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1950-02-15 第7回国会 参議院 電気通信・文部連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月十五日(水曜日)    午後二時四十一分開会   —————————————  委員氏名   電気通信委員    委員長    松野 喜内君    理事    橋本萬右衞門君    理事     小林 勝馬君           藤枝 昭信君           大島 定吉君           木檜三四郎君           尾崎 行輝君           新谷寅三郎君           高田  寛君           水橋 藤作君   文部委員    委員長    田中耕太郎君    理事     若木 勝藏君    理事     木内キヤウ君    理事     藤田 芳雄君           河崎 ナツ君           河野 正夫君           岩本 月洲君           岡崎 真一君           左藤 義詮君           小野 光洋君           大隈 信幸君           星   一君           梅原 眞隆君           西田 天香君           堀越 儀郎君           三島 通陽君           山本 勇造君           岩間 正男君           鈴木 憲一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○放送法案内閣送付)   —————————————    〔松野喜内委員長席に著く〕
  2. 松野喜内

    委員長松野喜内君) それではこれから電気通信文部連合委員会を開きます。議題といたしましては、放送法案予備審査についてであります。  最初に提案理由説明を願います。
  3. 尾形六郎兵衞

    政府委員尾形六郎兵衞君) 放送法案提案理由簡單に御説明申上げます。  放送事業は、現在無線電信法並びにこれに基く主務大臣の命令によつて規律されておるのでありますが、無線電信法は主として公衆通信規律対象として、大正四年に施行せられたのでありますので、今日の放送事業規律するには多くの不備な点があるばかりでなく、主務大臣に極めて広範囲の自由裁量権を與えておりまして、新憲法の精神にも副わないようでございます。最近におきましては、多数の放送事業経営許可の申請がありますが、現在放送事業は、日本放送協会によつて事実上独占的に経営されておりますので、放送協会以外の放送事業者のあり方について明らかにいたさなければならないのであります。次に現在の日本放送協会公益社団法人でありますが、この組織では、国民の大多数が聽取しております放送を、少数の社員によつて左右することになりまするので、日本放送協会国民公共機関として改組いたしまして、その経営を民主的に行わせなければならないことが要望されて参つたのであります。  これを要しまするに、放送公共福祉のために規律し、その健全な発展を図るためにこの放送法案を提出いたした次第であります。
  4. 松野喜内

