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1950-03-07 第7回国会 参議院 地方行政委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月七日(火曜日)    午後一時四十分開会   —————————————   本日の会議に付した事件地方自治法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○地方行政の改革に関する調査の件  (治安問題に関する件)   —————————————
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。今日は公報に掲げて置きましたうちで、飲食営業臨時規整法の一部を改正する法律案予備審査をいたす筈でございましたが、提案理由説明をいたします森農林大臣が用事がございまして四時過ぎでないと委員会に出られないということでございますから、明日にこれは延ばすことにいたします。  次に過般吉川委員から吉田総理大臣出席を求めて治安問題についてお聞きになりました。それに関連して労働大臣に対しての質疑が残つております。労働大臣はもう少し経ちましたら出席いたすそうでございます。その出席を待つておる間に一つお諮りをしたいと思います。それは都道府県所有に属する警察用財産等処理に関する法律の一部を改正する法律案考えて見たらどうであろうかという問題でございます。これは過般この委員会山形市長公安委員長等参考人として出まして、山形市における只今国家地方警察の使つております警察署の庁舎につきまして、それを山形市に返して貰いたいという問題がございまして、その問題につきましていろいろ検討をいたしました結果、元都道府県所有に属しておつた警察用財産であつて国の方で現在使つており、国に所有に帰しておりますもので、国の方で不要になつたものはどうするかという規定がございません。そこでそういう規定を含んだ法律が必要ではなかろうかというので一応立案をいたして見ました。今日お手許へ廻しますから御検討下さいまして明日御審議を願いたいと思います。その要旨は第五国会におきまして政府提案都道府県所有に属する警察用財産等処理に関する法律というものを可決いたしまして、その法律の一部を改正しようと、こういう次第でございます。大体申しますと、この法律によりまして国が、つまり国家地方警察の方が取得した財産及び物品国家地方警察に不必要となつたときにおいて、市町村警察に必要な物は国が無償当該市町村に譲渡することができるという規定でございます。これを設けた方がよくはないかという、こういう問題であります。それからそれと今度は反対に警察法の附則の第九條又は前項の今申しました規定によつて市町村が取得した元の警察用財産及び物品で、当該市町村警察に不必要となつた場合において、国家地方警察に必要なものは当該市町村無償で国に譲渡するという規定を対象的に置く、こういうふうに考えて立案した次第であります。これは大蔵省の方においても大体差支えないというふうに申しております。それで皆さん御賛成ならば発議者になつて頂きたいと、こういう次第でございます。  次に労働大臣が見えます前に、この前の委員会に引続きまして地方自治法の一部を改正する法律案予備審査をいたしたいと思います。この前は百五十六條までやりました。次に百五十八條でございまして、都道府県局部制は相当の伸縮性を或る程度に改められたいというのが宮城県の議会議長から出ております。それから岐阜県の議会議長からは、府県の部は当該地方公共団体の議決を経て府県知事が定めることとされたい。それから沢山これは出ておりますが、府県部制は自由にされたいという問題、それから農地部は廃止というようなことが一部ありましたが、それは存置されたいというのが沢山出ております。それから府県林務部はやはり存置されたいというのも沢山出ております。それから府県衛生部は存置されたいというのが又沢山出ております。それから都道府県建築局又は建築部は縮小せざるようというのが日本建築学会の会長から出ております。それから新潟県の知事外知事からは知事室を置くこととするよう聞いておるが、その分掌事項には地方計画、それから総合開発に関する事項を加えられたいという意見が出ております。で政府改正案提案におきましては、この百五十八條について改正が出ておりますが、それを政府委員から陽転を説明して頂きたいと思います。
  3. 高辻正巳

    政府委員高辻正巳君) 都道府県部局に関しましては、現在の法制規定は実は二十三年の十二月の改正におきまして、当院の御修正によつて平衡規定がまあできておるわけであります。その当時から見まして特に事情の変更があるとは思われませんので、大体の建前においてそう変更を加えるわけではございませんが、ただ交通、水道などの公共事業の経営に関する必要な組織のみに関しましては、これらの事業そのもの地方自治本来の機能であります点に着目いたしまして、これを法定することを止めましてその他の部局については従前の通りにいたしておるのでございます。従つていろいろ農地部林務部その他の部局について存置されたいという御意向が非常に沢山出ておるのでございますが、これらについては今回変更はないということになる次第でございます。
  4. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今説明は分りましたが、各方面の意見として都道府県局部制当該地方団体に任せて呉れという意見が出ておりますが、これについて政府委員の御説明を承わりたいと思います。
  5. 高辻正巳

    政府委員高辻正巳君) 先程ちよつと触れましたように、実は二十三年の暮の改正におきまして、それまで特にこのように部局が嚴密な法定にはなつておりませんでしたが、当院におきまして、現行規定のようなふうになつたわけでございますが、その御趣旨は、現在の都道府県局部処理する事務の大半は、やはり国政事務なりそれに関連する事務でありまするので、その事務に関しましては、国家的関與が尚相当必要であろうというような観点から、都道府県において、余りに不齊一な局部設置を行うことは適当でないというようなことで、現行規定ができておると思うのでございますが、その点につきましては、未だ当時と比べまして多くの変更があるように思われないのでございます。尤も、将来例の行政調査委員会議等の結果に待ちまして、事務配分等変更を受けます際に、やはりこれ又部局設置につきましても、その際に考慮を加える必要があろうかと存じまするが、只今ところでは、只今申上げましたような、公共事務に関する部局のみについて変改を加える程度でよろしいのではないかと考える次第であります。
  6. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質問ございませんか。
  7. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 議事の進行についてですが、先程委員長にお願いしました、社会党の山田節男君が、広島県の一町村の長のリコールの問題について陳情に来ておりますので、何でしたら今お許しを願えたら大変結構かと思います。
  8. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは山田節男君に委員外の発言を許します。
  9. 山田節男

    委員外議員山田節男君) 実は歯を抜いたばかりで、非常に言語が不明瞭と思いますが、その点御了承願います。実は本件に関しましては、地方行政委員会請願書提出の手続をしておりまするが、その中で緊急を要しまする点につきまして、御質問申上げたいと思うのでございます。  実はこの請願書を出しましたのは、広島県豊田郡忠海町の問題でありまして、一昨年の十二月二十日に地方自治法第七十六條によりまして、町議会解散請求書が提出されまして、昨年の二月一日に、地方行政法第七十六條第三項によりまして、投票をいたした結果、町議会でのその解散に賛成する者が過半数になりましたので、町議会解散決定したのでございまするが、町議会におきましては、地方行政施行令第百五條によりまして、議会解散請求要旨は、その理由がない、即ち、当該第百五條は、「普通地方公共団体議会議員は、当該普通地方公共団体議会解散投票の効力に関する決定、採決又は判決が確定するまでは、その職を失わない。」、こういうので、まだ職員はそのままで在職しております。そうして、忠海町の選挙管理委員会、それから、広島県の選挙管理委員会に、異議申立てまして、現在広島高等裁判所提訴いたしておるのでありますが、丁度私先月の末参りまして、署名に代筆があるというので、二十六日から町に判事三名、検事三名が参りまして、その代筆の真僞を調査いたすことになつてつて、その結果はよく分りませんが、今、御質問申上げたいと思いますことは、この町議会高等裁判所提訴いたしております訴訟費用が、町議会負担であるか、或いは町議会構成員である即ち町会議員個人負担であるかということについて、非常に疑問を持つているので、この点を一つ係の官庁の御明答を煩したいと思いますが、実はこの提訴忠海町の町会議長名前で出しておるのであります。最初に、全国管理委員会に、この訴訟費用町議会負担であるか、或いは、各議員個人負担であるかというので、聞き合せましたところが、全国選挙管理委員会は、地方財政法第九條によつて、町の負担とするという回答があつたのでありますが、総理庁自治課からは、町村費に計上することはできない、即ち各個人負担であるという回答がございました。その後、全国選挙管理委員会から、追つて見解変更しまして、地方議会解散は、議会全員解職と見做されるが故に、個人負担と会するという通知が参つておるのでございまするが、先程申上げましたように、町議会法律によりまして認められました公の機関であると、提訴町議会の決議として議決せられたということと、それからこの自治法は、議会解散議員解職とは別個のものとして規定されておる。第四には、訴訟における原告は忠海町議会代表議長の名で受理されておること、という理由からしまして、どうも先程の全国選挙管理委員会、それから総理庁自治課回答が分らないというので、法務庁法制意見局ですか、これに見解を求めましたところが、訴訟係属中につき意見の発表を差し控えると、こういつて実は回答が来ているのでありますが、この点に関しまして、所管自治庁、或いは法務庁、或いは全国選挙管理委員会の御回答を願いたいのでございます。
  10. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 今日は選挙管理委員会から参つていないのですが、自治庁から参つておりますから……。
  11. 高辻正巳

