますが、何分にも政府には予算という問題がございまして、予算当局といろいろ相談し又大臣の御意見も承わりましてこういうふうに決定それた次第であります。
  22. 小林勝馬

    小林勝馬君 十八條におきまして「内閣総理大臣がその必要がないと認めた事項については、この限りでない」と第一項に相成つておりますが、その必要がないと認めたというのは……。
  23. 網島毅

    政府委員網島毅君) 原則としてこの委員会の議決は総理大臣報告いたしまして、場合によりましていろいろ総理大臣の見解をお伺いする機会もあると思うのでありまするが、併しこの委員会の議決する事項には大小いろいろございまして、例えばこの異議申立その他規則制定であるとかというような重要問題は、勿論これは報告しなければいけないと思うのでありまするが、この船舶無線局許可をしたとか或いはその廃止届が出て来たので認可した、そういうものは一々総理大臣まで報告するに及ばないのじやないか、必要があればその事業報告として一年に一遍なら一遍の報告でいいのじやないかというようなことがございまするので、総理大臣において必要がないと認めた非常に軽微な事項については、その都度一々の報告はしないという趣旨であります。
  24. 小林勝馬

    小林勝馬君 次に十九條の審理官の問題でございまするが、この審理官はどういう人を任命し、給與その他どういうふうな制度をやられるのですか。
  25. 網島毅

    政府委員網島毅君) この審理官委員長委員会同意を得て任命されることになつておりますので、只今からどういう人が任命されるのか推測することは困難でございますが、立案した者の考えを申上げまするならば、この委員会笠理手続に入つて参りますところの仕事は非常に複雑多岐でございます。中にはこの無線局の免許というようなものもございまして、一般の社会的な常識或いは知識を非常に必要とする面もございまするし、又技術基準の設定というように非常に技術的な規則制定をするという場合もございます。尚異議申立というふうな半司法的な審理をしなければならない場合もございます。従いまして私共といたしましては、この中には司法行政司法関係経験のある方、及び電波行政経験のある方、そういう方々は是非とも必要じやないかと考えておる次第であります。
  26. 松野喜内

    委員長松野喜内君) ちよつと皆さんお諮りいたします。本多国務大臣がお見えになりましたが、先に河井内閣委員長から大臣が来られたら質問したいという御発言がありましたからさように計らいたいと思いますが。    〔「異議ない」と呼ぶ者あり〕
  27. 松野喜内

    委員長松野喜内君) それでは河井内閣委員長
  28. 河井彌八

    委員外議員河井彌八君) 本多行政管理庁長官と主としてお伺いをいたしたいのでありますが、この電波監理委員会を早理府の外局として置くということの説明当局から承わつたのでありますが、私共の考えでは、総理府外局に置かれる監理委員会その他の職制は、今後非常に沢山できるだろうと思うのであります。それはそれぞれ理由はありましようが、併し結局そういうふうになりますと実に総理府の内部の各職制が非常に沢山になりまして、更にもつといわゆる行政整理というような、つまり事務系統に分けてもつと大きな組織を作つてしまうか、何かそういうふうな或るものをやめてしまうとか或る部局のものをやめる、或いは職制をやめるとかいうような整理をしなければならんということになると思うのでありますが、そういうことに対して政府所見はどうでうるか、その点を伺つて置きたいのであります。
  29. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 御指摘のように、外局委員会殊に職理外局委員会の数が殖えて行く傾向にございますが、これはその行政事務整理上、各省大臣所管外において独立性を持たせるということがその事務性質上必要であるという見地から出て来るのでございまして、総理府事務がこのために非常に複雑になりはしないかというお話の点につきましては、それぞれその外局委員会等委員長にはなりませんでも、やはりこれも担当する国務大臣の定めまして、閣議との連絡にも当らせることになつて参りますので、総理府外局としての委員会が殖えましても、それ程総理府自体仕事が処理困難な程複雑になるとは考えられないのでございます。これは政府各省大臣をして所管せしめることが適当でないという理論から出て来るのでありますが、その他行政事務の民主的な運営という見地からその他にも各省外局委員会等員殖えて行く傾向にございまして、これらは今後の国家行政事務運営についての民主化という線と、そうしてこれを如何にして複雑化するものを統一的に調整するかという、この二つの観念は多少そこに矛盾をして来るのでありますけれども、今日提案いたしておりまする電波監理委員会等につきましても、関係方面意向と長い間折衝いたしました結果でありまして、諸種の事情を統合いたしましてこうすめ外ないというように決定いたした次第だありますが、お話のような心配は、行政管理庁といたしましても同様にいたしておるのでありまして、これらにつきましては行政機構の根本的な改革というものを考えておりますので、そうしたときに司令部方面了解等も又根本的に改めるというようなことにして解決する外はないと考えております。今日のところでは独立外局等になりまする行政事務性質を研究いたしますと、独立性を持たせなければならんことが止むを得んと認められるもの、或いは関係方面等意向考えまして、かくする以外に実現が困難であるというような事情の下にさようなことになつておるのでございます。
  30. 河井彌八