    委員長松野喜内君) 次にこの放送法案内容について概要説明願います。
  5. 網島毅

    政府委員網島毅君) 放送法案概要を御説明申上げます。  放送法案は、その第一條に示してございますところの放送の三つの原則に従いまして、放送公共福祉に適するように規律いたしまして、その健全な発達を図ることを目的として立案されたものでございます。この法案は、放送経営及び規律に関する各国の例を研究調査いたしまして、その長所を採り、且つ我が国の国情も十分考慮いたしまして立案したつもりでございまするが、この放送立法につきまして、世界に一つの新例を開くものではないかと考えておる次第でございます。  この放送法案の特色といたしまするところは、第一には、我が国放送事業事業形態につきまして、全国津々浦々に到るまであまねく放送を聽くことができるように放送設備をいたしまして、全国民要望を満たすような放送番組放送する任務を持ちますところの、国民的な公共的な放送企業体一つ作りまして、これと対照的に、個人の創意と工夫とによりまして自由闊達にこの放送文化を建設高揚する自由な事業としての放送企業体、いわゆる一般放送局或いは又民間放送局というものを配しまして、この二つのものがそれぞれお互い長所を発見すると共に互いに短を補いまして、お互いに啓発し合うことによつて国民が十分この放送文化福祉を享受できるようにということを冀つて立案されたのでございます。  次にこの公共的な放送企業体といたしましては、現在我が国放送を独占的に実施しておりますところの日本放送協会が、今日約六千人の社員によつて構成される社団法人でありますが、新たにこれに代りまして、全国民基盤を持つ公共的な、特殊法人であるところの新らしい日本放送協会を設けようというのでございます。そうして現在の社団法人日本放送協会設備、人員、権利義務等の一切をこの新らしい日本放送協会に移しまして、現在の社団法人日本放送協会は解散するものといたしたのでございます。従いまして新らしい日本放送協会は公的の性質を持つたものでございまして、全国民国会を通じましてその業務運営財務等につきまして必要な監督を行うことができるように考えられておるのでございます。  以上は放送法案の大要でございますが、更にこれに若干敷衍いたしまして申上げますと、放送番組につきましては、第一條に、放送による表現の自由を根本原則といたしておりまして、政府放送番組に対する検閲、監督等は一切行わないのでございます。放送番組編集放送事業者の技術に委ねられておりますが、これを全然放任するというものではございませんで、この法律でいわゆるラジオコード根本と申しますか、その要点を規定いたしまして、放送の準則というようなものを定めてございます。  次に日本放送協会の性格でございますが、日本放送協会はこの法律によつて目的が與えられ、設立される法人でございまして、民法に基いて設立されるところの公益社団法人或いは又財団法人というものでもございませんし、商法に基いて作られますところの会社というものでもございません。この法律によつて日本放送協会、現在の社団法人日本放送協会から継承するところの財産を運用しまして、経営委員会という議決機関会長その他の執行機関等を持つところの特殊な法人でございます。協会の行います業務は第九條に掲げてございまするが、その業務につきましては特に嚴重な制限を設けまして、放送事業関係あるところの事業協会が大きな支配力を持つたり、或いは又その事業の死命を制するということのないように、受信機器を認定したり、無線用機器製造法者、或いは販売業者及び修理業者の行う業務規律又は干渉するというような行為を禁止しておりまするし、又放送受信用機器修理場所も自由にはいたしませんで、電波監理委員会が特定する場所に限つて行い得るようにいたしました。受信機修理業者権利を保護するように考慮されてございます。協会業務経営を民主的に行うために、協会には先程申上げました経営委員会を置きまするが、この経営委員会は、協会経営方針を決定し且つその業務運営を指導統制するものでございまして、委員八人と放送協会会長で組織されまするが、この委員は両議院同意を得て内閣総理大臣が任命することになつております。この委員の任命を両議院同意を得るということにいたしましたのは、内閣総理大臣が自分独自の判断で一方的に任命することのないように、又国民の代表でありまするところの両議院同意によつて国民の意思がそこに反映されるというように冀つたのでございます。又委員を選任する場合には、放送全国にあらゆる分野に関連する文化的な事業であり、且つ非常に公共性の強い事業でありまするからして、文化・科学・産業その他各分野が公平に代表されるように考慮いたしますると共に、全国を八つの地区に分けまして、その各地区から一人づつ任命されるように定めてございます。会長につきましては、会長協会業務執行する最高責任者でありますが、議決機関でありますところの経営委員会執行機関との一体制を保ちつつ協会業務の合理的な円滑なる運営を図りますために、この会長経営委員会によつて任命されるということにいたしまして、又会長をこの経営委員会構成員といたしておるのでございます。尚会長経営委員会同意を得まして副会長及び理事を任命いたしまするが、会長、副会長及び理事によつて理事会を構成いたしまして、この協会重要業務執行を審議することといたしております。協会運営がその目的に副つて行われるのを確保するために、国といたしましては最小限必要の監督を、而も一機関の独占とならないように考慮いたしますると共に、その協会目的に鑑みまして、これに受信料徴收する権利を認め、免税その他公共的事業体としての保護規定を定めてございます。尚協会の設立につきましては附則で必要な規定を設けてございます。民間放送につきましては先程申上げましたように、これをできるだけ自由に任せる方針でございまして、第三章に最小限必要な規定を二ヶ條だけ設けておるのでございます。これは民間放送について規定が不必要だ、或いは又民間放送について政府関心を持つておらないということではございませんので、将来この民間放送が如何なる発達をするかという見通しをつけることが現在相当困難でありまするし、又これによる特別な特権を認めるということになりますと、これに伴いまして勢い政府監督ということも起つて参りますので、このようなことによつてこの民間放送の自由闊達な発達が阻害されることのないようにという考慮からでございまして、将来この民間放送が或る程度発達いたしまして、その状況によりまして必要が生れた場合には更めてこの法律案改正案を提出いたしたいと考えておる次第であります。  次に放送用受信設備につきましては、電波法によりまして従来のように許可を必要としないということにいたしました。即ち誰でも自由にこの放送用受信機を以て放送を聽は得るということにしたのでございますが、ただ日本放送協会放送を聽取できるところの受信機を持つた施設者は、この機会に聽取料を拂わなければならないということにいたしております。又現行の地方税法を改正することによりまして、いわゆるラジオ税ラジオ受信機を持つておるということによつて税金を取られるようなことはないようにいたしまして、放送普及発達に資するようにいたしました。又いわゆるこの広告税ということをやはり除外いたしまして、民間放送局広告することによつて広告税を取られるということを止めまして、多少なりとも民間放送発達に資したいというふうに願つた次第でございます。  尚御参考に申上げたいのは、現在極く僅少ではございますが、政府日本放送協会からいわゆる特許料というものを徴收しておりまするが、この法律ではそういう性質のものは一切徴收しないことにいたしてございます。又この法律電波を利用する放送事業だけを対象にしておりまするので、電波を使わないところの有線放送その他のものにつきましてはこれを規律しておりません。  以上で簡單ではございますが、放送法案概要の御説明を終りたいと思います。
  6. 松野喜内

    委員長松野喜内君) 提案理由並びに内容概要説明が終りました。どうぞ御質問のある方は自由に御発言を願います。
  7. 田中耕太郎

    田中耕太郎君 只今提案理由の一般的なる、又内容の御説明を承りまして、本法案民間放送の闊達なる発達を意図されておるということを了解いたしました。文部委員といたしましては、放送文化発達は極めて重要な意味を持つ、特に社会教育方面において非常に効果的なものであり、その内容がどういうものであるかということによつて教育上及び日本文化発達上、影響力が非常にあるということを信じておるわけであります。従つて民間放送の健全なる発達につきまして、我々は非常な関心を持つておるのであります。ところでその民間、つまり国立学校以外に、或いは公立学校以外に私立学校も必要であり、私学発達を図らなければならないというのとこれは同じ論理じやないかと思います。で、私学につきましては、従つて国家が非常な援助をしておる。又現在私学校というようなものもできまして、それに対して憲法規定従つて補助をする途を開いておるわけでありまして、この民間放送につきましても、さつき提案理由の御説明の中でありましたような広告料についての課税の免除等非常に結構なことであると思うのです。そういう点以外に尚もつと外にも奬励されておるような点があるか、或いは実際運営上そういうふうな方法を講じられておるかどうかということであります。で、具体的に申しますと、第三十二條関係して来るのであります。第三十二條受信設備を設置したものについては月額三十五円を徴收するということになつております。そこで伺いたいのは、受信目的としない受信設備であるが、放送受信目的としない受信設備というのは、これはつまりラジオ放送以外のものに、ラジオ放送受信ならば、たとえ日本放送協会放送を聽かないつもりで、つまり民間放送のみを聽く目的を以て受信設備を持つておるものもやはり月額三十五円を徴收されるのかどうか、その問題について先ずお伺いしたい。
  8. 網島毅

