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1950-03-09 第7回国会 参議院 通商産業委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月九日(木曜日)    午後一時四十七分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○輸出信用保険法案内閣送付) ○中小企業振興に関する調査の件 ○帝国石油株式会社法を廃止する法律  案(内閣提出) ○地方自治法第百五十六條第四項の規  定に基き、電気試験所熊本支所設置  に関し承認を求めるの件(内閣提  出、衆議院送付) ○地方自治法第百五十六條第四項の規  定に基き、日用品検査所支所設置  に関し承認を求めるの件(内閣提  出、衆議院送付)   —————————————
  2. 高橋啓

    委員長高橋啓君) これより委員会を開会いたします。まず、輸出信用保險法案、この政府側説明をお願いしたいと思います。
  3. 宮幡靖

    政府委員宮幡靖君) 只今審議をお願いたしておりまする輸出信用保險法案に対しまして、提案理由を御説明申上げます。  政府は先に第六回臨時国会に提案いたしました輸出信用保險法案につきまして先国会終了後更に鋭意愼重な検討を進めて参つたのでありますが、今回漸くその成案を得るに至りましたので、ここに新たな構想に基く輸出信用保険法案を提出して御審議を仰ぐ次第であります。  申すまでもなく、元来海外との取引は、国際情勢の変動等庭伴う経済上及び政治上の諾制約を受けるものでありまして、国内取引とは比較にならぬ大きな危険を伴いまするため、輸出業者は、取引上の不安にさらされつつ輸出契約の締結、或いは輸出品生産集荷等に当りまして、金融機関輸出業者に対する資金融通等も極めて消極的となるの余儀なきに至るのでありまして、これが輸出伸長の著しい障碍となつていることは、すでに御高承の通りでございます。元来輸出取引に伴う危險に対する不安の排除にうきましては、通常買手側よりの信用状の開設によりまして、これらの危険を担保する商慣習となつておりますが、国際間の情勢の変動にまりましては、信用状のみによつて担保することの困難な各種のいわゆる非常危険が生ずることがあるのであります。これらの場合における非常危険を担保するためには特別の保険措置を講ずる必要があり、この措置がない場合には輸出取引に関する輸出業者の積極的な活動は期待し難いのが実情であります。  政府に起きまして、先国輸出信用保険法案を提出致しましたのは、これら輸出貿易に伴う海外の特殊な危険を保険する制度を実施することにより、金融上等に生ずる不安を除き、輸出業者又は関係生産業者等輸出取引に関する活動を活濃化いたし、以て刻下緊急の要務である輸出振興を図りたいと考えたことによるのでありまして今回提出いたしました輸出信用保険法案も亦この趣旨に従うものに外ならないのであります。ただ先国会に提案いたしました輸出信用保険法案におきましては、荷為替手形保険することにより貨物船積後の危険を担保するに止つたのでありますが、これでは輸出振興上の実効を期することが困難と考へられまするため、先国会における審議状況、業界の反響、関係方面意向等それぞれ参酌いたしまして、輸出契約成立後は直ちにこの保険に加入して危険の救済を受け得ることとし、且つ保險技術上の見地から、本法により保険会社をして行わしめまする輸出信用保險及び政府の行いまする再保険についての法文の規定を整備いたしまして、ここに改めて輸出信用保險法案を提案いたす次第であります。  何とぞ御審議の上御賛成あらんことを切望いたします。   —————————————
  4. 高橋啓

    委員長高橋啓君) 本案の御質疑は後にいたしまして、大臣が出席されましたから、前回に引続いて中小企業振興に関する調査について御質疑を願いたいと思います。
  5. 下條恭兵

    下條恭兵君 私は先回二、三中小企業振興策につきまして大臣にお尋ねしたのでありますが、そのときに私が見返資金の問題についてお尋ねしたのに対して大臣から、半額市中銀行負担であるけれども、これは市中銀行の方が優先弁済であるから危險補償の意味がある、という御説明があつたのでありまするけれども、私がその際お尋ねしたのは、この見返資金を借りられる中小業者以外に、市中銀行が全然相手にしないような零細な業者の中にも立派な製品を作り、立派な能率を挙げ、而もそれが輸出品なり、生活必需品相当な需用があるというような業者相当あるので、そういうものを救済する方法としてお考え願えないかというふうにお尋ねしたつもりでありますが、これについて具体的に大臣からお答え願いたいと思います。
  6. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 見返資金中小企業関係者の方へ出しますのは、一月から実際スタートしたのでありますが担保の件その他でなかなかスタートが思わしくなかつたのであります。然るに最近は非常によくなりまして、二月末までには五千数百万円見返資金から出ております。三月に入りまして、今七日までございまするが、もうすでに一億を超えておる。月末までには三月での貸出が二億五千万円くらいになり、前のを加えまして三億円は突破するような状況でございます。この伝で行きますと、非常にこれが活用るされるようになると思うのでありますが、そうした場合に、月一億円という制限は私は除きまして、できるだけ出したいという考えで行つておるのであります。見返資金のみならず、御承知通り先般政府資金を百五十億出しまして、先ず第一に長期資金に馴れております勧銀北拓というのへ優先的に二十五億円出しました。その他の分につきましては、今年になりましてから、信用組合、無盡会社へ政府関係のものとして二十五億円も一月から出ておるのであります。先般お話ししましたように、通産省調査いたしました優良なる中小企業貸付金として七十億円、或いは百億円を出すこととし、これで勧銀とか、商工中金というものを指導いたしまして、これに先ず手を入れるという指導をいたしておるのであります。私の見たところでは、ここ暫くの間に相当資金が流れ込むと思います。又これは別でございまするが、見返資金一般の私企業に対する分も昨年来やりまして、二月末までに百四十六億になりましたが、この三月中に百億ぐらい許可が来ると見通しが付きました。これが主として大産業でございますが、造船の方におきましても、或いは炭鉱とか、製鉄の方に出ましても、これは間接には中小企業を潤すのでございまして、殊に造船に対しましる中小企業というのは、可なりの分野を持つて、いるわけでございますから、段々中小企業の方に相当金融が付けられると考えているのであります。今後ともできるだけ資金が効果を挙げるように、あらゆる施策をとつて行きたいと考えている次第であります。
  7. 下條恭兵

