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1950-04-20 第7回国会 参議院 通商産業委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月二十日(木曜日)    午後二時十七分開会   —————————————   委員の異動 四月十七日委員田中利勝君辞任につ き、その補欠として吉田法晴君を議長 において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件証人喚問に関する事件火薬類取締法案内閣提出、衆議院  送付) ○鉱工品貿易公団不正事件に関する  件   —————————————
  2. 高橋啓

    委員長高橋啓君) それでは開会いたします。  四月十二日に証人の出頭を求めておりましたところ、証人の都合で出頭不可能との通知に接しましたので、改めて今月二十二日十時より中小企業振興に関する調査関連して、ラングーンにおける農機具展示会に関係された方方の中から、団長の伊藤良平池田信一郎奈良自由造の三君を委員会に出頭して頂くよう手配いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高橋啓

    委員長高橋啓君) 御異議ないものと認め、さよう取計らいます。   —————————————
  4. 高橋啓

    委員長高橋啓君) 次に火薬類取締法案質疑に入ります。速記を中止いたします。    〔速記中止
  5. 高橋啓

    委員長高橋啓君) 速記を始めて。  大臣から御挨拶がございます。
  6. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) 私このたび通商産業大臣に兼任を命ぜられまして、通商産業省仕事をすることになりました。只今まで文部省の仕事だけをやつておりまして、急にこちらの仕事をすることになりましたので、まだ十分に今までの様子等は心得ておりませんが、段々に引継ぎを受けまして、できるだけ早く今までの行政上の問題等も心得て行きたいと考えております。どうぞ皆さんの御協力を得まして、私いつまでやつておるか分りませんですが、やつておりまする間通商産業省関係の問題につきまして、何とか皆さんの御援助をお願い申上げたいと思います。一言御挨拶を申上げます。
  7. 島清

    島清君 只今速記なしで下條委員から質問の続行の途中でございますけれども、折角大臣も見えておられますし、又只今新聞等を賑わしておりますところの公団等の内情につきまして、大臣にお聽きしたいと思う点もございます。大臣も又何か時間の制限があるのだそうでございまして、只今質問を後の方に廻して頂きまして、折角大臣においでを願つたのでございますからして、公団の問題について大臣にお聽きするということの動議をちよつと提出したいと思います。
  8. 高橋啓

    委員長高橋啓君) 只今島委員からのお申出がございますので、今の質疑を一応打切りまして、大臣に対する質問に入ることに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 高橋啓

    委員長高橋啓君) 御異議がないと認めます。それでは御発言を願います。
  10. 島清

    島清君 大臣にお聽きしたいのですが、只今就任の御挨拶を頂きまして、まだ通産行政に対しまして深い責任を負われる立場はないので、ちよつとお気の毒かと思いまするけれども、只今新聞紙上等によりまして、大変に不正な事実が公団関係にあるやに伝えられておりまするが、この問題につきまして、監督官庁立場から、でき得る限り詳しく内容全貌について一つ聽きしたい、御説明願いたいと、こう思うのであります。
  11. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) 御質問鉱工品貿易公団内部の不祥な事件の問題につきまして、実は私も就任早々こういう問題が起きておるということにつきましては、非常に遺憾に存じておる次第であります。そうしてできるだけ迅速に、正確に事実を調べ上げたいということで、今全力を盡してやつておる次第であります。本省といたしましてもやれるだけの調査は十分いたしますし、又公団内部の問題について、公団当局としての調査も十分やらしております。併し刑事の問題というようなことになりますと、行政官庁だけでは到底調べられませんので、告発をいたしますと同時に、検察当局に持出して今調べておるわけであります。幸い中心人物と目せられております早船某という者も逮捕せられましたので、急速に全貌が明かになるかと思います。そういうわけでありますから、事実を正確に詳しく調査がまだ済んでおらんというところから、御期待に副うような十分なお答えはまだできないかと思いますが、今までの経過、現状等につきまして、できるだけ詳しくお答をするということにいたしたいと思います。それは担当局長から細かい点を御説明申上げることにいたしたいと思います。
  12. 岡部邦生