    政府委員網島毅君) この三十二條規定は、協会の行う、現在行なつておりまするいわゆる標準放送と申しまするか、或いは極く平易に申しますると中波放送という、現在の協会の方がやつておりまするところの放送を聽き得る受信機を持つたものは、その実際に聽いておるものは日本放送協会放送であろうがなかろうが、或いは單に民間放送番組だけを聽いておる場合におきましても、やはり協会に三十五円を拂わなければならないという規定でございまして、これは御承知のように受信機を持つておりますると、ダイヤルの廻し加減で以て近くの放送局はどこの放送局でも入つて参るのでありまして、果して協会放送を聽いておつたか聽いてなかつたかという区別をすることが非常に困難でございます。普通の観念で行きますれば、これはその受信機に入つて来る放送は一樣に聽くチヤンスがあるというふうに考えなければならないと思います。従いまして日本放送協会に、各條に掲げてありますような、いわゆる全国的の放送を普及させるという非常に大きい責任を持たとておりまするし、そのためにどうしても経費というものが相当掛かります。これらのことを補償するために是非この聽取料法律によつて義務的に納めなければならないというふうに考えておるのであります。勿論この放送には、只今申しました中波の周波数を使つた放送以外に、超短波或いは極超短波という他の種類の波類を使うところの放送がございます。将来これらのいわゆる超短波放送というものにつきましても、日本放送協会が行うかも知れませんですが、そういうものにつきましては、このような特別な特権を持たせてはございません。ただ單に中波放送についてだけでございます。
  9. 田中耕太郎

    田中耕太郎君 重ねて伺いますが、只今の御答弁の通りに、日本放送協会放送だけは聽かないで民間放送を聽くという機械があるわけのものではないのでありますが、従つて当然日本放送協会放送を聽き得るのだ。従つて事実聽かない場合においても受信料徴收される。これは技術的に止むを得ない次第だと思いますが、併しこういうことが考えられやしないかと思いのです。民間放送については広告料で賄つて行く。受信料は取らない建前になつておる。そとろで民間放送が普及するのに従つて受信設備を持つものが相当に殖えて来るのじやなない。その中にはやはり聽くものと聽かないものとがあるのじやないか。従つて若し理論的に言いますのならば、民間放送についても受信料徴收するのがこれが道理であるけれども、併しこれは技術的に困難だというわけで、民間放送の方は受信料徴收しない。受信料徴收日本放送協会の方だけである。ところで受信料の……受信設備の数であります。民間放送発達するのに従つて、その結果として受信設備が非常に殖えて来るということになると、民間放送徴收していいところのその受信料日本放送協会に廻つて行くという部分もありやいないか。そういう点からして何らかの民間放送助長のための、つまり経済的の方面にもつと恩惠を與えた方がいいというような考慮もありやしないか、そういう点についてお考えなつたがとうかを伺いたいと思います。
  10. 網島毅

    政府委員網島毅君) お説のように、将来民間放送発達して参りまして、内容の非常に充実した番組を送るということになりますれば、勢い聽取者も殖えて参ると存じます。そういたしますると、日本放送協会がそれによつて相当利益を受けるということも勿論考えられるのでありまするが、反対にこの民間放送いわゆる広告料をその收入基盤として事業経営いたしまするところの商事放送にとりまして、聽取者が多いということは絶対必要な條件であります。現在直ちにこの波長の割当さえ受ければ民間放送をやつて行こうという希望者の多いのは、すでに全国に八百数十万の受信機が普及しておるという事実でございまして、民間放送を希望する人でも計画する方面におきましてはこの聽取者というものを一応頭において計画を立てられておると存ずるのでございます。従いましてその点は民間放送というものと日本放送協議というものは相互的な関係がございまして、日本放送協会全国放送網によりまして聽取者が殖えて行きますれば又広告の価値もそれだけ高まつて行く。従つて民間企業者もそれによつて利益を受けるというふうにお互いに、何と申しますか、協力関係と申しますか、ギブ・アンド・テークような関係にあると私共は考えておるのであります。尚実際問題として、私共といたしましても民間放送側におきまして聽取料を取るということは困難であると思うのでありますが、法案におきましては民間商業装送局は聽取料を取つてはいけないということにはなつてはおりません。従いまして中和の範囲におきましては困難だといたしましても、将来起短波放送或いはテレビジョン放送というようなものが民間側において計画された場合は、それらは十分聽取料というものを取り得る余地があるように私共は考えておるのでございます。
  11. 田中耕太郎

