○証人(沼田義雄君) 私は
価格差益金の問題と、
織物消費税の善後
措置の問題につきまして御
説明申上げます。
差詰めの問題といたしまして、
価格差益金の問題でございますが、一手買取り、一手販売というような
織物統制会社、若しくは衣料品配給
統制会社という時代に起りました
差益金は別といたしまして、それから後の問題につきまして、個々の
業者が支弁することに相成りましたものにつきましての問題でございます。その第一回に起りました
差益金は、
昭和二十二年の九月の下旬頃でございまして、新物価体系によるところの
差益金、こう言われております。これは非常に大巾に引上げられまして、
絹織物につきましては大体四・五倍から五倍、
人絹織物につきましては七倍から八倍、その他各種
織物も同様の率に引上げを見たわけであります。次は
昭和二十三年九月のこれも下旬でございまして、これはいわゆる補正体系によるところの
価格の引上げということで、このときは大体倍額の引上げを見ておるわけでございます。それから本年に入りまして為替レートの変更によりまして、八月から九月にかけて
価格の引上げがございました。こういうふうに三回の引上げがあ
つたわけでございますが、只今焦眉の問題として我々が非常に困窮いたしております問題は、
昭和二十二年の新物価体系によるところの
価格の引上げと、二十三年の補正体系によるところの
価格の引上げのこの
二つでございます。昨年の六月に
絹織物並びに
生糸等の
統制の
撤廃を契機といたしまして、
絹織物の
価格は可なりの下落をいたしました。それに引ずられまして、その他の繊維もいずれも下り歩調に転じたのでございます。この当時から
価格差益金に対しまする納付の困難が各
方面で論議されるようになりまして、八月頃
調査をいたした数字をここで申上げますと、絹、
人絹の
織物並びに毛
織物、その他第二次
製品等合計いたしまして、
昭和二十三年、いわゆる補正体系によるところの
価格引上げによ
つて生じました
差益金は、三十三億四千百七十万円を計上いたしております。その当時の相場の下落から、この
差益金の納付に対しましては非常に困難な
状態にな
つて参りましたことをお考えを頂きまして、十月の七日に当時の衆議院商工
委員会の繊維対策小
委員会でこの
差益金の問題を採上げて、我々やはり公述人として出頭を命ぜられましてお話を申上げたわけでありますが、その席におきまして
関係業者いずれもその苦衷を述べたのでございます。その席で御出席にな
つておられました物価庁の第一部長から、こうしたお話がありました。それはその当時
価格差益金の納期が非常に遅れているということによ
つて、督促状を出すという話が專らでありましたので、その件につきましてお伺いをいたしましたところが、
価格差益金の生じた後において、財界の
状況、
繊維業界の有様が非常に悪くな
つたというのであるならば、納期の点については、一旦決めたことではあるけれども、尚改めて御相談をしよう、それから
価格の差益は申上げるまでもなく
価格の改訂がありますると同時に、在庫を大体のあらましを掴みまして、そうして予定
報告というのをいたします。それからそれを販売いたしました後に補正
報告というのをいたしまして、
価格差益金の全額が決定するという建前にな
つているわけでございますが、一応予定
報告をいたしました後におきまして、補正
報告においてそれが少くな
つて来た、或いは予定
報告に
つて差益金を納付したために納め過ぎにな
つてしま
つたというようなものについては、特別に取計
つて、これを拂戻し若しくは
差益金の是正をしようというようなお話もあ
つたのでございますが、我々が一番有難く思いましたのは、納期の問題について又改めてよく話合いをしようということであ
つたのでございます。然るに最近伝えられるところによりますると、
昭和二十二年の
差益金は三月末日を以て督促状を出す、二十三年の
差益金については四月末日を以て督促状を出すということに決定をしたように承
つております。督促状が出されますと、一日日歩二十銭の督促料を加算される、
従つて一年半そのまま置いておけば
差益金と同じ額の督促料が付くという
状態に相成るわけでございますが、そこで今日の
業界はどうであるかと申しますと、お手許の方に差上げてございますが、ここに一例を申上げますと、「主要
絹織物価格の動き」というのを差上げてございます。一番最初に銘仙を挙げてございますが、銘仙の二号が
