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1950-02-13 第7回国会 参議院 電気通信委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月十三日(月曜日)    午後一時二十七分開会   —————————————   本日の会議に付した事件電波法案内閣送付) ○放送法案内閣送付) ○電波監理委員会設置法案(内閣送  付) ○連合委員会開会の件   —————————————
  2. 松野喜内

    委員長松野喜内君) それではこれより電気通信委員会開会いたします。最初にお諮りいたしますが、本日会議に付する事件電波法案予備審査放送法案予備審査電波監理委員会設置法案予備審査、これを主といたしまして、先ず議したいのでありますが、どんなふうに議したらいいでしようか、委員長はこの前の総括的の質問、あれを継続的にして質疑応答したらいいかと思いますが、これに対する御意見を伺いたい。
  3. 小林勝馬

    小林勝馬君 まだ総括的の質問も、私共も可なりあるのですけれども、大分長くなる関係もありますから、千葉委員総括質問が少し残つているそうですから、それを済まして貰つて、あとは総括質問とするよりも、もう逐條審議に入つて説明した方が、この委員会を早く切上げることができるのじやないかと思いまるので、そういうふうに運び方をして貰いたいと思うのであります。本日はその前に電気通信大臣にも少し質問がありますので、折角大臣も御出席願つておりますから、その分を先にやらして頂きたいと、こういうふうに考えます。
  4. 松野喜内

    委員長松野喜内君) 只今小林委員からああした御意見が出ましたが、外に変つた意見はございませんか。
  5. 千葉信

    千葉信君 只今小林委員提案のように運んで頂きたいと思います。
  6. 松野喜内

    委員長松野喜内君) それでは御賛成もありますので、小林委員提案のように進行をいたすことにいたします。それでは前に残つておる一般質問を先ず伺うことにいたしましよう。
  7. 小林勝馬

    小林勝馬君 今私が申上げたのは、前の一般質問でなくて、それ以前に電気通信省に対する質疑がありますから、大臣も御出席でございますし、お忙しいでしようから、それを先にやつて頂きたいというわけです。
  8. 松野喜内

    委員長松野喜内君) それでは今のを取消しまして、大臣も見えておりますから、電気通信大臣に御質問したいということでございますから、それを許可いたします。
  9. 小林勝馬

    小林勝馬君 先日数日前の新聞に発表されたところによりますと、「呆れはてた役所」という見出しの下に、警視庁その他の電話料拂いが六億というふうに発表されております。現在我我民間は、例えば一ヶ月乃至は二ヶ月くらいの延滯によつて通話停止をされておる実情であるのであります。この発表されたのが本当かどうかは分らないのでございますけれども、通産省のごときは四月の年度初めから一銭も拂つておらないというようなふうに相成つております。尚又警視庁その他相当の金額が挙げられております。電気通信省一般民間影響を與える、こういう官庁であるから遠慮しておるんだというようなふうに書かれてもおるようでございますけれども、どういうふうな予算のいきさつから、こういうふうに相成つておりますか、そういう点が電気通信省として現在までとられた措置その他を詳細に一つ承わりたい。特に警視庁のごときは、警視庁が怖くてとらないのか、警視庁が特にそういうような関係が、民間影響があるとお考えになつて遠慮されておるのか、そういう点も一つ御説明願いたいと思うのであります。
  10. 小澤佐重喜

    国務大臣小澤佐重喜君) 電話料金の各官庁未納の問題は、つい一ヶ月ばかり前に電気通信省省議で問題になつたのであります。実は私は官庁の方でそういう滯納になつておるということは知らなかつたのでありますが、その省議報告になつて初めて分つたような次第で、これがどういうわけで従来そうした遠慮がちであつたかということを聞きますと、要するに官庁国民全般のいわゆる公けの利用をする官庁であるから、一般民間のようにぶつぶつと切つてしまうということは、官庁が迷惑だけでなく、一般民国大衆がこれによつてむる被害が甚大であろうという点から、つい遠慮して来たんであるけれども、併し今お話のような厖大な金額未納になるということは、このまま黙視ができませんので、先ず会計課長に嚴重に督促をして、若し督促をしても納めることができなかつたならば、一応閣議にかけて、この問題を報告して、それで一定の期間応じなければ、普通の電話と同じようにぶつぶつ切るという方針で、私としては決心を決めております。併しその後どういうような程度事務的に進んでおりますか、それも不可能であつたという場合に私が処置をとることになつておりますけれども、その後の報告は受けておりませんから、それらの金額、或いは従来の長い経過、或いはその後の経過等については関係政府委員をして説明させます。
  11. 山下知二郎

    政府委員山下知二郎君) 二月八日の読売新聞に発表されました只今の御指摘電話料支拂い延滯の件は、これは新聞の発表それ自身ちよつと間違つておりまして、桁が一つ狂つているのでございます。六億円の滯納ということが新聞には書いてございますが、事実は現在の官庁滯納は併せますと六千万円程度のものでございます。こういうことにつきましては、私共企業経営上非常に重大なことでございますから、それぞれ督促は十分に今まで続けて来ておりますが、各官庁やはりいろいろな事情がありまして、延びたものもございます。それで只今大臣お話のように、我々の方でも一段と督促する意味におきまして、次官会議にも提議して頂きまして、各省ともそういうものに対してはできるだけ善処するという約束に相成つております。尚只今指摘通産省の京橋のことが新聞に出ておりますが、これはその後全部回收に相成つております。それで新聞は書き過ぎてございましたが、これが反面から申しますと、或る程度の各官庁に対する注意の喚起に相成つたことだけは、その面の効果だけはあつたかと思うのであります。それで今後共にこういう滯納のないように十分に督促さしてやつて行く考えでおります。尚この機会に当委員会質疑のありました市内電報の件は、事実ああいうような点もございますから、これを取消します。
  12. 小林勝馬

    小林勝馬君 只今の、大臣から今後はこういうことのないように、ぶつぶつ切つてでも処理して行くという力強いお言葉がありましたけれども、実際その中でもう一つ申されたことは、官庁は非常に民間関係があるから遠慮しておつたのだというようなお話でございますが、これは私に言わせますと、例えば病院その他こそ民間に非常に連絡があり、国民自体も困るのに、そういうところではこういうことがあればぶつぶつ切つておいでになつて、そうして官庁だけ特殊関係を持つておられるということは非常に不合理じやないか、かように考えますので、今後は官庁一般民間並に取扱つて貰いたい。そうしなければ、むしろ民間の方が官庁と同じに取扱つて貰いたいというふうに逆に相成るのじやないか、かように考えます。金額は六億が六千万円であるという御説明でございますが、いずれにいたしましても、電気通信省予算の上から見ましても、いろいろな点に支障があるのじやないか、こういうふうな金利その他の関係も、民間であるならば直ぐぴんと来るような問題じやないかと、かように考えます。それで事務当局にお願いして置きますが、今月の末日におきまして、実際どれだけ官庁関係滯納がどれくらいに相成りますか、その実情を表にしてでも一つ出して頂きたい。これは委員会として是非お願いをしたいと思います。以上でございます。
  13. 千葉信