    委員外議員河井彌八君) 本多国務大臣の御説明によつて政府の苦衷の存するところは了解ができるのでありますが、私共内閣委員会といたしましては、やはりもつと行政組織を簡素にしてそしてできれば数を減らすというようなことなどもしなければならん。更にそれ故に総理府においても沢山委員会等を設置することは非常に考えものであると考えます。殊にその長には国務大臣を以てこれに充てるがごときお言葉があつたのでありますが、私は国務大臣の数からもつと減らして行く方が行政整理の本旨に合うのではないかというような考え方もしているのであります。  尚関係方面意向も尊重しなければなりませんけれども、この際この整理を本当に断行する場合におきましては、政府国会も同じ態度を以ちまして関係筋に対しましても強力な意見を出しまして、十分な理解を得るようにしなければこの整理というものはできないというように考えているのでありますが、そういう点につきまして、もう一応本多国務大臣所見を伺いたいのであります。
  31. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 行政機構の点におきましては、全く行政機構厖大化を防ぐという見地からはお話の通り考えているのでございます。この電波監理委員会につきましては、委員長国務大臣を以て充てるというのでなく、委員会国務大臣以外の委員を以て構成し委員長にもそれ以外の人がなるのでありますが、ただ総理大臣が所管するという建前上、総理大臣の補助をやるために国務大臣のうちからそこの担当大臣というようなものを決定いたしまして、そうして閣議との連絡に当らせるという意味のものでありまして、委員長国務大臣がなるというのではないのでございます。この電波監理委員会につきましても、これを今日の状態で支障はないであろうという意見、更に外局委員会にするにしてもこれを電気通信省外局として差支ないではないか、或いは又やはり国務大臣委員長にして置くことが連絡上、更に又その実質的に電波監理を適正に運営する上においてもいいのではないかといういろいろな意見が研究されました結果、約一年に亘る司令部との折衝を続けたのでありますが、その折衝いたしました結果、かくする外はないということに決定した次第でございまして、行政機構厖大化ということにつきましては政府におきましても十分努力はいたしているのでございますが止むを得ないものと考えております。
  32. 河井彌八

    委員外議員河井彌八君) 行政整理を本当に断行するという場合には、やはり関係筋了解を十分に得るためにもつと強力な御決意が必要であるということを私は申上げて置きたいと思います。  それから次にこの電波監理委員会を設置しますにつきまして、定員なりそれかに予算なりということは、在来の電波庁の定員に若干の人数が殖える、それから予算等もそのままであるというようなことを伺つているのでありますが、併しこれは私は将来非常に大きなものになるのではないかということを考えておりますが、将来のお見透しを伺いたいのであります。
  33. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 只今のところでは、電波庁の機構、規模、人員につきましても、その範囲内において原則としては処理したいと考えておりますが、将来特段に只今のところ厖大化するという私の方といたしましては見通しは持つておらないのでありまして、又さような際には十分検討いたしまするし、機構においても人員においてもそれぞれ国会等にお諮りをいたして決定して行くことでございますので愼重にいたしたいと存じております。
  34. 河井彌八

    委員外議員河井彌八君) 只今本多国務大臣の御説明がありましたが、その点について電気通信省の御意見はどうでございましようか、これを伺いたいと思います。
  35. 網島毅

    政府委員網島毅君) 私共といたしましても、全く只今本多国務大臣の御答弁と同じふうに考えておりまして、将来できるだけ更にこの機構その他を簡素化することによつて仕事の能率を上げまして、人員その他機構の厖大は極力抑えて行きたいというふうに考えておる次第でございます。
  36. 河井彌八

    委員外議員河井彌八君) 従来官庁なり委員会等設置の場合には、いつでも機構を初めは簡素化して置きましてそれからどこまでも厖大化して行く趨勢が非常に多いのです。これは私共非常に遺憾に考えるのでございます。只今の御説明については国会側においても篤とこれは留意すべきことであるということをこの際申上げて置くのであります。
  37. 小林勝馬

