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1950-03-10 第7回国会 参議院 地方行政委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月十日(金曜日)    午後一時四十一分開会   —————————————   本日の会議に付した事件理事補欠選任の件 ○地方行政改革に関する調査の件  (消防に関する件)   —————————————
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。去る八日の委員会におきまして標準義務教育費確保に関する法律案についての文部大臣説明を聴取いたしました際、配付された資料につきまして吉川委員から御質問がございました。右を取調べましたところ、手続上遺憾の点がありましたので、今後委員会に配付する資料につきましては、委員長の承認したものに限つて配付をするということにいたしたいと思います。右御了承を願いたいと思います。
  3. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 尚それに関連してでありますが、曾て消防組織法案政府より提案せられましたときに、参考資料といたしまして、私か委員長在任の当時、米国の消防組織について、ハーバート大学モンロー博士の論文を翻訳して活版に附して委員諸君に配付したことがありますが、その残部常任委員会にまだ残つておるかと思います。尚その後地方行政委員の方で新らしく御就任になつた方もいらつしやいますので、この度消防組織法改正についての議事を進めて行くのに何等かの参考になるかと思いますので、もう一度残部があるかないかを一つお取調べ願いまして、ありましたならば委員に配付されるようにお取計い願いたいと思います。
  4. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 承知いたしました。次に当委員会理事が一人欠員になつておりますので、理事一人を補欠いたしたいと思います。
  5. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 理事選任については委員長に一任するの動議を提出いたします。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  6. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは推薦の方法によることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは民主党の岩木哲夫委員にお願いすることにいたします。   —————————————
  8. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 今日御審議願いまする事件は、消防に関する件につきまして、地方行政改革に関する調査をいたしたいと存じます。御承知の通り消防組織法の一部改正法律案政府において提出されるやに承知いたしております。確か閣議決定を終りまして、関係方面に出されておると聞いております。この消防組織法改正につきましては、従来各方面から陳情請願が当委員会に出されております。全国都市消防長連絡協議会の会長たる東京消防総監からも出ております。又全国消防課長連絡協議会消防機構強化促進委員会からも出ております。又消防協会東海ブロツク会及び九州協議会代表からも出ております。それから旧都道府県消防課長代表からも陳情が出ております。又千葉市、外千葉県内の市部の消防長からも出ております。こういうふうな有様でありますが、先ず国家消防庁長官から、消防組織法案消防法の一部改正法律案につきしまして、今までの経過並にどういうような構想になつておるのか、その御説明を承わりたいと思います。新井国家消防庁長官
  9. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) 消防組織法改正につきまして、御説明いたしたいと思います。消防組織法の一部改正政府におきまして進めておるのでございますが、只今関係方面と折衝中でございまして、その手続のために、現在のところ政府案決定しておりません。さような事情のために、本日申上げますことは政府確定案ではございませんが、立案途上における経過ということで御了承願いまして、予め御研究参考に供する次第でございます。お手許にありまする消防組織法の一部を改正する法律案要綱という、それに基きまして、説明さして頂きます。私共の希望しておりまする改正一つは、国家消防庁所管事務について、法文を整備するということが一つでございます。その中で「消防準則研究及び立案」という所管事項を「消防制度組織研究立案及び指導」というふうに改めたいと存ずるのであります。これは「消防準則研究及び立案」ということは、消防指導の一部でございますが、あまりにも狭きに失する嫌いがございますので、広く「消防制度組織研究立案及び指導」というふうに改めたいと、かように考えるわけでございます。実は検定対象防火資材等を加えるために、現在迄検定対象消防機械駅具」というふうにありましたのを、「機械、器材」というふうに拡げたいと考えるのであります。これは例えば防火液とか、或いは防火塗料というような消防に関するものでございますので、さようなものも検定対象にいたしたいということでございます。  第三の整備の点は、「消防設備資材等斡旋」を加える。これは実は消防組織法の中に出ておるのでございますが、條文整理といたしまして、所管事務の中に整理をいたしたいという考えでございます。  改正の第二の点は、要綱の二、三、四、五、六、十に亘るのでございますが、消防組織事項につきまして自治を著しく侵害せざる程度におきまして、消防の保持、発達という点から国家消防庁におきまして、一定の準則を示しまして、それによつて消防組織整備を図りたいということであります。その一つ消防職員の採用及び昇任に際しまして、只今のところ資格が各地におきましてばらばらになつておりまするので、これを資格準則国家消防庁が定めるようにしたい。第二の点といたしまして、市町村消防本部消防署、消防団設置についてでありまするが、現在のところではこれは全く市町村自由裁量に委せられておるのでございますが、現状を調査いたして見ますると、自由裁量によつて勿論非常な進歩、発展を遂げておりまするところもございますけれども、一部につきましては、自由裁量だという考えのために、却つて非常に消防力の低下を来たしておるというところも少なくないのであります。この事情によりまして、市町村設置する消防機関基準というものを、国家消防庁において示すことができまするならば、少なくも消防機関最低のところは確保した方がよろしいのではないかという考えを持つておるのであります。  第三の点は、市町村消防訓練機関設置基準をやはり国家消防庁が決めまして、余りにも差等があり過ぎて、或いは内容の貧弱過ぎるところを或る程度まで伸ばして行きたいということであります。それから第四の点は、市町村消防吏員の定員の基準をやはり国家消防庁が決めるようにいたしまして、これに基かしめる方が消防の維持或いは発達のためによかろうではないかと考えるりであります。勿論これらの事柄市町村財政その他自治に開通する事柄なのでありまして、さような財政その他の事情を十分に考慮いたしまして、無理の行かないようにやることは勿論必要でございます。それから第五の点は市町村消防吏員階級基準を現在のところこれは非常にまちまちでありまして、又名称なども必らずしも一定しておりません。これは活動上或いは恩給等の査定のときに当りまして、支障がございますので、階級基準というものもやはり国家消防庁が決めるようにした方が便利であるというように考えるわけであります。  次は十の都道府県消防訓練機関設置基準消防庁が決めるようにする。都道府県消防訓練機関につきましても市町村消防訓練機関と同様に、基準を示してそれによらしむる方がよかろうというふうに考えるわけであります。  改正の第三点は、要綱の七に掲げてありますが、国家消防庁都道府県知事及び市町村に対し、消防に関し指導勧告及び助言を與える権限を付與することであります。現在の法律によりましては、市町村要求がありましたときに、国家消防庁助言をすることができるだけでございまして、極めてこの指導という面から言いますると、消極的な状態に相成つておるのでございます。併し消防発展向上を期しまするためには、必ずしも要求がない場合におきましても消防に関して指導勧告のできるような積極的な方法を考慮されるようにやつて貰いたいということであります。  第四の改正要点は、八の都道府県知事に、国家消防庁指示勧告及び助言に反しない範囲において、市町村長に対し、消防に関して指導をなし勧告及び助言を與え、設備資材等斡旋をする権限を付與する。只今の法制の建前からいたしますと、国家消防庁市町村に対しまして弱いながらも助言或いは斡旋ということのできることに相成つておるのでございますが、国家より更に市町村に密接いたしております都道府県知事は、管内の消防につきまして市町村長に対して指導或いは斡旋、世話をするということが必ずしも明定しておらなかつたのでございます。むしろ市町村消防発達向上を期しますために、は国家より以上に都道府県知事におきまして、そのような指導をすることのできるようにして置くことが大切だと考えるわけでございます。その点を改正いたしたい考えであるのであります。次は九の地震、台風、水火災その他の非常事態の際の災害防禦に関して、都道府県知事市町村長に対する措置命令権を附與する。非常事態の場合におきまして、協定或いは話合というようなことで、事態の処理に当るということは、必ずしも実情に即しませんので、こういうような非常事態の場合におきましては、知事市町村に対して消防的な措置を指揮せしめることのできるようにしたいと考える次第であります。  次は十一の市町村防火査察事務指導連絡に当るため都道府県防火査察員を置く、予防消防という建前からいたしまして、平素における消防の防火的な査察は極めて重要な仕事でございますので、この市町村防火査察事務を十分に指導し、又遺漏のないように連絡に当るために、都道府県防火査察員というものを置きまして、事務に当らしめることを適当と考える次第であります。  それから後は、大したことではございませんが、消防職員及び消防訓練機関職員恩給につきましても、現在の法律條文では恩給法取扱区分が明確でないために実施上困つておりますので、これを明確にしたいと考えることと、それから市町村消防の一部事務組合を設けるときにおきまして消防組織法の適用につきましては、これを一つ市町村とみなすということにいたしたい。大体以上のようなことを考えまして、立案に当つておるわけでございます。
  10. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今までの国家消防庁長官説明に対しまして、御質疑がございましたらお願いいたします。
  11. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 我々に示されましたこの国家消防庁側からの消防組織法に対する改正要綱と、今の長官説明を聴いて感じますことは、第一国会で制定された消防組織法立法基本的精神と全く反立する基本的な精神に基いて、この国家消防組織法改正しようとしていられるということが痛切に感じられるのであります。で、私は実は今までこの委員会におきまして日本の新憲法に基くところの国民生活民主化ということを実現するということのためには、旧内務省中心として勢威を振つて来たところの旧内務省官僚考え方地方自治の面かがら拂拭するのでなければ、断じて日本国民生活民主化はあり得ないということをしきりにまあ憎まれ口を言つて来たのでありますが、平素言つておりますその自分の持論と同じような見地において、国家消防庁長官が相変らず昔の内務省考え方地方行政の面において復活さそうというような感じを抜け切つていない。即ち新憲法精神に基く、或いは地方自治法精神に基くところの地方自治拡大強化というようなことに対する十分の精神的な御理解がまだできていないのじやないかと、失礼ながら感ずるのでありますが、消防組織法の第十九條によりますと、「市町村消防は、国家消防庁運営管理又は行政管理に服することはない。」ということを特に規定いたしまして、そうして地方自治法地方分権主義と相並んだところの地方消防組織についての地方分権主義をここに特に高揚いたしておるのでありますが、この改正案及び今の御説明によりますというと、この要綱の文書と照合いたしまして、殆んど今の地方分権主義的な消防組織精神を蹂躪するような見地に立つてすべてのことが解決されようとしておるように感ぜられるのでありますが、その筋と目下交渉中であるというお話でありましたが、大体において今日までのその筋との交渉内容及結果、まだ未決定でありましようが、今日までの経過と大体どういうような向うの意思であるかというようなことについての推定というようなことについて、今申したような、即ちこの改正案地方分権主義に反するものである。或いは消防組織法立法精神を全く蹂躪するような改正案であるということの私の見解と結びついて一つ答弁を願いたい。
  12. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) このたびの只今申上げました改正に関する意見は、只今御指摘になりましたように、一面からいいますると、地方自治に対する一つの制限になることがあるのであります。ただ我々として考えることは、飽くまでも消防市町村自治の大原則に基きまして運営をし、尚今後発達向上せしめなければならんというのでございますが、地方自治に全く一任して安心の行ける実情……、今まで約二年の間の経験に徴しまして、地方自治を或る程度制限することになるけれども、その根本原則を侵害しない程度において、最低限度のものを基準といたしまして、これに基かしめる方がよかろうじやないかということがございますので、その点を考えまして、種々なる基準に基かしめるというふうに考えたわけであります。勿論市町村消防は今後といえども国家消防庁運営管理又は行政管理に服することはないのでありまして、飽くまでも消防市町村の責任におきまして決定運用さるべきものであります。ただ運用する基準を示しまして、最低限度の線を示しまして、それによつてこの市町村自分消防をみずからの手で運営管理又は行政管理をするようにしたいという考え方でございますので、その点は御了解を得たいと思います。
  13. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 G・H・Qとの関係はどうですか。
  14. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止
  15. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記をつづけて下さい。
  16. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 今の長官の御説明を聴いて、私は国家のために非常に憂慮するのでありますが、先程申しましたように、失礼ながら長官は新憲法精神も、地方自治法精神も、又新らしい警察制度精神も、又新らしきこの消防組織法精神も、全然御理解になつていないように思います。そうして変らず昔風の中央集権的な、又地方自治に対する極めておせつかい主義の、何というかパターナリズムの態度で臨むということの頭が少しも切替えられていない。そういう人がこの中央政府の役人であるということは、地方自治のために非常に私は歎かわしいことだと思う念も更に再び感じたのでありますが、その筋と御交渉になつても、消防の方の係りの人は、私の見るところ、大体技術家であると思うのであります。技術家の人は勿論その能率が上がるというような面からのみ、ものを考えますし、又全般的な政治地方行政、或いは政治思想の面においての考え方が十分でないと思いますから、あなたにどんな援助をしておられるか知らんけれども、少くとも今交渉が行き悩んでおるかのようにお答えになつているところの政治局においては、あなたのような昔の内務省と同じような考え方消防組織法改正をしようとしておるような考え方に対しては、私は反対せられるのではないかと大体推察するのでありますが、そうした政治局意向如何に拘わらず、全般を通じてあなたは頭の切替えが戦前と少しもできていない。本当にそういう、ことでは地方自治のために実際、私は国家のために、憂慮せざるを得ないということを感ずるのでありますが、例えばこの要綱の中でも、国家消防庁というものが、昔の内務省と同じように、何か地方の県や市町村から一大優位な行政機関であるというような頭が、非常に強くあなたを支配しておると見えまして、その趣旨においては「国家消防庁に、都道府県知事及び市町村長に対し、消防に関し指揮勧告及び助言を與える権限を付與する」ということ、又それと同一の精神のことが大分書き並べられておるようでありますが、そういうことが先に私が引用いたしましたところの消防組織法の第十九條の「市町村消防は、国家消防庁運営管理又は行政管理に服することはない」と特に規定されている精神と全く背馳するところの思想であるということは、私は断言して誤りないと考えるのでありますが、尚、国家消防庁消防組織法の第二條によつて国家公安委員会機関でありますが、国家公安委員会はあなたがここに示されておるところの消防組織法改正案要綱についてどういう考えを持つておるのであるか、若し私は、あなたがここに示されておるような案に現在の国家公安委員会が全く賛意を表しておられるものであるとするならば、国家公安委員会国家公安委員を規定しておるところの新警察制度地方分権主義、それと相並んで行くべきところの消防組織法立法精神というものを全く理解せられていないものでおるというように、考えざるを得ないのでありますが、以上のことに対する御答弁をあなたからもう一度お願いします。
  17. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) 最初にお断りいたしましたように、これは政府の最後的な決定案ではございませんので(吉川末次郎君「案文を書いた君の頭がどうかしておるじやないか。憲法を見たまえ、憲法を」と呼ぶ)ただ我々の考えておりますることをこの委員会において説明せしめて、そうして御審議の御参考に資するというので申上げたわけでございますが、国家公安委員会でも、勿論私の属しておりまする国家公安委員会におきまして、このことにつきましては御了解を受けておるわけでございます。
  18. 鈴木直人

