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1950-04-15 第7回国会 参議院 地方行政委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月十五日(土曜日)    午前十時四十八分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○質屋営業法案内閣送付)   —————————————
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。今日の審査をお願いいたしますのは、質屋営業法案予備審査でございます。提案理由説明はこの前の委員会で終りましたので、今日は逐條審議に移りたいと思います。それでは第一條から武藤政府委員にお願いいたします。
  3. 武藤文雄

    政府委員武藤文雄君) この第一條質屋営業というものの定義を定めたわけでございます。ここに書いてございます通り物品、その中には有価証券を含んでおりますが、これを質に取つて流質期限までにその物で担保されておる債権を受けないと、その場合においては、その物を以てその弁済に充てる約款を附けて金銭を貸付ける営業をいうということになつております。で我が国において長年の慣習といたしまして、かように質に物を取りまして、その物で流質期限までに金を返して来ないという場合には物を取つてしまうという独特の形が作られておるわけであります。そうしてこれによつて庶民金融目的を達しておこるというのが長年我が国で行われておるわけであります。そこでこの定義をここにそのまま採入れたのであります。ここには物品として有価証券を含むということにいたしておりますから、手形とか、小切手とか、そういつた種類のものも物品として質に取ることができるわけであります。尚ここには営業ということにいたしておりますので、従つて反復して営利目的でこれを業としてやるというみのに限るわけであります。御承知通り公益城屋というものが別に法律で定められておりますが、こういつたみのがこの法律では適用外になるわけであります。第二項は、質屋というものの定義を掲げまして、質屋営業を営むものが即ち質屋である。そうしてそれで許可を受けたものを質屋と称すというふうに第一條定義を掲げたわけでございます。
  4. 岡本愛祐

    委員会岡本愛祐君) 第一條について御質疑ございませんか。
  5. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 今政府委員が、質屋我が国独特のものであるとおつしやいましたけれども、私の知つているところでは、どこの国でも質屋はあり、例えばアメリカではポーン・ショップといつて三つ玉看板を掛けてあるし、支那には當という看板を掛けてありますし、大差はございません。
  6. 武藤文雄

    政府委員武藤文雄君) 私が申上げたのは、日本独特でなく、日本に昔からある制度と申上げたのであります。外国にない申上げたのでは決してないのであります。
  7. 岡田喜久治

    岡田喜久治君 公益質屋は、この当面の法案とは別個だということですが、公益質屋は何かお考があるのですか。これこそ本当庶民金融としてもう一段助成発展政策を採つて、例えば、その元金の特別の金融の途でも政府は開いて、これは非常に発展させしむる必要があるのじやないかと思うのです。一般質屋も結構ですが、別けてこの公益質屋などは社会的に及ぼす効果、公益も大変な大きなものですから、これに対しては取締法規という考ではなくて助成的政策を採るというような何か金融政策として考がありませんか。
  8. 武藤文雄

    政府委員武藤文雄君) 公益質屋につきましては、これは厚生省の所管でございますので、私から申上げるのも如何かと存じますが、私共の考、並びに厚生省の考を開いておりますと、お説の通り公益質屋というものはその性質として非常に庶民金融として重要な意義を持つておると思います。従つて厚生省といたしましても、この公益質屋を大いに発展さして行くという意図も持つておるようでございます。併し現状におきましては、公益質屋全国で二百十五あるような状況で、極めて少いと同時に営業としての質屋というものが非常に大きな役割をしておるというので、この法では、この営業としての質屋のみを規定しておるわけでありますが、公益質屋というものについても、これは大いに助長すべきものである。そうしてこれに対する態度といたしましては、適正にその公益質屋が運営されると同時に、又それぞれが大いに助長されて行くというお考私も全然同感で、然かあるべきところと存ずるのであります。
  9. 岡田喜久治

    岡田喜久治君 この質屋業の現況、趨勢等ですね。何か適当な資料はありませんか。なかつたならば簡潔にその概要をお聴かせ願いたい。最近の概要がどうであるとか、取扱はどうであるか、併せて又公益質屋がありましたらその比較もお話し願い、金融機関としての職能発揮に関する情勢の概略を御説明願いたい。
  10. 武藤文雄

    政府委員武藤文雄君) 質屋営業の方から先ず申上げますが、質屋の数といたしましては、昭和十年当時は全国で一万二千ばかりございました。それが段々十年、十五年になりますと一万一千台になつて参りました。戦争中十八九年あたりは一万軒以上に減りまして、殊に終戦当時の昭和二十年には七千七百、二十一年には六千三百というふうに著しく減つて参りました。ところが最近になりますとこれが非常に殖えて参りまして、昨年の十月一日の調査では、全国質屋は一万六千三百七存するというふうに、前よりも非常な激増振りを示しております。  ところで次はその営業者内容でありますが、法人営業いたしておりますのが、やはり昭和二十四年十月一日現在の調査でありますが、約七百ばかり法人のものがございます。その他は個人営業で、大部分のものは個人営業でございます。  それから分布状況を見ますと、勿論都会地に非常に多いわけでありまして、一万六千余りのうち約一万五千は自治体警察の管内に存する状況でございます。  利子状況は先般も申上げたと思いますが、非常にいろいろまちまちでございます。物によつて、殊に金額によつて非常な違いがございますが、低いところでは六分余り、高いところになりますれば一割二分というふうに相当開きがございますが、大体まあ一割前後というようなことになつているようでございます。流質期限につきましては地方によつて、或いはその時々、その営業者によつて違いがあるようでございますが、大体三ケ月くらいを流質期限としておるというものが過半数でございす。二ケ月というくらいにしておるものも多少ございますが、長いものは六ケ月以上にもしておるというものもあるようでございます。三ケ月としておるものが非常に多うございます。  それから保管設備の点でありますが、不燃性保管設備を有しておるというものが全体の一七%を占めております。不燃性ではありませんが、別棟として倉庫なんかを作つて保管設備を完備しておるものが一三%、残りの六九%は店舗なんかの中で、まあ保管設備に充てる特別の設備を持つてないものもあるという状況でございます。ここで申上げました不燃性というのは、石だとか、或いはコンクリートの倉庫だとか、土蔵だとか、非常に堅牢なもので、これをまあここで不燃性と申上げたわけであります。公益質屋の方は只今数字は申上げた通りであります。尚利子については法律制限がございます。それによつて運営されて行くという状況でありますが、これはたしか貸してくれる金額にも制限がございまして、大きな金融はいたさないようになつているものでございます。
  11. 堀末治

    堀末治君 岡田君が今質問いたしましたが、その一万六千三百七軒で金融にはどのくらいの金が用意されているか分りますか。
  12. 武藤文雄

    政府委員武藤文雄君) そこまでは分りません。
  13. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の融資金額というものは警察の権限においてそれは調査できるものでございましようか。
  14. 武藤文雄

    政府委員武藤文雄君) 困難だと思います。
  15. 堀末治

    堀末治君 庶民金融としては非常に大切なものでございますがね。本当を言うと大体金額ぐらいは分らせて置く方がいいように思いますが、如何ですかね。
  16. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 大蔵省関係調査はあるんでしよう。金融対策というものに関連して……。
  17. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) この前の委員会で、確かどなたからでしたか、大蔵省の方へ確めて見てくれという御意見が出たと思いますが、……。
  18. 堀末治

