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1950-04-30 第7回国会 参議院 地方行政委員会 第43号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月三十日(日曜日)    午後一時五十八分開会   —————————————   本日の会議に付した事件地方財政委員会設置法案内閣提出  衆議院送付) ○地方財政平衡佼付金法案内閣送  付) ○地方税法案内閣提出衆議院送  府)   —————————————
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではこれより地方行政委員会を開会したします。  本日会議に付しまする事件は、先ず地方財政委員会設置法案の本審査をいたします。逐條審議予備審査の際終了いたしましたので、全般につきまして国務大臣に対する質疑をお願いいた
  3. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 それに先立つてちよつと発言をお許し願いたい。それは先般地方税法案罰則規定に関連しまして、国会図書館の専門調査員である牧野英一君の専門調査員としての意見開陳を要求いたしましたところ、委員会で決定いたしまして、委員長からその申入れをして頂いたのでありますが、それに対する牧野君の返事といたしましては、時日がないその他の理由によりましてしこれを拒否したのでありますが、専門調査員といふものが置かれているところの職責からいたしますというと、私はこれは議院運営委員会の問題かとも思いますけれども、国会法及び国会図書館法規定を十分今見ておりませんが常識的に考えましても、それを拒否するというような牧野君の態度に許し難きものではないかと実は考えておる次第でありますが、まあここでそれを言つても仕方がないと思うので、議院運営委員会で私共はそれを一つ問題にしたいと思つております。尚それに関連しまして、これも地方財政平衡交付金法案に関連して、上原専門員意見開陳を求めておるわけでありまして、それについては、上原君から私達の手許に文書でその意見が出ておるのでありますが、その法案が後程審議に入りますときに、やはり上原君からあの文書を基本として、口頭で委員会でそれを述べるように委員会からして頂きたいと思います。
  4. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 吉川さんの只今の御発言がございましたが、上原專門員が当委員会専門員といたしまして、地方税法その他についていろいろ調査研究をして意見が出ておる。それに対してその意見をこの委員会で述べて貰いたい。こういう御意見でございますが。
  5. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 そうなんです。それはついでに後で適当な時で結構ですから、とにかく専門員というものが非常に沢山いられるのでございますが、十分議会制度運営に活用されていないような感がありますので、特に牧野英一君の態度のごときは許すべからざるものであると思つております。
  6. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは適当な時期に意見を述べて頂くことにいたします。  それでは地方財政委員会設置法案につきまして、質疑をお願いいたします。
  7. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 本多国務大臣に伺いますが、今度の改正で、地方財政委員会と、現在あります調査会議委員長、それから自治庁が存置されますので、その委員長、いわゆる地方自治のそういうような重要な三つの機関ができるわけなんですが、その三委員長の間において、連絡、補整を図られるために、何らか連絡会議とか、そういうものをお設けになつて、その調整を図られる必要があるのじやないかと思うのですが、そういうふうなものに対しまして、大臣の御意見をお伺いいたします。  又現在国警等に対しましては、担当大臣が置かれておりますが、例えば自治庁長官大臣なんですが、又その官給庁大臣と別個に財政委員会に対しては、担当というのも変ですけれども、こういうようなものでも別個に大臣でも置かれるのか、或いは自治庁長官である国務大臣が一切そういうものの連絡調整を図られるのか、そういうようなことに対して、大臣はどういう構想を持つておられるか、その点を伺つて置きます。
  8. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今の点は、この間大臣が欠席の際、小野政務次官質問をいたしまして、よく大臣にお伝えの上、出席の際御答弁を願いたいという点に関連しております。
  9. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) この点につきましては、同じ政府行政機関でございますから、必要なる連絡はこれは自発的にお互いにとれることと存ずるのでありますけれども、更に特に連絡会議等を設ける必要がありますれば、その点についても今後研究して見たいと思います。地方財政委員会担当をどの大臣にやらせるかという問題につきましては、これは総理大臣所信によることではございますが、私の只今の見解で申上げますと、地方自治庁地方財政委員会とは最も密機たる関係がございますので、地方自治庁長官担当する大臣地方財政委員会担当大臣になるというようなことはとは便宜なことではないかと考えております。但しこれは総理大臣が、政府と閣議、更に又総理大臣との連絡のために担当を決めるわけでございまして、全く総理大臣所信によることでございますから、私から政府意見として只今のところでは申上げ兼ねるのでございます。地方自治庁長官たる国務大臣担当に当るということは適当なことではないかと、私共といたしましては考えております。
  10. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今本多国務大臣の御答弁で、自治庁長官本多国務大臣地方財政委員会担当する国務大臣を兼ねることが便宜かも知らんというようなお話がありましたが、そうすると、それによつて委員会自主性というものが非常に阻害されるということはありませんか。
  11. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) これは全く地方自治庁長官たる国務大臣が、そういう立場から何らか地方財政委員会を制するとかいうような意味で働きますようなことになりますと、これは適当でないと存ずるのでございますけれども、地方財政委員会法律相当独立性を持つておりますし、その点において独立性が確保されることでございますから、仕事に密接な関係にあるという実情から、そうしたことが運営上便宜ではないかと私が考えただけでございまして、全くお話のような弊害を生ずる場合がありはしないかということも十分考慮されて決定されることと存じます。
  12. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 地方財政委員会委員長国務大臣を当てないということにされたことも、恐らく政府から出ておられる国務大臣委員長ということになれば、その財政委員会独立性というものが損なわれるという観点からじやなかろうかと思われますので、この点はよく総理大臣とも御棚談になつて善処せられたいと思うのであります。かねて地方行政委員会におきまして、地方自治体自治体警察、この連絡機関がありませんので、弱体な自治体警察がややもすれば腐敗をし、いろいろの醜態を暴露しておることは、本多国務大臣新聞紙上等で御覽になつてることと思うのでありますが、これを如何にして強化するか、又これを廃してしまうかということは、当委員会におきまして従来ずつと研究をしておる点であります。財政が小さい自治体では非常に弱い、だから待遇もできない、いい人材も得られないという点からの弱点もありますけれども、やはり一人立ちになりまして指導するところがない、又世話して他の自治体警察と交流する途も開けておらない、又ばらばらになつておりますから、その連絡ということもできない。こういうような欠陥から来ているのが多いのでありまして、それをこの地方自治庁におきまして世話する連絡調整部というものがありまして、世話をするということは考えておられないのかどうか、又御承知通り消防事務はすべて市町村自治体事務となつてしまつたのでありますが、これも世話する機関が、国家消防庁というものがやや世話をしておりますけれども、殆んど世話していない状態です。而も消防自治体事務になれば、国家消防庁なんと言う国家機関は要らないのじやないか、地方自治庁の一部局として吸収してしまつた方がいいじやないか、そうして併せて地方自治庁のその消防部と言いますか、そういう所で各地方自治体消防間の連絡を図られるということが適当じやないかということも、この委員会研究したことがありますが、それに対してそういうふうにお考えになつておりますか、その点をお伺いいたします。
  13. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) この点につきまして詳しい御答弁を申上げる準備出がないのでございますが、地方自治庁といたしましては、そうした方面の連結に当るということは差支なかろうと考えられます。但し自治警察等国家的統制を加えるような権力的なことに亘りますことは、やはり警察行政民主化の見地から、この際は適当ではないのではないかと考えております。只今国家消防に関する問題、それにつきましては今後慎重に研究いたしたいと考えております。
  14. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今の御答弁のうちに、私の申したことが誤解があるかも知れませんが、そういう自治体警察を統合して鞏固な組織にするというようなことは考えていないのでありまして、自治警察ばらばらになつておりますことは、今までの内務省警察の弊を再び醸さないように注意して、自治体警察制度になつたのでありますから、これを統合しようというようなことは考えておりませんが、ただ人事の交流の世話をしてやるとか、連絡をしてやるとか、そういう機関を設けることは非常に大事じやないか、こういうふうに考えます。その点をよく政府側においても研究をして頂きたいと思います。
  15. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 承知いたしました。
  16. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 財政委員会において地方財政平衡交付金の総額を見積つて出したわけなのですが、平衡交付金法案において、その意見が国と違つておれば、違つた意見を添えて内閣は出さなければならんとなつておりますが、そうしますと、又財政委員会の方の担当大臣自治庁長官に兼任される場合であつても、又他の大臣担当される場合でも、これはその国会予算審議するときにそれに答えられる上から、自治庁長官は。国務大臣でもある自治庁長官財政委員会担当をなさると、その二つの立場でなさつて、非常にそこに矛盾を来しはしないかと思うのですが……。それから自治庁長官がなさらないで同じ内閣の他の国務相が財政委員会担当されると、同じ内閣の一人の大臣立場違つてここで争うということはないけれども、質疑応答した場合には、立場々々で非常に違つて来はしないかと思う。財政委員会の方の意見と、予算が違いましても、自治庁大臣としては或いは政府案の方いいと考えられるかも知れないし、そこにどの大臣担当されても予算の実際の国会審議の上におきまして、非常に両方ともデリケートで困難な立場になりはしないかと思うのですが、そういう点につきまして、どういうようにお考えになつておりますか。
  17. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) これは地方自治庁といたしましても、地方自治制の発達をでき得る限り援助するという目的官庁でもございますので、その点で財政委員会地方財政を確立したいという点と、そう相反するような意見を持つ場合は少ないのではないかと存じますけれども、併し何分にも国務大臣という立場から、そうして又地方財政委員会独立性のあるものであり、地方自治庁一般行政機関でありまする関係から、お話のような場合も考えられるのでございまして、これを地方自治庁長官たる国務大臣地方財政委員会担当大臣同一にするか否かということにつきましては、御意見等もよく承つて置きまして、その利害得失総理の方において勘案して決定されるようにいたしたいと存じます。
  18. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 只今の点を、更にその平衡交付金の差額の調整におきましては、国の予算について加うべき必要な修正についての意見を含まなければならんということになつているのですが、そうしますと、一般予算を組みますときに、財政委員会政府が原案を作りますときは資料を持たなければならないと、ここに書いてあるような予算についての修正意見というようなものが立たないじやないか。勿論立てる際には、国の方にこういうふうな財源があるのじやないかというふうな適当な財源をも考えて、修正意見を講ずるのがいいだろうと思うのですが、そうしますと、常に国の予算を編成しますときに、最初から財政委員会の方もよくその資料を以ちまして研究しておきませんと、こういうふうなことは單に結果だけが違つたかたといつて、直ぐ予算に適当な財源見出すことはむずかしいと思う。且つ一般予算を組みまして内閣の方で出すのですから、その他の財源或いはその予算の中の財源の差繰り等よつて財源を見付けるわけなんですが、それはやはり十分なる資料を持たなければ財政委員会としてできぬと思うのですが、そういうことになりますと、大蔵省が編纂します殆どすべての資料を常に財政委員会研究して置かないといかぬ。そういう場合は果たしてそういうふうに円満なるそこにあれができるかどうか、そういう点を出さなければならんということを国の方に義務付けては、ここではないのじやないかと思うのですが、そういうふうな点を……実際問題になりますと、なかなかデリケートな問題が起きるのでございますが、殊にこういうふうに国と財政委員会意見が違うというふうな場合には、可なりデリケートな関係になつていると思うのですが、そういうことを調節する場合どうするか、国の予算編成権に関する資料をそれではその程度財政委員会の方で完備できるか、そういう点なかなか私はむずかしいと思いますが、そういうふうな点で大臣の御意見をお伺いして置きたい。
  19. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) これは大蔵省主計局において予算を査定いたします。その通りの広汎な資料は必要でないと存じますけれども、併しお話通りやはりこの財源をどういうふうに考慮しておるかという意見を決定いたします場合には、相当資料を要するわけであります。これらの地方財政委員会任務遂行のために必要な資料は、それぞれの関係機関意見を求めるところの権利が法律上に認められ、又その求められた関係行政機関は、その資料地方財政委員会に提出する義務があるだろうと思います。
  20. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 更に第二にこれに関連して伺いたいことは、御承知通り地方財政のいろいろの問題を決めますときに、現在の機構におきましては、いわゆる国の財政を掌る大蔵省との関連におきまして、常に連絡をとつておるわけなんですが、実際におきましては立場々々でなかなかその調節が完全なものができ難いような現状であるのであります。それは私は第一予算編成権というものが、大蔵省という一つの省が昔から依然として握つておるところに欠陷があると思うのです。そういう場合にこの間新聞か何かでちよつと拜見したと思いますが、今審議会ができておりますね。その審議会で決めたということですが、予算編成権というものを内閣に移しまして、そしてやるならば地方財政と国の財政との調節も更に一段と連絡が密に行くと思うのですが、そういうものに対しまして、予算編成権内閣に移すというようなことに対する御意見並びにそれがいいとなるならば、そういうふうなことを今後非常に推進しておいでになるかどうか。その点をお伺いして置きたいと思います。
  21. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) これは先般行政制度審議会におきまして、総理府の外局として予算編成担当する行政機関を設け、大蔵省から分離せしめる方が適当であるという答申を得たのでございますが、その考えておられますところは、お話の点と一致するように考えられるのでございます。大蔵省が他に現業的な相当の部面を担当し、予算相当要ることでございますから、その範囲内においては別個の機構が、丁度他の各省に対すると同じような立場で査定することが均衡を得るのではないかという点、更に国税庁が所管しておりますこの税を取るものと、これを予算の面に割振るものとは同一である方がよろしいか、同一でない方がよろしいか、同一な場合、追加予算等財源考えると、税金の徴収につい力が入り過ぎるというような弊害考えられる。これらのことを考慮いたしまして、行政制度審議会において、予算事務独立ということを答申せられておるのでございますが、これにつきましては、まだ政府が結論に到達しておりませんので、慎重にこれを研究いたしたいと考えております。
  22. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 第五條の委員会の構成についてでありますが「委員は、地方自治に関し優れた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て内閣大臣が任命する。」とありますが、三名の地方自治体の推薦したものとしての地方自治体代表者選任方法については、これに規定されておる通りであると思いますが、「左に掲げる者」というのは大体「地方自治に関し優れた識見を有する者」ということの條件と共に、具体的に大体どういうふうな人が選ばれることになりますか、即ちそれは地方行政調査会議委員におけるがごとき、いわゆる学識経験者というような者から一般に選ばれるのであつて、この中にはこの法律の線に出ておりますように、その二人のうちに各会の代表者及び国務大臣等は加えないのかというようなことについてお伺いいたしたいと思います。
  23. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) この政府から推薦いたしまする二名につきましては地方自治識見を持つており、経験を有する人というふうな人を含む趣旨でございまして、何々会の代表というような意味において推薦することにはなつておらないのでございます。それでは更に政府推薦の者として、国務大臣も推薦できるかと申しますと、国務大臣は推薦しない建前であります。
  24. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 そうすると、大体地方行政調査会議におけるがごとき、例えば大学教授であるとか、或いは鵜沢聡明氏は弁護士連合会代表であつたが知りませんが、ああいう質の人が推薦されるということはありませんか。
  25. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 大学教授からということはございませんけれども、大学教授をしておられます人で、地方自治制に対する識見を有する公正な立派な人格者であるということになりますと、そうした場合、我々が推薦したい人の対象に含むわけでございます。
  26. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 それから小さな問題でありますが、この委員会の、第四條に規定所掌事務でありますが、この所管事務の二十一号及び二十二号、即ち当籤金附証票を発売することのできる都市指定及び地方競馬を行うことができる都市指定地域をお教えを願いたいのであります。関係法規を諳んじておりませんから、お尋ねするのですが、当籤金附証票を発売することが、できる都市というのは、いわゆる戰災都市に限定されたのではないと思いますが、地方競馬も同様でありますが。それをちよつと……。
  27. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) その前にちよつとお答えして置きますが、これは原則として地方財政委員会は直接財政的事項に限つて所管せしめたいという方針でありますが、この宝籤地方競馬或いは競輪等のことは、丁度地方税法上の財源の不足のために許可される法定外普通税というようなもと同じ観点から許可、不許司が決定されることになつて参りますので、この地方財政委員会所掌事務といたした次第でございます。これにつきまして、只今質問宝籤をどういう工合にされるか、これを総括的に申しますと、財政需要ということになると思いますが、では次長から……。
  28. 荻田保