    鈴木直人君 只今改正案というようなことで説明ありましたが、お話によりますると、まあ改正案までは行かんので、全く、何と言いますか、そういう考え方を持つておるということを、まあこの委員会を信頼する意味においても、また発表の時期ではないかも知れんが、一応こんな案を考えたというようなことで、きつとここに提案されて一応説明をされてみたに過ぎないのだと思います。従つてこの改正案の、その案の案かも知れませんが、その根本の方針なり或いはその具体的な條項なりについての考え方というものは、それぞれこれはあるわけです。私らもいろいろありますが、そこで本日は、聞くところによりますと、各府県消防関係主管課長とか消防団長が相当見えておられるということであります。そうして幸いに国家消防庁から案の案のようなものが、いろいろな今の吉川君のような批判もある案でありますが、そういう案が提案されておるわけだから、この際に本日見えておられるところの実際の方々の御意見を我々も聴いておくということが非常に有効であると考えるのでありまして、各府県の担当の方々陳情とか意見というようなものを、この委員会においてこれから述べて貰うという点について……、私はそういうふうなことを発言するのですが、他の委員の方が賛成されるかどうか。一つ意見委員長から諮つて貰いたいと思います。
  19. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今鈴木委員から予ねて当委員会消防組織法の一部改正につきまして、いろいろ陳情請願をされておる。消防団又は各府県消防課長代表方々が見えておられる。それに対して発言を許して、その意見を聴取したいという申出がございましたが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 岩木哲夫