    政府委員高辻正巳君) 只今議会解散請求に対して、議会と申しまするか、その解散請求に対する異議申立をなし、それにつらなつて不服の訴えを提起した場合の訴訟費用負担はどこでやるかというお尋ねでございます。今御指摘になりましたように、この点につきましては、全国選挙管理委員会と、曾ての自治行政課から出しました見解と異つたお答えをするまでには、実は行つておらないのでございます。と申しますのは、前の理由でも明らかにされておつたかも存じませんが、これは御承知のように、直接請求に関しましては、解職請求というのが他にございまして、長の解職請求なり、議会議員解職請求なり、いろいろあるわけでございまするが、議員解職請求がありました場合に、その議員も同様に、異議申立をなし、不服の訴えをなすことができるわけでございまするが、その場合に、町村費に計上してその費用を出すということは、これは先ず考えられないことであろうと存ずるのであります。議会解散請求につきましても、これは議会を構成する議員解職請求と、理屈は同様であろうと思われまするので、只今申しましたような、議員訴訟を提起した場合に、その訴訟について町村費から出し得ないと同様に、この場合もやはり町村費から出すことはできないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  12. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは、次に林法務法制意見第二局長。
  13. 林修三

    政府委員林修三君) 只今の御質問お答えいたしますが、只今の御質問の中で、法務府の方に問い合わせたところが、訴訟係属中で答えができないというようなお話でありまして、実はその問合せがあつたことは存じておらないのでございますが、どの部局でそういうお答えをいたしましたか、ちよつとはつきり分りませんが、勿論訴訟係属中のもので、その後裁判所でどういう決定がなされるか、私共といたしてもその方ははつきりしたことは申上げられませんでございますが、法律解釈を私共の立場といたしまして一応いたしますれば、只今自治庁連絡行政部長から大体お答えいたしましたところと、概ね大体そういうふうな解釈が正しいのではなかろうかというふうに考えておるわけであります。
  14. 山田節男

    委員外議員山田節男君) そうすると今の提訴しました場合に、町会で以てこれを提訴し、町会議長という名前を以て提訴しても、そういうふうに解釈されますか。
  15. 高辻正巳

    政府委員高辻正巳君) それは議会という名前を使つておりますが、議会を構成する議員の総体をつかまえてのことといたしまして、やはり同様に町村費で出すことはできないのであるというふうに考えております。
  16. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは労働大臣が見えまして、労働大臣予算委員会においでになることになつておりますから、山田議員の方は後程に願つて置きます。
  17. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 先般この委員会におきまして、特に吉田首相の御出席を願いまして、治安見地から政府共産党対策について質問をいたしたのであります。質問内容につきましては、かねてその要綱を秘書官を通じて御請求がありましたので、鈴木労働大臣のお手許にも行つておることだと推察いたしておるのでありますが、五項目に亘りまして首相に御質問申上げたのでありますが、質問に対する首相の御答弁は、私の見ますところ、全く私の問わんといたしておりまする内容を十分に御理解がないように私には考えられまして、殆んど私の質問に該当するところ答弁を得ることができなかつたのであります。質問応答の結果、私には全く石の地蔵さんと問答しておるような感を受けたのであります。併しながら吉田内閣閣僚の中におきまして、労働大臣の任にいられるところ鈴木さんは閣僚中における所管事項関係上、その道專門家でいらつしやると私は推察いたしておりますので、尚その節におきましても鈴木労相補充的答弁を要求いたしたのでありますが、私が質問事項を述べておりまするときには労相は御臨席になつておらなかつた。終り頃に少しお姿が見えたようでありましたが、匆々室外に出てしまわれましたので、私の期待いたしておりました労相の御意見を承わることができなかつたのであります。以上述べましたごとく、閣僚中における代表的なその道專門家であるという建前から、この際労相の御答弁を促したいのであります。質問内容につきましては幾度もこの委員会におきまして繰返して詳説いたしますることは、他の議事との関係上これを省略いたしたいと思いまするし、吉田首相のごとく素人でいらつしやらないのでありますから、くどくどと私が申上げなくとも、先般差上げましたところ質問要綱プリントによつて大体御了解がついておることだと思いまして、極めて省略いたしまして、それについての御答弁をお聽きしたいと思うのであります。あのプリントにも書いてありまするように、先ず第一に私が鈴木労相に今日御答弁を得たいと思いますることは、共産党基本精神であるところ共産主義、即ち共産党は我が党の基本精神は、指導精神は、共産主義である。そうしてその共産主義マルクス主義、或いは又マルクスレーニン主義であるということを常に言つておるのでありますが、その共産主義指導精神であるところ共産主義、即ちマルクス主義、或いはマルクスレーニン主義というものの本質をどのように労働大臣は御認識していらつしやるかということを御答弁を促したいのであります。吉田首相に対しても若干申上げたのでありますが、マルクス主義には資本主義が発達して行くならば、必然的にそれは共産主義に移行して行くものであるというところの、一つの進化論的な、エヴオリューショナルな見方があると同時に、他の一面においては、共産主義実現のためには何が何でもこの革命を起して、そうしてこれを実現しなければならんというところ革命主義的な面との二つの面がある。で、マルクスレーニン主義と言われているところのものは、共産党の今日指導精神となつておるところレーニン主義というものは、そのマルクス主義が持つておるところ理論体系の中において、前者の進化論的な見方よりも、後者の革命主義的な、情熱主義的な、そうした面にウエイトを置いて発展したところのものが即ちロシヤ革命指導理論であつたレーニン主義本質であると考える。そうしてそれに関するところレーニン主義の、即ちマルクスレーニン主義のバイブルとまで言われておるところレーニンの「国家革命」その他の著書からするならば、マルクスレーニン主義は当然にいわゆる一般に言われておるデモクラシイを否定するところのもの、即ち議会政治を否認しておるところのものである。それはレーニンの「国家革命」その他の著作、又平素共産党が発表いたしておるところ文書等を通じてそのことは明らかである。又今言うように必然的に革命主義的な立場を取るものでありますから、その共産主義実現のためには如何なる手段をも辞さない。即ち目的実現のためには手段を選ばないということがレーニン主義本質として持つておるところのものであると考えるのでありますが、甚だ私の説明簡單でありますが、詳説するまでもなく鈴木労働大臣專門家として十分そういうことの御理解と御知識を持つていらつしやると考えるのでありますが、この際一つ共産党指導精神である共産主義マルクス主義マルクスレーニン主義の党であると言つておるが、共産党本質、その指導精神についてどのような御認識を持つていらつしやるかということを先ず最初お話を願いたいと思います。
  18. 鈴木正文