    田中耕太郎君 民間放送はこのスタートの状態においては特に非常なる経営困難な状態にあることは予想できますが、それで広告料で以て賄つて行けばいいというわけではありますけれども、併し有効な広告をするためには文化的その他の意味において非常な内容の充実した、又興味のある放送をやらなければならない。そうすると相当スタツフが要ることになるわけであります。そういう場合に全然聽取料徴收しない。これは技術的に見て止むを得ないことでありますけれども、そういう状態考慮されまして、何らかのいろいろな意味においての民間放送助長ということに政府も配慮せられることを希望いたします。  それからもう一つ、次は装送の内容についてでありまして、第一條、これは放送根本方針が決められておるのでありますが、この中に或いは文化の向上であるとか、或いは道徳或いは秩序というような社会及び個人生活根本方面のことが書いてないように思われるのであります。むしろ内容は政治的の観点から強調せられており、放送の不遍不党或いは放送が健全なる民主主義発達に資するようにというような政治的の方面が強調されておつて、或いは道徳とか文化というような方面が現れていないように思うのでありますが、そういう点、この法案の制定に当りまして問題になつたかどうか。御考慮なつたかどうか。その辺のことを一つ伺いたいと思います。
  12. 網島毅

    政府委員網島毅君) この第一條に書いてありますところの目的は、いわゆる放送につきまして最もこれが惡用され易いというような点を考えまして、特にこの放送法の最も大事な目的考えたのでございまして、只今おつしやるようにこの目的に書いてないからして、文化のことを放送というものは考えなくていいのかというふうには私共考えておりません。勿論送送文化というものに対しましては、私共も非常な関心を持つております。これはもう当然放送に携わるものの重大な職責だと考えております。従いまして特に公共的な色彩を持ちまして、いろいろな業務、それから特権を與えられておりまするところの尾本放送協人に対しましては、第四十四條にございまするように、「放送番組編集について、公衆要望を満たすとともに文化水準向方に寄與するように、最大の努力を拂わなければならない。」というふうになつておりまするし、又その第三項の第三号におきまして「音楽、文学演芸娯楽等分野において、最善の内容を保持すること。」というようなことを法律において要求しておるのであります。それらの條項は、民間放送にはそのまま適用されてはおりませんが、それは民間放送をできるだけ他から干渉することなしに、技術的に伸び伸びとこれを発達されてやりたいという考え方からでございまして、勿論この民間放送経営者自体ラジオコードと申しますか、いわゆるプレス・コード相当するように綱領を作りまして、而もこの綱領は第一條目的に合致するようなもの、それから又只今申しました国民がこの法律を通して日本放送協会に求めておるようなところを基準として、そのラジオコードを作成されることを冀つておるのでございまして、決してこの放送文化的に放任するという意味ではございません。
  13. 藤田芳雄

    藤田芳雄君 只今放送文化方面の問題が出たのでありましたが、三十二條のところで受信契約及び受信料の問題が出ておるのですが、その第三項のところでは「協会は、あらかじめ電波監理委員会認可を受けた基盤によるのでなければ、前項の受信料を免除してはならない。」そうしますと、免除されるものは電波監理委員会認可を受けた基準によるものということになるわけですが、そういうものは大体どのような負担を持たれるのでしようか。例えば今まで放送協会においてすでに受信料を免除しておるものがあるわけです。ああしたようなれ基準考えいるのか、或いは又別の基準考えられているのか。
  14. 網島毅

    政府委員網島毅君) お答えいたします。この條項日本放送協会が勝手に或るものからは受信料を取るが、或るものからは取らないということを避けるための趣旨でございますし、又今日までの経験から見ましても、やはり受信料を取らないで放送を聽せる必要のあるということも認めなければならないと考えております。従いまして将来そいうことが起るであろうということを予想いたしまして、この電波監理委員会認可を受けた基準、それによ誠てやるというこにいたしたのでありまして、勿論この基準は、別途国会に御審議願つておりまするところの電波監理委員会設置法案によつて設置されまするところの委員会ができまして、その会議体でありまするところの委員会の決定によつて決まるのでございまして、只今今日から、私共事務当局がそかれこれ言うことはどうかと思うのでありまするが、一応立案者考えといたしましては、只今日本放送協会受信料を免除しておりまするところの学校でありまするとか、或いは社会事業団体、そういうような国として十分保護しなければならないような機関につきましては、将来共受信料を免除した方が適当ではないかと考えておる次第であります。
  15. 藤田芳雄

    藤田芳雄君 そういう点になつて来ますというと、今度次に関係いたしますのは、一般放送においては、広告主からの広告放送広告料によつて、やはりやつて行くということになるわけですが、一方国民文化を向上させるというような意味からしますというと、これから放送によるところの教育と言いますか、現在通信教育というのがございますけれども、それ以上に重要な、いわゆる放送教育というようなものも考えられるのじやないか、そうするというと、一般放送の方で事業一つとして広告じやなしに、むしろ放送による教育というようなことをも計画の中に入れるかも知れない。そうした場合には、これは広告料じやないのだが、そうした経費をどうするというようなことがあり得るかどうか。それから、それと今度協会における、一つ放送教育というようなものとの連関、そんなものはどんなふうにお考えになつておりますか。その点を……。    〔委員長退席、文部委員田中耕太郎委員長席に着く〕
  16. 網島毅