昭和二十二年九月、いわゆる新物価体系によ
つて引上げられましたときのマル公、
公定価格が千五十四円ということにな
つております。それから二十三年の補正体系によ
つて引上げられました
価格が二千二百三十六円十銭、こういうことにな
つております。ところが三十四年の六月、昨年の
生糸並びに絹
製品の
統制が解除されました当時は二千円、約一一%の下落をいたしております。二十四年の九月、昨年
織物消費税の問題が、シヤウプ
勧告の概要が発表になりました直後、そのときの
価格が千六百五十円から千八百円、二七%から一九%の下落をいたしております。更に昨年の十二月、これは千百円となりまして、実に二十三年九月新マル公に比較いたしますと、五一%の暴落をいたしているのでございます。更に又本年の二月、今日現在の
状態におきましては実に九百円というような
状態で、六〇%の下落をいたしております。先程
境野議員からお話のありました両毛並びに
関東産地等におきましては、本年の一月から今日までに少くとも一割五分の下落をしている、かような
状態でございます。こういうような
状態でございまして、特に昨年の暮から本年の初めにかけて新聞にデパートの広告が出ておりますが、あのデパートの広告では、盡く繊維を客引きに使
つている。例えば銘仙のごときにいたしましても、千円以上のものは載
つておりません。千円のものを九百円、五百円に値下げをして、つい最近も京都のデパートにおきましても、一ダース五十円の靴下を売
つている、紙より安い靴下というので売
つている。これは
人絹の靴下でございます。さような
状態で、絹、
人絹のみならず他の第二次
製品、その他の
繊維業界におきましても著しい暴落の
状態でございまして、昨年の八月においてすら納期の問題については考慮しようと仰せられたにも拘わりませず、かような悲境のどん底になるべき三月、四月に督速状を出されるということは、到底
業者の忍び得ないところでございます。この問題は非常に大きな問題とな
つて、今
業界は沸いているような始末です。よろしくこの点御考慮をお願いいたしたいと存じます。
尚この
差益金処理規則の面につきまして、先程日本繊維協議会の奥理事長からもちよつとお話がございましたが、
価格差益金の処理規則は、
昭和二十一年の三月の三日に公布せられまして、爾来六回に亘
つて改正が加えられておるわけでございますが、この処理規則の内容を一々検討いたしますと、非常に不備な点があるのでございますが、最も主な点を申上げますと、この処理規則は、
価格が一本調子に上ることのみを考慮に入れて、そればかりを考えて作
つた規則でございます。
従つてそれによ
つて波及するところの、或いはマル公が外され、或いはマル公がありましても、
価格がマル公以下にな
つた場合のことは少しも考慮せられておらない。例えば今まで千円のものが五千円に値上りをした。そうしてそれを販売いたしまして、その卸売
業者におきましては五分の四、
生産者におきましては三分の二を
差益金として
政府に納付いたすわけでございますが、その卸売
業者の場合におきまして、千円のものが五千円に値上りをする。マル公の引上げがあ
つた。そういたしますと、四千円を
差益金として
政府に納付してしまう。残りましたのは
資本金の千円と、それから五分の一の交付金の千円、この二千円でございます。それを以てその二千円の仕入金では従来の商売の量の五分の二しかできないという形になる。これに対して何ら
金融的万策も講ぜられておりません。
業者は必然的に生れました
差益金の納付を延期せざるを得ない形に追い込まれざるを得ない。
尚もう
一つといたしましては、
価格差益金が、
価格が下りました際に、一向これに対して補助するという途が開かれておりません。この
価格差益金処理規則は昨年の十二月一日を以て一応
廃止されたようでございますが、先程奥理事長の申されましたように、いわゆる名
目的利益を現金で納めてしまう。その後において
現実に損をしたわけでございまして、その件につきましても何らかの方策を講ぜられますよう、お願いいたします。要するに
価格差益金の問題に関しましては、現在
業界焦眉の問題とな
つております。三月末、四月末の督促状の問題、併せて
価格差益金処理規則の不備の点を補正する意味におきまして、何らかの対策をお願いいたしたい。かように存ずる次第でございます。
続いて
織物消費税の
撤廃後の
状況につきまして公述をいたします。
