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1950-03-24 第7回国会 参議院 地方行政委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月二十四日(金曜日)   —————————————   委員の異動 三月二十二日理事岩木哲夫君辞任につ き、その補欠として林屋亀次郎君を委 員長において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○国家公安委員及び地方自治委員会議  委員補充の件 ○地方税法案内閣送付) ○公聴会開会の件   —————————————    午後二時十五分開会
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 開会いたします。先に本年三月六日国家公安委員清瀬三郎君が任期満了いたしました。それで、警察法第五條第二項の規定によりまして、後任の者を政府で選ばれた者につきまして、参議院同意を求められることになつております。それにつきまして、その選任理由選任者のことにつきまして、樋貝国務大臣から承りたいと思います。
  3. 樋貝詮三

    国務大臣樋貝詮三君) 丁度本月の六日に前任者の任期が切れまして、新しく委員を選ばなければならんことになりまして、私共は最もよき人を得たいという考で、総理大臣とも打合せを済ませまして、それから新聞に現れましたところの人、目下まだ御審議を願わないですけれども、その人を決定いたしました。只今丁度向うの方のOKを得ようというわけで、申告しておる次第であります。それでいろいろの方面から研究いたしまして……
  4. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 名前は誰ですか。
  5. 樋貝詮三

    国務大臣樋貝詮三君) 青木均一氏ですが、只今なんの方の、訴願委員会と言いますか、あの方面委員をしております。向うOKが来るまで余り言いたくないという立場にございます。尚細かいことを申上げたいのですが、そういう事情ですから、私共はいいと信じておりますけれども、御討議を願いたいつもりですが、そのときまでには、具体的な履歴その他を持つて上りたいと思います。
  6. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 履歴は頂きまして、今日皆さんに配付をしてございます。樋貝国務大臣に申上げますが、国会承認内閣から求めに来ているんです。だから関係方面の了解も済んだことと存じます。
  7. 鈴木直人

    鈴木直人君 只今の問題は、もうすでに正式に政府から承認を求める件として提出されて、昨日の参議院議院運営委員会において一応の説明官房長官からあつて、そうして一応各会派において検討しようということになつて、すでに緑風会においては集会を開いて、或る一定の考え方を統一しておるという段階にあるのですが、今国務大臣から伺いますというと、まだOKを請求中であつて提出はしてないというんですが、如何でしようか。
  8. 樋貝詮三

    国務大臣樋貝詮三君) 実は後の手続は全部官房長官に一任したようなわけでありまして、人の選択は私共やつてOKを得て、その後のことを聞くことになつております。従つて私はまだOKが来る前だと信じておりましたが、只今官房長官にどこまで進行したか聞こうと思いましたけれども、おりませんで、まだ聞きませんでした。従つて私の言つたこととそれから事実の進行との食違いがあつたかも知れません。そういうような事情であります。
  9. 鈴木直人

    鈴木直人君 尚私は議院運営委員でありますが、只今この部屋に入る前に、これから議院運営委員会を開いて、それを審議法定するというために出席を要求されておるということになつておるのでして、当委員会においても、いろいろ御審議をお願いしたいと思うのですが、今の大臣のようなお話で、まだ提案してないということでありますと、どうもそこにこの委員会においても取上げることは困難であるように思われますし、それに関係なく議運が進められようとしておるわけなんですから、その点を一つはつきりして頂きたいと思うのですが。
  10. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の点はですね、鈴木委員から言われたような状況にあるのですが、又担当大臣が前後したようなことをここで言われるのは、どうも我々も合点が行かんですが、官房長官樋貝さんと打合して、もう一度はつきりされた方がいいのじやないですか。事情が前後しておる。
  11. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 鈴木君並びに西郷君に申上げますが、これは確に公報にも国会両院承認を求めることが出ておるのでありますから、樋貝国務大臣が言明されましたように、先程言われたことは、樋貝国務大臣の誤りであつたということが明らかになつたのですが、で‥‥
  12. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 ちよつと結論だけ申しますが、樋貝国務大臣増田官房長官との吐露された意見の相違もあるようでありますし、我々といたしましても、今初めてこの履歴書提出されましたので、更に考えて見たいと思いますから決定するには次回の委員会までお延ばしを願いたい。(「賛成」と呼ぶものあり)
  13. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 吉川君から本委員会として決定するには、次回の委員会まで待つて貰いたいという御発言でございますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではそういうように取計らいます。  尚鈴木委員議院運営委員会にお出になりましたら、そういうことをお伝え願います。
  15. 鈴木直人

    鈴木直人君 承知しました。向うの方は留保するように私から発言します。
  16. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 樋貝国務大臣にお尋ねいたしますが、青木均一氏というのは自由党党員なのでございますか。
  17. 樋貝詮三

    国務大臣樋貝詮三君) そうではありません。只今は、先程申上げたごとく、訴願委員会委員をしておりますが、非常にしつかりした人と聞きました。和は面会したことは一遍しかありませんけれども、いろいろな方面から事情を聞いて見ますると、非常にしつかりしておるというような話で、それから総理大臣も初めはこの人を候補にしたわけではないのですけれども、いろいろな方面から聞いてよいということを知つたらしくて、お願いしたようなわけであります。自由党員ではありません。
  18. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に、候補者である青木均一氏を国家公安委員後任に任命するということに御質問ございませんか。
  19. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 この問題は次回だというわけですけれども、今委員長自由党員であるかという御発言がありましたが‥‥。
  20. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ないかということを聴いたのです。
  21. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 それは委員長の勘ですか、どこからかそういうニュースがあつたから聴いたのですか。
  22. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 新聞に出ておりましたから‥‥。
  23. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 何の新聞ですか。
  24. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ずつと前の新聞ですよ。ちよつと出たことがありますから。
  25. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 その新聞一つお取寄せになつて、次回の審議のときに御調査御提出願います。
  26. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 自由党員とは書いてないですよ。自由党色というようなことが書いてあつたのです。
  27. 樋貝詮三

    国務大臣樋貝詮三君) 自由党色もありませんので、全く無色の人です。
  28. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 尚新聞は明日用意しましよう。    —————・—————
  29. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 次に地方自治庁地方自治委員会議委員の任命につきまして、地方自治庁設置法第四條第三項の規定による本院の同意を求めに参つておりますが、それにつきまして、小野政務次官から御発言願います。
  30. 小野哲

