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1950-04-23 第7回国会 参議院 地方行政委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月二十三日(日曜日)    午前十時四十八分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方税法案内閣提出、衆議院送  付)   —————————————
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。  地方税法案審査を続行いたします。今日は逐條審議に入ります。
  3. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 逐條審議の前にちよつと希望と申しますか、委員長にお願いしたいのは、地方財政委員会に関する法律案を若し議運で内閣委員会所管審議と決まりました場合、万が一決まりました場合においても、当地方行政委員会共同審査の要求をお忘れなくして頂きたい。特にお願いいたします。
  4. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 承知いたしました。  それでは逐條審議に入ります。逐條につきまして、政府委員から一通り説明は済んでおります。質問が残つておる次第でありますが、それでは章、節ごとに一応要点を御説明願いまして、それから審議に入ることにいたしたいと思います。
  5. 荻田保

    政府委員荻田保君) 第一章総則でございます。これはこの前申し上げましたように、今度の條文は従来ございました総則條文を成るべく各税につけましたので、総則に残ります分は非常に少くなります。全部の税に網羅する規定だけにいたしました。内容につきまして重要な点を申上げたいと思います。  先ず第一條におきまして用語の意義を定義しておるのでありまするが、その第五号に標準税率という言葉がございます。この言葉地方税全体を通じて大きな負担をしておるのでございますが、多少御説明申上げたいと思います。「地方団体課税する場合に通常よるべき税率でその財政上の特別の必要があると認める場合においては、これによることを要しない税率をいい、地方財政委員会地方財政平衡交付金の額を定める際に基準財政收入額の算定の基礎として用いる税率とする。」こういう定義になつております。でここにございますように第一にはその地方団体が通常よるべき税率、普通の仕事を、通常並仕事をしておれば、その税率で似て課税すれば、大体その財政は賄つて行くことができる。でただその団体がそれ以上に非常に沢山に仕事をしたい、よい仕事をしたいと考える場合には、その税率を上げても勿論差支ないわけであります。或るは税の負担を軽減するという方に重点を置きまして、ある程度事務整理して行くというふうに考えますれば、その税理を引下げてもよいわけであります。でそのようにただ目安といたしまして標準税率というのが設けであるのでありまして、地方団体自主性を強化する意味から、税率等につきまして国で制約いたしますことは成るべく避けたいという考の下に出ておるのであります。この点従来の規定がもう少し標準税率言葉を強く書いておつたのでありまするが、シヤウプ勧告の趣旨に則りまして今度このように緩和したのであります。でありまするが標準税率はここにもございますように、財政上特別の必要があると認める場合はこれによることを要しないとこういうのでありますので、法律的に申しますならば、この財政上特別の必要があると認めるという場合は一種のこの法規裁量と申しますか、單なる自由裁量ではございません。いかなる税率を掛けてもよいという意味ではなくて、財政上の特別の必要があるという場合が客観的に認められる場合におきましてこれによらないことができるわけであります。で大体の税につきましては、この標準税率規定をしておりまするが、特殊な全国的均衡を図る必要のある税につきましてだけこれと違いまして、法律を以て固定税率規定しております。それは入場税鉱区税狩猟者税電気ガズ税と、これだけございます。それ以外は全部標準税率の定め方になつております。尚その外にもう一つ標準税率固定税率の外に、制限税率という規定をしたのがあります。これは標準税率の上を取りましても差支ないのでありまするが、制限税率の定めをした場合にはそれを超えてはいけないということになつております。例えば市町村民税におきまして所得割国税課税標準にいたします場合は、百分の十八が標準税率でありまするが、それを超えて課税する場合であつても百分の二十を超えてはいけないということになつております。これはこの税法上の標準税率意味でありまするが、この税率を、地方財政平衡交付金を分けます際にこの税率基準にいたします。で、標準財政收入額を算定いたします場合には、個々の団体におきまして現実に取つておりまする課税を用いずに、この標準税率を用います。尚この七割をこれを用います。こういう点につきましては、これは近日平衡交付金法案が提案になりましてから御説明いたしたいと思いますが、標準税率一つ意義は、平衡交付金を受ける場合の基準になることでございます。  次には徴税令書に、ここに書いてありますように條例規定とか云々のことを詳しく書きまして、納税者の納得の行くようにさして、今までのように紙一枚で以て税額期日ぐらい書いて非常に不親切なのは適当でございませんから、徴税令書にこのようなことを書きまして、成るべく親切に、どういう税が掛かるのかということが、納税者に分るようにいたしたいと思います。  それから後に徴收方法がございますが、徴收方法一つ普通徴收でありまして、これは徴税令書を発行いたしまして、期日を指定して、その期日までに税を納めて貰うというやり方であります。  もう一つ申告納付でありまして、これは納税者の方が自分課税する標準になる税額を算定いたしまして、それを申告すると同時に税金を納めるという方法でございます  それから特別徴收でありますが、これは地方税徴收につきまして便宜を有する者、これに徴收させます。そうしてその特別徴收義務者地方団体に税を納めるのでありまして、遊興飲食税とか入場税みたような間接税的なものに採つております。でこの場合におきましてもやはり申告納入をいたさせます。  もう一つありますのは証紙徴收でありまして、これは地方団体が発行いたしまする証紙、国の印紙と同じようなものを地方団体で発行いたしまして、これを貼ることによりまして納税義務を済ませる方法でございます。  第四條におきまして、道府県税、それから第五條におきまして、市町村税の税目を規定しております。道府県税におきましては、普通税として七つの税がございます。それから市町村税におきましては十の税が普通税としてあります。その他にそれぞれ法定外独立税を課することができることになつております。それから目的税といたしましては、道府県税におきまして水利地益税市町村税におきまして水利地益税共同施設税でございます。これは従来都市計画説がございましたが、これは廃止することにしております。それと同じようなものを大体水利地益税におきまして課税し得ることになります。
  6. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 一條乃至五條で御質問ございませんか。
  7. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 この第一條第三号におきまして徴税吏員ということでありますが、この徴税吏員道府県及び市町村には今度新たにこうした地方税の大幅な設定、委譲ということによつて、どれ程人を増員する予定でありますか。
  8. 荻田保

    政府委員荻田保君) 今回地方税が四百億円総額において増額になります。又その徴收につきましても、従来のような国税をそのまま施行するとか、或いは市町村道府県附加税であるというようなこともなくなりますし、それからそれぞれ徴税市町村道府県とが別々に行うということが原則になりますので、相当徴税事務嵩まりますので、大体六十億ぐらいの徴税費の増を見込んでおりますが、その中におきまして人を殖やすのでありますが、別にこちらから幾ら殖やすというようなことを決めておるわけではございませんが、推計いたしますれば、大体二万人ぐらいの徴税吏員が殖えるのではないかと考えます。
  9. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 この吏員には、あとからどうせ審議をされると思いますがいろいろの調査権が附與されるので、国税犯則ですか、ああいつたような法律を準用できるということになると思うのでありますが、この小さい、或いは田舎の町村のこうした吏員が種々なる犯則調査等の権力を賦與されることによつて、非常にまあ、殊に新たに二万人からの者を任命するということについては、素人であろうと思う。素人の者、それからたまたま若い者であつて特殊の思想、性格を持つている者とかいつたような場合におきまして、非常な徴税上、摩擦が生じ、その規則、犯則法などを濫用……過激に使用する虞れ等のあることに対しましては、どういう対策を講ずるつもりでありますか。
  10. 荻田保

    政府委員荻田保君) いろいろこの徴税吏員につきまして、権限を持たすことになりまするが、それぞれの能力に応じまして、その中の権限を持たしたいと思います。何も徴税吏員全部につきまして、規定してあります全部の権限を持たすということは考えておりません。そういう権限の強い者につきましては、特に優秀な、訓練を経た者に対しまして権限を與えて行きたいと考えております。殊に全体的にも、徴税吏員素質向上につきましては十分努力いたしたいと考えております。
  11. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 特殊の者に権限を持たすということは、その特殊というのは、小さい村とか町とかいうのは、特殊の者を別に選定するのでありますか。
  12. 荻田保

    政府委員荻田保君) 例えば権限のうち、最も強いものであります犯則取締規定のごときは、知事なり市町村長徴税吏員のうち、特にその職務を定めて指定するというふうになつておりまして、こういう強い権限は少数の優秀な吏員に持たしたいと考えております。
  13. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 それがなかなか小さい村とか町とかでは、容易でないのでありまして、非常に今度の国税地方税犯則取締規定等に対し、非常に怖れを各方面は持つているのでありまするが、こうした素人が新たに……大蔵省意見によれば徴税官吏という者は、数年の経験がなければいけないということをいつもよく言つている。ところがこれを今ほやほやの素人から採用して行くといつたところで、実際問題としてこれは容易ならざる私は事態が起る虞れがありまするが、ただそれだけでは一般の国民は納得しないと私は思うのでありますが、これは非常に大きな問題とされるべきものであると私は思つております。併しまあ、そういう政府委員説明でありますれば、それを反駁する今的確なこちらも資料がありませんから、次の問題といたしますが、今度国税が多少減つて地方税が殖えるということになりますが、御所管の省ではありますまいが、国税については、国税官吏はどれ程減られるのか、お分りじやないですか。
  14. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 二万ぐらい府県市町村徴税職員が増加するであろうという見込を持つておるのでございますが、全体では非常に大きな数でございますけれども、御承知のように市町村の数は一万を超えるのでございまして、一町村におきましては二三名程度、或いはそこまでも増加しないで済ませる村もあるじやないかと思われます。従来の課税相当経験のある者が既に五六万はおることでございますので、そうした経験のある者の中に、それくらいの人手を殖やすということによつて只今お話のような、例えば国税の面において終戰後何倍にも増加したというような、あれ程の心配はないのではないかと思つております。更に国税の面において、徴税官吏がどれくらい減るかというお話でございますが、実はこれは国税において約二割ぐらいは徴税額も減りますし、又税といたしましても廃止された税も相当ございますので、普通の比率から行きますと、やはり二割ぐらいの減になるのが相当であるとも考えられるのでございますけれども、今回の国税の面におきましても、シヤウプ勧告に基いて青色申告の制度、青色申告による場合の更正決定実地調査をしなければならんということになつておりまするし、更に又従来実地調査によつて課税する、その部分というものが非常に少かつたのであります。十件に一件ぐらいの割合にしか実地につけないという状態でありました。そうした実地調査によつて成るべく決定するということを拡充して行くこと、更に今日までの異議申請等の非常に遅れておるものが山積いたしておりますので、そうしたものの整理の済むまで本年は税務官吏は新しい事務と停滞しておる事務整理に当らして、その上で適当な数に縮小して行きたい。今年についてはかように考えておる次第であります。
  15. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 国税は二割ぐらい減るだろうというような予測のようでありますが、予算大蔵省の声明がそのことは一言も触れておりませず、又現れてもおりません。従つて国税面におきまする人員はそのままにあつて地方税の新たに設定及び委譲される分に二万人の増加ということは、これがために六十億の費用が要ると言われておる。そうすると、四百二十億の増税だというのに、六十億これですでに消えてしまうわけでありまして、更に一万二千ですか、四千かの市町村に対して、仮に従来経験者が五名ずつおつたところで、総計七、八万人、そういたしますれば、一万何千かの地方自治体に対して、三人や五人のような割合でこの徴税厖大な新しい税法が処理できると考えられておりますかどうかを承りたい。
  16. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 御承知のように従来の千五百億、今年は旧税法でありますので一千七百億の徴税は今までの人手でできるのでございますが、税法が新しくなつて税額においても増加するという点もございますけれども、この程度の増員をいたしましたならば、支障なく徴收できるものと考えております。
  17. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 それではその御意見は承つて置きますが、第五番目の標準税率に関する事項でちよつと承りたいのですが、財政上特別の必要があると認めるということは、地方自治体の自主的なことなのか、或いは地方財政委員会財政收支を査定する、いわゆる財政上特別の必要ありと認めるのか、どつちということになるのでありますか、承りたい。
  18. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) これは次長の申上げました通り法規的裁量でありまして、どこまでも財政上の特別の事情があるということは客観的にも認められるものでなければならん、まあよく言いまする道義的規定というようなものに当ると存じます。そういう精神を以て地方自治団体に自主的に判断して税率を決めるということができるのでありまして、政府或いは地方財政委員会等許可承認等は全然要らないのでございます。
  19. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 そこに大きな問題があるのであります。地方財政委員会承認審査が要らないというところに問題があるのでありまして、政府配付の二十五年度のこの歳入歳出当初予算額調十五年度のこの歳入歳出当初予算額調べという各地方庁の予算内容を見ますれば、随分得手勝手なことをやつておる。平衡交付金が、しばしば申上げます通り道路だ、面積だ、人口だ、産業だ、或いは学校の生徒の数だといつたものを基本とした平衡交付金をやられておるに拘らず、この地方全国の各都道府県予算を見ますれば、まあ極端な非常識はないかも知れませんが、非常なまだ独善的ということが沢山あるのであります。これは追つて次機会に私は質問したいと思うのでありますが、或いはその中の議会費と称しまして厖大予算を計上しておる。この議会費会議費でありますが、予算割合から見まして、国会以上の議会費をやつておる。或いは庁費の問題につきましても、それらの地方での吏員の頭数以上のでたらめの数字が現れておる。或いは警察費消防費のごときにつきましても、国家警察は国の費用で取り自治警察市町村自治警察であるのに警察費用が盛られている。教育費の問題、社会、労働施設の問題、保健衛生費の問題、産業経済の問題、更に私が昨日資料提出を求めました知事交際費食糧費と称する厖大なもの、これなどは一例から申しますれば、東京都が知事だ、議長だ、食糧費だ。食糧費は、これは私は会議宴会費が大部分含んでおると思いますが、仮に三千万円に概算なつておりますが、兵庫県などは東京都の三分の一の人口しかないのに八千五百万円を計上しておる。これは一例でありますが、これは全国取れば実に何十億に達するものであります。そうして国の予算におきましては、そういうことは認めておらないが、地方予算ではこういうことが認められておるというようなこと。これが即ち地方自主性といいますか、財政確立と申しますか、地方自治の本然であるかどうか、又これが客観的に許されることであるのかどうかにつきましては、大いに検討すべき問題があるのであります。で税金に、こうして国で決めました法律で、国民齊しく日本産業実態なり、国民生活の諸般の情勢を判断して、適正なるべき法律を制定したに拘らず、これらの收入いたしたものの支出面においては、いわゆる地方独善化が現れておる。これが即ち大臣の言う客観的な何であるのかどうかは、割り切れない問題であると思うのでありますが、如何でありますか。
  20. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) お話通り現在の地方団体の経費の支出方法が必ずしも適切であるとは言えない面があろうと存じます。これを如何なる方法によつて適正ならしむるかということにつきましては、やはり自治体の自覚に俟たなければならんと思います。こういうことになりましたのも、地方財政というものが自主的に運営することが困難なような状態になつていた結果ではないかと思うのでございまして、みずから税金を取り、みずからこれを使うという立場になりますと、今までのように中央に依存する場合と違いまして、その責任も明確に、責任の帰属が明確になつて参ります。更に地方住民地方税が増加するということによりまして、自分達の納付した税が、如何に使用されるかということについての関心も高まつて来ると存じます。そうしたことによつてこの税法の改革は、必ずや自治体財政の合理的な運営ということを促進するものであると考えておるのでございます。
  21. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 国から割当の交付金受取つた場合には、そういうことがあつたかも知れんが、地方税で七割も取るようになるならば、良心的な自知性というものでおのずからセーブされるであろうということは、一つ大臣の理想でありまして、それじや今まで国から交付金受取つた地方財政の主体というものは、こういうようなたわいもない予算を、独善予算をしておつたということを、国として認めておつたのでありますか。
  22. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) これは今後も政府といたしましては、地方自治法に基く一般的な指導監督はやるのでございますが、それでは今日までの地方支出内容について、どれが違法であるとか、どれがどうしても許されないことであるとか、具体的になりますと、これは政府にも意見が定まることと存じますけれども、只今のところ特にどれが妥当でないかというようなものも考えておらないのでございます。概念といたしましては、お話通りにもう少しく厳格にやるべきものであるということは感じられるのでございますけれども、それらもやはりその地元の住民関心と申しますか、それに俟つことが政府指導監督以上現実的に効果が挙るのじやないかと期待いたしておる次第であります。
  23. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 それは單なる大臣の御期待に過ぎないのでありまして、地方税法を新たに新設し、大幅に地方徴税を委譲したということは、地方財政上におきましても、殊に支出面におきましても大いに革新を政府指導、奨励、監督せねばならんのでありまして、そういつた場合に地方税独立性を、地方財政独立性を與えたが、支出面においては従来国から交付金受取つた予算と何らの変りがない。例えば二十四年度の予算と二十五年度の地方の各自治体予算を比べて見ましても、そういつた問題が一つも変つておらない。これは又別の機会に私は質問いたしたいと思うのでありますが、二十五年度は新しい税法上つて、新しく地方に委譲された税金で自主的にやらんならんのだから大いに自粛、良心的にやるだろうという期待大臣は持つておられましても、実際はすでに今私が申上げた予算で、各都道府県地方議会予算が通過しておるのであります。地方議会予算というものは、新しい税法というものを基盤として歳入面あらまし見通しをつけておるということは、大臣も御案内の通りであります。今申上げましたような、これは一例でありますけれども、そういつた、例えば兵庫県知事が九千万円に近い宴会費だとか交際費、これは副知事だとか、副議長というようなものは含んでおりません。これらを詮索すればもつと殖えると思います。或いはその外に統計費と称するものがある。この中は奇妙な噂があるのであります。こういつたものを包攝いたしますれば莫大なものでありまして、こうしたことを今までもやつておれば、今度の新しい二十五年度でもやつておる。金額はおのおの各府県で殖えておる所もあり、減つておる所もありますが、依然として基本的な問題はずつと踏襲されておる。こういつたことが即ち大臣の言われる客観的な、財政上特別の必要ありと自主的に認めたものだとは我々は了承できない。これにもつと政府におきましても、地方のことは地方のことで自主的にやるのだということでは、国民は堪まつたものでないわけでありますから、それに対して地方財政委員会が、これを監督調査権も持たないし、責任はどこが持つのか存じませんが、全く地方自治の何は地方議会に一任するというだけでは私はいかないと思う。丁度恰も三権分立のごとくおのおの牽制し合い、おのおのこれらの制肘もして、そうして相互錬磨して行くような、いわゆる健全な民主的な自治体というものが、国全体に望まれておる敗戰下日本実情であります。それを大臣は、地方で独善化し、そのまま知らん顔だといつたことで、徴税基礎は国で決める。こういつたことでは、私は全くいかん。若し地方歳出自主性を求めるならば、地方税法地方議会に一任すべきである。例えば一つのモデルなり範例を示して、その枠内で地方が、地方税法に対しましては地方議会で決めるならば、それは地方実情に応じて、青森県と大阪とでは、それは非常に事情が違う。九州と新潟県も又違う。こういつた事情におのおのそれに応じた何ができて、そうして足らんものはこれは国がこれを平衡交付金として交付するというならよろしい。平衡交付金を頭から三割と決めて、そうして今申上げまする道路だ、面積だ、学校だ、或いは人口だということで決めて、あとのものを国で決めるのだから、それの使い方は自由勝手だという、こういうことでは私は重大なる地方自治及び地方財政確立という政府の唱えられることは非常な混乱を招く虞れがあると思いますが、これに対しましてもう少し掘下げた責任のある一つ御回答を承りたい。
  24. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) もう御質問の方が相当掘下げてありますので、それに私も付加えるところはないのでございますが、やはりこれは根本観念の相違からさような意見も出るものと考えるのでございまして、自治性をどの程度に認めるか、今以上に自治権というものを拡張してやる方が自治制というものは健全化するものであるか、或いは更に現状か、そうでなければもう少しく中央統制を強化する方が自治体制が健全化するかという、その根本観念から見方が違つて来るのではないかと思います。政府といたしましては、この税法に基く程度の枠を法律で拵えて頂きまして、その範囲内における財制的自主権は附與して行くことが、これが自治発達のためであり、又自主的責任でこの範囲内においてはやるということによつて健全化して行くものである。もうこれは信念としてさように考えております。
  25. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 信念は分りましたが、実際問題としてそれではこうして地方自治予算が、今私が申上げたようなこういうような金額を計上し、歳出面において獲得しておるということは政府は勝手である、それは俺の方は知らんと言うのが、こういうことは改正しなければならんと、こう思召しか、その点を承りたい。
  26. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) この法規裁量について全く客観的に認めがたいというような場合には、又これを裁判所の決定に俟つという方法も勿論あるのでございます。併し問題は現状よりも財政的自主権を拡張してやろうとすれば、こういう程度まではよかろうと考えておるのでございまして、個々の問題についてどうしてもその認めがたいという客観的な、妥当でないものについてはそういう方法もありますが、政府といたしましても、地方財政委員会といたしましても、この税法の枠内で操作する、自治権を與える、その範囲内については監督、干渉ということは加えないことが自治制の発達のためであろう、かように考えております。但し、併し法律上の行政的な権限はございませんけれども、政府といたしまして大いに指導しなければならんという面については、指導或いは奨励等に努力する考でございます。
  27. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 それではもう一点この点についてお尋ねして置きますが、例えば今申上げました知事や、その他府県宴会費などを厖大に取つておるというような問題については、政府はそれを改正する権力も法律的にはないかも存じませんが、そういうことはよいことだと思いますか、悪いことだと思いますか、どうですか。
  28. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 不当に多額の交際費等を取つておることは悪いことと思いますが、この資料の中の費目の内容について、幾分内容が御覧になり方の違いがあるのではないかとも考えられますので、自治庁から内容を少しく御説明申上げたいと思います。
  29. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 私はその資料説明の時間を要しないので、たつた昨日自治庁から私に配られた資料であります。これはあなたの方から教えて頂いたので、私の方から別にこれを判断しておるのではない。だからそんな必要はないのであります。これをトータルしましたのが私の今申上げたような割合いでありますから、間違いありません。
  30. 荻田保

