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1950-02-08 第7回国会 参議院 電気通信委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月八日(水曜日)    午後一時三十二分開会   —————————————   委員の異動 二月七日委員深水六郎辞任につき、 その補欠として松野喜内君を議長にお いて指名した。   委員長補欠 二月八日大島定吉委員長辞任につ き、その補欠として松野喜内君を議長 において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○委員長就任の挨拶 ○電波法案内閣送付) ○放送法案内閣送付) ○電波監理委員会設置法案(内閣送  付)   —————————————
  2. 松野喜内

    委員長松野喜内君) これより本日の電気通信委員会を開会いたします。  最初に本日新たに不肖私が電気通信委員長に選任されましたので、一言御挨拶申上げたいと思います。  今回図らずもこうした電気通信委員長重大使命を担つたわけでありまするが、これに大方同僚議員各位からの御推挙もありいたしまして、甚だ光栄この上もないことでありますが、この任に就くことになりました次第で、幸いにも前大島委員長先生を初め、小林、橋本両理事に引続き御苦労願いまして、又委員各位の熱心なるこれまでの御同情、或いは、專門員の御助言等によりまして、一つ重要法案等の御協議にあすかりたいと考えます。よろしくお願いを申上げます。
  3. 松野喜内

    委員長松野喜内君) 本日はこれより電波放送電波監理委員会設置の三法案に対する質疑に入りたいと思います。  先ず三法案に対する総論的の質問がございましたらば、それから先にお願いいたしとうございます。
  4. 小林勝馬

    小林勝馬君 先般から公聽会その他開催せられております電波法案立案当局である電波庁各位に対しまして、なみなみならん御苦心の程を一言前以て御礼申上げる次第でございます。  電波科学進歩に伴いまして、無線通信事業を主体とするところの無線電信法を改めて、科学進歩発達の一環として、殊に無線の長足な進歩に伴いその利用分野は各方面に亘つておる関係から、ここに改正を企図せられ、電波法を制定せらるることは誠に時宜に適したものと私共考える次第でございまして、電波界のためにも同慶の至りに存ずる次第でございます。早速本日から電波法案に対して質疑を行いたいと、かように考えております。  先ず放送法案に関する問題でございますが、融共この放送法案を拝見いたしますのに、一言にして申上げますれば、現在の放送協会を擁護するところの擁護法感じが深いのでございます。政府はかくも放送協会に重点を置かれた理由を具体的にお述べ願いたい。企業の自由平等の原則から言えば、一般放送も同一條件の下にあらなければならないと、かように私共考える次第でございまして、例えば免税の点、土地強制買上げの点、三十億円限度放送債券の発行の許可、その他幾多特恵的法案であるということが直感せられるのでありまして、何故にここまで擁護してかからなければならないのか、詳細なる御説明を先ずお伺いいたしたいと思います。
  5. 網島毅

    政府委員網島毅君) お答えいたします。只今日本放送協会、新らしくこの法案でできる日本放送協会を如何なる理由でかくまで保護しなければいけないかという御質問でございまするが、この御質問にお答えする前に、この法案において、如何なる理由からこのような全国的に規模を持つた公共的な放送事業体というものを考えなければならなかつたかということを申上げたいと存じます。委員各位においてすでに御承知の通り、世界各国放送在り方につきまして、大体三つの形があるのでございまするが、その一つは、過去現在においてアメリカにおいて、生れ、アメリカにおいて発達したところの、全く自由企業としての放送事業であります。  それから第二は、現在の英国並びに今日までの我が国にありましたように、放送事業というものを公共性の非常に強いものと考えまして、これに独占的な経営、運営をやらせますところの形でございます。  第三といたしまして、最近の濠州或いはカナダの立法において見られましたように、一方において公共的な非常に色彩の強い公共的企業体、それから全く自由な私的企業とでも申しますか、いわゆる商業放送というものの二本建の形がございます。放送事業在り方といたしまして、どの形がいいかということにつきましては、その国の政治情勢経済情勢、その他その国において電波利用発達の過程というものを一々調べて見ませんことにはなかなか結論を得にくいのでございまして、一概にどの形がいいという結論を出すことは非常に困難と考えております。アメリカのように自由競争の非常に発達した国におきましては、民間放送がそれぞれお互いに競争し合い錬磨し合うことによつて今日の盛大な状況に立ち至つておるのでございますが、この形をそのまま外の国、或いは言換えて見まするならば、英国或いは我が国というような国に持つて来て、果してアメリカと同じように放送事業発達するかどうかということは相当疑問でございます。  我が国におきましては、大正十三年に初めて放送が生れましてから、最初極く僅かの期間だけの間は東京と、名古屋と大阪に、それぞれ三つ放送企業体が生れたのでありまするが、放送事業をできるだけ速かに全国的なものとし、全国どこにおきましてもこの放送文化の恩恵に浴し得るようにするためには、このように都市を中心とした單なる民間企業寄せ集めでは到底その目的は達成し得ないという結論から、時の政府におきましてこの三うを併せまして、そうして現在の日本放送協会という單一の形にいたしまして、これに放送のための電波を割当てるという行政措置によりまして、全国的に電波を普及させるという役割をさせて参つたのであります。今日から考えますれば、当時の我が国、否最近までの我が国の事情といたしまして、この政策は成功であつたと私共は考えております。このために僅かの期間の間に放送全国到るところに普及されまして、現在はその聽取者の数は八百四十方に達する状況でございます。これを人口に当つて考えますれば、大体二世帶に一つ聽取者がある、二軒に一軒は放送を聽いているということになるのでございます。  ところで最近の電波科学進歩発達に伴ないまして、従来中波の範囲に限定されて労力ましたところの放送が、逐次超短波或いは極超短波分野におきましてこれを実施するということに相成つたのであります。この超短波或いは極超短波利用することによりまして、アメリカその他の国におきましても放送事業は更に一段と活発になつて参つたのであります一我が国におきましては、今日まで、中波波長使つた放送のみに限定されているのでありまするが、新らしい電波法案にもございまするように、最近の技術進歩に件ねいまして、超短波或いは極超短波利用した放送というものをも将来考える必要があると存じております。のように放送波長の拡大に伴ないまして、或いは又従来独占企業という形で行なつて参りましたことによる利点の半面いろいろなな弊害と申しますか、欠点もあるのでございますが、これらを是正するという意味合におきまして、この際放送電波を従来の独占的な形より開放いたしまして、広く民間にもこれを開放するということがいいのではないか。これによつて独占的な或いは全国的に非常に規模の大きい事業としてのいろいろな諸欠点が、新らしい民間企業体の刺戟によりましていらいろ改善され、或いは又民間企業としての錬磨によりまして放送そのもの質的向上も図り得るということも考えまして、ここに放送を広く民間にも開放するということがいいのではないかという結論に到達したのであります。但しこの場合、然らば一足飛びにアメリカ式の全く自由企業としての放送状態にまで進めるかどうかということでございまするが、我が国経済状態、殊に中央と地方との文化の程度、そういう諸般の情勢考えまするときに、アメリカ的な全自由企業的な放送にこれを移した場合に、果して北海道でありますとか或いは東北地方、或いは九州地方という辺鄙な地域の山のも、或いは谷の村というようなところまで電波を流し得るかどうかということにつきまして、私共は多大の疑念を持つのであります。先程例に取りましたアメリカにおいてすら、現在或る地方に完きましては十分電波が聽き得ないという所が未だに若干残されておるという話を聞いております。それは取りも直さず放送というものが商業的な基礎において、言い換えますならば営業、利益というものを目標とする関係上どうしても都市に集中する、人口の稀薄な田舎はあと廻しにされる、或いは全然考慮外に置かれるということから参るのでありまして、こういうような状態日本に再現されましたならば、折角ここまで築き上げたところの全国的な放送の価値というものが失われるということを恐れるのでございます。この意味合からいたしまして、将来はいざ知ちず、今の段階といたしましては、中間的に全国的な規模を持つたところの放送事業というものと、将来発達するであろうところの自由企業としての民間放送、こういうものを併立させるということが必要であろうというふうに考えるのでございます。そうなつて参りますると、ここに全国的な規模を持つた公共的な放送事業が現在の社団法人日本放送協会の形でいいかどうかということにつきまして、いろいろ問題が起つて参ります。その一つはこのようん全国的な非常に大規模な組織を持つところの放送事業体が單なる民法の規定による社団法人という形で存在し得るかどうか、これはすでに現在施行されておりますところのいわゆる独占禁止法、或いは集中排除法というような法律精神から考えまして、幾多疑念が生まれて参るのであります。今日まで日本放送協会が独占的に放送をやつておるのでございまするが、これに対しまして、果してこれが独占禁止法見地からいろいろ研究され論議されて参つたのでありまするが、乞ういうような疑問を残すということは将来極めて危険でありまして、ここに何らか法的にその存在の根拠をはつきりさせなければならないということになつて参るのでございます。又全国的な規模を持つたいわゆる人口の稀薄な山間僻地にまで電波を普及させるためには、地方応対しましてはどうしても不経済的な、施設をしなければならなくなります。こういうような施設を持たなければならないところの日本放送協会という事業が、広告或いはその他の收入で以てのみ賄い得るということは到底不可能でございまして、従来と同じように将来も聽取料というものをごこに認めなければならないのでございまするが、その場合一方民間企業としての放送事業が無料でその放送国民聽かすということになつて参りますと、この公共企業体聽取料を取り得るためにはやはりここに法的な措置が必要となつて参ります。その他いろいろな理由がございますが、そういうような見地からどうしてもここに法律を以て性格をはつきりさしたところの公共企業体というものを作らなければならない、こういう結論に到達したのであります。このような法律で作られますところの公共企業体は、その作られました目的そのものが非常に高度の公共的色彩を持つておりまするために、これに対しまして国としていろいろな要求を持つことは当然と考えます。この法案の第七條にもございまするように「日本放送協会は、公共福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように放送を行うことを目的とする。」その外第九條におきまして、協会事業といたしましていろいろやらなければならないことを掲げてございます。こういうふうに公共的な色彩を強く持たせて参りますと、先程申上げましたただ單に聽取料のみを法律によつて、保証するということだけではなく、この協会全国的な規模においていろいろな放送局を建設するためにいろいろな資金を調達できる途をも考えてやらなければならないのであります。現在の日本放送協会は、この資金調達の手段として借入金で以てこの建設事業をやつておりまするが、借入金にはそのときの経済状態、或いは貸す方の側のいろいろな要求その他から限度がございまして、なかなか思うように参りません。そこでこの協会基礎を危うくしない限度において、又協会收入その他財産から見まして償還できる限度において、いわゆる社債とも称すべき放送債券を認めるということも又必要になつて参るのであります。この外聽取料法律によつて強制的に聽取者から放送協会に拂わせるということになりますと、これは国民の側から考えますれば、むりやりに取上げられるのでありますからして、税金にその性質が似て参ります。従いまして、その料金はただ單に放送協会或いは放送協会監督官庁の決定のみに委ねず、これを国会において十分審議する。いわゆる聽取料を法定するということが適当であろうということになつて参るのでありますが、そういうふうな性質を持つた聽取料から更に税金を取上げるということは不合理ではないかということになつて参ります。その結果、この協会使命及び聽取料性質等から考えまして、協会にはこの免税という特典を與えるということも必然的な結果として生まれて参るのでございます。こういう意味合におきまして、改選の公共性を達成させるために幾多の保護が加えらておるのでございますが、これらは特に放送協会のみに突飛な優遇條件ではございません。このように公共性の非常に強い例えば国有鉄道でありますとか、その他これに類したものはやはり同じような特典を持つておるのでございます。このように放送企業体性質からいろいろな特典は與えてございますが、その半面協会に対しましては幾多掣肘と申しまするか、監督その他の事項が法律で決められてございまして、この特典とそういう掣肘と両々相待つてこの公共性の強い日本放送協会というものの使命が完全に達成されるのではないかというふうに考えまして、この法案が立案された次第でございます。以上を以て御答弁に代えます。
  6. 小林勝馬