    政府委員小野哲君) 只今委員長から御説明がございました地方自治委員会委員補充選任につきまして、参議院の御承認を得べく手続を進めておるのでございますが、候補者と相成つておりまするのは、金刺不二太郎君と小澤二郎君でございます。履歴書只今お手許に御配付申上げたかと存じますが、金刺不二太郎君は現在川崎の市長でありまして、全国市長会会長に相成つております。御承知のごとく地方自治委員会におきましては、その委員はそれぞれの地方団体連合組織代表推薦することに相成つておりますので、市長会から金刺君が推薦を受けておるのでございます。  尚次に小澤二郎君について申上げますと、現在は横浜市議会議長をやつておるのでありまして、又全国市議会議長会長に主就任をいたしております関係上、市議会市議長会団体から代表として推薦をされておるような次第で、政府といたしましては、いずれも地方自治庁設置法趣旨に則りまして、適当と存じ、御承認を頂くように取進めて参つておるような次第でございます。簡単でございますが、内容を御説明申上げて置きます。
  31. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質問ございませんか。  本委員会として承認することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではそれに決定いたします。   —————————————
  33. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 次に地方税法案予備審査をいたしたいと思います。
  34. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 その前にさつきあの陳情があつたのだが、それに対する大臣がおられるから、大臣の意向を聴いたらどうですか。
  35. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 審議の経過のときに如何ですか。……では本多国務大臣
  36. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 地方税法改正案の提出が誠に遅延いたしておつたのでございますが、今回漸く提案の運びになりましたので、ここにその提案の理由及び内容の概要を御説明申上げたいと存じます。  言うまでもなく、我が国は、敗戦による苦い体験から、終戦後いち早く新しい憲法の下に、民主主義に基いて国政を運営する旨を確定したのでありまして、もとより民主政治の確立は単に政治運営の形式を民主化するに止めてはなりませず、政治運営に関する判断が広く国民の中から生れてくるようにしむけて参らなければなりません、  これがためにはすべて公事に関する問題は可及的に、その問題の周辺にあつてその問題から直接の影響を受ける人達の手によつて責任ある処理を行わせるようにして参らなければなりませんので、民主政治の確立と地方自治の強化とは表裏一体をなす問題であります。  而して地方自治の確立を意図してすでに地方自治法が制定せられ骨格は整つたのでありますが、その事務を豊富にし財政を強化して内容を充実させることこそ先決の問題であると思うのであります。然るに地方公共団体の現状は、相次いで負荷せられる任務の重いのに較べて財政力は微弱であり、地方自治は財政的に破綻に瀕しているとまで極言せられているのであります。  これを税制の画について申上げますならばすでに地方団体のうち七割を超えるものが、標準税率を超えて課税して居りますし、法定種目の外に地方団体が新税の設定を余儀なくされておりますものが課税団体で二千税目で百種類を超えているのであります。大抵の団体がその税率課税するものとして定められている筈の標準税率課税している団体がむしろ例外でありましたり、法定税目そのものがかなり無理なものを拾上げて、国民圧迫感を與えていることを虞れておりまする際に、その上に更に多くの団体が幾多の無理な税目を設けざるを得ない情況に置かれているということは、地方税収入の甚しい不足を示すものであつて、そもそも地方税制そのものが破綻していると申さねばならないと思うのであります。  現行地方税制はすでに国税附加税を捨てて独立税中心主義を探つているのでありますが、中枢をなす事業税、地租及び家屋税の三収益税は、或は国の所得税法人税課税標準を同じくし、或は国の決定した賃貸価格課税標準とする等尚苦しく国に依存する態勢を改めていないのであります。そもそも地方自治の伸長を期そうとするならば、活動の源泉となるべき財源を豊富にすると共に、これを地方団体自らの責任において確保させ、以て自治運営に対する住民の鋭い監視と批判とを求めるようにしてゆかねばならないのであります。  よつて地方税収入を拡充し、地方税制自主性を強化して地方自治の根基を培うことを今次地方税制改正の第一の目標といたしているのであります。  次に、現行地方税の主要な税目の個々について申述べたいと存じます。  その一は事業に対する課税でありますが、戦前地方税総額の二〇%を占める程度であつたものが、現行税制で参りますと、昭和二十五年度には二五%内外を占めることになるのであります。然も事業税のうち個人の事業主負担いたしますものが、戦前の五〇%内外から九〇%内外に増加して参つているのであります。このことは現行事業税が二重の意味において不合理になつているのでありまして、即ち第一には、他の課税客体に較べて事業負担が重すぎるということであり、第二には、本来応益的に負担すべき事業税が大企業に不当に軽課されているということであります。  その二は、土地及び家屋に対する課税でありますが、地代家賃統制令との関係があるからとは言え、戰前地方税総額の三〇%を占めていたものが、現行税制で参りますと、昭和二十五年度では漸く一〇%を占めるに過ぎなくなるのであります。然も他の税目と較べましても、かなり負担の均衡を欠いていることが感ぜられるのでありまして、営業用乗用車ですら、その一台の負担は畑地三十七町歩、家屋八百数十坪の負担に匹敵しているのであります。  その三は、住民税であります。元来戸数割を廃止して住民税が設けられた当時は収入を目的にはしないで、単に負担分任の精神を地方税制の上に存置して置くための極く少額のものであつたのであります。ところが地方財政の窮乏は、この税に相当多くの収入と弾力性とを求めざるを得なくなり、自然団体間においても課税額にかなり大きな幅ができ、標準税額の十数倍に達している町村も珍しくなくなつて来たのであります。こうなつて来ると応能原則を重視すべき租税として最早放任し難くなつてしまつたと言わねばならないのであります。  このような現状に鑑み、地方税制を根本的に改革して国民地方税負担合理化及び均衡化を確保することを今次地方税制改正の第二の目標といたしたのであります。  而してこのような目標の下に則つた具体的な地方税改革の方針は、第一には、財産課税の重課、流通課税の整理、消費課税減少軽減所得課税の増加、事業課税の軽減、雑税の整理等を行い、地方税全般亘つてその負担合理化均等化を徹底することであります。  第二には、課税標準税率等に関する地方団体の権限を拡充して地方税制自主性を強化するとともに、道府県税市町村税とを完全に分離し、以て税務行政の責任の帰属を明確にすることであります。これによつて道府県税としたものは、普通税附加価値税入場税遊興飲食税自動車税鉱区税漁業権税及び狩猟者税の七科目、目的税水利地益税であり、市町村税としたものは、普通税市町村民税固定資産税自転車税荷車税電気ガス税鉱産税木材引取税広告税入湯税及び接客人税の十税目であり、目的税水利地益税及び共同施設税であります。  第三には、有力な直接税を市町村税としてその収入の強化を図ると共に、住民の市町村行政に対する関心の増大を求め、以て地方自治の基盤を培うと共に民主政治の推進を期することであります。  第四は、特別徴収に関する規定を整備すること、納税秩序を強化すること等により、税収入確保の方途を講ずることであります。  第五は、税率を全税目に亙つて明確に規定することにより、地域間における地方税負担衡平化を期することであります。  かくして地方税法を全文に亙つて改正したのでありますが、これによつて昭和二十五年度において、地方団体が収入することのできる税額は千九百八億円となる見込であります。