    ○国務大臣(鈴木正文君) 非常に本質論に触れた、やさしいと言えばやさしい、考え方によつては実にむずかしい御質問を受けたのであります。而も実際に現実の労働行政所管しておる労働大臣としての私が、この参議院の委員会において、それについてお答えをするということは、これは甚だ時間的の関係だけでなくして、相当困難なところもあると思いますが、諸條件の許す範囲内で、極く率直にお答えいたします。  第一番にお挙げになりました共産主義基本は、資本主義的生産組織発展段階から行詰る段階にかけて、弁証法的に必然的に一つ歴史的循環として、共産主義というものが生まれて発展してくるという考え方、その考え方は御指摘通り資本論その他においても明らかにされており、この考え方はすでに共産党の人達が、しばしば街頭の演説でも一つ公式論として言つておるところでありまして、基礎となつているということに疑いはないと思います。  それからその次に、併しそうであるけれども究極においては、共産主義が意図するような政権なり、国家なりを実現するためには、そういう歴史的な弁証法的な歩みにのみ委しておいたのでは足りないのであつて、一定の段階に達したときには、中からこれを助長して破壊するところの行動を以てこれを助けなければ、革命というものは達成されないということも、唯物史観その他においても明らかにされておる通りであり、これも一つ考え方公式論としては周知のことであり、否定の余地はないと考えております。と同時に世界共産党が、それぞれの活動方針考える場合におきましては、表面的にはとも角、根本においてはそういう考えも相当取入れておるのではないかと見ざるを得ないような事実が、一つ一つ指摘されないことはない。そういう事象が見えるということも、これは大体において一般に言われておる通りであります。すでに過日の衆議院の本会議等におきましても、この問題についての指摘があつた通りであります。今労働行政に携つておる私自身として、一つ一つのその事態を、討論的に取上げるということはいたしませんけれども、傾向として、性格としてそういうものを持つておるという考え方が十分成りたつ。そうしてそれが一つ革命方式として既成の国家の中において、いろいろな形で以て、時には治安関係、時には暴力革命のような形で以て、ある断層々々を狙つて表面に出てくるということを十分に警戒しなければならないし、又そういう段階において今の日本でもある、ないとは言えないという認識も私共は持つております。と申しまするというと、非常に廻りくどい表現でありますが、基本的の考え方におきましては、御指摘のような性格と、そうしてそれに対する十分な私共としての準備と、細密な戒心というものを以て臨まなければならないということを考えております、ということを先ず率直にお答え申上げます。
  19. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 鈴木労働大臣の御答弁を承わりまして、大体において、簡單でありましたが、私の共産党指導精神に対するところ考え方をそのまま肯定せられたのであります。これはひとり私及び鈴木労働大臣マルクスレーニン主義に対するところ見解が共通であるというだけでなくして、社会主義理論研究家世界を通じての大体共通的な考えであると思うのでありまして、同時に又労働大臣も言われましたように、私達が治安立場から問題にいたします点におきましては、資本主義進化論的発展マルクス主義の面については、大してこれは一つ考え方として問題になつて来ないのであります。即ちマルクス主義唯物弁証法がどうであるとか、唯物史観がどうであるとか、或いは剰余価値論がどうであるとかというようなことは、これは学者がいろいろ誤まりも指摘いたしておりまするけれども、これは一つの学説、或いは一つ考え方として、何も治安上の私は問題になつて来ないと思うのでありますが、私達の見地より重要な点は、それは鈴木労働大臣も全く私と御同感である点をお示しになつたのであるが、マルクスレーニン主義革命論、或いは国家論というものが一番問題なのであつて、即ち共産党はその指導精神においては、鈴木労働大臣も、暴力革命主義或いは議会政治否認主義という一つ立場を持つておるという私の見解に全く同感せられたのであります。この点が我々は一番問題とせらるべきことであると思うのであります。それについては政府は十分の対策を講じておるということを今お話になつたのでありますが、その十分なる政府対策が私達からいたしまするというと一番気掛りなのでありまするから、それを十分に一つこの委員会において、この機会に御披瀝が願いたいというのが私の目的であります。今鈴木労働大臣の御答弁によりまするというと、私が質問いたしましたように、共産党本質的に一つ暴力革命主義をも辞さないという本質を持つておる。それが即ちロシヤ革命或いは中国共産革命、その他世界を通じての共産革命特異性であります。  そのように考えて参りまするというと、先般この委員会で私は首相にも御質問いたしたのでありますが、先日の衆議院の民自党の佐々木さんとおつしやつたかと思うのでありまするが、一議員質問に大して、殖田法務総裁が、どのように考えるかということの思想、或いは見解というものについては、それは自由であるけれども、併しそれが不法行為をなしたというときにおいて始めて処罰され問題となつて来るのであるというような御答弁があつたことが新聞紙上に出ておるのであります。それはそのときにも申しましたように、それより二三ケ月前に三鷹事件、或いは平事件等治安の紊乱の問題に関連いたしまして、私がこの委員会殖田法務総裁質問いたしましたときと同様な答弁衆議院においてしておられるのであります。併しながら今言うように、共産党本質的に議会政治を否認し、又暴力革命主義の上に立つておるというものであるならば、ただそれが不法行為化したというときにおいてのみ処罰すればいいということは、これは当時も申しましたように、余りに形式法律的な解釈であつて、その本質に即したところ見解であるというようには私には考えことができない。又殖田総裁その他吉田支障等は、今労相は、私の言うマルクスレーニン主義本質についてそのような御答弁がありましたが、鈴木労働大臣考えておられるような、目的のため即ち共産主義実現のためには如何なる手段も辞さないというような本質を持つておるところのものであるということについての十分の御理解がなかつたように思われるのであります。それで私は政府殖田法務総裁答弁に現れたるような意見というのは、今言うように共産党本質に対するところ理解鈴木労働大臣のように十分でない。鈴木労働大臣の御答弁を承つて私は大変満足するのでありますが、そのような御見解でありまするならば、殖田法務総裁が答えておりますような、ただそれが行為化したときのみそれを問題にするということだけで、それでいいのであるかどうかということに対する鈴木労働大臣の御答弁を更にお伺いしたいと思います。
  20. 鈴木正文

    ○国務大臣(鈴木正文君) 言葉をにごすわけではありませんが、私の先程申しましたのは、極く原則論として私共の解するところによれば、共産主義はそういう発生的傾向と、理論的根拠を持ち、革命の方法論を持つておるというように私達は理解しておりますということを先ず一般論としてお答えしたのでありまして、それ以上に現実的な我々の周辺の政策等につきまして、又具体的の一つ一つの生まの事例を取上げまして、これがそういつた現れであるとか何とかいうことをお答えしたわけではございません。その点これは言葉をにごすようでありますけれども、一般論として私共もそういうふうに考えておりますということを申上げたのであります。  それから只今の御質問でありますが、そうでなるならばもう少し言葉をはつきりすると、究極において議会政治否認の考え方を濃厚に持つており、而も暴力革命的な方法論も一方に標榜しているということを、一応も二応も考えなければならないところ共産党というものを前に置いて、現在の日本においてそれが現れて来た場合に、而も法的な、例えば治安関係の法とか、そういつたものに触れて来る場合における措置というもののみを以てして、共産党に対する政府対策というものが完全であるというふうに考えていいのか、足りないのではないかと、こういう意味の御質問だと思います。極めてデリケートな問題でありますけれども、私は今仮に、私は法律論自体は全くの素人でありますけれども、法務総裁と同じ立場に立たされて、同じ質問をされたといたしましても、現実に公開の席上で皆さんにお答え申上げ得る範囲は、大体法務総裁と同じような範囲を出ないのではないかと思つております。勿論それでは共産党に対する現内閣、又現内閣だけではなくして、共産主義者でないところの多くの国民が考えているところのいろんな考え方というものはないのではありません。ありますけれども、諸般のデリケートな関係等もありまして、徒らに……、徒らというとおかしいのでありますが、事前にこれとこれとこういう手を考えておりますというふうなことをなかなか申上げにくい点もあるのでありまして、明確に申上げ得るのは、法務総裁と同様に、これが治安なり、或いはその他の現実の形として、法的に、或いは法的のみでなくしても、広い意味で日本の再建のために絶対的な阻碍になるというふうな形を持つて現れて来た場合におきましては、現政府は断乎としてこれに対処して、そうして民主的な議会政治の線を護る決心も固めておりますし、又種々の具体的な検討をも続けておりますということをお答えすることを以て、お答えに代えさせて頂きたいと思います。
  21. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 それは先に私に答えられたところと……、私自身には非常に矛盾したことを言つていらつしやるように考えられるのでありまして、即ち鈴木労働大臣は、共産党はその指導精神、その本質において暴力革命主義の上に立つものであるということを肯定されておる。それは今日においては世界における共産党の政治というものがどういうものであるか、又ロシア革命がどのように行われたか、中国革命がどのように行われたかというところの事実を見るならば、直ちにそれは分りきつたことなのであります。ただ文言等においてオフイシヤリイに共産党が言つておりますところの政綱政策のようなものを見るならば、一方に日本社会党が掲げておるところの政綱政策と大体において違わない。併しながらその隠されているところのもの、そういう党が演説会等において配付するような共産党の政綱政策というようなものは、それはただ單なる外面上の一つの学理みたようなものであつて、その本体は今言う暴力革命主義議会政治否認主義という立場に立つておるということがその本質であるということは、鈴木労働大臣も先の御答弁で肯定されたと思うのであります。で本当にそういうことをやろうとするところの、例えて申すならばテロをも目的実現のためには敢えて辞さないところのものであるところ一つの団体が、社会においての合法的な運動を展開して行こうというときにおきましては、その本質を我々はテロをやるのであるというようなことをば掲げて、旗印にして、一般の大衆に振廻して行きそうなことはないのであります。それを十分に鈴木労相は知つていらつしやる。その本質をよく知つていらつしやる。そうするならばただマルクスレーニンの主義の党であるということを標榜しているだけで、私は一つの非合法的団体であるということを考えなければならないと思うのでありますが、もう一度それに対する御答弁を得体と思うのであります。  で政府閣僚としては、自分は殖田法務総裁が言つた法律解釈の埒外に出て答弁することはできない、それは非常にデリケートな問題であるとお話になりましたが、その立場については私も決して同情を持たないものではありません。で若しそういう殖田法務総裁の言以外に、個人として鈴木労働大臣が先程の最初の御答弁に即した何らかの見解を持つていらつしやるならば、閣僚としての立場を離れてでも、個人見解を述べて頂ければ大変結構だと思います。  それに付随して、あなたに先程お渡しいたしましたところプリントの中にも挙げておるのでありまするが、先日私の質問に対して吉田首相はこういうことを答えていらつしやるのであります。即ちマルクスレーニン主義の党というと同じように、我が党はヒットラー主義によつて立つところの党である、或いは我が党はムッソリニー主義によつて立つところの党である、ということを標榜いたしておりまするところの政治結社がここにできたといたしまするならば、それについての政府見解はどうであるかという私の質問に対して、首相はそれも同様にその結社は許される、自由である、併しながらそれが行為化して不法行為をしたときにおいてのみ、初めて問題が出て来るのであるというところ答弁をせられたのでありますが、これは私極めて重大なる答弁吉田首相はせられたと思うのであります。私は敢えてその団体規制令、団体党の規制に関するところのこの政令を引用いたしたくはありませんが、併しながらあの政令とは、明らかに私はヒットラー主義の政党とか、或いはムッソリニー主義の政党というようなものの結社は抵触するものであつて、断じて私は今日日本においての政治結社は許されるべきものでないと考えておるのでありますが、吉田首相はそれは自由であるところの重大なる答弁を私にせられたのでありますが、以上述べましたことについての鈴木労働大臣の御見解一つ承わりたいと思います。
  22. 鈴木正文