    小林勝馬君 この法案の第一條に「放送公共福祉に適合するように」云々とあり、その第一号から三号までいわゆる三原則なるものを掲げておられる。併し不偏不党云々真実云々というような点があるのであるけれども、実際問題として不偏不党却つて裏返しにすれば御用機関というように我々は感じられるのであるが、この点からいたしまして、この放送公共福祉に適合すると考えておちれるかどうか、この点を詳細に御説明願いたい。
  7. 網島毅

    政府委員網島毅君) 私共は文字通り放送公共福祉に適合するものでなければならないと考えております。と申しますのは、電波法案の中にもございまするように、電波利用というものはやはりこれは能率的に、而も公平に公共福祉に合うように利用されなければならないということになつておりまするが、これは電波というものが極めて有限でありまして、この少い電波をできるだけ国民全体のためになるように使うということが、この三つ法案の根本的な精神であります。放送電波を用いる以上全く同様でありまして、紙さえあればどんどん印刷ができて行くということと非常に性質が違うのであります。そういう意味合いからこの放送法案によつてできまするところの放送事業というものは、飽くまでも公平で国民公共福祉に副うものでありたいと私共は念願しております。ところで、放送不偏不党ということは書いてあるけれども、反面解釈すれば逆じやないか、逆になる慮れはないかという御質問でございまするが、私共はその逆のことは考えておりませんので、真正面に放送というものの不偏不党性を翼つておるのでございます。従いましてこの公共企業体としての日本放送協会に対しては、全国八つの地区から集められましたところの経営委員に、よつてその根本方針が決められるのでありまして、而もこの経営委員は、その中の大多数が一つ政党によつて占められないようになつております。又放送を含めました電波監理をいたしまするところの電波監理委員会の構成も同様でございまして、一つ政党によつて、そのマジヨリティが占められないように考えられてございます。而も放送事業のプログラムに関しましては、第三條にございまするように「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」ということになつておりまして、政府と雖も放送番組の編集に対しましては干渉ができないということをはつきり明示しておるのでございまして、これらはいずれも放送不偏不党性を確保しようという建前からできておるのであります。但し放送は飽くまでも健全な民主主義発達のための機関でございまするからして、その民主主義というものが一つ片寄つた見方ではないか、一つ片寄つた主義じやないかということになりますればこれは別でございまするが、民主主義というものの中においては、全く不偏不党に存在し得ることをこの法案は翼つておるのでございます。
  8. 小林勝馬

    小林勝馬君 先程からの御説明で、日本放送協会に対して擁護法でないというふうな御説明で、特に公共放送という立場からこういうふうな点が必要であるというふうに力説されたのでありますが、又これを一面擁護法であるようになつておるかと思えば、又一方においては非常に干渉する点が多い。例えば会計検査院が経理の監査をするとか、国会承認を求めるとか、それから料金の問題にいたしましても国会承認を経た受信料とか、非常にそういう点が苛酷に感じられる。これはいわゆるこの法律による特別法人というふうに御説明のようであるけれども、現在まで電気料水道料その他一般公衆に非常に関係の深いものに対しましても、国会料金を決定するというようなことは今までない。そういうのにも拘わらず特にこの放送料金だけ法律ですでに決定された、法律改正をしなければ料金の変更もできないというようにこの法案に盛込まれておるのでございますが、こういう点からいたしまして、余りに苛酷過ぎはしないか、こういう点の御見解を詳細に御説明願いたいと思います。
  9. 網島毅

    政府委員網島毅君) 只今の御見解は、私共といたしましても、誠に傾聽しなければならない御意見考えております。お説のように、この放送協会協会と言いましてもやはり一つの生きた事業体でございまして、それができるだけその仕事をうまくやるためには、経営の面におきましても自主性の多いことが望ましいのでありましてその意味から行きますれば、政府監督、或いは国会監督というようなものはできるだけ少い方が望ましいと考えるのであります。併しながら他方においては、このように公共性が強く、而も料金を強制的に徴收し得るような途の開かれておるところの協会事業を野放しにするということは、これは果して国民全体から考えて妥当であるかどうかということに対するいろいろの議論、並びにこれらをできるだけ政府監督から外しまして、而も国民が納得するような事業をやつて貰うためにそれが果して妥当に運営されておるかどうかということを終局的に見るのには、国民代表機関でありますところの国会がやつた方がいいではないかというようないろいろな議論もございましていろいろ検討された結果、一応この法案においては現在のような形になつておるのでございまするが、この問題は非常に重要な問題でございますので、国会におきましても十分御審議をお願いしたいと思います。
  10. 小林勝馬