    政府委員網島毅君) この法案におきましては特に放送教育の問題を取上げた條項はないのでありまするが、勿論この放送が国の文化に対しまして非常に大きな役割りを持つておるという点からいたしまして、そういうことは十分考慮されるのでありまするが、これ等は共に放送内容に関する事柄でございまして、従いましてこれ等はそれぞれ放送経営者、或いは又番組編集者の自由意思に任せた方がいいのではないかと考えております。只今民間放送教育放送につきましてお話がございましたが、勿論民間放送教育放送をやるということは十分考えられます。その場合にこの教育放送内容を提供する側との間に料金を取るか取らないかというような問題は、相互の契約でいいのではないかと私共は考えております。尚、この教育の問題に関しましては、この方面のそれぞれの法律がございます。教育基準法でありますとか、学校教育法というようなものもございまするし、特に教育という問題になりまするならば、そういう方面で取扱うことが適当ではないかというふうに私は考えておる次第でございます。
  17. 藤田芳雄

    藤田芳雄君 私の申しますことをちよつと徹底いたしたいと思います。今の放送協会でやはりいいことが……そうしたものの教育面を担当したような放送をやつておられる。ところがあれはそのために特にお金は取らんと言いますけれども、考えてみますというと、あのテキストというもので相当利益を挙げて、結局その分せカバーしているのじやないかと思われる。恐らくは商業放送の方でそうした放送教育をやろうとするならば、その上においての收入しか考えられないと思うのです。そういたしますと、放送協会のそうした事業と、商業放送の方のそうした事業との連関をどう考えるか。それから今の何と言いますか、協会の方で無料聽取を許した場合において、今度はそういうものを聽くというような場合の連関とかいうことが相当むずかしい問題が出て来るのじやないかと思いますが、その辺をどんなように御考慮になつているのか、その点をもう一度……。
  18. 網島毅

    政府委員網島毅君) 御質問の趣旨につきまして、民間放送教育放送をやつた場合、日本放送協会教育放送をやつた場合との関連性如何というような御質問と承りましたが、そうでございますか。
  19. 藤田芳雄

    藤田芳雄君 まあ一方においてはですね、それによつてのみ收入を得ることになります。一方は聽取料というものを徴收しておいて、そうして尚テキストで同じような面においての利益を得るというような形が生れるのじやないか、その点なんです。そうするというと、先程来誰かが心配されたように、一般商業放送という方面が、今は成程初めてですから、競争的に願い出があるかも知れないが、このあとの收入経営の面を考えて行くというと、余程そういう点を考えてやらないと、将来むずかしく……維持経営が困難なんじやないかというような面から考えて、そういうことが考えられるのじやないかと思います。言換えれば放送協会の方でですね、そうしてテキストなぞは利益を取らないでやるというような事柄にでもならなければ釣合が取れないのじやないかということなんです。
  20. 網島毅

    政府委員網島毅君) このテキストに関しましては、現在日本放送協会では、自分ではこのテキストの発行はやつておらないのでございます。これは別にその方面を担当する機関がございまして、例えば日本放送出版協会とか、そういう機関がこれをやつておりますが、これの收入は直接には日本放送協会收入にはなつておりません。従いまして日本放送協会がテキストを売つて儲けておるに拘わらず、聽取料も取つている、片一方はそういう利益がないというようなことにはならないと思います。
  21. 藤田芳雄

    藤田芳雄君 そういたしますというと、例えば何々のテキストができました。御入用の方はどうぞ申込んでくれというのは、あれは一つ広告放送になるわけですね。放送協会のものじやなしに協会のものじやないのをそうやつて若しお採りになつて、あんなふうに放送するということになると、あれは一種の広告放送になるかと思いますが、そうすると他の場合でもああいうものをやるのに同じような取扱になるのですか。
  22. 網島毅

    政府委員網島毅君) この広告放送の範囲につきましては、これは的確な定義を付けることは非常に困難だと思いまするが、要するにそれは社会通念上から考えて、果してこの放送広告する意思を持つてつたかというようなことが非常に重要にフアクターになると思うのでありまするが、只今のテキストの告知というようなことは、これは放送協会が自分の業務を遂行する上において必要な、いわゆる協会の告知というふうに考えられるのではないかと私共は思うのであります。尚この協会放送内容、いわゆるこの協会がどういう放送をやるかということにつきましては、現在は政府は一切干與しないことになつておりまして、協会の中にそれぞれラジオコードというものがございまして、又そのラジオコードを守るために、常に協会番組を批判的にこれを見ておるところの機関もございまして、自立的にやつております。私共はその協会の自立的やり方に信頼をおいておる次第でございます。
  23. 堀越儀郎

    ○堀越儀郎君 先程藤田君が質問されました三十二條の問題でありますが、今後の放送内容にも非常に影響することでありまするが、文化方面内容を推進される場合において、学校などは非常に受信設備などというものを奨励されると思うのでありますが、現在も奨励しておると思いますが、そういう方面から考えて、学校などの先程のお言葉に受信料の免除ということもおつしやいましたが、現在でも免除されておるところがあるのですか。そして又将来免除される御計画もおありになるのですか。
  24. 網島毅