    政府委員荻田保君) 食料費を以ちまして宴会費とお考えになつておるようでございますが、これは違いまして、食糧費は社会事業、例えば孤児院或いは養老院の、そういうような食糧、或いは県立病院の患者に対する食糧、或いは市におきましては消防の場合の焚出しの費用、それから警察の留置人の食糧、こういう費用でございます。
  31. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 そういつたものがあるということは私も聞いておりますが、大部分宴会の費用であることは、もう事実上これは私ら地方におる者の常識であります。それは消防などは消防費で計上されておるのであります。それでそういつたものは社会厚生費に計上されておるのであります。食糧費というものは主として会議に使う食糧、これは会議費として使つてありますが、これは食糧費宴会費獲得で各自治庁共、部なり局がこれを分捕るのに随分努力しておるというようなことは、私も地方に長年おつて、こういうことは表から隅まで全部知つておるから申上げておるのであります。全部私は宴会費だとは申しませんが、お説のようなものも一部あります。或いは庁員が居残りをしたから日曜の弁当代というようなものもあります。けれども何千万円というものをこれらの吏員に頭割りしますれば恐ろしい数字になつて、それでは見当が付かなくなるのであります。
  32. 荻田保

    政府委員荻田保君) これは先程も申上げましたようなそういう経費でございまして、例えば消防のことをおつしやいましたが、食糧費というのは節ぐらいのものでありまして、消防費の中の節として食糧費上つておる。その食糧費は非常の場合の炊出しの費用等であります。尚会議の際の弁当代等がありまして、それが多少程度が過ぎますれば宴会費と見られるかも知れませんが、そういうものは極く少いのでございまして、大部分は先程申上げましたような、いわゆる本当の食糧費でございます。
  33. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 そういうことを言いますと、これは問題として徹底的に一つ行かなければならんことになりまするが、例えば一例を見ますれば、兵庫県は食糧費で七千九百万円、大阪府は五千二百万円、こういう工合に厖大なものでありますが、そんなに五千万円も八千万円も要るというような常識判断は……それではこの資料を出して下さい、とてもそんなことは……そういうことを言われると誤りがありますから、私はこの問題で一つそれでは徹底的に行きたいと思います。
  34. 荻田保

    政府委員荻田保君) 資料の御要求で、電報で取れとおつしやいますので電報で取つたので、細かい内訳はありませんが、兵庫県のごときは県立病院を持つておるから、食料費は相当なものであろうと思います。
  35. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 何処でも県立病院ぐらい一つや二つは持つております。県立病院の何は、この食糧費に七千九百万円も要る道理がありません。どういうわけで要りますか。
  36. 荻田保

    政府委員荻田保君) 今別に内訳は持つておりませんが、最近も相当食糧の単価は高うございますから、相当病院があれば相当に食糧としてこのくらいの食糧費があることは当然だろうと思います。
  37. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 これは社会労働施設費、保健衛生費というので総括しておる点が非常に多いのでありまして、ちよつとそんなことで七千万円も五千万円も要るようなことは、どんなに見ましてもあり得る道理がありません。
  38. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 只今荻田君から大体内容について御説明申上げたのでありますが、何分唐突の際でありましたので、詳細な項目、節というような、予算の項目別の資料を取ることができなかつたのであります。併しながら一応只今お話になりましたような点を食糧費について検討いたしますと、兵庫県のごときは病院等もあるのでありますので、現下の食糧の単価等から考え合せまして、相当の経費を要するであろうということは察するに難くないのであります。とにかくこれは私の推測でありますが、恐らく食糧費の総額を示せと、こういう御注文であつたように思うのでありまして、従いまして当該県といたしましては各節等にありまする食糧関係の費目を集計いたしまして、これを提出したものであろう、かように思うのであります。従いまして兵庫県のみの例を取つて見れば七千九百万余円になつておりますが、その詳細を検討するならば、それぞれ所要の経費に充当しておるものと、私もさように考えるのでありまして、この点は御了承を願いたいと思うのであります。同時に先程大臣からも説明がございましたが、地方団体予算の運営につきましては、政府は一定の見込は考えておりますけれども、これが予算の実施に当りましては、挙げて地方団体財政運営の自主性に任しておるわけでありまして、それが地方自治運営の基体的な問題とも繋がつておるようなわけなんで、従つて政府が特にその歳出の面、即ち予算の運営に対して監督権を有するというふうなことは地方団体自主性を培つて行かなければならない現下の要請に対しましてはむしろ逆行する問題であろう、私はかように考えておる次第であります。
  39. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 食料費の問題はこれでご了承願いたいと言われますが、私は絶対に了承できません。兵庫県に県立病院のあるというようなことは分り切つた問題で、そのうちの県立病院に入る者でも皆それはお金を出して拂うのでありまして、特に県が食糧費を支給するというものは殆んどない。但し試験病人、或いは非常に貧困なものにつきましてはそういうこともあり得ると思いますが、そんなものがかような二百万円も三百万円もなる道理がない。これは七千万円、八千万円になつておるのであります。でありますからこの問題につきましては、丁度最近京都府でもありましたが、大阪市でも宴会費が非常に多過ぎるということで府会、市会で反対党が騒いでおるここは御承知でありましよう。私もそれは知らなかつたのであります。ところが聞けば、大阪市でも昨年度の宴会費は一千五百万円であつたが、今年は二千万円と五百万円も増加した。今年は料理屋のあれも安くなつておる。それを増額したと言つて反対党がやかましく騒いだ。食糧費は即ち宴会費と普通言つておるのであります。中には多少居残りの弁当代とか赤貧患者の食糧費というものがあるかも知れないが、それは微々たるものであります。皆様も自治庁の御役人でありますから、地方に御旅行なさつたら分りますごとく、地方宴会費というものは驚くべきものであります。これらが皆食糧費から出ておる。若干は知事交際費から出ておるとは思いますけれども、これは国の、例えば大臣であるとか、必要な行政機関の交際費などが何百万円も大臣が取つておると私は思つておらん。予算には現われていないのであります。国の予算においてはそういうものは現われていないが、地方においてこういうことをやられるということが地方の自治を尊重するというようなこととはどうも私は合点がいかない。かように思うのであります。
  40. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 岩木さんが非常に地方団体財政運営の面について御心配を願つておることには誠に感謝に堪えない次第であります。政府地方団体財政運営について干渉したり、或いは監督するということはこれは避けなければならんということは私もよく申しておるのでありまして、地方団体がルーズに予算の運営をして宜しいということを政府は申しておるのでございません。この点は誤解のないようにお願いしたいと思います。ただその場合に岩木さんがお話になりましたように、その地方団体の政治の運営に当りまして、それぞれ地方住民がこれを批判し、又それぞれの政党におきまして批判をいたしますことは極めてこれは歓迎すべきことであると思うのであります。それによつて当該地方議会がこれに対しまして予算の編成に当つて、これを審議します場合に十分に審議をして頂くということが地方自治の基本の問題である。従いましてこの歳出等に関して政府が積極的な干渉なり監督の手を差伸べないけれども、地方住民の批判が地方議会を通じて行われる場合におきましては、当該理事者におきましても、予算の編成並びに財政の運営につきましては十分な戒心を持つて行われるべきでありまして、これこそ我々が希望しておるところの地方財政運営の自主権を強化して行くゆえんにも合致するものであろう、かように考えておるのでありまして、岩木さんがいろいろと御心配になつておることは決して私共否定はしておるのではございませんが、政府が直接の監督権を行使するというふうなやり方は考えるべきではなかろうか、こういうことを申上げておる次第であります。
  41. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 それでありますれば、政府平衡交付金として各府県に割当てる基準なるものは、地方財政支出がどれ程になつておるかということを検討された筈と思うのですが、その時にこうしたものは検討はされなかつたのか、地方がこれだけ要るからというので平衡交付金の割当をしたのでありますか。平衡交付金の割当の根拠を承りたい。
  42. 荻田保

    政府委員荻田保君) まだ個々の団体に対する割当をしておりません。法律によりまして大きな基本を作りまして、それに基きまして地方財政委員会規則等で当然細かい算定も決めますが、その場合には勿論余分の金をそのうちに入れるわけはないのでありまして、最低の行政費を目安に根拠を決めたいと思つております。
  43. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 それじや千五十億という数字はどういうわけで現われたのでありますか。
  44. 荻田保

    政府委員荻田保君) 過去の各費用毎のこれは総額であります。個々の団体ではなくて、そういうものを調べまして、二十五年度の適正な財政需要を考え、そうして逆に新しい地方税法によりまして地方税その他の税收がどれだけ取れるかということを推測しまして、千五十億というものを決めたのであります。
  45. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 それだから私が申上げておりますので、地方財政、新しい地方税なり、地方に委讓した税金でどれだけ取れる、又地方では何ぼ要るという目安で千五十億というものを決めた。目安は支出が根拠でなければならん。地方税の歳入実績というものが目安でなしに、基本となるべき歳出面、つまり地方財政確立というものは裏から返して言えば支出財政確立とも言えるのであります。その支出財政確立というものの、支出財政確立というものの、支出財政内容を、今までの枠はそれを検討しなかつたのかどうか。千五十億の数字が現れる根拠が依然として薄弱でありますが、その点を明確にして頂きたい。
  46. 荻田保

    政府委員荻田保君) 例えば警察費なら警察費につきましては、職員の俸給の平均俸給、或いはそれに要する旅費、物件費等一人当りの過去の数字及び二十五年度の見込等から出ますから、それによりまして一定の定員を掛けて出せますし、教育費については教員の一人当りの俸給、旅費、手当等を出します。一学級当たりの体物件費、いわゆる児童費というものを出しまして計算してあります。
  47. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 それではそれまで検討になつたならば、知事や副知事議長や副議長などの交際費、それから宴会費と目される食糧費についてどういう考を持たれましたか。
  48. 荻田保

    政府委員荻田保君) 先程から申上げております通り、私共の推測ではそのように多額のものが現在の予算に計上されておる、使われておるとは考えておりません。非常に小さいものであろうと思いますから別にこの点につきましてどうこうするということを一々考えたことはございません。
  49. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 それでは東京知事交際費八百万円出して頂きたいとお願いしたが取れないというからこれだけ……神奈川県Tが三百六十万円、愛知県が四百万円、京都が三百六十万円、大阪が七百万、円兵庫県が四百万円の知事のこういう交際費というのは小さいものであつて、不妥当のものだとは考えないとこういうお考えなんですか一応承りたい。
  50. 荻田保