    堀末治君 大蔵省で調べるというと税金関係もありますから、なかなかそう業者もはつきりしたことは言わないかも知れませんが、警察の方でお調べになれば税金の方に関係がないわけですから、大体こういうものにどのくらいの要するに庶民金融ができておるということは、私達、非常に金詰りとか、いわゆるこういう階級の金の動きなんかに非常に大切だから、やはり調べて置く必要があると思いますがね。
  19. 武藤文雄

    政府委員武藤文雄君) 今のお話の点で、金詰り状況等を知る上において庶民金融としての役割がどの位か、これを知ることは非常に大事だと思います。大蔵省でもその点の調査はできていないようでございます。我々としても警察見地から、大体違反の状況とか質でも利子なんか不当に高くしていないかどうか、そういつた点を重点として調査しておりますので、金融内容方面までは余りタツチいたさないようにしておりますので、従つて我我としてそういう方面調査は持つておりません。
  20. 鈴木直人

    鈴木直人君 この質屋とか、古物営業とかいうようなものは、本質から見ると一つ営業であるんですが、これは市町村取扱う、いわゆる許可をしたり……許可という特許ですがね、という性質許可だと思いますけれども、そういうものを取扱うことが本当であつて、そうして公安委員会警察的見地から許可をするという本質的のものがないように考えられるのですが、従つてこれを取扱うものは市町村がやりまして、そうして……。
  21. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 逐條審議をやつておりますから、あなたの言う第二條にはまだ行かないのですよ。
  22. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは第一條別に御質疑はございませんか。第二條に進みます。第二條、第三條、第四條、第五條、第六條、そこまで御説明願います。古物営業と同じものはよろしうございますから。
  23. 武藤文雄

    政府委員武藤文雄君) 第二條は、質屋営業許可点を定めたわけでございますが、次に質屋というものを許可を受けなければ営業ができない、それは営業所毎に定める、古物営業法の場合と同様であります。その所在地を管轄する公安委員会許可を受けなければならないということになつております。この場合に、公安委員会許可にいたしたということは、営業一般についてはできるだけそれぞれの官庁に委ねて、警察といたしてはできるだけ営業許可といつた問題には触れないようにしたいというのが、新しい警察制度の根本の考えになつております。御承知通り、従来は非常に広範囲にいろいろなものについて警察が関與いたしておりました。例えば衞生だとか或いは建築だとか、いろいろな方面で関與いたしておりましたが、できるだけそういつたものは警察職務から除いて、純然たる警察職務限つて行つた方が適当ではなかろうかというので、結局残りました問題が、風俗営業に関するもの、それから危險物の銃砲火薬所持に関するもの、それから古物商、それにこの質屋関係でございます。これだけのものをどうして警察に残したかと申しますれば、銃砲所持といつたことは、これは直接治安関係がある、そういう意味において警察に残すことが適当である。又風俗営業に関しましても、これがいろいろ風俗犯等に直接関係して、犯罪の温床となる危險が多分にある、こういつた意味から、やはり警察としてこれに関心を持たなければならないという意味警察に残されたわけであります。古物商質屋につきましても、営業としてはできるならば警察から外ずすことが適当であるという所論も立つのでありますが、現在の犯罪において窃盗、強盗というものが非常に圧倒的に多い。而してその贓品が質屋なり或いは古物商に流れて行くということが非常に多いのでありまして、そういつた現情から、臓品の発見、盗犯の防止といつた見地から古物商質屋については、警察として重大な関係を持たざるを得ない。かような意味において、これらのものについて警察において扱うのが適当であるということが言われまして、外の国の例なんかも参酌いたしまして、やはり警察でこういうものは扱つておる模様であります。我々といたしましても警察においてこの許可に当るのが適当であろうと考えましてかようにいたしたわけであります。ただ従来は警察自体に、警察署長許可というようなことになつておりましたが、今回は新しい警察制度が設けられて公安委員会許可ということにいたしました。この点は古物商の場合と同様でございます。ここに総理府令手続、これは許可申請にどういう書類を出すか、そういう手続をこの総理府令で定めるわけであります。それから第二項の管理者の問題でありますが、これは古物商の場合と同様で、質屋自分でそこを管理したいという場合にそこの責任者として管理者を定めて置かなければならん。この場合古物商の場合と同様であります。  第三條は許可標準であります。許可標準を定めたわけであります。この点につきましては、他の風俗営業取締法なり、或いは古物営業法なんかによると同じような建前を採つたわけでありますが、従来は、言わば警察における認定によつて許可、不許可を決定しておつた。併しできるだけ憲法の精神にも則りまして、その基準を明確に法律で示して置くということにいたしたわけでありまして、ここに列挙してあります通り、この列挙事項に該当する場合以外は許可をする。この場合も、許可しないというふうに官庁の一方的な判断によつて許可、不許可を決定するというようなことを飽くまでなさない。この場合の基準従つて許可、不許可を決めるということにいたしたい。他の法律におけると同様であります。内容も大体字句において若干修正したものもございますが、内容においては他の法律におけると同様でございます。尚特に御注意願いたいのはこの第三條の第二項でありますが、「公安委員会は、許可をしないことを決定しようとするときは、当該申請者意見を聽き、且つ、申請者許可を受けるためにする証拠の提出を許さなければならない。」ということを今回は特に入れたわけであります。公安委員会が違法に許可をしないというような場合には、これは訴訟で争えることも途が開けておることは御承知通りでありますが、更に許可をしない場合においては、もう一回申請者からの意見を徴し、或いは書面を出させるというような機会を與える。不許可とするという場合についても十分愼重を期したいという意味で、特に今回はこの第二項の規定ができたわけでございます。第三項は、許可しない場合には通知してやるということを決めたのであります。  第四條は営業内容変更ということであります。例えばここに書いてあります通り営業所が移転する、或いは管理者を変える、こういつた場合には、そうした、内容として大きな変更になつて最初許可内容と大きな開きを来たすことになりますので、従つてこういう場合においては許可を受けなければなれない。これも質屋営業法におけると同様の扱いでございます。  第二項では、廃業、或いは長期休業の場合、第三項は質屋の死亡の場合で、これは届出にいたしております。  第五條、第六條でありますが、第五條はいわゆるもぐり営業許可を受けないで質屋をしてはいけない。これは、何といつてもぐり業者というものが弊害の元になつております。従つてかようなものは絶対に認めないという方針でこの禁止規定を置きました。罰則においてもこの関係を一番重く扱つており、もぐり業者の撲滅を期したいという所存でございます。第六條はその裏合せ條文になつておりまして、名義貸の禁止であります。自分名前でやつておるけれども、実際は他人に自分名前だけ貸して営業をやつておるということが、これはもぐり脱法手段として行われることが多いのであります。かようなことを許すことになれば、結局無許可営業を氾濫させると実質的に同じことになることが考えられるのであります。丁度第五條裏合せになつておりまして、名義貸ということもこれを禁止いたしたのであります。
  24. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 一條乃至六條まで、御質問願います。
  25. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 第五條についてですが、普通一般の人の間で、友人同士の間で金を借りて、品物を借りるための質物の形で置いて金の貸借をやつておると思いますが、例えば私の方が一万円貸してくれ、そのかたに時計を預けて置くからというようなことをやつておるのは、この條文に触れるわけですね。
  26. 武藤文雄

