○新谷寅三郎君
大臣がお見えですから三つ四つお尋ねしたい。先般の
委員会で
大臣がおられませんでしたが、電波監理長官にお伺いして一応御返事を頂いたのでありますが、
放送法案を見ますると、至るところに
国会の承認或いは
委員会の同意を得なければならんという規定があるのであります。これは
只今の法制から言いまして前例のあることでございますが、中には殆んど前例のない
程度にまで
国会の承認なりが広く解釈されております。例えば
日本放送協会に対する監督の問題でありますが、電波監理
委員会を通じまして、
予算から
事業計画の詳細まで
国会に提出され、承認を経なければならないということにな
つておるのであります。ここまで参りますと、一体立法権と行政権というものとがどういうふうに
考えられるか、どういうふうな分野にならなければならないかという問題まで我々としては
考えなければならんと思うのであります。特に
事業計画等につきましては、この
事業計画が正しいものであるかどうか。適当なものであるかどうかを判断するならば、絶えず
日本放送協会の
事業の執行の仕方及びその当該年度における
事業の進捗の状況、来年度における
計画というものを一連のものとして
考えて行かなければできないと思う。これは立法府としては容易にできないことで、恐らく他の部門におきましては、行政
官庁が担当しておる事項に属すると思うのであります。この点については、私結論的にまだ行過ぎであるということを、立案当時にその点までお
考えに
なつたでありましようか。又お
考えに
なつたとしますれば、この法律案の
程度まで
国会がいわゆる行政部門に干渉して
行つていいというお
考えでありましようか。この点は相当重要な問題と
思いますので、特に
大臣の御
意見を伺いたいと
思います。
それから次に、やはりこの法律案にありますが、
日本放送協会の主なる
事業の中で、第六に「ニユース及び情報を他人に提供すること。」という項目がございます。もとより
日本放送協会がこういうニユース及び情報を他人に提供するということは絶対にしちやいけないということは
考えられません。これはアメリカ等の例におきましては、若干のニユースの提供をや
つておるようであります。併しながら前の法律案、第二
国会に
提案されました法律案によりますと、「ニユース及び情報を蒐集し並びにニユース提供機関を設け又はこれに参加すること。」恰も
日本放送協会が
放送事業を経営すると同時に、通信社を経営するがごとき字句が挿入されてお
つたのであります。この点につきましては、現在の
日本の言論界を見まして、
日本放送協会が聽取料を主たる財源としておりまして、ここまで進出することが言論界の自由発達のために適当であるかどうかということにつきまして、
委員会でも相当論議があ
つたところであります。字句は変
つておりますが、よく見ますと、内容的には前の法律案のときと殆んど同じような
事業もやれないことはないというふうに見えるのであります。そこまで参りますと、私は多少の
意見があるのであります。この点につきまして、今度の
法案ではそういう通信社を経営する、例えば海外に特派員を出して通信を集めて、その集めた通信を他の言論機関に売るというような
事業までやらせることができるかどうか、この点につきまして御
意見を伺いたいのであります。この第七條の
日本放送協会の
目的から申しましても「公共の福祉のために、あまねく
日本全国において受信できるように
放送を行うことを
目的とする。」というのが
日本放送協会の
目的であります。この
目的から言いまして、ニユースを集めることは、これは公衆の福祉のために勿論やらなければならんことだと思うのでありますが、集めたニユースを他人に売捌くということは、この
目的から言いましても多少その範囲外に属するのでないかと思うのであります。この点につきましても
大臣の御
見解を伺いたいのであります。
もう
一つは、この
放送事業に対する将来の政策の問題でありますが、
只今は公営によ
つて放送し、
放送を聞くというのが主たる問題でありましようが、アメリカ等の例を見ましても、相当近い将来にこれは段々テレヴイジヨンの方に移行して行かなければならんと
考えるのであります。又そういう政策をとらなければならんと
考えておるのであります。この
放送法案によりますと、勿論テレヴイジヨンだけを取上げて特別の保護をし、特別の助成をするという規定がないのは当然であると
思いますけれども、政策的に見まして、テレヴイジヨンの急速な普及発達のために、当局としてはどういうふうな具体的な政策を実行せられる
おつもりでありますか。又今年の
放送法等の施行によりまして、テレヴイジヨンの発達のために、どういう條文がこれに関連して特に強力に実行されるのでありますか。このテレヴイジヨンの問題は私から申上げるまでもなく、
大臣御
承知と
思いますが、現在アメリカにおきましては、娯楽方面は勿論のこと、一般の社会教育方面にも相当広く活用されております。我が国におきましても、ここ数年の間におきまして、できるならばテレヴイジヨンを実用化して、民衆に普及して行くことを
考えるのが当然だと
思つております。この点につきましても御
意見を伺いたいのであります。
最後に、これは
大臣の揚足取りをするつもりではありませんが、先程営業
広告に関しまして御
答弁がございました。それによりますと、私の聞き違いかも知れませんが、営業
広告というものは、
広告主から頼まれてやる場合に営業
広告になるので、頼まれないでやる場合には営業
広告にならないのだというような趣旨の御
答弁であ
つたかと思うのであります。そうなりますと、
放送法案の第四十六條に場いてあります「いかなる表現によるかを問わず、他人の営業に関する
広告の
放送をしてはならない。」とありますが、この「他人の営業に関する
広告」というものは、これは客観的に決ま
つたものだと思うのであります。それが
広告主から頼まれようが頼まれまいが、客観的に見て他人の営業に関する
広告であれば、それは
日本放送協会では行な
つてはならないのだし、これが
民間の
放送会社との
仕事の分野を画する一線であると思うのであります。この点は法律論になるかも知れませんが、或いは
政府委員からでも結構ですが、そういう
大臣がさつきお述べに
なつたような解釈が、この
委員会でも有権的解釈としてそのまま承認されますと、あとで運用上非常に困
つた問題ができると
思いますので、
政府委員からでも結構ですから、
一つその点を明確にして置いて頂きたいと思うのであります。
以上四点についてお尋ねいたします。