    政府委員荻田保君) この交際費の額は考えようの問題でありますが、別に地方におきまして知事が決め、議会の承認したものであつて、そう不妥当のものだと考えません。殊に普通の役所と違いまして、地方団体と申しますのは、例えば東京なら東京都の代表としてまして、この間もありましたように、二世の部隊を歓迎するというような外交的儀礼的のこともあるのでございますから、普通の交際費とは同一になると考えられないと考えます。
  51. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 そうおつしやるならば、国としてのそれじや使命なり交際的な問題はちよつとそれ以上大きな問題でありますが、そういつた問題との釣合いが取れない、地方税地方地方標準化して、妥当性を持つた課税倍数なり標準を決めるといつた場合に、こういう歳出面においてこういう不妥当な歳出面を容認するというようなことは、それを基礎として平衡交付金を算定するということは私は政府の考え方にどうも疑問を持ちますが、如何でございますか。
  52. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 甚だお言葉を返すようで恐縮に存じますが、地方財政につきましては、地方の自治機関が予算の編成をいたしまして、それぞれの地方議会の承認を受けておりますので、従いまして承認を受けた地方予算につきましては政府がこれを直ちに妥当である、或いは不妥当であるということを断定することは如何か、かように考えるものでございます。
  53. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 平衡交付金を立案されたのは昨年末でありますか、本年の早々であろうと思いますが、地方の議会は三月の何日からか始まつて三月三十一日に終つたので、承認を得る前にあなたの方は千五十億というのは立案されたのじやないか、地方議会の承認
  54. 荻田保

    政府委員荻田保君) これは別に一々の経費を捕えて、先程から申上げましたように平衡交付金の額を調べたのではなく、お配りした資料にありますように、教育費、衛生費、厚生費というような大きな課目で計算されます。その中におきまして一々どれが者を買う費用で、どれだけ電車賃で、どれだけ交際費であるというようなことまでは考えておりません。
  55. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 それでは一々小さいのは考えないと言われますが、私は一例を申しますれば、東京都の食糧費は千九百万円、兵庫県は七千九百万円、六千万円も違うのであります。そうすると知事交際費の問題についてもいろいろ不満がありますが、兵庫県は東京の四倍五倍以上にも跨がる食糧費が要るというような常識をあなたの方は持たれるのか、とても百万や二百万の端した金とは違います。
  56. 荻田保

    政府委員荻田保君) 先程から申上げておりますように、個々の団体についてはどれだけが妥当だとかい不妥当だとか、一々の平衡交付金の総額を決める場合には根拠にいたしておりません。ただ数字が違つておりますのは、恐らく予算費目の構成の問題がいろいろ地方によりましてまちまちでございますからして違つておるというようなこともありまようし、又こちらで電報で紹介いたしましたために、どういうう経費を報告していいのかということにつきまして意見が違つているじやないかと思います。
  57. 黒川武雄

    ○黒川武雄君 議事進行について……岩木委員の御質問は一般質問に亘つておるように思いますが、今日は逐條審議質問に止めたらどうでしようか。
  58. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 これは「その財政上の特別の必要があると認める場合においては、これによることを要しない税率をいい、地方財政委員会地方財政平衡交付金の額を定める」というような問題に関連性があることでありまするが、今先輩の黒川将軍からかようなお言葉がありましたから、私は敬意を表しまして一応後廻しにいたします。
  59. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 今一委員からそういう発言がありましたが、内容を話すことについて多少そういうことになることは止むを得んと思います。私がこれは質問いたしましよう。さつき岩本委員の第一点、最初の質問に入りますが、徴税吏員の問題でありますが、さつき御説明国税の方で税務官吏が多少減ずるようなことを伺いましたが、最近の新聞で見ると、御承知のように国税庁で一般に募集しておりますね。その点は事実と相違しておるのじやないかと思う。それから今度は地方税の非常な増徴によりまして地方自治団体の財源を確保するわけなんですが、御承知通り国税におきましては、元は国民に非常にいやがられたのは警官だつたものであります。今日は税務官吏というものはそれに代つて国民の批判を受けておることは大臣もよく御承知だと思うのであります。今度地方税が非常に大きな額を地方団体において取りますが、そういう場合に今日国税の場合におけるようなことと同じような弊害が起きてはならんと思うのでありますが、大臣は一特に税の問題については関心を持つておられものですから、そういう地方自治団体徴税方法等は強化して、こういうようなものは当然財源は確保しなくちやいけませんがそれは行き過ぎである、新憲法に規定されておるところの人権を蹂躙するとか、そういうふうことが国税の場合には多々あるのでありますが、そういうことがないように非常に新しい民主的な方法をお考えになつておるか、又それに対する大臣の所見を伺いたいと思います。
  60. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 国税の方におきましては、支那事変以来実は非常に複雑な税を取るようになり、徴税額も多くなり、従つて納税者人員というものが十倍以上に殖えました。そういう関係から、殊に終戦後増員を行わなければ処理ができないというような状態になりましたので、終戦後に急速に充員したのでありますが、その時期が今日と違いまして、どちらかと言いますと収入の少ない税務官吏にはなかなかなりてもないというような時期でございましたために、志望者を十分選抜することができないで採用せざるを得ない状態でありましために、現在でも税務官吏の大部分は二十五才以下である。昨年あたりの調査によりますと七割までは二十五才以下で占めておるという、大体急速に、何でもよろしいというわけではなかつたのでありますが採用いたしました。これがいろいろと対外的にも評判を惡くした元であると思つております。従つてこれらの税務官吏を再教育をするということに国税庁としは今講習をいたしまして相当力を入れております。併しその一面又最近の情勢でありますと、相当世情にも通じた、また年輩のもので人格的なものも採用することができる情勢になつて参りましたので、そうした方面の責任者を採用するということ、或いは学校出身の立派なものを採用するというようなことを考えてやつておるのでございますが、六万に上る徴税吏員でありますので、常に千数百名の欠員はあるのでございます。その欠員補填のために逐次補充をいたしまして再教育等をいたしておるのであります。これは内部の者も再教育いたしまするし、新規採用いたしました者も養成所に入れまして、そうして任地にこれをやるというような方法を採つております。これよりまして、段々今日まで批判を受けていました税務官吏の質も向上して行くものと実は考えている次第でございます。今回地方において約二万新規採用しなければならんという見込でありますが、これについては国税の方で終戰後、いわばあの混乱時代に急遽採用した時とは情勢も違いますので、相当厳選して採用するようにと、これは私共の方から市町村長会議等に強く要望しておるところでございます。そうして再びあの終戰後の税務署のような不評判を繰返すことのないようにということで勧奨いたしておる次第でございますが、又各府県におきましても、この新税法の精神、或いは内容、更に徴税に関しての吏員のその心得等につきましては、養成所等を設けまして養成訓練をいたしたいと準備中でございます。
  61. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 今大臣の非常に関心を持つておられるお話で、非常に結構だと思うのですが、尚例えば国税の場合におきましても徴税税務吏員が非常に経済生活が困難になつて、いろいろ問題を起しておる場合が多々あるのですが、例えば銀行などにおきましても、従来出納を扱つておる者についてはい特例に手当を與えておると思うのです。今日でもそうじやないかと思つておるのですが、そういうふうな税務徴税の役人におきましても、そういうふうな現金を扱うものはやはり特別な手当を與えるとか、そういうふうなことをして一般の賃金ベースが上れば一番いいわけですが、特にこういうような現金を扱う場合は、銀行における出納の係りのように、何か特別の手当を與えて、少しでも金を着服するとか、ごまかしたりすることのないように、そういうふうな、何か今の国税の場合におけるいろいろな弊害があるのに鑑みて、そういうふうな点は一つ特別に監督するという意味合でなくて、実施上におきまして一つ善意ある配慮をし、且つ善導されるように、殊に大臣が渡米されるようですから、そういうふうなことも何か一つ新しい方法は何かありはしないか、又組織の点において特に御配慮を願つてそういうふうな今日の国税におけるような問題が起きて、その結果感情に走り、納税に対して非常に反感を持つというふうな情勢さえあるのですから、それはその指導の如何によると思うのです。ですから徒らに国民の感情を刺戟して反税闘争を起すようなことは両方に非常に責任があると思うのです。そういうことが地方団体に起きませんように、折角地方自治確立のために大きな財源を與えるのですから、その徴税の取立てにつきましても、非常に地方民の感情を刺戟したりするようなことのないように、是非一つご配慮願いたいと思うのです。
  62. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 只今の点は御趣旨に副うように努力したいと思つております。実は国の方の税務官吏につきましても、待遇の点からいろいろそうした間違いも起ることなんであるからというので、税務官吏につきましても一般官吏と違つた幾分有利な待遇を今日しておるのでありますが、地方につきましても同じような指導をいたしたいと思つております。
  63. 三木治朗

    ○三木治朗君 地方税吏員の問題、政府の方では二万人くらい増員するということを言うておられるのでありますが、全国市町村に割り当てれば一人と何パセーントにしかならない。先頃地方行政で各地を視察した場合に、やはりこのシヤウプ勧告による税制改革案に対する地方意見を各地で聽いて見たときに、四五千くらいな町で四五人は殖やさなければならんということを現に聽いて来ておるのですが、二万という数は非常な過少ではないか、大体その五割方ぐらいは殖えるという私共は観測をして来たのですが、その点明かにして頂きたいと思います
  64. 荻田保

    政府委員荻田保君) 別に国と違いまして、こちらで定員を決めてどうするという問題でございませんので、ただ大雑把な推測を申上げただけでございまするが、この市町村数は確に一万有余ございまするけれども、小さな村などにおきましては、そうこの際人手を殖やす必要はないんじやないか、大部分の数の町村におきましては、そう殖やす必要はない、殊に県税の徴收を委託されておりましたのが、これは県が直接取ることになりましたので、それだけ町村の手数も省けるわけです。殊に地方税としましては、大体固定資産税、固定資産税といつても、今のところでは地租、家屋税、それから市町村民税、これも国税決定さえ調べればいいのでございますから、そう殖やす必要はないんじやないか、まあ二万或は三万人ぐらい殖やせば十分じやないかと考えております。
  65. 三木治朗

    ○三木治君 この新しい税法を実施するに当つて、まあ税額が非常に高いということを心配しているんですが、今の説明でまあ二三万というていますが、この殖えるとによつて非常に金がかかるので、徴税した中の何割になるか知れませんが、相当額がその方へ持つて行かれるということを心配するのでありますが、どうも政治の見方は少し甘いように考えられるのです。  それから次にもう一つお伺いしますが、標準税率の問題ですが、この標準税率によつて地方財政委員会財政平衡交付金を算定の基礎にするということでありますが、これはその県なり市町村なりの実際の状態がどうあろうとも、算定をしただけのものはお構いなしに出すんですかどうですか、その点。
  66. 荻田保

    政府委員荻田保君) これは、その地方団体が如何なる税率を取つておりましても、平衡交付金算定の基礎といたしましては、標準税率を以ちまして算定したもの基準にいたしまして平衡交付金の配分をするわけでございます。
  67. 三木治朗

    ○三木治君 その点で従来の地方交付金ですかなどの配付の仕方は、やはり地方財政が豊かであれば少く貰つている、例えて言うと、徴税技術が非常に進んだ吏員がおつて、一〇〇%の徴税成績を挙げておる、そうすると平衡交付金が、前のやつは配布金ですが、それが少くなる、これではいくら一生懸命に吏員が骨を折つても、骨折つただけ損するという意見を、方々から聞いて来ているんですが、今度のこの平衡交付金においては、そういうことはないでしようか。
  68. 荻田保

    政府委員荻田保君) その点は非常に配付税法なり或は平衡交付金法なりの運用につきまして一番問題になつておることだと思います。で、先程申上げましたのは、ちよつと聞き間違えておりましたが、率の問題だと思つておりましたが、率の問題じやなくて、課税標準の問題ですね。これを、何を取るかということが、まあ非常に問題でございまして、今御心配になりました点が、実は或程度現れておるのでございます。それで、今度のこの地方財政平衡交付金法の運用といたしまして次、現実にその団体徴收したものを使いませず、成るべく客観的に、その団体において普通程度徴税を、行えば、これだけの税が取れるであろうと、基礎そのものもそういう客観的な標準を使いたいと思つております。つまり、現実に徴收したものを使いますれば、徴收を怠ればそれだけ平衡交付金が余計貰えるということになりますと、逆に沢山取りますれば、それだけ平衡交付金が少くなる、こういうことがありましては公平を欠きまするから、成るべく客観的に、その団体徴税如何に拘らず、客観的に、その団体においてはこれだけの税が徴收できるという数字を掴まえまして、それを根拠にいたしたいと考えております。
  69. 三木治朗

    ○三木治朗君 もう一つお伺いしますが、道府県税で以て目的税水利地益税というものがありますが、市町村税にもやはりこの水利地益税というものがあるのですが、この税の取立は、おのおのその責任を明かにするというのに、両方にこれがあるのはどういうわけですか。すべてその責任を明かにするという立場から言うと、両方で取るということはどうかと思うのですが……。
  70. 荻田保

    政府委員荻田保君) これは目的税でございましての特定の経費として取るわけでございます。従いまして、道府県で行ないまする事業に対しましては、市町村が取るわけでございます。又その課税方法等も、そう詳しくは規定してございませんで、いろいろその事業から受ける恩惠というようなことをそれぞれよく調べまして、適切な課税方法を採つて参りますので、別に両方で取りまして重復するというような問題は起らないと思います。
  71. 西郷吉之助