    政府委員武藤文雄君) これは最初営業という言葉で御説明申上げました通り、反復して営利目的を以て業とするというものがここに言う質屋営業でございます。従つてたまたま友人間で時計を持つて行つて、これをかたに金を貸してくれというようなことは、反復営業として行われるものではありません。従つてこの場合とは全然違つて問題にならない、かように考えております。
  27. 鈴木直人

    鈴木直人君 先程ちよつと私申上げようとしたのですが、只今説明によつて、これが公安委員会許可、そういう取扱をした理由をお聽きしたわけですが、そうしますと、この質屋営業法は、質屋という一種の金融業者の、金融営業者営業の免許をするという経済的な立場からでなくして、主としてこの性質に鑑みて、これは警察取締の対象となるべき性質を非常に含んでおるために、そういう観点から公安委員会において許可するようになり、又法律もそういう観点からいろいろ検討を加えて、許可基準等も列挙されておるように見受けられるわけでありますが、この際に一つ聽きして置きたいのは、これを許可する場合に、第三條に規定してある各條項が具備しておるならば、必ずこれは大体の場合に許可をしなければならない、こういうことになるだろうと思うのです。ところが従来警察許可しておるものにおいては、いわゆる営業が、経営が成立つかどうかという観点を、例えば床屋ならば床屋が非常に多過ぎるからして困る、従つてこの程度の数を置くならば経営ができて行くからして、数において制限をして行く。或いは質屋におきましても、警察的な見地からでなく、東京の各区ならば、ここの区には一つある、二つある、これを五つにするというと、お互い共倒れになつてしまうから許可をしない。こういうようにその経営が成立つか成立たないかというような観点から数を制限したり、距離を制限したりして、警察許可一つ標準の重要なる一項目に加えて置かれていたと思う。例えば風呂屋などもそういう傾向がある。單に警察的見地からのみ検討するのでなくして、風呂屋が多過ぎるというと共倒れしていけないから、一つか二つにしようというような観点から許可をしていたように思う。この質屋は、第三條にはそういうことは書いてないのであつて本当にこういう……何と言いますか、警察的見地からのみ見てそうしておるならば、どんどん許可して行く。従つて許可されたものが非常に多くなつてお互い共倒れになるかも知れないが、併しながらそれは許可責任で併しながらそれは許可責任ではない。許可をされた人はお互いに競争をすることはよかろう。そうして沢山許可をされた場合には、中には非常に繁栄して大きくなるものもあるし、潰れるものもあるだろう。併しながらそれは許可内容ではないのであつて、これはお互いの努力によるものである。こういう観点からいわゆる許可方針というものを置くのであるか。又従来のように、例えばこの程度ならば質屋がやつて行ける。これより以上殖やして行くとやつて行けなくなるから許可はできない。こういうようなところまで検討するものであるか。その許可性質許可方針との関係を一応承つて置きたいと思います。
  28. 武藤文雄

    政府委員武藤文雄君) お説の通り、従来風呂屋だとか或いは床屋許可する場合において、そこの分布状況地理的環境等を考慮して数を制限するというようなことが行われております。併し現在は飽くまでも個人営業の自由という建前を尊重いたすことになつておりまして、我々といたしましても、その趣旨によつて飽くまでも個人職業というものを自由にいたしたい。併し本当に許し得ないようなもの、その場合のみ最小限度において制限をいたしたいという考え方でございます。従つてここに列挙いたしておりますのは、そういつた本当に不適当な最小限度のものを列挙いたして、その場合はこれを許可しないけれども、その他の場合においては飽くまでも個人職業の自由という点を尊重いたしまして、さような場合においては、たとえ資産状況がどうであるとか、将来の営業成立ち工合がどうであるとかいつた点については考慮を拂わない。それは飽くまでも個人職業の自由として尊重し、本当公安上許すべからざる最小限度のものについてのみこれを抑えるという方針で臨みたいと思います。
  29. 鈴木直人

    鈴木直人君 私は今の政府の答弁なり方針なりに賛意を表するものなんですが、従来は往々にしてその経営内容にまで立ち入つて、そうして警察が或る自分許可したところの営業が成立つて行くために他の営業せんとするものを抑えて行くというような許可方針があつたわけであります。勿論これは銀行業とかいろいろなものの観点からして、堅実な金融を助長しなければならんというような観点から考えれば、そういうことがあり得ることだろうと思うのです。少くとも公安委員会許可することにおいて、国民が第三條の基準その他の法令に基くところの基準に副うものであるならば、自由にそれは許可すべきものである。そうして併しながらその許可はその営業者許可された者を擁護する、経営が成立つために擁護するという性質のものではないのであつて、どこまでも治安を維持するという観点からのみ許可するものであつて許可された多数の営業者の中に、自分責任において経営が成立つて行かないということになつても、これは公安委員会責任ではない。こういうような考え方からしてその許可された業者お互いに勉強して、そうして社会のために奉仕するようにして貰うということが必要であろうということを考えておりまするので、一応この許可という性質とその許可なつたところの営業基本観念、又許可方針というものをお聽して見たわけなんです。  次に第二條総理府令というのがあるわけでありますが、大体公安委員会許可でありまするから、原則としては法律の中に許可基準なりその他のものが加えられて、そうしてそれに足らざるものは條例等において手続などが決まるということが普通のように思われるのでありまするが、何かこういう手続は單個の條例に任せることはできないのであつて全国的に画一的な方針か何かを示すために、この総理府令というもので手続を取るようになつておるのか、なぜ條例に讓らなかつたのか、こういう点を一応お聽きしておきたいと思います。
  30. 武藤文雄

    政府委員武藤文雄君) 第二條総理府令以下若干の條文命令を定める云々というようなことが入つておりますが、ここで申します命令に委ねた事項本当に事務的な手続事項でございます。例えて申しますれば、書類は何通出さなければいけないか、どういう様式によらなければいけないか、どこに出さなければいけないかといつた本当の事務的な手続の点だけをこの命令讓つたわけでございます。内容的に実質的な点はすべて法律に委ねたのであります。例えば先程の許可基準といつたものも、従来ならば命令に讓つておるのが立法例のようでございますが、命令讓つた内容というのは本当にそういつた事務上の手続というものだけに限つたのであります。そこでそういつた手続條例に讓るのが適当ではないかというお説でございまして、これは一理あると我々も考えるのでありますが、併しかような手続書類を何通出すか、どういう様式によるかというようなことは、この法律施行といたしまして、やはり一定の基準でできるだけ一律にした方がこの営業者自体も便利であろうと思います。それぞれの地域によつて取扱がまちまちになつておるというようなことは非常に不便が多い。而も内容的にこの法律施行のためのいわば手続的な点を決めたという性格でありますので、條例に委ねるよりも、この法の施行細則と申しますか、そういつた意味総理府令に委ねた方が却つて便利である、業者のためにも便利であると考えましたので、かようにいたしたわけであります。
  31. 鈴木直人