    小林勝馬君 第一條において自由を標傍され、いわゆる自由なる放送をさせるという趣旨からいたしますと、むしろ今の御説明のいろいろな点で制約をするということは反対のような感じを持つのでございます。この法律こそはいわゆる自由平等にやらせなくちやならない、その点からしますと、何としても予算の面におきましても非常に制約をされる。放送局その他を我々が調べて見ますと、あらゆる面でこれが制約された暁においてはいい放送がやれないのじやないかという点が非常に懸念されておるのでございますが。そういう点は如何よう考えておられるのか、その辺をもう少し具体的に御説明願いたいと思います。
  11. 網島毅

    政府委員網島毅君) 只今の私の説明で大体盡きておるのではないかと考えるのでありまするが、この事業をできるだけ自由にやらした方がいいのではないかという御意見につきまして、私共も十分考慮する必要があると考えております。ただ先程もお話唄上げましたように、この協会というものが非常に公益性が強いという点から、これを最終的には国会において、その経営が果して十分国民の納得するように行われておるかどうかということをチエツクする方がいいのでなはいかという考えから、この法案の若干の條項にもございまするように、協会事業計画收支予算というものは最終的に国会承認を得る。或いは又協会の決算につきましては会計検査院がその專門的な立場から検査いたしまして、これを国会に報告するというような形を考えたのでございます。先程も御説明申上げましたように、この点は国会においても十分御審議をして頂きたいと存じております。尚この協会予算国会に提出いたしまして御承認を得るのでありまするが、私共といたしまして非常に細かい数字を一々御審議して頂くということは、国会としても非常に大変でありまするからして、大体総括的な形においていろいろ見て頂くということを考えておる次第でございます。
  12. 小林勝馬

    小林勝馬君 次に電波法案の問題に移りたいと思いまするが、先ずこの法案を見まして無線従事者に対する規律が非常に苛酷であるという感じがするのでございます。その一例を申上げますならば、国家試験を受けて現存営々とその職にある人々が、一たび職を離れた場合におきましては、緩和規定はあるけれども、いずれにしても免許の失効を来すというような重大な問題がここにはつきりと明記されておる。これは恐らく我が国法律におきまして如何なる法律を見ても未だ免許証有効期限が付されたものはない。現にごの職が非常に進歩発達が激しい乃至は重要な職業であるから有効期限が必要だというふうにお考えのようでございますけれども、現にもつと進歩の激しい例えば薬剤師、医師というものにおいてすら未だ免許有効期限というがごとき問題はない。何故に今まで我が国においてそういうもののないものをここで取入れて行かれるのか、その辺が我々としては甚だ了解に苦しむのでございまして、十分なる御説明を頂きたいと思います。、
  13. 網島毅

    政府委員網島毅君) 只今の御質問は、現在の我が国無線電信法におきましては、無線従事者資格に対しまして有効期間を設けておらない。にも拘わらずこの法案におきましてこれを一応五年とかいう期限に区切つたことに対する御質問と存ずるのでございまするが、無線電信法のでぎました過去におきましては、無線技術発達が今日のように際限なく伸びて行くということは予想しておらなかつたのでございます。ところが最近におきましてその応用外野がどんどん殖えて参ります。例えば船舶の無線にいたしましても、過去におきましては中波無線通信しか行なつておらなかつたのが段々短波になる、或いは又無線電信のみならず無線電話にも変つて来る。その外最近の情勢ではレーダー、ローランというような新らしい無線技術もどんどん取入れられるという状態でございまして、全くこの方面技術進歩は日進月歩の状態でございます。一方これに対応いたしまして、国際條約、或いは国際協定におきましても非常に僅かな期間を以てどんどん変つております。例えば電気通信の大元締をなすところの国際電気通信條約は五年ごとに相当大巾な改正が行われまするし、又その中間においで開催されますところの主管庁舎会議におきましても、やはり附属規則改正が逐次行なわれるのであります。こういうふうに技術並びに法規の面において非常に移り変りの激しい分野におきまして、一遍資格を取つたからといつて永久にその資格を持つているということは、私共といたしましてこの免許資格技術認定をする、その技術を持つているかどうかということの認定にある点から考えまして、適当ではないと考えるのであります。併しながらこの無線従事者が引続き無線通信に従事している場合は、その職域を通じまして新らしい技術なり、新らしい法規なりを頭に入れることは当然でございまして、従いましてこういうように引続き無線通信に従事しておる者に対しましては、無試験でその免許の更新をするという制度を設け、ておるのでございます。又五年の期間の間におきまして、相当長い間無線通信に従事しておらなかつた者もその状況その他におきまして、試験の科目その他に対しまして相当な裁量をいたしまして、その免許期間を区切つたことによりまして不当にこの無線従事者の権利を侵すことのないように考慮しておるのでございます。この法律のいわゆる期間を区切つた精神は、一遍試験を受けて合格したけれども、何年間も無線通信に実際に従事しておらないという者がその不確かな、或いは全然過去になつてしまつた技術なり知識を以て再びこの無線通信に従事して、国際條約或いはその他の法令を違反して日本の国際的信義を失わないようにという考慮から考えられたのでございまして、アメリカにおきましては相当古くからこの免許期間の限定という制度を取入れて相当有効にこれが行われておるように存じておる次第でございます。
  14. 小林勝馬

    小林勝馬君 只今の御説明ではどうも我々納得が行かないのでございます。今一例を申上げましたように、この日進月歩の世の中で、いわゆる無線が相当の進歩発達をしておるということは我々も了承する。併し先程一例で申上げましたよう、薬業界乃至は医者、その他我が国におきまして国家試験を持つておるものは多数ある。いわゆる薬業界におきましてもストレプトマイシン、ぺニシリンというようにどんどん発達しておる。それこそこの無線その他と同様に進歩しておる。そうして一方においては人の命を扱うというような重大なものにさえも免許の制限はない。然るにこの無線電信技術の操作、これはもう一つ質問申上げたいんだけれども、この無線従事者の意義、定義と申しますか、これから先ず承わらなければ今の御説明では我々納得いたしかねるのでございますが、一体無線従事者というものをどういうふうにお考えになつておるか。こういう点から行くと、今申上げるように普通の通信士ということに相成りまするならば、何もここで期限付の免許にする必要はないのであります。繰返して申上げますと、今のように人の命を取ろうという程の医師の免許或いは薬剤師の免許においても届出制度のみであります。然らばこの無線の通信士程度のものならば、むしろ毎年届出を更新するとか乃至は五年置きに免許の書き替えをする。この程度でよろしいと思うにも拘わらず、こういうふうな非常に極端な制限をされたのが非常に苛酷であると思うので、その制限された意思をもう少し詳細に説明して頂かなくてはちよつと分りかねるのであります。
  15. 網島毅

    政府委員網島毅君) 只今外には例はないというお話でございましたが、私の記憶するところでは自動車の運転手或いは教員の仮免許、こういうものにはそれぞれやはり期間があつたかに記憶しておりますが、尚、最近研究され立案されつつあるところの船舶職員法案におきましても、やはり船長、機関長或いは船舶乗組員の資格につきまして、一定の期間を設けるという方向に進んでおるように聞いております。只今医師その他の例をいろいろお挙げになりましたのですが、私共はこの医師の免許がどういうことで、どういう仕事の内容から言つて期間を区切らなかつたか存じておりませんが、医師の方でその期間を区切つておらないから無線通信士もこの期間は要らないのじやないかということにはならないと私共は存じております。要はこの無線従事者が日進月歩の勢いで以て変つて行くところのその運用上の法規或いは又技術に対して即応して、国際條約その他を害することのないようにやつて行けるかどうか。そういう技術の知識を持つておるかどうかということの資格でありまするが放に、一遍取つて、五年も十年も全然無線通信に従事したことのない者が又そのまま無線通信を完全に行い得るとは絶対考えていないのでありまして、その意味合から是非ともこの制度は必要と考えております。爾、先程も御説明申上げましたように、一定の期間無線局の仕事に従事しておる者につきましては、無試験でその免許の更新ができるのでございまして、この意味合からいわゆる現役の無線従事者に対してはそう苛酷な條件ではないと私共は考えておる次第であります。
  16. 小林勝馬