    岩木哲夫君 異議あり。今吉川君からもお話しがありましたが、どうも根本的に改正案の要旨なるものが相当問題点が多いし、疑義もあると思いますので、案の案というようなものを中心にして、そのようなことをお開きしても、筋が外れて無駄な時間があるのではないか。もつと根本問題を検討して、案の案か、案か、どつちか。その辺を究明してから一つお運びを願いたい。
  21. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これを申上げますが、最初に私から御説明いたしましたように、これはまだ関係筋に出ておるくらいの程度で、この政府考えておる改正法律案の骨子というようなものの説明を願つたわけです。だから法律案審議ではないのです。そこでこの問題に関しまして、いろいろ陳情請願委員会に対して非公式に出ております。その方々が見えておるから、その人達の意見も聴いて置こうと、こういうわけです。それでは……。
  22. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 只今吉川君の御趣旨の……。言われたことは、私も同感なんで、吉川君の御趣旨に共感をし、それだからこれは案だという、案の案だと。そういう逃げ口上であつたが、そういうことは甚だ不明確極まる。要綱なら要網で、こういうような精神立案経過にあるのだという、案ならば案ではつきりしなければ、案の案だというような、そういう逃げ口上は甚だ不明確だ。こういう精神立案するでしよう。するならばするではつきりしなければならん。案の案というがこの精神に基いて、やるならばやるとそうはつきりして置かなければ、我々が質問するにも荒唐無稽になつてしまう。説明されるならば説明するで、その精神に基いて法案を作るのだとはつきりして置かなければ、何を以て我我質疑をするか。その趣旨説明するために来られたのじやないか。そういうふうな逃げ口上というものは甚だ不明確極まるものであると思う。その点をはつきりして置かなければならん。
  23. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) これは政府として決定したものでございませんので、政府の案を作る過程、まあ経過説明せえというお話でございましたので、我々の考えておる改正要点というようなことを予めお話を申上げたわけでございます。
  24. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 私は国家消防庁長官の頭の問題について非常に不満であるから遺憾の意を表したいのですが、この問題については、今後国家公安委員会から来て、意見立法者としても……立法者は我々であるけれども、原案作製者としての意見を承わることにして頂きたい。
  25. 鈴木直人