昭和二十四年度千五百二十四億円と比較すると、三百八十四億円の増税ということになります。この地方税の外に地方財政平衡交付金の創設、災害復旧費全額国庫負担等を行いますので、相当の財源が増加になりますが、勿論これにより地方財源は甚しく潤沢になつたということは言えませんが、現下の国民租税負担の現状に鑑み地方税としてはこの程度の増収に止めることを以て適当すると考えた次第であります。  以下新税の創設、既存税目の変更、徴税手続合理化の順に従つて、新地方税法の内容を御説明申上げます。先ず新設された税目についての説明でありますが、その第一は、附加価値税であります。附加価値税は、事業税及び特別所得税を廃止すると共に、これらの課税客体であつた事業附加価値に対し、附加価値額課税標準として、事業所又は事務所所在道府県において課税するものであります。  ここに附加価値と申しますのは、当該事業がその段階において、国民所得に附加した価値を指すものでありまして、生産国民所得の観念で申しますならば、一定期間における当該事業の総売上金額より他の事業から購入した土地、建物、機械設備、原材料、商品、動力等を控除したもの言い、逆にこれを分配国民所得の観念で申しますならば、賃銀、地代、利子及び企業者利潤を合算したものと言えましよう。このような附加価値額課税標準とするところの附加価値税を従来の事業税に代えて創設する所以は、  第一に、従来の事業税でありますと、先ず収益課税たる本質上、非転嫁的なものでありますが、故に今日のごとく所得の上に累積的に課税されているときにおいては、事業に対する負担が堪えがたいまでに重くなること、第二に、事業税課税標準所得であるが故に、必然的に国税たる所得税及び法人税課税標準の算定の結果に追随せざるを得ないこととなり、事業税課税についての責任の帰属を不明確にすること、第三に、事業税によるときは、所得のないものは常に課税を免かれるが、事業を継続している以上は常に地方団体の施設の恩恵に浴しているのであるから、事業はすべて応分の地方税負担をすべきであることなどの欠陥を有するのに対して、附加価値税においては、これらのいずれの欠陥を一応克服できる上に、取引高税のごとく重複課税とならないこと、企業の垂直的結合を促進するごとき欠陥を有しないことなどの長所があり、更に進んで固定設備購入代金課税標準から控除されるが故に、現下の我が国経済にとつて最も必要であるところの産業の有機的構成高度化を促進するという効果も亦期待できるのであります。  而して附加価値税は、農業、林業並びに鉱物の掘採及び採取の事業に対して非裸視の取扱いといたしたいと考えております。その理由は前二者につきましては、主として固定費産税の負担が相当重くなつていることによるものであり、後者につきましては、別途鉱産税が存置されているからであります。  次に附加価値税税率は、標準税率を四%とし、最高税率を八%としているのでありますが、原始産業自由業等につきましては、標準税率を三%最高税率を六%とし、免税点はいずれも附加価値額の総額が十二月分として九万円を原則といたしております。  更に、附加価値税徴収手続申告納付の方法によるものとしております、即ち法人にありましては各事業年度における附加価値額の実績により、個人にありましては各年の附加価値額の実績によつて、それぞれ所定の手続に従いまして申告納付するものであります。ただ六ヶ月を超える事業年度を定める法人にあつては、六ヶ月を超えてから一ケ月以内に、個人にあつては五月及び九月にいずれも前事業年度又は前年の実績を基礎として概算納付することといたしております。  而してこれらの場合におきまして、二以上の道府県亘つて事務所又は事業所を設けて事業を行う者は、附加価値の総額を事務所又は事業所所在道府県ごとに自ら法定の分割基準従つて分割し、その分割した附加価値額課税標準として申告納付するものとし、更正及び決定は主たる事務所又は事業所所在道府県知事地方財政委員会の指示に基いて行い、これに関する関係道府県知事の異議も同様の方法によつて決定することとなつております。  尚、これと関連しまして、附加価値税につきましても青色申告書の制度を採用することとし、納税義務者地方財政委員会規則で定める帳簿書類を備えつけてこれに附加価値の計算について必要な事項を記載しているときは青色申告書によつて申告させることができるものとし、その者については原則としてその帳簿書類によらなければ更正又は決定ができないものとしたのであります。  又、昭和二十五年度限りの課税標準算定の特例として、金融業運送業及び倉庫業につきましては、その選択によつて売上金額一定額を以て附加価値額とすることができるものとしておりますが、その理由は主として差当り負担の急変を避けようとする趣旨に出たものであります。この附加価値税収入見込額昭和二十五年度四百十九億円、平年度四百四十一位であります。  新税のその二は、市町村民税であります。同じ税目は従前にも存していたわけでありますが、その性格を一変しているのでありまして、市町村内に住所を有する個人に対しては、均等割及び所得割により、事務所事業所又は家屋敷を有する個人及び事務所又は事務所を有する法人に対しては、均等割によつて課するところの税であります。  従来の市町村民税と異なりますのは、第一には、世帯主納税義務者とする家族主義的た構成を採つていたものを、所得のある限りは成年者をすべて納税義務者とする個人主義的な構成を採つていることであり、第二には、均等割資産割及び所得税の三者によつて課税ていたのを、資産割を廃止して、均等割所得割の二者によつて課税することとしたこのであり、第三には、法人に対しては均等割しか課税しないこととしたことであります。  而して均等割の額は、人口五十万以上の市において、個人は八百円を標準とし最高一、〇〇〇円、法人は、二、四〇〇円を標準とし、最高四、〇〇円、人口五万以上五十万未満の市において、個人は六〇〇円を標準とし、最高七五〇円、法人は一、八〇〇円を標準とし、最高三、〇〇〇円、これら以外の市町村において、個人は四〇〇円を標準とし、最高五〇〇円、法人は一、二〇〇円を標準とし、最高二、〇〇〇円としているのであります。他方、所得割につきましては、前年の所得税額課税標準とし、その百分の十八を標準とし、百分の二十を最高とする方式及び前年の課税所得金額課税標準とし、百分の十を最高とする方式並びに前年の課税所得金額から所得税額を控除した後の金額を課税標準とし、百分の二十を最高とする方式の三方式のいずれかを選択し得るものとしておりますが、昭和二十五年度におきましては第一の方式のみを採用することとしております。  尚、市町村民税は、前年において所得がなかつた者及び生活保護法の適用を受けている者並びに不具者及び未成年者に対してはその全部を、同居の妻に対しては均等割を課さないものとしております。ただ未成年者及び不具者であつて一定額以上の資産所得又は事業所得を有し且つ独立の生計を営む場合、又は同居の妻であつてもその夫が市町村民税納税義務者でない場合においては、非課税取扱いを受けないのであります。  課税団体は、六月一日現在において住所又は事務所事業所若しくは家屋敷が所在した市町村で、その課税方法賦課処分によるものとし、納期は原則として、均等割のみを納付するものは七月、その他のものは、七月、九月、十二月及び二月の四回としております。又収入見込額は、昭和二十五年度において五百七十五億円、平年度において四百八十七億円であります。  新税のその第三は、固定資産税であります。固定資産税は、土地、家屋及び減価償却の可能な有形固定資産に対し、その価格標準として原則として所有者に課するところの税であります。これは従来の地租、家屋税を拡充したものでありまして、その主なる相異点は、課税客体が土地、家屋の外に償却資産の加えられていること、課税標準賃貸価格と異なり価格であることであります。  而してその価格は、毎年一月一日の時価を基準として、概ね各市町村に設置される固定資産評価員の行う評価に基き、市町村長が決定いたします。この市町村長が決定した価格は、固定資産税課税の必要上、市町村に作成を義務ずけられた固定資産課税台帳に登録し、一定期間関係者の縦覧に供して確定することとしております。