    小林勝馬君 次に第四十條におきまして、無線通信士、無線技術士、アマチユア無線技士、こういうふうに沢山の技術者を区分せられた意図乃至は理由について御説明願いたい。我々といたしましては、無線通信士帥無線技術もでき得るのであつて、これ程分類する必要はないじやないかというふうに考えられますので、この分けられた根拠を御説明願います。
  17. 野村義男

    政府委員(野村義男君) お尋ねの無線従事者の分類が多きに過ぎるのではないか、こういう御質問だと思いますが、従来の無線従事者の沿革は、無線電信條約或いは国際電気通信條約というもので、專ら船舶に乘組むところの無線通信士というものの資格を国際的に規定しておつたわけであります。それがずつとべースになつて今まで多く行われてきたのでありますが、その当時と段々異なりまして、先程政府委員から申し述べましたように、電波利用発達によつていろいろな分野におけるところの無線通信士が必要になつて来た。更に船舶に乘組むオペレーターとか、船舶に乗込んだオペレーターが船舶無線電信従事者としての適格を得たが故にどこへ行つても、例えば放送局に行きましても、或いは大電力局の無線局に行つても、或いは将来できますところのテレビジヨンの放送局その他のレーダー局、そういうところえ行つても、果してその資格がそのままで適格性を認め得るかということについては、これは否定的に考えざるを得ないのでありまして、現在の状況におきましては、今言つた船でやるもの、或いは大電力局、送信局その他で働かすもの、そういうものとを考えまして、專ら技術的な操作に従事するものは、技術的操作としての適格を見る、国家試験を合格して貫いたい。それから專ら通信士としての適格を認めるものについては、そつちの方のカテゴリーとして入つて貰いたい。こうなりますと、非常に高度なものばかりできるのであつて、場合によつてはアマチユアであるとか、或いはそれ以外の簡單な無線局であるとかというものにつきまして、いろいろグレートを設けていかないと現状に即さないことになりますので、従来の分類よりやや広く分類をした次第であります。
  18. 小林勝馬

    小林勝馬君 第四十九條に盛られてもおりますが、この法案に何ら学校教育というものが認められない。いわゆる小学校であろうと何であろうと免許の対象になるというふうに相成つておる。現在例えば床屋の理髪師の法案にせよ、殆んどの法案が最低限の学校の資格要求しておる。然るに本法案においては何ら最低限の資格要求していないということは、六、三制を経た者であれば專門的に自分が独学してもよろしい、何でもよろしいというふうに御解釈になつて立案をされたのか、それとも外に御意図があるのか、私共から考えますと、第一級の資格を持つて諸外国にも行こうという人に対しても何らそういう資格の條件というものを取入れておらないで、一面これはそういう点がない方がいいという見方もあり得ると思いますが、現在の六、三制を経た專門学校か高等学校ぐらいは最低限として置くべきじやないかと考えるのであります。その点を御説明願いたい。
  19. 野村義男

    政府委員(野村義男君) 今の最低限の資格を何か置くべきじやないかということの御質問でございますが、先程小林委員からお話がありましたように、この資格要件というものにつきましてもいろいろまあ伝統はあるのでありまして、現在の無線通信従事者という者は約一万名ぐらい合格証書を持つていると思いますが、その時代からずつと一定の資格要件というものを要求していない、例えばどういう学校を出ておらないからということは要求しておりません。伝統を追つてこういうような仕組としてあるわけでございます。その他尚これを一般教育の進展によりまして、義務教育期間が長くなるとか、或いはその他教育の進展によりまして、実際においては小林委員の仰せられるような一定の学歴を持つた人が国家試験を受けるというふうのことを期待し、その前程の下でこういうものを書いた次第でございます。
  20. 小林勝馬

    小林勝馬君 五十條におきまして、通信長の配置その他の問題を取入れられているが、船舶職員法と噛み合う点が多々あると思うのでございますが、この船舶職員法とこの五十條の問題と如何ようにマツチして行くか、そういう点に対する政府の立案当時のお考えを御説明願いたい。
  21. 野村義男

    政府委員(野村義男君) 第五十條に定めておりますのは、第一項で無線電信局の長となつている者についての資格と要件を決め、第二項でその他のものを、要するに電波監理委員会が必要と認めれば決めると、こういうふうに書いてあるのでございますが、現在船舶に乗組みますところの無線通信員の定員等につきまして、船舶安全法、船舶職員法でもそういうことを書いております。或いは現在の無線電信法並びにその所属法令でもそういうことを書いてございます。これは一方は無線通信全体の取扱いの見地から書きました。片一方は專ら海上の安全の立場から定員その他を決める、両方合せて一つの船に対するところの船舶無線通信士の資格なり定数なりを決める、こういうような仕組でありますが、現在もそういう趣旨を同じように追つて参りまして、この五十條では電波利用見地から最低限度のことを書いて、そうして第一項では通信士はかくかくの資格、場合によつて第二項でそういうことを定めることがある、こういう趣旨で現在の趣旨を踏襲しておる次第であります。
  22. 小林勝馬

    小林勝馬君 従来この義務無線電信の條件というものは非常に苛酷であつたわけでありますが、この法案によりますと、電波監理委員会規則で定めるものについてはこの限りでないと除外例を設けてあるということは、いわゆる予備装置その他を除外してもよいというふうに私共はとるのでありますけれども、船舶の人命安全その他の点から考えると、むしろ従来の無線電信法の方が適当じやないか。こういうふうに除外例を設けて簡便にされた根本の御意思が那辺にあるか承りたい。
  23. 網島毅

    政府委員網島毅君) お答えいたします。この除外例は只今の御質問の趣旨にございまするように、現在のものを軽減しようという意図ではございませんで、最近の無線通信技術発達に伴いまして、いろいろなものが出て参りました。又測定器その他非常に簡單な機械も出て参つたのでありまするが、そういうものに対しまして、一々この何級、一級とか二級とかいう資格を強制することは不適当な場合が多々あります。そういう意味合におきましてこの除外例を設けたのでございまして、無線通信士の従事すべき範囲を狭くしようという意図は毛頭持つておりません。尚この電波法案にもございまするように、苟くもこの電波を出すようなものは全部この法律に引つ掛るのでございまするからして、この除外例がございませんと、無線の測定器というようなものも一々資格者が従事しなければならないという不合理を避けるためでございます。
  24. 小林勝馬

    小林勝馬君 今のはちよつと御説明がピントを外れておりますが、三十二條の船舶義務無線のいわゆるオキジユリアリー装置を除外してよいかということを私は質問しておるのですが、これはあなたの御答弁によりますと、陸上の方を考えておられるようですけれども、これはいずれ逐條的に御質問申上げますから、追つて質問申上げます。  次に五十條の船舶の執務時間その他の問題を画期的に区画されるところのいわゆる第一種局、第二種局甲、乙、この分けられた根拠、いわゆる現在の海上の実情は三千トン以上は殆んど指折り勘定する程しか日本の船舶はない。この少い三千トン以上の船舶のみがオール、ウオツチをし、それ以下のものは十六時間乃至は八時間というふうに区別されたこの根拠、いわゆるそうなりますれば、海上の安全が非常に保たれないような結果に相成るのではないか。実際問題といたしまして貨物船におきまして五千五百トン以上の船は非常に少いので、その非常に少い船が僅に二十四時間ウオツチして、それ以外の船は時間によつては寝てしまうというような結果になり、一度遭難その他の場合に非常に困る問題が出るのではないか。貨物船の五千五百トン乃至千六百トンというような区切りは如何ような根拠の下になされたのか、実際に今の日本海運の事情を御斟酌の上やられたのか、それとも戰前の立場のような場合を考慮されて、これからそういうことになるという見込でおやりになつたのか承りたい。
  25. 網島毅