    政府委員荻田保君) 当籤金附証票発行し得る市は戰災による財政上の特別の必要を勘案して指定いたすことになります。それから競馬につきましては、やはり著しく災害を受けた市町村で、地方財政委員会指定するということになります。自転車競技につきましては、人口、財政等を勘案いたしまして、地方財政委員会指定することになります。
  29. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 それに関連して、外の問題になるかと思うのでありますが、実は先般京都へ参りましたときに、京都の市役所の理事者からいろいろ話が私に対してあつたのでありますが、向うの方で特別の法案を作りまして、即ち国際観光都市と言いますか、京都国際観光都市として特別に指定して、そうして特別の、国から権限を得ようというのでありますが、大体において同市の用意しておりますところの法案は、衆議院に廻つているかも知れませんが、この議会に是非通過せられたいというのでありましたが、内容を見ますというと、特別にそうした法律を作らなければならん程の必要がないような実は内容のものでありまして、大体において現行法に基くところの行政措置でその目的が達成せられるようなものであつたという私は印象を受けるのでありますが、市長等にそういうことを申しますと、現行法においては、例えば富籤発行というようなことをしたいと是非考えておるけれども、それは罹災都市にのみ許されることであるので、罹災都市では、京都市はないけれども、やはり観光都市であるというような特別法規を作ることによつて、この第四條第二十一号に規定されておるような特殊の権限を得たいというようなことを言つておりましたが、そういう今例を挙げました京都市特別法制定の要求、殊にその内容として、專ら向こう言つておりますことは、富籤発行罹災都市でないけれども、その権限を獲得したいということを言つておるのでありますが、その関係はどうなりましようか。
  30. 荻田保