    ○国務大臣(鈴木正文君) 終戰後例えば日本共産党が今国会に議席を持つて、而も三十人、四十人というものが議席を持つて現われて来たというのは、その推移におきましては、終戰後の諸種の事情もあり、いろいろな関係もあつたでありましよう。そういう関係で以て、今日国会の議席を持つてそこで政党として動いておる。これに対してどう考えるかという御質問であります。本質的には、先程の第一問にまで掘下げていくと、生田の考え方というものは成立つのでありますけれども、これをこの際直ちに割切るということはなかなか困難なことでありまして、やはり現実の問題といたしましては、私達は先ず国会における民主的な議場の堂々たる闘争を通じて、この勢力に対して国民の批判と援護とをバツクとして、これを征服、征服というとおかしな言葉でありますが、私共の態度、意向を民主的な形でもつて実現していく、民主国家の建設の方向に邁進すべきであり、そういう段階であると思います。そうしてそれが、実際に反社会的、或いは破壊的な形をもつた方法論として出て来る場合には、先程も申しましたように、別個の観点から、これに対する強力なる対処の手段を準備もし、講じてもいくべきである。現在の段階におきましては、御質問の第一の質問ところに掘下げてまで、そして徹底的に辻褄の合つたところで割切れというような御質問であるのでありますけれども、やはり現実の問題としては、そうお答えするのが現段階において妥当だろうと考えております。尚社会党と共産党とが、個々の政策においては似たような点があるけれども、本質的には違つておるという点に対しましては全く同感でございます。だからこそ私共は、共産党とは断固反対であり、闘わざるを得ないという覚悟を決めておりまするが、社会党に別におべつかを言うわけではありませんが、社会党を民主々義の敵だとか、ライバルとも思つておりません。これは現実の私共の動きでもつて、この点は御質問の点と同意見であります。話が少しごちやごちやいたしましたけれども、御質問の中心であるところの、只今直ちに非合法政党か、合法政党というような点を明らかにすべきではないかという問題に対しましては、今申しましたような現段階においては、私どもは国会において堂々と民主的な方法で以て闘つて行くという立場に立つておるのでありまして、更に将来に亘り、或いはその具体的の事象が出て来たときのことにつきましては、概括敵に私どもの考えてる方法と決意を申上げ、それを以て一応の答弁に代えさして頂きたいと思います。
  23. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 十分要領を得ないのでありますが、私が今質問いたしましたことのマルクスレーニン主義の党の結社が自由であるならば、ヒットラー主義を標榜するところの政党及びムッソリニー主義を標榜するところの政党も同様に自由である、そうしてそれは何等団体党規正令には抵触しないものであるというように鈴木労働大臣も同様にお考えになるのであるかどうかということを、もう一度はつきりと一つ答弁を願いたい。
  24. 鈴木正文

    ○国務大臣(鈴木正文君) それは総理の御答弁にも関係ありまするし、それから議論外のことでありまして、もう一度私もよく考えて見ますから、只今明確にお答えいたし兼ねます。
  25. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 不得要領でありますが、時間の関係もありますから、甚だ要領を得ないということのままにして、以上の質問は先ずそのままにいたしておきますが、尚私は政府は、今巷間では頻りに日本共産党吉田内閣のために解散されるのじやないかという流説が飛んでおるのであるが、それに対する見解を聞いたのでありますが、それは総理大臣から御答弁があつたから、あなたからそれ以上の御答弁を承わるということはできないと思いますので、これは御答弁を得ないことに、要求はいたしません。  最後に、これはあなたの御管轄事務に関することでありますが、即ち私は非常にこれは苦労性なのかも知れませんが、日本において赤色革命は必至に起つて来ると実は考えておるわけなんであります。それは武力蜂起というような形ではなくして、比較的平和的な手段であるところのゼネラル・ストライキの形で行われて来るのじやないかと考えておるのであります。ゼネラル・ストライキは十分労相も御理解がおありになるだろうと思いますが、これに私は対抗し得るところの力というものはないと思うのであります。殊に国家公務員法の制定に関しまして、マックアーサー元帥が発せられたところの書簡の中にもありまするように、軍隊が存在しないで、警察力が甚だ薄弱であるところ日本においては、法律というものは労働組合によつて特に遵守される必要があるということを言つておるのでありますが、その点は同感なのであります。即ち軍隊のない、警察力の薄弱なこの日本において、進駐軍が一度日本を去るという時期が来るならば、私はこの薄弱なる螢雪力を以てしては到底このゼネストというものをば鎭圧するということはできないと思うのであります。それに対する法規上のいろいろな対策としては、労働組合法にもストライキのことに関するいろいろな規定があり、又国家公務員にはストライキは禁じられておりまするし、公共企業体の従業員に対しても又同様なストライキの、罷業権の禁止の條項があり、又労働関係調整法においても、公益事業の従業員に対するところのストライキにおいても特殊の規定がある、こういうようなことは、一応我々も十分理解いたしておるのでありますけれども、併しながらそういう公企業も公務員としての罷業権のない、或いは一般の労働組合に対するストライキ実行についての法的制限というものがあつてもですね、そのときには私はそういう法的制限を突破して、或いはその最小においては、法律の許されたる範囲内の、例えば公企業或いは国家公務員にあらざるところの私企業の方面からの罷業が起つて来る、或いはそれの発展拡大に乗じて、漸次そうした法的制限を受けているところの労働組合の事業というものは、同情罷業、その他の形において法律を突破して、それが拡大して行くというようなことが十分に想像せられます。これは私は我々治安のことを議する立場にありまするところの国会議員といたしまして、我々が当面いたしておるところの最も重大な、実は日本が当面しておる問題ではないかと考えているのであります。そうしたことに対するところ吉田首相答弁を促しましたところが、首相は、それは将来のことであつて、仮定に即したところ質問であるから、仮定に即したところ質問に対しては答弁することができんというような、いつもの首相のお家芸で以て、答弁せられたのでありますが、併し政治家というものはすべて将来を慮つて一切の対策考えて行くものなのであります。仮定に即して物を考えるということについては、論議の必要がないというようなことは、みずから政治家であることを否認しているところ考え方でありまして、総理大臣としては、私は断じて許すべからざるところ答弁であると考えているのであります。若し仮定に即したところを論議する必要がないならば、例えばこの委員会が取扱つているところの警察のことも、消防のことも、これは泥棒が起つて来る、火事が起つて来るというような仮定に即して、我々はいろいろと予防策を講じ、それに対する対策考えているのであつて、そういう首相答弁は、甚だ間違つたことを答えておられ、又そういう考え方は許すべからざるものと考えているのでありますが、あなたは特に労働行政についての專門家でありますから、この法律がシーリアスに、日本国民が当面しているシーリアス、本当のシーリアスなる問題と考えております。進駐軍撤退後においては、諸種の労働法規におけるところの罷業禁止の関する法的制限を突破してもゼネラル・ストライキが起つて、そのゼネストがやがて共産主義革命に移行するだろうということについてのあなたの御見解一つ、この機会に承つておきたいと思うのであります。
  26. 鈴木正文