    小林勝馬君 本多国務大臣に関連してちよつとお伺いしたいのですが、政府行政簡素化をするということはもう口癖のように言つておられるにも拘わらず、今まで電気通信省外局であつたこの電波庁を、電波監理委員会なるものを設置してわざわざこれを内閣を附属させたというふうにして、今河井内閣委員長からお話のあつたように段々厖大して行くんじやないかという懸念が非常に強い。こういう点からいたしまして、先般から話題になつております電気通信省の現業を、コーポレーシヨンとしてこれを外に出すというようなことまで言われておるし、尚又総理大臣はこれに同感の意をも表されておるようでございます。そういうふうなときに電気通信省の監督面とこの電波関係の監督面と共に一緒に置くことが、むしろ行政簡素化の方になるのじやないかと、わざわざこういうふうにしない方が監理委員会を設置して、特にこういうふうにしない方がいいんじやないかという感じがするのでございますが、そういう点からいたしまして本多国務大臣行政簡素化という関係乃至は行政の機構縮小、改革というような点からして、どういうふうなお考えを持つておられるのか。今後そういうような電気通信省の現業を切離すような場合に、又そういうものと一緒にして簡素化するというような御意見があるのか、そういう点の見通しを一つ説明願いたいと思います。
  38. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 外局独立性を持つて設置されることは機構の面においては複雑化するようではありますけれども、実質的には政府の監督は專ら法律によつて監督されるという、委員会の自主性による行政運営を強化して行くわけでありまして、一面これはどちらかと申しますと国会で今後御承認願いますこの法律によつて監督を受けるだけであつて、それ以外のことは政府のいろいろな世話を燒く面は縮小されて行くという方向へ進みつつあるものと思います。更に将来この電気通信関係が公共企業体或いは民営等になつた場合には、電波監理委員会の制度が何らかの支障を生ずるのではなかろうか、或いは又そうした場合には更に委員会の制度を改革しなければならなくなりはしないかという意味の御質問だと思いましたが、これは電波監理委員会という制度になりましても、これを民営或いは公共企業体というものに移行するについての特別の支障はないものと考えております。この民営或いは公共企業体等についての政府の方針はまだ決定しているわけではありませんけれども、そうした場合を想定いたしましても特に支障があるとは只今のところ考えられないのでございます。
  39. 小林勝馬

    小林勝馬君 前に戻るようでございますけれども、今のお話のように、わざわざ今まで電気通信省外局として支障はなかつたのに、これをわざわざ委員会を設置しなければならなかつた点、それから今河井内閣委員長から言われたようにこの委員長大臣を以てするということは最初の案にはあつたそういうふうに強力に持つて行かなくちやならなかつた点は、どういうふうにお考えになつてそういうように強力にしなければならなくなつたとお考えになつたのか、現在のところでどういう不便があるのか、その辺をちよつと承わりたい。
  40. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) これは電波監理という行政性質から来ることでありまして、この重要な電波の監理は政府と雖も時の政府の政策等によつてこれを利用するというような場合があつたり、特に政府の方針等によつて電波監理政府の干渉等によりまして公正を失するというようなことがあつてはならない、全く公正な立場で電波監理をやらせるためには、独立性のある委員会制度の方が適当であろうということに結論としてなつたのでございまして、政府といたしましてもお話のような意見を以ちまして約一ケ年間司令部と折衝を続けたのでございますが、その折衝の結論はかくのごとき制度にすることは止むを得ないものであろう、こういう外局が殖えるということも電気通信省から電波監理仕事が離れるということも一面不便なことではあるけれども、総合的にいろいろな理由考えまして止むを得ないものである、かような結論に至つた次第でございまして、その電波監理の特別な性格を持つているという点につきましては、電気通信省政府委員の方からでも御説明願いたいと思います。
  41. 網島毅

    政府委員網島毅君) 私共といたしまして、現在電気通信省外局として電気通信大臣指揮監督の下に電波行政を担当しているのでありますがこれによつて特に割が惡いという点があつたとは思つておりません。併しながらこれは主観的な考えばかりじやなしに客観的な考え方、即ち一般世間がどういうふうに考えているかということにつきましても、十分考慮をする必要があると私共は考えておるのであります。御承知のように電気通信省は現在電気通信事業を営んでおります。この事業の中には勿論沢山電波を使うところの仕事も含まれているわけでありまして、この同じ大臣の下にあるところの電波庁からその波長の割当を受けてその事業方面に利用して行くわけであります。ところが電波を利用するという面は、同じ政府部内におきましても運輸省特に国有鉄道でありますとか、或いは又海上保安庁という方面或いは農林省その他民間各方面に広くこれが利用されておるのでございまして、この少いところの電波をお互いにできるだけ沢山つてそうして自分の方の事業運営の能率を挙げたい、こういうふうに考えることはこれは当然でございます。私共といたしましては、主観的には最も公平にこの波長の分配ということをやつておるという確信をもつております。おりまするが世界から見ますと、とかくこれを色目で見ておるということも事実だと思います。しばしばそういう風説も私共は耳にするのでありまして、まあそのために一層自粛自戒はしておるわけでありまするが、そういう見方があるということはこれは否み難いことであります。従いましてこのたび電気通信省から分れまして内閣総理府外局となるのでございまするが、これによつて多少今までこの同じ電気通信の枠の中にあつたということの便利さを失う点はございます。ございまするが一方客観的に今度は非常に公平妥当に電波行政をやつて貰えるんだという見方も生れると思うのでありまして、この面からいつてプラスの部分も相当多いのではないかと考えておる次第でございます。
  42. 小林勝馬

    小林勝馬君 只今長官の御説明によりますと合理的にするためにこういうふうにする、それでは今まで合理的でなかつた面はどういう点か、それを御説明願いたいと思います。
  43. 網島毅