    政府委員荻田保君) 当籤金附証票の発売し得る都市規定でありますが、これは五大都市はまあ当然あるのでありまして、五大都市以外の都市において罹災都市の中で地方財政委員会指定しております。
  31. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 地方競馬自転車競技等についてはできるのですか。五大都市は……。
  32. 荻田保

    政府委員荻田保君) 地方競馬につきましては、災害を受けたということが要件になつておりまするから、全然災害のない所はできないことになつております。
  33. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 それから尚極めて小さい問題なんでありますが、第四條のやはり所掌事務の第八号でありますが、「職員に貸與する宿舎を設置し、及び管理すること。」というようなことがありますが、余り細かいことが規定されておるようであつて、前の同様な法律にはなかつた規定でありますが、特にこういうことを挙げられたところの理由一つ……。
  34. 荻田保

    政府委員荻田保君) これは普通の官庁組織法につきまして例文的な規定なのでございますが、現実の問題といたしましては、最近職員に対する住宅等政府で建てておりますので、そういうものが建てられますと、やはり地方財政委員会に対しましても割当がございますので、その管理に当ることができるという程度のことを書いてあります。
  35. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質問ございませんか。
  36. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 財政委員会はここに書いてあるように非常な重要な権限を持つておりますのですが、ただ今度自治庁が存置される結果、いろいろな調査権限を持つておるのですが、最も大切なところの法案立案権だけが自治庁残つて財政委員会はそういうような法案の作成の権限がないということは、この自治庁が残るために、それに新たに変更されてできるところの地方財政委員会というものが、骨をまるで抜かれたようなふうになりまして、その点自治省との仕事の振合いを見ますと妙なことになつておるのですが、これだけの権限地方財政委員会に與えたのですから、その点は我々考えますと、自治省を残すというために、本來ならば地方財政委員会立案権を與えるべきであつたのだけれども、どうもそう残る以上は、仕事がないから立案権だけは自治省に残したかのごとき観を以て見られるのですが、その点どうして立案権だけを自治省に残したのですか、その辺のところを御説明願いたい。
  37. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 地方財政委員会は御承知のごとく法律で定められた地方財政之直接事項について独立性の強いものでございます。從つてそれ以外の事務につきましては、やはり普通の政府機関において担当させるのが政府立案でございますから、適当ではないかと考えております。但し御承知通り財政運営に直接当る地方財政委員会におきましては、改革についてもその著想は現実的でありますので、その意見は大いに尊重せられなければならんと思うのでございます。從つて地方財政委員会から積極的に改正についての意見が出る場合もあるでありましようと思います。地方自治庁も進んで地方財政委員会の実際上の意見一つ立案に当るということにいたしたいと考えております。
  38. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今西郷君から御質問がありました件について、自治庁改正案を国会へ提出します場合に、財政委員会意見を異にしたとき、この調整することはどうしてするのですか。
  39. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) これは意見を異にいたしました際に、最後まで国会にその意見を提出することのできます事柄は法律で定まつておる範囲内のことでありまして意見を異にする場合、これはやはり立案権限を與えておりますこの地方自治庁において案を纒めるとになると考えます。ただ地方財政委員会意見は、その担当大臣が閣議等にも連絡をすることでございますので、そうしたところでやはり調整されて行くものと思つております。
  40. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) そうすると、今度は法令の解釈上の問題が起る場合に、その決定をするのは委員会の方であるか、自治庁の方であるか、どちらになりますか。
  41. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) これは法令の解釈上について意見を異にいたしました場合には、大抵の場合法務府の法制局においてその裁定をして貰うということににいたしております。又それは法制局何或いは閣議において決定する外ないと思つております。
  42. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 地方税法とか、地方平衡交付金とか、こういうものの趣旨徹底をなされるのは地方自治庁でありますか、委員会でありますか。
  43. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) それは双方協力いたしまして、その所掌事務の円滑なる運営を図りますために協力してやりたいと思つております。
  44. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) この問題は西郷君初め岩木君、非常にこれまでたびたび質問せられて、この点が一番むずかしい点だと思うのです。これは從來にない制度であつて、どうもその点に禍根が残りはしないかという感を深くするのですが、余程初めのうちにはつきり決めて置かれないと禍根になると、こう考えます。そこで一方から考えますと、地方財政委員会の方が強力な機関であるためには、やはりその方に財政に関する立案権を持たした方がよかつたのではないかという氣がするのですがそれはどうしてできなかつたのですか、又することに弊害があつたのでしようか。
  45. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) それは只今西郷さんにお答えした通りでございます。これはこの地方財政委員会国務大臣委員長に当るというような場合、閣議の意向もその国務大臣を通じまして、更に地方財政委員会等にもよく反映させることになると思いますが、それよりも独立性の点に重点を置きまして独立性を強化する。こういうふうになりますと、政府の責任において立案いたしまする立案権は、一般的な府政機関を以て当らせることが適当である。実にこの地方財政委員会独立性を高めようとすれば、所掌事務に非常な限定をなければならん。この独立性をもう少し緩和されるならば、地方自治庁などは廃してしまつてもよかろうと、こういうふうに考えております。
  46. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 只今の問題に関連いたしますが、この法案の附則にですね、第四項に地方税につきまして日本国有鉄道とか、專売公社を省いてあるのですが、そういう問題について委員会は早急に調査研究し、それに基いて必要な事項を「内閣及び内閣を経由して国会に勧告しなければならない。」ということになつておりますが、こういうふうなことから考えましても、財政委員会がこれについて調査研究するならば、その重要な権限を持つておるところの財政委員会において、こういうふうな法案立案ができていれば非常にいいのではないか、これはただ立案権がありませんので、内閣及び内閣を経由して国会に勧告ということになつておるのですがまあそこは自治庁の方の考え方が真に地方財政委員会と同等に地方自治の重大性を分つておられればいいのですが、勿論自治庁ですから、そういう点は間違いがないと思いますけれども、どうもこういう附則にありますようなことを見ましても、立案権が別に自治庁の方にあるというところが、この財政委員会内容としては非常に重要なところが抜けておるような感がどうしてもあるわけなんで、今の大臣の御説明にもありましたように、どうもやはりこういうような財政委員会のごときものの外に、別に自治庁というものを長く置いておくそういうようなことについては、制度根本的な欠陷があるように思われますので、それらの点につきまして、今後大いに自治庁においても研究し、早い機会にその調節を図られる方がいいと思いますが、その点につきまして大臣から……。
  47. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) お話の点更に政府といたしましても、行政機関の簡素、縮減化を方針ともいたしておりますので、十分研究いたしたいと考えております。でき得る限りその縮減の方針、そうした見地からも、これを将來の問題としては十分研究いたしまして、結論を出した上でお諮りいたしたいと考えております。
  48. 三木治朗