    ○西郷吉之君 私は、先程から問題になつておる標準税率の適正の問題なんですが御承知のように、今回の税法税率は多く標準税率の制度を設けてあるわけですが、今一番一般で危惧しておりますのは、大きな税金が、標準税率なるが故に相当取過ぎがあるのじやないか。結局一般の国民の中には、それが倍になりやせんかとか、そういうふうな、要するに取過ぎの問題を非常に皆危惧を持つておるのですが、標準税率という定義はここに書いてありますが、標準税率というからには、取過ぎてもそれは標準税率ではないのであつて、それは高過ぎると品いうことになつて尚且つ又その反対の場合でも、不足する場合も、それは適正な標準税率でないと思うのですが、要するに、今回の標準税率が一般には強く取過ぎるのだという感じを非常に強く與えておる。例えば政府が国会に提出するのが遅れた一つの原因として最後まで標準税率を少し下げようとしていろいろ努力された点が多々あるのですが、その点は敬意を表しまするが、それもできなくて、やはり原案に戻つたわけです。その際でも、政府が特定の税目の標準税率を下げる努力をされた、その場合でも、やはり前の原案にある税率でも、同等の徴収額においては増減がないと、少しぐらい下げても、その総額においては変更がないのだというふうな考を似て、多少の税率の引下げについて司令部と折衝なさつたように私は思うのです。そういうふうなわけですから、少しぐらい下げても、標準税率なるが故に総額においては余り変りがない。それなるが故に、今日は非常に取過ぎが行われるというふうなことは、相当主要な会社の代表者の意見を伺つても、そういうような意見が強いのです。ここに、果してこの地方税法標準税率なるものが適正であるかどうかという問題が残されるわけですが、そういうふうなことを只今我が嚴密に審査しようといたしましても、十分な根拠となる資料を持ちませんからできませんが、この標準税率の適正という問題は、非常に私は重大な問題だと思うので、今回はそれが初めてですから、果してこの地方税法標準税率が適正であるかどうかということは、今後に残される問題だとおもうのですが、そういう点、一つどうお考えになつておるのか。大臣などもよく、例えば住民税の場合でもそれは標準税率だから非常に高いというところは、その自治体の自由意思によつて下げればよいのだ、伸縮自在にできておるのだというように非常にうまくお逃げになるけれども、その点は、そういうふうな逃げ道具には具合がよいのですが、実際の場合には、大臣の提案理由を御説明なさつたところにも書いてあるのですが、住民一つつても、なかなか引下げる余地がないのですね。それなるが故に、非常に住民税は各人の頭割りになつて来ますから、そういうような結果で、非常に上げて取つて来ておるところが非常に多いと思う。又財源にも非常によいものですから、そういうふうに上げて一杯一杯取つておるのですが、そういう標準税率があつても、なかなか下げられないのですね。それは制度としては標準税率ですから、上げ下げ自由に、標準税率を越えないということはできるわけですが、そういうふうなことが実際行れないというような問題が多多あつて、一番今日の標準税率の批判を受ける場合に、取過ぎを非常に皆懸念しておると思いますが、そういうふうな点について考えるときに、今度の地方税法標準税率は、それが果して適正であるかどうかということの一つの試案だと思うのですが、そういうような点、大臣からどういうお考えであるか伺いたいと思います。
  72. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) これは、他の税との負担の均衡の点から、大体只今の三%、四%というのが均衡は取れておると思うのでございます。併し、更に一%ぐらいこれを安くしても、甚しく均衡を失するとも思われませんの、若し財政計画による徴税見込が、一%ぐらい下げましても欠陥を生じないということでありましたならば、これは考慮してよい点であると思うのでございます。ただその徴收見込額が、若し税率を下げることによつて確保されないということになりますと、地方財政計画が破綻するということになりまうす。それは標準税率を下げますと、課税標準が同じものであるといたしますと、それだけ徴收額が減少して来ますから、減少した分だけを平衡交付金負担してやらなければ、この財政計画に欠陷を生ずるわけでありまして、平衡交付金がもう大体千五十億が動かないものとなつておりまする今日においては、課税標準を更に多く捕捉税率を下げて徴收見込額に変動を来たさんという確信の上に立たなればならんわけでございます。この点について、お話通り政府といたしましても、一%ぐらい標準税率を下げても財政計画が立つのではなかろうか、即ち徴收見込額に達するのではみかろうかというので、計算に随分苦心をいたしたのでありますが、結局これに確信を得ることができませんで、四%に決定いたした次第でございます。この標準税率を上げること下げる、ことが、今日の場合実際自治体にとつてどういう効果があるかと申しますと、只今のところでは大なるこうかはないと思います。それはなぜかと申しますと、結局平衡交付金というものは、需用額と收入額の差額に比例とて按分いたします。そうすると大体、三%で計算しても、四%で計算しても、国からの平衛交付金の交付額は同じものであると言わなければなりません。従つて、その平衡交付金以外の歳入は、結局要るだけ自治体自体の徴收で賄わなければならんということになりますから、平衡交付金の方が額が決まつてしまつた後における標準税率の上げ下げは、自治体自体にとつて実質的な影響というものは少いものではないかと思われます。但しこれは、客観的な財政的理由というようなものが、これが非常に道義的に堅持される場合におきましては違うのでありますけれども、大体自治体の判断によつて上も下も取れるというような観念で行きますと、そう違いはないように思います。併し政府といたしましても今日税が非常に重いのでございますから、標準税率にしてもでき得る限り低く支持して行くことが国民負担を過重ならしめない行き方であると考えまして、これには努力をいたしたのでございますけれども、結局徴收見込額についての確信が得られなかつたのです。
  73. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 只今の点はよく分つたたのですが、今後ですね現在におきましてこの地方税法のに標準税率以外には固定税率もあり、又種目によりましては固定税率でないと非常に不均衡を来たしたり何かして、むしろ固定税率の方がいいという点もあると思いますが、まあ標準税率というものは今のお話のように、地方自治体財政需要額によつて自由に調節できる。非常にそこに円満闊達な制度でありますが、まあ地方自治団体の税目としては今後はですね、できるだけそう意味合におきまして標準税率の方式お採りになるか、その点尚一点伺いたいと思います。
  74. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 今後の方針といたしましては、この税法の原則通り標準税率ということで法律は決めるとい、方向に行いたいと思います。固定資産税につきまして本年限り特例が設けられておりますけれども、これも原則は標準税率ということになつておるのでございます。そうした方向に行くことになつております。
  75. 三木治朗

    ○三木治朗君 市町村税の中に鉱産税が入つているのですが、炭鉱は附加価値税がつかないということに聽いているのですが、そうすると炭鉱を沢山持つている県は附加価値税は大変少いのです、炭鉱が附加価値がつかないために……。そうすると炭鉱を持たないところの県と炭鉱県である福岡県のような所とでは財政上に著しい変化があるように思うのですが、大変不公平、不均衡と言いますか、に考えられるのですが、この点はどういう御解釈ですか。
  76. 荻田保

    政府委員荻田保君) おつしやいます通り府県税でございませんので、炭鉱のあります県におきましては、それだけ付加価値税の収入が少なくなると思います。でございまするが、ただこの税といたしまして、これを府県税につけるか、市町村税につけるかと考えますと、逆にこの市町村の場合を考えますると、これは炭鉱に対しまして鉱産税を、取りませんと、勿論外の市町村と同じように市町村税固定資産税も取れることになりまして、この点では同常に特殊の財政需用が多いのでございまして、それに対応する税収入も得られませんし、又炭鉱と市町村との有機的な繋がりというものも鉱産税がありませんと繋がりにくい、そういう点からいたしまして、市町村税にいたしたわけでありますが、府県税の方におきましてそれだけ税が減收になりましても、何と申しましても府県はまあ区域も広うございますので、非常に炭鉱県、北海道とか福岡県のごときを考えましても、炭鉱から上がりまする付加価値税はそう大した額に割合としてなりませんし、又それだけ減りますれば、平衡交付金によりましてそれだけの額は必ず埋められることになるのでありますから、先ずこの税をどちらにつけるかといういろいろ議論もございますが、一応市町村税にした方がいいと考えておるのでございます。
  77. 三木治朗

    ○三木治朗君 市町村税にすることはこれは当然だと考えるのですが、結局その府県としては均衡が取れない。井の県は、炭鉱のない県はいわゆる附加価値税で相当徴收ができるが、炭鉱県は非常に附加価値税が取れない、少いという結果になるので、結局そうすると平衡交付金でそういう点は考慮をお拂いになる、こういうことになるのですか。
  78. 荻田保

    政府委員荻田保君) 平衡交付金は、その基準財政需用額から基準財政收入額を引きます。その收入額は、炭鉱に対する附加価値税がない場合において、必ずそれだけは少くなるのでございます。又それだけに平衡交付金において埋められることに相成るわけであります。
  79. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 道府県徴税機構と地方事務所との関係について質問して置きたいと思うのですが、先般地方を巡りましたときに道府県税徴税する機関として、新しくそういろ機関を設置しなければならないという、ことになるわけでありますけれども、それは従来の地方事務所を強化するかどうかというようなことについて検討したのですけれども普通の人はいや、地方事務所を強化するのだというような意見もありましたが、併しながらそれは全然違いまして、例えば大阪に例を取つて見ますると、地方事務所はいわゆる市を除いた農村地帯を管轄をしているのが原則であつて、従つて市の場合、市へおきましては地方事務所が、大体の県においては権限がないのが多いと思うのであります。勿論或る県によつては税務関係としては、市をも管轄しておる所もあると思いますけれども、併しながら市に委任しておる関係からして、やはり地方事務所の権限というものが、市を除いた方面に管轄されて行つたと思うのです。例えば大阪府に例を取つて見ますというと、遊興飲食税にしましても或いは入場税にしましても、附加価値税にしましても、これは大都市、市が多いのでありまして、大阪市のごときは全然地方事務所というようなものは前にはなかつたわけですから、そこに、各区と同じような役所を、直接税を取るために作らなければならないというようなことになると思うのです。そうしますと先程三木さんから質問がありましたように、可なり多くの新しいところの役所を作らなければならんということになるのですが、その際に、従来地方事務所におりましたところの人を、大阪市なら市の、その新しい徴税機構の中に勤務転換をせしめるというようなことでもやるか、そうしますと而も地方事務所は町村を監督して、町村が実際において税を取つておりましたが、今度は市町村税については町村が直接取ることになりますと、少くとも税に関しては非常に暇になつて来ると思うのであります。町村を監督する地方事務所にいれば非常に暇になつて来る。従つて今度の仕事というのは、供出か何かぐらいしかなくなつてしまうのじやないかと思うのです。併し供出も段々と自由販売的な傾向を持つて来ますというと、これ亦殆んど仕事がなくなつて来やしないか、そういう際に、この地方事務所というのが今後存立する価値があるかどうかということも考えられるわけですが、勿論現在の地方自治法によつては、府県によつて、廃止するつもりなら廃止してもよろしい。置くなら置いてもよろしいということになつておりますが、これは府県の自由にはなりまするけれども、併しながら政府としましては、こういう事態になつた場合に、そういう地方事務所の存廃ということと、新しく大都市において徴税の機構を拡充しなければならんという際に、どういうふうな調節をとるか、地方事務所は地方事務所として現代のまま置いて、そうして新しく必要な人員だけをどんどん殖やすというようなやり方をすれば、却つて経費が多くかかるだけになりはしないかということも考えられ、折角地方税増税の分を、そういうことのために使つてしまうという、さつきも三木さんでしたか、西郷さんでしたかのおつしやるようなことにもなりはしないかということを考える。その点について一応大臣の見解を承つて置きたいと思います。
  80. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 只今お話をお伺いしまして、全くそういうふうな地方事務所の従来の所員、更に適当なところにはこの府県税のための徴税吏員事務所というようなものの設置が必要な所も生じて来るのではないかと存じましてこれはお説の通り地方事務所に職員等で、この際事務量減少のために、そうした方面にその人間を配置転換するか、或いはその定員を配置転換するか、というようなことは、適切に、これは各府県において実施して頂くことを期待いたしておる次第でございまして、その土地々々の状況にもよることでございましようし、県庁自体が都会にあれば、その県庁の周りは県庁の方から直かに徴税する。更に附加価値税につきましては、特に個々の納税者についての調査も必要になつて参りますので、そうした点はその土地土地の状況……又でき得る限り徴税吏員の合理的な配置ということを実施いたして貰いたいと思つております。
  81. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではこれで休憩いたします。    午後零時二十三分休憩    —————・—————    午後一時三十一分開会
  82. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより委員会を再開いたします。午前に引続き質疑を行います。
  83. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 お尋ねいたしますことは、地方財政委員会地方財政平衡交付金の額を決める際にということでありますが、地方財政委員会というものは内閣直属の機関ではないという説明でありますが、関連はありましようが、これが地方財政平衡交付金額の額を決める際にということは、どういうふうに財政委員会がこの平衡交付金の額を決めるというわけなのですか。
  84. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 地方財政委員会は国の予算に計上すべき交付金の見積りをいたします。これを政府の方に計上するようにというので、その測定をいたすことと、それからそれに基きまして国で交付金の総額が予算の上で確定いたします。その確定した平衡交付金予算上の金額をここの府県市町村に幾らずつ配付するかというその金額は、地方財政委員会決定して、地方財政委員会が交付をすることになつております。
  85. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 地方財政委員会の主たる目的、第三條は財政の調整を促進するということであつて、これらに対する勧告とか、調整とか、調査とか、研究とかいうようなことが大体を占めている法案の内容でありますが、それからして委員会が平衡交付金の額を決められる際ということは分りますが、これは如何にして決めるかということであつて平衡交付金の額を決めるのは国が決めるのではないですから、それはどうですか。
  86. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 国の予算に計上されまする平衡交付金の総額は国で決めるのでございますが、それを府県市町村個々に幾らずつ交付するかいその配分はこの地方財政委員会決定いたします。
  87. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 地方財政委員会の設置法案は、まだこの本委員会としては審議の過程ではないのですが、そういうことはこの法案に現れていないと思いますが、それはどういうことなのでしようか。
  88. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 法案に現われております。
  89. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 ちよつと横道に逸れて失礼ですが、何條に現れておりますか。
  90. 荻田保

    政府委員荻田保君) 第四條に権限がございますが、その十二号に「毎年度分として交付すべき地方財政平衡交付金の総額を見積り、各地方公共団体に交付すべき交付金の額を決定し、及びこれを交付すること。」明瞭に各市町村に対しまする交付金決定項目が地方財政委員会権限になつております。
  91. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 そうしますと、この地方財政平衡交付金というものは国が決めるのではなくて、財政委員会で決めるということになりますれば、地方財政委員会地方財政上に関しましてのいろいろのことを決めるのに対して、地方自治庁が議会に対するこれらに関連する法律案提出する権利を持つているというその関係とが交錯矛盾を来たすのではないですか。
  92. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 私からお答えいたしますが、岩木さんの言つておられます点は、二つの点から考えなければいけないかと思うのでありますが、一つ地方財政平衡交付金予算措置の問題であろうと思うので、これについては地方財政平衡交付金の総額は、この地方財政委員会設置法案にもありますように、地方財政委員会が見積りまして、そうしてこれを内閣の方に持ち出して行く。それが国の予算書して訂正され、国会の審議を経て決定するわけであります。併しながらその決定されました総額に基いてこれをどういうふうに配分するか。言い換えれば個個の具体的の交付額を決定することは、これは地方財政委員会権限に属することなんであります。それから第二の問題でありますが、内閣提案の法律案等についての立案の問題でありまして、この点についてはこれとは又別の立場から取扱わるべき問題でありまして、さような場合においてはこの地方自治庁が立案をする場合も、法律案を提案するという場合におきましては、地方自治庁がこの衝に当とるということになりますので、直接平衡交付金の運用の問題とは別個の立場でお考えを願つていいと思うのであります。
  93. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 地方自治に関する、地方財政確立ということは、一に懸つ七地方財政平衡交付金の算定見積決定に懸つていることであります。これに関連して地方税法地方財政に関する法律は又別個の、自治庁が方法を採るということでありますれば、これの有機性を図るということになつて地方自治地方財政確立を図るという一貫的な操作の上におきましては却つて複雑化の虞れがあると思いますが、そういう解釈にならないのですか。
  94. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 只今その点問題を二つに分けて御説明申上げたのでありまして、地方財政平衡交付金に関する予算措置等の問題につきましては、先程御説明申上げたのでありますが、次に御質問のありました法律案等の企画立案の問題でありまして、地方自治庁におきましても、地方から財政の制度等に関しまして資料が必要となります場合においては、財政に関する資料財政委員会から提供を求めるという途も開かれているのでありますが、法律案の立案等につきましてはこれは地方財政委員会設置法案にあります見解とは別個に、地方自治庁において取扱い得る途が開かれている、こういうことで、決して重複をするのではなくして、相互にお互いに連絡を取りながら、それぞれの任務に応じた機能を発揮すると、こういうふうに考えている次第であります。
  95. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 今政務次官の仰せの通りが、即ち現在の人事院と内閣のごときような立場で、より以上のおのおの連絡を取るべきものが、その見解なり、予算的措置その他法律案につきましての工作によつて非常な難澁を極めておる実態を再びここに繰返す虞れがあると思うのでありますが、これはまあ政府はそういうことになるとは心で思うておりながら、そう言わざるを得ないということは一応私は了承するととにいたします。その気持だけは了承するが、実際は了承できないのであります。  次にお尋ねいたしたいのは、地方団体條例というものは、その府県の長が決めるのか、地方議会において決めるのでありますか、どちらですか。
  96. 荻田保

    政府委員荻田保君) 地方議会において決めます。
  97. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 そういたしますと、なんでしようか、この標準税率というものの基準というものは国会が審議するが、実際これを実施するについては地方議会が決めるということになると思いますが、そこで国会の審議権というものと地方議会審議権というものとが矛盾するようなことが起りはしないか。
  98. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 只今荻田君から答弁いたしましたように、地方税徴收、その他運用に関する問題につきましては、地方議会がこれを決定するのでありますがこれにつきましては、この法律案の第三條を御覧頂きますと、当該地方団体條例によらなければならないということに相成つておりますので、この点御了承願えるかと思います。
  99. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 それではまあこれはこのぐらいにいたしたいと思います。  次にお尋ねいたしたいのは、府県税、特に第十項の特別徴收義務者等に関連することでもありますが、府県税と市町村税と、それから国税というようなものが非常に相交錯、入り乱れておるのであります。府県税におきましても、市町村税においても、国税は例えば所得税の問題や、その他の問題と非常に密接不可分の関係にあることによつて、この徴税なり標準率を決めなければならんというように、いろいろ非常に複雑化しておるということで、折角税制の整理が、国税府県税と市町村税とが同じ客体を、課税客体を中心にして、二つ乃至三つにも査定標準をせねばならんというようなことは、而も納税期日がいろいろ違つておるようであります。国税府県税、市町村税というようなことで、これはその被徴收者、納税者と申しますか、納税者の立場においても、又操作の上におきましても、極めて複雑を極めると思うのでありますが、これは何が総合的な措置は取れないものでありますか。
  100. 荻田保

