○專門員(
上原六朗君) 特別に申上げることもございませんが、御参考になると思われます点を二、三、書いたものがございますら、これを読みながら御説明申上げます。第一は、この
地方財政平衡交付金の配分のいろいろな方式の問題であります。御
承知のようにこの制度は従来の配付税とは全くその性格を異にしておりますために、これを
法律に現わすことは非常に困難がございますことは、私が申上げるまでもないことでありますが、何故そういう困難があるかと申しますと、それには二つの原因があると思うのであります。
一つは標準行政費というものに対する従来の科学的な調査ができていなか
つたということであります。それからもう
一つは、標準行政費の調査が決定しないうちに、すでに交付金の総額が一千五十億円という枠が決まってしま
つたということでございます。シヤウプ勧告におきましても、一九五〇年と一九五一年の間における交付金は、本当の
意味の均衡化方式に接近する第一歩として、暫定的に
立案選れるものだというような
意味のことを書いてございますが、この
法案全体を通じて
考えられます点は、この暫定的な方式を採用しております点は僅かに一、二点でありまして、大体は恒久的な方式にな
つておるように
考えております。その点がどうかと
考えるような次第でございます。これはやはりシヤウプ勧告にありますように、いろいろな方式は暫定的な方式を採用いたしまして、すべての方面に基礎的な調査が完全になりました後に、恒久的な方式に移
つて行くことがいいのではないかというように
考えております。
それから
平衡交付金が府県と
市町村にどういうふうに分れて行くかということでありますが、これは今まで提出された
資料によりますというと、府県の方へ約六百五十億円、
市町村の方へ四百億円行くような概算にな
つております。勿論これは大体の見通しでありまして、
地方財政委員会ができました後に決まることではございますが、こういうようになりますというと、従来の配付税は府県と
市町村とは大体半分ぐらい分かれて行
つたようであります。でありますから
平衡交付金になりますと、この比率が非常に変
つて参ります。全体の六五%が府県に参り、三五%が
市町村に交付されるということになります。こういうような結果になりますのも、二十五年度が府県の税金が非常に枠が決ま
つておりまして、七百億という総額が決ま
つたためにこういうことになるのでありまして、これも大体止むを得ないと思うのでありますが、
平衡交付金が非常に府県の方へ余計に行くのじやないか、貧弱町村の
財政調整の作用が比較的少いというような印象を受けるところに、問題があるのではないかと思うのであります。シヤウプ勧告によりましても、現在半分ずつ分けておる府県と
市町村のこの配分方法でも、この分け方が府県の
財政酌地位が
市町村よりも強くな
つておるというような感じを受けることを指摘しておりまして、これを克服するためには合理的な標準を決定しなければならないということを述べておるのであます。
その次に、
平衡交付金の実施によりまして、府県の
財政が非常に中央に依存する度合が強くな
つておるということを感ずるのであります。本案の実施によりまして、府県の
財政は
平衡交付金と国庫の支出金、補助金や交付金で全体の六〇%を占めることになります。府県が自分の税金で賄
つて行く割合は僅かに三〇%に過ぎないということにな
つております。その結果、歳入の全体の構成要素が非常に中央に依存する度合を強くしておるのであります。この状態は今後行政
事務の再配分が行われまして、府県の
事務が
市町村に多量に下されることによ
つて改善せられることと思うのでありますが、それまでの間は府県の
財政というものは、
地方自治という見地から見れば、誠に好ましくない暫定的な形で今後続けて行くということになると思うのであります。
それから四番目は、單位当りの費用の問題でありますが、單位当りの費用の決定ということは、これは
財政需要の総額を決定される非常に重要な事柄にな
つております。
地方団体の利害は一にこの單位当りの費用の決定によ
つて左右されると申しても
差支がないのでありますが、この
法案によりますと、この單位当りの費用は
法律によ
つて決めなければならんということが書いてあるのでありますが、附則の方で二十五年度に限
つては
財政委員会の規則で定めるということにな
つております。換言すれば、
財政委員会の規則というものは
法律に代るものでありますが、この
規定もすべていろいろな
調査研究の段階にあります今日におきましては、こういう暫定措置も止むを得ないと思うのでありますが、
財政委員会が單位当りの規則を定める場合には、この
地方行政委員会が国政調査の題目として是非お取上げを願いまして、單位当りの費用の規則を制定公布される前に、その説明を聽取いたしまして、規則原案の
調査研究をする機会を得たならばどうかと
考えるのであります。このことは若し臨時
国会が開会されております場合には勿論のこと、できるのでありますが、閉会中におきましても継続調査の項目として是非お取上げを願
つたら如何かと
考えております。
それから五番目は、基準
財政支出と收入の
関係でありますが、この案によりまして、二十五年度の基準
財政の総額がどういうように推定されるかということは、これは
地方団体にとりましては非常に重要ことでありますが、配布
資料によりまして
地方財政の基準收入を大体比較いたして見ますと、大体
地方財政の総額は四千三百億ということにな
つております。そうしてこの基準
財政の支出の方がこのうち二千二百八十億であ
つて、基準收入が千三百、三十五億、差引九百五十億円ばかり足りないから、これを
平衡交付金で賄
つて行くという大体の組立にな
つております。こういう組立にな
つて参りますと
地方財政の四千三百億の中の標準存政費が僅かに二千二百億円に過ぎない。而もこのうちどうしても切下げることのできないベースの定ま
つております人件費のようなものは一千億円もあるのでありますから、基準
財政そのものの立て方に私は少し疑問を持
つておるのでありますが、標準
財政費というものが
地方団体の最低の行政費だということにも多少の問題はあると思いますが、仮にそういう見解をとりましても、今日の
地方行政の最低行政費が、現在の四千三百億の半額
程度のものが最低行政費だと、そういうことにも問題が、あろうと思うのであります。こういうことになりますのも、ただそれは
地方税收入の標準税率で計算いたしました
地方税收入の七〇%を標準
財政收入としたということによ
つてのみ生じたのでありまして、実際に
地方財政の需要の方面から科学的に検討せられた結果が標準行政費が二千二百八十億円だということに
なつたわけではないのであります。
地方財政自治体に最も重要な利害
関係を持
つておりまするこの標準收入とか、標準支出が、こういう腰だめ式な方式によ
つて計算されることは、二十五年度の暫定措置としてはこれは止むを得ないことだと思うのでありますが、将来の恒久的な計画の基礎となることにはどうかという疑問を持
つております。
地方財政委員会は專門の調査
機関、例えば
学識経験者とか或いは
地方団体の
職員とか、そういうような人々より成る專門の調査
機関を設けまして、理論と実際の両方面から
調査研究した結果によりまして、恒久的な標準
財政費の基準を定めることといたしまして、この
法律によるいろいろな措置は二十五年度とか、或いは二十六年度までの暫定措置とすることが適当ではないかというように
考えております。
それから
法案第三條によりますと、国はその
予算が成立した後は、当該年度の途中において
地方団体の負担となるような措置はとらないものとするという趣旨の
規定がございますが、この事は従来の
経験によりましても、ときどきこれに違反するようなことがあるのでありますから、何か
地方財政法にありますような
規定をこれに附加えまして、これを匡正するような方法をと
つたならばどうかと思います。併しこれにつきましては、全般的な建前として別に
意見書を出せるような途もございますから、それに吸收することができると言えば、それも
一つの方法だと
考えております。