    鈴木直人君 この質屋営業許可性質は、元来は国家事務であるけれども、法律によつて市町村に委任をしたという考え方で作られておるのか。或いはこれは市町村の固有の事務であつて許可についての法律を作る。そうしてその他のものは市町村の自治的な條例によつて決まつたものによつて公安委員会が仕事をして行く。こういうような考え方の下にこれが作られておるかという点でありますが、公安委員会許可をするというようなものは、大体においてこれは自治体警察においては、自治体が條例で以てそれの基準を作るような考え方になつておるわけであります。勿論国家警察の区域内においては、公安委員会は府県の公安委員会許可するようになると思いますが、その際には必ずしも府県條例による必要はないと思いまするから、この総理府令自治体警察の区域内におけるところの法律施行についても、総理府令に従わなければならぬというようなことになると思うのでありますが、そこの点について自治体の国有事務としてという観念が非常に強ければ條例でやるのが本当だと思います。只今説明によると便宜的に全国的に一定の手続を決めておいた方がよろしいという便宜上主義から総理府令によつて手続を決めるようになつておるのでありますが、この国家事務と自治体事務との根本的な考え方において、少しごつちやになつているような感じもあるのですが、その点をお聽きしておきたいと思います。
  32. 武藤文雄

    政府委員武藤文雄君) この点は御意見もあることと存じますが、私共といたしましては警察というものは、国家警察自治体警察とに分れて、それぞれ警察事務をやつておりますが、国の法律の執行というものに当つておるのが自治体警察というものの大部分であります。従つて自治体警察でありますが、その執行の内容は、国の法律の執行ということになつております。そこでこの場合における質屋営業法の国の法律を自治警察がこれを執行するということになりますので、執行機関としては自治体に属するところの公安委員会ではありますが、その内容というものは、国の法律の執行であります。而してこの命令というもので盛られている内容というものは、いわば手続的な点である。さようなものについては全国画一で決めて適当なものであります。又その方が業者にとつても便宜であるという意味から全国一律に決める、総理府令の形で決めた方が適当である。かように考えて総理府令でこの手続の点を定めたわけでございます。
  33. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 先程御答弁を願いました第五條の無許可営業禁止の問題でありますが、先程の政府委員の御答弁によつて一応は筋は立つておるのでありますが、実際上においては私が申上げたような、この法律規定されている営業者とそうでない者との間の分別が困難のような場合が、現実的には非常に生じて来るのではないかと思われるのです。先程挙げた例は別として、例えば一般民間においては、多少小金でも作つたような人間が、それをやはり利息を取つて小さな金融をやつていることが非常に多いと思うのです。又理財の遂にたけて、多少小財産を作つておるというような人は、到る所に非常に多いと思われます。そういう人が勿論金を貸し借りするときには、債権債務の関係で借用証文でも取つて貸すんですが、同時にそのときにやはり質物を取つて質権を設定するというような形でやる場合が非常に多いと思うのですがね。それもあなたがさつきおつしやる言葉からは、当然これはもぐり業者であるというふうなことになつて来るかと思うのですが、そういう分別の線をどこに引いて、又実際上そういうものとの差別をどこで付けて行くかということについての、極めて実際的な考えを一つつて頂きたいと思います。
  34. 武藤文雄

    政府委員武藤文雄君) 御質問の点は、事実認定の問題としては非常にむずかしい場合があると思いますが、個々の具体的場合に処してこれを認定する外ないと思います。併し只今のお話しになりました通り、非常に不特定な多数の人に反復して、而もそれによつて利鞘を稼いでおるということを、儲けておるということを繰返しやつておるのは、これは明らかに営業になります。従つて許可営業として禁止されるべきものとなると思います。要は反復しているかどうか、営利目的でやつておるかどうか、業としてやつておるかどうかということの、実実認定の問題でありまして、その個々の場合について判断をする外ないと思いますが、いわゆる脱法的に反復して、而もそれによつて儲けておるというような場合においても、もぐり業者としてこの條文に該当する場合があると思います。
  35. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 第三條の第三項なんですが、営業許可をしない場合において、というその所なんですが、この三項の場合には、さつきも御説明に、訴訟手続を取ることができるというような御説明があつたと思うのですが、そうすれば二十九條のその條文は「公安委員会又は警察署長の処分を受けた者」は訴訟ができると書いてあるのですが、この三項の場合でも、そういうことであるならば、三項の次に、許可をしない書面を貰つた者は二十九條の行政訴訟の提起ができるというふうな條文があつた方が親切なんじやないでしようか。
  36. 武藤文雄

    政府委員武藤文雄君) この第二十九條を置きましたのは、実は親切から置いたので、実はこれがなくても当然違法の処分に対しては訴訟が起せるわけでありますが、この第二十九條の処分というのは一切の処分が入つております。従つて許可処分も当然処分になりますので、それが違法であるということになれば、当然訴訟ができるということになります。
  37. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今のでよく分りましたが、その次は第四條のところに標題が「営業内容変更」ということが書いてありますが、これは簡單なことではありますけれども、この第四條の内容を見ますと、内容というよりもむしろ営業状態の変更という方がベターなんではないか。内容というより状態が変更された場合でないですか。
  38. 武藤文雄

    政府委員武藤文雄君) 用語の問題だと思いますが、最初営業許可を出すときに、どこどこに営業所を置く、或いは管理者は誰々であるというようなことを定めて出すわけでありまして、それはその許可内容としては非常に重要な点であります。例えば、管理者が適当でないような場合とかいうことは許可はされないということになつておりますし、又営業所というものが非常に重要な許可のときの要素になつておるわけでありまして、従つてそれを変更するというのであるので、前に出した許可申請許可を受けたときの内容変更されたという意味でありまして、その意味でここに内容ということが出たわけであります。
  39. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは営業内容に関するのでしようが、金利の制限とかそんなことはどこかの規定で書いてありましようか。ちよつと見えないようだが、これがどこにも規定されないとすれば、そういうやつはどういう方針で扱つて行くものか、その許可の際にそれを個別的に扱つて行くものか、或いは又條例その他で以て考えさせるつもりか、先ずそれを……。
  40. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 岡田君に申上げますが、第十七條で御質問願いたいと思います。
  41. 堀末治

    堀末治君 簡單なんでございますが、ちよつとお尋ねしますが、第二條に「総理府令(以下「命令」という。)」とありますが、命令という言葉は他の法律にもございましようか。大抵政令政令というようなことになつておると思うのですが、ここに特に命令とあるのはどういうものでしようか。
  42. 武藤文雄

    政府委員武藤文雄君) 他にもこの立法では沢山ございます。いわば昔の勅令に当るものが政令ということになります。手続的な、先程申上げた書類何通をどこに出すというようなことは、いわゆる施行細則的なものとして命令で定めるということで、他にも沢山この立法では出ております。
  43. 岡田喜久治

    岡田喜久治君 今伺つた問題の十七條というのは掲示の問題らしいですね。つまりそういうことを許可の條件として扱うものかどうかを聽きたいのです。それを、これは利息制限法というものがあるわけでしようが、それだけに任しておくものか。私の希望では利息を無闇に低くせよというのでなく、利息はむしろ経済情勢の如何によつて質屋のような特殊なものは余り安い利息という、ただ制限的な意味を持たせることは考えもんだと思いますから、むしろ私は利息については経済情勢に増せるという気持で、余り嚴密な條件にすべきもんじやない方が政策としていいんじやないかという、希望として訊くんです。第一、これが條件になつておるかどうかです。
  44. 武藤文雄

    政府委員武藤文雄君) 私共もお説の通りの考えでございます。従つて利率についていろいろ制限するという考ではございません。お説の通りの考であります。
  45. 岡田喜久治

    岡田喜久治君 全然これは條件にはいたしませんね。全く任意に増しておく格好ですか。利息制限法その他は止むを得ない最高の制限でしようが、そこをはつきり……。
  46. 武藤文雄