但し、昭和二十五年度分が固定資産税課税標準に限り、農地以外の土地及び家屋については、賃貸価格の九百借の額、農地については、自作農創設特別措置法による買収農地の対価に二十二・五を乗じて得た額とするものといたしております。  又、償却資産価格については、資産評価法の規定によつて再評価を行つた場合における再評価額の限度額と、同法の規定によつて償却資産所得者が現実に行つた再評価額、又は再評価を行わない場合にあつてはその資産の帳簿価格とを見て市町村長が決定するのでありますが、原則として資産再評価法による再評価額の限度額を、課税標準たる価格とするよう指導すべきものと考えております。  固定資産税税率は、百分の一、七五を標準としておりますが、当分の間百分の三を最高とし、且つ昭和二十五年度分に限り、百分の一、七五に一定したのであります。いずれも課税の條件を同一にすることによつて課税標準額について存する不均衡の所在を明確にし、次の機会における固定資産の公正な評価を容易ならしめようとする趣旨であります。  尚、大規模の工場や発電施設が近隣の市町村の公共費の支出に直接且つ重要な影響を與えたり、これらの地方における経済と直接且つ重要な関連を有する場合においては、地方財政委員会がこれらの固定資産を指定し、これを評価してその価格を決定し、固定資産の存在する市町村の如何に拘わらず、その価額を関係市町村に配分することができるものといたしておりますのは、税源の極端な偏在を防止しようとする趣旨に外ならないものであります。  又、船舶、車輌その他二以上の市町村亘つて使用される移動性若しくは可動性償却費産及び鉄軌道、発送配電施設その他二以上の市町村亘つて所在する固定資産のうち地方財政委員会が指定したものについては、地方財政委員会価格を決定し、その価額を関係市町村に配分するものとしておりますが、その趣旨は主として関係市町村間における評価の適正を期そうとするところにあるわけであります。固定資産税の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の一月一日とし、納期は原則として、四月、六月、八月、及び十 一月の四回としておりますが、昭和二十五年度分の償却資産に対する固定資産税に限り一月一回と定めております。この税の収入見込額は、昭和二十五年度において約五百二十億であり、平年度において五百七十八億円であります。  第二は、既存税目に対して加えられた変更に関する説明でありますが、その一は入場税に関するものであります。第一点は税率を従来の十五割の部分を十割に、又、従来の六割の部分を四割に、それぞれ三分の一づつ引下げることであります。第二点は、新たに課税除外の規定を設けたことでありまして、学校、社会教育団体、社会事業の経営者等が主催する、学生、生徒、児童又は素人の行う催しが行われる場所への入場に対しては、その催物の純益がすべて学校、社会教育、社会事業等のため支出され、且つ、関係者が何らの報酬を受けない場合に限つて入場税を課さないことができるものとしたのであります。  第三点は、催物の主権者等に所定の入場券又に利用券の発行義務を課すると共に、入場者が入場し又は利用者が利用する際にその入場券又は利用券の一半を切取つて他の一半を入場者又は利用者に交付する義務を課したこと、及び全員を無料で入場させた場合であつてもその情況により経費を課税標準として課することができるものとしたこと等徴収の強化を図つた点であります。  その二は、遊興飲食税に関するものであります。第一点は、現行の税率十五割、八割、五割及び二割を十割、四割及び二割に引下げ、以て負担の軽減と徴税の適正化を図らんとしたことであります。  第二点は、條例で領収証発行及び証紙使用の義務を課し得るものとし、乱れ勝ちな遊興遊食税の徴収を確保する途を規定したことであります。  その三は、自動車税漁業権税自転車税荷車税広告税入場税及び接客人税についても、新たに標準税率を定め、以て地域間の負担均衡化を図ると共に、その課税手続、救済、罰則等に関する所要の規定を整備して、納税者の理解に便ならしめようとしたことであります。  第三は、賦課徴収について改正を加えました諸点に関する説明であります。  その一は、過納に係る地方団体の徴収金を納税者に還付し、又は未納の徴収金に充当する場合において加算金の制度を創設し、以て納税者の権利の保護に欠けるところのないようにしたことであります。  その二は、納税者又は特別徴収義務者について滞納処分、強制執行、破産宣告等があつたときは、地方団体は、その徴収金について交付要求をなしうるものとし、以て、税収入の確保に遺憾なきを期したことであります。  その三は、納税者に交付すべき徴税令書には課税の基礎及び税額算定の根拠を明確に示さなければならないものとし、以て納税者の保護とその納税への協力を期したことであります。  その四は、入場税遊興飲食税電気ガス税木材引取税等を特別徴収によつて徴収させるときは、特別徴収義務者にその徴収に係る税金を申告納入させることとすると共に、入場税遊興飲食税特別徴収義務者が特別徴収をする場合においては、そのことを明示する証票の交付方を地方団体の長に申請するものとし、その交付を受けた証票を店頭その他公衆の見易い箇所に貼付しなければならないものとし、以てこの種租税徴収の強化を図つたことであります。  その五は、納税義務者申告納付し又は特別徴収義務者が申告納入する場合においては、延滞金、過少申告加算金、不申告加算金及び重加算金の制度を、又、督促状を交付した場合においては、延滞加算金の制度をそれぞれ新たに設け、似て納税意識の高揚と滞納の絶滅を期したことであります。  その六は、所要の罰則規定を整備して徴収の強化を図つたことであります。  尚、今次改正によつて廃止される税は、先に成立いたしました地方税法の一部を改正する法律と合せて、都道府県民税、地租、家屋税事業税特別所得税、不動産取得税、酒消費税、電話税、軌道税、電柱税、船舶税、舟税、金庫税、と畜税、使用人税、漁業権の取得に対する漁業権税、自動車の収得に対する自動車税、自転車の収得に対する自転車税、荷車の取得に対する荷車税、都市計画税等の多数に上るのであります。  以上を要するに、今次改正案は、実に我が国地方税制の創始以来の劃期的なものであり、特に附加価値税固定資産税及び市町村民税の三大新税の創設、都道府県税体系と市町村税体系との明確な分離及び賦課徴収手続の明確化等の諸点において極めてすぐれた特色を有し、地方財政の確立乃至地方自治強化の為に偉大なる貢献をなすべきことが期待されるのでありますが、反面それだけに新地方税制の実施に当つては幾多の困難と障碍とが予想されるのでありまして、一言いたしたいのは、国民大衆に今次の国及び地方を通ずる処の税制改革において、租税負担の軽減を衷心より希望し、且つ現に国税については所得税及び法人税において相当の減税が実現される見通しにあるにも拘わらず、ひとり地方税のみが逆に負担が重くなるということは極めて解し難いという意見と、地方団体の徴税能力では新たな地方税法の運用に当つては極めて無力であり、その結果地方税収入の確保も期し得ないし、又地方住民の受ける圧迫感も増大するであろうという意見についてであります。  この二つの意見の中に、前者については、冒頭に述べましたような地方財政の現実の下において、国政民主化の推進力ともいうべき地方自治の基盤を確立しなければならぬという至高の要請に鑑み、地方財政を確立するために当然避け得られないところとも言うべきでありまして、この点地方税負担の重くなることは誠に遺憾でありますが、わが国政治の発展を期待する上からは、真に止むを得ないところであると御了解頂きたいのであります。又後者につきましては、確かに現在の地方税務機構を以て足れりとは考えていないのでありまして、要員の急速な充足乃至教養訓練の徹底によつて質量ともにすぐれた税務機構を確立するよう都道府県市町村ともに折角努力していることを申上げて置きたいと存じます。  私といたしましては、新地方税制国民朝野の絶大なる理解と協力の下によくその所期の目的を達成し、以て地方自治の確立を通して国政民主化の上に貢献せんことを願つて止まないものであります。  以上改正法律案の提案理由について御説明申上げた次第であります。  何とぞ慎重御審議の上、速かに御議決賜わらんことを切望する次第でございます。
  37. 太田敏兄