    鈴木直人君 実は私が発言しましたのは、今長官説明したところのものを中心として、実際の方面方々意見を聴くという強い意味ではないわけです。一応こういう案については予め十分意見があり、吉川君のような御意見というようなものも尤もな点もありますし、又各條項についても、これは国家消防庁に委せるよりも、むしろ法律の中に規定しておいた方が徹底するのではないかというようなものもあります。その他根本的に考えられた点についても検討すべきものはある。従つて今後は相当これは立案過程においても、或いは案として提出された後においても、案を実はそれはそれなりにしておいて、それを基礎とするというのではない。それはそれくらいにして、これは我々委員会だけでやれることであるから、それはそれぐらいにして、幸いに今日は遠くから来ておられる人があるのですから、その御意見もこの際聞いて置くことが、本日の委員会運営の上において非常に有効ではかいであろうかという、こういう意見でありますから、西郷君からお話がありましたが、実はそういうふうに誤解をされて……私の言い方が悪かつたと思いますが、この案を中心としてこの意見を聞くというのでなくして、この案はこのままとしてしまつておいて、そうして今の外の方の御意見を承るようにしたらどうかと、こういう意見であります。
  26. 島村軍次

    島村軍次君 只今鈴木君の説に賛成いたします。折角お出でなつたのですから、地方の状況を一つ簡明に願えるようにお願いいたします。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  27. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは御異議ないようでありますから、先ず千葉県の市川市の消防団長福地新作君の御発言を願います。速記は二時半までしかありませんから、これで……。    午後二時二十九分速記中止    ——————————    午後三時十三分速記開始
  28. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を始めて下さい。
  29. 林徳治

    参考人林徳治君) こういうことをこの席において申上げることは甚だ相済まんと思いますが、私共消防団員はこの問題こそ先ず真先きに改正しなければ、我が国の消防の前途というものは、先程千葉県の団長からお話なつたような憂うべき事態も到来せないとも限らんまでに考えておるのであります。無論この問題が、先程も申されたように、実際火災その他の災害の場合に、現場におつて直接その責任の下に活動して参りまするのは、御承知の通り消防団長であると思うのであります。それは市長村長が、その権限を持つておるからいいじやないかと、いうお考えもありますが、さつきお話のあつた通りに、そういう現場に市長村長が必ずしもおるということは考えられないのでありまして、多くの場合はおらないということが常識であろうと思うのであります。いろいろその職務の繁忙のために、そういう場合にはおらないということが多くの場合であろうと思うのであります。そういうような実際にそぐわんものをどこまでもそのままにしておくということは、我が国の消防将来のために、非常に大事な問題ではないかと考えられるのであります。この点どうか機会がありまするならば、皆様の委員会の先ず御研究をお願いいたしまして、そうして全国の二百有余万の消防団の気分がすつきりといたしまして、そうして大事な消防業務に本然の姿をもつて邁進することができるようにして頂きたい、かように考えるのであります。それからついでに附加えてお願いいたしますることは、これも先程申されたようでありまするが、我々消防団員地方公務員として、そうして特別職にして貰うような仕方はないものであろうかと思うのであります。これは万一公務中にいろいろな災害に遭うて、或いは殉職する消防団員も一年間のうちには数名を数え、又その外に傷害を受けていろいろ不具廃疾となるような場合も多いのであります。併しこれらについては、どうも現在逼迫しておる市町村財政の状態におきましては、他と較べて余りに悲惨なる教護の方法しか望まれないのでありまして、こういうような点も一つ災害補償の適用ができまするように、何とか御研究御考慮を願いたいと思うのであります。それからもう一つは、これもさつき申されたように、どうも現在の逼迫した町村の財政におきましては、お互い消防団長を初め、消防団はいろいろとその市町村に即して、十分万一の場合に職責が果し得ますように施設を向上せしめて行くということに努力いたすのでありますが、どうも思うように意に委せんので、不満足ながらいたし方がないものとしてできるだけのことでやつておる状態であります。先程も申されたように、地方にはやはり国家の建物もありまするし、又県の建物もあるのでありまして、必ずしも市町村のみにそれを委して置かれるというようなことは、甚だ不合理であるというようなことも消防団が集るといつも話し合つておるのであります。これについて今度税制の改革によりまして、平衡資金というようなことがあるそうでありまするが、現在においては消防の経費ということが平衡資の対象となつていないというようなことを承わるのであります。若し市町村消防経費がその対象となりまするならば、今申上げるようなことが非常に改善されて行くのではないかと考えるのであります。  甚だお分りにくかつたと思いまするが、私は以上申上げまして委員の皆様方の御理解と御協力によりまして全国二百数十万の消防団の気分が明朗になりまするように以上申上げた諸点についてのお力を願いたいと考えておる次第であります。
  30. 堀末治