    政府委員網島毅君) 現在小学校、中学校は免除されておると私共は思つております。将来もやはり少くとも義務教育学校は免除されて然るべきじやないかと私共は考えております。
  25. 堀越儀郎

    ○堀越儀郎君 それから更に広めて高等学校まで広められるお考えはないですか。
  26. 網島毅

    政府委員網島毅君) 御趣旨の点は、今後設立される電波監理委員会の方にお伝えいたしまして、十分そちらの方で考慮して頂きたいということにしたいと思います。
  27. 堀越儀郎

    ○堀越儀郎君 それからもう一つ、我々の一番関心を持つのは放送番組内容です。今までN・H・Kが非常に非難を受けていたのは、一方的にN・H・Kの放送によつて聽取者に押付けているという非難が随分多いのでありますが、私共は民目的にやられるということで、結局日本放送協会番組を拵え、そして国会の承認を得て、経営委員会がその基本計画だけに参加することになつておりますが、そういう非難がないように先程の四十四條によつて規定されているようでありますけれども、これで十分に一般の民意が採入れられるという御確信をお持ちになつておるでしようか。
  28. 網島毅

    政府委員網島毅君) 放送番組、特に日本放送協会放送番組内容につきまして、国民各層各分野におきましていろいろな要望があると存ずるのでありまするが、それらを詳細にこの法律規定することは到底不可能と考えます。従いましてその中のこれらを集約いたしまして、最も重要であろうと思われる要件をここに拔書きしたのでございまして、これが将来協会が作るであろうところのラジオコード、或いは又経営委員会が審議決定されるでありましようところの番組の編成方針というものの基礎になると考えております。従いまして更に詳細に関しましては、全国地区から選ばれましたところの経営委員がそれぞれ公平な立場からそれを審議決定されるでありましようし、又この協会事業事業内容というようなものは逐次国会に報告されることになつております。従いまして国会にその報告が出て参つた場合において、国会からもいろいろ批判をつけることになるかと存ずるのであります。尚協会番組の編成に当りましては、広く国民各層の輿論を調査しなければならないということになつておりまして、国民が何を要望しておるかということを協会が常にそれを調ベて、番組の改善を図つて行くという責任が負わされておる次第でございます。
  29. 大隈信幸

    ○大隈信幸君 一つ飼いたいのですけれども、一般の民間放送が盛んになることは非常に望ましいことでありますが、使用いたしますところの電波の範囲とか、或いは現在一般国民が使用しております受信機の性能とか、或いは放送の機械設備といつた面から、非常な制限を受けると思いますけれども、実際問題として、近い将来に一般の民間放送がどれだけできる見通しがあるかどうか。そういうことを一つ説明を願いたいと思います。
  30. 網島毅

    政府委員網島毅君) この民間放送の出現に対しまして、果してこれに與えるところの波長があるかないかということにつきましては、国民の方々も非常に関心を持つておられることと存じます。御承知のように現在の日本放送協会は、全国放送電波を普及させるという目的を與えられましたために、全国に亘りまして約百局に近い放送局を建設、維持、運用しております。従いましてこれに使つておりますところの波長の数も相当夥しい数になつております。一方国際條約によりまして、放送、殊にこの中波放送に割当てられておるところの波長の幅は五百三十五キロサイクルから千六百五キロサイクルまででございまして、その数に限度がございます。従いまして今後の民間放送というものはこの波長の割当ということを考慮せずには、その計画を実現されるわけには行かないのでございますが、この日本放送協会相当局を持つておりますところの現在におきましても、これを合理的に再編成することによりまして、その波長を再編成することによりまして、尚民間放送としてこれを全国的に考えました場合に、三十局前後の放送局が割込み得るのではないかというふうに考えております。勿論この数は純技術的に、いわゆる混信の面を考慮いたしまして出した数字でございまして、今後できますところの電波監理委員会がどういう政策を以てこれを民間放送に対処して行くかということによりまして、この数が変つて来ることは当然でございます。只今申上げた数字はこれは全国的に民間放送ができるという場合を想定してのことでございますが、さて実際問題としてこれを考えまするならば、田舎の人口の稀薄な町には民間放送というものが今直ちにできるということは考えられません。この民間放送広告收入基盤としておりまする関係上、どうしてもこれは広告効果の多いところの都会に集中しておるということは当然でございます。現に約四十に近い民間放送の出願がございまするが、これらは殆んど東京とか大阪に集中しておるという状況でございます。  ところでこの一つの都市を中心として考えまする場合には、ここに電波電波の間の分離という問題が非常に重大になつて来るのでありまして、特に我が国におきまして現在普及されておりまするところのこの受信機は残念ながら他の国では見られないような程度の低いものであります。従いましてこの電波の分離性も非常に惡いんでありまして、これが今後放送局の数が制限される非常に大きなフアクターになつているということを非常に残念であります。併しながら我が国国民の経済状態からいたしましてこれらの受信機を一足跳びに改善するということは、これは不可能であります。従つてとにもかくにも第一歩として現在の受信機を一応対象として計画を進めなければならないということになるのでございまして、そうなつて参りますと、東京とか、大阪とかいう所には五つ、精々五つ、或いは技術的に相当な制限を加えまして六つという程度の放送局しか置けないということになるのであります。現在すでに東京、大阪にはそれぞれ第一、第二及び進駐軍放送と三つの放送がございまするからして、そう考えますると、ここに割込む余地は二つ、或いは非常な技術的考慮を拂つて三つということになるわけであります。従いまして差向きそう多くの民間放送ができるということは、これは技術的見地からいたしましても、これは不可能でございます。但し受信機が逐次改善されて参りまするならば、この放送局の設置し得る数は逐次増加して参るのでございまして、現にアメリカの一部市のごときは一つの町に放送局が十二も十三もあるという町はざらにございます。将来政府とそれから国民が一致協力いたしまして、できるだけ速やかにこの受信機の向上を図つて、更に多くの民間放送というものができて行くということを希つておる次第でございます。
  31. 大隈信幸