    ○三木治朗君 先立つて内閣との連合委員会のときに、この第二條の問題で、非常にその行政組織法の精神を紊るもののような発言が多分に行われて、最後に委員長から念を押しておられたようですが、この点やはり行政組織法の法の精神に悖らないという御確信はあるわけですか。
  49. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) これは行政組織法に則つておるのでございますが行政組織法の何條によるということを書かないで、ただ総理大臣の所轄の下に総理府の外局とすると、こういうわけでございます。それを総理大臣所轄の下、総理府の外局を置き得るというのは、そのことは行政組織法規定でございます。それを書かないで、ただこうやつておりますというのは、同じ総理大臣の下、総理府の外局と申しましても、こうした書き方によつて表現される一つの性格が出て来ているわけでございます。これが独立性のある官庁一般行政機関との少しの違いを、国家行政組織法何條の委員会であるということを書かないで、根拠はそこでありますけれども、総理大臣の所轄の下と表現で、例えば国家警察国家公安委員会のように、そうした性格が一つ出ているものでございますから、それに倣つたまででございまして、この委員会を設置し得る根拠は国家行政組織法でございます。
  50. 三木治朗

    ○三木治朗君 それで特にその行政組織法によるということを現わさなかつたのは、結局普通の委員会やなんぞよりも権限が強い、こういう解釈をしていいわけなのですか。
  51. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) そういう性格になつておりますので、さよう御解釈下されば、実情に丁度当て嵌まる、こう思います。
  52. 三木治朗

    ○三木治朗君 普通委員会等でいろいろ委員会意見が纏まる、すると所管大臣自治省なら自治省の所管大臣が一応それを閣議にかけるということにして、閣議の同意が得られなければ、そのことを又その委員会に通知をする、委員会は再び議を練つて、又それを閣議にかけるか、或いは総理大臣の決裁を受けるというような手続をやつておるように思うのですが、そうすると、この財政委員会はそういうことに超越して、強く数回に亘つて総理及び閣議に諮つたけれども、どうも駄目だという場合には、今度は独自でやつて行くというくらいの権限があるわけなんですか。
  53. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 独自でその意見の相違する予算等を執行することはできませんけれども、独自の立場国会の判断までは堅持して行くことができる……。
  54. 三木治朗

    ○三木治朗君 これはまあそんな余計な心配はしなくてもいいかも知れませんが、この間内閣委員会の連中は、頗るそのような何か不満のようなことを言うておられましたが、了解の付き得るような措置は何かおとりになりますか。
  55. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) この問題につきましても、国家行政組織法規定を更に実情に副うようにこれは研究しなければならないと存じております。同じ国家行政組織法規定に基く委員会がここに二つの性格に分けられて参りますので、これを何らか国家行政組織法、根拠法におきましても、その性格の分かれているものは別々に根拠を置くべきではないかというようなことも考えられるのでございますが、この点は今後の研究にいたしたいと存じます。
  56. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 今の問題でありますが、先般の内閣委員会との合同委員会のときにも、内閣委員会委員の諸君から頻りに言れたのでありますが、只今本多国務大臣の御答弁とも併せて考えまして、私の感じますことは、この委員会制度という一つの行政組織、即ちコミツシヨン・ガヴァメントというシステムはアメリカの特異の制度であつて、即ち三権分立以外の第四種であるというようなことも言われておるのですが例えば国家公安委員会のごとき、或いは人事委員会のごとき、これは新らしく終戰後でき上つたところの制度でありますから、そういう考え方に習熟していないところの人から非常な懐疑が起きて來るわけで、例えば先般の合同委員会においても言われましたように、人事委員会のごときは廃止すべきであるというような議論も起つているのもそのよつて來るところの特異の制度であるということに対する十分な理解が、議員及び政府職員間にも十分に普遍化していないことから来るいろいろな観念上の衝突が起つて来るのじやないかと考えられるのでありましてこれは極めて重要な問題であると思うのであります。でありますから、只今本多国務大臣も言われたことでありますが、我々議員の間におきましても、そうしたこの委員会制度という特異な新らしい制度に関する十分の理解を持つことに努めなければならんと思いますが私の見るところ、官吏の諸君の間において、役人の諸君の間においても、答弁等においてそれが十分呑み込めていないような点が非常にあると思うのでありまして、本多国務大臣の御答弁のごとく、十分そういう研究と調査をせられまして、それが普遍化するように御努力を願いたいと希望申上げて置きます。これは私見でありますが、重要なことと実は考えて折る次第であります。
  57. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 私はこの前の連合委員会でも質問をした問題でありまして、この所轄の下にという表現は、国家公安委員会につきまして、警察法で規定したときに用いられたことで、そのときに国会質疑応答がありまして、それは総理大臣の監督が最も薄いものであるということの説明があつたのであります。それと同じく人事院は内閣の所轄の下に、内閣総理大臣でありませんが、内閣の所轄の下にと、こうあるのです。それから日本学術会議内閣総理大臣の所轄の下に、そういうふうに指揮監督が非常に薄くつて、而も国会に対して勧告をすると、これは吉川さんの御議論があつて、勧告という文字が悪いので、薦告の方がいいのだ、これは私も成る程と思う点があるのです。併しともかくそういうことのできる機関というものは、單なる外局とか、それから單なる機関であつちやいかん。こういうふうに私は考えておる。そこでこの前の地方行政調査委員会議におきましては、私の議論から言えば、内閣総理大臣の所轄の下にと、こうあるべきだつたと思うのであります。ただそのつもりで申すのですが、それが今度は国家行政組織法というものができたから、それに基く書き方に改めるんだというので、国家行政組織法第八條第一項の規定に基いて、臨時にそういうふうな機関として地方行政調査委員会議を設置する、こういう規定を設けております。機関としてというような言葉はこれが初めてでありまして、附属機関としてというのは、この前たびたびありますけれども、それとは違う書き方であり、それを質しましたところが、それ内閣総理大臣所轄の下にというのと同じ意味だということが法務総裁から明らかに御答弁があつた。それならばこの地方行政委員会設置法におきましても、この地方行政調査委員会と同様な指揮監督の薄いもの、而も国会に対して監督のできるような同じような機関でありますから、だから第二條が地方行政調査委員会と同じような意味でなければいかんじやないか、こういう意味質問したのであります。それはやはり元の内閣総理大臣所轄の下にという表現に変えて来た。まあそういう事情はいろあるようですから仕方がないといたしまして、今大臣がおつしやいましたように、政府においても速かにこの用語を統一されて、そして国家行政組織法の下においても、この内閣総理大臣所轄の下にという言葉が適当に使われ、又その現わすことが指揮監督の下にするのであるという観念をはつきり徹底されて、はつきりこの委員会答弁ができるようにお願いしたいと思うのです。
  58. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 それからやはりこの題に関連して重要な質問が先程西郷吉之助君からせられたと思うのですが、即ち地方財政委員会というものが、この法律によつてでき上るならば、自治庁というものは無用なものではないかということの質問に対する本多国務大臣の御答弁でありますが、これは極めて国内行政の行政組織の上において重要な問題であると思うのでありますが、そうした問題については地方行政調査会議等もやはり調査研究の対象となるべきものと考えておりまするし、又内閣委員会、諸般の府政組織に関する問題として重要な問題であると思うのでありますが、私よく存じておりませんけれども、大陸諸国においては大体いずこの国にも私の知るところではあると思うのであります。英米でありますが、イギリスにはやはり従来の内務省のような地方自治体を統轄した、国の統轄機関としての役所としては、保健省、ミニストリー・オブ・ヘルス、保健省が大体その省に当つておるというように書物の上で散見いたしておるのでありますが、アメリカの制度はこれは進出と思いますが、連邦政治としては、訳するならば内務省と言いますか、ミニストリー・オブ・インテリアーという役所がありますが、その所管事項は大体公共事業のようなこと、パブリック・ワークのようなことが多いようでありますが、これは本多国務大臣個人といたしましても自治庁長官であるという立場から極めて重要な問題ではないかと考えておりますので、我々議員もそうした比較対照研究の上において完全な知識を持つことも必要でありますし、政府部内にも本多国務大臣研究して見ようと言つておられますが、是非必要なことではないかと思われますので、私は内務省が解散されたということは日本の民主化の上から、一つの占領政策上の日本の民主化ということの上においてその必要があつたからと思うのでありますが、併しこのいわゆる三権分立以外の第四権的な行政組織である。いわば会計検査院と似たような形におけるこういう地方財政委員会というようなものが、地方自治体の利益擁護機関として存在しておつても、私に国の制度は国の制度として、やはりイギリスの今申しました保健省のような地方自治体を統轄するところの中央機関というものは持つことが必要なのではないかと、これは私見でありますが、考えております。そのことについて。十分な、政府においても、我々も研究いたしますが、御研究の結果我々に資料を提供される日を待ちたいと思うのであります。この法案審議には間に合いませんと思いますけれども、どうぞ一つ心がけて我々に教えて頂きたいということを希望いたして置きます。
  59. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 細かい点ですが、四條の二項に、「委員会のみによつて審査される。」という文句が殊更にそこに使われたのはどういうわけですか。政府委員の御説明を一つお願いいたします。
  60. 荻田保