    政府委員武藤文雄君) お説の通り法律で別に高利取締というものがございまして、その法律の適用はございましようが、これに対しましてはさような制限はいたしません。第十七條において利率というものを本人が定めて本人が示すということだけいたします。法律上規制するということはいたしません。
  47. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質問はございませんか。……それじや第三條第一項の第二号、これに、故物営業のときに二度以上罰金の刑に処せられ改悛の情を認められない者というふうになつておるのですが、これはもう二度以上という條件はなくて「法令の規定に違反して罰金の刑に処せられその情状が質屋として不適当な者」と、こういうふうに違つておるのですが、その理由と、「罰金の刑に処せられその情状が質屋として不適当な者」というのは、具体的の例としてどういうものを予定しておられるか、それを御説明を承つておきたいと思います。
  48. 武藤文雄

    政府委員武藤文雄君) 前回の故物商の場合と字句が変つておりますが、前回の字句がややぎごちないので、かように「情状が質屋として不適当な者」といたしたわけでありますが、ここでいう情状が質屋として不適当だというのは、例えば罰金の刑の処せられたが、交通違反で罰金の刑に処せられたということは何も質屋として情状の不適当な者でない。そういうものを不許可にする積りではない。ここでいうのは質屋として不適当な犯罪で罰金に処せられた、例えば盜犯、窃盜、強盜をやつたとか、詐欺、横領、恐喝、贓物に関する犯罪、或いはそういう種類の質屋として好ましくないところの、適当でないところの犯罪を犯して罰金を受けたということです。
  49. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 二度以上ということは今度は止めたんですね。
  50. 武藤文雄

    政府委員武藤文雄君) 止めました。
  51. 鈴木直人

    鈴木直人君 もう一点お伺いしたいのですがねこの許可をする場合において、全然当該市町村と、その自治団体ですね、それと関連は全然なくして、その後においてもその方面に報告するとか、通報するということではなしに、完全にこの公安委員会のみにおいて、その質屋営業の所行をやつて行くという建前になつておりますか。
  52. 武藤文雄

    政府委員武藤文雄君) この法の趣旨が盜難防止というような点が主として現われたものであつて従つてその点で公安委員会許可をするという方針であります。法令上、自治体というものに直接繋がるものではありません。我々といたしましては、公安委員会がこの運営に当るものと考えております。勿論公安委員はその土地の出身の人でありまして、又民間の空気を警察に反映するためにして頂いておるものであります。従つて公安委員におきましてはその土地の状況も十分に知つていることと思います。法の建前といたしましては公安委員会においてやらすことにいたしまして、些細な点は触れなかつた次第であります。
  53. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは次に第七條から第十三條まで。
  54. 武藤文雄

    政府委員武藤文雄君) 第七條は保管設備関係でございます。で先程も質屋の現状について御説明を申上げたように、質屋において保管設備を完全にする、そうして火災、盜難の予防をし、以て質置主の利益を擁護するということは、これは質屋営業者としては当然負うべき責任であるわけであります。従つて保管設備に万全を期して、そうして適正な営業ができるということは、国民のためにも是非必要であるということを考えました。ただ保管設備につきましては、町中と地方とにおいておのずから度合があると思います。例えば、非常に密集した都会地においてはその保管設備も十分強固なものにする、安全にするということが必要でありますが、農村においては鉄筋コンクリートまでをこれに要求するということは酷であろうと思うのであります。そこでその土地の実情に応じまして、保管設備につきましては、その基準をそれぞれの公安委員会で定めることに委ねたわけであります。一律に法律でこの基準を定めるということは適当でない。その土地々々の事情に応じて決めた方がよろしいというので、この点につきましては地方基準を委せる。かような規定にいたしたわけであります。従来は内規で警察が定めて、保管設備基準なんかを決めておつた状況でありますが、併し内規で決めておくということは好ましくない。そこで予めこの基準を定めて、それを周知しておくという方途を講じ、そうして業者が十分その状況を知つておくようにしたいというところで、今度は予めこれを告示することにいたしたわけであります。  第八條は許可証であります。許可を受けた者には許可証を交付しなければならない。これは許可証については三年毎に更新をする。それからその書換とか、再交付なんかという手続については命令でする。盜み取られた場合は公安委員会に届けなければならない。かような点はいずれも古物営業法法律の場合と同様であります。  第九條は許可証の返納であります。例えば、有効期間が満了したとか、廃業したとか、そういつた場合においては許可証を返納する。死亡した場合はどうするか、法人が合併以外の事由によつて解散した、或いは合併で消滅した場合はどうするとかいう許可証の返納の手続を決めたのであります。これも古物営業法法律と同様の規定であります。  第十條は許可の表示であります。許可を受けました者は、営業所の見易い所に、その許可を受けたことを証する表示、礼かなんかを掲示しておくということにいたしたい。正規の許可を受けた営業所であるということをはつきりさせる。又利用者も安心してこれを利用できるというふうにするために、表示の方法を定めたわけでありまして、この点につきましても古物営業法法律の場合と同様でございます。  第十一條は手数料でございます。許可の場合において許可証の手数料を取るのでございます。他の立法例においても同様の規定がございまして、それと同等な金額について手数料を取るということにいたしました。ここに千円以下という限度がございますが、今の立法においても大体その程度になつております。それと同等の手数料を取るということにいたしたわけであります。  第十二條は、営業制限の問題として、「質屋は、その営業所又は質置主の住所若しくは居所以外の場所において物品を質に取つてはならない。」つまり営業所で取るか、或いは質置主の住所、居所で質物を取る。いわゆる街頭で物を取るというようなことは、臓品の転々とするというようなことの危險が非常に多いというところから、かような制限を設けたのでありまして、古物営業法においてもこれより嚴重な制限があつたのでありますが、この質屋法におきましては営業所でか、或いは質置主の住所、居所というもので物品を扱う、街頭なんかで扱うということは好ましくないのぶ、これを禁止いたしたわけであります。  第十三條は確認及び申告であります。質屋物品を質に取ろうとするときは、質置主の住所、氏名、職業、年齢を確認しなければならない。で万一それに不正のものがあつた場合においては、警察に申告をしなければならないということにいたしたわけであります。で確か現行法におきましては、質屋はその質物を持つて来た人が、その処分権があるかどうかということまで確めなければならないということになつておるようであります。併しそこまで質屋に義務を課することも酷に過ぎる。そこでここで掲げましたのは、とにかく質に持つて来た人の住所、氏名、職業というものを確認する。例えば米穀通帳を持つて来るとか、或いは汽車の定期券を持つて来るとか、身分証明書を示す。そうすれば一応その人が間違いないということが確認できればよろしいという程度の義務を課しておるわけでありまして、これも古物営業法におけると同様な規定となつております。でその場合において不正の疑いがあるという場合においては、警察に届け出ねばならんということにいたしたわけであります。
  55. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質疑をお願いします。
  56. 三木治朗

    ○三木治朗君 最前から、地方自治体との関連は殆んどないことになつているのですが、この十一條の三項では、市町村又は都が手数料ですか、徴收することができることになつていますが、全然その地方自治体と無関係というのはどうも腑に落ちないと思うのですが、やはり公安委員会は一応の市なり、町村なりに届出をするとか、何かしなければ、この手数料を取るということも生れて来ないのじやないかと思うのですが、そこはどういう関係になりますか。
  57. 武藤文雄