    政府委員岡部邦生君) それでは事件の概要につきまして御説明いたします。大体現在まで判明いたしておりますところは次の通りでございます、  二十五年の一月の中旬に、鉱工品貿易公団鉱産部の十二月末銀行預金残高表を照合いたしております際に、十二月中入金済みでございました百七十万円のものが未收金勘定に残つていることが分りましたので、そこから端を発しまして種々調査をいたしました結果、大体次のように総額七千八百五十万円の公金費消事件を発見した旨が、本年の三月二十九日に同公団総裁から口頭を以て通産省報告がございました。通産当局といたしましては、右報告の遅延いたしましたこと、これは一月の中旬に発見いたしましたものを三月末に報告いたしたのでございますから、遅延いたしましたこと、及び検察当局に対しまする措置の取られておらないこと、及びこの善後措置に関しまして嚴重戒告を加えると共に、速かに書面を以て報告せられたい旨を嚴達いたしたのでございます。  次いで四月四日に同公団総裁から右に関します書面報告と共に、同公団総裁、副総裁鉱産部長及び経理部長の進退伺いが提出されたのでありますが、事件全貌が明瞭に判明いたしましてからその措置を考慮することといたしまして、取敢ず直ちに東京地方検察庁に連絡いたしまして、七日付を以て通産省より東京地方検察庁告発をいたしまして、調査方を依頼いたしたのでございます。被害金額でございますが、現在までに判明いたしております被害金額は次の通りでございます。  一、鉱産部経理経理課出納係早船惠吉、これは本年一月から行方不明でございまして、昨日逮捕されましたのでございますが、その横領容疑金額は、石油、コークス代金外二十口でございまして、六千百九十五万九百十九円七十九銭でございます。その次は元鉱産部経理課商品係川村哲の自供にかかるものでございます。これは昨年の七月に退職いたしまして、現在は新日本海事興業株式会社取締役でございますが、それが四月十五日に逮捕になつております。それは昭和二十四年の六月末に産業復興公団支拂うべきスクラップ代金を約二ケ月間流用いたしまして、八月末早船と共謀いたしまして、右補充のために鉱産部輸入物資拂下代金を更に流用いたしまして、産業復興公団への支拂を怠つたという金額でございまして、これが三千七百九十一万円四百十一円六十八銭でございます。この一と二の合計は九千九百八十六万一千三百三十二円四十七銭でございますが、その金額のうち、現在まで回收いたしました金額が二千百二十九万五百四十三円一銭でございますので、差引現在までに判明いたしております直接被害金額は七千八百五十七万七百八十八円四十六銭でございます。  次に手口を申上げますと早船、佐竹、川村等は共謀の上、公団物資拂下代金等を巧みに流用いたしまして、相手方商社に対しましては領收証書を僞造する等によりまして、一時いわゆる浮貸に流用しておつた鉱産部経理部との間の未達勘定を計画的に作為いたしまして、極めて巧妙に隠匿しておつたというわけでございます。通産省といたしまして取敢ず取りました善後措置を申上げますと、鉱工品貿易公団としては、右事件に鑑み、且つ当省の勧告に基きまして、次の処置を取りまして、目下被害金額を精査いたしますと共に、債権保全方について鋭意努力中でございます。一、三月下旬から各業務部におきまする代金受領を廃止いたしまして、公団本部経理部に統合いたしまして、各業務部門職員によります代金受領を禁止いたしました。  その次は公団本部経理部におきましても、原則として現金小切手受領を廃止いたしまして、公団銀行口座入金通知を以て相手方代金受領書を発行することといたしまして、現金及び小切手を持つて参りました場合につきましては、銀行行員の派遣を求めまして、これに交付するということをいたしております。  その次に代金受領書の様式を改正いたしまして、右以外によりまする領收書は無効の旨を関係商社通知し、旦つ公示いたしました。  その次に又関係商社銀行等に対しまして債権、債務、特に代金領收済金額を照合中でございます。尚本年四月以降におきましては、従来までの業務整理に專念せしむることといたしまして、本年度以降の政府輸出入につきましては公団を関與せしめず、直接通産省においてその業務を実施することといたしております。
  13. 島清

