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1950-04-28 第7回国会 参議院 通商産業委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月二十八日(金曜日)    午後三時三十三分開会   —————————————   委員長補欠 四月二十八日高橋啓委員長辞任につ き、その補欠として深川榮左エ門君を 議長において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○滅失鉱業原簿調整等臨時措置法案  (内閣送付) ○臨時石炭鉱業管理法廃止に関する  法律案衆議院提出)   —————————————
  2. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) それでは只今から開会いたします。  先ず滅失鉱業原簿調製等臨時措置法案につきまして、政府提案理由の御説明を伺いたいと思います。
  3. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 只今議題となりました滅失鉱業原簿調製等臨時措置法案につきまして、その提案理由を御説明します。  過般の戰災によりまして、昭和二十年六月十九日に旧九州地方鉱山局に保管しておりました鉱業原簿砂鉱原簿鉱業に関する願書等の全部が、昭和二十年七月十日に旧東北地方鉱山局に保管しておりましたそれらの一部がおのおの減失したのでありまして、その数は鉱区の数で約一万二百、鉱業に関する願書等で約三千百と推定せられるのであります。よつて政府といたしましては、滅失した鉱業原簿及び砂鉱原簿については鉱業登録令第七條の規定によりまして昭和二十年九月一日商工省令第一号を似て「議失鉱業原簿調製規則」を、同二号を以つて「減失したる砂鉱原簿調製に関する件」をおのおの公布して以来鋭意調製に努めまして現在までに約六十五%の調製を見たのでありますが、その残余につきましては、官庁側は勿論、鉱業権者側におきましても証拠資料が乏しいために殆んど調製の見込が立たないのであります。  又滅失しました鉱業に関する願書等については、行政上の措置としまして、新聞ラヂオ等報導機関を通じて再提出するよう周知方に努めたのでありましたが、再提出数は約二〇%に過ぎないのであります。  大体以上のような実情でありまして、かような不安な状態をこのまま放置しておくことは、鉱業基本となる鉱業権が不確定であり、又鉱業に関する出願の効力も不明確であるために、鉱業の実施について種々の支障があるとともに、他の一般鉱業出願につきましても適正な処分が不可能な状態にあるのであります。  このように不明確となつ鉱業又は砂鉱業に関する権利関係を確定することを目的としまして、この法律案を立案した次第であります。  この法律案の要点を申し上げますと、第一には、滅失した鉱業原簿調製又は鉱業に関する願書等につきましては、原則として申請によつて処理することとしたのであります。滅失した鉱業原簿調製につきましては、その滅失原因がたとえ不可抗力的なものでありましても、その本来の性格からしますれば、所轄官庁がそれを調製して、その調製について不服のある者のある場合に限つてその者に対して救済の途を拓くという法の構想が望ましいのでありますが、すでに申し述べました通り官庁側調製についての資料がないために止むを得ず採つた措置なのであります、従つて第二には、権利関係を確定するために、一定の期間内に申請をしない者の当該権利原則として消滅せしめることとしたのであります。  第三には、申請の事実が確認できないときは、通商産業局長は、これを却下することができることとし、この場合には、当該申請人利害関係人に出頭を求めて公開による聽聞を行い、これらの者から証拠を提示し、又は意見を述べる機会を與えることとしたのであります。  第四には、却下処分又は調製した鉱業原簿登録事項につきまして不服のある者は、通商産業大臣に、異議申立をすることができることとしたのであります。この場合にも、却下の場合と同様に聽聞を行いましてその結果によつて異議申立についての決定を行うこととしたのであります。  第五には、経過規定といたしまして、昭和二十年商工省令第一号「滅失鉱業原簿調製規則」及び同二号「滅失したる砂鉱原簿調製に関する件」の規定によりまして、すでに調製申請をし、又それによつて調製されている鉱業原簿又は砂鉱原簿につきましては、すベてこの法律によつてしたものと見なしたことであります。  以上申し述べた與ような方法によつて鉱業又は砂鉱業に関する不明確となつている基本的な権利関係確定いたしまして、今後は明確な基礎の上に立つて鉱業を実施し、又は鉱業に関する出願等の処理をすることができるようにして鉱業の円滑な発展に資したいと考えている次第であります。  何とぞ愼重御審議の上可決されんことを希望いたします。
  4. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) お諮りいたします。本件に関する質疑は次回に護りたいと思いますが、如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 御異議なしと認めます。   —————————————
  6. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) それでは次に臨時石炭鉱業管理法廃止に関する法律案につきまして、御質疑がごいましたら御発言をお願いいたします。
  7. 下條恭兵

    下條恭兵君 提案者に二三お尋ねいたしたいと思いますが、先ず第一番に私お尋ねいたしたいのは、提案者におかれましては、現在すでに石炭国際価格即ちアメリカ石炭価格なんかに比べますと、同じくらいのカロリーのものであつて、五割を超える程も日本炭価が高いという問題が、これは日本産業国際競争の上にも非常に大きな影響になつておると考えられるのでありますが、而もこれは補給金政策も撤廃されて、そしてこの石炭基礎資材とするいろいろな産業に大きな障害を与えておるわけでありますけれども、こういう問題、並びに将来開らん炭とか或いは撫順炭とかいうものが輸入せられるというような場合における日本石炭鉱業の在り方というものに対して、どういうお考でこの法案廃止を立案されたか、先ずこの点をお尋ねして置きます。
  8. 神田博