織物消費税並びに
メリヤス製品の物品印税の
撤廃は、
業界が多年
要望いたして参りましたところでございまして、特に数年来これが貫徹を
業界を挙げて
関係当局に対して強力に要請をして参
つたのでございますが、昨年の
シヤウプ博士の
勧告に基きまして本年一月から
現実に
撤廃を見るに至りましたことは、いわゆる国民の負担を軽減すると共に、
織物類のいわゆる
輸出向き、
内地向きを共通化せしむるという点におきまして、国家経済上文
業者の面におきましても、誠に同慶に堪えない次第であるのであります。このことを、
織物消費税がなくな
つた、このこと自体は
業界多年の
要望が実現をいたしましたのでございまして、誠に喜ばしいところなのでございますが、その反面誠に遺憾な点が
シヤウプ博士の
勧告文が余りにも早く発表されましたために、
業界に
幾多の波紋を生じ、又派生的に生じたいろいろな悪
事業が
業界に與えました
影響の実に夥しいものがあ
つたのでありますが、我々
業者といたましては、この当然起るであろうところの惡事象を予測いたしまして、昨年八月二十七日
シヤウプ博士の
勧告の概要が発表になりますと同時に、行動を起しまして引下げ若くは
撤廃の早く実施せられること、併せて実施日の前の日における、実施の前日における販売
業者の手持品に対する
撤廃税額に相当する補助金の交付につきまして
関係要路に要請し、併せて第六臨時
国会にも陳情を続けて参りました、この早く実施して貰うということにつきましては、シヤウプ
勧告の発表以来、同
勧告文に明示されておりました九月一日に遡
つてもよろしい、或いはできるだけ早く実施してもよろしいという、そうしたことと、更に
政府が第六臨時
国会に実施日を本年一月一日ということに発表されました、このシヤウプ
勧告にあります最後の一月一日まで放置されておきますと、第一番目に
一般消費者が
織物消費税のなくなる後まで極力
買控えに出まして、取扱
業者も亦同様買澁りに終始して取引が停滞してしまう。第二に取引の停滯によ
つて生産者が苦しまぎれに脱税品を出荷をして来なければ余儀ないような
状態にな
つてしまう。第三に脱税品が出廻
つて参りますと正常な取引
価格が自然、税なしの
価格に引ずられて参りますので、
業界に無用の混乱を引起して收拾のつかない
状態になるい第四に脱税品が出廻
つて参りますと、いわゆるまじめな
業者はグレシヤムの法則に則りまして市場外に駆逐されてしまう。この四つの
理由を挙げて一刻も早く実施されるよう運動して参
つたのであります。然るに、この問題は遂に実を結ぶに至りませんで、
政府提案の通り一月一日実施ということになりましたことは、誠に遺憾の極みというべきでありまして、今日の実情は我々が正に予測いたしました通りの結果を生んでおるのでございます。特に絹、
人絹織物は先程
価格差益金のところで申上げましたように、大暴落をいたしておりまして、現在問屋
業者の手持ちをいたしておりますものの値下りは実に二十億を超えるのではないか、こういうふうに言われております。尚値下りによるところの小売
業者、若しくは輸送団体からの返品が殆んど応接に遑のないような
状態でございまして、実に
業界は今や激を蔽うような惨状を呈しておるのでございます。この早く実施してくれという問題と併せて我々
業者がお願いをいたして参りました実施日前日におけるところの
業者の手持品に対する
撤廃税額に相当する補助金の交付方の問題も、まだ今月に至るも解決をしないでいる有様でございます。この
撤廃税額に相当する補助金をなぜ我々は
廃止してくれと主張するのかと申上げますと、
織物消費税並びに
メリヤス製品の物品税は
消費者が負担すべきものであります。それが徴税が容易であるというような便宜的の
理由から倉出税にな
つておるのであります。
従つて生産者、販売
業者が代拂いをいたしておるのでございまして、これが
撤廃されました曉には、未回收の代拂税額を、その代拂したものに返還するということは、余りにも当然であると考えます。これが即ち我々が補償金な交付しろと主張する
理由の第一でございます。去る
昭和二十一年の九月一日に従来一割五分でございました絹
人絹織物、或いは毛
織物又
麻織物というようなものの
消費税が、一気に四割に引上げられまして、又
メリヤス製品の物品税の三割が倉出税に変更されました際に、その日現在における販売
業者の動向を精密に