    千葉信君 大臣に御質問申上げます。大臣もすでにお聞き及びだと思いますが、去る八日の当委員会におきまして、鈴木事務次官に関しまする質議をいたしましたが、そのときの尾形政務次官答弁は、官僚皆さん方の力の強さをしのばせるような御答弁を頂いただけでございまして、要領を得ることができませんでしたので、改めて御質問する次第でございます。御承知通り只今鈴木事務次官九州地方出張中と承わりました、又仄聞いたしますると、東北その他全国亘つて出張計画があるように承わりましたけれども、勿論仕事に熱心な事務次官のことでありますから、余程万遍ないお廻りの計画とは思いますけれども、一体どの程度具体的にその計画が立つておるかどうか、この点について、この御計画の内容を承わりたいと思うわけでございます。申上げるまでもなく、今国会には天下の視聽を集めている、今国会において最も重要な法案であるところの電波法案等電通省所管で上程されておりまするし、更に又人事院の勧告をめぐつては、公務員諸君の中でも郵政省に次いで最大人員を有しておる電通省といたしましては、これ又頗る緊要な問題である資金ベースの改訂の問題が焦眉の問題となつておりまして、この点につきましては公務員諸君ゼネスト態勢にまで入りつつあるという緊迫した状態でございまして、これは深く考えますると、電通省として決して現在事務を等閑視されないような形になつておるのでありまして、日本の独立が怪しくなるというような問題についても、泰然自若として眉一つ動かさなかつた吉田首相でさえもが、このゼネスト態勢ということについては、ゼネストにもうすでに入つたかのように感違いして、あたふたと八日の朝駈けつけられたというような新聞記事も出ておるところでございまして、少くともこういう重大な段階にあります場合に、この焦眉の急を措いて全国遊説、勿論遊説じやなく事務上の出張とは思いますが、どういう案件があるために今に至つてから全国視察にお出かけになられることになつたのであるか。最近まで同事務事官は、こういうふうに熱心に全国をお歩きになつたようなことは未だ曾て聞いておらないところでございます。特に民主自由党としては、多数知事を本年六月の参議院選挙立候補させるという計画をお持ちのようでございまして、目的のためには手段を選ばずに、地方自治の確立をさえ阻害するようなこういう方法をとつて国民の顰蹙を買つておるときでもございますし、更に又多数の官僚諸君立候補しようとしておるということを承つておりまして、鈴木事務次官も又その立候補の下馬評にもう二、三ヶ月来上つておる人でございまして、殆んど既成事実というふうに私共は承つておるのでございまするが、今従業員待遇の問題を考えて見ましても、賃金ベースをさて措いても、できるだけ何らかの方法を以て、本省としてはその待遇の是正を考えなければならないときに、恐らく何百万という数に上るのではないかと思われるような経費を使つて、今更全国出張されるというようなことは、国民が非常に感じの悪い思いを持つて今度の出張の問題を考えておるということが私共にとつては心配されるのでございまして、昨日承つたところによりますと、愛知銀行局長立候補の問題に関連いたしまして、特に大蔵大臣からもうそろそろ時期であるから、立候補するとすれば、この際退官するのが至当ではないか、こういう注意を與えたということでございますが、大臣は今私が申上げた今度の出張ということが、いろいろな国民疑惑を持たれる点がありますので、そういう点について大臣はこの出張をお取消になるおつもりはないかどうか。それから又立候補確定というようなことになりました場合に、大臣は現在のような状態で放任して置かれるおつもりであるか。このことにつきましては、もうすでに参議院における小林事務総長立候補確定と同時に退官されたというようなこともございますので、こういう愛知銀行局長であるとか、或いは小林参議院事務総長のような態度こそが最も望ましい態度でございまして、むしろそれと逆の態度をおとりになるような場合があるとすれば、却つて現在の地位を利用して選挙に有利な態勢を作ろうとしても、むしろ逆効果を招来するというようなことも考えられますので、この点も老婆心から御注意申上げて、これらの質問に対して大臣からはつきりと御答弁をお願いいたして置くわけでございます。
  14. 小澤佐重喜

    國務大臣小澤佐重喜君) 鈴木君に先般仙台逓信局管内、最近になりまして九州の方に行つて貰つておることは事実であります。その目的は、大体新らしい機構が、例えば県における部というものは要らないとか、直接に管理所逓信官の繋がりがいいのではないかというような議論が下の方の第一線の方に出ております。このことが果して適当であるかどうかということを調査して貰うことが一つ。それからもう一つは、小林君に質問されたと思つたのですが、九州の方では電話局ができておつて、施設ができておつても全然人を入れないで機械を休ませておるというような質問があつたので、そういう点が若しあるとすれば重大な問題でありますから、これを調べることが一つ。もう一つは、行政整理後における定員配置転換の問題、定員法に基いて定員はできておりますけれども、或る局は足りない、或る局は多いという、これを円満な配置転換で均衡を保とう、こう努力しておりますが、なかなか思うように進んでおりません。これでは一方に対していわゆる労働強化という問題も出れば、延いては事務の澁滯というようなこともあり得るので、これをどう解決付けるかということが一つ。もう一つの狙いは、私の考え方としては、お互い仕事をしている間において、上の者が下の者に命令するというだけではなかなか仕事の能率が上らない。むしろ第一線でやつている人々の上に対する不満を聞いて歩くような方法が必要だ。私はまあできるだけ監督とか命令とかいう意味でなくして、制度に対する不満人間のやり方に対する不満を直接現場で聞いて来て、それを省議なら省議でその不満をなくすようなふうに図ることが望ましいという気持を持つております。従つてこうした四つ五つ目的に対して、私自身全国をできるだけ歩きまして、そうしてその不満を聞いて本省に帰つて来て、こういう点がいかんじやないか、こういう点はこう改革すべきじやないかということを論じて、少なくとも速かに不当な点は改善し、それからいい人間は表彰し、又下の意見を聞くというよなことをすることが必要であると考えて、現に私は暇さえあれば、遠くへは行けませんから、東京の近くへときどき行つて、そうして不満を聞いて歩いております。私が第五国会小林君の質問は第六国会だと思つておりますが、この間に私も全部廻つて、そういうことを補つて行きたいと思つておりましたが、御承知通り国会が続いておりますので、この際僕の代り次官行つて貰つて、今の四つ五つ目的を達して貰いたい。従つて今のところでは九州ですから、帰つて来て貰つたら北海道にも行つて貰いたいと思つております。併しながらお話のように、鈴木君に対しては参議院立候補するという噂もあり、私にもその意向を洩らしておりますが、併し決定すれば直ぐ辞めるべきでありますが、迷つているときに、どうでしようぐらいで君辞した方がよかろうとは言えませんから、私はその問題には触れておりませんが、出張参議院立候補の問題は全然関係しておりません。併しながら誤解を招く虞れがあるというならば、それを誤解を招かぬように、できるだけ小範囲に止めるとか、或いは誤解をしないような、何らかの方法をとるということは吝かではありませんけれども、少なくとも今日の出張参議院選挙というものは全然関係ありませんが、併しお話のように鈴木君が立候補すると決まれば即日辞して頂きます。
  15. 千葉信

    千葉信君 今度の御出張のいろいろな理由については私は了承いたします。併しその理由があるからと言つて、今大臣お話しになりましたように、本人からも立候補意思が表明されているし、洩らされたというお言葉でございましたが、一応大臣もそのことは本人からもお聞きのようでございます。而もそういう立候補目的を持つておられる方が、特にこの場に臨んでから、只今大臣が述べられたような理由だけで、差迫つて出張されたということについては私共はどうも納得できない。今大臣は御答弁の中で、立候補が今度の出張とは関係ないということをおつしやいましたけれども、これは耳を掩つて鈴盜むの類いでございまして、勿論大臣としては関係があるという答弁はできないでありましよう。併し国民は、大臣からそういう問題については区別がないのだという答弁を聞いても、決して腹の底から納得するということはできないということを、大臣がお分りの上で答弁されておることだろうと思います。承わりますと、大臣はお忙がしくて、なかなか九州の方に行こうと思つてつたが、行は暇がなかつたということをおつしやられたのでありますが、その大臣自身でさえも、その暇のない大臣であるに拘わらず、東北にはときどきお出でになつておるように私は聞き及んでおります。勿論大臣は暇がないから九州には行けない。併し東北の方は行けるのだというお考えを持つておられるかも知れませんけれども、大臣のような立派な方でさえも、ああいうようにしげしげと東北ばかりにお出でになるというと、国民はやはりこれについては或る程度色目を持つて見ております。而も今度の鈴木さんの場合は、明らかに立候補するということが殆んど決定しておるに拘わらず、大臣はこの問題は、出張立候補の問題は関係ないということをおつしやるのは、私は聊か議会答弁のような形をとつておられて、どうも私は腹の底から納得できないような御答弁であるように考えられます。そこで私は大臣に御忠告申上げたいと思いますが、決して大臣の御答弁だけでは国民は納得しないということをお考えになつて、どうしても今緊急に大臣代りに誰かが地方行つて、頭から命令するだけでは役に立たないので、お互いに腹を打ち割つて話をする必要がある。そういう目的を達成するためであれば、敢てこういう疑惑を持つて眺められるような鈴木事務次官でなくとも、他に、今も大臣の後ろに沢山有能な方々が並んでおられますので、そういう方々でも十分大臣のお考えになつておられるような目的は達することができると思います。それを大臣は敢て鈴木次官でなければならないというふうにお考えなつたところに、我々は納得できない理由があるのじやないかと思います。私自身もそういう疑惑はつきり持つております。従いまして、單にここでこういう答弁をしたから、これで済んだということではなくして、国民がこういう考え方を持つて、こういう疑惑を持つておるから、これに対しては大臣はつきり国民の納得するように、今後の全国視察計画はそろそろここらあたりで打切つて、そうしてどうしても必要ならば他の人をやられるという形に切換えて頂く方が、これは大臣としても、又実際に或いは立候補されるかも知れない場合の鈴木次官のためにもいい方法ではないかと考えております。それからもう一つは、勿論本人からはつきりした意思表示があつたならば、即刻退任して貰うように自分としては主張するつもりだというお話でありますが、私はこれに全幅の信頼をいたします。どうぞこの際にははつきりした処置をとつて頂きたい。而もそれも只今答弁なつたような、表面上の形を整えるようなものではなく、少くとも或る程度立候補の問題であるとか、党所属の問題であるとか、こういう問題が決定されましたならば、速かにお願いしたい。このことがむしろ大臣にとつても、電気通信省立場から言つても、又本人立場から言つても私は有明な方法ではないかと、かように考えるわけであります。
  16. 小澤佐重喜