    政府委員武藤文雄君) 警察につきましては、警察事務の費用を負担しているところは、国家警察については国家であります。自治体につきましてはそれぞれの自治体でございます。従つそういう警察事務をするための財政上の負担をしているのがかようなところであります。そこで自治体警察公安委員会がかような運営をしたという場合においては、それに要した費用を手数料で取れるということになりますれば、その事務に要した費用を負担しているところのそれぞれの国家或いは自治体がその費用を、手数料を徴收するというのでございます。
  58. 三木治朗

    ○三木治朗君 本問題はどうも少し地方自治体の、何と言いますか、権限を少しも認めていないというところに少し疑問があるのではないかと思いますが、それはそのくらいにしまして、第十三條でございますが、この処分権限を持つているかどうかということが一番大事な問題になるのですが、この質屋には親質というものがあるのです。大体資金に限度があるので沢山入つて来ると、これを又親質の所へ持つて行つて金を借りて来るということがあるように聞いているのですが、そういう場合にやはり質屋営業権を持つていなければそれはとれないわけになると思うのですが、時には営業権のない金貸のような所へ持つて行く場合もあり得ると思うのですが、処分権のないものから……質屋は処分権がないわけですが、親質制度というものはお認めになつているのですか、どうですか。
  59. 武藤文雄

    政府委員武藤文雄君) 認めております。そこでここで質屋にその義務を課しております点は、要するに不正な品を持て来たのではないか、盗品を持つて来たのではないかということがあるわけで、その者がやはりれつきとした人であるということが確認できればよろしいというだけの義務を課したわけでございます。
  60. 鈴木直人

    鈴木直人君 今の親質制度ですか、いわゆる質屋が質にとつたものを更に質屋がその上の金を貸す者に質を入れるということであるとすれば、この第五條関係においてはその親質というのはどういう関係になりますか、第五條に該当はしないのですか。
  61. 間狩信義

    政府委員(間狩信義君) つまり転質の問題でございますが、民法におきましても転質は一応認めておるわけです。但しその質屋の質は流質期限が附いております。弁済がなければその質物を代金に充てると約款がつけてありますので、従つて転質をいたしましてもそういう約款は附けることはできないと思うのです。そういう約款をつけないで、そうして……だから普通の民法によるような形式の質権を設定いたしまして転質をすることはできると思います。
  62. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 第十一條なんですが、第十一條のところに手数料の徴收の規定がありますが、この第一項二項によつて国庫に納める手数料、第三項は市町村と、こうなのですが、その場合に一応国庫に納め、更に第三項の手数料を取られる場合があるのか。二重になる場合があるのか。それはどつちか一方で取れば他方は取らないのか。第二項の手数料を徴收した場合は第三項の手数料を取らないという規定がないので、その点をお伺いしたい。
  63. 武藤文雄

    政府委員武藤文雄君) 第十一條許可証の交付を受け、又再交付を受け云々と書いてありまして、その受けるときに手数料を納めるわけであります。従つて国家警察、都道府県公安委員会関係でありますれば、市町村公安委員会から受ければ、その自治体の警察関係で自治体に納めるというわけで、敢えて重視して取つてはいけないという規定を置かないでも、その交付をする公安委員会の所で納めるということになつておりますので、当然二重にはならないわけであります。
  64. 鈴木直人

    鈴木直人君 十一條の高三項による場合には、当然手数料を取る條例というやつが必要で、当該市町村等において作らなければならない。それによつて千円を超えない額で以て、その範囲内の適当なものを規定するということだと思うのですが、その際にこの質に関するところのいろいろな手続に関しては、絶対にそういう條例は作つてはいけない。その点については全部法律の中に総理府令というものがあるんだから、その方面でやつて行く、従つて町村が、或いは都が條例を作る場合には、この十一條の三項の手数料條例の範囲内に限るのだということになりますか。
  65. 武藤文雄

