○国務大臣(
鈴木正文君) これは私共にも勿論でありますけれども、特に地方に
関係のある
地方行政、
都道府県、それから市
町村、特に大きな都市等におきましても、当事者は最近非常な悩みの
一つだと私も存じます。それから又情勢も
只今委員長がおつしやいましたように、必ずしも楽観を許さないような情勢であり、事態もそうい
つたような事態が現実に三つ四つ五つというふうに出て来ておるということも事実でございます。
只今お挙げになりました彦根、それから日立、こちらの八王子もそうでありますが、彦根、日立、呉という所は、特異な情勢の下に特異な形で以て現われて来た所である。それから川崎あたりもややその傾向を持
つておる。これはじつと見ておりまするというと、周期的に全国を全部ではないけれども、重点的に移動的にその攻勢が採られて行くというような傾向も
指摘され、更にその背後にある
ところのものは何か、これらの点につきましては私が
お答えするまでもなく、皆さんも恐らく
考えておられるだろうと思います。この問題は将来に亘
つて尚もつと綿密な計画の上で、もつと質量共に相当大きく展開するかも知れない。少くともそうい
つたことを考慮された
ところの十分の準備を整えて置かなければいけない
段階であるという
考え方におきましては、全然同感でございます。私共はこれがために昨日も一昨日もや
つておりますけれども、これは労働省は勿論中心になりますけれども、諸方面との連絡、緊密なる連絡、これは必ずしも国警というふうな取締り当局のみを指すわけではありません。言うまでもなく失業
対策のごときは、労働省が現在、これはあとで詳しく申しますけれども、労働省のこの予算に盛られました四十億の失業
対策費というふうなものは、
政府全体として
考えております
ところの失業
対策費の恐らく二十分の一にも匹敵するかしないかの
程度のものであ
つて、二十分の十九という大きな失業
対策の実態は、予算面の外の方にあるという
関係にもあるのでありまして、労働省が、日傭労働者の問題は労働省が中心で、一手でや
つておりますけれども、併しこれは全般的の
公共事業とか見返資金とか、そうい
つたものとも結付けて、そうして先ず第一にこの
対策といたしましては、警察的、或いは取締り的、
治安的
立場から現われて来た
ところの事象を措置するということが、端的に必要な
段階が来ると思いますけれども、それより先にこの都市に溢れておる
ところの、地方の都市を引括めて溢れておる
ところの、日傭的の労働者を最大限に吸收するということが、それに先行する
ところの根本政策だと思います。それで昨年、二十四年度におきましては、御承知のように年間を通じてこの
費用は八億八百万円でありました。これは足りないということは国会からもしばしば言われ、私もそう思いましたので、これは繰上げて、叱られるかも知れない、思い切
つて繰上げて十一月までに使
つてしま
つたのであります。そうして補正予算で八億出して来た。それから二十五年度には四十億盛られておるというのが今の実情であります。四十億というとどれだけの人が消化できるかというと、毎日十万人ずつを三百六十五日全国の土木課で吸收して行けるという数字になるわけであります。これで他の失業
対策的な措置が予算の面で十分になされておらないというならば、こんなもので以てとても今の失業
対策に対処し得るわけではありませんけれども、これは主として日傭的の面に措置する種類のものでありまして、一応そのめどを立てたわけでございます。併しそれでは尚足りないという場合を考慮いたしまして、私たちは大体この四十億が六十億、七十億、八十億ぐらいの実力を出し得るような形に、この際予算の四十億は変えないけれども、やり得る方法はないかということを検討したのであります。その結果といたしまして、先ず第一番にこれは皆様の方に非常に
関係が深いのでありますけれども、地方において失業
対策のために或る
程度の起債の枠を認めて貰うということが必要じやないか。これは各方面から要望がありまして、そうして
自治庁とも折衝を進めております金額自体が、必ずしも皆様の御満足の行くように行くかどうか分りませんけれども、或る
程度この枠は実現できるのではないかと思