    島清君 監督官庁としての通産省当局は、この事件検察庁等によつて、摘発されてから御報告をお聞きになりましての結果に基く御報告のようでございまするが、どうも去年あたりからこの鉱工品公団等浮貸事件というものは相当広く流布されておつたのでございまするが、そこで私はその淵源を遡れば、相当これは去年乃至一昨年あたりから行われておつたと思うのです。そこで会計検査院と乃至は経済調査庁あたりも、この問題を取扱つたと思うのですが、それに関連をいたしまして、会計検査院等から、何らのこの会計報告通産省になかつたのかどうか、検査の結果でございますね。それから経済調査庁あたりから何か通産当局の方に御報告はなかつたのかどうか、この点をちよつとお聽きしたいと思います。
  14. 岡部邦生

    政府委員岡部邦生君) 会計検査院からの批難報告はございません。経済調査庁からの報告につきましてはございましたが、この事件についてはございませんでした。
  15. 島清

    島清君 何かあつたとおつしやると、公団運営について警告的な報告ですか、どういう報告ですか。
  16. 岡部邦生

    政府委員岡部邦生君) 警告的な報告です。
  17. 島清

    島清君 ちよつとその報告を……
  18. 岡部邦生

    政府委員岡部邦生君) 今手許に持つておりませんが、例えば銀行口座が多過ぎるとか……銀行口座が百十三程ございまするが、それが多過ぎるとか、そういう運営につきましての御注意でございました。
  19. 島清

    島清君 それはいつ頃ですか。
  20. 岡部邦生

    政府委員岡部邦生君) 今年の三月頃です。
  21. 島清

    島清君 ちよつと大臣にお聽きしたいのですが、現内閣はこの公団機構を廃止いたしまして、自由主義経済の方に引戻すのだということをしばしば言つておられるのでございまするが、現内閣を組閣されましてから一年半経過しておるわけでございまするが、公団等職員なども、どうせ現内閣の下に公団が廃止になるのだというような不安感を私は與えたと思うのです。その不安感からして、ああいつたような、下級職員のこういつたような大それた不正行為が行われる原因を釀成したと思うのでございまするが、その点につきまして、大臣はこの責任を感じておられるのか、乃至又現内閣において公団を廃止すると公に言明されておりながら、そういつたような不正事件が起らないというようなことについて、如何なる処置を講じられたか、というようなことをちよつとお聽きしたい。
  22. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) お話のように公団については廃止する方針で進んでおるわけであります。その方針が決定され、実行されるまでに、過渡的な期間にいろいろと問題も起き易いという点についても同感であります。ですからそういう過渡的に止むを得ざる期間の間の公団運営ということは、無論十分に注意してこれをやつて行かなければならないということは、政府も考えておると思つております。将来いずれ廃止されるというような仕事でありますから、つい綱紀も規律も弛緩し易い、従つて特に今までよりはその綱紀の粛正について十分の注意をしなくてはいけないということを考えて、今まで処置して参つたと考えております。
  23. 高橋啓

    委員長高橋啓君) 外に大臣に対する御質問はありませんか。
  24. 島清

    島清君 これは何か読売新聞漫画入り記事つたと思いますが、昨日のその記事の中に、公団総裁が、どうも僅かばかりの金、一億やそこらの僅かばかりの金を、職員が穴を明けたからというて、そんなに大騒ぎをすることはないと、こういうようなことを言つておられますが、このことにつきまして、大臣は何か総裁のこの言に対しまして、質して見られたかどうか、若し質して見られたとするならば、どういうことを処置されたか、若し又質して見られないとするならば、大臣はそれを是認をされて質されないのかどうか、その点を明確にして頂きたい。
  25. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) 新聞に出ておつた記事そのものについては、私は質しておりません。併し昨日公団総裁、副総裁には会いまして、今度の事件について、十分の私としての戒告を與えましたし、十分責任面以てやつて貰う、そうして公団自体としてもこの事件内容について、もつとはつきりした調査をして報告して貰いたい。こういうことを言いまして、嚴重な警告をいたしております。先程のお話のようにいづれ廃止される公団であるという意味から、公団職員だけでなく、やはり総裁、副総裁以下幹部の方方にも、つい綱紀が弛緩し易いものでありますから、そういうことの決してないようにというようなことは十分話をいたしました。
  26. 島清