    下條恭兵君 大変詳しく御説明があつてよく分つたのでございますが、つきましては、勧銀にせよ、どこにせよ、不動産担保貸出が非常に便利になるようなことでないと、実際中小工業などは、不動産担保関係でない場と困ると思いますので、この点に関して何か特別の手がおありでしたらお伺いしたいと思います
  8. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 中小企業金融というのは、やはりお話通り不動産担保が一番手つ取り早いのであります。従来は資金貸出関係その他で、なかなか不動産金融というのは、手続その他でうまく行かなかつたのであります。私は今の資金を潤沢にして行けば、自然やはり不動産担保ということになると思うのであります。ただ昔とは違いまして、田畑は担保になりませんで、ちよつとその点はむずかしい点があるのでありまするが、宅地、建物というのは担保物として適当と考えておりますから、今後は勧銀なんかも、そういう方面に乘出すことと期待している次第でございます。
  9. 下條恭兵

    下條恭兵君 大臣非常に時間がないそうですから、今一つだけお尋ねして置きたいと思うのですが、先程御答弁の中に、信用組合云々という言葉があつたようでありますけれども、聞くところによると市街地信用組合信用協同組合ですか、そのようなものはまだ全然申請があつても認可されていないということでございますけれども、これが速かに認可され、こういうところに只今大臣から御説明のような資金が廻されるようになると、これは非常に早急に中小企業を助けることができるのじやないか、こう考えるのでありますが、勧銀とか或いは北拓とか、或いは大企業に出る見返資金が、廻り廻つて中小業者に行くということは非常に時間的に相当の期間かかると思いますが、現在の中工小業実態は、それで間に合うようなそんな悠長なものでないと私考えますので、この点一体御許可なさらん方針なのか、或いはどういう事情で認可が延びておるのか、御説明願いたいと思います。
  10. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 信用協同組合許可しないという考えは毛頭持つておりません。だだ何と申しまするか、大蔵省関係官信用事業であるから、余程基礎確実なもの、又皆さん方預金を預つてもそれに間違いがないはうなもの、石橋を叩いて渡る気持が多分にあるのであります。通産大臣を引き受けまして、衆議院通産委員会でこの問題がありました。それで調べて見ましたところ、只今までに新法によつて認可したものが二件あります。旧法時代からのものと併せて二十件ばかり認可したと思いますが、大蔵省の手許にもありますが、大蔵省へ来るよりも、先ず前に財務部の方で溜つておるようでございます。私は言付けまして、申請などあつたものについてはどしどし本省の方へ送れと、こういうように言付けてありますから、できるだけ早い機会に、できるだけ沢山認可いたしたいという気持で準備いたしております。何と申しましても、今の日本のこの現状におきましては、信用協同組合の発達を促さなければならんことは当然であるのであります。今までの商工中金と、それから信用協同組合との繋りが何とかならないものかと、先般来工夫をめぐらしておるのでありますが、なかなか昔からの考え方が合致いたしませんので、私はもう仕方がないから、信用協同組合の連合体或いは全国の連盟というようなものを作りまして、商工中金の系統とは別個にやらざるを得なのんじやないかという肚を固めつつあるのであります。今度も政府資金、或いは預金部資金を流しますので、無盡の方は無盡協会がありまして、協同責任割合に早い、信用協同組合の方はそういうもがないものでございますから、一ヶ月余りも大蔵省信用協同組合へ出す金を握つておるという状態、こういう状況から考えまして、私はどうしても信用協同組合合連体を持ち、そうして各信用協同組合に縦、横の繋りを持たして行つた方がいいという結論に今到達しかけておるのであります。別に法律の改正も要しませんので、早急にそういう具体的措置に出たいと、今考えておる次第であります。
  11. 下條恭兵