    国務大臣小澤佐重喜君) 只今鈴木君の問題はいいが、私が仙台に行つたことが何かいけないようなお話しでしたが、あなたも御承知通り日本憲法議院内閣制をとつております。国会議員原則として大臣に就任するような憲法の精神であります。従つていわゆる議院内閣制をとつておる現在の憲法の下であつては、暇がある限りは全国廻つて国民諸君の声を聞くと同時に、我々の施策の批判を求めるということが我々の任務でありまして、むしろ私自身がもつと外にあることを皆さんから奬励して頂くことが至当だと思います。勿論これは鈴木君の問題とは別であります。鈴木君の場合は千葉君の親切な意見も分りましたのでありますから、千葉君の意見を参酌しながら適当なる措置をとりたいと思います。
  17. 千葉信

    千葉信君 図らずも私が大臣のことについて申上げたことが、大分大臣のお気に障つたようでありましたが、先程私が明らかに申しましたように、大臣の行かれたことを非難したのではないのでございますが、暇がなくて自分全国廻つていろいろと調査をしたいけれども、それから又みんなと腹を打割つて話をしたいが、自分としては暇がなかつた。その点私は了承いたしております。但しそういうふうにお忙しい大臣がしばしば東北に行かれたことについては、大臣立場としてはこれは無理もないことは私は分つております。分つておりますけれども、国民はそのこと自体に対しても非常に色目を以て見ておるということだけを申上げたのですから、その点誤解のないようにお願いいたします。
  18. 小澤佐重喜

    国務大臣小澤佐重喜君) 私の旅行は認めたわけでしよう。
  19. 松野喜内

    委員長松野喜内君) 大臣に対する御質問は外にありませんか……。    —————・—————
  20. 松野喜内

    委員長松野喜内君) それでは先程申しましたように、この前の継続の一般的の質問に移ります。
  21. 千葉信

    千葉信君 先程委員長からお話がありましたように、電波法案放送法案等につきまして、総括的に御質問をいたしたいと存じます。  私は第二国会放送法案が提出されるに際しまして、委員長代理として、衆議院の土井直作通信委員長と同道いたしまして、GSのアルフレツド・ハーレル氏にお会いいたしましたときに、次のような要望を受けました。それはその直後に本院におきましても報告したことでございますが、即ち今次提案運びとなつた放送法案目的とするところは、放送独占化排除して、普ねくその事業普遍化民主化を図ると共に、その自由競合によつて科学の進歩、向上を促進するためのものであるから、その趣旨に立つて十分な討議を進められたいということでございました。その後いろいろな派生的な問題や附随的な問題が発生いたしまして、今日三つの法案という形に形を変えて提案せられましたが、放送法案に関する限りは、この原則は動かないものであると私は考えておるわけでございます。そこでこの放送法案が、放送における企業独占の形を果して排除しておるかどうか、私は甚だ疑問を持たざるを得ない。先ず開放せられる波長の問題でございますが、法の制定を予定して現在出願中の三十有余の会社に若し事業を許すとしましても、波長関係からいずれも弱小な地方放送会社の域を出ないという形が出て来るのではないか、到底日本放送協会の敵ではなく、科学技術の発達を促進する体の自由競合などは思いもよらない。若しあるとすれば、これら一般放送事業者の血みどろなお互い経営維持せり合だけである。私はこういうふうな見解に立たざるを得ないのでございます。又企業独占排除にならないということは、次のことからも私は言い得られるのではないかと思います。このことは二月一日の本院における公聽会におきましても、公述人から公述されたところでございますが、一般放送が認可せられても、これらの業者達広告による收益を以て果して経営できるかどうかという問題でございます。現在日本の国内において支拂われておる広告料の総額というものは大体八億円、そのうち放送の部分の廻つて来る広告料として見込まれておりますのは一割二、三分の約一億円程度従つて月割としては九百万円、これを許可せられるところの三十幾つかの放送会社が分け合うということになりますと、一会社月三十万円、協会は御案内のごとく月額三十五円の聽取者が八百四十万円、これは月收が二億九千四百万円、一放送事業会社收益協会の千分の一という、こういう状態で果して企業独占排除と言えるかどうか。独占排除ということは單にその仕事ちよつぴり分けてやるということではなくて、開放されたその事業について十分に経営して行けるという形で、そうして自由競合を可能にするという状態でなければ、これは却つて又再び集中化の方向に必然的に落込んで行かざるを得ないと思うが、これに対して政府はどういう見解であるか。又一般放送事業者に関する法令はたつた二條だけに終始しているが、政府はこれによつて業者の創意工夫如何によつて自由無辺際開拓を予想したためであると言うけれども、むしろこれは好意のない無計画、無方針から来たものではないか、こういう点についても併せて御答弁を願いたいと思います。
  22. 小澤佐重喜

    国務大臣小澤佐重喜君) この民間放送の問題は、千葉君も御承知通り、米国では多少発展しておりまするが、まあ英国は独占のコーポレーシヨンでやつておりまするし、世界にもこの民間放送一つのコーポレーシヨンと競争をして、完全にその目的を達成い得るかどうかということを甚だ疑問であります。従いまして今千葉君の御指摘のように、この民間会社が果して経済的に成立つか、立たぬかということは大きな問題であります。併しながら我々といたしましては、とにかくこの自由競争の正当な面を社会に現わして、そうしてそこに一つの進歩を見出すということはやはりよいところであろう。但し経営を、單純な民間放送が出て、それが終始経営をいたしまして、そうして発達するというようなことはちよつと困難と思います。この点では千葉君と同じであります。併し民間放送の狙いは民間広告料だけの狙いでありますから、ただ單に放送だけをやつただけでは恐らく当初は間に合わない。即ち欠損するのではないか。例えば新聞社の人がその系統の子会社を作つて、そうして民間放送をやるという場合は、私は相当の経営ができるのではないか。例えば現在の放送協会で聞くだけではいかんから見るものも発行するというので、放送新聞とかを発行する計画があると聞いているんです。私もそう思うのです。放送新聞という見るものと、放送という聞くものと併せて、同じ考えを持つたいわゆる宣伝機関或いは報道機関が、これをタイ・アツプして行くために国民の得る利益というものは文化的に、経済的にあらゆる面で相当な成果がある、こういうのが大体の狙いであります。併し法律にもはつきり書いてあるように、この法律が通過いたしますれば、私の所管ではなくなりまして、それをどういう方法で許すかは一に監理委員会の委員諸君の考えで決まるんでありますから、私がここで許す場合を、許可する場合をどうこう申上げても、それと違つて結果が出るかも知れませんけれども、とにかく現在の我々共の構想ではそう考えております。更に民間放送に対してはただ二條だけしかなくて、殆んどこの法律がないと同じではないかというお話でありますが、この問題も今申上げた通り各国の例とかいうものははつきりしたものがございません。従つてこういう規律をした場合には民間の方にはこういう利益がある、国民はこういう利益があるんだということははつきり掴めないし、況んや米国の例が日本に直ぐ持つて来ても必ずしもいい例ではないと思う。つまり人情、風俗、或いは政治的にも、経済的にも、社会的にも異なつた国情へ直ちにその効果を持つて来るということもどうかと思いますので、いつそのこと、ここでは余り細かい規定をせず、民間放送を許しまして、苟くも規定に反しない限りは自由な立場放送事業をやらして見て、次にこういう点は法律でこうすることが、民間放送がよければ国民大衆もよろしいのだという結論が出た場合に、そういう細かい規則は設けても遅くないじやないかという見地に立つておりますから、お話のように極めて不徹底な條文であります。それは認めて私共も出しておるんで、そこに却つて民間放送の創意と工夫に基いた思いつたことができるのではないか、こういうふうに考えるのであります。
  23. 千葉信

    千葉信君 電波監理委員会の強力な統制が随所に散見されて、箇條審議に入りましたら、定めし問題になることが多々あると思うのでありますが、私の最も不審に堪えないと思いますことは、起債の場合はとにかくといたしまして、第三十七條によれば協会はその收支予算事業計画、資金計画について電波監理委員会の監理下に統制されるようになつておりますが、ひとしく特殊法人にありましても、国鉄、專売等は大蔵大臣予算或いは資金計画を見ることになつておるが、今度の場合その点に差別ができたのはどういう理由によるところでございましようか。更に又同じようにパブリツク・コーポレーシヨンという形になつておりましても、国鉄、專売等は全額国庫負担になつておりますし、新らしくできる協会は一体何人の所属になるものであるか。勿論国の出資でもなく、附則第七、八項によつても社員のものでもない。この社員には適当な金額で償還することになつておりますが、とにかく返還するということになれば、帰属は社員のものでもなく、国のものでもなく、出資した社員のものでもなく、勿論今勤務しておるところの協会の職員のものでもない。抽象的な国民のものになるという、全くの特殊法人という状態でありますが、この場合問題になりますことは、第四十二條の三十億の起債云々という問題でございまして、特殊法人という形の曖昧な、帰属の明らかでない抽象的な国民全体のものなどという協会に、若しも独占的な形をとつて三十億の債権者ができたりしたら、これは相当由々しい問題になるのではないか。特に考えられるのは見返資金の問題でございます。この見返資金の問題につきましては、見返資金特別会計法について大蔵大臣が同法の第六條が削除されたということを全然知らないで、今まで一年有半になつて削除された條項のままに同資金を運用して来たというので、天下の物笑いを買つたようでありますが、そういう資金が若し入つて来た場合には、これはやはり国民が相当深く考えておるような協会の隸属化というような問題、或いは又延いては放送のモデル化、奴隸化という問題が現実となつて現われるようなことがありはしないか。この点について大臣はどうお考えになつておられるか。明らかにして頂きたいと思うのであります。
  24. 小澤佐重喜