    島清君 只今岡部局長からは何か検察庁がお調べになりました結果に基きましての御報告のようでございましたが、こういつたような不正事件によりまして相当な額の、今まで御報告のあつた中にも赤字が出ておるわけでございまするが、これは検察当局を離れまして、この経理の面から如何ようにその穴埋めをされようとしておられるのか、その見通しについてですね。それから予算等との関連においても、ちよつと監督官庁としての立場から御意向を承りたいと思うのです。
  27. 岡部邦生

    政府委員岡部邦生君) 現在判明いたしております被害金額は先程申しましたように七千八百余万円でございますが、その中回收可能の金額が幾らあるからということは目下鋭意調査中でございまして、我々といたしましては国庫に及ぼします損失等をできるだけ少くするように、公団といたしまして浮貸先に対しまして、債権保全措置を講ぜしむるようにやつている次第であります。併しもう少しいたしませんと、はつきりした見通しは申上げられないのであります。
  28. 島清

    島清君 この点については非常に重大な問題でございまして、私大臣にお聽きしたいのですが、現内閣になりましてから、薪炭特別会計におきましても相当赤字を出しまして、これを予算に計上いたしまして、非常に紛議を釀したことがあるのでございまするが、私思いまするに、この事件の徹底的な追究によりまして、相当赤字が出るのじやないかと、こう思いまするし、又世間もそういう工合に思つているに違いないと思うのです。そこで当然にこれは現段階におきましても、相当な穴が明くということは、誰でも信じてよろしいような段階に来ておりまするが、こういつたような問題につきまして、予算の面でこの赤字を補填して行く……ごまかして行こうというお考えであるのか、それとも又如何様にしてこの処置を御講じになろうとしておられるのか、それは勿論最後的な調査を待たなければ、その最後的なことは言えないとおつしやるのか、そういうところの政治的な責任においてちよとお洩らしを願いたいと思う。
  29. 高瀬荘太郎

    国務大臣高瀬荘太郎君) 政府機関損失につきましては、国家が責任を負わなければならんということは最後の問題だと思います。ただ併し現在はまだ公団整理が、清算が進んでおらない状態でありますので、結局において、どれだけの赤字が出るか、黒字が出るか、未定の状態であります。この事件だけについで言えば、いずれ損失は生ずるものだろうと思いますが、先程御説明申上げましたように、できるだけその損失を少くするためのあらゆる手段を現在講じておるような状況であります。仮にこの事件赤字が出るといたしましても、責任が又どういう方面にあるのか、それによりまして赤字も亦違つて来るという結果にもなるかも知れません。でありますから、現在においてはまだ甚だ不明の状態でありますので、予算的措置を考える段階ではないと思います。
  30. 島清

    島清君 どうも私は大臣に政治的な立場においてお聽きしたのでございまするが、検察庁的なお答で大変不満足でございまするが、それはいずれ又時を変えましてお尋ねをしたいと、こう思います。
  31. 高橋啓

    委員長高橋啓君) 外に通産大臣に対する御質疑はありませんか……御質疑がありませんでしたら、引き続き火薬取締法案についての質疑に入ります。御発言願います。
  32. 下條恭兵

    下條恭兵君 私さつき、第一條と第五條についてお尋ねしたのでありますが、大変懇切而も明確に、政務次官から御答弁願つたのでありますが、この第一條組合運動に関する問題は、私はやはり法律に明記してなければ私の心配するような取扱上の何が起きる場合もあると思いますから、折角さつき明確にお答え願いましたので、別な政令を出すか或いは通牒を出すかという点、もう一遍恐縮ですけれどもお答え願つて速記録一つ止めて置きたいと思いますので、お願いいたします。
  33. 宮幡靖