    ○大隈信幸君 そういたしますと、今のお話によつて東京なり、大阪なり、そういう所で二つ三つしか民間放送ができないとする場合に、今設立を希望しているのが相当、三十とか四十ある場合に、どういう標準によつてその設立を認めて行くか。そういつたような一定のもう基準というものができておられるのかどうか、その点の御説明をして頂きたい。
  32. 網島毅

    政府委員網島毅君) どういう出願者に対しまして無線局を許可するかという根本方針電波法に記載されておるのでございますが、その要点を申上げますると、その設備に対して電波の割当が可能であるかどうかという問題、それからその設備の局の出願者が財政的にしつかりしておるかどうかと、建設もさることながら、維持、運用するに足る十分な能力を持つておるかどうかという問題、又設備自体が條約或いは法規によつて定められておりまするところの技術基準に合致しておるかどうかというような問題の外に、電波監理委員会がその規則によつて定めますところの無線局の設置基準に合致しておるかどうかということを考慮いたしまして、これらの結果を総合して委員会において会議制によりまして最後の決定をするということになつておるのでございます。従いましてどういう基準のものが許可されるかどうかということは、この委員会が無線局の設置という問題に対しましてどういう基準を作るかどうかということにあるわけでありまして、勿論この基準は制定される前には公聽会を開きまして、一般の意見も聽いて決められることになつておりまするが、その基準を私共が今推測するということは非常に危險であろうと考えております。従いまして現在出願されておりまするところのいろいろな出願者のうちどういうものが許可されるであろうというようなことを申上げることは遺憾ながらできないのであります。
  33. 大隈信幸

    ○大隈信幸君 恵二放送民間放送の方に解放するという考えはありますか。
  34. 網島毅

    政府委員網島毅君) 今のところ政府はそういう考えを持つておりません。それは日本放送協会自体この第一放送、それから第二放送、この二つの系統によりまして、その與えられた使命を達成するというふうに考えまして、五ヶ年計画を作りまして、この第二放送計画を進めておるのでありますが、これらにつきましてはすでに協会においてそのプログラムその他に対する方針が決まつておりまして、今これを他に割くという余裕がございません。それから又これを強制的に日本放送協会から取上げて民間放送に渡すかどうかという問題でございまするが、これに対しましては、こういうやり方は民間放送の将来の発達のために必ずしも適当ではないというふうに私共考えております。その理由といたしまして、この第一放送設備と第二放送設備とは殆んど全部分離できないのでありまして、二つに分けることはできないのでありまして、その中に共通的にいろいろなものを使つております。従いましてこれの運用を完全に分けるということは技術的に困難な面があるばかりではなく、仮にそれを強行したといたしましても、日本放送協会において完全に設備そのものを掌握しておる、民間放送はその設備の一部を借りて放送するということになりますれば、民間放送とそれから日本放送協会との、この完全なお互にこ相対立して、お互いに切瑳琢磨して行く、お互いに競争し合つてプログラムの内容の改善を図つて行くということは非常に困難になると私共は見ております。従いましてそういうやり方をやるよりは、やはり民間放送は自分自身設備を持つて、外からの掣肘を一つも受けることなしに伸び伸びと自由にやつてつた方がいいのじやないかというふうに考えております。
  35. 田中耕太郎

    委員長代理(田中耕太郎君) 一つ極めて技術的な問題について伺いたいのですが、これは将来学者が日本放送協会の性格についていろいろ議論することがあるだろう、そういう場合を考えているわけでありますが、第八條に「協会は、前條の目的を達成するためにこの法律規定に基き設立される法人とする。」つまりこれは先程政府委員からの御説明にもありましたが、従来放送協会が民法第一編第二章の法人社団法人である。今度は性格が変つたというふうな御説明でありましたが、事実においてはこの法律によつて実質は変つたようにも考えられないのであります。要するにこの法人によつて日本放送協会が公法人になるわけじやない、やはり私法人である。私法人の中で会社じやない。つまり営利法人じやない、やはり公益法人である。そういうことになると、公益法人だとすれば社団法人か或いは財団法人かどつちかである。これは民法の法人でないことは第八條においてはつきりしておりますが、公益及び営利のいずれかに属するか、或いはどれにも属しないものかというようなことが問題になる。先程の御説明では財団法人にもあらず、社団法人にもあらず、そういう意味においても特別な法人だというふうな御説明があつたのですが、その点は若しそういう解釈が成立つとすると、外にそういうような法人の例があるかどうか、又学説上いろいろ問題を生ずる虞れがあるものですから、ちよつとお伺いいたしたいと思います。
  36. 野村義男