    政府委員網島毅君) 今の御質問は第六十三條の御質問だと思いますが、この船舶無線電信局の運用時間につきましては、これは殆んど現行と変つておりません。その基準は船舶安全法から出て参つておるのでございまして、それと国際電気通信條約の両方からとりまして現在やつておるのでありまして、私共の経験からいたしまして、現在の時間割で大体不都合はないというふうに考えましたので、それを踏襲した次第であります。
  26. 小林勝馬

    小林勝馬君 次にこの罰則の問題になりますが、従来よりも非常に罰金の額においても高額になつておる。それから免許停止その他の問題が、ここに出ておるのでございますが、例えばこれはたびたび問題になつております沈黙時間違反その他に対しまして、相当苛酷に五万円以下の罰金に処し或いは一生涯の免許と思つて、取つた免許もふいになるというふうに苛酷になつておるが、これを立案された基礎、その他につきまして御説明願いたい。  それから検査料の問題で、従来はこれはむしろ国がこれを負担してやるべきだというふうに我々も考えておつたのでございますけれども、この金額を設定された理由並びにその基礎を承りたい。
  27. 網島毅

    政府委員網島毅君) 罰則の点でございますが、罰則は大体において現在と変つておりません。ただその罰金の額は変つておりますが、これは戰後経済事情も変動いたしまして、貨幣価値が著しく下つて参りましたことは御承知の通りでございます。それで一般の法律に対する罰金も大体五十倍程度に上つております。本法案におきましては、経済関係や諸法令の罰則五十倍というものの半分を目標として考えた次第でございます。  それから検査料の問題でございますが、私共といたしましても検査料はない方がいいと考えております。併しながら最近国家財政が非常に窮屈になりまして、税金のみを以てこういう仕事をすることが、非常に国難であるという財政当局からのいろいろ見解もございましたし、又一方こういう検査料というようなものは受益者が若干負担してもいいじやないかというふうなことも考えられますので、ここに一応最大限としてこの数字を挙げた次第であります。これは大体検査に参ります者の出張旅費とか、或いは又それに使う測定機具、その他の修繕或いはこれを買うに必要な限度の金でございまして、私共は実行に当つてはできるだけそういう経費を節約いたしまして、この実際に徴收する検査料というようなものを、手数料を僅少にしたいと考えておるわけであります。尚実際の額は政令で決められることになつておりますので、そのとき十分御趣旨の点を体して研究いたしたいと思つております。
  28. 小林勝馬

    小林勝馬君 ちよつと大事なことを一つここではつきり承りたいのですが、第二條の第五号にある「受信のみを目的とするものを含まない。」、いわゆる受信專用のものは原則として取扱わないというふうにここではつきり明言されておりますが、例えば送信所と受信所は必ずある筈でありますが、測候所、鉄道、海上保安庁、その他の連絡用の受信のみをやつておる箇所が多数ある、こういうものを無線局として含むのか含まないのか、これが一点。次に、レーダー、ローラン、レーコンというようなもののみの設備を無線局として含むのか含まないのか、これをはつきりと御説明願いたい。
  29. 網島毅

    政府委員網島毅君) 本法案におきまして、受信專用の設備を無線局の範疇から除去いたしましたのは、新憲法下言論の自由が確保されまして、放電その他外国の短波放送、そういうものを聞くということは個人の自由であるという見地から、従来のようにそういうものまで一々許可の対象にするということは適当でないと考えまして、除いた次第であります。    〔委員長退席、理事小林勝馬委員長席に着く〕  ところで、この測候所その他の受信設備がこの無線局の中に入るかどうかという御質問でございまするが、この第二條にありまするところの「受信のみを目的とするものを含まない。」という意味合は、全然送信と関係のない受信のみの場合を言つておるのでございまして、着くも送信と直接或いは関接に拘わらず、人を通すとか機械を通すとかいうことに拘わらず関連した設備は、私共は無線局の一環と考えておる次第であります。この問題は、特に無線従事者免許期間の更新のときにいろいろ問題となると考えるので曹まするが、私共はそういう意味合からして、この施設者がその受信設備を送信と全然無関係なただ單に受信のみの設備として考えるか、或いは送信設備と一貫した一つの設備であるというふうに考えるかによつて、その定義の内容が変つて来ると存じております。
  30. 千葉信

    ○千葉信君 私は少し健康を害しておりますので、法案に関する質疑はこの次に譲ることにいたしまして、大臣がお見えになつておりませんので、政務次官にお尋ねしたいと思います。  それは、実は現在電気通信省がこういう重要法案国会に提出もいたしておりまするし、更に又御承知のように、人事院の勧告をめぐつて従業員諸君の俸給が是正されるかされないかということで非常に緊迫した状態が起つておりまして、特に電気通信省の中に十三万人もの従業員を抱えておりまして、郵政省に次ぐところのこの最大な従業員の待遇問題を如何にするかということが、非常に緊迫した空気の中に解決を迫られておる状態であります。そういう状態のときに、電気通信省の鈴木次官が全国を遊説の途次にある、或いは又視察というような名の下に目下九州の方に出張中であるというようなことを承つておりまするが、一体こういう重大な段階のときに電気通信省を空けて、何のために、それ程重要な問題が一体どこにあつて全国に出張する計画を立てられたか。申上げるまでもなく、美は鈴木電気通信次官は本年六月の参議院議員選挙に立候補の下馬評の中に入つておられる方であります。而も、官公吏諸君の中から立候補される方々は、愛知銀行局長も勿論そうでございますし、更に又当院における小林前事務総長も昨年の中にもう職を退かれて綺麗な選挙をされようとなされておられる。然るに、同じように立候補の下馬評に上つてつて、恐らくは立候補されるだろうということが確定的であるところの鈴木次官が今に及んで全国に出張されるということはは、これは一体どういう目的があるのか、国民は重大な疑惑を持たざるを得ない。九州においでになつたその出張の目的が一体那辺にあるかということ。それから又更に、今後どの程度全国を出張される計画が立てられておるか、その出張の内容と範囲、或いは又日数等についてこの際政務次官からはつきり承つておいて、次の委員会において大臣の出席を求めて、本件についての大臣の答弁を承りたい、かように思うわけであります。
  31. 尾形六郎兵衞

    政府委員(尾形六郎兵衞君) 鈴木事務次官が参議院議員の選挙に出るか出ないかということは、私ははつきり聞いておりませんので分りません。噂はありまするが、まだ本人自身から参議院議員の選挙に出るという話は聞いたことがないです。それから、鈴木次官は今日の十時半の汽車で出発しました。今月の十五日に、九州に二泊、四国に三泊して帰られる。これは一般の業務視察に行くという話を聞いております。その他のことにつきましては詳細に聞きませんので、千葉委員のお尋ねに対しましては、或いは言葉が短いようでありまするが、いずれ大臣に出て貰つて、その機会にお答えをして貰うことと思いますが、大体私としましては今申上げた程度のお答えをして置きたい、こう思います。
  32. 千葉信

    ○千葉信君 只今の次官の答弁は、いわゆる議会答弁という形でございまして、自分は聞いたことがないということを唯一の口実にされておるようでございますが、少くとも同じ省におられる政務次官が、この次の選挙に立候補されるかしないかということについてどの程度日本のジヤーナリズムが取上げておるかということについては御承知のことと思います。而も、あなたが仮に俺は聞いたことがないという答弁でございましても、少くともそのことについてどういう方向に進むかというくらいのことについては、大抵知つておいでになると思いますし、よしんばそれを知らなくてもそういう下馬評のある方が今に及んで日本全国に出張される、或いは又聞くところによりますと、特に特定協会の諸君を会議に呼んで、それはどういう程度の目的があつたのか、どういう内容であつたかは知りませんけれども、そういう会合の席上でどういう手を打たれたかということは、これは議会答弁でごまかすといたしましても、国民はそれだけでは簡單に納得しない。従つてもつと誠意ある、若し事実そういうふうな立候補というようなことが確定的であるとするならば、一体政務次官は今度の出張に対して、直ぐ今日以後はそういう出張は取止めるとか、或いはそれに対しては国民の疑惑を解くためにはどういう手段を講ずるかということについて、政務次官のこれに対するお考えを承つて置きたい。
  33. 尾形六郎兵衞