    政府委員宮幡靖君) 只今お話につきましては先程申上げましたように、運用の間違いないように通牒を出したいと思います。準備をいたしております。この法律通産省化学局で事務的な立案をいたしております間におきましても、適当な方法によりまして、火薬労連等の御意見等も承りまして、一応及ぶだけの注意をいたして参つたわけであります。この点につきましても相当御心配の点の摩擦はなかろうと一通りの確信を持つております。尚足らざるところを補う意味におきまして、通牒の処理は過ちなきようにいたしたいと考えております。
  34. 下條恭兵

    下條恭兵君 次に私お尋ねいたしますのは、輸出届出とか、輸入につきましても許可制を採ることにして、更に輸出入については特に公開する義務規定することがいいと思いますが、この点について伺いたい。
  35. 宮幡靖

    政府委員宮幡靖君) 輸出に対しまする届出ということと、輸入に対しまする許可制ということが、同じ監督的な規定でありますが、許可届出大変趣が違う、かような観点からの御質問だろうと存じますが、輸出につきまして、現にかような物資許可を要する、輸入についても同様でありますが、外国為替及び外国貿易に対する管理法規定によりまして、十分これらのことが達成せられるという意味におきまして、輸出届出という形に取扱つたわけであります。で公表という問題の御趣旨がどこにありますか知りませんが、これらはあらゆる機関において秘密を保持いたしまして、輸出されるものはそれぞれの機関において公表と同様の効力におきまして御談合を願うこともできますれば、又周知せしめるということもできるわけであります。特にこの点について秘密主義を取ろうということは考えてもおりませんし、本法の中にもさような趣旨は盛込まれておらないわけでありますから、御了承願いたいと思います。
  36. 下條恭兵

    下條恭兵君 第三十二條でございますが、主任者職務誠意云々ということがあるのですけれども、これは技術的な立法に抽象的なその用語は適当でないと思われますのですが技術の、基準をはつきり決める必要があると思うのです。何故かと申しますと、主任者の方において場合によると誠意というような字句が惡用されるというような場合がないとも限らんので、特にそういうことは必要じやないかと思うのでありますが、この点につきまして……
  37. 長村貞一

    政府委員長村貞一君) お尋ねの三十二條には、作業主任者或いは取扱主任者につきましての、誠実に職務をやらなければならんという規定を置いておるわけでございますが、この作業主任者或いは取扱主任者が何をやるかと申しますことは、前の法律條文にありますように、それぞれその作業の現場その他におきまする保安、危険の防止ということでありまして、その防止の拠りどころといたしましては、或いはこの各種の製造工程製造方法、その他の技術上の基準を示し、又それをそれぞれの製造場等において具体化したものといたしまして、危害防止規程というものを決めることにこの法律で何しておるわけでございます。この技術上の基準等法律自身には非常に細かいことになりますので書きませんけれども、命令その他の方法によりまして明確にいたすことになつております。おのずから作業主任者取扱主任者の拠るべき技術上の基準は、かような方法で明かになつて来る建前になつております。それに準拠いたしまして、誠実にその職務を行うという一つ心掛けと申しますか、義務遂行のための基本的な心掛けをここに現した。お話のような技術士基準は別途私の今申しましたような意味で明かにされる筈になつております。
  38. 下條恭兵

    下條恭兵君 これはいつ頃でしたか、最近の読売新聞の夕刊ですが、昨年の九月の板橋火薬所爆発事件の後報として、会社から提供された見舞金廻つて被害者の双互の間で紛糾を続けているという記事が出ておつたのでありますが、板橋爆発事件の真相とその後の措置について、どういうふうにされているか御説明願いたいと思います。
  39. 長村貞一