    政府委員荻田保君) 課税客体をそれぞれ国、地方道府県市町村、別々にするのが今回の趣旨であります。ただ一つだけ交錯しておりますのは、市町村民税だけでございます。これは国税決定いたしました所得額なり税額なりを用いますので、その意味におきましていわゆる附加税的な性格を持つておるのであります。これにつきましては問題があると思うのでありまするが、所得に対する課税をやはり国でも取り、市町村でも取るということは、これは詳しく申上げるまでもないと思いまするが、必要であると思います。その場合におきましては、別々な課税標準を国と地方団体市町村で取るよりも、同じものを使つた方が適当であると考えております。
  101. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 私は次にお尋ねしたいのは、これは今條文にないことでありまするが、多少第一條の第五号に関連することでありますし、総体にも多少関連しますが、シャウプ博士が、従来地方の寄付金が今まで四百億あつたわけだから、実際問題としては増税にならないであろうという見解も披瀝されているし、又政府予算委員会その他における委員会においても、地方税は増税にならない、従来四百億ぐらいの寄付金があつたものをこれに集約したのであるということをしばしば大蔵大臣も繰返されておりますが、これはそういう話でございますかどうか、念のために承つておきたい。
  102. 荻田保

    政府委員荻田保君) 大体従来地方団体で、いわゆる強制的に寄付金として集めているのが四百億であります。今回の税制改革において地方の財源が充実すれば、この三百億が減少するという予想の下に立つております。尚その方法としては、この税法施行後、地方団体財政運営につきまして、いずれ地方財政委員会等において修正することになると思いますがその際には、強力な寄付金の抑制についての改正を行うことになるだろうと思います。
  103. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 その四百億の従来寄付金がありたというのは、どういう調査に基ずいてですか。具体的に一つ説明承りたい。
  104. 荻田保

    政府委員荻田保君) この寄付金は、市町村なり、道府県の、寄付の中に、直接寄付金として受入れるものもございますれば、或いは物で以て貰うものもある。或いは労力で以て受けるもの、或いはそのような地方団体財政なり、寄付金なりの階梯を通さずに特殊の団体を作りまして、そこで寄付金なり経費なりの形で似て集めておるものもございます。的確な資料を徴することができないのでありますが、大体過去における地方団体自体が集めているような寄付金の額等から推算いたしまして、二十四年度におきましては四百億ぐらいあるだろうという推測を立てたのであります。
  105. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 必来のいろいろのことを推測して、四百億ということは、どういう方面から見た推測か知りませんが、これは重大な問題でありまして、そこに私は、シヤウプ博士の地方税に関する基本的な問題が胚胎していると思いますが、その四百億の内容を具体的に説明して頂きたい。
  106. 荻田保

    政府委員荻田保君) 二十二年度におきまして調査したものがございますが、それによりますと、地方団体予算に載つておりました寄付金の額が四十億程度でございました。これをその後の物価数で伸ばすとか、或いは今申しました、予算外の寄付金等を見積りまして、大体四百億と推定したのであります。
  107. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 昭和三十二年度で、予算に現れているものが四十億とおつしやるのでありますが、その予算に現われた四十億というものの明細を私は伺いたいのが一点と、それから物価指数その他で、二十二年度からこれを十倍に掛けたものでありますが、掛けたというようなことは、ただ物価指数で見積つたのであつて、四百億二十四年度であつたと、これはやはり別に具体的にこれは実際の資料というものはないのではありませんか。
  108. 荻田保

    政府委員荻田保君) 只今手許に持ち合せておりませんが、その四十億の内訳は、大部分は教育費でございます。御必要でございましたら、明日でも御説明いたしたいと思います。そこでただ物価指数だけで伸ばさず、今申しました、予算外の経費寄付金、これも考慮いたしまして、大体その十倍に見積つたのであります。
  109. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 それは、その見積りというのは、政府責任において勝手な見積りでありますが、問題はここに非常に大きな根本的な事情があると思います。シヤウプ博士の地方税に対する四百億増税が増税ではないという、例えば司令部に修正の意見を仮に持つてつても、或いは司令部が時々言つておられる、四百億従来寄付金があつたから、増税じやないと言つているから、これは、問題は一にかかつて四百億というものにかかつている。それがただ二十二年度に四十億出したから、二十四年度で四百億だというようなことで、この重大な地方税の目盛り、見積りをしたということは余りにも想像を基礎としてそういう進言をシヤウプ博士にしたということについては、これはもつと私は具体的な資料、証拠がない限り、そんなことで国民は納得しないと思いますが、如何ですか。
  110. 荻田保

    政府委員荻田保君) その二十四年度におきましてこの調査を科学的にやることは当時できなかつたのでありまして、利用し得る限りの正確な資料を使いまして、今のような数字を出したわけでございます。ただこの減税につきましては、従いまして、いつでも寄付金の額は、真のこの税、或いは專売益金というようなものの外に、全然別にいつでも申上げておるのでありまして、四百億を必ずしも的確にあつて、それが必ず三百億だけは減税されるということを明確に、税につきましてと同様な程度におきまして明確には申上げておらんのであります。
  111. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 明確に申上げておらないとおつしやいますけれども、シヤウプ博士の意見がその後新聞雑誌にも出ておるし、司令部の意見においてもそのことは、四百億の寄付金が百億になつたのだから、差引が三百億の減税だということ繰返して、だから何もこれは増税じやないのだという基本的なことを暗示されておるのであります。それの基礎資料なるものは、政府のどなたがそういう基礎資料を使節団に進言されたのか、提出されたのか知りませんけれども、その四百億を今荻田次長の言われたことくらいで推測を以てされたということは、私は納得は行かない。それはもつと我々納得の行くような説明なり、具体的な資料を出して貰わないというと、問題は私はここにある。これはもう昨日でありましたか償却固定資産の基礎を昭和二十年の九月、あのどさくさの戰災の後で西やら東やら分らんようなあの、非常に治安の乱れたような状態の時を遥かに推定して、そうして二十四年の七月の、あのインフレ最高潮の時を基準として四七%、四十七倍の倍数を掛けたというようなことを、償却資産と推定しておるほど、これらの問題につきましても非常に問題がある。殊にこの四百億の寄付金があつたということを、そんな漠然としたことでは、私は基本的な問題として了承はできないと思います。具体的な一つ事情を、一つ出して頂きたいと思います。
  112. 荻田保

    政府委員荻田保君) 只今申しましたように、これ以上具体的な根拠は、我々持つていないのでありまして、先程の昭和二十二年度でございましたが、その時の寄付金の調査がございます。それ以上のものは持つていないので、それ以後は推測によつておるのでございます。で、先程も申しましたように、この税の……寄付金の問題は枠の外に考えておりまして、例えば地方財政の枠を二十五年度四千八百億と決めました場合にも、この寄付金のことは別に問題にせずに、四千八百億ぐらいとすれば、地方の普通やつて行けるだけの財政はやつて行ける、こういう計算を立てておるわけでございます。
  113. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 併しながら司令部は、国税は減額した、地方税は増額したと言われるが、増額じやない、寄付金が減るのだから増額じやない、地方財政に要るという額は、今荻田次長のお話通りかも知れませんが、とにかく基本的な惡税ではないという司令部の強い信念というものはここから出ておるのでありますが、司令部はこれは増税でも惡税でもないという基本的な問題はここから出ておるのを、それを二十二年度の四十億の、まあ学校関係と申しますか、PTA関係と申しますか、そういう問題に寄付したのを以て、大きなこの二十五年度の地方税徴收基礎資料とするというようなことは、ただそれだけより仕方がないということだけでは、私はどうも了承できないと思いますが、これはもつと我我納得の行くように説明して貰わんとちよつと困ると思うのであります。
  114. 荻田保

    政府委員荻田保君) 御納得行かないのが非常に残念でございまするが、今申しましたように事実ないのでございます。その程度資料で四百億という数字が出たのでございます。
  115. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 事実のないような、掴みどころのないようなものを、ただ單なる推測、推定を似でやられたと進言され、使節団にそういう資料を提供された、見解を披瀝されたというようなことは、使節団という方は皆アメリカの方で、日本の前のことやら、詳しい経緯は分らない。一に懸つてあなた方の進言によつてすべてのものが起案幸草案されたと思う。固よりシヤウプ博十一行のいわゆる税制改革に対する基本的観念というものがいろいろ現れておる、と雖も、その計数、筆数の基礎については、あなた方のそういろ進言なり、基礎資料というものが大きな要素となつておることは否むことはできない。それを二十二年の推定から以後は、それ以上は資料がないのだというようなことで、この重要な考え方の基本を與えたということは、私はこれは由々しき問題だと思うのでありますから、それよりないということで突き放したのではこれは工合が悪いと思います。如何でしよう。
  116. 荻田保

    政府委員荻田保君) 只今申上げましたように、四十億の数字をシヤウプ使節団にもお目に掛けたのでありまして、それから四百億がどう出たかということは、我々自体も、実はシヤウプさんがどういう頭の中で計算されたかも存じないのでありまして、報告書に出ておるわけでございます。我々としましても、その数字を一応基礎ずけるためには、今申しましたような推測をするより仕方がないのであります。シヤウプ勧告でもそう寄付金のものを税制全体の改革の根幹とはしておられないのでありまして、相当ある寄付金がこれによつて減少するという大きな方針を立てておられるのでありまして、必ずしもこの寄付金の問題は税と違いまして、精密な計算の中には入つていないように考えております。
  117. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 今の問題ですね。どうも今の四百億の寄付金というのは、そういうふうなものじやなく、我々もつと現実にその四百億に近い寄付金があつたのだというふうに思つてつたのですが、今聞いて見ると、二十二年度の四十億に物価指数をかけて十倍したということになつて来ると、これは甚だ容易ならんことと思う。我々も非常にこんな杜撰なものであつたということに一驚するのですが、これは自治庁ではなかつたかと思うのですけれども、予算委員会並びにこの委員会におきましても、大蔵省なんかは、寄付金が四百億あつたのは、それだから地方税の今回の増税額は、それを税で取つたものであつて、尚三百億ぐらいは税で取つて……今度は取るようになつたのだから、必ずしも四百億は増税じやないのだ、百億ぐらいは寄付金の方としても残るかも知れんというような説明があつたことは確実であつて、こうなつて来ると、今のどうも説明を聞いて、我々はこんな杜撰なものじやないと思つてつたけれども、今次長の御説明だと、どうも最初の説明されたよりも非常に変つて来たように思うのですが、二十二年度の寄付金総額が四十億であつた、それをシヤウプ使節団に出して、シヤウプ使節団の方がそれを物価指数を掛けて十倍したのですか。最初はそうでなく、それに物価指数を掛けて十倍したものを出したというふうに説明されたと思うのですが、とつちが十倍した……日本政府が四百億出したのですか、四十億を出して四百億……四十億を出したのを四百億にしたか、使節団が研究の結果なさつたか、どつちがしたのですか、その点をはつきりして置きたい。
  118. 荻田保

    政府委員荻田保君) 四十億という数字を示しただけでありまして、四百億という数字は我々は示しません。で結果から見まして、そういうことになるということをこちらで推測したのであります。
  119. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 この資料という、いわゆる紙に書いたものは四十億だけで出したか知りませんが、私に聞けば、荻田次長が使節団に対して四百億あるということを言われたということを聞いておるのであります。で、寄付金と物価指数とを同じような工合にするというようなことが、私は失礼ながら実際この日本財政経済の衝に当つておられない自治庁のお役が、二十二年度の寄付金が四十億だから、二十四年度はその物価指数を掛けて四百億だろうというようなことをやられるということはですね。これは、この問題は見解の相違というだけじや私は済まされんと思うので、今西郷氏も言われました通り政府説明として予算委員会において何回も繰返された。これは本多国務大臣も繰返されておると思いますし、池田大蔵大臣ももう数回に亘つてこの問題を衆議院、参議院の予算委員会で言明しておる。従来四百億の何があつたのだから、三百億ぐらいな増税で、差引百億ぐらいならどうだということを言つて、それが基本的な政府説明でありまして、財政演説の中にもこの意味は含まれてあります中で、これはちやんと印刷ずりの政府財政演説の中にも触れている。四百億あつたのだという基本的な考を誘導したと申しますか、與えたということは政府責任であります。だからシヤウプ使節団や司令部が何ら地方税法は増税ではない、惡税ではない、お前の所には今まで四百億も寄付があつたじやないか、それを税に変えただけじやないかということを未だに言つておる。その基本的な考え方を持たしめたということは私は政府責任であると思う。
  120. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 誠に資料不十分で、只今説明では御納得の行かない点があるのは御無理もないことと私も考えております。ただ私も地方行政委員会におきましても常にシヤウプ使節団の調査によれば二十四年度の寄付金は四百億に達するであろうと推算されております、この点からこれが百億に減少すれば寄付金の面における負担減が三百億にも達するとということは、私もしばしば申上げておるのでございます。これは二十二年の決算によつて四十億というものがこれは確実にその決算上の数字として出ておるのでありますけれども、この寄付金の額として決算に上つておる数字のどれくらいが更に金以外似寄付として地方団体のために支出されておるかということの見積り、更にその後物価倍数、地方財政の膨脹率等から勘案いたしまして、更にその後かくのごとき寄付金はどういう割合に増嵩の傾向を辿つていたか、国からの六三制に対する補助金等の減少の程度等を勘案されまして、この二十二年度の決算書に上つておる本当の金としての寄付金の額の丁度四十億の十倍になる金額ではございますけれども、簡單にそれの十倍と見積られたものではない。いろいろなそうした寄付金に対する推定の要素を勘案されて、四百億には二十四年度には達しているという数字が発表、されたものであると考えております。更に今の点につきましては政府部内におきましても打合せをいたしまして御答弁申上げたいと思います。
  121. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 それじや後程大臣が打台せの上御回答頂けることだと思うのですが、一言申添えで置きたいことは、二十二年度は皆さん御案内の通り終戰直後で、学校は荒廃に荒廃を重ねて、寒冷地のごときは授業ができない。その他においても皆二部教授をしておつて、そして非常に子供を持つておる親達及び村の者は無理算段をして、子供の学校教育のために非常に無理算段の寄付を強要された立場にあるのであります。ところが二十四年度は政府のデフレ政策によつて非常な不況な頭打ちの経済界の情勢に伴つて、寄付金というような問題についてもすでに早や二十四年度の後半に至つて財政、金融、経済物価上におきましても、諸般の問題が非常にどうも逆転状態でありまして、二十一年ののそれを以て二十四年度を律するというようなことの理論は、ただ物価指数というような観点で見積られるということについては大きな疑問を生ずると私は思いますから、その点もお含みの上、万遺漏ない何をして貰いたい。私は償却資産の積算基礎価格でありますか、これとこの問題とは政府の重大な失態ではないかと私はひそかに思うておるのでありまして、これは由々しき問題でありますから、慎重なる御検討が望ましいと思います。
  122. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) これはシヤウプ使節団が報告された数字でありして、これを否定すべき根拠も政府といたしましては只今ないわけでございます。政府といたしましても專門的に調査されましたこれに大体見積は一致するものであろうと考えておる次第でございまして、この数字はシヤウプ使節団の報告の中に盛られておる数字でありまして、政府として現実に寄付金が二十四年度幾らあつたということを申上げておるのではないのでありまして、このシヤウプ使節団の報告の数出は推定としては否定すべき根拠もございませんので、過ちないものと考えておる次第でございます。併しそうした数字でありますために、地方財政計画の中には別にこれは入れないで、ただ寄付金がこれ程あつたと推定されておるという参考の数字に過ぎないものであることも御了承願つて置きたいと思います。
  123. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 今の大臣のいろいろ修飾された御説明がありましたが、そうすると今のそういう御説明だと、今まで言われた日本政府がそういう資料もなくしてただシヤウプ使節団の数字で四百億になつたということならば、そうすると大臣がさつき言われた何度も自分も言つたがという、そのうちの増税額の三百億はこの中の数字であるから、それは何も必ずしも増税でなくて寄付金を振替えただけだという御説明はそうするとおかしいじやありませんか。ただシヤウプ使節団が出した数字によるのだ、それを肯定すべき数字もなければ、否定すべき数字もない、その使節団が出したから、それにすぐ乗つ掛つて、それを楯に取つて、それが必ずしも増税でないのだ、これは四百億の三百億税收入に振替えただけだというように御説明になることは、これは少し受取れないがその点はどうですか。
  124. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) これは寄付金がシヤウプ使節団が推計されました四百億あるとすれば、この寄付金の面においても三百億ぐらいの負担の減少になるでありましよう。又負担と見ることができる。そういうふうに申上げておるのでございます。このシヤウプ使節団が、只今次長からも申上げました資料に基いて四百億と推定せられました根拠について、尚分りますだけの調査をいたしまして御説明申上げたいと存じます。
  125. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 本多国務大臣にその点重ねて伺つて置くのですが、実際そういう場合であれば、政府側としてはそういうような使節団の出した数字によらないで、やはりはつきり四百億なら四百億の増税であると言う、その方が筋が通つておるのではないでしようかね。
  126. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) これは財政計画の上におきましても四百億の増税であり、政府説明といたしましても四百億の増税であるということに一貫いたしておるのでございます。ただ参考の説明心して、質問等が寄付金等についてありました場合には、シヤウプ使節団の推計されただけの寄付金が二十四年度に負担されていたとすれば、その面が三百億は減少するであろうということは、これは寄付金のあることが事実であり、更に又シヤウプ使節団の推定せられました程度に、二十四年度あたりは寄付金が相当国民からも非難を受けておるくらい、各県寄付に悩まさてれおるということも聞いておる次第でございますから、先ずそのうちシヤウプ使節団の推定された程の寄付金、これを否定すべき計数も持つておりませんので、大体それくらいあるものであろうと思いますので、そうすればその寄付金が少くなればそれだけ実質的負担が軽くなるということを御説明申上げるということになる筈でございまして、決して政府はこの四百億円の増税、寄付金と相殺して幾らの増税にはならんというようなことが、これは事実は、寄付金の額について実際の額を掴んでおりませんから、相違あるかも知れませんが、実際においてはその寄付金が少くなるだけの負担減になるごとと思いますけれど、それは別問題といたしまして、四百億のはつきりした増税であるということは一貫した説明をいたしておるつもりでございます。
  127. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 今の大臣の御説明でそのことはよく了承できましたが、大臣も御承知のように、我々も少し不注意だつたせいもあるが、四百億の出した数字を今日初めて我々は伺つて驚いたのです。我々はそう思つていなかつたのです。大臣も御承知通り予算委員会で可なりこれは問題になつたのですが、巧みに大蔵省は、シヤウプ使節団が四百億の数字を寄付金額として出したものだから、もつけの幸いとしてそれに便乗して、それで説明しておつたのですが、それに我々もうまくひつかかつてつたのですが、今日の説明でそういうことではないのだということはよく分りましたが、大蔵省の連中はそれに便乗して、それによつてごまかしておつたのです。今はつきりしたのですが、我々はそう思つていなかつた。もう少し正確な数字だと思つてつたのです。相当寄付金の問題があつたんですが、どうも出し方については、政府もいろいろお考もあるでしようけれども、果して適当であるかどうかは、四百億という数字は私は疑問だと思います。可なり寄付金額の問題で相当喧々囂々の議論もありましたから、可なり殖えたことは事実だろうと思いますけれども、四百億という果してこの数字の出し方については非常に疑問だと思うのです。
  128. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 実は私も就任いたしまして、あらまし研究をいたしましたときに、この寄付金の四百億がどういう根拠であるかということを突きつめて事務当局に引継を受けようとして調べて見たのであります。これがせめて二十三年度の決算でもできていて、それに金高で現れた寄付金が相当程度出ていて、それ以外に金額以外の実物寄付が何割あるというような、はつきりした根拠でもあれば非常に都合がいいと思つたのでございますが、それがないということでありまして、まして二十三年度の決算もまだ済んでいなかつたというようなことで、実はその寄付金の内容説明には少しく、シヤウプ使節団の確信のあることを否定する材料もありませんけれども、困難を来たしはしないかと、自分も憂慮しておつた次第でありまして、これにはそれぞれ見積られましたいろいろの観点からの、根拠になつた見方もあることと思いますが、少しく大蔵省方面とも打合せいたしまして、できるだけの、判明するだけのものを準備いたしまして御説明申上げたいと思います。
  129. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 政府は今度地方自治体予算は昨年より減つていると思うのですか、殖えていると思うのですが。殖えているとしたらいくら総体的に殖えていると思われますか。
  130. 荻田保