    ○堀末治君 幸いに北海道の消防課長の佐々木君が見えております。今南のほうのお話がございましたが、時間が許すなら北のほうの意見も聞いてやつて頂いたら結構だと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  31. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは北海道消防課長佐々木雄助君に発言を許します。
  33. 佐々木雄助

    参考人(佐々木雄助君) 北海道の消防課長でありますが、私の経歴をまず明かにして置きたいと思います。私は多年農事奨励と治山奨励の仕事に従事しておりまして、昨年の九月の二十四日に消防課長を拝命いたした次第でございます。全くその他のことは分りません。私が道の消防課長を拝命いたしまして先ず非常に驚いたことは、火災が非常に多くて、その損害も莫大であるということです。戦後領土を失いました日本においては、北海道の開発がなくては日本の再建はできないということはしばしば叫ばれておることを耳にしておるのであります。昨年度北海道の火災の損害は、火災の件数におきまして千三百二十八件、その損害は三十八億三千万円となつております。従来の統計を見まするならば、職後特に消防組織機構が新らしい制度になりましてから、火災が一層多くなつております。これは何を意味するものでしようか。非常に消防が弱体化しつつあるということを物語つております。それで私は北海道の開発が日本の再建に寄與するということが本当だとするならば、先ず北海道の火災の損害を少なくすることでなければ、北海道の開発も日本の再建もできない。かように確信いたしまして、この火災の問題につきましては熱情を沸かして当つておるのであります。ところが最前いろいろとお話がございましたが、消防りことにつきましては、ひとり市町村の責任にのみ委すということは適当でないと思うのです。これはどうも市町村も一体になりまして、共同の責任において郷土の火災を撲滅しなければならん、かように考えております。そのためにこれは国に対しても言い得るわけでありますが、道に対しても、何らかの手段方法によつて市町村を援助して頂きたい。かように考えておりましても、現在の組織法上から誠にそれができないのであります。最近こういうような実例が出ております。北海道消防表彰規則というものを最近作りまして、これは消防吏員、或いは消防団員が非常に消防に対して盡力され、功績があつた場合、或いは火災現場におきまして傷害を蒙むる、或いは殉職したというような場合においては、道はこれを表彰し、負傷者に対しては見舞金を出す、或いは殉職等をされた者に対しては弔慰金を出すというのが内容でございます。これがたまたま法規審査に当つた委員方々は、これは行き過ぎである、当然市町村の責任において処理されるべき問題について道知事が自己の負担するような規則は、誠に現在の消防組織法の下におきましては行き過ぎであると、こういうことで反対されたのであります。併し私は最前申上げました通り、この消防責任については、法規に示されようが、示されまいが、市町村は道と一体の責任においてやるべきであり、又火の中、水の中に身を挺して働く者のために当然国はこれを表彰すべきである。これによつて、士気を高揚し、火災を少なくするのだ。ひいては道のためであるということでその案は通つたのでありますがこういう場合におきましては、現在の組織法というものが、つまり知事権限が全然ないということに起因するのであります。殊に北海道におきましては、極く最近までいわゆる殖民地的な行政が行われておりまして、いわゆる二級市町村制というものが布かれておりまして、地方長官の任命したところの市町村長が、市町村行政に携わるというような状態にありました関係上、今組織法によつて完全なる自治を與えると言われましても、なかなか市町村はその通り動いて来ないのであります。こういう場合に当つてなんらかの援助をしてやらなければならない。これは常々こういうことを申上げておるけれども、現在の組織法というものは、成る程完全な自治に徹した理想的な法規であるが、これは生れ放しの子供に一人で歩けるかと言うことであつて、生れたばかりの赤児が到底一人で立ち、一人で歩くことはできないのであります。その間お父さんとなり、お母さんとなつてこの子供の行く先を見守つてやる必要がある。お互い手を差延べて一人で立てるような状態にしてやる必要がある。これは都道府県知事がやらなければならん、こういうことを常々申上げているのでありますが、そういう意味におきまして、都道府県知事に或る程度権限……と言つては或いは語弊があるかも知れませんが、そういう手を差延べてやるところの機会を與えて欲しい、かように考えるのであります。  それから財政の問題につきましては、最前皆様からいろいろお話がありましたが、運輸、通信、その他各種の営造物はすべてこれ市町村の中に存在するのであります。最前もお話がありましたように、完全なる自治として市町村にこれを運営させるということであれば、国は当然これに対して、市町村消防費に対して、その費用の一部分を負担するのが当然だろうと思いますが、現在何ら財政的な措置をいたしておりません。そういう意味からいたしましても、或る程度の資金、或いは、起債等におきましても相当これを見てやる必要があろう、かように存じております。  誠に取り止めないことを申上げましたが、私共の感じておることを二、三申上げまして、北海道の意見といたします。
  34. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今新井長官から発言を求めております。発言を許可いたします。
  35. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) 先程消防団長並びに消防団員権限強化につきまして陳情がありまして、それに関連して、消防組織法改正問題のときに、これが言及なかつたのは不可解であるということでございますが、この消防団長又は消防団員権限に関する事柄は、消防法の問題でございまして、消防組織法の問題でなかつたからさようになつておるのでございます。  尚消防法改正につきましては、只今衆議院の小委員会におきましてこれが改正研究をされておりますので、申上げておきたいと思います。
  36. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 最後に福岡県の消防協会長、並びに栃木県の消防協会副会長、これは意見の開陳の許可を求めております。許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  37. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 福岡県消防協会長、犬丸甚吉君。簡単にお願いいたします。
  38. 犬丸甚吉