    ○太田敏兄君 この改正法案の提案は予定より非常に遅れたようでありますが、只今配付を得て大臣説明を聴いたのでありますが、この法案は曾て見ない非常に厖大なものでありまして、その内容には慎重に検討すべき多くの問題が含まれておると思うのであります。従つて本案の審議は相当の時日を要するのでありますが、すでに年度末までは僅かに一週間しかないのでありますが、この新税法を直ちに二十五年度から実施するということになりますると、要するにこの法案を我々ができるだけ勉強しましても、四月以降にならなければ仕上げができないと思いますが、そういたしますると、年度の途中においてこれを実施するようになるようなことになりまして、そういたしますると地方公共団体におきましては、予算の編成上及びその実施上につきまして、非常に事務的な混乱もあると思うのであります。殊に今大臣説明せられましたように、この新税法を実施するにつきましては、要員の急速なる充実乃至教養訓練の徹底、そういつたようなことも勿論必要でありましようし、そういつたようなことを考え合せまして、二十五年度に実施することは非常に無理があるのじやないかと思いますが、そこで政府がこの新税法を二十六年度から実施してその完全を期するというお考はありませんか。
  38. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) お話の通りに、提案そのものも大変遷延いたしましたし、これを急速に御審議を願つて実施するといたしましても、政府といたしまして、年度初めの四月一日からこれが必ずできるということは期待できない実情にあるのでございますが、これにつきましては、それぞれ措置を講じまして成立実施され次第、それに即応して各地方団体においてこの新税法により得るような方法を採りたいと思つております。  更にこれを二十六年度から実施するということについて考えないかというお話でございますが、今回の税法の改正は、中央の国の税法の改正と地方税の改正は一貫したところの税制改革でありまして、御承知のように国の税において相当軽減されておるのでありまして、やはりこうした、時を同じうして市町村において増税になるというような税改正をやりますことが、国民の税負担という立場からも堪え易いことでありますし、政府といたしましても、これは一貫した税制改革であつて、どうしてもこの際これを断行しなければならんと考えておる次第でございます。
  39. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 本多国務大臣にお聴きしますが、現在地方公共団体、都道府県とか、市とかいつたようなそれぞれの地方公共団体の議会が始まつて、それぞれ予算というものが審議されておると思うのでありますが、本多国務大臣の御観察では、これらの地方公共団体の予算はこの新しい税法を基盤として組まれておると考えられますか。旧税法によつて歳入予算を計上されて審議されておるとお考えになりますか。
  40. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) これは、税法の改正が国会の御審議を待たなければならんことでありまして、現にまだ旧税法は厳として存在しておるわけでありますから、旧税法によつて予算をそれぞれ組んでおるのでごさぜいます。
  41. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 若しこの法案が仮に、いつ通過するか分りませんが、五月とか、六月とか、或いは七月に通過して、今大臣のお説のような工合に、これを新しい税法として抜本的にやり換えるという場合に、地方の予算というものは、又組み直さなければいかんということになりますか。この点をお尋ねしたい。
  42. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) この税法が改正になりました際には、地方においても編成替えをしなければならんと思います。収入の目等も全部変つて来ることだと思いますから、それは止むを得ないことと思います。
  43. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 もう一点お伺いしたいのは、最近地方公共団体の予算、二、三を私承知いたしているのに、明年度地方公共団体の選挙、つまり知事とか市長とか、そういつたようなことに際会する‥‥地方公共団体のそれぞれの議会の議員の選挙も同様でありますが、これらの予算が知事とか市長とか或いはそういつた議員の選挙対策に都合のいい予算、と申しましては失礼か知りませんが、こういう意図を多分に含んだ予算編成が多数にあるように言われておるのが事実であります。その事実を二、三私も承知いたしておりまするが、或る府県のごときは、知事の交際費が一千万円或いは市長の交際費が何百万円だと言つて、知事室、市長室というような新たな機関を拵えて、有形無形に非常に将来の選挙対策等に、これらの予算が組まれているというようなことの批評は專らであります。でこうしたことに対する本多国務大臣は、政府としては、こうした予算というものを管理、監督、調査をいたし、これらに対して適当な措置を講ずることができますかどうかを、責任と共にその措置についてお尋ねをしたい。
  44. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 実は直接地方の予算に干渉する権限はないのでございますけれども、若しお話のような不当であることの明らかなものがあり、政府としても全国自治制の均衡、と申しましようか、すべてそうした観点から放任できないというようなものがありましたならば、適当な処置をいたしたいと思います。
  45. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 それじや恐縮でございますが、現在各都道府県その他地方公共団体で予算の審議されておりまする各市は十大都市以上くらいのところで結構だと思いますが、それと都道府県の予算というものを至急にお取寄せ願いまして、本委員会に御提出願いたいと思います。
  46. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 都道府県市町村は実は一万以上にも上るのでありまして‥‥。
  47. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 市は十大都市以上で、あと都道府県だけで結構であります。
  48. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 都道府県だけにしましても審議の過程にあり、未確定なものであり、これを全部揃えますということは容易なことではございませんが、特にそのお調べにならなければならん要点をお伺いいたしまして、その目的に副つて一つできるだけのことはいたしたいと思います。
  49. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 それは府県の、自治公共団体の長がそれぞれの議会に提案しておる原案というものがあると思います。まあガリ版なり、印刷なりそれぞれありますから、もうそれは立ちどころに送付できるだろうと考えますから、それはもうわけないことだと考えます。私は五万以上の市だとかいうことは申しませんので、十大市以上ぐらいのところと、四十数県の都道府県のものは早速に取寄せられると思いまするが、本案審議の上に重大なる関係があると思います。
  50. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) これは委員会の御要求でありますならば、十分努力して見たいと思います。
  51. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 じや終ります。
  52. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質問ございませんか。国務大臣に伺いますが、これは公布の日から施行するとあるのですが、公布の日がいつになるか分らぬ。例えばそれが六月一日としますれば、二ヶ月の間は経過的に処置をされなければならない。この間荻田次長からいろいろ地方自治庁の方で今予め考えておられる対策について承りましたが、本多国務大臣は、法律的措置とかなんとかは御必要ないと思つていらつしやるのか。もうこの月一週間しかありませんが、そういう点についてどうなるのでございましよう。
  53. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) これは法律的措置と、それから通牒による各地方団体の善処方と、双方を考えております。旧税等は旧税法で取つて貰わなければならんからそれは取ること、更にこの改正された税法の徴収見合の税につきましては、延期させるようにというような方法も探つております。ただ酒の税のごときは、酒の消費税を廃止することになつているのでございますから、廃止されるという見通しの下に、これについては四月一日から廃止されるという法律的措置を講じようかと考えまして、その準備もいたしておるのでございます。
  54. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それから今御説明の中で地方財政委員会云々というようなことが所々に出ておりますが、これは現在の地方自治庁を廃止して地方財政委員会に切換えるのだというシャウプ勧告の線に副つておやりになるのだと思いますが、法律案はいつ頃御提出の予定でありますか。いつからその地方財政委員会に切換えるように予定しておられますか。
  55. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) これも、地方財政委員会に切換わる時期は、新年度の当初、四月一日からということを考えて立案いたしておるのでございますが、この地方財政委員会の設置法、更に平衡交付金法の二つが、すべての司令部との折衝は終つたまま司令部に停滞をいたしまして、その後承認が今日まで得られないのでございますが、併し司令部においても、非常に最後的な結論を急いで努力して頂いているという情報は得ている次第でございます。すべてが結論に‥‥政府との関係におきましては折衝を終えていることでありますから、この国会にどうしても審議をせねばならん法律であるということは、司令部の方でも十分了承しておられますので、これは、今日でもその結論が示されるのではないかという態度で、実は待つているような次第でございます。
  56. 鈴木直人