    下條恭兵君 只今の御説明大分よく分りましたが、この信用協同組合関係者の話を聞きますと、希望を聞きますと、官庁の自由裁量になつておるために、いろいろ手間がかかつておりまして、非常に不便しておる。今大臣は折角信用協同組合のために廻さんとしておる資金も、今のところ廻せないということですが、こういうふうに許可手間取つて、折角設立に準備して長く待つておるにも拘わらず、許可にならなくて仕事が始められないというような状況にあつては、なかなか結果が、大臣が今おつしやつたような、流すつもりの資金も流せないという結果になると思いますので、これを一つ一定の規格を定めた法規裁量で、一定の資格を持つておるものはどんどん許すようにできないものかどうか。この点ちよつと最後に……
  12. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 流すつもりでおつたのが流れなかつたのでありますが、今は流れております。先程申上げましたように、無盡と信用組合で二十五、六億、この一月から出ました。今度早急に流れるはうに、縦横の連絡のできるような機関を持ちたいと、こう考えておるのであります。信用協同組合を今の自由裁量では遅延したり、なかなかうまく行かないという点があるのは私も認めております。然るが故に、それはもうこういう一定の基準を設けて、こういう場合には直ぐ免許を與えるというところまで行くかどうかということは、今申上げたように、一つ信用事業でございますので、これはできるだけ早い機会に、できるだけ沢山認めるという趣旨申請審議して行つた方がいいのじやないかとこう考えております。
  13. 玉置吉之丞

    玉置吉之丞君 只今下條委員質問に関連してお願いしたいのですが、第二の見返資金が極めて順調に出る見通しが行われておるのでありますが、それは各個別にしまして……。私共の心配しておるのは、中以上のものには比較的流れて行く途が付き得ると思うのであります。今日の中小企業の金詰りという面、そういうものが多くて、小さいものに滲透しないというのは大きな問題であります。それで只今お話のこの見返資金の出た額がどういう内訳になつておるかということを、ここでお話し願えればよろしいですが、何か資料でもあつたらお示し願いたいと思います。
  14. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 御質問は月一億という予定しておる分でございますか。
  15. 玉置吉之丞

    玉置吉之丞君 見返資金……
  16. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) あの残りの百四十六億……
  17. 玉置吉之丞

    玉置吉之丞君 只今中小企業に月一億ずつ出すというあの金がどういう内訳で流れて行つておるか。一口の大きさを見たいのです。
  18. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 今まで出ておりますのは、二月末までで五千七百万円、三月になりまして一億四千万円出たと思います。三月だけで出るのは月に二億五千万円くらい出る予定です。そうすると併せて五億円ということになる。それでどういう事業に出たかというのは、今資料を持つておりませんから、企業庁長官から……
  19. 小笠小韶

    説明員(小笠小韶君) 三月の六日までに大体決まりましたのが、今大臣からお話のように一億四千万円ばかりあります。受付件数を申しますと、これが百十三件ということになつておりますが、大体百万ちよつと出しております。業種別の表を実は持つておりませんので、あとで直ぐお届けするようにいたしたいと思つております。大体そんな……
  20. 高橋啓