    政府委員網島毅君) 私は合理的でなかつたとは申上げなかつたのでありまして、今までにおきましても私共自身としてはちつとも不便なり不都合を感じておらないということを申上げたのであります。併し先程も申上げましたようにこの問題はただ自分がそう思うからというだけではいけませんで、やはり世間がどういうふうに考え世間が一体何を欲しているかということも十分考慮しなければならないと存ずるのであります。従いましてこういう面につきまして今日まで先程本多国務大臣からも御説明がございましたように、いろいろの方面と協議をいたしました結果、この形が一番適当であろうという結論に到達した次第でございます。
  44. 河井彌八

    委員外議員河井彌八君) 先刻定員のことについて伺つたのでありまするが、この案の二十九條に職員の定員は別に法律で定めると書いてあります。その法律で定めるその法律というものは、行政機関職員定員法の意味考えるものでありますがそれは如何でごさいましようか。従つて定員法は第二條の表を改正してそうして電気通信省から電波庁の定員を削つて総理府電波監理総局の定員を規定するということになるのではないかと思うのでありますが、これはどういうふうにお取扱いなりますか、本多長官説明を伺いたい。
  45. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 只今お話の通りでございます。電波監理委員会全体の定員につきましては定員法で法律で定めます。即にその電波監理委員会の内部部局につきましては、又電波監理委員会において内部部局の定数を定めることになります。従つて電気通信省電波監理庁の定員がこちらの方に変ります。又電波庁の内部部局の定数というものが改めてこつちの方に移つて来るわけでございまして只今お話の通りでございます。
  46. 河井彌八

    委員外議員河井彌八君) 国家行政組織法第七條の四項には委員会には「委員会事務局を置く」という規定がある。そこでその点から見ますと、委員会には事務局以外のものを置かないという見方であるようにも解せられるのでありますが、この法案の第十九條には、審理官五人以内を置くという規定があります。これは事務局の外に置かれるようになるのでありますが、それはこういうことがあつても国家行政組織法第七條第四項に違反する結果にはならないかどうか、その点を一つつておきたいと思います。
  47. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) これは国家行政組織法には事務局を置くとなつておりますが、その事務局以外の職を置かないのかという点につきましては、これは設置法でも国会の承認を得てお認め願いました場合には置けるものと解釈いたしております。現に今の機構におきましてもその電波庁の中にも行政組織法の中にございませんがそういうものが現在ございます。通産省の中にも通商監というものがあります。これはその特殊性と必要性を設置法の中でお認め願えました場合には、それを置くことにお認め願つておるのでありまして特に事務局のようなそうした組織的な機構は別でありますけれども、只今申しましたような專門的なことに職を置くということは認められるのでございます。これは行政組織法でさような細かい規定まで設けてありませんのは、そういう止むを得ないものは認めて頂く趣旨であると考えております。
  48. 河井彌八

    委員外議員河井彌八君) 国家行政組織法の建前からいたしますと、或いはこれを事務局の中に入れるとかというならば格別でありますが、何か一つの特殊なものができることは原則的には認め難いもののように考えます。従いましてこういうような特殊なことはよろしくないと考えるのであります。これは国会独自にて決めるべきでありますけれども政府の見解を一応伺つておきます。
  49. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 只今申上げましたような特別な必要上の職を、一々行政組織法におきましても総括的に特別の職については、職名等は記載してありませんけれども置くことができるということになつておると思います。
  50. 河井彌八

    委員外議員河井彌八君) 只今の御説明は一応そういうふうに了といたしますが、やはり行政組織を簡素にし、そうして機構を明確にするという上におきましては、それらの点をば余程嚴重に取扱うべきものであるという見解を持つておりますから、この点を特に政府の御考慮に入れるように申上げておきます。
  51. 新谷寅三郎

