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國務大臣(
池田勇人君) 先般
大蔵省関係の
新聞記者諸君との
会談の際におきまして
中小対策の
一環といたしまして、いろいろなことが
話題に
上つたのでありますが、その機会に、その際に
中小企業者の一部におきまして没落する人があるのは止むを得ないということが
新聞に出まして、それが
国会並びに
世間に非常な
話題の種をまき、悪影響を及ぼしたということにつきましては私も誠に遺憾に存じておる次第であります。併し私の
気持といたしましては、昨
日本院本
会議において申述べましたように、過去の
インフレ高進時代或いは又
統制経済時代から、急速に
安定経済への
施策を講じて行きます場合におきまして、各
方面にいろいろな困難な問題が起
つて来ることは、当然予期しなければならないことであるのであります。
自分といたしましては、この困難をできるだけ少く又できるだけ願わくんばなくして、円滑にこれを処理して行くように日夜努力いたしておるのであります。併し何と申しましても非常な変化でございますので、我々としては渾身の努力をいたしまして、
勤労階級、
農業者は勿論のこと、
中小商工業者においても特に外の
階級よりも衝撃を受けることが多いのでございまするので、
金融面におきまして、又
租税面におきまして、特段の
措置を日夜講じつつあるのでありまするが、数多い中でありましてそういうことの絶無を期待してや
つておるのでありまするが、若しそういうふうな場合が極く少
部分に起りましたときに、これはもう残念ながらいたし方がないので、
自分としてはそういうふうなことが予期できるような場合におきましては、これを絶滅するように努力しておるけれども、万が一起つた場合においてはいたし方ない、残念であるがいたし方がないという
気持を持ておるのであります。それがたまたま一番仕舞のところが特に取上げられまして、
世間を騒がしたということにつきましては、誠に申訳けないと
考えておるのであります。将来
中小企業が
産業の
中核をなすものであるということは、万人異論のないところでありまして、而うしていろいろな
施策もこれに
重点をおくことにつきましても、当然のことであるのであります。私はこの
意味におきまして従来から努力いたしておるのでありまするが、今後はこういう問題を契機といたしまして、一層
中小企業の
育成発達に力を向けていきたいというふうに
考える次第でございます。
以上先般の
新聞記事の問題につきまして、一応私の心持ちを
お話申上げて、皆さんの御了解を得たいと存ずる次第であります。