    委員長高橋啓君) あとから資料を以て皆さんに配付することにいたします。外は大臣に対する質疑は……
  21. 境野清雄

    境野清雄君 今の金融問題につきまして質問いたしたいのですが、私から数字を申上げても、これはもう分つているものですから、極く簡單に申上げますが、大体中小企業庁金融実態調査によりますと、銀行金融を申込んだものが四六%、全然申込まない人が非常に多い。五三、五%というような形になつておりますし、それを総括的に見ましても、又その残りの人達を見ても、銀行は三五%くらいの利用をしている。又組合金融、いわゆる庶民金融金庫を通じてのもの、問屋、親工場形態のものが共に六%くらい、又親戚、質屋とか、高利貸というようなものの個人金融的のものが一七%くらいある。そうしてやはり残されたものが、三六%からのものが残つておるのでありまして、私共の考えとしては、政府が如何に金を流しましても、この中小企業零細企業の方はこれに流るる途がないのじやないか。そういうものに対して、これが数字においては一番多く含んでおるのでありまして、今の見返資金なり、或いはその他のもので百五十億ばかりお出し願つたというお話は非常に結構なんでありますけれども、そのものが流れて行かな一零細企業が非常に多いのじやないか。先程お話の大企業に流せば下催廻るというようなお話でありましたけれども、大体大企業金融に行詰つておるのでありまして、大企業へ行つたものは、大体我々が知つておる範囲では下へ流れないというような傾向になつておりますので、ますます零細企業は行詰るのじやないか。こんなふうにも思いますので、今のパーセンてージから行きましても、大きなものが政府施策恩惠に浴しないというような形になつておるのでありますが、これは大臣どんなお考えを持つておるか、お聞きしたい。  それからもう一つ、昨年中小企業庁の方で御計画なさいました例の二十億の融資、これが銀行との折衝が不円滑のために行詰つた。これと関連性を以て今度の月一億という、今までのまあ三億というものが出たのかどうか。若しそれが出たといたしまするなら、前の二十億は、当時の通産省といたしましては企業経営合理化資金謳つてつたのでありますけれども、それがたまたま只今中小企業庁長官からのお話で、百十三件で一億四千万円の金を放出したというお話でありますけれども、これは果して企業合理化資金に廻つておるかどうか、私共地方金融状態を見ますと、大体銀行多額に貸越している人にのみ偏在的にこれに貸しておるのでありまして、金融業者の一方的の考えから金を貸出しておるので、この覧億円の見返資金を折角出して頂きまして、そうして地方中小企業が潤うかというようなことが、実際は相当食違いがありまして、銀行から自分の持つている担保よりも多額に傘を僭越しているという人にのみ出ておるような実態でありまして、この点是非調査して頂ければと、こんなふうに思う次第であります。  それからこれは金融問題じやないのでありますけれども、昨日の絹人絹織物不況対策懇談会のときにお話の出ました滞貨処理の問題、これが昨晩私帰りまして東京新聞の夕刊を見ましたところが、滞貨処理の、滞貨繊維放出に対して、通産省安本並び大蔵省の見解が非常に対立しておるというようなことが書いでありまして、通産省としては購買力が低下して繊維品が非常に厖大に流れており、そうして又価格が暴落している際に輸出向ストツク放出することは、ますますデフレ傾向を強めるというような趣旨の下に、通産省側としては反対をしているような形でありまして、これは市況が一応回復するまで待つ、これは私共尤もなことだと思つているのでありますが、たまたまそこに安本大蔵省側言分が書いてあつたのでありますが、これによりますと、繊維製品はいい品質の出回りは非常に殖えて来た。それで尚且つ値下りの傾向にあるのだから、大量のストツクを長い間手持ちすることは公団赤字を一層増大する、又金利、倉敷料というようなものでも数十億の赤字が出ているのじやないか、又ストツクが長ければ長い程品物を傷めてしまう。そうして値引割合が大きくなるから、これでは困るから、繊維公団が三月一杯で廃止になるのだ。こういうような四つの條件を出しまして、安本側通産省側は反対しておる、いわゆる意見が対立しておるというような新聞を見たのでありまして、この滞貨繊維放出という問題は、全国繊維業者相当重大視しているのでありまして、この際こういうような対立があるのかないのか、又あるといたしまするなら、通産省の方の主張はどうなるかということを、是非この際大臣にお伺いしたいと、こう思う次第であります。
  22. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 初めの、金の流れの問題でございまするが、これはやはり金融というものは、大企業中小企業或いは一般消費者、こういうふうに分けられまするが、金はおのずから自然にずつと流れて行くのでありまして、日本産業状況の組織を見ますと、大企業に密着している中小企業がありまして、大企業へ行けばそれが中小企業に流れる場合もあるのであります。皆それが下の方に流れるかと申しますと、なかなか中小企業に流れない部分もありますので、今お話のありました二十億円というのは私よく存じませんが、昨年八月頃までは中小企業に対しては、何でも月額融資は十二億円だつたと思います。それを段々殖やしまして、只今は三十九億円に殖えました。即ち二十七億円殖えております。三十九億円出ておりますこの月額融資は、必要があれば五十億円でも、百億円でも出すという用意があります。金融業者と打合せしてあります。自由党の方ではこれを五十億円にしろという話がありましたが、五十億円でも、六十億円でも、七十億円でも月額融資の要求があれば幾らでも出す考えがあるのであります。別にやはり大企業の方にも出るのでありますが、中小企業方面にも見返資金から貸そうという別個考え方で行つでおるのであります。而もこの五十億円というのは、單なる初めの目安でありまして、私は相当額殖え得ると考えておる次第であります。  次に、輸出滞貨の問題、殊に繊維製品につきましての滞貨の処分は御承知かと思いまするが、一週間くらい前に、三月までに金融し、早急に処分しろという覚書がありました。我々はその覚書によりまして、いろいろな工夫を凝らしております。工夫を凝らしておりますが、なかなかうまく参りません。契約しておつたものも取消さなければならないような状況になつて参りました。今通産側考え方、或いは新聞にあるとおつしやいました大蔵安本側考え方は両方とも理窟があるのです。理窟があるのですが、片一方が理窟が通るからといつて計画を無規するわけには行かない。幸いに私は両方兼ねておりますので、これは適当な機会に、できるだけ適当な価格でやりたいという信念の下に、考えの下に、現状に副つてつて行きたい。一応そういうふうな覚書が出ておりまするが、私は関係方面にも、現在の実情はこうであるという話をさしております、又この滞貨が三月中に処分できない場合の大蔵省としてのとるべき策を只今検討させておるのであります。この現状を無観するわけには行きませんがこれに副つたような、現状にマツチするような案を今考えておるのであります。決して両者の間に齟齬はないと思います。ありましても私一存で決められることではありませんから、現状に即した方法をとつて行きたいという考えを持つております。
  23. 中川以良