    政府委員長村貞一君) いわゆる板橋爆発事件につきましては、事の起りましたのは昨年の九月の七日でございまして、板橋にございます東京共同火薬庫。これは八社ばかりで共同使用しております火薬庫、この火薬庫におきましてダイナマイトが約六トンばかり爆発しまして、あの災害を起したわけであります。爆発事件が起りましてから直ちに東京都といたしましては、火薬庫使用を禁止いたす等の措置を採つておるわけであります。又この爆発の跡始末といたしまして只今申上げましたように、この火薬庫は八社の共同使用なつているわけであります。火薬使用者から見舞金といたしまして、附近の区民の方々に金額を提供したわけであります。両被害を受けられました方達が不十分であるといたしまして、只今八百万円ばかり更に追加して出して欲しいというので、東京簡易裁判所に調停裁停を提訴して、ここでいろいろと調停にかかつておる、かような状態でございます。
  40. 下條恭兵

    下條恭兵君 今度の火薬類取締法案が従来の銃砲火薬類取締法の全面的な改正であるということでありますが、今回の改正でこのような点が十分今度の、先程お尋ねした災害のようなものに対する何か十分留意してあるかと思いますけれども、従来の取締法施行細則等と比べまして、今度のこの改正案でどういう点がよくなつているか、具体的に御説明願いたいと思います。
  41. 長村貞一

    政府委員長村貞一君) その点につきましては、第一に先程申しましたように、例えば板橋火薬庫のごとき数社で共同してこれを使つておる、こういうことになつておりますと。勢いその責任の置き所と申しますか、責任を明確にすることにおいてやや欠けるところがあるのじやないか、と思いまして、新しい法律につきましては、原則として共同使用ということはやらせないで、必ず單独使用、はつきりした責任態勢の下に單独使用ということを原則といたすようにされておるわけであります。  それから災害防止につきましては、十分なもとより注意をいたすわけでございますが、万一爆発事故等が起りました場合に、災害附近に及ぶのを防止する、いわゆる保安距離というものがございます。これは現行法にもございまして、火薬庫等のあります所では、一定距離一般民家火薬庫間等には一定距離を必ず置かなければならんということになつておりますが、この保安距離、どのくらいの距離を置くかという点を更にこの際再検討したいと思つておるのであります。この保安距離の置き方につきましては、幾多技術的な見地から御意見もあるようでございまして、この点につきましてはいろいろな爆発事件の実際の状態、或いは家屋の構造その他を考えまして、これを全面的に再検討いたしまして、新しく、十分に災害防止になりまするような保安距離を考えたい、かような努力をしております。又火薬を貯蔵いたしますときも、その発火等防止するために、或いは技術上の基準を設けなければならんと存ずるのであります。この点も新法によりまして貯蔵に関しまする技術上の管理を十分に規定し、これの完全を確保する、こういう措置を採りたいと思つております。
  42. 下條恭兵

    下條恭兵君 只今の御説明でいろいろはつきりして参りましたのですが、新たに火薬庫を新設するというような場合に、そういう新しい規定によつて距離なども明確になつて心配なくなると思うのでありますが、火薬庫ができてからあとに段々そこらが開けて参つたりして、距離が縮小されてしまう。板橋の場合なんというものはそういうことからではないかとも考えられるのですが、そういう点について何かお考えありませんか。
  43. 長村貞一

    政府委員長村貞一君) 御指摘のように当初火薬庫を作りますときには、その現存の民家或いはその他とは十分な距離を取りまして作るわけでございます。その後その距離内に民家が建つというような関係から次第に距離が縮まつて来るというようなことは現実にあり得るわけであります。その場合にその距離に応じまして、例えばその火薬庫におきまする火薬の貯蔵量を減らして参るという措置を取るようなわけでございます。従いまして極端な場合には、その火薬庫には最早火薬を貯蔵し得ないような状態なつて来る。即ち火薬庫としてはもう使用を廃止しなければならん状態なつて来るという場合もあり得るわけでございます。これは一面から申しますると、その火薬庫設置を要するものについて、可なりの負担をかけるということも相成りますけれども、やはり一般の災害防止には止むを得んではないか、かように考えるのであります。
  44. 下條恭兵