    衆議院議員神田博君) 只今下條さんから、我が国石炭が非常に炭価が高い、特に国際水準に比べまして高くなつておるので、我が国の再建に非常な支障を来たしておる。又輸入炭が入つて参りました場合に、どういうように日本石炭影響が出るか、こういうような御趣旨の御質問のように伺いましたので、お答え申上げます。我が国炭価が非常に高い、又国際水準に比べましても高く、我が国一般産業、特に基本産業に与えております影響が極あて甚大なものがありまして、我々といたしましてもこの点につきましては非常に遺憾に思つておる次第であります。低品位炭関係におきましては、これは合理化されたと申しましようか、需要公給関係と申しましようか、とにかく統制撤廃後非常な値下りを見ておりますが、高品位炭がむしろ上るというような傾向を持つておる。そこで、これは補給金廃止その他の事情にもよるのでありますが、何とかして炭価引下げをして我が国基本産業等に特にいい影響を与えたいというような私共念願でありまして、これらをどういうような裏付けを以て設置するかということに帰するだろうと思うのであります。御承知のように炭価の高騰いたしました最近の原因といたしましては、運賃の値上りであるとか、或いは電力の値上げによります影響が極めて大きいのでございまして、これらの問題が急速に是正されるというようなふうには考えられないのでありまして、炭価引下げ專ら石炭業合理化を図る以外にはどうも手がないのじやないか、これを能率を高めて行くと同時に諸掛りの経費を省くような仕組に持つて参らなければならない。終戰後一時非常に低下いたしました出炭能率も、最近におきましては相当回復して参りまして、年間九十四トンというような一人当り採炭成績拳げておるのでありますが、これを将来は百七十トンくらいまで引上げなかつたならば、国際的ないわゆる一人当り採決量というものには相成り難いのでありまして、どうしてもこれは石炭鉱業機敏化というものを図らなければならないのではないか、御承知のように、先般来大分アメリカ等石炭鉱業を視察いたしまして、又モデルの機械等も入れまして、鉱山機械化を目下実施しておるような状況でございますが、これは急速には、今申上げましたように能率を確保するということは容易でないと思いますが、ここに数年来辿つて参りました経路を見ましても、今後今申し述べましたような方同等によりまして、又従業員練度向上等と伴いまして、相当一人当り採炭量が増加して行くのじやないか、そこで炭価引下げが生まれて来るのではないか。尚又最近におきましては、海上運賃自由競争になりますので、二割乃至三割は下るというような傾向もございますが、陸上運賃につきましては、小口運賃については下る傾向がありますが、国鉄等につきましては、まだ困難でございますことは、御承知通りと思います。そこでかような際に、開らん炭とか外国炭の圧迫についてどういう措置を取るかという問題でございますが、これはなかなか重要なことでございまして、尤も今の開らん炭がどういうように入つて来るか、政府の方でも若干期待はしておるのでありますが、事実問題としては、尚量的には乏しいようでございます。併し我が国高品位炭はどうしても海外に求めるということが、戰前から石炭賦存状態によつて制約を受けておることでございますから、止むを得ないと存じますが、できるだけ我が国高品位炭増産を図り、又経営合理化によりまして炭価の切下げを成功させたいと、かように考えております。
  9. 下條恭兵

    下條恭兵君 只今神田さんのお話を伺つておりますと、少し私は矛盾があるように思うのです。というのは、今高品位炭の生産の向上を図る、そうして輸入に対抗させるという御説明があつたわけでありますけれども、一方に輸入については、運賃も段々下つて来るし、輸入原価はますます下つて来るという御説明もあつたわけなんで、そうして私のお尋ねするのは、そういう場合の日本石炭鉱業がどうなるか、どういう見通しであるかという点をお尋ねしたのでありますが、私のお尋ねした点ではなくて、むしろそのお尋ねした点に対する状況説明だけは頂いたわけだと思いますが、その場合の日本石炭鉱業がどういう姿になるかということに対しては、御説明がなかつたように思いますので、この点を一つお伺いしたいと思います。
  10. 神田博

    衆議院議員神田博君) 外国炭の入つて参りますことは、これはもう戰前もやはり入つておりましたわけでありまして、日太一石炭賦存状態、又品位関係から考えまして、日本需要を充たすということは至難であるということは一般状況から見て言われておるわけでありますが、併しながら、その中でもできるだけ増産して輸入炭を少くすると、こういう措置を探らなければならないのではないか。今私が海上運賃のことを申上げたのでございすが、これは内国航路のことを申上げたのでありまして、まあ開らん炭天津航路から日本へというと、非常に近い距離でございますので、どこの船でやるかということによつて非常に違うとは思いますが、石炭の高いのを引下げるという意味から言いますれば、経営合理化をして、今の採掘方法を特に機械化するということが炭価引下げの一番重要なポイントではないかとこういうふうに考えております。
  11. 下條恭兵

    下條恭兵君 私が心配いたしますのは、こうして石炭鉱業を全く自由競争の中に投げ出すのは、大変結構であるという見方も多いと思いますが、曾て私の聞くところによれば、撫順炭が入つて来たために北九州炭鉱が悉く壊滅状態に瀕したことがあるということも聞いておりまするので、近い将来にそういう状況が起るようなことがないかどうかという見通しに対して、どのような見通しを持つておられるかということであります。つまり私共の考えまするのに、いまいろいろ問題になつておりますが、中共貿易が復活したら、従つて満州からも何か取らなければならんということになると、結局石炭なんかが……向うの状況は私知りませんけれども、将来経済が回復したならは撫順炭なんかが、自由党の提唱しておられる自由経済を押し進めて行くならば沢山入つて来ることになりはしないかということを考えますので、そういう場合に北九州、或いは山口県のような非常に坑道の長くなつたような、幾ら機械化してもやつぱりコストを下げにくいような状況にある日本石炭鉱業が、どうなるだろうかということに対するお見通しの点をお尋ねしているのです。
  12. 神田博

    衆議院議員神田博君) 下條さんの御心配誠に私共も一脈相通じておるのでありますが、ただ併し私共の乏しい資料でありますが、中国におきまして果して、この治安が維持されて、多量に輸出できるような状態になるかどうかということにつきましては、相当の疑問を持つておるわけでありまして、そこで治安が、中共治安が快復し、又同時に経済力が出て参りまして、そうした状態に来る前にこの際業者自主性というものを活かしまして能率をよくして置くことが他日に備える途ではないかと、こういうふうな意味に考えております。
  13. 下條恭兵