    政府委員荻田保君) これはこの委員会が最終的に決定する権限を持つておる事項でございます。例えば地方税法中にいろいろあります規定とか、地方財政平衡交付金の各地方団体に対する配分とか、こういうものが委員会決定をいたしましたし、それによつて決めるのでありまして、これに対しまして政府の他の機関から掣肘干渉することができないという……。
  61. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質問ございませんか。それじやもう一つ聞いて置きたいのですが、先頃聞きましたことに関連して、若し府県や市町村地方税法なんかについて疑義を持つた場合に、自治庁かこの委員会かどちらに申し出て質すことになるでしようか。
  62. 荻田保

    政府委員荻田保君) これはやはり原則としまして、地方財政委員会の方へ来ると思います。三條の一号によりまして「地方公共団体の税制の運営に関して助言すること。」、この法律の解釈でございますから、最終的には別に行政機関で決まらないと思います。裁判所で決まるのであります。ただその運営に関しましての助言をする程度でございまするから、この地方財政委員会の方が担当するのが適当だと考えます。
  63. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 地方自治庁じやないのですね。地方自治庁法律の疑義というものを聞きに来るのじやないのですね。
  64. 荻田保

    政府委員荻田保君) 普通この官庁といたしまして、立法の、立案権限がありますわけで、尚、解釈につきましても、その意見の表示もできますけれども、それでは重複になりまするから、原則としまして、地方財政委員会で処理したらよいと考えます。
  65. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それからこの附則の地方自活庁の所掌事務について、第三條の二号ですね、「地方自治に影響を及ぼす国の施策の企画立案及び運営に関し、地方自治権擁護の立場から必要な意見内閣及び関係行政機関に申し出ること。」、この地方自治に影響を及ぼす国の施策という申に、地方国税ということが入つておりますか。
  66. 荻田保

    政府委員荻田保君) 地方財政を含んでおるつもりでございます。
  67. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) そうすると、それに関しても地方自治権の擁護の立場から、地方自治庁の方が意見内閣及び関係機関に申出る、こういうことになりますね。
  68. 荻田保

    政府委員荻田保君) 両方、財政委員会でもどちらでも両方……。
  69. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 両方ともそうなる……それからもう一つ。先程吉田委員が御質問なつた第五條の問題ですが、この委員の任命は今期に提出いたしますか、若し明日でも又明後日の午前にこの法案が通つて成立したとしますれば、その五人の委員は両議院。同意を求めなければなりませんが、それが間に合いますでしようか。
  70. 荻田保

    政府委員荻田保君) この点につきましては、衆議院の方で法案修正がございます。まだ参つておりませんですか……。その点修正になつております。
  71. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは便宜この地方財政委員会設置法案につきまして、衆議院議長から修正議決の案が参つております。それをこの際御審議を願うことにいたします。これについて政府委員の説明を求めます。
  72. 荻田保

    政府委員荻田保君) 衆議院の方で修正されました点につきまして、衆議院の御意思を我々聞いております程度で申上げたいと思います。  第一点は、この地方団体から推薦いたします三人の委員につきましてでありまするが、これは原案では知事、市長、町村長、いわゆる理事機関代表者が、連合組織だけが推薦するようになつておりましたが、それぞれ当該団体の議長の連合組織と共同推薦するということになつております。この趣旨は、そうした方が余計に地方団体の意思を反映することができるとお考えのようであります。我々といたしましても結構なことだと存じます。  次の点は、先程委員長のおつしやいました点でございまして、非常にこの法案の提出が遅くなりまして、当初の委員の任命を国会に同意を得るという手続きが、この議会におきまして取ることができない慮れがございますので、最初の委員につきましては同意を得ないで一応任命して置いて、次の国会におきまして事後の承認を求めるということ、この場合承認が得られなかつた場合は、その委員を罷免しなければなしないという、こういう規定が置かれたのでありまして、この点も結構だと思つております。
  73. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 衆議院改正案の第五條第三項の改正でありまするが、私は深く別に反対するわけでもありませんが、衆議院のように改正しなくてもいいんじやないかという念が非常にするのであります。こういうように議会代表者の意思をここに反映させるということは、旧来の地方自治制度によるところの頭の切換えが十分できていないのじやないかと思われるのでありますが、都道府県の知事にありましても、いわゆる官選知事ではなくして、民選知事であつて一般に府県民から公選されて出て来た人なのでありますから、必ずしも議会代表者を出すという必要はないと思われるのでございまして、自治体の民主的な組織の上に立つた代表者はやはり自治体の首長であるところの知事、市長及び町村長であると考えていいのじやないかと思いますが、これは実際上これを共同推薦する場合において非常に複雑なことになつて、却つて弊害がないかと思われるのでありますが、今次長のお話では結構でありますというような話でありましたが、本多国務大臣は果して次長と同様に結構と思つておられるかどうかということを一つ答弁を願いたいと思います。
  74. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 政府も原案は理事者側の組織の推薦するものだけにいたしておるのでございまして、こういう原案を決定いたしました理由は今吉田さんの言われました通り、その地方団体の代表者すべてを含む代表であるからという観点に立つてつたのでございますが、更に非常に強く地方議会代表者と協議してやるという修正でございますが、この点につきましてはそれぞれ議長の連合組織体もできておりますことでございますので、この協議も困難ではなかろうと思われます。更に又成るべく少数の委員によつて処理させなければ執行機関としての使命が果せないと考えておるのでありますが、その点から人数が殖えるわけでもありませんので、議会の方でそういう御趣旨でありますならば、政府として特に反対をするという考えは持つもないのでございます。
  75. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質疑ござませんか。それでは欠席の委員の方において質疑のおありの方もあるようでございますが、一応地方財政委員会設置法案質疑を大体終つたことにいたして、一時これを中止いたして置きます。   —————————————
  76. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 次に、地方財政平衡交付金法案につきまして予備審査をいたします。午前の連合委員会におきまして、主として大蔵委員、文部委員に御質問を願いましたから、今度は本委員会の各委員の御質疑をお願いいたします。  この際先程吉川委員から御提議がございました、皆さん御賛成願いましたが上原專門員にこの地方財政平衡交付金法案についての研究した意見を述べて貰いたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは上原專門員
  78. 上原六朗