    政府委員荻田保君) 地方の全体の歳入歳出の枠が昨年度四千億であつたのが、四千八百億ぐらいに殖えるという前提の下に作つております。個々の現実に果たしてどのくらいの予算組んだかということはまだ資料が全部集まつておりませんから分りませせんが、道府県分につきましては一応お手許にお配りしてございます。
  131. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 そうすると、今荻田次長が言われたのは、約八百億昨年よりも増大している。歳入面も増大する、歳出面も増大している、こういうことと解釈してよろしうございますか。
  132. 荻田保

    政府委員荻田保君) 八百億歳入歳出共に増加しますのが我々の見積りでございます。
  133. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 そうしますと、今度地方税で四百二十億という程の増税がこのうちに含まれて、おると思うのですが、あとの分はどの勘定で歳入が殖えておるのでありますか。
  134. 荻田保

    政府委員荻田保君) あと大きな項目は国庫支出金が四百億であります。
  135. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 それは平衡交付金でございますか。それと別個でございますか。
  136. 荻田保

    政府委員荻田保君) 国より出します支出金を全部ひつくるめましてでございます。それぞれ内訳はお手許に配りました表の中に出してあります。
  137. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 そうなると国からは四百億殖え、地方税は四百億増税したと、この八百億の増税なるものが地方自治の上に昨年より必要であつたという観点はどこにあるのか。国の予算と比較して一応その辺を中央地方を一貫した財政政策だという観点から御批判を願いたい。
  138. 荻田保

    政府委員荻田保君) 地方の二十四年度は、御承知のように普通現在與えられております地方団体仕事をやつて行くにつきまして十分の歳入がなかつたわけであります。従つて不当という言葉を使つては穏当を欠くと思いますが、この財源は少かつたわけであります。それが正常の状態に戻るためにはその程度の歳入増加を必要とするのでありまして、これがシヤウプ勧告でも地方税制改正の基礎になつておるわけであります。尚その外に公共事業費等におきましてもまだまだなされなければならないことも多かつたのでございまするが、これもできていなかつたのでありますがぞれが国庫の予算も殖えまして、或いは災害費の全額負担というようなこともございます。そういう観点からも増加しておるのであります。
  139. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 そうすると国税が減税されたというその見解は別問題にして、地方税は増税した、その地方税の増税はそのまま地方自治体財政に入りますからそれはよいが、国として減税したというようなもののうち四百億というようなものは国の予算から地方自治体にこれを増額して廻しておるのでありますから、地方自治体としては非常な膨張ということになるのでありますかどうか。
  140. 荻田保

    政府委員荻田保君) 国庫の支出金が四百億増加になつておりますのは、これは国税で減税した分でなくて、減税した上で取りました税の中から出ております。それは地方予算におきまして、この八百億はこれは確かに予算の枠が殖えておるわけでございます。
  141. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 そこでお尋ねすることは、国の財政としては減收、減税による歳入ということで計上された予算でありますが、地方財政としては国及び地方税で増加しておる、歳入が増加しておる、こういうことになりますことは、これは中央地方財政経済政策の一貫だという筋はどこに通るでしようか。
  142. 荻田保

    政府委員荻田保君) 国の予算におきましてそのような減税をする余裕がきましたのは、御承知のように価格調整費であるとか、それからこの各種準政府的な機関に対しまする出資金の減少とか、そういうことはすでに予算の御審議の際にいろいろな説明があつたと思いますが、そういうような経費におきまして軽減することができましたので、一般の経費につきましては、国と雖もそれ程少くはなつていない。地方団体におきましては価格調整費であるとか、出資金というようなものは従来ともございませんから、これを減少するということはできません。而も一般の経費は先程申しましたように二十四年度が過当に圧迫されておりましたので、これが元の姿に帰るために八百億円程度のももが増加した次第でございます。
  143. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 国の歳出面は御承知のように非常に減額であります。それは歳入面も減税したごとく歳出面も減額であります。地方歳入面をべらぼうに増額して、歳出面も増額しておる。歳出面を八百億も増加せねば地方自治の健全な発達はできないとおつしやいますが、これは又話が戻つて失礼でありますが、そこにたわいもない歳出の計上があつて食糧費だとか、交際費というような厖大予算が生まれて来るのであります。こういうことが正しいと政府は思われておるのでありますか。
  144. 荻田保

    政府委員荻田保君) 地方予算が殖えます項目はお配りしてあります資料に書いてありまするように、大体経常的な経費において五百億、公共事業費関係におきまして三百億であります。それに失業対策費の六十億程度でございます。この程度はどうしても正常の仕事をやつて行くためには必要であります。特におつしやいましたように、これは初めから事実に対しまする認識が違うわけでありますが、そう何も宴会費等に多額の経費が出ておるものとは我々考えておりませんので、これだけの経費も殖えましたからといつて、特にそのようなルーズなことが行われておるとは考えておりません。
  145. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 この地方歳出面を見ますれば、生活保護費だとか、保険諸費であるとか、国民健康保険費など、いわゆる人件費、給與費などが減額されておる。こうしたものは減額されておるが、それ以外のものはいろいろな名前で殖えておるのであります。どうも私は一貫した地方自治が分離独立して尊重されるということは分りまするが、苟くも国民の血涙でありまして、中央地方を問わず、税とは、国民一般が出ず、右から出すか左から出すか同じであつて、それがこういうような工合に歳出の増額分が極めて現在の社会実態に添わないような方面に廻つておる嫌いがある。これは又別に産業経済費などの増額も地方ではしておる所もしおらないところもあつたり、いろいろ質問は細目に亘るかも知れませんが、どうもこうした状態は、地方税法を改正して地方の自治を、財政確立しようということとどうもピントが合わないような気がするのですが、根本問題でありますが、これに対して何か政府地方財政法とかというような新しい法律でも出すというような、こうした調整を地方財政委員会かどこか分りませんが、適当な所で総合的に運営するような方法を採らない限り、今後この地方税でいろいろの形で増税されたものがいわゆる独善化する虞れがあつて、濫費するようなことがあつてはならないというような心配が濃厚でありますが、これに対する大臣のお考を一つ承りたいと思います。
  146. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) これはどうもお話の点はよく分るのでございますけれども、自治権を拡大するがいいか悪いかということに結局帰するのではないかと思います。自治権を與えれば相当まちまちなことになるということは考えられるのでございます。日までの自治体があまりに自治権が狭小でありましたために発達が遅れておるという見地から、この税法程度の自主的の運営は自治体にやらした方が、自治体を健全に発達させるゆえんである、この点でどうしても御了解を願う外ないと考えております。お話のような法律の力によつて調整を加えるというようなことは、今後の自主性発達のために政府としてはこれは差控えるべきことである、かように考えております。
  147. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 地方自治の発達のために差控えたいことだという、地方自治の発達という大きな意味合から見る観察、御意見は私も非常に結構であろうと思うのですが、併しそのまま野放図に放任される限り、地方財政のこうした措置について何らかの方法を講ぜん限り、責任地方議会なれ地方自治庁に転嫁すればよいわけでありますが、苟くも地方自治を運営する基本的な法律というものは、国及び内閣がこれを設定するのであります。議会が設定するのでありまして、いわゆる国会議員としての立場におきましては、やはりこれはそう無関心ではおれない。いわゆる国勢調査の立場から見まして適切なる措置、考慮が拂わるべきだと私は深く信念いたしておりますが、これ以上どうかと思いますが、この辺で進行することに委員長のお諮りを願います。
  148. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは五條……。
  149. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 も一点ちよつと……、これは簡單にお話を聞けばそれでいいわけですが、第四條の道府県税市町村税とにいろいろ種類を分けております。これの理由を一応承つておきたい。何故市町村税にこれこれのものを並べたか、府県税にこれこれのものを並べたかという理由を承つておきたい。
  150. 荻田保

    政府委員荻田保君) この新しい税の主眼といたしまして附加価値税、市町村民税固定資産税、この三つが特に大きな税であります。それと入場税遊興飲食税、この二つ、合計して五つが基本的な税になりますが、この税のうち大体直接税的なものは市町村税、間接税的なものは府県税という考でございます。それから後の細かい税につきましては、それぞれ財源等と見合いまして、その税の性質から両方に分けたのでございますが、ここについて申上げますると、自動車税のごとく大体一市町村だけでなくて数市町村に走ることを建前としますようなものは府県税に、それから鉱区税、漁業権税、狩猟者税という一種の特権を得た者に対しまして課税する、これは府県税にした方が適当であろうと考えます。それから市町村税の方でありますが、荷車税、自転車税、これは小さな税でありますし、固定資産税との関係もございますので市町村税にいたした次第であります。それから電気ガス税は最も市町村税としまして六三番目に大きな税でございまするが、大体全市町村に部分的にもございまするので、間接税を一つ入れるというような意味市町村税にしたのであります。それから鉱山税、木材引取税は鉱山地方或いは山村地方に特殊的の税法、こういう税はその市町村になければその他に税源を得ることができない、こういう特殊事情がございますので市町村税にしたわけであります。それから広告税、入湯税、接客人税、これらは極く小さい税でありますから市町村税にしたのでございます。
  151. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 今の説明だけじやどうも矛盾を来たしますので、もう一回お尋ねしなければならぬと思うのですが、入場税遊興飲食税というようなものは、大体市なり町を中心として料理屋なり映画館がありということで、これが道府県税にするということには、今萩田次長の説明から言えばこの点は矛盾でありまして、例えば東北、北陸のような農村地帯で町が少い所の、例えば府県会議員が新潟なら新潟の町の入場税遊興飲食税を、田舎の県会議員が審議するというようなところにいろいろピントの外ずれる問題も現れて来る。それから接客人税というものがそれと反対に市町村民税に現れておるというようなもので、これは接客人税と遊興飲食税というものとは同じ場所でやるものでありまして、こういつたような問題、広告税、鉱産税の問題、ちよつとそういう点どうなんでしようかね。ちよつと私は分らんので承りたいのですが、矛盾があるような気がするのですが。
  152. 荻田保

    政府委員荻田保君) 勿論このいろいろな税を決定しますのにはいろいろなことを考えましたから、一つの倫理だけですつぱり行つているわけではございません。殊に税收入の額というものは問題になります。まあ入場税遊興飲食税は確かにおつしやいますように都市方面にしかございませんけれども、映画を見、或いは料理屋に行く人は必ずしもその市の人だけじやなくて、外部の町村からも来ておるのでありまして、こういう税を市税にしますることはその意味におきましても適当でない、又殊に財源の調整関係から見ましてもあまりに都市方面に固まり過ぎるという関係もございまするので府県税にしたのでございます。
  153. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 この質問をしますと、これは又再現がないと私は思うのですが、まあ一つその辺政府の御説明に敬意を表しまして省略いたしましようか。
  154. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは第五條は済んだことにしまして、第六上以下政府委員説明を求めます。
  155. 荻田保

    政府委員荻田保君) 第六條、第七條は不均一課税、一部課税でございまして、従前の税と同様でございます。  第八條の関係地方団体の長の意見が異る場合の措置等も、これも同じでございます。  第九條、十條、十一條も、これも従来と同じでございまして、別に変りございません。内容納税義務の承継等の規定でございます。  十二條一十三條は罰則でございまするが、これも従来と変りございません。  一十四條の時効、これも従来と変りございません。  次の先取特権につきましては多少改正がございまして、従来地方税はすべて国税に劣つておりましたが、これを原則としまして同列といたしたのでございます。  第十六條の繰上徴收も大体変りございません。    〔委員長退席、西郷吉之助君委員長席に着く〕  十七條の過誤納の……。
  156. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 説明中ですが……、もうちよつと、この大綱だけでも言つて貰わんとどうも……。
  157. 荻田保