    ○新谷寅三郎君 国務大臣にちよつとこの機会に伺つておきますが、今お話のように電波監理委員というものは非常に重要なものである、又網島長官から申されましたように極めて公平な立場からやるというような、いわば一般行政官庁のようでありましても多少性格の違つた仕事をする、従いまして電波監理委員選任に関しまして法律案によりますと極めて簡單な條文しかないのであります。第六條に「公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験知識を有する者のうちから、両議院同意を得て、内閣総理大臣が任命する」こういうふうに書いてあるわけであります。電波監理の問題が非常に公平でなければならないということと、又電波行政というものは非常に広範な分野に亘つておりますから、相当各界のあらゆる角度から見てこれが公平に適正に運営されるような意味の構成でなければならないと思うのであります。第二回国会に提案されました法律案によりますと、例えば文化方面とか或いは経済方面或いは労働方面、その他各般の代表ではありませんが各般の分野から適任者を選定するというような規定があつたのであります。今度は非常に簡單にはなつておりますが、多分同じような趣旨であると思う。そこで選任に関しまして消極的にはこういつたものは監理委員になれないという規定は置いてあるわけですが、積極的にこういう分野から適任者を選ぶのだというようなことがやはりあつた方がよいじやないかと思うのです。そうしませんと一方に偏して選任せられますと、特にこの委員が兼職も在る程度禁止されておりますし或る程度給與も受けるわけであります、常時電波者理の行政に携わる点からいたしましても、相当技術方面或いは文化方面とか或いは労働方面とかいうふうに各方面から選ばれてそれぞれの担当を持つということになるのじやなかろうかと思うのですが、運用にも関係いたしますけれどもその点はどういうふうに選任され、従つてどういうふうな運営になるでしようか、お考えがあれば伺いたいと思います。
  52. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 只今のところでは方針として御答弁申上げる外ないのでございますが、この十分な経験を持つておりやはり各界各方面事情に明るい人で公正にやり得る人ということでその内容にやり得る人ということでその内容に至りましては御指摘のようなことが十分考慮されて選任されるべきものだと存じます。ただ他のこうした委員会でどういう方面から出さなければならんというようなことを一々規定したものもございますけれども、これは一体として行政機関として運営して頂くものといたしましては、そういう立場をも十分理解し得るような人達を広い見地から選任するという場合には、こういう條文の方が却つて適任者を選び易いのではないかという点でございます。これはいずれにいたしましても只今御指摘のありましたような観点から政府で人選をいたしまして、国人の御承認も頂くことでございますからその際の結果を御覽下さいまして、一つ御批評願いたいと思います。
  53. 新谷寅三郎

    ○新谷寅三郎君 條文といたしましては、本多国務大臣のおつしやるようなことにならざるを得ないかと思いますが、併し内容的に見ますと非常に一方に、例えば文化方面なら文化方面に偏しますと、その運用上非常に剛る点ができて来るのじやないかと思うのであります。殊にとかく従来閑却されがちなのですが、技術方面の專門家のごとき今後この電波監理委員会が、我が国の無線技術というものが非常に遅れている、これを非常に急速に向上させなければならない、この無線技術を向上せしむるためにはやはり電波監理委員会の中に技術方面に相当深い経験と理解を持つた人がいなければならないと思うのであります。又将来のテレビジヨンの発達等を考えましてもこの点は明瞭に言えるかと思うのであります。そういう点も十分考えて頂きたいと思いますし、又一面におきましてこの電波監理委員会が文化方面なら文化方面というものに余りにその色彩が強くなつて参りますと、今度は経済方面例えば日本放送協会なり或いは新らしくできて来るだろうと思います民間の放送会社なりというものの経済的な方面についての配慮が足りないと、いずけも非常に困つたことになるということも考えられるのであります。従いまして文化方面の方も或いは言論界の方面の方も、或いは労働関係の方も経済方面のことの分る方も技術方面の方もというような、広い分野に亘つて結局結合体として委員会として一つの満足なものになるというような構成であつて欲しいのであります。具体的には政府から人選をされて国会の承認をされますから、政府が人選をいたします場合に今申上げたような意味でできるだけ各界に亘つてその権威者を選んで欲しいということについて特に国務大臣の御配慮を得たいと思つております。希望に過ぎないかもしれませんけれども大事な問題でございますから強く要望して置きます。
  54. 千葉信