    政府委員(野村義男君) 只今の田中委員長からの御質問は非常に專門的な御質問でございますが、この法律を作るに当りまして、お話のようなこの法人の性格ということについては、非常に政府部内でも研究をいたしまして、如何なる方針であるかということでございましたが、端的に申上げますと、この法人はこの法律に基いた特殊な法人である。従つて従来の民法に基いた法人であるとか、或いは会社じやないというようなことを一時は書いたのでありますが、それも当然のことであるから止めた方がいい、こういうような趣旨で全部取つてしまいまして、この法律に基いた特殊の法人である、こういうふうに作つた次第であります。従いましてこの法律が特殊なものであるから、これと同じものを他の中から求めろということは非常に困難でありますが、強いて例を求めれば、日本国有鉄道、或いは日本專売公社、こういうようなものと同じようなものであるというふうに政府考えて、この法令なり或いは他の法令を必要なものは変えるということをしておる次第であります。
  37. 田中耕太郎

    委員長代理(田中耕太郎君) さつきちよつと申しましたように、実質においては聽取者関係その他について従来と変りはないんじやないか、従来聽取者社員ということになつてつたようです。それだから社団法人になつておるわけですが、今度は聽取者社員でなくて、後の方の條文にもあるように契約者にしておる。そうすると契約者になるから社員がなくなつてしまうから、私の疑問とするところは財団と言つていいんじやないか。それを財団にもあらず、社団にもあらず、そういう意味においても特別な法人だと言うと、解釈上将来疑義を生じやしないかということを慮つてつたわけです。
  38. 野村義男

    政府委員(野村義男君) お尋ねの点でございますが、現在放送協会社員、即ち公益社団法人であるところの放送協会社員というのは約六千人ばかりの加入社員がありまして、その人の醵金を以て公益社団法人を作つておる次第でありまして、聽取者というものは社員ではございません。聽取者は現在八百四十万ぐらいありまして、これがただ聽取者という立場であつて放送協会と契約をして聽取をするという立場にあるものでございまして、社員ではないのであります。従いまして今度できる法人は、その協会の六千人から成つておる人の財産を継承いたしまして、新らしい法人となつて性格を変えて行く、こういう次第であります。
  39. 田中耕太郎

    委員長代理(田中耕太郎君) 聽取者関係ははつきり分りました。それでそうなると、社員がなくなれば依然としてやはり財団と言つてなぜ惡いかという問題であります。その点如何ですか。
  40. 野村義男

    政府委員(野村義男君) この新らしい法人は現在の日本放送協会社員が継承いたしまして、法人を継承するわけでありますが、その立場は財産だけが主体というわけではないので、この法人によつて作りますところの議決機関として経営委員会執行機関として会長その他の理事を以て送織せられまして、議決機関執行機関各々あり、更にそれに加うるに財産を持つておる。監督面においては財団的な性格もありますが、これも特殊なものであつて、財団とまで言い切るわけには行かんというふうに考えております。
  41. 田中耕太郎

    委員長代理(田中耕太郎君) 議決権、執行機関があるということは財団たるに妨げないのみならず、財団法人においても理事あり、評議委員会ある、その外の執行関機があるわけです。これは私立学校法についても同じことです。でありますから、財団でないと言い切るわけには行かないのじやないか。その点は少し政府側の答弁がはつきりしすぎていたので、財団にもあらず、社団にもあらず、特別な法人だということになると、将来学者がこれを説明するのに非常に困りはしないか、やはり学理的に立入つて説明をしなければならんですから、特殊なもの、第三のものは実は法人論としてはなかなかあり得ないわけです。そういう点が問題になるのです。そこで定款ということになると、規則が定款という名称を附けられております。これは社団法人について従来定款という言葉を使つておるわけであります。そういう点もやはり問題になつて来はしないか。併しこれは法律技術的、又理論的な問題でありますから、ただこういう点が問題になつたということだけにいたして、私の質問は打切りたいと思います。
  42. 小林勝馬

    ○小林勝馬君 大体文部委員側の御質疑も終了したようでございますから、連合委員会はこれで打切つて頂きたい動議を提出いたします。
  43. 田中耕太郎

    委員長代理(田中耕太郎君) 如何でございますか。小林委員の動議に御異議ございませんか。    〔「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 田中耕太郎

    委員長代理(田中耕太郎君) それでは御異議ないものと認めます。それでは合同審議会はこれで閉会いたします。    午後三時五十九分散会  出席者は左の通り。   電気通信委員    委員長     松野 喜内君    理事           橋本萬右衞門君            小林 勝馬君    委員            大島 定吉君            新谷寅三郎君   文部委員    委員長     田中耕太郎君    理事            若木 勝藏君            木内キヤウ君            藤田 芳雄君    委員            大隈 信幸君            梅原 眞隆君            堀越 儀郎君            山本 勇造君            岩間 正男君            鈴木 憲一君   政府委員    電気通信政務    次官     尾形六郎兵衞君    電波監理長官  網島  毅君    電気通信事務官    (電波庁法規経    済部長)    野村 義男君