つております。十億になるか、十五億になるか、二十億になるかというふうなことは、未
決定でありますけれども、これによ
つて四十億プラス・アルファーというものが資金として
考えられる。それからもう
一つは、従来
公共事業といものが、一面においては失業
対策を加味した
ところの
性格を持たなければならないというのが、
公共事業を
考えたあの根本に入
つておるのでありますけれども、第一番には、それが労働省の失業
対策となかなか密接に結びつかなか
つたという点が
一つと、それから例年四月、五月の年度変りの初め二ケ月くらいは、殆んど安本の認証とか何とかということに手間ど
つて、
公共事業というものは殆んど出なか
つた、六月頃にな
つてやつと出始めるというような実情にあ
つたのでありますが、今年の失業状態から
考えまして、これでは絶対にいけないというので、
政府部内において安本、建設省、労働省等が中心とな
つて、
公共事業を四月早々から、年度初めから予算が通
つたらすぐ急速に展開することが
一つと、それから労働省が持
つておる四十億円、それから今申しました地方の起債の枠で許された
ところの起債と結びつきまして、そうして最大限に日雇労働者を吸收して行くという方式をとるべきだと、その連絡打合計画機関の
組織も、今
政府部内で急いでおります。これらの点については、
関係大臣も、失業情勢の緊迫に睨み合せまして、双手を挙げて賛成するから、応援するからということにな
つております。そういたしまするというと、先程申しましたように、二十五年度予算に盛られておる
ところの緊急失業
対策、日雇労働者を対象といたした
ところのものは四十億円であ
つて、それによ
つて十万人でありますけれども、その倍近い
ところの資金の操作というものを握り、吸收人員を高めて行くということは可能であると思います。昨年今申しましたように二万乃至三万というものが、十五万乃至十七、八万というふうな数字に上げて参れまするならば、大体において日雇労働者というものは、ほぼそう粗漏なく吸收して行く
ところの計画と自信を持つことができるようになりつつあるということを、先ず御報告申上げます。出て来た
ところの問題を、あぶれた
ところの人達が騒ぎ出す問題を片附けるよりも先に、先ずこの問題を強力に遂行したいと思
つております。それでも尚且つ、今御
指摘になりましたような事態が出て来ると思います。と申しますのは、どこの安定所だ
つて、時間的に一人のずれもなしにということはあり得ませんし、政治的或いは計画的意図と機動的戦略というふうなものが加えられましたならば、これは必ず或る箇所には、やはり今
委員長が申されましたような事態が、起きて来るということは、予見し覚悟もしなければならないと思
つております。これに対しましては、機動的に吸收じんいん数を殖やして、そうして且つ、窓口で以てそれに応ずると同時に、不当に
治安を乱し、国政に対し、或いは安定行政に対し、社会
治安に対しまして、不当な蠢動、不当な策動を続けておると、そういう分子に対しては、断乎たる措置を新たにとるべきであると
考えておるのでありまして、それらについても十分な方法を縛るべきであると
考えておりまして、すでに私共
政府部内においては、いろいろの検討を進め、又連絡をも進めておるわけであります。決して、万事
一つもこういう問題を起しませんから御安心下さいとまで、皆さんの前で胸を叩いて威張るわけには参りませんけれども、そういう方向で、御
指摘になりました事柄は十分腹の底にたたんで、そうしてこの問題には臨んでおりますということを、先ず第一に申上げます。
それから、この機会でありますけれども、そうした
ところで、失業問題全体のしわ寄せがあそこへ最終的に一番下部の問題として来るのでありまして、十万や十五万の人達を吸收した
つて、それで失業問題が片附くわけではないのでありまして、それを片附ける
ところの根本的なものは、どうしても配置転換を含めた
ところの新らしい雇用でなければならないと思
つております。この点では、
政府は今申しましたように、緊急失業
対策は差当
つて十万、今私の申しましたような方法を加味しても、十五、六万、七、八万という