    下條恭兵君 顧みますると三年前に、神田委員は当時非常に国管案の反対に努力されて、本会議場から退場を命ぜられたような光景もまだはつきり思い出されるわけであります。そこで当時の関係者の一人としてお尋ねするわけでありますけれど、当時の公聽会その他でいわゆる経営者の御意見も我々たびたび聽いておつたのでありますが、その結論としまして、当時においては新坑の開発は、とても現在の炭鉱会社では不可能である。だから国営で何でもやつてくれという希望が挙つてつたように記憶しておるのであります。今自主性を持たして機械化なり、新坑の開発なりをして、そうして将来の国際競争にも立ち向えるようにするとこういう話でありますが、その後まあいろいろ日本経済界事情も変りましたし、現在炭鉱会社自力でどんどん炭鉱開発ができるような力がついておるかどうか、そこのところは私分りませんから何とも言えませんが、提案者においては新鉱の開発やら国際競争に打ち勝てる程の高度の機械化がここ数年のうちに各炭鉱独自の力で、できるものという見通しを持つておられるのかどうかという点をお尋ねしておきます。
  14. 神田博

    衆議院議員神田博君) お答え申上げます。炭鉱業者自力で十分な機械化をここ数年の間にできるか、或いは又新坑の特に開発等について、そういうふうに考えておるかどうかという御趣旨でございました。私共やはりその点につきましては、かように考えておるのであります。石炭がとにかく我が国資源といたしまして非常な高度の地位を占めておりますことは私が申上げますまでもないわけでありますが、日本地下資源としての石炭埋蔵量調査等昭和六年以来実施されておらない。そこでこういうようなことはやはり政府がやるべきものではないか。そこまでは到底業者が行い得ない。そこで石炭鉱業に対します大きな角度から地下資源調査であるとか、或いは又今のお尋ねのございました新坑の大規模の開発というような点について助成の必要があるというような点等につきましては、我々といたしましても十分実は今考えておる際でありましてなんらかこの石炭鉱業に対しますところの新しい立法をしてみたいと、目下構想を練つておるような次第でございまして、石炭業の今日の段階におきまして埋蔵量調査する、或いは新坑を大々的に開発する、そういう能力をすべてが持つておるかというようなことにつきましては悲観的に考えております。どうしてもこれは政府といたしまして恒久的な立場から、又資源有効開発使用等に関しまして何か立法が必要である。併しこれらについてに十分まだ御説明申上げるようなまとまつたところまで行つていないとこういうふうに考えております。
  15. 下條恭兵

    下條恭兵君 会期も切迫しましたし、私共は新聞の上では吉田内閣の手において近く国管案廃止されるであろうというような情報は前から窺い知つてつたわけでありますけれども、会期末非常に切迫した折になつてからこの廃止法案が出て参りましたので、実は私只今お尋ねしたような点についての措置がどうされるのであろうか、こういう点を窃かに心配しておつたわけでありますが、只今から準備なさるということでございますので、その点はまあそういうふうに伺つて置くことにいたしますが、そこで私は重ねて神田委員長代理お尋ねいたしますが、一行の廃止法律案でも簡單に国会の手で作ることも、廃止することもできない占領下状況におきまして、どうして先程私が申上げるように会期末もあと余日ない折になつてから、そういう重要な、日本石炭鉱業の将来にとつて非常に重要な問題を未解決のままでこの廃止だけをおやりになることに、御提出になることになつたのか、そうしてそういう必要がどこにおありなのか。この提案理由の中にもはつきりないように思いますので、この点を一つお尋ねしたいと思います。
  16. 神田博

    衆議院議員神田博君) 下條さんから、非常に会期切迫の折から重要法案廃止を提案されておるが、真意奈辺にあるかというようなことでお聞きしたわけでありますが、この国管法廃止につきましては吉田内閣といたしましても、又私共自由党に席を置く立場からいたしましても、組閣以来この廃止の研究を続けて参つております。御承知のようにこの臨時石炭国管法臨時立法でございまして、三年の期限でございますが、片山内閣が作りましたが、実際にこの国管施行したのは二年間の間、芦田内閣が半年、吉田内閣が一年半というようなことに相成つておりまして、この法律の狙つております石炭緊急増産というものは、昨年の上半期においてその目的を大体達しておる。需給状態から考えましても、又計画目標の四千二百万確保の上から考えましても、大体この法律の狙つておる点は、もう使命が終つておる。吉田内閣一年有半のこの施行経過に鑑みまして、この法律がすでに使命が終つておる。そこで廃止をしたいということであつたのでありますが、御承知のようにもつと早く出したかつたのでありますが、通商産業大臣がたひたび変つたような関係もございまして、その間多少の連絡も不十分な点があつたと思います。併し党の考、又これは政府立場からお答えがあると思いますが、私共連絡会議等におきましても一貫した考え方でございまして、ただ取扱上今申上げたように短かい期間なつたということでございまして、この点は一つ惡しからず御了承を願いたいと思うのでありますが、非常に長い間この廃止については研究いたしまして、支障ない、こういうような見地から御審議願つておる次第でございます。
  17. 下條恭兵

    下條恭兵君 廃止して支障がないとおつしやるのでありますが、併し先程の御答弁では何か将来の、私がお尋ねしたような点について、例えば新坑開発なり、高度の機械化なりに対して何か保護する方策の立法が必要だと、こういうことをおつしやつておるのでありますから、この法案が、それは法案目的としては緊急増産のための臨時立法ということになつておることは御指摘の通りでありますけれども、この管理法がありますために、成る程度のそういう保護施策はその法律の下に私は可能であると考えておるのでございますが、而もそれを片方廃止して、そういう手を打てば、政府で打てる法律があるのを、特に廃止して、その代案は現在準備中だということであると、これは将来の何かの場合に実現の不可能な場合になると、日本石炭鉱業の将来に対して非常に惡い影響が起きるのじやないか、こういうことを私は心配してお尋ねしたのでありすが、そういう点に対しての御意見をお伺いいたします。
  18. 神田博