    参考人(犬丸甚吉君) 私は福岡県の消防協会長でありまするが、本日御貴重な時間に私ら全国の代表陳情をつぶさにお聞き取り下さいまして誠に有難うございました。各府県代表から詳しく我々の陳情の意のあるところを申上げておりまするので、別段に私はお願いをすることはありません。  ただ私の気持として更にお願いを申上げますることは、終戦後消防団が平和日本国家を建設する上について、我々達の団体が一つ残されたのであります。だから我々達の使命によつて十分民主国家を建設しなければならない。又課せられた仕事に対しては身命を賭して働かなければならない。敗戦後軍隊のない日本は我々としては立派な平和な村を築き上げ、平和な国を作り上げる。このことについて真剣に村を護り、国を守つて行かなければならんということで今日までやつてきております。この点につきまして陳情を申上げました通り、どうぞ皆さんにおいてよく御検討して頂きまして、消防団をよりよく将来強化して真剣に国家のために働かせらるると、又我々が働かすんだというようなお気持で御採用して頂きまして、議会を通過して頂きますように切にお願いを申上げまして、私の御挨拶に代えます。
  39. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 次に栃木県消防協会副会長、大淵喜司君。
  40. 大淵喜司

    参考人(大淵喜司君) 私は宇都宮の消防団長を拝命しております大淵であります。只今千葉並びに鹿児島の団長又福岡の団長から縷々申上げましたので、大体私の申上げる趣は同一でありまするので、ただ実際の面に当つておる私共が昨年の十二月二十六日に栃木県に地震がありまして、その当時消防団の団長に指揮権がなかつたために非常な混乱を生じたということだけを御参考に申上げて置きたいと思うのであります。昨年の十二月二十六日今市地方におきまする地震のために、而もこの消防団が今までの火消しでなくて、今度は火を消すばかりでなく、地震、台風その他天変地変に対しまして、あらゆる災害を防遏するという建前に大きく権限が賦與されて参つておるのであります。それで今市におきましては晩早く団長は町長の近所におりまするので町長と連絡を取りまして、あのとき火災を発生しないで済んだのであります。併しながらその近隣の落合村或いは大沢村、豊岡村というような近隣の村におきましては、やはり消防長が指揮命令を持つておりますために消防長の所まで行つて相談をしなければこの指揮が取れないのであります。火災のときは、火災というので直ぐできますが、地震や台風になりますと、程度の問題でなかなか消防団長が今直ぐ出動命令をさしたいと思いましても、消防長との間の話合ができなければ実際問題として指揮が取れないというときには、一刻の相違で非常な損害を大きくすることがあるのであります。この点につきまして是非委員方々に、この消防団長に対しまして消防長のある所はいいのでありまするが、今の法文である市町村長のうちの消防署のない所におきましては、消防団長にこの権限を賦與されることに改正されんことを是非お願いいたしたいと思うのであります。今申上げましたような、時間がありませんが、本当に現実に当りますると、こういうことが沢山あるんであります。或いは台風或いは地震というような見当の付かないような場合に、この程度ならば消防団長が直ぐ出せというんで、もう市町村長におきましては、まだ早いんじやないかと、消防団が活動すると幾らか費用がかかるというような点も考慮しで費用がないと、こんなときはまだいいじやないかというようなうちにどんどん大きくなつてしまつて、しようがないからすぐ出して呉れというような実情にあるのであります。これは現場でなければ恐らく認識されないと思うのでありますが、こういう点に鑑みまして是非とも消防団長にこの指揮命令をさせる権限を賦與して頂くようにお願いいたしたいと思うのであります。  本日は私共のために委員会方々が貴重な時間を割いて下さいましてお聴き下さいましたことを有難くお礼申上げまして、私の申上げることを終了いたします。有難うございました。
  41. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今までの発言につきまして御質疑ございませんか。
  42. 鈴木直人