    ○国務大臣(鈴木正文君) 総理は、それは将来の問題で、仮定の問題だからとお答えしたそうで、私も側で聞いておりました。そういうふうにお答えしておりました。別に総理としてはその考え方に、総理自体が常に考えている考え方、又は表現の仕方であつて、私自身そのこと自体を批評しようと思つてはおりません。私の御質問に関する範囲でお答えいたしますならば、ストライキ、これは二つに分れますけれども、あとで申しますけれども、一般的に言つたストライキというものは、資本主義的な生産組織の下においては、あつたつて構わないという意味じやありませんけれども、これはあるものでありまして、それ自体をそんなに惧れる必要はない。やたらにストライキを恐れて、やたらに飛び上つてしまつて、出て来たら直ちに圧迫しようというようなことは、これは間違いであつて、ストライキは、資本主義生産組織の最盛期から末期にかけては必ず、例えば人体が時々風を引くというような、謂わば一つの、生産と消費の調節のバランスの自然現象としてさえも起つて来るものであります。併しこのストライキは、謂うところの、專門家のあなたにそんなことを申上げる必要はないと思いますが、謂うところの純正の意味におけるところの経済的な労働者諸君のウエル・フエヤーの問題であつて、そういつた意味のストライキは、あるよりはない方がいいのでありますけれども、資本主義的生産組織の下では相当あり得るし、あることを予想しておるから各国にも労働関係の調整法とか、その他労働関係の調整法とか、その他労働関係の法規ができておる、その法規の考え方は、ストライキというものが資本主義的生産組織の下においてはある、ということを前提として書かれておるくらいでありまして、そういう意味のストライキは、これは経済界、そのときの一国の社会の発展、或いは衰退の度合によつては、いろいろ波はありましようけれども起きて来る。これは、労働法規等が正常に規定しておる精神に従い、或いは又組合員の将来に亘るところの労働者諸君の自覚と向上と経済自体の、民主的自主的発展というふうな方向への進歩、それによつてストライキがなくなりはしないけれども、大体常に適当な正しい解決点において解決されて行く、社会の破綻にまでは行かなくて解決されて行くと考えております。むしろ労働生産性という意味におきましては、これを労資双方、或いは国民全体も好意を以て、誠意を以て解決して行けば、むしろ生産性を高める方面にさへも、時に持つて行ける、そういう性格のものだと考えております。併し、御質問の意味は、そういうストライキを指しているのではなくして、ゼネラル・ストライキの形をとつて来て、而もそれが赤色革命を表面的か或いは内蔵的かに持つているというような形を以てとつて来るところのゼネラル・ストライキ的のストライキ、全般的のストライキでないまでも、非常に大きな、單位産業にしても、非常に大きな而もそういつた法的な意図を内蔵し、或いは表面から掲げて持つて来るようなそういうストライキに対してどういうことを考えておるか。特に進駐軍の引上げた後においては、それを阻止し得るところの確信があるのかという御質問が中心だと思います。この問題は進駐軍が現在おりまするし、それから講和会議の問題等が論議されておりますけれども、デリケートの問題でありまして、先ず第一番といたしましては、日本の現状においてそういうような赤色革命的なストライキが、進駐軍のおらないというような……、いつおらなくなるかこれは将来の点で分りませんけれども、仮におらないというような條件の下に推進められてて来るというような場合には、これはなかなかあなたのおつしやいますように、單なる指令や、單なる声明や、或いは啓蒙運動というようなもののみを以て措置し得ないような事態だつても、残念ながらないばかりではないということをも、私達は今日において考えなければならないと、これはあなたの御意見でありまするが、その御意見を否定するだけの自信と根拠というものが私達にもなかなか探し得ないと思います。大体においてそういう心配は持つておりますということを申上げ得ると思います。併しその場合どうするか、私の申上げますのは二つに分けて申しておるのでありまして、普通の意味における資本主義社会におけるストライキという問題についてそんなに神経質にならなくてもいいし、やたらに彈圧的なことを考える。これはむしろあなたのごときは私より特にそうでない、そうでないというかそういつたものは彈圧してはいけない、神経質に考えなくてもいいのだという考え方を持つておると思います。赤色革命的なものを持つているところのストライキに対しては私は仮定でありますが、そういう時代におきましては必要とあらば法の改正をする、法の改正もでき得ないならば、全国民が共産主義の赤色革命に反対であるという全国民が挙つてみずからこれを解決するところの力を持たなければならないだろうということは根本的に言い得ると思います。然らばいつそれをどういう形でということは、これは総理と同じ表現になりますけれども、それ以上私達は今日これを申上げることは差控えたいと存じまして、あなたの考えておられるような御心配に対しましては志を同じくするものであります。ということだけをお答えして、以上で大体のお答えに代えさせて頂きたいと思います。
  27. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 一番あなたに聞きたいことは、今言つたゼネラル・ストライキから赤色革命への移行の問題でありますが、非常に詳細に罷業の問題についての御講釈が大分あつたのでありますが、そんな御講釈は別に承わりたくはないのであります。その節労相も或いはお聞き下さつたかと思うのでありますが、三十年程前にドイツにおりましたときに、自由主義の外務大臣であつたラーテナウというのが、ファシストのためにベルリンの郊外のグリュネヴアルトという所で暗殺されたのでありますが、その反動革命的な行為に対しましては、ドイツの全労働組合は蹶起いたしまして、ゼネストを決行したときに私もそれを実見したのでありますが、電車も止れば、バスも止り、水道を止るというようなことで、如何にゼネストが偉大なる力を持つたものであるかということをまざまざと見たのであります。それに先立つところドイツの共和革命は即ちゼネストを通じて行われた、私は先に申上げましたように必ずや進駐軍が撤退するならばゼネラル・ストライキが起つて、そうしてゼネラル・ストライキを通じて共産主義者が目標としておるところの、共産主義革命にそれが移行するということを憂えざるを得ないのでありまして、治安上の問題にいたしましても、最もあなたに御質問したいことの結論的な重点はその問題にあるのでありますが、それについては極めて問題がデリケートであるというようなことで、はつきりした御答弁が得られないのであります。併しながら初めから私がだんさん共産党対策について御質問いたして参りました御答弁の中に、政府は、又自分は十分共産党に対してはそれに対処し得るところの自信があるところ対策をもつているというような御意思が、たびたび披瀝せられておるのでありますが、どうぞそれを一つ私は是非聞かせて貰いたい。その集約点は、今の進駐軍撤退後におけるゼネストよりの赤色革命の移行ということの、国家のためにするところの心配に集約されるのでありますから、どうぞあなたがたびたびお言いになつところの、自信あるあなたの共産党対策というものをば、はつきりと一つ、それは我々に言えないというわけはないのでありますから、具体的にこういうことを考えているということについて一つ答弁を願いたい。
  28. 鈴木正文

    ○国務大臣(鈴木正文君) 單なる言葉の上の応答、調子から言いますと、お叱りを受けたように言えないということがあるかと、そういう御質問の仕方もできると思いますけれども、全般の事情から申しまして、私としては、今日の段階においては先般までに申しました御答弁を以て答弁とさして頂きたいと存じます。
  29. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 対策は持つていらつしやるのですか。あるでしよう。あるということをあなたは言つておられたから、それを言えないということはないと思うんだが、非常に不十分ですが、いくら言つても、これも石の地蔵さんと問答しておるようなものですから、これでやめておきましよう。
  30. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 労働大臣予算委員会の方からも呼びに来ておつたのですが、予算委員会は流会になりましたから、労働大臣出席の機会に当委員会関係の問題について御質疑をお願いいたします。では一つ私からお聞きしたいのですが、大蔵大臣はまあ不用意といいますか、金融資本の金殿玉楼にあぐらをかいておられるためか、この経済は安定しておる。又は少々数人ぐらいの破産者、自殺者が出ても、それはこのインフレを彈圧的に止める時代に仕方がないのだ。こういうふうに言つておられましたが、これは言い過ぎであつて、随分各党各会派から非難の声を浴びておられました。併し我々が認識するところでは、この経済の不況というものは非常な深刻なものでありまして、まあマイナス百の者が自殺するのであつて、マイナス百になつた者は数人か数十人か知れませんけれども、マイナス九十になつている者は非常に多いと思つておる。殊に中小企業の連中ではマイナス九十の者が相当ある。それがマイナス十が加われば、又自殺せざるを得ないという深刻な事態になつておると思うんです。でこの社会不安ということが非常に醸成されておつて、特に失業者も随分増加しておる。それが暴力化する傾向がありはしないか。それをこの委員会で私は非常に心配するわけです。現にそのはしりと言いますか、前衛隊と言いますか、自由労務者の暴力事件というものが各地にありまして、その中には朝鮮人が非常に多く混つておる。それでひどいのは二月十四日でしたか、彦根市における自由労働者が検束者を奪還するために、警察署や市役所を囲んで、そうして大騒ぎをしたという事件もありますし、この間も八王子市の事件が相当大きな事件で、国家警察本部から応援に行かなければならんというようなことになつております。でこういう点に対して労働大臣としてどういうふうに対処しておいでになるつもりなのか、それを窺いたいと思うんです。
  31. 鈴木正文