    鈴木直人君 もう一つ、この交付金に関係してでありますが、仮に例を取つて、六月一日からこれを実施するということに仮になつたというような場合には、四月、五月は旧の税法によつて税を取り、六月以降はこの法律によつて税金を取る、こういうことになりますか。そういうふうになりますると、相当税の徴収なり、税制の混乱を来たすと思いますが、その点はどういうふうになりますか。或いは四月に遡つてやる、六月に実施しましても四月に遡つてこの新しい税法が適用するのだということは法律的に不可能だと思うのですが、経過的にどういうふうに処置されますか。
  57. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 鈴木君に申上げますが、その問題はこの前の委員会で聴いたのであります。併し速記がありませんでしたから、重要な問題で、相当欠席の方が多かつたものですから、もう一度御説明を願います。
  58. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) これは鈴木さんの言われる期日になりますというと、お話の通りになるのでございますが、大体旧税法で取つた税額との格段等を考えて施行したいと思つているのでございます。併しお話のように、六月、七月というふうにそれ程遅延するというふうには‥‥これは全く議会側の御意向によらなければならないところでありますけれども、それでは誠に困るのでありまして、これは是非今少しく早く御決定願えることを期待いたしておるのであります。
  59. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 この前の委員会でも、その問題を私は質疑したのですが、今又大臣のお答は、やはり依然としてこの前のように四月から実施するお考なのかどうかを伺いたいのです。この條文を提出して、この條文がこれから審議を開始して、衆議院が一週間か、十日か、二十日か知れませんが審議して、今度参議院でこれを本審査になる。今日すでに二十四日なんです。もう月末が日の前に来ているのに、そういうふうなことでは非常に国民も迷惑するのであつて、これからこれを‥‥参議院はまだ予備審査、本審査じやない。今日から始めて、この大規模な税制を、衆議院で審査を開始したばかりなのです。それをいつやるかと言えば、これは月末からでもやる、政府の言明は実に国民を愚弄したものと思うのです。そういふうな重要な内容を持つた、こういうふうな根本的な改革の法案でありますから、取られる方の国民の側のことを思つて、もう少し期間をずらして実行するようにしなければ、ここに大臣の御説明にあつた通り、私もこの前の委員会でお尋ねした通り、徴税機構の拡充とかというふうな問題は、自治庁はそういうふうに簡単に考えておられるかも知れませんが、実際に十分な組織又十分な訓練をしたものが徴税をしなければ、現在国税の面において税務署の役人の訓練が足りないために国民は非常に迷惑しておることは、もう何人も、ラジオの討論会などでも始終問題になつて、それに又こういうような今日審議を開始せんとする、而も大臣の述べた提案理由の中に自分から言つておられるのです。そういうようなことは国民の声なのです。更に地方税においてそれに輪をかけてやられたのじや国民の首を締めるようなものです。十分に機構を整えて、そうしてこの法案を、取る方の人間がよく頭に入れて、極めて合理的に徴税しなければならんと思うのです。これが今日三月二十四日なのです。又通りさえすれば直ぐ行うというのは以ての外だと思うのです。苟も十分にやるとすれば半年くらいあとに延して、そうしてやるのが至当なことだと思うのです。その点をここで新たにはつきり伺いたい。
  60. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 政府といたしましては、これもやはり年度の当初から実施するという建前を取つて行かない場合、年度の中途で税法の改正ということになりますと、一層の困難が伴うと思われますし、又それでは折角二十五年度から地方財源の確保ということもできないわけでありますから、でき得る限り速かに御審議決定をお願いしたい。遅れれば遅れるほど只今のお話のような困難が加わるわけでありますから、是非でき得る限り早くお願いしたいと、お願い申上げる外にはないのであります。
  61. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今大臣が、遅れれば遅れるほど国民が迷惑すると言われました。それでは、御承知の通り、この地方税法の改革案程議会に向つて国民のあらゆる面から反対陳情が来ておるものはないと思うのです。それなるが故に、我々国民代表たる議員は今までにないような十分なる検討を加えてやるべきだと思うのです。このくらい反対陳情が来ておるものはない。政府の與党たる自由党の連中でも、相当な人が、これと同じような連合会の会長又は‥‥ここに現にいる政府委員は勿論ですけれども、我々も反対陳情しているわけです。これくらい反対陳情の、全面的に起つて来ておるものはないと思うのです。それを軽々に我々がここで採決することはできない。十分期間を置いてこの内容を検討するのが当然であります。それは政府においてよく分つておると思うのです。我々はこうやつて書類を沢山持つておるが、これはみんな反対陳情ですが、そんな政府の言うように早く通してくれれば早くできるのだ、それが国民のためになるのだと、これは全然逆です。国民はそう思つてやしない。これを十分検討して国会において修正して欲しいと、厖大な書類が各産業界の代表者から出ている。これは政府においてよく御承知の筈なんです。それをこの大部の法案を早く審議して欲しいというのは以ての外なんです。取られる身の国民なつたら、そんな簡単に行かんです。重ねて大臣に伺いたい。
  62. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) これは期日を切つて政府からお願いしていることではありませんので、十分御審議は頂きたいのでございますが、政府としては速かなる成立を、これは希望することは間違いないのでございます。
  63. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 鈴木君に申上げますが、あなたが先程質問された件につきまして、皆様に今日その書類をお配りしてあります。これによつて御存じ願いたいと思います。
  64. 島村軍次