    鈴木直人君 消防長官にそれに関連してお尋ねしたいのですが、実は消防組織法を作る際に、我々は消防組織法の中に消防団というものを入れた方がよろしい、従つて消防組織法の中に正式に消防団を入れて、そうして消防本部なり、そうして消防署のない所は消防団法律的に認めて設置させるというようなことにして行くことが至当であると、実は私何回も話したのですが、そのときは消防団は別に政令で以て消防団令というものができておるから、従つてこれを活かして行く意味において、当分の間これと別個に消防団令によつてつて行くのだというような話で、ついそのままになつており、あの当時は関係方面の意向もあつて根本的な修正も非常に困難であるという主張もあつて、そのままになつており、従つて今のようなことが政令であるために強い権限も持ち得ないという面で残つておるわけです。ところが先程説明を受けたところの改正案によりまするというと、これはまだ未定稿なのでございますけれども、消防本部或いは消防署、更に消防団というものを法律の中に入れよう、組織法の中に入れようという案になつておりますが、消防本部消防署のない町村においては、消防長の職務は消防団長がこれを行なうのだというような、こういうような法的な今の皆さんが言われるような、いわゆる措置をするという考え方になつておりますが、それをお聴きしたいと思います。
  43. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) 消防団に関しまして、初め御説のように消防組織法の中には規定がなかつたのであります。併し当参議院の修正意見によりまして、その後消防団に関する規定が第十五條の二として規定せられまして、消防組織法の中にそれが規定されることになりました。従つて団令の方は只今廃止になつております。消防組織法第十五條の二に「消防団設置、区域及び組織は、地方要求に応じて、市町村長がこれを定める。  消防本部を置く市町村においては、消防団は、消防長又は消防署長の所轄の下に行動し、消防長又は消防署長の命令があるときは、その区域外においても業務に従事することができる。」かように規定されておるのであります。
  44. 鈴木直人

    鈴木直人君 消防署のない町村のことです。
  45. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) 消防署のない所におきましてはその規定はございません。
  46. 鈴木直人

    鈴木直人君 ない所には消防団長消防署長の職務を行なうというような消防署長と同じ法令の権限は……。
  47. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 鈴木君に申上げますが、十五條の二は御承知の通りこの委員会改正規定を入れたのでそこまでの規定は設けなかつた。これはいろいろ問題もあるようです手から、尚この委員会研究して行つて善処したい、こういうように考えております。外に御質問ございませんか……。それでは尚一つお尋ねして置きたいのですが、今日横川愛知県の消防警備課長から御説明がなかつたようですが、水防法を廃止するということが先程申した北海道外十二府県消防課長陳情書にはあるのです。それについてどなたからか説明をして頂きたい。簡單に要点だけ……。
  48. 横川安好

    参考人(横川安好君) 先程いろいろ御説明申しましたときに、急ぎましたので水防法に関することを落しましたのでございますが、水防法は消防法が実施されました後に制定公布されたわけでございます。併しこの水防法に規定されるところの現場活動の多くは、消防団がこれに当るわけでありまして、従いましてこの規定は当然消防法改正してその中に包含さるべき性質のものである。水防法という特別な單行法を設けられたことは却つて命令系統、いわゆる指揮系統が二つに相成りまして、現場の行動を甚だしく阻害する結果を生ずるわけであります。そのまあ一つの具体的な事例を申上げますと、水防法では一応水防団というものを認めております。更に水防団のないところは、消防機関がこれに代ることになつております。従いまして地方では水防団を設け、消防団も設けており両方を同時に実施しておるところがありますが、いずれにしましても末端機構では同一人が当るというようなことになりまして、水防団員即ち消防団員でありまして、然るに消防団員必ずしも水防団員ではないが消防団員の半数が水防団員になつておるということが現実には起つておるわけであります。然るに水防業務に関して、水防の管理者から出動の命令がありました場合に行動を開始します。ところが消防団員はその水防管理者の命令に従う義務はありませんので行動する必要はない。併し消防組織法の上では、当然消防団員はその責任を負つておりますので、活動をしなければ法の精神に反するわけであります。こういうようなために同じ消防団員でありながら、又同じ水防業務に従事しながら片方では消防関係し、片方では水防に関係するというようなことで、その手当等も従つて水防の協議会等におきまして、いわゆる組合におきまして、相当の資金をもつておるというような関係から手当などがいい。消防団の方は市町村の方で賄うので、同じ活動をするのに片方は百円貰い、片方は五十円しか貰えないというような状況もあるわけであります。このようなことは、地方実情に甚だ副わないものでありますから、相成るべくは廃止して、必要なる事項消防の方に包含して頂きたいということをお願いしておきます。
  49. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 ちよつとお尋ねして置きたいのでありますが、それは先程消防庁長官の話に関連いたしまして、私は長官考え方全体が新憲法精神に対立するものであるというようなことを言つたのでありますが、特にこの第七項目として掲げられておるところの「国家消防庁に、都道府県知事及び市町村長に対し、消防に関し指導勧告及び助言を與える権限を付與する。」という言葉があるのでありますが、北海道その他の都道府県知事が、これが又国家公安委員会なら又幾らか考え方があると思うのであります。国家公安委員会の下にあるところの一つ事務機関であるこの国家消防庁から、消防について絶えず指導をして貰うというようなことを都道府県知事が拒否しないでしようか、それを望むような観念があるかどうかということを一つおいでになつておるどなたかからでも御感想があつたら承わりたいと思うのであります。そういうことこそ私は新憲法精神に反するものであつて知事を非常に馬鹿にしたような言だと思うのでありますが……。
  50. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 福地さんいかがですか。
  51. 福地新作