    政府委員荻田保君) 大体一番先にお話いたしましたので、今日は要点だけで言えということでありましたので……。
  158. 西郷吉之助

    委員長代理(西郷吉之助君) もう少し切つたらどうですか。
  159. 荻田保

    政府委員荻田保君) それではもう少し詳しく言いまして、十七條は過誤納がありました場合の地方団体徴收金の取扱でございまして、これは従来と同じくそれぞれ納税者に返さなければいけない。併し必要な場合におきましてはこの後で納めまする税金に、未納に係りまする税金に充当することができるというのでございます。  第十八條が……。
  160. 西郷吉之助

    委員長代理(西郷吉之助君) ちよつと荻田君、そこら辺で切つた方がよくはないですか、あまり一遍にやつてしまわないで。
  161. 荻田保

    政府委員荻田保君) 手続だけでございまして、この後で……。
  162. 西郷吉之助

    委員長代理(西郷吉之助君) いや、性格はどうであつても、質問する場合にはそう一遍にやつてもしようがなくないですか。
  163. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 もう一遍読み直さないと質問ができなくなる、結局無駄な時間が掛かるのですね。    〔委員長代理西郷吉之助君退席、委員長着席〕
  164. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 今続けてやつてつたのですけれども、六條から……。そう一遍にやつて質問する方も困るし、ただぼやぼややつていたのじやしようがないだろうから、だからそこを切つたのだよ。
  165. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 これは一條づつやつて頂いたらどうですか、そうでないと、これ又ずつとゆつくり二十分間休憩して貰つて読み直さなければいかんですよ。
  166. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) その方がよければそうしますよ。
  167. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 その方が運びが早いと思いますが、如何でしようか。
  168. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 それはその方が早いなあ。
  169. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それじや六條説明して下さい。
  170. 荻田保

    政府委員荻田保君) 六條は公益上の理由によりまして地方団体が適当と認めます場合におきましては課税をしない、つまり免税でございます。不均一の課税、つまり減税することができる、こういう規定でございます。これは従来と変りございません。
  171. 三木治朗

    ○三木治朗君 公益上の事由によるということですが、この公益という範囲はどういうことになるのか、それは僕の尋ねたいのは、いわゆる協同組合が公益上の理由になるかも知れませんが、生活協同組合なんぞのようなものも地方団体が免税したり、或いは軽くすることができるかどうかという問題です。
  172. 荻田保

    政府委員荻田保君) その場合の事情と、それから課税をしようと思います税の種類等によりまして、それぞれ判断しなければならんと思いまするが、真に公益上の事由に該当する場合には免税なり減税なりいたしましても差支えございません。
  173. 三木治朗

    ○三木治朗君 地方団体が認めればですな。
  174. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 そうしますと、公益上というのはいわゆる憲法で言う公共の福祉なるものの包括的な解釈もできるので、例えば健康保険組合病院であるとか、その他私法人と申しますか、私法人に類する機関で、例えば交通機関なども公益上に関しての大きな使命を持つている点もある。いろいろこうした種類があつて、それが村なり、町なり、市なりの委員会ですか、誰がやるのか知りませんが、やるというようなことになつても構わんのでありますか。これはどうでしようか。
  175. 荻田保

    政府委員荻田保君) それが地方自主性を尊重するゆえんでございまして、地方団体が、これは団体と申しましても市長なり、町村長がやるのじやなくて、議会の議決を経た條例によりまして、そういうものをそれに該当すると認めました場合には自主性によりまして決定いたしたいと思います。
  176. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 ほほう。それが例えば電燈でもガスでも公益上必要である場合、交通機関もあれば、病院もあれば、その他いろいろ憲法で謳われておる公共の福祉なるものの広議解釈にいろいろ当嵌りますと、それを全部地方自治体に一任するということはいいこともあるかも知れんが、又それに弊害の生ずる虞れもあると思いますが、如何でしようか。
  177. 荻田保

    政府委員荻田保君) まあ非常に地方団体が非常識になることをやるものだと考えてしまいますと、いろいろのことが起るかも知れませんが、まあこれは公共団体でございますし、地方議会の議決も得てやるというのでございますから、そう無茶なことはないと思います。殊に若しも誰が見ましてもそれが適当でないといたしますれば、これは公益上その他の事由という條項に触れないことになりますので、違法の措置になつて参ります。そうでない限りにおきましては、地方自主性を成るべく広く認めるのが地方税制としては適当だと考えております。
  178. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 それじやもう一度承つて置きますが、私が一例を挙げますと、今言う健康保險の組合の病院だとか、或いは公共上必要な種々のものであるとか、鉄道であるとか、或いはバスであるとか、私益法人でありますけれども、公共性が非常に高い、或いはその他政府が各生産物資に対してマル公を決めておるといつたようなものについての要素は公共性も持つておる点がある。或いは国策的な事業会社であるというようなものも、広議の解釈で行きますれば公益上と解釈できますが、そういうことが村なり、市なり、町なりで認めればそれでいいということでありますか、その辺はつきり一つして頂きたい。
  179. 荻田保

    政府委員荻田保君) その事業が公共的なものという意味じやないのでございまして、免税することが公益上必要である、そういう公共的なものに対しまして、税をまけるとか、免税なり減税なりすることが公益上適当だ、こう判断いたしますれば、それはその団体が行いましても違法ではございません。
  180. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 もう一度最後に確かめておきますが、税をまけるということが公益上必要であるということならば、どんな機関であつてもそれは差支ないということを、責任を持つて政府は言明できますか。
  181. 荻田保

    政府委員荻田保君) 法律的には差支ございません。
  182. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 じや分りました。
  183. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 第六條はよろしうございますか。それじや第七條に参ります。
  184. 荻田保

    政府委員荻田保君) 第七條は、やはり不均一課税、一部課税規定でございますが、事由が公益上ではなくて、受益による理由によりまして、つまり或る種の一部に対して特に利益のある仕事、こういうものに対しまして取りまする税につきましては、不均一の課税ができるという規定でございます。
  185. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 その一部に特に利益のある事件というのは、例えば具体的な例はどういうことですか。
  186. 荻田保

    政府委員荻田保君) 例えば河川を改修いたします場合に、その河川改修によつて恩恵を受ける土地、それに対しまして特に高い税金を掛けるというような場合がございます。
  187. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 これは「その一部に対して特に利益がある事件に関して」ということでありますが、事件というものは、利益がある事業を興したものとか、それによつて利益を得られた業種、業界、或いは私人というような意味意味しておるのでありますか。この事件ということはどういう意味なんです。
  188. 荻田保

    政府委員荻田保君) まあ案件というような言葉でございまして、そういう事業なり事務なり、それぞれの関係についてというような意味であります。
  189. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 それは件についてでありますか、そういう案件についてであるのか、その客体を指しておる意味でありますか。どつちなんです。
  190. 荻田保

    政府委員荻田保君) 客体ではございませんで、そういうような事務なり、事業なりに関する経費についてというような意味でございます。
  191. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 そうすると、まあ競輪、競馬をやるとか、或いは特異の催し物をするとかいつたものが、それが非常に成功をして收益が挙がつたものに対してやると、こういう意味でありますか。
  192. 荻田保

    政府委員荻田保君) 競馬が收益があつて、誰が利益を受けるということなんでございましようか。ちよつと御質問の趣旨が分らないのでございますが。
  193. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 その競馬につきましては、これは競馬を運営する者が県なり市なりでやる場合がありますが、その競馬場を持つておる、競輪場を持つておるというのが、別に又法人が持つておるという場合がありましよう。例えば一つの会社が競馬場を持つており、それを市に貸與して市が興行をする。その收益は市に挙がりますが、何割かの挙がりはその持主にも利益が均霑する。今度は非常に成功したとか、或いはどうであつたかということはよくあることでありますが、そういうような意味にもこれは指すわけでありますか。
  194. 荻田保

    政府委員荻田保君) そういう場合には、これは契約の内容を、余り本人に利益が行過ぎるようでしたならば契約の内容を変えるとか、そういう問題で解決がつくのではないかと思います。
  195. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 これは何でありますか、そこが明瞭でないので、市町村民税の中これだけの税、即ち第五條に謳われておる税種目に対しての意味でありますか。その外の税種目の意味であるのですか。これはどうなのですか。
  196. 荻田保

    政府委員荻田保君) これは一切の税でございます、理論上は……。従いましてここに羅列してありますものも、法定外独立税についても目的税についても同様でございます。
  197. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 一切の税と申しますが、国税はそういうことはあり得ないのです。国税はそんな規定がないのであつて、その一つの特に利益がある案件に不均一課税をするとか、或いは第六條のごとき公益上特別の又課税方針を立てるとかいうことは、国税はしないのです。ところが国税徴收する部面にも、いわゆる特性のものがある、市町村民税課税せんとするものにもあつた場合、国税の方は取らん、地方税だけを取るという意味ですか。
  198. 荻田保

    政府委員荻田保君) これはそれぞれ団体自分の税を取ることについてのことでございまして、市町村でございましたら市町村税を取るのに関してこのようなことができるという意味でございます。
  199. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 ですから、私は今競輪とか競馬の例を引いたのであります。競輪、競馬をして非常に当つたということで、その競輪場、競馬場の持主というものが、これは組合とか会社とか、地方にはいろいろある。市が持つておるのもある、県が持つておるのもありますが、いわゆる組合で持つておるのも、株式会社で持つておるのもある。それが、非常な県の宣伝なり或いはいろいろな條件において非常なぼろいことが起つた場合に、そうするとその持つておる者がいわゆる所得税というものも、国税も、行かなければならんのであつて市町村としての負担分だけがこういう制度を受けることになるのですか。
  200. 荻田保

    政府委員荻田保君) 競馬とか競輪は別に税の負担において、そのような仕事をすることはむしろ收益事業になるのでございますから、これにつきまして特に不均一の課税をするというようなことは起らないと思います。
  201. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 起らないとおつしやつても、これには「地方団体は、その一部に対して特に利益がある事件に関しては」これこれということは今私が申上げたことに当嵌るのじやないですか。
  202. 荻田保

    政府委員荻田保君) それはこの規定とは別でございまして、そういう特に儲かつておるものがある、そういうものに対して税を取つた方がいいと考えますれば、法定外独立税を取れば、それによつて課税できます。
  203. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 それは地方税じやないと思いますが、如何でしようか。
  204. 荻田保

    政府委員荻田保君) 第四條の第三項、それから第五條の第三項、これによりまして道府県なり市町村なりが自分法定外独立税を起すのであります。
  205. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 それではこの第七條はどんなことを、どうするのですか。
  206. 荻田保

    政府委員荻田保君) これは或る種の事業に対しまして、先程例に引きました寡占の改修をいたします。全区域に対しましてはその事業は何ら影響がない。山の上下には影響がない。併しその河川によつて今まで水を使つてつた人に対しましては利益がございます。そういう場合にはそういう所だけに対しまして特に税を取るわけでございます。
  207. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 それじや水利地益税とか共同施設税等ということを、これは但書かその他の明示をしないと、ただこの條文ばかりでは、一万数千の市町村があなたのおつしやる通り徹底するかどうか分らんが、数万の税務吏員が徹底するかどうか分りませんが、これはいろいろの問題が惹起すると思いますが、それならばこういう今私が申上げた水利地益税とか或いは共同施設税というようなものをこれは適用するというような工合に、統一されたら如何でありますか。
  208. 荻田保

    政府委員荻田保君) これは今申上げました例は、おつしやいます通り水利地益税として特に掛けても差支ございませんし、或いは固定資産税の不均一課税として掛けてもいいわけであります。それぞれその事情によりましていろいろございますから、別にどの税に附けるという性質のもんでもありませんので、そういうのがあるわけでありまして、この規定は恐らく明治時代よりございまして、別に混乱も起しておりませんのです。
  209. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 今次長は固定資産税にもこれは適用されると言われますが、固定資産税の場合にはどういう例がありますか。
  210. 荻田保

    政府委員荻田保君) 今申上げましたように、河川につきまして特に利益を蒙る土地、その土地だけに対しまして標準率の百分の一・七五より高い、仮に百分の二の税率を取る、こういうことが考えられます。
  211. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 これはこれで……。
  212. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 第七條、外にございませんか。それじや八條に移ります。
  213. 荻田保

    政府委員荻田保君) 税の中には、どの団体がその税を取りていいかということにつきまして争を起す場合があります、従いましでそういう場合、これをどう裁決するかということが書いてあるのでございまして、道府県税につきましては地方財政委員会が裁決する。市町村税につきましては道府県知事が第一に裁定する。それに不服の場合は更に地方財政委員会がこれを裁定する。更にその上訴願、或いは訴訟の規定を設けたのであります。
  214. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 第八條の最初のところに「道府県税については地方財政委員会が、市町村税については」何とありますね、その地方財政委員会のやる権限は、この法案の……、概要におきまして第三條によつてやるのですか。尚且つそういう場合には地方財政委員会法案には聽聞といろ規定があるのですが、そういうものに掛けてやるのですか、どうなるのですか。
  215. 荻田保

    政府委員荻田保君) 一般的な権限といたしましては三條でございますが、具体的な権限といたしましては第四條の第十四号に地方公共団体課税権の帰属、その他の規定の適用について関係地方公共団体の長が意見を異にする場合において決定するという規定が出ております。
  216. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 十二條に聽聞というのがあるですね。
  217. 荻田保

    政府委員荻田保君) これは当然十二條の規定が働きかける……。
  218. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 十二條が働きかけるのですね。
  219. 荻田保

    政府委員荻田保君) はあ。
  220. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 この道府県税市町村税につきましては、道府県知事がこれを決定しなければならんと言いますが、道府県知事市町村のこういうことに対して決定権というものはあるのでありますか。どの制度でありますか。
  221. 荻田保

    政府委員荻田保君) この法律によりまして、道府県知事にそのような権限ができるのであります。
  222. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 その決定の施行権と言いますか、遂行権というものは誰が持つのでありますか。
  223. 荻田保

    政府委員荻田保君) 道府県知事でございます。
  224. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 道府県知事決定したことに対して市町村ににそれを命令する権利が、或いはそれを実行する権利が、この法律において生れるということは、いわゆる地方自治の自治行政上非常に混乱の虞れがありはしないか、如何ですか。
  225. 荻田保

    政府委員荻田保君) これはこの法律だけでないので、市町村間のそういう徴税につきましては、第一次には道府県が当るというのが大体の今の徴税の建前であります。勿論それに対して不服のある場合は、それは地方財政委員会に対しまする訴願もありますし、裁判所に対する出訴もございますから、何ら自治権を侵害するものではないと考えております。
  226. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 道府県税市町村税との争のあつた場合には、どこがその裁定をするのでありますか。
  227. 荻田保

    政府委員荻田保君) 道府県税市町村税との争というのはちよつと考えられませんが、若しありといたしますならば、やはり道府県税についてという方を強くやりまして、地方財政委員会決定したら然るべきだと考えております。
  228. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 これはどの條文か知らんが、ちらつと見たことがあるのですが、債権、債務の差押をするときの優先……道府県税でも差押しなければならない、或いは市町村税でも差押しなければならないという類例のことがあると思いますが、そういつた場合に優先争いと申しますか、そういつた場合の裁定はどの場合……、この場合はどういう工合に適用いたしますか。
  229. 荻田保