    ○專門員(上原六朗君) 特別に申上げることもございませんが、御参考になると思われます点を二、三、書いたものがございますら、これを読みながら御説明申上げます。第一は、この地方財政平衡交付金の配分のいろいろな方式の問題であります。御承知のようにこの制度は従来の配付税とは全くその性格を異にしておりますために、これを法律に現わすことは非常に困難がございますことは、私が申上げるまでもないことでありますが、何故そういう困難があるかと申しますと、それには二つの原因があると思うのであります。一つは標準行政費というものに対する従来の科学的な調査ができていなかつたということであります。それからもう一つは、標準行政費の調査が決定しないうちに、すでに交付金の総額が一千五十億円という枠が決まってしまつたということでございます。シヤウプ勧告におきましても、一九五〇年と一九五一年の間における交付金は、本当の意味の均衡化方式に接近する第一歩として、暫定的に立案選れるものだというような意味のことを書いてございますが、この法案全体を通じて考えられます点は、この暫定的な方式を採用しております点は僅かに一、二点でありまして、大体は恒久的な方式になつておるように考えております。その点がどうかと考えるような次第でございます。これはやはりシヤウプ勧告にありますように、いろいろな方式は暫定的な方式を採用いたしまして、すべての方面に基礎的な調査が完全になりました後に、恒久的な方式に移つて行くことがいいのではないかというように考えております。  それから平衡交付金が府県と市町村にどういうふうに分れて行くかということでありますが、これは今まで提出された資料によりますというと、府県の方へ約六百五十億円、市町村の方へ四百億円行くような概算になつております。勿論これは大体の見通しでありまして、地方財政委員会ができました後に決まることではございますが、こういうようになりますというと、従来の配付税は府県と市町村とは大体半分ぐらい分かれて行つたようであります。でありますから平衡交付金になりますと、この比率が非常に変つて参ります。全体の六五%が府県に参り、三五%が市町村に交付されるということになります。こういうような結果になりますのも、二十五年度が府県の税金が非常に枠が決まつておりまして、七百億という総額が決まつたためにこういうことになるのでありまして、これも大体止むを得ないと思うのでありますが、平衡交付金が非常に府県の方へ余計に行くのじやないか、貧弱町村の財政調整の作用が比較的少いというような印象を受けるところに、問題があるのではないかと思うのであります。シヤウプ勧告によりましても、現在半分ずつ分けておる府県と市町村のこの配分方法でも、この分け方が府県の財政酌地位が市町村よりも強くなつておるというような感じを受けることを指摘しておりまして、これを克服するためには合理的な標準を決定しなければならないということを述べておるのであます。  その次に、平衡交付金の実施によりまして、府県の財政が非常に中央に依存する度合が強くなつておるということを感ずるのであります。本案の実施によりまして、府県の財政平衡交付金と国庫の支出金、補助金や交付金で全体の六〇%を占めることになります。府県が自分の税金で賄つて行く割合は僅かに三〇%に過ぎないということになつております。その結果、歳入の全体の構成要素が非常に中央に依存する度合を強くしておるのであります。この状態は今後行政事務の再配分が行われまして、府県の事務市町村に多量に下されることによつて改善せられることと思うのでありますが、それまでの間は府県の財政というものは、地方自治という見地から見れば、誠に好ましくない暫定的な形で今後続けて行くということになると思うのであります。  それから四番目は、單位当りの費用の問題でありますが、單位当りの費用の決定ということは、これは財政需要の総額を決定される非常に重要な事柄になつております。地方団体の利害は一にこの單位当りの費用の決定によつて左右されると申しても差支がないのでありますが、この法案によりますと、この單位当りの費用は法律によつて決めなければならんということが書いてあるのでありますが、附則の方で二十五年度に限つて財政委員会の規則で定めるということになつております。換言すれば、財政委員会の規則というものは法律に代るものでありますが、この規定もすべていろいろな調査研究の段階にあります今日におきましては、こういう暫定措置も止むを得ないと思うのでありますが、財政委員会が單位当りの規則を定める場合には、この地方行政委員会が国政調査の題目として是非お取上げを願いまして、單位当りの費用の規則を制定公布される前に、その説明を聽取いたしまして、規則原案の調査研究をする機会を得たならばどうかと考えるのであります。このことは若し臨時国会が開会されております場合には勿論のこと、できるのでありますが、閉会中におきましても継続調査の項目として是非お取上げを願つたら如何かと考えております。  それから五番目は、基準財政支出と收入の関係でありますが、この案によりまして、二十五年度の基準財政の総額がどういうように推定されるかということは、これは地方団体にとりましては非常に重要ことでありますが、配布資料によりまして地方財政の基準收入を大体比較いたして見ますと、大体地方財政の総額は四千三百億ということになつております。そうしてこの基準財政の支出の方がこのうち二千二百八十億であつて、基準收入が千三百、三十五億、差引九百五十億円ばかり足りないから、これを平衡交付金で賄つて行くという大体の組立になつております。こういう組立になつて参りますと地方財政の四千三百億の中の標準存政費が僅かに二千二百億円に過ぎない。而もこのうちどうしても切下げることのできないベースの定まつております人件費のようなものは一千億円もあるのでありますから、基準財政そのものの立て方に私は少し疑問を持つておるのでありますが、標準財政費というものが地方団体の最低の行政費だということにも多少の問題はあると思いますが、仮にそういう見解をとりましても、今日の地方行政の最低行政費が、現在の四千三百億の半額程度のものが最低行政費だと、そういうことにも問題が、あろうと思うのであります。こういうことになりますのも、ただそれは地方税收入の標準税率で計算いたしました地方税收入の七〇%を標準財政收入としたということによつてのみ生じたのでありまして、実際に地方財政の需要の方面から科学的に検討せられた結果が標準行政費が二千二百八十億円だということになつたわけではないのであります。地方財政自治体に最も重要な利害関係を持つておりまするこの標準收入とか、標準支出が、こういう腰だめ式な方式によつて計算されることは、二十五年度の暫定措置としてはこれは止むを得ないことだと思うのでありますが、将来の恒久的な計画の基礎となることにはどうかという疑問を持つております。地方財政委員会は專門の調査機関、例えば学識経験者とか或いは地方団体の職員とか、そういうような人々より成る專門の調査機関を設けまして、理論と実際の両方面から調査研究した結果によりまして、恒久的な標準財政費の基準を定めることといたしまして、この法律によるいろいろな措置は二十五年度とか、或いは二十六年度までの暫定措置とすることが適当ではないかというように考えております。  それから法案第三條によりますと、国はその予算が成立した後は、当該年度の途中において地方団体の負担となるような措置はとらないものとするという趣旨の規定がございますが、この事は従来の経験によりましても、ときどきこれに違反するようなことがあるのでありますから、何か地方財政法にありますような規定をこれに附加えまして、これを匡正するような方法をとつたならばどうかと思います。併しこれにつきましては、全般的な建前として別に意見書を出せるような途もございますから、それに吸收することができると言えば、それも一つの方法だと考えております。
  79. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 今の上原專門員意見に御質問ございませんか。
  80. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 最初の基準財政收入及び基準財政支出の点でありますが、この地方財政の総額は四千三百五十億、収入歳出とも実際はあるのであるが、平衡交付金を交付する場合におけるところの算定の際に採用する、いわゆる基準收入、基準支出と、いうものは、四千三百五十億も実際かかわらず、支出は二千二百八十億であり、実質收入は一千三百三十五億であるというふうな計算をして、それに按分して配付すると、こういうことなんですか。
  81. 上原六朗