    政府委員武藤文雄君) 当然お説の通り條例で、どういう場合にはどれだけの手数料、例えばここには千円以下となつておりますから、交付の場合は幾ら、再交付の場合は幾らというふうに段階をつけて決める、或いは画一的に決めるということは、そういうことは條例で定めて行くわけであります。この法律で相当細かいところまで法律内容が盛られております。御覧の通りに非常に詳細な規定になつている。本当命令に譲られた点は、その手続書類、どこに出すという点だけで、実際問題としてこれ以上に條例規定すべき事項はないと思います。  次に移ります。第十四條は帳簿の点でございます。営業のために帳簿を備えておきます。例えばここに書いておりますように、いつ質に受けたか、その品目、数量はどうか、質を置いて行つた人は誰かという点を帳簿に明確にして置いて貰う。そうでないと、後に臓品の捜査のために協力を求めるといつた場合に齟齬を来たすということになりますと、この帳簿を備えて貰つてその記載を適正にして貰う、これは非常に大事なことと存じますので、かような規定にいたしたわけでございます。古物営業法の場合においても同様の規定がございます。  第十五條はこの帳簿の廃棄、その場合においては警察署長の承認を受けなければならない。滅失き損等の場合には届出をしなければならない。これも他の法律におけると同様の規定でございます。  第十六條は質受証の問題でございます。質屋が質にとりましたときに、質札或いは通帳によつてこれを質置主に渡すことになつております。で、質にとつたということを明かにするためにかような質札或いは通帳を必ず質置主に渡さなければならないということにいたしました。その法律関係を明かにして置くことは、後でいろいろ誤解なり間違いが起らないようにするというたために、かような質受証を必ず渡す。でその様式などは命令で定めることにいたしました。  第十七條は掲示の問題でございます。質屋営業所の見易い所に利率或いは利息、計算の方法、流質期限、或いは営業時間、そういつたようなことについて必ず見易い場所に掲示して置く。これは利用者がはつきりとその質屋の條件が分るようにするということが便利であり且つ必要でありますので、必ずこれは明かにして置くという意味においてこれを励行させる所存でございます。尚重要な点は、第二項におきまして流質期限は三ケ月未満の期間で定めてはならない、少くとも三ケ月でなければならないということにいたしたのでございます。これは公益質屋法においては四ケ月ということになつておりますが、この場合は営業でありますので、又先程も御説明申上げましたが、大体営業の過半というものは三ケ月で行われているのが従来の慣行であります。従つてその慣行を受けまして三ケ月というものをここに掲げたわけであります。そこでその次の第三項、第四項の点でこの質屋が掲示したというその掲示内容と変つて質置主に不利益な契約をしてはならない。仮にそういう契約をしてもその不利益の部分は当然この掲示内容によつて契約されたものと見倣すということにいたしまして、その店頭に掲げてある掲示内容が嚴正に履行され、いわゆる闇といいますか、その質置主に不利益にならないように保護するという建前でさような規定を設けて、十分にその掲示した事項が遵守され、質置主を不利益にならないようにという趣旨でかようなものを設けたわけであります。  第十八條は質物の返還で、質置主は流質期間前であればいつでも元金と、それから利子を拂いまして、その質物を受けることができる。これが質の特色でありまして、いつでもとにかく流質期間内であればいつでも金を、元金、利子を揃えて持つて行きますればいつでもその物を返して貰えるというのが庶民金融としての質の特色であります。でその趣旨を受けまして、とにかく元金と利子を揃えて行けばいつでも貰える、返して貰えるんだ、その日でもいいんだということになつておりますので、その趣旨のことをここに掲げたわけであります。でその場合には前に渡しました質札、或いは通帳、それを示して引返しを受ける、物を返して貰うわけであります。尚第二項に、質屋がその物を返す際においては、その人は間違いな人だということをやはり確認して相手方から、とにかく自分が預けたに違いない、或いはその権限があるんだということをはつきりさした上において物を返すということにいたしたのであります。  第十九條はこの流質物の取得及び処分の規定であります。流質期限を掲示板に三ケ月以内の期間として掲示してあります。その期間内に元金と利子とを持つて返還を請求に来なかつたという場合には、これは質屋の特色といたしまして、流質期間後はその物の所有権を質屋が取つてしまうのであります。これが質の制度のまあ特色になつているわけであります。ところがそこに但書がついております。質屋が成る程流質期間後当然所有権を取得するのでありますが、ところがまだその質屋が流質物を処分してなかつた。まだその物を持つてつたという場合においては僅か日数が過ぎたからと言つて金を、元金利子を揃えて行つたけれども物を返して貰えないということは質置主に誠に気の毒でございます。そこでできることならこういう場合においてはその元金、それからこの遅れた分までの日数の利子を揃えて金を持つてつたならば、物を返して貰えるということが望ましいわけであります。併し一方質屋にして見ますれば、契約でとにかく流質期間というものが一応決まつておる。従つて極端に言えば一日と雖も猶予はできないということが言えるかも知れません。併しそこはお互いの信義誠実の原則によつて、日数は若干遅れた、併し質屋がまだその物は処分しないで持つてつたという場合ならば、できるだけ質屋は質置主に物を返してやつて貰いたい、といつてそれを義務化するということは質屋に対しても酷に過ぎる。一つお互いの信義誠実によつてできるだけ円満に事を進めるようにしなければならないという意味において第十九條の規定を置いたわけであります。第二項に規定がございますのは、質屋はさてその流れた物をどうしておるかと申しますと、これを、例えば古物商に持つて行つて売るとか何とかしておるわけであります。ところがよく行われておりますのは、古物市場に持つて行つて販売する場合が非常に多いようであります。そういつた場合においては、古物営業法規定がありますように、古物市場は古物商のみに限つて出入できることになつております。そこで質屋についてはその場合においては古物市場に行つてつてもいいのだということを特に認めた、その意味において第二項の規定を置いたわけであります。  第二十條は質物が滅失した場合、これは非常に複雑な問題が起つて来るわけであります。そこで先ず第一項におきましては、災害その他の理由によつて質物が滅失、毀損或いは盗難にかかつてしまつたという場合にはね先ず質屋がその質置主に速かに通知をするということをして貰う。そこでさて今度はその災害等によつて滅失、毀損した場合が、いろいろの場合が考えられる。先ず質屋及び質置主双方の責に帰することのできない事由によつて滅失、毀損、盗難にかかつてしまつたという場合はどうするか。この場合においては民法の原則によりますと、質屋自分責任に帰すべき理由によつてその物が滅失、毀損したのではないので、従つてそれに対する損害賠償はしなくてもいいことになる。併し一方質置主の方から金を拂わなければならない義務というものは消滅しない。つまり物は受取れないけれども、金は返さなければならないといつた状況になるわけであります。で、従来質屋においてはこういつた場合においては両方共なくなる。つまり質屋も質物が預つてつたものが、たとえ自分責任ではないけれども、物がなくなつてしまつた、その場合において、損害賠償の責任はないけれども、併し質置主から金を返して貰う債権も消滅するというのが、結局互いに両方で損をしたということになるわけでありますが、さような慣例が行われ、又実際問題といたしましては、質屋においてはこういうものに普通保險をつけておるようであります。従つて保險によつて質屋は損失を免れるということが実際にも行われておりますので、従つて両方の責に帰することのできない事由によつて減失、毀損した場合においては、質屋は物を返さなくてもいい、勿論返せないのですが、それについての損害賠償の責任もないし、又預けた人も金は拂わなくてもいいということにいたしたのであります。ところでその次は、質屋自分責任で、責に帰すべき事由によつて物が滅失、毀損した、盗難にかかつたという場合においてはどうするか。この場合においては当然損害賠償に応ずる責任があるわけであります。自分責任で滅失、毀損したという場合においては、質屋はそれに対する損害賠償の責任が起るわけであります。ところが予めそういつた請求権はないのだというこの約款を附して契約する、予めこういつた場合においては損害賠償の請求はしませんという、請求権を放棄をさして契約するということが行われますと、丁度金を借りたいという人の、弱い身の立場から、それでも承知して契約するという場合もあり得るわけでありますが、このような場合においては誠に利用者の立場から言えば気の毒であります。従つてかように、予めそういつた質屋責任に帰すべき場合にでも損害賠償はしませんということを予め契約を強いるということは、如何にも酷に過ぎるのでいけないということを第三項に示したわけであります。
  66. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質問を願います。
  67. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 第十九條の第二項ですが、質屋古物営業法規定によつて、その言うところの市場において売却することができると書いてありますが、そうすると、その市場においては売却できますが、自由に処分できるということはどういう考によつておりますか。
  68. 武藤文雄

    政府委員武藤文雄君) 質屋は、流質物は当然自由に処分できるわけであります。ただここに特に謳つておりますのは、古物市場に行くことが非常に多い。ところが古物営業法において、古物市場に出入りできるのは古物商に限るということになつておりますので、それでなくても質屋はこの場合は古物市場に行けるのだということを特に謳つたわけであります。
  69. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 第十九條の第一項ですが、要するに質物が流れたときできもまだ処分をしていなければ、金を拂えば返還するように努めるものとするというのは、質屋に対する一つの道義的な義務を課するというわけですか。これに反した場合はどうなるのか。又こういう強制力を持たないて思いますが、そういう道義的な義務を課するような何か法律の例があるのか。
  70. 武藤文雄

    政府委員武藤文雄君) 御説の通り、これは道義的規定でございます。で先程も申上げました通り、一応流質期限というものがはつきり決まつてつて、それを過ぎれば、当然質屋としてもその物を所有する権利がある。その日にも処分はできる。たまたまその日に処分しないで持つてつたというときに、遅れましたがといつて質置州が金を揃えて来たという場合には、一つ返してやつた方がいいではないか。理窟を言えばもう返さなくてもいいのだが、たまたまその物を持つているんだから、一つ返した方が望ましいということで道義的規定にしたわけです。これを法律上義務があるということはね質屋にとつていささか酷に過ぎると存じます。立法においてもかように道義的規定にしたわけであります。
  71. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 強制権はないんですね。
  72. 武藤文雄

    政府委員武藤文雄君) ありません。
  73. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 そうすると、変な法律になりますね。
  74. 岡田喜久治

    岡田喜久治君 古物営業とか或いは金貸業というものは、質屋は兼業と言おうか、同一人において許可を受け、若しくは兼業ができるんですか、できないんですか。
  75. 武藤文雄

    政府委員武藤文雄君) 特に古物商との関係で兼業を認めるということは議論の余地もあると思います。我々は両方の許可を受ければできる、貸金業においても同様です。両方それぞれの手続によつてそれぞれの許可を受ければできるというふうに解しております。
  76. 黒川武雄