    ○国務大臣(鈴木正文君) これは私共にも勿論でありますけれども、特に地方に関係のある地方行政都道府県、それから市町村、特に大きな都市等におきましても、当事者は最近非常な悩みの一つだと私も存じます。それから又情勢も只今委員長がおつしやいましたように、必ずしも楽観を許さないような情勢であり、事態もそういつたような事態が現実に三つ四つ五つというふうに出て来ておるということも事実でございます。只今お挙げになりました彦根、それから日立、こちらの八王子もそうでありますが、彦根、日立、呉という所は、特異な情勢の下に特異な形で以て現われて来た所である。それから川崎あたりもややその傾向を持つておる。これはじつと見ておりまするというと、周期的に全国を全部ではないけれども、重点的に移動的にその攻勢が採られて行くというような傾向も指摘され、更にその背後にあるところのものは何か、これらの点につきましては私がお答えするまでもなく、皆さんも恐らく考えておられるだろうと思います。この問題は将来に亘つて尚もつと綿密な計画の上で、もつと質量共に相当大きく展開するかも知れない。少くともそういつたことを考慮されたところの十分の準備を整えて置かなければいけない段階であるという考え方におきましては、全然同感でございます。私共はこれがために昨日も一昨日もやつておりますけれども、これは労働省は勿論中心になりますけれども、諸方面との連絡、緊密なる連絡、これは必ずしも国警というふうな取締り当局のみを指すわけではありません。言うまでもなく失業対策のごときは、労働省が現在、これはあとで詳しく申しますけれども、労働省のこの予算に盛られました四十億の失業対策費というふうなものは、政府全体として考えておりますところの失業対策費の恐らく二十分の一にも匹敵するかしないかの程度のものであつて、二十分の十九という大きな失業対策の実態は、予算面の外の方にあるという関係にもあるのでありまして、労働省が、日傭労働者の問題は労働省が中心で、一手でやつておりますけれども、併しこれは全般的の公共事業とか見返資金とか、そういつたものとも結付けて、そうして先ず第一にこの対策といたしましては、警察的、或いは取締り的、治安立場から現われて来たところの事象を措置するということが、端的に必要な段階が来ると思いますけれども、それより先にこの都市に溢れておるところの、地方の都市を引括めて溢れておるところの、日傭的の労働者を最大限に吸收するということが、それに先行するところの根本政策だと思います。それで昨年、二十四年度におきましては、御承知のように年間を通じてこの費用は八億八百万円でありました。これは足りないということは国会からもしばしば言われ、私もそう思いましたので、これは繰上げて、叱られるかも知れない、思い切つて繰上げて十一月までに使つてしまつたのであります。そうして補正予算で八億出して来た。それから二十五年度には四十億盛られておるというのが今の実情であります。四十億というとどれだけの人が消化できるかというと、毎日十万人ずつを三百六十五日全国の土木課で吸收して行けるという数字になるわけであります。これで他の失業対策的な措置が予算の面で十分になされておらないというならば、こんなもので以てとても今の失業対策に対処し得るわけではありませんけれども、これは主として日傭的の面に措置する種類のものでありまして、一応そのめどを立てたわけでございます。併しそれでは尚足りないという場合を考慮いたしまして、私たちは大体この四十億が六十億、七十億、八十億ぐらいの実力を出し得るような形に、この際予算の四十億は変えないけれども、やり得る方法はないかということを検討したのであります。その結果といたしまして、先ず第一番にこれは皆様の方に非常に関係が深いのでありますけれども、地方において失業対策のために或る程度の起債の枠を認めて貰うということが必要じやないか。これは各方面から要望がありまして、そうして自治庁とも折衝を進めております金額自体が、必ずしも皆様の御満足の行くように行くかどうか分りませんけれども、或る程度この枠は実現できるのではないかと思つております。十億になるか、十五億になるか、二十億になるかというふうなことは、未決定でありますけれども、これによつて四十億プラス・アルファーというものが資金として考えられる。それからもう一つは、従来公共事業といものが、一面においては失業対策を加味したところ性格を持たなければならないというのが、公共事業考えたあの根本に入つておるのでありますけれども、第一番には、それが労働省の失業対策となかなか密接に結びつかなかつたという点が一つと、それから例年四月、五月の年度変りの初め二ケ月くらいは、殆んど安本の認証とか何とかということに手間どつて公共事業というものは殆んど出なかつた、六月頃になつてやつと出始めるというような実情にあつたのでありますが、今年の失業状態から考えまして、これでは絶対にいけないというので、政府部内において安本、建設省、労働省等が中心となつて公共事業を四月早々から、年度初めから予算が通つたらすぐ急速に展開することが一つと、それから労働省が持つておる四十億円、それから今申しました地方の起債の枠で許されたところの起債と結びつきまして、そうして最大限に日雇労働者を吸收して行くという方式をとるべきだと、その連絡打合計画機関の組織も、今政府部内で急いでおります。これらの点については、関係大臣も、失業情勢の緊迫に睨み合せまして、双手を挙げて賛成するから、応援するからということになつております。そういたしまするというと、先程申しましたように、二十五年度予算に盛られておるところの緊急失業対策、日雇労働者を対象といたしたところのものは四十億円であつて、それによつて十万人でありますけれども、その倍近いところの資金の操作というものを握り、吸收人員を高めて行くということは可能であると思います。昨年今申しましたように二万乃至三万というものが、十五万乃至十七、八万というふうな数字に上げて参れまするならば、大体において日雇労働者というものは、ほぼそう粗漏なく吸收して行くところの計画と自信を持つことができるようになりつつあるということを、先ず御報告申上げます。出て来たところの問題を、あぶれたところの人達が騒ぎ出す問題を片附けるよりも先に、先ずこの問題を強力に遂行したいと思つております。それでも尚且つ、今御指摘になりましたような事態が出て来ると思います。と申しますのは、どこの安定所だつて、時間的に一人のずれもなしにということはあり得ませんし、政治的或いは計画的意図と機動的戦略というふうなものが加えられましたならば、これは必ず或る箇所には、やはり今委員長が申されましたような事態が、起きて来るということは、予見し覚悟もしなければならないと思つております。これに対しましては、機動的に吸收じんいん数を殖やして、そうして且つ、窓口で以てそれに応ずると同時に、不当に治安を乱し、国政に対し、或いは安定行政に対し、社会治安に対しまして、不当な蠢動、不当な策動を続けておると、そういう分子に対しては、断乎たる措置を新たにとるべきであると考えておるのでありまして、それらについても十分な方法を縛るべきであると考えておりまして、すでに私共政府部内においては、いろいろの検討を進め、又連絡をも進めておるわけであります。決して、万事一つもこういう問題を起しませんから御安心下さいとまで、皆さんの前で胸を叩いて威張るわけには参りませんけれども、そういう方向で、御指摘になりました事柄は十分腹の底にたたんで、そうしてこの問題には臨んでおりますということを、先ず第一に申上げます。  それから、この機会でありますけれども、そうしたところで、失業問題全体のしわ寄せがあそこへ最終的に一番下部の問題として来るのでありまして、十万や十五万の人達を吸收したつて、それで失業問題が片附くわけではないのでありまして、それを片附けるところの根本的なものは、どうしても配置転換を含めたところの新らしい雇用でなければならないと思つております。この点では、政府は今申しましたように、緊急失業対策は差当つて十万、今私の申しましたような方法を加味しても、十五、六万、七、八万というところでありましようけれども、全体としては、二百万乃至二百五十万の失業者を吸收し得る計画というものは、これはただ單に計画ではないかと言われれば、それまでであるかも知れませんけれども、二十五年度に提出されておるあの総予算を検討して頂けば、明確にその計画が予算の裏付けを以て行われております。労働省の分は失業対策費として計上されておりますから、これはどなたが見ても失業対策費ということが分りますけれども、あとはいろいろな名目で出ておりますから、ちよつと分らないと思いますけれども、第一番に大きなものは、何といつて公共事業であります。これは昨年五百億の公共事業費を使うということに、年間を通じて五十万人づつ、これは全部が失業者ではありませんけれども、五十万人ずつ雇用しております。これは実績でありますから、事実であります。そういたしまするというと、今年九百十億円、まあ大体倍になつた、こういたしますると、公共事業で以てどれだけの人が吸收されるかというと、百万人の人が吸收されるという計画が、物価が大体同じと仮定いたしますれば、これは考えられます。従つて、二十五年度の四月一日から、公共事業費で百万人、併し、五十万人はすでに公共事業で以て使われておるのでありますから、四月以降新たに殖える吸收力は幾らだといいますと、五十万人だということになります。これは、確かに吸收できると考えております。それから見返資金を千二、三百億出すと、これも見返資金が二十四年度には出すのが遅れましたけれども、一切の準備が整い、最近ではかなりのスピーデイーになりますから、その見返資金を出すことによつて、産業の中に新たに出て来るところの雇用力が幾らある、これは大体三十万人を予定しております。それからもう一つは、どんな時代でも、一方で離職者はあるけれども、一方で就職者はあるのでありまして、例えば、二十四年度だつて、私達は最初四十万人の雇用はありますと、こんな馬鹿なことがあるかと、お叱りを受けましたけれども、これは実績に徴して確かにあつたのであります。これは失業者を全部吸收してまだ四十万吸收力があるという意味ではなくて、失業者は一方で四十万人出るのでありますけれども、一方で新しい雇用が四十万予定されると、これも漫然と見当をつけたわけではないのでありまして、すべての事業に亘つて有効需要を見て、この四十万という数字を去年の第五国会で発表して、大体その後の実績を見ましても、その通りに行つております。同じ考えで以て、二十五年度には一体どれくらいのそういう意味での一般的雇用があるかと申しますと、これは安本、大蔵省、労働省で数ケ月に亘つて計算した結果、八十万という雇用は予定されるということが出て来ております。そういたしまするというと、公共事業で新たに加わる五十万、それから新しく二十五年度に予定される一般国民経済の中で八十万、合せて百五、六十万というものは新しい雇用が出て参ります。ここへ收まつたところの人達は最終的に安定したのでありますが、それで尚且つできない人達が出て来るし、又一遍にこれが出て来るのではなくて、一年間を通じてこれが出て来るのでありますから、途中をどうするかと、これが失業保險であります。失業保險は、現在の予算では四十万人を吸收し、そうして更に予備費を使つて六十万人まで吸收し得る予算を出しておりますけれども、いざとなりましたらならば八十五万人まで吸收できるのであります。それからその外に、今申しました日雇労働者で以て十万乃至十五万くらい毎日吸收して行けると、それから日雇労働者の失業保險も、すでに昨年準備して、今年の一月から開始しておりまして、これによつて十三万人づつの人達には毎日、若し日雇労働者が失業したならば、保險の給付を與えて行ける準備をし、すでに実行しております。だから、日雇労働者の分は、雇用の方で十万乃至十五万、それから万一困つたならば失業保險で以て十三万人、合せて二十万人以上の人達を大丈夫四月一日からとにかく積極、消極両面で以て吸收して行けば、それらを、全体を睨み合せまして二百万乃至二百二十万くらいの吸收力が出て来ております。非常にごちやごちやと余計な御説明を申上げましたけれども、御質問の中心である日雇労働者の問題を、全般的な問題を睨み合せて考えて頂くために、一応全般的の説明をしたわけであります。
  32. 鈴木直人