    下條恭兵君 提案趣旨の説明に、取締監督機関の明確化を謳つておるのでありますが、解釈の上の意味は、今回の改正で全面的に拂拭されているかどうか分らんと思うのでありますが、その一番目に火薬類の製造工場、或いは火薬庫の取締は通産大臣又は都道府県知事が面接これに当るべきであると考えますのに、最近神奈川県では横浜市に委讓して、而も消防署等が当つているような噂を聞いているのでありますが、取締を市町村に委讓して差支ないのですか。又本法と消防法上の関係はどういうふうになつておりますか。
  45. 長村貞一

    政府委員長村貞一君) 監督庁につきましては、通産大臣が中央官庁として全体の監督をいたすことになりますので、地方におきましては或いは県知事が当ることになつております。法律自身では通産大臣或いは都道府県知事になつておりますが、これは事項毎に例えて申しますならば火薬の製造工場は必ず通産大臣、又火薬庫は都道府県知事、事柄によりまして、それぞれこの法律に基きまする命令にはつきりこの事項は大臣、この事項は知事というように、明確にいたしたいと思つておるわけであります。消防署にこの監督の権限を委讓するということは、只今のところは考えておりません。もとより消防法の関係で、特に火薬に関しまする事故は、直ぐ災害を発生するというような関係から、密接に消防当局とは連絡しなければならんと考えますので、災害の発生の危険のある場合、或いは災害の発生した場合には、これは行政措置としまして、直ちに消防署に連絡しまして、所要の措置を採るということにいたしておるわけであります。
  46. 下條恭兵

    下條恭兵君 もう一つお尋ねしたいと思うのですが、同じく取締と言いましても讓渡するとか或いは讓受けるとか、運搬するとか、消費等の調整には迅速的確に行われなければならないと思うのでありますが、従来は知事の出先機関といたしまして、地区的に便宜なように警察署が利用されていたと思うのでありまするが、今後警察署に代つて知事の出発機関である地方事務所以外に何か利用されるような、利用されるか、若しくは市町村を利用するとは差支ないかどうかということをお尋ねしたいと思います。
  47. 長村貞一

    政府委員長村貞一君) お話のように、従来は警察署を可なり活用しておりましたが、新しい建前になりまして、警察署が各種の許可、認可等をやることは認められない時代になつておりますので、今般の改正はその意味の警察署は省いたわけであります。併し今後の事案を処理いたします際には一々府県庁まで足を運ぶということも甚だ不便でございますので、事柄によりましては、地方事務所でありますとか、或いは市町村に或る程度の仕事を委讓したいということも考えたいと思つております。
  48. 高橋啓

    委員長高橋啓君) 外に御質疑はありませんか。  今行政委員会の方からこの法案に対する意見書が参つておりますが、委員長がこちらに来て発言をしたいという希望が来ておるのですがまだ見えておりません。一応質疑をこの辺にして、小型自動車競走法案の質疑に入りたいと思います。御発言を願います。  ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  49. 高橋啓

    委員長高橋啓君) 速記を始めて下さい。  それでは先程お諮りいたしました地方行政委員会からの申し出がありましたから、委員長から御発言を願います。
  50. 岡本愛祐