ところでありましようけれども、全体としては、二百万乃至二百五十万の失業者を吸收し得る計画というものは、これはただ單に計画ではないかと言われれば、それまでであるかも知れませんけれども、二十五年度に提出されておるあの総予算を検討して頂けば、明確にその計画が予算の裏付けを以て行われております。労働省の分は失業
対策費として計上されておりますから、これはどなたが見ても失業
対策費ということが分りますけれども、あとはいろいろな名目で出ておりますから、
ちよつと分らないと思いますけれども、第一番に大きなものは、何とい
つても
公共事業であります。これは昨年五百億の
公共事業費を使うということに、年間を通じて五十万人づつ、これは全部が失業者ではありませんけれども、五十万人ずつ雇用しております。これは実績でありますから、事実であります。そういたしまするというと、今年九百十億円、まあ大体倍に
なつた、こういたしますると、
公共事業で以てどれだけの人が吸收されるかというと、百万人の人が吸收されるという計画が、物価が大体同じと仮定いたしますれば、これは
考えられます。
従つて、二十五年度の四月一日から、
公共事業費で百万人、併し、五十万人はすでに
公共事業で以て使われておるのでありますから、四月以降新たに殖える吸收力は幾らだといいますと、五十万人だということになります。これは、確かに吸收できると
考えております。それから見返資金を千二、三百億出すと、これも見返資金が二十四年度には出すのが遅れましたけれども、一切の準備が整い、最近ではかなりのスピーデイーになりますから、その見返資金を出すことによ
つて、産業の中に新たに出て来る
ところの雇用力が幾らある、これは大体三十万人を予定しております。それからもう
一つは、どんな時代でも、一方で離職者はあるけれども、一方で就職者はあるのでありまして、例えば、二十四年度だ
つて、私達は
最初四十万人の雇用はありますと、こんな馬鹿なことがあるかと、お叱りを受けましたけれども、これは実績に徴して確かにあ
つたのであります。これは失業者を全部吸收してまだ四十万吸收力があるという意味ではなくて、失業者は一方で四十万人出るのでありますけれども、一方で新しい雇用が四十万予定されると、これも漫然と見当をつけたわけではないのでありまして、すべての事業に亘
つて有効需要を見て、この四十万という数字を去年の第五国会で発表して、大体その後の実績を見ましても、その
通りに行
つております。同じ
考えで以て、二十五年度には一体どれくらいのそういう意味での
一般的雇用があるかと申しますと、これは安本、大蔵省、労働省で数ケ月に亘
つて計算した結果、八十万という雇用は予定されるということが出て来ております。そういたしまするというと、
公共事業で新たに加わる五十万、それから新しく二十五年度に予定される
一般国民経済の中で八十万、合せて百五、六十万というものは新しい雇用が出て参ります。ここへ收ま
つたところの人達は最終的に安定したのでありますが、それで尚且つできない人達が出て来るし、又一遍にこれが出て来るのではなくて、一年間を通じてこれが出て来るのでありますから、途中をどうするかと、これが失業保險であります。失業保險は、現在の予算では四十万人を吸收し、そうして更に予備費を使
つて六十万人まで吸收し得る予算を出しておりますけれども、いざとなりましたらならば八十五万人まで吸收できるのであります。それからその外に、今申しました日雇労働者で以て十万乃至十五万くらい毎日吸收して行けると、それから日雇労働者の失業保險も、すでに昨年準備して、今年の一月から開始しておりまして、これによ
つて十三万人づつの人達には毎日、若し日雇労働者が失業したならば、保險の給付を與えて行ける準備をし、すでに実行しております。だから、日雇労働者の分は、雇用の方で十万乃至十五万、それから万一困
つたならば失業保險で以て十三万人、合せて二十万人以上の人達を大丈夫四月一日からとにかく積極、消極両面で以て吸收して行けば、それらを、全体を睨み合せまして二百万乃至二百二十万くらいの吸收力が出て来ております。非常にごちやごちやと余計な御
説明を申上げましたけれども、御
質問の中心である日雇労働者の問題を、全般的な問題を睨み合せて
考えて頂くために、一応全般的の
説明をしたわけであります。