    鈴木直人君 失業保險は金が非常に余つておるというこの前のお話がありましたが、最近は如何ですか。
  33. 鈴木正文

    ○国務大臣(鈴木正文君) 今のところでは……。
  34. 鈴木直人

    鈴木直人君 失業保險を貰う人が予定より少いために金が使い切れないというような状態であつたという事実があつたのですが……。
  35. 鈴木正文

    ○国務大臣(鈴木正文君) それは第一番に一昨年の十二月一日、あの頃は恐らく一億円にも……、二、三千万円ぐらいだつたと思いますが、当時に拂つたのが最近では十億を超えておる、毎月々々それを見ますというと、今鈴木さんの御指摘になりましたように、失業保險はあのときは大丈夫といつたが経理が少し心配になつて来やしないかという御質問が出ると思いますけれども、今のところはこのままで以て毎月十億円以上の支拂いを向う一年半先まで続けて参りましても、失業保險の経理は危殆に瀕するということはありません。十億円前後というのに、四十万人足らずでありまして、六十万人まで出して行つて、向う一年半まで出して行つても失業保險の経理という問題は心配ありません。国庫の負担は、三分の一負担するから殖えておりますけれども、これは義務費でありますから文句なしに出すものでありますからこの点は大丈夫であります。
  36. 鈴木直人

    鈴木直人君 もう一つ生活保護法の関係はどうなつておるか、それから何かやつておるか。
  37. 鈴木正文

    ○国務大臣(鈴木正文君) これは厚生省の関係でありまして、生活保護法の方も今度の予算には、私は閣議の話を通じて相当充実して大がかりにやるという方向に決定したことは覚えておりますけれども、細い点は今ちよつと分りません。
  38. 三木治朗

    ○三木治朗君 只今鈴木さんの失業対策に対する非常に周到なお話を伺つて、その面では大変決行だと思うのでありますが、結局失業問題のために厖大なお金を使うということは、言わば、金が生きてない感じがする、何か死金を使つておるように考えられるので、むしろその数百億に上る、八百億に上る金をもつと失業者を出さない方面に何か政府として施策を講ずべきではないかと思うのでありますが、尚それに最近の労働攻勢というものが非常に悪化して来ておることは新聞その他で以て御承知の通りで、事実労組の動きというものは、余程深刻になつて来ております。この労組の深刻な動きを起こさした元は結局人事院の裁定を政府が無視して、何か我々が見ても横車を押している感が多分にある、いわんや当事者である勤労階級が殆んど政府を信頼しないという態度になつておる、これが労組を悪化させる最大の原因になつておると思うのであります。そういういろいろの面から考えて、労働攻勢が……、失業者が沢山出れば、その方は何んとか都合がつくんだというだけでは、政府の労働政策として決していいものではない、一方又中小企業の面は殆んどもう仕事があつてもやれない、金融難のために続々倒産者が出ておるという、この中小企業者に或る程度融資をすれば相当な労働力も吸收できるということになることは明らかであつて政府の方針が失業救済の方法さえ講ずればそれで何か安心だというようなことではいかんのではないかと我々は考えるのですが、失業対策以外に政府本質的な労働政策といいますか、自信のあるお考えを伺いたいと思います。
  39. 鈴木正文

    ○国務大臣(鈴木正文君) 失業対策についての根本的な考え方は全く同感でございます。出てからどうこう言つて騒ぐよりは出ない方に力を注ぐべきだ、特に今度の大戰のあとのような大きな失業対策というものは單なる失業救済ではなく、国民経済の中の配置転換を中心として考えなければならないことは当然であります。だからこそ私共も実は四十億の緊急失業対策費は少いのではないか、それから六十億やそこらの失業保險費というのでは少いのではないか、二つ合せたところで百億前後ではないか、こういう質問をしばしば浴せかけられたのに対しまして、これでも多々益々弁ずで、あればあつた方がいいけれども、只今質問の趣旨の消極的な面に使つていたのではいつまで経つてもけりがつかない、それで以て積極的に仕事を拡充して起して行く、そうして仕事自体を起して行く、生産を挙げて行く、その中に自然に行われて来る新しい雇用というところに失業対策の中心を置かなければならないという考え方は私共の内閣の考え方であります。そのために例えば見返資金の千二百億というものは、重要な基幹産業にまとめて導入する、そうしてそこを拡大して行く、それから公共事業費も必ずしも失業対策自体を直接の目的にしておるのではなくして、道路を開くとか、災害の復旧をするとか、或いは農地を改革するとかいう積極的な面に使つて行く、その中で失業者というものを相当吸收できるのではないか。両方併せれば二千億を超えるところの経費になるのだから相当吸收ができる、而も従来のように農民が暇なときに小遣取りに公共事業に行くということでは、失業政策にならないからして、実は昨年から安本と約束いたしまして、公共事業の三〇%、ものによつては四〇%は必ず公共安定所が差向けるところの労働者を使わなければならないことになつております。そういうふうに積極的な面に結びつけて、そうして失業対策を解決して行こうというのが私共の考えであります。御質問の趣旨と余り変つておらないと思います。  それからもつと切実の中小商工業者の問題であります。これも私も同様の意見であります。あそこから出て来る失業者はできるだけ、それは池田大蔵大臣がどういう言葉を……、言葉が少し不適当な言葉を使つたかどうか、問題があるかも知れませんけれども、私共の方でそこから出て来る失業者を受け取る前にあそこから出さないように、できるだけ最小限度に食いとめて活発に動かす、活動させるということの方が原則として正しいというくらいのことは誰でも考える、特に私はそう考えております。でありますから、中小商工業者に対する融資は金額において時間的に急速に展開して行つてくれということを、池田大蔵大臣に私としては失業政策の面から要請しておるわけであります。池田大蔵大臣の弁護をするわけではありませんが、あのときの、例の問題になつたときの会見の言葉自体は、不適当な言葉があつたが、池田君もああ考え込んで言つたわけではあるまいが、言葉自体はこれは重々申訳ないと本人も言つておりますし、私共もそう思つております。池田君自体はそういう問題が起きたからでなしに、相当中小商工業者の方に金融をつけて行くという点については実行しております。日銀を通じ、或いは金庫を通じて、その他いろいろな方法でやつておりますが、二月中にも相当な金額が出ております。新聞にも断片的に出ておりますが、相当な金額が出ておると私共は考えております。同時に中小商工業者の問題に関しましても、私共も全く同じ考えでありまして、尚今後も政策に足らない点がありましたならば、補強して特にやつて行くということに無論内閣もいたしましようし、私自身は失業対策の角度からもそのことを内閣へお伝えもいたしまするし、私自身の問題としても、平生からそれを強力に主張しておるわけであります。
  40. 三木治朗