    政府委員荻田保君) 優先順位につきましては、後の十五條に出ておりますが、その際御説明いたしたいと思いますが……。
  230. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 いや、そうですか。どうも失礼。
  231. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それじや第八條はよろしゆうございますか。じや第九條に移ります。
  232. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 納税義務の承継に関する規定でございまして、法人が合併いたしました場合には合併後存続する法人、又は合併により設立した法人が、前の法人に関する納税義務を承継するという意味規定でございます。従前のこれに関する規定と何ら相違した点はございません。    〔「進行」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  233. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それじや第十條に移ります。
  234. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 先の規定納税義務の承継でありますけれども、第十條の規定は現実に課せられた税金につきまして、納税だけをしていない場合に、やはりその納入の義務も承継するという意味規定でありまして、従前の規定と変つておりません。    〔「進行」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  235. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 第十一條に移ります。
  236. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 第十一條は共有物、共同使用物、共同事業等に関します連帶の義務を第一項に書きまして、第二項の方はそれらに関しましところの特別徴收に関しまして、税金徴收して納入するという場合の連帶義務であります。    〔「進行」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  237. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) じや十二條に移ります。
  238. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 十二條は納税義務者、或いは又特別徴收義務者が行うべき税に関します仕事につきまして、これを取らないように、或いは地方団体に納入しないように煽動した者に対しますところの罰則の規定でございまして、これも従来と変りのない規定でございます。    〔「進行々々」と呼ぶ者あり〕
  239. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 この十二條は従来の何と、罰則の規定は変りないのでありますか。
  240. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) その通りであります。
  241. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 虚僞の申告をするというようなことも従来からあつたのですか。ちよつと承りたい。
  242. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 従来からありました。
  243. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それじや十三條に移つて差支えございませんか。十三條に移ります。
  244. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 従来と同様でございまして、地方税に関する調査事務に従事しております者の秘密漏洩に関する罰則を規定したものであります。
  245. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 これは従来とはいつの法律と同文でありますか。
  246. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 現行地方税法規定と同じでありまして、現行地方税法では終りの方に罰則に関する規定をまとめて規定いたしております。
  247. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) じや次に移ります。十四條。
  248. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 地方団体徴收権に関する事項の規定であります。従来の制度と変りないわけでありますが、新しくここにその関係の規定を設けたのであります。    〔「進行」と呼ぶ者あり〕
  249. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質問ございませんか……。それじや十五條
  250. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 十五條は先取特権に関する規定でありますが、従来は地方団体徴收権というものは、国に次いで先取特権を持つてつたわけであります。併しながら今回のこの改正で、地方団体徴收権も、先に差押処分をいたしました場合には、国の徴收権に先んじて徴收することができるようになつたわけであります。それ以外の場合においては国の徴收権が優先するようになるわけであります。地方税がその点につきまして国税よりも若干……、従来常に後になつておりましたのが、同順位に置かれたというふうに言うことができると思います。府県税と市町村税が競合いたしました場合にも、府県税の方で差押をいたしました場合には、その府県税が優先いたしますし、市町村税が先に差押をいたしました場合には、その市町村税府県税に優先するわけであります。
  251. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 それが同時であつたらどうなんですか。
  252. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 同時ということはあり得ないという考え方をいたしております。
  253. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 それはあり得ると思いますが、どうでしようか。
  254. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 若しその場合にはどちらが先であつたかということが争いになることだろうと思います。その場合には、先の第八條でありますか、そういうことで一応地方財政委員会決定しても差支ないのじやないかというふうに考えます。
  255. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 今の先に押えたというのは、日数の、時間の問題ですか、同じ日で言うて時間の点で……。
  256. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 固より時間の問題であります。
  257. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 そうすると時間の問題であるといつたつて、ちつとでも早くやらんと損だということになつて、従つて差押の競争みたいになる虞れがあつて、極めてよくないと思いますが、これが第一点と、それから地方税標準税率であるとか、客体課税に対しまするいろいろな問題などが、非常に双方にあると思います。それが決まつた以上は、その差押処分をするのに早い者勝ちということになります。これはどうも民主的な国家の徴税対策としては極めて遺憾なことだと思いますが、これは何とか改革はできないものでしようか。今更変えられんものだと思いますが、これは一つの議論になると思いますが、如何ですか。
  258. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 現在の制度でありますと、差押処分をいたしました場合には重ねて差押の処分は固よりできないわけであります。そこで仮に国税が差押処分をいたしました場合に、地方税の滯納しておる税金がある場合には、地方団体は国に対しまして交付請求をするわけであります。そういたしますと、差押をいたしまして換価いたしますその中から国税の分を先に取つてしまいます。固より滯納処分に要する経費を先ず取つてしまいます。その残りの中から若し尚余りがありましたら地方団体にも金を渡すわけであります。更に又逆に地方団体が先に差押をいたします、そういう場合には、やはり国も更に差押をすることはできないわけであります。そこで国が地方団体国税の交付の請求をするわけであります。そういたしますと地方団体は換価いたしまして自分税金が取れない先に国の方の国税だけを納めなければならないのです。現在のところはこれは如何にも地方団体というものは国に圧迫されておるということになるわけで、あります。そこで制度上は、先に差押えたものが先ず所用の税金を收納することができるということにいたしたわけなのでありまして、惡く言えば早い者勝ちでありますけれども、併しこれを現行制度にいたしておきますと、地方団体税金徴收権といふものが殆んど国に圧迫されるということになりますし、半面又交付請求した場合にも同順位であるということにいたしますと、惡く言いますれば、国にばかり苦労をかけておつて、ただ地方団体は手を拱いておつて税金だけを取るようなことになるので、というのは国が差押をいたしますと、そうして国がそれを競売処分にしまして或程度の金を得るわけであります。そこで地方団体が交付請求したことにして、その場合にも同順位ということになりますと、得られました金を地方税国税に配分されるということになります。これは如何にも不当だと思います。そこで国税は国で責任を負い、地方税地方においてその責任を負つて行くということにしたわけでありまして、だからといつて早い者勝ちに納税義務者の実情を考えないで地方団体が遮二無二差押処分をするというようなことも考えられるのではないかというふうに我々は或る点予想しておるわけであります。
  259. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 それは政府御当局の場合も或いは逆の場合も非常に多かろうと思うわけですが、市町村などがあそこはまだ国税の滯納があるという噂を聞くと、国税の配付が来たと同時にこちらの方を先に仮差押をして行くということで、先に鰻を握つて置く。こういうことが地方において行われる虞れがあつて、差押を競争してやり得る虞れが非常に濃厚でありますが、どうでしようか、そういう観察のみで済まされないと思いますが、如何でしよう。
  260. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 現在国会におきましても、地方団体徴税能力が非常に薄弱だというふうなことがよく言われておるのでありまして、半面から言いますと、今お話通りになりますと、却つて地方団体徴税能力がしつかりするという賞讃も與えられないかと思うのでありまして、今余程市町村なり府県なりというものが決意いたしませんと、滯納処分というものはそう簡單にはできないというふうな状態にあるわけなのでありまして、もとより納税者の惡質であるかどうかということによつてはつきりした態度を以て動かなければならんだろうと思いますけれども、この制度のために、岩木さんが御心配になるようなことは万ないというふうに情勢の上から判断いたしております。
  261. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 国税の対象税と申しますが、国税としてはどういう税があるか知れませんが、国税としていわゆる配付しているのに、今度地方税で是非差押をしたいという場合には、国税の対象、いわゆる資産、物産等をも地方税がそれを対象として差押をしても構わんということになるわけですか。
  262. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 税金はすべてその人の持つている資産から得るものでありますから、差押に当りましてはその人の所有に属するものでありましたら何でも差支ないわけなのでありまして、国税のものと地方税のものという区別はございません。
  263. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 ちよつと私は不可解だと思いますが、まあ進行いたしましようか。
  264. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 この点は国税側の方は円満なる承認を得たのですか。
  265. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 国税の方にも国税税法がこれに併せて改正になつております。
  266. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それじや次に移ります。第十六條。
  267. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) これは納税者事情によりましては、納期の期日前でも繰上げて徴收する必要がありますが、そういう場合のことを規定した條文でございますので、従来と変りがない規定でございます。
  268. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 十六條の御質疑ございませんか。では十七條に移ります。
  269. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 十七條は、これは納税者又は特別徴收義務者の過納又は誤納にかかる徴收金額であります場合には、原則としてこれを返さなければならんわけでありますけれども、更に未納にかかる徴收金がありました場合には、便宜上この根拠によつて振替を地方団体ができるという規定でございます。
  270. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 過納の問題でありますが、これが更正決定を要求しており、或いは過納な心のに対して異議を申立てているというような、そういういろいろのまだ交渉中に属するようなもので、過納かどうか分らんというようなものでも、一応徴税というものは強行する建前を取りますかどうか。
  271. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 地方団体が正当だと考えて付した処分につきまして、納税義務者から或いは不服の申立てがあるかも知れません。併しながらその間におきましても行政上の手続は進行させるという制度になつているわけであります。
  272. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 十八條に移ります。
  273. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 十八條は還付又は充当いたします場合に、申告納税の制度におきまして納期を過ぎて納めました場合には一定の加算金をつけなければなりません。それに併せまして、この場合にも地方団体側から一定の加算金をこれにつけるということにいたしまして、納税義務者と地方団体とを同列にこの間において置くようにいたしたわけであります。
  274. 三木治朗

    ○三木治朗君 これは取過ぎたやつが地方団体が一日四銭の利息をつれて返すということなんですか。
  275. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) その通りであります。
  276. 三木治朗

    ○三木治朗君 税金が遅れた場合に掛けてくる、何と言いますか、滯納金と言うのですか、大分高いですね。額ははつきり分りませんが、向うが、税務署の方が誤つて余計取つたのは僅かな利息で、納税者の方で遅れた場合には非常に高い。もとより納税を促進させる場合ですが、これに対しては随分不満の声が多いようですけれども、その関係はどうなつておりますか。
  277. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 納税義務者が納めます場合の延滯金と今申しております場合の還付加算金とは、同じように日歩四銭ということにいたしております。今疑問を持つておられますのはそうではございませんで、申告すべきものをわざと申告しなかつた、或いは又虚偽の申告をしたという場合につけられますところの過少申告加算金でありましたり、或いは不申告加算金でありましたり、或いは重加算金でありましたりする問題であろうと思います。
  278. 三木治朗

    ○三木治朗君 分りました。
  279. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質問ございませんか、では次に移ります。十九條。
  280. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 十九條は税に関しまするところの書類をどこに送達するかということを規定した條文でございまして、これも従来と変りございません。
  281. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 二十條に移ります。
  282. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 二十條は納税義務者の住所等が分りませんときの、この公示送達の方法ですが、これも従来の規定と変りございません。
  283. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) では二十一條に移ります。
  284. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 従来道府県税市町村徴收する義務を持つてつたわけであります。無條件に市町村徴收しなければならないことになつてつたわけでありますけれども、今度の制度におきましては、道府県においては賦課から徴收の末端の手続に至るまで、全面的に道府県責任を負うべきである。町村税については、やはり市町村が全面的に責任を負うべきものだというふうに切換えたわけであります。併しながら例えば非常に辺鄙な市町村で参りまして、県の金庫を取扱う機関もなければ、府県のいろいろな事務所もないという場合には、むしろ納税義務者から言いまして市町村徴收のことをやつてつた方が便利な場合があるだろうと思うのであります。そういう場合には道府県市町村に賦課徴收に関する義務を委任することの必要がありますので、そういう意味で1号の規定を設けておるわけであります。又二号の規定市町村がむしろ道府県税も一緒に徴收した方が手数が余りかからない。その半面或る程度の手数料を府県から貰える。府県としてもその方が好ましいという場合もあるわけでありますから、市町村が進んで委任されることに同意をした場合には、道府県が委任することができるようにしたい。三号の場合はその外いろいろな事由から道府県が委任したいというふうに希望する場合もございますので、そういう場合には地方財政委員会が、その必要かどうかということを認定いたしまして、必要があればこれを許可する、その場合には委任ができるというふうに、制限的に道府県税の賦課徴收の場合を市町村に委任することができるということを規定したわけであります。
  285. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 そういたしますと、建前は道府県税は各市町村にその事務を委任してはならないという建前で、その事項は分りますが、そうすると道府県は賦課徴收に関する義務を市町村以外の組織体を拵えて、先程鈴木さんでありましたかの質問のような場合に、市町村以外に道府県は直属の徴税機関、賦課機関というものを拵えなければならんということになるのでありますかどうか。
  286. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 道府県法律の根拠なくして、その徴收金を他に委任することはできないというふうに考えております。
  287. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 そうしますと、国税には税務署が出る、市町村税には市町村の税務吏員が、従来の上に今度何人か増員する。そうすると道府県は新たに道府県徴税所みたいなものを各郡、各村、各町に拵えることになるのでありますかどうですか。
  288. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 現在の市町村道府県税徴收する義務を負つているわけでありますけれども、道府県側で市町村に委任していない税種も若干あるわけであります。そういうものにつきましては、地方の部分については地方事務所にその事務を取扱わせております。又市の区域なんかにおきましては、税務の出張所を設けている県もあるようでございます。
  289. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 これは地方事務所に取扱わしめると言つても、地方事務所は一つ又は幾つかの郡に單位ずけてあるわけでありまして、これが町村に跨がるいわゆる道府県税徴收する組織を整備するならば、非常な設備と人間と、費用が莫大に要ると思いますが、そういうことにならないのですか。
  290. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 現在も、国の税務署のことを考えましても一万有余の市町村に税務署を置いているわけじやございません。そういう意味では大体地方事務所の区域でやつて行けるのじやないかと考えているわけであります。もとより府県によりましては、若干地方事務所の区域を分割して徴税事務をとらせるという場合があるのでありますけれども、お話のようには直ぐになるものではないというふうに考えております。
  291. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 現在の国税……、財務局とか税務署というのは、多年の訓練と、或いはそういうすべての事情に精通されて、お説のような場合もありますが、これは新たにこうした税種を設定し、新しい客体課税のすべての調査をし、それに細密なる税率を検討してかけるというような場合に対する税務というものは、到底地方事務所だけでは、現在のままでは、少々の人間の増員では、できないことによる粗漏ということが、いい場合もあるが、又惡い場合の方が多い虞れがあると思うのですが、それに対して十分政府には自信がおありでありますか。
  292. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 現在でも入場税遊興飲食税市町村に任されませんで県が直接徴收しております。新しく加わりましたのは附加価値税でありますけれども、事業税につきましてはやはり全部賦課額決定府県がやつております。事業税の調査よりむしろ附加価値税の調査の方が簡單だという見方をやつておりまして、その線から見まして事務府県が全責任を負わなければなりませんので、府県責任が非常に重くかかつて参りますけれども特にそのために事務所を増設しなければならんというふうには我々は考えておりません。
  293. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは二十二條に移りましよう。
  294. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 二十二條は地方団体税金を納めるものが住所を変えました場合なんかにおきましては便宜その移転先の地方団体徴收を嘱託して貰つたりすることがあるわけであります。そういう場合の根拠をこの規定で設けているわけでありまして、従前と変りはございません。
  295. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質疑ございませんか。それでは第一章は終りまして……。
  296. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 ちよつと委員長、これから新しい題目ですね。
  297. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ええ、今度は入場税。附加価値税はあとに廻します。第二章道府県普通税の第二節入場税、第一款通則。
  298. 荻田保

    政府委員荻田保君) 七十五條は人場税の総則的な規定でございます。先ず入場税はこの第一種から第三の場所なり施設の入場又は利用者に対して課脱する。納税者は利用する、或いは入場する者。課税標準は入場料金又は入用料金。それから課税主体はその場所なり施設なりの所在の道府県であります。その二号におきまして、第一種の場所とはここにございますように、映画その他一般のものでございます。第三号に第二種の場所がございますが、これは博覧会、展覧会、遊園地等でございます。第四号に第三種の施設がございまするが、これは舞踏場とか、まあじやん場その他であります。それから第五項におきまして、課税標準といたします入場料金、又は利用料金の定義でございますが、これは何らの名義を以てするを問わず、必ずしも入場料、利用料という名義を以てするを間わず、その場所なり施設なりを利用入場する場合、対価又は負担として支拂う金品をすべて言うわけでございます。この内容は従来の税制とは変つておりまするが、すでにこの分につきましての一部の改正が本国会を通過しておりますので、それと同じになつております。
  299. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 これは当委員会ではまだ入場税のことについて一般質問もなければ、まだこういう段階に入つておらないと思うのですが、すぐこの條文にさしかかるについては、ちよつと今日私資料も持つて来てなかつたので……、私これにまで入るとは思わなかつたのですが……。これはゆつくりやつて貰わないと、進行々々と堀先生が督戰隊になつてやられんもちよつと困ります。(笑声)
  300. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 四時まで勉強して下さい。通り説明は聞いたのです。質問が残つておるので……だから逐條に今移つているのですから。でも皆さん御希望なら止めましよう。
  301. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 みんなそうです。私は與党だからみんなの代弁をしているのです。(笑声)
  302. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではこれで散会いたします。    午後三時二十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君    理事            岡田喜久治君    委員            三木 治朗君            黒川 武雄君            堀  末治君            柏木 庫治君            西郷吉之助君            鈴木 直人君   国務大臣    国 務 大 臣 本多 市郎君   政府委員    地方自治政務次    官       小野  哲君    地方自治庁次長 荻田  保君    総理府事務官    (地方自治庁財    政課長)    奧野 誠亮君