    ○島村軍次君 重要な法案でありますから、本日は説明程度に止めて散会を願いたいと思います。
  65. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) その前に地方財政委員会の大体の構成をお聴きして置きたいと思います。
  66. 小野哲

    政府委員小野哲君) 委員長からも御指名がありますので、私から簡単に、政府が考えております地方財政委員会設置法案の内容について申上げたいと思います。  この委員会は国家行政組織法の規定によりまして、総理府の外局として設ける、こういうことにいたしております。この委員会はどういうような構成になつておるかと申しますと、委員長及び委員四人を以て組織することに相成つておりまして、政府の考え方は、国務大臣を以て委員長に当てたい、こういう考を持つておる次第でございます。尚この委員会は御承知のごとく、新たに創設される地方財政平衡交付金の運用等に関する事務を所掌いたします外、地方税法その他所要の法令によりまして附加されました権限を行使するということに相成つておるのでございます。ただ委員会構成が五人の委員を以て組織されるのでありまするが、これが運営を図りますために、事務局を設置することに相成つておりまして、この事務局には所要の職員を配置いたしたいと、かように考えておる次第でございます。尚この地方財政委員会が設置されます場合におきましては、地方自治庁設置法が廃止されることに相成りますことを附加えて申上げて置きたいと存じます。極めて簡単でございますが、以上のような構想を以て地方財政委員会設置法の成案を見まして、目下関係方面と折衝いたしておるような次第でございます。
  67. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 只今小野政務次官の御説明の中で、委員長国務大臣を当てるというお話ですが、前木村国務大臣のときには、確か委員長国務大臣でないようなお話を伺つたのですが、そのときに私は予算との関係があるから国務大臣にしたらいいという意見を述べたのです。それは国務大臣に決つたのですな。
  68. 小野哲