    ○專門員(上原六朗君) お話通りであります。
  82. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 そうしますと、平衡交付金規定にありまするように実際に府県市町村が一切の歳入と一切の歳出というものを偽りなくそれを下から計算して、そうして総計が合つて、そうしてそれに基いて不足の分を平衡交付金として国から交付するのであるというこの平衡交付金制度の原則というものは、その実際に基かずして、それよりも三千億円程度の少い数字を標準行政費というようなことで計算をして、そうして九百四十五億の差があるから、それを配付するんだという、こういうようなことにするということは実際に即しないものであると思うのでありますが、この表によれば、むしろ本当の歳出は四千三百五十億あるのでありますから、そうして基準收入、これは実際の收入の七〇%と見ていると思いますけれども、それを七〇%として仮に計算いたしましたといたしましても、実際の收入は千三百三十五億しかないから、実際の支出四千三百五十億から基準收入の千三百三十五億を引けば残りは三千十五億になるのであるからい従つて国が交付すべき平衡交付金というものは三千十五億ということにならなければならない。こういうことになると思うのであります。然るに実際においては九百四十五億しかない。国の実際の予算はないものだから、止むを得ずこういうような計算を立てきるを得ないということになるので、この点について政府にお聞きしたいのですが、この表によれば、実際の歳出四千三百五十億あるんだからして、その收入が一千三百三十五億と見れば、あとの残りの三千億程度のものはやはり平衡交付金として交付しなければならないという計算になると思うのであります。この点について実際上の計算はどういうふうになるのですか。
  83. 荻田保

    政府委員荻田保君) これは四千三百五十億は全体の支出であるのであります。従つてこれによつて基準收入である地方税と、それから平衡交付金の外に地方債、手数料、使用料、国庫補助金等があるのであります。そういうものまでも基準歳入の中に入れますことが適当である。従つてそれに見会う歳出を基準支出の中に入れると、こういう考えを持つております。
  84. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 そういう説明になりますと、少くとも標準行政費域いは標準財政需要というものは実際に二千二百八十億支出があり、そうして収入は千三百三十五億が、これは実際の数字であると、そこから当然九百四十五億というものは出て来たのだと、こういうふうにみなされることになるというと、この九百四十五億というものは平衡交付金としては妥当なる額であるということになるのですが、そうなりますか。もつと多くならなければならないのではないですか。先程上原君が言われたように千五十億というようにはつきり予算に決まつておるために、こういう計算をしなければならないという結果になつたのではありませんか。
  85. 荻田保

    政府委員荻田保君) これは午前の連合委員会で申上げたのでありますが、今年に関しまする限り、千五十億に決まりまして、そうしてあとでこの標準單位費用というようなものの決定をいたす。それから各地方団体に対しまして基準財政需要から基準財政費用を引いたものを出しまして、それから按分して出すということになりますので、如何にも千五十億を先に決めて、もうそれだけで何でもかんでもやつてしまえというように見えるのでありますが、これはそういうような点はあるかも知れませんが、配分の細目につきましては、これから決めなければならないことは勿論でございますけれども、併し大体の考慮というものは大体国の予算を作りましたときから考えておるところでございますし、又そのときに四千三百五十億という支出が妥当であるかどうかということを十分検討しまして、この額を決定し、それからその方から地方債、手数料、使用料、国庫補助金等も見積りまして、そうして最後にこの地方税の千九百億、そうしてその差額が千五十億ということになりますので、千五十億を以てこの四千三百五十億の地方の歳出を賄つて行けるという確信を持つて決めたのでありまして、決して好い加減な数字ではないわけでございます。ただ、この上原委員言つておられます要点は、税収入の七〇を標準財政収入として計算した、七〇%しか基準財政需要の中に計算しないのがいけないという御意見なのか、或いはただ二千二百八十億という根拠が曖昧だというような御意見なのか、ちよつとそれははつきりいたしませんでした。
  86. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 そうしますと、今度の法律によるところの十二條の測定單位、これをその第二項の数値によつて掛けて見るというと、二千二百八十億というものになる、こういう計算になるわけですが、そうすると、その数値というものは、すでに大体あるわけですね。
  87. 荻田保

    政府委員荻田保君) その問題でございますが、実はこの單位費用に数値を掛ければ二千二百八十億になるように、單位費用をこれから設けるという、ことになりまして、如何にも何か頭が決まつてつて尻を合せるという恰好になりますけれども、それは單に技術的な問題でございまして、全体的の歳入歳出のバランスは、これでとれるというわけであります。
  88. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 それから府県と市町村との配分の関係ですが、府県の支出は依然として府県側においてはあるわけですけれども、收入が今度の地方税の改正によつて非常に少くなつて来ているというような関係からして、それを平衡交付金の制度から案分して見るというと、府県側が非常に多くなつて来る。こういうことになるわけですが、従つて府県というものは、むしろ財政的な自主性を持つというよりも、むしろ中央の平衡交付金によつて賄われるという関係になり、ますます府県庁というものは、これは中央の出先機関のような傾向を、持つて来るということが、この上原君の調書によると現われているのですが、一方市町村の方は、財源を保有されたために相当收入が多くなつて来る、従つて平衡交付金の分配というものは比較的少くて済む、こういうことになつて来ている。従つて市町村自主性は非常に確立はされたわけだけれども、ここに書いてあるところの府県を偏重して、弱小町村の財政においては非常に弱化するような印象が受けられる、こういうことになつて来るのですが、その点はそうなりますか。
  89. 荻田保

    政府委員荻田保君) この二の、これは何と申しますか、印象を受けるということに重点があるのか、事実上市町村の方が窮屈になるという点に論点があるのか、ちよつとはつきり分りませんが、この数字は、決してこれを頭からこのように決めたのじやなく、單位費用についての数値を乗じて計算して行くというような方法でやれば、大体こうなんだという見込みを決めたのでありまして、決して前のように、配付税のように、初めから決めたわけじやないのです。然らばどうしてこういうようになるかと申しますと、これは従来のこの配付税の分け方は半々でございまして、それから尚今度廃止になります負担金の額が、その大部分一番大きなものを占めるのが義務教育費に対する国庫下渡金、そういうものがなくなります。従つて府県がどうしても多くなる。全体的に財源の問題に対しましては、市町村の方では四百億からの税が殖えておるのでありますから、相当市町村にゆとりができる。これに反しまして府県では、むしろこの程度では税は減るのであります。去年七百億取れる、今年も新税制で七百億となりますけれども、従来の税制を本年度適用すれば、これは相当自然増収がある、それを失つてしまう。従いましてこのように分けましても、恐らく見通しとしましては、府県の本年度の財政は非常に窮屈になるだろうと考えております。更に関連いたしまして、三の方の府県財政が中央依存が強くなる、確にこのようになります。これは税が殖えていなかつたということ、それから平衡交付金がこのように多いこと、問題は災害費の全額国庫負担であるとか、その外公共事業費の国庫補助、これが非常に府県に多いのでございますので、この点につきまして将来改正をしない限り、このような方向になると思います。
  90. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 実は府県に六百五十億という程度の必要見込みとなつておりますが、文部省が盛んに主張されたというのは、義務教育費の国庫負担の分が七百二十億と言いますか、というようなものを確保したいというふうになつていたと思うのですが、勿論これは配付税から取るというわけではなくて、收入の四千三百五十億の中から七百二十億をとりたいということだと思いますけれども、少くともこの平衡交付金について考えて見るというと、文部省で考えておる七百二十億を、府県の教育費に当てたいというその数字よりも、更に少ない六百五十億ということになるならば、私はもう教育費に当てた以外のものは、殆んど府県に配付された平衡交付金というものは、私は使うことができないということになるのじやないでしようか。その点はどうでしようか。
  91. 荻田保