    衆議院議員神田博君) この法律施行経過を見ましても、只今下條さんのお述べになられたようなことは、政府としてもやつてつておりません。なぜやらないかということになりますれば、その必要がまだなかつたということでやらなかつただろうと思います。それで私共が先程来申しました我が国石炭が非常な重要資源であり、これ又開発すればなくなる資源でありますので、この資源の十分な調査、又この開発の問題、或いは又合理化の問題、こういうような大きなこと又恒久的な点でありますので、これらは今日石炭業者としてなし得ない点であると同時に、国といたしましても亦、黙過できない問題であるのであります。その臨時立法に拘らないで、もつと高い立場から、広い視野から十分練りまして、そうしてその成果に基きまして十分な立法をしたい、こういう意味お答え申上げておるわけでありまして、さようなことであれば、この法案を十分生かすという考え方も一応私共も納得いくのでありますが、私の申上げておりますことは、もつともつと高い立場、広い視野からこの資源一つ十分研究して参りたい。そこに又十分その規定を挿入したよい立法をしたい、こういうふうに考えますと、この廃止法と新しい立法とを一緒に関連して考える必要はないじやないか、又ゆつくり考えても遅くないという意味で申上げておるわけではないのでありますが、捉われないで行きたい、こういう趣旨に御了承願いたいと思います。
  19. 下條恭兵

    下條恭兵君 私は実は今日一時からの開会思つて、それから外出しておつたものですから、資料を置いて参りまして、何ですから、今日は私の質問はこれで打切りまして、又次の機会にさして頂きたいと思います。
  20. 島清

    島清君 私は非常におおまかな政治的な面でお聽きしたいのでございますが、只今下條君の御発言お答えをなさいました、神田さんのお言葉の中には、自由党公約をして来た政策であるというようなことがあつたのでございますが、勿論自由党さんにおかれましては公約をされたことでございますからして、廃止をされたい気持はよく分るるでございますが、併しながら石炭増産理由提案者の方はいわゆる九原則に求めておられるのでございますが、私達は増産理由をこり炭管法に求めておるのであります。これに神田さんも一面肯定されておるようでございますが、併し私達はどうしてもこの安本などの計画に基きますところの石炭需要量にはまだ達していないのじやないか、そういう意味からいたしまするならば、まだ炭管法が必要ではなかろうかと、こう考えておるのでございますが、併しながら増産理由を、九原則に求められておりますところの神田さんと、炭管法にその理由を求めておりまする我々とは、これは論争の種になりまするので、平行線であろうかと存じまするが、ただ自由党公約をした政策であるから、これを僅かな期限も待ち切れないで廃止したいのだというよなお考がこの廃止法案の中に思想として織り込まれておるといたしまするならば、私はお聽きしたいのは、要するに、イギリスあたり政策を見てみましても、労働党のやつて参りましたところの政策につきましては、保守党の方もこれを継承して行くというようなことを探つておるのでありまして、労働党政策保守党イーデンあたりのお考とそう大差ないと言われておるのでございますが、私は社会党がやつたのであるからして、自由党政権下においてはこれを廃止しなければならないというような考え方が潜んでおるといたしまするならば、結局はこれは自由党がやつた政策社会党政権を担当した場合には、それをぶちこわして行く、又社会党政権を取つてやりましたところの政策はよかれあしかれ、これを自由党さんの方が破壊して行くというような考え方でありまするならば、これは結局はドロンゲームに終つてしまいまして、社会の進歩発達というものは期待できないと思うのであります。ですから私は、そういう大前提の下に立ちまして、果して全面的に、神田さんがこの自由党政策公約にのみ捉われて廃止するのだということが、そういう意味ではなくして、その提案したのだということがはつきりと言明できるかどうか、そういうようなことについてちよつとお聽きしたいのです。
  21. 神田博

    衆議院議員神田博君) 只今島さんから公約に基いておるので止めるというようなことがあつては、これは社会党自由党との基本的だ考え方、基盤としておるところが異なつておるから、内閣の相互の異動毎にドロンゲームになつてしまつて国家国民が非常に不幸ではないかというお尋ねでありました。その点については私共も思を向うしております。そこでこの炭管法廃止の問題でありますが、私もこれは先程公約に基いておるということを申上げましたことは、下條さんから突如として出したのではないかというようなお言葉がございましたものですから、そこで突如として出したのではないと、公約にもございましすければ、同時に又一年有牛に亘つてこの法律施行して来た、三年間の法律施行期間なつこおる、二年間の実施中、この一年余というのはこの内閣が実行して来たではないか、そこで今日この法律が遂げました立法目的が失われておる、そこで止めたいと……私兵は法律は必要によつてやはり作られるベきものであつて、その使命が終つたならば廃止して行きたい。その心情は淡々とした気持で行なつて行きたい、こういう意味に考えておりますので、廃止当りましても、この立法が十分将来に向つて尚必要とするものでありますならば、如何なる内閣が作つたにいたしましもこれは尊重し、十分実施して参ることは当然でありますが、この法が必要なくなつて、実施の経験に徴しての必要がなくたつた、今日の段階においては必要としない、こういうふうに考えておりますので、そこで廃止法案を提案したと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  22. 島清

    島清君 安本の方からでございまするが、頂きましたところの資料の中には五ヶ年計画でございましたかしらん、この計画の中に確か二十六年度でございますか、四千七百万トンでございますか、石炭はその需要量相当に見積つておるようでございまするがこれは炭管法というのを前提として立てられた計画だと思うのでございまするが、この炭管法というのは廃止いたしましても果して日本産業が要求いたしますところのこの四千七百万トンでございますが、これを達成するだけの見通しと確信を持てなされた提案であつたかどうか。それをちよつとお聽きしたい。
  23. 神田博

    衆議院議員神田博君) 安本の計画は、私の承知しておりますところによりますと綜合計画でございまして、鉄がどういう場合、或は肥料がどういう場合、その他各般の産業がこういう状態であつた場合において、石炭がこういう状態、また石炭がこういう状態であれば鉄がこういうふうに、或いは、肥料が、その他の産業がこういうふうにと立てられているように聞いております。安本の目標は、日本の再建にこういうような一つ考え方を持つて処するという希望的な、これは、何と申しましようか、公にされた……希望を公にされたというように考えておりますが、御承知のように日本の今日の段階では世界の経済とも関連して参つております。また特に大きな面では貿易と関連して参るわけでありまして、これがすべて基本となつて石炭の出炭量も決まつて行くわけでありますので、今日の我国の段階におきましては、需要と供給の面を考えますれば、どちらかと言えば一部の銘柄を除いては石炭は飽和状態になつている、この際企業の合理化を十分行なつて、そうして直ちに備えなければならない、産業の有効需要が殖えて参りましても、まだ余裕があるとこういうふうに考えておりますので、廃止の時期が熟したのではないかと考えておる次第でございます。
  24. 玉置吉之丞

