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政府委員(小野哲君)
只今委員長から
お話しがございました目下審議されております漁港
法案についての、自治庁側の見解の概要を申上げたいと思います。
御承知のように港湾管理の方式については、昨年来種々
関係方面においても検討が加えられまして、これに基いて今回近く
政府において港湾
法案を提案いたしたい、この目的で準備をいたしておるのであります。港湾の管理方式につきましては、最近の
考え方として、
地方公共団体が主体とな
つてや
つて行くのが適当である。未だ確定的な港湾
法案の内容について申上げる時期ではないと思いますが、管理形式にいたしましても、或いは港務局を作り、或いは又
地方公共団体が港湾管理者として、港務局を設けない港湾につきましては、
地方公共団体を指定し、或いは又一部事務を組合等の方法によりまして、港湾管理を行うことができるというふうな途が開かれることになるであろうと
思つておるのであります。然るに港湾
法案の内容を検討いたしますと、
只今申上げましたような
一般的な港湾管理方式の精神から
考えまして、相当開きがあるように
考えられるのであります。この港湾
法案は漁港の運営に対する
中央の統制が相当強くな
つておりまして、この点から申しまして、
地方自治の本旨から見て必ずしも適当ではないというふうに思うのであります。と同時に港湾の管理方式と照し合して妥当を欠くものがあるのではないか、こういう見解を持つのであります。
先ず第一に
考えられることは、漁港の管理主体の問題でありますが、当該漁港の所在地の
地方公共団体が管理主体となり、要すれば漁港運営の
執行機関として漁港管理会、又は漁港管理
委員糧等のごとき機関を設置することによ
つて、漁港の管理運営を円滑ならしめるのであるというふうなことが
考えられるのではないか。いずれにいたしましても港湾の管理方式の基本的な精神に則りまして、漁港の管理主体が当該漁港の所在地の
地方公共団体を以てするという
考え方を建前とすべきではないかということが基本的な問題であろうと
思つております。
次にこの
法律案を見ますると、農林大臣の権限が相当強く取上げられておるのであります。例えて申しますと、先程も
委員長から御指摘がありましたが、第
五條の漁港の指定の問題、或いは又漁港修築
計画の許可、漁港修築
事業の施行の許可にかかる権利の譲渡及び漁港修築
事業の施行の委託に対する許可権、或いは国以外のものが漁港修築
事業を行おうとする場合におけるいわゆる施行の許可権、漁港修築
計画の変更、漁港修築
事業の廃止に対する許可、施行者に対する指示、命令及び許可の取消、漁港管理者の指定、漁港管理
計画及び漁港管理程の制定及び変更に対する許可、漁港施設の処分に対する許可、漁港施設の利用に対する許可、漁港の保全に対する許可、又許可以外といたしましては、農林大臣の調査、測量及び検査に関する
事柄、又農林大臣に対する訴願の問題等が、この
法律案の各所において見受けられるのであります。冒頭に申しましたように、
中央の統制がこの
法律案の内容といたしましても、相当強く取上げられておるということがいえるのではないかと思うのであります。尚又この漁港の
関係におきまして、審議会を設けるということが書かれておるのでありますが、これらの審議会を設けることは、この
法律案にも書いてありますように、漁港の関する事項について
関係行政庁に対して
意見を提出することができる。又この審議会は漁港に関する重要事項を調査、審議することになるのでありますけれども、併しながら若し
地方公共団体が主体とな
つて管理をして行くという精神から
考えますというと、かような審議会を置くことが果して必要かどうか、
中央統制を排除して行くという精神から行きますならば、この点について漁港審議会の設置についての必要の有無というものにつきましても、相当検討をする必要があろうかと
考えるのであります。又漁港修築
計画の
関係につきまして
考えますると、これはやはり
地方公共団体において行うものといたして、これに基いて、漁港修築
事業を
地方公共団体が行う場合における、国と
地方公共団体との
費用の
負担に関して
適用に構成する、こういう建前が取らるべきではないか。次の点は国が特に漁港の整備のために修築
事業を行いますような場合におきましては、当該漁港管理者の
同意を得て法定の
負担割合による
費用、それぞれのものを分担させるようにする。この場合における当該修築
事業によ
つて生じた漁港施設は、当該漁港管理主体たる
地方公共団体に或いは貸付けたり、又はその管理を委託するというふうな方法を講ずることが適当ではなかろうか。次に国が所有する漁港施設で、
一般公衆の利用に供するため必要なものは、この
法律局が成立いたしますとともに、当該漁港の管理主体に譲渡する、或いは貸付又は管理を委託すると、こういう途を開くべきではないかろうか。更に漁港の
区域の問題でありますが、漁港の区或は都道府県又は
市町村の境界に亘る場合は、都道府縣知事に対して調整権と申しますか、適当な権能を認めるということが適当ではなかろうか、こういうふうに
考えられるのでございます。尚詳細の点につきましては御質問に応じまして事務当局からも御答弁申上げたいと存じますが、港湾の管理方式の基本的な
考え方と照し合せまして、漁港
法案と港湾に関する
法律案との間に何らか調和の取れたものであるべきではないか、同時にその基本的な原則が地方団体を主体とするということに照し合せまして、如上申上げましたような点につきまして、漁港
法案については検討する必要はなかろうか、かように
考えておる次第でございます。