    委員外議員(岡本愛祐君) 当委員会におきまして御審議になつております火薬の類の取締法案につきまして、地方行政委員会の修正意見を申上げまして、当委員会各位に御考慮を願いたいと存じます。  それは第三十九條の第二項、及び第四十七條でございます。この火薬類の取締につきまして、この火薬類取締法案が出ることになりますと、火薬類に対する取締はブランク、盲点ができるようになります。それでこれはいずれ消防法というようなものがございますが、その中に火薬類取締についてもブランクになつた点を補わなければならないと考えております。ところが第三十條の第二項「前項の事態を発見した者は」というの、もう爆発しそうな危險の状態を発見したときには「直ちにその旨を道都府県知事警察官又は警察吏員に届け出なければならないというふうになつておるのでありますが、自治体の警察ができまして警察と消防とが分離してしまつたのであります。それで元は消防機関というものは警察の指揮下にあつたのでありますが、今は全く分離いたしまして消防はすべて自治体の機関になりまして、警察と分離をいたしました。それで火災なんかの発生を見るような危険な場合でありますから、これは警察官のみならず、その関係の消防機関届出でなければならならい、こういうふうに修正をお願いしたいのであります。  それから四十七條の方ね「何人も、火薬類による爆発その他災害が発生したときは」誰々にとこうありますが、「警察吏員」の下に「及び火災の場合は関係消防機関の指示なく現状を変更してはならない。」、これはそういう場合でもこの消防機関の方が現状を保存する責務があるのでありますから、そういうふうに修正を願いたい、こういうふうにお願いする次第であります。要するにこの原案は恐らく新警察制度以前の、消防機関が警察の指揮下にあつたという時代のことが頭にあつて、消防機関というのが除いてあるのだろうと思います。新警察制度になりましてからは、消防機関は警察制度の外に立ちましたので、法律としてこういうふうな修正が必要だと、こういうふうに地方行政委員会では考える次第であります。よろしくどうぞお願いいたします。
  51. 高橋啓

    委員長高橋啓君) 只今地方行政委員長からの修正の希望意見がありましたが、これに関する御質疑がありましたならば御発言をお願いいたします。
  52. 島清

    島清君 只今の地方行政委員長の御希望の御意見関連してでございまするが、至極御尤もな御意見だと思うのです。そこで政府の方にお聽きしたいのは、かような修正を施さなければ只今地方行政委員長の御心配しておられるようなことの万全な対策ができないのかどうか、こういう点についてちよつとお聽きしたいのです。
  53. 宮幡靖

    政府委員宮幡靖君) 只今お尋ねでありますが、本法を立案するに当りましては、従来の関係法律諸規程とも勘案し、又行政措置等とも勘案いたしまして、いち早くこの消防庁の方へ連絡いたしまして、これは行政連絡で緊密に実施面に遺憾のないように行けるか、かような了解が一応成立いたしまして立案いたしたのであります。行政委員会の方の委員長さんからの御意見に対しましては一応御尤もだと考えまするが、敢て三十九條でありますとか或いは四十四條、これにさようなことを明定いたさくとも、行政連絡におきまして、十分の連絡を取りまして、行政委員会でお考え下さいまする御趣旨は遺憾なく実施面に移るものと、さように信じておる次第でございます。
  54. 高橋啓

    委員長高橋啓君) 外に……
  55. 岡本愛祐

    委員外議員(岡本愛祐君) 今宮幡政府委員から御意見がございましたが、苛くも法律におきまして、この警察官、警察吏員に届出でなければならないと、こういうふうに定めますときに、こういう火事が出そうなときなんですから、当然これは消防機関の連絡がどこからか必要でありますが、その警察と独立している消防機関の方へ当然知らせなければ手遅れになるのでありまして、法律としては、独立した以上は、その最も関係の深い消防機関届出るように規定をしておいて頂かんと、私は不備だろうと、こういうふうに考えております。
  56. 高橋啓

    委員長高橋啓君) 外に御発言ありませんか。
  57. 岡本愛祐

    委員外議員(岡本愛祐君) じやどうぞよろしくお願いいたします。
  58. 高橋啓

    委員長高橋啓君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  59. 高橋啓

    委員長高橋啓君) 速記を始めて。  ではこれで今日は散会いたします。    午後三時二十七分散会  出席者は左の通り。    委員長     高橋  啓君    理事            島   清君            廣瀬與兵衞君    委員            下條 恭兵君            吉田 法晴君            平岡 市三君            境野 清雄君            山内 卓郎君            結城 安次君            駒井 藤平君   委員外議員    地方行政委員長 岡本 愛祐君   国務大臣    文 部 大 臣    通商産業大臣  高瀬荘太郎君    通商産業政務次    官       宮幡  靖君    通商産業事務官    (通商振興局    長)      岡部 邦生君    通商産業事務官    (通商化学局    長)      長村 貞一君