    政府委員(尾形六郎兵衞君) 現職の官吏が次の選挙に出るということが確実でありますれば、残るべく早くその職を去つて、そして自由な立場で選挙に臨む、こういうように考えます。それから今度の鈴木次官のことは、私は本当に立つか立たないかはつきり知らないのです。これは外の、例えば、愛知君は電話で僕は確めたことがありますが、これは非常な下馬評で全国議員に立たれるわけであるが、その割当てる県まで明瞭になつているということを聞いております。鈴木次官は余りその方の評判は、最近になつて聞いておるので、各省次官中立候補されるというめぼしい人々にしましては近頃まで余り……、下馬評は聞いておりますが、まだはつきり本人からは聞いておらない。私としましては事実はつきりしないものを申上げることはできないが、私共議員としましては、或いは国民としましては若し立候補の決意をされましたなら、成るべく早く官吏は現職を去つて公正な立場によつて、選挙に臨む、こう思つております。
  34. 小林勝馬

    ○理事(小林勝馬君) ちよつとお話中ですけれども、議員として、国民としてという答弁でありましたが、政務次官として御答弁を願いたいということをさつき言われましたので……。
  35. 千葉信

    ○千葉信君 只今政務次官は、国民として或いは又議員としての御答弁だつたと思いますが、そういう御答弁ではなく、電気通信省政務次官として、一体政務次官は今若しそういう事実が起るとすれば、できるだけ早い機会にそこを退くことが当然であるというふうにお話になりましたが、このことについては個人の意見ではなく政務次官としての立場から、もう選挙も真近かに追つております。御承知のように大月ということになりますと後もう幾ばくもございません、そういう切迫した段階に来ている今だからこそ問題になるわけでありまして、従つてこの段階に来ましてからそういう事実が判明したならば、何とか自分としては進退を決して貰いたいというふうなお話がございましたが、そういう悠長な問題ではなく、非常に先程申上げたように、電気通信省だけとして考えましてもいろいろな問題が起つております。この法案の問題もそうでございますし、特に公務員の給與に対する勧告の問題もありまするし、そういう切迫した空気の中で、若しそういう重大な仕事を放風して、そして自分の選挙運動をやるというような情勢下にあるとすれば、国民はそれに対して決して納得できる筈がないと私は思うのでございます。従いましてこういう段階に至りましてから悠長に問題を取扱うというのではなく、若しそういう決心を次官がお持ちだつたならば、即刻それに対して政務次官としての立場からこれに対してどう処置をするかということについてこの際お伺いして置きたい。それが私のあなたに対する質問の要旨でございます。
  36. 尾形六郎兵衞

    政府委員(尾形六郎兵衞君) これはですね。大臣が処理すべき問題でありまして、政務次官の身分としてあれこれするということは権限外だと思います。私としては同じ省におりまして働いております政務次官として、事務次官に対して自分の意見を言うことはいいけれども、これに対してその身分をどうするかということにつきましては、私の権限外だと思います。従つて今日の千葉委員のお話は大臣に十分お伝えして置きまして、この次の機会に大臣からお答えして貰う。こういうふうにしたらどうかと思います。
  37. 千葉信

    ○千葉信君 政務次官の答弁は、答弁されるごとにますますおかしい点が出て来る。一体政務次官は事務次官と同等な立場に立つて仕事をされておるのであるか、それとも政務に関しては大臣を補佐する立場で仕事をされておるのでございますか。若し大臣を補佐して政務に與かるというならば、こういう大きな政治的問題を含んでおるところの問題に対して、政務次官は自分はこうしなければならないと思うとか、こうすべきであるという考え方を政務次官として持たなければいけない、そうしてそれを大臣に建言するなり、大臣が若しあなたに遺憾千万な態度を取つておるときには、政務次官自身が大臣の考えに対してこういうふうにすべきだということを言わなければならない。あなたはそれだけの義務を持つておいでになる。あなたは、政務次官は事務次官と同等な立場で、自分としてはこの問題に対しては意思は持たない、権限がないと言われるが、こういうふうな役に立たない政務次官ならば仕事をされることができないじやないか。いてもほんの飾り物の恰好で政務次官は毎日を過しておるのじやないか。あなたを信用しておりますので決してそういうことはないとは思いますから、少くとも私の質問申上げたことについてどういうふうな処理をされるかということについて、この際御意見を承つて置きたい。
  38. 尾形六郎兵衞

    政府委員(尾形六郎兵衞君) 私は只今事務次官と同等の立場でと言つたのではありません。政務次官はあなたのおつしやる通りに大臣を助けてその省の政務を掌理する、こういう権限を持つておるものです。併し事務次官が選挙に立候補するかしないかということ、或いはこれに対してどういう処置したらいいかということは大臣と事務次官との間でやるべき問題でありまして、政務次官がそれに対して、つまり向うから相談のないうちにこつちからあれこれするという機会もなかつたし、又そういうことはしない、今日千葉委員からお話がありましたので、これについては十分大臣と相談しまして、この次の機会に大臣から答弁したら……、こういうことを言つておるのです。決して私が事務次官と同等であるとか何とかいうことじやない。人事のことはやはり大臣がこれを管掌すべきものである、こう思つております。
  39. 千葉信

    ○千葉信君 政務次官は非常に消極的で、私の満足するような答弁を得られませんから、次の委員会において大臣の出席を求めて御質問申上げたいと思います。私の質問を終ります。
  40. 新谷寅三郎

    ○新谷寅三郎君 法案について包括的に二、三お尋ねをして置きます。  この法律案は第二国会でありましたが、以後継続審査いたしまして、或る程度の結論まで達しておつたかと思います。従いまして、私はむしろ質問の重複を避ける意味において、二、三お尋ねをして、その点についての政府当局の見解を明らかにいておかれた方が今後の審議によかろうと思うのであります。一つ放送という事柄でありますが、今度の放送法案によりますと、第二條第一号において放送の定義が掲げられておるのであります。第二回国会に提案せられました法案によりますと、放送という定義を掲げて、この放邊を五つの種類に分けておられるのであります。標準放送短波放送、超短波放送、テレビジヨン、フアクシミル、この五つに分けておられるのであります。今度はそういう規定はないように考えるのでありますが、そこで多少の疑問が起りますのは、ただ「公衆によつて直接受信されることを目的とする無線通信の送信をいう。」ということで、こういうテレビジヨンとかフアクシミルとか、すべての基準による通信というのはどうなるのか、それを対象としてこの放送法案というのは立案せられたのかどうか、若しそうであるとすれば違いますところは、前の法律案によりますと「電気通信の送信及び受信」ということになつておりましたが、今度は「無線通信の送信」というので、「受信」が入らないのが違うだけのことかと思うのでありますが、その点についてのお考えを一応御説明を願いたいと思うのであります。
  41. 網島毅

    政府委員網島毅君) お答え申上げます。お説のように第二回国会に提出いたしました法案につきましては、超短波放送、フアクシミル、テレビジヨンという言葉がございましたが、本法案におきましては、法案のどの條文にもこういう言葉は出で参らないのであります。従いまして定義として特に掲げる必要を認めませんで削除することにいたしました。ただその場合に、御質問のように果してこの第二條の「放送」の中にこういうものが入るかどうかということの点でございますが、ここにございますように、「放送」とは、「公衆によつて直接受信されることを目的とする無線通信の送信をいう。」とございまして、勿論最初の案に言う超短波放送、テレビジヨン、フアクシミルというものも直接公衆によつて受信されることを目的としたものは全部この「放送」の中に入るのでございます。
  42. 新谷寅三郎