調査をされまして、その引上税差額をストツク課税として
徴收されました絹
人絹織物のみでも、その当時五億三千七百万円の税差額を
政府に納付いたしたのでございます。この、
現実に聽しましても
消費税が引下げられ若しくは
撤廃されました際には、そのストツク品に対しまして、その税額を返納すべきは当然であると考えます。これが我々が補償金を交付せよと主張する
理由の第二でございます。
織物消費税の
撤廃は
政府の行政
措置によるものでございまして、
政府が行政
措置の変更によ
つて善意の第三者に不測の損害を及ぼしたということでありまするから、これによるところの損失は
政府が補償すべきでありまして、新憲法の下封建思想のいわゆる切捨御免は断じて許されないと私は主張いたします。これが私共補償金を交付せよと主張する
理由の第三でございます。
尚
終戰後酒造税の引上げが行われました後に、供米農家へ報償用として酒を安く配給しなければならん、そうした故を以ちましてその税差額を
業者に返還したそうでございますが、この前例を以ていたしましても、戻税若しくは補償金の交付はできない
理由はないと考えます。これが補償金を交付せよと主張する第四の
理由でございます。
そこで然らばストツクの量並びに税相当額は幾らかと申しますと、税
撤廃日の前日であります昨年の十二月三十一日現在の販売
業者の在庫額を
調査いたしまして、只今集計中でございますが、絹
人絹織物のみで約三十億円、手
織物が五億九千万円、これに右の絹
人絹、毛
織物を主材といたしました第二次
製品並びに
メリヤス製品を加えますと、その総在庫額は約八十八億円に上ります。そこでこれが税相当額は幾らに当るかと申しますと、まだ集計ができておりませんので概算を申上げますと、絹
人絹織物だけで約八億円、毛
織物で一億六千五百万円、その他を合せまして第二次
製品若しくは小売
業者の手持品、そうしたものを合せまして約二十五億円に税額が上るという形にな
つております。かような巨額な損失は到底
業者の負担に堪えないところでございます。特にそのストツクの大
部分は
政府の命令
生産によりまして
業者が無理に作らされた、無理に背負わされた、品質の極めて粗惡なものでございまして、我々は決してこの失政によ
つて蒙
つた損害の全部を補償せよとは申上げません。是非税額に相当する金額の交付だけはお願いをいたしまして、損失の幾分を補償されるようお願いいたすのでございます。
尚この問題は先程申上げましたように、昨年の九月以来大蔵省並びに第六臨時
国会に運動を続けて参
つたわけでございますが、これに対しまする大蔵省の御意見はどういうことであるかと申上げますと、第一に事情は誠に尤もである。尤もだ、お気の毒である。併し在庫の
調査並びに税の
調査が
技術的に困難だからできない。それから今
一つは
消費税、それから物品税を
撤廃することによ
つて、果してその
価格が下落するかどうか甚だ疑問だ。税の
撤廃によ
つて購買力を刺戟して
価格は
却つて逆に高くなろう、こう思
つているくらいであ
つて価格が下らんのも補償金を交付するということはおかしい。この
二つの
理由を下に我々の言うことに少しも耳を藉して頂けなか
つたのでございます。この第一の
調査の困難だという問題につきましては、これはこの問題を回避しようとする逃言葉であると我々は考えられます。即ち去る
昭和二十一年九月一日の引上げの際に、
業者をしてあの面倒な
技術的な操作を敢えて行わしめた当局のお考え方からするならば、決してむずかしいものではございません。この
調査に関しましては誰もが納得し得られるように完全な
調査を行うべく、
関係各団体おのおのの立場におきまして、その
調査方法を立案いたしまして、その案を以て当局に折衝をいたしたのでございますが、遂に何らの協力を得るに至りませんでしたので、協会独身の立場におきまして、その案に基きまして十二月三十一日現在を以て
調査をいたしたのであります。試みにここに絹、
人絹織物卸売
業者の在庫
調査並びに税額算定の方法を
簡單に申上げますと、お手許に差上げてありますこうした印刷物によ
つて調査をいたしたのでありますが、その方法は全国を十五の地区に分けまして、その地区ごとにその地区を管轄いたします税務官吏に御参加を願い、そうして
業者の代表若干名を以ちまして在庫
調査会というものを組織いたしまして、在庫の
調査並びに税額の算定並びに本件に関する一切の処理をする。それから