    中川以良君 大蔵大臣としてお尋ねしたいのでありますが、見返資金勘定が最近は非常に活発に出ておるのでありますが、昨年のごとき産業方面に出ましたものが極めて緩慢であり、手続、が煩瑣である、非常に時間を要するために、折角当にしておつた資金も時間的に非常に遅延いたしまして、いろいろな齟齬を来しておるというような点も沢山聞いておるのでありますが、最近の情勢はいろいろ御当局でもお骨を折つて頂きまして、手続等相当簡素化されて来たので参りまするが、大体今企業が申込みまして、これを当局調査して最終的に金が出るまでどのくらいの時日を要しておるかというふうな現状を、一つ伺いたいと思います。  それから中小企業の方は銀行を通じてやつておるのでありますが、これも普通の融資よりも相当手間取るようでありますが、これらの点を、どのくらい時日が概ねかかるかというようなことにつきまして、又更に従来よりこういう点を簡素にしたというようなこと等につきまして伺いたい。
  24. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 見返資金の運用につきましては、度々各委員会質問があつて答えているのであります。何分にも初め昨年の八月頃までは金利の問題が決まりません。これによりましてスタートが遅れたのであります。二又金利の問題が決まりましても、借りる方が償還計画をどういうふうに立てるかということがなかなかむづかしい、そういう関係相当遅れたのであります。これは一般銀行に参りましても、例えば一般銀行で三億とか、五億を借ろうといたしますと、二、三ヶ月は月日がかかるのであります。見返資金スタートは遅れましたが、その後におきましては余程円滑に行つております。日本銀行で調べ、そうして、大蔵省で調べまして、大蔵省で調べると同時に向うでも検討して貰う、向うも人員を殖やしまして、この頃では物によつては違いまするが、一ケ月ぐらいで出るのもあります。三ヶ月ぐらいで取れるのもあります。まあ大体普通の銀行貸出しよりは非常にうまく行つているのじやないかという気がするのであります。何と言つて資金があるのでありますから、金の入つて来ること、出ることを考えるのではなしに、金があつて貸すだけのことをやつておるのでありますから、割合早くできると思うのであります。中小企業に対します分も、やり始めたのは昨年の十二月の中頃であります。二月においては五千万円しか出なかつた。三月の六日で一億円出ておる、こういうので、今後はスムーズに行くと思つております。まあ只今のところ手数が銀行より長くかかることはないと考えております。
  25. 中川以良

    中川以良君 今のお話を承わりまして、非常に心強く感じたのでありますが、今日の金詰りの原因も昨年見返資金産業方面に非常に遅れて来た、殆んど出ていないというような状態が大きな原因をなしておりますので、一層一つこれらの点について手続も簡素にして頂きまして、迅速にお運びを頂きたいと思つております。  それからもう一つ承わりたいのは、各地方で最近中小企業関係、無論商工中央金庫その他信用組合等を利用しておるのでありますが、有力な銀行の支店で融資することを各方面でやはり熱望しておる向がございます。これに対しては、大蔵省の方で許可をされることが非常に困難だというように承つておるのでありますが、銀行が支店を出すなら、どこかの支店を閉鎖しなければ許可しないというような御方針のように承つたのでありますが、これらに対してはどういう御所見をお持ちか。それから尚地方においては、最近はやはり地方銀行を新たに一つ作りたいというような考え方を持つておる向も相当あるようでございます。これに対してはやはりそういうことは当局として御慫慂になるかどうか、その点を一つ承わりたい。
  26. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 銀行の支店問題でございまするが、私は大体において支店は只今程度でよいのじやないか、支局を余り多くいたしますと、銀行の採算上面白くないものがあるのであります。殊に大銀行地方に支店を置きますと、得でしてその地方の金を集めて都会へ持つてつてしまう、こういうような思わしくない結果も見られまするので、支店は大体今の数くらいでよいのじやないかという考えを持つております。併し地方銀行におきましては、従来長い間一県一行主義で、一つ県に二つあることはまあ例外はございますが、原則上よくないというような考え方で合併さして来たのであります。これが中小企業に可なり惡影響を及ぼしておると考えられますので、第六国会の財政演説で一県一行主義は打破する、今後は一県に二つでも三つでも、適当に経済事情に副つて銀行が設立されるこちが望ましいことだという声明をいたしたのであります。その後正式の書面で三、四件出ております。口頭では私のところへ五、六件来ておりますが、この点も私は成るべく早く認めるようにしろ、どうもやはり役人というものは、先程申上げましたように、銀行業、信用業というものは余程堅いところでやられなけばいかんという頭があるのでありまして、特例といたしまして、近日中に或る県では一つ認可することに決まりました。ただ一つ非常に小さい県で、而も今一軒ある銀行が二十億程度のところにもう一つ銀行を置くということは、今までの銀行が非常に経営不如意になるか、共倒れというようなことがあるようでは困りますので、出て来たものを全部認可するというわけには行きません。やはりその地方産業状況、今までの預金状況を見てから考えて行く。とにかくああいう声明を出しました関係上、又今出ております中には適当なのがございまして、或る県の分は今日早急に認めて行く。我々はその地方銀行ができて、而も中小企業のために非常に助かる、それから銀行の経営も十分やつて行ける見通しが付いたならば、どしどし、認可する考えであります。   —————————————
  27. 高橋啓

    委員長高橋啓君) 大臣に対する御質疑をこの程度にいたしまして、それでは帝国石油株式会社法を廃止する法律案について、前回に下條委員質疑が保留されておりますから、下條委員の御質疑をお願いいたします。
  28. 下條恭兵