    政府委員小野哲君) 西郷さんの御指摘のように、政府におきましても種種愼重な検討を加えました結果、地方財政運営の点から申しましても、国務大臣委員長とすることが適当であるとかように決定いたした次第でございます。
  69. 鈴木直人

    鈴木直人君 私は西郷君と同じように、委員長国務大臣を以て当てることが最も委員会の運営において力強くやれることであると考えております。何かいろいろの情報によりますと、必ずしもそりようにならないかも知れないような趨勢にもあるやに聞いておりますが、その点はどうなりますか。
  70. 小野哲

    政府委員小野哲君) 鈴木さんからおつしやいましたように、地方財政委員会の性格なり或いは運営について、いろいろの意見が出ておりますことは事実であります。甲の意見は、先程西郷さんなり或いは鈴木さんが御指摘になりましたように、国務大臣委員長といたしまして、国政との緊密なる関連において、財政の運営の衝に当るということが、この委員会としては地方自治強化等の目的を達成する上からも適当である、こういう見解であります。他の乙の意見はこれに対して地方財政委員会のごとき、地方財政の運営を担当する委員会は、むしろ内閣に対しては独立した性格を與えた委員会として、国務大臣を入れないで運営することが妥当ではないか、こういう意見があるのであります。これらの点につきましても、恐らくそれぞれの方面において、検討が加えられておるのではなかろうか、かように考えておるのでございますが、政府といたしましては、先程申述べましたように、種々検討の結果、国務大臣委員長にすることが適当であるということに決めましたような次第でございます。
  71. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それで委員の選任はどういうふうになるのですか、その点をお伺いいたします。
  72. 小野哲

    政府委員小野哲君) 委員の選任につきましては、これが手続を慎重にいたしますことと、尚又地方財政の運営が主たる職務と相成ります関係上、大体におきまして、地方行政調査委員会設置法の趣旨に則りまして、全国の都道府県知事連合組織代表者が推薦した者一人、全国の市長連合組織代表者が推薦した者一人、全国の町村長の連合組織代表者が推薦した者一人、即ち都合三名は是非とも入れなければならない、こういうことにいたしておりまして、他の二名は、これは政府から推薦するということに相成ろうかと思うのでございます。而してこの委員を任命いたします場合におきましても、やはり地方行政調査委員会議の例にもありますように国会同意を得る、こういう手続を取ることにいたしたいと考えております。
  73. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 只今地方財政委員会の法案はまだ提出になつておりませんが、今のお話のような段階にあるのですが、この現在の地方税法との審議関係上、要綱案で結構でございますから、直ぐ出して頂きたい。
  74. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 西郷君から只今御請求のありました地方財政委員会設置法案の要綱をお出しを願いたい。それから先程岩木委員から御要求のありました都道府県及び十大都市くらいの知事並びに市長が今度の議会に提出した予算ですね、これが集中する範す囲において御提出願いたいと思います。
  75. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今日は先程島村君から要求がありましたから、ああいうふうにして頂いて、終る前に、さつき飲食業の税率の問題について陳情があつて、現行のさつきの大臣説明の中にも、あつた通り、四種類の税率に対し、一割平均にして頂きたいといという要望と、免税点を据置いて欲しいというのが、さつきの陳情の要点だつたと思いますが、そういうようなことに対して、さつきの陳情の全般に亘つて本多国務大臣の御意見を伺いたい。
  76. 本多市郎

    国務大臣本多市郎君) 政府といたしましては、政府の方針を決定いたしまして、司令部の承認も得まして提案いたしたばかりでございまして、地方税法としては原案の通りに是非決定すべきものであると思つております。但し最前陳情を拝聴いたしたのでございますが、その間税率を更に思切つて引下げても、予定収入を挙げて、地方財源に支障なしという見通しがあるという意味が述べられておつたようでございますが、そうした見通しがあります場合には、御承知の通り遊興飲食税標準税率でございますから、都道府県市町村において、これは適宜その地方に適応するような税率を採用して、税率を思切つて下げて、而も予定収入を得られるというような措置を議するということに対しましては、政府といたしまして、何ら干渉する意思はないのでございます。
  77. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 外に御質問ございませんか。  それでは最後に御報告申上げますが、先日公聴会のことにつきまして、予め御決定をお願いいたして置きました。それは政府予備審査提出をいたしましてから七日目、つまり昨日予備審査に本委員会にかかりましたから、公聴会の日取りは三十日ということになります。これは本院規則第六十二條によりまして、議長の承認を受けるべく要求いたしております。本日の議運で承認される運びになつておるものと存じます。これだけ御報告申上げます。
  78. 鈴木直人

    鈴木直人君 只今の公聴会につきましては、本日の午後の議院運営委員会において、持廻りを以て決定いたしたわけでありますが、ただ共産党から一応伝えて貰いたいという要求がありましたので、御伝えいたします。その人選において、共産党としては、もう一つ労働組合側とか、そういうふうな人の意見も聴くためにおいて、そういう人も加入させるということを期待するものであるという、こういうことでありましたが、私は私の意見として、これはもうすでに地方行政委員会において決定したものであつて、一応決定してしまつたものであるから変更はできないが、一応その旨は委員会に報告するということにいたしてありますから、御報告いたします。
  79. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) その点につきまして、この委員会でも濱田君でありましたか、或いは三木君でありましたかから、労働組合側からも一人公聴会に呼んだ方が適当であろうという御意見が出まして、皆様の御賛同を得まして、今人選中でございます。この点申上げて置きます。  それでは今日はこれで散会いたします。    午後三時三十三分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君    理事            吉川末次郎君            林屋亀次郎君    委員            三木 治朗君            黒川 武雄君            堀  末治君            岩木 哲夫君            柏木 庫治君            西郷吉之助君            島村 軍次君            鈴木 直人君            太田 敏兄君   国務大臣    国 務 大 臣 樋貝 詮三君    国 務 大 臣 本多 市郎君   政府委員    地方自治政務次    官       小野  哲君    地方自治庁次長 荻田  保君    総理府事務官兼    法務府事務官    (地方自治庁連    絡行政部長法制    意見総務室主    幹)      高辻 正己君