    国務大臣小澤佐重喜君) この法案考えておる放送協会のいわゆる法人の性質の問題でありまするが、私は大体日本專売公社、日本国有鉄道のコーポレーシヨンと性格的には同じものと見ております。ただこの放送協会の今日まで発展した形が、御承知のように社団法人という形で、政府の出資がなくして発展して来ました。一方国有鉄道とか或いは專売公社は出資というものは殆んど国でやつて来たのであります。そういう出資が民間であつたり、或いは社団法人であつたという原因は違つておりますが、結論においては両方のこの協会の性格は、日本專売公社或いは日本国有鉄道コーポレーシヨンと同じものだと、こう考えております。従つて地方財政等におきましても、まだ地方財政法は正式に国会に出ておりませんが、政府考え方ではこれと同じように免税もしよう、こういう考えであります。尚細かい点に参つて、監理委員会協会の收支を認可或いは許可するという問題でありますが、御承知通りこの監理委員会制度は、従来は電気通信大臣が單独官庁として行政をやつておりましたのを、この委員会会議体でやるのが監理委員会制度でありまして、丁度今大蔵大臣が一般の公社に対して財政面を監督するように、電気通信大臣がやる代りに、この監理委員会がやる、全く同じ意味考えて差支えないのではないかと思います。  三十億の起債云々の問題でありますが、これは国家が法律を以て特に保護し、或いは免税その他の方法で保護しております理由は先程申上げました通り、これは殆んど官営と同じものである。こういう場合はいろいろの会計法規、或いは官営であるところによつての従事員に対する給與規程、そういう問題がいろいろ隘路が生ずるから、ここで一般公務員とは違つた形において従事して貰つた方が、この事業の性質上よいというだけで、それ以外は全く官営と同じに考えてよいのではないかと思つております。そういう意味で、先程申上げました通り三十億の起債をするということは、結局国が起債するということになつておるのであります。従つて料金も法律で定める。会計鑑査も会計検査院がやるというふうに殆んど官営と異るところがないのでありますが、ただ官営では今申上げました通り、運営上いろいろな隘路があるから、その隘路をなくするには、むしろ公共企業体の方がよろしい、こういう感じがするのであります。従つてすべてが日本国有鉄道、日本專売公社と同じものである。但し二つの公社に対しては労働法規から見ますと、片方は公共企業体労働関係法を適用しております。このコーポレーシヨンにはしません。しませんということは、どういうわけでしなかつたかと言いますと、するのが当り前であります。理論的にいうと……併しながら今までの社団法人日本放送協会は一般労働組合法の適用を受けておつたのであります。この適用を受けて一つも現実の面において大きな従業員同士の争いもないのに、ここに新たに労働法規を制限するような労働法規を持つて来ることは余りよろしくない。将来この法規の適用があつた場合には別個であるが、従来のごとく、少くとも従業員諸君が広く労働組合法の恩典を受けようとする場合には、それを受ける方がよろしいのではないか。そこだけが違つておりますが、理論的に言えば日本国有鉄道も、日本專売公社も、放送協会も異るところはないのでありまして、これと同じ取扱をすることが順序と思つておりますが、特に公共企業体の労働関係法律を適用しなかつたのは、その歴史がそういう形になつておるから、而も歴史がそうなつており、円満に組合関係行つておる。だから労働者を縛るようなこともないじやないかという、そういうような考えからそういたしました。
  25. 千葉信

    千葉信君 どうも只今の御答弁は的が外れておるようでございますが、私が国鉄或いは專売公社と違う点について御質問申上げたことは、放送協会の資産計画、或いは事業計画の問題に関しまして、国鉄、專売の場合にありましては、所属会計法によりまして大蔵大臣の一応の監督を受けるという立場をとつておるようでありますが、今度の放送協会の場合にはその点が全然違つて、電波監理委員会の指揮と申しますか、意見に従うことになつておるのでありますが、その点についてどうして同じパブリツク・コーポレーシヨンでありながら、そういう差違が生じて来たかということについての御見解を私はお尋ねしたわけであります。勿論国鉄にありましても、專売にありましても、それぞれの大臣が直接に監督をしておりまして、この点については今大臣お話になりましたように、電波監理委員会がそれに代るものであるということについては私も了承しておるつもりでございます。それでありながら、而も両会計法を見ますと、はつきりと国会に提出する場合に一応大蔵大臣の監督を受けることが明瞭になつておりますが、その点についての差別がどうして生じたかということについてお尋ねしておるわけでございます。  それからその次の起債の問題につきましては、私はこの問題につきましては、公共企業体労働関係法等の関係大臣にお尋ねしたのではございません。大臣は私の立場や顔を見て、その点について勘違いして答弁されたのではないかと思いますが、私はその点をお尋ねしたのではなく、この起債の問題に関連いたしまして、独占的な投資が行われることがありはしないか、特に見返資金会計法の点から見ますと、この見返資金から持つて来るというような計画が今のうちからあるとすれば、私は相当に問題になると思いますので、その点についての大臣の見通しを私はお尋ねしたわけでございまして、その辺の御答弁をお願いいたします。
  26. 小澤佐重喜

    国務大臣小澤佐重喜君) 大蔵大臣が監督せずに、監理委員会が監理する事はどういう理由かという問題でありますが、これは先程お話ししました通り、この財源が国の出資で来たのと、国では出資せずに、国で出資したものと同じように扱おうというのと、その原因が違うのであります。日本国有鉄道や專売公社はすべて政府のものでありますが、これは政府が出資しないで、而も漸次国有と同じようなものになるのでありますが、併し今までの自治というものがあるから、大蔵省は嚴重に監督せずに監理委員会に任せた方がよろしかろう。こういう意味で監理委員会大蔵大臣と同じ立場に立つたのであります。  それから見返資金三十億の起債になつたら、この放送事業が隷属するのではないか或いは奴隷化するのではないかという論は、これは衆参両院を通じて、そういう話がありますけれども、私はそういう質問をされること自体が、どういう意味質問するのか分りません。つまり見返資金勘定は日本の会計でありまして、日本の会計が他の特別会計に移るだけの問題でありまして、問題は見返資金千七百五十億が援助物資から来ておるから、そこが問題になるのだと思いますが、それは別途の問題であります。日本の会計から日本の会計に入るのに、それが直ちに奴隷になるとか或いは植民地扱いになるというような考えは少しも持ちません。殊に電気通信には千葉君も御承知通り百二十億、二十四年度に入つております。これは年五分で年限も決まつておる。その條件さえ満たせば、その他は何ら拘束を受けておらないのであります。恐らくこの三十億の見返資金が入る場合にも何らかの條件があると思います。千葉君の心配されるような條件が附いたら、あとで返してやればいいのだから、少しも心配はないと思います。
  27. 千葉信

    千葉信君 大臣答弁は非常に簡明直截でございますが、併しこういうことがここに考えられると思います。昭和二十二年二月、総司令部の月次報告に、アメリカの国民の負担において援助しておる問題については、当然その税金を拂つておるアメリカ国民の発言権を確保すべきだというような意味の書簡があつたようであります。こういう点については大臣はどういうふうにお考えになつておられますか。
  28. 小澤佐重喜

    国務大臣小澤佐重喜君) この問題ははつきり研究したことはございませんが、そうしたことを聞いた覚えはあります。併しそれは要するに日本の復興、復旧について、アメリカ国民自分の税を以て日本の復興をしておるのだという一つの誇りと、それから経済上の問題で、それを国民のために、日本というものはこういう程度まで復興したのだというマーシヤル・プラント同じ趣旨のものであると思います。従つてこれはお話のように、いわゆる援助物資というのは、貸しただけの援助という意味か、或いはそこに何らかの報酬的なことが入つておるかどうか、併しアメリカが現在日本に対する諸般の行動等から考えますというと、これを餌にしてこの事業を、例えば隷属化しようとか、植民地化しようというような考えは毛頭ないと、私は考えております。
  29. 尾崎行輝