    下條恭兵君 一点だけお尋ねいたしたいのでありますが、この前も輸入税のことにつきましてお尋ねしたのでありますが、今朝新聞を見ますと、毎日新聞でありますが、石油は一キロリツトル七円で動かさないとありますが、これは私は実は非常に輸入税のことを重く考えますので、日本の油田の特性からいつてとてもコストが外国の油田に立向えるとは思いませんので……併し又一万から言うと、この前も私申上げましたように、国際収支のバランスの上から言いましても明瞭でありますが、採油業そのものに対する直接の従業員が、たとえ一万人であつても、一万五千人であつても、その採油業が仮に立行かなくなつたとしますと、失業する者はそれだけでないという点でおります。これは御承知のように特殊な事業でありますために、例えば井戸一本掘ると直ぐ道路工事からやつてかからなければ仕事ができないという意味で、関連事業としましては、土建業から建築から、或いは機械の修理工場といういうようなものまで、いろいろなものが非常に沢山これに附随して生活して行く状況なので、その面からいつても非常に大きい問題だと思いますので、特にお考えを伺つたのであります。課税の点をお尋ねしたのでありますが、今日の新聞にはそういうふうに書いてありましたし、尚且つ戰前の関税のレートですと、日本の場合には私は税率は今記憶しておりませんが原油を輸入した場合と精製油を輸入した場合と、採算においては全く変りがないような制度になつてつたのでありますが、今後おやりになる場合、今日新聞に出ておつたような非常に安いことで将来とも僅かな輸入税でやられるとすれば、私は内地の採油業は立行かないと思うのでありますし、それから同じ輸入をするにしても、精製油を輸入するよりも原油を輸入しますと、いわゆる関連産業も非常に助かるという関係もありますので、この点を一つ詳しく御説明願いたいと思います。
  29. 宮幡靖

    政府委員宮幡靖君) 輸入原油の課税の問題については、前回の御質問がありました国内産業の油と輸入原油によります精製油との間の開きにおいても、大体三千円くらいの開きがあるであろう、こう予想しておりますので、若し関税によりましてこれを調節するといたしますならば、その狙いは勿論関税だけのものでありまして、国内の採油業を圧迫しないように取計らつて行きたいと考えております。これは前回申上げて置いた次第であります。本日の新聞の記事を御指摘になつておりますが、それがいずれの根拠によつて出ておりますか、只今的確に把握することができないような状況であります。一キロリツトル当り従価七円というようなことは、現在通産当局といたしましては判断に苦しむような数字でありまして、それが正しいとか正しくないとかということも亦批判の限りでない、かように考えております。ただ例示的に申上げますと、若し客観情勢によりまして、原油に対します課税がさような軽微のものでありまして、国内油との間の概ね三千円と推定されております価格の調整が、関税だけで達せられなかつた場合としては、前回もちよつと申上げましたように、価格調整公団にはるプール方式を併せて行いまして、それによりまして価格の調整をいたし、その面から御指摘のような各種の弊害を伴いますところの格価の不均衡は是非共なくしたい、かように考えております。
  30. 下條恭兵

    下條恭兵君 関連してもう一つ簡單にお伺いしたいと思うのですが、私さつきお尋ねしたのは、私のお尋ねは明瞭でなかつたかもしれませんが、国産の原油としての場合は御説明でよく分りましたが、輸入の場合でも、原油の場合と精製油の輸入の場合と、この二うの場合の関税の扱い方をどうお考えですか、お伺いいたしたいと思います。
  31. 宮幡靖

    政府委員宮幡靖君) 詳しいことは又必要がありますれば鉱山局長から申上げますが、交渉の過程につきましては、残念ながらこの席ではちよつと申上げ兼ねるのであります。併しながら御趣旨は誠によく分つております。原油は原油として、精製油は精製油としての見方におきまして、ふさわしい関税を設けておる。それが達成できるとできないの問題は、ここで言明はいたし兼ねるわけでありますが、その見解で交渉いたしておることは事実であります。
  32. 高橋啓

    委員長高橋啓君) 外に御発言もございませんでした。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
  33. 高橋啓

    委員長高橋啓君) それでは御異議ないものと認めます。それでこれから帝国石油株式会社法を廃止する法律案について討論に入りたいと思います。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 高橋啓

    委員長高橋啓君) 御意見のおありの方は、それぞれ賛否を明らかにして述べて頂くのでありますが、下條委員から討論の通告がありますから、先ず下條委員から御発言を願います。
  35. 下條恭兵

    下條恭兵君 私は、いろいろ帝石法の廃止について政府にお伺いしたのでありますが、私は大体日本の採油工業は純粹な民間事業ではなかなか成立たないいと思います。その意味において国営でやる方が最も適当だと考えておるのでありますけれども、仮に民営にするとしますと、私が先般来指摘いたしたような、いろいろな点で事前にすつかり処置せられておりませんと、非常に事業が衰微する虞れもあるかと思いますので、こういうような見地に立つて私は廃止に反対するものであります。
  36. 高橋啓

    委員長高橋啓君) 外に御発言ありませんか。
  37. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 これは細かな点は省略しますが、結論的から言つて反対いたします。というのは、やはりこれは国営で育成すべきであるという論点から。それからこれをこういう形で、こういう政治的條件で以て、こういう政府の手でこれを民営に移すということは、結局は外国資本に利用されるものになり終るであろうという意味で、この二つの点から、細かな説明は省略いたしますが、結論的にそういう二つの点からこの法律案に反対いたします。
  38. 高橋啓

    委員長高橋啓君) 外に御発言ございませんか。外に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 高橋啓

    委員長高橋啓君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  40. 高橋啓

    委員長高橋啓君) 速記を始めて。それではこれより帝国石油株式会社法を廃止する法律案について採決をいたします。原案通り可決することに賛成の方の御挙手をお願いいたします。    〔挙手者多数〕
  41. 高橋啓