    委員外議員千葉信君) 只今の新谷委員の御質問に関連するところでございますが、新谷委員の御質問は第六條の中の後段の方「広い経験知識を有する者のうちから、両議院同意を得て、内閣総理大臣が任命する」というところに力点が置かれていたとように私は承わつておりましたが、私の御質問申上げたいのは前段の方「公共の福祉に関し公正な判断をすることができ」というこの條項に当嵌まる問題についてでございます。立案当局の立場からいたしましても公共の福祉に関して公正な判断をすることができる、そういう者が果してあるかどうか、勿論これは公正な判断をする者がなかなか容易に得られないから、ここにこういう條文があり半断をするという言葉があるとは思うのでありますが、御承知のように現在のようなこういうはつきりとした資本主義機構の中にあつて階級的に分れて、例えば役所の機構からいたしましても管理するのと管理される方、それから又社会的には搾取する者と搾取される者、或いは又支配する者と支配される者と、こういうふうな形で明確に出て来ておるということについては、これはもう誰も異議がないところと私は思うのであります。その場合にその中間的な立場に立つ者が或いは比較的に公正な判断をするということができるというふうにも言われるかもしれませんけれども、そういう場合になつてもやはり公共の福祉というものに対する絶対な判断というものはあり得ない。おのおのの立場々々によつて例えば具体的に言うならば、のんびり暮しておる諸君の社会公共の福祉に関する判断というものと、その日暮しの生活をしておる人達の公共の福祉ということに関する判断とはおのずから私は違うのではないかと思うのでございます。その問題の政治的な解釈はとにかくといたしまして、おのおのの公共の福祉という問題に関する判断が違うということは、そういう立場からこれはどうしても必然的に止むを得ない状態においてできているということについては、これはもう私が申上げるまでもなくお分りのことと思うのでございます。そういたしますとこの電波監理行政の公平を期するために委員長並びに委員選任する場合に、本当に公共の福祉に対して公正な判断をするように委員会を構成しなければならない。そういう立場からいいますと、どうしてもその人々の置かれておる立場なり或いは又環境なりというところから生じて来る判断というものを、総合的に公平なものに持つて行くというためには、やはりこれはそのおのおのの属しておる立場々々を考えてこの委員選任ということをやらなければならない。そういうふうに持つて行くのでなければどうしても一方的な公共の福祉という問題を判断する立場の人だけを集めてしまつては、これは非常に大きな問題が残るのではないかという点について、只今新谷委員からも御発言がありましたが第二国会に提出せられました当時にはもつと具体的な委員選任の分野というものが出ておりましたが、こういうふうに抽象的に表現せられましたということにつきましては、できるだけこの抽象的に表現の中から正確に事を運びたいというお考えがあつてのこととは思いますけれども、併しながら往々にしてこういう抽象的な表現は後の非常に惡用される虞れがありますので、只今私が御質問申上げた点について大臣からこの際具体的な方針を承わつて置きたい。かように思うわけでございます。
  55. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) これは委員長を含めまして六名か七名の委員と思いますが、その委員の方が個人としても公正なる判断のできる人でなければならんと思います。それが初から極端に偏して全く誰が見ても極端に偏した意見を持つ人で、公正には処理し得ないというような人であつてはならないと思いまするし、そうかといつてお話の通りに、各分野の意見が各分野の立場でこの委員会に判断の前提として代表されなければならないと思いますから、そうした方面との繋がりも勿論研究しなければならんと思います。更に又その委員会全体として各方面の立場が十分了解され、一体的に公正な判断が行われるというふうになつて行かなければならんと思うのでありまして、これは政府といたしましては、一人一人が公正なる判断ができる人で更に一体としても委員会が公正の判断が生まれまするようにということを目途といたしまして、政府として最善を盡しその上で皆さんに御審議せ煩わしたいと考えております。只今のところ例えば労働委員会等に見られます通りに、はつきりした立場を決めてそうした選び方をするか、或いは地方行政調査委員会のように市長会から或いは町村会から、府県知事会から議長会からというようないろいろのものもありますけれども、この委員会性質上これは非常に広汎な知識を要することであるし、一人としてもいろいろその立場によるその方面專門的な判断を願うと同時に、又委員会全体としての公正な判断ができるように、まあこれを目途として適任者を最善を盡して挙げる外はないと思つております。
  56. 河井彌八

    委員外議長(河井彌八君) もう一つお伺いしますが、この案の二十一條に関係いたしますが、電波監理総局に三部を置くということになつております。その中の局に部を置くというこの置くということは、国家行政組織法の第七條二項と第二十四條の二の規定趣旨と反するように考えるのですが、これは政府はどういう見解を持つておられますか。それを承りたい。
  57. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) これは電波監理庁の機構を大体は現状の機構で移して電波監理委員会事務局にいたします関係上、この事務局の中に更に局を置くということも不適当でありますし、そうかというて今までありました三部を一遍になくして課にしてしまうということも却つて機構の面から事務能率を且害するようにも考えられますので、この問題は他の行政機関の部と併せて研究をいたしたいと思つておりますので、取敢ずこれを一つお認め願いたいと存じております。
  58. 河井彌八

    委員外議員河井彌八君) 分りました。
  59. 小林勝馬

    小林勝馬君 周波数の指定の問題がございますが、周波数の指定を何部に属されておるのかはつきり明文がないようで、この周波数の選定ということは非常に重要な問題であろうと思いますが、一応この電波部その他でやられる場合は電波の利用の公平を欠く虞れがあるのじやないか、こういうふうに考えます。でこの電波の指定をするのはむしろ監理委員会に直属したものでなければならないというふうに考えますが、それでこの條文の二十四條、二十五條、二十六條を見ましても、周波数の指定及びこれが選定についての意義が明らかになつておらないのですが、これはどういうふうにお考えになつておりますか。
  60. 網島毅