    ○玉置吉之丞君 この法案廃止によりまして石炭局その他の廃統合等が行われることは当然でありまするが、それによつて大体一ヶ年どのくらいの通産省の石炭関係の役人の費用が軽減されるのですか、お分りになりましようか。
  25. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) 二十三年度四年度、この両年度におきまして国管法施行関係の予算が合計で一億一千万円と計算されております。但しこれは全部使用しておりませんで、例えばそのうちで五千万円は損失補償の予算でおざいまするが、これは全然支出もございません。そういう点は別といたしますと、一億一千万円の予算は今後は要らなくなる、こういうことになります。
  26. 玉置吉之丞

    ○玉置吉之丞君 私共は当初からこの炭管問題につきましては反対をいたしておつたのでありますが、今もそういう所信を持つておるのであります。今日大体緊急増産という目的が達成されて、石炭も大体において飽和状態なつた今日、早急にこういつた法案廃止されるのが当然であると思うのでありますが、これを廃止することによつて業者が非常に煩瑣な政府の監督から免かれて喜んでいるもののように思つておりますが、そういう点について何か、提案者に伺いたいのですが、当業者の輿論というか、当業者の声というものについてお聞きになつておしますか、その点についてお伺いしたい。
  27. 神田博

    衆議院議員神田博君) 只今玉置委員から本法の廃止について当業者はどういうような考を持つておるかというような意味お尋ねのように承つたのでありますが、この国管法廃止したいということで、本当に具体的に考えましたのは昨年の七月下旬でございまして、九月の十六日に配炭公団を廃止して石炭の統制を解除すると同時に石炭価格の統制を解除しようというときに、初めてこの国管法廃止の時機が熟して来たというふうに考えたのでありますが、その際の業者考え方は、あの配炭公団の廃止と同時に国管法廃止してくれという強い要望でございまして、その理由とするところは、今日の配炭公団の組織を以つてしては良質な石炭を生産する、掘り出すということはなかなかむずかしい、配炭公団が全国で受入態勢を取つておるのでありますが、そのやり方が非常に官庁化してしまつたことと、それからプール計算をしておつた関係上、業者の意欲が十分に現われておらないために、もう良質炭を掘つたようなことに相成つておらないために、どうしても炭質を上げることが必要であると同時に、能率を上げて経営合理化をしなければならない、又そういうことになりますと、今のような一連の統制を解除して頂くと同時に、国管法も併せて廃止して頂いて、煩瑣な行政上の手続を解除して貰いたい、当初の間は資金なり資材なり、いろいろな労働等の面におきましても政府にお縋りする希望を持つてつたのでありますが、この国管法の最も業者として不満としておりましたことは、資材等については割当等によりまして相当のことはできたわけでありますが、資金の面におきましては経済原則の結果政府においても十分見ることはできない状態になつて、煩瑣な手続だけが残つておる、どうしても石炭の行政を変えると共にこの法律廃止してくれということがずつと前から申されておりまして、この法律廃止当りましても、業界といたしましても、全面的に一日も早く通過さして貰いたいと、こういうような要望を聞いております。
  28. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 いろいろ尋ねたいのでありまするが、順次申上げますが、これは主として政府側に尋ねることになるかも知らんと思いますが、提案者に御説明を求めなければならないときには又申上げて貰います。私は石炭行政というのは、これは政府がおやりになることと思うのであります。或いは臨時石炭鉱業管理法増産を図るか、或いはこれを廃止するかという問題にしても、政府の責任と思うのでありますが、議員提出法案で出て来たのであります。政府としては責任逃れであると考えますし、自由党内閣であるから自由党の議員が出すのは構わんとおつしやるかも知れませんが、行政の責任の所在から考えまして、当然政府が立案せらるべきだと思うのでありますが、議員提出で出て参りました理由について承りたい。
  29. 神田博

    衆議院議員神田博君) 只今吉田さんの御質問につきまして、私より一応お答え申上げまして、又政府側から、その要望がございましたらお答えいたしますつという前提で私、お答えいたします。只今本法は政府の責任において廃止すべきものであつて、議員提出でやるということはおかしいじやないかというような意味のように承つたのでありますが、私共実はこの新憲法の下におきましては、法律案はできるだけこれは立法府が提案すべきものである。立法府も併しながら、御承知のように予算の関係或いは人手の関係、いろいろの事情でなし得ない場合があるわけでありまして、さような場合は勿論政府で出すべきものと考えております。又煩瑣な手続要するようなものでありますならば、これは政府側において当然出して頂く以外に手はないと思いますが、この石炭鉱業管理法廃止はもう一般に常識化しているようにも私共考えておりますし、むつかしい立法でもございませんので、新しい憲法下におきまして議会立法、議院立法が強調されておりますので、その原則に副いまして、我々の方で一つ出そう、ついてはこれは行政上に非常な関係がございますので政府側とは十分連絡の上、準備をいたしまして、そして提案をいたしました、こういうふうに考えております。
  30. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 政府の方ではそれ以上附け加えることはありませんか。
  31. 宮幡靖