    委員長高橋啓君) 多数と認めます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。尚、本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によつて予め多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において、本案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認願うことに御異議はありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
  42. 高橋啓

    委員長高橋啓君) 御異議ないものと認めます。それから本院規則第七十二條によりまして委員長が議院に提出する報告書につき、多数意見者の署名をすることになつておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     玉置吉之丞  中川 以良     山内 卓郎  宿谷 榮一     駒井 藤平  境野 清雄     鎌田 逸郎
  43. 高橋啓

    委員長高橋啓君) 御署名漏れはございませんか。御署名漏れはないと認めます。   —————————————
  44. 高橋啓

    委員長高橋啓君) 次に、承認を求める件が二つありますが、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、電気試験所熊本支所設置に関し承認を求めるの件、同じく日用品検査所支所設置に関し承認を求めるの件、この二つが同じ承認を求める件でありますが、これを一括質疑を行いたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 高橋啓

    委員長高橋啓君) それでは御異議がないものと認めまして、これから質疑に入ります。どなたか御発言はありませんか。
  46. 中川以良

    中川以良君 今の検査の問題でございますが、検査機構を拡充されて行くということは大変結構でありますが、最近のいろいろな状態を見ますると、まだ検査が極めて疎漏であり、形式的であるという点が多々見られるのでありまして殊に輸出品等に対しましては非常なクレームが見られる。これらもいわゆる検査が十分に行われておらない一つの証拠でございまして、丁度昨年十二月十七日のビジネス・ウィークの雑誌に載つております記事におきまして、日本製品は品質が非常に不良であるという点を強調しております。これらに対しましては、その後通産省におきましても、あの雑誌の記事が問題になりまして、いろいろ御調査を頂いておると思うのでありますが、これらに対してどの程度今日御調査をしておられるかというような点を一つ伺いたいと思います。
  47. 田中茂

    政府委員(田中茂君) 私の関係しておりましたもので、ゴムベルトの件が載つておりました。載つておりました事実は実際と非常に違つておりまして、何か他の意図があつて出たんじやないかと思われるのでございまして、約六十五トンのべルトを朝鮮向け輸出したのであります。これはゴム検査協会が一応検査いたしたものでございます。購入者側の係官が調べたものでございますが、たまたまそのうち一本だけ一つの穴があつた。それを掴えまして、約三百六十トンのゴムべルトが殆んど全部穴だらけであつた、こういう趣旨に出ておりましたが、事実と相違いたしておりまして、こちらといたしましては、只今それは事実と違つておるのだということを抗議いたしております。それ以外についてはちよつと私担当外でございます。
  48. 中川以良

    中川以良君 クレームのうち殆んど四割以上が品質の低下のためだというようなことが言われておるのでありますが、殊にいろいろな日用品、雑貨等におきましては、従来見込輸出をやつておりました関係上、いわゆる見込輸出許可を受けまして、資材を獲得して、実に粗惡なものを作つておる。これがいわゆる今次問題を惹起しておりますところの原因になつたのであります。これらはやはりどうしても製品の工程途上における検査、指導ということを徹底しなければならんと思うのでありますがこれらの点に対しては、現在どういうふうに御指導になつておるか、今後こういう機構の拡充につれまして、こういう点を徹底的におやり頂くのか、どうかということを承わりたいと思います。
  49. 田中茂

    政府委員(田中茂君) 輸出品の不良の問題は、輸出産業振興のために一番の障害になるところでありまして、中川委員からの御警告並びにお尋ねに対しましては全く同感であり、従来までの経過におきまして、残念ながら遺憾の意を表さなければならないわけであります。本御審議を願つております日用品検査所の支所を設置しますゆえんも、実は検査の点におきまして十分でないということが提案理由で申述べたような実情に即して盛られたものでありまして、やつております現在の輸出品に対します検査は、これは飽くまでも輸出業者或いは生産業者の両方の責任におきます自主検査であります。これに対じて政府がいわゆる抜打的な監督、検査をやつておるような実情であります。それが如何せん、東京と大阪だけの両支所では、九州方面或いは中国地図等の検査に遺憾がありまして、いろいろの不良品が輸出になつておる。かようなことに鑑みまして、今回支所を設置し、人員も僅かながら拡充いたしましてこれに対応して参りたい。併しながら如何に検査機構を拡充いたしましても、要は輸出に携わります生産業者の、いわゆる自覚ということが先決問題だろうと思うのであります。機会あるごとに通産省といたしましては、この方面に対しまして警告的な措置をとりまして、若し不良品が拔打検査によつて発見せられるというような事態がございましたならば、取締法の規定に照しまして、輸出取扱禁止というような処置、或いは貿易管理法に基きますところの輸出業者としての業務の相当期間の停止措置によりまして対応して参りたいと考えおるのであります。併しながら、これを処罰することが目的でない、振興させる方が目的なのでありますので、是非今後とも検査の徹底を期するために、少いながらも所員を拡充いたしまして、監督、検査を一層励行いたして参りたい。のみならず、機会あるごとにこの検査のあらゆる施設を拡充いたしまして、従来冒されました失敗を少しでも減らす、或いは絶無を期する意味の措置を講じて参りたいかように考えておるのであります。
  50. 中川以良