    政府委員網島毅君) この周波数の指定という問題は只今御説の通り非常に重要な問題でございます。併いながら或る一つ目的を持つたところの無線局の出願があつた場合に、その目的に副うような波長があるかどうか、現在そういう波長が日本として得られるかどうかということだけを考えますれば、これは純技術的な問題でございます。勿論波長があるからといつてそのままその無線局許可になるということはないのでありまして、電波法にもございますようにいろいろな基準からその判定が行われるわけでございます。ところでこの波長を割当てて出すのには二つの段階を経なければなりません。これは電波の伝播のいろいろなデータからいたしまして、果してこういうふうにしてこういう時間にこういい距離においてこの波長がうまく伝播するものかどうか、届くかどうかという判定が必要であります。これは全く純技術的な立場から考慮さるべきものでございまして、この第一の條件に適合する個々の周波数ではございません。大体この辺の波長ならよろしいということを見出すのは、この第二十五條にありますところの電波部の事務、この第二十五條の二号に「無線局に対し指定すべき周波数を選定する」とございますがそれはそういう意味でございます。ところでそういうふうにこの辺の波長ならよかろうということの決つた場合において、さて然らばこの無線局に何キロサイクルの波長を割当てるかということは、混信その他諸般の情勢を考慮いたしまして、そうしてこれは無線局の免許に附随して指定さるべきものでございまして、この段階は第二十四條の施設監督部の事務即ち第二号にございまする「無線局の免許に関すること」というのがございますが、その免許に附随して個々の波長の割当が行われるわけであります。勿論これは最後的に電波監理委員会が判定するための委員のいろいろな資料の一つとなるのでございまして、例えば電波監理委員会がその行政を遂行するための事務の一部でございます。従いましてお説のように全くこの事務局から独立した委員会に直属したその波長の割当の機関というものは、これは不必要だと私共は考えています。即ち事務局そのものが委員会に直結した機関でございまして、この事務局で集めたいろいろな資料に基いて委員会が決定するというふうに考えておる次第でございます。
  61. 小林勝馬

    小林勝馬君 次に二十七條におきまして、電波監理委員会附属機関として電波技術審議会、電波観測所、職員訓練所というものがあるにも拘わらず、二十五條の電波部の事務の中に重複して、ここに「電波技術審議会に関すること」「電波観測所に関すること」云々とこういうふうに相成つておりますが、電波部内に技術機関を持つことは妥当ではないじやないか、何となれば若しこの案のごとく電波部に電波まで含む一切の電波の利用に関する技術の調査研究を所掌せしむるならば、事務局と、今申しましたように附属研究機関が研究を重複して複雑にして行くばかりではないか、というふうに考えられますが、この点はどういうふうにお考えになつておられますか。電波観測所をむしろ電波研究所と改正して、電波監理行政上の技術諮問機関として行くべきじやいかというふうに考えられますが、その点はどうでしようか。
  62. 網島毅

    政府委員網島毅君) 只今お話ございましたが、これはこの事務局の中の電波部と、それから附属機関でありますところの電波技術審議会或いは電波観測所で、同じような仕事で重複してやるという意味ではございません。飽くまでもその電波観測仕事はこの観測所でやり、又電波に何するいろいろな審議電波技術審議会でやりますが、この事務局でどこかその庶務的な面倒を見るところがないといけないのであります。例えば人の配置の問題でありますとか或いは予算の問題でありますとか、そういう問題につきまして、どこか面倒をまとめて見ませんとこれらの機関は半身不随になる虞れがございます。從いましてそれらの事務をこの電波と最も関係の幹いところの電波部というところでやるのでありまして、実態そのものはそれぞれの附属機関がやるということでございます。
  63. 松野喜内

    委員長松野喜内君) 本多国務大臣に対する質問はございませんか。……千葉君。
  64. 小林勝馬

    小林勝馬君 途中から始めて呉れちや困る。
  65. 松野喜内

    委員長松野喜内君) 今の続ですか。
  66. 小林勝馬

    小林勝馬君 人の発言を途中でやられちや困る。
  67. 千葉信

    委員外議員千葉信君) 発言許可を得たのだから……。
  68. 松野喜内

    委員長松野喜内君) では今のを取消しまして……
  69. 千葉信

    委員外議員千葉信君) 折角大臣が残つておりるのだから……。
  70. 松野喜内

    委員長松野喜内君) 大変大臣お急ぎだけれどもお待ち願つて……。
  71. 千葉信

    委員外議員千葉信君) 一回発言を許したのを取消しては委員長の権威に拘わる。
  72. 松野喜内

    委員長松野喜内君) それじや千葉君にお願いいたします。
  73. 千葉信

    委員外議員千葉信君) 折角大臣が残つておいでになられましたから、非常に細かな問題でございますけれども大臣のお考えを承わつて置きたい。第十二條の第二項でございますけれども、同一政党に属する者が三人になるように両議院同意を得て委員を罷免する、こういうふうになつておりますが、四人以上になればどうしてもこの條項によつて誰かを罷免するということになるわけでございますが、この委員というのはこれはもう同等の資格でございまして、同等の資格であるその委員同一政党に属するということになつて、その中から一人を罷免するということになり、同じく五人の委員の場合には二人を罷免するということになると思います。この場合一体どういうふうな方針によつて罷免する委員を決めるか、そのことについて立案当局の立場からどういうお考えになつておるか方針を伺いたい。
  74. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 委員になられました人が政党に入党をいたしましたために、法律上の制限以上同一政党から委員が出ておるという結果に陷りました場合に、どういう順位が罷免者を政府において決定して国会に諮るかという問題でありますが、これはやはりその四人なり五人なりのうちで、結局は政府責任においてどなたかに決めなければなりませんから、これは全くどの方をやめて貰う方が適当であるか、どの方は残すことが適任であるかということをやはりそのときに研究をいたしまして、そのうちのどなたかをやめて貰うようにというので諮る外ないのでありまして、政府が最善を盡して研究した結果適任なりや否やという結論を出しまして、この人であるという人を推薦することになるのでありまして、全くその時にならなければ只今からどういう順序でどういう人とか或いは又その委員の古い新らしいというような問題で決めることができるとすれば、そういうことも基準になるか知れませんけれども、今からそういうことを規定して行くということは、適任者を残し比較的適任性の薄い人をやめるように推薦するということを却つて阻害するということになりますので、その時分に最善を盡しましてやめる人を決定しお諮り申上げる外ございません。
  75. 新谷寅三郎

