○
証人(平岡弘男君) 私の方から概括的にお話し申上げましたが、少し数字を申上げたいと思います。先程の鉄の方のお話から、今度は鉄の方で税額を実際に予想いたしまして数字を申上げてみたいと思います。
先ず
固定資産の再
評価でございますが、
只今大きなメーカー社ばかりを取
つてみますと、未
償却の残高が約五十億九千五百万ばかりあります。これを年一ぱいシヤウプの
勧告案通りに
評価いたしますと、八百四十六億七千六百万、大体四十倍の線が出てくるわけでございます。これに対しまして、その再
評価の差額を
計算いたしますると八百二十八億でございますから、初年度三%下げるといたしますると、ここで再
評価益税が二十四億八千六百万という数字が出て参ります。勿論今度は任意ということになりますから、この
範囲内においてやられることになりますが、これは一応の仮定でございまして、まあ全般につきましては、
只今のは十社でございますから、全般といたしましたならば恐らく三十億を下らない線がここに出てくるわけでございます。
それからその次に
固定資産税でございますが、
固定資産税をやはり同様な
方法によりまして一・七五%で
計算いたしますると、やはり主だつた
会社十社、これは大体全
鉄鋼生産の八〇%以上を占めておる
会社でございますが、一・七五%でございますと、二十五年度十三億九千五百万、これは全
鉄鋼業では十五億
固定資産税を
負担するということにな
つております。
それからその次は
附加価値税でございますが、
附加価値税を四%という工合に仮定いたしますと、やはり以上申しました十社の主だつた
会社で申しますと七億五千百万、これも全
鉄鋼では恐らく十億になるわけでございます。
それから更にもう一遍戻りまして、再
評価後の
償却というものを今度考えてみますと、大体
償却額が年額六十五億にな
つて参ります。そうすると、若しこの
償却額と
地方税、これを
需要者の方に転嫁し、これをつまり価格の面に現すということになりますと、全部で価格の面に
影響がございますのが約九十億になるわけであります。この九十億をこれを来年度大体鋼材を二百五十万トン
生産し、銑鉄を約二百万トン近く
生産いたしますものといたしまして、平均いたしまして大体トン当り鋼材、銑鉄二千円程が価格の面に跳ね返
つて来るということになるわけであります。そうすると
只今の銑鉄の価格というものが国際的にどういう水準におかれておるかということを申上げますと、御
承知の
通りに、
只今銑鉄は先程お話がありましたようにに価格補給金というものを国庫予算によりまして支出して頂きまして、
需要者に対しましては非常に安い価格を以て供給いたしておるわけであります。でその
需要者に供給いたしております価格というものは、国際価格、例えばアメリカの価格などに比べますと、アメリカの価格が棒鋼におきまして七十五ドルくらいしておりますけれども、
需要者の方へは五十ドルくらいで供給しておるという工合であります。ところが七月から大体補給金が外ずされて、全部
鉄鋼は真裸になるのだということになりますと、これを
需要者の方に五十ドルで供給しております鋼材が、これが八十四ドルくらいになります。八十四ドルと申しますと、すでにそこにおきましてアメリカの価格とは
相当の開きがある。更に先程申しましたような
税制改革によるところの
影響をここに織込んで参りますと、更にここに九ドルばかり、七ドルから九ドルくらいの
影響を受けて参りますので、この価格ではとても国際価格に太刀打ちできないという現状になるわけであります。そこで補給金の在り方という問題が一つの問題として出て参りますが、今でさえ
需要者の方に安い価格で供給しておりながら、関連
産業の方でなかなかその価格が呑めないというところに日本経済の或る弱点が見出されるわけでありまして、この点
鉄鋼が殆んど価格差補給金というものを一手に背負い込んで皺寄せられておるのが、
鉄鋼の部面にあるという点を十分御認識願いたいと思います。