    ○新谷寅三郎君 それから次に伺いたいことは、日本放送協会の性格に関する問題であります。この前の法律案によりまして、政府からの説明によりますと、この日本放送協会は、放送事業法という目的法律に基いている公的性格の非常に強い、やはり公法人と言つてもいい、法人であるというお話があつたのでありますが、前の法律案と比べますと余程條文を整理せられて変つておりますが、この日本放送協会の持つております法律的な性格につきまして、前の法律案の提案の際に説明せられたのと同じような性格を持つておるかどうか、その点を念のために御説明願いたいと思います。
  43. 網島毅

    政府委員網島毅君) 條文を整理いたしましたために多少その各條文の内容が変つておりまするが、この法案におきまして作られまするところの日本放送協会は、これはこの法律によつて作られる特殊な法人でございまして、非常に公共性が強いということはお説の通りでございます。その性格は前と変つておりません。これは民法で作られまするところのいわゆる普通の社団法人或いは財団法人というような公益法人でもございませんし、又商法で作られる会社でもないのでありまして、この法律に基く特殊な法人でございます。
  44. 新谷寅三郎

    ○新谷寅三郎君 それから日本放送協会に対する種々の監督規定でありますが、先般提案理由説明を聞きまして、そういうふうな特殊の公的色彩の強い法人でありますから、従つて国家或いはその他の国家機関が適当に監督を加えて行くとやう必要性は十分了承できるのであります。併しながら法律案全体を通じまして、例えば監理委員会が放送協会收支予算事業計画資金計画を受理したときにはこれを検討して内閣を経て国会に提出して、承認を受けるというような種類の規定が至るところに見受けられるのであります。国家機関日本放送協会監督して行くことは当然であろうかと思います。併し仮に国会承認を経なければならないということになつておりますと、国会日本放送協会收支予算から事業計画資金計画まで審査しないと、承認すべきかすべからざるかが分らないと思うのであります。そういうふうなやり方は一応趣旨は了承するにいたしましても、つまり立法府である国会と行政府とが多少ここでお互いに干渉し合うような結果になりはしないか。つまり国会として具体的に事業計画資金計画まで審査をして承認、不承認を決定するということは聊か行過ぎになるのではないかというそういう法律上の疑いが起るのでありますが、その点につきましてはどういう御見解でおられるのでございますか。お伺いしたいのであります。
  45. 網島毅

    政府委員網島毅君) 只今のお説に対しましては、私共も十分傾聽しなければならないと考えており直す。この問題につきましては、法案が立案される過程におきまして、随分論議された問題でございます。いろいろな意見がございましたが、法案の概略説明のところで申上げましたように、日本放送協会は非常に公共的な性質が強い、言換えまするならば、これは国有鉄道、或いは專売公社にも近い性質を持つたものである、一方は国家の企業、国有財産から移つて来る、一方は民間企業、公益法人から、言い換えますれば民間の財産からこちらへ、移つて来る上から下つて来たか、下から上つて来たかの性格のそこは若干の差はございますが、性格そのものは非常にそれに近いというような意見が勝を制しまして、従つて国有鉄道、專売公社と同じようにこの收支予算事業計画というものを国会までお出しするということになつたのであります。併しながら私共といたしまして、これらの予算はいわゆる総括予算でございまして、細かい数字まで一々書いて御説明は申上げまするが、御審議になることは私は国会としては非常に御煩雑であろうというふうに考えますので、総括予算として政府から国会へお出ししたいというふうに考えておる次第であります。
  46. 新谷寅三郎

    ○新谷寅三郎君 只今の御答弁については、尚政府当局の方でもよく御研究になつて頂きたいと思うのであります。例えば四十七條でありますが、「協会は、電波監理委員会の認可を受けなければ、放送設備の全部又は一部を譲渡し、賃貸し、担保に供し、その運用を委託し、その他いかなる方法によるかを問わず、これを他人の支配に属させることができない。」「電波監理委員会は、前項の認可をしようとするときは、両議院の同意を得なければならない。」というようなことにつきましては、これは極めて具体的な事実についての可否の決定であろうかと思います。これは恐らく行政権を持つておるところ、つまり内閣において自己の権威においてやるべきであつて国会がこれに関與するのは如何かと思うのであります。こういう点を全般的に法律案を通じて御検討置き願いたいと思うのであります。この問題についての質問は他日に留保して置きます。  それからその放送法案に関連いたしまして、先般の公聽会でも種々論議があつたのでありますが、要するに放送法案によつて民間放送機関を若干この際に作らせよう、又は作らせるに対して相当の有形無形の援助を與えて行こうという方針は前回から了承しておることでありますが、例えば資金面におきまして、或いは資材の面におきまして、その他電気通信省の持つておられますいろいろの無線有線の施設の使用の認可につきまして、種々民間会社を援助して行くというような場合も考えられるのでありますが、前回の審議におきましてはこれらについては日本放送協会と同様にこれを極力援助して育成して行く方針であるということを政府当局はお述べになつておるのでありますが、その方針が今日でも変らないのかどうか。つまり民間放送会社を相当作らせてそれを育成して行くように当局として努力せられる御決意があるかどうか、この点について御説明をお願心したいのであります。
  47. 網島毅

    政府委員網島毅君) 民間放送に対する育成の問題でございまするが、この法案にも期待しておりまするように、私共といたして健全な立派な民間放送ができることを期待しております。従いまして、民間放送発達に対しましては、できるだけこれを育成して行きたいという考えを持つておる次第であります。ただ法案の條文に一々具体的に挙げませんでしたのは、はつきりこの法律によつて保護を與えるということになりますと、それに伴いましてどうしても国家の監督という面が起り易いのでありまして、そういうことになりますれば折角自由闊達に伸びて行くべき使命を持つた民間放送がその芽を曲げられるというようなことを懸念いたしまして、條文は非常に簡單になつた次第であります。併しながら将来民間放送というものが出て参りまして、若干の期間を経過いたしました場合には、それぞれこれに対する考え方もはつきりして来ると思いまするので、そのときには又改めて法律改正ということにした方がいいのではないかと考えておるのであります。併しながら行政面におきましては、できるだけこれを育成するという方向に向いたいと存じております。只今具体的に電気通信省の設備の問題とか、或いは財政の問題どか御質問がございましたが、これは電波、主管庁である私共からお答えするよりも、むしろ直接そういう方面を担当しておる政府委員から若し必要があれば御答弁願つた方がいいのではないかというふうに考えますので、私からの御答弁は省略さして頂きます。
  48. 新谷寅三郎

    ○新谷寅三郎君 只今の問題につきましては、電波監理官庁にも関係がある部分がありますけれども、他は安本、大蔵省及び電気通信省の主管局長等の意見を聞いた方がいいと思いますので、適当な機会に関係政府委員に御説明をして頂きたいと思います。  最後にもう一つつて置きたいことは、民間放送会社を設立させますつまり免許の基準に関する問題であります。大体これは電波監理委員会の規則ですべて行われるようになつておるようであります。初めてやる仕事でありますから、これも無理からぬことと思いますけれども、併し法律に書かなくても大体の免許の基準というものを当局として持つておられる筈だろうと思います。何もかも今後考えて行くのだということでありませずに、大体の免許の基準というものを持つておられる、そういたしますと、この主な項目だけでも御説明になる、或いはこの委員会で適当な機会にこれを御発表になる必要があるのではないかと思うのであります。今政府委員からの御説明によれば、非常に自由潤達な発達をさせるためにむしろ細かい規定は省略したのだというお話も一応考えられますが、半面におきましては法律にそういう基準に関する規定が全然ないということは、法律には何ら拘束されなくて自由雇これを育てるということになりますので、お話のいわゆる官僚統制を避けようということが却て官僚統制になるという憂いも持たなければならぬかと思うのであります。従つて形式上法律に書くか書かないかは別といたしまして、少くとも国会としてはこういう説明を聽いて、それを了承したとか或いはその説明に対してこういう意見があつたということで、大体国会審議を通じまして、こういう程度のものであれば免許は與え得るであろうということの一応のめどを付けて置く必要があるかと思います。この点は今日に限りませんが、他日適当な機会にこれについてもできるだけお考えになつているところを一つお聞かせ願いたいと思います。一応私は総括的にはこれで質問を終ることにいたします。尚関連事項につきまして他日お伺いしたいと思つております。
  49. 尾崎行輝