    政府委員(宮幡靖君) 提案者の御説明通りだと考えております。尚御承知通り、来年三月三十一日で一応延長の御決議がない限りは廃止になる法律案でありますが、その時期につきまして国会の方でお考を頂いた場合に、もとより行政の立場にあります我々とたしましては、その必要を感じておらなかつたのであります。皆さんの御意見と完全に同調いたしたわけであります。
  32. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 これはそういう点について、今の御答弁について、実質的に議論があるのだから、ここで議論はいたしませんけれども、神田委員長代理が言われますように、この炭管法廃止は常識になつておる、或いは法は必要でなくなつておるという、こういうようなお話でありますが、それぞれについて私共はそうではないと考えておるのであります。先程委員の質問に、業者も挙げてこれを望んでおるというようなお話でありましたが、それらの点につきましても、曾て国管案に反対しました中小石炭業者が、昨年九月配炭公団廃止の際には、労働組合と一緒に、同じ方法で以て廃止反対を示したことは、御記憶に残つておることと思います。現在でもこれは、炭鉱関係の中小炭鉱をやつております自由党の議員の諸君の中にも、恐らく反対があるだろうと考えております。それらのことにつきましては議論を申上げませんが、私は先程の答弁の中にありました、用がなくつてこれを廃止するという点は明かになつておりますが、石炭行政として何にも次に用意するものがない、或いは見通しがなく、ここに廃止されようとしている、こういう点について尋ねて参りたいと思うのでありますが、一頃新聞に出ておりましたのは、石炭事業法であつたかと思うのでありますが、現に石炭庁において石炭鉱業安定法というようなものが考えられておつたように聞くのであります。これは炭管法廃止の具体的な研究がなされておるかどうかという点について、私この法案が出て参ります前に研究をしたのでありますが、その石炭鉱業安定法の中には大体四点入つておるように思うのでありますが、生産の確保と調整、品質、技術の向上、設備改善に関する勧告をなし得るというのが一点、それから開発資金の公給のための金融措置を講ずるという点、それから災害共助のための補償制度を設ける、四は、石炭行政の民主的運営のための審議会を作る、こういう大体四つの項目がその主を成しているように思うのでありますが、この石炭鉱業安定法、これは勿論、草案で、日の目を見なかつたのでありますが、その当否は別としましても、その項目については、これは十分考えなければならんものを持つていると思います。これらの問題について何らの対策を立てず、考えず、そうして国管法をここに突如廃止するという態度に出られます理由について承りたいと思います。
  33. 神田博

    衆議院議員神田博君) 私からお答え申上げまして、又政府側からもお答えがあると思いますが、先程実は私言葉が足らなかつたのでございまして、附加えたいと思いますが、常識となつておることは、私共の仲間で常識となつているということでございまして、全部の常識という意味で申上げたのではないのでありまして、我々党といたしまして、政府といたしましても前々からの考であつたという意味でございます。さよう御了承願いたいと思います。  もう一点、中小炭鉱統制撤廃に反対し、或いは国管法廃止に反対しているというようなふうにお聞きしたのでありますが、私共の承知しております点につきましては、統制に中小炭鉱は賛成したというふうには考えておりませんので、統制解除後の措置につきまして、いろいろ要望がございまして、その措置を十分するようにということでございましたが、諸般の事情で中小炭鉱に対しまして統制撤廃後の処直が十分であつたというふうには私共お答えできませんので、むしろ不十分の点が相当つたというように考えて遺憾に思つております。それからこの国管法と中小炭鉱の問題になりますと、又小炭鉱の場合はこの法律とは殆んど関係がないのであります。中炭鉱でも関係があることは極く少い、一、二、或いは僅かの点だと思いますが、指定炭鉱、管理炭鉱はすべて大炭鉱が対象になつておりまして、年五万トン以上というようなふうに言つてつたのでありますが、そういうわけでありまして、中小炭鉱を対象にして臨時立法はしたものではない、又当時の議会の審議を顧みましても、中小炭鉱については、これを適用しない、管理炭鉱、指定炭鉱は大炭鉱を対象にしておるというようなことになつておりますので、この点は中小炭鉱からはその後もどうこう、指定炭鉱に入れてくれ、管理炭鉱にして貰いたいというような要望はなかつたのであります。政府側においてもこれを考えていなかつたことでありますので、お答え申上げます。尚その他廃止の時期等につきまして、今いいかどうかということにつきまして、私共の考と吉田さんのお考は違つておるようでございますが、私共が考えでおりますことは、先程来申上げ、又提案理由の中に述べておりましたように、今日の段階におきまして、国管をしてまで石炭行政を政府が干渉しなくても、一般の需給関係に任した方がむしろいいのではないか、その理由一つをもつと掘り下げて考えますれば、政府が余りに石炭鉱業に干渉し過ぎておるために、今日むしろ石炭鉱業が迷惑をしておる、まるで道楽息子扱いにしてしまつて炭住等に対しても百五十億というような厖大な融資をやつておるのでありまして、今日炭住ががら空きになつておる、そこでこれらの償還にむしろ石炭鉱業は悩んでおる、政府の行政が余りに深入りしてしまうと実際に即しないような無理が出て参りまして、後年却つて大きな痛手が出て来るようなことが出て参りますので、かような立法をする必要はないのではないか、こういうふうに考えておるわけでありまして、この機会廃止したいということを提案したわけであります。
  34. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 先程私の質問の中にありました半分くらいは答えて頂いたけれども、その中の大炭鉱……管理炭鉱、指定炭鉱が大炭鉱であつた。これは中くらいの炭鉱も入つてつたのでありますが、それはまあ大した問題ではありませんけれども、私はこのいわゆる臨時石炭鉱業管理法、簡單に炭管法と申した方が便宜かと思いますが、それと、それから石炭行政に関連いたします、先程も神田委員長も言われましたように配炭公団に関連いたしますいろいろな問題或いは資金、資材その他労務者の優遇問題、こういう問題がいろいろ絡み合いまして今日まで石炭行政というものが行われて来た、その中でここで炭管法だけを問題にしておるのでありますけれども、提出されました法案を見ましても、石炭局その他に関連いたします石炭行政の問題とも関連しているのであります。そういう意味で、中小炭鉱炭管法廃止に反対をしている、こういうことを申上げておる。直接指定或いは管理炭鉱関係は、私の申上げましたことも、多少違つてつたかと思いますが、そういう意味で申上げたのであります。尚後のこの石炭鉱業安定法に考えられておりますような事後の処置についてどうするかという問題については御答弁がなかつたのでありますが。
  35. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 政府側から一つ……
  36. 宮幡靖