    中川以良君 検査は、今政務次官のおつしやつた通りでありまして、これは官としては、いわゆる自主的な検査をやつておりますので、今のような機構、今のような人員では、いわゆる検査、指導ともなかなか困難であろうと思います。又業界が一切官に頼り、官の検査官を煩わすというような点は甚だ面白くないと思うのでありまして、今おつしやつた通り私も全く同感であります。これがためには、やはり業界として自主検査をやりまして、本当に良心的ないいもの作つて行くということが先決問題だろうと思います。この自主検査を徹底させますためには、従来のような事業者団体法というものの活用される点が多々あると思うのであります。これに対しましては、今日の事業者団体法によりまして、なかなか実施ができないというような点から見ましても、いわゆる事業者団体法を将来改正すべきものであろうと私は信じております。これは以前稻垣通産大臣にも何度か申上げたことがあると思います。この検査の問題だけではないのでありますが、当局としては、この事業者団体法の改正を意図しておるということを言明しておられたのでありますが、今日検査の問題から見ましても、これは是非必要だと思います。こういうような点に対しまして、政務次官はどういうお考えを持つておられますか。
  51. 宮幡靖

    政府委員宮幡靖君) 只今御指摘のように、自主的の検査をもつと統制ある形で、もつと嚴重なものとして実施するのには事業者団体法というようなものの改正をしなければならん。これも全く御意見の通りだと思います。稻垣前大臣がこの席におきまして御言明いたしましたことは、私記憶に残つておるわけでありますが、爾来通産省といたしましては、事業者団体法は存しましても、その解釈におきまして行い得ますものは是非行なつて見たい、許して頂きたい、さような気持で折衝を続けておるわけであります。凡そ事業者団体法の狙いというものは、カルテル組織の再建ということを狙つておるわけであります。輸出品の品質を向上し、いい品物を輸出するという目的のために何らかの協定をするというような、何らかの団体を作るということが真向から事業者団体法にぶつかるものであるかどうであるか、こういうことにつきましても非常な関心を以ちまして交渉を続けておりますが、御承知のように最近関係筋の担当官が大阪に参られました場合の新聞に出ております記事が真実であつたといたしますならば、その声明の中にもありますように、なかなか事業者団体法を変える気持はない。これは新聞のことでありますからも真偽はここで申上げるわけではありませんが、そういうような状況でありまして、現在のところ速かにこれが解決できるとは考えておりませんが、是非ともこういう場合に障害となる法律であります以上、変らざるところの努力を続けまして、是非御意見のようなことを実現して見たいと、さような努力を続けておるような次第であります。
  52. 高橋啓

    委員長高橋啓君) 両案について他に御発言もないようですから、質疑は盡きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 高橋啓

    委員長高橋啓君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、電気試験所熊本支所設置に関し承認を求めるの件並びに同じく日用品検査所支所設置に関し承認を求めるの件。この両案を議題といたしまして討論に入ります。御意見のおありの方はそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御意見がないようでございますが、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 高橋啓

    委員長高橋啓君) 御異議ないものと認めます。  それでは両案についてこれから採決いたします。原案通り可決することに賛成の方の御挙手をお願いいたします。    〔総員挙手〕
  55. 高橋啓

    委員長高橋啓君) 全会一致、両案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  尚、本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によつて、予め多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認願うことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 高橋啓

    委員長高橋啓君) 御異議ないものと認めます。  それから本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書につき、多数意見者の署名を付することになつておりますから、本案を可とせられた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     下條 恭兵 玉置 吉之丞     中川 以良 宿谷 榮一     鎌田 逸郎 駒井 藤平     境野 清雄 山内 卓郎     阿竹 齋次郎
  57. 高橋啓

    委員長高橋啓君) 御著者漏れはございませんか……御署名漏れはないと認めます。   —————————————
  58. 高橋啓

    委員長高橋啓君) 次に、産業復興公団法の一部を改正する法律案について質疑をいたしたいと思います。別に御発言もないようでございますから、質疑は盡きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 高橋啓

    委員長高橋啓君) 討論、採決は次回に讓りたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 高橋啓

    委員長高橋啓君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  61. 高橋啓

    委員長高橋啓君) 次に、中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案について質疑を行いたいと思います。別に御発言がなければ、これも次回に譲りたいと思います。  今日はこれにて散会いたしまして、先程お諮りいたしました、セメント業界の陳情を聞くことにいたしたいと思います。今日はこれで散会いたします。    午後二時五十三分散会  出席者は左の通り。    委員長     高橋  啓君    理 事     玉置吉之丞君    委 員            下條 恭兵君            中川 以良君            境野 清雄君            阿竹齋次郎君            鎌田 逸郎君            山内 卓郎君            兼岩 傳一君            駒井 藤平君   国務大臣    大 蔵 大 臣    通商産業大臣  池田 勇人君   政府委員    通商産業政務次    官       宮幡  靖君    通商産業事務官    (大臣官房長) 永山 時雄君    通商産業事務官    (通商企業局    長)      石原 武夫君    通商産業事務官    (通商雑貨局    長)      田中  茂君    資源庁長官   始関 伊平君    通商産業事務官    (資源庁鉱山局    長)      徳永 久次君   説明員    中小企業庁長官 小笠 小韶君