    ○新谷寅三郎君 先程私発言いたしましたことについて本多大臣から御答弁があつたようですがね、希望しましたのは成るべくこの委員は各界の広い知識経験を持つておる中から選んで頂きたいということを申上げたので、利益代表を選んで呉れというのではないのでありますから、その点誤解がないようにしたいと思います。  それからもう一つ関連いたしまして、私は委員会が非常に重要なものであるという観点からこういう心配をしておるのであります。これは十四條と八條関係ではありますが、結局兼業の禁止の問題とそれからその一面特別職ではありますが、公務員としての給與を受けるという問題の関連であります。今までの同じような種類の委員会制度を見ましてやはりこの給與関係からと思うのですが、実は余りよい人は出ないということになるのではないかと思うのです。こういう特別の委員会でありますから場合によりましては給與は必ず受けなければならないということではなしに、給與を受けないでも電波監理行政に非常に深い関係事業に携つておる人は別でありますけれども、例えば内閣総理大臣も認め国会も認めるということであれば、全然関係のない方面で或る会社の役員をしておる、或いは団体役員をしておるという人を選んでも差支ないじやないかという気もするのであります。そういたしますと非常に選考の分野が広くなつていわゆる適任者が選ばれるということになりますけれども、公務員法の建前から行きますと画一的にはどうしてもそういうことはいけないということに結論としてはなるのではないか、この辺で特例を開かれた方がよかろうという気もするのです。これは研究問題ではございましようが、何かお考えがありましたら……。
  76. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) これは電波監理を公正に運営して頂きますためには、兼任というようなことでない人の中から最適任者を挙げる方が適当であろうという考えで提案をいたしているのでございますが、どうかその点御審議をお願いいたしたいと思います。尚政府としましては原案を提出しておることでございますから、今のところ方針の決定しているものを変更するということは申上げられないのでありまして、十分一つこれは原案の通りがよかろうと考えておりますので、どうぞ御審議をお願いいたします。
  77. 小林勝馬

    小林勝馬君 二十條の第五項の「範囲内」を詳細に一つ説明して頂きたい。
  78. 網島毅

    政府委員網島毅君) これは全く委員会の判断によることでございまして、只今からその範囲をこうであるということを決定的なことを申上げられないのでありまするが、この立案した趣旨は定例的な軽微な事項、及びあまり重大でない事項であつて迅速な措置を必要とする事項、そういうふうに考えております。例えば定例的な事項一つの例といたしましては船舶無線局の免許であります。これは船には無線というものは必要だということは何人も分るのでありまして、殊に船舶安全法或いはその他の法令によつて強制されておるということになりますれば、ますますこの点ははつきりしております。従つてそういうことは一応委員会にかけなくても、事務当局の委任でやつてよろしいのじやないかと考えております。それから尚電波監理局が二十四時間法令に違反した電波の監視をやつておりまするが、惡い電波を出しまして混信を起したというような場合には、電波法によりましてその停止を命じ得るようになつております。これも一々報告をしまして委員会の決定によつてその停止を命ずるということでありますれば迅速な事務の処理ができません。殊に混信の問題は国際問題その他で非常に迅速を必要とする場合がありますので、こういうものは委任した方がいいのじやないかというふうに考えておる次第でございます。
  79. 小林勝馬

    小林勝馬君 以上で私の質問は打切ります。これを以ちまして本日はこれくらいで終了することをお願いいたします。
  80. 松野喜内

    委員長松野喜内君) 只今小林君の御発言もありましたのでこれを以て委員会を終了いたします。    午後零時十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     松野 喜内君    理事           橋本萬右衞門君            小林 勝馬君    委員            大島 定吉君            新谷寅三郎君            水橋 藤作君   委員外議員    内閣委員長   河井 彌八君            千葉  信君   国務大臣    国 務 大 臣 本多 市郎君   政府委員    電気通信政務次    官      尾形六郎兵衞君    電波監理長官  網島  毅君    電気通信事務官    (大臣官房審議    室長)     鳥居  博君    電気通信事務官    (電波庁法規経    済部長)    野村 義男君    行政管理庁次長 大野木克彦君