    政府委員(宮幡靖君) 配炭公団を廃止いたします当時からいろいろとその後の対策を考えて参りました。例えば石炭開発金庫法案とか、中小炭鉱に対します損失補償の融資制度、或いは石炭鉱業坑内災害復旧補償法というようなものをそれぞれ考えまして、これが必要がありましたならば実施をいたしたい、かようなことでやつてつたのでありますが、御指摘の石炭鉱業安定法と申しますようなものも一応俎上に乗せまして、かような名称にしないものは石炭企業法というような名前もつけましたし、石炭資源に関します法律というような言葉も使いましていろいろやつてつたのであります。そうしてその中でどうしてもやらなければならない問題で今日まで続けておりますのは金融の問題であります。併し坑内の災害に対する補償法というふうな特別法ができまますればなんですが、これは今国会には残念ながら間に合わないで今日に至つております鉱業法の全文改正によりまして確保できる問題であります。これに讓りまして処置をいたしたい。残つた問題は金融の問題でありますが、これも現在努力を続けておりますが、その他考えましたことは、一応現在の段階においては特に法律に定める必要はないと認めまして見送りになつておるような次第であります。併し提案者も言われましたように、法律が必要であるということに勿論考えております。同時にいろいろ御議論の中で我々の省として承りますことは、我々はこの臨時国管法の功績を決して蔽い隠したり、その功績を認めるのに吝かではないのであります。増産のために一つの力となつたことはこれは事実でありまするが、併しながら現在の段階におきまして果して国管法というものが如何なる役割を演じておるか。これを考えて見まするというと、なければならないという理由を沢山認め難いのであります。ただ吉田さんとしてお考えを頂きますところでは、例の経営者との間の経営協議会のような問題、労使の問題につきまして御意見が及んでおるだろうと思いますが、これは我々の今の考としては大体あれを議決機関として運用しようといたしまする現在の国管法に対しましては、若干疑問を持つておりまするが、これの諮問機関としての存続というようなものには異論がないのであります。併しこれは現在の労働法規によりまして、いわゆる経営者協議会というようなものが中にあるのでありまして、労働法規に十分残されておる問題で、特に石炭のみにさような機関を、設けることを法制化する必要はない。こういうふうに考えまして、この点も見送つておるのであります。それから先程もお話がありました……これは下條委員のお尋ねとも関連があるのでありますが、これからやりまする石炭鉱業に対する技術指導の問題でありますが、これは先般確かに参議院の本会議でも質問があられましたが、どうしても炭鉱の施設の改善、機械化、これによる能率向上ということをやつて参らなければならんのでありまして、この点につきましては、本年度二十四年度におきまして約三十社に対しまして四十一億の見返貸金の解除がありまして、又同じく二十四年度に炭鉱機械、主にコール・カッター、ローダーというようなものが司令部から推奨されまして、技術の指導等にも同様に智慧を借りておる。そういうようなことで二十四年度は炭鉱機械で約五億五千万円程度の利潤を発生しております。今後もこれは行政措置といたしまして別に法律に基かずしましてかような思想で進めまして、先程島委員のお話もありました二十七年度において大体五千万トンという目標を持つておるのであります。これはオフイシヤルのものでなくして、安本で一応組みました見通しとして考えておるのでありまして、かような行政措置によりまして十分、五千万トンの出炭は可能になる。これは当時の需給関係がこれを支配するものであつて需要が増大して参りますれば当然各企業家の御努力によりましてこれが達成される。産業の振興を図るべきだという大局的な見地から指導いたして参りますれば達成できるという観点に立つておりますから、若しも社会党の御主張といたしまして何故配炭公団を廃止する措置をしないくらいならば、もう一遍統制したらよいじやないかという、こういう御議論ならば拜聽いたしますが、余り運用の効果のないことはしない方がよいと、こう考えておる矢先に、立法府であります国会の方面から、これの解除の案が出ましたので、かような形になつてこれに同調いたしたのであります。尚国管を若しやるということになりまするならば、この曾ての国管法の時、私はその委員でありませんので、よく存じておりませんが、水谷商工大臣の仰せられたことを速記録の上で拝見いたしますと、経営者と事業家は一体の地位にあるのだという御答弁もありました。それから本当ならば国家管理というもので、ありましたならば資本と経営の分離ということは、これは明かでなければならんと思います。ところがこの資本と経営の分離がさ程明確になつていないのが、この臨時立法でありまして、これらの点も勘案いたしますと、どうしても統合しなければならんという程むずかしく私共の方では考えなければならないものとは思つておりません。措置につきましては十分やつておりますが、諸般の事情に応じて達成せられない点もありますが、これは引続いて日本基礎産業でありますので、御注意のあると否とに拘らず、これは努力を傾くべきであると思うのでありまして、将来に亘つて是非共万全の処置を講ずるために御協力を頂きたいということを特にお願い申上げる次第であります。
  37. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 外の質問は次の機会にいたしますが、今の次官の答弁の中に一つ間違いがありますので御訂正を願いたいと思います。昭和二十七年五千万トンと言われますけれども、昭和二十八年五千万トンです。これは小さいようでありますけれども、先般本会議質問をいたしましたときにも、通産大臣は坑内基準賃金九千円ということを言われました。私は追つて質問書を出しておりますが、どこからそういう数字が出て来たか、了解に苦しむのであります。炭労と連盟との協約には、実績に鑑みまして、三百六十三円の二十二掛で八千円弱になります。これは傍に附いておられたと思うのでありますが、政府炭鉱に対する認識はかくのごときものであるということについて、私は唖然としたのであります。今の数字につきましても、これは明瞭に誤りでありますので、一つお取消しを願いたいと思います。
  38. 宮幡靖