    政府委員荻田保君) これは平衡交付金だけで七百二十億になるのではないのでありまして、この数字で見ますと、基準財政支出の二千二百八十億、そのうち七百三十億を義務教育費にとつてしまう、三分の一程度を義務教育にとつてしまう、こういう計算になるのであります。
  92. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 二千二百八十億のうちの七百二十億を義務教育にとつてしまうということは、従来の府県の行政から見て非常に無理と思われるでしようか、或いはこれは当然だという程度のものでしようか。
  93. 荻田保

    政府委員荻田保君) 従来の数字から見れば、相当殖えておると思います。果してどれだけを全体的に殖やす余裕があるかどうか、全体的の調整を図りましたならば、この程度のものは恐らく出せないのじやないかと考えております。併しこれは全体を調査して見なければ分りませんが、七百二十億で参れば、相当のゆとりのある数字になつて来ます。    〔委員長退席、理事吉川末次郎委員長席に着く〕
  94. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 平衡交付金の算定の基礎から見れば、二千二百八十億ということになつておるけれども、実際に四千三百五十億あるということならば、実際の場合においては四千三百五十億の收入のうちから七百二十億を支出するということになるので、相当のゆとりが出て来るということになりはしないのですか。
  95. 荻田保

    政府委員荻田保君) このところの、どの財源をそれに当てるということも決まつていないわけでありますけれども、義務教育費は経常費というものにつきましては、補助金もありませんし、使用料、手数料がありません。地方債も無論持ちません。結局税と交付金とに頼るより仕方がない、いわゆる基準財政需要に殆んど該当するものであります。従いまして、四千三百五十億から七百二十億という観念よりは、むしろ三千二百八十億の中の七百二十億を義務教育に当てるといつた方がはつきりするのであります。
  96. 吉川末次郎

    ○理事(吉川末次郎君) 他に御質問等ございませんか。それでは上原君の意見開陳についての質疑はこれを以て打切ることにいたしたいと思います。地方税法についての一般質問があれば引続いてやつて頂くことになつておるのでありますが、岩木君から特に御希望があるように承つておるのですが、その他の皆さんにございますか。
  97. 米倉龍也

    ○米倉龍也君 これは説明を頂いたかと思うのですが、地方税法の第六條なんですが、第六條の第二項の不均一課事税を認めることになつておる。この不均一課税のことは、「公益上その他の事由に因り必要がある場合においては、」と、こういうのですが、これは内容はどういうことになりますか。非常に消極的と言いますか、非常に限定されたことをお考えになつておるのですか。或いは府県の事情によつて、府県議会の條例等によつて相当何と言いますか、積極的にこの事項を運用することもお考えになつておるでしようか、その点ちよつと……。    〔理事吉川末次郎君退席、委員長着席〕
  98. 荻田保

    政府委員荻田保君) やはりこれは原則といたしましては、不均一の課税をするという建前だと思います。でここにありますような「公益上その他の事由に因り必要がある場合」、特別に事由がある場合に限りまして、府県が條例を以ちまして不均一課税をするということは差支えないわけでございます。
  99. 米倉龍也

    ○米倉龍也君 それがですね、府県に、勿論府県会の議決ですが、まあ公益上その他必要という、その必要ということが、何と申しますか、非常に自由と、必要があれば何でもという、相当範囲を拡めるというような考え方がこの中に入つておれば、そういうことが本当に必要であつて、非常に消極的だというのですが、そこのところです。もう一つは、三十二條の二項に、これはそういうような違つた税率をやろうというときには届出だけでいいというふうに書いてあるのですが、三十二條ですが、三十二條の二項に届出なければならないと、ただ届出ればいいと、予め違つた税率のときにやればいい、單に届出るということから見ると、必要がある場合というのは、相当積極的に範囲が広いようにも解釈できる。そういう点は一応お聞きして置きたいことなんです。
  100. 荻田保

    政府委員荻田保君) この六條二項の方は飽くまで例外的な規定でございまするから、公益上その他の事由により必要があるということを積極的に主張し得るだけの根拠がある場合でなければいけないと思います。それから三十二條の二項の方は、これは不均一課税ということよりも、むしろこれは標準税率をその全体につきまして上げたり下げたりする、即ち百分の四を三にしたり五にしたりするという場合でございまして、この点につきましても、第一條の第五号の標準税率の定義によりまして、財政上特別の必要があると認める場合という積極的の事由があるものとし、勿論この場合は届出だけで許可も何も要りませんから、地方団体の自由の判断によつて差支えないと思います。建前といたしましては、そのようなことになつております。
  101. 堀末治

    ○堀末治君 ちよつとお願い申上げますが、今全国都道府県の町村会と各ブロツクの方がおいでになりまして、こういう決議を持つてお見えになつたのです。        決議  市町村財政逼迫の現状に鑑み、参議院において審議中の地方税法案の即時可決成立を要望する。  こういう決議案を持つて今こちらにお見えになりましたのですが、できることならば一言発言さして頂きたいということでございますが、適当にお取計らい願いたいと思います
  102. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) お諮りいたします。只今堀君より御発言がございました全国都道府県町村会長の代表の方々に、この委員会に対しまして地方税法案につきまして意見開陳いたしたいという要望がございます。許すことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  104. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を始めて下さい。
  105. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 本多国務大臣はもうお見えにならないのでありますか。
  106. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) お答えいたします。参りましたが、今内閣委員会に行つておりますので、呼びに行つております。岩木委員に申上げますが、地方財政委員会法案は皆さん大体質疑が終つたのですが、あなたが御質問があるようでしたからそれは留保して置きました。尚、只今地方税法案と、それから地方財政平衡交付金法案、これについて質疑をいたしております。大体外の方は質疑が終つたようでありますから、今大臣が参りますが、それまで政府委員に御質問を願いたいと思います。尚、大臣が先程参つてつたのですが、今内閣委員会の方へ参りました。
  107. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 この地方財政委員会の設置法案についてのもう大体の皆さんの質疑は……。
  108. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 終りました。併しあなたがおいでにならぬから、それは留保いたしております。お待ちしておりましたのですが、一応それは中止をしまして、あなたのおいでを待つていたんです。御質問があれば、それを又議題といたします。
  109. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 大体地方財政委員会の設置法につきましては、特に第二條はもとよりでありまするが、いろいろ意見もあるし、ちよつと疑義もあるのですが、衆議院側から修正が来ておるようでありまするから……。
  110. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それも議題にしまして、質疑があつて答弁があつたわけであります。
  111. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 その点たけでも、せめて訂正されることが望ましいことであろうと思つておりましたが、もうそういう衆議院側の修正案が配付されて、これは衆議院では決議されておるようでありますから、省略いたしましよう。
  112. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 地方財政委員会設置法案質疑打切りに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは地方財政委員会設置法案質疑は終りました。  それでは次に地方税法案並びに地方財政平衡交付金法案につきまして質疑を続行いたします。地方税法案につきまして御質疑はございませんか。    〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは地方財政平衡交付金法案、これはまだ予備審査でありますから、質疑打切りはできませんが、一応これで今日は打切りといたしましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは地方税法案につきまして御質疑を願います。ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  116. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を始めて下さい。地方税法案について、外に御質疑はございませんか。    〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質疑はないと認めます。  それでは、地方税法案質疑は、これで以て終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは地方税法案質疑は終了いたしました。  今日はこれで散会いたします。    午後四時五分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君    理事            吉川末次郎君            堀  末治君            岩木 哲夫君    委員            三木 治朗君            黒川 武雄君            山田 佐一君            木内キヤウ君            柏木 庫治君            西郷吉之助君            鈴木 直人君            米倉 龍也君            濱田 寅藏君   国務大臣    国 務 大 臣 本多 市郎君   政府委員    地方自治政務次    官       小野  哲君    地方自治庁次長 荻田  保君    総理事務官    (地方自治庁財    政課長)    奧野 誠亮君   事務局側    常任委員会專門    員       上原 六朗君