消費税撤廃日以降必要の期間商品の受入れ、受渡しを停止いたしまして在庫の
調査を行いました。尚補償金の対象となる、いわゆる
調査の対象となりますものは、絹、
人絹織物につきましては原反に納税印章を押捺してありますが、並びに後染加工等によりまして止むを得ないもので、納税印章の消滅したものについては納税証明書を添付する。尚税額の算定方法といたしましては、
絹織物のごとく
価格統制の解除されたものの税額査定は、在庫
調査会がこれを評定をするということにな
つております。尚
人絹織物及び交織
織物等マル公のあるものの税額は、マル公
価格を基礎として在庫
調査会が評定をする、こういう方法で、御協力を得ませんでしたので、独自の立場で
調査をいたしました。この
調査の結果、只今集計中、概算の数字が先程申上げた数字でございます。
〔理事廣瀬與兵衞君退席、
委員長着席〕
次に大蔵省のおつしやるいわゆる第二の
消費税及び物品税を
廃止しても、果して
価格が下るかどうか疑問であるという件につきましては、昨年十一月各
方面にこの陳情を行いました当時、すでに
消費税問題の未解決によりまして、極端な
買控えと取引の停滞、更にこれに加うるに安値の脱税品の出廻りによりまして、自由価艦の
絹織物は
消費税問題の公表前に比較いたしまして、甚しきは五割以上少なくとも二、三割方の暴落を来しております。今日におきましては前に述べましたように大暴落の参上を呈するに至
つておるのであります。実情かくのごとくでありますが、併し税を
撤廃しても、
価格が下らんから保証金を交付する要がないという言い方は何としても納得をいたしかねるところでございまして、税を引下げたとき、税差額を増徴した。尚代拂いをした税金なんでございますから、それを引下げたとき、その
価格の騰落如何に拘わらず返還するのは当然である、かように我々は考えております。
尚本件につきをしては、通産省の繊維局におかれましては、この税の
撤廃によりまして、
業者のストツクに対する損失をどうして軽減させるかということについて非常に
関心を寄せられまして、昨年の八月以来熱心に御
心配を頂きまして、直接大蔵当局に対しまして折衝に当
つて頂く一方、ストツクを少しでも多く売抜けさせようという親心から、これが対策として、昨年九月二十一日から四割課税のものに限りまして、特に暫定
措置として衣料切符の対象からこれを外しまして、購買力の喚起に資するという
措置をお採り願
つたことは、すでに皆様御承知の通りであります。尚又二重
価格制度を設けまして、この損失をカヴアーしてやることを考慮されたのでございます。この二重
価格制度と申しますのは、
消費税撤廃と同時に、
生産者のマル公を
消費税なしの
価格に改めまして、販売
業者のマル公は税込みの従来の
価格に当分の間据置こうという案でございまして、マル公のありますものにつきましてはこれが実施せられておりますけれども、事実は税金の安いものがあとから出て参りますと自然それに馴致されまして、この効果が予期の
目的を挙げ得ないような実情にな
つているのでございます。こういうような非常に繊維局の方で熱心にあれこれといろいろ御
心配を願
つておりますのは、直接
業者に接触しておられます
関係から
業界の窮状をつぶさに御承知にな
つておらるる結果に外ならないと存じます。これに対しまして大蔵御当局のお考え方は、この成行きを余りにも甘く御覧にな
つておられるのじやないか、つい先月も或る会合で国税庁の或る課長の方が、
消費税撤廃の日が判然としておるのに、そんなに商品を抱えておるということは、商売のやり方が下手なんだという御意見がありましたが、販売
業者特に問屋というようなものは、商品を多くタンクいたしまして、
消費者又は小売
業者の需めに応じまして選択買をさせることが職務であり、又
生産者と相協力いたしましてその
生産を
指導育成して、その
生産品を引受けて供給する、そうした
金融的役割をすることが本来の使命であります。特に時あたかも秋冬物の需要期と正月を前に控えたという季節的
関係がこうした多くの品物を抱えさせることを余儀なくせしめた結果なんでございます。
以上いろいろ申上げましたが、要は高率な
消費税を一気に
撤廃するに際しまして、
政府御当局がその善後処理に対して愼重さを欠いたという点に問題は基因いたしております。何とぞ特別の御審議をお願いいたしまして、補償金の交付せられるよう、公述と併せてお願事申上げる次第でございます。