    政府委員(宮幡靖君) 資料を朗読したのでありませんから、若し間違つておりましたら、お手許の資料によつて御訂正をいたしておきます。同時に坑内の賃金の問題を池田兼任大臣からお答えいたしましたことについては、吉田委員と渡米中の田口生産局長とお話合を頂きまして、よく御了解をいたしたと同つておりましたが、若し御了解が頂いておらないようでございましたら、これはまあ相対の話で結構と思いますから、資料を整えまして、一つ間違つた点はお教え頂くようにいたします。
  39. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) お諮りいたします。時間も大分経過いたしましたが、本日の審議は如何取計らいましようか。
  40. 島清

    島清君 その前に、これは炭管法に関連した問題じやないのでございますが、古衣料の問題について、ほんの僅かお聽きしたいところがあるのですが、お許し願えませんでしようか。
  41. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) どうぞ。
  42. 島清

    島清君 政務次官が幸い見えておりますからお聽きしたいのでございますが、近頃海外の方から古衣料品が多量に輸入されておるようでございまするが、私共が聞くところによりますると、その取扱業者として許可を受けておりまするのは、特定の会社ただ一箇所だと承つております。それが本当であるのかどうか、それが本当であるといたしまするならば、如何なる理由に基いて特定の会社のみを許可されておるか。それからその妥当性についてお聽きしたいのです。又、更に発展をいたしまして、それも将来共にそういつたようなお考え方で扱いたいと思つておるかどうか、その点をお聽きしたいのです。
  43. 宮幡靖

    政府委員(宮幡靖君) 海外の古衣料の輸入の問題としましては、これのみではないと思いますが、大体御指摘の点は、昨年の六月頃から持上りまして、本年一月になつて、ようやく輸入されるとになつた問題であろうと思いますが、これは当時の状況では、安本等の意見は、又繊維局もそういう意見でありましたが、日本の衣料事情がまだ解決しておりません。絶対量の面において若干不足があるであろうということで、ニューヨークの会社とリンボ氏が法律顧問というような立場で来られて、私共の通産省の輸入二課と折衝が始まりまして、そこでいろいろと相談をいたしまして、絶対量が足りないのだから、條件が良ければ許してもよいではないかというような御意見がありましたので、先ず第一番にその代償といたしましては、日本の滞貨となつておるものをあてがうのだ、こういい方式で一つやろう、簡單に、その條件を当時の書類によつて見ますると、第一番に輸出困難な品物とのバーターによる、それから輸入古衣料の数量は、国内の紡毛業界を圧迫せぬ程度とすること、原毛の輸入計画と国内紡毛業者生産計画と、原毛配分計画は本件輸入によつて影響を受けないこと、価格配給は日本政府の監督の下に置くこと、こういう條件が充足せられるならば輸入しても差支ないというように通産省の意向がまとまりまして、これを司令部に申請いたしましたが、昨年の六月あたりの状況では、司令部では賛成がなく、そのまま見送つておりました。昨年の十月その問題が持上つて参りまして、通産省といたしましては、前の條件に更に條件を加えまして、品目の明細は、日本において最も必要とするものに限定すること、要らないものを入れられては困るから、要るものだけにしてくれという項目をつけまして、そうしてこちらから輸出するものは、日本の国の貿易協定に参加して下さつている各国には再輸出して売らないようにして頂く、こういう二条件をつけまして、これは成る程誰でもいいからこういう条件が満たされるならば一つ輸入をしようではないかということで、司令部に提案いたしまして、司令部では更に綿密に検討せられまして、原則的にはこの日本政府考え方には異議がない、併し更にもつとはつきりしろ、有利になるようにした方がいいじやないかという御注意もありまして、その概要は、バー夕ーによること、輸出品は輸出が容易でないもの、又国内においてより有効に使用し得るものでないもの、且つ繊維品は除かなければならん、輸出品は米ドル地域等に売つてはならない、価路は政府の統制下に置く、こういうことでこれをやるならよろしいということでありますので、必要があれば資料として差上げますが、この輸入方法について取扱店等についてのお申出を受けるために広告をいたしまして、そうしてやるようにいたしまして、ニュヨーク・ダドリアン輸出会社との契約が政府輸入の形においてできたのであります。その数量が六十八万二千トン、金額において百二十八万三千六百ドル程度であります。これはその後御承知のように、急転直下と申しますか、衣料品のむしろ滞貨に苦しむような状態になりまして、値段が段々下つて参りまして、政府輸入をそのままにいたしますと、公団の相当な赤字を生ずるような危険がありますので、これはリスクと申しますか、業者に直ちに委わる方がよろしいということで、船が入つて参りますと、いわゆる船側渡しと申しますか、舷側渡しとしますか、商慣習のその方式によりまして、直ちにその商社に日本の商人が引取らせる、こういうことで丸菱にこれを扱わせるようになつたのであります。その後価格の点につきましては、国内の価格と見合いまして、高からず低からずという線で物価庁が定めたのでありますが、物価庁の定めたマル公より安くしか売れないのが現実の問題であります。申込の方が丸菱一つであるので、何かそこに特別な関係があるようなことが新聞に出て、私はその新聞を見ませんでしたが、さようなこともあつたようであります。この点は、丸菱が余程上手に捌いたということでなければ、一方に売りにくいというような取引でありまして、これが実情であります。尚本件に関しましては、通商局の次長を呼んでありますので、細目の点についてはその方からお答えしたいと思います。私の申上げましたのほ、当時の状況をそのまま、私が監督者という意味から、調べまして記憶しておいたものの概略を申上げたのであります。
  44. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 時間も大分経ちましたが、どういうふうにいたしますか……速記を止めて。    〔速記中止〕
  45. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 速記を始めて。それでは明日午後一時から委員会を開くことにいたしまして、本日はこれで散会いたします。    午後四時五十六分散会  出席者は左の通り。    委員長    深川榮左エ門君    理事            島   清君            廣瀬與兵衞君            玉置吉之丞君    委員            下條 恭兵君            吉田 法晴君            平岡 市三君            中川 以良君            境野 清雄君            高橋  啓君            阿竹齋次郎君            結城 安次君   衆議院議員            神田  博君   政府委員    通商産業政務次    官       宮幡  靖君    通商産業事務官    (資源石炭管    理局長)    中島 征帆君    通商産業事務官    (資源鉱山局    長)      徳永 久次君