    ○黒川武雄君 十七條の第二項に、流質期限三月末満とありますが、これは警視庁令あたりでは九十一日とかなつておりますが、それと同じ意味なんですか、日数は。
  77. 武藤文雄

    政府委員武藤文雄君) 三月未満これは暦で教えます。つまり月單位で数えるわけですから、例えば今日が四月の十五日とあれば七月の十四日と、月で数えます。
  78. 黒川武雄

    ○黒川武雄君 警視庁では日数になつている、九十一日と。
  79. 武藤文雄

    政府委員武藤文雄君) これはその間一日の問題が起つたり起らなかつたり場合によつてあると思いますが、警視庁の慣例で九十一日となつておりますが、外ではいろいろの定め方をしておる所があると思います。先程申しましたように地方によつて、慣習等によつても若干の違いがありますので、大体三ケ月としておるのが多いので、三ケ月という基準を取りました。所によつては先程申上げましたように六ケ月という所もありますが、又二ケ月という所も相当あります。そういう所で過半数のものが慣例になつておる三ケ月ということを準基にしたわけであります。
  80. 鈴木直人

    鈴木直人君 只今説明された十七條、十八條、十九條、二十條の関係は、先程私が質問しましたいわるこの法律の主たる目的警察取締のためにできておるという、これは主たる目的でありますが、これは今十七、十八、十九、二十というものは、いわゆる質屋の権利義務の内容になつておりまして、民法上のいわゆる関係と言いますが、権利義務の関係規定しておる部分が非常に多いと思うのであります。ところで私がお聽きしたいと思うのは、例えば十七條の四項の如きものは、これは取締上の観点でなくして、いわゆるこれは民法の内容、契約の内容であるから、前項の規定に違反する契約をしても、その前項の規定に違反した部分については、当該掲示の内容によりされたものとみなす、こう書いておりますが、これはもうあらゆるところの権利義務を規定した民法その他の、或いは商法その法の法律よりも、これは特別法であるから、これは権利義務については優先するものであるという効力を持つものである、こう解釈するわけですが、その点はどうでしようか。又十九條においてもそういうようなことがありますし、第十八條についてもあります。勿論十九條の但書は、これは一つの道義的な規定で、権利義務としての様相をなすものではない、効果があるのではないという説明でありましたが、まあそれでよいと思いますけれども、ここに規定してある各條項は、いわゆる他の一般法に優先して強い権利義務をここに規定したものであるということをお聽きして見たいと思うのです。
  81. 武藤文雄

    政府委員武藤文雄君) 御説の通り、大体本法の趣旨、殊に公安委員会がこれを扱うという点から見れば、正に警察見地を中心としたところの立法であるわけであります。ただ実際問題としまして古物営業というものの規定をする場合、当然その私法上の特色というようなものにも触れて来ざるを得ない。実際問題といたしまして、私法上の関係において質屋等において別個の立法が要るということになります。そこで法律においてこれを規定いたしますれば、一本にして規定した方が便利である、適当であるというので、若干私法上の関係がこの中に入つて来たわけであります。でさて私法上の関係につきまして、この法律と他の一般法との関係につきましては、特別法と一般法の関係につきまして、これが特別法の立場に立つのであります。かように考えます。
  82. 鈴木直人

    鈴木直人君 次に具体的に御質問しておきたいと思うのは、十七條の第二項でありますが、この第二項は流質期限は三ケ月未満の期間で定めてはならないということになつておりますが、これは二ケ月ということをした場合においては、これは取締上違反の対象となるものであるが、或いはいわゆる私法上の、私の法律上の無効というものであるが、この罰則の関係を見ますというと、いわゆる私の法律上権利義務の関係のものであるというものについても罰則をつけておりますから、罰則がついておる條項は必ずしもこれは警察上の取締上の規定ではない、従つて罰則がついておつてもその内容が他の法律に優先する内容を持つておるものもあるわけですが、そういうふうに私は読んでおるのですけれども、少くとも今の十七條二項で二ケ月と決めて、そうして営業所内の見易い所に掲示して置いた場合にはそれは無効の掲示であるのか、或いはそれは有効であるが十七條二項の違反である、こういうことになるのか。その点を一応お聴きしておきたいと思います。
  83. 武藤文雄

    政府委員武藤文雄君) この関係は三ケ月未満の短期ではいけない、三ケ月以上でなければいけないにも拘わらず、例えば二ケ月でやつたという場合、この場合は三十三條に罰則がございまして当然違反になるわけであります。さてその契約、これがあるにも拘わらず二ケ月でやつた、その場合がまあ二つあると思います。一つは流質として掲示しておるもの、三ケ月以上であるけれども実際は二ケ月、これはここにありますように当然掲示の内容によつて契約がなされたものと見なされる。ところがこの掲示自体が二ケ月としておるということになりますればそれ自体が違反でありますが、且つ法令に触れる内容を契約内容としておるというところで契約自体にも問題が起つて来る、かように考えます。
  84. 鈴木直人

    鈴木直人君 要するに、問題が起るのではなくて、二ケ月と掲示したものは無効か有効かということなのです。違反であることははつきりしております。この法律内容が私法上の規定と、もう一つは、民法上の或いは私法上の規定とまあ一緒にあるわけですから、非常に解釈に困る点があるので、その点を伺つておきたいのです。
  85. 武藤文雄

    政府委員武藤文雄君) 民法によりまして「公ノ秩序又は善良ノ風俗ニ反スル事項目的トスル法律行為ハ無効トス」、法律に当然抵触することを内容とする契約は民法九十條によつて契約自体も無効となります。
  86. 鈴木直人

    鈴木直人君 そうしますと、これは民法上の條項によつて無効になるのであつて、この法律に違反したからして、この條項そのものに反したから無効となるのではない、こういう解釈ですね。
  87. 武藤文雄

    政府委員武藤文雄君) さようでございます。
  88. 鈴木直人

    鈴木直人君 そうしますと第十七條の二項というものは、これはどこまでも警察的な立場から規定した一つ手続法に過ぎないのであつて、債権債務者を規定する契約の内容をなす條項ではない、いわゆる一般法に優先する特別法の性質を持つ條項ではなくして、これはどこまでも警察的な、行政的な規定の効果に過ぎないとこういうふうに解釈されますか。
  89. 武藤文雄

    政府委員武藤文雄君) 私は、或いは誤解があつたかも知れませんが、これは飽くまで三ケ月というものを経たなければならないというのは、特別法として一般法の更に特別法で規定をしておるというふうに解釈しております。
  90. 鈴木直人

    鈴木直人君 そこで仮に三ケ月と規定しておつた。そうして掲示をしていたという場合に、それにも拘わらず二ケ月の契約をしたという場合においては、これは第十七條の四項そのものによつて当然三ケ月という効果が発生すると、こういうふうになるわけですね。
  91. 武藤文雄

    政府委員武藤文雄君) さようでございます。
  92. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質問ございませんか。  それでは今日はこの程度で散会いたします。    午後零時二十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君    理事            吉川末次郎君            岡田喜久治君    委員            三木 治朗君            黒川 武雄君            堀  末治君            西郷吉之助君            鈴木 直人君   国務大臣    国 務 大 臣 樋貝 詮三君   政府委員    地方自治政務次    官       小野  哲君    国家地方警察本    部長官     齋藤  昇君    国家地方警察本    部部長    (刑事部長)  武藤 文雄君    国家地方警察警    視    (国家地方警察    本部防犯課長) 間狩 信義君