    参考人(福地新作君) 従来そういう規定がございません。千葉県だけを申上げるならば千葉県は県に法令上権限はありませんが、学校その他の官公物が限つてありますので府県も放つておけませんので、何とか消防を許可したいとかようなことで実は指導機関を持つております。私共経営いたしまする消防協会指導機関に全額の補助を出しまして直接指導には従来当つておりませんので、経済的援助を消防協会並びに団体に與えまして、私共が主体となりまして幾十年間消防で鍛えました体験の微力な知識を傾けまして、真剣な教育を現在いたしておるのであります。国家消防庁の方にも事々連絡をいたしまして、私共だけの体験或いは知識、技術だけでは足りません場合において、講師の御派遣、斡旋を願いまして、両々相俟つて現在の科学消防戦術の普及徹底を期しておるような次第でありまする。各府県独自においてはされておるのでありますが、国家消防庁が更に各府県励行するようなことにして頂ければそれは鬼に金棒であるのであります、願わくばそう願えれば結構だと思つております。このことを一言附加えさして頂きます。
  52. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 他に御質問ございませんか。それでは先程お諮りいたしまして御異議のなかつた今日提出された千葉市外六市の、千葉県の消防団長から出されました当委員会宛の請願書並びに二十四年の十二月一日に出されました北海道外十二府県消防課長から当委員会宛に出された陳情書、それは先程意見の開陳がありましたのに速記がありませなかつた関係を考慮して、今日の速記録に参考として載せることにいたします。
  53. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 消防長官に伺つて置きますが、さつき要綱案の出されたのは大体政府側がいつ頃それに基く改正案を出される予定かそれを伺います。
  54. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) できるだけ早く提案いたしたいと考えておるのでありますが、まだ関係方面の折衝が出来ておりませんので、ちよつと見当がはつきりつかないのであります。できるだけ早くいたしたいと思つております。
  55. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今日この席上え政府がこの要綱案を出されたのだが、我々議員は委員会のその場でこういうものは急に出されても研究め余地がない、少くとも政府側は今日これがあるということは前以て通知があつてつておる筈であります。少くとも前日にこういうものを渡して頂かないと研究の時間がない、條文と対照する暇も殆んどない、もう少し政府側は十分質疑応答のできるように前日までに委員の手許に渡るようにして頂きたい、我々も委員会に来ても拾い読みで読むから質疑応答の時間が切迫しておりますので、そこでこういうものを渡されるということは甚だ困るのであります。少くても前日までに政府側は委員の手許にこういうものを届けるように努力して貰いたい。
  56. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 西郷君に申上げますが、実はこれは昨日出ておつたのですが事務局の方からお手許に出すことを今日にいたしたのであります。尚その点は今後注意します。尚今日は正式の法案審議というようなわけでなかつたものですから、一応説明をして、それに対して質疑があれば質疑をお願いするというようなことで考えておつたものですから、今後は成るべくそうさせたい。ただこれまでの経験によりますと文書函の中に入れて置きますと、それをやはり持つておいでにならなかつた方もあつたものですから、それまでまあこういう文書書類は当日渡すというようなことにしておりますが今後注意します。
  57. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 資料の問題ですが、何か昨日常任委員会の部屋で、消防庁の前の役員であつた吉岡君でありましたかが書きました消防読本というのを御覧になつていたようですが、若し我我参考になるというようにお考えになりますれば、前例もありますことでありますから、地方行政委員会の各委員に対して参議院でひとつお買求めを願いまして御配布をして頂くように委員長からして頂きたいと思いますが。
  58. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 承知いたしました。そういうように取計いいたします。
  59. 鈴木直人

    鈴木直人君 この案につきましては先程吉川君から発言されたように相当考え方、建て方に根本的ないわゆる食い違いといいますか、消防組織法の従来の建て方と異なつているような建て方にまあなつているようです。勿論これは関係方面との打合せもまだいたしていないわけでありますが、建て方としては消防の責任は市町村にあるのだという建て方がまあ組織法の根本になつておるのですが、これによりますというとどこが一体消防の責任であるかということが、なかなかはつきりしないようになつておりますが、いわゆる指揮命令の関係から、これは国家公安委員会に最終の責任があるのか府県知事に責任があるのか、市町村に最終的の責任があるのかということがはつきりしない建て方になつておる、これは実際にやつた結果、その必要を感じてのことだと思いますけれども、こういう点についても今後十分一つ立案される場合に、その点をはつきりさせる必要があると思いますし、この建て方が果していいかどうか、さつき吉川君が話されたお互いに協議をすることになつておりますが、国家消防庁国家地方警察とか都道府県、或いは市町村というものが予め協議をすることによつて、その協定に基いてお互いに仕事をするという建て前に対して、根本的に違つた建て前に行きますから、その点は一つ十分に、我々は今後議会に提出されれば検討いたしまするけれども、前の吉川君の意見というものは非常に尊重すべき意見であるということを肝に銘じられながら、私は検討立案されんことを希望しておきます。
  60. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) この消防組織法改正につきましては、政府考え方、それに対して消防団側と申しますか消防協会側と申しますか、その方の考え方とに大分隔りがあるように考えますし、相当重要な改正でありますから、皆さんによく御勉強頂きその論点の相違が分りますために、特に消防組織法改正の論点と申しますか、それを作りまして御研究を願う次第であります。  それでは今日はこれで散会いたします。    午後三時五十六分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君    理事            吉川末次郎君            岩木 哲夫君    委員            堀  末治君            林屋亀次郎君            柏木 庫治君            西郷吉之助君            島村 軍次君            鈴木 直人君   政府委員    国家消防庁長官 新井 茂司君    国家消防庁事務    官    (管理局長)  瀧野 好曉君    総理府事務官兼    法務府事務官    (地方自治庁連    絡行政部長法制    意見総務室主    幹)      高辻 正己君   参考人    愛知県消防警備    課長      横川 安好君    千葉県市川市消    防団長     福地 新作君    鹿兒島県国分消    防団長     林  徳治君    栃木県消防協会    副会長     大淵 喜司君    福岡県消防協会    長       犬丸 甚吉君    北海道消防課長 佐々木雄助君