    ○三木治朗君 例の国鉄の裁定の問題、これはたびたび本会議でも議論せられていて鈴木さんのおつしやることも無論同じだろうと思うのでありますが、あの問題は何といつても国鉄ばかりでなくて、全日本の労働者が納得のできない問題なのであります。それがむしろ元となつて今日の労働不安が来ておると我々は見ておるのですが、鈴木さんの本当の肚は、私は決して政府のあの態度に同調してはいないだろうと思う。恐らく再三お努めになつてああされたのではないかと言わざるを得ないのではないかという工合に考えておるのですが、どこまでもやはりあの裁定を無効のものであるというので押通すおつもりなのかどうか。これは非常に重大な問題だと思う。恐らく江口さんあたりも人事院の裁定に対しては相当の敬意を拂うべきだと思うのですが、労相としてはやはり飽くまでもあれは無視して行くおつもりなんですか。何とかこの際労働者の何でも納得の行けるような政策をお立てになる必要があると私共考えておりますが、お考え如何ですか。
  41. 鈴木正文

    ○国務大臣(鈴木正文君) この問題は到るところ委員会でも聽かれ、又事実本会議等でも論議されると思いますけれども、今私はG・H・Qから喚ばれまして時間がございませんからして、簡單お答えして置きます。私に対する極めて御同情のあるような御質問の仕ぶりでありましたけれども、私自身が肚と違つたことを従来言つてつたというようなことはありません。私共はしばしば繰返しますように、可能なものは田断ちに拘束力を生じ、不可能なものは拘束力を生じない。債権、債務も残さんという見解を持つてつたわけでありまして、国鉄の経理の内容を十分に調べ、それと流用、移用というようなことを討議いたしまして、可能という範囲はここまでという見極めを十分につけて、現段階においてはそうである。そうであるならば可能か、不可能かということによつて一切を決定すべきであり、そうして最終的には国会の審議に俟つべきものであるという法律通りにやることが正しいという見解を持つて措置して来ておるわけでありまして、この考え方は別に私自身が法を曲げたとか、或いは心にもなくそういうような考え方に賛成したということはありません。私も積極的に検討いたしまして、現段階においてはこれが行き得る最大であるということを認定したわけであります。ただ私といたしましては、補足して申上げますならば、将来に亘つて今の裁定の中には適当な褒賞制度を樹てろということは謳つておるのでありまして、これは可能とも不可能ともないのでありますからして、そのまま拘束力を持つて有効なのであります。今日国鉄にいたしましても、專売公社にいたしましても、これは公務員と全然同じものではないのでありまして、独自の公共企業体でありますからして、その経営者、従業員諸君の努力によつて、経理の変転に従つて適当な褒賞制度を樹てることは当然であり、団体交渉等によつてそれを結実させて、そうして公社の従業員の生活を充実して行くという考え方は十分成立ち得るわけでありまして、そういう面においてこれを十分活用して行く。それから又今回は全面的にこの一項は拒否されたと言いますか、不承認になつたという形を以て終つておりますけれども、常に拒否されるとは限らないのでありまして、でき得るならば、條件が許すならば、三十五條の方で以て裁定全部が実現するということの方が望ましいのでありまして、そういうことも将来に亘つてないという結論をつけたわけではないのでありまして、そのときどきの公社の経理によつて決まるのでありますからして、もう少し長い目で以て、あの法律の効果というものを育て上げて行きたいと思つております。御指摘の点につきましては、私自身の考えを曲げたのでも、違つた表現をしたのでもないのであります。あれで正しいと今日でも思つております。
  42. 柏木庫治

    ○柏木庫治君 人事院の勧告になるあれを盛に論議されまして、緑風会で人事院の方を呼んで話を聽いたのですが、その話を聽いて、実際を申上げますと、政府は人事院の勧告には従わないということを国会の答弁で聽いております。人事院を呼んで十分聽いて見ましたが、私は政府説明は足らないけれども、人事院を呼んで話を聽いて初めて人事院の考え方に無理があるということを、はつきりそう考えておるのでありますが、これは一つは公務員を人事院勧告のベースにしたのならば購買力は六%上る。六%上つたのでは物価騰貴はしないだろう。それが国鉄その他の準公務員と仮に言うべきところまで言つても一五%ぐらいしか上らない。だから人事院が勧告した賃金ベースが当然当り前だ。こう言つてつたのでありますが、私共はそのときに、若しそういうことになつたならば、公務員が上り、国鉄が上りしたならば、普通民間労働者には波紋はないかどうか。人事院の方では波紋はない。こう見ておるからこれが至当だと言うのでありますが、私共はその時分に、私個人考えとしては、公務員及び国鉄その他のものがあの高いベースになつたならば、民間の会社に勤めておるところの労働者に決して波紋はないとは考えておらない。そうするならば、物価は騰貴して、悪循環が来るではないかと、こう私は思つたのでありますが、そういう人事院の勧告、人事院の説明を聽いて、政府答弁に妥協と申しますか、尤もだと考えたのでありますが、ああいう時分に、そうした実際の勧告について人事院と政府とは十分話合つておるのか。政府は人事院のああいうふうな人事院の見解、民間労働者には、会社なにかには及ばないと、こういうふうに言う人事院の勧告、考え方政府もお聽きになつてのことであるかどうかということを実は承つて置きたいと思うのであります。
  43. 鈴木正文

    ○国務大臣(鈴木正文君) 御承知のように、人事院は独立の立場において権能といいますか、仕事をしておるのでありまして、その案を人事院が検討しておる場合に、一々政府と打合せて、そうして最終的な案を作り上げたというような事実はないと思つております。又あつてもそんなに政府の鼻息を窺つてつては、人事院は仕事ができないと思います。然しでき上つた後において政府の方から、いろいろ政府考える諸点について、人事院に質問するということは、これは当然であり、そういう段階に入つてから今お尋ねにありました点も、人事院の意向、この問題だけじやありませんが、十も二十も疑問の点がありまするが、そういう点を質したということはありますけれども、法案を作るその過程において云々ということはございません。あつてはいけないと私たちは考えております。
  44. 柏木庫治

    ○柏木庫治君 それならば、あの木下君なんかの質問、その他いろいろの質問のときに、私共は人事院の説明を聞いて政府の態度に納得が行つたのでありますが、政府答弁のときには、実際はぶつきらぼうというか、不親切というか、少しはどうも同情する気持も、尤もという気持にもならなかつた、あんな明らかなことを賢明な鈴木労働大臣が一言も触れないというのはどういうわけなのですか、不親切なのですか。
  45. 鈴木正文

    ○国務大臣(鈴木正文君) どうも、今そのときの答弁を覚えておりませんけれども、不親切がどうかというのは、やはり見方によりますけれども、私自身として強いて触れずに置いたということもないだろうと思います。池田君がしやべつたからもういいだろう、同じ政府の同僚が……、もういいだろうと思つて、私はそのときの心境を覚えておりませんけれども……。
  46. 柏木庫治

    ○柏木庫治君 池田の説明においても、あなたの説明においても……。
  47. 鈴木正文

    ○国務大臣(鈴木正文君) 池田君は言われなかつたのですか。
  48. 柏木庫治

    ○柏木庫治君 人事院の人の説明を聞いて、あなたがはつきりおつしやつたならば、本会議は非常に納得するだろうと思つたが、実際はその後にそれに対して折衝していないのですか。
  49. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは今日はこの程度で……。
  50. 西郷吉之助

    ○西郷吉之助君 その前にちよつと申上げますが、最近委員会で、司令部に呼ばれて、司令部に行つておるのだということを以て、何か国会の方で質疑を行使せんとするとき道具のように使うきらいがあるのですが、どうぞ委員長において注意して置いて下さい。
  51. 鈴木正文

    ○国務大臣(鈴木正文君) 私の今言うのは本当ですから……。
  52. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは明日午後一時から都道府県所有に属する警察用財産等処理に関する法律の一部を改正する法律案、これについて審議を願いまして、飲食営業臨時規整法の一部を改正する法律案提案理由を農林大臣から説明いたします。地方自治法の一部を改正する法律案、これも続行いたします。  それではこれで散会いたします。    午後三時三十三分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君    理事            吉川末次郎君            岡田喜久治君    委員            三木 治朗君            黒川 武雄君            林屋亀次郎君            谷口弥三郎君            柏木 庫治君            西郷吉之助君            鈴木 直人君   委員外議員    労働委員長   山田 節男君   国務大臣    労 働 大 臣 鈴木 正文君   政府委員    地方自治政務次    官       小野  哲君    総理府事務官兼    法務事務官    (地方自治庁連    絡行政部長法制    意見総務室主    幹)      高辻 正巳君    法務事務官    (法制意見総務    室第二局長)  林  修三君    国家地方警察本    部長官     斎藤  昇君