    ○尾崎行輝君 私のは質問ではなくして御相談ですから、極く気楽に聞いて頂きたい。先程からのお話、又一般の話を聞きましても、この放送法案ではNHKを放送協会としてやつても非常に独占的な非常に有利な立場になり、一般民間放送会社は非常に困難であるということはどうも輿論のようであります。そこでただ競争さしては、そういうふうになろうと思うのでありますが、協力一致してやる方法がないものか、それはこの前もお話をしたのでございますが、大臣がおられませんでしたから、そのことをちよつと繰返しますが、つまり放送協会は第一と第二の波長を持つている。その外はA、B、Cという会社があつて、それぞれA、B、Cの会社の特許を持つている。その場合に各A、B、C会社自分放送局を持たないで、放送する方は放送協会に任して、そうしてA会社が例えばいろいろな材料を以て編集して、そうしてそれを放送協会に持つて行く、それでAという会社が行つたとすれば、そのAの波長で装送協会放送して呉れる。装送協会は今のに少し整備をすれば、非常に各所に放送局を持つことができましようから、そこで楽になりましよう。そこでやらせるというような式にしたならば一致協力してやれるのじやないか。そういう案は今までお考えになつたのでありましようか。そうしてそれが駄目だというので、これをなすつたのでありましようか。どうもそうするとやつて行けるように思うのでありますが、一々放送局を持つということは大変だろうと思うのです。これは外の、出版界などを見ますとそうなつているのです。新聞社は別として、外の出版会社は改造にしろ、中央公論にしろ、みんないろいろ編集して、それを印刷会社に印刷さして、そうして製本をして出して、やはり自分のところで出版する。あの調子でやることはできないのでしようか。
  30. 小澤佐重喜

    国務大臣小澤佐重喜君) 技術的なようですから、ちよつと政府委員から一つ……。
  31. 網島毅

    政府委員(網島毅君) 今のお尋ねのようなやり方につきまして、勿論私共もいろいろ研究し又議論したこともあるのでありますが、実際問題といたしまして、そういう形をとりますと、結局今の放送協会が設備会社というような性質のものになつてしまうと思うのであります。外にプログラムを編集し、それを一般に放送する会社なり、機関がありまして、そういてそれをただNHKという設備を通して送るという、その設備を使うために何がしかの使用料を拂つて、そうして設備を使わせる形になると思うのでありますが、そうなつて参りますと、NHK自体自分で或る種のプログラムを組むということがむずかしくなつて来ると思います。自分の設備を持つて自分のプログラムの組む、自分放送をやり得るところへ、外から又プログラムを作つて、そこで設備を借りてやるということになりましても、そこに公平な取引というものが行われにくいのじやないかということが議論になつたわけであります。勿論その場合にNHKはプログラムを自分で組まないのだ、ただ設備を使われせるだけだということであれば、問題ではないのでありますが、今お話したように、自分もプログラムをやるのだということになれば、どうしても設備を持つているところが一番強いのでありまして、新聞社の例を申上げてもどうかと思いますけれども、やはり強力な設備を持つて編集し、新聞を発行しているところへ、その設備を借りて印刷して貰うということになりば、どうしてもその間の関係がフエアーな競争的な立場に立ちにくいというのが現状の姿じやないかと思います。従いまして私共といたしまして、そういう考え方を決めまして、併し今お話のあつたようなやり方でなしに、或る種の番組の編成だけをやる一つ会社なり、企業体というものができて、その番組をNHKなり、或いは他の民間放送に売込むというような組織は勿論考えられると撲いまするが、私の感想ではアメリカの例なんか見ましても、そういう事業は今後生まれるものではな四かというふうに考えております。
  32. 尾崎行輝

    ○尾崎行輝君 そうすると、今の御答弁では考呑み込めないのですが、放送協会はやはり第一、第二と並んで今のようなことをどんどんやつて一向差支えない。外のものはただAなりBなりの波長を持つてやる。但し広告をどんどんかけるということで、違つて来ますから、この案ならば一般民間放送会社が非常に負担が軽くなるというだけの特典で、NHKの方に一向差支えのないように、ただNHKで例えば波長がA、B、Cの別のものであつても、広告放送をNHKで、放送局でやるというのは、四十六條か何かに差支えがあるというのなら別問題でありますが、四十六條の広告放送をどんなことをしてもやつちやいかんといのうはこれはどういうわけなのか、この前にも申上げたのですが、その意味なのです。
  33. 網島毅

    政府委員(網島毅君) 今の御質問は、放送協会が現在通り仕事をやつてつて、そうして新らしく民間会社ができたときに、放送協会の設備を借りてそうしてやるというお話だと思いますが、その場合には私共といたしましては、先程お話し申上げたように、協会自体自体の設備を持つてプログラムを作つておるのですから、協会としては一般大衆に対して最もいい時間を民間放送会社に分けるということに対して難色を持つ場合もありましようし、この間のプログラムの配分というものは相当むずかしくなるのじやないかというふうに私共は考えるのでございますが。
  34. 尾崎行輝

    ○尾崎行輝君 ちよつと分りせんが、波長が違う、A、B、Cと今まで放送協会がやつておらない波長をそれぞれ持つておりますね。それで頼むのであります。でありますから、別な波長ですから、放送協会は一向差支えがないのじやいでしようか。
  35. 網島毅

    政府委員(網島毅君) 波長が別ということになりますと、放送協会が新らしい波長使つて新らしい設備を作つて、そうして民間放送会然に貸すということでありますか。
  36. 尾崎行輝

    ○尾崎行輝君 そうです。つつまり放送局を銘々が持つと大変ですから、今までの大設備を持つておる放送協会がそれらをすつかり準備してやるということであります。
  37. 網島毅

    政府委員(網島毅君) その点につきましては、私共としてそこまで放送協会にやらせようということは考えたことはないのであります。と申しますのは、実はやはりそういうことになりますると、個々の一般民間放送に使わせるための貸し賃と申しますが、その問題とそれからNHK自体がやはり放送を続けるために聽取料が必要となつて来ますが、その聽取料との関係などが非常にむずかしくなるのじやないかと私共は思うのであります。従いまして先程申しましたように、ただプログラムだけを売込むという程度のことなら、これは簡單にできるのじやないかというふうに考えております。
  38. 尾崎行輝

    ○尾崎行輝君 今のは尚一つつて頂いて、私もよく考えて見ますが、練つて頂きたいと思います。
  39. 網島毅

    政府委員(網島毅君) 承知しました。
  40. 尾崎行輝

    ○尾崎行輝君 それで今ちよつと話が出ましたが、広告、他人の営業に関する広告放送ということでありますが、放送をしてはならないというこの規則は、これは現在も行われておるのでありますか。
  41. 網島毅

    政府委員(網島毅君) 現在は政府の行政命令で広告放送をしてはならんということになつておりますから、できないことになつております。
  42. 尾崎行輝

    ○尾崎行輝君 そうすると、昨晩やりましたのは、これなどもどう判断されますか、大臣もお聞きになつたと思うのですが、昨晩日曜娯楽版というのがありまして、その中に、ごく梗概を申しますと、或る大臣が非常に議会でいじめられたか、委員会でいじめられたか知りませんが、むしやくしやしておりますと、そこに祕書の人が来まして大臣に、これから一つ映画を見に行ききましよう。それはいい、どこへ行くか、何というのを見るのか、「赤い靴」と言つたら、はあ、赤はいかん、赤はいかんと言つたというのが昨晩のあれに出ておりましたが、これなども私共には直ぐああ「赤い靴」の広告だなというふうに感ずるのでありますが、それを広告と見るかどうかというのは、どれくらいの限界まで感じられるか、一つ……。(笑声)極く常識的にも昨晩のは確かにどうも私は広告と感じますが、どうでございましようか。
  43. 小澤佐重喜

    国務大臣小澤佐重喜君) そういう問題は常識問題になつて来ますが、例えば特定の広告主から依頼を受けて報償契約をしまして、そうしてやるのが広告放送思います。今のように一つの芸術のテクニツクか何かで、偶然そこへ出て来たのは広告放送とは考えていないという趣旨で行きたいと思いますが、私もそうむずかしいことは分りませんが、要するに広告放送というのは、広告主があつて、その人から註文を受けて、それに対する一定の報償契約をして、そうしてその人の宣伝をしてやるのが広告放送ですし、今お話のように誰から頼まれているのでも何でもないが、たまたま一つの番組、或いは芸術の範囲内において三越が出ることもありましようし、或いは国枝館が出ることも、いろいろありましようけれども、それはそれを宣伝するのが趣旨じやなくて、むしろ芸術の方を主とするといつたものは、広告考えられておらないというような常識しかないのじやないかと思います。
  44. 尾崎行輝

    ○尾崎行輝君 もう一つだけ。次に、これはこの前もちよつと触れたのでございますが、いろいろの法案を大体拜見して見ますと、どうも我々一般聽取者に関するものがないように思う。專ら放送する方だけで、放送法案電波法案電波監理委員会設置法案というものだけでなく、何とか受信法案とか、聽取法案とかいうものがあつていいように思いますが、その内容は、実は受信機の製作者を保護奨励して、一般大衆にいいものを安く與えるということ、これが非常に一番大きな問題ではないかと思う。放送法案の一番初めに、「放送を公共の福祉に適合するように規律し、」と書いてありまするけれども、実際はただ放送をどんどんされても公共の福祉には余りならぬのであります。日本の今放送局の事業を見ますと、約七百六十万個の受信機が日本全国にあるように書いてあります。莫大なものであります。これが若しそれの九九%までは四球の国民型受信機という、どんなのか知りませんが、大体私なんぞの持つておる程度のだろうと思います。ところでこれは辛うじて第一と第二が分離できるくらいで、この外に幾ら波長が出て来たところで実は聞えないのであります。笛吹けども踊らずで、幾ら放送されても聞えない。実は国民大衆の利益にも何にもならぬと思う。これを直すためには政府はみんな高級のいいものを與えなければならん。例えば今大体一万円くらいするようでありますが、若し七百六十万が一万円のものを買うと七百六十億円になりますが、半分としても大きなものです。これだけの莫大な費用を国民負担にさせることになるのでありまするが、これはどうも何もそれについて考えておられないというのは少しおかしいと思う。それで何とかしてそれには製造業者を十分に保護奨励し、我々には何か月賦とか何かででも買えるようにするような方法考えて頂きたい。そういう法案をお作りになる御意思はありませんか。
  45. 小澤佐重喜