    ○尾崎行輝君 私のは極く常識的な質問でありまするから、或いは重複したかと思いますが、私まだ承つておりませんので、二つ程承りたいと思います。  一つはどう考えましても、又いろいろと御説明を承つても、今の放送協会に対しては非常に有利であつて、これからの新らしい民間放送についてはなかなか困難であるというふうに感ぜられます。丁度たとえますると、大人と子供と協同させて而も大人は準備ができている、そこで子供が裸で出て来るというような感じがいたします。民間放送は大いに発達させて頂きたいのでありますが、非常に不安を感ずる。どうかそういう競争と、いうことじやなしに、協力して大人が子供を連れて放送界のために互いに協力一致して行くという方針を深くお考えになつたのかどうか。それは他の例えば出版界を見ますと、新聞社などは各新聞社が自分の印刷所を持つているから独立してやつて行きますが、雑誌社などを見ますと、印刷は印刷所に任せるということをやつているので非常に経費が安い。その実例から見ますると、民間放送会社がいろいろ編集て、これを今の放送局に委託して放送させるどいうふうにしたらば、協力してやられるのではないか。新らしく放送局を立てる費用より余程安く、今までの放送協会がやれば非常に楽にできるのでないか。それをしますと、第四十六條の「協会は、いかなる表現によるかを問わず、他人の営業に関する広告の放送をしてはならない。」この條項に引つ掛かると思う。これはよろしく考えて頂いて、そして、どうかして協力一致して行くという方面一つ案を練つて頂きたいというのが一つであります。今までそういうお考えがあつたであろうかどうかということを、ちよつと伺つて置きたいと思います。
  50. 網島毅

    政府委員網島毅君) 私共といたしましても、できるだけ放送協会民間放送企業体とが協力して、一面お互に競つて内容を向上させると同じように、他面協力して行くことを非常に希望しておるのでありまするが、この日本放送協会に対して非常に有利だというふうに今おつしやつたのでありまするが、これは事実においてそれを認めざるを得ないと思います。それは法律案の條文の上からじやなしに、現実の問題といたしましてすでに全国に百に近い放送局を持つており、而もそれに対して波長を割当てられており、実際の日常業務をやつておるという組織と、これから新らしくできて行ごうという組織とのその現実の差からそういう感を受けるのであります。従いまして、私共といたしましても、この放送協会の当事者が常に非常に大きな気持を持つて、新らしくできて来る民間放送と協力して行くということを念願しておりまするし、最近の協会の当事者は積極的にその方向に向いておるようにも思われるのでありまするが、その一つの方法として、今お示しになつたいわゆるプログラムの編集機関と云いますか、プログラム提供機関というものを考えることも一つの大きな收穫ではないかと私共は考えております。勿論この法案におきましてそういう機関もできることはちつとも禁止しておりませんし、差支えないのでありまして、日本放送協会がそういう機関利用して行くということも将来協会の番組編成を容易ならしめ、その内容を充実させる上において一つのいい方法かとも存じます。併しながらこの法案にもございまするように、番組の編集は全くその当事者の自由でございまして、政府がこれに対してこうした方がいい、ああした方がいいというふうに干渉したり、又直接これに対して掣肘を加えるというようなことは避けた方がいいのではないかと考える次第であります。
  51. 尾崎行輝

    ○尾崎行輝君 そうしますると、幸いにその案をとつて頂くとしますと、この第四十六條というのが引つ掛つて参りまするが、これは今のうちから何とか改良しておかれる方がよろしいのではないでしようか。
  52. 網島毅

    政府委員網島毅君) 私の只今説明申上げたプログラム提供機関というものが提供するプログラムは、必ずしもこの第四十六條に引つ掛かるというふうには考えないのであります。例えば非常にいい音楽を編集してそれを有料で提供する。そういう場合にその内容に他人の営業に関する広告が入つておりますれば、この條文に引つ掛かりまするが、入つておりませんければちつとも差支ないことになる次第であります。
  53. 尾崎行輝

    ○尾崎行輝君 只今の私の質問に対しましてのお答え、大体それで満足でありまするが、成るべく営業放送をするときも放送協会でこれを助けることができる、代つて放送してやるというふうな広範囲のものにして頂きたいというのが一つの希望であります。  もう一つは、私は飽くまでも聽取者立場から今度のものを考えておるのでありますが、かようにしてこれがいよいよ実現しますると、波長が非常に多くなつて来る。そうすると、なかなかこれをセレクトして行くことがむずかしくなる。現に私などの持つておるぼろ受信機ではなかなか受け切れない。早速新らしいいいものを買わなければならん。これは、私一向外のことを知りませんが、多分百人の中八十人或いは九十人以上もそうしなければならない。非常な負担があろうと思うのであります。それで折角のそういう放送の方は非常に範囲が拡まつても、受信する方が非常に困難するという立場がありまするからして、何とかして聽取者の方を奨励するという案を立てて頂きたい。これがないと折角放送されても、聽くことができないことになるのじやないかと思いますが、如何でございますか。
  54. 網島毅

    政府委員網島毅君) お説尤もでありまして、私共この法案を立案するに当りまして最も惱みといたしました点ば、我が国に普及されておりまするところの受信機が極めて低級と申しては悪いかも知れませんけれども、どこの国でも使つておらない程技術的程度の低い受信機でありまして、そのために放送の送信側において幾多掣肘を受けておる次第であります。従いましてごの法案が通過いたしましても、今の受信機を改善せざる限り、一つ都市における放送局の数というものはそう多くは望み得ないのでありまして、東京とか大阪というような都市におきましては、現在以上に殖やし得る放送局の数というものは、純技術的に考えまして二つ、或いは非常な厳しい條件の下におきましても三つ以上は置けないということになるのであります。而も現在の受信機を対象として混信なく受けられるようにするためには、その放送局の電力とか設置場所というものに相当制限が加えられるのではないかと思つておる次第であります。ところで、こういう状態を放置しておきますれば、幾ら経つて日本放送文化の向上ということは望み得ないのでありまして、できるだけ早く日本国民の経済力が許す限度において、而も一方日本の工業技術の許す範囲において、できるだけ早く受信機の性能を向上するということが必要になつて参ります。それには国民にできるだけ経済的な負担をかけないでということが條件になると思うのでありまして、現在の受信機をできるだけ安い料金で性能のいいものに改善して行くというような方策を今後とる必要があると考えております。私共といたしましてもラジオ業者の組合その他と連絡を取りまして、新らしい技術の導入によつてできるだけ安く受信機の改善を図るような工夫研究を進めておる次第でありまして、一足飛びには行きませんけれども、漸次我が国の受信機は改善されて行くのではないかと考えておる次第であります。
  55. 小林勝馬

    ○理事(小林勝馬君) この際政府当局にお願いして置きたいのでございますが、この三法案審議の参考に資するために、先程新谷委員から御要求がありました民間放送会社の設置許可基準案、並びに各種の規則の案、その他をできるだけ早く御提出願いたいと思いまして、この点を特にお願いして置きたいと思います。  本日はこれくらいで打切りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 小林勝馬

    ○理事(小林勝馬君) 異議ないものと認めます。  次回は十三日に開きたいと思いますから、さよう御承知願いたいと思います。これを以て散会いたします。    午後三時四十一分散会  出席者は左の通り。    委員長     松野 喜内君    理事           橋本萬右衞門君            小林 勝馬君    委員            大島 定吉君            尾崎 行輝君            新谷寅三郎君            千葉  信君   政府委員    電気通信政務次    官      尾形六郎兵衞君    電波監理長官  網島  毅君    電気通信事務官    (電波庁法規経    済部長)    野村 義男君