    国務大臣小澤佐重喜君) それではむずかしい問題で、できるだけ尾崎さんの言われるように、受信機が安く一般大衆が何人でも受信できるような設備が望ましいのであります。現にテレヴイジヨンが日本に発展しないというのは、機械そのものはできておるのでありますが、受信機が非常に高くつきますので、それを仮に放送協会なりその他の民間放送がやつても聞き手がない。機械が高過ぎるからというのが現在日本で科学的には可能であつて、経済的には不可能になつている。それをお話のように製造家、メーカーに対して補助金でも與えて安くするということになりますと、丁度ハの補給金制度みたいになりまして、むしろ物価対策になつて来るのじやないかと思うのであります。で、私らの考えとしては、上から補助をやれば、それだけ税金を余計とらなければならんのでありますから、そういう産業の発達の仕方ではなくて、できるだけ生産業者の自主的な発展を期待しまして、技術や、その面の点についての指導は現在でもやつておりますけれども、経済的に援助してそれを安くするというような形は、一般物価に対しても現在御承知のように統制を外しておりますから、これはこれと全然別個な考えの人もありますが、現内閣はできるだけそういうものは外して、そうして民間の正常な自由競争によつて、漸次そういう物が安く国民の手に入るように考えていますから、放送法案というよりも結局物価対策の問題になると思います。
  46. 小林勝馬

    小林勝馬君 一般質問を打切る意味ではなくて、私は逐條質問をして行つておる間に一般的の質問に変ることができるのじやないか、かように考えますので、私は逐條的に質問して行きたいと思います。微々たることまで出て来るかと思いますけれども、立案当局が最初から描いておられるお考えを率直に漏らして頂き、我々の審議並びに修正その他の資料にさして頂きたい、かように考えますので、簡明に一つ答弁を初めからお願いして置きます。  先ず電波法案から質問申上げたいと思いますが、第二條の第四号におきまして、無線設備云々とありますが、従来はこの無線電信法におきましては、通信、通報、そういうものが主であつて、設備まで入つておらなかつたように考えておりますが、これに入れられた理由を承わりたい。六号に無線従事者という指定名称を使つておられるが、これは一般的な名前であるべきであつて、この法案には特に無線従事者というふうに限定されている。無線通信士とか、そういうことではなくて、無線従事者というふうにはつきりと指定名称にされておる御理由を承わりたいのです。
  47. 網島毅

    政府委員(網島毅君) 無線設備の点に対しましては、その第二條に挙げたこの言葉が全部そうでありまするが、この法案の中でしばしば出て参りまして、解釈の統一いたしませんと誤解を生ずるという虞れのあるものを、ここに抜き出しまして定義を付けたのであります。従いましてここに取上げたから特別な意味があつてどうのこうのということではございません。  それから第六号の無線従事者でございますが、これはこの法案にもございまするように、従来の無線通信士という一本の名前のものが、通信士の外に技術士、或いはアマチユア無線技士といういろいろな種類のものが出て参りまして、それらを一纏めにして、この無線設備の操作を行うもののいろいろな規定、或いはその他の條文を作成する必要がございますので、その場合に、やはり解釈を統一するためにこの「無線設備の操作を行う者であつて、電波監理委員会の免許を受けたもの」、それをこの法案においては無線従事者と呼ぶ。即ちただ單に無線の機械を持つてつても、この電波監理委員会の免許を受けないものは、この法案では無線従事者とは申さないことにしたのであります。
  48. 小林勝馬

    小林勝馬君 私の質問は後日で結構と思いますが、新谷議員から大臣質問があるそうでありますから、ちよつと私は中断いたしまして、新谷君に譲りたいと思います。
  49. 新谷寅三郎

    ○新谷寅三郎君 大臣がお見えですから三つ四つお尋ねしたい。先般の委員会大臣がおられませんでしたが、電波監理長官にお伺いして一応御返事を頂いたのでありますが、放送法案を見ますると、至るところに国会の承認或いは委員会の同意を得なければならんという規定があるのであります。これは只今の法制から言いまして前例のあることでございますが、中には殆んど前例のない程度にまで国会の承認なりが広く解釈されております。例えば日本放送協会に対する監督の問題でありますが、電波監理委員会を通じまして、予算から事業計画の詳細まで国会に提出され、承認を経なければならないということになつておるのであります。ここまで参りますと、一体立法権と行政権というものとがどういうふうに考えられるか、どういうふうな分野にならなければならないかという問題まで我々としては考えなければならんと思うのであります。特に事業計画等につきましては、この事業計画が正しいものであるかどうか。適当なものであるかどうかを判断するならば、絶えず日本放送協会事業の執行の仕方及びその当該年度における事業の進捗の状況、来年度における計画というものを一連のものとして考えて行かなければできないと思う。これは立法府としては容易にできないことで、恐らく他の部門におきましては、行政官庁が担当しておる事項に属すると思うのであります。この点については、私結論的にまだ行過ぎであるということを、立案当時にその点までお考えなつたでありましようか。又お考えなつたとしますれば、この法律案の程度まで国会がいわゆる行政部門に干渉して行つていいというお考えでありましようか。この点は相当重要な問題と思いますので、特に大臣の御意見を伺いたいと思います。  それから次に、やはりこの法律案にありますが、日本放送協会の主なる事業の中で、第六に「ニユース及び情報を他人に提供すること。」という項目がございます。もとより日本放送協会がこういうニユース及び情報を他人に提供するということは絶対にしちやいけないということは考えられません。これはアメリカ等の例におきましては、若干のニユースの提供をやつておるようであります。併しながら前の法律案、第二国会提案されました法律案によりますと、「ニユース及び情報を蒐集し並びにニユース提供機関を設け又はこれに参加すること。」恰も日本放送協会放送事業を経営すると同時に、通信社を経営するがごとき字句が挿入されておつたのであります。この点につきましては、現在の日本の言論界を見まして、日本放送協会が聽取料を主たる財源としておりまして、ここまで進出することが言論界の自由発達のために適当であるかどうかということにつきまして、委員会でも相当論議があつたところであります。字句は変つておりますが、よく見ますと、内容的には前の法律案のときと殆んど同じような事業もやれないことはないというふうに見えるのであります。そこまで参りますと、私は多少の意見があるのであります。この点につきまして、今度の法案ではそういう通信社を経営する、例えば海外に特派員を出して通信を集めて、その集めた通信を他の言論機関に売るというような事業までやらせることができるかどうか、この点につきまして御意見を伺いたいのであります。この第七條の日本放送協会目的から申しましても「公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように放送を行うことを目的とする。」というのが日本放送協会目的であります。この目的から言いまして、ニユースを集めることは、これは公衆の福祉のために勿論やらなければならんことだと思うのでありますが、集めたニユースを他人に売捌くということは、この目的から言いましても多少その範囲外に属するのでないかと思うのであります。この点につきましても大臣の御見解を伺いたいのであります。  もう一つは、この放送事業に対する将来の政策の問題でありますが、只今は公営によつて放送し、放送を聞くというのが主たる問題でありましようが、アメリカ等の例を見ましても、相当近い将来にこれは段々テレヴイジヨンの方に移行して行かなければならんと考えるのであります。又そういう政策をとらなければならんと考えておるのであります。この放送法案によりますと、勿論テレヴイジヨンだけを取上げて特別の保護をし、特別の助成をするという規定がないのは当然であると思いますけれども、政策的に見まして、テレヴイジヨンの急速な普及発達のために、当局としてはどういうふうな具体的な政策を実行せられるおつもりでありますか。又今年の放送法等の施行によりまして、テレヴイジヨンの発達のために、どういう條文がこれに関連して特に強力に実行されるのでありますか。このテレヴイジヨンの問題は私から申上げるまでもなく、大臣承知思いますが、現在アメリカにおきましては、娯楽方面は勿論のこと、一般の社会教育方面にも相当広く活用されております。我が国におきましても、ここ数年の間におきまして、できるならばテレヴイジヨンを実用化して、民衆に普及して行くことを考えるのが当然だと思つております。この点につきましても御意見を伺いたいのであります。  最後に、これは大臣の揚足取りをするつもりではありませんが、先程営業広告に関しまして御答弁がございました。それによりますと、私の聞き違いかも知れませんが、営業広告というものは、広告主から頼まれてやる場合に営業広告になるので、頼まれないでやる場合には営業広告にならないのだというような趣旨の御答弁であつたかと思うのであります。そうなりますと、放送法案の第四十六條に場いてあります「いかなる表現によるかを問わず、他人の営業に関する広告放送をしてはならない。」とありますが、この「他人の営業に関する広告」というものは、これは客観的に決まつたものだと思うのであります。それが広告主から頼まれようが頼まれまいが、客観的に見て他人の営業に関する広告であれば、それは日本放送協会では行なつてはならないのだし、これが民間放送会社との仕事の分野を画する一線であると思うのであります。この点は法律論になるかも知れませんが、或いは政府委員からでも結構ですが、そういう大臣がさつきお述べになつたような解釈が、この委員会でも有権的解釈としてそのまま承認されますと、あとで運用上非常に困つた問題ができると思いますので、政府委員からでも結構ですから、一つその点を明確にして置いて頂きたいと思うのであります。  以上四点についてお尋ねいたします。
  50. 小澤佐重喜

    国務大臣小澤佐重喜君) 第一の質問ですが、余り放送協会は監督が嚴重で、而も最後の点においては国会が一々承認を求めるという姿は、却つて放送協会の発展のためによくないじやないか、こういう御意見でありまするが、これについては立案当時にも政府部内に非常な意見があつたのであります。つまり国会関係し、又監理委員会も高度に余り拘束するということは、いわゆる放送の自由ということに対しても相当の疑問があるのではないかというような議論がありましたのですが、問題はこういうことになると思うのであります。従来の民間自身に任しておつた放送事業を、今度本当の国営としての保護を與えまして、いろいろな免税をやり、その外に放送料金も独占させるというようなことになりまして、いずれの地域を問わず民間放送放送料金も取れない。又料金を納めなくてはならないという立場におると、これは單に放送事業と言えば、公共性か、官営の色彩を帶びておるので、従つて官営ということになつて来ると、或る程度最終的の監督は国権の最高機関である国会がやるのが至当ではないか、こういう見解が発表されまして、こういうふうになつたのでありますが、お話のように余り微細な点にまで一々国会が出たり、或いは監理委員会が殆んど監督を嚴重にして、経営委員会、或いは放送協会の自主的な運営を害するというような場合もあり得るのであります。併しながら、これを放任しておるということは、一つは国有財産みたいなものであつて国民の経済のようなものでありますから、或る程度の監査、監督はしなくてはいけないと思うのであります。所論のお考え方は、どこまでが一体公共的関係であるか、国会その他の政府が監督を嚴重にするとか、又どの程度までに民主的に運営させることによつて放送事業が本来の目的を達し得るかという、程度の差になつて来ると思うのであります。従つて我々といたしましても、必ずしも原案でありまするところの姿は全般的にいいという議論を申上げるのではありませんが、二つの思想の問題が程度問題になつて来まして、最後にこの程度政府が結論付けたような次第であります。併しながら今申上げました通り、この点についてはいろいろ政府部内においても纒まるまでには非常な大きな意見があつたのでありますから、国権の最高機関である国会は、この程度は行過ぎだというような場合には、どうぞ国会で然るべくお願いいたしたいと考えております。それから第二の問題は、これは政府委員からお答えすることにいたします。第三のテレヴレジヨン問題でありますが、私前にお話しいたしました通り、テレヴイジヨン時代というものは近く来ると思うのであります。又来なければならんと思うのであります。併し現在の技術面における日本の現状では、現に新谷さんが御承知通り放送局では実験もしておれば、立派に効果を收めておるのであります。受信機が非常に高いために、仮にこれを売出したところで買手も殆んどないのではないかということが隘路の一点になつておりますが、これはこの製作面にも、亦技術面にも検討を加えまして、極く低価で一般消費者に配布できるようになりますれば、当然このテレヴイジヨン時代というものは急速に展開するだろうと思うのであります。従つてこの法案は、テレヴイジヨン時代が来たときを予想して、直ちにこの法律で放送ができるような構想の下に、この法律はできております。それから広告の問題でありまするが、あれは政府部内で議論したのでなくて、たまたま今そういう議論が出ましたので、僕の直感で申上げたのでありますが、まあここにある四十六條の「他人の営業に関する広告放送をしてはならない。」ということは、結論から申上げますというと、民間放送を保護する趣旨からここにできたのであります。民間放送を保護するということは、同じ放送協会独占企業体にも拘わらず、民間放送に類似したことをやる。そうして何か自分放送事業の有利になることを考えてやつてはならんということになつて来るのでありまして、要はその放送料金を……実際にありふれた問題は、放送広告主から放送料金を取る場合がつまり広告放送だと思うのでありますが、併し理論的に根拠するときには少しまずいと思うのであります。要するにこの放送の趣旨が、広告を主としてやる放送か、先程申上げました通り芸術の一環の現われとして、例えば劇の中に三越に品物を買いに行くといつたところで、直ちにこれは広告だということは言えないと思うのであります。これは殆んど常識の解釈で、その場合々々で検討するより外ないのでありますが、要は広告が主となつ放送か、或いは広告が主とならないのだが、他の芸術面の一端として、そういうものがたまたま出て来たという点で判断することが理論的には至当だと思うのであります。原則としては広告とは何ぞやと言えば、広告主が申込んで、それに応ずるという姿が通俗的な広告でありまして、放送局が一文も貰わないのに、それを広告してやろうという問題は起つて来ないと思うのであります。特に内々で放送員が、君のところでこういうものをちよつと現わして呉れということで、表面上は金は一文も貰わないで、運用上はやる場合がないとは言えないと思うのでありますが、併しこれは一つの運用上の特殊的な行為でありまして、これは稀に見る場合であると思いますが、そういう関係で、理論的に広告放送とは何ぞやと言えば、まあ広告を主たる目的としてなす放送広告放送である。芸術の一環としてたまたま三越あたり、或いは帝国ホテルというようなことが出たからといつて、勿論直ちにこれは広告ということは言えないのじやないかと、こういうふうに考えております。あとの一点は政府委員から申上げます。
  51. 網島毅

    政府委員(網島毅君) それでは第九條第二項第六号のニユース及び情報を他人に提供するということ。これに対する政府考えを申上げますると、先程御説にもありましたように、第二国会に提出したその案には、ニユース機関に参加する云々という文字があつたのであります。今回これを取りましたのは、そういう言葉は先程お説のように、この協会自体が通信社類似の業務を持つという可能性を暗示するかのごとき誤解を生ずる虞れがありますので、それを直しまして、「ニユース及び情報を他人に提供すること。」というふうにいたした次第であります。この意味は、この九條の最初にもございますように、「第七條の目的を達成するため、」ということでございまして、協会放送番組を編集するためにニユース及び情報を集めなければなりませんが、その集めるために、何と申しますか、交換條件で、自分の集めたニユースも他人に提供してやる。即ち放送番組を編成するためのニユースを作るために、ニユースを取材するために交換してやるという程度意味でございまして、これを範囲を拡げて、ニユース提供機関というような事業まで進むという考えは持つておらないのであります。
  52. 新谷寅三郎

    ○新谷寅三郎君 大体御答弁を願つたのでありますが、尚念のために申しますが、そういたしますと、テレヴイジヨンの関係につきましては、この法律案が施行されれば、やはりこの法律に規定するところに従つてテレヴイジヨンを育成して行こうという積極的な御趣旨のようでありますが、非常に結構なことだと思うのでありますが、又この機会にテレヴイジヨンの助長発達についての私見を申上げて御参考にした次第であります。それから最後の広告に関すること、これは法律論になるかと思いますが、或いは政府委員からお答えになつても結構でございますが、四十六條の第一項では「他人の営業に関する広告放送をしてはならない。」とあつて、第二項によつて「前項の規定は、放送番組について著作者の氏名又は名称を放送することを妨げるものではない。」ということを書いてあるようであります。この第一項と第二項との関連を考えますと、その第二項に規定してあるのは、これは本来であれば営業に関する広告になるかも知らんけれども、これは構わないという趣意だろうと思います。そういたしますと、第一項の「他人の営業に関する広告」ということにつきまして、法律的にいろいろここで標準を考え、その範囲を考えるということでなくて、むしろ第二項に許されておるものは構わないけれども、これ以外のものは如何なる広告であつてもしてはならないというように法律の体裁としては考えざるを得ないのでありますが、それでよろしいのでしようか。政府委員からお答え願います。
  53. 野村義男

    政府委員(野村義男君) お答えいたします。お尋ねの第二項の「放送番組について著作者の氏名又は名称」とこう言うのは、四十五條だけでは、第二項のようなことができないというふうに誤解されると困る。第二項はむしろ当然のことであつて、例えば音楽を演奏した場合において、演奏者の氏名であるとか、或いは著作物の名前、これはベートーヴエンであるというようなことを言わなければ興味津々たるものがないわけであり、言わなければならないが、うつかり言うと前の方で引つかかる、それは困るというので、本案のような、こういうものをお作り頂きたいわけであります。さよう御了承願います。
  54. 新谷寅三郎

    ○新谷寅三郎君 しつこいようですが……。そういたしますと、四十六條第二項は総則的な規定ではなくて、これは説明的規定だということになるようでありますが。
  55. 野村義男

    政府委員(野村義男君) さようでございます。
  56. 新谷寅三郎

    ○新谷寅三郎君 そういたしますと、先程大臣の言われたような、「他人の営業に関する広告」というものについて、幅がどういう範囲までそれに該当するかということを問題にせざるを得ないのであります。この点については細かい法律論になりますから、質問を留保して置きますが、御研究置き願います。
  57. 松野喜内

    委員長松野喜内君) 外に質問があつたら……。
  58. 小林勝馬

    小林勝馬君 継続して逐條質問をいたします。第三條におきまして「「電波に関する條約)」ということに相成つておりますガ、これは一九四八年のロンドン條約を指す條約なのか、又そうであるならば、これに加入する手続その他というふうにやられておるか。尚又この條約の優先権というものをどういうふうにお考えになつておるか。最低の線であれば不利な面も出て来るし、上の面であれば有利な面も出て来るけれども、この優先権に対して政府はどういうふうにお考えになつておりますか。
  59. 網島毅

    政府委員(網島毅君) 御承知のように現在電波に関する條約は、一九四七年にアメリカのアトランテイツクシテイで結ばれましたアトランテイツクシテイ條約でございます。この條約は、その條項の大部分が昨年の一月一日から各締約国の間で効力を発生いたしまして、現在世界国の無線通信を規律する基本的な国際的規範となつておるのでございますが、この條約に関しましては、昨年の一月に我が国が正式に連合軍司令部の仲介を得まして加入の申込みをしたのであります。その後いろいろ変遷がございましたが、昨年の九月の管理理事国会議において最終決定を見まして、日本は正式にこの條約に加入いたしたのであります。従いまして、現在の我が国は、この條約に関する限り他の国と同じような特権及び保護を受けておりますと同時に、又義務も持つておるわけでございます。従いまして我が国の憲法の條項にもありますごとく、我が国といたしまして、條約の條項はこれは一般的にどうしても守らなければいけないというわけでありまして、その主な項目は、この電波法の家にも順次取入れてございまするが、條約に附属しておりますところの、いろいろな附則類につきましては、これは時々折々の主管長会議その他で以て改編されます。従いまして、これらのものを悉くこの法律に織込むということは不可能でありまするので、そういう点も考慮いたしまして、この「電波に関し條約に別段の定があるときは、その規定による。」という條項を特に入れた次第でございます。尚この條約の優先権の問題について御質問がございましたが、條約の優先権と申しますのは、多分この電波に関する周波数の獲物その他についての優先権の問題じやないかと思うのでありますが、若し御質問の趣旨がそこにありといたしますれば、この問題につきましては、この條約加入は各国平等でございます。このアトランテイツクシテイ條約ができる前のいわゆるマドリツド條約におきましては、電波の獲物は各国の自由でありました。最初にその電波を使いたした国は、それを連合事務局に通告することによつてその優先権が得られたのであります。即ちどこの国がその波長を先に使つたかということがいわゆる優先権ということになりまして、混信その他の問題、国際間の紛争が起きた場合に、その通告順序によつて裁定されたのでありますが、アトランテイツクシテイ條約におきましては、この波長の割当は国際会議によつて相談して決めるということに方針が変えられました。従いまして現在このいろいろな波長割当に関する会議が各地で行われておりますが、この会議にそれぞれの参加国が加入いたしまして、最後にそれを承認することによつて同等の権利を確保できるのであります。
  60. 小林勝馬

    小林勝馬君 優先権の問題は、そういう優先権ではなくて、私の聞いておるのは、本法案と條約との問題で、條約の方が優先するというふうに了解するのかどうなのか、この規定において決められたことでも、條約において決められたものは條約を守るのか、こちらの方を守るのか、どちらを守ればよいお考えであるかということです。ものによつてはいろいろ條約と関係が非常に、例えば人間の問題とか、それから何トン以上設備しなくちやならんというような問題が多数出て来ますので、それを聞いておるわけです。
  61. 網島毅

    政府委員(網島毅君) ここに「別段の定」という言葉がございますが、この「別段の定」と申しまするのは、第一には條約の規定が電波法の規定において嚴格な内容を要求するところの趣旨を持つた規定である場合、及び第二には、電波法が規定していないことを條約で定めておるという場合を申すのでありまして、そういう場合にはこの條約によつてやる。即ちお説の通り條約が優先すると申しますか、條約によつてやるということであります。
  62. 千葉信

    千葉信君 先程の新谷委員の質問に関連する第四十六條の点でありますが、実はこういう條文というものがはつきりと考えが決まつておるときに、而もその考えに副わないような曖昧模糊とした表現であつては、あとで非常に困難な問題が起つて来るということにつきましては、これは最近における国鉄或いは專売裁定の問題に関して、公共企業体労働関係法の第十六條の解釈をめぐつても非常に大きな問題が、発生したと同じでありまして、あの條文の立案当時におきましては、少くとも立案当局の考えとしては、現在政府がとつておるような考えとは若干違つた考え方に立つてつた。ところが條文の解釈のしようによつては、それと全く反対の解釈も可能であるというようなこじ付けが行われて、現在この裁定問題が非常に紛糾しておる。こういう点から考えますと、私はこの第四十六條の條文の表現の仕方につきまして、先程大臣の御答弁のような意向で若しこれを立案せられるとすれば、この條文はこういうふうに直さなければならん。後段の方ですが、他人の営業に関し、依頼を受けて広告料を取つて広告放送をしてはならない。こういうふうにならなければ、先程の大臣答弁通りに正確に表現したものにならない。私はかように考えざるを得ない。ところがこの條文は影響するところが非常に大きくて、一体どの点までが広告放送であるか。どの点は若し著作権者の名前を出したり、或いは又営業箇所の名前を放送しても広告にならないというような、広告自体の限界について明確にして置かなければ、あとで非常に大きな問題が起つて来る。例えばいろいろな職業についての放送なんかの場合にいたしましても、若し放送することによつて広告料貰つておらないけれども、非常にそれによつて受益する部分が多い。そういう場合には、結果としてそれは或る程度広告放送の形において放送して貰う方が受益する部分が多い。こういうことも起つて来るわけでございまして、特にこの條文の解釋如何によつて一般放送の範囲というものが非常に違つたものになつて来る。そうでなくても一般放送事業者の場合においては、はつきりと広告放送を主とするという形になつておりまして、その他の放送については、これは放送協会独占的の放送という形になつておりますと、この條文の解釈如何によつては、一般放送事業者のなし得る範囲というものは非常に変つたものになる。こういう点を考えますと、私はこの問題について、先程大臣の御答弁のありました点を、この次の委員会で速記を見た上でもう一度私も新谷君と同様に、この問題について検討したいと思います。こういう点を申上げて、本日は質問を留保いたします。   —————————————
  63. 松野喜内

    委員長松野喜内君) 本日の質疑はこれで打切りまして、本日公報に掲げてあります連合委員会に関する件をお諮りいたします。
  64. 小林勝馬

    小林勝馬君 文部委員会におきまして、連合委員会を持ちたいという決議がされております。併しこの放送法案その他の法案に対しましては、文部委員会のみならず運輸委員会、内閣委員会その他の委員会から非常に関心を持たれておる法案であるがために、今後連合委員会を一々応じておつた場合には相当の日時も必要かと存じますので、質疑のある方はこちらの委員会に御出席になつて質疑を続けて頂きたい。こういうふうに取運んで頂くように、委員長に向うの委員長に御交渉願いたいと存じます。
  65. 松野喜内

    委員長松野喜内君) ちよつと速記を止めて……。    〔速記中止〕
  66. 松野喜内

    委員長松野喜内君) 速記を始めて下さい。
  67. 小林勝馬

    小林勝馬君 只今連合委員会を持たない方が非常にこの審議に便利じやないかと申上げましたけれども、内閣委員会と次に機会に連合委員会を持つことに相成つておりますから、その際文部委員会も御出席願つて連合委員会を持つことにいたしたいと思いますが、お諮り願いたいと思います。
  68. 松野喜内

    委員長松野喜内君) 只今小林委員の御意見に御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 松野喜内

    委員長松野喜内君) それじやさよう取計らうことにいたします。次の十五日に、今林小委員の言われた通り、設置法案については内閣と、放送法案については文部と連合委員会を開くことにいたします。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 松野喜内

    委員長松野喜内君) それではそういうことに決定いたします。本日はこれを以て散会いたします。    午後三時二十一分散会  出席者は左の通り。    委員長     松野 喜内君    理事           橋本萬右衞門君            小林 勝馬君    委員            大島 定吉君            尾崎 行輝君            新谷寅三郎君            千葉  信君   国務大臣    郵 政 大 臣    電気通信大臣  小澤佐重喜君   政府委員    電気通信監   山下知二郎君    電波監理長官  網島  毅君    電気通信事務官    (電波庁法規経    済部長)    野村 義男君